説明

減少された生体蓄積を有するキナゾリノン化合物

本発明の開示により、MC4−Rアゴニストとして作用可能である種々の低分子、グアニジン含有分子が提供される。この化合物は、被験体に投与された場合に、MC4−R媒介性疾患を処置することにおいて有用である。この化合物は式IAおよび式IBを有する。IAおよびIBは、Zが下記に示される式を有し、可変部分の残りは本明細書中に定義される以下の構造を有する。本発明は、低分子である強力で特異的なアゴニストを提供する。例えば、本発明の一態様により、式IA、IB、それらの混合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、メラノコルチン−4受容体(MC4−R)アゴニストおよびそれらの調製方法に関する。より具体的には、本発明は、被験体に投与された際に生体蓄積減少特性を示すキナゾリノン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
メラノコルチンは、プロ−オピオメラノコルチンの翻訳処理後に生じるペプチド産物であり、種々多数の生理学的活性を有することが知られている。天然メラノコルチンとしては、種々のタイプのメラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH、β−MSH、γ−MSH)およびACTHが挙げられる。これらの中で、α−MSHおよびACTHが主な内因性メラノコルチンであると考えられている。
【0003】
メラノコルチンは、G蛋白質結合受容体のサブファミリーであるメラノコルチン受容体(MC−R類)を介してそれらの作用を媒介する。少なくとも5つの異なった受容体サブタイプ(MC1−RからMC5−R)が存在する。MC1−Rは、毛髪および皮膚の色素沈着を媒介する。MC2−Rは、副腎におけるステロイド産生に及ぼすACTHの作用を媒介する。MC3−RおよびMC4−Rは、主に脳に発現する。MC5−Rは、外分泌腺系においてある役割を有していると考えられる。
【0004】
メラノコルチン−4受容体(MC4−R)は、7−膜貫通受容体である。MC4−Rは、視覚および感覚情報の流れの調節に寄与し、身体運動制御の状況に同調し、および/または心臓への自律的アウトフローの調節に関与する。非特許文献1。遺伝子標的化によるこの受容体の不活化により、過食症、高インスリン血症、および高血糖症に関連する成人発症型肥満症候群を発現させるマウスが生じた。非特許文献2。また、MC4−Rは、勃起機能障害、心血管障害、神経損傷または神経障害、炎症、発熱、認知障害、および性行動障害などの他の疾病状態にも関係してきた。非特許文献3。
【0005】
さらに、内因性MC4−Rアンタゴニストと関連した観察により、MC4−Rは内因性エネルギー調節に関係していることが示されている。例えば、パカ蛋白質は、通常、皮膚に発現し、色素沈着に関与する皮膚のMC受容体、MC1−Rのアンタゴニストである。非特許文献4。しかし、マウスにおけるパカ蛋白質の過剰発現は、MC1−Rの拮抗作用による黄色被覆色、およびMC4−Rの拮抗作用による摂食および体重の増加へと至る。非特許文献5;非特許文献6。パカ関連蛋白質(AGRP)、パカ蛋白質相同体は、MC4−Rに拮抗するが、MC1−Rには拮抗しない。非特許文献7。マウスへのAGRP投与は、摂食を増加させ肥満を引き起こすが、色素沈着は変化させない。非特許文献8。本研究もまた、MC4−Rがエネルギー調節に関与することを示しており、したがって、この受容体を、肥満治療の合理的な薬物デザインのための標的として特定している。
【0006】
MC4−Rおよび肥満および摂食の病因における、それのまだ網羅されていない役割に関連した先行技術としては、MC4−Rのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物および組成物についての報告が挙げられる。例えば、特許文献1は、メラノコルチン受容体のシグナリング活性を調節する能力のあるポリペプチドを記載している。また、特許文献2および特許文献3は、環状構造を有するラクタムヘプタペプチドである、MC4−R受容体のアゴニストおよびアンタゴニストのファミリーを記載している。特許文献4は、多数の構造を有するMC4−R結合化合物、およびMC4−R関連疾患を処置するためのそのような化合物の使用方法を開示している。記載された化合物の幾つかには、アミジノ−およびグアニジノ−を含有するアレーン類およびヘテロアレーン類が含まれる。
【0007】
他の様々な種類の化合物が、MC4−Rアゴニスト活性を有するものとして開示されている。例えば、特許文献5および特許文献6は、ピペリジン化合物および誘導体であるMC4−Rアゴニストを開示しており、一方、特許文献7および特許文献8は、スピロピペリジン誘導体であるMC−Rアゴニストを開示している。他の公知のメラノコルチン受容体アゴニストとしては、アミノ酸残基、特に、特許文献9に開示されているようなトリプトファン残基を含有する芳香族アミン化合物が挙げられる。第三級アミド基または第三級アミン基を含有する芳香族アミン化合物を含んでなる同様なアゴニストは、特許文献10に開示されている。最後に、特許文献11は、窒素含有アルキルリンカーによって分離されている、一般にビスアミドである芳香族アミンを含んでなるメラノコルチン受容体アゴニストを開示している。
【0008】
種々の生物学的活性を有するグアニジン含有化合物もまた、先行技術で知られている。例えば、Satohらに発行された特許文献12は、抗潰瘍剤として有用なグアニジン化合物を開示しており;Schnurらに発行された特許文献13、特許文献14、および特許文献15ならびに特許文献16は、プロテアーゼ阻害剤として、および、抗プラスミン剤ならびに抗トロンビン剤として有用なグアニジノ化合物を開示しており;Okuyamaらに発行された特許文献17は、抗ウィルス剤として有用なグアニジノ化合物を開示している。グアニジン含有化合物は、他の参考文献にも開示されている。例えば、Gentileらに発行された特許文献18は、酸化窒素シンセターゼの阻害が有益である脳卒中、不安、精神分裂症、および痛みなどの病態の処置および予防に有用なグアニジン化合物を開示している。Chenらに発行された特許文献19は、αβインテグリンの選択的な阻害または拮抗に使用される一定のグアニジン化合物を開示している。
【0009】
Rasmussenに発行された特許文献20により、抗分泌活性および低血糖活性を有するものとして、グアニジンの種々の5、6、および7員完全飽和1−アザ炭素環式−2−イリデン誘導体が開示されている。このような化合物はまた、心血管疾患の処置に有用であることが教示されている。他のグアニジン誘導体が、炎症を処置する療法に有用であるとして、Macdonaldらに発行された特許文献21により開示されている。特許文献22には、種々のグアニジノベンズアミド化合物が開示されている。グアニジノベンズアミド類は、肥満およびII型糖尿病の処置に有用なものとして開示されている。
【0010】
種々のキナゾリノン化合物の合成は、各々が参照としてその全体が、また、本明細書に十分に記載されているように全ての目的のために本明細書に組み込まれている、特許文献23として、2004年1月29日に公開された米国特許出願第10/444,495号、特許文献24として2003年12月4日に公開されたPCT/US03/16442号、2004年5月21日出願の米国特許出願第10/850,967号;PCT/US04/15959号;および米国仮特許出願第60/382,762号、第60/441,019号、第60/473,317号、第60/523,336号、および第60/524,492号に記載されている。
【特許文献1】米国特許第6,060,589号明細書
【特許文献2】米国特許第6,054,556号明細書
【特許文献3】米国特許第5,731,408号明細書
【特許文献4】国際公開第01/10842号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/70708号パンフレット
【特許文献6】国際公開第00/74679号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/70337号パンフレット
【特許文献8】国際公開第99/64002号パンフレット
【特許文献9】国際公開第01/55106号パンフレット
【特許文献10】国際公開第01/055107号パンフレット
【特許文献11】国際公開第01/055109号パンフレット
【特許文献12】米国特許第4,732,916号明細書
【特許文献13】米国特許第4,874,864号明細書
【特許文献14】米国特許第4,949,891号明細書
【特許文献15】米国特許第4,948,901号明細書
【特許文献16】欧州特許第0343894号明細書
【特許文献17】米国特許第5,352,704号明細書
【特許文献18】米国特許第6,030,985号明細書
【特許文献19】米国特許第5,952,381号明細書
【特許文献20】米国特許第4,211,867号明細書
【特許文献21】米国特許第5,885,985号明細書
【特許文献22】国際公開出願第02/18327号パンフレット
【特許文献23】米国特許出願公開第2004/0019049号明細書
【特許文献24】国際公開出願第03/099818号パンフレット
【非特許文献1】K.G.Mountjoyら、Science、(1992年)257:1248−125頁
【非特許文献2】D.Husznarら、Cell、(1997年)88(1):131−41頁
【非特許文献3】M.E.HadleyおよびC.Haskell−Luevano、The proopiomelanocortin system、Ann.N.Y.Acad.Sci.、(1999年)885:1頁
【非特許文献4】M.M.Ollmanら、Science、(1997年)278:135−138頁
【非特許文献5】L.L.Kieferら、Biochemistry、(1997年)36:2084−2090頁
【非特許文献6】D.S.Luら、Nature、(1994年)371:799−802頁
【非特許文献7】T.M.Fongら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1997年)237:629−631頁
【非特許文献8】M.Rossiら、Endocrinology、(1998年)139:4428−4431頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MC4−Rアゴニスト活性を示す種々の化合物の最近の開示にも関わらず、MC4−Rに媒介される疾患および疾患状態の処置に使用できる新規な化合物および製薬組成物に対する必要性は依然として存在している。また、化合物が投与された被験体において低生体蓄積特性を有する化合物など、所望の薬理学的特性を示す化合物に対する必要性も依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、低分子である強力で特異的なアゴニストを提供する。例えば、本発明の一態様により、式IA、IB、それらの混合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩が提供され、
【0013】
【化8】

式中
は、置換または非置換のアリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、シクロアルキルアルクル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアルキル基から選択され;
は、Hまたは置換もしくは非置換のアリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアルキル基から選択され;
、R、およびRは、独立して、H、Cl、I、F、Br、OH、NH、CN、NO、または置換もしくは非置換のアルコキシまたはアルキル基から選択され;
3’は、Hまたは置換もしくは非置換のアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、またはシクロアルキルアルキル基から選択され;
Zは、さらに置換されていてもよい式
【0014】
【化9】

のピペラジノンから選択される。
【0015】
本発明により提供される化合物としては、式IAおよびIBの化合物のプロドラッグ、薬学的に受容可能なそれらの塩、それらの立体異性体、それらの互変異性体、それらの水和体、またはそれらの溶媒和体が挙げられる。
【0016】
本発明は、R、R、およびRが全てHである式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。
【0017】
本発明は、R3’が、置換および非置換のシクロヘキシル基、2−アルキルシクロヘキシル基、2,2−ジアルキルシクロヘキシル基、2,3−ジアルキルシクロヘキシル基、2,4−ジアルキルシクロヘキシル基、2,5−ジアルキルシクロヘキシル基、2,6−ジアルキルシクロヘキシル基、3,4−ジアルキルシクロヘキシル基、3−アルキルシクロヘキシル基、4−アルキルシクロヘキシル基、3,3,5−トリアルキルシクロヘキシル基、2−アミノシクロヘキシル基、3−アミノシクロヘキシル基、4−アミノシクロヘキシル基、2,3−ジアミノシクロヘキシル基、2,4−ジアミノシクロヘキシル基、3,4−ジアミノシクロヘキシル基、2,5−ジアミノシクロヘキシル基、2,6−ジアミノシクロヘキシル基、2,2−ジアミノシクロヘキシル基、2−アルコキシシクロヘキシル基、3−アルコキシシクロヘキシル基、4−アルコキシシクロヘキシル基、2,3−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,4−ジアルコキシシクロヘキシル基、3,4−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,5−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,6−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,2−ジアルコキシシクロヘキシル基、2−アルキルチオシクロヘキシル基、3−アルキルチオシクロヘキシル基、4−アルキルチオシクロヘキシル基、2,3−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,4−ジアルキルチオシクロヘキシル基、3,4−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,5−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,6−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,2−ジアルキルチオシクロヘキシル基、フルオロシクロアルキル基、フルオロアルキルシクロアルキル基、トリフルオロメチルシクロアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロヘキセニル基、シクロオクチル基、2−アリールシクロヘキシル基、2−フェニルシクロヘキシル基、2−アリールアルキルシクロヘキシル基、2−ベンジルシクロヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシル基、アダマンチル基、イソカンフェニル基、カレニル基、7,7−ジアルキルノルボルニル基、ボルニル基、ノルボルニル基、およびデカリニル基よりなる群から選択される式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。さらに他の実施形態において、R3’は、置換および非置換のシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、2,2−ジメチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル基、2,4−ジメチルシクロヘキシル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基、3,4−ジメチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、イソピノカンフェニル基、7,7−ジメチルノルボルニル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘプチル基、2−フルオロ−4−メチルシクロヘキシル基、4−フルオロ−2−メチルシクロヘキシル基、4,4−ジフルオロ−2−メチルシクロヘキシル基、4−トリフルオロメチルシクロヘキシル基、2−メチル−4−トリフルオロメチルフルオロメチルシクロヘキシル基、2−フルオロメチルシクロヘキシル基、トリフルオロメチル(多環式シクロアルキル)基、フルオロメチル(多環式シクロアルキル)基、およびフルオロ(多環式シクロアルキル)基よりなる群から選択される。
【0018】
本発明は、R3’が、置換および非置換の多環式シクロアルキル基である式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。このような実施形態の幾つかにおいて、R3’は、式IIを有する置換および非置換の多環式シクロアルキル基である。
【0019】
【化10】

本発明は、Rが、置換または非置換のフェニルエチル基などの置換または非置換のアリールアルキル基である式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。このような実施形態の幾つかにおいて、Rは、4−置換フェニルエチル基または2,4−ジ置換フェニルエチル基などの置換フェニルエチル基である。幾つかの実施形態において、Rは、フェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−メトキシフェニルエチル基、4−フェノキシフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、4−メチルフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−エチルフェニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、2−メトキシフェニルエチル基、2−クロロフェニルエチル基、2−フルオロフェニルエチル基、3−メトキシフェニルエチル基、3−フルオロフェニルエチル基、チエニルエチル基、インドリルエチル基、4−ヒドロキシフェニルエチル基、3,4−ジメトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−ヨードフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジフルオロフェニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルエチル基、2,4−ジメトキシフェニルエチル基、(2−ピリジル)エチル基、(3−ピリジル)エチル基、(4−ピリジル)エチル基、(ピリジル)(ヒドロキシメチル)エチル基、および(フェニル)(ヒドロキシメチル)エチル基から選択される。さらに他の実施形態において、Rは、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−メトキシフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、または4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基から選択される。
【0020】
本発明は、Rが、置換または非置換のヘテロシクリル基または置換または非置換のヘテロアリール基から選択される式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のピリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、ピロリジニル基、ピロリル基、チオフェニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピラジニル基、チアゾリル基、ピリミジニル基、キノクリジニル基、インドリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、またはピリダジニル基から選択される。このような実施形態の幾つかにおいて、Rは、さらに置換されていても非置換でもよい式
【0021】
【化11】

のヘテロアリール基またはヘテロシクリル基から選択される。
【0022】
本発明は、Rが、置換または非置換のアリール基またはシクロアルキル基から選択される式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。例えば、幾つかの実施形態において、Rは、さらに置換されていても非置換でもよい式
【0023】
【化12】

のアリール基またはシクロアルキル基から選択される。
【0024】
本発明は、Rが、置換または非置換のヘテロシクリルアルキル基またはシクロアルキルアミノ基から選択される式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。例えば、幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のシクロプロピルアミノ基;ピペラジニルメチル基またはN−メチルピペラジニルメチル基などの置換または非置換のピペラジニルアルキル基;またはピペリジニルメチル基またはピペリジニルエチル基などのピペリジニルアルキル基などの基から選択される。
【0025】
本発明は、Zが、以下の式
【0026】
【化13】

を有するピペラジノンである式IAおよびIBの化合物をさらに提供する。このような実施形態の幾つかにおいて、Zは、以下の式
【0027】
【化14】

を有するピペラジノンである。
【0028】
幾つかの実施形態において、本発明は、脳、肝臓、腎臓、および心臓などの高血液灌流の組織において、化合物のt1/2値が、35、30、25、20、15、10、または5時間未満である化合物を提供する。このような実施形態の幾つかにおいて、該化合物(1つまたは複数)が投与された被験体において、t1/2値は、4時間未満または約4時間であり、幾つかの実施形態において、3時間未満または約3時間である。
【0029】
本発明の他の態様により、本発明による化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含んでなる薬学的処方物または薬剤などの組成物もまた提供されている。本発明は、MC4−R媒介性疾患に処置に用いられる薬剤または薬学的処方物の調製における本発明の化合物の使用法をさらに提供する。幾つかの実施形態において、このような疾患は、肥満またはII型糖尿病である。
【0030】
本発明の他の態様により、本発明の化合物または組成物を、MC4−R媒介性疾患の処置を必要とする被験体に投与することを含んでなる、MC4−R媒介性疾患の治療方法が提供されている。このような実施形態の幾つかにおいて、本発明の化合物は、被験体の組織および血漿における生体蓄積の減少を示す。
【0031】
一実施形態において、本発明の方法によって処置される疾患は肥満またはII型糖尿病である。
【0032】
一実施形態において、本発明の化合物または組成物は鼻腔内に投与される。
【0033】
一実施形態において、本発明の化合物または組成物はヒト被験体に投与される。
【0034】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、この詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、単に例示として提供されていることを理解すべきであり、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(詳細な説明)
本発明は、低分子のメラノコルチン−4受容体(MC4−R)アゴニストの新規クラスに関する。これらの化合物は組成物へと製剤化でき、MC4−Rの活性化、または肥満、II型糖尿病、勃起機能障害、多嚢胞性卵巣疾患、肥満および糖尿病から引き起こされる合併症、およびX症候群などのMC4−R媒介性疾患の治療に有用である。
【0036】
本明細書を通して以下の定義が用いられる。
【0037】
アルキル基には、1個から約8個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルキル基が含まれる。直鎖アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、およびオクチル基が挙げられる。分枝アルキル基の例としては、限定はしないが、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、およびイソペンチル基が挙げられる。代表的な置換アルキル基は、1回以上、例えば、アミノ基、チオ基、アルコキシ基、またはF、Cl、Br、およびI基などのハロ基によって置換されていてもよい。
【0038】
シクロアルキル基は、限定はしないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基などの環式アルキル基である。また、シクロアルキル基には、上記で定義された直鎖または分枝アルキル基によって置換された環が含まれ、またさらに、限定はしないが、デカリニル、テトラヒドロナフチル、およびインダニルなどの縮合環を含む他の環によって置換されているシクロアルキル基が含まれる。また、シクロアルキル基には、限定はしないが、ノルボルニル基、アダマンチル基、ボルニル基、カンフェニル基、イソカンフェニル基、およびカレニル基などの多環式シクロアルキル基も含まれる。代表的な置換シクロアルキル基は、限定はしないが、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、チオ基、シアノ基、またはハロ基によって置換されていてもよい2,2−、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−ジ置換シクロヘキシル基またはモノ、ジ、またはトリ置換のノルボルニル基またはシクロヘプチル基など、モノ置換または一回以上置換されていてもよい。
【0039】
アルケニル基は、2個から約8個の炭素原子を有する直鎖、分枝または環式の低級アルキル基であり、例えば、ビニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、および他にもあるがその中でもヘキサジエニル基によって例示されるように、少なくとも1つの二重結合をさらに含む。
【0040】
アルキニル基は、2個から約8個の炭素原子を有する直鎖または分枝の低級アルキル基であり、限定はしないが、エチニル基、プロピニル基、およびブチニル基などの基によって例示されるように、少なくとも1つの三重結合をさらに含む。
【0041】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環式芳香族炭化水素である。したがって、アリール基としては、限定はしないが、フェニル基、アズレン基、ヘプタレン基、ビフェニレン基、インダセン基、フルオレン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、ナフタセン基、クリセン基、ビフェニル基、アントラセニル基、およびナフテニル基が挙げられる。「アリール基」という語句には、縮合した芳香族−脂肪族環系などの縮合環を含有する基が含まれるが、環員の1つに結合したアルキル基またはハロ基などの他の基を有するアリール基は含まれない。そうではなく、トリルなどの基は、置換アリール基と称される。代表的な置換アリール基は、限定はしないが、アミノ、アルコキシ、アルキル、シアノ、またはハロなどの基によって置換されていてもよい、限定はしないが、2−、3−、4−、5−、または6−置換フェニル基またはベンジル基などのように、モノ置換または1回以上置換されていてもよい。幾つかの実施形態において、アリール基は、6から14の環員炭素原子を有する。
【0042】
シクロアルキルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素の結合が上記に定義されたシクロアルキル基に対する結合によって置換されている上記に定義されたアルキル基である。
【0043】
アリールアルキル基は、アルキル基の水素または炭素の結合が上記に定義されたアリール基に対する結合によって置換されている上記に定義されたアルキル基である。
【0044】
ヘテロシクリル基は、3個以上の環員を含有し、そのうちの1個以上が、限定はしないが、N、O、およびSなどのヘテロ原子である非芳香族環状化合物である。「ヘテロ環式基」という語句には、縮合芳香族基および非芳香族基を含んでなる縮合環種を含む縮合環種が含まれる。また、前記語句には、限定はしないが、キヌクリジルなどのヘテロ原子を含有する多環式環系も含まれる。しかし、前記語句には、環員の1つに結合したアルキル基またはハロ基などの他の基を有するヘテロシクリル基は含まれない。そうではなくて、これらは、「置換ヘテロシクリル基」と称される。ヘテロシクリル基としては、限定はしないが、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基およびホモピペラジノ基が挙げられる。代表的な置換ヘテロシクリル基は、限定はしないが、アミノ、アルコキシ、アルキル、シアノ、またはハロなどの基によって、2−、3−、4−、5−、または6−置換された、またはジ置換された、限定はしないが、モルホリノ基またはピペラジノ基のように、モノ置換または1回以上置換されていてもよい。
【0045】
ヘテロアリール基は、3個以上の環員を含有し、そのうちの1個以上が、限定はしないが、N、O、およびSなどのヘテロ原子である芳香族環状化合物である。ヘテロアリール基としては、限定はしないが、フラン、チオフェン、ピロール、イソピロール、ジアゾール、イミダゾール、イソイミダゾール、トリアゾール、ジチオール、オキサチオール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、ピラン、ジオキシン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、イソキサジン、オキサチアジン、アゼピン、オキセピン、チエピン、ジアゼピン、ベンゾフラン、およびイソベンゾフランが挙げられる。「ヘテロアリール基」という語句には、縮合環化合物が含まれるが、前記語句には、環員の1つに結合した、アルキル基などの他の基を有するヘテロアリール基は含まれない。そうではなくて、このような置換を有するヘテロアリール基は、「置換ヘテロアリール基」と称される。代表的な置換ヘテロアリール基は、限定はしないが、アミノ、アルコキシ、アルキル、シアノ、またはハロなどの基によって、1回以上置換されていてもよい。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5個から14個の環員を含む。
【0046】
ヘテロシクリルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記に定義されたヘテロシクリル基に対する結合によって置換されている、上記に定義されたアルキル基である。
【0047】
ヘテロアリールアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記に定義されたヘテロアリール基に対する結合によって置換されている、上記に定義されたアルキル基である。
【0048】
アミノカルボニル基は、RまたはR’が、同じでも異なっていてもよく、各々が独立して、Hまたは上記に定義された置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール基から選択される式RR’NC(O)−の基である。
【0049】
一般に、「置換された」とは、基に含有された水素原子に対する1つ以上の結合が、限定はしないが、F、Cl、Br、およびIなどのハロゲン原子;ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびエステル基などの基における酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基などの基における硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミンなどの基における窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基などの基におけるケイ素原子;および種々の他の基における他のヘテロ原子などの非水素原子または非炭素原子に対する結合によって置換されている、上記に定義された基を言う。置換アルキル基ならびに置換シクロアルキル基および他のものもまた、炭素原子(1個または複数)または水素原子(1個または複数)に対する1つ以上の結合が、カルボニル基、カルボキシル基、およびエステル基における酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリルなどの基における窒素などのヘテロ原子に対する結合によって置換されている基を含む。
【0050】
置換シクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロシクリルおよび置換ヘテロアリールもまた、水素原子に対する結合が炭素原子に対する結合によって置換されている環系および縮合環系を含む。したがって、置換シクロアルキル基、置換アリール基、置換ヘテロシクリル基および置換ヘテロアリール基もまた、上記に定義されたアルキル基によって置換されていてもよい。
【0051】
薬学的に受容可能な塩類は、無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸、または塩基性または酸性アミノ酸による塩が含まれる。無機塩基の塩として、本発明は、例えば、ナトリウムまたはカリウムなどのアルキル金属、カルシウムおよびマグネシウムまたはアルミニウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニアを含む。有機塩基の塩として、本発明は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンを含む。無機酸の塩として、本発明は、例えば、塩酸、ヒドロホウ酸、硝酸、硫酸、およびリン酸を含む。有機酸の塩として、本発明は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸を含む。塩基性アミノ酸の塩として、本発明は、例えばアルギニン、リジンおよびオルニチンを含む。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。
【0052】
ヒドロキシル基、アミン基、およびスルフヒドリル基に関して、「保護された」という用語は、Protected Groups in Organic Synthesis、Green,T.W.;Wuts,P.G.M.、John Wiley & Sons、New York、NY、(第3版、1999年)に記載された方法を用いて、付加または除去できる、前掲書に記載された保護基などの当業者に公知の保護基によって、望ましくない反応から保護されているこれらの官能基の形態を言う。保護されたヒドロキシル基の例としては、限定はしないが、ヒドロキシル基と、限定はしないが、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシランなどの試剤との反応によって得られるものなどのシリルエーテル類;限定はしないが、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル類、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルなどの置換メチルおよびエチルエーテル;限定はしないが、ギ酸ベンゾイル、ギ酸エステル、酢酸エステル、トリクロロ酢酸、およびトリフルオロ酢酸などのエステル類が挙げられる。保護されたアミン基の例としては、限定はしないが、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミドなどのアミド類;フタルイミド、およびジチオスクシンイミドなどのイミド類;および他のものが挙げられる。保護されたスルフヒドリル基の例としては、限定はしないが、S−ベンジルチオエーテル、およびS−4−ピコリルチオエーテルなどのチオエーテル類;ヘミチオ、ジチオ、およびアミノチオアセタール類などの置換S−メチル誘導体;および他のものが挙げられる。
【0053】
本発明の文脈で用いられるプロドラッグには、酵素的処理または非酵素的処理により、加水分解などのインビボ代謝の生体内変化を受けて本発明の化合物を形成する本発明の化合物の誘導体が含まれる。プロドラッグは、薬剤的性質または生物学的性質、例えば、溶解度、融点、安定性および関連した物理化学的性質、吸収性、薬物動態および他の送達関連特性を改善するために使用できる。
【0054】
本発明は、低分子であって、動物被験体に投与された際、生体蓄積減少特性を示し得る、MC4−Rの強力で特異的なアゴニストを提供する。本発明の一態様により、本発明は、式IAおよびIBの化合物、それらの混合物、および薬学的に受容可能なそれらの塩を提供する。本発明により提供される化合物には、式IAおよびIBの化合物のプロドラッグ、薬学的に受容可能なそれらの塩、それらの立体異性体、それらの互変異性体、それらの水和体、およびそれらの溶媒和体がさらに含まれる。式IAおよびIBの化合物は、以下の構造を有する。
【0055】
【化15】

式IAおよびIBの化合物において、Rは、置換または非置換のアリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアルキル基から選択される。幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のフェニルエチル基などの置換または非置換のアリールアルキル基である。幾つかの実施形態において、Rは、4−置換フェニルエチル基などの置換フェニルエチル基または4−ハロフェニルエチル基、2−ハロ−4−アルコキシフェニルエチル基、および2,4−ジハロフェニルエチル基などの2,4−ジ置換フェニルエチル基である。幾つかの実施形態において、Rは、フェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−メトキシフェニルエチル基、4−フェノキシフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、4−メチルフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−エチルフェニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、2−メトキシフェニルエチル基、2−クロロフェニルエチル基、2−フルオロフェニルエチル基、3−メトキシフェニルエチル基、3−フルオロフェニルエチル基、チエニルエチル基、インドリルエチル基、4−ヒドロキシフェニルエチル基、3,4−ジメトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−ヨードフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジフルオロフェニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルエチル基、2,4−ジメトキシフェニルエチル基、(2−ピリジル)エチル基、(3−ピリジル)エチル基、(4−ピリジル)エチル基、(ピリジル)(ヒドロキシメチル)エチル基、および(フェニル)(ヒドロキシメチル)エチル基から選択される。さらに他の実施形態において、Rは、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−メトキシフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、または4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基から選択される。さらに他の実施形態において、Rは、フェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−メトキシフェニルエチル基、4−フェノキシフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、4−メチルフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−エチルフェニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、2−メトキシフェニルエチル基、2−クロロフェニルエチル基、2−フルオロフェニルエチル基、3−メトキシフェニルエチル基、3−フルオロフェニルエチル基、チエニルエチル基、4−ヒドロキシフェニルエチル基、3,4−ジメトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−ヨードフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニルエチル基、2−フルオロ−4−クロロフェニルエチル基、2−フルオロ−4−ブロモフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジフルオロフェニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルエチル基、2,4−ジメトキシフェニルエチル基、(2−ピリジル)エチル基、(3−ピリジル)エチル基、(4−ピリジル)エチル基、(ピリジル)(ヒドロキシメチル)エチル基、(フェニル)(ヒドロキシメチル)エチル基、置換および非置換(ヘテロアリール)(ヒドロキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(ヒドロキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(アルコキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(アリールオキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(アリールアルコキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(ヘテロアリールオキシメチル)のエチル基、置換および非置換(アリール)(ヘテロシクリルオキシメチル)のエチル基、置換および非置換(ヘテロアリール)(アルコキシメチル)のエチル基、置換および非置換(ヘテロアリール)(アリールオキシメチル)のエチル基、置換および非置換(ヘテロアリール)(アリールアルコキシメチル)のエチル基、置換および非置換(ヘテロアリール)(ヘテロアリールオキシメチル)のエチル基、および置換および非置換(ヘテロアリール)(ヘテロシクリルオキシメチル)のエチル基から選択される。
【0056】
式IAおよびIBの化合物において、Rは、Hあるいは置換または非置換のアリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアルキル基から選択される。上記で記載されたR値などのR値を有する式IAおよびIBの化合物は、該化合物が投与された被験被験体におけるより低いt1/2血漿値により立証されている生体蓄積減少特性を示すことが判明した。一般に、このような化合物はまた、改善された血漿Cmax値を提供し、また改善された脳Cmax値を提供し得る。幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のヘテロシクリル基あるいは置換または非置換のヘテロアリール基から選択される。他の実施形態において、Rは、置換または非置換のピリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、ピロリジニル基、ピロリル基、チオフェニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピラジニル基、チアゾリル基、ピリミジニル基、キヌクリジニル基、インドリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、またはピリダジニル基から選択される。このような幾つかの実施形態において、Rは、さらに置換されていても、非置換であってもよい式
【0057】
【化16】

のヘテロアリール基またはヘテロシクリル基から選択される。幾つかの実施形態において、本発明は、Rが、置換または非置換のヘテロシクリルアルキル基、あるいはシクロアルキルアミノ基から選択される式IAおよびIBの化合物を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のシクロプロピルアミノ基;ピペラジニルメチル基またはN−メチルピペラジニルメチル基などの置換または非置換のピペラジニルアルキル基;ピペリジニルメチル基またはピペリジニルエチル基などのピペリジニルアルキル基などの基から選択される。幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のアリール基またはシクロアルキル基から選択できる。例としては、さらに置換されていてもよい以下の式の化合物が挙げられる。
【0058】
【化17】

式IAおよびIBの化合物において、R、R、およびRは、独立して、H、Cl、I、F、Br、OH、NH、CN、NO、または置換または非置換のアルコキシまたはアルキル基から選択される。幾つかの実施形態において、R、R、およびRの各々はHである。
【0059】
式IAおよびIBの化合物において、Zは、さらに置換されていてもよい式
【0060】
【化18】

のピペラジノンである。幾つかの実施形態において、Zは、式
【0061】
【化19】

のピペラジノンである。このような幾つかの実施形態において、Zは、式
【0062】
【化20】

のピペラジノンである。
【0063】
上記に記載されたZ値のようなZ値を有する式IAおよびIBの化合物は、該化合物が投与された被験被験体におけるより低いt1/2血漿値によって立証されるように、生体蓄積減少特性を示すことが判明した。一般に、このような化合物はまた、血漿Cmax値の改善を提供し、また、脳Cmax値および側脳室内(icv)有効性の改善も提供し得る。式IAおよびIBの化合物の幾つかに関しては、幾つかの被験体において、16時間および30mpk(mg/kg)におけるFI(摂食)の有意な減少も見られた。式IAおよびIBの化合物は、生体蓄積減少特性を有するので特に好適であることが判明した。このような化合物の例は、上記の種々の実施形態に記載されている。
【0064】
式IAおよびIBの化合物において、R3’は、Hあるいは置換または非置換のアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、またはシクロアルキルアルキル基から選択される。幾つかの実施形態において、R3’は、置換または非置換のシクロアルキル基から選択される。幾つかの実施形態において、R3’は、置換または非置換のシクロヘキシル基、2−アルキルシクロヘキシル基、2,2−ジアルキルシクロヘキシル基、2,3−ジアルキルシクロヘキシル基、2,4−ジアルキルシクロヘキシル基、2,5−ジアルキルシクロヘキシル基、2,6−ジアルキルシクロヘキシル基、3,4−ジアルキルシクロヘキシル基、3−アルキルシクロヘキシル基、4−アルキルシクロヘキシル基、3,3,5−トリアルキルシクロヘキシル基、2−アミノシクロヘキシル基、3−アミノシクロヘキシル基、4−アミノシクロヘキシル基、2,3−ジアミノシクロヘキシル基、2,4−ジアミノシクロヘキシル基、3,4−ジアミノシクロヘキシル基、2,5−ジアミノシクロヘキシル基、2,6−ジアミノシクロヘキシル基、2,2−ジアミノシクロヘキシル基、2−アルコキシシクロヘキシル基、3−アルコキシシクロヘキシル基、4−アルコキシシクロヘキシル基、2,3−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,4−ジアルコキシシクロヘキシル基、3,4−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,5−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,6−ジアルコキシシクロヘキシル基、2,2−ジアルコキシシクロヘキシル基、2−アルキルチオシクロヘキシル基、3−アルキルチオシクロヘキシル基、4−アルキルチオシクロヘキシル基、2,3−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,4−ジアルキルチオシクロヘキシル基、3,4−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,5−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,6−ジアルキルチオシクロヘキシル基、2,2−ジアルキルチオシクロヘキシル基、フルオロアルキルシクロアルキル基、トリフルオロメチルシクロアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロヘキセニル基、シクロオクチル基、2−アリールシクロヘキシル基、2−フェニルシクロヘキシル基、2−アリールアルキルシクロヘキシル基、2−ベンジルシクロヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシル基、アダマンチル基、イソカンフェニル基、カレニル基、7,7−ジアルキルノルボルニル基、ボルニル基、ノルボルニル基、およびデカリニル基よりなる群から選択される。さらに他の実施形態において、R3’は、置換または非置換のシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、2,2−ジメチルシクロヘキシル基、2,3−ジメチルシクロヘキシル基、2,4−ジメチルシクロヘキシル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基、3,4−ジメチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、イソピノカンフェイル基、7,7−ジメチルノルボルニル基、4−イソプロピルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘプチル基、2−フルオロ−4−メチルシクロヘキシル基、4−フルオロ−2−メチルシクロヘキシル基、4,4−ジフルオロ−2−メチルシクロヘキシル基、4−トリフルオロメチルシクロヘキシル基、2−メチル−4−トリフルオロシクロヘキシル基、2−フルオロメチルシクロヘキシル基、トリフルオロメチル(多環式シクロアルキル)基、フルオロメチル(多環式シクロアルキル)基、およびフルオロ(多環式シクロアルキル)基よりなる群から選択される。幾つかの実施形態において、R3’は、置換または非置換の多環式シクロアルキル基である。幾つかの実施形態において、R3’は、式II
【0065】
【化21】

を有する置換または非置換の多環式シクロアルキル基である。
【0066】
式IAおよび式IBの化合物は、投与される動物被験体における生体蓄積減少特性を示し得る。このような被験体としては、ヒトおよび非ヒト動物被験体を挙げることができる。哺乳動物被験体の例としては、限定はしないが、マウスおよびラットなどのげっ歯類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ブタ、ヒトおよびサルなどの霊長類が挙げられる。幾つかの実施形態において、本発明は、化合物のt1/2値が、脳、肝臓、腎臓、および心臓などの高血液灌流の組織において35時間未満、30時間、25時間、20時間、15時間、10時間、または5時間である化合物を提供する。このような幾つかの実施形態において、化合物のt1/2値は、4時間未満であり、また幾つかの実施形態において、化合物が投与された被験体の組織において約3時間以下である。
【0067】
本発明の1種以上の化合物を、薬学的処方物または薬剤に含むことができる。このような組成物は、式IAおよび/または式IBの少なくとも1種の化合物ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む。したがって、式IAおよびIBの化合物は、限定はしないが、肥満症、II型糖尿病、勃起機能障害、多嚢胞性卵巣症、および症候群XなどのMC4−R媒介性疾患の処置に使用するための薬剤および薬学的処方物を調製するために用いることができる。幾つかの実施形態において、MC4−R媒介性疾患は、肥満症またはII型糖尿病である。
【0068】
MC4−R媒介性疾患を処置する方法は、本発明の化合物または組成物を、MC4−R媒介性疾患の処置を必要とする被験体に投与することを含む。このような幾つかの実施形態において、本発明の化合物は、被験体者の脳または血漿などの組織における生体蓄積の減少を示す。本発明の化合物または組成物の投与は、本明細書に記載されたものなど種々の方法を用いて達成できる。一実施形態において、化合物または組成物を鼻腔内に投与する。
【0069】
当該化合物は、1つ以上の立体異性体として存在し得る。種々の立体異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体および幾何異性体が挙げられる。幾つかの場合において、一方の立体異性体が、より活性であり得、および/または他の異性体(1つまたは複数)と比較して、または他の異性体(1つまたは複数)から分離される場合、有益な効果を示し得る。しかしながら、前記立体異性体を分離すること、および/または選択的に調製することは、通常の当業者の技術範囲内に十分に入る。したがって、本発明の「立体異性体」は、必然的に立体異性体、個々の立体異性体、または光学活性体の混合物を含む。
【0070】
本発明はまた、種々の疾患を処置するか、または改善するために、本発明の1種以上の化合物、薬学的に受容可能なそれらの塩類または互変異性体を、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより調製できる組成物を提供する。このような疾患の例としては、限定はしないが、肥満症、勃起機能不全、循環器病、神経傷害または疾患、炎症、発熱、認知障害、性行動障害が挙げられる。さらに治療的有効用量とは、本発明の1種以上の化合物が疾患症状の改善をもたらすのに十分なその量を指す。本発明の製薬組成物は、他の中でも従来の顆粒化法、混合法、溶解法、カプセル化法、凍結乾燥法、乳化法、または湿式粉砕法など、当業界に周知の方法により製造できる。この組成物は、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、座剤、注射剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁液剤または液剤の形態であり得る。当該組成物は、例えば、経口投与、鼻腔内投与、経皮投与、直腸投与、または皮下投与、ならびに髄腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、眼内注射または脳室内注射による、種々の投与経路のために製剤化できる。本発明の化合物(1種または複数種)はまた、徐放性製剤としての注入など、全身的様式ではなく、局所的様式で投与できる。以下の剤形は、例として示されており、本発明を限定するものとして解釈してはならない。
【0071】
経口投与、頬側投与、および舌下投与のために、散剤、懸濁剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、ゲルキャップ(gelcap)剤、およびキャプレット(caplet)剤は、固体剤形として許容できる。これらは、例えば、本発明の1種以上の化合物、または薬学的に受容可能なそれらの塩類または互変異性体を、少なくとも1種の添加物または澱粉などの賦形剤あるいは他の添加物と混合することにより調製できる。好適な添加物または賦形剤は、ショ糖、乳糖、セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、ソルビトール、澱粉、寒天、アルギン酸塩類、キチン類、キトサン類、ペクチン類、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン類、コラーゲン類、カゼイン、アルブミン、合成または半合成ポリマー類またはグリセリド類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、および/またはポリビニルピロリドンである。経口用剤形は、不活性希釈剤、またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、またはパラベンまたはソルビン酸などの保存剤、アスコルビン酸、トコフェロールまたはシステインなどの抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、風味剤または芳香剤など、投与を補助するために他の成分を任意に含むことができる。さらに、染料または色素を識別のために添加できる。錠剤および丸剤は、当業界に公知の好適なコーティング材料でさらに処理できる。
【0072】
経口投与用の液体剤形は、水などの不活性希釈剤を含有できる、薬学的に受容可能な乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、スラリー剤および液剤の形態であり得る。薬学的処方物は、限定はしないが、油、水、アルコール、およびこれらの組合せなど、滅菌液を用いて懸濁剤または液剤として調製できる。製薬的に好適な界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤を、経口または非経口投与用に添加できる。
【0073】
上記のように、懸濁剤は油類を含むことができる。このような油類としては、限定はしないが、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油が挙げられる。懸濁液製剤はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル類、脂肪酸グリセリド類およびアセチル化脂肪酸グリセリド類を含有することができる。懸濁液製剤は、限定はしないが、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールなどのアルコール類を含むことができる。限定はしないが、ポリ(エチレングリコール)などのエーテル類、鉱物油およびワセリンなどの石油炭化水素;および水もまた懸濁液製剤に使用できる。
【0074】
鼻腔内投与(例えば、化合物を脳に送達させるために)、または吸入投与(例えば、化合物を、肺を通して送達させるために)に関して、薬学的処方物は、任意の適切な溶媒、および任意に安定化剤、抗菌剤、抗酸化剤、pH調節剤、界面活性剤、生物学的利用能調節剤およびこれらの組合せなどの他の化合物を含有する液剤、スプレー剤、乾燥散剤、またはエーロゾル剤であり得る。鼻腔内製剤の例および投与方法は、国際公開第01/41782号、国際公開第00/33813号、国際公開第91/97947号、米国特許第6,180,603号、米国特許第5,624,898号;米国特許出願公開第2003/0229025号(米国特許出願第10/374,507号);および国際公開第03/072056号に見ることができ、これらの各々は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれており、全ての目的のために本明細書に十分に記載されている。エーロゾル製剤用の噴射剤としては、圧縮空気、窒素、二酸化炭素、または炭化水素ベースの低沸点溶媒を挙げることができる。当該化合物または本発明の化合物は、噴霧器などからエーロゾルスプレー提供の形態で都合よく送達される。
【0075】
注射可能な剤形としては、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製し得る水性懸濁液または油性懸濁液が挙げられる。注射可能な形態は、溶媒または希釈剤により調製される液相または懸濁液の形態であり得る。許容できる溶媒または媒体としては、滅菌水、リンゲル液、または等張水性生理食塩液が挙げられる。他に滅菌油類が、溶媒または懸濁化剤として使用できる。油または脂肪酸は、天然または合成油類、脂肪酸類、モノ−、ジ−またはトリ−グリセリド類など、非揮発性であることが好ましい。
【0076】
注射剤用に該薬学的処方物は、上記のような適切な溶液との再構成に好適な粉末であり得る。これらの例としては、限定はしないが、凍結乾燥、ロータリー乾燥またはスプレー乾燥粉末、不定形粉末、顆粒、沈殿物、または微粒子が挙げられる。注射剤用に該製剤は、任意に安定化剤、pH調節剤、界面活性剤、生物学的利用能調節剤およびこれらの組合せを含有できる。該化合物は、大量瞬時投与または連続点滴などによる注入によって非経口投与用に製剤化できる。注入用の単位剤形は、アンプルまたは多用量容器であり得る。
【0077】
直腸投与用に該薬学的処方物は、腸管内、S字結腸湾曲内、および/または直腸内での化合物放出のために座薬、軟膏、浣腸、錠剤またはクリームの形態であり得る。直腸用座薬は、1種以上の本発明の化合物、または薬学的に受容可能な化合物の塩類または互変異性体を、許容できる媒体、例えば、通常の保存温度では固相で存在し、直腸内など体内での薬物を放出するのに好適な温度では液相で存在する、カカオ脂またはポリエチレングリコールと混合することにより調製される。油類はまた、軟ゼラチンタイプおよび座薬の製剤調製に使用できる。水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連糖溶液、ならびにグリセロール類は、ペクチン類、カルボマー類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、ならびに緩衝剤および保存剤を含有できる懸濁液製剤の調製に使用できる。
【0078】
上記の代表的な剤形の他に、一般に薬学的に受容可能な賦形剤およびキャリアは当業者に公知であり、したがって本発明に含まれる。このような賦形剤およびキャリアは、例えば、参照として本明細書に組み込まれているミュージャージー州所在、Mack Pub.社出版の「Remingtons Pharmaceutical Sciences」(1991)に記載されている。
【0079】
本発明の製剤は、下記のように短期作用、急速放出、長期作用、および徐放性であるようにデザインできる。したがって、該薬学的処方物は、制御放出用または緩徐放出用にも製剤化できる。
【0080】
該組成物はまた、例えば、ミセル類またはリポソーム類、あるいは幾つかの他のカプセル化形態を含んでなり得るか、または長期の保存および/または送達効果を提供するために、放出延長形態で投与できる。したがって該薬学的処方物は、ペレットまたは柱体に圧縮され、デポー注射剤またはステントなどの植込み錠として筋肉内または皮下にインプラントできる。このような植込み錠は、シリコーン類および生分解性ポリマー類などの公知の不活性材料を使用できる。
【0081】
治療的有効用量とは、症状の改善をもたらす化合物の量を言う。具体的な投与量は、疾患状態、年齢、体重、全身の健康状態、性別、被験体者の食事、投与間隔、投与経路、排泄率、および薬物の組合せに依って調整できる。有効量を含有する上記剤形のいずれも、十分にルーチン実験の範囲内にあり、したがって十分に本発明の範囲内に入る。治療的有効用量は、投与経路および剤形に依って変わり得る。1種または複数種の本発明の化合物は、高治療指数を示す製剤である。治療指数は、LD50とED50との比として表すことのできる毒性効果と治療効果との用量比である。LD50は、集団の50%が致死する用量であり、ED50は、集団の50%に処置的効果のある用量である。LD50とED50は、動物細胞培養または実験動物における標準的薬学手法により判定される。
【0082】
本発明はまた、ヒトまたは非ヒト動物においてMC4−R活性を増強する方法を提供する。この方法は、前記ヒトまたは非ヒト動物に対して、本発明の化合物または組成物の有効量を投与することを含んでなる。本発明の化合物の有効量には、例えば、例示的実施例における下記のアッセイにより、または、例えば、対照モデルと比較して、cAMPレベルの上昇を測定することによるG−蛋白質結合受容体の活性化によって生化学的経路におけるシグナル伝達を検出する、当業者により公知の他のアッセイにより検出できるMC4−Rを活性化する量が含まれる。したがって、「活性化」とは、検出可能なシグナルを誘導する化合物の能力を意味する。有効量にはまた、MC4−Rを活性化することにより処置可能なMC4−R障害の症状を軽減する量が含まれ得る。
【0083】
提供されたこれらの方法により処置し得るMC4−R障害、またはMC4−R媒介性疾患としては、MC4−Rが関係しているか、または障害または疾患状態において欠陥がある生化学的経路をMC4−Rの阻害が増強する生物学的障害または疾患が挙げられる。このような疾患の例は、肥満症、勃起機能障害、循環器障害、神経傷害または障害、炎症、発熱、認知障害、II型糖尿病、多嚢胞性卵巣症、症候群X、肥満症および糖尿病の合併症、および性行動障害である。好ましい実施形態において、本発明は、エネルギー摂取および体重を減少させること;血清中インスリンおよび糖濃度を減少させること;インスリン耐性を軽減させること;および遊離脂肪酸の血清濃度を減少させることに有効な化合物、組成物、および方法を提供する。したがって、本発明は、特に肥満症またはII型糖尿病に伴うこれらの障害または疾患を処置するのに特に有効である。
【0084】
したがって、本発明の文脈内の「処置」とは、障害または疾患に伴う症状の軽減、またはこれらの症状のさらなる進行または悪化の停止、あるいは疾患または障害の阻止または予防を意味する。例えば、肥満症の文脈内において、処置の成功としては、体重減少、または食物またはエネルギー摂取量の減少により測定された、症状の軽減または疾患進行の停止を挙げることができる。同じ静脈において、I型またはII型糖尿病の処置の成功としては、例えば、高インスリン血症または高血糖症患者における血清糖またはインスリン濃度の減少により測定された、症状の軽減または疾患進行の停止を挙げることができる。
【0085】
スキーム1aは、種々のグアニジニル置換キナゾリノン化合物を合成するために使用できる一般的な合成ルートを例示している。スキーム1aに示されるように、(d)および(e)などのニトロおよびアミノキナゾリノン化合物を、アミノ官能性を化合物(f)が有するようなイソチオシアネート官能性に変換することにより多くのグアニジニルキナゾリノン類に容易に変換できる。これは、アミン基をチオホスゲンと反応させて達成できる。次に(f)のようなイソチオシアネート化合物を、(1S,2S,3S,5R)−(+)−イソピノカンフェイルアミンなどの好適なアミン化合物との反応により化合物(g)などのチオ尿素に容易に変換できる。次に化合物(h)などの所望のグアニジニルアミンの調製は、チオ尿素を、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミドなどの化合物、次いでシス−2,6−ジメチルピペラジン、(S)−2−(フルオロメチル)ピペラジンなどの好適なアミンと反応させることによって達成できる。種々のフッ素置換化合物は、適切に置換された4−ニトロアントラニル酸を用いてスキーム1aに示された方法論を用いて調製できる。他の化合物は、4−ニトロアントラニル酸の代わりに5−ニトロアントラニル酸を用いることによって調製できる。
【0086】
(スキーム1a)
【0087】
【化22】

スキーム1bは、キナゾリノンのベンゼン環の1個の炭素が、1個の窒素原子で置き換わっているような化合物の多数のグアニジニル置換キナゾリノン類および複素環式誘導体を合成するために使用できる、もう一つの一般的に適用できる方法を例示している。スキーム1bに示されるように、化合物(d)から(e)への変換は、最初にトリメチルホスファイトを添加して反応性イミノホスホラン中間体を形成し、シクロアルキルイソシアネートなどの置換イソシアネート、例えば多環式イソシアネートを添加してカルボジイミドを生成し、最後に、限定はしないが、置換ピペラジンなどのアミンの添加および反応によって(e)を形成することにより達成できる。
【0088】
(スキーム1b)
【0089】
【化23】

スキーム2aは、多種多様のグアニジニル置換キナゾリノン化合物を調製するために用いることができる別の一般法を例示している。
【0090】
(スキーム2a)
【0091】
【化24】

スキーム2bは、本発明の種々の化合物を調製するために用いることができるさらに別の代替ルートを示している。
【0092】
(スキーム2b)
【0093】
【化25】

本発明の種々の化合物を調製するために用いることができるさらに別のルートをスキーム2cに示している。
【0094】
(スキーム2c)
【0095】
【化26】

このように一般的に記載された本発明は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるが、これらは例証目的で提供され、本発明を限定する意図はない。
【実施例】
【0096】
以下の略語および用語が、実施例を通して用いられる:
Boc:t−ブチルカルバメート保護基
Celite(登録商標):珪藻土試剤
DAST:(ジメチルアミノ)硫黄トリフルオリド
DCM:ジクロロメタン
DIBAL:ジイソブチルアルミニウムヒドリド
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDCl:塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
Gold試薬:(ジメチルアミノメチレンアミノメチレン)ジメチルアンモニウムクロリド
HOBt:ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC:高性能液体クロマトグラフィ
HCl:塩酸
HBTU:O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
KOH:水酸化カリウム
LC:液体クロマトグラフィ
MS:質量分析
MeOH:メタノール
mL:ミリリットル
NMO:N−モルホリンオキシド
NMP:1−メチル−2−ピロリジノン
NMR:核磁気共鳴スペクトル測定法
PS−CDI:ポリマー支持カルボジイミド樹脂
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン。
【0097】
(6−メチルピペラジン−2−オンの合成)
【0098】
【化27】

(ステップ1: N−Boc−アラニン−N’−ベンジルグリシンメチルエステル(1)の合成)
ジクロロメタン中、N−Boc−アラニン(1当量)およびN−−ベンジルグリシンメチルエステル(1エステル)の攪拌溶液に、TEA(1当量)およびHOBt(1当量)、次いでEDClを加えた。この溶液をN下48時間、室温で攪拌させた。反応液を10%HClで希釈し、有機層を分離し、MgSOで乾燥した。粗製物を、シリカクロマトグラフィ(30%EtOAc/ヘキサン類)にかけて所望の生成物(1)を透明油(75%)として得た。
【0099】
(ステップ2. [ベンジル−(2−tブトキシカルボニルアミノ−プロピル)−アミノ]−酢酸メチルエステル(2)の合成)
THF中BHの攪拌溶液(1M、2当量)に、THF中のジペプチド(1)溶液を滴下しながら加えた。次に反応液を室温で24時間維持してから、メチレンクロリドで希釈し、NaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥した。粗製物を、20%EtOAc/ヘキサン類により溶出するシリカクロマトグラフィにかけて所望の生成物(2)を無色油(40%)として得た。
【0100】
(ステップ3. 1−ベンジル−5−(S)−メチル−3−オキソ−ピペラジン(3)の合成)
エステル(2)を、TFA:CHClの50:50溶液中1時間攪拌した。次に溶媒を除去し、残渣をメチレンクロリドに溶解し、NaCOの飽和溶液により洗浄した。次いで有機層を分離し、MgSOで乾燥して所望のピペラジン化合物(3)を白色固体(87%)として得た。
【0101】
(ステップ4. 6−(S)−メチルピペラジン−2−オン(4)の合成)
3のジクロロエタン溶液に室温で、3当量のクロロエチルクロロホルメートおよびHunig塩基(3当量)を加えた。溶液を一晩攪拌してから、反応液をシリカゲルカラム上に直接乗せ、EtOAc/ヘキサン類(4:6)で溶出するクロマトグラフィを行った。単離されたカルバメート中間体を、メタノールに溶解し、2時間加熱還流した。メタノールの除去により、所望のピペラジン−2−オン(4)を白色固体として得た(収率は、最適化されなかったが、2ステップで凡そ60%であった)。本発明の6−(S)−メチルピペラジン−2−オン化合物は、以下の方法に従ってチオ尿素中間体のカルボジイミドのEDC活性化により、次いで6(S)−メチルピペラジン−2−オンとカップリングすることにより作製された。
【0102】
(6−(S)−メチルピペラジン−2−オングアニジン化合物の合成)
本発明の6−(S)−メチルピペラジン−2−オングアニジン化合物は、チオ尿素中間体のカルボジイミドのEDC活性化により本明細書に記載された方法に従って調製し、次いで6−(S)−メチルピペラジン−2−オンとカップリングすることによりカルボジイミドを得た。
【0103】
(2−(R)−フルオロメチルピペラジンおよび2−(R)−ジフルオロメチルピペラジンの合成)
【0104】
【化28】

【0105】
【化29】

(ステップ1. N−ベンジルセリンメチルエステルの合成)
メチレンクロリド(30mL)中、塩酸セリンメチルエステル(3.0g、19.28mmol)の攪拌溶液に、ベンズアルデヒド(1当量)、次いで2gの無水MgSOを加えた。この混合物を密封フラスコ中、室温で20時間攪拌してから、ろ過し、ろ液を蒸発させた。残渣をメタノールに再度溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(1当量)を慎重に加えた。この混合物を30分間攪拌し、メチレンクロリドで希釈し、NaHCOで洗浄してから、硫酸マグネシウムで乾燥した。所望の標題化合物が黄色油として得られ、粗製物を用いた。N−4−メトキシベンジルセリンメチルエステルは、ベンズアルデヒドの代わりにアニスアルデヒドを用いて同様の様式で作製した。
【0106】
(ステップ2. N−ベンジル−N−クロロアセチルセリンメチルエステルの合成)
メチレンクロリド中、ステップ1に記載されたように調製された粗製ベンジルアミノ酸およびトリエチルアミン(1当量)の氷冷溶液に、塩化クロロアセチル(1当量)を滴下しながら加えた。1時間後、反応液を10%HClで洗浄し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗製物を、60%EtOAc/ヘキサン類で溶出するクロマログラフを行い(Rf=0.3)、所望の標題化合物を無色油(67%)として得た。
【0107】
(ステップ3. ジ−N−ベンジルシクロセリングリシンの合成)
ステップ2で調製された塩化物を、アセトニトリルに溶解し、ベンジルアミン(3当量)を加えた。この溶液を、20時間加熱還流すると、その間に固体がフラスコ内に形成した。反応液を冷却し、溶媒を除去した。残渣をメチレンクロリドに溶解し、10%HClで洗浄し、MgSOで乾燥した。粗製物をシリカゲルプラグに通過させ(100%EtOAc、Rf=0.5)、白色固体(80%)を得た。ジ−N−4−メトキシベンジルシクロセリングリシンは、p−メトキシベンジルアミンおよび出発物質のp−メトキシベンジル誘導体を用いて同様の様式で作製した。
【0108】
(ステップ4. 1,4−ジベンジル−2−(R)−ピペラジンメタノールの合成)
無水THF中、N下、LiAlH(10当量)の冷却混合物に、THF中のステップ3で生成された環式ジペプチドを滴下しながら加えた。生じた灰色混合物を、16時間加熱還流した。反応液を、HO、NaOH、HO(1:1:3)で慎重にクエンチし、生じた白色混合物はセライトを通してろ過した。ろ液を、MgSOで乾燥し、濃縮して所望の生成物を無色油(93%)として得た。
【0109】
(ステップ5. 1,4−ジベンジル−2−(R)−フルオロメチルピペラジンの合成)
メチレンクロリド中、DAST(2当量)の氷冷溶液に、ステップ4で調製されたアルコールを加えた。黄色溶液を0℃から室温で20時間攪拌した。反応液をNaHCOで希釈し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗製物を、10〜50%EtOAc/ヘキサン類により溶出するシリカクロマトグラフィにかけて所望の標題化合物を黄色油(40%)として得た。
【0110】
(ステップ6. 2−(R)−フルオロメチルピペラジンの合成)
ステップ5の1,4−ジベンジルフルオロメチルピペラジンをジクロロエタンに溶解し、α−クロロエチルクロロホルメート(3当量)を加えた。生じた溶液を、16時間加熱還流した。反応液を、シリカゲルカラム上に直接乗せ、10〜20%EtOAc/ヘキサン類で溶出するクロマトグラフにかけた。中間体のジカルバメートを透明油として単離した。中間体のジカルバメート油を、メタノールに溶解し、2時間加熱還流した。次に溶媒を完全に除去して所望の脱保護ピペラジンを白色固体(2ステップで90%)として得た。
【0111】
(1,4−ジ−p−メトキシベンジル−2−(R)−ピペラジン−カルボキサルデヒド1,4−ジーp−メトキシベンジル−2−(R)−ジフルオロメチルピペラジンの合成)
塩化オキサリルのメチレンクロリド溶液(2.0M、1.2当量)を含有する乾燥フラスコに、−78℃、窒素気流下でDMSO(2.4当量)を滴下しながら加えた。15分間攪拌後、1,4−ジ−p−メトキシベンジル−2−(R)−ピペラジンメタノール(1当量)のメチレンクロリド溶液を、滴下しながら加え、生じた溶液を1時間攪拌した。TEA(5当量)を加え、混合物をNaHCO(水)に加え、分離し、MgSOで乾燥した。ろ過後、ろ液を−78℃に冷却し、DAST(1.2当量)を滴下しながら加えた。生じた橙色溶液を12時間攪拌した。次いで反応液を重炭酸ナトリウム水で希釈し、有機層を分離し、シリカクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン類)にかけて所望の標題のジフルオロ化合物を淡褐色油(33%)として得た。該ジフルオリドの脱保護は、α−クロロエチルクロロホルメートを用いてステップ6に記載されたものと同じ様式で実施し、白色固体(85%)を得た。
【0112】
(2−(R)−フルオロメチルピペラジンおよび2−(R)−ジフルオロメチルピペラジングアニジン化合物の合成)
本発明の2−(R)−フルオロメチルピペラジンおよび2−(R)−ジフルオロメチルピペラジングアニジン化合物は、本実施例に記載された方法に従ってチオ尿素中間体のEDC活性化によりカルボジイミドが得られ、次いで2−(R)−フルオロメチルピペラジンまたは2−(R)−ジフルオロメチルピペラジンとカップリングすることにより調製した。
【0113】
((6S)−6−メチルピペラジン−2−オンの合成)
【0114】
【化30】

(ステップ1. S−エチル(2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}プロパンチオエートの合成)
【0115】
【化31】

250mLの丸底フラスコに、ベンジルオキシカルボニル−Lアラニン(15.0g、67.2mmol)および67.2mLのジクロロメタンを加えた。この混合物に、DMAP(0.82g、6.72mmol)および冷却EtSH(0℃、5.46mL、73.9mmol)を添加し、次いでDCC(15.2g、73.9mmol)を一度に加えた。DCCの添加は、非常に発熱性であり、反応液は添加の際に発砲するので、反応液は、十分に通気させる必要がある。生じた混合物は、22℃で30分間攪拌した。次に生じた白色固体を、減圧ろ過により除き、ろ液を濃縮した。8:1のヘキサン類/酢酸エチルの極性化でヘキサン類を用いるシリカゲルクロマトグラフィにより、93%収率(18.0g、62.5mmol)の所望の生成物を無色油として得た。
【0116】
(ステップ2. ベンジル(1R)−1−メチル−2−オキソエチルカルバメートの合成)
【0117】
【化32】

S−エチル(2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}プロパンチオエート(18.9g、62.5mmol)、湿性10%Pd/C(1.89g)、およびアセトン(347mL)を含有する攪拌溶液に、0℃で、トリエチルシラン(29.9mL、187.5mmol)を加えた。生じた混合物を0℃で30分間攪拌してから、酢酸エチルを用い、セライトを通してろ過し、セライトを完全に洗浄した。ろ液を濃縮し、アセトニトリル(500mL)とヘキサン類(150mL)とに分配した。層を分離し、アセトニトリル層をヘキサン(150mL)で一度洗浄してから濃縮して所望の生成物(59.4mmol、95%)を得、さらに生成することなく次のステップに用いた。
【0118】
(ステップ3. メチルN−((2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}プロピル)グリシネートの合成)
【0119】
【化33】

1000mLの丸底フラスコに、ベンジル(1R)−1−メチル−2−オキソエチルカルバメート(59.4mmol)および347mLの無水メタノールを加えた。生じた混合物を0℃に冷却し、塩酸グリシンメチルエステル(29.3g、237.6mmol)を加えた。10分後、THF中1.0MのNaCNBH(95mL、95.0mmol)を加え、反応液を22℃に一晩温めた。次いで反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテル(200mL)に再度溶解し、分液トーナメントに入れた。有機層を飽和NaHCO(200mL)で洗浄し、分離した。塩基性水層をジエチルエーテルで2回(2×200mL)洗浄し、有機層を合わせてブライン(2×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。2:1から1:1勾配の極性化でヘキサン類/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィにより、75%の収率(12.5g、44.6mmol)で所望の生成物を透明油として得た。
【0120】
(ステップ4. (6S)−6−メチルピペラジン−2−オンの合成)
【0121】
【化34】

雰囲気下、メチルN−((2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]−アミノ}プロピル)グリシネート(12.5g、44.6mmol)の無水メタノール(446mL)溶液に、10%Pd/C(1.25g)を加えた。次いでフラスコをBuchi水素添加器上に置き、Nで3回、次いでHで3回掃流した。水素が消費されなくなるまで、反応液を水素(2.2L、98.12mmol)下で攪拌させた。完了(24時間)したら、反応混合物は、セライトを通して注ぎ、ろ液を濃縮した。酢酸エチル(5〜10mL)を加えて生じた白色固体を砕いた。この白色固体を乾燥し、採取して所望の生成物を95%収率(4.8g、42.37mmol)で得た。ろ液は濃縮でき、酢酸エチルの添加によりさらなる生成物を砕くことができる。出発物質が残る場合、ろ液に存在する。
【0122】
(塩酸(3R,4R)−3,4−ピロリジンジオールの合成)
【0123】
【化35】

塩酸(3R,4R)−1−(フェニルメチル)−3,4−ピロリジンジオール(250mg、1.30mmol)を酢酸エチルに溶解し、10%Pd炭素の酢酸エチル懸濁液に加えた。この混合物を57PSIでParr水素添加器上、12時間水素化した。次いで反応液は、セライトを通してろ過して触媒を除去した。ジオキサン中過剰の4N HClを加えてから、濃縮すると標題化合物が褐色油として得られ、これをさらに精製することなく用いた。
【0124】
(塩酸(3R,4R)−3,4−ピロリジンジオールの合成)
【0125】
【化36】

(3S,4S)−1−(フェニルメチル)−3,4−ピロリジンジオールは、(3R,4R)−1−(フェニルメチル)−3,4−ピロリジンジオールの合成に関する上記の方法を用いて標題化合物に変換された。
【0126】
(塩酸チオモルホリン1,1−ジオキシドの合成)
【0127】
【化37】

4−(フェニルメチル)チオモルホリン1,1−ジオキシドは、塩酸(3R,4R)−1−3,4−ピロリジンジオールの合成に関する上記の方法を用いて標題化合物に変換された。
【0128】
((3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−ピロリジノールトリフルオロアセテート(塩)の合成)
【0129】
【化38】

(ステップ1. 1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,4R)−4−ヒドロキシ−1,2−ピロリジンジカルボキシレートの合成)
【0130】
【化39】

トリメチルシリルジアゾメタン(3.89mmol)を、(4R)−1−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−4−ヒドロキシ−D−プロリン(0.75g、3.25mmol)、60mLのトルエンおよび20mLのメタノールの氷冷溶液に徐々に加えた。反応液を、氷浴上2時間攪拌し、室温に温めて、濃縮して0.89gの標題化合物を透明な黄色油として得た。
【0131】
【数1】

(ステップ2. 1,1−ジメチルエチル(2R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0132】
【化40】

LiBH(THF中溶液として6.46mmol)を、THF中、(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,4R)−4−ヒドロキシ−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(0.36g、1.47mmol)の氷冷溶液に加えた。反応液を70℃で48時間加熱した。反応液は、イソプロパノールに次いで飽和NaHCOでクエンチした。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を1N NaOHで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して0.185gの標題化合物を得た。
【0133】
【数2】

(ステップ3. (3R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−ピロリジノールトリフルオロアセテート(塩)の合成)
【0134】
【化41】

1,1−ジメチルエチル(2R,4R)−4−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレート(0.185g、0.852mmol)を、メチレンクロリド:TFAの1:1溶液中14時間攪拌した。反応液を濃縮し、粗製物をさらに精製することなく用いた。
【0135】
【数3】

(塩酸シス−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−カルボニトリルの合成)
【0136】
【化42】

(ステップ1. 4−シアノ−シス−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成)
【0137】
【化43】

91mLのジクロロメタン中、4.00gのシス−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(E.Jon Jacobsonら、J.Med.Chemistry.1999年、42巻、1123−144頁の方法に従って調製した)を、重炭酸ナトリウム(4.7g)で処理し、次いで臭化シアン(7.5mL)を添加した。反応混合物を、一晩加熱還流し、ろ過し、カラムクロマトグラフィ(0%から50%酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して3.9gの標題化合物を白色固体として得た。
【0138】
【数4】

(ステップ2. 塩酸シス−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−カルボニトリルの合成)
【0139】
【化44】

10mLのTHF中、4−シアノ−シス−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.0g)を4.0N HCl/ジオキサン(25mL)で処理し、5時間攪拌し、濃縮して1.1gの標題化合物を得た。
【0140】
【数5】

(塩酸シス−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−オールの合成)
【0141】
【化45】

(ステップ1. シス−3,5−ジメチル−4−(3−オキソ−ブチル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成)
【0142】
【化46】

47mLのクロロホルム中、シス−3,5−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(3.00g;E.Jon Jacobsonら:J.Med.Chemistry.1999年、42巻、1123−144頁の方法に従って調製した)を、室温でメチルビニルケトン(1.7mL)により処理し、2日間加熱還流した。次いで反応液を濃縮し、THFで希釈し、1日間加熱還流してから、カラムクロマトグラフィ(0%から10%のMeOH/DCM)により精製して0.865gの標題化合物を透明な無色油として得た。
【0143】
【数6】

(ステップ1. 塩酸シス−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−オールの合成)
【0144】
【化47】

クロロホルム(40mL)中、シス−3,5−ジメチル−4−(3−オキソ−ブチル)−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.00g)を、m−クロロ過安息香酸(77%、0.97g)により0℃で処理した。溶液を、室温に温めて一晩攪拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却し、ろ過して沈殿物を除き、飽和重炭酸ナトリウム水で洗浄し、シリカゲルのプラグを通してろ過し、濃縮した。残渣をDCMとMeOHの1:1混液に溶解し、過剰の4.0M HCl/ジオキサンで処理した。反応混合物を一晩攪拌してから、カラムクロマトグラフィ(0%から10%のMeOH:DCM)により精製して50mgの標題化合物を得た。ESMS(0.41分、(M+1)131.13、方法E)。
【0145】
(塩酸3−メチル−アゼチン−3−オールの合成)
【0146】
【化48】

(ステップ1. 1−ベンズヒドリル−アゼチン−3−オールの合成)
【0147】
【化49】

1−(ジフェニルメチル)−3−(メタンスルホニルオキシ)アゼチジン(1.0g)のTHF溶液(17mL)を、ジエチルエーテル中の3.0M臭化メチルマグネシウムで処理した。反応液を0℃で1.5時間攪拌してから、飽和重炭酸ナトリウム水でクエンチし、セライトを通してろ過し、濃縮した。次に残渣をメチレンクロリドに溶かし、飽和重炭酸ナトリウム水、次いでブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィ(0%から60%のEtOAc/ヘキサン類)により精製して640mgの標題化合物を透明な黄色油として得た。ESMS:240.19(M+1)、1.22分、方法D)。
【0148】
(ステップ2. 1−ベンズヒドリル−アゼチジン−3−オンの合成)
【0149】
【化50】

1−ベンズヒドリル−アゼチン−3−オール(640mg)のメチレンクロリド(6.0mL)溶液に、4Åモレキュラーシーブスを加えた。反応容器を窒素で掃流してから、NMO(800mg)に次いでTPAP(42mg)を添加した。この反応液を一晩攪拌してから、シリカのプラグを通してろ過し、335mgの標題化合物を透明な無色油として生成した。
【0150】
【数7】

(ステップ3. 1−ベンズヒドリル−3−メチル−アゼチジン−3−オールの合成)
【0151】
【化51】

ジエチルエーテル中の1−ベンズヒドリル−アゼチジン−3−オン(335mg)を、0℃でジエチルエーテル(0.52mL)中の3.0M臭化メチルマグネシウムで処理し、10分間攪拌し、飽和重炭酸ナトリウム水でクエンチした。次に溶液をメチレンクロリドで抽出し(×3)、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して335mgの標題化合物を透明な無色油として得た。
【0152】
【数8】

(ステップ4. 塩酸3−メチル−アゼチジン−3−オールの合成)
【0153】
【化52】

1−ベンズヒドリル−3−メチル−アゼチジン−3−オール(363mg)のMeOH(10mL)懸濁液を、4.0N HCl/ジオキサン(1.0mL)に次いで過剰の水酸化パラジウム炭素(湿性、Degusaタイプ)で処理した。次にこの溶液をParr水素添加器上、45psiで一晩水素と反応させた。次に反応混合物を、セライトを通してろ過し、濃縮し、既知の濃度に希釈してさらに精製することなく用いた。
【0154】
(塩酸ピペリジン−4−オンO−メチル−オキシムの合成)
【0155】
【化53】

(ステップ1. 4−メトキシイミノ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成)
【0156】
【化54】

t−ブチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(2.0g)および塩酸メトキシルアミン(2.93g)のTHF(66mL)溶液を、水(20mL)に溶解した重炭酸ナトリウム(2.95g)で処理した。この2相混合物を10分間激しく攪拌し、水で希釈し、酢酸エチル(×3)で抽出した。抽出液を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して2.12gの標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0157】
【数9】

(ステップ2. 塩酸ピペリジン−4−オンO−メチル−オキシムの合成)
【0158】
【化55】

MeOH(10mL)中の4−メトキシイミノ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを、4.0M HCl/ジオキサン(1.0mL)で処理し、室温で一晩攪拌した。溶液を濃縮してさらに精製することなく213mgの標題化合物を得た。
【0159】
【数10】

(塩酸4−メチル−ピペリジン−4−オールの合成)
【0160】
【化56】

t−ブチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(500mg)のTHF(6mL)溶液を0℃で、3.0M臭化メチルマグネシウム/ジエチルエーテル(0.8mL)で処理した。この溶液を室温に温めて48時間攪拌した。反応液を重炭酸ナトリウムでクエンチし、飽和Rochele塩で希釈し、メチレンクロリド(×3)で抽出した。有機層を合わせてセライトを通してろ過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィ(0%から40%のEtOAc/ヘキサン類)により精製した。次に不純な残渣をMeOH(5mL)に溶かし、4.0M HCl/ジオキサン(4mL)で処理し、30分間攪拌し、濃縮して粗製の標題化合物を得た。
【0161】
(塩酸エチル(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリネートの合成)
【0162】
【化57】

塩化アセチル(10.8mL、153mmol)を、氷冷100%エタノール(100mL)に徐々に加えた。(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリン(5g、38.2mmol)を加え、100℃で16時間加熱した。このエステルを濃縮して固体を得、さらに精製することなく用いた。
【0163】
【数11】

(塩酸[(2S,3S)−3−メチル−2−ピロリジニル]メタノールの合成)
【0164】
【化58】

(ステップ1. エチル(3S)−3−メチル−L−プロリネートの合成)
【0165】
【化59】

標題化合物は、塩酸エチル(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリネートの調製に用いられた方法を用いて、(3S)−3−メチル−L−プロリンから調製された。
【0166】
【数12】

(ステップ2. 1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレートの合成)
【0167】
【化60】

エチル(3S)−3−メチル−L−プロリネート(0.837g、4.32mmol)、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカーボネート(0.942g、4.32mmol)、およびトリエチルアミン(1.5mL,10.8mmol)を、THFおよびエタノールの凡そ2:1混液中75℃で16時間加熱した。反応液を室温に冷却してから水で希釈した。粗製混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を1N NaOHで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して標題化合物(855mg、3.3mmol)を透明油として得た。
【0168】
【数13】

(ステップ3. 1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0169】
【化61】

水素化ホウ素リチウム(6.6mmol、3.31mLの2MのTHF溶液)を、1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(850mg、3.3mmol)およびメタノール(0.133mL、3.3mmol)の氷冷THF溶液に滴下しながら加えた。反応液を室温に温めてから4時間攪拌した。反応液をi−プロパノールに次いでNaHCOでクエンチした。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧濃縮して標題化合物を得、これをさらに精製することなく用いた。
【0170】
【数14】

(ステップ4. 塩酸[(2S,3S)−3−メチル−2−ピロリジニル]メタノールの合成)
【0171】
【化62】

ステップ3の粗製1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートを、メチレンクロリド:メタノールの1:1混液に溶解した。過剰のジオキサン中4N HClを加え、反応液を室温で1時間攪拌し、減圧濃縮してから最終ステップに用いた(スキーム1aの(g)から(h)を参照)。
【0172】
【数15】

(塩酸エチル(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリネートの合成)
【0173】
【化63】

塩化アセチル(10.8mL、153mmol)を、氷冷100%エタノール(100mL)に徐々に加えた。(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリン(5g、38.2mmol)を加え、100℃で16時間加熱した。このエステルを濃縮して固体を得、精製することなく用いた。
【0174】
【数16】

(塩酸(2R,3S)−2−メチル−3−ピロリジノールの合成)
【0175】
【化64】

(ステップ1. 1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−ヒドロキシ−1,2−ピロリジンジカルボキシレートの合成)
【0176】
【化65】

標題化合物は、1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレートの調製に用いられた方法を用いてエチル(3S)−3−ヒドロキシ−L−プロリネートから調製された。
【0177】
【数17】

(ステップ2. 1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1,2−ピロリジンジカルボキシレートの合成)
【0178】
【化66】

1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−ヒドロキシ−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(8.98g、34.7mmol)、イミダゾール(2.36g、34.7mmol)、ジメチルアミノピリジン(50mg、触媒量)およびクロロ(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシラン(4.96g、32.9mmol)を、室温で16時間攪拌した。反応液を水および1N HClで希釈し、混合物を酸性にした。この混合物をメチレンクロリドで3回抽出した。有機層を1M HClで洗浄し、MgSOで乾燥して標題化合物を透明な褐色油(10.88g、29.1mmol)として得た。
【0179】
【数18】

(ステップ3. 1−(1,1−ジメチルエチル)(2R,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0180】
【化67】

1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートの調製に用いられた方法を用いて、標題化合物を1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−1,2−ピロリジンジカルボキシレートから調製した。
【0181】
【数19】

(ステップ4. 1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0182】
【化68】

塩化メタンスルホニル(3.85mL、39.29mmol)を、1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレート(6.05g、26.19mmol)およびトリエチルアミン(7.28mL、52.38mmol)の氷冷メチレンクロリド溶液に加えた。反応液を、室温に温め、16時間攪拌してから減圧濃縮した。粗製物を、酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して標題化合物を黄色油(4.69g、11.4mmol)として得た。
【0183】
【数20】

(ステップ5. 1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0184】
【化69】

スーパーヒドリド(45.8mL、1M、45.8mmol)を、THF中の1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1−ピロリジンカルボキシレート(4.69g、11.47mmol)に滴下しながら加えた。反応液を、室温に温め16時間攪拌した。反応液は、ガス発生が終了するまでi−プロパノールでクエンチした。反応液を飽和NaHCOで希釈してから酢酸エチルで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して標題化合物(2.69g、8.5mmol)を生成した。
【0185】
【数21】

(ステップ6. 1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0186】
【化70】

テトラブチルアンモニウムフルオリド(16.7mL、THF中1M、16.73mmol)を、1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートのTHF溶液に加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して標題化合物(1.55g、7.8mmol)を生成した。
【0187】
【数22】

(ステップ7. 塩酸(2R,3S)−2−メチル−3−ピロリジノールの合成)
【0188】
【化71】

塩酸[(2R,3S)−3−メチル−2−ピロリジニル]メタノールの調製に用いられた方法を用いて、標題化合物を1,1−ジメチルエチル(2R,3S)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートから調製した。
【0189】
【数23】

(塩酸(2R,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−ピロリジノールの合成)
【0190】
【化72】

(ステップ1. 1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレートの合成)
【0191】
【化73】

標題化合物は、1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−1−ピロリジンカルボキシレートの調製に用いられた方法を用いて1−(1,1−ジメチルエチル)2−エチル(2S,3S)−3−ヒドロキシ−1,2−ピロリジンジカルボキシレートから調製された。
【0192】
【数24】

(ステップ2. 塩酸(2R,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−3−ピロリジノールの合成)
【0193】
【化74】

標題化合物は、塩酸[(2S,3S)−3−メチル−2−ピロリジニル]メタノールの調製に用いられた方法を用いて1,1−ジメチルエチル(2S,3S)−3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジンカルボキシレートから調製された。
【0194】
【数25】

(N−3−アゼチジニルメタンスルホンアミドの合成)
【0195】
【化75】

(ステップ1. N−[1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジニル]メタンスルホンアミドの合成)
【0196】
【化76】

1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジナミン(Arimotoらの方法に従って合成、J. of Antibiotics 39(9)、1243−56頁、1986年)(197mg、0.83mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、0℃で過剰のトリエチルアミンに次いで塩化メタンスルホニル(71μL、0.91mmol)により処理した。この反応液を30分間攪拌してから、濃縮し、シリカゲル(0〜10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して185mgの所望の生成物を白色固体として得た。LC/MS:0.31分でM+H 317.19、方法D。
【0197】
(ステップ2. N−3−アゼチジニルメタンスルホンアミドの合成)
【0198】
【化77】

N−[1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジニル]メタンスルホンアミド(185mg、0.585mmol)のMeOH(10mL)溶液を、1mLの4.0N HCl/ジオキサンで処理してから、水素ガスと50psiで一晩反応させた。次に反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、さらに精製することなく用いた。
【0199】
((4E)−3−メチル−4−ピペリジノン−O−メチルオキシムの合成)
【0200】
【化78】

(ステップ1. 1,1−ジメチルエチル3−メチル−4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートの合成)
【0201】
【化79】

3−メチル−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジノン(1.5g、7.4mmol)のMeOH(10mL)溶液を、4.0N HCl/ジオキサン(2.2mL)に次いで水酸化パラジウムにより処理した。次いでこの混合物を水素ガスと50psiで一晩反応させた。次に反応液をセライトを通してろ過し、濃縮してからTHF(20mL)に溶かした。次に粗製反応混合物を、トリエチルアミン(2.3mL)に次いでジ−t−ブチルジカーボネート(1.9g、8.9mmol)により処理した。この反応液を2時間攪拌し、濃縮し、ジクロロメタンに溶かし、飽和水酸化アンモニウム水に次いでブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、カラムクロマトグラフィにより精製して734mgの1,1−ジメチルエチル3−メチル−4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートを得た。
【0202】
【数26】

(ステップ2. 1,1−ジメチルエチル(4E)−3−メチル−4−[(メチルオキシ)イミノ]−1−ピペリジンカルボキシレートの合成)
【0203】
【化80】

1,1−ジメチルエチル3−メチル−4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(367mg、1.72mmol)のTHF(10mL)溶液を、塩酸メチルヒドロキシルアミン(503mg、6.02mmol)に次いで炭酸水素ナトリウムの水(3mL)(506mg、16.02mmol)溶液により処理した。この反応液を一晩激しく攪拌した。次いで反応液をろ過し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。粗製物をカラムクロマトグラフィ(0〜10%酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して197mgの所望の生成物を白色固体として得た。
【0204】
【数27】

(ステップ3. (4E)−3−メチル−4−ピペリジノンO−メチルオキシムの合成)
【0205】
【化81】

1,1−ジメチルエチル(4E)−3−メチル−4−[(メチルオキシ)イミノ]−1−ピペリジンカルボキシレート(197mg)を、メタノールに溶解し、4.0N HCl/ジオキサン(4mL)で処理し、一晩攪拌した。次に反応液を濃縮して生成物を白色固体(170mg)として得た。粗製物をさらに精製することなく用いた。
【0206】
(4,4−ジメチルシクロヘキサノンの合成)
【0207】
【化82】

参照として本明細書に組み込まれており、全ての目的に関してその全体が十分に記載されている以下の文献の方法を用いて、標題化合物を合成した。Liu,Hsing−Jang;Browne,Eric N.C.およびChew,Sew Yeu.Can.J.Chem.66、2345−2347頁(1988)。
【0208】
((4,4−ジメチルシクロヘキシル)アミンの合成)
【0209】
【化83】

参照として本明細書に組み込まれており、全ての目的に関してその全体が十分に記載されている以下の文献の方法を用いて、標題化合物を合成した。Faller,A.、MacPherson,D.T.、Ner,P.H.、Stanway,S.J.およびTrouw,L.S.国際公開第04/5913A1号(2003)。
【0210】
(N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メチルオキシ)フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル)−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]カルボジイミドの合成)
(カルボジイミドA)
【0211】
【化84】

THF中、N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メチルオキシ)フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル)−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]チオ尿素を、Argonaut PS−カルボジイミド(1.5当量)と共に15分間静かに攪拌した。樹脂をろ過して除き、カルボジイミドAの溶液を既知の容量に希釈して既知のモル濃度溶液を得た。
【0212】
(N−{3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]カルボジイミドの合成)
(カルボジイミドB)
【0213】
【化85】

THF中、N−{3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]チオ尿素を、Argonaut PS−カルボジイミド(1.5当量)と共に15分間静かに攪拌した。樹脂をろ過して除き、カルボジイミドBの溶液を既知の容量に希釈して既知のモル濃度溶液を得た。
【0214】
(2−クロロ−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノンの合成)
【0215】
【化86】

(ステップ1. 2−アミノ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−ニトロベンズアミドの合成)
【0216】
【化87】

CHCl(100mL)中、無水4−ニトロ−イサトイン酸(10.0g、0.048mol)の攪拌溶液に、2,4−ジクロロフェネチルアミン(10.08g、0.053mol)に次いでDMF(10mL)を加えた。反応混合物を、室温で30分間攪拌した。次いで生じた混合物を1.0LのCHClに溶解し、1.0M NaOHで洗浄した。有機層を合わせて減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(0〜100%EtOAc/ヘキサン類で溶出)により精製して生成物(16.5g、97%収率)を黄色固体として得た。HPLC保持時間:3.04分;方法A;LRMS(ESI)m/z 354(M+1)。
【0217】
(ステップ2. 3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−7−ニトロ−2,4(1H,3H)−キナゾリンジオンの合成)
【0218】
【化88】

トルエン(30mL)中、2−アミノ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−ニトロベンズアミドの攪拌溶液に、トルエン中ホスゲンの1.9M溶液(4.5mL、8.5mmol)を加えた。反応混合物を、60℃に加熱し、4時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、CHClを残渣に加えた。沈殿物を減圧ろ過により採取し、CHClで洗浄して生成物(0.92g、86%収率)を白色固体として得た。HPLC保持時間:3.28分;方法A;LRMS(ESI)m/z 378(M−1)。
【0219】
(ステップ3. 2−クロロ−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−7−ニトロ−2,4−(1H,3H)−キナゾリンジオンの合成)
【0220】
【化89】

3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−7−ニトロ−2,4(1H,3H)−キナゾリンジオン(2.0g、5.26mmol)およびPCl(1.2g、5.79mmol)を、POCl(20mL)含有フラスコに加え、生じた溶液を6時間攪拌しながら還流した。反応液は、RTに冷却して、この温度で一晩攪拌した。POClを減圧留去し、残渣にCHClを加えた。未反応の出発物質を、減圧ろ過により除き、生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(100%CHClで溶出)により精製して生成物(0.96g、46%収率)を白色固体として得た。
【0221】
【数28】

(3−アミノ−N−{3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−1−アゼチジンカルボキシミダミドの合成)
【0222】
【化90】

(ステップ1. 1−ジメチルエチル[1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジニル]カルバメートの合成)
【0223】
【化91】

1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジンアミン(232mg、0.97mmol)のTHF(6mL)溶液に、0℃でジ−t−ブチルジカーボネート(255mg、1.17mmol)のTHF溶液を加えた。反応液を室温に温め、ジクロロメタン(4mL)を加えて、スラリーを溶液にした。反応液を一晩攪拌し、濃縮してからカラムクロマトグラフィ(0〜30%酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して211mgの所望の生成物を白色固体として得た。LC/MS:1.20分でM+H339.19、方法D。
【0224】
(ステップ2. 1,1−ジメチルエチル3−アゼチジニルカルバメートの合成)
【0225】
【化92】

1,1−ジメチルエチル[1−(ジフェニルメチル)−3−アゼチジニル]カルバメートのMeOH(10mL)溶液を4.0N HCl/ジオキサン(1mL)で処理してから、水素ガスと50psiで一晩反応させた。次に反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、濃縮し、粗製残渣をさらに精製することなく用いた。
【0226】
(ステップ3. 3−アミノ−N−{3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−1−アゼチジンカルボキシミダミドの合成)
【0227】
【化93】

1,1−ジメチルエチル[1−((Z)−({3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}アミノ){[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]イミノ}メチル)−3−アゼチジニル]カルバメート(前述の方法により1,1−ジメチルエチル3−アゼチジニルカルバメートを用いて合成された)を、4.0N HCl/ジオキサン(4mL)で処理し、一晩攪拌した。次に反応液を分取HPLCにより精製して3−アミノ−N−{3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−1−アゼチジンカルボキシミダミドを白色固体として得た。LC/MS:2.19分でM+H517.20、方法D。
【0228】
(窒素結合C−2類縁体調製のための一般法)
(ステップ1. 2−アミノ類縁体の合成)
【0229】
【化94】

アセトニトリル中、2−クロロ−2−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−7−ニトロ−4(3H)−キナゾリノン(1当量)の攪拌溶液に、相当するアミン(2当量)を加え、反応混合物を、反応がHPLC(約30分)によりモニターして完了するまで、加熱還流した。次に反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧留去した。粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(0〜5%MeOH/CHClで溶出)により精製した。
【0230】
(ステップ2. ニトロからアニリンへの還元)
【0231】
【化95】

無水エタノール(1.0M)中のニトロ化合物(1当量)の攪拌溶液に、鉄粉(2.5当量)および酢酸(14当量)を加えた。次に反応混合物を、反応がHPLCによりモニターして完了するまで、加熱還流した。次に反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。水層を、EtOAc(×2)で再度抽出し、有機層を合わせてNaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製固体を、精製することなく次のステップに用いた。
【0232】
(ステップ3. アニリンからチオ尿素への変換)
【0233】
【化96】

アセトン(1.0M)中の粗製アニリン(1当量)の攪拌溶液に、NaCO(2当量)に次いでチオホスゲン(3当量)をシリンジを介して滴下しながら加えた。反応混合物を、0℃で10分間攪拌してから、室温に温めた。反応が進行した溶液から固体が沈殿した。HPLCによりモニターして、出発物質が完全に消費されたら、反応混合物を減圧濃縮し、アセトンで希釈してから、再度濃縮して過剰のチオホスゲンを除去した。固体の全てを溶解した。水層を、EtOAc(×2)で再度抽出し、有機層を合わせてNaSOで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。次に粗製物をTHF(1.0M)に溶解し、(1S,2S,3S,5R)−(+)−イソピノカンフェイルアミン(1.3当量)をシリンジを介して加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌してから減圧濃縮した。粗製物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(0〜5%MeOH/CHClで溶出)により精製した。
【0234】
(ステップ4. チオ尿素からグアニジンへの転換)
【0235】
【化97】

THF(1.0M)中、チオ尿素(1当量)の攪拌溶液に、EDC(1.5当量)を加え、反応混合物を加熱還流した。HPLCによりモニターして、出発物質が完全に消費されたら、反応混合物を室温に冷却してから、相当するアミン(2当量)およびEtN(2当量)を加えた。反応混合物を、室温で1時間攪拌してから、減圧濃縮した。粗製物を、分取逆相HPLC(MeCN/水で溶出)を介して精製し、凍結乾燥してTFA塩を生成した。
【0236】
(アリールグアニジン類の合成に関する一般法)
別に特記しない限り、カルボジイミドAまたはカルボジイミドBなどのカルボジイミドのTHF溶液を、凡そ1.5当量の第一級または第二級アミンと共に室温で10分間攪拌した。(アミンが塩形態であった場合、アミンを最少量のメタノールに溶解し、2当量のトリエチルアミンを加えた)。反応液を窒素気流下で濃縮し、メタノールに溶解し、分取HPLCにより精製した。
【0237】
(トリフルオロ酢酸N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メチルオキシ)フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル−N”−[(1S,2S,3S,5S)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]グアニジンの合成)
【0238】
【化98】

N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メチルオキシ)フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−7−キナゾリニル}−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]カルボジイミド(4mL、THF中23mM溶液)、4H−1,2,4−トリアゾール−4−アミン(49mg)および過剰のNaHを一緒に攪拌し、50℃で30分間加熱した。この混合物を、Varian Chem Elutカートリッジに次いで50mLの酢酸エチルにより通過させた。酢酸エチル溶液をMgSOで乾燥し、濃縮した。この粗製物を、1mLのメタノールに溶解し、分取HPLCにより精製し、凍結乾燥して標題化合物のTFA塩を得た。
【0239】
(シス−4−フルオロシクロヘキシルアミンの合成)
【0240】
【化99】

(ステップ1. トランス−(t−ブトキシ)−N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−カルボキサミドの合成)
【0241】
【化100】

トランス−4−アミノシクロヘキサノール(1当量)のTHF(0.1M)懸濁液を、(Boc)O(1当量)で処理した。この混合物を室温で一晩攪拌してクロロホルムに溶解し、水で洗浄して得た固体をさらに精製することなく用いた。
【0242】
(ステップ2. シス−(t−ブトキシ)−N−(4−フルオロシクロヘキシル)−カルボキサミドの合成)
【0243】
【化101】

トランス−(t−ブトキシ)−N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−カルボキサミドの−78℃に冷却されたCHCl(1M)溶液に、DAST(1当量)のCHCl(0.5M)溶液を滴下しながら加えた。この混合物を、−78℃で4時間攪拌してから、室温まで上昇させた。溶液を飽和NaHCOに注ぎ、クロロホルムで抽出し、乾燥し、蒸発させた。生じた粗製物を、酢酸エチル/ヘキサン5:95で溶出するシリカゲル上で精製した。
【0244】
(ステップ3. シス−4−フルオロシクロヘキシルアミンの合成)
【0245】
【化102】

シス−(t−ブトキシ)−N−(4−フルオロシクロヘキシル)−カルボキサミド(0.51mmol)のCHCl(20mL)溶液を、TFA(10mL)により室温で処理した。反応混合物を、2時間攪拌し、溶媒を減圧留去し、粗製物を水に溶解し、クロロホルムで洗浄した。酸性水相を、0℃に冷却し、固体KOHの添加により塩基性にした。生じた混合物をCHClで抽出し、乾燥し、ろ過して標題化合物を生成し、これをさらに精製することなく、CHCl中0.3M溶液として用いた。
【0246】
(4,4、−ジフルオロシクロヘキシルアミンの合成)
【0247】
【化103】

(ステップ1. N−(4,4、−ジフルオロシクロヘキシル)(t−ブトキシ)カルボキサミドの合成)
【0248】
【化104】

(t−ブトキシ)−N−(4−オキソシクロヘキシル)−カルボキサミドのCHCl(45mL)溶液を、DAST(2.63mL、19.93mmol)のCHCl(6mL)溶液により室温で処理した。EtOH(141μl、2.3mmol)を加え、この混合物を、室温で一晩攪拌した。溶液を飽和NaHCOに注ぎ、クロロホルムで抽出し、乾燥し、蒸発させて標題化合物および(t−ブトキシ)−N−(4−フルオロヘキシ−3−エニル)−カルボキサミドの1:1混合物を生成した。この混合物をCHCl(40mL)およびMeOH(14mL)に溶解し、−78℃に冷却した。オゾンは、溶液が緑色になるまで50分間溶液中に泡立たせ、MeS(3当量)を加えた。反応混合物を室温に温め、クロロホルムを加え、有機相を水で洗浄し、乾燥し、蒸発させて標題化合物を生成し、さらに精製することなく用いた。
【0249】
(ステップ2. 4,4、−ジフルオロシクロヘキシルアミンの合成)
【0250】
【化105】

N−(4,4、−ジフルオロシクロヘキシル)(t−ブトキシ)カルボキサミド(6.51mmol)のCHCl(20mL)溶液を、TFA(10mL)により室温で処理した。反応混合物を、2時間攪拌し、溶媒を減圧留去し、粗製物を水に溶解し、クロロホルムで洗浄した。酸性水相を、0℃に冷却し、固体KOHの添加により塩基性にした。生じた混合物をCHClで抽出し、乾燥し、ろ過して標題化合物が得られ、これをさらに精製することなく、CHCl中0.3M溶液として用いた。
【0251】
(手順1 7−アジド−キナゾリン−4−オン(1)の6−フルオロ類縁体の合成)
【0252】
【化106】

(ステップ1: (2−アミノ−4,5−ジフルオロフェニル)−N−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−カルボキサミドの合成)
【0253】
【化107】

無水THF(30mL)中、4,5−ジフルオロアントラニル酸(2.0g、11.6mmol)の攪拌溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール水和体(HOBt)(1.56g、11.6mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.01mL、11.6mmol)、および4−フルオロフェニルエチルアミン(1.52mL、11.6mmol)を加えた。全てのHOBtが完全に溶解した後、EDCl(2.21g、11.6mmol)を加え、生じた橙色溶液を、室温で16時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をヘキサン類中15%EtOAcで溶出するシリカクロマトグラフィを行い所望のベンズアミド(2)を白色結晶(3.07g、10.4mmol、90%)として得た。
【0254】
(ステップ2: 6,7−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0255】
【化108】

出発のベンズアミド(2)を、トリメチルオルトホルメート(20mL)に溶解し、窒素流下、120℃で3時間加熱した。溶液を冷却し、溶媒をロータリー蒸発により留去した。残渣をヘキサン類により粉砕し、固体をろ過により採取し、ヘキサン類により洗浄し、ポンプで乾燥した。ホルムアミド中間体を、白色固体として単離し、NMRにより確認した。この中間体をPOCl(10mL)に懸濁させ、140℃に3分間加熱した。反応液を冷却し、破砕氷上に注ぎ、飽和重炭酸ナトリウム溶液で僅かにアルカリ性にし、EtOAcで抽出した。有機層を採取し、硫酸マグネシウムで乾燥した。生成物(3)を白色固体(1.94g、6.38mmol、2ステップで75%)として単離した。
【0256】
(ステップ3: 7−(アザジアゾムビニル)−6−フルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0257】
【化109】

ジフルオロキナゾリン(3)(1.46g、4.6mmol)をDMSO(10mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(3g、46.0mmol)を加えた。生じた混合物を、4時間攪拌しながら70℃に加熱した。反応はNMRによりモニターした。反応液を冷却し、水で希釈し、生じた沈殿をろ過により採取して水で洗浄した。固体をメチレンクロリドに溶解し、乾燥(MgSO)して微量の水を除去した。生成物(1)を、灰白色固体(1.43g、4.37mmol、95%)として単離した。
【0258】
化合物1の形成後、下記の合成法(手順1A)に従って最終グアニジンキナゾリノン類を形成した。
【0259】
(手順1A)
(1)(1当量)のTHF溶液に、トリメチルホスフィン(1.5当量)を加え、混合物を室温で10分間攪拌した。このイミノホスホラン溶液に、(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イルイソシアネート(1.6当量)を加えた。この溶液を70℃で一晩加熱した。該カルボイミド溶液の半分に、(6S,2R)−2,6−ジメチルピペラジン(2当量)のTHF溶液を加えた。70℃で2時間加熱後、残渣をHPLC精製に供し、グアニジン生成物をそのTFA塩として得た。
【0260】
2−フルオロ−4−メトキシ、2,4−ジフルオロおよび2,4−ジクロロ類縁体を、上記の同じ経路により合成した。上記の経路により合成されたグループの化合物は、実施例42、44、および45を含む。
【0261】
(実施例1. (3R,5S)−N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メトキシ)−フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3,5−ジメチル−N’−[(1S,2S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシミダミドの合成)
【0262】
【化110】

(ステップ1. (c)の合成:2−アミノ−N−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−4−ニトロ−ベンズアミド)
【0263】
【化111】

2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチルアミン((a):1当量)、4−ニトロアントラニル酸((b):1当量)、HBTU(1.5当量)、および乾燥THF(0.5Mの(a))を、乾燥丸底フラスコに加えた。この混合物を室温で10時間攪拌した。次に乾燥反応物を、シリカゲル上に乗せてヘキサン類/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して生成物((c):2−アミノ−N−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−4−ニトロ−ベンズアミド)を純粋な固体として生成した。
【0264】
(ステップ2. (d)の合成:3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−7−ニトロ−3H−キナゾリン−4−オン)
【0265】
【化112】

ステップ1の純粋生成物((c):1当量)、Gold試薬およびジオキサン(0.5Mの(c))を、冷却器を取り付けた乾燥丸底フラスコに加え、16時間加熱還流した。生成物の変換完了をLC/MSにより確認して、酢酸(1当量)および酢酸ナトリウム(1当量)を反応液に加えた。引き続き混合物を3時間加熱還流した。次いで反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルに溶かし、水で洗浄した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、濃縮した。粗製混合物を、CHCl/MeOHの混液を用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して純粋な生成物((d):3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−7−ニトロ−3H−キナゾリン−4−オン)を純粋な固体として生成した。
【0266】
(ステップ3. (e)の合成:7−アミノ−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−3H−キナゾリン−4−オン)
【0267】
【化113】

ステップ2に記載した通りに調製した(d)のMeOH(0.25Mの(d))溶液に、10%Pd/C(0.1当量)を加えた。この混合物をセプタムで密閉し、10分間窒素で脱気した。次に水素を、20分間溶液を通して泡立たせた。反応完了をLC/MSにより確認したら、反応液を窒素で10分間脱気した。混合物をCelite(登録商標)を通してろ過し、減圧濃縮して生成物((e):7−アミノ−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−3H−キナゾリン−4−オン)を得た。生成物は、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0268】
(ステップ4. (f)の合成:3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−7−イソチオシアナート−3H−キナゾリン−4−オン)
【0269】
【化114】

アセトン(0.1Mの(e))中、ステップ3に記載された通りに調製した(e)(1当量)およびNaHCO(3当量)の混合物に、チオホスゲン(3当量)を滴下しながら加えた。生じたスラリーを室温で3時間攪拌した。反応完了をLC/MSにより確認したら、反応液を減圧濃縮して溶媒および過剰のチオホスゲンを除去した。次に混合物を酢酸エチルに溶かし、水で洗浄した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、減圧濃縮して生成物((f):3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−7−イソチオシアナート−3H−キナゾリン−4−オン)を生成した。粗製物を、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0270】
(ステップ5. (g)の合成:1−{3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3−(2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)−チオ尿素の合成)
【0271】
【化115】

ステップ4に記載された通りに調製した(f)(1当量)のTHF(0.5Mの(f))溶液に、(1S,2S,3S,5R)−(+)−イソピノカンフェイルアミン(1.5当量)を加えた。反応液を室温で10時間攪拌した。次に粗製混合物を、減圧濃縮し、メチレンクロリドに溶解し、ヘキサン類/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して純粋な生成物((g):1−{3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3−(2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)−チオ尿素)を生成した。
【0272】
(ステップ6. (3R,5S)−N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メトキシ)−フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3,5−ジメチル−N’−[(1S,2S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシミダミドの合成)
【0273】
【化116】

乾燥丸底フラスコ中、ステップ5に記載された通りに調製した(g)(1当量)のTHF(0.1Mの(g))溶液に、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミド(2当量)を加えた。反応は、冷却器を取り付けて、80℃で1時間加熱した。生じた溶液を、20分間室温に冷却した。次にシス−2,6−ジメチルピペラジン(2当量、CHCl中0.5M)を反応液に加え、生じた混合物を室温で10分間攪拌した。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて減圧濃縮した。粗製混合物をDMSOに溶解し、水(0.1%TFA)/アセトニトリル(0.1%TFA)を用いる分取HPLCにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した。次に炭酸ナトリウム(15当量)を、得られた水溶液に加え、スラリーを、時々かき混ぜながら室温で1時間放置した。次に塩基性水溶液を、酢酸エチルで3回に分けて抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、減圧濃縮して生成物(h)を遊離塩基として得た。次に得られた固体をHCl水溶液(1M;15当量)に溶解し、減圧濃縮した。生じた混合物を、1:1水/アセトニトリル混液に溶解し、凍結乾燥して純粋なビス−HCl塩生成物((h):(3R,5S)−N−(3−{2−[2−フルオロ−4−(メトキシ)−フェニル]エチル}−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3,5−ジメチル−N’−[(1S,2S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシミダミド)を得た。
【0274】
、R、および/またはRの1つがフッ素である化合物は、ステップ1の4−ニトロアントラニル酸(b)の代わりに適切にフッ素置換された4−ニトロアントラニル酸を用いる上記の方法論を用いて調製する。次にステップ2〜6を実施して最終生成物を得ることができる。当業者は、さらなる置換基を含むフッ素置換4−ニトロアントラニル酸を使用し、R、R、および/またはRが、限定はしないが、フルオロ、クロロ、アルキル、およびアルカリールなどの本明細書に記載された基のいずれかである種々に置換された化合物を生成できることを認識するであろう。
【0275】
(実施例2. 7−{[1−((5S,3R)−3,5−ジメチルピペラジニル)−2−((2S,3S,1R,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)(1Z)−2−アザビニル]アミノ}−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオンの合成)
【0276】
【化117】

(ステップ1. (c)の合成:2−アミノ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]−4−ニトロ−ベンズアミド)
【0277】
【化118】

2,4−ジクロロフェニルエチルアミン((a):1当量)、4−ニトロアントラニル酸((b):1当量)、HBTU(1.5当量)、および乾燥THF(0.5Mの(a))を、乾燥丸底フラスコに加えた。この混合物を室温で10時間攪拌した。次にこの反応物を、シリカゲルにドライ装填し、ヘキサン類/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して生成物((c):2−アミノ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]−4−ニトロ−ベンズアミド)を純粋な固体として得た。
【0278】
(ステップ2. (d)の合成:3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]−7−ニトロ−1,3−ジヒドロキナゾリン−2、4−ジオン)
【0279】
【化119】

ステップ1に記載した通りに調製した(c)(2.5g、7.5mmolの(c))の0.3Mジオキサン溶液に、40mLのトルエン中20%ホスゲン溶液に次いで、15mLのトリエチルアミンを加えた。室温で1時間攪拌後、溶媒をロータリー蒸発に次いで高度真空で除去した。残渣を酢酸エチルに溶かし、水で3回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリー蒸発後、橙褐色固体((d):3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]−7−ニトロ−1,3−ジヒドロキナゾリン−2、4−ジオンを90%の全収率で得た。
【0280】
(ステップ3. (e)の合成:7−アミノ−3−[2−(2、4−ジクロロフェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)
【0281】
【化120】

ステップ2に記載した通りに調製した(d)のMeOH(0.25Mの(d))溶液に、10%Pd/C(0.1当量)を加えた。この混合物をセプタムで密閉し、10分間窒素で脱気した。次に水素を、20分間溶液に通して泡立たせた。反応完了をLC/MSにより確認したら、反応液を窒素で10分間脱気した。混合物をCelite(登録商標)を通してろ過し、減圧濃縮して生成物((e):7−アミノ−3−[2−(2、4−ジクロロフェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)を得た。生成物を、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0282】
(ステップ4. (f)の合成:3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロキナゾリン−7−イソチオシアナート)
【0283】
【化121】

アセトン(0.1Mの(e))中、ステップ3に記載されたように調製した(e)(1当量)およびNaHCO(3当量)の混合物に、チオホスゲン(3当量)を滴下しながら加えた。生じたスラリーを室温で3時間攪拌した。反応完了をLC/MSにより確認したら、反応液を減圧濃縮して溶媒および過剰のチオホスゲンを除去した。次に混合物を酢酸エチルに溶かし、水で洗浄した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、減圧濃縮して生成物((f):3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロキナゾリン−7−イソチオシアナート)を生成した。この粗製物を、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0284】
(ステップ5. (g)の合成:7−({[((2S,3S,1R,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)アミノ]チオキソメチル}アミノ)−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオンの合成)
【0285】
【化122】

ステップ4に記載されたように調製した(f)(1当量)のTHF(0.5Mの(f))溶液に、(1S,2S,3S,5R)−(+)−イソピノカンフェイルアミン(1.5当量)を加えた。反応液を室温で10時間攪拌した。次に粗製混合物を、減圧濃縮し、メチレンクロリドに溶解し、ヘキサン類/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して純粋な生成物((g7−({[((2S,3S,1R,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)アミノ]チオキソメチル}アミノ)−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)を得た。
【0286】
(ステップ6. 7−{[1−((5S,3R)−3,5−ジメチルピペラジニル)−2−((2S,3S,1R,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)(1Z)−2−アザビニル]アミノ}−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオンの合成)
【0287】
【化123】

乾燥丸底フラスコ中、ステップ5に記載されたように調製した(g)(1当量)のTHF(0.1Mの(g))溶液に、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミド(2当量)を加えた。反応は、水冷冷却器を取り付けて、窒素雰囲気下、80℃で1時間加熱した。生じた溶液を、20分間0℃に冷却した。次にシス−2,6−ジメチルピペラジン(2当量、CHCl中0.5M)を反応液に加え、生じた混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて減圧濃縮した。粗製混合物をDMSO/アセトニトリルに溶解し、水(0.1%TFA)/アセトニトリル(0.1%TFA)を用いる分取HPLCにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した。次に得られた水溶液に水酸化ナトリウム(10当量)を加え、スラリーを、時々かき混ぜながら室温で1時間放置した。次に塩基性水溶液を、酢酸エチルで別々に3回に分けて抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、減圧濃縮して生成物(h)を遊離塩基として得た。次に得られた固体をHCl水溶液(1M;15当量)に溶解し、減圧濃縮した。生じた混合物を、1:1水/アセトニトリル混液に溶解し、凍結乾燥して純粋なビス−HCl塩生成物((h):7−{[1−((5S,3R)−3,5−ジメチルピペラジニル)−2−((2S,3S,1R,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル)(1Z)−2−アザビニル]アミノ}−3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−1,3−ジヒドロキナゾリン−2,4−ジオン)を得た。
【0288】
(実施例3. 7−{[1−((3S)−3−メチルピペラジニル)(1Z)−2−アザ−2−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)ビニル]アミノ}−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0289】
【化124】

(ステップ1. (b)の合成:7−({[(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)アミノ]−チオキソメチル}アミノ)−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オン)
【0290】
【化125】

実施例1のステップ4に記載した(f)の通りに調製した(a)(1当量)のTHF(0.5Mの(a))溶液に、上記に調製された4,4−ジフルオロシクロヘキシルアミン(1.5当量)を加えた。反応液を室温で10時間攪拌した。次に粗製混合物を、減圧濃縮し、メチレンクロリドに溶解し、ヘキサン類/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィにより精製した。純粋なフラクションを合わせて減圧濃縮して純粋な生成物((b):7−({[(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)アミノ]−チオキソメチル}アミノ)−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オン)を得た。
【0291】
(ステップ2. (c)の合成:7−{[1−((3S)−3−メチルピペラジニル)(1Z)−2−アザ−2−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)ビニル]アミノ}−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オン)
【0292】
【化126】

乾燥丸底フラスコ中、ステップ1に記載した通りに調製した(b)(1当量)のTHF(0.1Mの(b))溶液に、塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミド(2当量)を加えた。反応は、冷却器を取り付けて、80℃で1時間加熱した。生じた溶液を、20分間室温に冷却した。次に(S)−2−メチルピペラジン(2当量、CHCl中0.5M)を反応液に加え、生じた混合物を室温で10分間攪拌した。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗した。有機層を単離した後、水層をさらに酢酸エチルで2回に分けて抽出した。次に有機層を合わせて減圧濃縮した。粗製混合物をDMSOに溶解し、水(0.1%TFA)/アセトニトリル(0.1%TFA)を用いる分取HPLCにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した。次に得られた水溶液に炭酸ナトリウム(15当量)を加え、スラリーを、時々かき混ぜながら室温で1時間放置した。次に塩基性水溶液を、酢酸エチルで別々に3回に分けて抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、コットンプラグを通してろ過し、減圧濃縮して生成物(c)を遊離塩基として得た。次に得られた固体をHCl水溶液(1M;15当量)に溶解し、減圧濃縮した。生じた混合物を、1:1水/アセトニトリル混液に溶解し、凍結乾燥して純粋なビス−HCl塩生成物((c):7−{[1−((3S)−3−メチルピペラジニル)(1Z)−2−アザ−2−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)ビニル]アミノ}−3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキナゾリン−4−オン)を得た。
【0293】
(方法1 3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−7−ニトロ−2−(4−ピリジル)−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0294】
【化127】

ピリジン4−カルボン酸を、POCl中、室温で約5分間攪拌した。次いでこの攪拌溶液に、0.9当量の(2−アミノ−4−ニトロフェニル)−N−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]カルボキサミドを加えた。次に生じた混合物を、マイクロ波チューブ中室温で約15分間攪拌し、次いでマイクロ波中、165℃で10分間加熱した。LC/MSは、反応の完了を示した。POClを蒸発させ、残渣をCHClに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム液で洗浄した。有機層を合わせて、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して、ヘキサン類中EtOAcの勾配溶出してシリカゲルクロマトグラフィを行った。次に生じた生成物3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−7−ニトロ−2−(4−ピリジル)−3−ヒドロキナゾリン−4−オンを、スキーム1aに記載された方法を用いて実施例77に変換した。
【0295】
(方法2 3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0296】
【化128】

3−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドを、EDCl媒介3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−N−メチル−プロピオン酸とメチルアミン(THF中2M溶液)とのカップリングを用いて合成した。次にこのアミドを、マイクロ波容器中のPOClに溶かし、混合物を約3分攪拌した。この攪拌溶液に、約1当量の4−ニトロアントラニル酸を加えた。開封バイアルは、赤色から黄色に色の変化が起こるまで10分間攪拌した。次にバイアルを密封してマイクロ波ユニット中165℃で600秒間反応させた。反応完了は、LC/MSでチェックした。次に3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オンを、ヘキサン類中EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィにより精製した。次いで3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オンを、相当するチオ尿素により上記の方法を用いて実施例90に変換した(スキーム1a)。
【0297】
(方法3 3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−2−(4−メチルピペラジニル)−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オン(B)および3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−2−[イミノ(4−メチルピペラジニル)−メチル]−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オン(C)の合成)
【0298】
【化129】

先ずニトリルAの合成を、J.Heterocyclic Chem.、35、659頁(1998)に記載されている通りに実施した。過剰のN−メチルピペラジン中、ニトリルを600秒間のマイクロ波中で110℃に加熱し、LC/MSにより分析してBおよびCを得た。生成物BおよびCは、CHCl中10%MeOHで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィにより分離した。化合物Bは、カラムから最初に溶出した。次にBおよびCを、本明細書に記載された方法を用いて、それぞれ実施例99および71に変換した。
【0299】
(方法4 3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−7−ニトロ−2−(1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0300】
【化130】

上記に示されたニトリル1(0.9g、2.4mmol)を、乾燥DMF(5mL)に溶解した。アジ化ナトリウム(0.8g、12.2mmol)を加え、混合物を125℃で1時間加熱した。反応液を冷却し、水(25mL)で希釈し、ろ過した。採取された固体を、THF/EtOAc1:1(25mL)で再度溶解し、水(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過および溶媒除去により650mgの褐色固体を得た。H NMR(DMSO−D6、300 MHz)は、所望の生成物形成と一致した。生成物を、本明細書に記載された方法を用いて実施例78に変換した。
【0301】
(方法5 3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−2−[(4−メチルピペラジニル)−メチル]−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オン(3)の合成)
(ステップ1 2−クロロ−N−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(1)の合成)
【0302】
【化131】

4−フルオロフェニルエチルアミン(1.0当量)の乾燥THF溶液に、Hunig塩基(DIEA)(1当量)を加えた。次にこの混合物を、0℃で3分間攪拌した。その後、クロロアセチルクロリド(1.0当量)のTHF溶液を、7分間かけてシリンジを介して加えた。次に反応混合物を室温で1時間攪拌し、その後、反応混合物を減圧濃縮し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し(3×)、NaSOで乾燥した。減圧濃縮後、上記に示された化合物1が得られ、さらに精製することなく引き続き次のステップに用いた。LC/MS=2.18分でM+H 216.1。
【0303】
(ステップ2 2−クロロメチル−3−[2−(4−フルオロ−フェニル)―エチル]−7−ニトロ−3H−キナゾリン−4−オン(2)の合成)
【0304】
【化132】

化合物1(1.2当量)をニートPOClに溶解し、N下、5分間攪拌した。次に固体4−ニトロアントラニル酸(1.0当量)を加え、色が赤色から黄色に変化するまで、混合物を室温で10分間攪拌した。その後、反応混合物を100℃で2時間還流し、次いでPOClを減圧留去した(ロートバップ冷却器にトリエチルアミンの添加)。このようにして得られた粗製物を、NaHCOの飽和溶液で中和し、酢酸エチルで抽出し(3回)、NaSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗製物の精製は、ヘキサン類中EtOAcの勾配を用い、幾つかのバッチにおけるカラムクロマトグラフィにより実施した。LC/MS=3.5分でM+H 362。
【0305】
(ステップ3 3−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−2−[(4−メチルピペラジニル)]−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オン(3)の合成)
【0306】
【化133】

2(1当量)および4−メチルピペラジン(3当量)の2mL NMP溶液を80℃に加熱した。18時間攪拌後、暗褐色溶液を酢酸エチルで希釈し、水で2回洗浄した。次に有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、さらに精製することなく次のステップに用いた。次いで化合物3を、本明細書に記載された方法を用いて実施例69に変換した。この方法では、暗色油が生成し、少量のNMPが生成物に残る可能性がある。幾つかの類縁化合物の形成には、3当量のジイソプロピルアミンの添加が必要であった。以下の表に特定されている実施例67、70、72、74、75、79、および81を調製するために同様の化学が用いられた。
【0307】
(実施例3a 2−[(2,4−ジフルオロフェノキシ)メチル]−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オンの合成)
【0308】
【化134】

アセトン中、2,4−ジフルオロフェノール(2.5当量)を、2−(クロロメチル)−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オン(2a)に加え、8時間還流した。次にこの溶液を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮して2−[(2,4−ジフルオロフェノキシ)メチル]−3−メチル−7−ニトロ−3−ヒドロキナゾリン−4−オンを定量的に得た。次いで化合物3aを、本明細書に記載された方法を用いて実施例88に変換した。この方法では、暗色油が生成し、少量のNMPが生成物に残る可能性がある。幾つかの類縁化合物の形成は、3当量のジイソプロピルアミンの添加が必要であった。以下の表に特定されている実施例68、89、92、93、94、95、96、97、98、および100を調製するために同様の化学が用いられた。
【0309】
(方法6 3−[2−(2−フルオロ−メトキシフェニル)エチル]−7−ニトロベンゾ[d]1,2,3−トリアジン−4−オンの合成)
【0310】
【化135】

ベンズアミド(1)(3.42mmol)、水(40mL)、および濃HCl(12mL)の混合物を氷浴で冷却し、NaNO(3.6mmol)の水(5mL)溶液を、滴下しながら加えた。この混合物を1時間攪拌し、20mLの10N NaOHを加えた。さらに1時間攪拌を続け、反応液をAcOHで中和し、メチレンクロリドで抽出し、MgSOで乾燥した。粗製物をシリカクロマトグラフィ(30%EtOAc/ヘキサン類)にかけ、所望の生成物を黄色固体として得た。次に精製された化合物を、本明細書に記載された方法を用いて実施例102に変換した。
【0311】
(方法7 6−アミノ−2−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−2−ヒドロイソキノリン−1−オンの合成)
(ステップ1)
【0312】
【化136】

二酸A(1当量)を、還流冷却器およびディーンスタークトラップを具備したフラスコに加え、乾燥トルエンで充填された。混合物を加熱還流してから、2−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エチルアミンB(1当量)を加えた。反応液を一晩還流し続けてから、トルエンをロータリー蒸発により除去した。酢酸エチル/ヘキサン類を用いるフラッシュクロマトグラフィによる精製によって、生成物Cを30%収率で得た。
【0313】
(ステップ2)
【0314】
【化137】

イミド(C)をCHClに溶解し、−78℃に冷却した。3当量のDIBAL(CHCl中1M)を加え、−78℃で1時間攪拌した結果、LC/MSにより反応完了を示した。次に溶液をエーテルで希釈し、10当量のNaFおよび4当量の水を加えてから、反応液を1時間攪拌した。次いで反応液をCelite(登録商標)を通してろ過し、粗製ピリドンアミン(D)を得た。次に化合物Dを、本明細書に記載された方法を用いて実施例103に変換した。最後の表に特定されている実施例104を調製するために同様の化学が用いられた。
【0315】
(ピペラジノンとチオ尿素とのカップリング例)
((3S)−N−{3−[2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−4−オキソ−2−ピリジン−3−イル−3,4−ジヒドロキナゾリン−7−イル}−3メチル−5−オキソ−N’−[(1S,2S,3S,5R)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシミダミド(実施例216)の合成)
【0316】
【化138】

チオ尿素(1)(7.96g、3.07mmol)および6−メチルピペラジン−2−オン(0.525g、4.60mmol)のTHF(50mL)溶液を、PS−CDI(6.5mmol、5.0gの1.3mmol/g樹脂)で処理し、80℃で13時間加熱した。反応液をろ過し、樹脂をTHFで洗浄した。次に粗製物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(MeOH/CHCl中0〜5%2.0N NH)により精製して1.55gの標題化合物(実施例216)を黄褐色固体として得た。
【0317】
下記のとおり、以下の表中の化合物は、当業者により容易に認識できる市販の出発物質から本明細書に記載されている方法論を用いるか、または公知の合成法を用いることにより調製された。例えば、実施例11は、スキーム1aに記載された方法論および適切なアミノインダノールを用いて調製された。ヒドロキシメチル置換アリールアルキル基を含む実施例14および18はまた、適切なアミノアルコールを用いてスキーム1aの一般的方法論を用いて調製された。N−シアノ置換ピペラジン化合物の実施例36は:第1に、2,6−トランスジメチルピペラジンのモノ−Boc保護;第2に、モノ−Boc保護された化合物を、臭化シアン(2.5当量)とHunig塩基(1.1当量)によって処理すること;第3に、生じたニトリルピペラジン化合物をシリカゲル上で精製すること;第4に、精製化合物を脱保護すること;第5に、生じた精製ニトリルトランスジメチルピペラジン化合物を本明細書に記載された方法を用いて反応させて実施例36を製造すること、により調製された。実施例73および76などの化合物は、メタクリル酸および酢酸の適切なアミド類により方法2の手法を用いて調製された。
【0318】
以下の表中の化合物は、上記の手法、方法、および実施例に記載された方法論を用いて調製された。合成に用いられた出発物質は、当業者に認識でき、市販されているか、または公知の方法を用いて調製できる。種々のグアニジン化合物の合成は、当業界に公知である。このような合成情報は、以下の引用文献に見ることができ、その各々は、本明細書に十分に記載されているように参照としてその全体が本明細書に組み込まれている:国際出願PCT第02/18327号;国際出願PCT第03/099818号;米国特許出願第09/945,384号;米国特許出願第10/444,495号;米国特許仮出願第60/230,565号;米国特許仮出願第60/245,579号;米国特許仮出願第60/282,847号;米国特許仮出願第60/353,183号;米国特許仮出願第60/353,188号;米国特許仮出願第60/382,762号;米国特許仮出願第60/441,019号;米国特許仮出願第60/473,317号;米国特許仮出願第60/523,336号;および米国特許仮出願第60/524,491号。
【0319】
【化139】

【0320】
【化140】

【0321】
【化141】

【0322】
【化142】

【0323】
【化143】

【0324】
【化144】

【0325】
【化145】

【0326】
【化146】

【0327】
【化147】

【0328】
【化148】

【0329】
【化149】

【0330】
【化150】

【0331】
【化151】

【0332】
【化152】

【0333】
【化153】

【0334】
【化154】

【0335】
【化155】

【0336】
【化156】

【0337】
【化157】

【0338】
【化158】

【0339】
【化159】

【0340】
【化160】

【0341】
【化161】

【0342】
【化162】

【0343】
【化163】

【0344】
【化164】

【0345】
【化165】

【0346】
【化166】

【0347】
【化167】

【0348】
【化168】

【0349】
【化169】

【0350】
【化170】

【0351】
【化171】

【0352】
【化172】

【0353】
【化173】

【0354】
【化174】

【0355】
【化175】

【0356】
【化176】

【0357】
【化177】

【0358】
【化178】

【0359】
【化179】

【0360】
【化180】

【0361】
【化181】

【0362】
【化182】

【0363】
【化183】

【0364】
【化184】

【0365】
【化185】

【0366】
【化186】

【0367】
【化187】

【0368】
【化188】

【0369】
【化189】

【0370】
【化190】

【0371】
【化191】

【0372】
【化192】

【0373】
【化193】

【0374】
【化194】

【0375】
【化195】

【0376】
【化196】

【0377】
【化197】

【0378】
【化198】

【0379】
【化199】

【0380】
【化200】

【0381】
【化201】

【0382】
【化202】

【0383】
【化203】

【0384】
【化204】

【0385】
【化205】

【0386】
【化206】

【0387】
【化207】

【0388】
【化208】

【0389】
【化209】

【0390】
【化210】

【0391】
【化211】

【0392】
【化212】

【0393】
【化213】

【0394】
【化214】

【0395】
【化215】

(HPLC法)
(HPLC法A 半極性法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、15%メタノールから100%メタノールで3.5分かけて、次に100%メタノールで1分かけて行った。カラムは、50℃に加熱し、流速は1.5mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0396】
(HPLC法B 半極性法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、15%メタノールから100%メタノールで5分かけて、次に100%メタノールで1分かけて行った。カラムは、室温であり、流速は1mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0397】
(HPLC法C 極性法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、2%メタノールから100%メタノールで5分かけて、次に100%メタノールで1分かけて行った。カラムは、室温であり、流速は1mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0398】
(HPLC法D 極性法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、2%メタノールから100%メタノールで3.5分かけて、次に100%メタノールで0.5分かけて行った。カラムは、室温であり、流速は1.5mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0399】
(HPLC法E 極性法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、2%メタノールから100%メタノールで5分かけて、次に100%メタノールで1分かけて行った。カラムは、室温であり、流速は0.8mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0400】
(HPLC法F 標準法)
本法は、SynergiMax−RP(50×2.0mm)カラム(4μm粒径)上に3μLのサンプルの注入により達成された。溶出は、10%メタノールから100%メタノールで3分かけて、次に100%メタノールで1分かけて行った。カラムは、室温であり、流速は2.0mL/分であった。水は0.1容量%のギ酸を含み、メタノールは、0.075容量%のギ酸を含んだ。DADスキャンは、220nmから400nmまで採取された。
【0401】
試験化合物のEC50値は、MC4−Rを発現する細胞を試験化合物で処理して細胞を溶解し、Amersham−Pharmacia RPA−559 cAMP Scintillation Proximity Assay(SPA)キットで細胞間cAMP濃度を測定することにより判定された。試験化合物のEC50値はまた、参照としてその全体が本明細書に組み込まれており、全ての目的のために本明細書に十分記載されている、Goetzらにより報告されている以下の方法を用いて判定された。Goets,A.G.;Andrews J.L.;Littleton,T.R.;Ignar,D.M.DEVELOPMENT OF A FACILE METHOD FOR HIGH THROUGHPUT SCREENING WITH REPORTER GENE ASSAYS J.Biomolec.Screening、5、377−384頁(2000)。ヒトMC1R、MC3R、MC4R、およびMC5R(ジーンバンク登録番号X65634、LO6155、S77415およびU08353)を発現するCHO−6xCRE−luc+レポーター細胞系およびCHO宿主レポーター遺伝子細胞系は、T225フラスコ内の完全培地で増殖させた。アッセイ48時間前、細胞を2mLの0.05%トリプシンにより収穫し、完全培地により洗浄し、完全培地中4000個の細胞/ウェルの濃度で平板培養した。アッセイ16時間前、培地を細胞から除き、90μL/ウェルの血清無しのDMEM/F12と取り替えた。アッセイ時に、アゴニストを10μL容量で添加し、プレートを、細胞培養インキュベータ中、37℃で4時間温置した。培地を吸引し、Luclite(商標)および1mM CaClと1mM MgClとを含有するdPBSの1:1混合物の50μLを添加した。次にプレートを密閉し、室温で10分間暗順応に供してから、3秒/ウェルカウント時間を用いるTopCount(商標)マイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard)を用いてルシフェラーゼ活性を定量化した。NDP−αMSH濃度−応答曲線データは、各受容体サブタイプのNDP−αMSHコントロールにおける刺激の倍数パーセンテージとして表された。コントロール値は、1×10−7M NDP−αMSHで処理された二重反復試験ウェルの平均値である。
【0402】
上記の化合物を合成し、上記のアッセイ法に従って試験した。実施例の各々は、約−3超の−log EC50値を示した。この理由で、代表的な化合物の各々は、個々に好ましく、かつ群として好ましい。これらの化合物の命名は、Advanced Chemistry Development社から入手できるACD命名版5.07ソフトウェア(2001年11月14日)およびChemInnovation Software社から入手できるChemInnovation NamExpert+Nomenclator(商標)ブランドソフトウェアを用いて提供された。出発物質の幾つかは、標準的なIUPAC命名法を用いて命名された。実施例の化合物は、例証であり、いずれの様式も本発明を限定するものとして解釈してはならない。
【0403】
(エネルギー摂取、体重、高インスリン血症、および血糖値に対するMC4−Rアゴニストのインビボ試験)
インビボ試験は、エネルギー摂取、体重、高インスリン血症、および血糖値に対するMC4−Rアゴニストの効果を見るために実施する。全ての試験は、肥満症の早期発症、インスリン耐性およびレプチン欠乏による糖尿病を示すオスの9〜10週齢ob/obマウスにより実施する。マウスは、試験1週間前に施設で馴化させ、個々にケージに入れて飼育する。媒体処置(コントロール)および薬物処置マウスの試験は、常時平行して行う。複数日試験において、マウス(1群につき8〜15匹)は、ベースラインの体重、ブドウ糖、インスリン、血中脂質の空腹時濃度、エネルギー消費をモニターしてから、本発明のMC4−Rアゴニストの3mg/kgを1日2回(午前9時および午後5時)、4週間注射する。体重ならびに飼料および水の摂取を毎日モニターする。動物は、週に一度、試験の終了までブドウ糖、インスリン、および脂質の空腹時濃度測定のために一晩絶食させる。エネルギー消費(安静時代謝率、すなわち、O消費量およびCO産生量)は、給餌動物に対する試験終了時に気密チャンバ内でモニターする。O消費量およびCO産生量は、Oxymaxシステム(Columbus Instruments)を用いて測定する。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT−糖尿病および糖不耐性)は、試験終了時に一晩絶食マウスに対して実施する。血糖および経口耐糖性は、非エステル化遊離脂肪酸酵素アッセイ(Wako Chemicals)を用いて測定される。血清インスリン濃度は、免疫アッセイ(Alpco)により測定する。
【0404】
(結果)
飼料摂取に対する本発明の化合物の効果は、4週の試験を通してグラム/マウス/日を測定することにより判定する。飼料を毎朝モニターする。累積飼料摂取は、試験期間中のマウス消費の全グラム量を表す。本発明の化合物によりIP処置されたこれらのマウスにおいて、飼料摂取の有意な減少が立証される。
【0405】
体重に及ぼす本発明の化合物の効果は、4週の試験を通してグラム/マウスを測定することにより判定する。マウスを毎朝モニターする。本発明の化合物によりIP処置されたこれらのマウスにおいて、有意な体重減少が立証される。
【0406】
血糖値に対する本発明の化合物の効果は、血糖mg/dLとして表される血糖値を測定することにより判定する。マウスは一晩絶食させ、糖濃度を翌朝測定する。媒体処置マウスは、このマウス系統において糖尿病の急速な進行と一致する血糖増加を示すが、一方、薬物処置マウスにおいて、糖尿病はかなり減速する。本発明の化合物によりIP処置されたこれらのマウスにおいて、空腹時の糖濃度の有意な減少が立証される。
【0407】
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)時の糖濃度に及ぼす本発明の化合物の効果は、一晩絶食させたマウスにおける血糖を測定することにより判定される。血糖は、血糖mg/dLとして表される。血糖は、翌朝測定する。経口投与されたブドウ糖は、食事と同様に血糖を急速に上昇させ、この外因性の糖に対する応答は、身体が糖ホメオスタシスをどれだけ十分に制御しているかという尺度を示す。媒体処置マウスは、糖尿病状態と一致する糖に対する応答上昇を示すが、一方、薬物処置マウスは、ブドウ糖処理の極めて大きな改善を示す。
【0408】
遊離脂肪酸(FFA)に及ぼす本発明の化合物の効果は、血清のFFA mmoles/Lを測定することにより判定される。マウスを一晩絶食させ、遊離脂肪酸濃度を翌朝測定する。媒体処置マウスは、この試験を通して肥満状態と一致したFFAの濃度上昇を示すが、一方、薬物処置マウスの糖尿病は、劇的な減少を示す。
【0409】
血清インスリン濃度に及ぼす本発明の化合物の効果は、一晩絶食ob/obマウスにおいて1mg/kgおよび3mg/kgの単回IP投与1時間後の血清インスリン濃度を測定することにより判定される。血清インスリン濃度は、血清のインスリンng/mLとして表される。薬物処置マウスは、媒体に比して用量依存的減少を示す。
【0410】
(t1/2、Cmax、FI、生物学的利用能、Cl、Vss、および夜間効力の判定)
被験体動物における本発明の化合物の効果を見るためにインビボ試験を実施した。到着時20グラム体重のオスCD−1マウスを、これらの試験に用いた。HPMC/ツイーン溶液または懸濁液中の30mg/kgの化合物を、経口胃管を経て投与した。血漿、脳、および肝臓サンプルを、投与後1時間、2時間、4時間、8時間、および24時間の時点で採取した。1時点当り1匹のマウスを用いた。したがって、試験された各化合物に5匹のマウス全部を用いた。サンプル採取のため、マウスはCOで安楽死させた。血液サンプルは、心臓穿刺により採血し、氷上に保存した。脳および肝臓サンプルは、放血直後に採取し、サンプルをドライアイス上に保存した。組織半減期(t1/2)の算出のため、組織濃度−時間プロフィルの終末相の対数線形回帰傾斜の絶対値により終末速度定数kを推定した。組織半減期(t1/2)は、ln(2)/kである。
【0411】
6〜9週齢のオスC57BL/6Jマウスを、これらの試験に用いた。マウスは、少なくとも試験前5日間1匹ずつケージ飼いした。暗サイクルの開始2.5時間前に、飼料をケージ上部から除いた。マウスは、暗サイクルの開始2時間前に経口胃管を介して、本発明の化合物(媒体としてHPMC/ツイーン中)または媒体を投与した。暗サイクルの開始直前に、予め計量された飼料を各マウスに与えた。飼料は、飼料導入16時間後および24時間後に計量して累積飼料摂取値を得た。次にマウスをCOで安楽死させ、次いで頚椎脱臼を行った。
【0412】
以下の表は、経口投与後に得られた血漿、脳、腎臓および肝臓に関するt1/2データを含む。
【0413】
【化216】

【0414】
【化217】

本明細書に引用された全ての引用文献は、参照としてそれらの全体が本明細書に組み込まれており、全ての目的のため本明細書に十分に記載されている。
【0415】
本発明は、例証のために本明細書に記載された実施形態に限定されず、以下の請求項の範囲内に入るような形態全てを包含することが解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IA、IB:
【化1】

ここで、式中
が、置換または非置換のアリールアルキル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換または非置換のシクロアルキルアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、または置換または非置換のアルキル基から選択され;
が、Hあるいは置換または非置換のアリールアルキル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルキルアミノ基、置換または非置換のジアルキルアミノ基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換または非置換のシクロアルキルアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、または置換または非置換のアルキル基から選択され;
、R、およびRが、独立して、H、Cl、I、F、Br、OH、NH、CN、NO、あるいは置換または非置換のアルコキシ基または置換または非置換のアルキル基から選択され;
3’が、Hあるいは置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のヘテロアリール基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のヘテロシクリルアルキル基、置換または非置換のアリールアルキル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、または置換または非置換のシクロアルキルアルキル基から選択され;そして
Zが、さらに置換され得る、式
【化2】

のピペラジノンから選択される、の化合物、またはそれらの混合物、あるいは該化合物の薬学的に受容可能な塩類。
【請求項2】
、R、およびRが全てHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3’が、置換または非置換の多環式シクロアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3’が、式II
【化3】

の置換または非置換の多環式シクロアルキル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、置換または非置換のアリールアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、置換フェニルエチル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、4−置換フェニルエチル基であるか、または2,4−ジ置換フェニルエチル基である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−メトキシフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、または4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
が、フェニルエチル基、2,4−ジクロロフェニルエチル基、4−メトキシフェニルエチル基、4−フェノキシフェニルエチル基、4−ブロモフェニルエチル基、4−メチルフェニルエチル基、4−クロロフェニルエチル基、4−フルオロフェニルエチル基、4−エチルフェニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、2−メトキシフェニルエチル基、2−クロロフェニルエチル基、2−フルオロフェニルエチル基、3−メトキシフェニルエチル基、3−フルオロフェニルエチル基、チエニルエチル基、インドリルエチル基、4−ヒドロキシフェニルエチル基、3,4−ジメトキシフェニルエチル基、2−クロロ−4−ヨードフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニルエチル基、4−クロロ−2−フルオロフェニルエチル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニルエチル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニルエチル基、2−トリフルオロメチル−4−フルオロフェニルエチル基、2,4−ジフルオロフェニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルエチル基、2,4−ジメトキシフェニルエチル基、(2−ピリジル)エチル基、(3−ピリジル)エチル基、(4−ピリジル)エチル基、(ピリジル)(ヒドロキシメチル)エチル基、または(フェニル)(ヒドロキシメチル)エチル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、置換または非置換のヘテロシクリル基、あるいは置換または非置換のヘテロアリール基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピペリジニル基、置換または非置換のピペラジニル基、置換または非置換のモルホリニル基、置換または非置換のチオモルホリニル基、置換または非置換のテトラヒドロフラニル基、置換または非置換のフラニル基、置換または非置換のピロリジニル基、置換または非置換のピロリル基、置換または非置換のチオフェニル基、置換または非置換のテトラヒドロチオフェニル基、置換または非置換のピラニル基、置換または非置換のテトラヒドロピラニル基、置換または非置換のテトラヒドロチオピラニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のチアゾリル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のキヌクリジニル基、置換または非置換のインドリル基、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のテトラゾリル基、または置換または非置換のピリダジニル基から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、さらに置換されていてもよいし、非置換でもよい式
【化4】

のヘテロアリール基またはヘテロシクリル基から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、さらに置換されていてもよいし、非置換でもよい式
【化5】

のアリール基またはシクロアルキル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Zが、式
【化6】

のピペラジノンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Zが、式
【化7】

のピペラジノンである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
薬学的に受容可能なキャリアおよび請求項1に記載の化合物を含む、薬学的処方物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物を、MC4−R媒介性疾患の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する、MC4−R媒介性疾患を処置する方法。
【請求項18】
前記疾患が、肥満症またはII型糖尿病である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、高血液灌流を有する組織において35時間未満のt1/2値を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記高血液灌流を有する組織が、脳、肝臓、腎臓または心臓から選択される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511612(P2007−511612A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541565(P2006−541565)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/039020
【国際公開番号】WO2005/051391
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【出願人】(505408745)
【出願人】(506168808)
【出願人】(506168565)
【Fターム(参考)】