説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 複数の現像手段に対してそれぞれ現像剤を補給する手段を備えた現像装置において、複数の現像手段を有する回転体に、トルク変動による振動を伝達させない。
【解決手段】 回転体5に連結されて回転体5と同期回転するように設けられた、複数の現像器2に対してそれぞれ現像剤が搬送される現像剤搬送経路が構成された回転部材21を備え、回転体5の回転中心と、回転部材21の回転中心との偏角を許容する自動調心軸受82を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録媒体上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタ、あるいは、ファクシミリ装置などの電子写真方式を利用した画像形成装置に関し、特に、これらの装置に備えられる現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー複写機等においては、複数の現像器を回転体に搭載し、その回転体を回転駆動することにより所望の現像器を感光ドラム等の像担持体に対向する現像位置に移動させて現像を行う画像形成装置が用いられることが多い。特に、現像剤を各現像器に補給するタイプの画像形成装置も多く、その補給構成においては様々な構成が用いられてきた。その中で、現像を行いながら現像剤としてトナーの補給を行う構成のトナー補給装置が特許文献1において提案されている。
【0003】
以下、この従来のトナー補給装置について説明する。図11は、従来のトナー補給装置を備えて多色現像を行う現像装置の概略断面図である。
【0004】
図11に示すように現像装置5001は、イエロー用現像器5002a,マゼンタ用現像器5002b,シアン用現像器5002cおよび黒用現像器5002dからなる4個の現像器を備えている。各現像器5002a〜5002dは、それぞれイエロー用現像スリーブ5003a,マゼンタ用現像スリーブ5003b,シアン用現像スリーブ5003c,黒用現像スリーブ5003dを有する。そして、これらの各現像器5002a〜5002dは、それぞれ回転体5005に、回転体5005の周方向に配設されている。この回転体5005は、その中心の回転軸により回転可能に画像形成装置の本体(不図示)に支持されている。
【0005】
図12は、従来のトナー補給装置を説明する図である。
【0006】
図12に示すように、現像装置5001におけるトナー補給装置5011は、以下の3つから構成される。
(1)トナー供給手段5012。
(2)現像装置5001の回転体5005外に配設されたトナー供給手段5012からのトナーを後述の第2トナー搬送手段へ搬送する第1トナー搬送手段5013。
(3)前記回転体5005に配設されて第1トナー搬送手段5013から搬送されてくるトナーを各現像器5002a〜5002dへ搬送する第2トナー搬送手段5014。
【0007】
トナー供給手段5012はトナー各色ごとにトナー供給手段としてのホッパおよびバッファを備えている。そして、それぞれイエロー用ホッパ5015a,マゼンタ用ホッパ5015b,シアン用ホッパ5015cおよび黒用ホッパ5015dが設けられている。そして、これらの各ホッパの下にそれぞれイエロー用バッファ5016a,マゼンタ用バッファ5016b,シアン用バッファ5016cおよび黒用バッファ5016dが設けられている。また、各ホッパ5015a〜5015dの上には、それぞれ各色毎にトナーカートリッジ5017a,5017b,5017cおよび5017dが交換可能に設置される。
【0008】
第1トナー搬送手段5013は各色毎に第1トナー搬送部を備えている。それらは、イエロー用第1トナー搬送部5013a,マゼンタ用第1トナー搬送部5013b,シアン用第1トナー搬送部5013c,黒用第1トナー搬送部5013dである。そして、各第
1トナー搬送部5013a〜5013dには各トナーを第2トナー搬送手段5014の方へ搬送するためのスクリューがそれぞれ配設される。図12中には5019aのイエロートナー用搬送スクリューが例示してある。また各第1トナー搬送部5013a〜5013dの端には開口が、各々第2トナー搬送手段内における円筒状のカバー5020のトナー受け口に接続されている。図12にはイエロー用カバー5020aが例示してある。
【0009】
この各色のトナー受け口は各第1トナー搬送部5013a〜5013dに対応して、図12の紙面に直交する方向(軸方向)に並設されている。
【0010】
ここで、従来の第2トナー搬送手段について図11,図12および図13を用いて説明する。図13は従来の第2トナー搬送手段を説明する図である。
【0011】
第2トナー搬送手段5014は、図11に示した回転体5005に一体的に連結されて同期回転する回転部材を有する。図13に示すように、この回転部材は5個の部材5021a,5021b,5021c,5021dおよび5021eを軸方向に重ね合わせることにより形成されている。
【0012】
そして、回転部材5021a〜5021dは、カバーにより覆われている。このカバーは5個のカバー部材5020a,5020b,5020c,5020dおよび5020eを軸方向に重ね合わせ、画像形成装置本体の側板5099に連結固定されている。
【0013】
この第2トナー搬送手段5014は、図11中の、イエロー用第2トナー搬送部5023a,マゼンタ用第2トナー搬送部5023b,シアン用第2トナー搬送部5023cおよび黒用第2トナー搬送部5023dを備える。図12に示すように、各第2トナー搬送部の先端は、イエロー用トナー搬送入口部5022a,マゼンタ用トナー搬送入口部5022b,シアン用トナー搬送入口部5022cおよび黒用トナー搬送入口部5022dとそれぞれが接続されている。そして、これらの各トナー搬送入口部5022a〜5022dは、回転部材5021が回転することで、カバー5020a〜5020dに設けられているトナー受け口に順次対向可能である。例えば、イエロー用トナー搬送入口部5023aがイエロー用カバー5020aに備えられたトナー受け口に順次対向可能である。
【0014】
なお、図12においては各トナー搬送入口部5022a〜5022dが平面的に示されている。しかし、実際には図12,13に示すように各トナー搬送入口部5022a〜5022dは、それぞれ各第1トナー搬送部5013a〜5013dに対向するように、回転部材の回転軸長手方向に並設されている。そして、現像位置Dにある現像器におけるトナーの色に対応するトナー搬送入口部がそのトナー色のトナー受け口に対向するようになっている。したがって、現像器が現像位置Dにある時のみ、トナーが補給できるとしている。
【0015】
図13に示すように、イエロー用第2トナー搬送部5023aには、イエロー用現像器5002aへイエローのトナーを供給するためのイエロー用のトナー供給口5026aが設けられている。そして、このトナー供給口5026aは、イエロー用現像器5002aに設けられる、図11中のトナー補給口5027aに常時対向するようになっている。この構成は他の色についても同じである。
【0016】
また、カバー5020a〜5020eの内周面と回転部材5021a〜5021eの外周面との間には間隙が形成されている。そして、各色のトナーの混合を防止するために、上記間隙を、回転部材5021a〜5021eに形成された仕切り壁5028a〜5028eにより仕切るようにしている。そして、これらの仕切り壁5028a〜5028eとカバー部材5020a〜5020eとの間を、ゴム等からなるシール部材5029a〜5029dによりシールしている。こうして、カバー部材5020a〜5020eの内周面と回転部材5021a〜5021eとの外周面との間に、各色毎に独立した環状室5033a〜5033dが形成されている。
【0017】
また、各シール部材5029a〜5029dの侵入量規制のためシール部材5029a〜5029dに隣接して、仕切り壁5028a〜5028eとの間にスペーサ部材5034a〜5034eを介設している。
【0018】
ここで、上記スペーサ部材のうち、5034b,5034c,5034dは、各スペーサ部材の図中左右の隣り合う環状室を仕切るために、左右の隣り合う環状室同士で共通に用いられている。また、仕切り壁5028b〜5028dも図中左右の隣り合う環状室を仕切るために、隣り合う環状室同士共通に用いられている。
【0019】
また、カバー5020a〜5020dを軸方向に連結するとともに本体に固定する固定ネジ5032の頭部とカバー5020eとの間に、スプリング5035を介設している。
【特許文献1】特開平6−83196号公報(第4頁〜第7頁、図1〜5、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記従来技術の場合には、以下のような欠点があった。
【0021】
(1)上記回転部材は上記現像器が備えられる回転体に対して各部材が積み重ねられて構成されている。この構成において、画像形成装置本体の側板とは反対側の回転部材の先端部では、位置精度が保ちにくく、回転部材が上記回転体に対して傾きを生じやすい。ここで、カバーとスペーサ部材により、回転部材とカバーのギャップを保持してシール性を保つことができるとしている。しかし、この状態で回転体ならびに回転部材を回転させると、湾曲した回転軸を矯正して回転させることと同等なので、回転体が回転する際のトルク変動が生じる。これは画像形成装置本体内での振動要因となり、出力画像に振動起因のむらを生じさせる。
【0022】
(2)上記回転部材が分割されて軸方向に重ねた状態で構成される。しかし、回転部材が傾いた場合、各回転部材間でも相互の傾きが生じ易く、その各々に対してスペーサ部材を介して回転部材に設けられた仕切り壁とカバー内周面とのギャップを保持したまま各カバーも相互に動く。よって、図13中に示した各々のカバーとカバーが接する接触面5120b,5120cおよび5120dなどでの摺擦が生じ、トルクの増大、さらには長期使用における損傷などの原因となる。
【0023】
(3)上記回転部材が回転体の回転軸に対して傾いた際に各現像器のトナー補給口と第2トナー搬送部のトナー供給口との位置ずれを生じ、その個所でトナーが漏れ易い。
【0024】
(4)各回転部材およびスペーサ部材が隣り合う色のシール部材の接触部として共用されており、かつカバーが各色ごとに設けられているために、組み立てが困難である。それとともに、画像形成装置が使用されている期間内でのメンテナンスなどにおいて第2トナー搬送手段を分解した際に、各色トナーがカバーと回転部材の間で溜まっており、トナー飛散する可能性がある。
また、この構成で各回転部材の相互の傾きが生じた際に、単一のスペーサ部材によっては隣り合うカバーとのギャップが良好に保持できない場合があり、トナーのシール性の劣化を生じる。
【0025】
(5)カバーが側板にバネで押さえ付けられる一方で、回転部材の傾きが生じた場合に
は、スペーサ部材でカバーと回転部材のギャップが保たれる。その一方で、スペーサ部材と回転部材との摺擦接触部において、周方向で強く接する部分と弱く接する部分が生じてしまう。この状態で長期使用した場合には、スペーサ部材あるいは回転部材の仕切り壁が偏磨耗して上記ギャップが良好に保持できなくなり、シール性を悪化させることがある。
【0026】
(6)近年、4色現像に加えて、淡色のトナーあるいは特殊な色のトナーあるいは特殊な機能を持つトナーを用いる画像形成装置に対する市場の要望が高まっている。
【0027】
このような画像形成装置を構成する場合は、5つ以上の現像器を上記回転体に備える必要がある。その際には回転部材およびカバーの個数が増え、第2トナー搬送手段の軸方向長さが長くなる。この際には回転部材の傾きに関して、先端部の変位量が大きくなるため、上に示した(1)〜(4)の課題のうち磨耗やシール性劣化などの不具合の影響度が大きくなる。
【0028】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、回転体が回転する際に回転部材側のトルク変動を伝達させないことである。
【0029】
本発明の第2の目的は、さらに、相互のカバー間の摺擦を防ぎ、トルクの増大、さらには長期使用における損傷などを生じさせないことである。
【0030】
本発明の第3の発明の目的は、さらに、上記回転部材が回転軸に対して傾いた際に現像剤の漏れを防止することである。
【0031】
本発明の第4の目的は、さらに、現像剤飛散を防止することおよび、現像剤のシール性の劣化を防止することである。
【0032】
本発明の第5の目的は、さらに、スペーサ部材の偏磨耗を防止して長期使用時の現像剤のシール性を良好とすることである。
【0033】
本発明の第6の目的は、5つ以上の現像手段を回転体に備えた場合にも上記第1〜第5の目的を良好に達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
電子写真感光体ドラム上に形成された静電潜像を1つの現像位置にて現像する複数の現像手段と、
前記複数の現像手段が設けられた、前記複数の現像手段のうち1つの現像手段を前記現像位置に位置させるために回転する回転体と、
前記複数の現像手段に対してそれぞれ現像剤を補給する現像剤補給手段と、
を備えた現像装置において、
前記現像剤補給手段は、前記回転体に連結されて前記回転体と同期回転するように設けられた、前記複数の現像手段に対してそれぞれ現像剤が搬送される現像剤搬送経路が構成された回転部材を備え、
前記回転体の回転中心と、前記回転部材の回転中心との偏角を許容する偏角許容手段を備えたことを特徴とする。
【0035】
画像形成装置にあっては、電子写真感光体ドラムと、
前記電子写真感光体ドラムに現像作用を行う上記記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、回転体が回転する際に回転部材側のトルク変動を伝達させないようにすることが可能となる。さらに、相互のカバー間の摺擦を防ぎ、トルクの増大、さらには長期使用における損傷などを生じさせることがない。さらに、回転部材が回転軸に対して傾いた際に現像剤の漏れを防止できる。さらに、現像剤飛散を防止し、かつ、現像剤のシール性の劣化を防止できる。さらに、スペーサ部材あるいは回転部材の仕切り壁の偏磨耗を防止して長期使用時の現像剤のシール性を良好とできる。さらに、5つ以上の現像手段を回転体に備えた場合にも、上記した効果を良好に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。したがって、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0038】
以下、本発明の実施例1に係る画像形成装置について説明する。
【0039】
まず、本実施例の画像形成装置の動作について図7を用いて説明する。図7は本実施例の画像形成装置の概略断面図である。
【0040】
図示されているように、電子写真感光体ドラム(以下、感光ドラムという)101の周囲には、帯電ローラ103,露光装置104,現像装置1,濃度センサ106,転写ロール107およびクリーナ装置108が配置されている。
【0041】
現像装置1は、6色現像のための現像手段として、6台の現像器2a,2b,2c,2d,2eおよび2fから構成されている。
【0042】
感光ドラム101は帯電ローラ103で帯電された後、露光装置104によって画像データに応じた感光ドラム101上の位置を露光して潜像を形成する。各現像器は、それぞれ、感光ドラム101上の潜像をイエロー,マゼンタ,シアン,黒,淡シアンおよび淡マゼンタのトナーで現像する。ここで、各現像器は所謂2成分現像を行うものであり、各現像器内には現像剤として、トナーと磁性粒子であるキャリアが混載させられている。各色のトナーを現像する際には、当該色の現像器が感光ドラム101に近接するように位置合わせされる。図7は、例としてイエロー用現像器2aが感光ドラム101に近接している状態を例示している。
【0043】
感光ドラム101上に現像された各色のトナー像は、転写ロール107によって中間転写体としてのベルト109に順次転写され、6色のトナー像が重ね合わされる。ベルト109はローラ110,111,112,および113に張架されている。これらのうち、ロール113は図示しない駆動源に結合されてベルト109を駆動する駆動ロールとして機能し、ロール112は第2転写ロール114の対向ローラとして機能する。ベルト109を挟んでローラ113と対向する位置には、ベルトクリーナ115が設けられていて、ベルト109上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
【0044】
一方で記録紙カセット116,117からピックアップローラ118,119で搬送路に記録紙が引き出される。そして、記録紙は、ロール対125,121,122によって第2転写部である、第2転写ロール114とベルト109との当接部に給送される。ベルト109上に形成されたトナー像は、この第2転写部で記録紙上に転写され、定着装置123で熱定着されてトレイ124に排出される。
【0045】
感光ドラム101またはベルト109からクリーナ108および115で掻き落とされた廃トナーは不図示の廃トナー回収箱に回収される。
【0046】
次に、本実施例の画像形成装置内の現像装置を説明する。図2は、本実施例の6色現像装置の現像器を含む部分の概略断面を示す図である。
【0047】
図2に示すように、各現像器2a〜2fは、それぞれイエロー用現像スリーブ3a,マゼンタ用現像スリーブ3b,シアン用現像スリーブ3c,黒用現像スリーブ3d,淡シアン用現像スリーブ3e,淡マゼンタ用現像スリーブ3fを有する。そして、これらの各現像器2a〜2fは、それぞれ周方向に順に一つの回転体5に配設されている。この回転体5は、その回転中心の回転軸5aにより回転可能に支持されている。また、各現像器2a〜2fはそれぞれ攪拌スクリュー10a〜10f,10a’〜10f’を備えており、現像器内の現像剤であるトナーとキャリアの攪拌を行う。
【0048】
また、画像形成装置の動作の説明で述べたように、現像器2a〜2fは、それぞれ各該当色を現像する際には回転体5の回転により感光ドラム101に近接させられて現像位置Dに位置される。図2においては、イエロー用現像剤現像器2aが位置されている状態を例示的に示している。
【0049】
図3は、現像剤補給手段としての現像剤補給装置11を概略的に示す図である。
【0050】
図3に示すように、現像装置1における現像剤補給装置11は、以下の3つから構成される。
(1)現像剤供給手段12。
(2)図2中の回転体5外に配設された現像剤供給手段12からの現像剤を後述の第2現像剤搬送手段の方へ搬送する第1現像剤搬送手段13。
(3)回転体5に連結されて第1現像剤搬送手段13から搬送されてくる現像剤を各色の現像器2a〜2fへ搬送する第2現像剤搬送手段14。
ここで、第1現像剤搬送手段13は、本発明に係る現像剤搬送手段を構成している。
【0051】
現像剤供給手段12は、現像剤各色ごとに現像剤供給部としてホッパとバッファが設けられている。それぞれ、イエロー用ホッパ15a,マゼンタ用ホッパ15b,シアン用ホッパ15c,黒用ホッパ15d,淡シアン用ホッパ15eおよび淡マゼンタ用ホッパ15fがある。そして、これらの各ホッパの下にそれぞれイエロー用バッファ16a,マゼンタ用バッファ16b,シアン用バッファ16c,黒用バッファ16d,淡シアン用バッファ16eおよび淡マゼンタ用バッファ16fが設けられている。
【0052】
また、各ホッパ15a〜15fの上には、それぞれ各色毎に、現像剤収容部としての現像剤カートリッジ17a,17b,17c,17d,17eおよび17fが交換可能に設置される。この各カートリッジ17a〜17fには現像剤として、トナーとキャリアが混在した状態で各色ごとに収容されている。
【0053】
第1現像剤搬送手段13は色毎にイエロー用第1現像剤搬送部13a,マゼンタ用第1現像剤搬送部13b,シアン用第1現像剤搬送部13c,黒用第1現像剤搬送部13d,淡シアン用第1現像剤搬送部13e,淡マゼンタ用第1現像剤搬送部13fが設けられている。そして、各第1現像剤搬送部13a〜13fには現像剤を第2現像剤搬送手段14の方へ搬送するためのスクリューがそれぞれ配設される。符号の無い第1現像剤搬送部の位置関係は図1を用いて後述する。図3にはイエロー用現像剤を搬送するスクリュー19aを例示している。また各第1現像剤搬送部13a〜13fの端には開口があり、その各
々が円筒状のカバー20の現像剤受け口に接続されている。
【0054】
上記現像剤受け口は、各第1現像剤搬送部毎に図3において紙面に直交する方向(軸方向)に並設されている。
【0055】
ここで、第2現像剤搬送手段について、図1および図3によって説明する。図1は本実施例の第2現像剤搬送手段14を説明する図である。
【0056】
第2現像剤搬送手段14は回転体5に連結されて同期回転する回転部材21を有している。この回転部材21と回転体5の連結部、および駆動伝達の方法に関しては後述する。
【0057】
図1に示すように、この回転部材21は6個の回転部材21a,21b,21c,21d,21eおよび21fを軸方向に並べて位置決めされている。そして、さらに各回転部材を貫通する回転部材貫通軸(回転軸)81を設け、回転部材21a〜21fの回転中心に位置している後述する孔部に嵌合され、各々が正確に調心されている。
【0058】
そして、回転部材貫通軸81の回転体5側の支持は偏角許容手段としての自動調心軸受82によって支持され、他方は軸受などを備えた貫通軸保持部材83によって支持されている。また、積み重ねられた回転部材21は貫通された軸に取り付けられた押え部材85によって重ねた状態を保持している。
【0059】
そして、回転部材21は、図1に示す通り、画像形成装置本体の側板99に固定されたカバー20により覆われている。このカバー20は6個のカバー部材20a,20b,20c,20d,20eおよび20fを軸方向に重ね合わせ、連結固定されている。この固定方法は従来例と同じくバネを介してネジで画像形成装置本体の側板99に押し付けて構成している。すなわち、カバー20を軸方向に重ねるとともに本体に固定する固定ネジ32の頭部とカバー20との間に、スプリング35を介設している。
【0060】
図1および図3に示される第2現像剤搬送手段14には、現像剤の各色毎にイエロー用第2現像剤搬送部23a,マゼンタ用第2現像剤搬送部23b,シアン用第2現像剤搬送部23c,黒用第2現像剤搬送部23d,淡シアン用第2現像剤搬送部23eおよび淡マゼンタ用第2現像剤搬送部23fが設けられている。ここで、第2現像剤搬送部23a〜23fは、本発明に係る現像剤搬送部を構成している。
【0061】
図3に示すように、各第2現像剤搬送部23a〜23fの先端は、イエロー用現像剤搬送入口部22a,マゼンタ用現像剤搬送入口部22b,シアン用現像剤搬送入口部22c,黒用現像剤搬送入口部22d,淡シアン用現像剤搬送入口部22eおよび淡マゼンタ現像剤搬送入口部22fと接続されている。これらの各現像剤搬送入口部22a〜22fは、それぞれカバー20a〜20fに設けられている各々の現像剤受け口に対向可能としてある。
【0062】
図3中には例として、カバー20aに設けられた現像剤受け口120aおよび回転部材21aに設けられたイエロー用現像剤搬送入口部22aの概略断面が示されている。図1中で、イエロー用現像剤搬送入口部22aはイエロー用第2現像剤搬送部23aに現像剤搬送が可能なように繋げられて設けられている。このイエロー用第2現像剤搬送部23a内部にはイエロー用現像剤搬送用スクリュー24aが設けられている。この搬送用スクリュー24aは不図示の駆動手段によって回転駆動させられる。また、イエロー用現像器2aが現像位置Dにあるときは、搬送用スクリュー24aが回転させられ、図3中のイエロー用現像器2a側へ現像剤が搬送されるように駆動される。これは他の色の現像剤搬送部についても同様の構成である。
【0063】
なお、図3においては各現像剤搬送入口部22a〜22fが平面的に示されている。しかし、実際には図1に示すように各現像剤搬送入口部は、それぞれ第1現像剤搬送手段13の各々の第1現像剤搬送部13a〜13fに対向可能となるように軸方向に並設されている。ここで、黒用第1現像剤搬送部は13d,淡シアン用第1現像剤搬送部は13eである。また、図3上で、これらの各現像剤搬送入口部22a〜22fは、周方向に60度ずつ位相がずれて配設されている。そして、現像位置Dにある現像器に対応する現像剤搬送入口部がカバー上の現像剤受け口に対向するようになっている。図2,図3上では例としてイエローの画像を現像している状態を示している。
【0064】
以上の構成から、現像器が現像位置Dにある時のみ、現像剤が補給できる。
【0065】
図1および図2に示すように、イエロー用第2現像剤搬送部23aには、イエロー用現像器2aへイエローの現像剤を供給するためのイエロー用現像剤供給口26aが設けられている。そして、このイエロー用現像剤供給口26aは、イエロー用現像器2aの現像剤補給口27aに常時対向するようになっている。この現像剤補給口27aは現像位置Dに現像器2aが位置した時に現像器2a内の2本のスクリュー10a,10a’のうち現像スリーブ3aと近接する側でない方のスクリュー10a位置に現像剤を補給する位置に備えられている。
【0066】
このイエローの現像剤の搬送状態をまとめて説明する。イエロー用現像剤カートリッジ17aのイエローの現像剤は、ホッパ15a,バッファ16a,第1現像剤搬送部13a,現像剤受け口120a,現像剤搬送入口部22a,第2現像剤搬送部23a,現像剤供給口26aおよび現像器2aの現像剤補給口27aを通って、イエロー用現像器2a内に供給される。他の色の現像剤搬送状態についても同じである。
【0067】
ところで、各カバー20a〜20fの内周面と各回転部材21a〜21fの外周面との間には間隙が形成されている。図1に示すように各色のカバーの現像剤受け口および回転部材の各現像剤搬送入口部の間を、回転部材21に一体に形成された仕切り壁28a〜28fにより仕切るようにしている。各色の現像剤の混合を防止するためである。この仕切り壁は現像剤搬送入口部22a〜22fを挟んでそれぞれ両側に設けられている。そして、これらの仕切り壁28a〜28fと各カバー20a〜20fとの間を、金属のリングと一体成型で設けたゴムシールからなるシール部材29a,29b,29c,29d,29eおよび29fによりシールしている。こうして、カバー部材20a〜20fの内周面と各回転部材21a〜21fの外周面との間に、それぞれ各色毎に独立した環状室33a,33b,33c,33d,33eおよび33fが形成されている。
【0068】
また、各シール部材29a〜29fが軸方向に傾くことを防止してそれらのシール性を向上させ、回転部材21を回動可能に支持するために、スペーサ部材34a〜34eおよび34fを各回転部材の仕切り壁28a〜28fとカバー内周面との間に、各シール部材29a〜29fに隣接して設けてある。また、各スペーサ部材34a〜34fは各シール部材29a〜29fにより密封している各環状室33a〜33fに対して外側になるよう各々設けている。
【0069】
ここで、回転部材21が回動時に軸偏心をした場合を考える。
【0070】
本実施例の構成では、各回転部材21a〜21f,各カバー20a〜20f,各スペーサ部材34a〜34fおよび各シール部材29a〜29fにより環状室33a〜33fが各色ごとに分けられている。この構成が従来と異なるのは各色ごとに完全に分離して仕切り壁28a〜28fとスペーサ部材34a〜34fを設けたことである。よって、各色に
ついて、シール部材のシール部の接触する部位である仕切り壁が隣り合う色の環状室の仕切り壁と完全に独立されている。この構成においては、各色ごとのユニットとして、回転部材,カバー,シール部材およびスペーサを一体で組み立てることが可能なため、非常に組み立て性が高い。また、各色のユニットにそれぞれの第2現像剤搬送部を接続したまま分解することも可能である。
【0071】
また、画像形成装置が使用されている期間のメンテナンスなどにおいてこの補給部を分解した際に、カバーと回転部材間で溜まっている現像剤が飛散しない。
【0072】
これに対して、カバー20は、スプリング35の弾性力によって装置本体に固定されており、カバー20は一定量移動可能となっている。したがって、回転部材21が回転時に偏心したとき、カバー20はこの回転部材21と調心されるように運動することができるようになる。
【0073】
ここで上述の回転部材貫通軸81により回転部材21の回転中心位置精度を正確に決めることにより、各回転部材間でも相互の傾きが生じ難く、またカバー20の調心性能もある。よって、その各々に対してスペーサ部材を介して決まったギャップを保持したまま各カバー部材も相互に動く状態であっても、回転部材相互の位置ずれが生じない。よって、各カバー部材間での接触面での摺擦が無く、トルクの増大、さらには長期使用における損傷などを生じさせない。
【0074】
ここで、各回転部材21a〜21fを貫通している回転部材貫通軸81は、前述の通り、自動調心軸受82によって回転体5と接続されている。この自動調心軸受82は図4(a)のような構成をしており、外輪82aにおいて、転動体としての各々の玉82cと接する内面(内周面、軌道面)が球面となっている。そのため、その曲率中心と軸受中心とが一致している。内輪82bと各々の玉82cおよび不図示の保持器が図4(b)に示すような方向に軸受中心を自由に回転できる。図4(b)では矢印を直交した平面内でのみ示してあるが、実際には軸受回転中心Pを中心にして自由な方向に回動できるものである。この回転偏角の許容差は一般的には4°〜7°と比較的大きい偏角に対応できるものである。また、軸受中心が回転偏角中心であることから、内輪82bで保持する図1で示す回転部材貫通軸81の回転中心と外輪82aが保持される回転体5との回転中心が一致して調心される。
【0075】
この構成の効果を以下に述べる。
【0076】
各回転部材21a〜21fの積み重ねた長さが長く、画像形成装置本体に設置された回転体5と回転部材21との長手方向における心合わせが困難な場合、には、回転体5の回転軸と回転部材21の回転軸とに傾きが生じる。例えば図1中の貫通軸保持部83が、図中上下方向にずれた場合である。しかしながら、回転部材21の回転軸である回転部材貫通軸81は各現像器が備えられる回転体5の回転軸に対して調心を果たしつつ偏角許容が行える。したがって、回転部材21が上記回転体5に対して傾いた際に、回転体が回転する際のトルク変動を生じさせない。これは画像形成装置本体内での振動要因を抑えることとなり、出力画像に振動起因のむらを生じさせない。
【0077】
特に本実施例のような構成においては、各々の回転部材およびカバーの個数が増え、基本的に第2現像剤搬送手段の軸方向長さが長くなる。この際には上記幾つかの回転部材の傾きに関して、先端部の変位量が大きくなるため、この変位量の増大の影響を抑える意味でも上記構成によって振動起因のむらを効果的に軽減できるものである。
【0078】
ここで、回転部材21の相互の連結、および駆動伝達に関して説明する。
【0079】
図5(a),(b),(c)は回転部材21内の一つの部材、21aについて説明する図である。ただし、回転部材21a〜21fは同一形状である。
【0080】
図5(a)において、イエロー用現像剤搬送入口部22aに設けられた孔部96aは不図示のイエロー用第2現像剤搬送部23aが挿入される個所である。また、図5(b),(c)に示すように、上述した仕切り壁28aがイエロー用現像剤搬送入口部22aを挟んで回転軸方向両側に備えられる。
【0081】
また、図5(b)にある座グリ部92aの外側には駆動伝達部の一方である凹部94aが備えられる。これは6箇所のスリット状の形状で与えられる。
【0082】
また、図5(c)は、回転部材21aのうち図5(b)で示した面とは反対側の面を説明する図である。孔部91aには図1で説明した回転部材貫通軸81が通される。また、孔部91aの外周部93aから回転軸に関して外側に凸部95aが備えられる。
【0083】
上記凸部95aは図1中で回転部材21aに対して右側に位置する回転部材21bの、回転部材21aと同一形状である6つの凹部(図5(b)に示す凹部94aに相当)にはめ込まれる。ここで回転部材21の回転中心はあくまでも回転部材貫通軸81と孔部、つまり回転部材21aにおいては91a、によって決定されるようにする。そのために、回転部材21aの孔部外周部93aの径は嵌め込まれる回転部材21bの凹部側孔部の径よりも小さく設定されている。
【0084】
以上より、同一形状である回転部材21a〜21fが駆動伝達を相互に果たした上で積み重ねられている。
【0085】
これは回転部材間の相対的回転角度ずれを防止して、現像剤補給時での現像器側の現像剤補給口と各色の第2現像剤搬送部とのアライメント精度を向上させる。このことは現像器側の現像剤補給口27での現像剤漏れ防止につながり、現像剤飛散および飛散現像剤の画像への付着を防止できる。
【0086】
ここで、図1と図6(a),(b)を用いて回転部材21と回転体5の駆動伝達について説明する。
【0087】
図6(a),(b)は回転体と回転部材貫通軸との接続部位を説明する図である。
【0088】
図1において回転体5には、回転部材21側の回転体前側保持部96と軸受カバー97を備えている。回転体前側保持部96は回転体回転軸5aに固定されているとともに画像形成装置の側板99に軸受を介して回動可能に支持されている。ここで図6において前述の自動調心軸受82はこの回転体前側保持部96と軸受カバー97とに4本のネジ501を用いて挟持されている。ただし、軸受カバー97の回転部材側孔部97aの径を回転部材貫通軸81より大きくとり、自動調心軸受82による偏角を許容するよう構成してある。
【0089】
また、図6(a)に示すように回転体前側保持部96には各第2現像剤搬送部を通す孔部99a〜99fが各色に対応するよう設けられている。
【0090】
ここで、図6(a),(b)に示すように軸受カバー97には、前述した回転部材21aの駆動伝達部である凹部94aに対応した駆動伝達用凸部98が設けられている。そして、図1のように組み立てられた際に凸部98が凹部94aにはめ込まれることで回転体
5から回転部材21への駆動伝達が可能となる。ここで、駆動伝達用凸部98を2箇所として実施してあるが、これは回転部材21aの凹部に対応する数、例えば図5のような回転部材に対するには駆動伝達用凸部を6箇所としてもよい。
【0091】
この構成によれば、偏角を許容しつつも回転角度は正確にでき、回転部材に起因するトルク変動をなくしつつ補給時のアライメント性に優れる。
【0092】
また、このような駆動伝達機能と自動調心機能をユニット化したカップリングあるいはユニバーサルジョイントを用いてもよい。
【0093】
ここで、各現像器に対する現像剤補給位置について図1,図2を用いて説明する。例としてイエローの現像剤補給経路によって説明する。
【0094】
前述の通り、イエロー用現像剤搬送部23a内部には搬送用スクリュー24aが設けられており、イエロー用現像器2aが現像位置Dにあるときは、搬送用スクリュー24aが回転させられる。そして、図3中のイエロー用現像器2aの現像剤補給口27aへ現像剤が搬送されるように駆動される。また、イエロー用現像剤供給口26aは、イエロー用現像器2aの現像剤補給口27aに常時対向するようになっている。この対向するこのイエロー用現像剤供給口26aとイエロー用現像剤補給口27aの回転軸長手方向に関する位置を、おおよそ自動調心軸受82の回転中心Pに一致させる(図1(2点鎖線)参照)。これによって、回転部材21の偏角が回転体5に対して生じた場合においても現像剤供給口26aと現像剤補給口27aとの相対変位を最小にできる。この位置関係は各色同様に設置されている。
【0095】
よって、上記回転部材が回転軸に対して偏角を許容して傾いた際に各現像器の現像剤補給口と第2現像剤搬送手段の現像剤供給口との位置ずれを最小にできる。そして、その個所での現像剤の漏れを防止して現像剤飛散および飛散現像剤の画像付着を防止する。
【0096】
以上説明したように、本実施例によれば以下に示す効果が得られる。
【0097】
(1)回転部材の回転軸である回転部材貫通軸が上記現像器が備えられる回転体の回転軸に対して調心しつつ偏角許容が行えるため、回転部材が上記回転体に対して傾いた際に、回転体が回転する際のトルク変動を生じさせない。これは画像形成装置本体内での振動要因を抑えることとなり、出力画像に振動起因のむらを生じさせない。
【0098】
(2)回転部材貫通軸が回転部材の回転中心位置精度を正確に決めることにより、各回転部材間でも相互の傾きが生じ難く、回転部材相互の位置ずれを生じさせない。よって、各カバー部材が相互の接触面での摺擦が無く、トルクの増大、さらには長期使用における損傷などを生じさせない。
【0099】
(3)回転部材が回転体の回転軸に対して傾いた際に各現像器の現像剤補給口と第2現像剤搬送手段の現像剤供給口との傾きによる位置ずれを最小にする。そして、その個所での現像剤が漏れを防止して現像剤飛散および飛散現像剤の画像付着を防止する。
【0100】
(4)各回転部材、各カバー、各スペーサ部材およびシール部材により各色の環状室が分離される。それによって、各色ごとのユニットとして組み立てることが可能となり、非常に組み立て性が高い。また、画像形成装置が使用されている期間のメンテナンスなどにおいてこの補給部を分解した際に、カバーと回転部材間で溜まっている現像剤が飛散しない。
【0101】
(5)5つ以上の現像器を上記回転体に備えたものにおい回転部材の傾きに関して、先端部の変位量が大きくなるが、変位量があっても上記(1)〜(4)の効果を効果的に維持できる。
【0102】
(6)回転部材間の相対的回転角度ずれを防止して、現像剤補給時での現像器側補給口と各色の現像剤搬送経路とのアライメント精度を向上させる。このことは回転角ずれに関する現像器側補給口での現像剤の漏れ防止につながり、現像剤飛散および飛散現像剤の画像への付着を防止できる。
【0103】
(7)偏角を許容しつつも回転体と回転部材の相対回転角度が正確とでき、回転部材に起因するトルク変動をなくしつつ補給時のアライメント性に優れる。
【0104】
なお、以上述べた画像形成装置では現像剤補給について本実施例を説明してきたが、従来例のようにトナーのみを補給する場合、これを本実施例に適用しても上記と同様の効果が得られる。また、本実施例では、回転部材を現像剤の種類毎に複数設けているが、これに限らず、例えば、1つの回転部材により構成されるものであってもよい。
【実施例2】
【0105】
以下、本発明の実施例2に係る画像形成装置について説明する。
【0106】
本実施例は、上述した実施例1に対して第2現像剤搬送手段が異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0107】
ここで、本実施例の第2現像剤搬送手段の構成とその効果について、図8および図9によって説明する。
【0108】
図8は本実施例の第2現像剤搬送手段を説明する図である。
【0109】
本実施例の画像形成装置も実施例1と同様に6色の現像を行う画像形成装置である。よって図8に示すように、この回転部材521は6個の回転部材521a,521b,521c,521d,521eおよび521fを互いに重ねあわせて軸方向に並べて位置決めされている。そして回転体505側への接続は521aの嵌合部と嵌め合わされる第一回転部材軸部581が設けられている。よって、この第一回転部材軸部581が実施例1と同様に偏角許容手段としての自動調心軸受582によって支持されている。他方は回転部材521fに嵌め合わせられる第二回転部材軸部521gが軸受などを備えた軸部保持部材583によって支持されている。また、積み重ねられた回転部材521a〜521f,および第二回転部材軸部521gは複数のネジ585により貫通されて第一回転部材軸部581に設けられたネジ孔に固定されて一体化されている。
【0110】
ここで、各回転部材間の嵌合部は実施例1と異なり、円柱状の軸と円筒形状の孔部で構成されている。また、第一回転部材軸部581と回転部材521aとの嵌合部および第二回転部材軸部521gと回転部材521fとの嵌合部も円柱状の軸と円筒形状の孔部で構成されている。よって、各回転部材の駆動伝達は複数のネジ585を介して行われる。一方、第一回転部材軸部581と回転体505との駆動伝達は、図8には不図示であるが、実施例1と同様な接続部位で構成される。
【0111】
そして、回転部材521a〜521fは、図8に示す通り、画像形成装置本体の側板に固定されたカバー520により覆われている。このカバー520は6個のカバー部材520a〜520fを軸方向に重ね合わせ、連結固定されている。この固定方法は実施例1と同様である。すなわち、カバー520を軸方向に連結するとともに装置本体に固定する固
定ネジの頭部とカバー520との間に、スプリングを介設している。
【0112】
図8に示すイエロー用第2現像剤搬送部523aとスクリュー524aの位置関係と動作、各カバー520a〜520fに対する第1現像剤搬送部513a〜513fの位置関係と動作については実施例1と同様のため省略する。また、現像剤補給持の現像器位置や現像剤搬送経路についても実施例1と同様のためこれも説明を省略する。
【0113】
また、実施例1と同様、画像形成装置本体の側板に固定されて回動しないカバー520の内周面と回転部材521の外周面との間には間隙が形成されている。
【0114】
ここで、各色の現像剤の混合を防止するための構成を図8,図9を用いて説明する。各色に対する構成は同一のため、代表する個所で説明する。
【0115】
図8に示すように各色の現像剤補給口および各現像剤搬送入口部の間を、回転部材521に一体に形成された仕切り壁(仕切り部)528aにより仕切るようにしている。図9における528b,528cも同様の仕切り壁である。
【0116】
この仕切り壁528aは現像剤搬送入口部522aを挟んでそれぞれ両側に設けられている。そして、これらの仕切り壁528aとカバー部材520aとの間を、金属のリングと一体成型で設けたゴムシールからなるシール部材529aによりシールしている。こうして、カバー部材520aの内周面と回転部材521aの外周面との間に、環状室が形成されている。また、シール部材529aが軸方向に傾くことを防止してそれらのシール性を向上させ、回転部材521aを回動可能に支持する。そのため、スペーサ部材534aを各回転部材の仕切り壁528aとカバー520aとの間でシール部材529aにより密封している各環状室に対して外側になるよう各々設けている。
【0117】
よって実施例1と同様に、各回転部材,各カバー,各スペーサ部材およびシール部材により各色の環状室が分離されることによって、各色ごとのユニットとして組み立てることが可能となり、非常に組み立て性が高い。また、画像形成装置が使用されている期間のメンテナンスなどにおいてこの補給部を分解した際に、カバーと回転部材間で溜まっている現像剤が飛散しない、という効果がある。
【0118】
ここで、回転部材521が回動時に軸が傾いた場合を考える。
【0119】
回転部材521a〜521f,および第二回転部材軸部521g,複数のネジ585および第一回転部材軸部581は前述の通り一体化されたうえで自動調心軸受582に接続されている。そのため、回転体505との偏角は実施例1と同様に調心されたうえで許容されるため、回転部材側で生じるトルク変動などは回転体505に伝達しない。
【0120】
一方、各回転部材521a〜521fは、それぞれの嵌合部で嵌合されたうえで、貫通されたネジ585によって固定されている。しかし、6色に対応した本実施例ではこういった積み重ねが7箇所あり、嵌合部と仕切り壁との間隔との寸法の相互の公差が積み重なる、あるいは回転部材全体の重量が重くなるなどの原因により、相互の回転部材の間で傾きが生じ易い。
【0121】
しかしながら、図9に示すように、マゼンタ用第2現像剤搬送部が備わる回転部材521bが図9中左に位置する回転部材521aおよび右に位置する回転部材521cとの間で相互に傾きを持った場合に、構成としては従来例と異なる。即ち、仕切り壁528a,528bおよび528cが各色ごとに分割して備わり、かつスペーサ部材534a,534bおよび534cも各仕切り壁に1つずつ対応している。そして、相対的に傾いた仕切り壁528bにギャップを保ちつつスペーサ部材534bがカバー520bを回転部材521bと平行に保つ。従来例の構成ではスペーサ部材を隣り合うカバーで共通に使用しているため、回転部材相互の傾きが生じた場合にどちらか一方のギャップを保つことしかできずに良好なシール性が保てない。
【0122】
以上説明したように、本実施例においては実施例1の効果に加えて、回転部材の構成として簡易な構成で、各回転部材の相互の傾きが生じた際にも、隣り合うカバーとのギャップが良好に保持することができる。よって、現像剤のシール性の劣化を生じない、という効果を得ることができる。
【実施例3】
【0123】
以下、本発明の実施例3に係る画像形成装置について説明する。
【0124】
本実施例は、上述した実施例1,2に対して主にカバーの固定方法が異なるものであって、それ以外の構成は実施例1あるいは実施例2と同様のため説明を省略する。
【0125】
ここで、本実施例の第2現像剤搬送手段の構成とその効果について、図10を用いて説明する。
【0126】
図10は本実施例の第2現像剤搬送手段を説明する図である。
【0127】
第2現像剤搬送手段の主な構成は実施例1と同様のためこの説明を省略する。ただし、回転部材621を貫通する回転部材貫通軸681を設け、各回転部材621a〜621fの回転中心に位置する孔部に嵌合され、各々が正確に調心されている。そして回転部材貫通軸681の回転体605側の支持は、偏角許容手段としての自動調心軸受682によって支持され、他方は軸受などを備えた貫通軸保持部材683によって支持されている。また、積み重ねられた回転部材621は回転部材貫通軸681に取り付けられた押え部材685によって重ねた状態を保持している。
【0128】
そして、回転部材621は、図10に示す通りカバー620により覆われている。このカバー620は6個のカバー部材620a,620b,620c,620d,620eおよび620fを軸方向に重ね合わせ、カバー保持部材701に連結固定されている。この固定方法は複数のネジ702で各カバー620a〜620fを挟持して固定している。
【0129】
また、カバー保持部材701と画像形成装置本体の側板699とは、複数の押圧手段としてのバネ635を介して、バネ635を押圧状態で保持する押圧状態保持手段としての、バネ635と同数のネジ632により固定されている。
【0130】
また、実施例1,2と同様に、各色の現像剤の混合を防止するために、実施例1,2と同様な、図10に示す回転部材621に一体に形成された仕切り壁により仕切るようにしている。図10中にはイエロー用の仕切り壁628aのみ符号を付記する。
【0131】
そして、これらの仕切り壁とカバー部材620a〜620fとの間を、各色ごとに2つずつ設けた金属のリングと一体成型で設けたゴムシールからなるシール部材によりシールしている。図10中にはイエロー用のシール部材629aのみ符号を付記する。
【0132】
こうして、カバー部材620a〜620fの内周面と各回転部材621a〜621fの外周面との間に、それぞれ各色毎に独立した環状室が形成されている。
【0133】
また、各シール部材が軸方向に傾くことを防止してそれらのシール性を向上させ、回転
部材621を回動可能に支持するため、各色2つずつ備えたスペーサ部材を各回転部材の仕切り壁とカバーとの間でシール部材により密封している。図10中にはイエロー用スペーサ部材634aのみ部番を指示している。
【0134】
ここで、回転部材621の回転軸が回動時に回転体605の回転軸に対して偏角を生じた場合を考えると、カバー620はカバー保持部材701に一旦固定されている。したがって、偏角が生じた場合にその偏角に応じてバネ635によってカバーが一体となった状態で偏角を許容でき、回転部材621とのギャップを保持する。
【0135】
この構成では、自動調心軸受682によって許容された回転部材貫通軸681および回転部材621の偏角と、カバー620が固定される力の方向が平行になることを示す。カバー620を固定する方向の力と上記偏角の方向が異なる場合には、スペーサ部材と仕切り壁との間との接触部において周方向で接触圧の高い部分、低い部分との差が出易い。そして、上記接触部でのスペーサ部材、あるいは仕切り壁の磨耗を生じ易くなり、長期使用における削れとそれによる現像剤シール性の劣化が懸念される。
【0136】
しかし、本実施例の構成では、回転部材621が回転体605に対して偏角を生じても、スペーサ部材が各々接触している仕切り壁との摺擦状態が周方向でほぼ変化しないようにできる。そのため、スペーサ部材あるいは仕切り壁が磨耗しにくくなり、長期使用における現像剤のシール性を良好に保つ。
【0137】
また、カバー620,回転部材621,シール部材629,スペーサ部材634,回転軸681,押え部材683,カバー保持部材701および各第2現像剤搬送部を一体としたユニットは、取り外し可能である。その際は、バネ635およびネジ632を側板699から外すことにより、取り外すことができる。このことは現像剤のシール状態を保ったまま交換可能になり、現像剤による画像形成装置内あるいは装置外の汚れを防止できる。
【0138】
以上説明したように、本発明の実施例3においては、実施例1の効果に加えて以下の効果がある。
【0139】
すなわち、長期使用した場合に、スペーサ部材あるいは仕切り壁の偏磨耗によるシール性の悪化を防止できる。
【0140】
また、カバーを含めて第2現像剤搬送手段をユニット化でき、交換容易であるとともに現像剤による画像形成装置内外の汚れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の実施例1における第2現像剤搬送手段を説明する図。
【図2】本発明の実施例1における現像装置の概略断面図。
【図3】本発明の実施例1における補給装置を説明する図。
【図4】本発明の実施例1における偏角許容手段を説明する図。
【図5】本発明の実施例1における回転部材の相互の駆動伝達部を説明する図。
【図6】本発明の実施例1における回転部材と回転体の駆動伝達部を説明する図。
【図7】本発明の実施例1における画像形成装置の動作を説明する概略断面図。
【図8】本発明の実施例2における第2現像剤搬送手段を説明する図。
【図9】本発明の実施例2における第2現像剤搬送手段の効果を説明する図。
【図10】本発明の実施例3における第2現像剤搬送手段を説明する図。
【図11】従来の現像装置の概略断面図。
【図12】従来の補給装置を説明する図。
【図13】従来の第2トナー搬送手段を説明する図。
【符号の説明】
【0142】
1,501 現像装置
2,502 現像器
5 回転体
12 現像剤供給手段
13 第1現像剤搬送手段
14 第2現像剤搬送手段
15a〜15f ホッパ
16a〜16f バッファ
13a〜13f,513a〜513f,613a〜613f 第1現像剤搬送部
20a〜20f,520a〜520f,620a〜620f カバー
21a〜21f,521a〜521f,621a〜621f 回転部材
23a〜23f,523a,623a 第2現像剤搬送部
26a,526a 現像剤供給口
27a〜27f 現像剤補給口
29a〜29f,529a〜529c,629a シール部材
34a〜34f,534a〜534c,634a スペーサ部材
81,681 回転部材貫通軸
82,582,682 偏角許容手段
632 バネ
635 ネジ
701 カバー保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体ドラム上に形成された静電潜像を1つの現像位置にて現像する複数の現像手段と、
前記複数の現像手段が設けられた、前記複数の現像手段のうち1つの現像手段を前記現像位置に位置させるために回転する回転体と、
前記複数の現像手段に対してそれぞれ現像剤を補給する現像剤補給手段と、
を備えた現像装置において、
前記現像剤補給手段は、前記回転体に連結されて前記回転体と同期回転するように設けられた、前記複数の現像手段に対してそれぞれ現像剤が搬送される現像剤搬送経路が構成された回転部材を備え、
前記回転体の回転中心と、前記回転部材の回転中心との偏角を許容する偏角許容手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記偏角許容手段は、前記回転体に設けられた回転軸及び前記回転部材に設けられた回転軸のうちいずれか一方に取り付けられる外輪と、他方に取り付けられる内輪と、前記外輪と前記内輪との間に設けられる転動体と、を有する軸受を備え、
前記外輪のうち前記転動体が転動する内周面は、その中心が前記軸受の中心と略一致した点となる球面であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤補給手段に設けられ、前記回転部材の前記現像剤搬送経路をそれぞれ搬送された現像剤を前記回転体に搬送する現像剤搬送部と、
前記現像剤搬送部にそれぞれ設けられ、前記現像手段に現像剤を供給する現像剤供給口と、
前記現像手段にそれぞれ設けられ、前記現像剤供給口から供給される現像剤が補給される現像剤補給口と、
を備え、
それぞれ対応する前記現像剤供給口および前記現像剤補給口の、前記回転体または前記回転部材の回転軸方向の位置が、前記偏角許容手段によって偏角が許容される際の前記回転部材の回転軸と前記回転体の回転軸との交点と略同一位置となるように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤補給手段は、
複数種の現像剤をそれぞれ収容可能な複数の現像剤収容部を有し、前記複数の現像剤収容部にそれぞれ収容された現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記現像剤供給手段により供給された現像剤をそれぞれ、前記回転部材の前記現像剤搬送経路に向けて搬送する現像剤搬送手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤補給手段は、
前記回転部材の外周を覆うカバーと、
前記回転部材と前記カバーとの間をシールするシール部材と、
前記回転部材と前記カバーとの間に設けられるスペーサ部材と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記回転部材,前記カバー,前記スペーサ部材および前記シール部材は、前記複数の現像手段に対応してそれぞれ複数独立して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記複数の回転部材は軸方向に並設され、前記複数の回転部材を貫通する回転部材貫通
軸を備えることを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記複数の回転部材は、互いに重なり合う部分を有して軸方向に並設されていることを特徴とする請求項6または7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記複数のカバーが保持固定されるカバー保持部材と、
装置本体へ前記カバー保持部材を押圧する押圧手段と、
前記押圧手段を押圧状態で保持する押圧状態保持手段と、
を備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記回転体には、5つ以上の現像手段が配設されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
電子写真感光体ドラムと、
前記電子写真感光体ドラムに現像作用を行う請求項1〜10のいずれかに記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−25568(P2007−25568A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211429(P2005−211429)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】