説明

画像処理方法および顕微鏡装置

【課題】分解能を高めた画像処理方法を提供する。
【解決手段】物体を撮像装置に対して相対移動させながら当該撮像装置により得られた、物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法であって、複数の画像から物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、当該抽出した部分の信号強度から物体の表面高さを求めて、表面高さの度数分布を求めるステップ(S101〜S102)と、度数分布に基づいて表面高さの確率密度関数を算出し、確率密度関数が最大となる表面高さを表面高さの真値として求めるステップ(S103)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を撮像装置に対して相対移動させながら撮像して得られた、物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法、および、このような画像処理機能を備えた顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡装置には、光学顕微鏡により観察される物体の表面高さを算出して表面形状を求められる装置がある(例えば、特許文献1を参照)。このような顕微鏡装置500は、例えば図10に示すように、対物レンズ540をピエゾ駆動装置530により、例えば1秒間に15回の割合で連続的に(所定の上下幅で)上下方向、すなわち顕微鏡の光軸に沿った方向に往復走査させる。このように往復走査させながら、対物レンズ540により結像された試料550の画像は、1/900秒間に1枚の割合で高速度カメラ510により撮像されるとともに、ディジタル信号に変換されて制御用プロセッサ590に出力される。制御用プロセッサ590は、入力された画像の各画素について合焦度(合焦の度合い)を計算し、往復走査における上限位置から下限位置までの範囲内において、画素毎に最も高い合焦度が検出された光軸方向位置をそれぞれ各画素に対応する点の相対高さとして求める。
【0003】
次に、光学顕微鏡を用いて画像取得が可能な顕微鏡装置の例について述べる。このような顕微鏡装置600は、例えば図11に示すように、試料台660に置かれた試料650の光学顕微鏡(対物レンズ640等)による拡大像は、CCDカメラ610の撮像面上に結像され、CCDカメラ610において光電変換がなされてその画像信号が制御用プロセッサ690に入力されることで、制御用プロセッサ690に画像として取り込まれる。
【特許文献1】特許第3737483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、このような画像取得を行う顕微鏡装置においては、より高い分解能が求められていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、分解能を高めた画像処理方法および顕微鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る画像処理方法は、物体を撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により得られた、前記物体の表面の複数の輝度情報に基づく画像処理方法であって、前記複数の輝度情報から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分に関する所定の特性値を求めて、前記抽出した部分における前記特性値の度数分布を求める第1のステップと、前記度数分布に基づいて前記特性値の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる特性値を前記抽出した部分における前記特性値の真値として求める第2のステップとを有している。
【0007】
なお、上述の画像処理方法において、前記撮像装置を構成する光学系の光軸と垂直な方向へ、前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法である場合には、前記第1のステップでは、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度を求めて、前記抽出した部分における前記信号強度の度数分布を求め、前記第2のステップでは、前記度数分布に基づいて前記信号強度の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる信号強度を前記抽出した部分における前記信号強度の真値として求め、前記真値として求めた前記信号強度に基づいて、前記物体の表面の画像を生成する第3のステップをさらに有することが好ましい。
【0008】
また、上述の画像処理方法において、前記撮像装置を構成する撮像光学系の光軸に沿って、前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法である場合には、前記第1のステップでは、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度から前記物体の表面高さを求めて、前記抽出した部分における前記表面高さの度数分布を求め、前記第2のステップでは、前記度数分布に基づいて前記表面高さの確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる表面高さを前記抽出した部分における前記表面高さの真値として求めることが好ましい。
【0009】
また、第1の発明に係る顕微鏡装置は、物体の表面を撮像可能な撮像装置と、前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させる相対移動部と、前記相対移動部を利用して前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に対して画像処理を行う画像処理部とを備え、前記画像処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分に関する所定の特性値を求めて、前記抽出した部分における前記特性値の度数分布を求める第1の演算処理部と、前記度数分布に基づいて前記特性値の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる特性値を前記抽出した部分における前記特性値の真値として求める第2の演算処理部とを有している。
【0010】
なお、上述の顕微鏡装置において、前記撮像装置は、前記物体の表面の像を結像する撮像光学系および、前記撮像光学系により結像された前記物体の表面の像を撮像する撮像素子を有し、前記相対移動部は、前記撮像光学系の光軸と垂直な方向へ前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させるように構成される場合には、前記第1の演算処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度を求めて、前記抽出した部分における前記信号強度の度数分布を求め、前記第2の演算処理部は、前記度数分布に基づいて前記信号強度の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる信号強度を前記抽出した部分における前記信号強度の真値として求め、前記画像処理部は、前記真値として求めた前記信号強度に基づいて、前記物体の表面の画像を生成する第3の演算処理部をさらに有することが好ましい。
【0011】
また、上述の顕微鏡装置において、前記撮像装置は、前記物体の表面の像を結像する撮像光学系および、前記撮像光学系により結像された前記物体の表面の像を撮像する撮像素子を有し、前記相対移動部は、前記撮像光学系の光軸に沿って前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させるように構成される場合には、前記第1の演算処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度から前記物体の表面高さを求めて、前記抽出した部分における前記表面高さの度数分布を求め、前記第2の演算処理部は、前記度数分布に基づいて前記表面高さの確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる表面高さを前記抽出した部分における前記表面高さの真値として求めることが好ましい。
【0012】
また、第2の発明に係る顕微鏡装置は、対物レンズを有して物体の表面の拡大像を所定の撮像面上に結像する拡大光学系と、前記拡大光学系により結像された前記拡大像の輝度を検出する撮像装置と、前記物体および前記拡大光学系の少なくとも一方を前記拡大光学系の光軸に沿って相対移動させ、前記拡大光学系による合焦位置を変化させる第1の相対移動部と、前記物体および前記拡大光学系の少なくとも一方を前記第1の相対移動部よりも粗大な範囲で相対移動させ、前記拡大光学系による合焦位置を変化させる第2の相対移動部と、前記第2の相対移動部よりも微小な範囲で前記相対移動させる前記第1の相対移動部による相対移動量を検出する第1の検出部と、前記第1の検出部よりも低い検出精度を有して前記第2の相対移動部による相対移動量を検出する第2の検出部と、前記撮像装置により検出された輝度情報と前記第1の検出部による相対移動量と前記第2の検出部による相対移動量とに基づいて、前記物体の表面形状を求める演算部とを備えて構成される。
【0013】
なお、上述の顕微鏡装置において、前記第2の相対移動部は、前記対物レンズを前記拡大光学系の光軸に沿って前記第1の相対移動部よりも粗大な範囲で相対移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分解能を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態に係る顕微鏡装置を図1に示しており、この顕微鏡装置1は、顕微鏡本体10と、撮像部20と、制御用プロセッサ30とを主体に構成される。顕微鏡本体10は、撮像部20を上下移動可能に支持する顕微鏡ベース11と、顕微鏡ベース11の底部に固設された顕微鏡用試料台12と、顕微鏡ベース11に支持された撮像部20を上下に(撮像部20の光軸に沿って)移動させるパルスモーター13と、撮像部20の上下方向位置(光軸方向位置)を検出可能なエンコーダー14とを有して構成される。
【0016】
顕微鏡用試料台12の上面には、例えば平板状に形成された試料5が載置される。パルスモーター13は、制御用プロセッサ30に構成される駆動制御装置31(図2を参照)からのモーター駆動信号に応じて、撮像部20を顕微鏡用試料台12上の試料5に対して上下方向、すなわち撮像部20を構成する撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿って相対移動させる。エンコーダー14は、10nmの検出ピッチで高精度に、撮像部20の上下方向位置(光軸方向位置)を検出し、検出信号を制御用プロセッサ30の高速画像プロセッサ32(図2を参照)へ出力する。
【0017】
撮像部20は、顕微鏡用試料台12の上方に対向して設けられた対物レンズ21と、下側に対物レンズ21が取り付けられた顕微鏡用照明装置22と、顕微鏡用照明装置22の上側に取り付けられた顕微鏡鏡筒装置23と、顕微鏡鏡筒装置23の上側に取り付けられた高速度カメラ24とを有して構成される。対物レンズ21は、ピエゾ駆動装置25を介して顕微鏡用照明装置22の下側に取り付けられる。
【0018】
ピエゾ駆動装置25は、印加電圧を変えることにより長さが変化するピエゾ素子(図示せず)と、ピエゾ素子を作動させるコントローラ(図示せず)とを有して構成されており、本実施形態においては、1秒間に15回の割合で連続的に所定幅(例えば、100μmの幅)の範囲を往復移動可能となっている。このピエゾ駆動装置25が対物レンズ21と顕微鏡用照明装置22との間に取り付けられているため、ピエゾ駆動装置25の駆動力によって、対物レンズ21は撮像部20を構成する撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿った方向に(すなわち、上下方向に)往復移動する。
【0019】
なお、ピエゾ駆動装置25は、制御用プロセッサ30に構成される駆動制御装置31(図2を参照)からのピエゾ素子駆動信号に応じて作動するようになっている。また、ピエゾ駆動装置25のコントローラには、ピエゾ駆動装置25(すなわち、対物レンズ21)の往復移動位置を検出するセンサー(図示せず)が内蔵されている。このセンサーは、エンコーダー14よりも低い精度で、ピエゾ駆動装置25(すなわち、対物レンズ21)の往復移動位置を検出し、その検出信号を制御用プロセッサ30の高速画像プロセッサ32(図2を参照)へ出力する。
【0020】
顕微鏡用照明装置22は、いわゆる落射照明であって、対物レンズ21を介して試料5の表面(上面)に照明光を照射する。顕微鏡用照明装置22の基端部は、顕微鏡ベース11の上端部に取り付けられ、これにより対物レンズ21やピエゾ駆動装置25を含む撮像部20全体が顕微鏡ベース11に(光軸に沿って)上下移動可能に支持される。顕微鏡鏡筒装置23は、その内部に結像レンズ(図示せず)を有して構成され、対物レンズ21と協働して、顕微鏡用照明装置22により照明光が照射された試料5の表面からの光を高速度カメラ24の撮像面上に集光し、試料5の表面の拡大像を結像させる。
【0021】
高速度カメラ24は、CCDやCMOS等の撮像素子24aを有して、例えば1/900秒間に1回の割合で連続撮像可能に構成されており、撮像素子24a表面の撮像面上に形成された試料5の表面の拡大像を撮像して得られた画像信号(輝度情報)をディジタル信号に変換して、制御用プロセッサ30の高速画像プロセッサ32(図2を参照)へ出力する。制御用プロセッサ30は、図2に示すように、パルスモーター13およびピエゾ駆動装置25の作動を制御する駆動制御装置31と、詳細は後述する画像処理を行う高速画像プロセッサ32と、これらの作動を統括的に制御する制御用コンピュータ33とを有して構成される。
【0022】
このように構成される顕微鏡装置1において、顕微鏡用照明装置22から発せられた照明光は、対物レンズ21を介して試料5の表面(上面)に照射される。顕微鏡用照明装置22により照明光が照射された試料5の表面からの光は、対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23により高速度カメラ24の撮像面上に集光され、試料5の表面の拡大像が結像される。高速度カメラ24は、試料5の表面の拡大像を撮像するとともに、撮像して得られた画像信号をディジタル信号に変換して、制御用プロセッサ30の高速画像プロセッサ32へ出力する。
【0023】
このとき、対物レンズ21は、ピエゾ駆動装置25の駆動力によって1秒間に15回の割合で、撮像部20を構成する撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿った方向に往復移動しており、光学系の焦点位置が連続的に変化するようになっている。これに対し、高速度カメラ24は、1/900秒間に1回の割合で試料5の表面(上面)の撮像を連続的に行うため、対物レンズ21の往復移動に応じて合焦度が変化する複数の画像を取得することが可能である。またこのとき、パルスモーター13により、例えば3μmのピッチで、撮像部20全体を撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿って移動させることで、撮像部20の複数の光軸方向位置(3μmピッチの位置)毎に、ピエゾ駆動装置25により対物レンズ21を往復移動させながら、高速度カメラ24が試料5の表面(上面)の撮像を連続的に行うことができる。
【0024】
なお、高速画像プロセッサ32には、高速度カメラ24からの画像信号の他に、エンコーダー14からの検出信号や、ピエゾ駆動装置25のコントローラに内蔵されたセンサー(図示せず)からの検出信号が入力される。そのため、試料5の表面を撮像したときの撮像部20の光軸方向位置や対物レンズ21の往復移動位置を知ることができる。
【0025】
本実施形態において、高速画像プロセッサ32は、高速度カメラ24から入力された試料5の表面の複数の画像に対し、所定の画像処理を行うことで、試料5の表面高さを求めることが可能である。そこで、試料5の表面高さを求めるための画像処理方法について、図3に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0026】
まず、高速画像プロセッサ32は、高速度カメラ24から入力された試料5の表面の複数の画像に対し、1枚の画像毎に、各画素について合焦度を計算する(ステップS101)。合焦度を求める手法としては、各画素における信号強度の二次微分値または分散値を算出して求める方法がある。
【0027】
各画素について合焦度を算出すると、算出した合焦度から試料5の表面高さを求める(ステップS102)。このとき、対物レンズ21の往復移動における上限位置から下限位置までの範囲内において、画素毎に最も高い合焦度が検出された光軸方向位置をそれぞれ、各画素に対応する点の相対高さとして求める。
【0028】
ここで、図4に示すように、相対的0位置(相対的な原点位置)に対するエンコーダー14の検出値(撮像部20の光軸方向位置)をdとし、合焦度が最大となる場合におけるピエゾ駆動装置25のコントローラに内蔵されたセンサーの検出値をn(正の整数)とし、当該センサーの分解距離をsとすると、試料5の表面高さHは、次の(1)式のように表わされる。
【0029】
H=d+(n×s) (1)
【0030】
本実施形態においては、前述したように、パルスモーター13により、撮像部20全体を撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿って移動させることで、撮像部20の複数の光軸方向位置毎に、ピエゾ駆動装置25により対物レンズ21を往復移動させながら、高速度カメラ24が試料5の表面の撮像を連続的に行っている。そのため、対物レンズ21の往復移動によって試料5の表面と合焦可能な撮像部20の光軸方向位置毎に、すなわちエンコーダー14の検出値d毎に、試料5の表面高さHが各画素について複数求められることになる。そこで、試料5の表面高さHの度数分布を画素毎に抽出して求める。なお、(1)式において、(n×s)の値をセンサーの検出値とすることも可能である。また、撮像部20および対物レンズ21が光軸に沿って移動するため、各画像における画素同士の位置関係は、各画像における試料5同士の位置関係と同期する。
【0031】
試料5の表面高さHの度数分布を画素毎に求めると、各画素について、例えば図5に示すように、表面高さHの度数分布Aは、センサーの分解距離sの少なくとも2倍の範囲に分布する。この度数分布Aは、表面高さHが生じる確率分布とみなすことができるので、各画素における度数分布Aにそれぞれ正規分布関数をあてはめて確率密度関数Bを算出し、確率密度関数Bが最大となる表面高さを各画素における表面高さの真値として求める(ステップS103)。このようにして画素毎に求められた試料5の表面高さのデータは、制御用コンピュータ33により外部モニター35へ出力され、試料5の表面高さの測定結果として外部モニター35に表示される。
【0032】
ところで、図10に示した従来の顕微鏡装置500において、測定対象となる表面高さの分解能の基準である高速度カメラ510による撮像ピッチは、対物レンズ540の走査幅(往復移動幅)を、撮像フレーム数、すなわち従来例の場合は30で除算した値であり、走査幅を100μmとすると、3.3μmである。一方、半導体、電子材料、薄型ディスプレイ等の開発、検査の分野では、数nm以下の分解能が求められている。また、高分解能特性を保ちつつ、100μm以上、例えば数mmの段差を測定する必要性もある。
【0033】
なお、このような課題を解決するために、公知技術である高分解能で走査幅がmmオーダーのセンサーを搭載することが考えられるが、図12(a)に示すように、光学顕微鏡の焦点近傍における光束Iの光線密度は、焦点位置で理論的に点になることはなく、回折現象により、光の波長(約500nm)のオーダーとなる。そこで、図12(b)に示すように、高分解能のセンサーが検出する反射光量分布も、焦点位置近傍における光量分布が平坦になってしまう。そのため、表面高さ方向を高分解能で位置決めして反射光を検出したとしても、光学顕微鏡の焦点位置を高分解能で決めることはできない。
【0034】
これに対し、第1実施形態の画像処理方法および、このような画像処理機能を備えた顕微鏡装置1によれば、試料5の表面高さHの確率密度関数を画素毎に算出し、当該確率密度関数が最大となる表面高さを各画素における表面高さの真値として求めるため、検出精度(分解能)が相対的に低いピエゾ駆動装置25のセンサー(図示せず)を用いても、撮像部20の複数の光軸方向位置毎に求めた表面高さHの測定精度は低いが、これら複数の表面高さHに基づく確率密度関数を算出することで表面高さの測定精度は高まり、試料5の表面高さの測定分解能を向上させることが可能になる。
【0035】
なお、上述の第1実施形態においては、パルスモーター13により、例えば3μmのピッチで、撮像部20全体を撮像光学系(対物レンズ21および顕微鏡鏡筒装置23)の光軸に沿って相対移動させるとともに、ピエゾ駆動装置25により、例えば100μmの往復幅の内で、対物レンズ21を撮像光学系の光軸に沿って往復移動させ、検出精度が高い(照明光の波長よりも分解能が高い)エンコーダー14により撮像部20の光軸方向位置(相対移動量)を検出するとともに、比較的検出精度が低いピエゾ駆動装置25のセンサー(図示せず)により対物レンズ21の往復移動位置(相対移動量)を検出している。このようにすれば、試料5の表面高さHの度数分布を精度よく求めることができるため、試料5の表面高さの測定分解能をより向上させることができる。
【0036】
また、上述の第1実施形態において、パルスモーター13により、撮像部20全体を試料5に対して相対移動させているが、これに限られるものではなく、試料5が載置された顕微鏡用試料台12を撮像部20に対して相対移動させるようにしてもよい。
【0037】
続いて、顕微鏡装置の第2実施形態について、図6を参照しながら説明する。第2実施形態の顕微鏡装置101は、顕微鏡本体110と、撮像部120と、制御用プロセッサ130とを主体に構成される。顕微鏡本体110は、撮像部120を支持する顕微鏡ベース111と、顕微鏡ベース111の底部に固設された顕微鏡用試料台112と、顕微鏡用試料台112の上面に設けられた微細駆動ステージ113とを有して構成される。
【0038】
微細駆動ステージ113の上面には、例えば平板状に形成された試料105が載置される。微細駆動ステージ113は、制御用プロセッサ130に構成される駆動制御装置131(図7を参照)からのステージ駆動信号に応じて、nmオーダーで高精度に、上面で支持する試料105を撮像部120に対して水平方向、すなわち撮像部120を構成する撮像光学系(対物レンズ121および顕微鏡鏡筒装置123)の光軸と垂直な方向に相対移動させる。微細駆動ステージ113には、リニアエンコーダー(図示せず)が内蔵されており、このリニアエンコーダーは、nmオーダーで高精度に、試料105(微細駆動ステージ113)の水平方向位置を検出し、検出信号を制御用プロセッサ130の画像プロセッサ132(図7を参照)へ出力する。
【0039】
撮像部120は、顕微鏡用試料台112および微細駆動ステージ113の上方に対向して設けられた対物レンズ121と、下側に対物レンズ121が取り付けられた顕微鏡用照明装置122と、顕微鏡用照明装置122の上側に取り付けられた顕微鏡鏡筒装置123と、顕微鏡鏡筒装置123の上側に取り付けられた撮像カメラ124とを有して構成される。
【0040】
顕微鏡用照明装置122は、いわゆる落射照明であって、対物レンズ121を介して試料105の表面(上面)に照明光を照射する。顕微鏡用照明装置122の基端部は、顕微鏡ベース111の上端部に取り付けられ、これにより撮像部120全体が顕微鏡ベース111に支持される。顕微鏡鏡筒装置123は、その内部に結像レンズ(図示せず)を有して構成され、対物レンズ121と協働して、顕微鏡用照明装置122により照明光が照射された試料105の表面からの光を撮像カメラ124の撮像面上に集光し、試料105の表面の拡大像を結像させる。
【0041】
撮像カメラ124は、CCDやCMOS等の撮像素子124aを有して構成されており、撮像素子124a表面の撮像面上に形成された試料105の表面の拡大像を撮像して得られた画像信号(輝度情報)をディジタル信号に変換して、制御用プロセッサ130の画像プロセッサ132(図7を参照)へ出力する。制御用プロセッサ130は、図7に示すように、微細駆動ステージ113の作動を制御する駆動制御装置131と、詳細は後述する画像処理を行う画像プロセッサ132と、これらの作動を統括的に制御する制御用コンピュータ133とを有して構成される。
【0042】
このように構成される顕微鏡装置101において、顕微鏡用照明装置122から発せられた照明光は、対物レンズ121を介して試料105の表面(上面)に照射される。顕微鏡用照明装置122により照明光が照射された試料105の表面からの光は、対物レンズ121および顕微鏡鏡筒装置123により撮像カメラ124の撮像面上に集光され、試料105の表面の拡大像が結像される。撮像カメラ124は、試料105の表面の拡大像を撮像するとともに、撮像して得られた画像信号をディジタル信号に変換して、制御用プロセッサ130の画像プロセッサ132へ出力する。
【0043】
このとき、微細駆動ステージ113により、撮像素子124aの1画素分に相当する長さよりも小さいnmオーダーのピッチで、試料105を撮像部120に対して水平方向に縦横に相対移動させることで、試料105の複数の水平方向位置毎に、撮像カメラ124が試料105の表面(上面)の撮像を行うことができる。なお、画像プロセッサ132には、撮像カメラ124からの画像信号の他に、微細駆動ステージ113に内蔵されたリニアエンコーダー(図示せず)からの検出信号が入力される。そのため、試料105の表面を撮像したときの試料105(微細駆動ステージ113)の水平方向位置を知ることができる。
【0044】
本実施形態において、画像プロセッサ132は、撮像カメラ124から入力される試料105の表面の複数の画像に対し、所定の画像処理を行うことで、より分解能を高めた試料105の画像を得ることが可能である。そこで、より分解能を高めた試料105の画像を得るための画像処理方法について、図8に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0045】
まず、画像プロセッサ132は、撮像カメラ124から入力される試料105の表面の複数の画像に対し、1枚の画像毎に、各画素について信号強度を求める(ステップS201)。なおこのとき、処理時間の関係から、試料105の表面を1枚撮像する毎に、各画素について信号強度を求めるのが好ましいが、処理に必要な試料105の表面の画像を全て撮像取得してから、各画素について信号強度を求めるようにしてもよい。
【0046】
各画素について信号強度を求めると、試料105の表面の画像における注目する位置での信号強度を求める(ステップS202)。このとき、例えば図9(b)に示すように、試料105の表面の画像における1つの画素領域Kを10×10のサブ画素領域k,k,…に分割し、分割した領域k毎に信号強度値を算出する。これにより、例えば1000×1000の画素を有する撮像素子において、その中心側に位置する500×500の画素領域に対して10×10のサブ画素領域に分割する処理を行えば、本来は500×500の画素領域から、5000×5000画素分の信号強度値を得ることができる。
【0047】
ここで、図9(a)を用いてサブ画素領域での信号強度値を求める方法について説明する。なお、図9(a)に示すグラフの縦軸は、サブ画素領域での算出された信号強度値(光強度)を示す軸であり、グラフの横軸は、求めた信号強度値(光強度)の度数を示す軸である。サブ画素領域での信号強度値(光強度)を求める方法は、まず、各画素の中心位置での信号強度がわかるので、これらの信号強度を用いて、注目するサブ画素領域を含む画素の中心位置とこれに隣接する画素の中心位置との間で関数フィッティング(補間)を行う。そして、関数フィッティングによって得られた信号強度曲線(光強度曲線)C1(またはC2〜C4)に基づいて、注目するサブ画素領域での信号強度値(光強度)を求めることができる。
【0048】
本実施形態においては、前述したように、微細駆動ステージ113により、撮像素子124aの1画素分に相当する長さよりも小さいnmオーダーのピッチで、試料105を撮像部120に対して水平方向に縦横に相対移動させる毎に、撮像カメラ124が試料105の表面の撮像を行っている。そのため、注目するサブ画素領域に対応した位置を一点鎖線Dとすると、当該サブ画素領域を含む画素の中心位置は、例えば破線E1〜E4のように相対移動することになる。そのため、注目するサブ画素領域を含む画素が相対移動する毎に、すなわち微細駆動ステージ113に内蔵されたリニアエンコーダー(図示せず)の検出値毎に、関数フィッティングによって得られた信号強度曲線(光強度曲線)C1〜C4および、注目する位置(サブ画素領域)での信号強度値(光強度)が複数求められることになる。そこで、注目する位置に対応する信号強度値(光強度)の度数分布をサブ画素領域毎に抽出して求める。
【0049】
試料105の表面の画像における注目する位置での信号強度値をサブ画素領域毎に求めると、例えば図9(a)に示すように、信号強度値(光強度)の度数分布Fは、当該信号強度が生じる確率分布とみなすことができる。そこで、各サブ画素領域における度数分布Fにそれぞれ正規分布関数をあてはめて確率密度関数Gを算出し、確率密度関数Gが最大となる信号強度を各サブ画素領域における信号強度の真値として求める(ステップS203)。
【0050】
そして、ステップS203で求めた信号強度に基づいて、試料105の表面の画像を生成する(ステップS204)。これにより、前述したように、例えば1000×1000の画素を有する撮像素子において、その中心側に位置する500×500の画素領域に対して10×10のサブ画素領域に分割する処理を行えば、本来は500×500の画素からなる画像から、5000×5000の画素を有する分解能の高い画像を得ることができる。このようにして生成された試料105の表面の画像データは、制御用コンピュータ133により外部モニター135へ出力され、分解能の高い試料105の表面の画像が外部モニター35に表示される。
【0051】
ところで、図11に示した従来の顕微鏡装置600において、光学顕微鏡の分解能は、光の回折現象によりレイリー限界として知られる物理的限界を持ち、緑色の光の場合で約500nmである。例えば図13(d)に示すように、試料台660の上に試料として50nm角の高反射率物体651を置いたと仮定する。そうすると、光の回折により、図13(c)における矢印で示す幅で光量分布が広がり、その半値幅は約500nmである。このときのCCDカメラの撮像面上での光量分布を図13(c)に示す。また、図13(b)のようにCCD撮像素子611が配列されているとすると、各画素において図13(a)に示すような画像信号が検出される。
【0052】
現状の技術では、撮像素子の開口部の幅を狭くして素子数を増やすことで、対象物面の10nm角の光量を信号に変換できるが、光学的にぼけた画像を細かく撮像しているに過ぎず、図13(d)に示すような高反射率物体651の画像を捉えることはできない。電子顕微鏡や原子間力顕微鏡は、500nm以下の物体の画像取得に用いられているが、光学顕微鏡の分解能を高めることは、画像取得の簡便性や高速性の観点から、半導体、電子材料の分野のみならず、多くの分野で求められている。
【0053】
なお、このような課題を解決するために、公知技術である極小の画素を用いる方法や、リレーレンズで対物レンズが結像した像を拡大する方法が考えられるが、光の回折現象で500nmオーダー以下において光学的なぼけをなくすことはできない。
【0054】
これに対し、第2実施形態の画像処理方法および、このような画像処理機能を備えた顕微鏡装置101によれば、信号強度の確率密度関数をサブ画素領域毎に算出し、当該確率密度関数が最大となる信号強度を各サブ画素領域における信号強度の真値として求めるため、微細駆動ステージ113に内蔵されたリニアエンコーダー(図示せず)よりも検出精度(分解能)が相対的に低い撮像素子124aを用いても、試料105を相対移動させる毎に求めた信号強度の測定精度は低いが、これら複数の信号強度に基づく確率密度関数を算出することで信号強度の測定精度は高まり、分解能の高い試料105の表面の画像を得ることが可能になる。
【0055】
なお、上述の第2実施形態において、微細駆動ステージ113により、試料105を撮像部120に対して相対移動させているが、これに限られるものではなく、撮像部120全体を試料105に対して相対移動させるようにしてもよく、撮像カメラ124における撮像素子(図示せず)だけを試料105に対して相対移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施形態に係る顕微鏡装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る制御用プロセッサの制御ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る画像処理方法を示すフローチャートである。
【図4】合焦度と光軸方向位置との関係をしめすグラフである。
【図5】試料の表面高さの度数分布である。
【図6】第2実施形態に係る顕微鏡装置の概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る制御用プロセッサの制御ブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る画像処理方法を示すフローチャートである。
【図9】(a)は信号強度(光強度)の度数分布であり、(b)はサブ画素領域の模式図である。
【図10】第1の従来例に係る顕微鏡装置の概略構成図である。
【図11】第2の従来例に係る顕微鏡装置の概略構成図である。
【図12】(a)は焦点近傍における光束の光線密度であり、(b)は焦点近傍における反射光量分布である。
【図13】50nm角の高反射物体を試料としたときの光学像とCCDカメラの各画素における幾何学的関係および各画素から得られる画像信号を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 顕微鏡装置(第1実施形態) 5 試料
10 顕微鏡本体 13 パルスモーター(第1の相対移動部)
14 エンコーダー(第1の位置検出部)
20 撮像部(撮像装置) 21 対物レンズ(撮像光学系)
23 顕微鏡鏡筒装置(撮像光学系および拡大光学系)
24 高速度カメラ(24a 撮像素子)
25 ピエゾ駆動装置
30 制御用プロセッサ
32 高速画像プロセッサ(第1〜第2の演算処理部)
101 顕微鏡装置(第2実施形態) 105 試料
110 顕微鏡本体 113 微細駆動ステージ(相対移動部)
120 撮像部 121 対物レンズ(撮像光学系)
123 顕微鏡鏡筒装置(撮像光学系) 124 撮像カメラ(124a 撮像素子)
130 制御用プロセッサ
132 画像プロセッサ(第1〜第3の演算処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により得られた、前記物体の表面の複数の輝度情報に基づく画像処理方法であって、
前記複数の輝度情報から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分に関する所定の特性値を求めて、前記抽出した部分における前記特性値の度数分布を求める第1のステップと、
前記度数分布に基づいて前記特性値の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる特性値を前記抽出した部分における前記特性値の真値として求める第2のステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記画像処理方法は、前記撮像装置を構成する光学系の光軸と垂直な方向へ、前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法であり、
前記第1のステップでは、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度を求めて、前記抽出した部分における前記信号強度の度数分布を求め、
前記第2のステップでは、前記度数分布に基づいて前記信号強度の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる信号強度を前記抽出した部分における前記信号強度の真値として求め、
前記真値として求めた前記信号強度に基づいて、前記物体の表面の画像を生成する第3のステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記画像処理方法は、前記撮像装置を構成する撮像光学系の光軸に沿って、前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に基づく画像処理方法であり、
前記第1のステップでは、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度から前記物体の表面高さを求めて、前記抽出した部分における前記表面高さの度数分布を求め、
前記第2のステップでは、前記度数分布に基づいて前記表面高さの確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる表面高さを前記抽出した部分における前記表面高さの真値として求めることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項4】
物体の表面を撮像可能な撮像装置と、
前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させる相対移動部と、
前記相対移動部を利用して前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させながら前記撮像装置により撮像して得られた、前記物体の表面の複数の画像に対して画像処理を行う画像処理部とを備え、
前記画像処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分に関する所定の特性値を求めて、前記抽出した部分における前記特性値の度数分布を求める第1の演算処理部と、
前記度数分布に基づいて前記特性値の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる特性値を前記抽出した部分における前記特性値の真値として求める第2の演算処理部とを有することを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記物体の表面の像を結像する撮像光学系および、前記撮像光学系により結像された前記物体の表面の像を撮像する撮像素子を有し、
前記相対移動部は、前記撮像光学系の光軸と垂直な方向へ前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させるように構成されており、
前記第1の演算処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度を求めて、前記抽出した部分における前記信号強度の度数分布を求め、
前記第2の演算処理部は、前記度数分布に基づいて前記信号強度の確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる信号強度を前記抽出した部分における前記信号強度の真値として求め、
前記画像処理部は、前記真値として求めた前記信号強度に基づいて、前記物体の表面の画像を生成する第3の演算処理部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記物体の表面の像を結像する撮像光学系および、前記撮像光学系により結像された前記物体の表面の像を撮像する撮像素子を有し、
前記相対移動部は、前記撮像光学系の光軸に沿って前記物体を前記撮像装置に対して相対移動させるように構成されており、
前記第1の演算処理部は、前記複数の画像から前記物体の表面における同一箇所に該当する部分を抽出するとともに、前記抽出した部分の信号強度から前記物体の表面高さを求めて、前記抽出した部分における前記表面高さの度数分布を求め、
前記第2の演算処理部は、前記度数分布に基づいて前記表面高さの確率密度関数を算出し、前記確率密度関数が最大となる表面高さを前記抽出した部分における前記表面高さの真値として求めることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置。
【請求項7】
対物レンズを有して物体の表面の拡大像を所定の撮像面上に結像する拡大光学系と、
前記拡大光学系により結像された前記拡大像の輝度を検出する撮像装置と、
前記物体および前記拡大光学系の少なくとも一方を前記拡大光学系の光軸に沿って相対移動させ、前記拡大光学系による合焦位置を変化させる第1の相対移動部と、
前記物体および前記拡大光学系の少なくとも一方を前記第1の相対移動部よりも粗大な範囲で相対移動させ、前記拡大光学系による合焦位置を変化させる第2の相対移動部と、
前記第2の相対移動部よりも微小な範囲で前記相対移動させる前記第1の相対移動部による相対移動量を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部よりも低い検出精度を有して前記第2の相対移動部による相対移動量を検出する第2の検出部と、
前記撮像装置により検出された輝度情報と前記第1の検出部による相対移動量と前記第2の検出部による相対移動量とに基づいて、前記物体の表面形状を求める演算部とを備えて構成されることを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項8】
前記第2の相対移動部は、前記対物レンズを前記拡大光学系の光軸に沿って前記第1の相対移動部よりも粗大な範囲で相対移動させることを特徴とする請求項7に記載の顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−19673(P2010−19673A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180181(P2008−180181)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(308019346)株式会社ニコンインステック (2)
【Fターム(参考)】