説明

画像形成装置

【課題】機外に漏れる動作音を低減して静音化が図ることができるとともに、立ち上げ時のウォームアップ時間を短縮して省エネルギー化を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】像担持体と転写ローラとの転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材をファン24,25による風によって搬送ガイドに沿わせながら定着装置まで縦方向に搬送し、外装カバー2に形成されたルーバー8から風を抜くよう構成された画像形成装置において、記録材のサイズに応じて前記ルーバー8を自動開閉するシャッター装置26を設ける。又、前記シャッター装置26は、電源を投入してから前記定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでの間は前記ルーバー8を閉じるよう動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体と転写ローラとの転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材を風によって搬送ガイドに沿わせながら定着装置まで縦方向に搬送する縦搬送型の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等の画像形成装置は、感光ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像装置において現像剤であるトナーを用いて現像してトナー像として顕像化し、この像担持体上のトナー像を転写ローラ等の転写手段によって用紙等の記録材上に転写し、トナー像が転写された記録材を定着装置へと搬送して該定着装置においてトナー像を記録材上に定着した後、トナー像が定着された記録材を機外へと排出するという一連のプロセスを経て画像を形成している。
【0003】
ところで、像担持体と転写ローラとの転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材を定着装置まで縦方向に搬送する縦搬送型の画像形成装置においては、記録材が重力に逆らって上方へと搬送されるため、排送中の記録材の挙動が不安定となり、転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材が定着装置に進入すると該記録材にしわが発生することがある。
【0004】
そこで、転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材に吹付ファンによって風を吹き付けたり、吸引ファンによって記録材を吸引することによって該記録材を搬送ガイドに沿わせながら定着装置まで縦方向に搬送する構成が採用されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、紙送りローラ表面に付着した埃や紙粉を空気流によって吹き飛ばしてクリーニングするようにした用紙搬送装置が提案されている。
【0006】
又、特許文献2には、記録材がトナー像をほぼ下面として搬送される画像形成装置において、定着装置の手前側の搬送路の上下両側に、装置内の空気を吸引して装置外へ排気する空気流通手段を設け、搬送路に記録材が存在するときは上側の空気流通手段を作動させて記録材を吸い上げ、下側の空気流通手段の吸引力を停止又は弱くすることによって、定着装置に進入する記録材が定着装置の手前で垂れ下がるのを防ぐようにした提案がなされている。
【0007】
更に、特許文献3には、反射板の先端ガイド部とガイド板との間に吸気ファンによって風を吹き付けるとともに、ガイド板に形成された孔から吸気ファンによって風を吸引することによって用紙を確実に搬送するようにした用紙搬送装置が提案されている。
【特許文献1】実開平4−100143号公報
【特許文献2】特開平10−207275号公報
【特許文献3】特開平7−242353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、実際にしわが発生する記録材は比較的大きな例えばA3サイズのような定着装置を通過する時間が比較的長い用紙であって、一般的に使用頻度が高いA4横サイズ紙のように定着装置を通過する時間が比較的短い用紙にはしわの問題は殆ど発生することがない。
【0009】
しかしながら、従来の縦搬送型の画像形成装置においては、外装カバーに形成されたルーバーの開口面積は不変であって、用紙サイズに関係なくルーバーからは常に一定量の風が機外に排出されていたため、機内の各種機器の動作音がルーバーを介して機外に漏れるという問題があった。
【0010】
又、装置の立ち上げ時のウォームアップ中においても外装カバーから一定量の風が常時排出されるために定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでの待機時間が長くてユーザーの利便性が悪く、無駄なエネルギーを消費するという問題もあった。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、機外に漏れる動作音を低減して静音化が図ることができるとともに、立ち上げ時のウォームアップ時間を短縮して省エネルギー化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体と転写ローラとの転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材をファンによる風によって搬送ガイドに沿わせながら定着装置まで縦方向に搬送し、外装カバーに形成されたルーバーから風を抜くよう構成された画像形成装置において、記録材のサイズに応じて前記ルーバーを自動開閉するシャッター装置を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シャッター装置は、駆動源としてのモータと、前記ルーバーを開閉するシャッターと、前記モータの回転を前記シャッターの往復運動に変換するラックアンドピニオン機構を含んで構成されることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記シャッター装置は、電源を投入してから前記定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでの間は前記ルーバーを閉じるよう動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び2記載の発明によれば、外装カバーに形成されたルーバーが記録材のサイズに応じてシャッター装置によって自動開閉されてその開口面積が調整されるため、しわの問題が発生しない比較的小サイズの記録材を搬送する場合には、ルーバーの開口面積を絞って該ルーバーから機外へ漏れる動作音を低減することができ、これによって画像形成装置の静音化が図られる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、画像形成装置を立ち上げる際に電源を投入してから定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでの間はシャッター装置によってルーバーを閉じるようにしたため、機内の熱が風と共にルーバーから機外に排出されることがなく、従って、機内温度が早期に上昇して定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでのウォームアップ時間が短縮され、待機時間が短くなってユーザーの利便性が高められるとともに、無駄なエネルギーの消費が防がれて省エネルギー化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る画像形成装置の側断面図、図2は同画像形成装置の外装カバー(左カバー)の斜視図、図3は同外装カバーを内側から見た斜視図、図4は図3の要部拡大詳細図、図5は図3の矢視A方向の図である。
【0019】
図1に示す画像形成装置1は縦搬送型の複写機であって、その全体は箱状の外装カバー2で覆われており、その上面には排紙トレイ3が形成され、その上方には、原稿を光学的に読み取るためのスキャナ4が設けられている。そして、外装カバー2内の下部には上下2段の給紙カセット5,6が着脱可能に収納されており、外装カバー2の一側部(右側部)には手差しトレイ7が設けられ、外装カバー2の他側部(左カバー)には、図2に示すように、風を機外に排出するためのルーバー8が矩形状に形成されている。又、外装カバー2内の給紙カセット5,6の上方には画像形成部9が収容されており、この画像形成部9は、レーザースキャナユニット(LSU)10と、像担持体である感光ドラム11と、該感光ドラム11の周囲に配された帯電器12、現像装置13、転写ローラ14及びクリーニング装置15等によって構成され、その上方には定着装置16が配置されている。
【0020】
上記定着装置16は、画像形成部9において用紙等の記録材に転写されたトナー像を当該記録材に定着させるためのものであって、互いに圧接されて回転する加熱ローラ17と加圧ローラ18を備えている。又、感光ドラム11と転写ローラ14との当接部である転写ニップから定着装置16の加熱ローラ17と加圧ローラ18との当接部である定着ニップ部に至る搬送経路には、記録材をガイドするための搬送ガイド19が設けられている。
【0021】
而して、複写機1は、外装カバー2内に縦方向に形成された搬送路L(又はL及びL’)に沿って記録材を縦方向に搬送しながら、スキャナ4によって読み取られた画像データに基づいて記録材に画像を形成するものであって、前記搬送路Lには複数の搬送ローラ対20とレジストローラ対21及び排紙ローラ対22が配置され、搬送路L’には複数の搬送ローラ対23が配置されている。
【0022】
ところで、図1に示すように、外装カバー2内の右側部の前記レーザースキャナユニット10の近傍には吹付ファン24が配置され、左側部の前記搬送ガイド19の背面側には吸引ファン25が配置されている。
【0023】
又、図3に示すように、外装カバー2の左側部(左カバー)の内側には、記録材のサイズに応じてルーバーを自動開閉するシャッター装置26が設けられている。ここで、シャッター装置26は、図3〜図5に示すように、駆動源である正逆転可能なモータ27と、ルーバーを開閉する左右一対のシャッター28と、前記モータ27の回転を前記シャッター28の往復運動に変換するラックアンドピニオン機構29を含んで構成されている。
【0024】
左右一対の上記シャッター28には上端から内側に向かって水平に延びるアーム部28aがそれぞれ一体に形成されており、このアーム部28aにはラック30が刻設されている。又、外装カバー2の左側部(左カバー)の内側には、大径のギヤ31と小径のピニオン32が軸33によって回転可能に支持されており、ギヤ31には前記モータ27の出力軸端に結着されたピニオンギヤ34が噛合している。又、ピニオン32には、左右一対のシャッター28の各アーム部28aに刻設されラック30が噛合しており、これらのラック30とピニオン32によって前記ラックアンドピニオン機構29が構成されている。
【0025】
次に、以上の構成を有する複写機1の画像形成動作について説明する。
【0026】
スキャナ4上に原稿が載置され、不図示の操作部から動作開始信号が送信されると、スキャナ4によって原稿画像が光学的に読み取られるとともに、画像形成部9において感光ドラム11が不図示の駆動手段によって図1の矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その表面が帯電器12によって所定の電位に一様に帯電される。そして、スキャナ4から送信された画像データに基づくレーザー光がレーザースキャナユニット10から出力されて感光ドラム11上に照射されると、該感光ドラム11上には静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像装置13によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として可視像化される。
【0027】
同時に給紙カセット5又6は或は手差しトレイ7内に収容されたシートは、最上位のものから1枚ずつピックアップされ、搬送路L上をレジストローラ対21に向けて搬送される。レジストローラ対21においては、記録材は、一時待機状態とされた後、感光ドラム11上のトナー像に同期する所定のタイミングで感光ドラム11と転写ローラ14との間の転写ニップへと供給される。
【0028】
画像形成部9においては、感光ドラム11と転写ローラ14との間の転写ニップへと供給された記録材は、転写ローラ14によって感光ドラム11に押し付けられながら搬送されることによって、その表面(転写面)に感光ドラム11上のトナー像が転写される。そして、転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材は、吹付ファン24によって吹き付けられる風と吸引ファン25によって吸引される風によって搬送ガイド19に押し付けられてこれに沿いながら定着装置16まで縦方向に搬送される。
【0029】
定着装置16においては、記録材は、加熱ローラ17と加圧ローラ18によって挟み込まれて搬送される過程で加熱及び加圧されてトナー像の定着を受ける。尚、記録材へのトナー像の転写後に感光ドラム11の表面に残留するトナー(転写残トナー)はクリーニング装置15によって除去される。
【0030】
而して、定着装置16によって表面にトナー像が定着された記録材は、搬送路Lを上方へと搬送され、排紙ローラ対22によって排紙トレイ3に排出されて積載され、一連の画像形成動作が完了する。
【0031】
ところで、本実施の形態では、前述のように外装カバー2に形成されたルーバー8は記録材のサイズに応じてシャッター装置26によって自動開閉されてその開口面積が調整される。具体的には、通紙される記録材が例えばA3サイズ紙のように比較的大きな用紙である場合には、これが転写ニップ部から定着ニップ部へと重力に抗して上方へと安定的に搬送することができるよう風によって搬送ガイド19に押し付ける必要があるため、ルーバー8からは所定量の風を排出する必要があるため、シャッター装置26のシャッターを図3に示すようにルーバー8を全開する必要があるが、しわの問題が発生しない小サイズの例えばA4サイズ紙を通紙する場合には、用紙を風によって搬送ガイド19に押し付ける力は小さくて済み、従って、シャッター装置26のシャッター28を閉じ側に移動させてルーバー8の開口面積を絞っても問題は発生しない。
【0032】
そこで、本実施の形態では、搬送される記録材のサイズが小さいほど、シャッター装置26によってルーバー8の開口面積を絞るようにした。ここで、ルーバー8の開閉は次のようになされる。
【0033】
即ち、モータ27が起動されると、該モータ27の出力軸の回転はピニオンギヤ34からギヤ31及びピニオン32へと伝達され、ピニオン32が回転駆動されるため、該ピニオン32にラック30が噛合する左右一対のシャッター28が互いに逆方向に図3の矢印方向に往復移動して離間及び近接し、これらのシャッター28によってルーバー8が開閉されてその開口面積が記録材のサイズに応じて調整される。
【0034】
以上のように、本実施の形態では、外装カバー2に形成されたルーバー8が記録材のサイズに応じてシャッター装置26によって自動開閉されてその開口面積が調整されるため、しわの問題が発生しない比較的小サイズの記録材を搬送する場合には、ルーバー8の開口面積を絞って該ルーバー8から機外へ漏れる動作音を低減することができ、これによって複写機1の静音化が図られる。
【0035】
又、本実施の形態は、複写機1を立ち上げる際に電源を投入してから定着装置16の温度が所定の定着温度に達するまでの間はシャッター装置26によってルーバー8を閉じるようにしたことを特徴とする。従って、本実施の形態によれば、ウォームアップ時に機内の熱が風と共にルーバー8から機外に排出されることがなく、機内温度が早期に上昇して定着装置16の温度が所定の定着温度に達するまでのウォームアップ時間が短縮されるため、待機時間が短くなってユーザーの利便性が高められるとともに、無駄なエネルギーの消費が防がれて省エネルギー化が図られる。
【0036】
尚、以上は記録材の片面に画像を形成する場合の動作について説明したが、記録材の両面に画像を形成する場合には、以上の過程を経て片面に画像が形成された記録材を図1に破線矢印にて示すように搬送路L’へと送り込んだ後に搬送路Lへと受け渡せば、その表裏が反転される。そして、前記と同様に画像形成部9によって記録材の他方の面にトナー像を転写し、そのトナー像を定着装置16によって定着させれば、記録材の両面に画像を形成することができ、両面に画像が形成された記録材は排紙ローラ対22によって排紙トレイ3に排出されて積載される。
【0037】
又、以上は本発明を特に複写機に適用した形態について説明したが、本発明は、複写機の他、プリンタやファクシミリ装置等の他の任意の画像形成装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像形成装置(複写機)の側断面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置(複写機)の外装カバー(左カバー)の斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置(複写機)の外装カバー(左カバー)を内側から見た斜視図である。
【図4】図3の要部拡大詳細図である。
【図5】図3の矢視A方向の図である。
【符号の説明】
【0039】
1 複写機(画像形成装置)
2 外装カバー
3 排紙トレイ
4 スキャナ
5,6 給紙カセット
7 手差しトレイ
8 ルーバー
9 画像形成部
10 レーザースキャナユニット(LSU)
11 感光ドラム
12 帯電器
13 現像装置
14 転写ローラ
15 クリーニング装置
16 定着装置
17 加熱ローラ
18 加圧ローラ
19 搬送ガイド
20 搬送ローラ対
21 レジストローラ対
22 排紙ローラ対
23 搬送ローラ対
24 吹付ファン
25 吸引ファン
26 シャッター装置
27 モータ
28 シャッター
28a シャッターのアーム部
29 ラックアンドピニオン機構
30 ラック
31 ギヤ
32 ピニオン
33 軸
34 ピニオンギヤ
L,L’ 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と転写ローラとの転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材をファンによる風によって搬送ガイドに沿わせながら定着装置まで縦方向に搬送し、外装カバーに形成されたルーバーから風を抜くよう構成された画像形成装置において、
記録材のサイズに応じて前記ルーバーを自動開閉するシャッター装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッター装置は、駆動源としてのモータと、前記ルーバーを開閉するシャッターと、前記モータの回転を前記シャッターの往復運動に変換するラックアンドピニオン機構を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シャッター装置は、電源を投入してから前記定着装置の温度が所定の定着温度に達するまでの間は前記ルーバーを閉じるよう動作することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−39319(P2010−39319A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203681(P2008−203681)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】