説明

画像形成装置

【課題】装置本体内に装着されるべき部材が装着されていない状態でトップカバーが閉止されるのを防止する。
【解決手段】上面に開口を備えた装置本体11と、開口を塞ぐ開閉可能なトップカバー161と、装置本体11内に収容される作像部12と、装置本体11内の上面側に装着され、管理情報が記憶されたRFIDタグ30が装着されたトナーコンテナ138と、RFIDタグ30と通信を行うリーダライタ80と、リーダライタ80を保持し、作動姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更可能な基板ホルダ20とが備えられている。そして、トップカバー161には、退避姿勢S2に姿勢設定された基板ホルダ20と干渉する干渉縁部163aが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成処理に関する部材のメンテナンス用の各種のデータを記憶したRFIDタグ30を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているようなタンデム方式が採用されたカラー印刷用の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、4種類の異なる色のトナーを、各色に対応した4つの感光体ドラムを介して中間転写ベルトに重畳(塗り重ね)転写し、一旦中間転写ベルト上にカラー画像を形成させた後に、当該カラー画像を用紙に転写するようになされている。
【0003】
前記各感光体ドラムへは、それぞれ対応した各現像装置からトナーが供給される。また、各現像装置へは、それらの上方位置にそれぞれ対向配置された各トナーコンテナからトナーが補給される。そして、トナーコンテナは、空になると新品のものと交換される。
【0004】
ところで、この交換用のトナーコンテナとしてメーターの純正品ではなく、粗悪なトナーが充填された再生品であるリサイクルコンテナが流通することがある。かかる粗悪なリサイクルコンテナが画像形成装置に装着されると、適正な画像形成処理が実行し得なくなるばかりか、装置が故障する原因にもなり易い。
【0005】
そこで、特許文献1の画像形成装置においては、トナーコンテナに無線周波認識タグ(以下、RFID(radio frequency identification)タグという)を取り付け、装置本体に備えられたリーダライタでRFIDタグの情報を読み取らせるようになされている。このような画像形成装置にあっては、トナーコンテナを交換した直後に新品のトナーコンテナのRFIDタグが記憶している情報を読み取ることができ、そのトナーコンテナが純正品であるか否かを即座に判別することができるため、純正品以外のトナーコンテナの装着を排除することができる。
【特許文献1】特開2006−301071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トナーコンテナの前面側には、通常、当該トナーコンテナの型式や製造年月日、さらには各種の仕様等が刻印された銘板が形成されている場合が多く、従って、トナーコンテナの前面にRFIDタグを取り付けることができないことがある。このような場合、RFIDタグは、トナーコンテナの底板の適所に設けられるのが一般的である。
【0007】
一方、トナーコンテナの交換は、画像形成装置の頂部に開閉可能に設けられたトップカバーを開放し、これにより外部に露出した上面開口から行われる。また、トナーコンテナの新旧交換時に合わせて中間転写ベルトの点検が行われることも多い。この際、新たなトナーカートリッジが装置本体に装着されていなかったり、中間転写ベルトが元に戻されていなかったりした状態でトップカバーが閉止されてしまうと、例えばインターロックスイッチがオンになって一旦切られていた電源が入ってしまうことがあるなど各種の不都合が生じる虞がある。
【0008】
本発明は、従来のかかかる状況に鑑みなされたものであって、装置本体内に装着されるべき部材が装着されていない状態でトップカバーが閉止されるのを防止し得るように構成された画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、上面に開口を備えた装置本体と、前記開口を塞ぐ開閉可能なトップカバーと、前記装置本体内に収容される作像部と、前記装置本体内の上面側に装着され、情報の読み取が可能な不揮発性メモリを有するRFIDタグが装着されたトナーコンテナと、前記装置本体に設けられ、前記RFIDタグに対して情報を読み取る読み取り手段と、前記回路基板を保持し、作動姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更可能な基板ホルダと、が備えられ、前記トップカバーには、退避姿勢に姿勢設定された基板ホルダと干渉する干渉部が備えられていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成によれば、トップカバーを解放した状態で行われるトナーコンテナの交換作業時に、基板ホルダを作動姿勢から退避姿勢に姿勢変更させることにより、開放されたトップカバーは、その干渉部が基板ホルダと干渉するため、開放状態が維持され、誤って閉止されてしまうようなことが起こらない。従って、装置本体内にトナーコンテナが存在しない状態でトップカバーが閉止されることによる、例えば電気的な短絡等の発生が防止され、安心した状態でメンテナンス作業や部品交換作業が行われる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記作像部には、前記トナーコンテナの下方位置に配設され、表面にトナー画像が形成される中間転写ベルトが備えられ、前記中間転写ベルトは、前記基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定された状態で取り外しが可能とされていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成によれば、中間転写ベルトは、基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定されない限り装置本体内から取り外すことができない。従って、基板ホルダは、中間転写ベルトが取り外されるとき必ず退避姿勢に姿勢設定されており、開放されたトップカバーは、基板ホルダとの干渉で閉じられることがないため、中間転写ベルトが取り外されているのにトップカバーが閉じるような不都合の発生が防止される。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記作像部には、並設された複数の像担持体と、前記各像担持体にそれぞれ対応して設けられた複数の現像装置と、前記各現像装置にそれぞれ対応して設けられ、それぞれ充填された異なる色の現像剤を、対応した現像装置へ補給する複数の前記トナーコンテナとが備えられ、前記基板ホルダは、前記各トナーコンテナの各RFIDタグ対応した複数の前記読み取り手段を有していることを特徴とするものである。
【0014】
かかる構成によれば、複数の各色に対応して像担持体、現像装置およびトナーコンテナがそれぞれ複数ずつ並設されてなる、いわゆるタンデム式のカラー印刷用の画像形成装置が、請求項1または2記載の画像形成装置の有する作用効果を享受し得るものになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、装置本体のトップカバーを開放してトナーコンテナの新旧交換作業を行うに際し、基板ホルダを作動姿勢から退避姿勢へ姿勢変更させることにより、トップカバーの干渉部が基板ホルダと干渉するため、トナーコンテナが存在しないにも拘わらず、更には、RFIDタグの情報を正しく読み取ることができない状態であるにも拘わらず、トップカバーが閉止されてしまうような不都合の発生を防止することができる。従って、装置本体内にあるべきものが存在しない状態でのトップカバーの閉止でインターロックのスイッチがオンされてしまい、電気的な短絡が生じるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための背面側から見た断面視の説明図である。なお、図1において、X方向を左右方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方という。図1に示すように、本実施形態のプリンタ(画像形成装置)10は、箱形を呈した装置本体11内にコンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像形成処理を行い用紙Pに印刷して当該印刷の定着処理を施す作像部12と、印刷用の用紙を貯留する用紙貯留部15とが内装されるとともに、装置本体11の頂部に定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部16が形成されることによって基本構成されている。
【0017】
前記作像部12は、画像形成処理を実行する画像形成部13と、カラー画像を形成させるべく画像形成部13で形成された各色の画像が塗り重ねられる転写ベルト135aを備えた中間転写ユニット135と、前記転写ベルト135aに形成されたカラー画像が転写された用紙Pのカラー画像の定着処理を施す定着部14とを備えている。
【0018】
前記装置本体11の上面適所には、用紙Pの出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、図略の電源キーやスタートボタン、さらには出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
【0019】
前記画像形成部13は、用紙貯留部15から給紙された用紙Pに画像形成処理の結果得られたトナー画像を印刷するものであり、本実施形態では、上流側(左側)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナー(現像剤)を用いるマゼンタ用ユニット13Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット13Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット13Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット13Kとが備えられている。
【0020】
そして、前記各ユニット13M,13C,13Y,13Kには、感光体ドラム131および現像装置132がそれぞれ備えられている。感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)を形成させるためのものである。そして、各感光体ドラム131は、図1において時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置132からトナーの供給を受ける。
【0021】
各感光体ドラム131の直下位置には帯電装置133がそれぞれ設けられているとともに、各帯電装置133のさらに下方位置には露光装置134が設けられている。そして、各感光体ドラム131は、前記帯電装置133によって周面が一様に帯電され、コンピュータ等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記露光装置134から帯電後の感光体ドラム131の周面に照射されることにより、各感光体ドラム131の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置132からトナーが供給されることにより、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成される。
【0022】
感光体ドラム131の上方位置には、中間転写ユニット135が配設されている。この中間転写ユニット135は、左右方向に長尺の枠体135dと、この枠体135dに支持された転写ベルト135aとを備えている。転写ベルト135aは、各感光体ドラム131に当接するように、枠体135dの右端および左端にそれぞれ設けられた駆動ローラ135bおよび従動ローラ135c間に張設されている。
【0023】
このような転写ベルト135aは、各感光体ドラム131に対応して設けられた転写ローラ136によって感光体ドラム131の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム131と同期しながら駆動ローラ135bと従動ローラ135cとの間を周回する。
【0024】
従って、転写ベルト135aが周回することによりその表面に対しマゼンタ用ユニット13Mの感光体ドラム131によるマゼンタトナーのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト135aの同一位置にシアン用ユニット13Cの感光体ドラム131によるシアントナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト135aの同一位置にイエロー用ユニット13Yの感光体ドラム131によるイエロートナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット13Kの感光体ドラム131によるブラックトナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト135aの表面にカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト135aの表面に形成されたカラーのトナー像が用紙貯留部15から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0025】
そして、各感光体ドラム131の図1における右方位置には当該感光体ドラム131の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置137が設けられている。クリーニング装置137によって清浄化処理された感光体ドラム131の周面は、新たな帯電処理のために帯電装置133へ向かうことになる。
【0026】
クリーニング装置137で感光体ドラム131の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0027】
前記中間転写ユニット135の上方位置には、装置本体11の上面開口から出し入れする、各現像装置132に対応したトナーコンテナ138が着脱可能に装着されている。かかるトナーコンテナ138は、対応した現像装置132へトナーを補給するためのものであり、トナーが消費されてしまうと新品と交換される。
【0028】
そして、トナーコンテナ138の底板の外面側であって、後述する基板ホルダ20に設けられたリーダライタ80と対応した位置には、RFID(radio frequency identification(無線周波認識))タグ30(図1)が取り付けられている。RFIDタグ30は、バッテリ等の電源がなくても機能する、いわゆるパッシブタブ(受動タブ)であり、アンテナパターンとICチップ等が備えられている。そして、本実施形態においては、トナーコンテナ138が装置本体11に装着されると、リーダライタ80がRFIDタグ30との間で無線通信を行い、これによってRFIDタグ30が記憶しているトナーコンテナ138の各種の情報(例えば、製造ロット番号、部品情報、対応機種あるいは納入年月日等)がリーダライタ80により読み取られる。
【0029】
画像形成部13の右方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。この用紙搬送路111には、第2転写ローラ113の直前にレジストローラ対112′が設けられ、用紙貯留部15からの用紙は、搬送ローラ対112を介しこのレジストローラ対112′の駆動で駆動ローラ135bに掛け回されている転写ベルト135aへ向けて搬送される。かかる用紙搬送路111には、駆動ローラ135bと対向した位置に転写ベルト135aの表面と当接した第2転写ローラ113が設けられ、用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト135aと第2転写ローラ113とに押圧挟持されることによって転写ベルト135a上のトナー像が当該用紙Pに転写される。
【0030】
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラ141と、右方でこの加熱ローラ141と対向配置された定着ローラ142と、この定着ローラ142および前記加熱ローラ141間に張設された定着ベルト143と、この定着ベルト143を介して前記定着ローラ142と対向配置された加圧ローラ144とを備えている。
【0031】
そして、用紙Pは、前記転写ベルト135aと第2転写ローラ113との間のニップ部を通過することにより転写ベルト135aのトナー像が転写された状態で定着部14へ供給される。定着部14へ供給された用紙Pは、加圧ローラ144と高温の定着ベルト143との間を通過しながら定着ベルト143からの熱を得て定着処理が施される。
【0032】
前記用紙貯留部15は、装置本体11の左側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ151と、装置本体11内における露光装置134より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ152とを備えている。用紙トレイ152には用紙束が貯留される。
【0033】
前記手差しトレイ151は、用紙Pを1枚ずつ手差し操作で画像形成部13へ向けて給紙するためのものであり、普段は装置本体11の左壁面に収納されているが、手差しで給紙するときのみ、図1に示すように、壁面から引き出されて手差し給紙に供される。
【0034】
前記用紙トレイ152は、上面が全面開口の箱体を備えて構成され、複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1が貯留可能とされている。かかる用紙トレイ152に貯留された用紙束P1の最上位の用紙Pは、下流端(右端)の上面が用紙束P1からピックアップローラ153の駆動で用紙搬送路111へ向けて繰り出される。1枚ずつ繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で用紙搬送路111を通って画像形成部13における第2転写ローラ113と転写ベルト135aとの間のニップ部へ向けて送り込まれる。
【0035】
前記用紙排出部16は、装置本体11の上面開口を閉止するべく設けられたトップカバー161によって形成されている。このトップカバー161は、右縁部が右方へ向かって先下がりに傾斜した台形状を呈する前後方向(図1の紙面に直交する方向)一対の側板161aと、これら一対の側板161aの傾斜縁部間に架設された傾斜板161bと、一対の側板161aの頂縁部間に架設された天板161cと、前記天板161cの左縁部から下方へ向かって折り返されて一対の側板161aの左縁部間に架設された状態の左面板161dとを備えている。
【0036】
かかるトップカバー161は、傾斜板161bの右縁部が排紙口102の若干下方に位置するように設置位置が設定され、これによって傾斜板161bの上面が排紙トレイ162として利用し得るようになされている。
【0037】
そして、定着処理後の用紙Pは、排紙搬送路101を上昇し、排出ローラ対の駆動により排紙口102を通って装置本体11の頂部に設けられたトップカバー161の傾斜板161b上面の排紙トレイ162へ排出される。
【0038】
以下、図2〜図6を基にリーダライタ80が装着される基板ホルダ20について説明する。なお、図2〜図6において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0039】
図2は、図1に示すプリンタ10に採用された装置本体11の一実施形態を示す斜視図であり、図2(A)は、基板ホルダ20が作動姿勢S1に姿勢設定された状態、図2(B)は、基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【0040】
図3は、図2に示す装置本体11の平面図であり、図3(A)は、基板ホルダ20が作動姿勢S1に姿勢設定された状態、図3(B)は、基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【0041】
図4は、図2(B)における基板ホルダ20およびトップカバー161を抽出して示した部分拡大斜視図である。
【0042】
図5は、図2の部分拡大斜視図であり、図5(A)は、基板ホルダ20が作動姿勢S1に姿勢設定された状態、図5(B)は、基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【0043】
図6は、基板ホルダ20とトップカバー161との関係を判り易く図示するべく、本発明の説明には不必要な部材の図示を控えて可能な限り単純化して示した基板ホルダ20およびトップカバー161の斜視説明図である。
【0044】
まず、図2に示すように、装置本体11は、その上部に前後方向一対の前後フレーム板191と、これら一対の前後フレーム板191の左縁部間に架設された左側フレーム板192と、同右縁部間に架設された右側フレーム板193とを有しているとともに、これら一対の前後フレーム板191の下縁部間に波板状の天板フレーム194が架設されている。波板状の天板フレーム194は、4つの谷部を有し、各谷部に各色用のトナーコンテナ138がそれぞれ着脱可能に装着される。
【0045】
前記トップカバー161は、その左面板161dの自由縁部(図2では右縁部)を軸支するカバー軸164(図5,図6)を支点として正逆回動可能に装置本体11の左側フレーム板192に連結され、図1に実線で示す装置本体11の上面開口を閉じた閉止姿勢T1と、図1および図2に二点差線で示す起立して装置本体11の上面開口を開いた開放姿勢T2との間で姿勢変更可能とされている。
【0046】
このような装置本体11の前方の前後フレーム板191の内面側には、リーダライタ(回路基板)80がマウントされた基板ホルダ20が設けられている。リーダライタ80は、RFIDタグ30が記憶している情報を読み取るため、および所定の情報をRFIDタグ30へ書き込むために使用されるものである。かかるリーダライタ80は、発信した電波の一部をRFIDタグ30内のアンテナで反射させるに際し、この反射波にRFIDタグ30が記憶している情報を乗せるようになされている。これによりRFIDタグ30が記憶しているトナーコンテナ138の管理情報を読み取ることができる。
【0047】
以下、図6を基に、必要に応じて他の図面も参照しながら、基板ホルダ20について説明する。なお、図6では、基板ホルダ20およびその周辺部材を図2〜図5に示すものより簡略化して示している。
【0048】
図6に示すように、基板ホルダ20は、Y方向から見た正面視で門型を呈し、左右方向へ延びた、リーダライタ80が取り付けられるホルダ本体21と、このホルダ本体21の左右両端部から基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態における下方へ向けて延設された左右一対の脚部22とを備えている。
【0049】
前記ホルダ本体21には、その先端縁部から外方へ向かって突設された4つの突設部211が設けられている。そして、各リーダライタ80は、これら各突設部211からホルダ本体21へ跨った状態でそれぞれホルダ本体21に取り付けられている。
【0050】
前記脚部22は、それぞれ互いに反対方向へ向けて突設された左右方向に延びる回動軸221を有している。左側の回動軸221は、装置本体11の左側フレーム板192の前方寄りの位置に軸心回りに回動可能に軸支されているとともに、右側の回動軸221は、装置本体11の右側フレーム板193の前方寄りの位置に軸心回りに回動可能に軸支されている。
【0051】
かかる基板ホルダ20は、回動軸221回りに正逆回動することにより、図5(A)に実線で、図6に二点差線で示すように、後方へ向けて傾倒して略水平になった作動姿勢S1と、図5(B)および図6にそれぞれ実線で示すように、上方へ向けて略垂直に延びた退避姿勢S2との間で姿勢変更可能とされている。
【0052】
そして、作動姿勢S1に姿勢設定された基板ホルダ20は、平面視では、図3(A)に示すように各突設部211が天板フレーム194の谷部の前部に横臥した状態になる。この状態でトナーコンテナ138が装置本体11内の天板フレーム194上に装着されるため、基板ホルダ20の突設部211の上にトナーコンテナ138の前端部が載置される。
【0053】
これに対し、退避姿勢S2に姿勢設定された基板ホルダ20は、図3(B)に示すように、起立して前方の前後フレーム板191へ寄った状態になっている。この状態ではトナーコンテナ138を装置本体11内に装着すると、当該基板ホルダ20が邪魔になってトップカバー161を閉止することができなくなる。これにより基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態でのトナーコンテナ138の装置本体11内への誤装着を防止することができる。
【0054】
一方、前記トップカバー161には、その左面板161dの前後両側部と天板161cとの間にそれぞれ架設された一対のカバー側ブラケット163と、各カバー側ブラケット163から互いに対向する方向に向けてそれぞれ突設された一対のカバー軸164とを備えている。カバー軸164は、左面板161dの前後方向に延びた先端縁部の近傍に位置するように設置位置が設定されている。これらトップカバー161と、カバー側ブラケット163と、カバー軸164とで用紙排出部16が形成されている。
【0055】
そして、装置本体11の前記左側フレーム板192には、その上縁部における各カバー軸164と対応した位置に本体側ブラケット195がそれぞれ設けられている。各カバー側ブラケット163を対応した各本体側ブラケット195にそれぞれ対向させた状態で、各カバー軸164をカバー側ブラケット163および本体側ブラケット195に貫通させることにより、トップカバー161は、カバー軸164回りに正逆回動して閉止姿勢T1と開放姿勢T2との間で姿勢変更可能になる。
【0056】
そして、前記カバー側ブラケット163には、トップカバー161が開放姿勢T2に姿勢設定された状態で、退避姿勢S2に姿勢設定されたホルダ本体21の左縁部212と干渉する干渉縁部(干渉部)163aが形成されている。すなわち、ホルダ本体21の左縁部212は、図4、図5(B)および図6に示すように、トップカバー161を退避姿勢S2から作動姿勢S1へ姿勢変更させないためのストッパとしての機能を発揮する。
【0057】
従って、閉止姿勢T1に姿勢設定されていたトップカバー161をカバー軸164回りに反時計方向に略90°回動させて開放姿勢T2へ姿勢変更させた状態で、装置本体11の天板フレーム194上からトナーコンテナ138を取り外した後、図2(A)、図3(A)および図5(A)に示すように作動姿勢S1に姿勢設定されている基板ホルダ20を回動軸221回りに時計方向へ略90°回動させて起こし、図2(B)、図3(B)、図4および図5(B)に示すように、退避姿勢S2に姿勢変更させることにより、基板ホルダ20の左縁部212が用紙排出部16のカバー側ブラケット163の干渉縁部163aと対向した状態になるため、トップカバー161を閉めようとしても、カバー側ブラケット163の干渉縁部163aが基板ホルダ20の左縁部212に当止し、これによってトップカバー161は閉じることができなくなる。
【0058】
従って、この状態でトナーコンテナ138を装置本体11から引き出したり、画像形成部13にメンテナンス処理を施したりしても、その最中にトップカバー161が閉止されることがないため、メンテナンス作業の最中であるにも拘わらずトップカバー161の閉止でインターロックのスイッチがオンになって電源が入ってしまうような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0059】
以上詳述したように、本実施形態に係るプリンタ10は、上面に開口を備えた装置本体11と、開口を塞ぐ開閉可能なトップカバー161と、装置本体11内に収容される作像部12と、装置本体11内の上面側に装着され、管理情報が記憶されたRFIDタグ30が装着されたトナーコンテナ138と、RFIDタグ30と通信を行うリーダライタ80と、リーダライタ80を保持し、作動姿勢S1と退避姿勢S2との間で姿勢変更可能な基板ホルダ20とが備えられてなるものである。
【0060】
そして、トップカバー161には、退避姿勢S2に姿勢設定された基板ホルダ20と干渉する干渉縁部163aが備えられているため、トップカバー161を解放した状態で行われるトナーコンテナ138の交換作業時に、基板ホルダ20を作動姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更させることにより、開放されたトップカバー161は、その干渉縁部163aが基板ホルダ20と干渉する。従って、この干渉でトップカバー161の開放状態が維持され、誤って閉止されてしまうようなことが起こらない。よって、装置本体11内にトナーコンテナ138が存在しない状態でトップカバー161が閉止されることによる、例えば電気的な短絡等の発生が防止され、安心してメンテナンス作業や部品交換作業を行うことができる。
【0061】
また、作像部12には、トナーコンテナ138の下方位置に配設され、表面にトナー画像が形成される、転写ベルト135aを備えた中間転写ユニット135が設けられ、この中間転写ユニット135は、基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定された状態でのみ取り外しが可能とされている。
【0062】
かかる構成によれば、中間転写ユニット135は、基板ホルダ20が退避姿勢S2に姿勢設定されない限り装置本体11内から取り外すことができない。従って、基板ホルダ20は、中間転写ユニット135が取り外されるとき必ず退避姿勢S2に姿勢設定されており、開放されたトップカバー161は、基板ホルダ20との干渉で閉じられることがないため、中間転写ユニット135が取り外されているのにトップカバー161が閉じるような不都合の発生を防止することができる。
【0063】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0064】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10を例に挙げて説明したが、プリンタ10に代えて複写機であってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0065】
(2)上記の実施形態においては、トナーコンテナ138の管理情報が記憶されているRFIDタグ30が当該トナーコンテナ138に設けられているが、トナーコンテナ138の管理情報に代えて、あるいはそれに加えて作像部12内の各種の部品の情報を記憶させるRFIDタグを別途各所に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための背面側から見た断面視の説明図である。
【図2】図1に示すプリンタに採用されたプリンタ本体の一実施形態を示す斜視図であり、(A)は、基板ホルダが作動姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図3】図2に示すプリンタ本体の平面図であり、(A)は、基板ホルダが作動姿勢に姿勢設定された状態、図3(B)は、基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図4】図2(B)における基板ホルダおよびトップカバーを抽出して示した部分拡大斜視図である。
【図5】図2の部分拡大斜視図であり、(A)は、基板ホルダが作動姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図6】基板ホルダとトップカバーとの関係を判り易く図示するべく、不必要な部材の図示を控えて単純化して示した基板ホルダおよびトップカバーの斜視説明図である。
【符号の説明】
【0067】
10 プリンタ(画像形成装置)
101 排紙搬送路 102 排紙口
11 プリンタ本体 111 用紙搬送路
112 搬送ローラ対 112′ レジストローラ対
113 転写ローラ
12 作像部 13 画像形成部
13C シアン用ユニット 13K ブラック用ユニット
13M マゼンタ用ユニット 13Y イエロー用ユニット
131 感光体ドラム 132 現像装置
133 帯電装置 134 露光装置
135 中間転写ユニット 135a 転写ベルト
135b 駆動ローラ 135c 従動ローラ
135d 枠体 136 転写ローラ
137 クリーニング装置 138 トナーコンテナ
14 定着部 141 加熱ローラ
142 定着ローラ 143 定着ベルト
144 加圧ローラ
15 用紙貯留部 151 手差しトレイ
152 用紙トレイ 153 ピックアップローラ
16 用紙排出部 161 トップカバー
161a 側板 161b 傾斜板
161c 天板 161d 左面板
162 排紙トレイ 163 カバー側ブラケット
163a 干渉縁部(干渉部) 164 カバー軸
191 前後フレーム板 192 左側フレーム板
193 右側フレーム板 194 天板フレーム
195 本体側ブラケット 20 基板ホルダ
21 ホルダ本体 211 突設部
212 ホルダ本体の左縁部 221 回動軸
22 脚部 30 RFIDタグ
80 リーダライタ(回路基板)
P 用紙 P1 用紙束
S1 作動姿勢 S2 退避姿勢
T1 閉止姿勢 T2 開放姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口を備えた装置本体と、
前記開口を塞ぐ開閉可能なトップカバーと、
前記装置本体内に収容される作像部と、
前記装置本体内の上面側に装着され、情報の読み取が可能な不揮発性メモリを有するRFIDタグが装着されたトナーコンテナと、
前記装置本体に設けられ、前記RFIDタグに対して情報を読み取る読み取り手段と、
前記回路基板を保持し、作動姿勢と退避姿勢との間で姿勢変更可能な基板ホルダと、が備えられ、
前記トップカバーには、退避姿勢に姿勢設定された基板ホルダと干渉する干渉部が備えられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記作像部には、前記トナーコンテナの下方位置に配設され、表面にトナー画像が形成される中間転写ベルトが備えられ、
前記中間転写ベルトは、前記基板ホルダが退避姿勢に姿勢設定された状態で取り外しが可能とされていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作像部には、並設された複数の像担持体と、前記各像担持体にそれぞれ対応して設けられた複数の現像装置と、前記各現像装置にそれぞれ対応して設けられ、それぞれ充填された異なる色の現像剤を、対応した現像装置へ補給する複数の前記トナーコンテナとが備えられ、
前記基板ホルダは、前記各トナーコンテナの各RFIDタグ対応した複数の前記読み取り手段を有していることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−72550(P2010−72550A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242622(P2008−242622)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】