説明

磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法

【課題】スピン注入方式の書き込みを実行するとき磁化方向に依らず書き込み特性が同様となる磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法を提供する。
【解決手段】スピン注入方式の磁気ランダムアクセスメモリは、複数の磁気メモリセル10と電流供給部43+47+49と制御部41+70+80とを具備する。電流供給部は、磁気メモリセル又はその近傍へ書き込み電流を供給する。磁気メモリセルは、磁化状態によりデータを記憶する磁性体記憶層と、書き込み電流に基づいて書き込むデータに依らず同一の制御原理で磁性体記憶層にスピン電子を供給するスピン制御層とを備える。制御部は、書き込むデータに基づいて、スピン制御層の磁化方向を時間的に連続的に回転させながら、電流供給部の書き込み電流の供給を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法に関し、特にスピン注入方式を用いた磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗素子を記憶素子として用いる磁気ランダムアクセスメモリ(以下、「MRAM」ともいう)が知られている。磁気抵抗素子として、AMR(Anisotropic MagnetoResistance)効果、GMR(Giant MagnetoResistance)効果、及びTMR(Tunnel MagnetoResistance)効果のような磁気抵抗効果を示す素子が知られている。
【0003】
TMR構造、及びそれを記憶素子として用いた磁気ランダムアクセスメモリは、例えば、2000 IEEE International Solid−State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS,p.128、及び2000 IEEE International Solid−State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS,p.130に開示されている。また、米国特許6,545,906号公報には、MRAMにおけるデータ書き込み方式の一つとして、「トグル書き込み方式(Toggle Write Mode)」が開示されている。
【0004】
これらのMRAMに対するデータの書き込み方法では、メモリセルの大きさにほぼ反比例して、フリー層の磁化を反転させるために必要な反転磁界が大きくなる。つまり、メモリセルが微細化されるにつれて、書き込み電流が増加する傾向にある。
【0005】
微細化に伴う書き込み電流の増加を抑制可能な書き込み方式として、「スピン注入(spin transfer)方式」が、例えばGrollier et al,“Spin−polarized current induced switching in Co/Cu/Co pillars”,Applied Physics Letters,Vol.78,pp.3663,2001に開示されている。このスピン注入方式では、Cu層を介して二つの厚さの異なるCo磁性体膜を積層した構造の磁気抵抗素子を用いる。この磁気抵抗素子の積層方向に電圧を印加して電流を流すと、電流の極性により磁性体間の抵抗値を変化させることができる。その抵抗値にデータを対応させることで記憶を行う。
【0006】
スピン注入方式の原理としては、厚い磁性体側から電子を流すと、薄い磁性体の磁化の向きが、厚い磁性体の磁化の向きと同じになる。すなわち、磁化が平行となる。これは、厚い磁性体の磁化の向きを反映したスピン電子が薄い磁性体に注入されるためと考えられている。一方、薄い磁性体側から電子を流すと、薄い磁性体の磁化の向きが、厚い磁性体の磁化の向きと反対になる。すなわち、磁化が反平行となる。これは、薄い磁性体側から電子を流すと厚い磁性体の磁化の向きと合わないスピン電子が薄い磁性体に残るためと考えられている。
【0007】
図1は、スピン注入方式での磁化反転の様子を示す概略図である。磁気抵抗素子101は、磁性体層であるフリー層102とピン層104、及びフリー層102とピン層104に挟まれた非磁性体層であるトンネルバリヤ層103を備えている。ここで、磁化の向きが固定されたピン層104は、フリー層102よりも厚くなるように形成されている。フリー層102とピン層104の磁化の向きが平行である状態はデータ“0”に対応付けられ、それらが反平行である状態は、データ“1”に対応付けられている。
【0008】
スピン注入方式での磁化反転は、CPP(Current Perpendicular to Plane)方式により実現され、書き込み電流IWは膜面に垂直に注入される。具体的には、データ“1”からデータ“0”への遷移時、書き込み電流IWはフリー層102からピン層104へ流れる。この場合、ピン層104と同じスピン状態を有する電子e−は、逆にピン層104からフリー層102に移動する。厚いピン層104の磁化の向きを反映したスピン電子が薄いフリー層102に注入されると考えられるため、フリー層102の磁化が反転してピン層104の磁化の向きと同じになる(“0”になる)。
【0009】
データ“0”からデータ“1”への遷移時、書き込み電流IWはピン層104からフリー層102へ流れる。この場合、ピン層104と同じスピン状態を有する電子e−は、逆にフリー層102からピン層104に移動する。薄いフリー層102から電子を流すと厚いピン層104の磁化の向きと合わないスピン電子が薄いフリー層102に残るため、フリー層102の磁化が反転してピン層104の磁化の向きと同じになる(“1”になる)。
【0010】
このように、スピン注入方式での磁化反転では、スピン電子の移動により、データの書き込みが行われる。膜面に垂直に注入される書き込み電流IWの方向により、フリー層102の磁化の向きを規定することが可能である。ここで、書き込み(磁化反転)の閾値は電流密度に依存することが知られている。従って、メモリセルのサイズが縮小されるにつれ、磁化反転に必要な書き込み電流が減少する。すなわち、メモリセルの微細化に伴って書き込み電流IWが減少するため、スピン注入方式での磁化反転は、MRAMの大容量化の実現にとって重要である。ただし、上述のようにスピン注入方式による磁化反転は、反転方向(“1”→“0”及び“0”→“1”)により原理が異なると考えられている。このため反転方向により書き込み特性が異なり、書き込みの制御が複雑になる。
【0011】
関連する技術として特開2004−193346号公報に磁気メモリ及び磁気メモリ製造方法が開示されている。この磁気メモリは、基板と、第1絶縁膜と、複数の第1信号線と、複数のメモリセルと、第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜の上に設けられた第2絶縁膜と、複数の第2信号線とを具備する。第1絶縁膜は、前記基板の上面側に設けられている。複数の第1信号線は、前記第1絶縁膜に埋め込まれ、第1方向に延伸するように設けられている。複数のメモリセルは、前記複数の第1信号線の各々の上に設けられ、記憶されるデータに応じて磁化方向が反転する自発磁化を有する磁気抵抗素子をそれぞれに含む。第1層間絶縁膜は、前記第1絶縁膜及び前記複数の第1信号線の上に、前記複数のメモリセルを囲むように設けられている。第2絶縁膜は、前記第1層間絶縁膜の上に設けられている。複数の第2信号線は、前記第2絶縁膜に埋め込まれ、前記第1方向に実質的に垂直な第2方向に延伸するように設けられている。前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜のうちの少なくとも一方は、高透磁率磁性材料を含む。前記複数のメモリセルの各々は、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線とが交差する位置のそれぞれに設けられている。
【0012】
特開2005−50907号公報に磁気抵抗効果素子および磁気メモリが開示されている。この磁気抵抗効果素子は、第1磁化固着層と、第2磁化固着層と、磁気記録層と、トンネルバリア層と、中間層とを備えている。第1磁化固着層は、少なくとも1層の磁性層を有しスピンの方向が固定されている。第2磁化固着層は、少なくとも1層の磁性層を有しスピンの方向が固定されている。磁気記録層は、前記第1磁化固着層と前記第2磁化固着層との間に設けられ少なくとも1層の磁性層を有しスピンの方向が可変である。トンネルバリア層は、前記第1磁化固着層と前記磁気記録層との間に設けられる。中間層は、前記磁気記録層と前記第2磁化固着層との間に設けられる。
【0013】
特開2005−150482号公報に磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置が開示されている。この磁気抵抗効果素子は、磁化自由層と、この磁化自由層の両側に磁気的に分離されてそれぞれ配置された第1磁性層及び第2磁性層とを有し、これらの磁性層の磁化方向が互いに逆向きに固定されている。前記第1磁性層及び前記第2磁性層の単位面積当りの磁気モーメント数が、前記磁化自由層のそれより大きくても良い。
【0014】
特開2005−166896号公報に磁気メモリが開示されている。この磁気メモリは、磁気抵抗効果素子と、第1配線層とを備える。磁気抵抗効果素子は、磁化の向きが固着された磁化固着層、磁化の向きが可変の記憶層、および前記磁化固着層と前記記憶層との間に設けられたトンネルバリア層を有する。第1配線層は、前記磁気抵抗効果素子に電気的に接続され、前記記憶層の磁化容易軸方向と直交する方向に延在している。前記磁化容易軸方向に直交する前記磁気抵抗効果素子の端面と、前記磁化容易軸方向に直交する前記第1配線層の端面が同一平面上にある。
【0015】
特開2005−175374号公報に磁気メモリ装置及びその製造方法が開示されている。この磁気メモリ装置は、第1の磁性体層と、トンネル磁気抵抗素子と、第1の導電性配線と、第2の導電性配線とを有する。第1の磁性体層は、磁化固定層である。トンネル磁気抵抗素子は、磁化方向の変化が可能な磁化自由層としての第2の磁性体層との間にトンネルバリア層が挟着されてなる。前記第2の磁性体層のスピン方向が前記第1の磁性体層のスピン方向に対し平行又は反平行となることによって情報を記憶する。第1の導電性配線は、前記トンネル磁気抵抗素子とは電気的に絶縁されている。第2の導電性配線は、この第1の導電性配線に交差して前記トンネル磁気抵抗素子に電気的に接続されている。
前記第2の磁性体層の磁気モーメントの方向に存在する、前記第2の磁性体層の一対の端辺と前記第1の磁性体層の一対の端辺とに関し、前記第2の磁性体層の一方の端辺と、これと同じ側にある前記第1の磁性体層の一方の端辺との間の距離が、前記第2の
磁性体層の他方の端辺と、これと同じ側にある前記第1の磁性体層の他方の端辺との間の距離と実質的に同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許6,545,906号公報
【特許文献2】特開2004−193346号公報
【特許文献3】特開2005−50907号公報
【特許文献4】特開2005−150482号公報
【特許文献5】特開2005−166896号公報
【特許文献6】特開2005−175374号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】2000 IEEE International Solid−State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS,p.128
【非特許文献2】2000 IEEE International Solid−State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS,p.130
【非特許文献3】Grollier et al,“Spin−polarized current induced switching in Co/Cu/Co pillars”,Applied Physics Letters,Vol.78,pp.3663,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、スピン注入方式の書き込みを実行するとき磁化方向に依らず書き込み特性が同様となる磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、スピン注入方式の書き込みを実行するとき記憶するデータに依らず同様の回路で書込み可能な磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法を提供することにある。
【0020】
本発明の更に他の目的は、スピン注入方式の書き込みを実行するとき記憶するデータに依らず同様の方法で書込み可能な磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法を提供することにある。
【0021】
この発明のこれらの目的とそれ以外の目的と利益とは以下の説明と添付図面とによって容易に確認することができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、スピン注入方式の磁気ランダムアクセスメモリである。複数の磁気メモリセルと電流供給部と制御部とを具備する。電流供給部は、複数の磁気メモリセルのうちからデータを書き込む対象メモリセルを選択し、対象メモリセルへ書き込み電流を供給する。制御部は、書き込むデータに基づいて、電流供給部による書き込み電流の供給を制御する。
複数の磁気メモリセルの各々は、磁化状態によりデータを記憶する磁性体記憶層と、書き込み電流に基づいて、書き込むデータに依らず同一の制御原理で磁性体記憶層にスピン電子を供給する少なくとも一つのスピン制御層とを備える。
【0023】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、少なくとも一つのスピン制御層は一つである。制御部は、書き込むデータに基づいて、スピン制御層におけるスピン電子の状態を制御する。
【0024】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。
【0025】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。少なくとも一つのスピン制御層は、第1スピン制御層と第2スピン制御層とを備える。第1スピン制御層は、磁化方向を固定され、第1非磁性体層を挟んで第1磁性体層と結合する第1磁性体ピン層を含む。第2スピン制御層は、磁化方向を固定され、第2非磁性体層を挟んで第2磁性体層と結合する第2磁性体ピン層を含む。第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層の磁化の向きが略一致する。制御部は、書き込むデータに応じて、第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層のいずれか一方から他方へ書き込み電流を流すように電流供給部を制御する。
【0026】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層少なくとも一方は、非磁性導電体を介して反強磁性結合した第3磁性体と第4磁性体とを含む。
【0027】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。スピン制御層は、第1非磁性体層を挟んで第1磁性体と結合する第1磁性体リファレンス層を含む。制御部は、書き込むデータに応じて、第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを変更し、第1磁性体リファレンス層及び第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに書き込み電流を流すように電流供給部を制御する。
【0028】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、スピン制御層は、更に、第1非磁性体層と第1磁性体リファレンス層との間に、第2非磁性体層を挟んで第1磁性体リファレンス層と反強磁性結合する第2磁性体リファレンス層を含む。制御部は、書き込むデータに応じて、第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを時間経過と共に連続的に変更しながら、第1磁性体リファレンス層及び第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに書き込み電流を流すように電流供給部を制御する。
【0029】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、制御部は、書き込むデータに基づいて、スピン制御層における第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを制御する磁化方向設定部を含む。
【0030】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、磁化方向設定部は、対象メモリセルの近傍に延在する配線を含む。制御部は、配線に流す電流により発生する磁界を用いて第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを制御する。
【0031】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、スピン制御層は、書き込み電流の流れる方向に垂直な断面が、外側に凸の曲線又は直線で構成された形状である。
【0032】
上記の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、スピン制御層は、形状が円、正方形、又は円及び正方形のいずれか一方に近い形状である。
【0033】
上記課題を解決するために、本発明は、スピン注入方式の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法である。ここで、磁気ランダムアクセスメモリは、複数の磁気メモリセルと、電流供給部と、制御部とを備える。複数の磁気メモリセルの各々は、磁化状態によりデータを記憶する磁性体記憶層と、少なくとも一つのスピン制御層とを備える。磁気ランダムアクセスメモリの動作方法は、(a)電流供給部が、複数の磁気メモリセルのうちからデータを書き込む対象メモリセルを選択するステップと、(b)電流供給部が対象メモリセルへ書き込み電流を供給するように、制御部が書き込むデータに基づいて電流供給部を制御するステップと、(c)少なくとも一つのスピン制御層は、書き込み電流に基づいて、書き込むデータに依らず同一の制御原理で磁性体記憶層にスピン電子を供給するステップとを具備する。
【0034】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、少なくとも一つのスピン制御層は一つである。(b)ステップは、(b1)制御部が、書き込むデータに基づいて、スピン制御層におけるスピン電子の状態を制御するステップを備える。
【0035】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。
【0036】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。少なくとも一つのスピン制御層は、第1スピン制御層と第2スピン制御層とを備える。第1スピン制御層は、磁化方向を固定され、第1非磁性体層を挟んで第1磁性体層と結合する第1磁性体ピン層を含む。第2スピン制御層は、磁化方向を固定され、第2非磁性体層を挟んで第2磁性体層と結合する第2磁性体ピン層を含む。第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層の磁化の向きが略一致する。(b)ステップは、(b2)制御部が、書き込むデータに応じて、第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層のいずれか一方から他方へ書き込み電流を流すように電流供給部を制御するステップを備える。
【0037】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、第1磁性体ピン層及び第2磁性体ピン層少なくとも一方は、非磁性導電体を介して反強磁性結合した第3磁性体と第4磁性体とを含む。
【0038】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含む。スピン制御層は、第1非磁性体層を挟んで第1磁性体と結合する第1磁性体リファレンス層を含む。ステップ(b1)は、(b11)制御部が、書き込むデータに応じて、第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを変更し、第1磁性体リファレンス層及び第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに書き込み電流を流すように電流供給部を制御するステップを含む。
【0039】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、スピン制御層は、更に、第1非磁性体層と第1磁性体リファレンス層との間に、第2非磁性体層を挟んで第1磁性体リファレンス層と反強磁性結合する第2磁性体リファレンス層を含む。ステップは、(b12)制御部は、書き込むデータに応じて、第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを時間経過と共に連続的に変更しながら、第1磁性体リファレンス層及び第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに書き込み電流を流すように電流供給部を制御するステップを更に含む。
【0040】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、制御部は、書き込むデータに基づいて、スピン制御層における第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを制御する磁化方向設定部を含む。
【0041】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、磁化方向設定部は、対象メモリセルの近傍に延在する配線を含む。(b1)ステップは、(b13)制御部が、配線に流す電流により発生する磁界を用いて第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを制御するステップを更に含む。
【0042】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、スピン制御層は、書き込み電流の流れる方向に垂直な断面が、外側に凸の曲線又は直線で構成された形状である。
【0043】
上記の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、スピン制御層は、形状が円、正方形、又は円及び正方形のいずれか一方に近い形状である。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、スピン注入方式の書き込みを実行するとき磁化方向に依らず書き込み特性が同様となり、同様の回路で書込み可能となり、同様の方法で書込み可能となる。
できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、スピン注入方式での磁化反転の様子を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5A】図5Aは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図5B】図5Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の書き込み原理を示す断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の書き込み原理を示す断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す上面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す他の上面図である。
【図7】図7(図7A〜図7C)は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作に関するタイミングチャートである。
【図8A】図8Aは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作における読み出しの原理を説明する断面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作における読み出しの原理を説明する断面図である。
【図9】図9は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図10A】図10Aは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図10B】図10Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態における磁気抵抗素子の書き込み原理を示す断面図である。
【図11】図11(図11A〜図11D)は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作に関するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0047】
(第1の実施の形態)
本発明の磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法の第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態の構成について説明する。
【0048】
図2は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。磁気ランダムアクセスメモリは、複数のメモリセル10、書き込み線デコーダ20、複数の第1書き込み線21a、複数の第1書き込み線21b、選択線デコーダ30、複数の選択線31、書き込み制御回路41、読み出し制御回路42、電流源回路43、及び比較回路44を具備する。
【0049】
複数のメモリセル10は、MRAM内にマトリクス状に配置され、メモリセルアレイを形成している。メモリセル10は、磁気抵抗効果を用いてデータを記憶する。磁気抵抗素子1、及び選択トランジスタ9を備える。磁気抵抗素子1は、後述(図2)の構成を有し、上部電極と下部電極とに挟まれている。磁気抵抗素子1の一端は、上部電極を介して第1書き込み線21aに接続され、その他端は下部電極を介して選択トランジスタ9のソース/ドレインの一方に接続されている。選択トランジスタ9のソース/ドレインの他方は、第1書き込み線21bに接続されている。選択トランジスタ9のゲートは、選択線31に接続されている。複数の第1書き込み線21a及び複数の第1書き込み線21bは、それぞれ一端を書き込み線デコーダ20に接続され、X方向(第1方向)へ伸びている。複数の選択線31は、それぞれ一端を選択線デコーダ30に接続され、X方向(第1方向)と略垂直なY方向(第2方向)へ伸びている。
【0050】
書き込み制御回路41は、各回路に制御信号を送ることによって、各回路の動作を制御する。すなわち、書き込み制御回路41は、書き込み電流IWを調整するための書き込み制御信号を電流源回路43へ出力する。書き込み制御回路41は、選択線デコーダ(選択線ドライバ)30へ、対象メモリセル10のアドレスに関連する選択線アドレス信号を出力する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ(書き込み線ドライバ)20へ、書き込み電流IWの向きを示す電流方向信号及び対象メモリセル10のアドレスに関連する書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み電流IWの向きは、対象メモリセル10に書き込まれるデータに依存して決定される。
【0051】
電流源回路43は、書き込み電流IWを、書き込み線デコーダ20を介してメモリセル10に供給する。電流源回路43は、書き込み制御回路41からの書き込み制御信号に応答して、書き込み電流IWの供給、変更、停止を行う。
【0052】
選択線デコーダ30は、書き込み制御回路41からの選択線アドレス信号に応答して、対象メモリセル10につながる1本の選択線31を選択する。これにより、対象メモリセル10の選択トランジスタ9がONになる。
【0053】
書き込み線デコーダ20は、書き込み制御回路41からの書き込み線アドレス信号に応答して、対象メモリセル10につながる第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを選択する。そして、書き込み線デコーダ20は、書き込み制御回路41からの電流方向信号に応答して、電流源回路43から出力される書き込み電流IWを、電流方向信号が示す向きに一致するように、メモリセル10(磁気抵抗素子1)に流す。そのとき、一方の第1書き込み配線を電流源回路43に、他方の第1書き込み配線を接地に接続する。
【0054】
読み出し制御回路42は、各回路に制御信号を送ることによって、各回路の動作を制御する。すなわち、読み出し制御回路42は、読み出し電流IRを調整するための読み出し制御信号を電流源回路43へ出力する。読み出し制御回路42は、選択線デコーダ30へ、対象メモリセル10のアドレスに関連する選択線アドレス信号を出力する。読み出し制御回路42は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスに関連する書き込み線アドレス信号及び読み出し動作を示す読み出し信号を出力する。読み出し電流IRの向きは、第1書き込み線21aから第1書き込み線21bへ向かう向きである。
【0055】
電流源回路43は、更に、書き込み電流IRを、書き込み線デコーダ20を介してメモリセル10に供給する。電流源回路43は、読み出し制御回路42からの読み出し制御信号に応答して、読み出し電流IRの供給、変更、停止を行う。
【0056】
選択線デコーダ30は、更に、読み出し制御回路42からの選択線アドレス信号に応答して、対象メモリセル10につながる1本の選択線31を選択する。これにより、対象メモリセル10の選択トランジスタ9がONになる。
【0057】
書き込み線デコーダ20は、更に、読み出し制御回路42からの書き込み線アドレス信号及び読み出し信号に応答して、対象メモリセル10につながる第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを選択する。そして、書き込み線デコーダ20は、電流源回路43から出力される読み出し電流IRを、第1書き込み線21aから第1書き込み線21bへ向かうように、メモリセル10(磁気抵抗素子1)に流す。そのとき、一方の第1書き込み配線を電流源回路43に、他方の第1書き込み配線を接地に接続する。
【0058】
比較回路44は、対象メモリセル10の磁気抵抗素子1の抵抗値を検出し、対象メモリセル10に書き込まれているデータを判定する。そして、判定結果を読み出し制御回路42へ出力する。磁気抵抗素子1の抵抗値を検出するためには、例えば、書き込み電流IWが流れる配線の所定の位置における電位が用いられるとよい。ここでは、例として、電流源回路43と書き込み線デコーダ20との間のノード45における電位V45が用いられる。読み出し電流IRが一定の場合、磁気抵抗素子1の抵抗値が大きくなれば電位V45も大きくなり、その抵抗値が小さくなれば電位V45も小さくなる。つまり、電位V45は、磁気抵抗素子1の抵抗値を反映している。比較回路44は、その電位V45に基づいて、対象メモリセル10に書き込まれているデータを判定する。
【0059】
より具体的には、比較回路44は、電位V45と参照電位Vrefとを比較する。参照電位Vrefは、データ「0」に対応する電位V45とデータ「1」に対応する電位V45との間の中間電位に設定される。従って、比較回路44は、電位V45と参照電位Vrefを比較することにより、対象メモリセル10に書き込まれているデータを判定することができる。
【0060】
図3は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。磁気抵抗素子1は、第1磁性体積層部50と、非磁性導電体層55と、第2磁性体積層部60とを備える。第1磁性体積層部50は、第1反強磁性体層51、第1磁性体ピン層52、第1トンネル層53、及び第1磁性体フリー層54が下層からこの順に積層されている。第1磁性体ピン層52は、第1反強磁性体層51との反強磁性結合により磁化方向が固定されている。第2磁性体積層部60は、第2反強磁性体層59、第2磁性体ピン層58、第2トンネル層57、及び第2磁性体フリー層56が上層からこの順に積層されている。第2磁性体ピン層58は、第2反強磁性体層59との反強磁性結合により磁化方向が固定されている。第1磁性体フリー層54と第2磁性体フリー層56とは、非磁性導電体層56を介して反強磁性結合している。
【0061】
第1磁性体ピン層52及び第2磁性体ピン層58の磁化方向は、それぞれ第1磁性体フリー層54及び第2磁性体フリー層56が磁化しやすい方向(容易軸方向)のいずれかの向きとほぼ同じになるよう設定する。たとえば、第1磁性体フリー層54及び第2磁性体フリー層56の容易軸方向の二つの向きのうち、一方の向きに磁場を印加した状態で、温度を第1反強磁性体層51及び第2反強磁性体層59のブロッキング温度以上に上げる。
これにより、第1磁性体ピン層52及び第2磁性体ピン層58の磁化の向きが印加磁場の向きになるように反強磁性体層の磁化の向きが変化し、降温後も第1磁性体ピン層52及び第2磁性体ピン層58の磁化の向きは同一の向きに固定されたままとなる。なお、第1磁性体ピン層52及び第2磁性体ピン層58は積層フェリ構造でもよい。
【0062】
データの記憶という観点から、第1磁性体フリー層54と非磁性導電体層56と第2磁性体フリー層56とは、「磁性体記憶部」を構成しているといえる。スピン電子の制御という観点から、第1反強磁性体層51、第1磁性体ピン層52及び第1トンネル層53と、第2反強磁性体層59、第2磁性体ピン層58及び第2トンネル層57とは「スピン制御層」を構成しているといえる。書き込み電流IWの供給という観点から、電流源回路43、書き込み線デコーダ20、第1書き込み配線21、選択線デコーダ30及び選択線31は、「電流供給部」を構成しているといえる。一方、書き込み電流IWの制御という観点から、書き込み制御回路41は、「制御部」を構成しているといえる。
【0063】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態における製造方法について説明する。まず、シリコン基板上にトランジスタ及び配線を含む半導体集積回路を形成する。その上に層間絶縁膜を形成し、それら配線との接続のためタングステンプラグを形成する。
【0064】
次に、全面に磁気抵抗素子1の下部電極として、Ta膜(膜厚30nm)成膜する。その後、第1反強磁性体層51としてPtMn膜(膜厚10〜20nm)、第1磁性体ピン層52としてCoFe膜(膜厚2〜5nm)、第1トンネル層53としてAlO膜(膜厚0.6〜1.2nm)、第1磁性体フリー層54としてCoFeB膜(膜厚1〜5nm)、非磁性体導電体層としてRu膜(膜厚0.5〜1.5nm)、第2磁性体フリー層56としてCoFeB膜(膜厚1〜5nm)、第2トンネル層57としてAlO膜(膜厚0.4〜0.7nm)、第2磁性体ピン層58としてCoFe膜(膜厚2〜5nm)、第2反強磁性体層59としてPtMn膜(膜厚10〜20nm)をそれぞれスパッタ技術で成膜する。さらに上部電極としてTa膜(膜厚100nm)を成膜し、その上にSiO2膜(膜厚50nm)を成膜する。
【0065】
続いて、フォトリソグラフィ技術によりレジストを磁気抵抗素子1の形状に残し、SiO2膜をRIE(Reactive Ion Etching)技術により加工する。磁気抵抗素子1の形状は、たとえば楕円形である。こうすることで長軸方向に形状異方性が発生し、長軸に沿った方向で磁化方向が安定な状態となる。レジストをアッシング除去後、加工されたSiO2をマスクとして、上部電極のTa膜以下第1磁性体フリー層54までをミリング加工し、第1トンネル層53の表面を露出させる。次に、保護膜としてSiN膜(膜厚30nm)を成膜する。その後、レジストを下部電極形状に残し、SiN膜、及び第1トンネル層53から下部電極までをミリング加工する。その後、アッシングによりレジストを除去する。これにより磁気抵抗素子1(図3)を形成できる。
【0066】
次に全面にSiO2膜(膜厚400nm)を成膜し、CMP加工により平坦化する。フォトリソグラフィ技術とRIE技術により、上部電極、下部電極、下層配線に対するビアをあける。全面にTi膜(膜厚10nm)、AlCu膜(膜厚400nm)、TiN膜(膜厚10nm)を成膜し、それらをフォトリソグラフィ技術とRIE技術により、第1書き込み線21aやその他の配線の形状に加工する。以上により、磁気ランダムアクセスメモリが製造される。
【0067】
次に、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第1の実施の形態の動作について、図2及び図3を参照して説明する。
【0068】
まず、データ“0”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号と“0”を書くことを示す電流方向信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。また、この他の第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択線アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ9をオフ状態にする。書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる。
【0069】
すなわち、上部電極から下部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第1磁性体ピン層52から第1磁性体フリー層54に電子が注入される。第1磁性体ピン層52のピン方向が右向きであれば、第1磁性体フリー層54にはスピン方向分布が右向きに偏った電子群が注入される。これにより第1磁性体フリー層54の磁化方向は右を向こうとする。さらに、第2磁性体ピン層58もピン方向が右向きであるので、第2磁性体ピン層58のところでは左向きのスピンをもつ電子が流れにくい。そのため、第2磁性体フリー層56には左向きのスピンを持つ電子が多くなる。このため第2磁性体フリー層56の磁化方向は左を向こうとする。第1磁性体フリー層54と第2磁性体フリー層56とは反強磁性結合しているため、第1磁性体フリー層54は右向きに、第2磁性体フリー層56は左向きになる。
【0070】
所定の時間の後に電流を止め、書き込み線デコーダ20が第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを接地状態にし、選択線31が選択線31を接地状態にすることで、データ“0”を書き込む動作が完了する。
【0071】
次に、データ“1”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号と“1”を書くことを示す電流方向信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bと電流源回路43とを接続する。また書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aを接地する。この他の第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択線アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ9をオフ状態にする。
書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21b−下部電極−磁気抵抗素子1−上部電極−第1書き込み線21a−接地の経路で流れる。
【0072】
すなわち、データ“0”の書き込みの場合とは逆向きに、下部電極から上部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第2磁性体ピン層58から第2磁性体フリー層56に電子が注入される。第2磁性体ピン層58のピン方向が右向きであれば、第2磁性体フリー層56にはスピン方向分布が右向きに偏った電子群が注入される。これにより第2磁性体フリー層56の磁化方向は右を向こうとする。さらに、第1磁性体ピン層52もピン方向が右向きであるので、第1磁性体ピン層52のところでは左向きのスピンをもつ電子が流れにくい。そのため、第1磁性体フリー層54には左向きのスピンを持つ電子が多くなる。
このため第1磁性体フリー層54の磁化方向は左を向こうとする。第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54とは反強磁性結合しているため、第2磁性体フリー層56は右向きに、第1磁性体フリー層54は左向きになる。
【0073】
所定の時間の後に書き込み電流IWを止め、書き込み線デコーダ20が第1書き込み線21a及び第1書き込み線21bを接地状態にし、選択線31が選択線31を接地状態にすることで、データ“1”を書き込む動作が完了する。これにより、磁化方向の異なる2つの状態が設定できる。さらに、メモリセル10の近傍に配線を配置し、電流を流すことで発生する磁場を書き込みの補助とすることも可能である。
【0074】
次に、データを読み出す場合について説明する。読み出し制御回路42は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号と読み出し動作を示す読み出し信号とを出力する。書き込み線デコーダ20は、読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。読み出し制御回路42は、更に、選択線デコーダ30へ選択線アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、読み出すメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする。その他の選択線31を非活性にし、その他の選択トランジスタ9をオフ状態にする。読み出し制御回路42は、更に、電流源回路43に対し所望の読み出し電流IR、たとえば0.2mAを流すように指示する。これにより、読み出し電流IRが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる。
【0075】
すなわち、上部電極から下部電極に向かって電流が流れる。ここで、磁気抵抗素子1及び選択トランジスタ9の抵抗が、記憶しているデータの値により1kΩ及び1.4kΩのいずれかの値をとるとすると、電位V45の値は0.2V及び0.28Vのいずれかとなる。比較回路44は、Vref=0.24Vと電位V45の値とを比較することにより、記憶しているデータの判別を行うことができる。
【0076】
このとき、第1磁性体ピン層52と第1磁性体フリー層54の磁化の向きが同じで低抵抗状態の場合、第2磁性体ピン層58と第2磁性体フリー層56の磁化の向きが逆向きで高抵抗状態となる。逆に、第1磁性体ピン層52と第1磁性体フリー層54の磁化の向きが逆で高抵抗状態の場合、第2磁性体ピン層58と第2磁性体フリー層56の磁化の向きが同じで低抵抗状態となる。磁気抵抗(TMR抵抗)としては両者の和の値となる。しかし、両者の抵抗値が同じ場合、両者で相殺されて磁気抵抗が変化しなくなる。そのため、第1トンネル層53の厚さと第2トンネル層57の厚さとに差を設ける必要がある。短径0.6μm及び長径1.8μmである楕円形の磁気抵抗素子1の場合、第1トンネル層53及び第2トンネル層57としてそれぞれ膜厚0.86nm及び膜厚0.99nmのアルミナ膜を試作したところ、それぞれ6kΩ、17kΩであった。トンネル抵抗はトンネル膜厚に対し指数関数的に変化するため、0.39nm程度の膜厚差をつければ9倍程度の抵抗差が得られることになる。これにより、磁気抵抗素子1全体の抵抗をほぼ厚い側のトンネル層で決定できる。
【0077】
本実施の形態では、“1”及び“0”のいずれのデータの書き込みにおいても、一方のピン層からのスピン電子注入と他方のピン層によるスピン電子の選択通過との両方の原理を一度に用いてデータの書き換えを行っている。このため、データに依らず書き込み特性が同様となり、書き込み回路が容易になる。
【0078】
(第2の実施の形態)
本発明の磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法の第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の構成について説明する。
【0079】
図4は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。本実施の形態における磁気ランダムアクセスメモリは、第2電流源回路47、第2書き込み線デコーダ70、及び複数の第2書き込み線71を更に具備する点、及び、磁気抵抗素子1の有する構造の点で第1の実施の形態の磁気ランダムアクセスメモリと相違する。
【0080】
第2書き込み線71(71a、71b)は、一端を第2書き込み線デコーダ70に接続され、Y方向へ伸びている。メモリセル10の奇数番目の列の第2書き込み線71aは、図中その右隣の偶数番目の列の第2書き込み線71bに、他端で接続されている。例えば、第2書き込み線デコーダ70から一番目の列の第2書き込み線71a及び二番目の列の第2書き込み線71bのいずれか一方へ供給された電流は、他方を介して第2書き込み線デコーダ70へ戻ることになる。第2書き込み線71(71a、71b)は、磁気抵抗素子1に近くなるように設けられている。そのため、第2書き込み線71(71a、71b)を通る電流の作る磁界により、磁気抵抗素子1の第1磁性体リファレンス層62(後述)の磁化が影響を受ける。ただし、書き込みを行うメモリセル10以外のメモリセル10は、書込み電流IWが流れないため、磁場の影響を受けても書き込みが起こらない。なお、第2書き込み線71a及び第2書き込み線71bは、その他端で互いに接続されていなくても良い。その場合、他端は適当な終端回路や接地に接続されていても良い。
【0081】
書き込み制御回路41は、第1の実施の形態の機能に加えて、更に、第1磁化電流IM1を調整するための第1磁化制御信号を第2電流源回路47へ出力する。書き込み制御回路41は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ、第1磁化電流IM1の向きを示す第1磁化電流方向信号及び対象メモリセル10のアドレスに関連する第2書き込み線アドレス信号を出力する。第1磁化電流IM1の向きは、対象メモリセル10に書き込まれるデータに依存して決定される。
【0082】
電流源回路47は、第1磁化電流IM1を、第2書き込み線デコーダ70を介して対象メモリセル10に対応する第2書き込み線71(71a、71b)へ供給する。電流源回路47は、書き込み制御回路41からの第1磁化制御信号に応答して、第1磁化電流IM1の供給、変更、停止を行う。
【0083】
第2書き込み線デコーダ70は、書き込み制御回路41からの第2書き込み線アドレス信号に応答して、対象メモリセル10につながる第2書き込み線71を選択する。そして、第2書き込み線デコーダ70は、書き込み制御回路41からの第1磁化電流方向信号に応答して、第2電流源回路47から出力される第1磁化電流IM1を、第1磁化電流方向信号が示す向きに一致するように、第2書き込み線71(71a、71b)に流す。そのとき、第2書き込み線71a及び第2書き込み線71bのうちの一方を第2電流源回路47に、他方を接地に接続する。
【0084】
読み出し制御回路42は、第1の実施の形態の機能に加えて、更に、読み出し時に第1磁化電流IM1を調整するための読み出し制御信号を第2電流源回路47へ出力する。第1磁化電流IM1の向きは、書き込まれているデータに関わらず同じ向きである。
【0085】
電流源回路47は、更に、第1磁化電流IM1を、第2書き込み線デコーダ70を介して対象メモリセル10に対応する第2書き込み線71(71a又は71b)に所定の方向で電流を供給する。第2電流源回路47は、読み出し制御回路42からの読み出し制御信号に応答して、第1磁化電流IM1の供給、変更、停止を行う。
【0086】
その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0087】
図5Aは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の構成(積層構造)を示す断面図である。図5B及び図5Cは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の書き込み原理を示す断面図であり、第2書き込み線71に流れる電流の作る磁界と第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きとの関係を示す。
【0088】
図5Aを参照して、磁気抵抗素子1は、第1磁性体リファレンス層62、第1トンネル層53、第1磁性体フリー層54、非磁性導電体層55、及び第2磁性体フリー層56が下層からこの順に積層されている。第1磁性体フリー層54と第2磁性体フリー層56とは、非磁性導電体層56を介して反強磁性結合している。第1磁性体リファレンス層62の磁気異方性は10Oe以下と小さい値とする。第1磁性体リファレンス層62は積層フェリ構造でもよい。
【0089】
図5Bを参照して、第2書き込み線71(71a、71b)に−Y方向の第1磁化電流IM1が流れると、磁場H1が発生する。それにより、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが磁場H1に沿う向きに設定される。この図において、右向きに設定される。一方、図5Cを参照して、第2書き込み線71(71a、71b)に+Y方向の第1磁化電流IM1が流れると、磁場H2が発生する。それにより、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが磁場H2に沿う向きに設定される。この図において、左向きに設定される。このように、第2書き込み線71に流れる第1磁化電流IM1の向きにより、第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが制御される。このとき、第1磁性体フリー層54及び第2磁性体フリー層56は、磁気異方性が大きく磁場H1、H2の影響を受けない。
【0090】
図6A及び図6Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す上面図である。第2磁性体フリー層56、非磁性導電体層55及び第1磁性体フリー層54は、例えば、略楕円形であり、磁気異方性を大きくする。一方、第1トンネル層53及び第1磁性体リファレンス層62は、例えば、円形(図6A)や正方形(図6B)に近い形であり、磁気異方性を小さくする。より具体的には、長辺と短辺の比が1:1〜1.3:1程度の楕円や長方形である。外側に凸の曲線に囲まれた形状や、多角形でもよい。
【0091】
データの記憶という観点から、第1磁性体フリー層54と非磁性導電体層56と第2磁性体フリー層56とは、「磁性体記憶部」を構成しているといえる。スピン電子の制御という観点から、第1磁性体リファレンス層62及び第1トンネル層53は「スピン制御層」を構成しているといえる。書き込み電流IWの供給という観点から、電流源回路43、書き込み線デコーダ20、第1書き込み配線21、選択線デコーダ30及び選択線31は、「電流供給部」を構成しているといえる。一方、書き込み電流IWの制御及びスピン電子の状態の制御という観点から、書き込み制御回路41、第2電流源回路47、第2書き込み線デコーダ70及び第2書き込み配線71は、「制御部」を構成しているといえる。
【0092】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態における製造方法について説明する。まず、シリコン基板上にトランジスタ及び配線を含む半導体集積回路を形成する。その上に層間絶縁膜を形成し、それら配線との接続のためタングステンプラグを形成する。
【0093】
次に、全面に磁気抵抗素子1の下部電極として、Ta膜(膜厚30nm)成膜する。その後、第1磁性体リファレンス層62としてNiFe膜(膜厚2〜5nm)、第1トンネル層53としてAlO膜(膜厚0.6〜0.7nm)、第1磁性体フリー層54としてNiFe膜(膜厚1〜5nm)、非磁性体導電層55としてRu膜(膜厚0.5〜1.5nm)、第2磁性体フリー層56としてNiFe膜(膜厚1〜5nm)をスパッタ技術で成膜する。さらに上部電極としてRu膜(膜厚20nm)とTa膜(膜厚100nm)とを成膜し、SiO2膜(膜厚50nm)を成膜する。
【0094】
続いて、フォトリソグラフィ技術によりレジストを磁気抵抗素子1の形状に残し、SiO2膜をRIE技術により加工する。磁気抵抗素子1の形状は、たとえば楕円形である。
こうすることで長軸方向に形状異方性が発生し、長軸に沿った方向で磁化方向が安定な状態となる。レジストをアッシング除去後、加工されたSiO2をマスクとして、上部電極のTa膜以下第1磁性体フリー層54までをミリング加工し、第1トンネル層53の表面を露出させる。次に、保護膜としてSiN膜(膜厚10〜50nm)とSiO2膜(膜厚100nm)成膜する。その後、レジストを所望の第1磁性体リファレンス層62形状に残し、SiO2膜をRIE加工する。レジストアッシング後、SiN膜から第1磁性体リファレンス層62までをミリング加工する。
【0095】
このとき第1磁性体リファレンス層62の形状を円や正方形に近い形にすることで磁気異方性を小さくできる。たとえば、長辺と短辺の比が1:1〜1.3:1程度の楕円や長方形である。外側に凸の曲線に囲まれた形状や、多角形でもよい。次に保護膜SiN膜(膜厚:10〜100nm)成膜後、レジストを所望の下部電極形状に残し、下部電極までをRIE加工する。その後アッシングによりレジストを除去する。これにより磁気抵抗素子1(図5A)を形成できる。
【0096】
次に全面にSiO2膜(膜厚:400nm)を成膜し、CMP加工により平坦化する。
フォトリソグラフィ技術とRIE技術により、上部電極、下部電極、下層配線に対するビアをあける。全面にTi膜(膜厚10nm)、AlCu膜(膜厚400nm)、TiN膜(膜厚10nm)を成膜し、フォトリソグラフィ技術とRIE技術により第1書き込み線21aやその他の配線の形状に加工する。
【0097】
次に、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作について、図4、図5A〜図5C、及び図7(図7A〜図7C)を参照して説明する。図7(図7A〜図7C)は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作に関するタイミングチャートである。
【0098】
まず、データ“0”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。この他の第1書き込み線12a及び第2書き込み線12bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする(図7A:t1)。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ41をオフ状態にする。
【0099】
書き込み制御回路41はさらに、更に、第2書き込み線デコーダ70へ対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と“0”を書くことを示す第1磁化電流方向信号を出力する。第2書き込みデコーダ70は、書き込むメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)と第2電流源回路47とを接続する。その第2書き込み線71(例示:71a)に接続された他の第2書き込み線71(例示:71b)を接地する。また、その他の第2書き込み線71を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第2電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1、たとえば1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に第1磁化電流IM1が流れ(図7C:t1)、磁場H1が発生する。その磁場H1により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが設定される(例示:図5Bに示すように、第1磁化電流IM1が−Y方向のとき、+X方向(右向き))。
【0100】
書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる(図7B:t2)。
【0101】
すなわち、上部電極から下部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第1磁性体リファレンス層62から第1磁性体フリー層54にスピン電子が注入される。第1磁性体リファレンス層62の磁化方向が右向きのため、第1磁性体フリー層54は右向きになる。これにより、第1磁性体フリー層54と反強磁性結合している第2磁性体フリー層56は左向きになる。
【0102】
所定の時間の後に書き込み電流IWを止め(図7B:t3)、書き込み線デコーダ20、第2書き込み線デコーダ70及び選択線デコーダ30がそれぞれ第1書き込み線21a、第2書き込み線71(例示:71a)、選択線31を接地状態にすることで(図7A、図7C:t4)、データ“0”を書き込む動作が完了する。
【0103】
まず、データ“1”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。この他の第1書き込み線12a及び第2書き込み線12bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする(図7A:t1)。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ41をオフ状態にする。
【0104】
書き込み制御回路41はさらに、更に、第2書き込み線デコーダ70へ対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と“1”を書くことを示す第1磁化電流方向信号を出力する。第2書き込みデコーダ70は、書き込むメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)を接地する。その第2書き込み線71(例示:
71a)に接続された他の第2書き込み線71(例示:71b)と第2電流源回路47とを接続する。また、その他の第2書き込み線71を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第2電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1、たとえば1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に逆向きの第1磁化電流IM1が流れ(図7C:t1)、磁場H2が発生する。その磁場H2により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが設定される(例示:図5Cに示すように、第1磁化電流IM1が+Y方向のとき、−X方向(左向き))。
【0105】
書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる(図7B:t2)。
【0106】
すなわち、上部電極から下部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第1磁性体リファレンス層62から第1磁性体フリー層54にスピン電子が注入される。第1磁性体リファレンス層62の磁化方向が左向きのため、第1磁性体フリー層54は左向きになる。これにより、第1磁性体フリー層54と反強磁性結合している第2磁性体フリー層56は右向きになる。
【0107】
所定の時間の後に書き込み電流IWを止め(図7B:t3)、書き込み線デコーダ20、第2書き込み線デコーダ70及び選択線デコーダ30がそれぞれ第1書き込み線21a、第2書き込み線71(例示:71a)、選択線31を接地状態にすることで(図7A,図7C:t4)、データ“1”を書き込む動作が完了する。これにより、磁化方向の異なる2つの状態が設定できる。さらに、メモリセル10の近傍に配線を配置し、電流を流すことで発生する磁場を書き込みの補助とすることも可能である。
【0108】
次に、データを読み出す場合について説明する。読み出し制御回路42は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号とを出力する。書き込み線デコーダ20は、読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。読み出し制御回路42は、更に、選択線デコーダ30へ選択線アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、読み出すメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする。その他の選択線31を非活性にし、その他の選択トランジスタ9をオフ状態にする。
【0109】
読み出し制御回路42は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ、対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と読み出し動作を示す読み出し信号とを出力する。第2書き込み線デコーダ70は、読み出すメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)と第2電流源回路47とを接続する。その第2書き込み線71(例示:71a)に接続された第2書き込み線71(例示:71b)を接地する。
【0110】
読み出し制御回路42は、更に、電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1たとえば1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に第1磁化電流IM1が流れ、磁場H1が発生する。その磁場H1により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが所定の向きに設定される。この向きは、読み出し動作において常に一定である。読み出し制御回路42は、更に、電流源回路43に対し所望の読み出し電流IR、たとえば0.1mAを流すように指示する。これにより、読み出し電流IRが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる。
【0111】
すなわち、上部電極から下部電極に向かって電流が流れる。ここで、磁気抵抗素子1及び選択トランジスタ9の抵抗が、記憶しているデータの値により1kΩ及び1.4kΩのいずれかの値をとるとすると、電位V45の値は0.1V及び0.14Vのいずれかとなる。比較回路44は、Vref=0.12Vと電位V45の値とを比較することにより、記憶しているデータの判別を行うことができる。
【0112】
図8A及び図8Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作における読み出しの原理を説明する断面図である。ここで、メモリセル10において、第2磁性体フリー層56及び第1磁性体フリー層54の磁化の向きが図8Aのような場合(第2磁性体フリー層56:−X方向、第1磁性体フリー層54:+X方向)を“0”が格納された状態、図8Bのような場合(56:+X方向、54:−X方向)を“1”が格納された状態とする。図8Aを参照して、読み出し動作のとき、第2書き込み線71に第1磁化電流IM1が流れることにより、第1磁性体リファレンス層62は−X方向に磁化する。この第1磁化電流IM1では第2磁性体フリー層56及び第1磁性体フリー層54の磁化の向きは影響されない。すなわち、メモリセル10にデータとして“0”が格納されている場合、第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54との間の磁化の向きの関係は反平行、第1磁性体フリー層54と第1磁性体リファレンス層との間の磁化の向きの関係は平行となる。一方、図8Bを参照して、メモリセル10にデータとして“1”が格納されている場合、第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54との間の磁化の向きの関係は反平行、第1磁性体フリー層54と第1磁性体リファレンス層との間の磁化の向きの関係も反平行となる。このように、第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54と第1磁性体リファレンス層との間の磁化の向きの関係が異なるので、磁気抵抗素子1の磁気抵抗の大きさも異なることになる。すなわち、磁気抵抗によりデータを読み出すことができる。
【0113】
上記実施の形態では、書込み動作時に、書込み電流を第2磁性体フリー層56から第1磁性体リファレンス層62へ向って流すことで、スピン電子を第1磁性体リファレンス層62から第1磁性体フリー層54へ注入している。すなわち、注入電子を用いて書き込みを行っている。しかし、逆の向きに電流を流して書き込みを行うこと、すなわち、反射電子を用いて書き込みを行うことも可能である。
【0114】
例えば、第1磁性体リファレンス層62のピン方向を右向きにすれば、第1磁性体リファレンス層62のところでは左向きのスピンをもつ電子が流れにくい。そのため、第1磁性体フリー層54には左向きのスピンを持つ電子が多くなる。このため第1磁性体フリー層54の磁化方向は左を向こうとする。第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54とは反強磁性結合しているため、第2磁性体フリー層56は右向きに、第1磁性体フリー層54は左向きになる。逆に、第1磁性体リファレンス層62のピン方向を左向きにすれば、第1磁性体リファレンス層62のところでは右向きのスピンをもつ電子が流れにくい。そのため、第1磁性体フリー層54には右向きのスピンを持つ電子が多くなる。このため第1磁性体フリー層54の磁化方向は右を向こうとする。第2磁性体フリー層56と第1磁性体フリー層54とは反強磁性結合しているため、第2磁性体フリー層56は左向きに、第1磁性体フリー層54は右向きになる。
【0115】
本実施の形態では、“1”及び“0”のいずれのデータの書き込みにおいても、同じ第1磁性体リファレンス層62からスピン電子を注入し、同じ原理を用いてデータの書き換えを行っている。このため、データに依らず書き込み特性が同様となり、書き込み回路が容易になる。反射電子を用いる場合も同様である。
【0116】
(第3の実施の形態)
本発明の磁気ランダムアクセスメモリ及びその動作方法の第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態の構成について説明する。
【0117】
図9は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。本実施の形態における磁気ランダムアクセスメモリは、第3電流源回路49、第3書き込み線デコーダ80、及び複数の第3書き込み線81を更に具備する点、及び、磁気抵抗素子1の有する構造の点で第2の実施の形態の磁気ランダムアクセスメモリと相違する。
【0118】
第3書き込み線81は、一端を第3書き込み線デコーダ80に接続され、X方向へ伸びている。他端は、接地に接続されている。第3書き込み線81は、磁気抵抗素子1に近くなるように設けられている。そのため、第3書き込み線81を通る電流の作る磁界により、磁気抵抗素子1の第1磁性体リファレンス層62及び第2磁性体リファレンス層64(後述)の磁化が影響を受ける。ただし、書き込みを行うメモリセル10以外のメモリセル10は、書込み電流IWが流れないため、磁場の影響を受けても書き込みが起こらない。
【0119】
書き込み制御回路41は、第2の実施の形態の機能に加えて、更に、第2磁化電流IM2を調整するための第2磁化制御信号を第3電流源回路49へ出力する。書き込み制御回路41は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ、第1磁化電流IM1の向きを示す第2磁化電流方向信号及び対象メモリセル10のアドレスに関連する第3書き込み線アドレス信号を出力する。第2磁化電流IM2の向きは、対象メモリセル10に書き込まれるデータに関わらず一定である。ただし、第2書き込み配線71のように隣接するもの同士で端部を接続しても良い。その場合の制御は第2書き込み線デコーダ70に対するものと同様である。
【0120】
電流源回路49は、第2磁化電流IM2を、第3書き込み線デコーダ80を介して対象メモリセル10に対応する第3書き込み線81へ供給する。電流源回路49は、書き込み制御回路41からの第2磁化制御信号に応答して、第2磁化電流IM2の供給、変更、停止を行う。
【0121】
第3書き込み線デコーダ80は、書き込み制御回路41からの第3書き込み線アドレス信号に応答して、対象メモリセル10につながる第3書き込み線81を選択する。そして、第3書き込み線デコーダ80は、第3電流源回路49から出力される第2磁化電流IM2を、所定の向きで第3書き込み線81に流す。そのとき、第3書き込み線81を第3電流源回路49に接続する。
【0122】
読み出し制御回路42は、第2の実施の形態の機能に加えて、更に、読み出し時に第2磁化電流IM2を調整するための読み出し制御信号を第3電流源回路49へ出力する。第2磁化電流IM2の向きは、書き込まれているデータに関わらず同じ向きである。
【0123】
第3電流源回路49は、更に、第2磁化電流IM2を、第3書き込み線デコーダ80を介して対象メモリセル10に対応する第3書き込み線81に所定の方向で電流を供給する。第3電流源回路49は、読み出し制御回路42からの読み出し制御信号に応答して、第2磁化電流IM2の供給、変更、停止を行う。
【0124】
その他の構成については、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0125】
図10A及び図10Bは、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態における磁気抵抗素子の構成を示す断面図である。図10Aは積層構造を示す。図10Bは第3書き込み線81に流れる電流の作る磁界と第1磁性体リファレンス層62及び第2磁性体リファレンス層65の磁化の向きとの関係を示す。
【0126】
図10Aを参照して、磁気抵抗素子1は、第1磁性体リファレンス層62、第2非磁性導電体層63、第2磁性体リファレンス層64、第1トンネル層53、第1磁性体フリー層54、非磁性導電体層55、及び第2磁性体フリー層56が下層からこの順に積層されている。第1磁性体フリー層54と第2磁性体フリー層56とは、非磁性導電体層56を介して反強磁性結合している。第1磁性体リファレンス層62と第2磁性体リファレンス層64とは、第2非磁性導電体層63を介して反強磁性結合をしている。反強磁性結合した第1磁性体リファレンス層62及び第2磁性体リファレンス層64の磁気異方性は10Oe以下と小さい値とする。その他の構成については、第2の実施の形態と同様である。
【0127】
図10Bを参照して、第3書き込み線81に+X方向の第2磁化電流IM2が流れると、磁場H3が発生する。それにより、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが磁場H3に沿う向きに設定される。この図において、左向きに設定される。そのため、反強磁性結合している第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きが、その逆の−X方向(右向き)に設定される。第3書き込み線81に流れる第2磁化電流IM2の向きは、この一方向に固定されている。このとき、第1磁性体フリー層54及び第2磁性体フリー層56は、磁気異方性が大きく磁場H3の影響を受けない。
【0128】
データの記憶という観点から、第1磁性体フリー層54と非磁性導電体層56と第2磁性体フリー層56とは、「磁性体記憶部」を構成しているといえる。スピン電子の制御という観点から、第1磁性体リファレンス層62、第2非磁性導電体層63、第2磁性体リファレンス層64及び第1トンネル層53は「スピン制御層」を構成しているといえる。
書き込み電流IWの供給という観点から、電流源回路43、書き込み線デコーダ20、第1書き込み配線21、選択線デコーダ30及び選択線31は、「電流供給部」を構成しているといえる。一方、書き込み電流IWの制御及びスピン電子の状態の制御という観点から、書き込み制御回路41、第2電流源回路47、第2書き込み線デコーダ70、第2書き込み配線71、第3電流源回路49、第3書き込み線デコーダ80、第3書き込み配線81は、「制御部」を構成しているといえる。
【0129】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態における製造方法について説明する。まず、シリコン基板上にトランジスタ及び配線を含む半導体集積回路を形成する。その上に層間絶縁膜を形成し、それら配線との接続のためタングステンプラグを形成する。
【0130】
次に、全面に磁気抵抗素子1の下部電極として、Ta膜(膜厚30nm)成膜する。その後、第1磁性体リファレンス層62としてNiFe膜(膜厚2〜5nm)、第2非磁性導電体層63としてRu膜(膜厚0.5〜1.0nm)、第2磁性体リファレンス層64としてCoFe膜(膜厚5.1nm)、第1トンネル層53としてAlO膜(膜厚0.3〜0.8nm)、第1磁性体フリー層54としてNiFe膜(膜厚1〜5nm)、非磁性体導電層55としてZr膜(膜厚0.5〜1.5nm)、第2磁性体フリー層56としてNiFe膜(膜厚1〜5nm)をスパッタ技術で成膜する。さらに上部電極としてTa膜(膜厚100nm)とを成膜し、SiO2膜(膜厚50nm)を成膜する。
【0131】
続いて、フォトリソグラフィ技術によりレジストを磁気抵抗素子1の形状に残し、SiO2膜をRIE技術により加工する。磁気抵抗素子1の形状は、たとえば楕円形である。
こうすることで長軸方向に形状異方性が発生し、長軸に沿った方向で磁化方向が安定な状態となる。レジストをアッシング除去後、加工されたSiO2をマスクとして、上部電極のTa膜以下第1磁性体フリー層54までをミリング加工し、第1トンネル層53の表面を露出させる。次に、保護膜としてSiN膜(膜厚10〜50nm)とSiO2膜(膜厚100nm)成膜する。その後、レジストを所望の第1磁性体リファレンス層62形状に残し、SiO2膜をRIE加工する。レジストアッシング後、SiN膜から第1磁性体リファレンス層62までをミリング加工する。
【0132】
このとき第1磁性体リファレンス層62及び第2磁性体リファレンス層64の形状を円や正方形に近い形にすることで磁気異方性を小さくできる。次に保護膜SiN膜(膜厚:
10〜100nm)成膜後、レジストを所望の下部電極形状に残し、下部電極までをRIE加工する。その後アッシングによりレジストを除去する。これにより磁気抵抗素子1(図10A及び図10B)を形成できる。
【0133】
次に全面にSiO2膜(膜厚:400nm)を成膜し、CMP加工により平坦化する。
フォトリソグラフィ技術とRIE技術により、上部電極、下部電極、下層配線に対するビアをあける。全面にTi膜(膜厚10nm)、AlCu膜(膜厚400nm)、TiN膜(膜厚10nm)を成膜し、フォトリソグラフィ技術とRIE技術により第1書き込み線21aやその他の配線の形状に加工する。
【0134】
次に、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作について、図9、図10A及び図10B、及び図11(図11A〜図11D)を参照して説明する。図11(図11A〜図11D)は、本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第2の実施の形態の動作に関するタイミングチャートである。
【0135】
まず、データ“0”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。この他の第1書き込み線12a及び第2書き込み線12bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする(図11A:t1)。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ41をオフ状態にする。
【0136】
書き込み制御回路41は、更に、第3書き込み線デコーダ80へ対象メモリセル10のアドレスを示す第3書き込み線アドレス信号を出力する。第3書き込みデコーダ80は、書き込むメモリセル10に接続された第3書き込み線81と第3電流源回路49とを接続する。その他の第3書き込み線81を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第3電流源回路49に対し所望の第2磁化電流IM2、たとえば1mAを流すように指示する。
これにより所望の第3書き込み線81に第2磁化電流IM2が流れ(図11D:t1)、磁場H3が発生する。その磁場H3により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが設定される。それに伴い、第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きも設定される。(例示:図10Bに示すように、第2磁化電流IM2が+X方向なので、第1磁性体リファレンス層62:+Y方向(右向き)、第2磁性体リファレンス層64:−Y方向(左向き))。この磁場H3は、第2磁化電流IM2の減少(図11D)と共に減少して行く。
【0137】
書き込み制御回路41は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と“0”を書くことを示す第1磁化電流方向信号を出力する。第2書き込みデコーダ70は、書き込むメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)と第2電流源回路47とを接続する。その第2書き込み線71(例示:71a)に接続された他の第2書き込み線71(例示:71b)を接地する。また、その他の第2書き込み線71を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第2電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1、たとえば0.1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に第1磁化電流IM1が流れ(図11C:t2)、磁場H1が発生する。この磁場H1は、第1磁化電流IM1の増加(図11C)と共に増加して行く。
【0138】
書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる(図11B:t2)。
【0139】
すなわち、上部電極から下部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第2磁性体リファレンス層64から第1磁性体フリー層54にスピン電子が注入される。それにより、第1磁性体フリー層54の磁化の向きは第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きと同じ向きになり、第2磁性体フリー層56は逆の向きになる。
【0140】
ここで、上述のように、Y方向の磁場H3は時間経過と共に減少し、X方向の磁場H1は時間経過と共に増加する。すなわち、各リファレンス層の磁化の方向は、当初磁場H3に平行なY方向を向いている。しかし、磁場H1が増加するに連れて、磁場H3と磁場H1との合成磁場の方向に向くようになる(回転してゆく)。そして、時刻t3で磁場H3がゼロとなり、各リファレンス層の磁化の方向は、X方向に向く。時刻t3〜t4は、第2の実施の形態と同じ状況(図7A〜図7C:t2〜t3)となる。すなわち、時刻t1〜t2において、第1磁性体リファレンス層62、第2磁性体リファレンス層64、第1磁性体フリー層54、第2磁性体フリー層56の各々の磁化の向きは、それぞれ+Y方向、−Y方向、+Y方向、−Y方向である。時刻t2〜t3では、各磁化の向きが回転して、それぞれ、+Y方向と+X方向との合成方向、−Y方向と−X方向との合成方向、+Y方向と+X方向との合成方向、−Y方向と−X方向との合成方向となる。そして、時刻t3〜t4では、各磁化の向きが更に回転して、それぞれ、+X方向、−X方向、+X方向、−X方向となる。
【0141】
所定の時間の後に書き込み電流IWを止め(図11B:t4)、書き込み線デコーダ20、第2書き込み線デコーダ70、第3書き込み線デコーダ80及び選択線デコーダ30がそれぞれ第1書き込み線21a、第2書き込み線71(例示:71a)、第3書き込み線81、選択線31を接地状態にすることで(図11A、図11C、図11D:t5)、データ“0”を書き込む動作が完了する。
【0142】
次に、データ“1”を書き込む場合について説明する。書き込み制御回路41は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また書き込むメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。この他の第1書き込み線12a及び第2書き込み線12bを接地する。書き込み制御回路41は、更に、選択線デコーダ30へ選択アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、書き込むメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする(図11A:t1)。その他の選択線31を非活性化し、その他の選択トランジスタ41をオフ状態にする。
【0143】
書き込み制御回路41は、更に、第3書き込み線デコーダ80へ対象メモリセル10のアドレスを示す第3書き込み線アドレス信号を出力する。第3書き込みデコーダ80は、書き込むメモリセル10に接続された第3書き込み線81と第3電流源回路49とを接続する。その他の第3書き込み線81を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第3電流源回路49に対し所望の第2磁化電流IM2、たとえば1mAを流すように指示する。
これにより所望の第3書き込み線81に第2磁化電流IM2が流れ(図11D:t1)、磁場H3が発生する。その磁場H3により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが設定される。それに伴い、第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きも設定される。(例示:図10Bに示すように、第2磁化電流IM2が+X方向なので、第1磁性体リファレンス層62:+Y方向(右向き)、第2磁性体リファレンス層64:−Y方向(左向き))。この磁場H3は、第2磁化電流IM2の減少(図11D)と共に減少して行く。
【0144】
書き込み制御回路41は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と“1”を書くことを示す第1磁化電流方向信号を出力する。第2書き込みデコーダ70は、書き込むメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)を接地する。その第2書き込み線71(例示:71a)に接続された他の第2書き込み線71(例示:71b)と第2電流源回路47とを接続する。また、その他の第2書き込み線71を接地する。書き込み制御回路41は、更に、第2電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1、たとえば0.1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に逆向きの第1磁化電流IM1が流れ(図11C:t2)、磁場H2が発生する。この磁場H2は、第1磁化電流IM1の増加(図11C)と共に増加して行く。
【0145】
書き込み制御回路41は、更に、電流源回路43に対し所望の書き込み電流IW、たとえば1mAを流すように指示する。これにより、書き込み電流IWが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる(図11B:t2)。
【0146】
すなわち、上部電極から下部電極へ向かって電流が流れる。このとき、第2磁性体リファレンス層64から第1磁性体フリー層54にスピン電子が注入される。それにより、第1磁性体フリー層54の磁化の向きは第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きと同じ向きになり、第2磁性体フリー層56は逆の向きになる。
【0147】
ここで、上述のように、Y方向の磁場H3は時間経過と共に減少し、X方向の磁場H2は時間経過と共に増加する。すなわち、各リファレンス層の磁化の方向は、当初磁場H3に平行なY方向を向いている。しかし、磁場H2が増加するに連れて、磁場H3と磁場H2との合成磁場の方向に向くようになる(回転してゆく)。そして、時刻t3で磁場H3がゼロとなり、各リファレンス層の磁化の方向は、X方向に向く。時刻t3〜t4は、第2の実施の形態と同じ状況(図7A〜図7C:t2〜t3)となる。すなわち、時刻t1〜t2において、第1磁性体リファレンス層62、第2磁性体リファレンス層64、第1磁性体フリー層54、第2磁性体フリー層56の各々の磁化の向きは、それぞれ+Y方向、−Y方向、+Y方向、−Y方向である。時刻t2〜t3では、各磁化の向きが回転して、それぞれ、+Y方向と−X方向との合成方向、−Y方向と+X方向との合成方向、+Y方向と−X方向との合成方向、−Y方向と+X方向との合成方向となる。そして、時刻t3〜t4では、各磁化の向きが更に回転して、それぞれ、−X方向、+X方向、−X方向、+X方向となる。
【0148】
所定の時間の後に書き込み電流IWを止め(図11B:t4)、書き込み線デコーダ20、第2書き込み線デコーダ70、第3書き込み線デコーダ80及び選択線デコーダ30がそれぞれ第1書き込み線21a、第2書き込み線71(例示:71a)、第3書き込み線81、選択線31を接地状態にすることで(図11A、図11C、図11D:t5)、データ“1”を書き込む動作が完了する。
【0149】
次に、データを読み出す場合について説明する。読み出し制御回路42は、書き込み線デコーダ20へ、対象メモリセル10のアドレスを示す書き込み線アドレス信号を出力する。書き込み線デコーダ20は、読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21aと電流源回路43とを接続する。また読み出すメモリセル10に接続された第1書き込み線21bを接地する。読み出し制御回路42は、更に、選択線デコーダ30へ選択線アドレス信号を出力する。選択線デコーダ30は、読み出すメモリセル10に接続された選択線31を活性化し、選択トランジスタ9をオン状態にする。その他の選択線31を非活性にし、その他の選択トランジスタ9をオフ状態にする。読み出し制御回路42は、更に、第2書き込み線デコーダ70へ、対象メモリセル10のアドレスを示す第2書き込み線アドレス信号と読み出し動作を示す読み出し信号とを出力する。第2書き込み線デコーダ70は、読み出すメモリセル10に接続された第2書き込み線71(例示:71a)と第2電流源回路47とを接続する。その第2書き込み線71(例示:71a)に接続された第2書き込み線71(例示:71b)を接地する。読み出し制御回路42は、更に、電流源回路47に対し所望の第1磁化電流IM1たとえば1mAを流すように指示する。これにより所望の第2書き込み線71に第1磁化電流IM1が流れ、磁場H1が発生する。
その磁場H1により、磁気異方性の小さい第1磁性体リファレンス層62の磁化の向きが所定の向きに設定される。それに伴い第2磁性体リファレンス層64の磁化の向きが設定される。この向きは、読み出し動作において常に一定である。読み出し制御回路42は、更に、電流源回路43に対し所望の読み出し電流IR、たとえば0.1mAを流すように指示する。これにより、読み出し電流IRが、書き込み線デコーダ20−第1書き込み線21a−上部電極−磁気抵抗素子1−下部電極−第1書き込み線21b−接地の経路で流れる。
【0150】
すなわち、上部電極から下部電極に向かって電流が流れる。ここで、磁気抵抗素子1及び選択トランジスタ9の抵抗が、記憶しているデータの値により1kΩ及び1.4kΩのいずれかの値をとるとすると、電位V45の値は0.1V及び0.14Vのいずれかとなる。比較回路44は、Vref=0.12Vと電位V45の値とを比較することにより、記憶しているデータの判別を行うことができる。
【0151】
本発明の磁気ランダムアクセスメモリの第3の実施の形態の動作における読み出しの原理については、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0152】
上記実施の形態では、書込み動作時に、書込み電流を第2磁性体フリー層56から第1磁性体リファレンス層62へ向って流すことで、スピン電子を第1磁性体リファレンス層62から第1磁性体フリー層54へ注入している。すなわち、注入電子を用いて書き込みを行っている。しかし、第2の実施の形態で示したように、逆の向きに電流を流して書き込みを行うこと、すなわち、反射電子を用いて書き込みを行うことも可能である。
【0153】
本実施の形態においても第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、トグル書き込みのように印加磁場に複雑な手順が必要な磁気抵抗素子に対しても、スピン注入による書き込みが可能となる。
【0154】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【0155】
以上説明したように、本発明によれば、スピン注入により磁気抵抗素子に書き込みを行う場合、同様の原理を用いて行うことができるため、データに依らず書き込み特性を同様にできる。これにより書き込み回路が単純な半導体記憶装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 :磁気抵抗素子
9 :選択トランジスタ
10:メモリセル
20:書き込み線デコーダ
21:第1書き込み配線
21a:第1書き込み線
21b:第1書き込み線
30:選択線デコーダ
31:選択線
41:書き込み制御回路
42:読み出し制御回路
43:電流源回路
44:比較回路
47:電流源回路
49:電流源回路
50:第1磁性体積層部
51:第1反強磁性体層
52:第1磁性体ピン層
53:第1トンネル層
54:第1磁性体フリー層
55:非磁性導電体層
56:第2磁性体フリー層
57:第2トンネル層
58:第2磁性体ピン層
59:第2反強磁性体層
60:第2磁性体積層部
62:第1磁性体リファレンス層
63:第2非磁性導電体層
64:第2磁性体リファレンス層
70:デコーダ
71:第2書き込み線
71a:第2書き込み線
71b:第2書き込み線
80:デコーダ
81:第3書き込み線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピン注入方式の磁気ランダムアクセスメモリであって、
複数の磁気メモリセルと、
前記複数の磁気メモリセルのうちからデータを書き込む対象メモリセルを選択し、前記対象メモリセルへ書き込み電流を供給する電流供給部と、
書き込むデータに基づいて、前記電流供給部による前記書き込み電流の供給を制御する制御部と
を具備し、
前記複数の磁気メモリセルの各々は、
磁化状態によりデータを記憶する磁性体記憶層と、
前記書き込み電流に基づいて、前記書き込むデータに依らず同一の制御原理で前記磁性体記憶層にスピン電子を供給する少なくとも一つのスピン制御層と
を備え、
前記少なくとも一つのスピン制御層は一つであり、
前記磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含み、
前記スピン制御層は、
第1非磁性体層を挟んで前記第1磁性体と結合する第1磁性体リファレンス層と、
前記第1非磁性体層と前記第1磁性体リファレンス層との間に、第2非磁性体層を挟んで前記第1磁性体リファレンス層と反強磁性結合する第2磁性体リファレンス層と
を含み、
前記制御部は、前記書き込むデータに応じて、前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを時間経過と共に連続的に回転させながら、前記第1磁性体リファレンス層及び前記第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに前記書き込み電流を流すように前記電流供給部を制御する
磁気ランダムアクセスメモリ。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
前記制御部は、前記書き込むデータに基づいて、前記スピン制御層における前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを連続的に回転させるように、連続的に回転する磁界を発生する磁化方向設定部を含む
磁気ランダムアクセスメモリ。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
前記磁化方向設定部は、
前記対象メモリセルの近傍に、第1方向へ延在する第1配線と、
前記対象メモリセルの近傍に、前記第1方向とは異なる第2方向へ延在する第1配線と
を含み、
前記制御部は、前記第1配線に流す電流により発生する第1磁界と、前記第2配線に流す電流により発生する第2磁界とを連続的に変化させて前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを連続的に回転させる
磁気ランダムアクセスメモリ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
前記スピン制御層は、前記書き込み電流の流れる方向に垂直な断面が、外側に凸の曲線又は直線で構成された形状である
磁気ランダムアクセスメモリ。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
前記スピン制御層は、前記形状が円、正方形、又は前記円及び前記正方形のいずれか一方に近い形状である
磁気ランダムアクセスメモリ。
【請求項6】
スピン注入方式の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法であって、
ここで、前記磁気ランダムアクセスメモリは、
複数の磁気メモリセルと、
電流供給部と、
制御部と
を備え、
前記複数の磁気メモリセルの各々は、
磁化状態によりデータを記憶する磁性体記憶層と、
少なくとも一つのスピン制御層と
を備え、
前記磁気ランダムアクセスメモリの動作方法は、
(a)前記電流供給部が、前記複数の磁気メモリセルのうちからデータを書き込む対象メモリセルを選択するステップと、
(b)前記電流供給部が前記対象メモリセルへ書き込み電流を供給するように、前記制御部が書き込むデータに基づいて前記電流供給部を制御するステップと、
(c)前記少なくとも一つのスピン制御層は、前記書き込み電流に基づいて、前記書き込むデータに依らず同一の制御原理で前記磁性体記憶層にスピン電子を供給するステップと
を具備し、
前記少なくとも一つのスピン制御層は一つであり、
前記磁性体記憶層は、非磁性導電体層を介して反強磁性結合した第1磁性体層と第2磁性体層とを含み、
前記スピン制御層は、
第1非磁性体層を挟んで前記第1磁性体と結合する第1磁性体リファレンス層と、
前記第1非磁性体層と前記第1磁性体リファレンス層との間に、第2非磁性体層を挟んで前記第1磁性体リファレンス層と反強磁性結合する第2磁性体リファレンス層と
を含み、
前記ステップ(b)は、
(b1)前記制御部は、前記書き込むデータに応じて、前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを時間経過と共に連続的に回転させながら、前記第1磁性体リファレンス層及び前記第2磁性体層のいずれか一方から他方への予め設定された向きに前記書き込み電流を流すように前記電流供給部を制御するステップを更に含む
磁気ランダムアクセスメモリの動作方法。
【請求項7】
請求項6に記載の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、
前記制御部は、前記書き込むデータに基づいて、前記スピン制御層における前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを連続的に回転させるように、連続的に回転する磁界を発生する磁化方向設定部を含む
磁気ランダムアクセスメモリの動作方法。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、
前記磁化方向設定部は、
前記対象メモリセルの近傍に、第1方向へ延在する第1配線と、
前記対象メモリセルの近傍に、前記第1方向とは異なる第2方向へ延在する第1配線と
を含み、
前記(b1)ステップは、
前記制御部が、前記第1配線に流す電流により発生する第1磁界と、前記第2配線に流す電流により発生する第2磁界とを連続的に変化させて前記第1磁性体リファレンス層の磁化の向きを連続的に回転させるステップを更に含む
磁気ランダムアクセスメモリの動作方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、
前記スピン制御層は、前記書き込み電流の流れる方向に垂直な断面が、外側に凸の曲線又は直線で構成された形状である
磁気ランダムアクセスメモリの動作方法。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気ランダムアクセスメモリの動作方法において、
前記スピン制御層は、前記形状が円、正方形、又は前記円及び前記正方形のいずれか一方に近い形状である
磁気ランダムアクセスメモリの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−216861(P2012−216861A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140533(P2012−140533)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−538751(P2007−538751)の分割
【原出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】