説明

移動体通信システム、通信装置、通信中継装置、通信方法、通信プログラム、および記録媒体

【課題】後続移動体が先導移動体の走行軌跡をたどって走行できるように誘導すること。
【解決手段】通信装置A110は、軌跡収集部113によって収集された走行軌跡の情報を、送信部114によって送信することができる。また、通信装置B120は受信部124において受信された走行軌跡の情報に基づいて、経路設定部127で経路を設定することができる。このため、先導移動体の走行軌跡をたどって目的地点に向かいたい場合に、先導移動体があらかじめ設定された経路を外れても、後続移動体は先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信する移動体通信システム、通信装置、通信中継装置、通信方法、通信プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、待ち合わせをしてから共通の目的地点に向かう複数の移動体のグループにおいて、グループの各メンバーの位置情報などを用いることにより、各メンバーを目的地点を考慮に入れた最適な待ち合わせ地点へそれぞれ誘導するナビゲーション装置がある。このようなナビゲーション装置においては、待ち合わせ地点に合流し、目的地点までの共通の経路を設定した後は、それぞれの移動体に搭載されたナビゲーション装置が個々に各メンバーを目的地点まで誘導する(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−45333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、待ち合わせ地点で合流した後に先導車の走行軌跡をたどって目的地点へ向かいたい場合にも、それぞれの移動体に搭載されたナビゲーション装置が個々に各メンバーを目的地点まで誘導する。このため、各メンバーの現在位置は確認できるが、後続車を先導車の走行している経路へ誘導することはできない。したがって、後続車が先導車の走行軌跡をたどれないという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる移動体通信システムは、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成される移動体通信システムであって、前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体は、当該先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集手段と、前記軌跡収集手段によって収集された走行軌跡の情報を他の移動体に送信する送信手段と、を備え、前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体は、前記先導移動体の送信手段から送信された前記走行軌跡の情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明にかかる通信装置は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に搭載された通信装置であって、前記先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集手段と、前記グループのうちの他の移動体における前記所定の目的地点までの経路の設定に用いられる前記走行軌跡の情報を前記他の移動体に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項4の発明にかかる通信装置は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に後続する後続移動体に搭載された通信装置であって、前記先導移動体から送信される当該先導移動体の走行軌跡の情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項7の発明にかかる通信中継装置は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体の間で通信される情報を中継する通信中継装置であって、前記複数の移動体の各々から現在位置の情報を所定のタイミングで受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記現在位置の情報を前記複数の移動体に送信する送信手段と、を備え、前記受信手段は、前記現在位置の情報の受信タイミングに同期して、前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体から走行軌跡の情報を受信し、前記送信手段は、前記現在位置の情報の送信タイミングに同期して、前記受信手段によって受信された前記走行軌跡の情報を前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体に送信することを特徴とする。
【0009】
また、請求項8の発明にかかる通信方法は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体における通信方法であって、前記先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集工程と、前記グループのうちの他の移動体における前記所定の目的地点までの経路の設定に用いられる前記走行軌跡の情報を前記他の移動体に送信する送信工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項9の発明にかかる通信方法は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に後続する後続移動体における通信方法であって、前記先導移動体から送信される当該先導移動体の走行軌跡の情報を受信する受信工程と、前記受信工程で受信された前記走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定工程と、前記経路設定工程で設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項10の発明にかかる通信方法は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体の間で通信される情報を中継する通信中継装置における通信方法であって、前記複数の移動体の各々から現在位置の情報を所定のタイミングで受信する第1受信工程と、前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体から走行軌跡の情報を受信する第2受信工程と、前記第1受信工程の受信タイミングと前記第2受信工程の受信タイミングとを同期させる受信同期工程と、前記第1受信工程で受信された前記現在位置の情報を前記複数の移動体に送信する第1送信工程と、前記第2受信工程で受信された前記走行軌跡の情報を前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体に送信する第2送信工程と、前記第1送信工程の送信タイミングと前記第2送信工程の送信タイミングとを同期させる送信同期工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項11の発明にかかる通信プログラムは、請求項8〜10のいずれか一つに記載の通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項12の発明にかかる記録媒体は、コンピュータに読み取り可能で、請求項11に記載の通信プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる移動体通信システム、通信装置、通信中継装置、通信方法、通信プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。実施の形態は、この発明にかかる移動体通信システム、通信装置、通信中継装置、通信方法、通信プログラム、および記録媒体を、先導移動体に搭載された通信装置と、後続移動体に搭載された通信装置と、によって構成される移動体通信システムに適用した例である。
【0015】
(移動体通信システムの構成)
まず、実施の形態にかかる移動体通信システム100の構成について説明する。図1は、実施の形態にかかる移動体通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、移動体通信システム100は、所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して移動する先導移動体に搭載された通信装置(通信装置A)110と、先導移動体に後続して移動する後続移動体に搭載された通信装置(通信装置B)120と、を備えている。通信装置A110と、通信装置B120とは、相互に通信可能に設けられている。ここで、移動体とは、移動することが可能な物体であり、たとえば、車両、船舶あるいは人間などである。
【0016】
また、通信装置A110と、通信装置B120とは、移動体とともに移動することが可能な可搬型のコンピュータ端末である。具体的には、たとえば、移動体が車両である場合には当該車両に搭載されたナビゲーション装置などによって実現され、移動体が人間である場合には当該人物が所有する携帯型電話機やPDA(Personal Digital Assistance)などによって実現される。
【0017】
(通信装置Aの機能的構成)
つぎに、実施の形態にかかる通信装置A110の機能的構成について説明する。ここで、通信装置A110と、通信装置B120とは、ほぼ同じ構成であり、通信装置A110が軌跡収集部113を備え、通信装置B120が判断部126と、経路設定部127と、誘導部128と、を備える点が異なる。図1において、通信装置A110は、表示部111と、位置検出部112と、軌跡収集部113と、送信部114と、受信部115と、同期部116と、を備えている。表示部111は、地図情報を表示する表示画面を備えている。
【0018】
ここで、地図情報とは、ノードおよびリンクからなる道路ネットワークデータと、施設や道路その他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データとを含んでいる。地図情報には、文字情報、施設の名称や住所などの情報、道路や施設の画像などが含まれていてもよい。
【0019】
位置検出部112は、現在位置の情報を検出する。移動体の現在位置の情報は、たとえば、GPS衛星からのGPS信号を受信することによって検出することが可能である。また、たとえば、通信装置A110が車両に搭載されている場合には、GPS衛星から受信したGPS信号に加えて、当該車両の挙動を検出する加速度センサや車速センサからの出力値に応じて、移動体の現在位置の情報を検出するようにしてもよい。
【0020】
軌跡収集部113は、所定の期間に走行した走行軌跡の情報を収集する。ここで所定の期間とは、後述する送信部114において、走行軌跡の情報を送信してから、つぎに、走行軌跡の情報を送信するまでの期間である。また、軌跡収集部113は、位置検出部112によって検出された先導移動体の連続的な現在位置の情報を収集することで、走行軌跡の情報を収集してもよい。
【0021】
送信部114は、走行軌跡の情報を所定のタイミングで他の移動体に送信する。ここで、所定のタイミングとは、ユーザによって設定可能な時間の間隔である。また、送信部114は、走行軌跡の情報を所定のタイミングで図示しない通信中継装置に送信してもよい。また、送信部114は、通信中継装置に送信する場合、位置検出部112によって検出された現在位置の情報を送信して、通信中継装置において走行軌跡の情報を収集してもよい。
【0022】
ここで、通信中継装置とは、通信装置A110と通信装置B120との相互の通信を中継する。通信中継装置は、通信装置A110からの走行軌跡の情報の受信と、通信装置B120からの現在位置の情報の受信を同期させて受信する。また、通信中継装置は、通信装置A110および通信装置B120への各移動体の現在位置の情報の送信と、通信装置B120への走行軌跡の情報の送信を同期させて送信する。具体的には、たとえば、ネットワークを介したサーバなどによって実現される。
【0023】
受信部115は、後続移動体の現在位置の情報を所定のタイミングで通信装置B120から受信する。また、受信部115は、通信装置B120が現在位置の情報を図示しない通信中継装置に送信した場合は、後続移動体の現在位置の情報を通信中継装置から所定のタイミングで受信する。同期部116は、送信部114において走行軌跡の情報を送信するタイミングと、受信部115において後続移動体の現在位置の情報を受信するタイミングとを同期させる。また、同期部116は、同期させるタイミングを、ユーザの操作によって変更可能としてもよい。
【0024】
(通信装置Bの機能的構成)
つぎに、実施の形態にかかる通信装置B120の機能的構成について説明する。図1において、通信装置B120は、表示部121と、位置検出部122と、送信部123と、受信部124と、同期部125と、判断部126と、経路設定部127と、誘導部128と、を備えている。表示部121は、地図情報を表示する表示画面を備えている。
【0025】
位置検出部122は、現在位置の情報を検出する。移動体の現在位置の情報は、上述した位置検出部112と同様に現在位置の情報を検出する。送信部123は、現在位置の情報を所定のタイミングで他の移動体に送信する。また、送信部123は、現在位置の情報を所定のタイミングで図示しない通信中継装置に送信してもよい。
【0026】
受信部124は、先導移動体の走行軌跡の情報を通信装置A110から所定のタイミングで受信する。また、受信部124は、通信装置B120が走行軌跡の情報を、図示しない通信中継装置に送信した場合は、走行軌跡の情報を通信中継装置から所定のタイミングで受信する。また、同期部125は、送信部123において走行軌跡の情報を送信するタイミングと、受信部124において後続移動体の現在位置の情報を受信するタイミングとを同期させる。
【0027】
判断部126は、受信部124によって受信された先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、後述する誘導部128によって誘導中の経路から、先導移動体の走行軌跡が外れているか否かを判断する。経路設定部127は、受信部124によって受信された先導移動体の走行軌跡の情報に基づいて、目的地点までの経路を設定する。また、経路設定部127は、判断部126によって、後述する誘導部128によって誘導中の経路から、先導移動体の走行軌跡が外れていると判断された場合に、目的地点までの経路を再設定するようにしてもよい。
【0028】
誘導部128は、経路設定部127によって設定された目的地点までの経路に基づいて、経路誘導をおこなう。また、誘導部128は、受信部124によって受信された先導移動体の走行軌跡の情報を、表示部121が備える表示画面に区別して表示させるようにしてもよい。
【0029】
(通信装置Aの通信処理手順の内容)
つぎに、通信装置A110の通信処理手順について説明する。図2は、通信装置A110の通信処理手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、先導移動体の走行軌跡をたどって走行する走行軌跡誘導の開始要求を受け付けるまで待って(ステップS201:Noのループ)、開始要求を受け付けた場合(ステップS201:Yes)、軌跡収集部113は、走行軌跡の情報の収集を開始する(ステップS202)。所定の時間になったか否かを判断して(ステップS203)、所定の時間になった場合(ステップS203:Yes)、送信部114によって通信装置B120へ走行軌跡の情報を送信することで(ステップS204)、一連の処理を終了する。ここで、所定の時間とは、ユーザによって設定可能であってもよい。ステップS203において、所定の時間ではない場合(ステップS203:No)、ステップS202に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0030】
なお、図2の説明では、ステップS201:Yesにおいては、グループ内の通信装置のいずれかひとつにおいて軌跡誘導の開始要求を受け付けた場合に、グループ全ての移動体の開始要求を受け付けたと判断してもよい。また、開始要求を受け付けた際に、所定の目的地点に最も近い経路を走行しているグループ内の移動体を先導移動体としてもよい。
【0031】
(通信装置Bの通信処理手順の内容)
つぎに、通信装置B120の通信処理手順について説明する。図3は、通信装置B120の通信処理手順を示すフローチャートである。図3のフローチャートにおいて、まず、走行軌跡誘導の開始要求を受け付けるまで待って(ステップS301:Noのループ)、開始要求を受け付けた場合(ステップS301:Yes)、受信部124は、通信装置A110から送信される先導移動体の走行軌跡の情報を受信する(ステップS302)。つぎに、経路設定部127は、受信した走行軌跡の情報を用いて、所定の目的地点までの経路を設定する(ステップS303)。そして、ステップS303において設定した経路に基づいて、誘導部128は、自装置の経路誘導をおこない(ステップS304)、一連の処理を終了する。
【0032】
上述したように、実施の形態の移動体通信システム100によれば、通信装置A110においては、軌跡収集部113で収集した走行軌跡の情報を送信部114によって送信することができる。また、通信装置B120においては、受信部124で受信した走行軌跡の情報を用いて、経路設定部127で経路を設定し、誘導部128によって誘導することができる。したがって、先導移動体は走行した走行軌跡の情報を収集し送信することができる。また、後続移動体は先導移動体の走行軌跡の情報を用いて経路設定し、誘導することができる。これによって、後続移動体は先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0033】
また、実施の形態の通信装置A110によれば、軌跡収集部113で収集した走行軌跡の情報を送信部114によって通信装置B120に送信することができる。したがって、先導移動体は、走行した走行軌跡の情報を収集し、他の移動体に対して送信することができる。これによって後続移動体は、先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0034】
また、実施の形態の通信装置A110によれば、同期部116によって他の移動体の現在位置の情報を受信するタイミングと、走行軌跡の情報を送信するタイミングを同期させることができる。したがって、先導移動体は経路を逸脱する度に送信をおこなわなくてもよい。これによって、先導移動体が現在位置情報を受信するタイミングで走行軌跡の情報を送信するため、後続移動体は、定期的に経路の設定をすることができる。
【0035】
また、実施の形態の通信装置B120によれば、受信部124で受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、経路設定部127で経路を設定し、誘導部128によって誘導することができる。したがって、後続移動体は、受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、経路を設定し、誘導することができる。これによって後続移動体は、先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0036】
また、実施の形態の通信装置B120によれば、受信部124で受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、判断部126において先導移動体が共通の経路から外れているか否かを判断し、経路設定部127で経路を再設定することができる。したがって、後続移動体は、先導移動体が経路から外れているか判断し、外れている場合は、経路から外れた先導移動体の走行軌跡の情報を用いて経路を再設定することができる。これによって後続移動体は、先導移動体が経路を外れた場合でも、先導移動体の走行軌跡をたどる経路を設定することができる。
【0037】
また、実施の形態の通信装置B120によれば、同期部125によって現在位置の情報を送信するタイミングと、先導移動体の走行軌跡の情報を受信するタイミングを同期させることができる。したがって、後続移動体は、先導移動体が経路を外れる度に走行軌跡の情報を受信しなくてもよい。これによって、後続移動体は、現在位置情報を送信するタイミングで走行軌跡の情報を受信するため、定期的に経路の設定をすることができる。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の通信装置を実施した場合の一例について説明する。
【0039】
(移動体通信システム100のシステム構成)
つぎに、上述した実施の形態にかかる移動体通信システム100の実施例について説明する。以下の実施例においては、移動体通信システム100を、複数の車両間におけるグループ内通信に適用した場合について説明する。
【0040】
図4は、実施例にかかる移動体通信システムのシステム構成を示す説明図である。図4において移動体通信システム400は、ナビゲーション装置A410および複数のナビゲーション装置B411によって構成される。ナビゲーション装置A410は、道路Lを先導して走行する先導車420に搭載されている。また、ナビゲーション装置B411は、道路Lを先導して走行する先導車420に後続する後続車421に搭載されている。ナビゲーション装置A410とナビゲーション装置B411とは、ネットワーク430を介して接続されている。なお、実施の形態にかかる通信装置A110はナビゲーション装置A410、通信装置B120はナビゲーション装置B411である。
【0041】
グループ内通信がおこなわれる場合、ナビゲーション装置A410は、自車の走行軌跡の情報を所定の時間の間隔で、グループ内の各ナビゲーション装置B411に送信する。また、ナビゲーション装置B411は、自車の現在位置の情報を所定の時間の間隔でナビゲーション装置A410およびグループ内の他のナビゲーション装置B411に送信する。これにより、グループに参加している先導車420および後続車421において、グループのメンバーの現在位置を、相互に把握することができる。また、後続車421は先導車420の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0042】
(移動体通信システムの処理のタイミング)
つぎに、実施例にかかる移動体通信システム400の処理のタイミングについて説明する。図5は、移動体通信システム400の処理のタイミングについて説明するシーケンス図である。図5において移動体通信システム400は、ナビゲーション装置A410、ナビゲーション装置Ba411a、およびナビゲーション装置Bb411bによって構成される。また、図5においては、走行順序はナビゲーション装置A410、ナビゲーション装置Ba411a、ナビゲーション装置Bb411bの順である。また、図5においては、縦軸が時間をあらわし、上から下へ時間が進むこととする。また、図5においては、情報を送信する場合は、自装置以外の各ナビゲーション装置へ同時に送信することとする。
【0043】
図5において、まず、ナビゲーション装置A410によって走行軌跡誘導モードの開始要求が受け付けられた場合、受け付けた時期T1で、走行軌跡誘導モードの開始通知を送信する(ステップS501)。
【0044】
所定の期間T2を待って、時期T3になった場合、ナビゲーション装置A410は、期間T2に走行した自車の走行軌跡の情報を送信する(ステップS502)。そして、ステップS502における走行軌跡の情報の送信と同期させて、ナビゲーション装置Ba411aからの現在位置の情報の受信(ステップS503)とともに、ナビゲーション装置Bb411bからの現在位置の情報の受信(ステップS504)をおこなう。また、ナビゲーション装置Ba411aにおいては、時期T3で、自車の現在位置の情報の送信(ステップS503)と同期させて、ナビゲーション装置A410からの走行軌跡の情報の受信(ステップS502)とともに、ナビゲーション装置Bb411bからの現在位置の情報の受信(ステップS504)をおこなう。同様に、ナビゲーション装置Bb411bにおいては、時期T3で、自車の現在位置の情報の送信(ステップS504)と同期させて、ナビゲーション装置A410から走行軌跡の情報の受信(ステップS502)とともに、ナビゲーション装置Ba411aから現在位置の情報の受信(ステップS503)をおこなう。
【0045】
つづいて、所定の期間T4を待って、時期T5になったら、時期T3でおこなった処理と同様の処理を繰り返す。ここで、期間T2と、期間T4は、同じであり、ユーザによって設定の変更が可能である。目的地点に到着するまで、同様の処理を繰り返し、目的地点に到着した場合、ナビゲーション装置A410は、目的地点に到着した時期T6で、目的地点到着情報を送信する(ステップS505)。また、ナビゲーション装置Ba411aは、目的地点に到着した時期T7で、目的地点到着情報を送信する(ステップS506)。同様に、ナビゲーション装置Bb411bは、目的地点に到着した時期T8で、目的地点到着情報を送信する(ステップS507)。ステップS507において、グループ内の各車両が送信した目的地点到着情報を受信することで、走行軌跡誘導モードを終了する。
【0046】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置A410およびナビゲーション装置B411のハードウェア構成について説明する。図6は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図6において、ナビゲーション装置A410とナビゲーション装置B411のハードウェア構成は同じであるため、ナビゲーション装置A410についてのみ説明する。ナビゲーション装置A410は、CPU601と、ROM602と、RAM603と、磁気ディスクドライブ604と、磁気ディスク605と、光ディスクドライブ606と、光ディスク607と、音声I/F(インターフェース)608と、マイク609と、スピーカ610と、入力デバイス611と、映像I/F612と、ディスプレイ613と、通信I/F614と、GPSユニット615と、各種センサ616と、を備えている。各構成部601〜616は、バス620によってそれぞれ接続されている。
【0047】
まず、CPU601は、ナビゲーション装置A410の全体の制御を司る。ROM602は、ブートプログラム、データ更新プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU601は、RAM603をワークエリアとして使用しながら、ROM602に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置A410の全体の制御を司る。
【0048】
磁気ディスクドライブ604は、CPU601の制御にしたがって磁気ディスク605に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク605は、磁気ディスクドライブ604の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク605としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0049】
また、光ディスクドライブ606は、CPU601の制御にしたがって光ディスク607に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク607は、光ディスクドライブ606の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク607は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク607のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0050】
磁気ディスク605および光ディスク607に記録される情報の一例としては、地図データや機能データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0051】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。
【0052】
機能データは、地図上の施設の形状をあらわす3次元データ、当該施設の説明をあらわす文字データ、その他地図データ以外の各種のデータである。地図データや機能データは、地区ごとあるいは機能ごとにブロック分けされた状態で記録されている。具体的には、たとえば、地図データは、各々が、表示画面に表示された地図において所定の地区をあらわすように、地区ごとにブロック分けすることができる。たとえば、機能データは、各々が、1つの機能を実現するように、機能ごとに複数にブロック分けすることができる。
【0053】
また、機能データは、上述した3次元データや文字データに加えて、経路探索、所要時間の算出、経路誘導などを実現するプログラムデータなどの機能を実現するためのデータである。地図データおよび機能データは、それぞれ、地区ごとあるいは機能ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0054】
音声I/F608は、音声入力用のマイク609および音声出力用のスピーカ610に接続される。マイク609に受音された音声は、音声I/F608内でA/D変換される。マイク609は、たとえば、車両のサンバイザー付近に設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ610からは、所定の音声信号を音声I/F608内でD/A変換した音声が出力される。なお、マイク609から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク605あるいは光ディスク607に記録可能である。
【0055】
入力デバイス611は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス611は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0056】
映像I/F612は、ディスプレイ613に接続される。映像I/F612は、具体的には、たとえば、ディスプレイ613全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ613を制御する制御ICなどによって構成される。
【0057】
ディスプレイ613には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ613には、上述した地図データが、2次元または3次元に描画される。ディスプレイ613に表示された地図データには、ナビゲーション装置A410を搭載した車両の現在位置をあらわすマークなどを重ねて表示することができる。車両の現在位置は、CPU601によって算出される。また、たとえば、ディスプレイ613に表示された地図データには、後述する通信I/F614によって取得される先導車420の走行軌跡やグループの他のメンバーの現在位置を表示することもできる。
【0058】
ディスプレイ613としては、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを用いることができる。ディスプレイ613は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ613は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両において複数設置されていてもよい。
【0059】
通信I/F614は、直接無線を介してネットワーク430に接続され、他のメンバーに搭載されたナビゲーション装置との間のインターフェースとして機能する。通信I/F614は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU601とのインターフェースとしても機能する。
【0060】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F614は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報や他のナビゲーション装置から送信される各メンバーの現在位置の情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0061】
GPSユニット615は、GPS衛星からの電波を受信し、ナビゲーション装置A410を搭載する車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット615の出力情報は、後述する各種センサ616の出力値とともに、CPU601による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0062】
各種センサ616は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ616の出力値は、CPU601による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0063】
図1に示した通信装置A110が備える位置検出部112、軌跡収集部113、送信部114、受信部115、同期部116は、図6に示したナビゲーション装置A410におけるROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU601が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置A410における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0064】
すなわち、実施例のナビゲーション装置A410は、ナビゲーション装置A410における記録媒体としてのROM602に記録されている通信プログラムを実行することにより、図1に示した通信装置A110が備える機能を、図2に示した通信処理手順で実行することができる。
【0065】
また、図1に示した通信装置B120が備える位置検出部122、送信部123、受信部124、同期部125、判断部126、経路設定部127、誘導部128は、図6に示したナビゲーション装置A410と同じ構成のナビゲーション装置B411におけるROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU601が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置B411における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0066】
すなわち、実施例のナビゲーション装置B411は、ナビゲーション装置B411における記録媒体としてのROM602に記録されている通信プログラムを実行することにより、図1に示した通信装置B120が備える機能を、図3に示した通信処理手順で実行することができる。
【0067】
(ナビゲーション装置Aの処理の内容)
つぎに、ナビゲーション装置A410の処理の内容について説明する。図7は、ナビゲーション装置A410の処理の内容を示すフローチャートである。図7においては、あらかじめグループを構成するメンバーは決まっており、さらに、共通の目的地点へ向かう共通の経路がそれぞれのメンバーのナビゲーション装置A410のディスプレイ613上に表示されている。図7のフローチャートにおいて、ステップS701およびステップS702において、グループ内で先導車420を決定する。そして、ステップS702において、先導車420でないと判断された場合は、図8のフローチャートに移行する。図7のフローチャートにおいて、まず、走行軌跡誘導モードの開始要求を受け付けるまで待機する(ステップS701:Noのループ)。
【0068】
走行軌跡誘導モードの開始要求を受け付けた場合(ステップS701:Yes)は、自車がグループを構成するメンバーのうちの先導車420か否かを判断する(ステップS702)。ステップS701において、走行軌跡誘導モードの開始要求を受け付けたか否かの判断は、たとえば、グループを構成する各メンバーのディスプレイ613上に走行軌跡誘導モードを開始するか否かについてユーザに意思表示させるキーを表示して、表示されたキーのうちいずれのキーがメンバーのうちの一人に操作されたかを判断することによって判断する。また、ステップS702において、先導車420か否かの判断は、たとえば、ステップS701において最初にキーを操作したメンバーを先導車420と決定する。また、ステップS702において、先導車420か否かの判断は、たとえば、ステップS701の時点で、最も目的地点に近いグループ内のメンバーを先導車420と決定する。
【0069】
ステップS702において先導車420と判断された場合(ステップS702:Yes)は、走行軌跡の情報の収集を開始する(ステップS703)。ここで、走行軌跡の情報の収集とは、ナビゲーション装置A410のGPSユニット615や各種センサ616によって検出される先導車420の現在位置の情報を連続的に収集してもよい。所定のタイミングになったか否かを判断して(ステップS704)、所定のタイミングになった場合(ステップS704:Yes)、後続車421に走行軌跡の情報を送信する(ステップS705)。一方、ステップS704において、所定のタイミングにならない場合(ステップS704:No)、ステップS703に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0070】
ここで、所定のタイミングとは、たとえば、ユーザによって設定の変更が可能であってもよい。また、走行軌跡の情報とは、ステップS701における走行軌跡誘導モードの開始時点から、ステップS704における最初の所定のタイミングまでに、先導車420と判断されたメンバーが走行した軌跡の情報である。また、もしくは、走行軌跡の情報とは、ステップS704におけるN回目の所定のタイミングから、(N+1)回目の所定のタイミングまでに、先導車420と判断されたメンバーが走行した軌跡の情報である。
【0071】
ステップS705における走行軌跡の情報を送信するタイミングに同期させて、グループ内のそれぞれのナビゲーション装置B411から各メンバーの現在位置の情報を受信する(ステップS706)。そして、受信した現在位置の情報を用いて、表示画面上の各メンバーの現在位置を更新する(ステップS707)。
【0072】
つぎに、目的地点に到着したか否かを判断し(ステップS708)、目的地点に到着した場合(ステップS708:Yes)、グループ内の各メンバーに目的地点到着情報を送信し(ステップS709)、一連の処理を終了する。ここで、目的地点到着情報とは、自車(先導車420)が目的地点に到着したという報知と、直前に走行軌跡の情報を送信してから、目的地点に到着するまでに走行した走行軌跡の情報である。一方、ステップS708において、目的地点に到着していない場合(ステップS708:No)は、ステップS703に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0073】
なお、図7の説明では、ステップS705において、後続車421に走行軌跡の情報を送信するとしているが、これに限ったものではない。たとえば、ネットワーク430を介して図示しないサーバに送信するようにしてもよい。
【0074】
また、図7におけるステップS708:Noにおいては、目的地点に到着していない場合、ステップS703に戻るとしているが、これに限ったものではない。たとえば、ステップS702に戻って、グループ内の各メンバーの現在位置に基づいて、先導車420を変更してもよい。
【0075】
(ナビゲーション装置Bの処理の内容)
つぎに、図7のステップS702において、先導車420と判断されなかった場合(ステップS702:No)の、後続車421に搭載されたナビゲーション装置B411の処理の内容について説明する。図8は、ナビゲーション装置B411の処理の内容を示すフローチャートである。図8においては、あらかじめグループを構成するメンバーは決まっており、さらに、共通の目的地点へ向かう共通の経路が各ナビゲーション装置B411のディスプレイ613上に表示されている。図8のフローチャートにおいて、まず、所定のタイミングになるまで待って(ステップS801:Noのループ)、所定のタイミングになった場合(ステップS801:Yes)、自車の現在位置の情報を取得して(ステップS802)、ナビゲーション装置A410およびグループ内の自装置以外のナビゲーション装置B411に、自車の現在位置の情報を送信する(ステップS803)。
【0076】
ステップS803における自車の現在位置の情報を送信するタイミングに同期させて、ナビゲーション装置A410から送信された先導車420の走行軌跡の情報を受信するとともに、グループ内の自車以外の各ナビゲーション装置B411から送信された各メンバーの現在位置の情報を受信する(ステップS804)。ステップS804において、受信した現在位置の情報と走行軌跡の情報を用いて、表示画面上の各メンバーの現在位置を更新する(ステップS805)。つぎに、受信した走行軌跡の情報を用いて、あらかじめ設定された経路から先導車420が逸脱しているか判断する(ステップS806)。ステップS806において、あらかじめ設定された経路から先導車420が逸脱している場合(ステップS806:Yes)は、経路を再探索し(ステップS807)、表示画面上に再探索した経路を表示する(ステップS808)。
【0077】
一方、ステップS806において、あらかじめ設定された経路から先導車420が逸脱していない場合(ステップS806:No)は、つぎに、あらかじめ設定された経路から自車が逸脱しているか判断する(ステップS809)。ステップS809において、あらかじめ設定された経路から自車が逸脱している場合(ステップS809:Yes)は、ステップS807に移り、経路を再探索する。あらかじめ設定された経路から自車が逸脱していない場合(ステップS809:No)は、あらかじめ設定された経路をそのまま表示する(ステップS810)。
【0078】
つぎに、目的地点に到着したか否かを判断し(ステップS811)、目的地点に到着した場合(ステップS811:Yes)、グループ内の各メンバーに目的地点到着情報を送信し(ステップS812)、一連の処理を終了する。ここで、目的地点到着情報とは、自車(後続車421)が目的地点に到着したという報知の情報である。一方、ステップS811において、目的地点に到着していない場合(ステップS811:No)は、ステップS801に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0079】
(ナビゲーション装置の表示画面の一例)
つぎに、ナビゲーション装置B411の表示画面の一例について説明する。図9は、ナビゲーション装置B411の表示画面の一例を示す説明図である。図9は図8のステップS805においてディスプレイ613に表示される各メンバーの現在位置を更新した表示画面の一例900と、図8のステップS808においてディスプレイ613に表示される経路を再探索した表示画面の一例910とを示している。
【0080】
各メンバーの現在位置を更新した表示画面の一例900においては、自車の現在位置901と、自車の走行軌跡902と、設定された経路903と、先導車420の現在位置904と、他の後続車421の現在位置905と、先導車420の走行軌跡と、が表示されている。また、先導車420の走行軌跡は、自車が走行予定の経路から外れた先導車420の走行軌跡906aと、自車が走行済みの経路から外れた先導車420の走行軌跡906bとに分けられる。図9においては、先導車420は、自車がすでに走行した経路上で一度経路から外れていて、さらに、自車がこれから走行する予定の経路上でも経路から外れている。また、自車の走行軌跡902と、設定された経路903と、先導車420の走行軌跡とは、異なる色で表示されている。
【0081】
経路を再探索した表示画面の一例910においては、先導車420の走行軌跡に基づいて経路が再探索されたため、自車を誘導する経路が、設定された経路903から、自車がこれから走行する経路上の先導車420の走行軌跡906aに基づいた経路911に更新されている。これによって、後続車421は先導車420が共通の経路から逸脱した場合でも、先導車420の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0082】
上述したように、実施例の移動体通信システム400によれば、ナビゲーション装置A410においては、軌跡収集部113で収集した走行軌跡の情報を送信部114によって送信することができる。また、ナビゲーション装置B411においては、受信部124で受信した走行軌跡の情報を用いて、経路設定部127で経路を設定し、誘導部128によって誘導することができる。したがって、先導移動体は走行した走行軌跡の情報を収集し送信することができる。また、後続移動体は先導移動体の走行軌跡の情報を用いて経路設定し、誘導することができる。これによって、後続移動体は先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0083】
また、実施例のナビゲーション装置A410によれば、軌跡収集部113で収集した走行軌跡の情報を送信部114によって通信装置B120に送信することができる。したがって、先導移動体は、走行した走行軌跡の情報を収集し、他の移動体に対して送信することができる。これによって後続移動体は、先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0084】
また、実施例のナビゲーション装置A410によれば、同期部116によって他の移動体の現在位置の情報を受信するタイミングと、走行軌跡の情報を送信するタイミングを同期させることができる。したがって、先導移動体は経路を逸脱する度に送信をおこなわなくてもよい。これによって、先導移動体が現在位置情報を受信するタイミングで走行軌跡の情報を送信するため、後続移動体は、定期的に経路の設定をすることができる。
【0085】
また、実施例のナビゲーション装置B411によれば、受信部124で受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、経路設定部127で経路を設定し、誘導部128によって誘導することができる。したがって、後続移動体は、受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、経路を設定し、誘導することができる。これによって後続移動体は、先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0086】
また、実施例のナビゲーション装置B411によれば、受信部124で受信した先導移動体の走行軌跡の情報を用いて、判断部126において先導移動体が共通の経路から外れているか否かを判断し、経路設定部127で経路を再設定することができる。したがって、後続移動体は、先導移動体が経路から外れているか判断し、外れている場合は、経路から外れた先導移動体の走行軌跡の情報を用いて経路を再設定することができる。これによって後続移動体は、先導移動体が経路を外れた場合でも、先導移動体の走行軌跡をたどる経路を設定することができる。
【0087】
また、実施例のナビゲーション装置B411によれば、同期部125によって現在位置の情報を送信するタイミングと、先導移動体の走行軌跡の情報を受信するタイミングを同期させることができる。したがって、後続移動体は、先導移動体が経路を外れる度に走行軌跡の情報を受信しなくてもよい。これによって、後続移動体は、現在位置情報を送信するタイミングで走行軌跡の情報を受信するため、定期的に経路の設定をすることができる。
【0088】
以上説明したように、実施の形態の通信装置A110、通信装置B120、通信方法、通信プログラム、および記録媒体によれば、ナビゲーション装置B411において、ナビゲーション装置A410によって収集された走行軌跡の情報を受信して、受信した走行軌跡の情報に基づいて経路を設定することができる。これによって、先導移動体が共通の経路を外れた場合でも、後続移動体は先導移動体の走行軌跡を用いて経路を設定できる。したがって、後続移動体は先導移動体の走行軌跡をたどって走行することができる。
【0089】
なお、本実施の形態で説明した通信方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態にかかる移動体通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】通信装置Aの通信処理手順を示すフローチャートである。
【図3】通信装置Bの通信処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例にかかる移動体通信システムのシステム構成を示す説明図である。
【図5】移動体通信システムの処理のタイミングについて説明するシーケンス図である。
【図6】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】ナビゲーション装置Aの処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置Bの処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】ナビゲーション装置Bの表示画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0091】
100 移動体通信システム
110 通信装置A
111 表示部
112 位置検出部
113 軌跡収集部
114 送信部
115 受信部
116 同期部
120 通信装置B
121 表示部
122 位置検出部
123 送信部
124 受信部
125 同期部
126 判断部
127 経路設定部
128 誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成される移動体通信システムであって、
前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体は、
当該先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集手段と、
前記軌跡収集手段によって収集された走行軌跡の情報を他の移動体に送信する送信手段と、
を備え、
前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体は、
前記先導移動体の送信手段から送信された前記走行軌跡の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導手段と、
を備えることを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に搭載された通信装置であって、
前記先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集手段と、
前記グループのうちの他の移動体における前記所定の目的地点までの経路の設定に用いられる前記走行軌跡の情報を前記他の移動体に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
前記他の移動体の現在位置の情報を所定のタイミングで受信する受信手段と、
前記送信手段の送信タイミングを前記受信手段の受信タイミングに同期させる同期手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に後続する後続移動体に搭載された通信装置であって、
前記先導移動体から送信される当該先導移動体の走行軌跡の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
前記走行軌跡の情報が示す前記先導移動体の走行軌跡が前記誘導手段に用いられている経路から外れているか否かを判断する判断手段をさらに備え、
前記経路設定手段は、前記先導移動体の走行軌跡が前記誘導手段に用いられている経路から外れていると判断された場合に、当該先導移動体の走行軌跡を含むように前記所定の目的地点までの経路を再設定することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記後続移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された現在位置の情報を前記グループのうちの他の移動体に所定のタイミングで送信する送信手段と、
前記受信手段の受信タイミングを前記送信手段の送信タイミングに同期させる同期手段と、
を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の通信装置。
【請求項7】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体の間で通信される情報を中継する通信中継装置であって、
前記複数の移動体の各々から現在位置の情報を所定のタイミングで受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記現在位置の情報を前記複数の移動体に送信する送信手段と、
を備え、
前記受信手段は、前記現在位置の情報の受信タイミングに同期して、前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体から走行軌跡の情報を受信し、
前記送信手段は、前記現在位置の情報の送信タイミングに同期して、前記受信手段によって受信された前記走行軌跡の情報を前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体に送信することを特徴とする通信中継装置。
【請求項8】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体における通信方法であって、
前記先導移動体の走行軌跡の情報を収集する軌跡収集工程と、
前記グループのうちの他の移動体における前記所定の目的地点までの経路の設定に用いられる前記走行軌跡の情報を前記他の移動体に送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項9】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体で構成されるグループにおいて先導して走行する先導移動体に後続する後続移動体における通信方法であって、
前記先導移動体から送信される当該先導移動体の走行軌跡の情報を受信する受信工程と、
前記受信工程で受信された前記走行軌跡の情報に基づいて、前記所定の目的地点までの経路を設定する経路設定工程と、
前記経路設定工程で設定された経路に基づいて経路誘導を行う誘導工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
所定の目的地点に向かって移動する複数の移動体の間で通信される情報を中継する通信中継装置における通信方法であって、
前記複数の移動体の各々から現在位置の情報を所定のタイミングで受信する第1受信工程と、
前記複数の移動体のうち先導して走行する先導移動体から走行軌跡の情報を受信する第2受信工程と、
前記第1受信工程の受信タイミングと前記第2受信工程の受信タイミングとを同期させる受信同期工程と、
前記第1受信工程で受信された前記現在位置の情報を前記複数の移動体に送信する第1送信工程と、
前記第2受信工程で受信された前記走行軌跡の情報を前記複数の移動体のうちの前記先導移動体以外の移動体に送信する第2送信工程と、
前記第1送信工程の送信タイミングと前記第2送信工程の送信タイミングとを同期させる送信同期工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一つに記載の通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の通信プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−212301(P2007−212301A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32706(P2006−32706)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】