立体カメラセットを有する走査システム
走査システムは、対象物(40)の定性的及び定量的不規則性を検出する1以上の立体カメラ(10)を有する。各立体カメラセット(10)は、2つのカメラ(12,14)と投影器(16)とを有する、各カメラ(12,14)は、CCDマトリックス配列(18)の配列不良による歪みと光学システムの欠損とを補正するために較正される。投影器(16)は、測定されるべき対象物(40)に絶対符号パターン(32,34,36)を投影し、赤外、可視、紫外スペクトルの電磁気エネルギーを放射可能である。複数のカメラセット(10)は、3次元空間(26)の対象物(40)の不規則性を検出可能な走査システムマトリックス(42,44)と結合され得る。3次元空間(26)は、立体カメラセット(10)の数に応じて、任意の所望の寸法であり得る。カメラ(12,14)からのデータは、測定の表示用にデジタル信号プロセッサ(66)を介してコンピュータインターフェース(64)に送信される前に、ゲートアレイ(62)により予備処理される。結果的に、送信されるデータ量は、簡素化され、従って動作時間を減少させ、走査システムが非常に短い時間で対象物(40)の不規則性を非常に正確に測定することを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、表面検査システムに関し、より詳細には、1以上の立体カメラセットを用いることにより、高精度で対象物の不規則性を検出するための高速走査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非常に大量の光学情報を捕捉する相当の能力を有する人間の目でも、高度に正確な公差を必要とする部品の品質管理のために十分な精度と正確さとを有する測定をすることは不可能である。適切な測定を実行できないと、広範囲の問題が生じる可能性がある。例えば、自動車エンジンの部品の寸法公差を維持できないと、結果的に、減少されたシステム寿命から通常の条件外での破壊確率の増加にわたる範囲の問題につながる。製造設備での後のシステム検査が寸法公差に合致しないことから発生する問題を検出可能な場合でも、欠陥のあるシステムのために容認できない高い不合格率となる可能性がある。
【0003】
さらに、人間の目が、必要とされる検査を実行できるときでも、疲労、照明、注意散漫等の要因が、人による検査を信頼できなくする。
【0004】
今時、人による光学検査が採用される用途を最小限にする試みにおいて、疲労や注意散漫や他の要因により発生する偶発的な予測できない問題を避けるために、産業界は、コンピュータ化された検査システムの実行に向けて大きく変化した。しかし、そのようなシステムでは、光学検査装置の解像度が、人間の目の解像度より非常に低い。
【0005】
現在、多数の電子画像カメラは、2次元配列の光感知要素、場合によっては、光検出器として荷電結合デバイス(CCD)として知られたタイプの光感知要素を使用する。これらのデバイスの目的は、光学画像をビデオ画像に変換することである。ビデオ画像に適した、多数の低価格のカラー、白黒配列CCD検出器があるが、前に示唆したように、それらは、低い品質の画像を生成する。より詳細には、CCD検出器及び他のビデオ画像デバイスは、相対的に低い画素数が欠点である。例えば、CCD光検出器配列は、概略2048×2048画素の解像度を有する画像品質を生成する能力を有する。しかし、これらの配列は、現時点では、非常に高価である。さらに、これらの非常に大きな配列は、非動作画素、非動作画素クラスタ、または非動作画素ラインのような欠陥を有する傾向がある。非常に高品質の画像が必要とされるときには、このタイプの電子画像システムは、非常に高価であるだけではない。そのようなシステムは、高品質、高精度の測定を実行することができないことさえあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一列の光検出器の費用は、それらが非常に少ない画素を有し、そのため対応して非常に高い生産量を有するので、配列検出器より非常に少ない。しかし、明らかに、一列の光検出器は、それらが有する光感知デバイスの単一ラインを用いて、任意の所与の時点の画像の1ラインの情報のみを撮像することができる。したがって、そのために、一列の光検出器は、ラインごとに、全体画像を走査しなければならない。
【0007】
同様のことが、カメラの撮像面を横切って一列の光検出器を移動させるための機械的走査部品を用いることにより達成される。通常、このタイプのシステムは、1)機械的走査部品の定常の状態の動作の精度に依存し、2)走査初期における同一の中間の過渡直進動作を仮定し、3)直進動作が、時間に対して一様であることを仮定する、ことにより画像データを取得した。そのようなシステムは、商業写真用の高品質のデジタル画像を作成するのに適している一方で、高精度の測定を実行するのに用いるには不適当である。
【0008】
さらに詳細には、走査部品の機械的不規則性が、高精度の画像情報の生成を不可能にし、従って、そのようなシステムにより捕捉された画像データを、精密製造環境での寸法公差を保証する目的に適するようにみせかける。
【0009】
したがって、そのような部品の特徴から正確な測定がされ得るのに十分な精度で、部品の単一の画像を捕捉するデバイスを有することは利点があろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの実施形態では、走査システムは、一組のカメラ及び投影器を含む立体カメラセットを備える。各カメラは、CCDマトリックス配列と、ドットマトリックス参照システムに基づき歪みを補正された光学システムとを有する。投影器は、刻まれた絶対符号パターンを有するガラススライドと可変光源とを有する。走査システムは、対象物が3次元空間内に配置されたときに、対象物の表面の不規則性を検出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
さて図1を参照して、本発明に係る走査システムは、カメラ12,14のような一組の光学デバイスと、プロジェクタのような、またはこれに類似する、照明装置16とを含み、通常10で示す立体カメラセットを有する。立体カメラセット10のカメラ12,14と投影器16とは、フレーム17に装着または取付される得る。好ましくは、カメラ12,14は、当該分野でよく知られたタイプの荷電結合デバイス(CCD)のマトリックス配列を有するカメラである。また、本発明は、カメラのタイプにより限定されず、本発明は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術等を用いたカメラのような、任意の所望のタイプのカメラにより実行可能である。
【0012】
CCDマトリックス配列を用いた理想的なカメラは、例えば、歪みのない光学システム(例えばレンズ)と、図2の白いドットにより示すように、マトリックスドット20のドットマトリックス参照システム18を「見る」かまたは検出するであろう完全に配列されたCCDマトリックス配列とを有する。しかし、現実には、カメラ12,14は、光学システムの所定の歪みとCCDマトリクッス配列の配列欠損を有し、そのため、図2の暗いドットにより示すように、マトリックスドット20の歪められた位置を検出する。各カメラ12,14により検出された歪み量は、光学システムの不完全さとCCDマトリックス配列の欠損の程度に依存する。
【0013】
本発明の1つの観点は、各カメラ12,14における、光学システムの歪みとCCDマトリックス配列の配列欠損とを補正するために、較正手順を用いて、各カメラ12,14を較正することにより、各カメラ12,14の欠損と光学システムの歪みとを補正する方法である。較正手順の結果として、本発明の走査システムは、なお少しの歪みを含む可能性のある高価な高解像度のCCDマトリックスカメラではなく、任意の所望の相対的に安価な較正されたカメラを使用することができる。
【0014】
さて図3を参照して、各カメラ12,14の較正は、非常に正確な座標配置装置24上の各カメラ12,14の視野22内のドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置を測定することにより実行される。詳細には、ドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置は、測定された座標を有する。そして、ドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置に対して測定された座標は、以下に説明するように、3次元空間で用いられる。各測定について、カメラ12,14の歪みは、当該分野でよく知られた三角測量と統計式を用いることにより数学的に完全に補正される。
【0015】
上記の較正手順を用いることにより、カメラ12,14のCCDマトリックス配列の各画素は、配列誤差について補正され、そしてシステム欠損が補正される。結果的に、本発明は、カメラのタイプにより限定されず、本発明は、カメラの解像度の程度とは関係なく、任意の所望のカメラを使用することにより実行可能である。もちろん、より高い解像度を有するカメラは、使用可能であり、結果的にカメラは上述した較正プロセスによりほとんど補正されないこととなるであろう。本発明の走査システムを有する使用される各カメラは、結果的に、同じ較正手順を用いて補正されて較正される。
【0016】
今度は図4及び図5を参照して、一旦カメラ12,14が、配列誤差と各カメラ12,14のCCDマトリックス配列の光学システム欠損とについて較正されると、カメラ12,14(立体カメラ)を有する立体カメラセット10は、互いに向けて配置され、3次元空間26内で較正される。通常70で示す較正装置は、配列パッド74に装着された台72を有する。コード板76は、完全な円のコード板76を正確に回転することができる回転エンコーダ78に回転可能に結合されている。コード板76は、参照パターン28、例えば図6に示す参照パターン28を有する。また、較正装置70は、z方向または垂直方向の立体カメラセット10の正確な直線動作をすることができる線形エンコーダ80を有する。1以上の案内部材82が、z方向の立体カメラセット10の正確な直線動作を補助するために含まれてもよい。
【0017】
較正測定は、立体カメラセット10によって、z方向の選択された高さにおける参照パターン28を検出することにより行われる。立体カメラセット10内の投影の相互作用は、図5に示すような、仮想的参照面84を決定するために、当該分野でよく知られた三角測量関数を用いて計算される。さらに、当該分野でよく知られた統計手法により、その結果は、精密にされて評価される。統計手法は、対象物40の測定を実行するために必要とされる時間量を大きく減少させる、大きなデータ減少効果を有し、従って測定速度を増加させる。
【0018】
各較正測定後、参照パターン28は、予め定められた増分、例えば5度、10度等で回転され、他の較正測定が行われる。このプロセスは、参照パターン28が完全に360度回転されるまで、繰り返される。そして、立体カメラセット10は、z方向に予め定められた量、例えば5mm、10mm、20mm等移動され、較正プロセスは、新たに選択された高さで繰り返される。一旦較正が完了すると、カメラ12,14は、z方向に予め定められた距離、例えば700mm等移動される。x方向及びy方向のカメラの視野により規定される領域、例えば300mm×450mmと、カメラがz方向に移動される距離、例えば700mmとは、3次元空間26の容積を規定する。較正プロセスは、3次元空間26の任意の所望の寸法に対して実行可能であるので、本発明は、3次元空間26の寸法により限定されないが、x方向、y方向及びz方向の較正の範囲に依存する任意の所望の寸法であり得る。
【0019】
一旦すべての測定が行われると、立体カメラセット10の全体の精度を保証するため、測定からのデータは、機械的及び温度の影響のデータが計算されるルックアップテーブル形式で配置される。また、ルックアップテーブルの使用は、誤差の拡大、システム誤差、及び非システム誤差が、走査測定全体を通じて回避されることを確実にする。立体カメラセット10の較正後、立体カメラセット10は、40μより高い精度を有するように検証される。改良された光学(レンズ)と共により大きいCCDマトリックス配列を有するカメラを使用して、精度は、非常に大きく増加され得る。
【0020】
さて図7を参照して、立体カメラセット10で用いられる投影器16は、光学システム30(すなわち、レンズ等)と、例えばガラススライド上に刻まれた絶対符号パターン32とを有する。1つの絶対符号パターン32は、例えば図8に示す縞パターン34を有してもよい。代替的な絶対符号パターン32は、例えば図9に示す円形パターン36を有してもよい。その他の絶対符号パターンが、本発明により考えられることは認識されるであろう。1のみのカメラセット10が3次元測定を実行するのに必要とされるので、円形パターン36は、縞パターン34よりさらに望ましい可能性があり、縞パターン34を用いる場合には、そうではなく2つのカメラセット10(x方向に縞パターン34を投影する一の立体カメラセット10とy方向に縞パターン34を投影する他の立体カメラセット10)が必要とされる。
【0021】
図7に戻って参照して、投影器16は、また、赤外、可視または紫外周波数で電磁気エネルギーを放射可能な光源38を有する。電磁気エネルギーの強度は、光源により変更可能である。電磁気エネルギーが放射されるスペクトル(赤外、可視または紫外)は、測定されるべき対象物の表面特性に依存する。x線のような電磁気エネルギーの他の周波数も、本発明により考えられることが想像される。
【0022】
光源38の目的は、対象物40の表面に検出可能な光学参照構造を提供するために、測定されるべき対象物40の任意の所与の表面に絶対符号パターン32を投影することである。絶対符号パターンを投影することは、対象物40の表面の「定量」条件、及び/又は、「定性」条件のような、対象物40の表面の不規則性の数理的な測定を可能にする。対象物40の定性条件は、例えば、凹み、表面の不完全さ、変形等を含む。対象物40の定量条件は、例えば、対象物(同一平面の)の2つの部分の間の相対的高さ、隙間、孔の直径等を含む。
【0023】
立体カメラセット10が、対象物40の表面の不規則性を走査して測定する前に、対象物40の表面特性が検出され、対象物40の表面特性と直接関係する好適な照明のための調整に使用される。例えば、光源の周波数は、色や反射率等のような、対象物40の表面の光学特性に応じて、変更可能である。クロムや研磨された金属等のような反射性表面、黒や赤等のような異なる色は、走査することが難しいので、投影器16は、対象物40の表面条件に応じて、選択された周波数で電磁気エネルギーを放射することができる。例えば、投影器16は、灰色の表面ではない赤色の表面、または高い反射性表面について、異なる周波数で電磁気エネルギーを放射可能である。選択された周波数で電磁気エネルギーを放射することにより、反射のような望まれない結果、過剰照射及び/又はその他の表面測定に関する問題が回避される。光周波数の使用とともに、偏光フィルタ(不図示)が、測定されるべき対象物の反射性に応じて、使用可能である。
【0024】
例えば、光源38は、緑、青及び赤からなる色の3つ(またはそれ以上)基本光源を有することができる。検出された表面の色及び環境、例えば反射性に基づいて、放射される光の色の周波数は、対象物適合照明に向けて混合される緑、青及び赤の基本色を用いて、調整及び/又は混合可能である。光周波数帯全体が利用されるとともに、紫外光を含む光周波数帯が使用されるであろう。
【0025】
光源38の周波数は、カラーフィルタ(不図示)に使用により、変更可能である。さらに、光源38から放射される電磁気エネルギーの強度と光源38から放射される電磁気エネルギーのタイミングとは変更可能である。例えば、光源38は、ストロボ光等におけるように、予め定められた時間間隔で電磁気エネルギーを放射することができる。立体カメラセット10を用いた3次元測定を実行するために、x方向及びy方向に絶対符号パターン32を移動させることが必要となり得る。パターン32は、絶対的に符号化されているので、絶対符号パターン32の移動は、ステップモータ及びカム等の正確な機械制御機構を用いて実行されるべきである。
【0026】
カメラ12,14の組と投影器16とを有する立体カメラセット10は、視野26を含み、視野26が確定される大きさで対象物40の表面を走査するために使用される。カメラ12,14が以前にいかなる歪みも補正するために較正されており、投影器16が特別の特徴を有するので、立体カメラセット10は、±50マイクロmmより高いファクタまで非常に正確に対象物40の定性及び定量表面条件を測定することができる。検査は、円形の絶対符号パターン38が、縞パターン36と比較して、全体の精度を増加させることを確認した。CCDカメラではない、CMOSカメラの使用は、立体カメラセットの精度を略±5マイクロmmに増加させる。
【0027】
本発明の1つの観点では、図10に示すように、3次元空間26の大きな表面の走査を可能にする固定走査マトリックス42を形成するために、走査システムは、複数の立体カメラセット10,例えば9つの立体カメラセット10を有することができる。このため、立体カメラセット10それぞれは、測定されるべき対象物40の結果を満たすように、異なる配置で配列される。走査マトリックス42は、限定されない数の各立体カメラセット10を有してもよく、測定されるべき対象物の寸法により限定されるだけである。
【0028】
本発明の他の実施形態では、図11に示すように、自動車のような対象物40の不規則性の検出を可能にする移動可能な走査マトリックス44を形成するために、走査システムは、複数の立体カメラセット10を有することができる。図解された実施形態では、移動可能な走査マトリックス44は、3つの別体の走査マトリックス44a,44b,44cを含む。走査マトリックス44a,44bは、矢印46,48によりそれぞれ示されるように、対象物40のそれぞれの側の水平方向の直線往復移動が可能である。走査マトリックス44cは、矢印50により示される垂直方向(z方向)の直線往復移動と、矢印52により示される回転移動とが可能である。
【0029】
上述したように各立体カメラセット10を較正した後、1以上の立体カメラセット10の走査マトリックス42,44は、図12に示すように、マトリックス42,44のすべての関係する個々の立体カメラセット10を組み合わせて較正される。概略1500mm×1500mmの走査マトリックスを形成するために、例えば24の立体カメラセット10用の較正ユニット90が、結合可能である。較正は、上記図4乃至6で説明したように、個々の立体カメラセット10と類似して実行される。較正は、回転エンコーダ94を用いて360°回転するが、1500mm×1500mm×700mmの走査領域を含むように、z方向には移動せず、概略1000mmの長さを有する回転コード板92を再度使用する。
【0030】
走査測定を実行する場合には、現在利用可能な技術(例えばフレーム捕捉(frame grabber))を用いて計算されるべきデータ量は、必要な計算出力に非常に大きくて高い影響を有する。したがって、従来の走査システムによる映像認識を用いた多数の並列処理量は、非常に時間を要する。
【0031】
さて図13を参照して、速度とデータ処理に関する限り、走査マトリックス42,44の任意の数のカメラ12,14を効率的に補正するために、データ処理とインターフェースのための階層装置60が、本発明により実現される。本発明では、階層装置60は、限定されない量のカメラ(統合されたカメラセット10)からのデータの処理を可能にする。各カメラ12,14の対象物認識用に「演算処理される」または処理されることを必要とするすべてのデータが、ゲートアレイ62で計算されることを確実にする関数原理に、階層装置60は基づく。計算結果と、パーソナルコンピュータ64(PC)のインターフェース動作に必要とされる必要なデータ量、すなわち表示スクリーン上に対象物を表示すること、のみがデジタル信号プロセッサ(DSP)66を介して、PC64の入出力(I/O)インターフェースに送信されることを確実にするように、ゲートアレイ62は、プログラムされる。カメラ12,14による対象物認識の計算に実質的に必要なその他のすべてのデータは、ゲートアレイ62での計算が完了した後、無視されることになる。そのため、無視されたデータは、PC64のI/Oインターフェースに送信されない。結果的に、送信されるべきデータ量の簡素化効果が実現され、これによりPC64の必要な計算特性を減少させて最小限にし、従って動作時間を減少させ、走査システムが非常に短い時間で対象物40の不規則性を非常に正確に検出することを可能にする。また、送信されるべきデータ量の簡素化効果は、対象物40の大きな表面を測定するための全体の動作時間を減少させる。
【0032】
プログラムされたゲートアレイがデータを予備処理するので、DSP66は、例えば演算するだけである。むしろ、DSP66の目的は、システムバスとして機能し、ゲートアレイ62からのデータをPC64のI/Oに送信する際、いかなる調時問題も存在しないことを確実にすることである。対象物40の物理特性に応じて、1以上の走査マトリックス44a,44b,44cの所望の数の立体カメラセット10を選択することにより、データ量も減少可能であることが認識されるであろう。例えば、小さい対象物が測定されるべき場合には、本発明の走査システムは、十分な量のデータを供給して対象物40の測定を可能にする1以上の走査マトリックス44a,44b,44c用に数個の立体カメラセット10のみを選択することが可能である。他方、大きな対象物が測定されるべき場合には、走査システムは、対象物40を測定する多数の立体カメラセット10を選択することができる。
【0033】
本発明は、ある特定の実施形態に関して詳細に説明されてきた一方、これは、図解のためであり、限定のためではなく、添付のクレームの範囲は、従来技術が許容するであろうと同程度に幅広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る立体カメラセットを有する走査システムの平面図を示す。
【図2】補正されていないマトリックスドットと較正プロセス後の補正されたマトリックスドットを表示するCCDマトリックスを有する立体カメラセットで使用されるカメラの2次元ドットマトリックス配列を示す。
【図3】本発明の立体カメラセットの各カメラを較正するために用いられる較正装置の透視図を示す。
【図4】3次元空間を規定する本発明の立体カメラセットを較正するために用いられる較正装置の立面図を示す。
【図5】図4の較正装置を用いた本発明の立体カメラセットの較正時の三角測量法の平面図を示す。
【図6】本発明の立体カメラセットの較正時の各選択された高さにおいて完全な円で回転される参照パターンの平面図を示す。
【図7】本発明の立体カメラセットで用いられる投影器の模式図を示す。
【図8】本発明の概念に対応して投影器により測定されるべき対象物の表面に投影された絶対符号縞パターンの平面図を示す。
【図9】本発明の概念に対応して投影器により測定されるべき対象物の表面に投影された絶対符号円形パターンの平面図を示す。
【図10】本発明の実施形態に係る複数の立体カメラセットを有する固定走査マトリックスシステムの透視図を示す。
【図11】本発明の実施形態に係る複数の立体カメラセットを有する移動可能な走査マトリックスシステムの透視図を示す。
【図12】本発明に係る走査マトリックスシステムを較正するために用いられる較正装置の立面図を示す。
【図13】本発明の立体カメラセットの各カメラからのデータを処理するための階層装置のブロック図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、表面検査システムに関し、より詳細には、1以上の立体カメラセットを用いることにより、高精度で対象物の不規則性を検出するための高速走査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非常に大量の光学情報を捕捉する相当の能力を有する人間の目でも、高度に正確な公差を必要とする部品の品質管理のために十分な精度と正確さとを有する測定をすることは不可能である。適切な測定を実行できないと、広範囲の問題が生じる可能性がある。例えば、自動車エンジンの部品の寸法公差を維持できないと、結果的に、減少されたシステム寿命から通常の条件外での破壊確率の増加にわたる範囲の問題につながる。製造設備での後のシステム検査が寸法公差に合致しないことから発生する問題を検出可能な場合でも、欠陥のあるシステムのために容認できない高い不合格率となる可能性がある。
【0003】
さらに、人間の目が、必要とされる検査を実行できるときでも、疲労、照明、注意散漫等の要因が、人による検査を信頼できなくする。
【0004】
今時、人による光学検査が採用される用途を最小限にする試みにおいて、疲労や注意散漫や他の要因により発生する偶発的な予測できない問題を避けるために、産業界は、コンピュータ化された検査システムの実行に向けて大きく変化した。しかし、そのようなシステムでは、光学検査装置の解像度が、人間の目の解像度より非常に低い。
【0005】
現在、多数の電子画像カメラは、2次元配列の光感知要素、場合によっては、光検出器として荷電結合デバイス(CCD)として知られたタイプの光感知要素を使用する。これらのデバイスの目的は、光学画像をビデオ画像に変換することである。ビデオ画像に適した、多数の低価格のカラー、白黒配列CCD検出器があるが、前に示唆したように、それらは、低い品質の画像を生成する。より詳細には、CCD検出器及び他のビデオ画像デバイスは、相対的に低い画素数が欠点である。例えば、CCD光検出器配列は、概略2048×2048画素の解像度を有する画像品質を生成する能力を有する。しかし、これらの配列は、現時点では、非常に高価である。さらに、これらの非常に大きな配列は、非動作画素、非動作画素クラスタ、または非動作画素ラインのような欠陥を有する傾向がある。非常に高品質の画像が必要とされるときには、このタイプの電子画像システムは、非常に高価であるだけではない。そのようなシステムは、高品質、高精度の測定を実行することができないことさえあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一列の光検出器の費用は、それらが非常に少ない画素を有し、そのため対応して非常に高い生産量を有するので、配列検出器より非常に少ない。しかし、明らかに、一列の光検出器は、それらが有する光感知デバイスの単一ラインを用いて、任意の所与の時点の画像の1ラインの情報のみを撮像することができる。したがって、そのために、一列の光検出器は、ラインごとに、全体画像を走査しなければならない。
【0007】
同様のことが、カメラの撮像面を横切って一列の光検出器を移動させるための機械的走査部品を用いることにより達成される。通常、このタイプのシステムは、1)機械的走査部品の定常の状態の動作の精度に依存し、2)走査初期における同一の中間の過渡直進動作を仮定し、3)直進動作が、時間に対して一様であることを仮定する、ことにより画像データを取得した。そのようなシステムは、商業写真用の高品質のデジタル画像を作成するのに適している一方で、高精度の測定を実行するのに用いるには不適当である。
【0008】
さらに詳細には、走査部品の機械的不規則性が、高精度の画像情報の生成を不可能にし、従って、そのようなシステムにより捕捉された画像データを、精密製造環境での寸法公差を保証する目的に適するようにみせかける。
【0009】
したがって、そのような部品の特徴から正確な測定がされ得るのに十分な精度で、部品の単一の画像を捕捉するデバイスを有することは利点があろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの実施形態では、走査システムは、一組のカメラ及び投影器を含む立体カメラセットを備える。各カメラは、CCDマトリックス配列と、ドットマトリックス参照システムに基づき歪みを補正された光学システムとを有する。投影器は、刻まれた絶対符号パターンを有するガラススライドと可変光源とを有する。走査システムは、対象物が3次元空間内に配置されたときに、対象物の表面の不規則性を検出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
さて図1を参照して、本発明に係る走査システムは、カメラ12,14のような一組の光学デバイスと、プロジェクタのような、またはこれに類似する、照明装置16とを含み、通常10で示す立体カメラセットを有する。立体カメラセット10のカメラ12,14と投影器16とは、フレーム17に装着または取付される得る。好ましくは、カメラ12,14は、当該分野でよく知られたタイプの荷電結合デバイス(CCD)のマトリックス配列を有するカメラである。また、本発明は、カメラのタイプにより限定されず、本発明は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術等を用いたカメラのような、任意の所望のタイプのカメラにより実行可能である。
【0012】
CCDマトリックス配列を用いた理想的なカメラは、例えば、歪みのない光学システム(例えばレンズ)と、図2の白いドットにより示すように、マトリックスドット20のドットマトリックス参照システム18を「見る」かまたは検出するであろう完全に配列されたCCDマトリックス配列とを有する。しかし、現実には、カメラ12,14は、光学システムの所定の歪みとCCDマトリクッス配列の配列欠損を有し、そのため、図2の暗いドットにより示すように、マトリックスドット20の歪められた位置を検出する。各カメラ12,14により検出された歪み量は、光学システムの不完全さとCCDマトリックス配列の欠損の程度に依存する。
【0013】
本発明の1つの観点は、各カメラ12,14における、光学システムの歪みとCCDマトリックス配列の配列欠損とを補正するために、較正手順を用いて、各カメラ12,14を較正することにより、各カメラ12,14の欠損と光学システムの歪みとを補正する方法である。較正手順の結果として、本発明の走査システムは、なお少しの歪みを含む可能性のある高価な高解像度のCCDマトリックスカメラではなく、任意の所望の相対的に安価な較正されたカメラを使用することができる。
【0014】
さて図3を参照して、各カメラ12,14の較正は、非常に正確な座標配置装置24上の各カメラ12,14の視野22内のドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置を測定することにより実行される。詳細には、ドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置は、測定された座標を有する。そして、ドットマトリックス参照システム18の各ドット20の位置に対して測定された座標は、以下に説明するように、3次元空間で用いられる。各測定について、カメラ12,14の歪みは、当該分野でよく知られた三角測量と統計式を用いることにより数学的に完全に補正される。
【0015】
上記の較正手順を用いることにより、カメラ12,14のCCDマトリックス配列の各画素は、配列誤差について補正され、そしてシステム欠損が補正される。結果的に、本発明は、カメラのタイプにより限定されず、本発明は、カメラの解像度の程度とは関係なく、任意の所望のカメラを使用することにより実行可能である。もちろん、より高い解像度を有するカメラは、使用可能であり、結果的にカメラは上述した較正プロセスによりほとんど補正されないこととなるであろう。本発明の走査システムを有する使用される各カメラは、結果的に、同じ較正手順を用いて補正されて較正される。
【0016】
今度は図4及び図5を参照して、一旦カメラ12,14が、配列誤差と各カメラ12,14のCCDマトリックス配列の光学システム欠損とについて較正されると、カメラ12,14(立体カメラ)を有する立体カメラセット10は、互いに向けて配置され、3次元空間26内で較正される。通常70で示す較正装置は、配列パッド74に装着された台72を有する。コード板76は、完全な円のコード板76を正確に回転することができる回転エンコーダ78に回転可能に結合されている。コード板76は、参照パターン28、例えば図6に示す参照パターン28を有する。また、較正装置70は、z方向または垂直方向の立体カメラセット10の正確な直線動作をすることができる線形エンコーダ80を有する。1以上の案内部材82が、z方向の立体カメラセット10の正確な直線動作を補助するために含まれてもよい。
【0017】
較正測定は、立体カメラセット10によって、z方向の選択された高さにおける参照パターン28を検出することにより行われる。立体カメラセット10内の投影の相互作用は、図5に示すような、仮想的参照面84を決定するために、当該分野でよく知られた三角測量関数を用いて計算される。さらに、当該分野でよく知られた統計手法により、その結果は、精密にされて評価される。統計手法は、対象物40の測定を実行するために必要とされる時間量を大きく減少させる、大きなデータ減少効果を有し、従って測定速度を増加させる。
【0018】
各較正測定後、参照パターン28は、予め定められた増分、例えば5度、10度等で回転され、他の較正測定が行われる。このプロセスは、参照パターン28が完全に360度回転されるまで、繰り返される。そして、立体カメラセット10は、z方向に予め定められた量、例えば5mm、10mm、20mm等移動され、較正プロセスは、新たに選択された高さで繰り返される。一旦較正が完了すると、カメラ12,14は、z方向に予め定められた距離、例えば700mm等移動される。x方向及びy方向のカメラの視野により規定される領域、例えば300mm×450mmと、カメラがz方向に移動される距離、例えば700mmとは、3次元空間26の容積を規定する。較正プロセスは、3次元空間26の任意の所望の寸法に対して実行可能であるので、本発明は、3次元空間26の寸法により限定されないが、x方向、y方向及びz方向の較正の範囲に依存する任意の所望の寸法であり得る。
【0019】
一旦すべての測定が行われると、立体カメラセット10の全体の精度を保証するため、測定からのデータは、機械的及び温度の影響のデータが計算されるルックアップテーブル形式で配置される。また、ルックアップテーブルの使用は、誤差の拡大、システム誤差、及び非システム誤差が、走査測定全体を通じて回避されることを確実にする。立体カメラセット10の較正後、立体カメラセット10は、40μより高い精度を有するように検証される。改良された光学(レンズ)と共により大きいCCDマトリックス配列を有するカメラを使用して、精度は、非常に大きく増加され得る。
【0020】
さて図7を参照して、立体カメラセット10で用いられる投影器16は、光学システム30(すなわち、レンズ等)と、例えばガラススライド上に刻まれた絶対符号パターン32とを有する。1つの絶対符号パターン32は、例えば図8に示す縞パターン34を有してもよい。代替的な絶対符号パターン32は、例えば図9に示す円形パターン36を有してもよい。その他の絶対符号パターンが、本発明により考えられることは認識されるであろう。1のみのカメラセット10が3次元測定を実行するのに必要とされるので、円形パターン36は、縞パターン34よりさらに望ましい可能性があり、縞パターン34を用いる場合には、そうではなく2つのカメラセット10(x方向に縞パターン34を投影する一の立体カメラセット10とy方向に縞パターン34を投影する他の立体カメラセット10)が必要とされる。
【0021】
図7に戻って参照して、投影器16は、また、赤外、可視または紫外周波数で電磁気エネルギーを放射可能な光源38を有する。電磁気エネルギーの強度は、光源により変更可能である。電磁気エネルギーが放射されるスペクトル(赤外、可視または紫外)は、測定されるべき対象物の表面特性に依存する。x線のような電磁気エネルギーの他の周波数も、本発明により考えられることが想像される。
【0022】
光源38の目的は、対象物40の表面に検出可能な光学参照構造を提供するために、測定されるべき対象物40の任意の所与の表面に絶対符号パターン32を投影することである。絶対符号パターンを投影することは、対象物40の表面の「定量」条件、及び/又は、「定性」条件のような、対象物40の表面の不規則性の数理的な測定を可能にする。対象物40の定性条件は、例えば、凹み、表面の不完全さ、変形等を含む。対象物40の定量条件は、例えば、対象物(同一平面の)の2つの部分の間の相対的高さ、隙間、孔の直径等を含む。
【0023】
立体カメラセット10が、対象物40の表面の不規則性を走査して測定する前に、対象物40の表面特性が検出され、対象物40の表面特性と直接関係する好適な照明のための調整に使用される。例えば、光源の周波数は、色や反射率等のような、対象物40の表面の光学特性に応じて、変更可能である。クロムや研磨された金属等のような反射性表面、黒や赤等のような異なる色は、走査することが難しいので、投影器16は、対象物40の表面条件に応じて、選択された周波数で電磁気エネルギーを放射することができる。例えば、投影器16は、灰色の表面ではない赤色の表面、または高い反射性表面について、異なる周波数で電磁気エネルギーを放射可能である。選択された周波数で電磁気エネルギーを放射することにより、反射のような望まれない結果、過剰照射及び/又はその他の表面測定に関する問題が回避される。光周波数の使用とともに、偏光フィルタ(不図示)が、測定されるべき対象物の反射性に応じて、使用可能である。
【0024】
例えば、光源38は、緑、青及び赤からなる色の3つ(またはそれ以上)基本光源を有することができる。検出された表面の色及び環境、例えば反射性に基づいて、放射される光の色の周波数は、対象物適合照明に向けて混合される緑、青及び赤の基本色を用いて、調整及び/又は混合可能である。光周波数帯全体が利用されるとともに、紫外光を含む光周波数帯が使用されるであろう。
【0025】
光源38の周波数は、カラーフィルタ(不図示)に使用により、変更可能である。さらに、光源38から放射される電磁気エネルギーの強度と光源38から放射される電磁気エネルギーのタイミングとは変更可能である。例えば、光源38は、ストロボ光等におけるように、予め定められた時間間隔で電磁気エネルギーを放射することができる。立体カメラセット10を用いた3次元測定を実行するために、x方向及びy方向に絶対符号パターン32を移動させることが必要となり得る。パターン32は、絶対的に符号化されているので、絶対符号パターン32の移動は、ステップモータ及びカム等の正確な機械制御機構を用いて実行されるべきである。
【0026】
カメラ12,14の組と投影器16とを有する立体カメラセット10は、視野26を含み、視野26が確定される大きさで対象物40の表面を走査するために使用される。カメラ12,14が以前にいかなる歪みも補正するために較正されており、投影器16が特別の特徴を有するので、立体カメラセット10は、±50マイクロmmより高いファクタまで非常に正確に対象物40の定性及び定量表面条件を測定することができる。検査は、円形の絶対符号パターン38が、縞パターン36と比較して、全体の精度を増加させることを確認した。CCDカメラではない、CMOSカメラの使用は、立体カメラセットの精度を略±5マイクロmmに増加させる。
【0027】
本発明の1つの観点では、図10に示すように、3次元空間26の大きな表面の走査を可能にする固定走査マトリックス42を形成するために、走査システムは、複数の立体カメラセット10,例えば9つの立体カメラセット10を有することができる。このため、立体カメラセット10それぞれは、測定されるべき対象物40の結果を満たすように、異なる配置で配列される。走査マトリックス42は、限定されない数の各立体カメラセット10を有してもよく、測定されるべき対象物の寸法により限定されるだけである。
【0028】
本発明の他の実施形態では、図11に示すように、自動車のような対象物40の不規則性の検出を可能にする移動可能な走査マトリックス44を形成するために、走査システムは、複数の立体カメラセット10を有することができる。図解された実施形態では、移動可能な走査マトリックス44は、3つの別体の走査マトリックス44a,44b,44cを含む。走査マトリックス44a,44bは、矢印46,48によりそれぞれ示されるように、対象物40のそれぞれの側の水平方向の直線往復移動が可能である。走査マトリックス44cは、矢印50により示される垂直方向(z方向)の直線往復移動と、矢印52により示される回転移動とが可能である。
【0029】
上述したように各立体カメラセット10を較正した後、1以上の立体カメラセット10の走査マトリックス42,44は、図12に示すように、マトリックス42,44のすべての関係する個々の立体カメラセット10を組み合わせて較正される。概略1500mm×1500mmの走査マトリックスを形成するために、例えば24の立体カメラセット10用の較正ユニット90が、結合可能である。較正は、上記図4乃至6で説明したように、個々の立体カメラセット10と類似して実行される。較正は、回転エンコーダ94を用いて360°回転するが、1500mm×1500mm×700mmの走査領域を含むように、z方向には移動せず、概略1000mmの長さを有する回転コード板92を再度使用する。
【0030】
走査測定を実行する場合には、現在利用可能な技術(例えばフレーム捕捉(frame grabber))を用いて計算されるべきデータ量は、必要な計算出力に非常に大きくて高い影響を有する。したがって、従来の走査システムによる映像認識を用いた多数の並列処理量は、非常に時間を要する。
【0031】
さて図13を参照して、速度とデータ処理に関する限り、走査マトリックス42,44の任意の数のカメラ12,14を効率的に補正するために、データ処理とインターフェースのための階層装置60が、本発明により実現される。本発明では、階層装置60は、限定されない量のカメラ(統合されたカメラセット10)からのデータの処理を可能にする。各カメラ12,14の対象物認識用に「演算処理される」または処理されることを必要とするすべてのデータが、ゲートアレイ62で計算されることを確実にする関数原理に、階層装置60は基づく。計算結果と、パーソナルコンピュータ64(PC)のインターフェース動作に必要とされる必要なデータ量、すなわち表示スクリーン上に対象物を表示すること、のみがデジタル信号プロセッサ(DSP)66を介して、PC64の入出力(I/O)インターフェースに送信されることを確実にするように、ゲートアレイ62は、プログラムされる。カメラ12,14による対象物認識の計算に実質的に必要なその他のすべてのデータは、ゲートアレイ62での計算が完了した後、無視されることになる。そのため、無視されたデータは、PC64のI/Oインターフェースに送信されない。結果的に、送信されるべきデータ量の簡素化効果が実現され、これによりPC64の必要な計算特性を減少させて最小限にし、従って動作時間を減少させ、走査システムが非常に短い時間で対象物40の不規則性を非常に正確に検出することを可能にする。また、送信されるべきデータ量の簡素化効果は、対象物40の大きな表面を測定するための全体の動作時間を減少させる。
【0032】
プログラムされたゲートアレイがデータを予備処理するので、DSP66は、例えば演算するだけである。むしろ、DSP66の目的は、システムバスとして機能し、ゲートアレイ62からのデータをPC64のI/Oに送信する際、いかなる調時問題も存在しないことを確実にすることである。対象物40の物理特性に応じて、1以上の走査マトリックス44a,44b,44cの所望の数の立体カメラセット10を選択することにより、データ量も減少可能であることが認識されるであろう。例えば、小さい対象物が測定されるべき場合には、本発明の走査システムは、十分な量のデータを供給して対象物40の測定を可能にする1以上の走査マトリックス44a,44b,44c用に数個の立体カメラセット10のみを選択することが可能である。他方、大きな対象物が測定されるべき場合には、走査システムは、対象物40を測定する多数の立体カメラセット10を選択することができる。
【0033】
本発明は、ある特定の実施形態に関して詳細に説明されてきた一方、これは、図解のためであり、限定のためではなく、添付のクレームの範囲は、従来技術が許容するであろうと同程度に幅広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る立体カメラセットを有する走査システムの平面図を示す。
【図2】補正されていないマトリックスドットと較正プロセス後の補正されたマトリックスドットを表示するCCDマトリックスを有する立体カメラセットで使用されるカメラの2次元ドットマトリックス配列を示す。
【図3】本発明の立体カメラセットの各カメラを較正するために用いられる較正装置の透視図を示す。
【図4】3次元空間を規定する本発明の立体カメラセットを較正するために用いられる較正装置の立面図を示す。
【図5】図4の較正装置を用いた本発明の立体カメラセットの較正時の三角測量法の平面図を示す。
【図6】本発明の立体カメラセットの較正時の各選択された高さにおいて完全な円で回転される参照パターンの平面図を示す。
【図7】本発明の立体カメラセットで用いられる投影器の模式図を示す。
【図8】本発明の概念に対応して投影器により測定されるべき対象物の表面に投影された絶対符号縞パターンの平面図を示す。
【図9】本発明の概念に対応して投影器により測定されるべき対象物の表面に投影された絶対符号円形パターンの平面図を示す。
【図10】本発明の実施形態に係る複数の立体カメラセットを有する固定走査マトリックスシステムの透視図を示す。
【図11】本発明の実施形態に係る複数の立体カメラセットを有する移動可能な走査マトリックスシステムの透視図を示す。
【図12】本発明に係る走査マトリックスシステムを較正するために用いられる較正装置の立面図を示す。
【図13】本発明の立体カメラセットの各カメラからのデータを処理するための階層装置のブロック図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがCCDマトリックス配列(18)及び、ドットマトリックス参照システムに基づき歪みを補正された光学システム(15)を有する一組のカメラ(12,14)と、絶対符号パターン(32)及び光源(38)を有する投影器(16)とを有する立体カメラセット(10)を備え、
該走査システムは、3次元空間(26)内に対象物が配置されたとき、該対象物(40)の表面の不規則性を測定する、走査システム。
【請求項2】
前記3次元空間(26)の前記対象物(40)の表面を走査する走査マトリックス(42,44)に配置された複数のカメラセット(10)をさらに備える、請求項1に記載の走査システム。
【請求項3】
各カメラ(12,14)は、ルックアップテーブルの使用により数理的に補正されている、請求項1に記載の走査システム。
【請求項4】
前記投影器(16)の前記光源(38)は、3つの異なる周波数で前記対象物(40)の表面に電磁気エネルギーを放射可能であり、前記光源(38)は、電磁気エネルギーの前記3つの周波数のそれぞれの強度を変更可能である、請求項1に記載の走査システム。
【請求項5】
電磁気エネルギーの前記強度は、前記対象物(40)の表面特性の関数である、請求項4に記載の走査システム。
【請求項6】
前記投影器(16)は、第1の方向と第2の方向の両方に絶対符号パターン(42,44)を投射する、請求項4に記載の走査システム。
【請求項7】
前記電磁気エネルギーは、可視光の形態である、請求項4に記載の走査システム。
【請求項8】
前記電磁気エネルギーの前記周波数と強度は、時間の関数として変化する、請求項4に記載の走査システム。
【請求項9】
階層装置(60)を使用して、立体カメラセット(10)による対象物(40)の表面の走査からのデータ配列を処理し、前記階層装置では前記立体カメラセット(10)のカメラ(12,14)に接続されたゲートアレイ(62)が、前記データ配列からのどのデータが前記対象物(40)の認識に必要か、及び前記データ配列からのどのデータがコンピュータインターフェース動作に必要かを判断し、
コンピュータインターフェース動作に必要なデータのみをデジタル信号プロセッサ(66)を介してコンピュータ(64)に送信し、
コンピュータインターフェース動作に必要な前記データを前記コンピュータ(64)に表示する、
ステップを備える走査システムのデータ処理方法。
【請求項10】
前記対象物(40)の測定からの前記データ配列は、並列演算により処理される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象物(40)を測定する前に、前記立体カメラセット(10)を較正するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
立体カメラセット(10)は、参照マトリックスパターンを回転することにより較正されるとともに、前記立体カメラセット(10)は、選択された高さに配置されて異なる選択された高さで前記較正を繰り返し、これにより3次元空間(26)を規定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の立体カメラセット(10)を3次元空間(26)の前記対象物(40)の表面を走査する走査マトリックス(42,44)に配置するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対象物(40)の表面を走査する前に、前記走査マトリックスを較正するステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象物(40)の表面を走査する前に、前記立体カメラセット(10)の各カメラ(12,14)を較正するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項1】
それぞれがCCDマトリックス配列(18)及び、ドットマトリックス参照システムに基づき歪みを補正された光学システム(15)を有する一組のカメラ(12,14)と、絶対符号パターン(32)及び光源(38)を有する投影器(16)とを有する立体カメラセット(10)を備え、
該走査システムは、3次元空間(26)内に対象物が配置されたとき、該対象物(40)の表面の不規則性を測定する、走査システム。
【請求項2】
前記3次元空間(26)の前記対象物(40)の表面を走査する走査マトリックス(42,44)に配置された複数のカメラセット(10)をさらに備える、請求項1に記載の走査システム。
【請求項3】
各カメラ(12,14)は、ルックアップテーブルの使用により数理的に補正されている、請求項1に記載の走査システム。
【請求項4】
前記投影器(16)の前記光源(38)は、3つの異なる周波数で前記対象物(40)の表面に電磁気エネルギーを放射可能であり、前記光源(38)は、電磁気エネルギーの前記3つの周波数のそれぞれの強度を変更可能である、請求項1に記載の走査システム。
【請求項5】
電磁気エネルギーの前記強度は、前記対象物(40)の表面特性の関数である、請求項4に記載の走査システム。
【請求項6】
前記投影器(16)は、第1の方向と第2の方向の両方に絶対符号パターン(42,44)を投射する、請求項4に記載の走査システム。
【請求項7】
前記電磁気エネルギーは、可視光の形態である、請求項4に記載の走査システム。
【請求項8】
前記電磁気エネルギーの前記周波数と強度は、時間の関数として変化する、請求項4に記載の走査システム。
【請求項9】
階層装置(60)を使用して、立体カメラセット(10)による対象物(40)の表面の走査からのデータ配列を処理し、前記階層装置では前記立体カメラセット(10)のカメラ(12,14)に接続されたゲートアレイ(62)が、前記データ配列からのどのデータが前記対象物(40)の認識に必要か、及び前記データ配列からのどのデータがコンピュータインターフェース動作に必要かを判断し、
コンピュータインターフェース動作に必要なデータのみをデジタル信号プロセッサ(66)を介してコンピュータ(64)に送信し、
コンピュータインターフェース動作に必要な前記データを前記コンピュータ(64)に表示する、
ステップを備える走査システムのデータ処理方法。
【請求項10】
前記対象物(40)の測定からの前記データ配列は、並列演算により処理される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象物(40)を測定する前に、前記立体カメラセット(10)を較正するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
立体カメラセット(10)は、参照マトリックスパターンを回転することにより較正されるとともに、前記立体カメラセット(10)は、選択された高さに配置されて異なる選択された高さで前記較正を繰り返し、これにより3次元空間(26)を規定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の立体カメラセット(10)を3次元空間(26)の前記対象物(40)の表面を走査する走査マトリックス(42,44)に配置するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対象物(40)の表面を走査する前に、前記走査マトリックスを較正するステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象物(40)の表面を走査する前に、前記立体カメラセット(10)の各カメラ(12,14)を較正するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−524808(P2007−524808A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506964(P2006−506964)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007088
【国際公開番号】WO2004/081488
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505335773)インターナショナル インダストリー サポート、インク (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/007088
【国際公開番号】WO2004/081488
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505335773)インターナショナル インダストリー サポート、インク (1)
【Fターム(参考)】
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