説明

経路案内装置

【課題】選択するリンクの組み合わせに応じてリンク又はノードの通過コストを変化させながら最適経路を選択する経路案内装置を提供すること。
【解決手段】道路上の一地点を表すノードとノード間を接続するリンクであって経路選択の基準となる通過コストを属性として有するリンクとから構成される地図情報に基づいて現在地と目的地との間の経路を案内する経路案内装置100は、所定ノードに進入する進入リンクと該所定ノードから退出する退出リンクとの組み合わせに応じて進入リンク及び退出リンクを含む経路の通過コストを変化させる通過コスト制御手段11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上の一地点を表すノードとノード間を接続するリンクであって経路選択の基準となる通過コストを属性として有するリンクとから構成される地図情報に基づいて現在地と目的地との間の経路を案内する経路案内装置に関し、特に、選択するリンクの組み合わせに応じてリンク又はノードの通過コストを変化させながら最適経路を選択する経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リンクに付与された評価値を用いて出発地から目的地への目的地経路を設定し、設定した目的地迄の経路に従って走行案内を行う車輌用走行案内装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車輌用走行案内装置は、目的地迄の経路に含まれる所定リンクの評価値を低下させることで、目的地迄の経路を再探索した場合にその所定リンクが目的地迄の新しい経路に含まれ難くなるようにして迂回路を案内できるようにする。
【0004】
また、車輌用走行案内装置は、サービスエリア又はパーキングエリアを経由するリンクの評価値を低下させることにより、そのリンクを含む迂回路が設定されてしまうことがないようにする。
【特許文献1】特許第3384172号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車輌用走行案内装置は、サービスエリア又はパーキングエリアを経由するリンクの評価値を低下させるので、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されたスマートインターチェンジを経由する経路を最適経路に含め難くなるという問題がある。
【0006】
上述の問題点に鑑み、本発明は、選択するリンクの組み合わせに応じてリンク又はノードの通過コストを変化させながら最適経路を選択する経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る経路案内装置は、道路上の一地点を表すノードとノード間を接続するリンクであって経路選択の基準となる通過コストを属性として有するリンクとから構成される地図情報に基づいて現在地と目的地との間の経路を選択する経路案内装置であって、所定ノードに進入する進入リンクと該所定ノードから退出する退出リンクとの組み合わせに応じて前記進入リンク及び前記退出リンクを含む経路の通過コストを変化させる通過コスト制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明に係る経路案内装置であって、前記通過コスト制御手段は、前記進入リンクと前記退出リンクとの組み合わせに応じてノード又はリンクの通過コストを変化させることを特徴とする。
【0009】
また、第三の発明は、第二の発明に係る経路案内装置であって、前記通過コスト制御手段は、スマートインターチェンジを有するサービスエリア又はパーキングエリアを通過コスト可変ノードとして設定し、高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合における通過コストが、前記高速道路本線を逸脱することなく進行する場合における通過コストより高くなるよう、前記通過コスト可変ノードにおける通過コストを設定することを特徴とする。
【0010】
また、第四の発明は、第三の発明に係る経路案内装置であって、前記通過コスト制御手段は、前記高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記スマートインターチェンジを通過する場合或いは前記スマートインターチェンジを通過し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合には、前記高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合より、前記通過コスト可変ノードにおける通過コストを低くすることを特徴とする。
【0011】
また、第五の発明は、第二の発明に係る経路案内装置であって、前記通過コスト制御手段は、本線上の分流点にあるノードと該分流点の先にある前記本線上の合流点にあるノードとを中継する前記本線以外の地点に前記通過コスト可変ノードを設定することを特徴とする。
【0012】
また、第六の発明は、第五の発明に係る経路案内装置であって、前記本線は、前記分流点と前記合流点との間に高架道路又は地下道路を有し、前記本線以外の地点は、前記高架道路又は地下道路と立体交差する道路上の一地点であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、選択するリンクの組み合わせに応じてリンク又はノードの通過コストを変化させながら最適経路を選択する経路案内装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係る経路案内装置の構成例を示すブロック図であり、経路案内装置100は、例えば、車輌に搭載されたカーナビゲーションシステムで利用される。
【0016】
経路案内装置100は、制御装置1、測位装置2、記憶装置3、操作入力装置4、通信装置5、表示装置6及び音声出力装置7から構成され、これら構成要素は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車載ネットワークを介して図1に示すように接続される。
【0017】
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、最適経路案内手段10及び通過コスト制御手段11のそれぞれに対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
【0018】
測位装置2は、車輌の現在位置に関する情報を取得するための装置であり、例えば、GPS(Global Positioning System)であって、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車輌の位置を演算し、演算した車輌の位置情報(緯度、経度、高度から構成される。)を制御装置1に出力する。
【0019】
測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、車輌の位置情報は、操舵角センサ、車速センサ若しくはジャイロセンサ等の各種センサの出力、又は、ビーコン受信機若しくはFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0020】
記憶装置3は、経路案内装置100が必要とする各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体であって地図情報を体系的に格納した地図情報データベース30を記憶し、制御装置1の問い合わせに応じて各種情報を制御装置1に出力する。
【0021】
操作入力装置4は、経路案内装置100に対するユーザ入力を実行させるための装置であり、例えば、タッチパネル、エスカッションスイッチ、リモートコントローラ、キーボード、ジョイスティック等であって、目的地若しくは中継地等の入力、時間優先若しくは距離優先の選択、又は、有料道路の利用可否の選択等をユーザが操作入力できるようにする。
【0022】
また、操作入力装置4は、ユーザによる操作入力が行われた場合に、その操作入力に対応する制御信号を制御装置1に出力する。
【0023】
通信装置5は、経路案内装置100と外部との間の通信を制御するための装置であり、例えば、FM多重受信機であって、外部の情報センタが発信する渋滞情報や気象情報等を受信し、受信した情報を制御装置1に出力する。
【0024】
表示装置6は、情報を表示させるための装置であり、例えば、液晶ディスプレイであって、制御装置1からの制御信号に応じて現在地から目的地までの最適経路を表示させたり、各種入力画面又は選択画面を表示させたりする。
【0025】
音声出力装置7は、情報を音声出力するための装置であり、例えば、車載スピーカであって、制御装置1からの制御信号に応じて経路案内に沿った音声メッセージを出力する。
【0026】
次に、制御装置1が有する各種手段について説明する。
【0027】
最適経路案内手段10は、目的地までの経路を案内するための手段であり、例えば、ダイクストラ法を用いて現在地から目的地までの最適(最短)経路を探索し、探索した最短経路を表示装置6に表示させながら車輌を目的地に導くよう経路案内を実行する。
【0028】
なお、現在地は、車輌に搭載された測位装置2が取得する位置情報に基づいて特定され、目的地は、操作入力装置4を介してユーザにより操作入力される。
【0029】
なお、最適(最短)経路は、例えば、記憶装置3の地図情報データベース30にあるノード情報及びリンク情報を用いて探索される。
【0030】
「ノード」とは、道路の端点、分流点、合流点等の地点を表す地図情報の構成要素であり、「リンク」とは、ノードを接続する地図情報の構成要素である。
【0031】
図2は、リンクに関する情報を検索できるよう体系的に構成されたリンク情報データベースの構成例を示す図であり、図3は、ノードに関する情報を検索できるよう体系的に構成されたノード情報データベースの構成例を示す図である。
【0032】
リンク情報データベースは、例えば、リンクID、リンクコスト、リンク種別、始点ノードID及び終点ノードIDで構成され、リンクIDは、各リンクを識別するための識別番号であり、リンクコストは、そのリンクを通過するために要するコストであって、例えば、そのリンクの距離に基づいて設定され、経路を構成する全てのリンクにおけるリンクコストを加算した総通過コストの小さい経路が最適(最短)経路として選択される。
【0033】
また、リンク種別は、リンクで表される道路の種別を示し、例えば、法定速度等に基づいて高速道路、一般道路又は未舗装路等に区分され、さらに、高速道路本線、高速道路本線とサービスエリア(以下、「SA」という。)若しくはパーキングエリア(以下、「PA」という。)とを結ぶSA・PA出入路、又は、高速道路と一般道路とを結ぶインターチェンジ(以下、「IC」という。)を有するIC路等に細分化される。
【0034】
また、始点ノードID及び終点ノードIDは、リンク両端にあるノードを識別するための識別番号である。
【0035】
ノード情報データベースは、例えば、ノードID、ノード位置情報、ノード種別及びノードコストで構成され、ノードIDは、各ノードを識別するための識別番号であり、ノード位置情報は、各ノードの位置情報であって、経度、緯度及び高度で地図上における各ノードの位置を特定できるようにする。
【0036】
また、ノード種別は、ノードで表される地点の種別を示し、例えば、分流点、合流点、交差点、SA、PA、IC、スマートインターチェンジ(正規のICとは別にSAやPAに設置されたICといい、以下、「SIC」という。)等の値を有する。
【0037】
また、ノードコストは、そのノードを通過するために要するコストであり、例えば、そのノードの種別に基づいて設定され、ノードコストとリンクコストとを加算した総通過コストの小さい経路が最適経路として選択される。なお、ノードコストは、信号機の有無、分岐するリンクの数、横断歩道の有無等に基づいて設定されてもよい。
【0038】
通過コスト制御手段11は、リンクコスト又はノードコストを制御するための手段であり、例えば、通信装置5が受信した渋滞情報若しくは気象情報、又は、地図情報データベース30にある有料道路に関する情報等に基づいてリンクコストを変化させたり、所定ノードに進入するリンク(以下、「進入リンク」という。)と所定ノードから退出するリンク(以下、「退出リンク」という。)との組み合わせに応じてその所定ノードにおけるノードコスト又はその所定ノードの進入リンク及び退出リンクのリンクコストを変化させたりする。なお、本明細書では、ノードコストを変化させることができるノードを通過コスト可変ノードと呼ぶこととする。
【0039】
図4は、三つのリンクL4、L5及びL6が接続される通過コスト可変ノードであるSAノードN3におけるノードコストの変化を示すノードコスト切り替えテーブルであり、進入リンクがSA出入路リンクL4で退出リンクがSA出入路リンクL5の場合、又は、進入リンクがSA出入路リンクL5で退出リンクがSA出入路リンクL4の場合に、ノードN3におけるノードコストが100となり、SICを有するIC路リンクL6を含む他の組み合わせではノードN3におけるノードコストが0となることを示す。
【0040】
なお、このようなノードコスト切り替えテーブルは、地図情報データベース30の構成要素として記憶装置3に予め格納される。
【0041】
これにより、最適経路案内手段10は、最適経路を探索する場合、高速道路本線を選択する代わりにSA又はPAを経由する経路を選択し難くなる一方、SICを通過して一般道路から高速道路に合流する経路やSICを通過して高速道路から一般道路に逸脱する経路を他の経路(例えば、ノードコストが変化しないノードで構成される経路をいう。)を選択する場合と同様に選択できるようになる。
【0042】
次に、図2乃至図5を参照しながら、SIC付近において最適経路案内手段10が最適経路を選択する処理を説明する。
【0043】
図5は、SIC付近におけるリンク及びノードの関係を示す図であり、合流点ノードN5、分流点ノードN1、合流点ノードN2及び分流点ノードN6のそれぞれをリンクL1、L2、L3で結ぶ高速道路本線と、分流点ノードN1、SAノード(通過コスト可変ノード)N3及び合流点ノードN2のそれぞれをリンクL4、L5で結ぶSA出入路と、分流点ノードN7、N4及びN8のそれぞれをリンクL7、L8で結ぶ一般道路と、SAノードN3及び分流点ノードN4をIC路リンクL6で結ぶSIC1を有するIC路とから構成される地図情報を示す。
【0044】
最適経路案内手段10は、図2のリンク情報データベースを参照しながら目的地へ到達するために取り得る経路を複数抽出し、その抽出した経路の中から総通過コストの最も小さくなる経路を最適経路として選択する。
【0045】
図2及び図5を参照すると、分流点ノードN1と合流点ノードN2とを結ぶ経路は二通り存在し、高速道路リンクL2を経由する経路P1におけるリンクコストが3キロメートルであるのに対し、SA出入路リンクL4、SAノードN3及びSA出入路リンクL5を経由する経路P2におけるリンクコストが2キロメートルとなる。
【0046】
従って、経路P2における通過コスト(2キロメートル)が経路P1における通過コスト(3キロメートル)より小さくなり、経路案内装置100は、最適経路案内手段10に経路P2を最適経路として選択させてしまうこととなる。
【0047】
しかし、最適経路案内手段10は、SAを目的地又は中継地として設定しない限り、SA出入路が最適経路に含まれるのを制限する必要がある。
【0048】
そこで、通過コスト制御手段11は、経路P2が最適経路に含まれるのを回避するため、SAノードN3を通過コスト可変ノードとし、そのノードコストに所定の値(例えば、100キロメートル)を設定する。
【0049】
これにより、経路案内装置100は、経路P1における通過コスト(3キロメートル)を経路P2における通過コスト(102キロメートル)より小さくして、最適経路案内手段10が経路P2を最適経路として選択できないようにする。
【0050】
なお、高速道路リンクL2で渋滞が発生した場合、通過コスト制御手段11は、高速道路リンクL2におけるリンクコストを増大させ、最適経路案内手段10が渋滞を避けるための別の経路を探索できるようにする。
【0051】
このような場合であっても、通過コスト制御手段11は、経路P1における通過コスト(例えば、所要時間で表される。)が経路P2における通過コスト(同様に、所要時間で表される。)より大きくなってしまい経路P2が最適経路(この場合、最も短時間で目的地に案内できる経路をいう。)として選択されてしまうことがないよう、経路P2における通過コストを経路P1における通過コストより大きくする必要がある。
【0052】
そこで、通過コスト制御手段11は、高速道路リンクL2におけるリンクコストを増大させた場合(例えば、渋滞のためにリンクコストを10倍にした場合をいう。)、その増大率に応じて、SA出入路リンクL4のリンクコスト、SA出入路リンクL5のリンクコスト、及び、SAノードN3のノードコストのうちの少なくとも一つを増大させるようにする(例えば、通過コストを10倍又はそれ以上にする。)。
【0053】
一方で、目的地T1が分流点ノードN8付近にあり高速道路本線における次の正規ICを経由するよりSIC1を通過するほうが目的地T1までの距離又は所要時間が短くなるような場合、最適経路案内手段10は、SIC1を通過して高速道路本線から一般道路に逸脱する経路P3を最適経路として選択できるようにする必要がある。
【0054】
しかし、最適経路案内手段10は、SAを目的地又は中継地として設定しない限り、SA出入路リンクL4、L5が最適経路に含まれるのを制限するので、たとえ目的地T1が分流点ノードN8付近にあるとしても、高速道路本線における次の正規ICを経由させた経路P4を最適経路として選択してしまう。
【0055】
そこで、通過コスト制御手段11は、SAノードN3を経由してSIC1を通過させる場合には、SAノードN3におけるノードコストを所定の値(例えば、100キロメートル)に増大させることなく、通過コスト可変ノード以外の通常のノードが有する値(例えば、0キロメートル)に維持させるようにする(図4参照。)。
【0056】
すなわち、通過コスト制御手段11は、進入リンクがSA出入路リンクL4で、かつ、退出リンクがSA出入路リンクL5である場合に限り、SAノードN3におけるノードコストを所定の値(例えば、100キロメートル)まで増大させることとし、進入リンク及び退出リンクの組み合わせがそれ以外の場合には、SAノードN3におけるノードコストを増大させないようにする。
【0057】
これにより、経路案内装置100は、経路P3における通過コストを強制的に増大させることなく、SAノードN3のような通過コスト可変ノードを含まない他の経路と同じ条件の下で最適経路案内手段10による経路選択を実行させ、経路P4より小さい通過コストを有する経路P3を最適経路として選択できるようにする。
【0058】
次に、図6乃至図8を参照しながら、高架道路付近において最適経路案内手段10が最適経路を選択する処理を説明する。
【0059】
図6は、高架道路付近におけるリンク及びノードの関係を示し、図7は、図6に対応するリンク情報データベースを示し、図8は、図6に対応するリンクコスト切り替えテーブルを示す。
【0060】
図6は、合流点ノードN14、分流点ノードN10、合流点ノードN11及び分流点ノードN15のそれぞれをリンクL10、L11及びL12で結ぶ国道本線と、分流点ノードN10、分流点ノードN13及び合流点ノードN11を分流路リンクL13及び合流路リンクL14で結ぶ一対の分流路及び合流路と、分流点ノードN11、分流点ノードN12及び合流点ノードN10を分流路リンクL16及び合流路リンクL15で結ぶ一対の分流路及び合流路(ノードN10、N11は、進行方向に応じて分流点又は合流点の双方になり得る。)と、分流点ノードN16、N12、N13及びN17のそれぞれをリンクL17、L18及びL19で結ぶ県道とから構成される地図情報を示す。なお、分流点ノードN12及びN13は、通過コスト可変ノードである。
【0061】
また、リンクL11は、高架道路であり、リンクL18は、その高架道路と立体交差する道路であるが、リンクL11が地下道路であってもよく、リンクL18が高架道路又は地下道路であり、リンクL11がその高架道路又は地下道路と立体交差する道路であってもよい。
【0062】
最適経路案内手段10は、図7のリンク情報データベースを参照しながら目的地へ到達するために取り得る経路を複数抽出し、その抽出した経路の中から総通過コストの最も小さくなる経路を最適経路として選択する。
【0063】
図6及び図7を参照すると、分流点ノードN10と合流点ノードN11とを結ぶ経路は(一進行方向につき)二通り存在し、国道リンクL11を経由する経路P5におけるリンクコストが4キロメートルであるのに対し、分流路リンクL13、分流点ノードN13及び合流路リンクL14を経由する経路P6におけるリンクコストが8キロメートルとなる。
【0064】
なお、国道リンクにおけるリンクコストは、各リンクの距離がそのままリンクコストとして設定されるが、合流路リンク及び分流路リンクは、各リンクの距離を2倍した値がリンクコストとして設定され、県道リンクにおけるリンクコストは、各リンクの距離を1.5倍した値がリンクコストとして設定される。各道路の通り易さを考慮するためである。
【0065】
従って、経路P5における通過コスト(4キロメートル)が経路P6における通過コスト(8キロメートル)より小さくなり、経路案内装置100は、最適経路案内手段10によって、分流路を一旦降り再び合流路を経て国道本線に合流する経路P6を選択することなく、国道本線をそのまま進行する経路P5を最適経路として選択することができる。
【0066】
また、通過コスト制御手段11は、通信装置5を介して受信した渋滞情報に基づいて国道本線が渋滞していることを検知すると、国道リンクL11におけるリンクコストを増大させ、最適経路案内手段10が渋滞を避けるための別の経路を探索できるようにする。
【0067】
このような場合、最適経路案内手段10は、国道本線にある高架道路又は地下道路と併走する一対の分流路及び合流路が最適経路に含まれるのを制限する必要がある。このような一対の分流路及び合流路を最適経路に含めて案内した場合、運転者に違和感を抱かせてしまうからである。
【0068】
「一対の分流路及び合流路」とは、国道本線にある高架道路又は地下道路と立体交差する別の道路へ国道本線から分流したり、或いは、その別の道路から国道本線に合流したりするための道路であって隣接するものをいう。なお、ここでいう別の道路は、国道本線と立体交差していなくてもよく、高速道路におけるSA又はPAのような施設であってもよい。
【0069】
通過コスト制御手段11は、経路P5の渋滞を迂回するために経路P6が最適経路に含まれてしまうのを回避するため、分流路リンクL13及び合流路リンクL14のリンクコストをそれぞれ増大(例えば、各リンクコストを3倍にする。)させるようにする。
【0070】
図8は、リンクコスト切り替えテーブルであり、図4に示すノードコスト切り替えテーブルがノードコストを変化させるのに対し、リンクコストを変化させる点で相違する。
【0071】
また、図4のノードコスト切り替えテーブルでは、変化させるノードコストの値そのものを登録するのに対し、図8のリンクコスト切り替えテーブルでは、変化させるリンクコストの倍率を登録する点でも相違する。
【0072】
これにより、経路案内装置100は、経路P5における通過コスト(4キロメートル)を渋滞により増大させた場合であっても(例えば、5倍の20キロメートルとする。)、経路P6における通過コストも増大させることにより(ノードコスト切り替えテーブルの設定に基づいて3倍の24キロメートルとする。)、経路P5における通過コストを経路P6における通過コストより小さくして、最適経路案内手段10が経路P6を最適経路として選択できないようにする。
【0073】
一方で、目的地T2が分流点ノードN17付近にあり高架道路を越えた先の交差点ノードN15を経由するより分流点ノードN13を通過するほうが目的地T2までの距離又は所要時間が短くなるような場合、最適経路案内手段10は、分流点ノードN13を通過して国道から県道に逸脱する経路P7を最適経路として選択する必要がある。
【0074】
しかし、最適経路案内手段10は、国道における一対の分流路及び合流路が最適経路に含まれるのを制限するので、たとえ目的地T2が分流点ノードN17付近にあるとしても、高架道路を越えた先の交差点ノードN15を経由させた経路P8を最適経路として選択してしまう。
【0075】
そこで、通過コスト制御手段11は、目的地T2が分流点ノードN17付近にある場合には、分流路リンクL13のリンクコストを増大させることなく(例えば、3倍にすることなく)、元のリンクコストをそのまま利用するようにする(図8参照。)。
【0076】
すなわち、通過コスト制御手段11は、通過コスト可変ノードである分流点ノードN13の進入リンクが分流路リンクL13で、かつ、通過コスト可変ノードである分流点ノードN13の退出リンクが合流路リンクL14である場合に限り、進入リンク及び退出リンクにおけるリンクコストを所定の倍率(例えば、3倍)で増大させることとする。
【0077】
これにより、経路案内装置100は、通過コスト可変ノードにおける進入リンク及び退出リンクの通過コストを強制的に増大させることなく、分流点ノードN13のような通過コスト可変ノードを含まない他の経路と同じ条件の下で最適経路案内手段10による経路選択を実行させ、経路P8より小さい通過コストを有する経路P7を最適経路として選択できるようにする。
【0078】
以上の構成により、経路案内装置100は、進入リンクと退出リンクとの組み合わせにより通過コストを変化させるので、SA若しくはPAと高速道路本線との間の出入路、又は、国道若しくはバイパスの本線を併走する一対の分流路及び合流路が迂回路として選択させるのを防止しながらも、目的地、現在地又は中継地等がSIC又は一対の分流路及び合流路付近にある場合には、SA若しくはPAと高速道路本線との間の出入路、又は、国道若しくはバイパスの本線を併走する分流路及び合流路を他の道路と同様に経路探索の対象とすることができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0080】
例えば、上述の実施例では、経路案内装置100は、リンクコスト又はノードコストとして距離を設定するが、その距離を法定速度又は渋滞情報に基づく推定速度で除した通過時間を算出し、算出した通過時間を通過コストとして利用するようにしてもよい。この場合、リンクコスト又はノードコストは、渋滞情報に応じて変化することとなる。
【0081】
また、経路案内装置100は、リンクコスト及びノードコストを併用するが、ノードコストを利用せずリンクコストだけで通過コストを算出して経路を選択することで地図情報データベース30を簡素化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】経路案内装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】リンク情報データベースの構成例を示す図である。
【図3】ノード情報データベースの構成例を示す図である。
【図4】SICにおけるノードコストの変化を示すノードコスト切り替えテーブルである。
【図5】サービスエリア付近におけるリンク及びノードの関係を示す図である。
【図6】高架橋付近におけるリンク及びノードの関係を示す図である。
【図7】図6に対応するリンク情報データベースである。
【図8】図6に対応するリンクコスト切り替えテーブルである。
【符号の説明】
【0083】
1 制御装置
2 測位装置
3 記憶装置
4 操作入力装置
5 通信装置
6 表示装置
7 音声出力装置
10 最適経路案内手段
11 通過コスト制御手段
30 地図情報データベース
100 経路案内装置
L1〜L8、L10〜L19 リンク
N1〜N8、N10〜N17 ノード
P1〜P8 経路
T1、T2 目的地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の一地点を表すノードとノード間を接続するリンクであって経路選択の基準となる通過コストを属性として有するリンクとから構成される地図情報に基づいて現在地と目的地との間の経路を選択する経路案内装置であって、
所定ノードに進入する進入リンクと該所定ノードから退出する退出リンクとの組み合わせに応じて前記進入リンク及び前記退出リンクを含む経路の通過コストを変化させる通過コスト制御手段を備える、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
前記通過コスト制御手段は、前記進入リンクと前記退出リンクとの組み合わせに応じてノード又はリンクの通過コストを変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記通過コスト制御手段は、スマートインターチェンジを有するサービスエリア又はパーキングエリアを通過コスト可変ノードとして設定し、高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合における通過コストが、前記高速道路本線を逸脱することなく進行する場合における通過コストより高くなるよう、前記通過コスト可変ノードにおける通過コストを設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記通過コスト制御手段は、前記高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記スマートインターチェンジを通過する場合或いは前記スマートインターチェンジを通過し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合には、前記高速道路本線から逸脱し前記通過コスト可変ノードを経由して前記高速道路本線に合流する場合より、前記通過コスト可変ノードにおける通過コストを低くする、
ことを特徴とする請求項3に記載の経路案内装置。
【請求項5】
前記通過コスト制御手段は、本線上の分流点にあるノードと該分流点の先にある前記本線上の合流点にあるノードとを中継する前記本線以外の地点に前記通過コスト可変ノードを設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の経路案内装置。
【請求項6】
前記本線は、前記分流点と前記合流点との間に高架道路又は地下道路を有し、前記本線以外の地点は、前記高架道路又は地下道路と立体交差する道路上の一地点である、
ことを特徴とする請求項5に記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−164562(P2008−164562A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231(P2007−231)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】