説明

置換ジヒドロピラゾロン類およびHIF−プロリル−4−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのそれらの使用

本発明は、新規置換ジヒドロピラゾロン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、および、疾患、特に、心血管および血液疾患、腎臓疾患の処置および/または予防用、および、創傷治癒の促進用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規置換ジヒドロピラゾロン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、および、疾患、特に、心血管および血液疾患および腎臓疾患の処置および/または予防用、および、創傷治癒の促進用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体(human organism)またはその構成部分への不十分な酸素供給であって、その持続時間および/またはその程度のために人体またはその構成部分の通常の機能を損なうか、または、その機能の完全な破壊を引き起こすものは、低酸素症と呼ばれる。低酸素症は、吸入される空気中の利用可能な酸素の減少(例えば、高地(high altitude)での期間中)により、外呼吸の障害(例えば、肺機能の撹乱または気道の閉塞の結果として)により、心拍出量の減少(例えば、心不全、肺塞栓症を伴う急性右室負荷の場合の)により、低すぎる血液の酸素運搬能(例えば、貧血または例えば一酸化炭素による中毒の結果として)により、血管閉塞の結果としての血流の減少(典型的には例えば心臓、下肢または脳の虚血状態、糖尿病性大血管および微小血管障害)により局所的に区切られて、または、組織の酸素要求の増大(例えば、筋肉活動の増大または局所的炎症の結果として)によっても引き起こされ得る[Eder, Gedigk (ed.), Allgemeine Pathologie und pathologische Anatomie, 33rd ed., Springer Verlag, Berlin, 1990]。
【0003】
人体は、酸素供給が減少した状況に急性および慢性的にある程度は適応し得る。とりわけ、心拍出量および呼吸排出量の増加並びに植物神経制御メカニズムによる血管の局所的拡張を含む即時的反応に加えて、低酸素は、多数の遺伝子の転写の変化をもたらす。それらの遺伝子産物の機能は、ここで、酸素不足を補うように作用する。かくして、いくつかの解糖系の酵素のおよびグルコーストランスポーターIの発現が増強され、その結果、無気的ATP産生が増加し、酸素不足での生存が可能になる[Schmidt, Thews (ed.), Physiologie des Menschen, 27th ed., Springer Verlag, Berlin, 1997; Loeffler, Petrides (ed.), Biochemie und Pathobiochemie, 7th ed., Springer Verlag, Berlin, 2003]。
【0004】
低酸素は、さらに、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現の増強を導き、その結果、低酸素の組織において血管の調節(血管形成)が刺激される。虚血組織を通る血流は、それにより、長期的に改善される。この対抗制御は、様々な心血管疾患および血管閉塞疾患の場合には、明らかに非常に不適切なものでしかない[Simons and Ware, Therapeutic angiogenesis in cardiovascular disease, Nat. Rev. Drug. Discov. 2 (11), 863-71 (2003)に概説]。
【0005】
さらに、全身的低酸素症の場合、腎臓の間質性線維芽細胞において支配的に形成されるペプチドホルモンであるエリスロポエチンの発現が増強される。それにより、骨髄における赤血球細胞の形成が刺激され、従って血液の酸素運搬能が上昇する。この効果は、いわゆる高地トレーニングにおいて、能力の高い運動選手により以前から使用されている。例えば大量出血後の貧血の結果としての血液の酸素運搬能の低下は、通常、腎臓のエリスロポエチン産生の増加を引き起こす。ある種の形態の貧血では、この制御メカニズムが撹乱されるか、または、その正常値が低く設定されることがある。故に、例えば腎不全を患っている患者において、エリスロポエチンは実際に腎臓の実質で産生されるが、血液の酸素運搬能に対して有意に少ない量であり、それは、いわゆる腎性貧血をもたらす。腎性貧血は特に、しかし腫瘍およびHIV感染に起因する貧血も、慣習的に組換えヒトエリスロポエチン(rhEPO)の非経腸投与により処置されている。この高価な治療に代わる経口形態で利用可能な医薬による代替治療は、現在のところ存在しない[Eckardt, The potential of erythropoietin and related strategies to stimulate erythropoiesis, Curr. Opin. Investig. Drugs 2(8), 1081-5 (2001); Berns, Should the target hemoglobin for patients with chronic kidney disease treated with erythropoietic replacement therapy be changed?, Semin. Dial. 18 (1), 22-9 (2005) に概説]。最近の研究は、その赤血球新生増加作用に加えて、それとは独立して、エリスロポエチンが低酸素組織、特に心臓および脳に対する保護的(抗アポトーシス)作用も有することを立証している。さらに、最近の研究によると、エリスロポエチンによる治療は、心不全患者における病状の平均的重篤度を下げる[Caiola and Cheng, Use of erythropoietin in heart failure management, Ann. Pharmacother. 38 (12), 2145-9 (2004); Katz, Mechanisms and treatment of anemia in chronic heart failure, Congest. Heart. Fail. 10 (5), 243-7 (2004)に概説]。
【0006】
低酸素により誘導される上記の遺伝子は、低酸素下でのそれらの発現の増加がいわゆる低酸素誘導転写因子(HIF)に起因するという共通の特徴を有する。HIFは、アルファおよびベータサブユニットを含むヘテロ二量体の転写因子である。3種類のHIFアルファアイソフォームが報告されており、そのうちHIF−1アルファおよびHIF−2アルファは相同性が高く、低酸素誘導遺伝子発現に重要である。ARNT(アリール炭化水素受容体核輸送体)とも呼ばれるベータサブユニット(その2種類のアイソフォームが報告された)は構成的に発現されるが、アルファサブユニットの発現は細胞の酸素含有量に依存する。正常酸素圧下では、HIFアルファタンパク質はポリユビキチン化され、次いでプロテアソームにより分解される。低酸素下ではこの分解は阻害され、HIFアルファはARNTと二量体化し、その標的遺伝子を活性化できるようになる。HIF二量体は、ここで、その標的遺伝子の調節配列中にある、いわゆる低酸素応答エレメント(HRE)に結合する。HREはコンセンサス配列により定義される。機能的HREは、多数の低酸素誘導遺伝子の調節エレメント中に検出された(Semenza, Hypoxia-inducible factor 1: oxygen homeostasis and disease pathophysiology, Trends Mol. Med. 7 (8), 345-50 (2001); Wenger and Gassmann, oxygen(es) and the hypoxia-inducible factor-1, Biol. Chem. 378 (7), 609-16 (1997)]。
【0007】
このHIFアルファの調節の基礎である分子メカニズムは、いくつかの独立した研究者グループの仕事により明らかにされた。このメカニズムは、種間で保存されている:HIFアルファは、PHDまたはEGLNと呼ばれる酸素依存的プロリル4−ヒドロキシラーゼのサブクラスにより2つの特異的プロリルラジカル(ヒトHIF−1アルファサブユニットのP402およびP564)でヒドロキシル化される。HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼは、鉄依存的2−オキソグルタル酸変換ジオキシゲナーゼである[Epstein et al., C. elegans EGL-9 and mammalian homologs define a family of dioxogenases that regulate HIF by prolyl hydroxylation, Cell 107 (1), 43-54 (2001); Bruick and McKnight, A conserved family of prolyl-4-hydroxylases that modify HIF, Science 294 (5545), 1337-40 (2001); Ivan et al., Biochemical purification and pharmacological inhibition of a mammalian prolyl hydroxylase acting on hypoxia-inducible factor, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99 (21), 13459-64 (2002)]。これらの酵素は、プロリルヒドロキシラーゼとして2001年に初めて注釈を付けられた[Aravind and Koonin, The DNA-repair protein AlkB, EGL-9, and leprecan define new families of 2-oxoglutarate- and iron-dependent dioxogenases, Genome Biol. 2 (3), research0007.1-0007.8, Epub 2001 Feb 19]。
【0008】
エロンギンBおよびCと一体となっていわゆるVBC複合体を形成し、HIFアルファサブユニットをE3ユビキチンリガーゼに適合させるpVHL腫瘍抑制因子タンパク質は、プロリル−ヒドロキシル化HIFアルファサブユニットに結合する。HIFアルファサブユニットのプロリル4−ヒドロキシル化および続くその分解は、酸素の細胞内濃度に応じて起こるので、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼは、細胞内酸素センサーとも呼ばれてきた。これらの酵素の3種のアイソフォームが同定された:EGLN1/PHD2、EGLN2/PHD1およびEGLN3/PHD3。これらの酵素の2種(EGLN2/PHD1およびEGLN3/PHD3)は、低酸素下でさえ転写的に誘導され、恐らく、慢性的低酸素下で観察されるHIFアルファレベルの低下を担うものである[Schofield and Ratcliffe, oxygen sensing by HIF hydroxylases, Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 5 (5), 343-54 (2004) に概説]。
【0009】
HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの選択的薬理的阻害は、HIF依存的標的遺伝子の遺伝子発現の増加をもたらし、従って多数の疾患や症候群の治療に有益である。特に心血管系の疾患の場合、疾患の経過における改善は、新しい血管の誘導および虚血器官における好気的ATP産生から嫌気的ATP産生への代謝系の変化によると期待される。慢性的創傷の血管新生における改善は、特に治癒が不十分な下腿潰瘍(ulcera cruris)および他の慢性皮膚創傷の場合に、治癒過程を促進する。ある種の病態における、特に腎性貧血の患者における、内因性エリスロポエチンの誘導は、同様に目標とされる治療目的である。
【0010】
今日までに科学的文献に記載されたHIFプロリル4−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、医薬に負わされる要件を満たさない。これらは、いずれかの競合的オキソグルタル酸類似体(例えば、N−オキサリルグリシン)であり、非常に低い作用強度を特徴とし、従ってインビボモデルでは、まだHIF標的遺伝子の誘導の意味で作用を示していない。あるいは、それらはデスフェリオキサミンなどの鉄錯体化剤(キレート剤)であり、鉄含有ジオキソゲナーゼの非特異的阻害剤として作用し、それらはインビボで例えばエリスロポエチンなどの標的遺伝子の誘導をもたらすが、利用可能な鉄の錯体化により、明らかに赤血球新生に対抗する。
【0011】
本発明の目的は、疾患、特に心血管および血液の疾患の処置に用いることができる新規化合物を提供することである。
【0012】
本発明に関して、この度、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの特異的阻害剤として作用し、この特異的作用メカニズムを基礎として、非経腸または経口投与の後に、インビボで、例えばエリスロポエチンなどのHIF標的遺伝子の誘導、並びに、例えば赤血球新生などのそれに起因する生物学的過程をもたらす化合物を記載する。
【0013】
殺菌および/または殺真菌作用を有する2−ヘテロアリール−4−アリール−1,2−ジヒドロピラゾロン類は、EP165448およびEP212281に開示されている。2−ヘテロアリール−4−アリール−1,2−ジヒドロピラゾロン類の、呼吸器、心血管および炎症性疾患の処置用のリポキシゲナーゼ阻害剤としての使用は、EP183159で特許請求されている。除草活性を有する2,4−ジフェニル−1,2−ジヒドロピラゾロン類は、DE2651008に記載されている。ある種の2−ピリジル−1,2−ジヒドロピラゾロン類の製造および薬理的特性は、Helv. Chim. Acta 49 (1), 272-280 (1966) で報告されている。WO96/12706、WO00/51989およびWO03/074550は、様々な疾患の処置用に、ジヒドロピラゾロン部分構造を有する化合物を特許請求しており、そして、WO2006/101903は、精神神経性障害の処置用のヒドロキシ−またはアルコキシ−置換されたビピラゾール類を開示している。疼痛および様々なCNS疾患の処置用のヘテロアリール置換ピラゾール誘導体は、さらに、WO03/051833およびWO2004/089303に記載されている。一方、WO2006/114213は、2,4−ジピリジル−1,2−ジヒドロピラゾロン類をHIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの阻害剤として開示した。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
は、式
【化2】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Aは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Aが同時にNを表し、
そして、
Eは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Eが同時にNを表す}
のヘテロアリール基を表し、
【0015】
は、式
【化3】

{ここで、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Gは、個々にC−RまたはNを表し、
Jは、O、SまたはN−Rを表し、
Lは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Lが同時にNを表し、
そして、
Mは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、全部で1個または2個の環構成員MがNを表す}
のヘテロアリール基を表し
【0016】
〔ここで、R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、そして、各場合で相互に独立して、水素を表すか、または、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(i)(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、オキソ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより各場合で一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したアルキルラジカルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよく、
【0017】
(iii)R10、R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R26、R27、R29、R30およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したヘテロシクロアルキルラジカルは、(C−C)−アルキルからなる群からの同一かまたは異なる2個までの置換基により置換されていてもよく、
(iv)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24、R28およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
かつ/または、ここで、
(v)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25、R27およびR28並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
【0018】
は、各個別の場合で、相互に独立して、水素を表すか、または、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
そして、
は、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(i)(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、オキソ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、(C−C)−アルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより各場合で一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したアルキルラジカルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよく、
【0019】
ここで、
(a)R10、R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R26、R27、R29、R30およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、
(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
(b)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24、R28およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
かつ/または、
(c)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25、R27およびR28並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよい〕、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【0020】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される実施態様の実施例として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0021】
本発明による化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在できる。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの特定の混合物を含む。立体異性的に均一な構成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0022】
本発明に関して、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。それら自体は医薬的使用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0023】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0024】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0025】
溶媒和物は、本発明に関して、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態である。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。水和物は、本発明に関して好ましい溶媒和物である。
【0026】
本発明は、さらに、本発明による化合物のプロドラッグも含む。用語「プロドラッグ」には、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物が含まれる。
【0027】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
【0028】
(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシが挙げられる。
【0029】
モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々含有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルが好ましい。例えば、そして好ましくは:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノが挙げられる。
【0030】
ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々含有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。各場合で1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルが好ましい。例えば、そして好ましくは:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノが挙げられる。
【0031】
(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有し、カルボニル基を介して結合している直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。アルコキシ基中に1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。例えば、そして好ましくは:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0032】
(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関して、3個ないし7個または3個ないし6個の環内炭素原子を各々有する単環式飽和炭素環式ラジカルを表す。例えば、そして好ましくは:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0033】
4員ないし10員のヘテロシクロアルキルは、本発明に関して、単環式または場合により二環式の複素環を表し、それは、飽和であるか、または、二重結合を含有し、全部で4個ないし10個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している。例えば、そして好ましくは:アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリジニル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロフラニル、チオラニル、1,3−オキサゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル、オクタヒドロアゾシニル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロイソインドリル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピリジル、ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピリジル、オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロピリド[1,2−a]ピラジニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタニルが挙げられる。本発明に関して好ましいのは、全部で4個ないし7個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している、単環式飽和4員ないし7員ヘテロシクロアルキルラジカルである。例えば:アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チオラニル、1,3−オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニルが挙げられる。特に好ましいのは、全部で4個ないし6個の環内原子を有し、NおよびOからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有する4員ないし6員のヘテロシクロアルキルラジカル、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルである。
【0034】
5員または6員のヘテロアリールは、本発明に関して、全部で各々5個または6個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から4個までの同一かまたは異なる環内ヘテロ原子を含有し、環内炭素原子または場合により環内窒素原子を介して結合している、芳香族性複素環式ラジカル(複素芳香族)を表す。例えば:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルが挙げられる。N、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルが好ましい。
【0035】
ハロゲンは、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。フッ素、塩素および臭素が好ましく、フッ素および塩素が特に好ましい。
【0036】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、断りの無い限り、そのラジカルは、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、数回出てくる全てのラジカルについて、その意味は相互に独立している。1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換が特に好ましい。
【0037】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
が、式
【化4】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
4AおよびR4Bは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
ここで、上述の(C−C)−アルキルラジカルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
【0038】
が、式
【化5】

{ここで、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Gは、各場合でC−RまたはNを表し、2個の環構成員Gのうち1個以下がNを表し、
Jは、OまたはSを表し、
Mは、各場合でC−RまたはNを表し、2個の環構成員Mの一方がNを表し、他方がC−Rを表し、
ここで、
およびRは、各個別の場合で、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−OR29および−NR3132からなる群から選択される置換基を表し、ここで、
【0039】
(i)(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−OR29および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一かまたは異なる2個までの置換基により各場合で置換されていてもよく、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよく、
【0040】
(iii)R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R29およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよく、
そして、
(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
(iv)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、ここで、
(v)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
そして、
は、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表す}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
は、水素またはメチルを表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0041】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
が、式
【化6】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルを表す}
のヘテロアリール基を表し、
が、式
【化7】

{式中、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し、ここで、
(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはアミノにより置換されていてもよく、
そして、
4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
が、水素を表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0042】
また、本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
が、式
【化8】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルを表す}
のヘテロアリール基を表し、
が、式
【化9】

{式中、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
、R6AおよびR6Bは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはアミノにより置換されていてもよく、
そして、
4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
が、水素を表す、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0043】
ラジカルの特定の組合せまたは好ましい組合せにおいて詳細に与えられるラジカルの定義は、また、与えられる特定のラジカルの組合せから独立して、所望により他の組合せのラジカルの定義により置き換えられる。
2個またはそれ以上の上述の好ましい範囲の組合せがことさら特に好ましい。
【0044】
本発明による式(I)の1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン誘導体は、互変異性の1H−ピラゾール−5−オール形態(I')であることもできる(下記スキーム1参照);これらの2つの互変異性体は、明示的に本発明の一部とする。
スキーム1
【化10】

【0045】
本発明はまた、本発明による式(I)の化合物の製造方法を提供し、それは、式(II)
【化11】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有し、そして、
は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて酸の存在下、式(III)
【化12】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化13】

(式中、Z、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、これらは、これらの反応条件下で既に、または、塩基の作用下の後続の反応段階において、式(I)の化合物に環化しており、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0046】
が水素を表す本発明による式(I)の化合物は、また、以下により製造できる;先ず、式(V)
【化14】

(式中、ZおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を、式(VI)
【化15】

(式中、Zは、メチルまたはエチルを表す)
の化合物と縮合し、式(VII)
【化16】

(式中、ZおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、それを、酸の存在下、式(III)の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化17】

(式中、Z、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、これらは、これらの反応条件下で既に、または、塩基の作用下の後続の反応段階において、Rが水素を表す式(I)の化合物に環化している。
【0047】
さらなる本発明による化合物は、場合により、上記の方法により得られた式(I)の化合物から出発して、個々の置換基の官能基、特にRおよびRで列挙したものの変換によっても製造できる。これらの変換は当業者に知られている常套の方法により実施され、例えば、求核または求電子置換、酸化、還元、水素化、遷移金属に触媒されるカップリング反応、アルキル化、アシル化、アミノ化、エステル化、エステル開裂、エーテル化、エーテル開裂、カルボキサミド、スルホンアミド、カルバメートおよびウレアの形成、並びに、一時的な保護基の導入および除去などの反応が含まれる。
【0048】
工程(II)+(III)→(IV)、(IV)→(I)、(VII)+(III)→(IV−A)および(IV−A)→(I)に適する不活性溶媒は、特に、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、または、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類である。メタノール、エタノール、テトラヒドロフランまたはこれらの溶媒の混合物を好ましくは用いる。
【0049】
工程(V)+(VI)→(VII)は、好ましくは、溶媒としてのジメチルホルムアミド中、または、過剰の(VI)の存在下、さらなる溶媒を用いずに実施する。この反応は、また、場合により、マイクロ波照射下で有利に実施できる。この反応は、一般に、+20℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+80℃ないし+120℃で実施する[J.P. Bazureau et al., Synthesis 1998, 967; ibid. 2001 (4), 581も参照]。
【0050】
工程(II)+(III)→(IV)および(VII)+(III)→(IV−A)は、場合により、酸を添加して、有利に実施できる。常套の無機または有機酸、例えば、塩化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはカンファー−10−スルホン酸がこれに適する。酢酸、または、特にカンファー−10−スルホン酸またはp−トルエンスルホン酸を好ましくは使用する。
【0051】
反応(II)+(III)→(IV)は、一般に、0℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは+10℃ないし+50℃で実施する。反応(VII)+(III)→(IVA)は、一般に、+20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+100℃で実施する。
【0052】
連続工程(II)+(III)→(IV)→(I)および(VII)+(III)→(IV−A)→(I)は、2段階反応操作で、または、ワンポット反応として、各々の中間体段階(IV)または(IV−A)を単離せずに、実施できる。後者の変法では、マイクロ波照射下での成分の反応が特に適する;ここでの反応は、一般に+50℃ないし+200℃の温度範囲、好ましくは+100℃ないし+180℃で実施する。
【0053】
いくつかの場合では、(I)への環化は、また、各々(IV)または(IV−A)の製造中に既に起こる;次いで、場合により、反応混合物をその場で塩基で処理することにより、環化を完全にすることができる。
【0054】
そのような分離した環化段階(IV)→(I)または(IV−A)→(I)のための塩基として、常套の無機または有機塩基が適する。これらには、特に、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムまたはカリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウム、アルカリ金属アルコラート、例えば、ナトリウムまたはカリウムメタノラート、ナトリウムまたはカリウムエタノラート、または、ナトリウムまたはカリウムtert−ブチラート、または、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムが含まれる。ナトリウムメタノラートまたはエタノラートを好ましくは使用する。
【0055】
塩基に誘導される反応(IV)→(I)または(IV−A)→(I)は、一般に、0℃ないし+60℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+30℃で実施する。
【0056】
全工程は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。一般に、大気圧を適用する。
【0057】
式(II)の化合物は、カルボン酸エステルのC−アシル化についての文献からの常套の方法により、式(V)の化合物から製造できる。式(III)、(V)および(VI)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献に記載の方法と同様に製造できる。
【0058】
本発明による化合物の製造は、下記の反応スキーム2で例示説明できる:
スキーム2
【化18】

[a):DMF、16時間、+100℃;b):エタノール、cat.カンファー−10−スルホン酸、+78℃;c):NaOEt、エタノール、1時間、室温]。
【0059】
本発明による化合物は、予見できない価値ある薬理作用スペクトルを示す。従って、それらは、ヒトおよび動物における疾患を処置および/または予防するための医薬としての使用に適する。
【0060】
本発明による化合物は、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの特異的阻害剤として卓越している。
【0061】
この薬理特性を基礎として、本発明による化合物は、心血管疾患、特に、心不全、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、動脈硬化症、本態性、肺性および悪性高血圧症並びに末梢動脈閉塞性疾患の処置および/または予防に用いることができる。
【0062】
本発明による化合物は、さらに、血液形成の障害、例えば特発性貧血、腎性貧血および腫瘍疾患に伴う貧血(特に化学療法により誘導される貧血)、感染(特にHIV感染)または他の炎症性疾患、例えばリウマチ性関節炎の処置および/または予防に適する。本発明による化合物は、さらに、血液喪失の結果としての貧血、鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏性貧血(例えば、ビタミンB12欠乏の結果として、または、葉酸欠乏の結果として)、低形成性および再生不良性貧血、または、溶血性貧血の処置の補助に、または、鉄利用障害の結果としての貧血(鉄非利用性貧血)、または、他の内分泌障害(例えば甲状腺機能低下症(hypothyroidosis))の結果としての貧血の処置の補助に適する。
【0063】
本化合物は、さらに、手術前に血液の自己供与用の血液を得る目的で、ヘマトクリットを高めるのに適する。
【0064】
本発明による化合物は、さらに、外科的介入後、特に、心肺装置を使用する心臓への介入(例えばバイパス手術、心臓弁インプラント)、頸動脈への介入、大動脈への介入および機器による開頭術または穿頭術後の、手術に関連する虚血状態およびそれらの後遺症の処置および/または予防に使用できる。本化合物は、さらに、創傷の治癒の加速および回復時間の短縮を目的として、外科的介入の場合に、全般的な処置および/または予防に適する。
【0065】
これらの化合物は、さらに、脳の急性および遅延性虚血状態(例えば卒中、出生時仮死)の後遺症の処置および予防に適する。
【0066】
本化合物は、さらに、癌の処置および/または予防のために、そして、癌の処置の過程で起こる健康状態の悪化の処置および/または予防のために、特に、細胞分裂阻害剤、抗生物質および照射による治療後に、用いることができる。
【0067】
本化合物は、さらに、リウマチ型疾患および自己免疫疾患とみなされる他の疾患の処置および/または予防に、特に、かかる疾患の薬物処置の過程で生じる健康状態の悪化の処置および/または予防に適する。
【0068】
本発明による化合物は、さらに、眼(例えば緑内障)、脳(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、慢性痛覚)の疾患、慢性腎臓疾患、腎不全および急性腎不全の処置および/または予防、および、創傷治癒の促進に用いることができる。
【0069】
本化合物は、さらに、カヘキシーまでの全身的衰弱、特に、高齢者で高程度に生じるものの処置および/または予防に適する。
本化合物は、さらに、性機能不全の処置および/または予防に適する。
【0070】
本化合物は、さらに、真性糖尿病およびその続発症、例えば、糖尿病性大血管および微小血管障害、糖尿病性腎症および神経障害の処置および/または予防に適する。
【0071】
本発明による化合物は、さらに、例えば、心臓、肺および肝臓の線維性疾患の処置および/または予防に適する。
【0072】
特に、本発明による化合物は、未熟児の網膜症(未熟児網膜症(retinopathia prematurorum))の予防および処置にも適する。
【0073】
本発明は、さらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0074】
本発明は、さらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0075】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用する、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防方法を提供する。
【0076】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の活性化合物と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。例えば、そして好ましく言及し得る、組合せにおいて適する活性化合物は、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ベータ受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、PDE阻害剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、利尿剤、アスピリン、鉄サプリメント、ビタミンB12および葉酸サプリメント、スタチン類、ジギタリス(ジゴキシン)誘導体、腫瘍化学療法剤および抗生物質である。
【0077】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ACE阻害剤、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)と組み合わせて投与する。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタン(embusartan)と組み合わせて投与する。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ベータ−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、カルシウム拮抗薬、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0081】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えば、そして好ましくは、ミルリノン、アムリノン、ピモベンダン、シロスタゾール、シルデナフィル、バルデナフィルまたはタダラフィルと組み合わせて投与する。
【0082】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノンまたはカンレノン酸カリウムと組み合わせて投与する。
【0083】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、利尿剤、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセリン、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンと組み合わせて投与する。
【0084】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0085】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、腫瘍化学療法剤、例えば、そして好ましくは、白金錯体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン、アルキル化剤、例えば、シクロホスファミドおよびクロラムブシル、抗代謝剤、例えば5−フルオロウラシルおよびメトトレキサート、トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、エトポシドおよびカンプトテシン、抗生物質、例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシン、または、キナーゼ阻害剤、例えば、ソラフェニブおよびスニチニブからなる群からのものと組み合わせて投与する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、抗生物質、例えば、そして好ましくは、ペニシリン類、セファロスポリン類またはキノロン類、例えば、シプロフロキサシンおよびモキシフロキサシンからなる群からのものと組み合わせて投与する。
【0087】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、従来通りに1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用を提供する。
【0088】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適する投与形で投与できる。
【0089】
先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速かつ/または改変された方法で放出し、本発明による化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形態で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、胃液耐性であるか、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤またはカプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤は、経口投与に適する。
【0090】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0091】
他の投与経路には、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(sprinkling powder)、インプラントまたはステントが適する。
経口および非経腸投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0092】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体物質(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、色素(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0093】
一般に、非経腸投与の場合で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになった。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0094】
それにも拘わらず、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘る数回の個別用量に分配するのが望ましいことがある。
【0095】
以下の実施態様の実施例は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0096】
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に関するものである。
【実施例】
【0097】
A. 実施例
略語および頭字語:
【表1】

【0098】
LC−MS、GC−MSおよびHPLCの方法:
方法1:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3 μ, 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0099】
方法2:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0100】
方法3:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0101】
方法4:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0102】
方法5:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0103】
方法6:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0104】
方法7:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro Micro MS;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流速2.5ml/分)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0105】
方法8:
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Agilent 1100 Series; UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.1分100%A;流速:2.5ml/分;オーブン:55℃;UV検出:210nm。
【0106】
方法9:
装置:Waters UPLC Acquity を備えた Micromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 mm x 1 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0107】
方法10:
装置:Waters UPLC Acquity を備えた Micromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 mm x 1 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.1分100%A→1.5分10%A→2.2分10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0108】
方法11:
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0109】
方法12:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0110】
方法13(分取LC−MS):
装置MS:Waters ZQ 2000;装置HPLC:Agilent 1100, 2−カラムシステム;オートサンプラー:HTC PAL;カラム:YMC-ODS-AQ, 50 mm x 4.6 mm, 3.0 μm;移動相A:水+0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル+0.1%ギ酸;グラジエント:0.0分100%A→0.2分95%A→1.8分25%A→1.9分10%A→2.0分5%A→3.2分5%A→3.21分100%A→3.35分100%A;オーブン:40℃;流速:3.0ml/分;UV検出:210nm。
【0111】
出発物質および中間体:
実施例1A
エチル(6−クロロピリジン−3−イル)アセテート
【化19】

(6−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリル22.0g(144mmol)を、エタノール270mlおよび濃硫酸101mlの混合物に添加し、混合物を還流下で24時間撹拌する。次いで、撹拌しながら、反応混合物をゆっくりと重炭酸ナトリウム350gおよび水1lの混合物に滴下して添加する。水相をジクロロメタンで抽出する(5回、各400ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去する。これにより、表題化合物23.1g(理論値の80%)を得、さらに精製せずに反応させる。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.32 (d, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.49 (d, 1H), 4.10 (q, 2H), 3.77 (s, 2H), 1.19 (t, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.91 分; MS (ESIpos): m/z = 200 [M+H]+.
【0112】
実施例2A
エチル2−(6−クロロピリジン−3−イル)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート
【化20】

実施例1Aの化合物3.99g(20.0mmol)を、ジメチルホルムアミドジエチルアセタール13.7mlに溶解し、混合物をマイクロ波照射して90℃で30分間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィーする(移動相:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール20:1)。
収量:5.06g(理論値の99%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.13 (d, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.58 (dd, 1H), 7.41 (d, 1H), 4.01 (q, 2H), 2.70 (s, 6H), 1.12 (t, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.98 分; MS (ESIpos): m/z = 255 [M+H]+.
【0113】
実施例3A
エチル3−(ジメチルアミノ)−2−ピリジン−3−イルアクリレート
【化21】

ジメチルホルムアミドジエチルアセタール100g(679mmol)中のエチルピリジン−3−イルアセテート37.4g(226mmol)を100℃で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を先ずシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより予精製する(移動相:グラジエント、シクロヘキサン/酢酸エチル1:1→酢酸エチル/エタノール9:1)。次いで、かくして得られる生成物を、減圧下での蒸留(1mbar、浴温度200℃)による入念な精製に付す。
収量:35.0g(理論値の70%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.37 (dd, 1H), 8.31 (dd, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.51 (dt, 1H), 7.29 (ddd, 1H), 4.00 (q, 2H), 2.67 (s, 6H), 1.11 (t, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 2.38 分; MS (ESIpos): m/z = 221 [M+H]+.
【0114】
実施例4A
ベンゾフェノン(6−クロロピリミジン−4−イル)ヒドラゾン
【化22】

4,6−ジクロロピリミジン10.0g(67.1mmol)、ベンゾフェノンヒドラゾン14.5g(73.8mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド9.03g(94.0mmol)、フェニルボロン酸409mg(3.36mmol)、パラジウム(II)アセテート301mg(1.34mmol)およびrac−2,2'−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフタレン384mg(1.34mmol)を合わせる。混合物を脱気し、アルゴンで2回換気し、乾燥脱気トルエン400mlを添加し、混合物を再度脱気し、アルゴンで2回換気し、90℃で終夜加熱する。冷却後、反応混合物を水に注ぎ、水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を濃縮し、残渣をジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物に取る。残っている沈殿を吸引濾過し(そして廃棄し)、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン/酢酸エチル8:2)により精製する。
収量:6.00g(理論値の29%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.86 分; MS (ESIpos): m/z = 309 [M+H]+.
【0115】
実施例5A
ベンゾフェノン[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]ヒドラゾン
【化23】

実施例4Aの化合物500mg(1.62mmol)、N−メチルピペラジン178mg(1.78mmol)、ジシクロヘキシル−(2',4',6'−トリイソプロピルビフェニル−2−イル)ホスフィン58mg(0.12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム22mg(24μmol)および炭酸セシウム1.32g(4.05mmol)を合わせる。混合物を脱気し、アルゴンで2回換気し、tert−ブタノールおよびトルエン(1:5)の混合物12.5mlを添加し、混合物を再度脱気し、アルゴンで2回換気し、120℃で24時間加熱する。次いで、さらにジシクロヘキシル−(2',4',6'−トリイソプロピルビフェニル−2−イル)ホスフィン58mg(0.12mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム22mg(24μmol)を添加し、混合物を120℃で終夜加熱し、次いで、さらにN−メチルピペラジン324mg(3.24mmol)を添加し、混合物を120℃でさらに一晩加熱する。冷却後、反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。
収量:312mg(理論値の52%)
LC-MS (方法 5): Rt = 1.64 分; MS (ESIpos): m/z = 373 [M+H]+.
【0116】
実施例6A
4−ヒドラジノ−6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリミジン
【化24】

濃塩酸15ml中の実施例5Aの化合物300mg(808μmol)を、65℃で4時間加熱する。冷却後、反応混合物をジクロロメタンで洗浄し、水相を濃縮する。これにより、粗生成物162mgを塩酸塩として得る。これをポリマーに結合したトリス−(2−アミノエチル)アミンと共に、ジクロロメタン中、室温で撹拌する。濾過後、濾液を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:115mg(理論値の69%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.93 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 5.91 (s, 1H), 4.13 (s, 2H), 3.48-3.44 (m, 4H), 2.36-2.31 (m, 4H), 2.20 (s, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 0.41 分; MS (ESIpos): m/z = 209 [M+H]+.
【0117】
実施例7A
4−クロロ−6−ヒドラジノピリミジン
【化25】

撹拌しながら、室温で、ヒドラジン水和物11.8ml(12.1g、241.6mmol)を、エタノール300ml中の4,6−ジクロロピリミジン20.0g(134.3mmol)の溶液に滴下して添加する。ヒドラジン水和物の添加中に溶液が濁ったら、さらなる溶媒(エタノール約400ml)を添加する。反応溶液を室温でさらに12時間撹拌する。後処理に、沈殿した固体を濾過し、フィルターの残渣を各場合で150mlの水で2回、そして、各場合で100mlのジエチルエーテルで2回洗浄し、生成物を減圧下で乾燥させる。濃縮した母液からさらなる結晶性画分を得る。
収量:16.8g(理論値の87%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.17 分; MS (ESIpos): m/z = 145 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.81 (s, 1H), 8.17 (br. s, 1H), 6.75 (s, 1H), 4.48 (br. s, 2H).
【0118】
実施例8A
4−ヒドラジノ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン
【化26】

【0119】
段階a):4−クロロ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン
【化27】

水100ml中の4,6−ジクロロピリミジン10.0g(67.1mmol)およびピペリジン5.7g(67.1mmol)の混合物を、115℃の浴温度で16時間撹拌する。室温に冷却後、沈殿を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。
収量:6.4g(理論値の47%)
LC-MS (方法 4): Rt = 2.16 分; MS (ESIpos): m/z = 198 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.29 (s, 1H), 6.92 (s, 1H), 3.65-3.58 (m, 4H), 1.66-1.62 (m, 2H), 1.60-1.48 (m, 4H).
【0120】
段階b):4−ヒドラジノ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン
【化28】

撹拌しながら、室温で、ヒドラジン水和物17.7ml(18.2g、364.2mmol)を、エタノール50ml中の4−クロロ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン6.0g(30.4mmol)の溶液に滴下して添加する。反応溶液を80℃でさらに16時間撹拌する。後処理に、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水中で撹拌し、沈殿した固体を濾過し、フィルターの残渣を各場合で150mlの水で2回、そして、各場合で100mlのジエチルエーテルで2回洗浄し、生成物を減圧下で乾燥させる。
収量:4.0g(理論値の69%)
LC-MS (方法 1): Rt = 2.06 分; MS (ESIpos): m/z = 194 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.91 (s, 1H), 7.54 (br. s, 1H), 5.89 (s, 1H), 4.11 (br. s, 2H), 3.50-3.47 (m, 4H), 1.61-1.58 (m, 2H), 1.51-1.46 (m, 4H).
【0121】
実施例9A
4−(6−ヒドラジノピリミジン−4−イル)モルホリン
【化29】

【0122】
段階a):4−(6−クロロピリミジン−4−イル)モルホリン
【化30】

4,6−ジクロロピリミジン45.0g(302.1mmol)を、先ず、水450mlに加える。モルホリン26.3g(302.1mmol)を添加し、混合物を90℃で16時間撹拌する。次いで、混合物を0℃に冷却し、形成される沈殿を濾過する。沈殿を水50mlで1回洗浄し、空気乾燥させる。
収量:51.0g(理論値の85%)
LC-MS (方法 4): Rt = 1.09 分; MS (ESIpos): m/z = 200 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 3.62 (s, 8H).
【0123】
段階b):4−(6−ヒドラジノピリミジン−4−イル)モルホリン
【化31】

4−(6−クロロピリミジン−4−イル)モルホリン53.0g(0.27mol)を、先ず、エタノール260mlに加える。ヒドラジン水和物132.9g(2.7mol)を添加し、混合物を還流下で16時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、溶媒の半分を蒸留により除去する。次いで、混合物を0℃に冷却し、形成される固体を濾過する。固体を冷たいエタノールで洗浄し、先ず空気乾燥させ、次いで減圧下で乾燥させる。
収量:35.0g(理論値の68%)
LC-MS (方法 1): Rt = 0.17 分; MS (ESIpos): m/z = 196 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.94 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 5.91 (s, 1H), 4.15 (s, 2H), 3.66-3.60 (m, 4H), 3.45-3.37 (m, 4H).
【0124】
実施例10A
エチル(5−ブロモピリジン−3−イル)アセテート
【化32】

エタノール30ml中の(5−ブロモピリジン−3−イル)酢酸5.0g(23.1mmol)および濃硫酸25滴を、沸点で16時間撹拌する。後処理に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、半濃縮重炭酸ナトリウム溶液で繰り返し洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾過し、溶媒をロータリーエバポレーターで完全に除去し、生成物を減圧下で16時間乾燥させる。
収量:5.2g(理論値の91%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.48 分; MS (ESIpos): m/z = 246 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.59 (d, 1H), 8.48 (d, 1H), 8.00 (dd, 1H), 4.11 (q, 2H), 3.78 (s, 2H), 1.21 (t, 3H).
【0125】
実施例11A
エチル3−(ジメチルアミノ)−2−(5−ブロモピリジン−3−イル)アクリレート
【化33】

実施例10Aの化合物5.1g(20.9mmol)を、ジメチルホルムアミドジエチルアセタール7.2ml(6.2g、41.8mmol)中、浴温度100℃で16時間撹拌する。冷却後、混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジイソプロピルエーテル中で撹拌し、固体を濾過し、最後にジイソプロピルエーテルで洗浄する。粗生成物を減圧下で16時間乾燥させる。
収量:6.1g(理論値の73%)
LC-MS (方法 7): Rt = 1.86 分; MS (ESIpos): m/z = 299 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.49 (d, 1H), 8.29 (d, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.61 (s, 1H), 4.02 (q, 2H), 2.71 (s, 6H), 1.12 (t, 3H).
【0126】
実施例12A
2−ヒドラジノピラジン
【化34】

クロロピラジン20.0g(174.6mmol)を、ヒドラジン水和物61.7g(1.2mol)に滴下して添加し、混合物を120℃で45分間撹拌する。次いで、混合物を2℃で24時間静置する。固体を濾過し、石油エーテルで2回洗浄する。固体を先ず空気乾燥させ、次いで高真空下で乾燥させる。次いで、固体をトルエンから再結晶し、再度高真空下で乾燥させる。
収量:6.5g(理論値の34%)
LC-MS (方法 1): Rt = 0.41 分; MS (ESIpos): m/z = 111 [M+H]+.
【0127】
実施例13A
2−ヒドラジノキノキサリン
【化35】

2−クロロキノキサリン15.0g(91.1mmol)を、先ず、エタノール150mlに加える。ヒドラジン水和物45.6g(911.3mmol)を添加し、混合物を還流下で16時間撹拌する。次いで、混合物を0℃に冷却し、形成される固体を濾過し、エタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。
収量:11.5g(理論値の79%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.75 分; MS (ESIpos): m/z = 161 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.70 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.60-7.50 (m, 2H), 7.37-7.28 (m, 1H), 4.50-4.38 (m, 2H).
【0128】
実施例14A
2−ヒドラジノキノリン
【化36】

2−クロロキノリン21.0g(128.4mmol)を、先ず、エタノール210mlに加える。ヒドラジン水和物64.3g(1.3mol)を添加し、混合物を還流下で16時間撹拌する。次いで、混合物を0℃に冷却し、形成される固体を濾過し、少量のエタノールで洗浄する。生成物を先ず空気乾燥させ、次いで高真空下で乾燥させる。
収量:14.5g(理論値の71%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.95 分; MS (ESIpos): m/z = 160 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.08 (br. s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.57-7.43 (m, 2H), 7.16 (t, 1H), 6.85 (d, 1H), 4.35 (br. s, 2H).
【0129】
例示的実施態様:
実施例1
2−(6−ピペリジン−1−イル−ピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化37】

実施例3Aの化合物137mg(621μmol)、4−ヒドラジノ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン[Postovskii, I.Ya., Smirnova, N.B., Doklady Akademii Nauk SSSR 1966, 166, 1136-1139; Chem. Abstr. 64:93457 (1966)]100mg(517μmol)およびカンファー−10−スルホン酸12mg(52μmol)を、無水エタノール3.5mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。これにより、表題化合物108mg(理論値の58%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.27 (s, 1H), 8.85 (d, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.45 (d, 1H), 7.93 (dd, 1H), 7.41 (s, 1H), 3.83-3.70 (m, 4H), 1.73-1.56 (m, 6H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.13 分; MS (ESIpos): m/z = 323 [M+H]+.
【0130】
下記表1に列挙する化合物は、実施例1と同様に、適する出発物質から製造する。各々の粗生成物を、分取HPLCにより、0.1%濃塩酸を添加して、またはせずに、精製できる(方法A)。代替的後処理では、冷却後、形成される沈殿を吸引濾過し、エタノールおよび/またはジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させ、必要に応じて、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加するか、またはしない)による入念な精製に付す(方法B)。
【0131】
表1
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

【0134】
re:対応するヒドラジノピリミジン誘導体の合成:
a):対応するヒドラジノピリミジンの合成は、実施例6Aと同様に実施できる;
b):2−ヒドラジノ−6−トリフルオロメトキシベンゾチアゾール:S. Mignani et al., Synth. Commun. 1992, 22, 2769-2780;
c):2−ヒドラジノ−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−チアジアゾール:S. Turner et al., J. Med. Chem. 1988, 31, 902-906;
d):2−ヒドラジノ−4,5−ジメチルチアゾール:Beyer et al., Chem. Ber. 1954, 87, 1385;
e):5−クロロ−2−ヒドラジノ−4−トリフルオロメチルチアゾールおよび5−クロロ−4−シアノ−2−ヒドラジノチアゾール:DE3940794−A1;
f):5−ヒドラジノ−3−メチルチオ−1,2,4−チアジアゾール:K.T. Potts, R. Armbruster, J. Heterocycl. Chem. 1972, 9, 651-7.
【0135】
実施例14
2−(6−ピロリジン−1−イルピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化38】

実施例3Aの化合物148mg(670μmol)、4−ヒドラジノ−6−ピロリジン−1−イルピリミジン[Postovskii, I.Ya., Smirnova, N.B., Doklady Akademii Nauk SSSR 1966, 166, 1136-1139; Chem. Abstr. 64:93457 (1966)]100mg(558μmol)およびカンファー−10−スルホン酸13mg(56μmol)を、無水エタノール3.7mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣をエタノール5mlに取り、21%強度エタノール性ナトリウムメトキシド溶液0.25ml(837μmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。1M塩酸の添加により、次いで、pHを5−6に調節し、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。これにより、表題化合物30mg(理論値の16%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.26 (s, 1H), 8.83 (d, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.43 (d, 1H), 7.92 (dd, 1H), 7.09 (s, 1H), 3.75-3.45 (m, 4H), 2.10-1.91 (m, 4H).
LC-MS (方法 4): Rt = 0.94 分; MS (ESIpos): m/z = 309 [M+H]+.
【0136】
下表2に列挙する化合物は、実施例14と同様に、適する出発物質から製造する。あるいは、使用する塩基は、適量のメタノール性ナトリウムメトキシド溶液であり得、使用する溶媒は、メタノールであり得、精製は、0.1%濃塩酸を添加しない分取HPLCにより実施し得る。
【0137】
表2
【表5】

【0138】
g):4−ヒドラジノ−6−ピペリジン−1−イルピリミジン,4−ヒドラジノ−6−ピロリジン−1−イルピリミジンおよび4−ヒドラジノ−6−モルホリン−4−イルピリミジン:Postovskii, I.Ya., Smirnova, N.B., Doklady Akademii Nauk SSSR 1966, 166, 1136-1139; Chem. Abstr. 64:93457 (1966).
【0139】
実施例18
2−(6−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化39】

実施例3Aの化合物677mg(3.07mmol)、4−ヒドラジノ−6−モルホリン−4−イルピリミジン[Postovskii, I.Ya., Smirnova, N.B., Doklady Akademii Nauk SSSR 1966, 166, 1136-1139; Chem. Abstr. 64:93457 (1966)]500mg(2.56mmol)およびカンファー−10−スルホン酸60mg(256μmol)を、無水エタノール20mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を少量のエタノールで懸濁し、沈殿を吸引濾過し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、メタノールに再懸濁し、過剰の1,4−ジオキサン中の4N塩化水素溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。これにより、表題化合物423mg(理論値の46%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.29 (s, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.57-8.55 (m, 2H), 8.50 (d, 1H), 7.96 (dd, 1H), 7.47 (s, 1H), 5.20-4.40 (m, 4H), 3.77-3.70 (m, 4H).
LC-MS (方法 3): Rt = 0.94 分; MS (ESIpos): m/z = 325 [M+H]+.
【0140】
実施例19
2−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化40】

実施例3Aの化合物146mg(663μmol)、実施例6Aの化合物115mg(552μmol)およびカンファー−10−スルホン酸13mg(55μmol)を無水エタノール5mlに溶解し、混合物を還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。得られる標的生成物と中間体の混合物を、無水エタノール5mlに溶解し、30%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液109mg(607μmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、混合物を1M塩酸で中和し、濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。この時に得られる標的生成物と中間体の混合物を、再度無水エタノール5mlに溶解し、30%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液99mg(552μmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、混合物を再度1M塩酸で中和し、濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により精製する。これにより、表題化合物9mg(理論値の4%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.1 (s, 1H), 9.30 (s, 1H), 8.84 (d, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.93 (dd, 1H), 7.64 (s, 1H), 4.62-4.50 (m, 2H), 3.57-3.44 (m, 4H), 3.18-3.05 (m, 2H), 2.81 (s, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 1.97 分; MS (ESIpos): m/z = 338 [M+H]+.
【0141】
実施例20
2−(4−ヒドロキシキナゾリン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化41】

実施例3Aの化合物200mg(908μmol)、2−ヒドラジノキナゾリン−4(3H)−オン133mg(757μmol)およびカンファー−10−スルホン酸18mg(76μmol)を、無水エタノール5mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させ、沈殿を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加する)により予精製する。生成物画分を濃縮し、過剰の1,4−ジオキサン中の4N塩化水素溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、表題化合物75mg(理論値の28%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.10 (s, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.21 (d, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.74 (t, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.48-7.42 (m, 1H), 7.35 (t, 1H).
LC-MS (方法 1): Rt = 2.61 分; MS (ESIpos): m/z = 306 [M+H]+.
【0142】
実施例21
2−[5−(4−フルオロフェニル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化42】

実施例3Aの化合物200mg(908μmol)、2−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドラジノ−1,3,4−チアジアゾール[製造には、WO2001/062208参照]159mg(757μmol)およびカンファー−10−スルホン酸18mg(76μmol)を、無水エタノール5mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、沈殿を分離し、濾液を濃縮し、フィルターの残渣をアセトニトリルで洗浄し、過剰の1,4−ジオキサン中の4N塩化水素溶液を添加する。再濃縮後、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、表題化合物80mg(理論値の31%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.27 (s, 1H), 8.79 (d, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.06-8.00 (m, 2H), 7.86 (dd, 1H), 7.43-7.36 (m, 2H).
LC-MS (方法 1): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 340 [M+H]+.
【0143】
実施例22
2−(6−フェニルピリダジン−3−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化43】

実施例3Aの化合物142mg(644μmol)、3−ヒドラジノ−6−フェニルピリダジン100mg(537μmol)およびカンファー−10−スルホン酸13mg(54μmol)を、無水エタノール4mlに溶解し、還流下で終夜加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、メタノールとアセトニトリルの混合物を残渣に添加し、1M塩酸の添加によりpHを5に調節する。沈殿を吸引濾過し、乾燥させる。これにより、表題化合物123mg(理論値の65%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.40 (s, 1H), 8.97-8.92 (m, 2H), 8.83 (d, 1H), 8.64 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.21-8.15 (m, 2H), 7.98 (dd, 1H), 7.64-7.54 (m, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.24 分; MS (ESIpos): m/z = 316 [M+H]+.
【0144】
実施例23
2−(6−クロロピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化44】

室温で、実施例7Aの化合物30.0g(207.5mmol)および実施例3Aの化合物50.3g(228.3mmol)を、氷酢酸1000ml中で16時間撹拌する。後処理に、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を酢酸エチルに取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液で中性まで洗浄し、有機相を減圧下で濃縮する。残渣をエタノール1000mlに溶解し、30%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液42.8ml(41.1g、228.3mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、1N塩酸を使用して反応混合物をpH5に調節し、16時間撹拌する。沈殿を濾過し、フィルターの残渣を水およびエタノールで洗浄し、生成物を減圧下で乾燥させる。
収量:43.5g(理論値の77%)
LC-MS (方法 1): Rt = 2.19 分; MS (ESIpos): m/z = 274 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.18 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.20 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.22 (t, 1H).
【0145】
実施例24
2−(6−ヒドロキシピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化45】

16時間にわたり、実施例7Aの化合物2.8g(19.6mmol)および実施例3Aの化合物4.3g(19.6mmol)を、氷酢酸50ml中、沸点(浴温度125℃)で撹拌する。後処理に、得られる沈殿を濾過し、フィルターの残渣をジエチルエーテルで洗浄し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。フィルターの残渣をエタノール50mlに溶解し、21%強度エタノール性ナトリウムメトキシド溶液18.5ml(2.7g、39.2mmol)を添加し、溶液を室温で16時間撹拌する。次いで、1N塩酸を使用して反応混合物をpH5に調節し、室温で2時間撹拌し、次いで沈殿を濾過し、フィルターの残渣を水およびエタノールで洗浄し、生成物を減圧下で乾燥させる。
収量:2.0g(理論値の40%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.84 分; MS (ESIpos): m/z = 256 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.80 (br. s, 1H), 9.18 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.48 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.76 (dd, 1H), 7.22 (s, 1H).
【0146】
実施例25
2−{6−[(2−メトキシエチル)アミノ]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化46】

実施例23の化合物100mg(0.4mmol)、2−メトキシエチルアミン64μl(55mg、0.7mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン127μl(94mg、0.7mmol)を、n−ブタノール3ml中、還流下で1.5時間撹拌する。次いで、溶媒をロータリーエバポレーターで完全に除去する。残渣をジエチルエーテル/メタノールと撹拌し、沈殿を濾過し、フィルターの残渣をジエチルエーテルで洗浄する。固体を1N塩酸1.5ml中で撹拌し、再度濃縮し、生成物を減圧下で乾燥させる。
収量:87mg(理論値の68%)
LC-MS (方法 1): Rt = 2.11 分; MS (ESIpos): m/z = 313 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, D2O): δ = 8.98 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.47-8.32 (m, 1H), 8.26 (d, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.81 (t, 1H), 6.91 (s, 1H), 3.73-3.43 (m, 4H), 3.31 (s, 3H).
【0147】
実施例26
2−{6−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化47】

水素化ナトリウム99mg(0.4mmol、60%、鉱油中)を、N,N−ジメチルエタノールアミン35μl(31mg、0.4mmol)および無水THF2mlの溶液に添加し、混合物を10分間撹拌する。無水THF3mlに懸濁した実施例23の化合物100mg(0.4mmol)、および、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド6mg(0.02mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、1N塩酸および水を添加し、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をメタノール中で撹拌する。沈殿した固体を濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。フィルターの残渣をジエチルエーテル中で撹拌し、沈殿を濾過し、フィルターの残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)によりさらに精製する。得られる標的化合物のギ酸塩を、1M塩酸2mlの添加および再濃縮により、塩酸塩に変換する。
収量:121mg(理論値の96%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.83 分; MS (ESIpos): m/z = 327 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, D2O): δ = 9.34 (s, 1H), 8.85 (d, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.54 (d, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.02 (dd, 1H), 7.73 (s, 1H), 4.92-4.40 (m, 2H), 3.69 (t, 2H), 3.01 (s, 6H).
【0148】
実施例27
4−ピリジン−3−イル−2−[6−(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化48】

実施例23の化合物100mg(0.4mmol)および4−ピロリジン−1−イルピペリジン113mg(0.7mmol)を、先ず、THF3mlに加える。反応混合物を、シングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)で、120℃で24分間反応させる。次いで、冷却した反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)によりクロマトグラフィーする。ジオキサン中の4N塩化水素溶液1mlを、得られる表題化合物のギ酸塩に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、懸濁液を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる。
収量:166mg(理論値の98%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.92 分; MS (ESIpos): m/z = 392 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.45 (s, 1H), 9.48-9.28 (m, 1H), 8.88 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.49 (d, 1H), 8.47 (dd, 1H), 7.50 (s, 1H), 3.57-3.27 (m, 5H), 3.21-2.93 (m, 3H), 2.87-2.83 (m, 1H), 2.28-2.14 (m, 2H), 2.08-1.68 (m, 6H).
【0149】
実施例28
2−{6−[4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化49】

実施例23の化合物100mg(0.4mmol)およびN−(メトキシエチル)ピペラジン113mg(0.7mmol)を、先ず、THF3mlに加える。反応混合物をシングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)中、120℃で20分間反応させる。次いで、冷却した反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)によりクロマトグラフィーする。ジオキサン中の4N塩化水素溶液1mlを、得られる標的化合物のギ酸塩に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、懸濁液を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる。
収量:124mg(理論値の98%)
LC-MS (方法 8): Rt = 0.82 分; MS (ESIpos): m/z = 382 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.41 (br. s, 1H), 9.86 (br. s, 1H), 9.34 (s, 1H), 8.92 (d, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.57 (d, 1H), 7.99 (dd, 1H), 7.62 (s, 1H), 3.82-3.71 (m, 4H), 3.68-3.28 (m, 9H), 3.26-3.10 (m, 2H).
【0150】
実施例29
2−{6−[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化50】

実施例23の化合物200mg(0.7mmol)および4−(N−(ジメチルアミノ)ピペリジン187mg(1.5mmol)を、先ず、THF3mlに加える。反応混合物をシングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)で、180℃で5分間反応させる。次いで、冷却した反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)によりクロマトグラフィーする。ジオキサン中の4N塩化水素溶液1mlを、得られる標的化合物のギ酸塩に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、懸濁液を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる。
収量:257mg(理論値の80%)
LC-MS (方法 9): Rt = 0.76 分; MS (ESIpos): m/z = 366 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.32-11.05 (m, 1H), 9.34 (s, 1H), 9.03 (br. s, 1H), 8.87 (d, 1H), 8.58 (s, 2H), 8.49 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.51 (s, 1H), 4.62-4.58 (m, 1H), 3.59-3.33 (m, 2H), 3.13-3.09 (m, 1H), 2.90-2.88 (m, 1H), 2.71 (s, 6H), 2.14-2.10 (m, 2H), 1.95-1.91 (m, 1H), 1.69-1.67 (m, 1H).
【0151】
下記表3に列挙する化合物は、適する出発物質から、下記の反応条件および後処理の方法を使用して得られる:
1当量の例示的化合物23を、THF中で、2当量の適するアミンと、シングルモードのマイクロ波(Emrys Optimizer)中、10−30分間、120℃で反応させる。使用する出発物質がアミン成分のアンモニウム塩であるならば、1当量のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加する。濃縮した反応混合物からの各々の粗生成物の精製を、イソプロパノール中でのトリチュレーションにより実施する。得られる沈殿を濾過し、フィルターの残渣をイソプロパノールおよび/またはジイソプロピルエーテルで洗浄し、標的生成物を遊離塩基として得る(方法A)。代替的後処理では、濃縮した濾液または濃縮した反応溶液を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。次いで、ジオキサン中の4N塩化水素溶液を、得られるギ酸塩に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、懸濁液を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる(方法B)。
【0152】
あるいは、1当量の例示的化合物23および2当量のアミン成分をTHFに溶解し、180℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)で、5分間反応させる。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。次いで、ジオキサン中の4N塩化水素溶液を、得られる標的化合物のギ酸塩に添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、懸濁液を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる(方法C)。
【0153】
表3
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
実施例42
4−(5−ブロモピリジン−3−イル)−2−(6−ピペリジン−1−イルピリミジン−4−イル)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化51】

100℃で、実施例11Aの化合物500mg(1.7mmol)、実施例8Aの化合物323mg(1.7mmol)およびp−トルエンスルホン酸58mg(0.3mmol)を、エタノール2ml中で、16時間撹拌する。室温に冷却後、ジオキサン中の4N塩化水素溶液0.5mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。沈殿を濾過し、先ずエタノールで、次いでジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。
収量:260mg(理論値の36%)
LC-MS (方法 7): Rt = 2.22 分; MS (ESIpos): m/z = 401 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.12 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.53-8.46 (m, 3H), 7.42 (s, 1H), 3.83-3.63 (m, 4H), 1.73-1.54 (m, 6H).
【0159】
実施例43
4−(5−ブロモピリジン−3−イル)−2−(6−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化52】

100℃で、実施例11Aの化合物500mg(1.7mmol)、実施例9Aの化合物326mg(1.7mmol)およびp−トルエンスルホン酸58mg(0.3mmol)を、エタノール4ml中、16時間撹拌する。室温に冷却後、ジオキサン中の4N塩化水素溶液0.5mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。沈殿を濾過し、先ずエタノールで、次いでジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。
収量:235mg(理論値の32%)
LC-MS (方法 7): Rt = 1.85 分; MS (ESIpos): m/z = 403 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.12 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.56-8.50 (m, 3H), 7.49 (s, 1H), 3.75-3.67 (m, 8H).
【0160】
実施例44
5−[3−オキソ−2−(6−ピペリジン−1−イルピリミジン−4−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化53】

DMF2ml中の実施例42の化合物100mg(0.2mmol)、シアン化亜鉛20mg(0.2mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8mg(0.007mmol)を、全部で75分間、220℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)中で反応させる。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をギ酸に取り、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を水に添加する)により精製する。得られるギ酸塩を、ジオキサン中の4N塩化水素溶液0.5mlの添加により塩酸塩に変換する。生成物を先ず酢酸エチルで、次いでジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。
収量:22mg(理論値の25%)
LC-MS (方法 7): Rt = 1.97 分; MS (ESIpos): m/z = 348 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.34 (s, 1H), 8.73-8.59 (m, 2H), 8.54-8.37 (m, 2H), 7.41 (s, 1H), 3.77-3.58 (m, 4H), 1.75-1.49 (m, 6H).
【0161】
実施例45
5−[2−(6−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化54】

DMF2ml中の実施例43の化合物100mg(0.2mmol)、シアン化亜鉛20mg(0.2mmol)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8mg(0.007mmol)を、220℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(Emrys Optimizer)中、全部で105分間反応させる。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をギ酸に取り、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を水に添加する)により精製する。得られるギ酸塩を、ジオキサン中の4N塩化水素溶液0.5mlの添加より塩酸塩に変換する。
収量:11mg(理論値の13%)
LC-MS (方法 7): Rt = 1.64 分; MS (ESIpos): m/z = 350 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.36 (s, 1H), 8.75-8.64 (m, 2H), 8.59-8.49 (m, 2H), 7.49 (s, 1H), 3.76-3.65 (m, 8H).
【0162】
実施例46
2−ピラジン−2−イル−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化55】

実施例12Aの化合物441mg(2.0mmol)および実施例3Aの化合物220mg(2.0mmol)を、先ず、エタノール10mlに加える。カンファー−10−スルホン酸93mg(0.4mmol)を添加し、混合物を還流下で5時間撹拌する。混合物を室温に放冷し、形成される固体を濾過し、少量のエタノールで1回洗浄する。次いで、ジオキサン中の4N塩化水素溶液10mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:260mg(理論値の47%)
LC-MS (方法 1): Rt = 1.93 分; MS (ESIpos): m/z = 240 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.70 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 9.08 (d, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.70 (d, 1H), 8.61 (s, 2H), 8.08 (dd, 1H).
【0163】
実施例47
4−ピリジン−3−イル−2−キノキサリン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化56】

実施例3Aの化合物1.5g(6.8mmol)および実施例13Aの化合物1.0g(6.8mmol)を、先ず、エタノール35mlに加える。カンファー−10−スルホン酸316mg(1.4mmol)を添加し、混合物を還流下で6時間撹拌する。次いで、混合物を0℃に冷却し、形成される固体を濾過し、エタノールで洗浄する。次いで、ジオキサン中の4N塩化水素溶液10mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:470mg(理論値の21%)
LC-MS (方法 11): Rt = 1.22 分; MS (ESIpos): m/z = 290 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.03 (s, 1H), 9.45 (s, 1H), 9.10-9.05 (m, 2H), 8.70 (d, 1H), 8.14 (d, 1H), 8.11-8.02 (m, 2H), 7.92 (dd, 1H), 7.85 (dd, 1H).
【0164】
実施例48
4−ピリジン−3−イル−2−キノリン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化57】

実施例14Aの化合物750mg(3.4mmol)および実施例3Aの化合物542mg(3.4mmol)を、先ず、エタノール17.5mlに加える。p−トルエンスルホン酸130mg(0.7mmol)を添加し、混合物を還流下で16時間撹拌する。次いで、混合物を放冷し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をDMSO6mlおよび水10mlの混合物中で30分間撹拌し、固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。次いで、ジオキサン中の4N塩化水素溶液10mlを添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:750mg(理論値の65%)
LC-MS (方法 12): Rt = 1.14 分; MS (ESIpos): m/z = 289 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.40 (s, 1H), 9.03 (d, 1H), 8.85 (s, 1H), 8.71-8.57 (m, 3H), 8.12-8.02 (m, 3H), 7.88 (dd, 1H), 7.64 (dd, 1H).
【0165】
実施例49
2−(6−アゼチジン−1−イルピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化58】

実施例23の化合物150mg(0.5mmol)およびアゼチジン63mg(1.1mmol)を、エタノール4ml中で懸濁し、120℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中、40分間反応させる。固体を濾過し、各場合で0.5mlのエタノールで2回洗浄し、廃棄する。母液を洗浄溶液と合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%TFAを添加する)により精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を還流下、エタノール中、20分間撹拌し、次いで熱いまま濾過する。得られる固体を高真空下で乾燥させる。
収量:45mg(理論値の28%)
LC-MS (方法 9): Rt = 0.38 分; MS (ESIpos): m/z = 295 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.19 (s, 1H), 8.64 (d, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.41 (d, 2H), 7.75 (dd, 1H), 6.88 (s, 1H), 4.20 (dd, 4H), 2.46-2.38 (m, 2H).
【0166】
実施例50
2−[6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化59】

実施例23の化合物100mg(0.4mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン94mg(0.7mmol)およびアゼチジン−3−オール塩酸塩80mg(0.7mmol)を、THF3ml中で懸濁し、120℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中、20分間反応させる。次いで、エタノール2mlを添加し、混合物を再度シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中で20分間反応させる。次いで、混合物を先ず120℃でさらに60分間、次いで175℃で60分間、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中で反応させる。次いで、混合物を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%TFAを添加する)により直接分離する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。次いで、残渣をジオキサン中の4N塩化水素溶液5ml中、30分間撹拌する。固体を濾過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。
収量:26mg(理論値の20%)
LC-MS (方法 7): Rt = 0.92 分; MS (ESIpos): m/z = 311 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.25 (s, 1H), 8.84 (d, 1H), 8.50-8.42 (m, 3H), 7.94 (dd, 1H), 6.93 (s, 1H), 4.70-4.62 (m, 1H), 4.43 (dd, 2H), 3.95 (dd, 2H).
【0167】
実施例51
2−[6−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化60】

実施例23の化合物100mg(0.4mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン94mg(0.7mmol)および3,3−ジフルオロアゼチジン塩酸塩95mg(0.731mmol)を、エタノール3mlに懸濁し、120℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中、40分間反応させる。次いで、溶媒を除去し、残渣をDMSO6mlに取る。未溶解の成分を濾過により除去し、得られる溶液を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%TFAを添加する)により精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。次いで、残渣をジオキサン中の4N塩化水素溶液5ml中で30分間撹拌する。固体を濾過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。
収量:64mg(理論値の44%)
LC-MS (方法 7): Rt = 1.13 分; MS (ESIpos): m/z = 331 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.32 (s, 1H), 8.91 (d, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.60-8.53 (m, 2H), 7.97 (dd, 1H), 7.26 (s, 1H), 4.66 (dd, 4H).
【0168】
実施例52
tert−ブチル{1−[6−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]アゼチジン−3−イル}カルバメート
【化61】

実施例23の化合物200mg(0.7mmol)およびtert−ブチルアゼチジン−3−イルカルバメート252mg(1.5mmol)を、エタノール6ml中に懸濁し、120℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中、40分間反応させる。形成される固体を濾過し、各場合で0.5mlのエタノールで2回洗浄し、高真空下で乾燥させる。
収量:227mg(理論値の76%)
LC-MS (方法 9): Rt = 0.72 分; MS (ESIpos): m/z = 410 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.05 (s, 1H), 9.45 (s, 1H), 9.40 (s, 1H), 9.32 (d, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.36 (dd, 1H), 4.55-4.45 (m, 1H), 4.35 (t, 2H), 3.98-3.91 (m, 2H), 1.40 (s, 9H).
【0169】
実施例53
2−[6−(3−アミノアゼチジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オンビストリフルオロアセテート
【化62】

実施例52の化合物200mg(0.5mmol)を、ジクロロメタン5mlに溶解し、TFA111mg(1.0mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌する。さらに1.10g(9.8mmol)のTFAを添加し、混合物を再度室温で5時間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、各回5mlのジクロロメタンを添加し、次いでロータリーエバポレーターで再度濃縮することにより、残渣をジクロロメタン中で2回続けて撹拌する。次いで、同様に、混合物をtert−ブチルメチルエーテル中で2回、メタノール中で1回撹拌し、次いで、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:249mg(理論値の95%)
LC-MS (方法 7): Rt = 0.72 分; MS (ESIpos): m/z = 310 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.24 (s, 1H), 8.71 (d, 1H), 8.60-8.51 (m, 3H), 8.47 (d, 1H), 7.77 (dd, 1H), 7.10 (s, 1H), 4.46 (dd, 2H), 4.25-4.15 (m, 3H).
【0170】
実施例54
2−[6−(3−アミノアゼチジン−1−イル)ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化63】

実施例53の化合物278mg(0.5mmol)を、ジオキサン中の4N塩化水素溶液10ml中、30分間撹拌する。次いで、固体を濾過し、各場合で0.5mlのtert−ブチルメチルエーテルで2回洗浄し、高真空下で乾燥させる。
収量:188mg(理論値の95%)
LC-MS (方法 7): Rt = 0.74 分; MS (ESIpos): m/z = 310 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.29 (s, 1H), 8.89-8.75 (m, 4H), 8.59 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.10 (s, 1H), 4.50-4.42 (m, 2H), 4.28-4.20 (m, 3H).
【0171】
実施例55
2−(6−{[6−(ジエチルアミノ)ヘキシル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化64】

2.7g(10.0mmol)の例示的化合物23を、n−ブタノール60mlに溶解し、原液として提供する。
N,N−ジエチルヘキサン−1,6−ジアミン17mg(0.1mmol)を先ず加え、上記の原液600μl(0.1mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)35μl(26mg、0.2mmol)を続けて添加する。反応混合物を120℃で16時間撹拌する。後処理に、n−ブタノールを蒸発させる。残渣をDMSOに取り、濾過する。濾液を分取LC−MS(方法13)により精製する。生成物画分を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる。
収量:3mg(理論値の7%)
LC-MS (方法 13): Rt = 1.24 分; MS (ESIpos): m/z = 410 [M+H]+.
【0172】
実施例55の手順と同様に、表4に列挙する化合物を、0.1mmolの例示的化合物23および0.1mmolの適するアミンから製造する:
表4
【表11】

【0173】
【表12】

【0174】
【表13】

【0175】
【表14】

【0176】
【表15】

【0177】
【表16】

【0178】
【表17】

【0179】
実施例88
2−[6−(3−フェニルプロポキシ)ピリミジン−4−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化65】

2.3g(10.0mmol)の例示的化合物23を、THF30mlに溶解し、原液として提供する。
水素化ナトリウム(60%、鉱油中)5mg(0.1mmol)を、THF300μl中の3−フェニルプロパン−1−オール14mg(0.1mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で10分間振盪する。上記の原液300μl(0.1mmol)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド2mg(0.1mmol)の添加後、反応混合物を室温で16時間撹拌する。後処理に、溶媒を蒸発させる。残渣をDMSOに取り、濾過する。濾液を分取LC−MS(方法13)により精製する。生成物画分を減圧下で濃縮し、残渣を乾燥させる。
収量:4mg(理論値の10%)
LC-MS (方法 13): Rt = 1.85 分; MS (ESIpos): m/z = 374 [M+H]+.
【0180】
実施例88の手順と同様に、表5に列挙する化合物を、0.1mmolの例示的化合物23および0.1mmolの適するアルコールから製造する:
表5
【表18】

【0181】
【表19】

【0182】
実施例100
2−{6−[(アゼチジン−3−イルメチル)アミノ]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化66】

【0183】
段階a):tert−ブチル3−({[6−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−4−イル]アミノ}メチル)アゼチジン−1−カルボキシレート
【化67】

実施例23の化合物300mg(1.1mmol)を、先ず、エタノール6mlに加える。tert−ブチル3−(アミノメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート408mg(2.2mmol)を添加し、混合物を先ず40分間120℃で、次いでさらに40分間150℃で、シングルモードのマイクロ波オーブン(CEM Explorer)中で反応させる。次いで、固体を濾過し、メタノールで2回洗浄し、廃棄し、洗浄液を母液と合わせる。これらをロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント)により精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣354mgを得、これは、LC−MSおよびH−NMRによると、約50%の純度の表題化合物に相当し、そのままさらに反応させる。
【0184】
段階b):2−{6−[(アゼチジン−3−イルメチル)アミノ]ピリミジン−4−イル}−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化68】

上記で得られる中間体301mgを、先ず、ジクロロメタン3mlに加え、TFA1.1ml(14.2mmol)を、室温で撹拌しながら添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物をメタノールで希釈し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。さらなるメタノールを添加し、混合物を再度濃縮し、この手順をもう2回繰り返す。次いで、残渣を室温で、tert−ブチルメチルエーテル中、30分間撹拌し、固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。次いで、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%TFAを水に添加する)により精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をジオキサン中の4N塩化水素溶液4ml中で30分間撹拌する。固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。
収量:29mg(理論値の18%)
LC-MS (方法 7): Rt = 0.21 分; MS (ESIpos): m/z = 324 [M+H]+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.36 (s, 1H), 9.33 (s, 1H), 8.89 (d, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.56 (d, 1H), 8.50 (br. s, 3H), 8.03 (s, 1H), 7.94 (dd, 1H), 4.40 (dd, 1H), 4.30 (dd, 1H), 3.70-3.60 (m, 2H), 3.02-2.92 (m, 2H), 2.75-2.65 (m, 1H).
【0185】
B. 薬理活性の評価
本発明による化合物の薬理特性は、以下のアッセイで立証できる:
略号:
【表20】

【0186】
1. HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼ阻害剤の活性および選択性を決定するためのインビトロ試験
1.a)HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性の阻害:
ヒドロキシル化HIFは、フォンヒッペル・リンダウタンパク質−エロンジンB−エロンジンC複合体(VBC複合体)に特異的に結合する。この相互作用は、保存されているプロリルラジカルでHIFがヒドロキシル化されている場合にのみ生じる。それは、HIFプロリルヒドロキシラーゼ活性の生化学的測定の基礎である。本試験は、記載された通りに実施する[Oehme F., Jonghaus W., Narouz-Ott L., Huetter J., Flamme I., Anal. Biochem. 330 (1), 74-80 (2004)]:
【0187】
NeutrAvidin HBC (Pierce)で被覆した透明な96ウェルマイクロタイタープレートを、ブロッカーカゼインと30分間インキュベートする。次いで、プレートを、各回ウェル当たり200μlの洗浄バッファー(50mM Tris、pH7.5、100mM NaCl、10%(v/v)ブロッカーカゼイン、0.05%(v/v)Tween 20)で3回洗浄する。ビオチン−DLDLEMLAPYIPMDDDFQL(Eurogentec, 4102 Seraing, Belgium)のペプチドを、400nMの濃度で、洗浄バッファー100μl中で添加する。このペプチドは、プロリルヒドロキシル化の基質として働き、マイクロタイタープレートに結合する。60分間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ブロッカーカゼイン中の1mMビオチンと30分間インキュベートし、次いで、洗浄バッファーで再度3回洗浄する。
【0188】
プロリルヒドロキシラーゼ反応を実施するために、プレートに結合したペプチド基質を、プロリルヒドロキシラーゼを含有する細胞溶解物と共に1ないし60分間インキュベートする。反応は、100μlの反応バッファー(20mM Tris、pH7.5、5mM KCl、1.5mM MgCl、1μM−1mM 2−オキソグルタレート、10μM FeSO、2mMアスコルビン酸塩)中、室温で行う。反応混合物は、さらに、様々な濃度の試験しようとするプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を含有する。試験物質は、好ましくは、排他的にではないが、1nMないし100μMの濃度で用いる。洗浄バッファーでプレートを3回洗浄することにより、反応を停止する。
【0189】
プロリルヒドロキシル化の定量的測定のために、80μlの結合バッファー(50mM Tris、pH7.5、120mM NaCl)中の大腸菌由来のチオレドキシンおよびVBC複合体の両方を含有する融合タンパク質を添加する。15分後、結合バッファー中のウサギ由来ポリクローナル抗チオレドキシン抗体の溶液10μlを添加する。さらに30分後、結合バッファー中のホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した抗ウサギ免疫グロブリンの溶液10μlを添加する。室温で30分間インキュベートした後、結合していないVBC複合体および抗体を除去するために、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄する。結合したVBC複合体の量を測定するために、プレートをTMBと15分間インキュベートする。呈色反応を、1M硫酸100μlの添加により終わらせる。結合したVBC複合体の量は、450nmでの吸光度の測定により決定する。それは、ペプチド基質中のヒドロキシル化プロリンの量に比例する。
【0190】
あるいは、ユーロピウムに結合したVBC複合体(Perkin Elmer)を、プロリルヒドロキシル化の検出に使用できる。この場合、結合したVBC複合体の量は、時間に対する蛍光により測定する。[35S]−メチオニンで標識されたVBC複合体の使用もさらに可能である。このために、放射性標識VBC複合体を、網状赤血球の溶解物におけるインビトロ転写−翻訳により調製できる。
【0191】
実施態様の実施例は、この試験において、HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性を30μMのIC50値で阻害する。実施態様の実施例についての代表的なIC50値を、下表1に再現する:
表1
【表21】

【0192】
1.b)細胞の機能的インビトロ試験:
本発明による化合物の活性を、組換え細胞株を利用して定量する。この細胞は、元々は、ヒト肺癌細胞株(A549、ATCC: American Type Culture Collection, Manassas, VA 20108, USA)に由来する。試験細胞株を、人工最小プロモーターの制御下にフォチナス・ピラリス(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ(以下、ルシフェラーゼと呼ぶ)のレポーター遺伝子を含有するベクターで、安定に形質移入する。最小プロモーターは、TATAボックスの上流に2個の低酸素応答エレメントを含む[Oehme F., Ellinghaus P., Kolkhof P., Smith T.J., Ramakrishnan S., Huetter J., Schramm M., Flamme I., Biochem. Biophys. Res. Commun. 296 (2), 343-9 (2002)]。低酸素(例えば、1%酸素の存在下で24時間培養する)の影響下で、または、非選択的ジオキソゲナーゼ阻害剤(例えば濃度100μMのデスフェリオキサミン、濃度100μMの塩化コバルトまたは濃度1mMのN−オキサリルグリシンジエチルエステル)の作用下で、試験細胞株はルシフェラーゼを産生し、それは、適する生物発光試薬(例えば Steady-Glo(登録商標) Luciferase Assay System, Promega Corporation, Madison, WI 53711, USA)および適当なルミノメーターを利用して検出および定量できる。
【0193】
試験方法:試験前日に、384−または1,536−ウェルマイクロタイタープレート中の正確に算出された量の培養培地(DMEM、10%FCS、2mMグルタミン)に細胞を播き、細胞インキュベーター中で維持する(96%大気湿度、5%v/vCO、37℃)。試験当日に、試験物質を漸加的濃度で培養培地に添加する。負の対照に供するバッチの細胞には、試験物質を添加しない。細胞の阻害剤に対する感受性を測定するための正の対照として、例えばデスフェリオキサミンを最終濃度100μMで添加する。試験物質をマイクロタイタープレートのウェルに移してから6ないし24時間後に、得られる光シグナルをルミノメーターで測定する。測定値を利用して用量/効果の関係をプロットする。これは、最大半量の活性濃度(EC50値と呼ばれる)決定の基礎として役立つ。
【0194】
1.c)遺伝子発現の変化についての細胞の機能的インビトロ試験:
試験物質による処理後のヒト細胞株における特異的mRNAの発現の変化を調べるために、以下の細胞株を6または24ウェルプレートで培養する:ヒト肝臓癌細胞(HUH, JCRB Cell Bank, Japan)、ヒト胎児由来腎臓線維芽細胞(human embryonal kidney fibroblast)(HEK/293, ATCC, Manassas, VA 20108, USA)、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa, ATCC, Manassas, VA 20108, USA)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC, Cambrex, East Rutherford, New Jersey 07073, USA)。試験物質添加の24時間後、細胞をリン酸緩衝塩水で洗浄し、適当な方法(例えば Trizol(登録商標)試薬、Invitrogen GmbH, 76131 Karlsruhe, Germany)を使用して、それらから総RNAを得る。
【0195】
典型的な分析実験のために、かくして得られた総RNA各1μgを、DNaseIで分解し、適する逆転写反応(ImProm-II Reverse Transcription System, Promega Corporation, Madison, WI 53711, USA)を使用して、相補DNA(cDNA)に翻訳する。かくして得られたcDNAバッチの2.5%を、各場合でポリメラーゼ連鎖反応に使用する。調べようとする遺伝子のmRNAの発現レベルを、ABI Prism 7700 配列検出装置(Applied Biosystems, Inc.)を使用して、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を利用して調べる [TaqMan-PCR; Heid C.A., Stevens J., Livak K.J., Williams P.M., Genome Res. 6 (10), 986-94 (1996)]。ここで使用するプライマー−プローブの組合せは、Primer Express 1.5 Software (Applied Biosystems, Inc.)を利用して生じさせる。特に、エリスロポエチン、カルボアンヒドラーゼIX、ラクテートデヒドロゲナーゼAおよび血管内皮細胞増殖因子のmRNAを調べる。
【0196】
本発明による物質は、ヒト起源の細胞において、低酸素誘導遺伝子のmRNAの有意な用量依存的増加を導く。
【0197】
2. 心血管系の作用を検出するためのインビボ試験
2.a)遺伝子発現の変化についてのインビボ試験:
適当な溶媒に溶解した試験化合物を、マウスまたはラットに、胃管投与により経口で、腹腔内に、または、静脈内に投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。対照動物は、溶媒のみを受容する。試験物質投与の4、8または24時間後、動物をイソフルランの過剰投与および続く頸部の骨折により殺し、調べようとする器官を取り出す。器官の各部分を液体窒素中で瞬間凍結(shock-freeze)する。B.1.a)で記載した通りに、器官の各部分から総RNAを得、これをcDNAに翻訳する。調べようとする遺伝子のmRNA発現レベルを、ABI Prism 7700 配列検出装置 (Applied Biosystems, Inc.)を使用して、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応[TaqMan-PCR; Heid C.A., Stevens J., Livak K.J., Williams P.M., Genome Res. 6 (10), 986-94 (1996)] を利用して調べる。
【0198】
本発明による物質は、経口または非経腸投与の後に、プラセボ対照と比較して、腎臓におけるエリスロポエチンのmRNAの有意な用量依存的増加を導く。
【0199】
2.b)血清中のエリスロポエチンレベルの測定:
適当な溶媒中の試験物質を、マウスまたはラットに、腹腔内または経口で、1日1回または2回投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。プラセボ対照動物は、溶媒のみを受容する。物質投与前および最後の投与の4時間後、血液50μlを、眼窩静脈叢または尾静脈から、短時間の麻酔下で動物から取る。リチウムヘパリンの添加により、血液を非凝固性にする。遠心分離により血漿を得る。血漿中のエリスロポエチン含有量を、エリスロポエチン−ELISA(Quantikine(登録商標)mouse Epo Immunoassay, R&D Systems, Inc., Minneapolis, USA)を製造業者の指示に従い利用して測定する。マウスエリスロポエチンについて確認された参照測定を利用して、測定値をpg/mlに変換する。
【0200】
本発明による物質は、経口または非経腸投与の後に、開始時の値およびプラセボ対照と比較して、血漿エリスロポエチンの有意な用量依存的増加を導く。
【0201】
2.c)末梢血の細胞組成の検定:
適当な溶媒中の試験物質を、マウスまたはラットに、腹腔内または経口で、1日1回または2回、数日間投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に、例えば0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。対照動物は、溶媒のみを受容する。研究終了時に、眼の隅の静脈叢または尾静脈から、短時間の麻酔下で動物から血液を取り、クエン酸ナトリウムの添加により非凝固性にする。血液サンプル中の赤血球、白血球および血小板の濃度を、適当な電子的測定機器で測定する。網状赤血球の濃度を、各場合で1,000個の赤血球の顕微鏡によるスクリーニングにより、この目的に適する染色液 (KABE Labortechnik, Nuembrecht)で染色した血液スメアを利用して測定する。ヘマトクリットの決定のために、ヘマトクリット用キャピラリーを利用して血液を眼窩静脈叢から取り、この目的に適する遠心機におけるキャピラリーの遠心分離後に、ヘマトクリット値を手動で読み取る。
【0202】
本発明による物質は、経口および非経腸投与の後に、開始時の値およびプラセボ対照と比較して、ヘマトクリット、赤血球数および網状赤血球の有意な用量依存的増加を導く。
【0203】
C. 医薬組成物についての実施態様の実施例
本発明による化合物は、以下の通りに医薬製剤に変換できる。
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン (PVP 25) (BASF, Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(w/w)で造粒する。乾燥後、顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を、常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠力15kNを、打錠の推奨値として使用する。
【0204】
経口投与用の懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMC, Pennsylvania, USA のキサンタンゴム)400mgおよび水99g。
経口用懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの個別用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が終了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0205】
経口投与用の液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口用液剤20gは、本発明による化合物100mgの個別用量に相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物の溶解が完了するまで、撹拌操作を継続する。
【0206】
i.v.液剤:
本発明による化合物を、飽和溶解度より低い濃度で生理的に許容し得る溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に溶解する。溶液を濾過滅菌に付し、無菌かつパイロジェン不含の注射容器に移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、式
【化2】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Aは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Aが同時にNを表し、
そして、
Eは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Eが同時にNを表す}
のヘテロアリール基を表し、
は、式
【化3】

{ここで、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Gは、個々にC−RまたはNを表し、
Jは、O、SまたはN−Rを表し、
Lは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、多くとも2個の環構成員Lが同時にNを表し、
そして、
Mは、個々にC−RまたはNを表し、ここで、全部で1個または2個の環構成員MがNを表す}
のヘテロアリール基を表し
〔ここで、R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、そして、各場合で相互に独立して、水素を表すか、または、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(i)(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、オキソ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし10員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより各場合で一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したアルキルラジカルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよく、
(iii)R10、R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R26、R27、R29、R30およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したヘテロシクロアルキルラジカルは、(C−C)−アルキルからなる群からの同一かまたは異なる2個までの置換基により置換されていてもよく、
(iv)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24、R28およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
かつ/または、ここで、
(v)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25、R27およびR28並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
は、各個別の場合で、相互に独立して、水素を表すか、または、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
そして、
は、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(i)(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、オキソ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、(C−C)−アルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、−C(=O)−R10、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−SO−R26、−SO−NR2728、−OR29、−SR30および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより各場合で一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したアルキルラジカルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよく、
ここで、
(a)R10、R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R26、R27、R29、R30およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、
(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし7員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
(b)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24、R28およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
かつ/または、
(c)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25、R27およびR28並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよい〕、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す]
の化合物、並びにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、式
【化4】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
4AおよびR4Bは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
ここで、上述の(C−C)−アルキルラジカルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
が、式
【化5】

{ここで、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
Gは、各場合でC−RまたはNを表し、2個の環構成員Gのうち1個以下がNを表し、
Jは、OまたはSを表し、
Mは、各場合でC−RまたはNを表し、2個の環構成員Mの一方がNを表し、他方がC−Rを表し、
ここで、
およびRは、各個別の場合で、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−OR29および−NR3132からなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(i)(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、−C(=O)−OR11、−C(=O)−NR1213、−O−C(=O)−R14、−O−C(=O)−NR1516、−NR17−C(=O)−R18、−NR19−C(=O)−OR20、−NR21−C(=O)−NR2223、−NR24−SO−R25、−OR29および−NR3132からなる群から選択される同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよく、
ここで、直前に言及したシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニルおよびヘテロアリールラジカルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる2個までの置換基により各場合で置換されていてもよく、
(ii)(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよく、
(iii)R11、R12、R14、R15、R18、R20、R22、R25、R29およびR31は、相互に独立して、個々に水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択されるラジカルを表し、ここで、
(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から3個までの同一かまたは異なる置換基により各場合で置換されていてもよく、
そして、
(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−シクロアルキル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換ないし三置換されていてもよく、
(iv)R13、R16、R17、R19、R21、R23、R24およびR32は、相互に独立して、個々に水素および(C−C)−アルキルからなる群から選択されるラジカルを表し、
ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、ここで、
(v)R12およびR13、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R22およびR23、R24およびR25並びにR31およびR32は、各場合で、一対として、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、それは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
そして、
は、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表す}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
は、水素またはメチルを表す、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
が、式
【化6】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルを表す}
のヘテロアリール基を表し、
が、式
【化7】

{式中、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し、ここで、
(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはアミノにより置換されていてもよく、
そして、
4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
が、水素を表す、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
式中、
が、式
【化8】

{式中、
*は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルを表す}
のヘテロアリール基を表し、
が、式
【化9】

{式中、
#は、ジヒドロピラゾロン環への結合点を表し、
そして、
、R6AおよびR6Bは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素を表すか、または、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールからなる群から選択される置換基を表し、ここで、
(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはアミノにより置換されていてもよく、
そして、
4員ないし6員のヘテロシクロアルキル、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により各場合で一置換または二置換されていてもよい}
のヘテロアリール基を表し、
そして、
が、水素を表す、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化10】

(式中、RおよびRは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて酸の存在下、式(III)
【化11】

(式中、Rは請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化12】

(式中、Z、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、これらは、これらの反応条件下で既に、または、塩基の作用下の後続の反応段階において、式(I)の化合物に環化しており、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項6】
が水素を表す請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、先ず、式(V)
【化13】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
はメチルまたはエチルを表す)
の化合物を、式(VI)
【化14】

(式中、Zは、メチルまたはエチルを表す)
の化合物と縮合し、式(VII)
【化15】

(式中、ZおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、それを、酸の存在下、式(III)
【化16】

(式中、Rは請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化17】

(式中、Z、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、これらは、これらの反応条件下で既に、または、塩基の作用下の後続の反応段階において、Rが水素を表す式(I)の化合物に環化していることを特徴とする、方法。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ベータ受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、PDE阻害剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、利尿剤、アスピリン、鉄サプリメント、ビタミンB12および葉酸サプリメント、スタチン類、ジギタリス(ジゴキシン)誘導体、腫瘍化学療法剤および抗生物質からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬。
【請求項11】
心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防のための、請求項9または請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物または請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の医薬の有効量を使用する、ヒトおよび動物における心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2010−507606(P2010−507606A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533700(P2009−533700)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008977
【国際公開番号】WO2008/049538
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】