説明

薄膜トランジスタ及びその製造方法

【課題】低温成膜可能な酸化物で半導体膜を形成した逆スタガ型薄膜トランジスタであって、半導体膜上に形成した保護膜の紫外線等に対する耐光性と耐環境安定性を向上させてなる薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上にパターン形成されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上にパターン形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4上にパターン形成されたソース電極6S及びドレイン電極6Dと、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆う保護膜7とを有するボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10であって、保護膜7を、酸化物半導体材料で形成する。このとき、酸化物半導体膜4及び保護膜7が、InMZnO(MはGa,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物である酸化物半導体材料からなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、低温成膜可能な酸化物で半導体膜を形成した逆スタガ型薄膜トランジスタであって、その薄膜トランジスタの保護膜を酸化物半導体材料で形成してチャネル保護膜又は紫外線遮光膜とした薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)を搭載する薄膜トランジスタ基板は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置用の駆動素子基板として用いられている。薄膜トランジスタには、逆スタガ型(ボトムゲート)や順スタガ型(トップゲート)等の構造形態があり、また、薄膜トランジスタを構成する半導体膜としては、アモルファスシリコン半導体膜やポリシリコン半導体膜が一般的に適用されている。しかし、アモルファスシリコン半導体膜は、特性が安定しているものの移動度が小さく、一方、ポリシリコン半導体膜は、移動度が高いものの高温(例えば600℃以上)の熱処理工程を必要とする。
【0003】
近年、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタの研究が活発に行われている。特許文献1では、In、Ga、Znからなる酸化物(「IGZO」と略す。)の多結晶薄膜を薄膜トランジスタの半導体膜に用いた例が提案され、非特許文献1と特許文献2では、IGZOの非晶質薄膜を薄膜トランジスタの半導体膜に用いた例が提案されている。これらのIGZOを半導体膜に用いた薄膜トランジスタは、室温での低温成膜が可能であり、プラスチック基板等の非耐熱性基板に熱ダメージを与えることなく形成が可能であるとされている。
【0004】
前記したIGZO系の酸化物半導体は、低温で形成される非晶質材料であるにもかかわらず、比較的高い移動度を有するため、近年注目されている。また、IGZO系の酸化物半導体は可視光に対する透過率が高い透明材料であるとともに、ITO等の従来公知の透明導電材料をゲート電極、ソース電極又はドレイン電極とした場合であっても良好な電気的な接触特性が得られることから、透明材料のみを用いた透明薄膜トランジスタも検討されている。
【0005】
薄膜トランジスタには逆スタガ型構造と順スタガ型構造があるが、逆スタガ型の薄膜トランジスタにおいては、半導体膜のチャネル領域を保護するために半導体膜上に保護膜を設けている。例えば特許文献5では、半導体膜上にSiO膜やSiO膜を保護膜として設けている。また、特許文献6では、半導体膜上にシラン化合物等の有機無機複合化合物や有機酸からなる保護膜を設けている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K.Nomura et.al., Nature, vol.432, p.488-492(2004)
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−103957号公報
【特許文献2】特表2005−88726号公報
【特許文献3】特開2007−220816号公報
【特許文献4】特開2007−250983号公報
【特許文献5】特開2008−53356号公報
【特許文献6】特開2007−158146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、SiO膜やSiO膜等の保護膜や、有機無機複合化合物や有機酸からなる保護膜は、大気中に曝されたときの酸素や水蒸気に対する安定性に劣ったり、紫外線等の光を透過し、保護対象であるチャネル領域の半導体膜の特性が劣化したりするおそれがある。特に長期に使用すると半導体膜の特性が劣化することが予想される。こうした特性劣化は、薄膜トランジスタとしての信頼性を損なうおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、低温成膜可能な酸化物で半導体膜を形成した逆スタガ型薄膜トランジスタであって、半導体膜上に形成した保護膜の紫外線等に対する耐光性と耐環境安定性を向上させてなる薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、光、特に紫外光に対する薄膜トランジスタの特性変動と、環境(酸素や水蒸気)に対する薄膜トランジスタの特性変動とを検討している過程で、IGZO系の酸化物半導体を、逆スタガ型薄膜トランジスタを構成する半導体膜のほかに、保護膜として用いることで、チャネル保護膜又は紫外線遮光膜として有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の第1の観点に係る薄膜トランジスタは、基板上にパターン形成されたゲート電極と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上にパターン形成された酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜上にパターン形成されたソース電極及びドレイン電極と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記酸化物半導体膜を少なくとも覆う保護膜とを有するボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタであって、前記保護膜は、酸化物半導体材料で形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の第2の観点に係る薄膜トランジスタは、基板上にパターン形成されたゲート電極と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上にパターン形成されたソース電極及びドレイン電極と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記ゲート絶縁膜を少なくとも覆うようにパターン形成された酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜を少なくとも覆う保護膜とを有するボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタであって、前記保護膜は、酸化物半導体材料で形成されていることを特徴とする。
【0013】
これら第1及び第2の観点に係る発明によれば、薄膜トランジスタを構成する保護膜が、酸化物半導体材料で形成されている。この酸化物半導体材料からなる保護膜は、可視光領域では良好な光透過性を有し、一方、紫外光領域では良好な遮光性を有するので、従来の保護膜であるSiO膜や有機無機複合化合物膜に比べて薄膜トランジスタ特性(すなわち半導体特性)の劣化を効果的に防ぐことができる。特に、その保護膜は、紫外光に対する半導体特性の劣化を防ぎ、水蒸気や酸素ガスに対する半導体特性の大気安定性を向上させるので、その保護層を備えた薄膜トランジスタは、長期信頼性に優れたものとなる。そうした保護膜は、ソース電極及びドレイン電極間に露出する酸化物半導体膜を少なくとも覆う(第1の観点に係る発明)又は最上層として露出する酸化物半導体膜を少なくとも覆う(第2の観点に係る発明)ので、酸化物半導体膜が紫外線や大気雰囲気に曝されることによって特性が低下するのを抑制できる。さらに、この発明によれば、保護膜を酸化物半導体膜と同じ酸化物半導体材料で成膜することもできるので、コストを実現した薄膜トランジスタを提供できる。
【0014】
本発明に係る薄膜トランジスタにおいて、前記酸化物半導体膜及び保護膜が、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物からなることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、保護膜がInMZnOを含むアモルファス酸化物からなるので、特に可視光領域で良好な光透過性を示し、紫外光領域で良好な遮光性を示すので、薄膜トランジスタ特性(半導体特性)の劣化をより効果的に防ぐことができる。特にMがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましい。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の第1の観点に係る薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極をパターン形成する工程と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜をパターン形成する工程と、該酸化物半導体膜上にソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記酸化物半導体膜を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の観点に係る薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極をパターン形成する工程と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記ゲート絶縁膜を少なくとも覆う酸化物半導体膜をパターン形成する工程と、該酸化物半導体膜を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
これら第1及び第2の観点に係る発明によれば、薄膜トランジスタを構成する保護膜を、酸化物半導体材料で形成する。この酸化物半導体材料からなる保護膜は、可視光領域では良好な光透過性を有し、一方、紫外光領域では良好な遮光性を有するので、製造された薄膜トランジスタは、従来の保護膜であるSiO膜や有機無機複合化合物膜を保護膜として設けた薄膜トランジスタに比べ、薄膜トランジスタ特性(半導体特性)の劣化を効果的に防ぐことができる。特に、その保護層は、紫外光に対する半導体特性の劣化を防ぎ、水蒸気や酸素ガスに対する酸化物半導体膜の半導体特性の大気安定性を向上させるので、その保護膜を備えた薄膜トランジスタは、長期信頼性に優れたものとなる。本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法では、そうした保護膜が、ソース電極及びドレイン電極間に露出する酸化物半導体膜を少なくとも覆う(第1の観点に係る発明)又は最上層として露出する酸化物半導体膜を少なくとも覆う(第2の観点に係る発明)ので、酸化物半導体膜が紫外線や大気雰囲気に曝されることによって特性が低下するのを抑制できる。さらに、この発明によれば、保護膜を酸化物半導体膜と同じ酸化物半導体材料で成膜することもできるので、低コストを実現した薄膜トランジスタを提供できる。
【0019】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体膜及び保護膜が、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物からなることが好ましい。
【0020】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する工程であることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、酸化物半導体膜をアルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成するので、得られた酸化物半導体膜中の酸素欠損を少なくすることができる。その結果、キャリア濃度の低い絶縁性の酸化物半導体膜を得ることができるので、その後の保護膜の形成をRFスパッタリング法で行って酸化物半導体膜のキャリア濃度をアップさせてその半導体特性を調整することができる。
【0022】
この場合において、前記保護膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で保護膜を形成する工程であることが好ましい。
【0023】
この発明によれば、保護膜を、前記した酸化物半導体膜と同じく、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成するので、別の成膜チャンバーを用いたり、別のガス雰囲気等で成膜したりすることが不要となり、低コスト化を実現できる。さらに、保護膜を形成するRFスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度をアップさせて半導体特性に移行させることができる。特に、保護膜をRFスパッタリング法で形成するのが好ましい酸化物半導体膜のキャリア濃度は、1015ion/cm未満の場合である。
【0024】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体膜の形成工程が、アルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する工程であることが好ましい。
【0025】
この発明によれば、酸化物半導体膜をアルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成するので、得られた酸化物半導体膜は酸素欠損が多くなる。その結果、得られた酸化物半導体膜はキャリア濃度が活性層に適した酸化物半導体膜となる。
【0026】
この場合において、前記保護膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でDCスパッタリング法で保護膜を形成する工程であることが好ましい。
【0027】
この発明によれば、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中で保護膜を形成するDCスパッタリング法を適用したので、そのDCスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度はあまり影響されない。なお、保護膜をDCスパッタリング法で形成するのが好ましい酸化物半導体膜のキャリア濃度は、1015ion/cm以上の場合である。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法によれば、可視光領域では良好な光透過性を有し、一方、紫外光領域では良好な遮光性を有する酸化物半導体材料で保護膜が設けられているので、得られた薄膜トランジスタは、従来の保護膜であるSiO膜や有機無機複合化合物膜を保護膜として設けた薄膜トランジスタに比べ、薄膜トランジスタ特性(半導体特性)の劣化を効果的に防ぐことができる。特に、その保護膜は、紫外光に対する半導体特性の劣化を防ぎ、水蒸気や酸素ガスに対する半導体特性の大気安定性を向上させるので、その保護膜を備えた薄膜トランジスタは、長期信頼性に優れたものとなる。さらに、本発明によれば、保護膜を酸化物半導体膜と同じ酸化物半導体材料で成膜することもできるので、低コストを実現した薄膜トランジスタを提供できる。
【0029】
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、酸化物半導体膜をアルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成して、酸素欠損の少ない酸化物半導体膜を形成した場合には、キャリア濃度の低い絶縁性の酸化物半導体膜を得ることができる。このとき、保護膜を、酸化物半導体膜と同様、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成するので、別の成膜チャンバーを用いたり、別のガス雰囲気等で成膜したりすることが不要となり、低コスト化を実現できる。さらに、保護膜を形成するRFスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度をアップさせて半導体特性に移行させることができる。
【0030】
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、酸化物半導体膜をアルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成して、酸素欠損の多い酸化物半導体膜を形成するので、キャリア濃度が活性層に適した酸化物半導体膜を得ることができる。このとき、保護膜を、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でDCスパッタリング法で形成するので、そのDCスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度をあまり変化させないで活性層に適した酸化物半導体膜とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る薄膜トランジスタの一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係る薄膜トランジスタの他の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る薄膜トランジスタの更に他の一例を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法の各工程を示す模式的な説明図である。
【図5】本発明で適用するアモルファス酸化物(a−IGZO)の透過率の波長依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0033】
本発明は、逆スタガ型の薄膜トランジスタに関し、具体的には、図1〜図3に示すように、ボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10A,10B又はボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cに関するものである。なお、以下において、逆スタガ型の薄膜トランジスタを符号10で表すことがある。以下では、本発明に係る薄膜トランジスタの構成を図1〜図3を参照しつつ説明するとともに、併せて薄膜トランジスタの製造方法を図4を参照しつつ説明する。
【0034】
本発明に係る薄膜トランジスタ10は、図1〜図3に示すように、基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極6S及びドレイン電極6D、及び保護膜7が設けられた逆スタガ型の薄膜トランジスタである。
【0035】
このうち、ボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10A,10Bは、図1及び図2に示すように、基板1上にパターン形成されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上にパターン形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4上にパターン形成されたソース電極6S及びドレイン電極6Dと、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆う保護膜7とを有するものであり、ボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cは、図3に示すように、基板1上にパターン形成されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3と、ゲート絶縁膜3上にパターン形成されたソース電極6S及びドレイン電極6Dと、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出するゲート絶縁膜3を少なくとも覆うようにパターン形成された酸化物半導体膜4と、酸化物半導体膜4を少なくとも覆う保護膜’とを有するものである。そして、本発明の特徴は、保護膜7が、酸化物半導体材料で形成されていることにあり、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4’を覆う(ボトムゲートトップコンタクト構造)、又は最上層として露出する酸化物半導体膜4を覆う(ボトムゲートボトムコンタクト構造)とともに、ソース電極6S及びドレイン電極6Dを覆うように設けられていることにある。
【0036】
本発明において、「上に」とは、そのものの上に直に設けられていることを意味し、直に設けられていない場合は「上方に」と言い分ける。また、「覆う」とは、そのものの上に直接設けられるとともに、そのものの周りにも設けられていることを意味する。「同一材料」とは、成膜時の材料が同じであることを意味する。
【0037】
こうした形態からなる逆スタガ型の薄膜トランジスタ10の製造方法は、逆スタガ型構造が図1及び図2に示すボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10A,10Bであるか、図3に示すボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cであるかで若干異なる。
【0038】
具体的には、ボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10A,10Bの製造方法は、基板1上にゲート電極2をパターン形成する工程と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3を形成する工程と、ゲート絶縁膜3上に酸化物半導体膜4をパターン形成する工程と、酸化物半導体膜4上にソース電極6S及びドレイン電極6Dをパターン形成する工程と、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4’(図2では露出したパッシベーション膜5’)を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜7を形成する工程とを有する。なお、ボトムゲートトップコンタクト構造の場合は、酸化物半導体膜4上にソース電極6S及びドレイン電極6Dを設ける際の、酸化物半導体膜4の成膜ダメージ防ぐこと等の目的で、図2に示すように、酸化物半導体膜4上にパッシベーション膜5を設けてもよい。
【0039】
一方、ボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cの製造方法は、基板1上にゲート電極2をパターン形成する工程と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜3を形成する工程と、ゲート絶縁膜3上にソース電極6S及びドレイン電極6Dをパターン形成する工程と、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出するゲート絶縁膜3を少なくとも覆うとともにソース電極6S及びドレイン電極6D上にも酸化物半導体膜4をパターン形成する工程と、酸化物半導体膜6を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜7を形成する工程とを有する。
【0040】
本発明において、「パターン形成する」とは、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極6S及びドレイン電極6D等を薄膜トランジスタ10の構成要素として用いる場合に適した任意の平面視形状に形成することを意味し、「パターニングする」又は「所定のパターンで形成する」等に言い換えることができる。また、本発明において、「所定のパターンの」というときは、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、酸化物半導体膜4、ソース電極6S及びドレイン電極6D等の構成要素が、薄膜トランジスタ10の構成要素として用いる場合に適した任意の平面視形状であることを意味する。
【0041】
以下、本発明に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法の各構成要素について詳しく説明する。
【0042】
(基板)
基板1の種類や構造は特に限定されるものではなく、用途に応じてフレキシブルな材質や硬質な材質等が選択される。基板1は透明であってもなくてもよい。透明な基板材料としては、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。通常は、透明電極であるITO付きガラス基板やITO付きプラスチック基板等が好ましく用いられる。なお、金属膜や透明導電膜が形成されたガラス基板やプラスチック基板等を用いてもよい。
【0043】
なお、透明の定義は、薄膜トランジスタを利用する薄膜集積回路装置の用途に応じてその基準は異なるが、一基準を示せば、(i)反射率で判断する場合には、波長350nm〜650nmの可視光領域において、各膜の屈折率が約2以下で屈折率差が約0.5以下であることが透明性の点で好ましく、(ii)透過率で判断する場合には、波長350nm〜650nmの可視光領域において、各膜の消光係数kが約0.1以下と低いことが透明性の点で好ましい
【0044】
基板1の厚さは、薄膜トランジスタ10を備えた薄膜集積回路装置にフレキシブル性を持たせるか否かによっても異なり特に限定されないが、例えばICタグ等に用いるフレキシブル性の薄膜集積回路装置とする場合には、厚さ5μm〜300μmのプラスチック基板が好ましく用いられる。また、基板1の形状は特に限定されないが、チップ状、カード状、ディスク状等を挙げることができる。なお、枚葉状又は連続状の基板1上に薄膜集積回路装置を形成した後に個々のチップ状、カード状、ディスク状に分断加工してもよい。
【0045】
(ゲート電極)
ゲート電極2は、図1〜図3及び図4(A)に示すように、基板1上にパターン形成されている。ゲート電極の形成材料としては、例えば、金、銀、銅、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン等の金属膜;ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜;を好ましく挙げることができる。なお、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような透明な導電性高分子等であってもよい。
【0046】
ゲート電極2の形成は、ゲート電極材料の種類や基板1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、透明導電膜でゲート電極2を形成する場合には、成膜手段としてスパッタリング法や各種CVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。ゲート電極2の形成に低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。また、導電性高分子でゲート電極2を形成する場合には、成膜手段として真空蒸着法やパターン印刷法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。
【0047】
ゲート電極2の形成工程時には、同時に、ゲート電極用配線、グラウンド配線及び電源配線等の回路配線群を、ゲート電極2と同一材料で形成してもよい。ゲート電極2の厚さ、及び、ゲート電極2の形成時に同時に形成する回路配線群(電極や配線)の厚さは、通常、0.05μm〜0.2μm程度である。
【0048】
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜3は、図1〜図3に示すように、ゲート電極2を覆うように設けられる。ゲート絶縁膜3は、絶縁性が高く、誘電率が比較的高く、ゲート絶縁膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等を好ましく挙げることができる。また、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウム、チタン酸バリウムストロンチウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることができる。特に透明性の観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等が好ましい。
【0049】
ゲート絶縁膜3の形成は、図1〜図3及び図4(B)に示すように、ゲート絶縁膜材料の種類や基板1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、ケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等でゲート絶縁膜3を形成する場合には、成膜手段としてスパッタリング法や各種CVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。ゲート絶縁膜3の成膜に低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。なお、ゲート絶縁膜3Aの厚さは、通常、0.1μm〜0.3μm程度である。
【0050】
(酸化物半導体膜)
酸化物半導体膜4は、図1、図2及び図4(C)に示すボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10A,10Bの場合には、ゲート電極2の上方に、ゲート絶縁膜3を間に介してそのゲート絶縁膜3上にパターン形成されている。一方、図3に示すボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cの場合には、酸化物半導体膜4は、ゲート電極2の上方に、ゲート絶縁膜3を間に介してそのゲート絶縁膜3上にソース電極6S及びドレイン電極6Dをパターン形成し、その後に、ソース電極6S及びドレイン電極6Sの間を跨ぐようにパターン形成されている。
【0051】
この酸化物半導体膜4は、薄膜トランジスタを構成するチャネル領域として使用できる程度の移動度を有するものであれば、その種類は特に限定されず、現在知られている酸化物半導体膜であっても、今後発見される酸化物半導体膜であってもよい。
【0052】
酸化物半導体膜4を構成する酸化物としては、例えば、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を主たる構成元素とするアモルファス酸化物を挙げることができる。特に、MがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましく、この場合、In:Ga:Znの比が1:1:m(m<6)であることが好ましい。また、Mgをさらに含む場合においては、In:Ga:Zn1-xMgxの比が1:1:m(m<6)で0<x≦1であることが好ましい。なお、組成割合は、蛍光X線(XRF)装置によって測定したものである。
【0053】
InMZnOを含むアモルファス酸化物である酸化物半導体材料で酸化物半導体膜4を形成した場合、その酸化物半導体膜4は、特に可視光領域で良好な光透過性を示し、紫外光領域で良好な遮光性を示すので、後述するように、保護膜7として好ましく適用でき、薄膜トランジスタ特性の劣化をより効果的に防ぐことができる。特にMがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましい。そのため、ここでの酸化物半導体膜4を、後述する保護膜7と同じInMZnOを含むアモルファス酸化物で形成すれば、製造装置や工程を共通化することができ、低コストの薄膜トランジスタを製造するのに便利である。
【0054】
InGaZnO系のアモルファス酸化物については、InとGaとZnの広い組成範囲でアモルファス相を示す。この三元系でアモルファス相を安定して示す組成範囲としては、InGaZn(3x/2+3y/2+z)で比率x/yが0.4〜1.4の範囲であり、比率z/yが0.2〜12の範囲にあるように表すことができる。なお、ZnOに近い組成とInに近い組成で結晶質を示す。
【0055】
また、アモルファス酸化物が、InxGa1-x酸化物(0≦x≦1)、InxZn1-x酸化物(0.2≦x≦1)、InxSn1-x酸化物(0.8≦x≦1)、Inx(Zn,Sn)1-x酸化物(0.15≦x≦1)から選ばれるいずれかのアモルファス酸化物であってもよい。
【0056】
本発明では、後述の実施例で用いたInGaZnO系(以下「IGZO」と略す)酸化物半導体膜を好ましく挙げることができる。また、このIGZO系酸化物半導体膜には、必要に応じて、Al、Fe、Sn等を構成元素として加えたものであってもよい。このIGZO系酸化物半導体膜は、可視光を透過して透明膜となるので、透明性を要求される薄膜集積回路に好ましく用いられる。また、このIGZO系酸化物半導体膜は、スパッタリング法(特にRFスパッタリング法)により、室温から150℃程度の低温での成膜が可能であることから、ガラス転移温度が200℃未満の耐熱性に乏しいプラスチック基板に対して好ましく適用できる。
【0057】
酸化物半導体膜4がアモルファスであるか否かは、測定対象となる酸化物半導体膜に入射角度0.5°程度の低入射角によるX線回折を行った場合に、結晶質の存在を示す明瞭な回折ピークが検出されないこと、すなわち所謂ブロード(ハロー形状)パターンが見られることで確認できる。そうしたブロードパターンは、微結晶状態の酸化物半導体膜でも見られるので、この酸化物半導体膜4には、そのような微結晶状態の酸化物半導体膜も含まれるものとする。
【0058】
酸化物半導体膜4の形成は、酸化物半導体材料の種類や基板1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、成膜手段としてスパッタリング法やCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できるが、低温成膜が要求される場合には、成膜手段としてスパッタリング法(特にRFスパッタリング法)やプラズマCVD法を好ましく適用できる。
【0059】
酸化物半導体膜4の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、30nm〜100nmの範囲内であることがより好ましい。
【0060】
特に本発明では、酸化物半導体膜の形成工程に、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法(いわゆる高周波スパッタリング法のことで、RFマグネトロンスパッタリング法も含む。)を適用することが好ましい。こうして成膜された酸化物半導体膜4は、膜中の酸素欠損が少なくなり、キャリア濃度の低い絶縁性の酸化物半導体膜を得ることができる。その結果、その後の保護膜7の形成をRFスパッタリング法で行い、キャリア濃度を上げる方向に調整することができるという利点がある。
【0061】
一方、酸化物半導体膜の形成工程に、アルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法を適用してもよい。このガス条件下でRFスパッタリング法で成膜した酸化物半導体膜4は、膜中の酸素欠損が多くなり、キャリア濃度が活性層として適した酸化物半導体膜となる。そのため、アルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法を適用して酸化物半導体膜4を成膜した場合、その後の保護膜の形成時には、スパッタリング時に酸素欠損を生じさせずにキャリア濃度に影響しないDCスパッタリング法を適用することが好ましい。
【0062】
(パッシベーション膜)
パッシベーション膜5は、図2に示すように、ボトムゲートトップコンタクト構造の場合に酸化物半導体膜4上に設けることができる。パッシベーション膜5を設けることは、酸化物半導体膜4上に直接ソース電極6S及びドレイン電極6Dを成膜する場合にその酸化物半導体膜4が受けるダメージを低減するのに有効である。したがって、パッシベーション膜5は、酸化物半導体膜4のチャネル領域4Aを保護しつつ、ソース電極接続部4Bとドレイン電極接続部4Bとを形成するために設けられる。具体的には、パッシベーション膜5は、図2に示すように、酸化物半導体膜4にソース電極接続部4Bとドレイン電極接続部4Bとを形成する部分にコンタクトホールを形成した形態で酸化物半導体膜4を覆っている。
【0063】
パッシベーション膜5は、液状にしたシリカ(SiOの水和物)やポリイミド樹脂等のパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後にレジストを用いたパターニングで形成することができる。また、感光性を有するパッシベーション膜用材料を塗布法で成膜し、その後に露光現像して所定パターンのパッシベーション膜5を形成してもよい。こうしたパッシベーション膜5の厚さは、通常、0.1μm〜3μm程度である。
【0064】
パッシベーション膜5を設ける場合は、コンタクトホールを形成した後に活性化処理を行う。この活性化処理により、コンタクトホール部で露出した酸化物半導体膜4の導電性を高めてソース電極接続部4B及びドレイン電極接続部4Bとすることができる。導電性を高めたソース電極接続部4B及びドレイン電極接続部4Bに後述するソース電極6S及びドレイン電極6Dをパターン成膜すると、ソース電極接続部4B及びドレイン電極接続部4Bそれぞれに対するソース電極6S及びドレイン電極6Dのオーミック抵抗を低減することができる。なお、活性化処理としては、プラズマ処理は、酸化物半導体膜4に酸素欠損を生じさせる処理手段である。
【0065】
(ソース電極、ドレイン電極)
ソース電極6S及びドレイン電極6Dは、図1及び図2に示すボトムゲートトップコンタクト構造の場合には、酸化物半導体膜4上に又はコンタクトホールが形成されたパッシベーション膜5上にパターン形成されている。一方、図3に示すボトムゲートボトムコンタクト構造の場合には、上記した酸化物半導体膜4を成膜する前に、ゲート絶縁膜4上にパターン形成されている。
【0066】
ソース電極材料及びドレイン電極材料は、酸化物半導体膜4のソース電極接続部4B及びドレイン電極接続部4Bとのオーミック接触が考慮されて選択され、例えば、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜を好ましく挙げることができる。また、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等であってもよい。
【0067】
ソース電極6S及びドレイン電極6Dの形成は、電極材料の種類や基板1の耐熱性に応じた成膜手段とパターニング手段が適用される。例えば、透明導電膜でソース電極6S及びドレイン電極6Dを形成する場合には、成膜手段としてスパッタリング法や各種のCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できるが、低温成膜が要求される場合には、成膜手段として低温成膜可能なスパッタリング法やプラズマCVD法を好ましく適用できる。また、導電性高分子でソース電極6S及びドレイン電極6Dを形成する場合には、成膜手段として真空蒸着法やパターン印刷法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。
【0068】
ソース電極6S及びドレイン電極6Dの形成工程時には、同じ電極材料で、同時に、既に形成されている回路配線群への接続や新しい回路配線群の形成を行うことが好ましい。ソース電極6S及びドレイン電極6Dの厚さは、通常、0.1μm〜0.3μm程度である。
【0069】
(保護膜)
保護膜7は、図1及び図2に示すボトムゲートトップコンタクト構造の場合にはソース電極6Sとドレイン電極6Dを形成した後に、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆うように設けられている。また、図3に示すボトムゲートボトムコンタクト構造の場合には、保護膜7は、酸化物半導体膜4をパターン形成した後に、最上層として露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆うように設けられている。なお、保護膜7は、露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆っていれば、その部分を含む全面を覆うように設けても構わない。
【0070】
こうして成膜する保護膜7は、酸化物半導体材料で形成されるものであり、特に、既に説明した酸化物半導体膜4と同じ酸化物材料で形成されていることが好ましい。酸化物半導体膜4と同じ酸化物材料で形成されていることにより、酸化物半導体膜4と保護膜7とを、同じ成膜チャンバーを用いて同じ又は類似の成膜条件で成膜できるので、低コストを実現することができる。なお、この保護膜7の形成材料は既に説明した酸化物半導体膜4の形成材料である酸化物半導体材料(詳しくはアモルファス酸化物)と同じであるので、ここではその材料の詳細は省略する。なお、保護膜7が前記した酸化物半導体膜4の形成材料である酸化物半導体材料と同じ材料で形成されたものであるとの蓋然性があれば、その保護膜の特性を阻害しない範囲で、酸化物半導体材料の構成元素と異なる元素が含まれていても構わない。
【0071】
保護膜7は、酸化物半導体膜4の場合と同様、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物からなることが好ましく、特にMがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物からなることが好ましい。InMZnO(特にInGaZnO)を含むアモルファス酸化物からなる保護膜7は、特に可視光領域で良好な光透過性を示し、紫外光領域で良好な遮光性を示すので、薄膜トランジスタ特性(すなわち半導体特性)の劣化をより効果的に防ぐことができる。そのため、従来の保護膜であるSiO膜や有機無機複合化合物膜に比べて薄膜トランジスタ特性の劣化を効果的に防ぐことができるという効果がある。その結果、その保護膜7は、紫外光に対する半導体特性の劣化を防ぎ、水蒸気や酸素ガスに対する半導体特性の大気安定性を向上させるので、その保護膜7を備えた薄膜トランジスタは、長期信頼性に優れたものとなる。
【0072】
こうした保護膜7は、ソース電極6S及びドレイン電極6D間に露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆う(ボトムゲートトップコンタクト構造の場合。図1及び図2を参照。)又は最上層として露出する酸化物半導体膜4を少なくとも覆う(ボトムゲートボトムコンタクト構造の場合。図3を参照。)、ように設けられているので、酸化物半導体膜4が紫外線や大気雰囲気に曝されることによって生じる閾値の変化や、移動度の変化を抑制できる。
【0073】
保護膜7は、各種の方法で成膜できるが、スパッタリング法で成膜することが好ましい。スパッタリング法には、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法等がある。本発明ではRFスパッタリング法とDCスパッタリング法で成膜することが好ましい。
【0074】
これらについて詳しく説明する。
【0075】
RFスパッタリング法での保護膜7の成膜は、酸化物半導体材料からなる膜、好ましくは酸化物半導体膜4となるアモルファス酸化物からなる膜(アモルファス酸化物膜という。)を、アルゴンを含まないRFスパッタリング法で予め成膜した場合に行う。その理由は、アルゴンを含まないRFスパッタリング法でアモルファス酸化物膜を成膜した場合、そのアモルファス酸化物膜は酸素欠陥が少なく、キャリア濃度が1012ion/cm〜1015ion/cmと低いキャリア濃度のアモルファス酸化物膜を得ることができる。そのアモルファス酸化物膜の露出部を少なくとも覆うように保護膜7をRFスパッタリング法(アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気下)で成膜すると、アモルファス酸化物膜のキャリア濃度を例えば1016ion/cm程度に上昇させることができ、キャリア濃度が1015ion/cm〜1017ion/cmの半導体領域の酸化物半導体膜4とすることができる。
【0076】
なお、酸化物半導体膜4となるアモルファス酸化物膜をアルゴンを含むRFスパッタリング法で成膜した場合は、膜中の酸素欠陥が多くなってキャリア濃度が増し、そのままで活性層として適したキャリア濃度をもつ酸化物膜になる。そうしたアモルファス酸化物膜の露出部にRFスパッタリング法で保護膜7を成膜すると、アモルファス酸化物膜のキャリア濃度が上昇してしまい、所望の酸化物半導体膜4とすることができないという問題がある。
【0077】
一方の、DCスパッタリング法での保護膜7の成膜は、酸化物半導体膜4となるアモルファス酸化物膜を、アルゴンを含むRFスパッタリング法で予め成膜した場合に行う。その理由は、アルゴンを含むRFスパッタリング法でアモルファス酸化物膜を成膜した場合、そのアモルファス酸化物膜は酸素欠陥が多く、キャリア濃度が1015ion/cm〜1017ion/cmと高い導電性のアモルファス酸化物を得ることができる。そのアモルファス酸化物膜の露出部を少なくとも覆うように保護膜7をDCスパッタリング法(アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気下)で成膜しても、半導体膜のキャリア濃度に変化はないからである。
【0078】
保護膜の厚さは、例えば200nm〜300nmであることが好ましく、250nm〜300nmであることが好ましい。保護膜7の厚さが200nm未満では、薄すぎて十分に紫外線を吸収できないおそれがある。
【0079】
(その他の膜)
薄膜トランジスタ10には、その他の膜が形成されていてもよい。例えば、基板面に下地膜(密着膜や、熱又は不純物原子に対するバッファ膜)を設けて、ゲート電極2の密着性やゲート絶縁膜3の密着性や特性安定性を高めてもよい。下地膜としては、厚さ5nm〜10nmのクロム膜、厚さ10nm〜50nm程度の酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、及び酸窒化ケイ素膜等を好ましく挙げることができる。
【0080】
また、上記した保護膜7に加えて、他の保護膜(図示しない)を設けてもよい。ここでいう他の保護膜とは、例えば厚さ500nm〜1000nm程度のPVP(ポリビニルピロリドン)膜等や、厚さ100nm〜500nm程度の酸化ケイ素や酸窒化ケイ素等からなるガスバリア性の膜を好ましく挙げることができる。
【0081】
以上説明したように、本発明に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法は、可視光領域では良好な光透過性を有し、一方、紫外光領域では良好な遮光性を有する酸化物半導体材料で保護膜が設けられているので、得られた薄膜トランジスタは、従来の保護膜であるSiO膜や有機無機複合化合物膜を保護膜として設けた薄膜トランジスタに比べ、薄膜トランジスタ特性(半導体特性)の劣化を効果的に防ぐことができる。特に、その保護膜は、紫外光に対する半導体特性の劣化を防ぎ、水蒸気や酸素ガスに対する半導体特性の大気安定性を向上させるので、その保護膜を備えた薄膜トランジスタは、長期信頼性に優れたものとなる。さらに、この発明によれば、保護膜を酸化物半導体膜と同じ酸化物材料で成膜することもできるので、低コストを実現した薄膜トランジスタを提供できる。
【0082】
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、酸化物半導体膜をアルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成して、酸素欠損の少ない酸化物半導体膜を形成するので、キャリア濃度の低い絶縁性の酸化物半導体膜を得ることができる。このとき、保護膜を、酸化物半導体膜と同様、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成するので、別の成膜チャンバーを用いて成膜したり、別のガス雰囲気等で成膜したりすることが不要となり、低コスト化を実現できる。さらに、保護膜を形成するRFスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度をアップさせて半導体特性に移行させることができる。
【0083】
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、酸化物半導体膜をアルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で形成して、酸素欠損の多い酸化物半導体膜を形成するので、キャリア濃度が活性層に適した酸化物半導体膜を得ることができる。このとき、保護膜を、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でDCスパッタリング法で形成するので、そのDCスパッタリング時に、前記した酸化物半導体膜のキャリア濃度をあまり変化させないで活性層に適した酸化物半導体膜とすることができる。
【実施例】
【0084】
代表的な例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の例に限定解釈されることはない。
【0085】
[実施例1]
図1に示す薄膜トランジスタ10を作製した。先ず、厚さ700μmのガラスを基板1として準備し、その基板1上の全面に厚さ150nmのアルミニウム膜をDCスパッタリング法で成膜し、ゲート電極膜とした。このときのDCスパッタリング法は、出力500W、圧力0.5Pa、アルゴンガス100%の条件下で成膜した。その後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜がゲート電極2となるようにパターニングした(図4(A)参照)。
【0086】
次に、ゲート電極2を覆うように、全面に、厚さ300nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜3として全面に形成した。このゲート絶縁膜3は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、8インチのSiOターゲットに投入電力2.0kW(=3W/cm)、圧力0.3Pa、酸素ガス100%の条件で成膜した(図4(B)参照)。
【0087】
次に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物膜(InGaZnO)を厚さ25nmとなるように形成した。アモルファス酸化物膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、出力500W、圧力0.4Pa、酸素ガス100%の条件下で、4インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した。その後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アモルファス酸化物膜が酸化物半導体膜4となるように所定のパターンにパターニングした(図4(C)参照)。なお、得られた酸化物半導体膜4が、X線回折測定で、特定の結晶性ピークを有さないブロード構造を示すアモルファス相であることは、株式会社リガク社製の「SmartLab」で確認した。
【0088】
次に、酸化物半導体膜4上に、Ti膜を厚さ200nmとなるようにDCスパッタリング法で形成した。チタン膜は、DCスパッタリング装置を用い、出力900W、圧力0.5Pa、アルゴンガス100%の条件下で成膜した。その後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、Ti膜がソース電極6S及びドレイン電極6Dとなるようにパターニングした。このソース電極6S及びドレイン電極6Dは、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極2の中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した(図4(D)参照)。
【0089】
次に、上記したアモルファス酸化物膜と同じ酸化物半導体膜を保護膜として全面に成膜した。すなわち、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物膜(InGaZnO)を厚さ200nmとなるように形成した。酸化物半導体膜4の場合と同様に、アモルファス酸化物膜を、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、出力500W、圧力0.4Pa、酸素ガス100%の条件下で、4インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した(図4(E)参照)。なお、得られた薄膜トランジスタを構成する酸化物半導体膜4が、X線回折測定で、特定の結晶性ピークを有さないブロード構造を示すことを確認した。
【0090】
[実施例2]
実施例1の酸化物半導体膜4の成膜工程において、アモルファス酸化物膜の成膜条件のガス雰囲気を酸素ガス100%の雰囲気からAr:O=3:5の雰囲気に変更した条件下で行った。さらに、保護膜7の成膜工程において、RFスパッタリング法からDCスパッタリング法(圧力500W,圧力0.4Pa、酸素ガス100%の条件)に変更した条件で行った。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る薄膜トランジスタを作製した。
【0091】
[実施例3]
実施例1では、ボトムゲートトップコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Aを成膜したが、この実施例4では、図3に示すボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ10Cを作製した。成膜順が一部異なるだけで、成膜条件等は実施例1と同じとし、図3に示す薄膜トランジスタを作製した。
【0092】
[実施例4]
実施例1において、酸化物半導体膜4の成膜条件を種々変化させて、本発明の効果を奏する成膜条件の範囲を検討した。その結果、酸化物半導体膜4の成膜条件は、成膜ガスにおける酸素の割合が80%以上、成膜圧力0.6Pa以下の範囲で、キャリア濃度が1012ion/cm3〜1015ion/cm3の範囲内で、本発明の効果を示した。その範囲を外れる条件での成膜は、本発明の効果を奏さなかった。
【0093】
[比較例1]
実施例1において、保護膜7を構成するアモルファス酸化物に代えて、酸化珪素膜をRFマグネトロンスパッタリング装置で出力900W、成膜圧力0.5Pa、Ar:O=3:1の条件で厚さ100nm成膜した他は、実施例1と同様にして比較例1に係る薄膜トランジスタを作製した。
【0094】
[評価と結果]
(半導体特性の評価)
実施例1,2において、酸化物半導体膜4のキャリア濃度は、それぞれ、2.9×1012ion/cm、2.3×1012ion/cmであった。一方、比較例1では、酸化物半導体膜4のキャリア濃度は4.3×1013ion/cmであった。
【0095】
(可視光透過性、紫外光遮光性の評価)
実施例1で成膜した保護膜7の透過率を、光透過率及び反射率スペクトル測定装置(FilmTek3000、SCI社製)によって測定した。その結果を図5に示す。この結果から、保護膜7の透過率は、380nmまでは低く、80%未満であるのに対し、それを超える可視光領域では、80%以上の透過率となり、保護膜7は紫外光領域で良好な遮光特性を示し、可視光領域で良好な光透過性を示すことが確認できた。
【0096】
(耐光性の評価)
実施例1,2及び比較例1について、耐光性の評価を行った。具体的には、1000W/mの白色光を照射し、−2V〜2Vの範囲でその時の電流密度を測定した。本発明に係るアモルファス酸化物(酸化物半導体材料)からなる保護膜7ではなくて、酸化珪素からなる保護層を設けた比較例1の薄膜トランジスタに比べて、電流密度の値は約1/4となり、優れた耐光性を示した。
【符号の説明】
【0097】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 酸化物半導体膜
4’ ソース電極及びドレイン電極間で露出した酸化物半導体膜
4A 酸化物半導体膜のチャネル領域
4B 酸化物半導体膜の拡散領域(ソース電極接続部及びドレイン電極接続部)
5 パッシベーション膜
5’ ソース電極及びドレイン電極間で露出したパッシベーション膜
6 ソース電極及びドレイン電極
6S ソース電極
6D ドレイン電極
7 保護膜
10 薄膜トランジスタ
10A,10B 薄膜トランジスタ(ボトムゲートトップコンタクト構造)
10C 薄膜トランジスタ(ボトムゲートボトムコンタクト構造)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にパターン形成されたゲート電極と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上にパターン形成された酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜上にパターン形成されたソース電極及びドレイン電極と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記酸化物半導体膜を少なくとも覆う保護膜とを有する薄膜トランジスタであって、前記保護膜は、酸化物半導体材料で形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
基板上にパターン形成されたゲート電極と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上にパターン形成されたソース電極及びドレイン電極と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記ゲート絶縁膜を少なくとも覆うようにパターン形成された酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜を少なくとも覆う保護膜とを有する薄膜トランジスタであって、前記保護膜は、酸化物半導体材料で形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物半導体膜及び前記保護膜が、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物からなる、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
基板上にゲート電極をパターン形成する工程と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に酸化物半導体膜をパターン形成する工程と、該酸化物半導体膜上にソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記酸化物半導体膜を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜を形成する工程と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
基板上にゲート電極をパターン形成する工程と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極をパターン形成する工程と、該ソース電極及びドレイン電極間に露出する前記ゲート絶縁膜を少なくとも覆う酸化物半導体膜をパターン形成する工程と、該酸化物半導体膜を少なくとも覆うように、酸化物半導体材料で保護膜を形成する工程と、を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記酸化物半導体膜及び前記保護膜が、InMZnO(MはGa,Sn,Al,Feのうち少なくとも1種)を含むアモルファス酸化物からなる、請求項3又は4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記酸化物半導体膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する工程である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記保護膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で保護膜を形成する工程である、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記酸化物半導体膜の形成工程が、アルゴンを含む酸素ガス雰囲気中でRFスパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する工程である、請求項4又は5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記保護膜の形成工程が、アルゴンを含まない酸素ガス雰囲気中でDCスパッタリング法で保護膜を形成する工程である、請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−222176(P2012−222176A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86974(P2011−86974)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】