説明

表示装置及びプログラム

【課題】操作部に入力された指令が運転者によるものなのか、助手席者によるものなのかを精度良く判定し、見る角度によって異なる画像を表示する表示装置の使い勝手を向上させる。
【解決手段】助手席側画面にランダムポインタ518を表示させ、助手席者によってランダムポインタ518が触られたことを契機にして、運転者操作状態(受け付けた操作指令を運転者の操作とみなす状態)から助手席者操作状態(受け付けた操作指令を助手席者の操作とみなす状態)へ移行する。このため、運転者ではなく助手席者についての操作開始意志を確実に判定でき、その後の助手席者による操作をスムーズに受け付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視角に応じ、運転席側と助手席側とで異なる二つの画面を一の表示面に表示可能な車両用の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置に関する技術として下記の特許文献1や特許文献2に記載の技術が知られている。
特許文献1に記載の技術は、ステアリングの左右に設けられたスイッチを運転者が同時に操作した場合に(つまり、両手がハンドルに添えられている場合に)、走行中における入力操作の禁止状態(走行強制状態)を解除し、助手席の乗員に対してナビゲーション装置等の入力操作を可能にする技術である。つまり、運転者の現在状態がナビゲーション装置等の操作を行うことは不可能な状態であると推認される場合に、入力操作の禁止状態を解除するのである。したがって、その状態では運転者以外の他の乗員のみがナビゲーション装置等の操作を行うことができるため使い勝手がよい。
【0003】
また、特許文献2に記載の技術は、上記技術に類似した技術であり、パワーウインドウやワイパーやランプ等のスイッチを操作しているときに走行強制状態を解除する。また、運転中の運転者には操作不可能な操作スイッチ2つを同時に押しているときに走行強制状態を解除する。したがって、運転者が走行中に操作することを禁止しながら、助手席者のナビゲーション装置等の操作を可能にしている。
【特許文献1】特開平11−198745号公報
【特許文献2】特開2004−26050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、見る角度によって異なる画像を表示可能な表示装置が開発されている。このような表示装置を用いてナビゲーション装置を構成した場合、運転者側と助手席側とで異なった情報の表示や操作画面の表示が可能になり利便性が向上する。しかしながら、このように運転者側と助手席側とで異なった情報の表示や操作画面を表示させるようになっている場合には、操作部に入力された操作指令が、運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを区別する必要が生ずる。この場合、運転者用の操作部と助手席者用の操作部とが完全に分かれているのであれば、運転者用の操作部に入力された操作指令は運転者によるものと判定し、助手席者用の操作部に入力された操作指令は助手席者によるものと判定することができるため、区別は容易である。しかし、一般的に操作部の設置場所や設置可能面積に制限のある車室内においては、運転者用の操作部と助手席者用の操作部とを独立に設置することは難しい。
【0005】
そこで操作部を運転者と助手席者とで共用することを考える。すると、操作部に入力された指令が運転者によるものなのか、助手席者によるものなのかを何らかの方法によって判定する必要が生ずる。
【0006】
本発明は、このような前提のもと、操作部に入力された指令が運転者によるものなのか、助手席者によるものなのかを精度良く判定し、見る角度によって異なる画像を表示する表示装置の使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する請求項1に記載の表示装置は、制御手段を備え、その制御手段は、受付手段が受け付ける操作指令を運転者の操作とみなす状態である運転者操作状態と、受付手段が受け付ける操作指令を助手席者の操作とみなす状態の二状態を少なくとも有し、その状態に応じ、受付手段が受け付けた操作指令が運転者によるものなのか又は助手席者によるものなのかを判定する。そして、制御手段は、運転者操作状態において、表示手段の助手席側画面のランダムな位置にポインタを表示させ、受付手段がポインタに対する操作を受け付けると、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行する。ここで言う「ポインタ」というのは、文字、図形、文字と図形とを合わせたもの等が考えられる。
【0008】
このような表示装置によれば、ポインタは助手席者にしか見ることができず、その正確な位置を運転者が知ることができない。したがって、運転者ではなく助手席者についての操作開始意志を確実に判定できるため、その後、助手席者による操作であることを前提として助手席者による操作をスムーズに受け付けることができる。
【0009】
なお、上述した「受付手段がポインタに対する操作を受け付ける」というのは、例えば、受付手段がタッチパネルによって構成されている場合、操作者の指が当該ポインタに触れたことによって「受付手段がポインタに対する操作を受け付けた」と判定して助手席者操作状態に移行し、その後に続く操作をポインタに関係なく助手席者による操作として受け付けるようになっていてもよい。その一方で、「受付手段がポインタに対する操作を受け付けた」と判定した後に続く操作に対し、ポインタとの関係づけを強制してもよい。具体的には、制御手段は、受付手段がポインタに対してドラッグ操作を受け付けた際に、助手席者操作状態へ移行し、受付手段がポインタのドロップ操作を受け付けると、当該ドロップ位置に表示されているオブジェクトに対して助手席者の操作がなされたと判定するようになっていてもよい(請求項2)。
【0010】
このようになっていれば、助手席者にしか行うことができない操作手順が増えるため、助手席者による操作指令を、助手席者による操作としてより確実に認識することができる。
【0011】
ところで、助手席者操作状態に移行した後は、何らかの条件を満たした場合に運転者操作状態に戻すようになっているとよい。例えば、請求項3に記載のように、受付手段が最後に操作指令を受け付けてから所定時間経過したときは運転者操作状態へ移行するようになっているとよい。ここで言う「所定時間」というのは、助手席者が操作を終えたと判断できる程度の時間であり、例えば、30秒〜3分程度の時間が適していると考えられる。
【0012】
このようになっていれば、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。
【0013】
また、車両の走行状態についての情報である走行状態情報を取得する走行状態情報取得手段をさらに備えるように表示装置を構成し、制御手段は、助手席者操作状態の際に車両の速度が所定走行速度より速い速度から所定走行速度以下の速度になったと判定するとすぐに、又は判定して所定時間経過後に運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい(請求項4)。ここで言う「所定走行速度」というのは、運転者が操作を行っても問題ない程度の速度を意味し、0km/h〜5km/h程度の極低速であるとよい。また、「所定時間」は、車両が所定走行速度以下になってから、運転者が表示装置を利用して何らかの操作を開始する可能性が発生し得るまでの時間が適しており、例えば、1秒〜10秒程度の時間が考えられる。
【0014】
このようになっていても、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。
【0015】
このようにして、車両が所定走行速度以下になることにより助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行した後、再度、車両が所定走行速度より速くなった場合には、再び、助手席者操作状態に戻せるようになっているとよい。具体的には、制御手段は、車両の速度が再び所定走行速度より速い速度になったと判定すると、表示手段の助手席側画面のランダムな位置にポインタを表示させ、助手席者操作状態へ移行可能にするとよい(請求項5)。ここで言う「所定走行速度」というのは上述したものと同じである。
【0016】
このようになっていれば、助手席者が、再度、ポインタに対して操作を行うことによって、助手席者操作状態へ移行させることができる。
もっとも、車両の走行速度が所定時間内に再び所定走行速度より速い速度になった場合には、ポインタに対する操作を要求することなく、助手席者操作状態に戻してもよい(請求項6)。ここで言う「所定時間」は、車両が所定走行速度以下になることによって運転者操作状態に移行後にも助手席者にまだ助手席者操作状態であったときの操作意志が持続している程度の時間が適しており、例えば、3秒〜30秒程度の時間が考えられる。ここで言う「所定走行速度」というのは上述したものと同じである。
【0017】
このようになっていれば、例えば車両が一時停止箇所で一時停止することにより、助手席者操作状態から運転者操作状態に移行した場合でも、すぐに(所定時間内に)車両が走行を開始して所定走行速度より速くなれば、助手席者が何ら特別な操作を行うことなく、再び、操作を続行することができる。
【0018】
ところで、助手席者操作状態において、助手席者が表示手段の助手席側画面に表示されている画面を他の画面に遷移させて、操作を終了する場合が考えられる。このため、制御手段は、助手席者操作状態において、表示手段の助手席側画面に表示されている画面が他の画面に遷移すると運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい(請求項7)。ここで言う「他の画面に遷移する」というのは、例えば、ラジオ選局画面から地図表示画面やCD再生画面に遷移した場合のように、機能または表示内容の大部分が変化した場合を意味する。
【0019】
このようになっていれば、助手席者が明示的に操作を終えたことを示さなくても、運転者操作状態に移行するため、運転者操作状態に移行させるための操作が不要になる。
また、車両が停止しなくても、助手席者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させたい場合も考えられる。そこで、制御手段は、助手席者操作状態にある場合、運転者操作状態への移行を意味するボタンを表示手段の助手席側画面に表示させ、受付手段がボタンに対する操作を受け付けると、運転者操作状態へ移行するようになっているとよい(請求項8)。
【0020】
このようになっていれば、助手席者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ明示的に移行させることができるため、運転者がスムーズに操作を開始することができる。
また、同様に、運転者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させたい場合も考えられる。そこで、制御手段は、助手席者操作状態にある場合、運転者操作状態への移行を意味するボタンを表示手段の運転席者側画面に表示させ、受付手段がボタンに対する操作を受け付けると、運転者操作状態へ移行するようになっているとよい(請求項9)。
【0021】
このようになっていれば、運転者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ明示的に移行させることができるため、運転者が行いたい操作をスムーズに開始することができる。
ところで、受付手段は、タッチパネルのようなもので構成され、ポインタに対して直接的に操作者が指で触れるようになっていてもよいが、指の変わりに表示手段にカーソルを表示させ、そのカーソルを操作者が操作することによってポインタに間接的に触れるようになっていてもよい。つまり、請求項10に記載のように、受付手段は、表示手段の助手席側画面に表示されたカーソルを移動させるための操作指令を受け付け、制御手段は、表示手段の助手席側画面に表示されたカーソルがポインタに重なることにより、ポインタに対して操作があったと判定するようになっていてもよい。
【0022】
このようになっていれば、カーソルを用いて操作を行うことのメリット(例えば、細かい位置指定が容易であること等、一般的に知られたメリット)を享受することが可能になる。
【0023】
なお、ポインタに対して操作があったと判定した後は、カーソルの移動に伴い、ポインタを当該カーソルの近傍又は当該カーソルに重ねて表示させ、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行した後、再度、助手席者操作状態に移行した際には、運転者操作状態へ移行する前に表示された位置にポインタを表示させるようになっていてもよい(請求項11)。
【0024】
このようになっていれば、再度、ポインタに対して操作を行う必要が生じた際に助手席者が素早くポインタに対して操作を行うことが可能になり、使い勝手が向上する。
なお、上述した受付手段としては、表示手段と一体形成されたタッチパネルや、表示手段とは別体構成されたジョイスティック、トラックボール等の様々な入力デバイスが考えられるが、受付手段はプロンプターと呼ばれる装置によって構成されていてもよい。つまり、受付手段は、所定の撮影範囲に差し出された手の映像を撮影する撮影部を備え、撮影部の撮影範囲は、表示手段の表示面とは別の場所であるが、撮影範囲内における位置が表示面内の位置に対応しており、撮影部によって撮影された手の映像が表示手段に透過合成されるようになっていてもよい。そして、制御手段は、撮影部によって撮影された映像から、差し出された手が右手なのか左手なのかを検出し、その手による操作動作が、右手による操作動作であり、且つ、表示手段の助手席側画面に表示させたポインタに対する操作であると判定した場合に、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行するようになっているとよい(請求項12)。
【0025】
このように左右の手の情報も加味するようになっていれば、ポインタに対する操作が助手席者によるものであることを確実に判定することができる。なお、左ハンドル車である場合には、撮影部によって撮影された映像から、差し出された手が右手なのか左手なのかを検出し、その手による操作動作が、左手による操作動作であり、且つ、表示手段の助手席側画面に表示させたポインタに対する操作であると判定した場合に、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行するようになっているとよい。
【0026】
また、他にも、受付手段は、反力パターンを変更可能なハプティックデバイスによって構成されていてもよい。この場合、制御手段は、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行した場合には、ハプティックデバイスの反力パターンを助手席者用のものに変更し、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行した場合には、ハプティックデバイスの反力パターンを運転者用のものに変更するようになっているとよい(請求項13)。
【0027】
このようになっていれば、現在の制御部の状態(運転者操作状態であるのか助手席者操作状態であるのか)に対応して、操作者が自身に適した操作反力によって操作を行うことができるため、使い勝手が向上する。
【0028】
ところで、上述した課題を解決する表示装置としては請求項14に記載の表示装置でもよい。つまり、運転者及び助手席者からの操作指令を受け付ける受付手段に加え、運転者操作状態において、助手席者のみが操作可能な位置に設置された第一のスイッチが押下操作を受け付けると、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行する制御手段を備える表示装置である。
【0029】
このような表示装置によれば、第一のスイッチは運転者がその操作を行うことができない。したがって、助手席者の操作開始意志を確実に判定でき、その後の助手席者による操作をスムーズに受け付けることができる。
【0030】
ところで、助手席者操作状態に移行した後は、何らかの条件を満たした場合に運転者操作状態に戻すようになっているとよい。例えば、請求項15に記載のように、受付手段が最後に操作指令を受け付けてから所定時間経過したときは運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい。ここで言う「所定時間」というのは、助手席者が操作を終えたと判断できる程度の時間であり、例えば、30秒〜3分程度の時間が適していると考えられる。
【0031】
このようになっていれば、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。
【0032】
また、車両の走行状態についての情報である走行状態情報を取得する走行状態情報取得手段をさらに備えるように表示装置を構成し、制御手段は、走行速度情報取得手段が取得した走行速度情報に基づき、車両が所定走行速度以下であるか否かを判定し、助手席者操作状態の際に車両の速度が所定走行速度より速い速度から所定走行速度以下の速度になったと判定するとすぐに、又は判定して所定時間経過後に運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい(請求項16)。ここで言う「所定時間」は、車両が所定走行速度以下になってから、運転者が表示装置を利用して何らかの操作を開始する可能性が発生し得るまでの時間が適しており、例えば、1秒〜10秒程度の時間が考えられる。また、ここで言う「所定走行速度」というのは上述したものと同じである。
【0033】
このようになっていても、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。
【0034】
もっとも、所定時間内に所定走行速度より速い速度に戻った場合には、第一のスイッチの押下操作を要求することなく、助手席者操作状態へ移行するようになっていてもよい(請求項17)。ここで言う「所定時間」は、車両が所定走行速度以下になることによって運転者操作状態に移行後にも助手席者にまだ助手席者操作状態であったときの操作意志が持続している程度の時間が適しており、例えば、3秒〜30秒程度の時間が考えられる。ここで言う「所定走行速度」というのは上述したものと同じである。
【0035】
このようになっていれば、例えば車両が一時停止箇所で一時停止することにより、助手席者操作状態から運転者操作状態に移行した場合でも、すぐに(所定時間内に)車両が走行を開始して所定走行速度より速くなれば、助手席者が何ら特別な操作を行うことなく、再び、操作を続行することができる。
【0036】
ところで、車両の走行速度に関係なく、助手席者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させたい場合も考えられる。そこで、制御手段は、助手席者操作状態へ移行した後、再び第一のスイッチが押下操作を受け付けると、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっているとよい(請求項18)。
【0037】
このようになっていれば、車両の停止等と関係なく、助手席者の意志によって助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができ、使い勝手が向上する。
また、さらに、第一のスイッチとは別の少なくとも運転者からの押下操作を受け付ける第二のスイッチを備えるように表示装置を構成し、制御手段は、助手席者操作状態へ移行した後、第二のスイッチが押下操作を受け付けると、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい(請求項19)。
【0038】
このようになっていれば、運転者の意志によって助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができ、使い勝手が向上する。
ところで、第一のスイッチは、固定的に割り当てられたスイッチによって実現されていてもよいが(つまり、常に第一のスイッチの機能を有したスイッチは決まっていてもよいが)、非固定定期であってもよい。すなわち、第一のスイッチの代わりに、又は第一のスイッチに加え、運転者及び助手席者からの押下操作を受け付けるスイッチ群を複数備えるように表示装置を構成し、制御手段は、スイッチ群の何れかのスイッチを、前記第一のスイッチの機能に相当するスイッチとして割り当てるとともに、当該スイッチを特定するために必要な情報を表示手段に表示させるようになっていてもよい(請求項20)。
【0039】
このようになっていれば、既存のスイッチを利用することができ、その場合でも、助手席者の操作開始意志を確実に判定できる。
また、制御手段は、運転者操作状態であるか助手席者操作状態であるかを示す情報を表示手段の運転席側画面又は助手席側画面の少なくとも何れか一方に表示させるようになっているとよい(請求項21)。
【0040】
このようになっていれば、乗員は、現在の状態が運転者操作状態であるか助手席者操作状態であるかを容易に知ることができる。
また、制御手段は、助手席者操作状態では、助手席者に対する音声を助手席側のスピーカにのみ出力させるための信号を出力するようになっているとよい(請求項22)。
【0041】
助手席者操作状態において助手席者に対する音声を運転者側のスピーカに出力させる意味は乏しいと考えられる。したがって、助手席者操作状態では、助手席者に対する音声が助手席側のスピーカからのみ出力されるようになっていれば、運転者は、より運転に集中することができる。
【0042】
また、制御手段は、助手席者操作状態において、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを意味するボタンを表示手段に表示させ、受付手段がボタンに対する操作を受け付けると、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを行うようになっているとよい(請求項23)。
【0043】
このようになっていれば、例えば、助手席者が助手席側画面に表示された操作画面について不明な点がある場合に、助手席者が運転者側画面と助手席画面との入れ替えを意味するボタンを押下することによって一時的にその操作画面を運転者に見せることができるため、運転者から操作画面について説明を受けることができる。
【0044】
なお、上述した制御手段としての機能をプログラムによって実現してもよい(請求項24)。このようなプログラムを、表示装置が内蔵するコンピュータに実行させれば、上述した表示装置と同様の作用及び効果を奏する。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能である上、表示装置におけるプログラムの入れ替えは、部品の入れ替えに比較して容易である。したがって、表示装置の機能向上を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0046】
[構成の説明]
図1は、本発明の表示装置の機能が組み込まれたナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
【0047】
ナビゲーション装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置20とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車内LANに接続された各種ECU等と通信を行う車内LAN通信部33と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28,車内LAN通信部33からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27,車内LAN通信部33を制御する制御部29とを備えている。
【0048】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0049】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ(以下、「ハードスイッチ」と称す)から構成される。尚、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0050】
リモコン23aは、複数のボタンから構成されており、何れかのボタンが押下されるとそのボタンの種類に応じた信号が赤外線等の近距離無線通信を介してリモコンセンサ23bに届くように構成されている。
【0051】
リモコンセンサ23bは、リモコン23aから送られる信号を受信し、受信した信号を制御部29へ出力するようになっている。
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。
【0052】
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0053】
表示部26は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなり、表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0054】
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置20を操作することができる。
【0055】
車内LAN通信部33は、車内LANに接続された各種のECU(エンジンECU、AT−ECU、ブレーキECU等)や各種のセンサ(方向指示器センサ、ドア開閉センサ等)との通信を担う。
【0056】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示部26に表示する現在地表示処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在位置から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。なお、制御部29のROMには、ハプティックデバイス31の反力データが運転者用と助手席者用とに分けて記憶されている。乗員毎に反力データを記憶していてもよい。
【0057】
次に、ハプティックデバイス31について、図2の説明図を用いて説明する。図2には、ハプティックデバイス31(断面図)と、それを制御するハプティックデバイス制御部61(ブロック図)とが描かれている。なお、ハプティックデバイス31は、運転者と助手席者とで共用するようになっている。
【0058】
ハプティックデバイス31は、主に、トラックボール保持部51と、トラックボール部52と、アクチュエータ部53と、トラックボール位置検出部54、LED部56とを備える。
【0059】
トラックボール保持部51は、トラックボール部52,アクチュエータ部53,トラックボール位置検出部54等を内部に囲む様に保持する筐体である。
トラックボール部52は、半透明の半球体から構成され、その半球の中心点を支点として所定範囲を限度として全方向に回転可能に構成されている。また、半球体の最上部には、突起部55が設けられ、運転者(ユーザ)の手に引っかかることによって運転者が操作しやすいようになっている。なお、半球体は戻り特性を有し、運転者が手を離せば突起部55が所定位置に戻るようになっている。また、半球体の内部にはLED部56が配置され、ハプティックデバイス制御部61からの指令によって発光するようになっている。また、トラックボール部52は、矢印57方向に押下可能に構成されている。
【0060】
アクチュエータ部53は、トラックボール部52に対して反力特性を与えるためのものであり、ハプティックデバイス制御部61からの制御信号に基づき、上述した、トラックボール部52の回転動作や押下動作に対して多段階的に制限を与える機能を有する。
【0061】
トラックボール位置検出部54は、トラックボール部52の回転動作や押下動作を検出し、ハプティックデバイス制御部61に出力する機能を有する。
ハプティックデバイス制御部61は、内部に記憶されているプログラムと反力データとに基づいて各種の演算を行い、その演算結果を制御データとしてアクチュエータ部53とLED部56へ出力する。また、制御部29へ検出結果を送信する。
【0062】
[動作の説明]
(1)前書き
本実施形態のナビゲーション装置20の動作について説明する。なお、以下の説明においては、ナビゲーション装置20が通常実行する処理(例えば、経路設定処理、経路算出処理、経路案内処理等)についての説明は省略する。
【0063】
図3に示す表は、ナビゲーション装置20に対する運転者及び助手席者の操作可否と、表示部26に表示される画面との対応を示す表である。
まず、運転席側と助手席側とで共に同じ画面を表示させており、その画面が操作可能画面である場合について説明する(枠A参照)。この画面状態では、車両停止時は運転者及び助手席者が共に操作可能にすべきであり、従来の一画面表示のナビゲーション装置と同様の状態であると言える。この場合は、操作スイッチ群22やハプティックデバイス31に対してなされた操作について、それが運転者によってなされた操作なのか助手席者によってなされた操作なのかをナビゲーション装置20が判断する必要はない。
【0064】
ところが、車両走行時には、運転者は、操作すべきではないし、又は操作したとしても単純な操作のみに限定すべきである。一方、助手席者は、そのような制限を課される必要性はない。したがって、ナビゲーション装置20は、操作スイッチ群22やハプティックデバイス31に対してなされた操作について、それが運転者によってなされた操作なのか助手席者によってなされた操作なのかを判断する必要がある。
【0065】
次に、運転席側に操作可能画面A、助手席側に操作可能画面B(操作可能画面Aと操作可能画面Bは異なる画面)が表示されている画面状態の場合について説明する(枠B参照)。この画面状態では、車両停止時には運転者も助手席者も操作可能であるため、ナビゲーション装置20は、操作スイッチ群22やハプティックデバイス31に対してなされた操作について、それが運転者によってなされた操作なのか助手席者によってなされた操作なのかを判断する必要がある。
【0066】
また、車両走行時には、運転者は、操作すべきではないし、又は操作したとしても単純な操作のみに限定すべきであるし、助手席者は、そのような制限を課される必要性はなく操作可能とすべきである。したがって、ナビゲーション装置20は、操作スイッチ群22やハプティックデバイス31に対してなされた操作について、それが運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを判断する必要がある。
【0067】
なお、これ以外の画面状態(枠A、枠B以外)では、ナビゲーション装置20は、操作スイッチ群22やハプティックデバイス31に対してなされた操作を、運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを一義的に判断することができる。したがって、以下の説明においては、この場合について説明を省略する。
【0068】
(2)状態移行処理1について(ランダムポインタを用いる場合)
制御部29が実行する状態移行処理1について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、状態移行処理1は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態になった際に実行が開始される。
【0069】
制御部29は、状態移行処理1の実行を開始すると、まず運転者操作状態移行処理を実行する(S105)。この運転者操作状態移行処理については後述する。運転者操作状態移行処理の実行を終えると、制御部29は、車両速度が所定走行速度以下か否かを判定する(S110)。これは、車内LAN通信部33を介して速度センサから速度情報を取得して判断する。なお、所定走行速度としては、例えば「0km/h」や「5km/h」程度の速度が適している。このS110において、車両速度は所定走行速度以下であると判定した場合は(S110:Yes)、S150へ処理を移行し、車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合は(S110:No)、S115へ処理を移行する。
【0070】
車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合に進むS115では、運転席状態へ移行させるための移行ボタンが運転席側画面に表示されていれば消去する。この移行ボタンというのは、運転者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させたい際に触れるボタンである。
【0071】
続いて、制御部29は、現在の状態が助手席者操作状態か否かを判定する(S120)。助手席者操作状態であるか否かの判定は、制御部29に設けられた図示しない状態フラグによって判断する。この状態フラグは、運転者操作状態と助手席者操作状態の何れかの状態を示すものである。現在の状態は助手席者操作状態と判定した場合は(S120:Yes)、S110へ処理を戻し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S120:No)、S125へ処理を移行する。
【0072】
現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合に進むS125では、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であるか否かを判定する。これは、制御部29が状態遷移時にその時刻を記憶おき、その時刻から現在時刻までの経過時間が所定時間内(例えば、10秒以内)であるか否かを判定することである。助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合は(S125:Yes)、S145へ処理を移行し、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内でないと判定した場合は(S125:No)、S130へ処理を移行する。
【0073】
助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合に進むS130では助手席側画面にランダムポインタを描画する。このランダムポインタというのは、ランダムな位置に表示されるポインタであり、具体例については後述する。
【0074】
続いて、指又はカーソルによってランダムポインタが触られたか否かを判定する(S135)。指又はカーソルによってランダムポインタが触れられたと判定した場合は(S135:Yes)、S140へ処理を移行し、指又はカーソルによってランダムポインタが触れられていないと判定した場合は(S135:No)、S110へ処理を戻す。
【0075】
指又はカーソルによってランダムポインタが触れられたと判定した場合に進むS140では助手席側画面からランダムポインタを消去する。
そして、S145では助手席者操作状態移行処理を実行する。この助手席者操作状態移行処理については後述する。助手席者操作状態移行処理の実行を終えると、制御部29はS110へ処理を戻す。
【0076】
S110において車両速度は所定走行速度以下であると判定した場合に進むS150では、現在の状態は助手席者操作状態であるか否かを判定する。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S150:Yes)、S155へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S150:No)、S125へ処理を戻す。
【0077】
現在の状態は助手席者操作状態と判定した場合に進むS155では運転席側画面に移行ボタンを描画する。そして、指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたか否かを判定する(S160)。指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたと判定した場合は(S160:Yes)、S165へ処理を移行し、指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたと判定した場合は(S160:No)、S110へ処理を戻す。
【0078】
指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたと判定した場合に進むS165では運転席側画面から移行ボタンを消去する。そして、S105へ処理を戻す。
(3)操作指令割り振り処理
次に、制御部29が実行する操作指令割り振り処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、操作指令割り振り処理は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態において、ユーザ(運転者又は助手席者)によって操作スイッチ群22又はハプティックデバイス31が操作され、操作指令が制御部29へ入力された際に実行が開始される。
【0079】
制御部29は、操作指令割り振り処理の実行を開始すると、まず入力された操作指令がランダムポインタ又は移行ボタンに対する指令か否かを判定する(S205)。ランダムポインタ又は移行ボタンに対する指令と判定した場合は(S205:Yes)、S210へ処理を移行し、ランダムポインタ又は移行ボタンに対する指令でないと判定した場合は(S205:No)、S215へ処理を移行する。
【0080】
ランダムポインタ又は移行ボタンに対する指令であると判定した場合に進むS210では、入力された操作指令を上述した状態移行処理1の実行プログラムに渡す。そして、本処理(操作指令割り振り処理)を終了する。
【0081】
ランダムポインタ又は移行ボタンに対する指令でないと判定した場合に進むS215では、現在の状態は助手席者操作状態であるか否かを判定する。助手席者操作状態であるか否かの判定は、制御部29に設けられた状態フラグによって判断する。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S215:Yes)、S220へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S215:No)、S225へ処理を移行する。
【0082】
現在の状態は助手席者操作状態と判定した場合に進むS220では、入力された操作指令を助手席側アプリケーションに渡す。ここで言う「助手席側アプリケーション」というのは、現在、表示部26の助手席側画面の描画を担当しているアプリケーションを意味する。操作指令を助手席側アプリケーションに渡すと、本処理(操作指令割り振り処理)を終了する。
【0083】
現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合に進むS225では、入力された操作指令を運転席側アプリケーションに渡す。ここで言う「運転席側アプリケーション」というのは、現在、表示部26の運転席側画面の描画を担当しているアプリケーションを意味する。なお、この運転席側アプリケーションは、車両の走行速度に応じて操作規制を行う機能が個別に実装されていることを想定している。操作指令を運転席側アプリケーションに渡すと、本処理(操作指令割り振り処理)を終了する。
【0084】
(4)運転者操作状態移行処理
次に、制御部29が実行する運転者操作状態移行処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、運転者操作状態移行処理は他の処理(例えば、状態移行処理1)の処理過程でコールされることによって実行が開始される。
【0085】
制御部29は、運転者操作状態移行処理の実行を開始すると、まず運転者用反力データを読み出す(S305)。これは制御部29のROMに記憶された運転者用反力データをRAMに読み出すことである。続いて、RAMに読み出した反力データをハプティックデバイス31のハプティックデバイス制御部61へ送り、ハプティックデバイス制御部61が利用する反力データを書き換えさせる(S310)。
【0086】
続いて、制御部29は、状態フラグを運転者操作状態にセットする(S315)。そして、制御部29は、運転席側画面を操作可能状態に変更するとともに、助手席側画面を操作不可能状態に変更する(S320)。これは、例えば、助手席側画面のコマンドボタン等をグレー表示に変更し、操作不可能状態であるとわかる状態に変更し、また、運転席側画面のコマンドボタン等のグレー表示を解除し、操作可能状態であるとわかる表示に変更することである。そして、変更を終えると、本処理(助手席者操作状態移行処理)を終了する。
【0087】
この処理が実行されることによって、ハプティックデバイス31の操作反力が運転者に適したものに変更されるとともに、運転者側画面が操作可能な表示状態に変わる。また、制御部29内に設けられた状態フラグが運転者操作状態に変わる。
【0088】
(5)助手席者操作状態移行処理
次に、制御部29が実行する助手席者操作状態移行処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、助手席者操作状態移行処理は他の処理(例えば、状態移行処理1)が実行されることにより、その処理過程でコールされることによって実行が開始される。
【0089】
制御部29は、助手席者操作状態移行処理の実行を開始すると、まず助手席者用反力データを読み出す(S355)。これは制御部29のROMに記憶された助手席者用反力データをRAMに読み出すことである。続いて、RAMに読み出した反力データをハプティックデバイス31の制御部61へ送り、制御部61が利用する反力データを書き換えさせる(S360)。
【0090】
続いて、制御部29は、状態フラグを助手席者操作状態にセットする(S365)。そして、制御部29は、運転席画面を操作不可能状態に変更するとともに、助手席側画面を操作可能状態にする(S370)。これは、例えば、運転席側画面のコマンドボタンをグレー表示に変更し、操作不可能状態であるとわかる状態に変更し、また、助手席側画面のコマンドボタン等のグレー表示を解除し、操作可能状態とわかる表示に変更することである。そして、変更を終えると、本処理(助手席者操作状態移行処理)を終了する。
【0091】
この処理が実行されることにより、ハプティックデバイス31の操作反力が助手席者に適したものに変更されるとともに、助手席側画面が操作可能な表示状態に変わる。また、制御部29内に設けられた状態フラグが助手席者操作状態に変わる。
【0092】
(6)タイムアウト処理
次に、制御部29が実行するタイムアウト処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、タイムアウト処理は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態になった際に実行が開始される。
【0093】
制御部29は、タイムアウト処理の実行を開始すると、まず、最後に操作指令を受け付けてから所定時間以上経過したか否かを判定する(S405)。これは、ユーザ(運転者又は助手席者)によって操作スイッチ群22又はハプティックデバイス31が操作され、操作指令が制御部29に最後に入力されてから所定時間(例えば1分)以上経過したか否かを判定することによって行う。最後に操作指令を受け付けてから所定時間以上経過したと判定した場合は(S405:Yes)、S410へ処理を移行し、最後に操作指令を受け付けてから所定時間以上経過していないと判定した場合は(S405:No)、本処理(タイムアウト処理)を終了する。
【0094】
最後に操作指令を受け付けてから所定時間以上経過したと判定した場合に進むS410では、現在の状態は助手席者操作状態であるか否かを判定する。これは、制御部29に設けられた状態フラグを参照することによって行う。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S410:Yes)、S415へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S410:No)、本処理(タイムアウト処理)を終了する。
【0095】
現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合に進むS415では、運転者操作状態移行処理(図6参照)を実行する。そして、運転者操作状態移行処理の実行を終えると本処理(タイムアウト処理)を終了する。
【0096】
この処理が実行されることにより、助手席者操作状態において、所定時間、操作がなされなかった場合に、自動的に運転者操作状態に移行する。
(7)画面遷移時処理
次に、制御部29が実行する画面遷移時処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、画面遷移時処理は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態において、画面遷移が起こった際、例えば、ラジオ選局画面から地図表示画面やCD再生画面に遷移した際のように、機能または表示内容の大部分が変化した際に実行が開始される。
【0097】
制御部29は、画面遷移時処理の実行を開始すると、まず現在の状態が助手席者操作状態か否かを判定する(S455)。これは、制御部29に設けられた状態フラグを参照することによって行う。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S455:Yes)、S460へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S455:No)、本処理(画面遷移時処理)を終了する。
【0098】
現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合に進むS460では、運転者操作状態移行処理(図6参照)を実行する。そして、運転者操作状態移行処理の実行を終えると本処理(画面遷移時処理)を終了する。
【0099】
この処理が実行されることにより、画面遷移が起こった際に、自動的に運転者操作状態に移行する。
(8)画面例
次に、表示部26に表示される画面の例を説明する。
【0100】
図10(a)の画面511は、上述したS130の実行後に表示される助手席側画面の一例である。画面511には、各種のコマンドボタン512〜517が配置されるとともに、ランダムポインタ518が表示されている。このランダムポインタ518は、画面511と同様の画面が新たに表示されるタイミングで毎回異なる位置に表示されるようになっている。なお、ランダムポインタ518は、画面511内をゆっくりと不規則に移動するようになっていてもよい。また、コマンドボタン512〜517は、初期状態では操作不可能になっており(例えばグレー表示されており)、助手席者がランダムポインタ518を指で触ると、ランダムポインタ518は消え、画面511内のコマンドボタン512〜517が操作可能になる。
【0101】
図10(b)の画面521は、上述したS155の実行後に表示される運転席側画面の一例である。画面521は、各種のコマンドボタン522〜527が配置されると共に、助手席者操作終了ボタン528(移行ボタンに相当)が表示されている。なお、この状態では助手席者操作終了ボタン528のみ操作可能になっており、運転者助手席者操作終了ボタン528を指で触れると、助手席者操作終了ボタン528は消え、画面521内のコマンドボタン522〜527が操作可能になる。なお、その場合、助手席側画面からはランダムポインタは消え、コマンドボタン等は操作不能になる。
【0102】
図10(c)の画面531は、図10(a)の画面511におけるコマンドボタン515が助手席者によって触れられた際に表示される画面である。画面531には、コマンドボタン532〜537が配置されると共にランダムポインタ538が表示されている。このランダムポインタ538は、画面531と同様の画面が新たに表示されるタイミングで毎回異なる位置に表示されるようになっている。また、コマンドボタン532〜537は、初期状態では操作不可能になっており(例えばグレー表示されており)、助手席者がランダムポインタ538を指で触ると、ランダムポインタ538は消え、画面531内のコマンドボタン532〜537が操作可能になる。
【0103】
このように画面が遷移すると、再度ランダムポインタが表示され、その表示されたランダムポインタを触れない限り、画面の操作を行うことができないようになっている。
図11(a)の画面541は、カーソル542を用いて画面操作を行う場合の画面である。カーソル542は、助手席者が行うハプティックデバイス31への操作と連動して動く。そして、カーソル542がランダムポインタ543の表示位置に移動することにより、ランダムポインタ543は消え、助手席者は助手席側画面を操作可能になる(コマンドボタン544〜549が操作可能になる)。次に、操作可能になるまでの様子を説明する。
【0104】
ところで、ランダムポインタはカーソルに追従して移動するようになっていてもよい。この様子について次に説明する。
図11(b)の画面561は、図11(a)の画面541と同様の画面において、ランダムポインタがカーソルに追従する様子を説明するための画面である。助手席者がハプティックデバイス31を操作することにより、カーソル562aが移動するようになっており、カーソル562aをランダムポインタ563aの位置まで移動させると、その後は、ランダムポインタは消えることなくカーソルの移動に伴ってランダムポインタは移動する。そして、ランダムポインタは、常にカーソルの近傍に位置する(カーソル562b及びランダムポインタ563b参照)。なお、この後、運転者操作状態へ移行すると、ランダムポインタはカーソルの移動に追従せずに、運転者操作状態へ移行したときの位置に固定表示される。
【0105】
このようにランダムポインタをカーソルに追従するようにさせるようになっていれば、運転者操作状態へ移行することによって再度ランダムポインタに対して操作を行う必要が生じたときに、助手席者が素早くランダムポインタの表示位置にカーソルを移動させることが可能になる。
【0106】
[実施形態の効果]
上記実施形態のナビゲーション装置20によれば、制御部29は、運転者操作状態において、表示部26の助手席側画面のランダムな位置にポインタを表示させ、操作スイッチ群22、リモコン23a又はハプティックデバイス31によってポインタに対する操作を受け付けると(図4のS135)、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行する(図4のS145)。
【0107】
このように、助手席者にしか見ることができないポインタに対する操作があったことをもって運転者操作状態から助手席者操作状態に移行するようになっていれば、運転者が助手席者と偽ることができず、助手席者の操作開始意志を確実に判定できる。その結果、その後の操作については、助手席者による操作であることを前提として助手席者による操作をスムーズに受け付けることができる。
【0108】
また、助手席者操作状態に移行した後は、最後に操作指令を受け付けてから所定時間経過したときは運転者操作状態へ移行するようになっている(図8のS405:Yes,S415)。
【0109】
このため、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。
【0110】
また、車両の走行速度が所定走行速度以下であり(図4のS110:Yes)、且つ、現在の状態は助手席者操作状態である場合には(図4のS150:Yes)、運転席状態へ移行させるための移行ボタンを運転席側画面に表示するようになっている(図4のS155)。そして、この状態で、運転者によって移行ボタンが操作されると(図4のS160:Yes)、助手席者操作状態から運転者操作状態に移行する(S105)。
【0111】
このように所定の条件が満たされた場合には、運転者の意志によって助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができるため、「助手席者の操作終了後、次に運転者が操作しようとした場合に、まだ助手席者操作状態のままが続いていることによって運転者が操作を行えずに使いづらい」という問題の発生を軽減することができる。なお、所定走行速度以下であるかどうかの条件を、一定時間(例えば1秒〜10秒程度)連続して所定走行速度以下であるかどうかというように条件を変更してもよい。そのようになっていれば、頻繁に移行ボタンの表示と消去がなされることがなくなる。また、運転者によって移行ボタンが押下されなくとも、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい。そのようになっていれば、運転者が操作をスムーズに開始することができる。
【0112】
また、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行した後も、再び車両の走行速度が所定走行速度より高くなった場合には、助手席者操作状態へ移行可能になっている。具体的には、車両の速度が再び所定走行速度より速い速度になったと判定すると(図4のS110:No)、助手席側画面にランダムポインタを表示させ(図4のS130)、助手席者操作状態へ移行可能にしている。
【0113】
このようになっているため、助手席者が、再度、ランダムポインタに対して操作を行うことによって、助手席者操作状態へ移行させることができる。
また、所定時間内に再び車両の速度が所定走行速度より速い速度になった場合には(S125:Yes)、ポインタに対する操作を要求することなく、助手席者操作状態に戻すようになっている(S145)。
【0114】
このため、例えば車両が一時停止箇所で一時停止することにより、助手席者操作状態から運転者操作状態に移行した場合でも、すぐに(所定時間内に)車両が走行を開始して所定走行速度より速くなれば、助手席者が何ら操作を行うことなく、再び、操作を続行することができる。
【0115】
また、助手席者操作状態において、助手席側画面に表示されている画面が他の画面に遷移すると運転者操作状態へ移行するようになっている(図9の画面遷移時処理)。
このため、助手席者が明示的に操作を終えたことを示さなくても、運転者操作状態に移行するため、運転者操作状態に移行させるための操作が不要になる。
【0116】
また、運転者と助手席者は表示部26に直接触れることによってもランダムポインタに対して操作を行うことができるが、カーソルを介してポインタに対して操作することができるようにもなっている。
【0117】
このため、カーソルを用いて操作を行うことのメリット(例えば、細かい位置指定が容易であること等、一般的に知られたメリット)が得られる。
また、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行した場合には、カーソルを操作するハプティックデバイスの反力パターンを助手席者用のものに変更し(図7のS355,S360)、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行した場合には、ハプティックデバイスの反力パターンを運転者用のものに変更するようになっている(図6のS305,S310)。
【0118】
このため、現在の状態(運転者操作状態であるか助手席者操作状態であるか)に対応して、操作者が自身に適した操作反力によって操作を行うことができるため、使い勝手が良い。
【0119】
[他の実施形態]
(1)ドラッグ&ドロップ
上記実施形態では、ランダムポインタを指で触れることにより(又はカーソルで触れることにより)、運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行するようになっていたが、ランダムポインタに触れている間のみ運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行するようになっていてもよい。つまり、ランダムポインタに触れた状態でランダムポインタを移動させ、押下したいコマンドボタンの上でランダムポインタを離すようになっていてもよい(ドラッグ&ドロップ操作)。以下に、画面例を用いて具体的に説明する。
【0120】
図12(a)の画面571は、図10(a)の画面511と同様の画面であるが、相違点は、図10(a)の画面511ではランダムポインタ518に指が触れると消えるようになっていたが、図12(a)の画面571では、ランダムポインタ572aに指が触れたとしても消えることはない。そして、指で触れた後、表示面上を指でなぞることにより、その動きに伴ってランダムポインタは移動する(ランダムポインタ572b参照)。そして、移動後の位置で指を離すと当該位置にあるコマンドボタンが押下されたと判断される(ランダムポインタ572b及びコマンドボタン573参照)。
【0121】
このようになっていれば、タッチパネルに対してなされた操作を、より確実に助手席者による操作として判断して助手席者操作状態へ移行することができる。
図12(b)の画面581は、カーソル582aをランダムポインタ583aの位置まで移動させ、その後、ランダムポインタをカーソルとともに移動させてコマンドボタン584を押下するまでを説明するための画面である。画面581に示すように、カーソル582aをランダムポインタ583aの位置まで移動させ、その位置でトラックボール部52を押下すると、それ以降カーソルの移動に伴いランダムポインタが付随するようになる。そして、カーソルをコマンドボタン584の上に持って行きトラックボール部52を押下することにより、コマンドボタン584が押下されたと判断される(カーソル582b及びランダムポインタ583b参照)。なお、その後は、画面581の例では、画面が遷移し、カーソル位置とは異なるランダムな位置にランダムポインタが配置され、同様の手順を踏むことになる。
【0122】
このようになっていれば、より確実に助手席者による操作として判断して助手席者操作状態へ移行することができる。
(2)強制的に運転者操作状態に戻すボタンを助手席側画面に表示
上記実施形態では、運転者は移行ボタンを押下することによって強制的に助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができたが、助手席者によっても助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができるようになっているとよい。具体的には、図13に示す画面591のように、助手席側画面に操作終了ボタン592を配置し、この操作終了ボタン592に対する操作があった場合に、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっているとよい。
【0123】
このようになっていれば、助手席者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ明示的に移行させることができるため、運転者がスムーズに操作を開始することができる。
(3)割り当てが固定的なハードスイッチの場合
上記実施形態では、ランダムポインタに対して操作があったことを判定することにより、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっていたが、助手席者のみが操作可能なハードスイッチに対して操作があったことを判定することにより、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっていてもよい。その場合は、上述した状態移行処理1の代わりに(又は並行して)状態移行処理2を制御部29が実行するようになっているとよい。この状態移行処理2について図14のフローチャートを用いて説明する。なお、状態移行処理2は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態になった際に実行が開始される。
【0124】
制御部29は、状態移行処理2の実行を開始すると、まず運転者操作状態移行処理を実行する(S605)。この運転者操作状態移行処理は、図6を用いて説明した処理である。運転者操作状態移行処理の実行を終えると、制御部29は、車両速度は所定走行速度以下であるか否かを判定する(S610)。これは、車内LAN通信部33を介して速度センサから速度情報を取得して判断する。なお、所定走行速度としては、例えば「0km/h」や「5km/h」程度の速度が適している。このS610において、車両速度は所定走行速度以下であると判定した場合は(S610:Yes)、S640へ処理を移行し、車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合は(S610:No)、S615へ処理を移行する。
【0125】
車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合に進むS615では、現在の状態が助手席者操作状態であるか否かを判定する。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S615:Yes)、S620へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S615:No)、S625へ処理を移行する。
【0126】
現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合に進むS620では、助手席側ハードスイッチが押下されたか否かを判定する。この助手席側ハードスイッチというのは、助手席にのみ操作可能な位置に配置されたハードスイッチであり、助手席者が運転者操作状態と助手席者操作状態とを相互に入れ替えたい際に押下するスイッチである。
【0127】
このS520において助手席側ハードスイッチが押下されたと判定した場合は(S620:Yes)、S605へ処理を戻し、助手席側ハードスイッチは押下されていないと判定した場合は(S620:No)、上述したS610へ処理を戻す。
【0128】
現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合に進むS625では助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内か否かを判定する。これは、制御部29が状態遷移時にその時刻を記憶おき、その時刻から現在時刻までの経過時間が所定時間内(例えば、10秒以内)であるか否かを判定することである。助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合は(S625:Yes)、S635へ処理を移行し、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内でないと判定した場合は(S625:No)、S630へ処理を移行する。
【0129】
助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内でないと判定した場合に進むS630では、 助手席側ハードスイッチが押下されたか否かを判定する。助手席側ハードスイッチが押下されたと判定した場合は(S630:Yes)、S635へ処理を移行し、助手席側ハードスイッチが押下されなかったと判定した場合は(S630:No)、S610へ処理を戻す。
【0130】
助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合に進むS635では助手席者操作状態移行処理を実行する。この助手席者操作状態移行処理は、図7を用いて説明した処理である。助手席者操作状態移行処理の実行を終えるとS610へ処理を戻す。
【0131】
S610において車両速度は所定走行速度以下と判定した場合に進むS640では、現在の状態は助手席者操作状態であるか否かを判定する。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S640:Yes)、S645へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態ではないと判定した場合は(S640:No)、S625へ処理を戻す。
【0132】
現在の状態は助手席者操作状態と判定した場合に進むS645では、運転席側ハードスイッチが押下されたか否かを判定する。この運転席側ハードスイッチというのは、運転者が操作可能な位置に配置されたハードスイッチであり、運転者が助手席者操作状態から運転者操作状態に変更したい場合に押下するスイッチである。なお、本スイッチは助手席者が操作可能な位置に配置されていてもよい。
【0133】
このS645において運転席側ハードスイッチが押下されたと判定した場合は(S645:Yes)、S605へ処理を戻し、運転席側ハードスイッチが押下されなかったと判定した場合は(S645:No)、S610へ処理を戻す。
【0134】
以上、状態移行処理2について説明したが、この場合に表示部26に表示される画面は、上述した実施形態(タイトル[他の実施形態]より前で説明した実施形態)の画面例からランダムポインタや移行ボタンを削除したものと同じである。
【0135】
このように、助手席者にしか操作することができない助手席側ハードスイッチが押下されたことをもって、運転者操作状態から助手席者操作状態に移行するようになっていれば、運転者が助手席者と偽ることができず、助手席者の操作開始意志を確実に判定できる。その結果、その後の操作については、助手席者による操作であることを前提として助手席者による操作をスムーズに受け付けることができる。
【0136】
また、本実施形態では、助手席者操作状態へ移行した後、再び助手席側ハードスイッチが押下操作を受け付けると、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっている。このため、助手席者の意思で助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができる。
【0137】
また、本実施形態では、運転者が操作可能な運転席側ハードスイッチが押下されると、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行するようになっている。このため、運転者の意志によって助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させることができ、使い勝手が良い。
【0138】
なお、上述した操作指令割り振り処理、運転者操作状態移行処理、助手席者操作状態移行処理、タイムアウト処理及び画面遷移時処理は、本実施形態においても同様に実行され、各処理により本実施形態においても同様の効果が得られる。
【0139】
(4)割り当てが動的に変化するハードスイッチの場合
上記(3)の実施形態では、助手席者が運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行させたい際に押下するスイッチ(助手席側ハードスイッチ)は、固定的なものであったが助手席側ハードスイッチは設けず、その機能を有するスイッチを動的に既存のハードスイッチに割り当ててもよい。その場合は、上述した状態移行処理2の代わりに状態移行処理3を制御部29が実行するようになっているとよい。この状態移行処理3について図15のフローチャートを用いて説明する。なお、状態移行処理3は、図3の枠A及び枠Bで示した画面状態になった際に実行が開始される。
【0140】
制御部29は、状態移行処理3の実行を開始すると、まず運転者操作状態移行処理を実行する(S705)。この運転者操作状態移行処理は、図6を用いて説明した処理である。運転者操作状態移行処理の実行を終えると、車両速度は所定走行速度以下であるか否かを判定する(S710)。これは、車内LAN通信部33を介して速度センサから速度情報を取得して判断する。なお、所定走行速度としては、例えば「0km/h」や「5km/h」程度の速度が適している。このS710において、車両速度は所定走行速度以下であると判定した場合は(S710:Yes)、S750へ処理を移行し、車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合は(S710:No)、S715へ処理を移行する。
【0141】
車両速度は所定走行速度以下でないと判定した場合に進むS715では、運転席側画面に移行ボタンが表示されていれば消去する。この移行ボタンというのは、運転者が助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行させたい際に触れるボタンである。
【0142】
続いて、制御部29は、現在の状態は助手席者操作状態か否かを判定する(S720)。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S720:Yes)、S710へ処理を戻し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S720:No)、S725へ処理を移行する。
【0143】
現在の状態は助手席者操作状態ないと判定した場合に進むS725では、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であるか否かを判定する。これは、制御部29が状態遷移時にその時刻を記憶おき、その時刻から現在時刻までの経過時間が所定時間内(例えば、10秒以内)であるか否かを判定することである。助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合は(S725:Yes)、S745へ処理を移行し、助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内でないと判定した場合は(S725:No)、S730へ処理を移行する。
【0144】
助手席者操作状態から運転者操作状態へ移行して所定時間内であると判定した場合に進むS730では、助手席側画面にマーカを描画する。ここで言うマーカというのは、何れのハードスイッチを押下すれば運転者操作状態から助手席者操作状態へ移行させることができるかを示すものである。このハードスイッチの選択は、助手席者が操作可能な範囲のハードスイッチの中からランダムに選択するとよい。
【0145】
続いて、制御部29は、マーカの示すハードスイッチ(以下、特定ハードスイッチと称す)が押下されたか否かを判定する(S735)。特定ハードスイッチが押下されたと判定した場合は(S735:Yes)、S740へ処理を移行し、特定ハードスイッチが押下されなかったと判定した場合は(S735:No)、S710へ処理を戻す。
【0146】
特定ハードスイッチが押下されたと判定した場合に進むS740では、助手席側画面からマーカを消去する。続くS745では、助手席者操作状態移行処理を実行する。この助手席者操作状態移行処理は、図7を用いて説明した処理である。助手席者操作状態移行処理の実行を終えるとS710へ処理を戻す。
【0147】
S710において車両速度は所定走行速度以下と判定した場合に進むS750では、現在の状態は助手席者操作状態であるか否かを判定する。現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合は(S750:Yes)、S755へ処理を移行し、現在の状態は助手席者操作状態でないと判定した場合は(S750:No)、S725へ処理を戻す。
【0148】
現在の状態は助手席者操作状態であると判定した場合に進むS755では、運転席側画面に移行ボタンを描画する。そして、指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたか否かを判定する(S760)。指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたと判定した場合は(S760:Yes)、S765へ処理を移行し、指又はカーソルによって移行ボタンが触れられなかったと判定した場合は(S760:No)、S710へ処理を戻す。
【0149】
指又はカーソルによって移行ボタンが触れられたと判定した場合に進むS765では、運転席側画面から移行ボタンを消去する。そして、S705へ処理を戻す。
以上、状態移行処理3について説明したが、次に、表示部26の助手席側画面に表示される、上記マーカが表示されたときの画面について説明する。
【0150】
図16は、表示部26及びその周辺に配置された操作スイッチ群22(ハードスイッチ22a〜22n)である。表示部26に表示されている画面801は、上述したS730の実行後に表示される助手席側画面の一例である。画面801には、マーカ802が描かれていることが確認できる。このマーカ802の意味するところは、上記特定ハードスイッチがハードスイッチ22kであることである。したがって、助手席者のみが、特定ハードスイッチがハードスイッチ22kであることを知ることができる。
【0151】
ゆえに、このようなナビゲーション装置20によれば、助手席側ハードスイッチを設ける必要がなくなり、車内のレイアウト設計の自由度が高まる。
(5)プロンプター方式の場合
上述した実施形態(タイトル[他の実施形態]より前で説明した実施形態)は、操作スイッチ群22を構成するタッチパネル及びハプティックデバイス31によりランダムポインタに対して操作を行うようになっていたが、これらの代わりにプロンプターと呼ばれる入力装置を用い、そのプロンプターに差し出された手が運転者によるものなのか、助手席者によるものなのかを判定し、その判定結果も加味して運転者操作状態と助手席者操作状態との間の移行を行うようになっていてもよい。以下、このプロンプターについて説明する。
【0152】
プロンプターは、所定の撮影エリアに差し出された手の映像を撮影するカメラを備え、その映像から手の部分のみを取り出して半透過状態で他の映像に重畳するようになっている。また、手の映像から手が指し示す箇所を画像認識技術によって特定し、被重畳映像の該当箇所と対応付けることが可能となっている。図面を用いて具体的に説明する。
【0153】
図17(a)に示すイラストは車両(乗用車)の右後席から車両前方を見た際のイラストである。センターコンソールにはカメラ71が設けられ、そのカメラ71によって撮影テーブル73が撮影されるようになっている。そして、この撮影テーブル73上に手が差し出されると、カメラ73はその状態を撮影して制御部29へ出力する。図17(b)は、その撮影画像の一例である。
【0154】
制御部29は、カメラ73から映像を受け取ると、その映像から手の部分のみを取り出し、表示部26に表示させている画像に重畳する。図17(c)は、表示部26に表示された重畳画像の一例である。
【0155】
また、制御部29は、映像から手の指し示す操作動作を認識する。例えば、図17(c)の例で言えば、手の操作が方位マーク851を触れる動作であると認識する。さらに、手が右手(助手席者の手)なのか左手(運転者の手)なのかを判定する。そして、これらの情報から、上述した図4のS135やS160の判定を行う。例えば、S135について言えば、カメラ73で撮影された手によってランダムポインタに対する操作がなされたと認識し、且つ、その手が助手席者の手であると判定した場合にS140に進む。また、S160について言えば、カメラ73で撮影された手によって移行ボタンに対する操作がなされたと認識し、且つ、その手が運転者の手であると判定した場合にS165に進む。なお、左ハンドル車である場合には、助手席者の手と運転者の手についての判定を逆にする。
【0156】
このようになっていれば、ランダムポインタに対する操作が、運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを、より精度よく判定することができる。したがって、例えば、助手席者操作状態において、より複雑な操作を許可することも可能になる。
【0157】
(6)その他1
さらに、運転者操作状態であるか助手席者操作状態であるかを示す情報を表示部26の運転者側画面と助手席者画面の少なくとも何れか一方に表示させるようになっているとよい。具体的には、例えば、「運転者操作状態」又は「助手席者操作状態」という文字を表示部26の運転者側画面及び助手席側画面の双方に表示させることが考えられる。
【0158】
このようになっていれば、乗員は、現在の状態が運転者操作状態であるか助手席者操作状態であるかを容易に知ることができる。
(7)その他2
また、制御部29は、助手席者操作状態では、助手席者に対する音声を助手席側のスピーカにのみ出力させることを示す信号を、制御部29が実行している各種の処理(経路設定処理等)に対して通知するようになっているとよい。なお、この信号は、オーディオ装置へ出力してもよい。
【0159】
このように、助手席者操作状態では、助手席者に対する音声が助手席側のスピーカからのみ出力されるようになっていれば、運転者は、より運転に集中することができる。
(8)その他3
また、制御部29は、助手席者操作状態においては、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを意味するボタンを表示部26に表示させ、操作スイッチ群22等が当該ボタンに対する操作を受け付けると、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを一時的に行うようになっていてもよい。
【0160】
このようになっていれば、例えば、助手席者が助手席側画面に表示された操作画面について不明な点がある場合に、助手席者が運転者側画面と助手席画面との入れ替えを意味する上記ボタンを操作することによって一時的にその操作画面を運転者に見せることができるため、運転者から操作画面について説明を受けることができる。
【0161】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。表示部26が表示手段に相当し、操作スイッチ群22,リモコン23a,ハプティックデバイス31が受付手段に相当し、制御部29が制御手段に相当し、車内LAN通信部33が走行速度情報取得手段に相当する。
【0162】
また、[他の実施形態]の(3)における助手席側ハードスイッチが第一のスイッチに相当し、運転席側ハードスイッチが第二のスイッチに相当する。
また、[他の実施形態]の(4)におけるハードスイッチ22a〜22nがスイッチ群に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】ハプティックデバイスの概略構成を示す説明図である。
【図3】ナビゲーション装置に対する運転者及び助手席者の操作可否と、表示部に表示される画面との対応を示す表である。
【図4】状態移行処理1を説明するためのフローチャートである。
【図5】操作指令割り振り処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】運転者操作状態移行処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】助手席者操作状態移行処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】タイムアウト処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】画面遷移時処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】表示部に表示される画面例である。
【図11】表示部に表示される画面例である。
【図12】表示部に表示される画面例である。
【図13】表示部に表示される画面例である。
【図14】状態移行処理2を説明するためのフローチャートである。
【図15】状態移行処理3を説明するためのフローチャートである。
【図16】表示部に表示される画面例及び表示部の周りに配置されたハードスイッチ群の様子を説明するための説明図である。
【図17】プロンプターを用いた入力方法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0164】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、31…ハプティックデバイス、33…車内LAN通信部、51…トラックボール保持部、52…トラックボール部、53…アクチュエータ部、54…トラックボール位置検出部、55…突起部、56…LED部、61…ハプティックデバイス制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視角に応じ、運転席側と助手席側とで異なる二つの画面を一の表示面に表示可能な表示手段と、
運転者及び助手席者からの操作指令を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付ける前記操作指令を運転者の操作とみなす状態である運転者操作状態と、前記受付手段が受け付ける前記操作指令を助手席者の操作とみなす状態の二状態を少なくとも有し、その状態に応じ、前記受付手段が受け付けた操作指令が運転者によるものなのか又は助手席者によるものなのかを判定する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記運転者操作状態において、前記表示手段の助手席側画面のランダムな位置にポインタを表示させ、前記受付手段が前記ポインタに対する操作を受け付けると、前記運転者操作状態から前記助手席者操作状態へ移行すること、
を特徴とする車両において用いられる表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記受付手段が前記ポインタに対してドラッグ操作を受け付けた際に、前記助手席者操作状態へ移行し、前記受付手段が前記ポインタのドロップ操作を受け付けると、当該ドロップ位置に表示されているオブジェクトに対して助手席者の操作がなされたと判定すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態へ移行した後、前記受付手段が最後に操作指令を受け付けてから所定時間経過したときは前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の表示装置において、
さらに、前記車両の走行速度に関する情報である走行速度情報を取得する走行速度情報取得手段を備え、
前記制御手段は、前記走行速度情報取得手段が取得した前記走行速度情報に基づき、前記車両が所定走行速度以下であるか否かを判定し、前記助手席者操作状態の際に前記車両の速度が前記所定走行速度より速い速度から前記所定走行速度以下の速度になったと判定するとすぐに、又は判定して所定時間経過後に前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記車両の速度が前記所定走行速度より速い速度から前記所定走行速度以下の速度になることによって前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行した後、前記車両の速度が再び前記所定走行速度より速い速度になったと前記走行状態情報取得手段が取得した前記走行状態情報に基づいて判定すると、前記表示手段の助手席側画面のランダムな位置に前記ポインタを表示させ、前記助手席者操作状態へ移行可能になること、
を特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記車両の速度が前記所定走行速度より速い速度から前記所定走行速度以下の速度になることによって前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行した後、前記車両の走行速度が所定時間内に再び前記所定走行速度より速い速度になったと前記走行状態情報取得手段が取得した前記走行状態情報に基づいて判定すると、前記助手席者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態において、前記表示手段の助手席側画面に表示されている画面が他の画面に遷移すると前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態にある場合、前記運転者操作状態への移行を意味するボタンを前記表示手段の助手席側画面に表示させ、前記受付手段が前記ボタンに対する操作を受け付けると、前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態にある場合、前記運転者操作状態への移行を意味するボタンを前記表示手段の運転席者側画面に表示させ、前記受付手段が前記ボタンに対する操作を受け付けると、前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9の何れかに記載の表示装置において、
前記受付手段は、前記表示手段の助手席側画面に表示されたカーソルを移動させるための操作指令を受け付け、
前記制御手段は、前記表示手段の前記助手席側画面に表示されたカーソルが前記ポインタに重なることにより、前記ポインタに対して操作があったと判定すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記表示手段の前記助手席側画面に表示されたカーソルが前記ポインタに重なることにより、前記ポインタに対して操作があっと判定した後は、前記カーソルの移動に伴い、前記ポインタを当該カーソルの近傍又は当該カーソルに重ねて表示させ、前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行した後、再度、前記助手席者操作状態に移行した際には、前記運転者操作状態へ移行する前に表示された位置に前記ポインタを表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示装置において、
前記受付手段は、所定の撮影範囲に差し出された手の映像を撮影する撮影部を備え、
前記撮影部の前記撮影範囲は、前記表示手段の表示面とは別の場所であるが、前記撮影範囲内における位置が前記表示面内の位置に対応しており、
前記制御手段は、前記撮影部によって撮影された手の映像を前記表示手段に透過合成するとともに、前記撮影部によって撮影された映像から、差し出された手が右手なのか左手なのかを検出し、その手による操作動作が、右手による操作動作であり、且つ、前記表示手段の助手席側画面に表示させたポインタに対する操作であると判定した場合に、前記運転者操作状態から前記助手席者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の表示装置において、
前記受付手段は、反力パターンを変更可能なハプティックデバイスによって構成され、
前記制御手段は、前記運転者操作状態から前記助手席者操作状態へ移行した場合には、前記ハプティックデバイスの前記反力パターンを助手席者用のものに変更し、前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行した場合には、前記ハプティックデバイスの前記反力パターンを運転者用のものに変更すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項14】
視角に応じ、運転席側と助手席側とで異なる二つの画面を一の表示面に表示可能な表示手段と、
運転者及び助手席者からの操作指令を受け付ける受付手段と、
助手席者のみが操作可能な位置に設置され、助手席者から押下操作を受け付ける第一のスイッチと、
前記受付手段が受け付ける前記操作指令を運転者の操作とみなす状態である運転者操作状態と、前記受付手段が受け付ける前記操作指令を助手席者の操作とみなす状態の二状態を少なくとも有し、その状態に応じ、前記受付手段が受け付けた操作指令について運転者によるものなのか又は助手席者によるものなのかを判定する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記運転者操作状態において、前記第一のスイッチが押下操作を受け付けると、前記運転者操作状態から前記助手席者操作状態へ移行すること、
を特徴とする車両において用いられる表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態へ移行した後、前記受付手段が最後に操作指令を受け付けてから所定時間経過したときは前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の表示装置において、
さらに、前記車両の走行速度に関する情報である走行速度情報を取得する走行速度情報取得手段を備え、
前記制御手段は、前記走行速度情報取得手段が取得した前記走行速度情報に基づき、前記車両が所定走行速度以下であるか否かを判定し、前記助手席者操作状態の際に前記車両の速度が前記所定走行速度より速い速度から前記所定走行速度以下の速度になったと判定するとすぐに、又は判定して所定時間経過後に前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項16に記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記車両の速度が前記所定走行速度より速い速度から前記所定走行速度以下の速度になることによって前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行した後、前記車両の走行速度が所定時間内に再び前記所定走行速度より速い速度になったと前記走行状態情報取得手段が取得した前記走行状態情報に基づいて判定すると、前記助手席者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項14〜請求項17の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態へ移行した後、再び前記第一のスイッチが押下操作を受け付けると、前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項14〜請求項18の何れかに記載の表示装置において、
さらに、前記第一のスイッチとは別の少なくとも運転者から押下操作を受け付ける第二のスイッチを備え、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態へ移行した後、前記第二のスイッチが押下操作を受け付けると、前記助手席者操作状態から前記運転者操作状態へ移行すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項14〜請求項19の何れかに記載の表示装置において、
さらに、前記第一のスイッチの代わりに、又は前記第一のスイッチに加え、運転者及び助手席者からの押下操作を受け付けるスイッチ群を備え、
前記制御手段は、前記スイッチ群の何れかのスイッチを、前記第一のスイッチの機能に相当するスイッチとして割り当てるとともに、当該スイッチを特定するために必要な情報を前記表示手段の助手席側画面に表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項1〜請求項20の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記運転者操作状態であるか前記助手席者操作状態であるかを示す情報を前記表示手段の運転席側画面又は助手席側画面の少なくとも何れか一方に表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項22】
請求項1〜請求項21の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態では、助手席者に対する音声を助手席側のスピーカにのみ出力させるための信号を出力すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項23】
請求項1〜請求項22の何れかに記載の表示装置において、
前記制御手段は、前記助手席者操作状態において、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを意味するボタンを前記表示手段に表示させ、前記受付手段が前記ボタンに対する操作を受け付けると、運転者側画面と助手席側画面との入れ替えを行うこと、
を特徴とする表示装置。
【請求項24】
コンピュータを、請求項1〜請求項23の何れかに記載の表示装置における前記制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−261308(P2007−261308A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85762(P2006−85762)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】