超音波精密洗浄装置
本発明は、圧電素子の中心部で音圧が集中することなく広い面積に渡って均一な音圧が発生するようにし、被洗浄物に損傷を与えずに洗浄効率を高めることができる超音波精密洗浄装置に関する。本発明の超音波精密洗浄装置は、被洗浄物に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、セラミック体およびセラミック体の上部および下部にそれぞれ蒸着した上部電極、下部電極を備えて超音波を発生させる圧電素子と、圧電素子の端部に結合して被洗浄物と対向するように備えられ、圧電素子で発生する超音波を被洗浄物に伝達する超音波伝達体と、ハウジングと、電源線と、を含む超音波洗浄装置であって、圧電素子または超音波伝達体の中心には垂直ホールが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波洗浄装置に関し、より詳細には、圧電素子の中心部で音圧が集中することなく広い面積に渡って均一な音圧が発生するようにし、被洗浄物に損傷を与えずに洗浄効率を高めることができる超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の工程過程において最も基本的な技術の一つが洗浄技術である。
【0003】
半導体製造過程は、ウエハの表面を形成するために多数の段階の工程を経るようになるが、各段階の工程過程において半導体ウエハおよび半導体製造装備には各種汚染物質が発生して残存するようになり、残存する汚染物質によってウエハ上に形成される素子パターンに欠陥が発生し、最終的には素子の信頼性を低下させる。
【0004】
したがって、半導体ウエハおよび半導体製造装備を各工程段階において物理的および化学的方法によって洗浄し、汚染物質を除去しなければならない。
【0005】
化学的な洗浄方法は、表面の汚染を水洗およびエッチングまたは酸化還元反応などによって除去するものであって、多様な化学薬品やガスを使用する。
【0006】
物理的洗浄方法は、超音波エネルギーによって付着物を剥離したり、ブラシで払拭したり、高圧水を使用したりして付着物を除去する。
【0007】
一般的に、効率的な洗浄方法のために物理的方法と化学的方法を併行する方法を適切に組み合わせる超音波洗浄方法などが適用されている。
【0008】
すなわち、超音波洗浄とは、被洗浄物に付着した汚染物質を物理的(超音波)および化学的手段(化学洗浄液)を利用して除去し、除去した汚染物質が再び付着しないようにするものである。
【0009】
超音波による物理的現象とは、超音波の空洞現象(キャビテーション)によってなされるものを意味し、空洞現象とは、超音波のエネルギーが液中に伝達されるとき、超音波の圧力によって微細気泡が生成されて消滅する現象であって、非常に大きな圧力(数十気圧から数百気圧)と高温(数百度から数千度)を伴う。
【0010】
この空洞現象は極めて短い時間(数万分の一秒から数十万分の一秒)内に微細気泡の生成と消滅を繰り返すことによって衝撃波を発生し、この衝撃波によって液中に含まれている被洗浄物内部の奥深い見えない所まで短い時間内に洗浄が行われる。
【0011】
実際の場合には、キャビテーションによる衝撃エネルギーに加え、超音波自体の放射圧による攪拌効果熱作用などが洗剤と相乗作用を引き起こして高い洗浄効果を出す。
【0012】
超音波洗浄は主に、液晶ディスプレイ(LCD)装置用ガラス基板、半導体ウエハ、データ格納などのための磁気ディスクのような被洗浄物を洗浄したり濯いだりするのに用いられる。
【0013】
このような超音波洗浄のための技術が、本出願人によって既に特許文献1にて「超音波洗浄装置」という題名で開示されている。
【0014】
この技術は、図1および図2に示すように、洗浄液供給装置100と振動子200を含んで構成される。
【0015】
ここで、洗浄液供給装置100は、被洗浄物300と一定の間隙を維持するように被洗浄物300の上側に備えられ、被洗浄物300に洗浄液110を供給する。
【0016】
また、振動子200、被洗浄物300と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物300に伝達される。
【0017】
このとき、振動子200は、図1に示すように、圧電素子210で発生した超音波が近距離場領域の超音波伝達体220を通じて被洗浄物300に伝達されるように構成されたり、図2に示すように、圧電素子210で発生した波長が遠距離場領域の超音波伝達体220を通じて被洗浄物300に伝達されるように構成されている。
【0018】
ここで、圧電素子210は、外部から印加される電源によって振動するものであって、振動子200は、圧電素子210と、圧電素子210で発生した超音波を伝達する超音波伝達体220と、圧電素子210と超音波伝達体220が一体に結合するハウジング230と、圧電素子210に電源を印加する電源線240とで構成される。
【0019】
しかし、このような構成によれば、近距離場内では圧電素子から距離に応じて比較的に均一な音圧分布が周期的に現れるが、遠距離場のうちでも近距離場に近い距離では、図3に示すように圧電素子の中心に音圧が集中し、超音波が被洗浄物に最終的に伝達される端部の中心に音圧が集中する。
【0020】
この場合、当該端部中心の音圧集中が均一な洗浄を困難にさせるだけでなく、音圧が集中した部分によって洗浄される部分のパターンが損傷するという問題がある。
【0021】
このようなパターンの損傷を防ごうと音圧を低くすれば、洗浄効率が低くなるという短所がある。
【0022】
一方、従来の超音波洗浄装置は、多様な大きさの異物を効果的に除去することができないという短所がある。
【0023】
図4は、一般的な超音波洗浄装置において、周波数と粒子状汚染物質の大きさに応じた洗浄効率を示すグラフ図であって、1MHzでは大きい粒子状汚染物質の洗浄効率が高くて小さい粒子状汚染物質の洗浄効率は低いが、3MHzでは大きい粒子状汚染物質の洗浄効率が低くて小さい粒子状汚染物質の洗浄効率が高く現れている。
【0024】
すなわち、波長が長い低周波では空洞現象が大きく発生し、空洞現象の数が少ないため、大きい粒子状汚染物質に対する洗浄は適切に行われるが、汚染物質の数が多い小さい粒子状汚染物質の洗浄は適切に行われない。
【0025】
この反面、波長が短い高周波では、サイズが小さい空洞現象が多く発生するが、このときの衝撃波が弱いため、小さい粒子状汚染物質の洗浄は適切に行われる反面、大きい異物の洗浄は適切に行われなくなる。
【0026】
これにより、単一周波数を適用する従来の装置では、互いに異なる粒子の大きさを有する汚染物質に対する効率的な洗浄を期待し難しいという短所がある。
【0027】
このような単一周波数を適用する場合の洗浄効率が低いという短所を解消するための方法が、特許文献2に開示されている。
【0028】
特許文献2に開示された方法は、図5に示すように、支持部材上部が円板上に形成される回転テーブル600で構成してあり、複数の超音波振動子700を回転テーブルの中心部から周辺部に至る長さ方向に並列配置し、それぞれの超音波振動子700を互いに異なる周波数で駆動するものである。
【0029】
すなわち、この技術は、互いに異なる周波数で駆動し、ウエハ(W)の半径方向に長さが長い直方体形状を有する超音波振動子を並列配置することにより、互いに異なる粒子状汚染物質を効率的に洗浄するものである。
【0030】
しかし、この技術によれば、超音波振動子の長さが半径方向に長いため、長さ方向に対して横波が発生してピーク音圧が現れるため、音圧分布が不均一であるという現象が発生する。
【0031】
結果的に、ピーク音圧によって微細パターンが損傷するという問題が発生し、このようなピーク音圧を減らすために振動を弱くする場合、洗浄が効率的に行われないという短所がある。
【0032】
さらに、音圧分布が不均一であるにもかかわらず、超音波振動子がスキャニング方式ではなく固定された方式であるため、不均一な音圧分布を改善することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】韓国特許出願第2006−0102511号
【特許文献2】特許第3927936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、被洗浄物に洗浄液を供給し、超音波伝達体を通じて供給された洗浄液に圧電素子から発生する超音波を伝達する超音波精密洗浄装置を提供することを目的とし、当該超音波精密洗浄装置は、振動子を構成する圧電素子または超音波伝達体の中心部に垂直ホールを形成し、音圧が集中することなく広い面積に渡って均一に発生するようにできるものである。
【0035】
また、本発明の他の目的は、振動子をスキャニング方式によって回転するウエハ上で移動させながら洗浄がなされるようにすることにより、回転するウエハ全体領域に対して均一な洗浄がなされるようにする超音波精密洗浄装置を提供する。
【0036】
さらに、本発明の他の目的は、互いに異なる周波数で駆動する振動子を利用して、被洗浄物に互いに異なる少なくとも2つ以上の周波数で超音波を加えることにより、多様な粒子の大きさを有する汚染物質に対する洗浄効率を高められるようにする超音波精密洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の目的を達成するために、本発明の超音波精密洗浄装置は、被洗浄物に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、セラミック体および当該セラミック体の上部および下部にそれぞれ蒸着された上下電極で構成されて超音波を発生させる圧電素子と、前記圧電素子の端部に結合して前記被洗浄物と対向するように備えられ、圧電素子で発生する超音波を被洗浄物に伝達する超音波伝達体と、を含む超音波洗浄装置であって、前記圧電素子または超音波伝達体の中心には垂直ホールが形成される。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、超音波伝達体や圧電素子の中心に垂直ホールを形成し、垂直ホールの周りに高い音圧が広い面積に均等に分布するようにすることによって洗浄効率を高めることができる利点がある。
【0039】
また、本発明は、互いに異なる2つ以上の周波数で駆動する振動子を利用して、被洗浄物に1つ以上の互いに異なる周波数の超音波を加えることにより、粒子の大きさには関係なく、多様な粒子の大きさを有する汚染物質すべてに対する洗浄効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の超音波洗浄装置の構造を示す図である。
【図2】従来の超音波洗浄装置のさらに他の構造を示す図である。
【図3】従来の超音波洗浄装置によって発生する音圧分布図である。
【図4】従来の超音波洗浄装置における周波数帯域別−粒子状汚染物質の大きさ別の洗浄効率を示すグラフである。
【図5】従来の多重周波数を利用した単一ウエハ超音波洗浄装置の構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【図7】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図8】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図9】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図10】図9の圧電素子の配置図である。
【図11】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図12】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図13】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図14】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図15】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【図17】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図18】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図19】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図20】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図21】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図22】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図23】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図24】本発明に係る超音波精密洗浄装置によって最高音圧分布が改善したことを示すグラフである。
【図25】本発明の実施形態に係る超音波精密洗浄装置で発生した音圧の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図6は、本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図であって、本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置は、洗浄液供給装置1と振動子2を備える。
【0042】
ここで、洗浄液供給装置1は、被洗浄物3と一定の間隙を維持するように被洗浄物3の上側に備えられ、被洗浄物3に洗浄液11を供給する。
【0043】
また、振動子2は、被洗浄物3と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物3に伝達される。
【0044】
このとき、振動子2は、超音波伝達体22と、超音波伝達体22に備えられた圧電素子21と、ハウジング23と、電源線24とで構成され、ウエハ上部面でスキャニング方式によって移動しながら、回転するウエハ全体表面を均一に洗浄する。
【0045】
ここで、圧電素子21は、外部から印加される電源によって振動するものであって、セラミック体21cと、セラミック体21cの上下表面にそれぞれ蒸着した電極21a、21bとで構成される。
【0046】
また、圧電素子21と超音波伝達体22はハウジング23に一体に結合し、ハウジング23の内部には圧電素子21に電源を印加する電源線24が備えられる。
【0047】
本発明の特徴的な様相により、圧電素子21には垂直ホール211が形成されることが好ましい。
【0048】
すなわち、図6に示すように、垂直ホール211がセラミック体21cとセラミック体21cの上下の電極21a、21bを貫通するように形成されてもよい。
【0049】
または、垂直ホール211が上部電極と下部電極のうちのいずれか1つ以上の電極21a、21bの中心にセラミック層を除いて電極層だけを除去した形状で形成されてもよいが、具体的には、図7に示すように、垂直ホール211がセラミック体21cを除いた上部電極21aの中心に形成されたり、図8に示すように、セラミック体21cを除いた下部電極21bの中心に形成されてもよく、他の変形した実施形態により、セラミック体21cを除いた上部電極21aと下部電極21bに両方に形成されてもよい。
【0050】
このように、本発明の第1実施形態によれば、圧電素子21の中心に垂直ホール211を形成することにより、垂直ホール211周辺に高い音圧を広く分布させ、超音波伝達体22を通じて被洗浄物3に伝達することにより、洗浄効率を向上させることができる。
【0051】
さらに、本発明の第1実施形態において、圧電素子21は少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0052】
本発明の第1実施形態の変形した実施形態によれば、図9に示すように、圧電素子21は超音波伝達体22に少なくとも2つ以上備えられ、それぞれの圧電素子21は互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0053】
例えば、圧電素子をそれぞれ1MHzで駆動する圧電素子21と3MHzで駆動する圧電素子21で構成してもよいが、それぞれの圧電素子21は、図10(a)に示すように円形状を有して相互に離隔して配置されたり、(b)に示すように1つの圧電素子21は環状で外側に配置され、さらに他の圧電素子21は円形で環状圧電素子21の内側に配置されてもよく、(c)と(d)に示すように2つの圧電素子が半円形状で互いに一定の距離だけ離隔するように対向して配置されてもよい。
【0054】
さらに、圧電素子21は、図11に示すように、超音波伝達体22上で互いに異なる高さに位置してもよい。
【0055】
本発明の第1実施形態の他の変形した実施形態によれば、図12に示すように、超音波伝達体22が少なくとも2つ以上備えられ、各超音波伝達体22には少なくとも1つ以上の圧電素子21が備えられ、各圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0056】
また、図13に示すように、各超音波伝達体22が互いに異なる高さを有してもよい。
【0057】
一方、本発明の第1実施形態では、遠距離場領域の超音波伝達体22が圧電素子21で発生した超音波を被洗浄物に伝達するように構成したが、図14に示すように、近距離場領域の超音波伝達体を通じて伝達するように構成してもよく、超音波伝達体を除いた残りの構成および変形例は上述した本発明の第1実施形態と同じであるため、これに対する多様な実施形態についての説明は省略する。
【0058】
また、本発明の第1実施形態は、圧電素子21の中心にのみ垂直ホール211が形成されているが、追加される様相に応じ、図15に示すように、超音波伝達体22の中心にも垂直ホール221を形成してもよい。
【0059】
そして、ここで超音波伝達体22の垂直ホール221は、超音波伝達体22の上端部の一部に形成されたものと示しているが、垂直ホール221を超音波伝達体22の下端部の一部に形成したり、前記上端部と前記下端部の間を垂直に貫通するように形成してもよい。
【0060】
図16は、本発明の第2実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【0061】
図16を参照すれば、本発明の超音波精密洗浄装置は、洗浄液供給装置1と振動子2を含んで構成される。
【0062】
ここで、洗浄液供給装置1は、被洗浄物3と一定の間隙を維持するように被洗浄物3の上側に備えられ、被洗浄物3に洗浄液11を供給する。
【0063】
また、振動子2は、被洗浄物3と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物3に伝達される。
【0064】
このとき、振動子2は、超音波伝達体22と超音波伝達体22に備えられた圧電素子21と、ハウジング23と、電源線24とで構成され、ウエハ上部面でスキャニング方式によって移動しながら、回転するウエハ全体表面を均一に洗浄する。
【0065】
すなわち、既存の振動子は、固定式によって回転するウエハ全体領域に対して均一な洗浄が困難であったが、本発明は振動子をスキャニング方式によって回転するウエハ上面で移動させながら洗浄するため、均一な洗浄が可能となる。
【0066】
ここで、圧電素子21は、外部から印加される電源によって振動するものであって、セラミック体21cと当該セラミック体21cの上下表面にそれぞれ蒸着した上部電極21aおよび下部電極21bで構成される。
【0067】
また、圧電素子21および超音波伝達体22はハウジング23に一体に結合し、ハウジング23の内部には圧電素子21に電源を印加する電源線24が備えられる。
【0068】
本発明の特徴的な様相に応じ、超音波伝達体22は、その中心に垂直ホール221が形成されることが好ましい。
【0069】
すなわち、圧電素子21で発生した超音波がその中心に集中することにより、微細パターン洗浄時に損傷を与えたり洗浄効率を低下させるという問題がある。しかし、本発明は超音波伝達体22の中心に垂直ホール221を形成し、圧電素子21の中心で発生した高い音圧を垂直ホール221の周辺に広く分布させることにより、高い音圧が分布する面積を広げて洗浄効率を向上させることができる。
【0070】
このとき、図16には、垂直ホール221が超音波伝達体22の上端部の一部に形成されたものと示しているが、図17に示すように垂直ホール221が超音波伝達体22の下端部の一部に形成されたり、図18に示すように上端部と下端部の間を垂直に貫通するように形成してもよい。
【0071】
一方、本発明の第2実施形態において、圧電素子21は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0072】
すなわち、圧電素子21が既存の単一周波数で駆動する場合、互いに異なる粒子の大きさを有する汚染物質に対する効率的な洗浄が困難であったり、圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動したとしても、長さ方向に長い超音波振動子の各地点別の音圧分布が均一でなく、均一な洗浄が行われなかったり、ピーク音圧が強く現れる部分によって微細パターンが損傷する問題、および固定式によって回転するウエハ全体の均一な洗浄が困難であった。しかし、本発明は互いに異なる周波数を発生する振動子をスキャニング方式によって移動させることによって均一な洗浄が行われるようにする。
【0073】
すなわち、超音波を利用した洗浄において、粒子が大きい汚染物質と粒子が小さい汚染物質の洗浄効率が周波数に応じてそれぞれ異なるため、粒子が大きい汚染物質と粒子が小さい汚染物質に対して何れも洗浄効率を上げるために、本発明は互いに異なる周波数を適用しなければならない。
【0074】
したがって、本発明は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動される圧電素子を利用することにより、粒子状汚染物質の大きさには関係なく、全般的に洗浄効率を高めることができる。
【0075】
他の実施形態として、図19に示すように、少なくとも2つ以上の圧電素子21を超音波伝達体22に備え、それぞれの圧電素子21を互いに異なる周波数で駆動させてもよい。
【0076】
このような圧電素子の形状および配置に対する具体的な例示は、上述した図10および図10に対する説明に代替する。
【0077】
ここで、圧電素子21は、図20に示すように、超音波伝達体22上で互いに異なる高さに位置してもよい。
【0078】
また、図21に示すように、前記超音波伝達体22が少なくとも2つ以上備えられ、各超音波伝達体22に少なくとも1つ以上の圧電素子21を配置し、各圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動するように構成してもよい。
【0079】
これに対する変形した実施形態として、図22に示すように、各超音波伝達体22は互いに異なる高さを有してもよい。
【0080】
一方、本発明の第2実施形態では、遠距離場領域の超音波伝達体22が圧電素子21で発生した超音波を被洗浄物に伝達するように構成したが、図23に示すように、近距離場領域の超音波伝達体を通じて超音波を伝達するように構成してもよく、超音波伝達体を除いた残りの構成および変形例は上述した本発明の第2実施形態と同じであるため、これに対する多様な実施形態についての説明は省略する。
【0081】
図24は、本発明に係る超音波精密洗浄装置によって最高音圧分布が改善されたことを示すグラフである。
【0082】
図24(a)は改善前の区間別面積分布であり、(b)は改善後の区間別面積分布を示すものであって、x軸は音圧の強さを、y軸は頻度を示している。
【0083】
(a)の場合は、10%以下の音圧が主に分布して、20%以上の高い音圧が中心に一部集中していることが分かる。
【0084】
(b)の場合は、10%以上の高い音圧が、ある一部分に集中することなく均等に分布していることが分かる。
【0085】
このように、本発明は、超音波伝達体や圧電素子の中心に垂直ホールを形成することにより、垂直ホールの周辺に高い音圧を広く分布させることによって洗浄効率を向上させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波洗浄装置に関し、より詳細には、圧電素子の中心部で音圧が集中することなく広い面積に渡って均一な音圧が発生するようにし、被洗浄物に損傷を与えずに洗浄効率を高めることができる超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の工程過程において最も基本的な技術の一つが洗浄技術である。
【0003】
半導体製造過程は、ウエハの表面を形成するために多数の段階の工程を経るようになるが、各段階の工程過程において半導体ウエハおよび半導体製造装備には各種汚染物質が発生して残存するようになり、残存する汚染物質によってウエハ上に形成される素子パターンに欠陥が発生し、最終的には素子の信頼性を低下させる。
【0004】
したがって、半導体ウエハおよび半導体製造装備を各工程段階において物理的および化学的方法によって洗浄し、汚染物質を除去しなければならない。
【0005】
化学的な洗浄方法は、表面の汚染を水洗およびエッチングまたは酸化還元反応などによって除去するものであって、多様な化学薬品やガスを使用する。
【0006】
物理的洗浄方法は、超音波エネルギーによって付着物を剥離したり、ブラシで払拭したり、高圧水を使用したりして付着物を除去する。
【0007】
一般的に、効率的な洗浄方法のために物理的方法と化学的方法を併行する方法を適切に組み合わせる超音波洗浄方法などが適用されている。
【0008】
すなわち、超音波洗浄とは、被洗浄物に付着した汚染物質を物理的(超音波)および化学的手段(化学洗浄液)を利用して除去し、除去した汚染物質が再び付着しないようにするものである。
【0009】
超音波による物理的現象とは、超音波の空洞現象(キャビテーション)によってなされるものを意味し、空洞現象とは、超音波のエネルギーが液中に伝達されるとき、超音波の圧力によって微細気泡が生成されて消滅する現象であって、非常に大きな圧力(数十気圧から数百気圧)と高温(数百度から数千度)を伴う。
【0010】
この空洞現象は極めて短い時間(数万分の一秒から数十万分の一秒)内に微細気泡の生成と消滅を繰り返すことによって衝撃波を発生し、この衝撃波によって液中に含まれている被洗浄物内部の奥深い見えない所まで短い時間内に洗浄が行われる。
【0011】
実際の場合には、キャビテーションによる衝撃エネルギーに加え、超音波自体の放射圧による攪拌効果熱作用などが洗剤と相乗作用を引き起こして高い洗浄効果を出す。
【0012】
超音波洗浄は主に、液晶ディスプレイ(LCD)装置用ガラス基板、半導体ウエハ、データ格納などのための磁気ディスクのような被洗浄物を洗浄したり濯いだりするのに用いられる。
【0013】
このような超音波洗浄のための技術が、本出願人によって既に特許文献1にて「超音波洗浄装置」という題名で開示されている。
【0014】
この技術は、図1および図2に示すように、洗浄液供給装置100と振動子200を含んで構成される。
【0015】
ここで、洗浄液供給装置100は、被洗浄物300と一定の間隙を維持するように被洗浄物300の上側に備えられ、被洗浄物300に洗浄液110を供給する。
【0016】
また、振動子200、被洗浄物300と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物300に伝達される。
【0017】
このとき、振動子200は、図1に示すように、圧電素子210で発生した超音波が近距離場領域の超音波伝達体220を通じて被洗浄物300に伝達されるように構成されたり、図2に示すように、圧電素子210で発生した波長が遠距離場領域の超音波伝達体220を通じて被洗浄物300に伝達されるように構成されている。
【0018】
ここで、圧電素子210は、外部から印加される電源によって振動するものであって、振動子200は、圧電素子210と、圧電素子210で発生した超音波を伝達する超音波伝達体220と、圧電素子210と超音波伝達体220が一体に結合するハウジング230と、圧電素子210に電源を印加する電源線240とで構成される。
【0019】
しかし、このような構成によれば、近距離場内では圧電素子から距離に応じて比較的に均一な音圧分布が周期的に現れるが、遠距離場のうちでも近距離場に近い距離では、図3に示すように圧電素子の中心に音圧が集中し、超音波が被洗浄物に最終的に伝達される端部の中心に音圧が集中する。
【0020】
この場合、当該端部中心の音圧集中が均一な洗浄を困難にさせるだけでなく、音圧が集中した部分によって洗浄される部分のパターンが損傷するという問題がある。
【0021】
このようなパターンの損傷を防ごうと音圧を低くすれば、洗浄効率が低くなるという短所がある。
【0022】
一方、従来の超音波洗浄装置は、多様な大きさの異物を効果的に除去することができないという短所がある。
【0023】
図4は、一般的な超音波洗浄装置において、周波数と粒子状汚染物質の大きさに応じた洗浄効率を示すグラフ図であって、1MHzでは大きい粒子状汚染物質の洗浄効率が高くて小さい粒子状汚染物質の洗浄効率は低いが、3MHzでは大きい粒子状汚染物質の洗浄効率が低くて小さい粒子状汚染物質の洗浄効率が高く現れている。
【0024】
すなわち、波長が長い低周波では空洞現象が大きく発生し、空洞現象の数が少ないため、大きい粒子状汚染物質に対する洗浄は適切に行われるが、汚染物質の数が多い小さい粒子状汚染物質の洗浄は適切に行われない。
【0025】
この反面、波長が短い高周波では、サイズが小さい空洞現象が多く発生するが、このときの衝撃波が弱いため、小さい粒子状汚染物質の洗浄は適切に行われる反面、大きい異物の洗浄は適切に行われなくなる。
【0026】
これにより、単一周波数を適用する従来の装置では、互いに異なる粒子の大きさを有する汚染物質に対する効率的な洗浄を期待し難しいという短所がある。
【0027】
このような単一周波数を適用する場合の洗浄効率が低いという短所を解消するための方法が、特許文献2に開示されている。
【0028】
特許文献2に開示された方法は、図5に示すように、支持部材上部が円板上に形成される回転テーブル600で構成してあり、複数の超音波振動子700を回転テーブルの中心部から周辺部に至る長さ方向に並列配置し、それぞれの超音波振動子700を互いに異なる周波数で駆動するものである。
【0029】
すなわち、この技術は、互いに異なる周波数で駆動し、ウエハ(W)の半径方向に長さが長い直方体形状を有する超音波振動子を並列配置することにより、互いに異なる粒子状汚染物質を効率的に洗浄するものである。
【0030】
しかし、この技術によれば、超音波振動子の長さが半径方向に長いため、長さ方向に対して横波が発生してピーク音圧が現れるため、音圧分布が不均一であるという現象が発生する。
【0031】
結果的に、ピーク音圧によって微細パターンが損傷するという問題が発生し、このようなピーク音圧を減らすために振動を弱くする場合、洗浄が効率的に行われないという短所がある。
【0032】
さらに、音圧分布が不均一であるにもかかわらず、超音波振動子がスキャニング方式ではなく固定された方式であるため、不均一な音圧分布を改善することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】韓国特許出願第2006−0102511号
【特許文献2】特許第3927936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、被洗浄物に洗浄液を供給し、超音波伝達体を通じて供給された洗浄液に圧電素子から発生する超音波を伝達する超音波精密洗浄装置を提供することを目的とし、当該超音波精密洗浄装置は、振動子を構成する圧電素子または超音波伝達体の中心部に垂直ホールを形成し、音圧が集中することなく広い面積に渡って均一に発生するようにできるものである。
【0035】
また、本発明の他の目的は、振動子をスキャニング方式によって回転するウエハ上で移動させながら洗浄がなされるようにすることにより、回転するウエハ全体領域に対して均一な洗浄がなされるようにする超音波精密洗浄装置を提供する。
【0036】
さらに、本発明の他の目的は、互いに異なる周波数で駆動する振動子を利用して、被洗浄物に互いに異なる少なくとも2つ以上の周波数で超音波を加えることにより、多様な粒子の大きさを有する汚染物質に対する洗浄効率を高められるようにする超音波精密洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の目的を達成するために、本発明の超音波精密洗浄装置は、被洗浄物に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、セラミック体および当該セラミック体の上部および下部にそれぞれ蒸着された上下電極で構成されて超音波を発生させる圧電素子と、前記圧電素子の端部に結合して前記被洗浄物と対向するように備えられ、圧電素子で発生する超音波を被洗浄物に伝達する超音波伝達体と、を含む超音波洗浄装置であって、前記圧電素子または超音波伝達体の中心には垂直ホールが形成される。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、超音波伝達体や圧電素子の中心に垂直ホールを形成し、垂直ホールの周りに高い音圧が広い面積に均等に分布するようにすることによって洗浄効率を高めることができる利点がある。
【0039】
また、本発明は、互いに異なる2つ以上の周波数で駆動する振動子を利用して、被洗浄物に1つ以上の互いに異なる周波数の超音波を加えることにより、粒子の大きさには関係なく、多様な粒子の大きさを有する汚染物質すべてに対する洗浄効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の超音波洗浄装置の構造を示す図である。
【図2】従来の超音波洗浄装置のさらに他の構造を示す図である。
【図3】従来の超音波洗浄装置によって発生する音圧分布図である。
【図4】従来の超音波洗浄装置における周波数帯域別−粒子状汚染物質の大きさ別の洗浄効率を示すグラフである。
【図5】従来の多重周波数を利用した単一ウエハ超音波洗浄装置の構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【図7】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図8】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図9】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図10】図9の圧電素子の配置図である。
【図11】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図12】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図13】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図14】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図15】図6の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【図17】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図18】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図19】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図20】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図21】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図22】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図23】図16の超音波精密洗浄装置の変形した実施形態を示す構成図である。
【図24】本発明に係る超音波精密洗浄装置によって最高音圧分布が改善したことを示すグラフである。
【図25】本発明の実施形態に係る超音波精密洗浄装置で発生した音圧の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図6は、本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図であって、本発明の第1実施形態に係る超音波精密洗浄装置は、洗浄液供給装置1と振動子2を備える。
【0042】
ここで、洗浄液供給装置1は、被洗浄物3と一定の間隙を維持するように被洗浄物3の上側に備えられ、被洗浄物3に洗浄液11を供給する。
【0043】
また、振動子2は、被洗浄物3と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物3に伝達される。
【0044】
このとき、振動子2は、超音波伝達体22と、超音波伝達体22に備えられた圧電素子21と、ハウジング23と、電源線24とで構成され、ウエハ上部面でスキャニング方式によって移動しながら、回転するウエハ全体表面を均一に洗浄する。
【0045】
ここで、圧電素子21は、外部から印加される電源によって振動するものであって、セラミック体21cと、セラミック体21cの上下表面にそれぞれ蒸着した電極21a、21bとで構成される。
【0046】
また、圧電素子21と超音波伝達体22はハウジング23に一体に結合し、ハウジング23の内部には圧電素子21に電源を印加する電源線24が備えられる。
【0047】
本発明の特徴的な様相により、圧電素子21には垂直ホール211が形成されることが好ましい。
【0048】
すなわち、図6に示すように、垂直ホール211がセラミック体21cとセラミック体21cの上下の電極21a、21bを貫通するように形成されてもよい。
【0049】
または、垂直ホール211が上部電極と下部電極のうちのいずれか1つ以上の電極21a、21bの中心にセラミック層を除いて電極層だけを除去した形状で形成されてもよいが、具体的には、図7に示すように、垂直ホール211がセラミック体21cを除いた上部電極21aの中心に形成されたり、図8に示すように、セラミック体21cを除いた下部電極21bの中心に形成されてもよく、他の変形した実施形態により、セラミック体21cを除いた上部電極21aと下部電極21bに両方に形成されてもよい。
【0050】
このように、本発明の第1実施形態によれば、圧電素子21の中心に垂直ホール211を形成することにより、垂直ホール211周辺に高い音圧を広く分布させ、超音波伝達体22を通じて被洗浄物3に伝達することにより、洗浄効率を向上させることができる。
【0051】
さらに、本発明の第1実施形態において、圧電素子21は少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0052】
本発明の第1実施形態の変形した実施形態によれば、図9に示すように、圧電素子21は超音波伝達体22に少なくとも2つ以上備えられ、それぞれの圧電素子21は互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0053】
例えば、圧電素子をそれぞれ1MHzで駆動する圧電素子21と3MHzで駆動する圧電素子21で構成してもよいが、それぞれの圧電素子21は、図10(a)に示すように円形状を有して相互に離隔して配置されたり、(b)に示すように1つの圧電素子21は環状で外側に配置され、さらに他の圧電素子21は円形で環状圧電素子21の内側に配置されてもよく、(c)と(d)に示すように2つの圧電素子が半円形状で互いに一定の距離だけ離隔するように対向して配置されてもよい。
【0054】
さらに、圧電素子21は、図11に示すように、超音波伝達体22上で互いに異なる高さに位置してもよい。
【0055】
本発明の第1実施形態の他の変形した実施形態によれば、図12に示すように、超音波伝達体22が少なくとも2つ以上備えられ、各超音波伝達体22には少なくとも1つ以上の圧電素子21が備えられ、各圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0056】
また、図13に示すように、各超音波伝達体22が互いに異なる高さを有してもよい。
【0057】
一方、本発明の第1実施形態では、遠距離場領域の超音波伝達体22が圧電素子21で発生した超音波を被洗浄物に伝達するように構成したが、図14に示すように、近距離場領域の超音波伝達体を通じて伝達するように構成してもよく、超音波伝達体を除いた残りの構成および変形例は上述した本発明の第1実施形態と同じであるため、これに対する多様な実施形態についての説明は省略する。
【0058】
また、本発明の第1実施形態は、圧電素子21の中心にのみ垂直ホール211が形成されているが、追加される様相に応じ、図15に示すように、超音波伝達体22の中心にも垂直ホール221を形成してもよい。
【0059】
そして、ここで超音波伝達体22の垂直ホール221は、超音波伝達体22の上端部の一部に形成されたものと示しているが、垂直ホール221を超音波伝達体22の下端部の一部に形成したり、前記上端部と前記下端部の間を垂直に貫通するように形成してもよい。
【0060】
図16は、本発明の第2実施形態に係る超音波精密洗浄装置の分解斜視図である。
【0061】
図16を参照すれば、本発明の超音波精密洗浄装置は、洗浄液供給装置1と振動子2を含んで構成される。
【0062】
ここで、洗浄液供給装置1は、被洗浄物3と一定の間隙を維持するように被洗浄物3の上側に備えられ、被洗浄物3に洗浄液11を供給する。
【0063】
また、振動子2は、被洗浄物3と対向するように備えられて超音波を発生し、発生した超音波は洗浄液を通じて被洗浄物3に伝達される。
【0064】
このとき、振動子2は、超音波伝達体22と超音波伝達体22に備えられた圧電素子21と、ハウジング23と、電源線24とで構成され、ウエハ上部面でスキャニング方式によって移動しながら、回転するウエハ全体表面を均一に洗浄する。
【0065】
すなわち、既存の振動子は、固定式によって回転するウエハ全体領域に対して均一な洗浄が困難であったが、本発明は振動子をスキャニング方式によって回転するウエハ上面で移動させながら洗浄するため、均一な洗浄が可能となる。
【0066】
ここで、圧電素子21は、外部から印加される電源によって振動するものであって、セラミック体21cと当該セラミック体21cの上下表面にそれぞれ蒸着した上部電極21aおよび下部電極21bで構成される。
【0067】
また、圧電素子21および超音波伝達体22はハウジング23に一体に結合し、ハウジング23の内部には圧電素子21に電源を印加する電源線24が備えられる。
【0068】
本発明の特徴的な様相に応じ、超音波伝達体22は、その中心に垂直ホール221が形成されることが好ましい。
【0069】
すなわち、圧電素子21で発生した超音波がその中心に集中することにより、微細パターン洗浄時に損傷を与えたり洗浄効率を低下させるという問題がある。しかし、本発明は超音波伝達体22の中心に垂直ホール221を形成し、圧電素子21の中心で発生した高い音圧を垂直ホール221の周辺に広く分布させることにより、高い音圧が分布する面積を広げて洗浄効率を向上させることができる。
【0070】
このとき、図16には、垂直ホール221が超音波伝達体22の上端部の一部に形成されたものと示しているが、図17に示すように垂直ホール221が超音波伝達体22の下端部の一部に形成されたり、図18に示すように上端部と下端部の間を垂直に貫通するように形成してもよい。
【0071】
一方、本発明の第2実施形態において、圧電素子21は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動してもよい。
【0072】
すなわち、圧電素子21が既存の単一周波数で駆動する場合、互いに異なる粒子の大きさを有する汚染物質に対する効率的な洗浄が困難であったり、圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動したとしても、長さ方向に長い超音波振動子の各地点別の音圧分布が均一でなく、均一な洗浄が行われなかったり、ピーク音圧が強く現れる部分によって微細パターンが損傷する問題、および固定式によって回転するウエハ全体の均一な洗浄が困難であった。しかし、本発明は互いに異なる周波数を発生する振動子をスキャニング方式によって移動させることによって均一な洗浄が行われるようにする。
【0073】
すなわち、超音波を利用した洗浄において、粒子が大きい汚染物質と粒子が小さい汚染物質の洗浄効率が周波数に応じてそれぞれ異なるため、粒子が大きい汚染物質と粒子が小さい汚染物質に対して何れも洗浄効率を上げるために、本発明は互いに異なる周波数を適用しなければならない。
【0074】
したがって、本発明は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動される圧電素子を利用することにより、粒子状汚染物質の大きさには関係なく、全般的に洗浄効率を高めることができる。
【0075】
他の実施形態として、図19に示すように、少なくとも2つ以上の圧電素子21を超音波伝達体22に備え、それぞれの圧電素子21を互いに異なる周波数で駆動させてもよい。
【0076】
このような圧電素子の形状および配置に対する具体的な例示は、上述した図10および図10に対する説明に代替する。
【0077】
ここで、圧電素子21は、図20に示すように、超音波伝達体22上で互いに異なる高さに位置してもよい。
【0078】
また、図21に示すように、前記超音波伝達体22が少なくとも2つ以上備えられ、各超音波伝達体22に少なくとも1つ以上の圧電素子21を配置し、各圧電素子21が互いに異なる周波数で駆動するように構成してもよい。
【0079】
これに対する変形した実施形態として、図22に示すように、各超音波伝達体22は互いに異なる高さを有してもよい。
【0080】
一方、本発明の第2実施形態では、遠距離場領域の超音波伝達体22が圧電素子21で発生した超音波を被洗浄物に伝達するように構成したが、図23に示すように、近距離場領域の超音波伝達体を通じて超音波を伝達するように構成してもよく、超音波伝達体を除いた残りの構成および変形例は上述した本発明の第2実施形態と同じであるため、これに対する多様な実施形態についての説明は省略する。
【0081】
図24は、本発明に係る超音波精密洗浄装置によって最高音圧分布が改善されたことを示すグラフである。
【0082】
図24(a)は改善前の区間別面積分布であり、(b)は改善後の区間別面積分布を示すものであって、x軸は音圧の強さを、y軸は頻度を示している。
【0083】
(a)の場合は、10%以下の音圧が主に分布して、20%以上の高い音圧が中心に一部集中していることが分かる。
【0084】
(b)の場合は、10%以上の高い音圧が、ある一部分に集中することなく均等に分布していることが分かる。
【0085】
このように、本発明は、超音波伝達体や圧電素子の中心に垂直ホールを形成することにより、垂直ホールの周辺に高い音圧を広く分布させることによって洗浄効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物(3)に洗浄液を供給する洗浄液供給装置(1)と、
セラミック体(21c)および当該セラミック体(21c)の上部および下部にそれぞれ蒸着した上部電極(21a)、下部電極(21b)を備えて超音波を発生させる圧電素子(21)と、前記圧電素子(21)の端部に結合して前記被洗浄物(3)と対向するように備えられ、前記圧電素子(21)で発生する超音波を被洗浄物(3)に伝達する超音波伝達体(22)と、ハウジング(23)と、電源線(24)と、を有する振動子を含む超音波洗浄装置であって、
前記圧電素子(21)には垂直ホール(211)が形成してある超音波精密洗浄装置。
【請求項2】
前記垂直ホール(211)は、前記セラミック体(21c)、前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)を貫通するように形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項3】
前記垂直ホール(211)は、前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)のうちのいずれか1つ以上の前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)の中心にセラミック層を除いて電極層のみを除去した形状で形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項4】
前記超音波伝達体(22)の中心には垂直ホールがさらに形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項5】
前記垂直ホール(221)は、前記超音波伝達体(22)の上端部の一部または下端部の一部に形成される、或いは、前記上端部および前記下端部の間を垂直に貫通するように形成される請求項4に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項6】
被洗浄物(3)に洗浄液(11)を供給する洗浄液供給装置(1)と、
セラミック体(21c)および当該セラミック体(21c)の上部および下部にそれぞれ蒸着した上部電極(21a)、下部電極(21b)を備えて超音波を発生させる圧電素子(21)と、前記圧電素子(21)の端部に結合して前記被洗浄物(3)と対向するように備えられ、前記圧電素子(21)で発生する超音波を被洗浄物(3)に伝達する超音波伝達体(22)と、ハウジング(23)と、電源線(24)と、を有する振動子を含む超音波洗浄装置であって、
前記超音波伝達体(22)の中心には垂直ホール(221)が形成してある超音波精密洗浄装置。
【請求項7】
前記垂直ホール(221)は、前記超音波伝達体(22)の上端部の一部または下端部の一部に形成される、或いは、前記上端部および前記下端部の間を垂直に貫通するように形成される請求項6に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項8】
前記圧電素子(21)は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項9】
前記圧電素子(21)は、前記超音波伝達体(22)に少なくとも2つ以上備えられ、それぞれの圧電素子(21)は互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項10】
前記圧電素子(21)は、前記超音波伝達体(22)上で互いに異なる高さに位置する請求項9に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項11】
前記超音波伝達体(22)は少なくとも2つ以上備えられ、
前記各超音波伝達体(22)は少なくとも1つ以上の圧電素子(21)で構成され、
前記各圧電素子(21)はそれぞれ互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項12】
前記各超音波伝達体(22)は、互いに異なる高さを有する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項1】
被洗浄物(3)に洗浄液を供給する洗浄液供給装置(1)と、
セラミック体(21c)および当該セラミック体(21c)の上部および下部にそれぞれ蒸着した上部電極(21a)、下部電極(21b)を備えて超音波を発生させる圧電素子(21)と、前記圧電素子(21)の端部に結合して前記被洗浄物(3)と対向するように備えられ、前記圧電素子(21)で発生する超音波を被洗浄物(3)に伝達する超音波伝達体(22)と、ハウジング(23)と、電源線(24)と、を有する振動子を含む超音波洗浄装置であって、
前記圧電素子(21)には垂直ホール(211)が形成してある超音波精密洗浄装置。
【請求項2】
前記垂直ホール(211)は、前記セラミック体(21c)、前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)を貫通するように形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項3】
前記垂直ホール(211)は、前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)のうちのいずれか1つ以上の前記上部電極(21a)および前記下部電極(21b)の中心にセラミック層を除いて電極層のみを除去した形状で形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項4】
前記超音波伝達体(22)の中心には垂直ホールがさらに形成される請求項1に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項5】
前記垂直ホール(221)は、前記超音波伝達体(22)の上端部の一部または下端部の一部に形成される、或いは、前記上端部および前記下端部の間を垂直に貫通するように形成される請求項4に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項6】
被洗浄物(3)に洗浄液(11)を供給する洗浄液供給装置(1)と、
セラミック体(21c)および当該セラミック体(21c)の上部および下部にそれぞれ蒸着した上部電極(21a)、下部電極(21b)を備えて超音波を発生させる圧電素子(21)と、前記圧電素子(21)の端部に結合して前記被洗浄物(3)と対向するように備えられ、前記圧電素子(21)で発生する超音波を被洗浄物(3)に伝達する超音波伝達体(22)と、ハウジング(23)と、電源線(24)と、を有する振動子を含む超音波洗浄装置であって、
前記超音波伝達体(22)の中心には垂直ホール(221)が形成してある超音波精密洗浄装置。
【請求項7】
前記垂直ホール(221)は、前記超音波伝達体(22)の上端部の一部または下端部の一部に形成される、或いは、前記上端部および前記下端部の間を垂直に貫通するように形成される請求項6に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項8】
前記圧電素子(21)は、少なくとも2つ以上の互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項9】
前記圧電素子(21)は、前記超音波伝達体(22)に少なくとも2つ以上備えられ、それぞれの圧電素子(21)は互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項10】
前記圧電素子(21)は、前記超音波伝達体(22)上で互いに異なる高さに位置する請求項9に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項11】
前記超音波伝達体(22)は少なくとも2つ以上備えられ、
前記各超音波伝達体(22)は少なくとも1つ以上の圧電素子(21)で構成され、
前記各圧電素子(21)はそれぞれ互いに異なる周波数で駆動する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【請求項12】
前記各超音波伝達体(22)は、互いに異なる高さを有する請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波精密洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2013−516797(P2013−516797A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548868(P2012−548868)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003459
【国際公開番号】WO2011/152573
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(304059937)コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003459
【国際公開番号】WO2011/152573
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(304059937)コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ (27)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]