説明

車両の駆動制御装置

【課題】ストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放を適切に検出することが可能な車両の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】車両の駆動制御装置は、係合要素と被係合要素とのドグ歯における噛み合いによって内燃機関のトルクの反力を受け持ちつつトルクを伝達する伝達手段と、係合要素にトルクを付与するトルク付与手段と、噛合機構を解放させる方向に力を付与する力付与手段と、ドグ歯にかかる接触摩擦力が力付与手段により付与される力よりも小さくなり、且つ噛合機構に働くトルクが0から離れた所定値となるように目標トルクを設定して制御を行うトルク付与制御手段と、係合要素と被係合要素との位相変化が所定値以上となった際に、噛合機構が解放されたと判定する解放判定手段とを備える。これにより、ストロークセンサなどを用いずに、噛合機構の解放を適切に検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に好適な駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に加えて、電動機やモータジェネレータなどの動力源を備えるハイブリッド車両が既知である。ハイブリッド車両では、内燃機関を可及的に高効率状態で運転する一方、駆動力やエンジンブレーキ力の過不足を電動機又はモータジェネレータで補う。
【0003】
また、上記のようなハイブリッド車両において、無段変速モードと固定変速比モードとを切り替えて運転することが可能なように構成された変速機構が知られている。具体的には、2つの遊星歯車機構を組み合わせて4つの回転要素を有する動力分配機構が構成され、4つの回転要素がそれぞれエンジン、第1のモータジェネレータ、出力軸及びブレーキに接続される。ブレーキを解放した状態では、第1のモータジェネレータの回転数を連続的に変化させることにより、エンジンの回転数が連続的に変化し、無段変速モードでの運転が実行される。一方、ブレーキを固定した状態では、上記の回転要素の1つの回転が阻止されることにより変速比が固定となり、固定変速比モードでの運転が実行される。また、無段変速モードと固定変速比モードとを切り替える変速機構は、従来の湿式多板クラッチではなく、回転要素の歯と固定要素の歯とを噛合させるドグクラッチを用いたものが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、モータジェネレータを用いてドグクラッチの位相を調整する機構が記載されている。また、特許文献2にも、本発明に関連のある技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−38136号公報
【特許文献2】特開2004−345527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1及び2には、固定要素などの軸方向位置を検出可能なストロークセンサを用いずに、ドグクラッチにおける解放を適切に検出する方法については記載されていない。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放を適切に検出することが可能な車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点では、複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の回転側ドグ歯を有する被係合要素を備える噛合機構と、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯との噛み合いによって内燃機関のトルクの反力を受け持ちつつ、車輪にトルクを伝達する伝達手段と、を具備する車両の駆動制御装置は、前記係合要素にトルクを付与するトルク付与手段と、前記噛合機構を解放させる方向に力を付与する力付与手段と、前記噛合機構を解放させる際に、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とにおける接触摩擦力が前記力付与手段により付与される力よりも小さくなり、且つ前記噛合機構に働くトルクが0から離れた所定値となるように、前記トルク付与手段より付与させる目標トルクを設定し、当該目標トルクに基づいて前記トルク付与手段に対する制御を行うトルク付与制御手段と、前記トルク付与制御手段による制御の実行時において、前記係合要素と前記被係合要素との回転方向の位相変化が所定値以上となった際に、前記噛合機構が解放されたと判定する解放判定手段と、を備える。
【0009】
上記の車両の駆動制御装置は、エンジン及びモータジェネレータを駆動源として有するハイブリッド車両などに搭載される。具体的には、車両の駆動制御装置においては、噛合機構は、複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の回転側ドグ歯を有する被係合要素を備え、伝達手段は、回転側ドグ歯同士の噛み合いによって内燃機関のトルクの反力を受け持ちつつ、車輪にトルクを伝達し、トルク付与手段は、係合要素にトルクを付与し、力付与手段は、噛合機構を解放させる方向に力を付与する。また、トルク付与制御手段は、噛合機構を解放させるために、係合要素の回転側ドグ歯と被係合要素の回転側ドグ歯とにおける接触摩擦力が力付与手段により付与される力よりも小さくなり、且つ噛合機構に働くトルクが0から離れた所定値となるように、目標トルクを設定してトルク付与手段に対する制御を行う。つまり、解放時に噛合機構に働くトルクが0にならないように、目標トルクを設定する。そして、解放判定手段は、係合要素と被係合要素との回転方向の位相変化が所定値以上となった際に、噛合機構が解放されたと判定する。
【0010】
上記の車両の駆動制御装置によれば、解放時において、係合要素と被係合要素との位相変化を適切に発生させることができるため、ストローク量を検出するストロークセンサなどを用いずに、噛合機構の解放を適切に検出することが可能となる。そのため、ストロークセンサ追加によるセンサコストを削減することができると共に、変速時間を短縮することができる。
【0011】
上記の車両の駆動制御装置の一態様では、前記トルク付与制御手段は、前記内燃機関における動作点の変化が所定以上である場合には、前記トルク付与手段より付与されるトルクが、前記内燃機関における動作点の変化が所定未満である場合よりも緩やかに前記目標トルクに近付くように、前記トルクを変化させるスイープ速度を設定する。
【0012】
この態様によれば、現状の動作点において精度の高い制御値(トルクを制御するための値など)が存在しなくても、噛合機構を適切に解放させることができると共に、噛合機構の解放を適切に検出することができる。
【0013】
上記の車両の駆動制御装置において好適には、前記トルク付与制御手段は、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とのバックラッシを一旦詰めてから、前記トルク付与手段より付与されるトルクが前記目標トルクに向かうように、前記トルク付与手段に対する制御を行う。つまり、トルク付与制御手段は、噛合機構に働くトルクが0となるようなトルクを一旦超えるトルクを付与した後に、トルク付与手段より付与されるトルクが目標トルクに向かうように制御を行うことができる。
【0014】
上記の車両の駆動制御装置の他の一態様では、前記トルク付与制御手段は、前記噛合機構の解放後において加速するか減速するかに基づいて、前記目標トルクを設定する。
【0015】
この態様では、噛合機構の解放後において加速するか減速するかに基づいて、具体的には解放後におけるモータジェネレータなどの回転方向を考慮に入れて、目標トルクを設定する。これにより、噛合機構の解放後において、加速する向き又は減速する向きに、モータジェネレータなどを適切に回転させることができる。よって、変速時間を短縮することができると共に、変速ショックを低減させることができる。
【0016】
上記の車両の駆動制御装置の他の一態様では、前記トルク付与制御手段による制御の実行開始から所定時間経過後において、前記係合要素と前記被係合要素との回転方向の位相変化が前記所定値未満である場合に、前記噛合機構の解放が失敗したと判定する解放失敗判定手段と、前記解放失敗判定手段が解放が失敗したと判定した場合に、前記失敗の原因に基づいた制御を実行する制御手段と、を備える。これにより、噛合機構の解放が失敗した場合にも、解放の失敗原因に対応する制御を適切に実行することができる。
【0017】
好適な例では、前記解放判定手段における判定に用いられる前記所定値は、少なくとも、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とのバックラッシよりも大きい値に設定される。
【0018】
また、好適な例では、前記トルク付与制御手段は、ハイブリッド車両において固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために、前記噛合機構が解放されるように前記トルク付与手段に対する制御を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明における車両の駆動制御装置は、複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の回転側ドグ歯を有する被係合要素を備える噛合機構と、係合要素の回転側ドグ歯と被係合要素の回転側ドグ歯との噛み合いによって内燃機関のトルクの反力を受け持ちつつ、車輪にトルクを伝達する伝達手段と、を具備し、係合要素にトルクを付与するトルク付与手段と、噛合機構を解放させる方向に力を付与する力付与手段と、噛合機構を解放させる際に、係合要素の回転側ドグ歯と被係合要素の回転側ドグ歯とにおける接触摩擦力が力付与手段により付与される力よりも小さくなり、且つ噛合機構に働くトルクが0から離れた所定値となるように、トルク付与手段より付与させる目標トルクを設定して制御を行うトルク付与制御手段と、トルク付与制御手段による制御の実行時において、係合要素と被係合要素との回転方向の位相変化が所定値以上となった際に、噛合機構が解放されたと判定する解放判定手段と、を備える。これにより、ストロークセンサなどを用いずに、噛合機構の解放を適切に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
[装置構成]
図1に本発明を適用したハイブリッド車両の概略構成を示す。図1の例は、機械分配式2モータ型と称されるハイブリッド車両であり、エンジン(内燃機関)1、第1のモータジェネレータMG1、第2のモータジェネレータMG2、動力分配機構20、を備える。動力源に相当するエンジン1と、回転数制御機構に相当する第1のモータジェネレータMG1とが動力分配機構20に連結されている。動力分配機構20の出力軸3には、駆動トルク又はブレーキ力のアシストを行うための副動力源である第2のモータジェネレータMG2が連結されている。第2のモータジェネレータMG2と出力軸3とはMG2変速部6を介して接続されている。さらに、出力軸3は最終減速機8を介して左右の駆動輪9に連結されている。第1のモータジェネレータMG1と第2のモータジェネレータMG2とは、バッテリ、インバータ、又は適宜のコントローラ(図2参照)を介して、もしくは直接的に電気的に接続され、第1のモータジェネレータMG1で生じた電力で第2のモータジェネレータMG2を駆動するように構成されている。なお、第1のモータジェネレータMG1は、トルク付与手段に相当する。
【0022】
エンジン1は燃料を燃焼して動力を発生する熱機関であり、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどが挙げられる。第1のモータジェネレータMG1はエンジン1からトルクを受けて回転することにより主として発電を行うものであり、発電に伴うトルクの反力が作用する。第1のモータジェネレータMG1の回転数を制御することにより、エンジン1の回転数が連続的に変化する。このような変速モードを無段変速モードという。無段変速モードは、後述する動力分配機構20の差動作用により実現される。
【0023】
第2のモータジェネレータMG2は、駆動トルク又はブレーキ力を補助(アシスト)する装置である。駆動トルクをアシストする場合、第2のモータジェネレータMG2は電力の供給を受けて電動機として機能する。一方、ブレーキ力をアシストする場合には、第2のモータジェネレータMG2は、駆動輪9から伝達されるトルクにより回転させられて電力を発生する発電機として機能する。
【0024】
図2は、図1に示す第1及び第2のモータジェネレータMG1及びMG2、並びに動力分配機構20の構成を示す。
【0025】
動力分配機構20は、エンジン1の出力トルクを第1のモータジェネレータMG1と出力軸3とに分配する機構であり、差動作用を生じるように構成されている。具体的には複数組の差動機構を備え、互いに差動作用を生じる4つの回転要素のうち、第1の回転要素にエンジン1が連結され、第2の回転要素に第1のモータジェネレータMG1が連結され、第3の回転要素に出力軸3が連結される。第4の回転要素はドグブレーキ部7により固定可能となっている。ドグブレーキ部7は、複数のドグ歯を有する係合要素(不図示)、及び複数のドグ歯を有する被係合要素(不図示)を有しており、ブレーキ操作部5により制御される。つまり、ドグブレーキ部7は、噛合機構として機能する。詳しくは、ドグブレーキ部7においては、係合要素は複数の回転側ドグ歯を有する回転要素に相当し、被係合要素は複数の固定側ドグ歯を有する固定要素に相当する。以下では、係合要素のことを「回転要素」と表記し、被係合要素のことを「固定要素」と表記する。
【0026】
ドグブレーキ部7が第4の回転要素を固定していない状態では、第1のモータジェネレータMG1の回転数を連続的に変化させることによりエンジン1の回転数が連続的に変化し、無段変速モードが実現される。一方、ドグブレーキ部7が第4の回転要素を固定している状態では、動力分配機構20により決定される変速比がオーバードライブ状態(即ち、エンジン回転数が出力回転数より小さくなる状態)に固定され、固定変速比モードが実現される。
【0027】
本実施形態では、図2に示すように、動力分配機構20は、2つの遊星歯車機構を組み合わせて構成される。第1の遊星歯車機構はリングギア21、キャリア22、サンギア23を備える。第2の遊星歯車機構はダブルピニオン式であり、リングギア25、キャリア26、サンギア27を備える。
【0028】
エンジン1の出力軸2は第1の遊星歯車機構のキャリア22に連結され、そのキャリア22は第2の遊星歯車機構のリングギア25に連結されている。これらが第1の回転要素を構成する。第1のモータジェネレータMG1のロータ11は第1の遊星歯車機構のサンギア23に連結され、これらが第2の回転要素を構成している。
【0029】
第1の遊星歯車機構のリングギア21と第2の遊星歯車機構のキャリア26は相互に連結されているとともに出力軸3に連結されている。これらが第3の回転要素を構成している。また、第2の遊星歯車機構のサンギア27は回転軸29に連結されており、回転軸29とともに第4の回転要素を構成している。回転軸29はドグブレーキ部7により固定可能となっている。
【0030】
電源ユニット30は、インバータ31、コンバータ32、HVバッテリ33及びコンバータ34を備える。第1のモータジェネレータMG1は電源線37によりインバータ31に接続されており、第2のモータジェネレータMG2は電源線38によりインバータ31に接続されている。また、インバータ31はコンバータ32に接続され、コンバータ32はHVバッテリ33に接続されている。さらに、HVバッテリ33はコンバータ34を介して補機バッテリ35に接続されている。
【0031】
インバータ31は、モータジェネレータMG1及びMG2との間で電力の授受を行う。モータジェネレータの回生時には、インバータ31はモータジェネレータMG1及びMG2が回生により発電した電力を直流に変換し、コンバータ32へ供給する。コンバータ32は、インバータ31から供給される電力を電圧変換し、HVバッテリ33を充電する。一方、モータジェネレータの力行時には、HVバッテリ33から出力される直流電力はコンバータ32により昇圧され、電源線37又は38を介してモータジェネレータMG1又はMG2へ供給される。
【0032】
HVバッテリ33の電力はコンバータ34により電圧変換されて補機バッテリ35に供給され、各種の補機の駆動に使用される。
【0033】
インバータ31、コンバータ32、HVバッテリ33及びコンバータ34の動作はECU4により制御されている。ECU4は制御信号S4を送信することにより、電源ユニット30内の各要素の動作を制御する。また、電源ユニット30内の各要素の状態などを示す必要な信号は制御信号S4としてECU4に供給される。具体的には、HVバッテリ33の状態を示すSOC(State Of Charge)及びバッテリの入出力制限値などは制御信号S4としてECU4に供給される。
【0034】
また、ドグブレーキ部7には、回転側ドグ歯を有する回転要素と固定側ドグ歯を有する固定要素との位相変化を検出可能な回転センサ40が設けられている。回転センサ40は、検出した位相変化に対応する検出信号S40をECU4に供給する。
【0035】
ECU4は、エンジン1、第1のモータジェネレータMG1及び第2のモータジェネレータMG2との間で制御信号S1〜S3を送受信することにより、それらを制御する。また、ECU4はブレーキ操作部5に対してブレーキ操作指示信号S5を供給する。ブレーキ操作部5は、ブレーキ操作指示信号S5に基づいて、ドグブレーキ部7における固定(係合)/解放を制御する。なお、詳細は後述するが、ECU4は、本発明におけるトルク付与制御手段、解放判定手段、解放失敗判定手段、及び制御手段に相当する。
【0036】
図3に、動力分配機構20の固定変速比モードにおける共線図を示す。固定変速比モードでは、図3中の黒丸で示すように、回転側ドグ歯と固定側ドグ歯とが噛み合うことによってドグブレーキ部7が固定される。無段変速モードでは、矢印90で示すように、エンジントルクの反力が第1のモータジェネレータMG1によって支持される(なお、図3は固定変速比モードにおける共線図を示しているが、説明の便宜上、この図を用いて無段変速モードの説明を行っている)。これに対して、固定変速比モードでは、矢印91で示すように、エンジントルクの反力がドグブレーキ部7において機械的に支持される。
【0037】
図4は、ドグブレーキ部7の構成例を模式的に表している。この例では、ドグブレーキ部7は、回転要素71と固定要素72とを備えて構成される。回転要素71は、複数の回転側ドグ歯71aを備え、図2に示す第2の遊星歯車機構のサンギア27に連結されており、矢印A3で示すように、第4の回転要素であるサンギア27の回転に従って回転する。具体的には、回転要素71には、エンジン1のトルク及び第1のモータジェネレータMG1のトルクに基づいたトルク(以下、「ドグ部トルク」と呼ぶ。)が付与される。このドグ部トルクは、直接、若しくは間接的に変速時の固定要素72におけるストロークに対する抵抗力となる。一方、固定要素72は、複数の固定側ドグ歯72aを備え、回転不能に構成されていると共に、矢印A5で示すように、軸方向に移動(ストローク)可能に構成されている。具体的には、固定要素72は、図示しないアクチュエータなどによって矢印A5方向に移動される。このように固定要素72を移動させることにより、回転要素71と固定要素72とが係合する(噛み合う)。この場合には、無段変速モードから固定変速比モードに変速されることとなる。
【0038】
また、固定要素72は、矢印A2のように、力付与手段として機能するバネなどによって力(以下、「バネ力」と呼ぶ。)が付与される。この場合、符号A1で示すような回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの間に働く接触摩擦力(前述したドグ部トルクに依存する力)が、固定要素72に対して付与されるバネ力よりも小さくなった場合に、固定要素72が矢印A2の方向に移動する。これにより、回転要素71と固定要素72との係合が解放する。このような場合には、固定変速比モードから無段変速モードに変速されることとなる。例えば、エンジン1のトルクと第1のモータジェネレータMG1のトルクとがギアを介して釣り合った場合、つまりドグ部トルクが0となった場合、回転要素71と固定要素72との係合が解放する。この場合には、接触摩擦力が最小となるため、バネ力により、短時間で係合が解放する。なお、以下では、ドグブレーキ部7を、単に「ドグ部」とも呼ぶ。
【0039】
[ドグ解放判定方法]
次に、ドグブレーキ部7における解放(以下、「ドグ解放」とも呼ぶ。)を判定する方法について説明する。本実施形態では、固定変速比モードから無段変速モードへ変速させる際に、ドグ部トルクを変化させるように制御を行い、このような制御時における回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化に基づいて、ドグ解放を判定する。具体的には、ECU4は、第1のモータジェネレータMG1より付与させるべき目標トルクを設定して制御を行うことにより、ドグ解放を判定する。詳しくは、ECU4は、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの間に働く接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、且つドグ部トルクが0から離れた所定値となるように、第1のモータジェネレータMG1の目標トルクを設定して、ドグ解放を判定する。
【0040】
上記のようなドグ解放判定方法を行う理由は、以下の通りである。基本的には、固定要素72などの軸方向位置を検出可能なストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放を検出するためには、回転要素71と固定要素72との位相変化を検出することが必要であると言える。このような場合において、ドグ部トルクが0となりドグ解放が行われた場合には、回転要素71が回転しないため位相変化が発生しないので、位相変化を検出することができずに、ドグ解放を適切に検出することが困難になるものと考えられる。したがって、本実施形態では、ドグ部における接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、且つドグ部トルクが0から離れた所定値となるように(即ち、ドグ解放時においてドグ部トルクが0にならないように)、第1のモータジェネレータMG1の目標トルクを設定して制御を行うことによって、ドグ解放を判定する。これにより、ドグ解放時において、回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化を適切に発生させることができる。したがって、本実施形態によれば、ストローク量を検出するストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放(即ち、固定変速比モードから無段変速モードへの変速完了)を適切に検出することが可能となる。
【0041】
次に、図5乃至図12を参照して、本実施形態においてECU4が行う制御について具体的に説明する。
【0042】
まず、固定変速比モードから無段変速モードへ変速する際に設定する変速パラメータを決定する方法について説明する。本実施形態では、当該変速を行う際に、第1のモータジェネレータMG1のトルク(以下、「MG1トルク」とも呼ぶ。)やエンジントルクなどを制御するためのパラメータを、変速パラメータとして決定する。具体的には、ECU4は、エンジントルク推定精度に基づいて変速トルク指令方法を決定して、当該変速トルク指令方法に応じて変速パラメータを設定する。
【0043】
ここで、エンジントルク推定精度に基づいて変速トルク指令方法を決定する手順について説明する。本実施形態では、エンジントルク推定精度に基づいて、固定変速比モードから無段変速モードへ変速する際においてドグ部トルクを制御する方法(変速トルク指令方法)を決定する。具体的には、ECU4は、エンジン1における動作点の変化に基づいて、詳しくは高精度なトルク推定を行った時点からの動作点の変化に基づいて、ドグ解放を行う際の、MG1トルクやエンジンントルクに対する指令方法を切り替える。なお、高精度なトルク推定方法としては、例えば、回転要素71と固定要素72との位相変化を監視しながらMG1トルクをスイープさせた場合において、回転側ドグ歯71aとの固定側ドグ歯72aとのバックラッシ(言い換えると「ガタ」)よりも小さい範囲で位相が変化した際におけるMG1トルクに基づいてエンジントルクを推定する方法がある。
【0044】
図5は、変速トルク指令方法を具体的に説明するための図である。図5は、横軸にエンジン回転偏差を示し、縦軸に空気負荷率偏差を示している。なお、空気負荷率偏差は、エンジントルクの変化と相関のある指標である。図5においては、右上方向に向かうほど、エンジン1における動作点の変化が大きくなり、エンジントルク推定精度が低くなる。領域R1は動作点の変化が所定未満である領域に相当し、領域R2、R3は動作点の変化が所定以上である領域に相当する。具体的には、領域R3は領域R2よりもエンジントルク推定精度が低い領域に相当する。
【0045】
動作点が領域R1に位置する場合には、精度の高いエンジントルク推定結果が存在するため、ECU4は、前述したような高精度なトルク推定方法で推定されたエンジントルク及びMG1トルクが出力されるように指令(以下、「直接指令」と呼ぶ。)を出して、固定変速比モードから無段変速モードへの変速を行う(即ちドグ解放を行う)。つまり、ECU4は、MG1トルクをスイープさせずに、上記の推定結果に基づいたエンジントルク及びMG1トルクが出力されるように直接指令を出す。このような直接指令にて制御を行った場合には、変速時間を効果的に短縮することが可能となる。
【0046】
動作点が領域R2に位置する場合には、エンジントルクの推定精度が比較的低いと考えられるため、ECU4は、MG1トルクをスイープさせるように指令(以下、「スイープ指令」と呼ぶ。)を出して、固定変速比モードから無段変速モードへの変速を行う(即ちドグ解放を行う)。つまり、ECU4は、上記のような直接指令を出さずに、MG1トルクが緩やかに目標トルクに近付くようにスイープ指令を出す。更に、この場合には、ECU4は、エンジン1の動作点に基づいて、MG1トルクのスイープを開始する際のMG1トルクと目標トルクとの差(以下、「スイープ幅」と呼ぶ。)を決定する。具体的には、ECU4は、動作点の変化が大きいほど、大きな値を有するスイープ幅を決定する。このようなスイープ指令にて制御を行った場合には、ロバスト性を向上させることができると共に変速時間を短縮することができる。
【0047】
動作点が領域R3に位置する場合には、エンジントルクの推定精度がかなり低いと考えられるため、ECU4は、ドグ部のバックラッシにおける位相変化検出を利用して変速可能なMG1トルクを探索する指令(以下、「位相検出トルク指令」と呼ぶ。)を出して、固定変速比モードから無段変速モードへの変速を行う(即ちドグ解放を行う)。具体的には、ECU4は、バックラッシ分よりも小さい位相変化を検出するたびに、MG1トルクが反転されるように位相検出トルク指令を出す。このような位相検出トルク指令にて制御を行った場合には、エンジントルクの推定精度が低い場合にも、比較的短時間にて変速を完了させることができる。
【0048】
なお、上記では、エンジン1の動作点の変化が所定以上である場合において、当該動作点が領域R3に位置する場合に、位相検出トルク指令を出す例を示したが、動作点が領域R3に位置する場合にも、スイープ指令を出しても良い。つまり、エンジン1の動作点の変化が所定以上である場合には、全て、スイープ指令を出しても良い。
【0049】
次に、上記したスイープ指令について具体的に説明する。前述したように、ECU4は、動作点が領域R2に位置する場合には、固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために(つまりドグ解放するために)、MG1トルクをスイープさせるようスイープ指令を出す。この場合、ECU4は、まず、MG1トルクの指令方向を決定する。具体的には、ECU4は、スイープを開始する初期トルクと、スイープ時における傾き(スイープ速度)とを決定する。詳しくは、ECU4は、上述のように決定されたスイープ幅に基づいて、初期トルク及び傾きを決定する。更に、ECU4は、ドグ解放後の回転方向を考慮に入れて、つまりドグ解放後において加速するか減速するかに基づいて、初期トルク及び傾きを決定する。具体的には、目標トルクにてドグ解放された際のドグ部における位相変化が、その後のドグ部の回転数の目標値に向かう方向になるように、初期トルク及び傾きを決定する。このように決定された初期トルク及び傾きを用いることにより、ドグ解放後において、加速する向き又は減速する向きに、第1のモータジェネレータMG1を適切に回転させることができる。よって、変速時間の短縮や、変速ショックの低減や、燃費向上を実現することが可能となる。
【0050】
更に、ECU4は、ドグ解放させるためのMG1トルクの目標トルクを決定する。具体的には、ECU4は、ドグ部における接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、且つドグ部トルクが0から離れた所定値となるように(即ち、ドグ解放時においてドグ部トルクが0にならないように)、MG1トルクの目標トルクを設定する。つまり、ECU4は、ドグ部トルクが0になる際のMG1トルクから外れたトルクを、目標トルクとして設定する。このように目標トルクを設定して変速を行うことにより、ドグ解放時において、回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化を適切に発生させることができる。よって、本実施形態によれば、ストローク量を検出するストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放(つまり、固定変速比モードから無段変速モードへの変速完了)を短時間で適切に検出することが可能となる。そのため、ストロークセンサ追加によるセンサコストを削減することができると共に、変速時間を短縮することができる。なお、このような目標トルクの設定は、スイープ指令を出す場合だけでなく、直接指令を出す場合にも行われる。
【0051】
図6は、スイープ指令について具体的に説明するための図である。図6(a)は、無段変速モード及び固定変速比モードにおける共線図の一例を示している。直線C1、C3は無段変速モードにおける共線図を示しており、直線C2は固定変速比モードにおける共線図を示している。固定変速比モードから無段変速モードへ変速して加速する場合には、例えば矢印C4で示すように、直線C2で示す状態から直線C3で示す状態へ変化する。これに対して、固定変速比モードから無段変速モードへ変速して減速する場合には、例えば矢印C5で示すように、直線C2で示す状態から直線C1で示す状態へ変化する。
【0052】
図6(b)は、スイープ指令を行った場合におけるタイムチャートの一例を示している。図6(b)は、横軸に時間を示しており、縦軸にMG1トルクを示している。また、実線E1は、図6(a)中の矢印C4で示すように、変速して加速する場合のグラフを示している。一点鎖線E2は、図6(a)中の矢印C5で示すように、変速して減速する場合のグラフを示している。なお、図6(b)における上方向を、第1のモータジェネレータMG1における正回転方向と定義し、図6(b)における下方向を、第1のモータジェネレータMG1における負回転方向と定義する。
【0053】
前述したように、ECU4は、変速要求があった場合に、まず、MG1トルクをスイープさせる際の初期トルクと傾き(スイープ速度)とを決定する。具体的には、ECU4は、スイープ幅やドグ解放後に加速するか減速するかなどに基づいて、初期トルク及び傾きを決定する。例えば、ECU4は、変速して加速する場合には初期トルクTr11及び傾きE3を決定し、変速して減速する場合には初期トルクTr21及び傾きE6を決定する。なお、加速する場合にはスイープ幅E4であり、減速する場合にはスイープ幅E7である。次に、ECU4は、MG1トルクの目標トルクを設定する。具体的には、ECU4は、ドグ部トルクが0になる際のMG1トルクTr0から外れたトルクを、目標トルクとして設定する。例えば、ECU4は、変速して加速する場合には目標トルクTr12を決定し、変速して減速する場合には目標トルクTr22を決定する。この場合、目標トルクTr12はMG1トルクTr0よりも大きいトルク(正回転方向に位置するトルク)であり、目標トルクTr22はMG1トルクTr0よりも小さいトルク(負回転方向に位置するトルク)である。なお、MG1トルクTr0からの初期値オフセット量は、目標トルクTr12、Tr22やスイープ幅E4、E7などから算出される。
【0054】
上記のように決定された初期トルク、傾き、及び目標トルクを用いた場合の制御結果について説明する。まず、変速して加速する場合を説明する(図6(b)中の実線E1参照)。この場合、時刻t11において、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始され、初期トルクTr11及び傾きE3でMG1トルクのスイープが行われる。つまり、初期トルクTr11から、傾きE3にてMG1トルクが徐々に減少される。その後、時刻t12で、MG1トルクが概ね目標トルクTr12に達する。この際に、ドグ部に働く接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、ドグ解放が行われ、変速が完了する。そして、時刻t12以降、符号E5で示すように、MG1トルクが増加していく。つまり、第1のモータジェネレータMG1は、正回転方向に回転していく。これにより、変速後における加速を適切に実行することが可能となる。
【0055】
一方、変速して減速する場合を説明すると(図6(b)中の一点鎖線E2参照)、時刻t11において、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始され、初期トルクTr21及び傾きE6でMG1トルクのスイープが行われる。具体的には、ドグ部トルクが0相当のMG1トルクTr0を跨いでから、つまり回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとのバックラッシを一旦詰めてから、スイープが行われる。この場合には、初期トルクTr21から、傾きE6にてMG1トルクが徐々に増加される。その後、時刻t12で、MG1トルクが概ね目標トルクTr22に達する。この際に、ドグ部に働く接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、ドグ解放が行われ、変速が完了する。そして、時刻t12以降、符号E8で示すように、MG1トルクが減少していく。つまり、第1のモータジェネレータMG1は、負回転方向に回転していく。これにより、変速後における減速を適切に実行することが可能となる。
【0056】
なお、上記では、スイープ時にMG1トルクTr0を跨がずにMG1トルクを目標トルクへ到達させる例を示したが、スイープ時にMG1トルクTr0を跨いでMG1トルクを目標トルクへ到達させても良い。例えば、変速して増加する場合に、一点鎖線E2で示すようにスイープ前にMG1トルクTr0を跨ぎ、尚且つスイープ時にもMG1トルクTr0を跨いでから、MG1トルクを目標トルクへ到達させても良い。
【0057】
次に、上記した位相検出トルク指令について具体的に説明する。前述したように、動作点が領域R3に位置する場合には、ECU4は、固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために(つまりドグ解放するために)、ドグ部のバックラッシにおける位相変化検出を利用して変速可能なMG1トルクを探索する位相検出トルク指令を出す。具体的には、ECU4は、バックラッシ分よりも小さい位相変化を検出するたびに、MG1トルクを反転させる位相検出トルク指令を出す。このようにして、位相変化に基づいてMG1トルクを反転させることを繰り返し行うことにより、固定要素72に付与されるバネ力によって、ドグ解放が行われることとなる。したがって、エンジントルクの推定精度がかなり低い場合にも、比較的短時間にて(例えば、上記のようなスイープ指令にて制御を行う場合よりも短時間にて)、変速を完了させることが可能となる。
【0058】
図7は、位相検出トルク指令について具体的に説明するための図である。図7(a)は、位相検出トルク指令時に発生するドグ部の位相変化について説明するための図である。図7(a)では、回転要素71における回転側ドグ歯71aの一部と、固定要素72における固定側ドグ歯72aの一部とを示している。この場合、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとは噛み合っている、つまり固定変速比モードに設定されている。固定変速比モードにおいては、基本的には、回転要素71と固定要素72との間には図中の矢印B1で示すようなトルクが働き、エンジントルクの反力がドグ部において機械的に支持されることとなる。ドグ部がこのような状態にある場合において、矢印B1と逆方向の矢印B2で示すようなMG1トルクを回転要素71に付与すると、矢印B1で示すようなトルクが減少していく傾向にある。このようにして回転要素71にMG1トルクを付与していくと、回転要素71が固定要素72に対して移動する、つまり回転要素71と固定要素72との位相が変化する。具体的には、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとのバックラッシB3分に相当する値まで、回転要素71と固定要素72との位相が変化する。
【0059】
本実施形態では、ECU4は、このようなバックラッシ分よりも小さい位相変化を検出するたびに、MG1トルクを反転させる位相検出トルク指令を出す。つまり、ECU4は、ドグ部トルクの向きが変化する際にドグ部のバックラッシに相当する位相変化が発生することを検出して、MG1トルクを操作する指令を出す。更に、ECU4は、このようにKG1トルクを反転させる際において、MG1トルクの変化速度も徐々に低下させる。以上のようにMG1トルクを制御することにより、固定要素72に付与されるバネ力によって、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの噛み合いが徐々に解放されていき、ドグ解放が行われることとなる。
【0060】
図7(b)は、位相検出トルク指令を行った場合におけるタイムチャートの一例を示している。図7(b)の上にはMG1トルクの時間変化を示し、図7(b)の下には位相変化を示している。この場合、時刻t21において、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始され、位相検出トルク指令が出される。この後、時刻t21から時刻t22の間、バックラッシ分よりも小さい位相変化を検出するたびにMG1トルクを反転させる制御が行われると共に、MG1トルクの変化速度が徐々に低下される。これにより、時刻t22において、ドグ解放が行われ、変速が完了することとなる。
【0061】
次に、ドグ解放を判定する方法について説明する。本実施形態では、ECU4は、上記したようなMG1トルクに対する制御時において、回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化が所定値以上となった際に、ドグ解放されたと判定する。例えば、判定に用いる所定値は、少なくとも回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとのバックラッシよりも大きい値に設定される。つまり、ECU4は、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの位相変化が、係合状態において取り得る値の範囲を超えた場合に、ドグ解放されたと判定する。これにより、ストローク量を検出するストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放を適切に検出することが可能となる。
【0062】
図8は、ドグ解放を判定する方法を具体的に説明するための図である。図8(a)には、回転要素71における回転側ドグ歯71aの一部と、固定要素72における固定側ドグ歯72aの一部とを示している。また、直線F3は、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの現在位相を表しており、直線F1、F2は、ドグ解放を判定する際に用いる位相の閾値(以下、「解放判断位相閾値」と呼ぶ。)の一例を表している。このような解放判断位相閾値は、符号F4で示すバックラッシに基づいて設定され(バックラッシに相当する位相に対して所定値を加算/減算して得られた位相などに設定され)、正回転方向側と負回転方向側の両方に設定される。
【0063】
図8(b)は、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの位相における時間変化を示している。この場合、時刻t31で、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始される。この後、時刻t31から時刻t32の間、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの位相は、解放判断位相閾値G1と解放判断位相閾値G2との間で変化する。そして、時刻t32において、回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとの位相が、解放判断位相閾値G1以上となる。この際に、ECU4は、ドグ解放されたと判定する、つまり固定変速比モードから無段変速モードへの変速が完了したと判定する。
【0064】
次に、ドグ解放の失敗判定方法、及びドグ解放の失敗時におけるフェール制御方法について説明する。本実施形態では、ECU4は、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御の実行開始から所定時間経過後において、回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化が所定値未満である場合にドグ解放が失敗したと判定する(言い換えると変速が失敗したと判定する)。そして、ECU4は、位相変化情報やMG1トルクの情報などに基づいてドグ解放の失敗原因を決定し、当該失敗原因に応じたフェール制御を実行する。具体的には、ECU4は、フェール制御として、トルク増減による変速継続や、変速再試行や、変速中止や、退避走行などを実行する。
【0065】
図9は、ドグ解放の失敗原因とフェール制御とを対応付けて表した表を示している。図9に示すように、MG1トルクが小さかったことが原因でドグ解放が失敗した場合には、ECU4は、変速が継続されるように対応する。具体的には、ECU4は、フェール制御として、MG1トルクの目標トルクを上乗せして変速を継続する。次に、MG1トルクが大きかったことが原因でドグ解放が失敗した場合には、ECU4は、変速が継続されるように対応する。具体的には、ECU4は、フェール制御として、MG1トルクの目標トルクを減少させて変速を継続する。次に、変速パワーが不足していたことが原因でドグ解放が失敗した場合には、ECU4は、変速を中止して、退避走行を実行する。つまり、ECU4は、フェール制御として、固定変速比モードへ戻して、退避走行を継続する。次に、退避走行中であったことが原因でドグ解放が失敗した場合には、ECU4は、フェール制御として、当該退避走行中に再度変速を試行する。以上のようにフェール制御を行うことにより、変速失敗時にも、継続走行や退避走行を適切に実行することが可能となる。
【0066】
図10は、MG1トルクが小さかったことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す図である。図10の上にはMG1トルクの時間変化を示し、図10の下には位相変化を示している。この場合、時刻t41で、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始される。この後、時刻t42から時刻t43までの時間(失敗判定時間)、ドグ解放の失敗判定が行われる。この場合には、MG1トルクが目標トルクTr3に達しているにもかかわらず、バックラッシ分よりも小さい位相変化しか発生していないため、ドグ解放が失敗したと判定され、MG1トルクが小さかったことが失敗原因であると判定される。したがって、時刻t43より、フェール制御が実行される。具体的には、MG1トルクにおける目標トルクを上乗せして変速が継続される。これにより、時刻t44において、ドグ解放が行われ、変速が完了する。
【0067】
図11は、MG1トルクが大きかったことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す図である。図11の上にはMG1トルクの時間変化を示し、図11の下には位相変化を示している。この場合、時刻t51で、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始される。この後、時刻t52から時刻t53までの時間(失敗判定時間)、ドグ解放の失敗判定が行われる。この場合には、MG1トルクが目標トルクTr4に達しているにもかかわらず、位相変化が発生していないため、ドグ解放が失敗したと判定され、MG1トルクが大きかったことが失敗原因であると判定される。したがって、時刻t53より、フェール制御が実行される。具体的には、MG1トルクにおける目標トルクを減少させて変速が継続される。これにより、時刻t54において、ドグ解放が行われ、変速が完了する。
【0068】
図12は、変速パワーが不足していたことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す図である。図12の上にはMG1トルクの時間変化を示し、図12の下にはバッテリ電力の時間変化を示している。この場合、時刻t61で、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御が開始される。この後、時刻t62から時刻t63までの時間(失敗判定時間)、ドグ解放の失敗判定が行われる。この場合には、バッテリ電力が電力制限値H1を超えているため、ドグ解放が失敗したと判定され、変速パワーが不足していたことが失敗原因であると判定される。したがって、時刻t63より、フェール制御が実行される。具体的には、変速が中止され(つまり固定変速比モードへ戻して)、退避走行が実行される。
【0069】
[ドグ解放処理]
次に、図13及び図14を参照して、ドグ解放させるために、言い換えると固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために、ECU4が具体的に行う処理(ドグ解放処理)について説明する。
【0070】
図13は、ドグ解放処理の全体処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU4によって繰り返し実行される。
【0071】
まず、ステップS101では、ECU4は、運転状態情報を取得する。具体的には、ECU4は、各回転要素の回転数、トルク、ブレーキ部7、クラッチなど係合要素の状態、ドライバのアクセル、ブレーキ、シフト操作、バッテリやモータジェネレータMG1及びMG2、インバータ31などの状態を運転状態情報として取得する。そして、処理はステップS102に進む。
【0072】
ステップS102では、ECU4は、固定変速比モードから無段変速モードへの変速中であるかを判定する。具体的には、ECU4は、ステップS101で取得した運転状態情報に基づいて、固定変速比モードからの変速中であるか否かを判定する。固定変速比モードからの変速中である場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS106に進み、固定変速比モードからの変速中でない場合(ステップS102;No)、処理はステップS103に進む。
【0073】
ステップS103では、ECU4は、車速や駆動力などに基づいて、固定変速比モードから無段変速モードへの変速要求があるか否かを判定する。変速要求がある場合(ステップS103;Yes)、処理はステップS104に進み、変速要求がない場合(ステップS103;No)、処理は当該フローを抜ける。
【0074】
ステップS104では、ECU4は、固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために用いる変速パラメータを設定する処理(変速パラメータ設定処理)を行う。具体的には、ECU4は、エンジントルク推定精度に基づいて変速トルク指令方法を決定して、当該変速トルク指令方法に応じた変速パラメータを設定する。そして、処理はステップS105に進む。なお、変速パラメータ設定処理の詳細は、後述する。
【0075】
ステップS105では、ECU4は、ステップS104で設定された変速パラメータに従って、固定変速比モードから無段変速モードへ変速を行うための制御(変速制御)を実行する。具体的には、変速パラメータに従って、MG1トルクやエンジントルクに対する制御を行う。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0076】
一方、ステップS106では、ECU4は、固定変速比モードから無段変速モードへの変速が完了したか否かを判定する。具体的には、ECU4は、回転要素71と固定要素72との回転方向の位相変化が所定値以上となったか否かに基づいて、変速の完了を判定する(図8参照)。この場合、判定に用いる所定値は、少なくとも回転側ドグ歯71aと固定側ドグ歯72aとのバックラッシよりも大きい値に設定される。位相変化が所定値以上となっている場合、ECU4は、変速が完了していると判定する。この場合(ステップS106;Yes)、処理は当該フローを抜ける。これに対して、位相変化が所定値未満である場合、ECU4は、変速が完了していないと判定する。この場合(ステップS106;No)、処理はステップS107に進む。
【0077】
ステップS107では、ECU4は、ドグ解放が失敗したか否かを判定する。1つの例では、ECU4は、変速制御の実行開始から所定時間経過している場合に、ドグ解放が失敗したと判定する。こうするのは、変速制御の実行開始から所定時間経過しているにもかかわらず、位相変化が所定値未満(ステップS106の判定より)である場合には、ドグ解放が失敗したと考えることができるからである。他の例では、ECU4は、MG1トルクが目標トルクに達している場合に、ドグ解放が失敗したと判定する。こうするのは、MG1トルクが目標トルクに達しているにもかかわらず、位相変化が所定値未満(ステップS106の判定より)である場合には、ドグ解放が失敗したと考えることができるからである。ドグ解放が失敗した場合(ステップS107;Yes)、処理はステップS108に進む。これに対して、ドグ解放が失敗していない場合(ステップS107;No)、処理はステップS105に進む。この場合には、変速制御を継続する(ステップS105)。
【0078】
ステップS108では、ECU4は、ドグ解放の失敗原因を決定し、当該失敗原因に応じたフェール制御を実行する。具体的には、ECU4は、位相変化情報やMG1トルクの情報などに基づいてドグ解放の失敗原因を決定する。そして、ECU4は、失敗原因に応じて、トルク増減による変速継続や、変速再試行や、変速中止や、退避走行などを実行する(図9参照)。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0079】
次に、図14は、図13のステップS104で示した変速パラメータ設定処理を示すフローチャートである。この処理も、ECU4によって実行される。
【0080】
まず、ステップS401では、ECU4は、エンジントルク推定精度に基づいて変速トルク指令方法を決定する。つまり、ECU4は、高精度なトルク推定を行った時点からの動作点の変化に基づいて、固定変速比モードから無段変速モードへ変速する際における、MG1トルクやエンジンントルクに対する指令方法を決定する。具体的には、ECU4は、動作点の変化に基づいて、直接指令、スイープ指令、及び位相検出トルク指令のいずれかを決定する(図5参照)。詳しくは、動作点の変化が所定未満である場合には(図5中の領域R1に位置する場合)、精度の高いエンジントルク推定結果が存在するため、ECU4は、トルク推定結果に基づいたエンジントルク及びMG1トルクが出力されるように直接指令を出す。また、動作点の変化が所定以上である場合には、エンジントルクの推定精度が低いと考えられるため、スイープ指令及び位相検出トルク指令のいずれかを出す。具体的には、動作点が図5中の領域R2に位置する場合には、ECU4は、MG1トルクをスイープさせるようにスイープ指令を出す。この場合、ECU4は、エンジン1の動作点に基づいてスイープ幅も決定する。一方、動作点が図5中の領域R3に位置する場合には、エンジントルクの推定精度がかなり低いと考えられるため、ECU4は、ドグ部のバックラッシにおける位相変化検出を利用して変速可能なMG1トルクを探索する位相検出トルク指令を出す。以上の処理が終了すると、処理はステップS402に進む。
【0081】
ステップS402では、ECU4は、スイープ指令を出すか否かを判定する。スイープ指令を出す場合(ステップS402;Yes)、処理はステップS403に進み、スイープ指令を出さない場合(ステップS402;No)、処理はステップS405に進む。
【0082】
ステップS403では、ECU4は、スイープ指令を出す際における、MG1トルクの指令方向を決定する。つまり、ECU4は、スイープを開始する初期トルクと、スイープ時における傾き(スイープ速度)とを決定する。具体的には、ECU4は、ステップS401で決定されたスイープ幅に基づいて、初期トルク及び傾きを決定する。更に、ECU4は、ドグ解放後の回転方向を考慮に入れて、つまりドグ解放後において加速するか減速するかに基づいて、初期トルク及び傾きを決定する。詳しくは、目標トルクにてドグ解放された際のドグ部における位相変化が、その後のドグ部の回転数の目標値に向かう方向になるように、初期トルク及び傾きを決定する。以上の処理が終了すると、処理はステップS404に進む。
【0083】
ステップS404では、ECU4は、MG1トルクの目標トルクを決定する。具体的には、ECU4は、ドグ部における接触摩擦力がバネ力よりも小さくなり、且つドグ部トルクが0から離れた所定値となるように(即ち、ドグ解放時においてドグ部トルクが0にならないように)、MG1トルクの目標トルクを設定する。つまり、ECU4は、ドグ部トルクが0になる際のMG1トルクから外れたトルクを、目標トルクとして設定する。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0084】
一方、ステップS405では、ECU4は、直接指令を出すか否かを判定する。直接指令を出す場合(ステップS405;Yes)、処理はステップS404に進む。この場合には、前述したような手順にて、直接指令を出す際に用いる目標トルクを決定する(ステップS404)。これに対して、直接指令を出さない場合(ステップS405;No)、つまり位相検出トルク指令を出す場合、処理はステップS406に進む。
【0085】
ステップS406では、ECU4は、位相検出トルク指令を出す際におけるMG1トルク(位相検出制御トルク)を決定する。つまり、ECU4は、ドグ部のバックラッシにおける位相変化検出を利用して変速可能なMG1トルクを決定する。具体的には、ECU4は、ドグ部トルクの向きが変化する際にドグ部のバックラッシに相当する位相変化が発生することを検出して、MG1トルクが適切に操作されるように位相検出制御トルクを決定する。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0086】
以上説明したドグ解放処理及び変速パラメータ設定処理によれば、ストローク量を検出するストロークセンサなどを用いずに、ドグ解放を短時間で適切に検出することが可能となる。
【0087】
[変形例]
上記では、回転センサ40によって位相変化を検出する例を示したが、これに限定はされない。他の例では、回転センサ40を用いずに、第1のモータジェネレータMG1における位相(レゾルバより取得される)及び第2のモータジェネレータMG2における位相(レゾルバより取得される)に基づき、ギア比より、このような位相変化を求めることができる。
【0088】
また、本発明は、複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の固定側ドグ歯を有する被係合要素からなる噛合機構(言い換えると、回転要素及び固定要素からなる噛合機構)に対する適用に限定はされない。本発明は、複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の回転側ドグ歯を有する被係合要素からなる噛合機構、即ち回転要素同士を噛み合わせるように構成された噛合機構に対しても適用することができる。言い換えると、本発明は、マルチモードにて変速を行う構成に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施形態によるハイブリッド車両の概略構成を示す。
【図2】モータジェネレータ及び動力伝達機構の構成を示す。
【図3】動力分配機構の固定変速比モードにおける共線図を示す。
【図4】ドグブレーキ部の模式図を示す。
【図5】変速トルク指令方法を説明するための図を示す。
【図6】スイープ指令を説明するための図を示す。
【図7】位相検出トルク指令を説明するための図を示す。
【図8】ドグ解放を判定する方法を説明するための図を示す。
【図9】ドグ解放の失敗原因とフェール制御とを対応付けた表を示す。
【図10】MG1トルクが小さかったことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す。
【図11】MG1トルクが大きかったことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す。
【図12】変速パワーが不足していたことが失敗原因である場合に行われるフェール制御の一例を示す。
【図13】ドグ解放処理の全体処理を示すフローチャートである。
【図14】変速パラメータ設定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 エンジン
3 出力軸
4 ECU
7 ドグブレーキ部
20 動力分配機構
31 インバータ
32、34 コンバータ
33 HVバッテリ
MG1 第1のモータジェネレータ
MG2 第2のモータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転側ドグ歯を有する係合要素及び複数の回転側ドグ歯を有する被係合要素を備える噛合機構と、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯との噛み合いによって内燃機関のトルクの反力を受け持ちつつ、車輪にトルクを伝達する伝達手段と、を具備する車両の駆動制御装置であって、
前記係合要素にトルクを付与するトルク付与手段と、
前記噛合機構を解放させる方向に力を付与する力付与手段と、
前記噛合機構を解放させる際に、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とにおける接触摩擦力が前記力付与手段により付与される力よりも小さくなり、且つ前記噛合機構に働くトルクが0から離れた所定値となるように、前記トルク付与手段より付与させる目標トルクを設定し、当該目標トルクに基づいて前記トルク付与手段に対する制御を行うトルク付与制御手段と、
前記トルク付与制御手段による制御の実行時において、前記係合要素と前記被係合要素との回転方向の位相変化が所定値以上となった際に、前記噛合機構が解放されたと判定する解放判定手段と、を備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。
【請求項2】
前記トルク付与制御手段は、前記内燃機関における動作点の変化が所定以上である場合には、前記トルク付与手段より付与されるトルクが、前記内燃機関における動作点の変化が所定未満である場合よりも緩やかに前記目標トルクに近付くように、前記トルクを変化させるスイープ速度を設定する請求項1に記載の車両の駆動制御装置。
【請求項3】
前記トルク付与制御手段は、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とのバックラッシを一旦詰めてから、前記トルク付与手段より付与されるトルクが前記目標トルクに向かうように、前記トルク付与手段に対する制御を行う請求項1又は2に記載の車両の駆動制御装置。
【請求項4】
前記トルク付与制御手段は、前記噛合機構の解放後において加速するか減速するかに基づいて、前記目標トルクを設定する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の駆動制御装置。
【請求項5】
前記トルク付与制御手段による制御の実行開始から所定時間経過後において、前記係合要素と前記被係合要素との回転方向の位相変化が前記所定値未満である場合に、前記噛合機構の解放が失敗したと判定する解放失敗判定手段と、
前記解放失敗判定手段が解放が失敗したと判定した場合に、前記失敗の原因に基づいた制御を実行する制御手段と、を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の駆動制御装置。
【請求項6】
前記解放判定手段における判定に用いられる前記所定値は、少なくとも、前記係合要素の回転側ドグ歯と前記被係合要素の回転側ドグ歯とのバックラッシよりも大きい値に設定される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の駆動制御装置。
【請求項7】
前記トルク付与制御手段は、ハイブリッド車両において固定変速比モードから無段変速モードへ変速させるために、前記噛合機構が解放されるように前記トルク付与手段に対する制御を行う請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−190595(P2009−190595A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34079(P2008−34079)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】