説明

車両用画像表示装置

【課題】 撮像カメラからの画像信号が異常であるときに迅速に対処する構成を備えた車両用画像表示装置を提供する。
【解決手段】 車両用画像表示装置100は、車両の周囲を撮像する複数の撮像カメラ102〜108を含み、複数の撮像カメラにより撮像された画像信号を出力する撮像手段と、撮像手段からの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させ、その画像信号を出力する画像処理手段110と、合成画像の画像信号を表示する表示手段116とを有し、前記画像処理手段110がさらに、前記撮像カメラからの画像信号の状態を監視する画像信号監視手段と、撮像カメラのいずれかの画像信号に異常があることを確認したときに撮像カメラの画像信号を採用するエリアを変更するエリア変更手段として機能し、画像障害があったときに迅速に対処して修正画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載した複数の撮像カメラからの画像信号を合成して車両の周囲を表示して、運転者の運転支援や安全向上を図る画像表示装置に関に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車への撮像カメラの搭載率の向上に伴い、画像合成を用いたアプリケーションが急拡大している。このようなアプリケーションの多くは、運転者の運転を支援し、車両の走行時の安全性を向上させるものである。例えば、車両周辺の障害物の映像を提供する車載画像システムは、遠方の障害物を撮影するカメラシステム(コーナーモニターシステム、リアビュウカメラシステムなど)と、車両近傍の死角障害物を撮影するシステム(サイドビュウカメラシステム)とをそれぞれ備えたものがある。また、画角の狭い撮像カメラを用いたシステムでは、駆動装置により撮像カメラの向きを可変できるようにし、車両の周囲の障害物を映し出すようにしている。さらに、複数の超広角の撮像カメラを用いたシステムでは撮像した各画像を合成して自車周囲の360度を映し出す。このシステムは、撮像カメラが撮影した画像の中から必要とする水平方向の範囲の画像データを切り出し、またはトリミングして合成画像をディスプレイに表示する。
【0003】
例えば特許文献1は、複数の撮像カメラからの画像を用いて車両の周囲を一体的に表示する合成画像を得る技術に関し、適正な合成画像が得られるように改良した画像処理装置を提案する。撮像カメラがドアミラー取り付け部付近やトランクなどのような可動部分に設置された場合に、ドアやトランクが開かれたときに合成画像にずれが発生して表示画像が運転者に違和感を与える場合がある。そこで、この画像処理装置は可動部分の状態に応じて合成画像の表示形態を切り替えて、常に違和感がない合成画像を表示するようにしている。さらに、特許文献2も同様の機能を備えた画像合成装置について開示する。この装置は、ドア等の開閉体が撮像カメラの撮像範囲に影響を及ぼす状況となり、撮影範囲に死角が生じた場合には撮像手段の担当範囲を変更する変更手段を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−334870号
【特許文献2】特開2004−48621号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び特許文献2は、車両のドア、トランク等の開閉体が開いたときに生じる合成画像の異常を軽減する技術を提案するものである。具体的には、運転者に違和感を与えるような画像がディスプレイ上に表示されることが無いように改善する技術を提案するものである。ところで、通常、ドアやトランク等が開閉されるときは車両が停止しているときであり、また運転者はドア等が開閉されていることを認識している。開かれたドア等はいずれ閉じられて、最終的に正常な画像に戻る。よって、ドアの開閉などで仮に一時的に合成画像が乱れたとしても、運転者が車両を操作するときに深刻な問題とはならない。その一方で、特許文献1及び特許文献2によって開示している技術を実現しようとする場合には、車両の開閉体(ドア等の可動部分)の状態を検出する種々のセンサ及びこのセンサの出力に基づいて画像処理を行う制御系が必要となるので構造が複雑化して、製造コストが増加することになる。
【0006】
上記のように特許文献1及び特許文献2は、車両のドア、トランク等の開閉体が開いたときの短時間に表示画像が乱れるのを防止して、運転者等が感じる違和感を無くすための技術を単に開示するだけである。
【0007】
ところで、ディスプレイの表示画像が乱れる場合としては撮像カメラに何らかの障害が発生したときが想定される。合成画像のいずれかのエリアを担当している撮像カメラに障害が発生すると、隣の撮像カメラによる画像との切り替わり部分(境界部)にズレが発生して表示が見難くなったり、障害のある撮像カメラが担当するエリアを全く確認できなくなる等の画像障害となる。このように撮像カメラ自体を原因として発生する画像障害は、上記で述べた開閉体が開いた場合のように一時的なものでなく、運転者(ユーザ)に深刻な影響を及ぼすことになる。よって、迅速な対処が求められることになる。しかし、特許文献1或いは特許文献2で提案する技術は、撮像カメラからの画像信号が異常であるときの障害については配慮していないので、これに対処できない。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するために成されたものであり、撮像カメラからの画像信号が異常であるときに迅速に対処する構成を備えた車両用画像表示装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両用画像表示装置は、車両の周囲を撮像する複数の撮像カメラを含み、複数の撮像カメラにより撮像された画像信号を出力する撮像手段と、撮像手段からの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させ、その画像信号を出力する画像処理手段と、合成画像の画像信号を表示する表示手段とを有し、前記画像処理手段はさらに、前記撮像カメラからの画像信号の状態を監視する画像信号監視手段と、撮像カメラのいずれかの画像信号に異常があることを確認したときに撮像カメラの画像信号を採用するエリアを変更するエリア変更手段とを含むものである。
【0010】
また、画像信号監視手段は、車両のエンジン始動直後の合成画像と車両のエンジン停止直前の合成画像とを比較し、両合成画像の相違に基づいて撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定するようにしてもよい。
【0011】
そして、画像信号監視手段は、合成される画像の境界部にずれが発生していることに基づいて前記撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定するようにしてもよい。なお、各撮像カメラに衝撃センサ等をさらに設け、このセンサの出力に基づいて前記画像信号監視手段を起動するようにしてもよい。この場合には撮像カメラに異常が発生し易いときに画像信号の異常有無を判定できる。
【0012】
また、前記変更手段は、異常がある画像信号を採用するエリアを削除又は減少させ、隣接する撮像カメラによる画像信号で補足するようにすることで、異常が発生した画面を修正できる。
【0013】
また、前記変更手段は、画像信号の採用エリアを変更したときに、前記表示手段に所定の警告表示を合せて行うことがより好ましい。
【0014】
また、前記画像処理手段は、前記合成画像を車両上方の視点から見下ろしたような画像信号に変換するようにしてもよい。
【0015】
また、車両の周囲を撮像する複数の撮像カメラからの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させて表示する車両用画像表示方法であって、撮像カメラからの画像信号の状態を監視するステップと、撮像カメラのいずれかの画像信号に異常があることを確認したときに撮像カメラの画像信号を採用するエリアを変更するステップと、変更された合成画像を表示するステップと、を含む車両用画像表示方法によっても上記目的を達成することができる。
【0016】
また、画像信号の状態を監視するステップでは、車両のエンジン始動直後の前記合成画像と車両のエンジン停止直前の合成画像とを比較し、両合成画像の相違に基づいて撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像カメラからの画像信号が異常であるときに、画像を採用するエリアを変更して画像障害による影響を軽減する表示に切り替える。よって、撮像カメラからの画像に異常が発生しても運転者(ユーザ)の運転支援を継続して行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図である。車両用画像表示装置100は、撮像カメラ102、104、106、108と、これら撮像カメラ102〜108によって撮像された画像の画像信号を受け取り、隣接する画像信号を接続して車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成する画像処理部110と、画像処理部110から合成画像の画像信号を受けて表示するディスプレイ116を含んでいる。
【0020】
撮像カメラ102〜108は、例えばCCDやCMOSイメージセンサを用いて構成される。第1の撮像カメラ102は、例えば図2に示すように、車両前方のバンパーなどに取り付けられ、車両の前方を視野角θ1で撮像する。第2、第3の撮像カメラ104、106は、車両の両サイドピラーなどに取り付けられて左右側部を視野角θ2、θ3で撮像する。なお、第2、第3の撮像カメラ104、106は左右のドアミラーなどに設置してもよい。更に第4の撮像カメラ108は、車両の後部バンパーなどに取り付けられ、車両の後方を視野角θ4で撮像する。撮像カメラの視野角θ1、θ2、θ3、θ4は、それぞれが隣接する視野角とお互いに一部オーバーラップするように設定され、撮像カメラ102〜108により車両の全周囲を撮像できるようになっている。
【0021】
再度、図1を参照すると、画像処理部110は例えばマイクロコンピュータを用いて構成され、撮像カメラ102〜108からの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成する方法を決定するためのプログラム、また上方から見下ろしたような画像信号に変換するプログラム、さらに撮像カメラ102〜108からの画像信号に何らかの異常が発生したときに対処するためのプログラムなどを格納するROMやRAM等を含んでいる。
【0022】
画像処理部110は、画像生成部112と出力制御部114とを含んでいる。画像生成部112は、撮像カメラ102〜108により画像信号を受け取り、これらを合成して車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成したり、この合成画像を車両上方の視点から見下ろしたような表示のための視点変換などの所定の処理を行う。また、出力制御部114は、画像生成部112で生成された合成画像の信号を確認し、異常がある場合には画像生成部112を制御して画像信号を修正してディスプレイ116側へ出力する。これら画像生成部112と出力制御部114について更に説明する。
【0023】
画像生成部112は、予め定めた標準的な合成方法で車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させて、その画像信号を出力制御部114に供給する。この標準の合成方法とは、例えば図3に示すように、車両の前方となる領域を、第1の撮像カメラ102により撮像された画像信号Aで表示し、車両の左右側方となる領域を第2、第3の撮像カメラ104、106により撮像された画像信号B、Cで表示し、車両の後方となる領域を第4の撮像カメラ108により撮像された画像信号Dで表示する。前述したように各撮像カメラ102〜108の視野角θは広めに設定されており、隣接する撮像カメラが撮像した画像の両端部がオーバーラップしている。よって、画像生成部112はオーバーラップする部分の画像信号をトリミングして車両の周囲を一体的に表わす合成画像の信号を生成させる。また、画像生成部112は撮像カメラ102〜108の画像信号を入力し、入力した画像信号をディジタル信号に変換するとともに、見下ろしたような表示をするために画像信号の視点変換も行う。図3で示すように、画像信号Aと画像信号Bとは境界部120で合成され、画像信号Aと画像信号Cとは境界部122で合成され、画像信号Bと画像信号Dとは境界部124で合成され、画像信号Cと画像信号Dとは境界部126で合成される。なお、画像生成部112による画像合成や視点変換処理の実現手段は、ソフトウエアまたはハードウエアのいずれであってもよい。
【0024】
撮像カメラ102〜108によって撮像された画像信号は、それぞれ重複した領域の画像信号を含んでいるため、画像の合成に際して重複する画像信号がトリミングされる。その場合に、いずれかの撮像カメラからの画像信号が異常であると合成された画像の境界領域での表示が不自然になったり、不連続になったりする。また、画像の全部あるいは一部が消失したりする。これを放置するとディスプレイ116に表示される合成画像がユーザに見難いものとなって、運転支援や安全運転の向上に役立たないことになる。
【0025】
そこで、出力制御部114は、画像生成部112が生成した合成画像の状態を監視して、異常を確認した場合にはこれに対処する。例えば、出力制御部114は、車両のエンジン始動直後の合成画像と車両のエンジン停止直前の合成画像とを比較して、両合成画像の相違に基づいて撮像カメラからの画像信号の異常の有無を判定する。エンジン始動直後の合成画像をRAMなどに記憶し、エンジン停止直前の合成画像と比較すれば車両走行中に発生した撮像カメラの異常を確認できる。これとは逆に、エンジン停止直前の合成画像をRAMなどに記憶し、エンジン始動直後の合成画像と比較すれば車両を停車させた後に発生した撮像カメラの異常を確認できることになる。もちろん、出力制御部114が最新のエンジン始動直後の合成画像及びエンジン停止直前の合成画像を常に記憶しておくことで、車両走行中及び停車中に発生した撮像カメラの異常をチェックできる。
【0026】
ところで、実際に合成画像が相違する場合を考えると、撮像カメラが何かに衝突して破損した場合、何かに衝突して撮像の向きがずれた場合、さらに配線の断線等のように電気系に故障が発生した場合、さらにはレンズが汚れて期待する撮像を行えない場合等が想定される。出力制御部114が上記のようにエンジン始動直後の合成画像とエンジン停止直前の合成画像とを比較し、その相違を監視することで、個々の原因にかかわらず合成画像が異常である場合には迅速に対処できる。
【0027】
出力制御部114は、例えば合成画像の境界部にずれを確認した場合には、その画像エリアを担当する撮像カメラが故障していると判定する。そして、異常がある撮像カメラが担当する画像を縮小或いは削除するように合成画像を変更する。出力制御部114は画像生成部112へ合成画像を変更させる信号を供給し、画像生成部112がこの信号に基づいて修正した合成画像を生成させる。出力制御部114はこのように変更された合成画像の画像信号をディスプレイ116に供給して表示させる。
【0028】
図4は、出力制御部114が画像採用エリアを変更させる場合の一例について示した図である。(a)は出力制御部114が合成画像を比較して後部の撮像カメラ108からの画像信号Dに何らかの異常が発生していると判断した場合について示している。このとき出力制御部114は例えば(b)で示すように撮像カメラ108のみが撮像している範囲まで画像信号Dを採用するエリアを縮小し、この縮小した分を隣接する両側の撮像カメラ104、106の画像信号B、Cを採用するエリアを拡大して補足する。このように画像信号を採用するエリア変更することで障害のある撮像カメラ108からの画像信号を採用するエリアを減少させることで、ディスプレイ116に表示する合成画像の見難い部分、不正確な部分を縮小できる。
【0029】
また、出力制御部114は例えば(c)で示すように撮像カメラ108からの画像信号Dを削除し、両側の撮像カメラ104、106の画像信号B、Cを採用するエリアを拡大することで可能な範囲で補足する。障害のある撮像カメラ108からの画像信号を不採用とすることで合成画像の一部が切欠となるが、不正確な画像をそのまま表示するよりも好ましい。そして、運転者へ注意を喚起することになるので、実質的には安全向上に寄与することになる。
【0030】
本実施例の車両用画像表示装置にあっては、撮像カメラが故障したときに、出力制御部114がこれを確認して例えば図4(b)や(c)で示したように合成画像の変更を行って迅速に対処するので運転者への運転支援を継続して行える。なお、図4(b)、(c)に示したエリアの変更は例示であり、このような切り替え形態に限るものではない。撮像カメラ108からの画像の不良箇所が把握できる場合には、その不良箇所を削るように変更すればよい。例えば画像信号Dの内で左側の境界部124の当りに画像障害が発生している場合には、図4(b)で示すように画像信号Dの担当エリアを対称的に縮小するのではなく、左側部分のみの画像信号Dを縮小し、これを補足するように画像信号Bの担当エリアを広げてもよい。
【0031】
図5は、出力制御部114が撮像カメラからの画像信号を監視し、異常を発見したときに実行する一例のフローチャートである。図4は、車両の停車中に発生した撮像カメラの異常を監視するフローチャートを示している。出力制御部114はエンジンが停止されたか、否かを監視する(ステップS101)。エンジンの停止を確認すると、そのときに撮像カメラ102〜108の画像信号を用いて画像生成部112が生成した合成画像をRAM等の記憶装置に記憶する(ステップS102)。
【0032】
さらに、出力制御部114は次にエンジンが始動されたか、否かを監視する(ステップS103)。エンジンの始動を確認すると、出力制御部114はそのときに撮像カメラ102〜108からの画像信号を用いて画像生成部112に合成画像を生成させ、ステップ102で記憶したエンジン停止時の合成画像とを比較する(ステップS104)。ここでの比較は、画像信号A〜Dのそれぞれについて比較を行って相違の有無を確認するものでもよいし、画像信号が接続される境界部にずれが発生しているか否かを確認するもの等でもよい。
【0033】
合成画像を比較して相違がある場合には(ステップS105)、出力制御部114は相違がある画像を担当している撮像カメラからの画像信号の担当エリアを変更する。具体的には、出力制御部114は画像生成部112を制御して、障害のある撮像カメラに基づく画像信号を削除或いは減少させ、その両側の撮像カメラからの画像信号で補足した合成画像を生成させる(図4(b)、(c)参照)。この修正した画像信号をディスプレイ116に供給して表示させる(ステップS106)。
【0034】
以上説明した車両用画像表示装置100によれば、撮像カメラに故障等が発生して合成画像の一部に障害が発生しても、その影響を最小限とするように表示画像を修正できる。よって、撮像カメラからの画像信号に異常が発生しても運転者に有用な車両の周囲を一体的に表わす合成画像を継続して表示できる。
【0035】
図5は車両が停車しているときに発生した撮像カメラの障害を監視するフローチャートを示すが、図6のように変更することで車両が走行しているときに発生した撮像カメラの障害を監視し、合成画像の異常を確認したときには同様に対処できる。さらに、図5と図6に示すフローチャートを組合わせれば、車両の走行時及び停車時に発生する画像障害を監視して、これに迅速に対処できる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例は、車両用画像表示装置をナビゲーションに適用したものである。図7に示すように、ナビゲーションシステム200は、車両用画像表示装置に加えて、ナビゲーションに要する機能を実行するナビゲーション機能部210と、ユーザからの入力を受け取る入力部220とを備えている。ナビゲーション機能部210は、GPS装置や自立航法用センサにより自車位置を算出し、自車位置から目的地までの最適な経路を探索し、探索した経路をディスプレイ116を利用して案内する。ディスプレイ116には、自車位置周辺の道路地図が表示され、かつ、そこに自車位置を示すマークが合成して表示される。
【0037】
ユーザは、入力部220を介してディスプレイ116への表示態様を指示することができる。例えば、ディスプレイ116に、ナビゲーションによる案内を表示させたり、これを切替えて車両周囲の合成画像を表示させることができる。あるいは、ディスプレイ116に、2画面表示として、ナビゲーション案内表示とともに車両周囲の合成画像を表示させることができる。
【0038】
また上記実施例では、4つの撮像カメラを用いて車両の周囲を一体的に示す合成画像の表示を行う例を示したが、勿論、撮像カメラの数はこれに限定されるものではない。例えば図8に示すように、車両の周囲に8つの撮像カメラを取り付け、各撮像カメラにより車両の周辺領域300、302、304、306、308、310、312、314を撮像し、これらの画像信号を合成するようにしてもよい。さらに視点変換を行った表示でない合成画像をディスプレイ116に表示するようにしてもよい。また、上記実施例は車両の全周囲を一体的に示す合成画像を表示する場合について例示しているが、このような態様に限らない。例えば、車両の前方側を除いて、左右両側及び後方側を一体的に示す合成画像を表示する車両用画像表示装置でもよい。
【0039】
上記実施例で撮像カメラの障害を確認して担当エリアを変更して、修正した合成画像を表示するに際して、音声等により撮像カメラからの画像が異常である旨の警告をユーザに与えるようにしてもよい。また、各撮像カメラに衝撃センサ等をさらに設け、このセンサの出力に基づいて出力制御部114を起動するようにしてもよい。このようにすれば撮像カメラが何かに衝突して一定以上の衝撃を受けたときに、合成画像に異常が発生していなかを監視できる。よって、特に撮像カメラの向きがずれたり、破損する可能性が高い状態のときに合成画像の異常有無をチェックし、迅速に対応できる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る車両用画像表示装置は、車両の走行中の安全運転支援システムや駐車支援システムとして利用することができる。利用態様として、ナビゲーション装置や他のコンピュータ等の電子装置と機能的に結合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車両に取り付けられた撮像カメラの配置を示す平面図である。
【図3】標準の画像合成方法を説明する図である。
【図4】出力制御部が画像採用エリアを変更させる場合の一例について示した図であり、(a)は出力制御部が合成画像を比較して後部の撮像カメラからの画像信号に何らかの異常が発生していると判断した場合について示し、(b)は画像信号を採用するエリアを縮小する場合、(c)は画像信号を採用するエリアを削除する場合について示した図である。
【図5】本実施例の車両用画像表示装置の動作例を示したフローチャートである。
【図6】本実施例の車両用画像表示装置の他の動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図8】撮像カメラの他の取り付け例を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
100:車両用画像表示装置
102、104、106、108:撮像カメラ
110:画像処理部
112:画像生成部
114:出力制御部
116:ディスプレイ
118:ディスプレイ
120、122、124、126:境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を撮像する複数の撮像カメラを含み、複数の撮像カメラにより撮像された画像信号を出力する撮像手段と、
撮像手段からの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させ、その画像信号を出力する画像処理手段と、
合成画像の画像信号を表示する表示手段とを有し、
前記画像処理手段はさらに、前記撮像カメラからの画像信号の状態を監視する画像信号監視手段と、撮像カメラのいずれかの画像信号に異常があることを確認したときに撮像カメラの画像信号を採用するエリアを変更するエリア変更手段とを含む、
車両用画像表示装置。
【請求項2】
画像信号監視手段は、車両のエンジン始動直後の合成画像と車両のエンジン停止直前の合成画像とを比較し、両合成画像の相違に基づいて撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定する、請求項1に記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
画像信号監視手段は、合成される画像の境界部にずれが発生していることに基づいて前記撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定する、請求項2に記載の車両用画像表示装置。
【請求項4】
前記変更手段は、異常がある画像信号を採用するエリアを削除又は減少させ、隣接する撮像カメラによる画像信号で補足する、請求項1から3のいずれかに記載の車両用画像表示装置。
【請求項5】
前記変更手段は、画像信号の採用エリアを変更したときに、前記表示手段に所定の警告表示を合せて行う、請求項4に記載の車両用画像表示装置。
【請求項6】
前記画像処理手段は、前記合成画像を車両上方の視点から見下ろしたような画像信号に変換する、請求項1から5のいずれかに記載の車両用画像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1つに記載の車両用画像表示装置と、目的地までの経路を探索し探索経路を前記表示手段に表示可能なナビゲーション手段とを含む、ナビゲーションシステム。
【請求項8】
車両の周囲を撮像する複数の撮像カメラからの画像信号を用いて車両の周囲を一体的に表わす合成画像を生成させて表示する車両用画像表示方法であって、
撮像カメラからの画像信号の状態を監視するステップと、
撮像カメラのいずれかの画像信号に異常があることを確認したときに撮像カメラの画像信号を採用するエリアを変更するステップと、
変更された合成画像を表示するステップと、
を含む車両用画像表示方法。
【請求項9】
画像信号の状態を監視するステップでは、車両のエンジン始動直後の前記合成画像と車両のエンジン停止直前の合成画像とを比較し、両合成画像の相違に基づいて撮像カメラからの画像信号の異常有無を判定する、請求項8に記載の車両用画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−89082(P2007−89082A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278613(P2005−278613)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】