車両用表示装置
【課題】一時的な外光量の低下の場合には表示器の表示モードの変化を制限する車両用表示装置を提供する。
【解決手段】例えば、立体交差道路や鉄道高架橋のような、道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在し、車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物が車両の進行方向に存在し、かつ車両の周囲の状態が明状態のときに、暗状態用の表示形態への切替を制限する車両用表示装置として提供可能である。
【解決手段】例えば、立体交差道路や鉄道高架橋のような、道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在し、車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物が車両の進行方向に存在し、かつ車両の周囲の状態が明状態のときに、暗状態用の表示形態への切替を制限する車両用表示装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の光量を検出して自動的に表示器の画面を昼画面/夜画面に切替える車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示器上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示器や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車載用ナビゲーション装置をはじめとして、車両内部の表示装置や表示される情報の内容も多岐にわたっており、表示内容の種類が増大するに従って、その視認性の向上が一つの課題となっている。このように表示器の視認性を向上するためのひとつの手段として、周囲の明るさに応じて表示器の明るさを調整することが行われている。
【0004】
例えば、時刻情報より推測した推測照度と走行位置より推測した推測照度とを比較して、暗い方の照度に基づいて表示器の明るさを制御する車載用表示装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、外光のノイズに影響を除去するため、外光の強さを測定するサンプリング時間を変化させることにより急激な外光変化によるノイズを除去し、使用環境に応じて適切な輝度調整を行うことができる表示制御方法および表示制御装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−184446号公報
【特許文献2】特開2001−142446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、外光の明るさの一時的な低下により必要以上に表示器の輝度が低下して視認性が悪くなるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の構成では、表示器の明るさを暗くしたり、明るくする必要がある場合、特に、サンプリング時間が長いときに外光が急激に変化した場合、応答性が悪くなる問題が発生する。また、サンプリング時間を変化させるためにサンプリング処理が複雑になるという問題もある。
【0009】
また、上記従来技術では、例えば、道路や鉄道など立体交差する高架下の道路(いわゆる、アンダーパス)を走行する際、一時的な外光量の低下により表示器の輝度が暗くなる等の表示モードが変わり、ユーザにとっては見づらいものとなることがある。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、一時的な外光量の低下の場合には表示器の表示モードの変化を制限する車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための車両用表示装置は、車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを反映した周囲明暗情報を取得する周囲明暗情報取得手段と、電子地図等の各種情報を表示する表示手段と、取得された周囲明暗情報の内容が、明状態を示している場合は表示手段の表示形態を明状態用の第一表示形態とし、暗状態を示している場合は表示手段の表示形態を第一表示形態とは異なる暗状態用の第二表示形態とする表示形態切替手段と、電子地図上において、車両の走行ルートを表示するための道路のオブジェクトデータとともに、該道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在する遮光構造物であって、車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物のオブジェクトデータを記憶する地図データ記憶手段と、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、瞬時遮光構造物が車両の進行方向に存在するか否かを判定する瞬時遮光構造物存在判定手段と、瞬時遮光構造物が存在し、かつ取得された周囲明暗情報の内容が明状態のときに、第二表示形態への切替を制限する表示形態切替制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によって、瞬時遮光構造物によって車両への外光の到達が遮られ、外光の明るさの一時的な低下により必要以上に表示器の輝度が低下して視認性が悪くなるという問題は発生しない。また、外光の強さを測定するサンプリング時間を変化させる必要がなく、サンプリング時間が長いときに外光が急激に変化した場合、応答性が悪くなる問題は発生しない。また、サンプリング処理が複雑になるという問題も発生しない。
【0013】
また、本発明の車両用表示装置における周囲明暗情報取得手段は、周囲明暗情報として車両の灯火装置の点灯状態情報を取得するように構成することもできる。
【0014】
近年、車両の周囲の明るさを感知し、ライト点灯が必要と判断した場合は自動的にライトを点灯し、必要ないと判断するとライトを消灯するオートライトシステムが普及している。瞬時遮光構造物によって車両への外光の到達が遮られた場合、このオートライトシステムではライトを点灯するので、オートライトシステムの点灯状態情報を取得すれば車両の周囲の状態が分かる。上記構成によって、新たな装置あるいは回路を設けることなく、車両の周囲の状態を取得することができる。
【0015】
また、本発明の車両用表示装置における灯火装置は、車両周囲の照度を検出する照度センサと、該照度センサからの照度入力値に基づいて、灯火装置の点灯部の点灯/消灯制御を行う点灯制御手段とを備え、周囲明暗情報取得手段は、該点灯制御手段から点灯状態情報を取得するとともに、点灯制御手段は、照度センサからの照度入力値を予め定められた閾値と比較し、その比較結果に基づいて点灯部に対する二値の点灯/消灯指令信号を出力する比較手段と、該比較手段への照度入力値に対し閾値を含む一定範囲の不感帯を設定することにより、該点灯/消灯指令信号出力の、瞬時遮光構造物を通過する際の照度変化期間よりも短周期の照度入力変化に基づくチャタリング反転を阻止する短周期チャタリング阻止手段と、を備えるように構成することもできる。
【0016】
上記構成によって、例えば樹木等の瞬時遮光構造物ではないものを、瞬時遮光構造物と誤認することを防ぐことができる。また、オートライトシステムでは、ライトの明滅を短周期で繰り返すハンチングを防止するために、なまし処理等を行って、点灯/消灯指令信号出力が安定することを確認した上で、ライトの点灯/消灯を実施している。このため、照度が変化してから実際にライトの点灯/消灯が行われるまでに数秒程度の遅れを生ずる。一方、本発明の構成では、なまし処理等は行わないので、応答遅れは短周期チャタリング阻止時間である例えば1〜2秒程度に抑えることができる。
【0017】
また、本発明の車両用表示装置は、遮光を生ずる区間長が予め定められた値を下回る遮光構造物が、瞬時遮光構造物として定められているように構成することもできる。
【0018】
地図データ記憶手段にはオブジェクトデータとして瞬時遮光構造物の区間長が定義されているので、上記構成によって、瞬時遮光構造物かどうかの判定を短時間で容易に行うことができる。
【0019】
また、本発明の車両用表示装置は、車両の車速を検出する車速検出手段と、瞬時遮光構造物の区間長と検出された車速とから、当該瞬時遮光構造物を通過する通過時間を推定する通過時間推定手段と、を備え、表示形態切替制限手段は、推定された通過時間が所定値を下回るときに、第二表示形態への切替を禁止するように構成することもできる。
【0020】
同じ区間長の瞬時遮光構造物でも車速が異なれば通過するために要する時間(通過時間)も異なる。車速が比較的小さい場合すなわち通過時間が長い場合は、遮光時間も長くなるので、第二表示形態への切替を行う必要がある。上記構成によって、車両の走行状態(車速)に応じて適切に表示形態を切替えることができ、必要な場合にのみ第二表示形態への切替を禁止することが可能となる。
【0021】
また、本発明の車両用表示装置は、走行中の道路に対する立体交差道路と鉄道高架橋との少なくともいずれかが、瞬時遮光構造物として定められているように構成することもできる。
【0022】
立体交差道路と鉄道高架橋の下を通過する際の通過時間は比較的短時間であるので、第二表示形態への切替を行うと、かえってユーザにとっては見づらいものとなる。しかし、上記構成によって、立体交差道路と鉄道高架橋の下を通過する場合には、第二表示形態への切替が禁止されるので、ユーザが表示を見づらく感じる問題は解消される。
【0023】
また、本発明の車両用表示装置における地図データ記憶手段は、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータを、それら道路または鉄道の表示幅データとともに記憶するものであり、該表示幅が予め定められた値を下回る道路または鉄道に基づく立体交差道路あるいは鉄道高架橋が、瞬時遮光構造物として定められるように構成することもできる。
【0024】
地図データに道路または鉄道の区間長が記憶されていなくても、表示手段に表示するための表示幅データがあれば、表示の縮尺とから実際の区間長を求めることができる。上記構成によっても、車両の走行状態に応じて適切に表示形態を切替えることができ、必要な場合にのみ第二表示形態への切替を禁止することが可能となる。
【0025】
また、本発明の車両用表示装置の地図データ記憶手段において、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータは、分岐点を規定するノード情報により各々端点が規定されたリンクの集合として記述され、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、検出された車両の現在走行中の道路を表すリンクである走行中リンクのノード情報と、該走行中リンクに対し所定範囲内に存在する交差判定対象リンクのノード情報とに基づいて、走行中リンクと交差判定対象リンクとが、各々の両端をなすノード以外の地点で交点を有するか否かを調べ、交点を有する場合に交差判定対象リンクが走行中リンクと立体交差していると判定する立体交差判定手段を備え、表示形態切替制限手段は、立体交差判定手段により交差判定対象リンクが走行中リンクと立体交差していると判定され、かつ、取得された周囲明暗情報の内容が明状態のときに、第二表示形態への切替を制限するように構成することもできる。
【0026】
車載用ナビゲーション装置に記憶される電子地図データには、上述のリンクとノードに関する情報が含まれている。上記構成によって、車両の現在走行中の道路に立体交差するリンク(道路や鉄道等)を判定することができる。また、車両がその立体交差のアンダーパスを走行しているかどうかは、周囲明暗情報によって判別できる。よって、立体交差の上下を表すデータを電子地図データに記憶する必要はない。つまり、電子地図データが三次元データの場合はもとより、既存の二次元データの場合でも本発明の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の車両用表示装置を車載用ナビゲーション装置の機能の一部として構成した例を、図面を参照しながら説明する。無論、車両用表示装置として独立した構成としてもよいし、他の車載機器の一部として構成としてもよい。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0028】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段,進行方向検出手段に相当する。
【0029】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0030】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0031】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0032】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0033】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の表示形態調節手段,瞬時遮光構造物存在判定手段,表示形態切替制限手段,通過時間推定手段,立体交差判定手段に相当する。
【0034】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0035】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0036】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0037】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報(本発明のオブジェクトデータ)を記憶する。図2にその一例を示す。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、幅員、車線数、制限速度等がリンク属性に含まれる。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク、距離コスト等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の地図データ記憶手段に相当する。図2のオブジェクトデータA,Bが道路あるいは鉄道に相当する。
【0038】
また、図3のように、リンク属性に、表示器10で表示する際の表示幅データを含む構成としてもよい。表示幅は、表示器10の表示ドット数で表される。
【0039】
図1に戻り、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。
【0040】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0041】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0042】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の表示手段に相当する。
【0043】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0044】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。なお、車速センサ23が本発明の車速検出手段に相当する。
【0045】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0046】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0047】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0048】
また、ナビゲーション装置100には、イルミネーション検出装置19が接続される。図4にイルミネーション検出装置19の構成例を示す。イルミネーション検出装置19は、CPU19a1,ROM19a2等を含む制御部19a,センサ部19b,外部機器との信号の遣り取りを行う入出力回路19c等を含んで構成され、CPU19a1がROM19a2に記憶される図示しない制御プログラムを実行することで、車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを判定し、灯火装置20のヘッドライト灯を含む点灯部の点灯/消灯制御を行う。すなわち、灯火装置20等の外部機器に対して、点灯/消灯を指示する指令信号を出力する。また、制御プログラムには、センサ部19bからの短周期の状態変化では車両の周囲の状態に変化があったと判定せず、センサ部19bの状態の変化後にその状態が安定するまで所定の時間待つ等して、指令信号のハンチングが発生しないようにする、なまし処理が含まれている。なお、イルミネーション検出装置19が本発明の周囲明暗情報取得手段に相当し、制御部19aが本発明の点灯制御手段に相当する。
【0049】
図5にセンサ部19bの構成例を示す。周知の硫化カドミウムを主成分とした光導電素子であるCdSセルを用いた照度センサS,照度センサSからの照度入力値と比較するための閾値を設定するための調整用抵抗VR,抵抗R1およびR2,およびコンパレータとして動作するオペアンプOPを含んで構成される。抵抗R1は、照度センサSの特性と電源Vの電圧とに応じてオペアンプOPへの入力を適正な値とするものである。コンパレータは、オペアンプOPの+,−の入力の差を増幅するもので、増幅度が無限大に大きいので、出力Voは、照度入力値が閾値より大きい場合はオペアンプOPの出力電圧の最大値V1となり、照度入力値が閾値より小さい場合はオペアンプOPの出力電圧の最小値V2となる。照度センサSは照度に比例した電圧を生ずるので、制御部19aからは、Vo=V1の場合に消灯指示が出力され、Vo=V2の場合に点灯指示が出力される。なお、オペアンプOPが本発明の比較手段に相当する。
【0050】
また、センサ部19bは、抵抗R2により正帰還を行う周知のシュミット回路を構成している。調整用抵抗VRと抵抗R2によりヒステリシスが生じるので、出力Voを反転させるためには、照度入力値は基準電圧より、このヒステリシス分だけ余分に差が必要となり、基準電圧付近で出力Voがばたつくことを防ぐことができる。例えば、基準電圧が2.5Vでヒステリシスが0.5Vとすると、照度入力値が上昇時には基準電圧にヒステリシス分を加えた3.0Vを上回ると出力Voが反転し、下降時には基準電圧からヒステリシス分を差し引いた2.0Vを下回ると出力Voが反転する。なお、抵抗R2が本発明の短周期チャタリング阻止手段に相当し、ヒステリシスが本発明の不感帯に相当する。
【0051】
図6を用いて表示形態切替制限処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、制御回路8はイルミネーション検出装置19から点灯状態情報(周囲明暗情報)を取得する(S11)。取得した点灯状態情報に、「ヘッドライトON」のような点灯指令が含まれていない場合(S12:No)、明状態であるので、表示器10の画面モード(表示形態)を昼画面モード(本発明の第一表示形態)とする。なお、昼画面モードは、ナビゲーション装置の通常時の表示モードで、昼間時(本発明の明状態)において視認可能な色調・輝度・コントラストに設定されている。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0052】
なお、点灯状態情報は、イルミネーション検出装置19の入出力回路19cから出力されるもの、すなわち、制御部19aで所定のなまし処理が行われた後の出力、あるいはセンサ部19bからの出力(Vo)のいずれを用いてもよい。制御部19aで処理された後の出力を用いると、点灯状態のハンチングが少ないので画面モードが短時間で変化することを抑制できる。また、センサ部19bからの出力を用いると、照度の変化に対する本処理の応答時間を短縮することができる。
【0053】
一方、点灯指令が含まれている場合(S12:Yes)、暗状態であると判定する。そして、メモリ9あるいはRAM83を参照し、前回の表示形態切替制限処理において設定された画面モードを調べ、夜画面モード(本発明の第二表示形態)の場合(S14:No)は、そのままの画面モードで表示を行う(S19→S18)。
【0054】
一方、昼画面モードの場合(S14:Yes)は、一時的なヘッドライトON情報かどうかを判断するため、位置検出器1から車両の現在位置を取得するとともに車両の進行方向を求め、地図データ21mを参照して、車両の現在位置の進行方向において立体交差する道路,鉄道,あるいは道路を土砂崩れや雪崩から守る覆いであるシェッド(本発明の遮光構造物)が存在するかを調べる。遮光構造物が存在する場合(S15:Yes)、地図データ21mに含まれる、その遮光構造物のリンク情報に含まれる幅員(区間長)を参照する。車両の進行方向は車両の現在位置の変化から求めてもよいし、ジャイロスコープ3で検出された車両の回転角速度を用いて基準方向に対する回転角の変化から求めてもよい。
【0055】
立体交差する道路,鉄道等の有無を判定する処理については後述する。本処理では、車両が立体交差の上下いずれを走行しているかまで判別する必要はない。立体交差の上側を走行している場合は、外光が遮られないのでヘッドライトは点灯しない。つまり、ヘッドライト(灯火装置)の点灯の有無で立体交差における走行位置まで判別することができる。よって、地図データ21m等に道路が他の道路あるいは鉄道等と立体交差する情報を記憶しておく必要はない。二次元表示を行う地図データのみを有するナビゲーション装置においても本発明の作用効果を得ることができる。
【0056】
区間長が、例えば12mのような予め定められた基準値を上回る場合(S16:No)は、本発明の瞬時遮光構造物ではないと判定され、表示器10の画面モード(表示形態)を夜画面モード(本発明の第二表示形態)とする(S19)。なお、夜画面モードは、夜間時(本発明の暗状態)において視認可能な色調・輝度・コントラストに設定されており、例えば輝度を下げたり明度の暗い色を用いて表示される。このとき、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0057】
一方、区間長が予め定められた基準値以下の場合(S16:Yes)、本発明の瞬時遮光構造物と判定され、表示器10の画面モード(表示形態)を昼画面モード(本発明の第一表示形態)とする(S17)。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0058】
最後に、設定された画面モードで電子地図データ等を表示する(S18)。
【0059】
ステップS16の条件判断において、区間長の代わりに前述の表示幅データ(図3参照)を用いてもよい。表示幅データが表示器10の表示ドット数で表される場合は、表示器10の仕様によって決められるドットの直径,表示ドット数,および縮尺によって区間長を求めることができる。このとき、表示幅データが予め定められる基準値を下回る場合に、本発明の瞬時遮光構造物と判定される。
【0060】
図7〜図9を用いて、表示形態切替制限の例について説明する。図7は走行中の車両およびその周囲の地図を示したもので、車両の現在位置はP(○と▲を組み合わせた印)で示される。図8は、図7の地図におけるノード(N)とリンク(L)を表したものである。また、図9は、図7と図8の、ノードとリンクとの対応関係を示すものである。なお、図7,図8は紙面上方が北方向となっている。車両が走行中に立体交差道路53の下側を通過する際、車両への外光の到達が遮られるので、イルミネーション検出装置19によって点灯指令信号が出力される。そして、地図データ21mのリンク情報を参照して、立体交差道路53の幅員(区間長)が予め定められた値を下回るので、表示器10の画面モードは昼画面モードのままとする。同様に、鉄道高架橋59の下側を通過する場合と、第一トンネル64を通過する場合も、表示器10の画面モードは昼画面モードのままである。
【0061】
一方、第二トンネル67を通過する場合は、区間長が予め定められた値を上回るので、表示器10の画面モードは夜画面モードに変化する。
【0062】
以上のような処理を行うことで、立体交差道路や鉄道高架橋の下を走行した際の不要な夜画面への切替を防止するとともに、トンネルや夜間走行時のヘッドライトON時の夜画面への切替がスムーズに行うことができる。
【0063】
図10,図11を用いて、立体交差の有無を判定する立体交差判定処理について説明する。なお、本処理は図6のステップS15の条件判断に先立って実行される。まず、図11で示される車両の現在位置Qが含まれる走行中リンクL1の両端のノードN1およびN2の座標を地図データ21mから取得する(S31)。取得した座標を、それぞれ(x1,y1),(x2,y2)とする。そして、リンクL1は、ノードN1およびN2の座標を用いて以下の数式1のように表される。
【0064】
【数1】
【0065】
次に、走行中リンクL1の両端のノードN1およびN2以外で、車両の現在位置(自車位置)Qに最も近いノードN3を検索する(S32)。ノードN3の座標は(x3,y3)とする。そして、地図データ21mを参照してノードN3が含まれるリンク(交差判定対象リンクL2)の他の一端であるノードN4を検索する(S33)。ノードN4の座標は(x4,y4)とする。そして、リンクL2は、ノードN3およびN4の座標を用いて以下の数式2のように表される。
【0066】
【数2】
【0067】
ノードN1およびN2と、上記で検索したノードN3およびN4とから、これらのノードを含むリンクL1とL2との交点K0を算出する(S34)。交点k0のX座標x0は、以下の数式3のように表される。
【0068】
【数3】
【0069】
上記で算出した交点K0のX座標x0が、x1<x0<x2の範囲にあれば(S35:Yes)、リンクL1とL2とは立体交差していると判定できる(S39)。2つのリンクが平面で交差していれば交差点となり、この交差点はノードとして表されるためである。つまり、x0=x1もしくはx0=x2となる。
【0070】
リンクL1とL2とが立体交差していない場合(S35:No)、ノードN3が含まれる全てのリンクについてリンクL1と立体交差しているかどうかを調べていない場合(S36:No)は、ステップS33に戻り、ノード情報を参照し、ノードN3が含まれる上述のリンクL2とは異なるリンクを検索し、リンクがあれば他の一端のノードを検索する。そして、検索されたノードを含む新たなリンクについて、リンクL1と立体交差しているかどうかを調べる(S34)。
【0071】
ノードN3が含まれる全てのリンクについてリンクL1と立体交差しているかどうかを調べた場合(S36:Yes)、例えば1kmのようなリンクL1から所定の範囲内にノードN3以外のノードがある場合(S37:Yes)、そのノードを含むリンクを検索し、検索されたリンクに含まれるノードを検索する(S38)。そして、ステップS34に戻り、検索された新たなリンクおよびノードペアを用いて、リンクL1と立体交差しているかどうかを調べる。
【0072】
図12を用いて、表示形態切替制限処理の別例について説明する。なお、本処理のステップS51〜S55,S57〜S59は、図6のステップS11〜S15,S17〜S19と同様であるため詳細な説明は割愛し、ステップS56についてのみ説明する。
【0073】
遮光構造物が存在する場合(S55:Yes)、地図データ21mに含まれる、その遮光構造物のリンク情報に含まれる幅員(区間長)を参照する。次に、車速センサ23から車速を取得する。そして、区間長と車速とから、当該遮光構造物の通過時間を推定演算する。
【0074】
通過時間が、例えば5秒のような予め定められた基準値を上回る場合(S56:No)は、表示器10の画面モード(表示形態)を夜画面モードとする(S59)。一方、区間長が予め定められた基準値以下の場合(S56:Yes)、本発明の瞬時遮光構造物と判定され、表示器10の画面モードを昼画面モードとする(S57)。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0075】
ステップS56の条件判断において、区間長の代わりに前述の表示幅データ(図3参照)を用いてもよい。上述のように表示幅データと縮尺とから区間長を求めることができ、通過時間を推定演算することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】リンク情報,ノード情報の構成例を示す図。
【図3】リンク属性の内容の別例を示す図。
【図4】イルミネーション検出装置の構成例を示すブロック図。
【図5】センサ部の構成例を示す図。
【図6】表示形態切替制限処理を説明するフロー図。
【図7】表示形態切替制限の例について説明する図。
【図8】図7の地図におけるノードとリンクを示す図。
【図9】ノードとリンクとの対応関係を示す図。
【図10】立体交差判定処理を説明するフロー図。
【図11】立体交差判定処理を説明する図。
【図12】表示形態切替制限処理の別例を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0078】
1 位置検出器(位置検出手段,進行方向検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(表示形態調節手段,瞬時遮光構造物存在判定手段,表示形態切替制限手段,通過時間推定手段,立体交差判定手段)
10 表示器(表示手段)
12 リモコン端末
15 スピーカ
19 イルミネーション検出装置(周囲明暗情報取得手段)
19a 制御部
19b センサ部
OP オペアンプ(比較手段)
R2 抵抗(短周期チャタリング阻止手段)
S 照度センサ(周囲明暗情報取得手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース
21m 地図データ(地図データ記憶手段)
22 タッチパネル
23 車速センサ(車速検出手段)
24 音声合成回路
31 マイク
87 描画部
100 車載用ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の光量を検出して自動的に表示器の画面を昼画面/夜画面に切替える車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示器上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示器や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
車載用ナビゲーション装置をはじめとして、車両内部の表示装置や表示される情報の内容も多岐にわたっており、表示内容の種類が増大するに従って、その視認性の向上が一つの課題となっている。このように表示器の視認性を向上するためのひとつの手段として、周囲の明るさに応じて表示器の明るさを調整することが行われている。
【0004】
例えば、時刻情報より推測した推測照度と走行位置より推測した推測照度とを比較して、暗い方の照度に基づいて表示器の明るさを制御する車載用表示装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、外光のノイズに影響を除去するため、外光の強さを測定するサンプリング時間を変化させることにより急激な外光変化によるノイズを除去し、使用環境に応じて適切な輝度調整を行うことができる表示制御方法および表示制御装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−184446号公報
【特許文献2】特開2001−142446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、外光の明るさの一時的な低下により必要以上に表示器の輝度が低下して視認性が悪くなるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の構成では、表示器の明るさを暗くしたり、明るくする必要がある場合、特に、サンプリング時間が長いときに外光が急激に変化した場合、応答性が悪くなる問題が発生する。また、サンプリング時間を変化させるためにサンプリング処理が複雑になるという問題もある。
【0009】
また、上記従来技術では、例えば、道路や鉄道など立体交差する高架下の道路(いわゆる、アンダーパス)を走行する際、一時的な外光量の低下により表示器の輝度が暗くなる等の表示モードが変わり、ユーザにとっては見づらいものとなることがある。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、一時的な外光量の低下の場合には表示器の表示モードの変化を制限する車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための車両用表示装置は、車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを反映した周囲明暗情報を取得する周囲明暗情報取得手段と、電子地図等の各種情報を表示する表示手段と、取得された周囲明暗情報の内容が、明状態を示している場合は表示手段の表示形態を明状態用の第一表示形態とし、暗状態を示している場合は表示手段の表示形態を第一表示形態とは異なる暗状態用の第二表示形態とする表示形態切替手段と、電子地図上において、車両の走行ルートを表示するための道路のオブジェクトデータとともに、該道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在する遮光構造物であって、車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物のオブジェクトデータを記憶する地図データ記憶手段と、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、瞬時遮光構造物が車両の進行方向に存在するか否かを判定する瞬時遮光構造物存在判定手段と、瞬時遮光構造物が存在し、かつ取得された周囲明暗情報の内容が明状態のときに、第二表示形態への切替を制限する表示形態切替制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によって、瞬時遮光構造物によって車両への外光の到達が遮られ、外光の明るさの一時的な低下により必要以上に表示器の輝度が低下して視認性が悪くなるという問題は発生しない。また、外光の強さを測定するサンプリング時間を変化させる必要がなく、サンプリング時間が長いときに外光が急激に変化した場合、応答性が悪くなる問題は発生しない。また、サンプリング処理が複雑になるという問題も発生しない。
【0013】
また、本発明の車両用表示装置における周囲明暗情報取得手段は、周囲明暗情報として車両の灯火装置の点灯状態情報を取得するように構成することもできる。
【0014】
近年、車両の周囲の明るさを感知し、ライト点灯が必要と判断した場合は自動的にライトを点灯し、必要ないと判断するとライトを消灯するオートライトシステムが普及している。瞬時遮光構造物によって車両への外光の到達が遮られた場合、このオートライトシステムではライトを点灯するので、オートライトシステムの点灯状態情報を取得すれば車両の周囲の状態が分かる。上記構成によって、新たな装置あるいは回路を設けることなく、車両の周囲の状態を取得することができる。
【0015】
また、本発明の車両用表示装置における灯火装置は、車両周囲の照度を検出する照度センサと、該照度センサからの照度入力値に基づいて、灯火装置の点灯部の点灯/消灯制御を行う点灯制御手段とを備え、周囲明暗情報取得手段は、該点灯制御手段から点灯状態情報を取得するとともに、点灯制御手段は、照度センサからの照度入力値を予め定められた閾値と比較し、その比較結果に基づいて点灯部に対する二値の点灯/消灯指令信号を出力する比較手段と、該比較手段への照度入力値に対し閾値を含む一定範囲の不感帯を設定することにより、該点灯/消灯指令信号出力の、瞬時遮光構造物を通過する際の照度変化期間よりも短周期の照度入力変化に基づくチャタリング反転を阻止する短周期チャタリング阻止手段と、を備えるように構成することもできる。
【0016】
上記構成によって、例えば樹木等の瞬時遮光構造物ではないものを、瞬時遮光構造物と誤認することを防ぐことができる。また、オートライトシステムでは、ライトの明滅を短周期で繰り返すハンチングを防止するために、なまし処理等を行って、点灯/消灯指令信号出力が安定することを確認した上で、ライトの点灯/消灯を実施している。このため、照度が変化してから実際にライトの点灯/消灯が行われるまでに数秒程度の遅れを生ずる。一方、本発明の構成では、なまし処理等は行わないので、応答遅れは短周期チャタリング阻止時間である例えば1〜2秒程度に抑えることができる。
【0017】
また、本発明の車両用表示装置は、遮光を生ずる区間長が予め定められた値を下回る遮光構造物が、瞬時遮光構造物として定められているように構成することもできる。
【0018】
地図データ記憶手段にはオブジェクトデータとして瞬時遮光構造物の区間長が定義されているので、上記構成によって、瞬時遮光構造物かどうかの判定を短時間で容易に行うことができる。
【0019】
また、本発明の車両用表示装置は、車両の車速を検出する車速検出手段と、瞬時遮光構造物の区間長と検出された車速とから、当該瞬時遮光構造物を通過する通過時間を推定する通過時間推定手段と、を備え、表示形態切替制限手段は、推定された通過時間が所定値を下回るときに、第二表示形態への切替を禁止するように構成することもできる。
【0020】
同じ区間長の瞬時遮光構造物でも車速が異なれば通過するために要する時間(通過時間)も異なる。車速が比較的小さい場合すなわち通過時間が長い場合は、遮光時間も長くなるので、第二表示形態への切替を行う必要がある。上記構成によって、車両の走行状態(車速)に応じて適切に表示形態を切替えることができ、必要な場合にのみ第二表示形態への切替を禁止することが可能となる。
【0021】
また、本発明の車両用表示装置は、走行中の道路に対する立体交差道路と鉄道高架橋との少なくともいずれかが、瞬時遮光構造物として定められているように構成することもできる。
【0022】
立体交差道路と鉄道高架橋の下を通過する際の通過時間は比較的短時間であるので、第二表示形態への切替を行うと、かえってユーザにとっては見づらいものとなる。しかし、上記構成によって、立体交差道路と鉄道高架橋の下を通過する場合には、第二表示形態への切替が禁止されるので、ユーザが表示を見づらく感じる問題は解消される。
【0023】
また、本発明の車両用表示装置における地図データ記憶手段は、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータを、それら道路または鉄道の表示幅データとともに記憶するものであり、該表示幅が予め定められた値を下回る道路または鉄道に基づく立体交差道路あるいは鉄道高架橋が、瞬時遮光構造物として定められるように構成することもできる。
【0024】
地図データに道路または鉄道の区間長が記憶されていなくても、表示手段に表示するための表示幅データがあれば、表示の縮尺とから実際の区間長を求めることができる。上記構成によっても、車両の走行状態に応じて適切に表示形態を切替えることができ、必要な場合にのみ第二表示形態への切替を禁止することが可能となる。
【0025】
また、本発明の車両用表示装置の地図データ記憶手段において、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータは、分岐点を規定するノード情報により各々端点が規定されたリンクの集合として記述され、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、検出された車両の現在走行中の道路を表すリンクである走行中リンクのノード情報と、該走行中リンクに対し所定範囲内に存在する交差判定対象リンクのノード情報とに基づいて、走行中リンクと交差判定対象リンクとが、各々の両端をなすノード以外の地点で交点を有するか否かを調べ、交点を有する場合に交差判定対象リンクが走行中リンクと立体交差していると判定する立体交差判定手段を備え、表示形態切替制限手段は、立体交差判定手段により交差判定対象リンクが走行中リンクと立体交差していると判定され、かつ、取得された周囲明暗情報の内容が明状態のときに、第二表示形態への切替を制限するように構成することもできる。
【0026】
車載用ナビゲーション装置に記憶される電子地図データには、上述のリンクとノードに関する情報が含まれている。上記構成によって、車両の現在走行中の道路に立体交差するリンク(道路や鉄道等)を判定することができる。また、車両がその立体交差のアンダーパスを走行しているかどうかは、周囲明暗情報によって判別できる。よって、立体交差の上下を表すデータを電子地図データに記憶する必要はない。つまり、電子地図データが三次元データの場合はもとより、既存の二次元データの場合でも本発明の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の車両用表示装置を車載用ナビゲーション装置の機能の一部として構成した例を、図面を参照しながら説明する。無論、車両用表示装置として独立した構成としてもよいし、他の車載機器の一部として構成としてもよい。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0028】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段,進行方向検出手段に相当する。
【0029】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0030】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0031】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0032】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0033】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の表示形態調節手段,瞬時遮光構造物存在判定手段,表示形態切替制限手段,通過時間推定手段,立体交差判定手段に相当する。
【0034】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0035】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0036】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0037】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報(本発明のオブジェクトデータ)を記憶する。図2にその一例を示す。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、幅員、車線数、制限速度等がリンク属性に含まれる。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク、距離コスト等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の地図データ記憶手段に相当する。図2のオブジェクトデータA,Bが道路あるいは鉄道に相当する。
【0038】
また、図3のように、リンク属性に、表示器10で表示する際の表示幅データを含む構成としてもよい。表示幅は、表示器10の表示ドット数で表される。
【0039】
図1に戻り、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。
【0040】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0041】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0042】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の表示手段に相当する。
【0043】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0044】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。なお、車速センサ23が本発明の車速検出手段に相当する。
【0045】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0046】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0047】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0048】
また、ナビゲーション装置100には、イルミネーション検出装置19が接続される。図4にイルミネーション検出装置19の構成例を示す。イルミネーション検出装置19は、CPU19a1,ROM19a2等を含む制御部19a,センサ部19b,外部機器との信号の遣り取りを行う入出力回路19c等を含んで構成され、CPU19a1がROM19a2に記憶される図示しない制御プログラムを実行することで、車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを判定し、灯火装置20のヘッドライト灯を含む点灯部の点灯/消灯制御を行う。すなわち、灯火装置20等の外部機器に対して、点灯/消灯を指示する指令信号を出力する。また、制御プログラムには、センサ部19bからの短周期の状態変化では車両の周囲の状態に変化があったと判定せず、センサ部19bの状態の変化後にその状態が安定するまで所定の時間待つ等して、指令信号のハンチングが発生しないようにする、なまし処理が含まれている。なお、イルミネーション検出装置19が本発明の周囲明暗情報取得手段に相当し、制御部19aが本発明の点灯制御手段に相当する。
【0049】
図5にセンサ部19bの構成例を示す。周知の硫化カドミウムを主成分とした光導電素子であるCdSセルを用いた照度センサS,照度センサSからの照度入力値と比較するための閾値を設定するための調整用抵抗VR,抵抗R1およびR2,およびコンパレータとして動作するオペアンプOPを含んで構成される。抵抗R1は、照度センサSの特性と電源Vの電圧とに応じてオペアンプOPへの入力を適正な値とするものである。コンパレータは、オペアンプOPの+,−の入力の差を増幅するもので、増幅度が無限大に大きいので、出力Voは、照度入力値が閾値より大きい場合はオペアンプOPの出力電圧の最大値V1となり、照度入力値が閾値より小さい場合はオペアンプOPの出力電圧の最小値V2となる。照度センサSは照度に比例した電圧を生ずるので、制御部19aからは、Vo=V1の場合に消灯指示が出力され、Vo=V2の場合に点灯指示が出力される。なお、オペアンプOPが本発明の比較手段に相当する。
【0050】
また、センサ部19bは、抵抗R2により正帰還を行う周知のシュミット回路を構成している。調整用抵抗VRと抵抗R2によりヒステリシスが生じるので、出力Voを反転させるためには、照度入力値は基準電圧より、このヒステリシス分だけ余分に差が必要となり、基準電圧付近で出力Voがばたつくことを防ぐことができる。例えば、基準電圧が2.5Vでヒステリシスが0.5Vとすると、照度入力値が上昇時には基準電圧にヒステリシス分を加えた3.0Vを上回ると出力Voが反転し、下降時には基準電圧からヒステリシス分を差し引いた2.0Vを下回ると出力Voが反転する。なお、抵抗R2が本発明の短周期チャタリング阻止手段に相当し、ヒステリシスが本発明の不感帯に相当する。
【0051】
図6を用いて表示形態切替制限処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、制御回路8はイルミネーション検出装置19から点灯状態情報(周囲明暗情報)を取得する(S11)。取得した点灯状態情報に、「ヘッドライトON」のような点灯指令が含まれていない場合(S12:No)、明状態であるので、表示器10の画面モード(表示形態)を昼画面モード(本発明の第一表示形態)とする。なお、昼画面モードは、ナビゲーション装置の通常時の表示モードで、昼間時(本発明の明状態)において視認可能な色調・輝度・コントラストに設定されている。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0052】
なお、点灯状態情報は、イルミネーション検出装置19の入出力回路19cから出力されるもの、すなわち、制御部19aで所定のなまし処理が行われた後の出力、あるいはセンサ部19bからの出力(Vo)のいずれを用いてもよい。制御部19aで処理された後の出力を用いると、点灯状態のハンチングが少ないので画面モードが短時間で変化することを抑制できる。また、センサ部19bからの出力を用いると、照度の変化に対する本処理の応答時間を短縮することができる。
【0053】
一方、点灯指令が含まれている場合(S12:Yes)、暗状態であると判定する。そして、メモリ9あるいはRAM83を参照し、前回の表示形態切替制限処理において設定された画面モードを調べ、夜画面モード(本発明の第二表示形態)の場合(S14:No)は、そのままの画面モードで表示を行う(S19→S18)。
【0054】
一方、昼画面モードの場合(S14:Yes)は、一時的なヘッドライトON情報かどうかを判断するため、位置検出器1から車両の現在位置を取得するとともに車両の進行方向を求め、地図データ21mを参照して、車両の現在位置の進行方向において立体交差する道路,鉄道,あるいは道路を土砂崩れや雪崩から守る覆いであるシェッド(本発明の遮光構造物)が存在するかを調べる。遮光構造物が存在する場合(S15:Yes)、地図データ21mに含まれる、その遮光構造物のリンク情報に含まれる幅員(区間長)を参照する。車両の進行方向は車両の現在位置の変化から求めてもよいし、ジャイロスコープ3で検出された車両の回転角速度を用いて基準方向に対する回転角の変化から求めてもよい。
【0055】
立体交差する道路,鉄道等の有無を判定する処理については後述する。本処理では、車両が立体交差の上下いずれを走行しているかまで判別する必要はない。立体交差の上側を走行している場合は、外光が遮られないのでヘッドライトは点灯しない。つまり、ヘッドライト(灯火装置)の点灯の有無で立体交差における走行位置まで判別することができる。よって、地図データ21m等に道路が他の道路あるいは鉄道等と立体交差する情報を記憶しておく必要はない。二次元表示を行う地図データのみを有するナビゲーション装置においても本発明の作用効果を得ることができる。
【0056】
区間長が、例えば12mのような予め定められた基準値を上回る場合(S16:No)は、本発明の瞬時遮光構造物ではないと判定され、表示器10の画面モード(表示形態)を夜画面モード(本発明の第二表示形態)とする(S19)。なお、夜画面モードは、夜間時(本発明の暗状態)において視認可能な色調・輝度・コントラストに設定されており、例えば輝度を下げたり明度の暗い色を用いて表示される。このとき、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0057】
一方、区間長が予め定められた基準値以下の場合(S16:Yes)、本発明の瞬時遮光構造物と判定され、表示器10の画面モード(表示形態)を昼画面モード(本発明の第一表示形態)とする(S17)。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0058】
最後に、設定された画面モードで電子地図データ等を表示する(S18)。
【0059】
ステップS16の条件判断において、区間長の代わりに前述の表示幅データ(図3参照)を用いてもよい。表示幅データが表示器10の表示ドット数で表される場合は、表示器10の仕様によって決められるドットの直径,表示ドット数,および縮尺によって区間長を求めることができる。このとき、表示幅データが予め定められる基準値を下回る場合に、本発明の瞬時遮光構造物と判定される。
【0060】
図7〜図9を用いて、表示形態切替制限の例について説明する。図7は走行中の車両およびその周囲の地図を示したもので、車両の現在位置はP(○と▲を組み合わせた印)で示される。図8は、図7の地図におけるノード(N)とリンク(L)を表したものである。また、図9は、図7と図8の、ノードとリンクとの対応関係を示すものである。なお、図7,図8は紙面上方が北方向となっている。車両が走行中に立体交差道路53の下側を通過する際、車両への外光の到達が遮られるので、イルミネーション検出装置19によって点灯指令信号が出力される。そして、地図データ21mのリンク情報を参照して、立体交差道路53の幅員(区間長)が予め定められた値を下回るので、表示器10の画面モードは昼画面モードのままとする。同様に、鉄道高架橋59の下側を通過する場合と、第一トンネル64を通過する場合も、表示器10の画面モードは昼画面モードのままである。
【0061】
一方、第二トンネル67を通過する場合は、区間長が予め定められた値を上回るので、表示器10の画面モードは夜画面モードに変化する。
【0062】
以上のような処理を行うことで、立体交差道路や鉄道高架橋の下を走行した際の不要な夜画面への切替を防止するとともに、トンネルや夜間走行時のヘッドライトON時の夜画面への切替がスムーズに行うことができる。
【0063】
図10,図11を用いて、立体交差の有無を判定する立体交差判定処理について説明する。なお、本処理は図6のステップS15の条件判断に先立って実行される。まず、図11で示される車両の現在位置Qが含まれる走行中リンクL1の両端のノードN1およびN2の座標を地図データ21mから取得する(S31)。取得した座標を、それぞれ(x1,y1),(x2,y2)とする。そして、リンクL1は、ノードN1およびN2の座標を用いて以下の数式1のように表される。
【0064】
【数1】
【0065】
次に、走行中リンクL1の両端のノードN1およびN2以外で、車両の現在位置(自車位置)Qに最も近いノードN3を検索する(S32)。ノードN3の座標は(x3,y3)とする。そして、地図データ21mを参照してノードN3が含まれるリンク(交差判定対象リンクL2)の他の一端であるノードN4を検索する(S33)。ノードN4の座標は(x4,y4)とする。そして、リンクL2は、ノードN3およびN4の座標を用いて以下の数式2のように表される。
【0066】
【数2】
【0067】
ノードN1およびN2と、上記で検索したノードN3およびN4とから、これらのノードを含むリンクL1とL2との交点K0を算出する(S34)。交点k0のX座標x0は、以下の数式3のように表される。
【0068】
【数3】
【0069】
上記で算出した交点K0のX座標x0が、x1<x0<x2の範囲にあれば(S35:Yes)、リンクL1とL2とは立体交差していると判定できる(S39)。2つのリンクが平面で交差していれば交差点となり、この交差点はノードとして表されるためである。つまり、x0=x1もしくはx0=x2となる。
【0070】
リンクL1とL2とが立体交差していない場合(S35:No)、ノードN3が含まれる全てのリンクについてリンクL1と立体交差しているかどうかを調べていない場合(S36:No)は、ステップS33に戻り、ノード情報を参照し、ノードN3が含まれる上述のリンクL2とは異なるリンクを検索し、リンクがあれば他の一端のノードを検索する。そして、検索されたノードを含む新たなリンクについて、リンクL1と立体交差しているかどうかを調べる(S34)。
【0071】
ノードN3が含まれる全てのリンクについてリンクL1と立体交差しているかどうかを調べた場合(S36:Yes)、例えば1kmのようなリンクL1から所定の範囲内にノードN3以外のノードがある場合(S37:Yes)、そのノードを含むリンクを検索し、検索されたリンクに含まれるノードを検索する(S38)。そして、ステップS34に戻り、検索された新たなリンクおよびノードペアを用いて、リンクL1と立体交差しているかどうかを調べる。
【0072】
図12を用いて、表示形態切替制限処理の別例について説明する。なお、本処理のステップS51〜S55,S57〜S59は、図6のステップS11〜S15,S17〜S19と同様であるため詳細な説明は割愛し、ステップS56についてのみ説明する。
【0073】
遮光構造物が存在する場合(S55:Yes)、地図データ21mに含まれる、その遮光構造物のリンク情報に含まれる幅員(区間長)を参照する。次に、車速センサ23から車速を取得する。そして、区間長と車速とから、当該遮光構造物の通過時間を推定演算する。
【0074】
通過時間が、例えば5秒のような予め定められた基準値を上回る場合(S56:No)は、表示器10の画面モード(表示形態)を夜画面モードとする(S59)。一方、区間長が予め定められた基準値以下の場合(S56:Yes)、本発明の瞬時遮光構造物と判定され、表示器10の画面モードを昼画面モードとする(S57)。そして、メモリ9あるいはRAM83の所定の領域に、今回設定された表示モードを記憶する。
【0075】
ステップS56の条件判断において、区間長の代わりに前述の表示幅データ(図3参照)を用いてもよい。上述のように表示幅データと縮尺とから区間長を求めることができ、通過時間を推定演算することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】リンク情報,ノード情報の構成例を示す図。
【図3】リンク属性の内容の別例を示す図。
【図4】イルミネーション検出装置の構成例を示すブロック図。
【図5】センサ部の構成例を示す図。
【図6】表示形態切替制限処理を説明するフロー図。
【図7】表示形態切替制限の例について説明する図。
【図8】図7の地図におけるノードとリンクを示す図。
【図9】ノードとリンクとの対応関係を示す図。
【図10】立体交差判定処理を説明するフロー図。
【図11】立体交差判定処理を説明する図。
【図12】表示形態切替制限処理の別例を説明するフロー図。
【符号の説明】
【0078】
1 位置検出器(位置検出手段,進行方向検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(表示形態調節手段,瞬時遮光構造物存在判定手段,表示形態切替制限手段,通過時間推定手段,立体交差判定手段)
10 表示器(表示手段)
12 リモコン端末
15 スピーカ
19 イルミネーション検出装置(周囲明暗情報取得手段)
19a 制御部
19b センサ部
OP オペアンプ(比較手段)
R2 抵抗(短周期チャタリング阻止手段)
S 照度センサ(周囲明暗情報取得手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース
21m 地図データ(地図データ記憶手段)
22 タッチパネル
23 車速センサ(車速検出手段)
24 音声合成回路
31 マイク
87 描画部
100 車載用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを反映した周囲明暗情報を取得する周囲明暗情報取得手段と、
電子地図等の各種情報を表示する表示手段と、
前記取得された周囲明暗情報の内容が、前記明状態を示している場合は前記表示手段の表示形態を前記明状態用の第一表示形態とし、前記暗状態を示している場合は前記表示手段の表示形態を前記第一表示形態とは異なる前記暗状態用の第二表示形態とする表示形態切替手段と、
前記電子地図上において、前記車両の走行ルートを表示するための道路のオブジェクトデータとともに、該道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在する遮光構造物であって、前記車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物のオブジェクトデータを記憶する地図データ記憶手段と、
前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記瞬時遮光構造物が前記車両の進行方向に存在するか否かを判定する瞬時遮光構造物存在判定手段と、
前記瞬時遮光構造物が存在し、かつ前記取得された周囲明暗情報の内容が前記明状態のときに、前記第二表示形態への切替を制限する表示形態切替制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記周囲明暗情報取得手段は、前記周囲明暗情報として前記車両の灯火装置の点灯状態情報を取得するものである請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記灯火装置は、前記車両周囲の照度を検出する照度センサと、該照度センサからの照度入力値に基づいて、前記灯火装置の点灯部の点灯/消灯制御を行う点灯制御手段とを備え、
前記周囲明暗情報取得手段は、該点灯制御手段から前記点灯状態情報を取得するとともに、
前記点灯制御手段は、前記照度センサからの照度入力値を予め定められた閾値と比較し、その比較結果に基づいて前記点灯部に対する二値の点灯/消灯指令信号を出力する比較手段と、該比較手段への照度入力値に対し前記閾値を含む一定範囲の不感帯を設定することにより、該点灯/消灯指令信号出力の、前記瞬時遮光構造物を通過する際の照度変化期間よりも短周期の照度入力変化に基づくチャタリング反転を阻止する短周期チャタリング阻止手段と、を備える請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記遮光を生ずる区間長が予め定められた値を下回る前記遮光構造物が、前記瞬時遮光構造物として定められている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記瞬時遮光構造物の区間長と前記検出された車速とから、当該瞬時遮光構造物を通過する通過時間を推定する通過時間推定手段と、を備え、
前記表示形態切替制限手段は、前記推定された通過時間が所定値を下回るときに、前記第二表示形態への切替を禁止する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
走行中の道路に対する立体交差道路と鉄道高架橋との少なくともいずれかが、前記瞬時遮光構造物として定められている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記地図データ記憶手段は、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータを、それら道路または鉄道の表示幅データとともに記憶するものであり、
該表示幅が予め定められた値を下回る道路または鉄道に基づく立体交差道路あるいは鉄道高架橋が、前記瞬時遮光構造物として定められる請求項6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記地図データ記憶手段において、前記道路あるいは前記鉄道のオブジェクトデータは、分岐点を規定するノード情報により各々端点が規定されたリンクの集合として記述され、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記検出された車両の現在走行中の道路を表すリンクである走行中リンクのノード情報と、該走行中リンクに対し所定範囲内に存在する交差判定対象リンクのノード情報とに基づいて、前記走行中リンクと前記交差判定対象リンクとが、各々の両端をなすノード以外の地点で交点を有するか否かを調べ、前記交点を有する場合に前記交差判定対象リンクが前記走行中リンクと立体交差していると判定する立体交差判定手段を備え、
前記表示形態切替制限手段は、前記立体交差判定手段により前記交差判定対象リンクが前記走行中リンクと立体交差していると判定され、かつ、前記取得された周囲明暗情報の内容が前記明状態のときに、前記第二表示形態への切替を制限するものである請求項6または請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
車両の周囲の状態が明状態であるか暗状態であるかを反映した周囲明暗情報を取得する周囲明暗情報取得手段と、
電子地図等の各種情報を表示する表示手段と、
前記取得された周囲明暗情報の内容が、前記明状態を示している場合は前記表示手段の表示形態を前記明状態用の第一表示形態とし、前記暗状態を示している場合は前記表示手段の表示形態を前記第一表示形態とは異なる前記暗状態用の第二表示形態とする表示形態切替手段と、
前記電子地図上において、前記車両の走行ルートを表示するための道路のオブジェクトデータとともに、該道路上を走行する車両への外光の到達を遮るように存在する遮光構造物であって、前記車両が通過する際に瞬時的な遮光を生ずる瞬時遮光構造物のオブジェクトデータを記憶する地図データ記憶手段と、
前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記瞬時遮光構造物が前記車両の進行方向に存在するか否かを判定する瞬時遮光構造物存在判定手段と、
前記瞬時遮光構造物が存在し、かつ前記取得された周囲明暗情報の内容が前記明状態のときに、前記第二表示形態への切替を制限する表示形態切替制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記周囲明暗情報取得手段は、前記周囲明暗情報として前記車両の灯火装置の点灯状態情報を取得するものである請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記灯火装置は、前記車両周囲の照度を検出する照度センサと、該照度センサからの照度入力値に基づいて、前記灯火装置の点灯部の点灯/消灯制御を行う点灯制御手段とを備え、
前記周囲明暗情報取得手段は、該点灯制御手段から前記点灯状態情報を取得するとともに、
前記点灯制御手段は、前記照度センサからの照度入力値を予め定められた閾値と比較し、その比較結果に基づいて前記点灯部に対する二値の点灯/消灯指令信号を出力する比較手段と、該比較手段への照度入力値に対し前記閾値を含む一定範囲の不感帯を設定することにより、該点灯/消灯指令信号出力の、前記瞬時遮光構造物を通過する際の照度変化期間よりも短周期の照度入力変化に基づくチャタリング反転を阻止する短周期チャタリング阻止手段と、を備える請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記遮光を生ずる区間長が予め定められた値を下回る前記遮光構造物が、前記瞬時遮光構造物として定められている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記瞬時遮光構造物の区間長と前記検出された車速とから、当該瞬時遮光構造物を通過する通過時間を推定する通過時間推定手段と、を備え、
前記表示形態切替制限手段は、前記推定された通過時間が所定値を下回るときに、前記第二表示形態への切替を禁止する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
走行中の道路に対する立体交差道路と鉄道高架橋との少なくともいずれかが、前記瞬時遮光構造物として定められている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記地図データ記憶手段は、道路あるいは鉄道のオブジェクトデータを、それら道路または鉄道の表示幅データとともに記憶するものであり、
該表示幅が予め定められた値を下回る道路または鉄道に基づく立体交差道路あるいは鉄道高架橋が、前記瞬時遮光構造物として定められる請求項6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記地図データ記憶手段において、前記道路あるいは前記鉄道のオブジェクトデータは、分岐点を規定するノード情報により各々端点が規定されたリンクの集合として記述され、
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記検出された車両の現在走行中の道路を表すリンクである走行中リンクのノード情報と、該走行中リンクに対し所定範囲内に存在する交差判定対象リンクのノード情報とに基づいて、前記走行中リンクと前記交差判定対象リンクとが、各々の両端をなすノード以外の地点で交点を有するか否かを調べ、前記交点を有する場合に前記交差判定対象リンクが前記走行中リンクと立体交差していると判定する立体交差判定手段を備え、
前記表示形態切替制限手段は、前記立体交差判定手段により前記交差判定対象リンクが前記走行中リンクと立体交差していると判定され、かつ、前記取得された周囲明暗情報の内容が前記明状態のときに、前記第二表示形態への切替を制限するものである請求項6または請求項7に記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−49925(P2008−49925A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229815(P2006−229815)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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