説明

車外監視装置

【課題】レーザレーダによる測距値と画像による測距値との最適な統合を複雑な演算等することなく素早く行い前方の立体物データとして素早く出力する。
【解決手段】距離データ統合部5cはレーザ距離データと画像距離データの統合を次のように行う。レーザ距離データが有効な場合、レーザ距離データが遠方の場合は最終的な距離データはレーザ距離データとし、レーザ距離データが中間距離の場合、画像距離データが有効で且つ画像距離データとレーザ距離データとの差が所定値以内の場合は最終的な距離データはレーザ距離データと画像距離データとの平均値とし、上述以外の場合はレーザ距離データとする。レーザ距離データが近距離の場合は最終的な距離データは画像距離データとし、レーザ距離データが極近距離の場合は最終的な距離データはレーザ距離データとする。またレーザ距離データが無効な場合は最終的な距離データは画像距離データとする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像情報とレーザレーダ情報とを基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出する車外監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車にTVカメラやレーザレーダ等を搭載して前方の車両や障害物を検知し、それらに衝突する危険度を判定して運転者に警報を発したり、自動的にブレーキを作動させて停止させる、或いは、先行車との車間距離を安全に保つよう自動的に走行速度を増減する等のASV(Advanced Safety Vehicle;先進安全自動車)に係わる技術の開発が積極的に進められ、一部実用化されている。
【0003】このような技術として、例えば特開平6−230115号公報では、カメラとミリ波レーダの2つの車間距離検出手段を有し、信頼度のより高い方のデータを用いて車間距離を検出するようにすることで、走行状況の変化に応じて適切な検出手段の選択ができ、正確な車間距離検出を行うようにするものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の先行技術では、カメラによるデータの信頼度、及び、ミリ波レーダによるデータの信頼度の演算が複雑で、これら信頼度を求めてから、信頼度の高い方のデータを選ぶのでは、演算時間がかかりすぎ、多くの画像データを素早く処理するには難しく応答性の良い制御が困難になるという問題がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、レーザレーダによる測距値と画像による測距値との最適な統合を複雑な演算等することなく素早く行って、前方の立体物データとして素早く出力することが可能な車外監視装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による車外監視装置は、車両前方の画像情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出する画像距離検出手段と、車両前方へのレーザレーダ情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出するレーザ距離検出手段と、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離とに応じ、最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離を設定する最終距離設定手段とを備えた車外監視装置であって、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離の値に応じて上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離の設定を行うことを特徴としている。
【0007】すなわち、上記請求項1記載の車外監視装置では、画像距離検出手段で車両前方の画像情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出し、レーザ距離検出手段で車両前方の画像情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出し、最終距離設定手段で画像距離検出手段で検出した距離とレーザ距離検出手段で検出した距離とに応じ、最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離を設定する。この際、最終距離設定手段は、レーザ距離検出手段で検出した距離の値に応じて最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離の設定を行う。このため、レーザレーダによる測距値と画像による測距値との最適な統合を複雑な演算等することなく素早く行って、前方の立体物データとして素早く出力することが可能になる。
【0008】また、請求項2記載の本発明による車外監視装置は、請求項1記載の車外監視装置において、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が遠方の場合、上記レーザ距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とし、レーザ距離検出手段で検出した距離が遠方の場合は、誤差が少ないと考えられるレーザ距離検出手段で検出した距離を最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定する。
【0009】更に、請求項3記載の本発明による車外監視装置は、請求項1又は請求項2記載の車外監視装置において、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が中間距離の場合、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離との差が所定値以内の際は、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離との平均値を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴としている。
【0010】また、請求項4記載の本発明による車外監視装置は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車外監視装置において、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が近距離の場合、上記画像距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とし、レーザ距離検出手段で検出した距離が近距離の場合は、誤差が少ないと考えられる画像距離検出手段で検出した距離を最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定する。
【0011】更に、請求項5記載の本発明による車外監視装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の車外監視装置において、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が極近距離の場合、上記レーザ距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とし、レーザ距離検出手段で検出した距離が極近距離の場合は、誤差の少ないと考えられるレーザ距離検出手段で検出した距離を最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図10は本発明の実施の形態を示し、図1は車外監視装置を備えた車両用運転支援装置の概略構成図、図2は車両用運転支援装置の機能ブロック図、図3はCCDカメラによる距離データ検出とレーザレーダによる距離データ検出の説明図、図4は画像距離データの区分の説明図、図5は削除する特異点の説明図、図6は前方監視プログラムのフローチャート、図7は画像距離データとレーザ距離データとの統合処理ルーチンのフローチャート、図8はグルーピングによる立体物検出処理ルーチンのフローチャート、図9は40m以上における特異点の削除処理ルーチンのフローチャート、図10は距離データ診断処理ルーチンのフローチャートである。
【0013】図1において、符号1は自動車等の車両(自車両)であり、この自車両1に、前方の立体物との衝突、接触の可能性を判定し、必要に応じて警報を発する車両用運転支援装置(ADA装置)2が搭載されている。尚、ADA装置2は、一般に、この衝突接触防止機能の他に、車線逸脱防止等の機能も有しているが、本発明の実施の形態では、衝突接触防止機能についてのみ説明し、他の機能の説明は省略する。
【0014】ADA装置2は、ステレオ光学系として例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組の(左右の)CCDカメラ3を有し、これら左右のCCDカメラ3は、それぞれ車室内の天井前方に一定の間隔をもって取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、コントローラ5に入力する。
【0015】また、車両1のバンパー構造材の上部には、レーザビームの投射・受光と左右方向への走査機能を有する、レーザヘッドを備えたレーザ投光ユニット4が取り付けられ、コントローラ5と接続されている。このレーザ投光ユニット4からはレーザビームが水平に投射され、道路表面より高い位置にある立体物のみが検出されると共に、このレーザ投光ユニット4からのレーザビームは左右方向に走査され、所定の走査範囲で一定の間隔毎にレーザビームが投光・受光されて距離を検出する動作が繰り返され、立体物の二次元分布が計測される。
【0016】本実施の形態の場合、例えば、図3に示すように、CCDカメラ3からは前方の左右26゜の範囲の画像がコントローラ5に入力され、一方、レーザ投光ユニット4では0.15度間隔で80方向の走査が行われて前方の左右12゜の範囲のデータが0.1秒周期でコントローラ5に出力される。
【0017】また、自車両1には、車速Vを検出する車速センサ6と、舵角δを検出する舵角センサ7が設けられており、この車速Vと舵角δはコントローラ5に入力される。
【0018】コントローラ5は、CCDカメラ3からの画像、レーザ投光ユニット4による走査結果、車速V、及び、舵角δが入力され、CCDカメラ3からの画像に基づく前方立体物との距離と、レーザ投光ユニット4による走査結果に基づく前方立体物との距離とをそれぞれ独立して求め、これらの距離データを統合して、この統合したデータを基に最終的に前方立体物との距離を求め、自車両1との衝突危険性や接触可能性を判断し、必要に応じてコンビネーションメータ8の衝突警報ランプ8aを点灯させ警報を発するようになっている。また、コントローラ5は、CCDカメラ3からの画像に基づく前方立体物との距離の検出と、レーザ投光ユニット4による走査結果に基づく前方立体物との距離の検出の状態、すなわち、検出能力の低下を判定し、検出能力が低下している場合にはコンビネーションメータ8の検出状態表示ランプ8bを点灯させてドライバに報知する。
【0019】すなわち、コントローラ5は、車外監視装置としての機能を備えて構成されており、図2に示すように、画像データ処理部5a、レーザ測距データ処理部5b、距離データ統合部5c、立体物検出処理部5d、距離データ診断部5e、及び、警報制御部5fを有して構成されている。
【0020】画像データ処理部5aは、画像距離検出手段として設けられており、CCDカメラ3からの画像を、図4に示すように、横方向に128等分に区分し、これに対応した配列Czlnを設定する。そして、区分毎に代表的な画素ずれ数を求め、この画素ずれ数により自車両1から立体物までの距離を算出し、画像距離データCzln[0~127]として保存する。例えば、Czln[3]は、区分番号3番の距離データを示し、無効データの場合は999000とされる。
【0021】レーザ測距データ処理部5bは、レーザ距離検出手段として設けられており、レーザービームの投光受光の所要時間から物体までの距離を計算し、また、レーザビームを走査する方向から物体の二次元の位置(全80区分)を計算してレーザ距離データLzln[0~79]として保存する。例えば、Lzln[3]は、区分番号3番の距離データを示し、無効データの場合は999000とされる。
【0022】距離データ統合部5cは、80区分のレーザ距離データLzln[0~79]を、128区分の画像距離データ座標に変換(レーザ距離データlzrzln[0~127])し、この変換したレーザ距離データlzrzln[0~127]を画像距離データCzln[0~127]と統合する。
【0023】レーザ距離データLzln[0~79]のレーザ距離データlzrzln[0~127]への変換は、例えば、以下のようにx座標、z座標を演算して実行する。
x座標=レーザ距離データ・sink[k-kv+50]+レーザヘッドx座標 …(1)
z座標=レーザ距離データ+レーザヘッドz座標 …(2)
ここで、sink[k]=sin((k-50)・0.155゜)のデータテーブルであり、k=(レーザヘッドの中心軸があるレーザ区分番号)−(レーザの中心軸がある画像区分番号)で、「50」はデータテーブルの中心の区分番号、0.155はレーザの80区分の1ステップである。
【0024】また、変換したレーザ距離データlzrzln[0~127]と画像距離データCzln[0~127]との統合は、以下のように実行される。尚、 [fln]のflnは、0〜127の各区分を示す。
【0025】1.レーザ距離データlzrzln[fln]が有効な場合でレーザ距離データlzrzln[fln]が遠方(20m以上)の場合、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0026】2.レーザ距離データlzrzln[fln]が有効な場合でレーザ距離データlzrzln[fln]が中間距離(10m以上20m未満)の場合、画像距離データCzln[fln]が有効で、且つ、画像距離データCzln[fln]とレーザ距離データlzrzln[fln]との差が所定値(例えば2.5m)以内の場合は、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]と画像距離データCzln[fln]との平均値とする。すなわち、zln[fln]=(lzrzln[fln]+Czln[fln])/2。
【0027】3.レーザ距離データlzrzln[fln]が有効な場合でレーザ距離データlzrzln[fln]が中間距離(10m以上20m未満)の場合、上記2以外の場合は、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0028】4.レーザ距離データlzrzln[fln]が有効な場合でレーザ距離データlzrzln[fln]が近距離(3m以上10m未満)の場合、最終的な距離データzln[fln]は、画像距離データCzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=Czln[fln]。
【0029】5.レーザ距離データlzrzln[fln]が有効な場合でレーザ距離データlzrzln[fln]が極近距離(3m未満)の場合、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0030】6.レーザ距離データlzrzln[fln]が無効な場合は、最終的な距離データzln[fln]は、画像距離データCzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=Czln[fln]。
【0031】すなわち、一般に、画像に基づく距離データは、遠方では誤差が大きく近距離の場合は誤差が小さくなり、更に、極近距離ではリヤゲート越しに先の物体を捉えてしまいやすい。また、レーザレーダに基づく距離データは、遠方では比較的誤差が小さく近距離の場合は誤差が大きくなる。このため、上述の1〜6のように、予め、最終的に採用するデータを選別し、最終的に正確な距離データが得られるようにするのである。
【0032】そして、画像距離データCzln[0~127]はzln1[0~127]として、また、変換したレーザ距離データlzrzln[0~127]はzln2[0~127]として保管・出力され、更に、統合された最終的な距離データzln[0~127]は立体物検出処理部5dに出力される。すなわち、距離データ統合部5cは、最終距離設定手段として設けられている。
【0033】立体物検出処理部5dは、40m未満における特異点の削除と、40m以上における特異点の削除を行って、前回の立体物の検出結果に基づいた立体物のコーナー点・コーナー状立体物の検出を行って、最終的な距離データzln[0~127]のグルーピング処理を行い立体物を認識処理する。
【0034】具体的には、40m未満における特異点の削除は、立体物が複雑に混在し、手前の立体物の間から遠方の立体物が見える状況等において、自車からほぼ等距離の立体部の間にある遠方の立体物を特異点として削除する。
【0035】すなわち、図5に示すように、40m未満にある最終的な距離データzln[fln]を基準点P0(z0,x0)として、以下の条件を全て満たす点を等距離の点として定め、これら2点の間にある遠方の点を特異点として削除する。尚、削除される点の距離データには、無効データと同じく999000が代入される。
【0036】図5の例では、基準点P0に対し、斜線部内に存在する点P4,P5が基準点P0と等距離にある点として認識される。この斜線部の領域は、z方向とx方向が、例えば、以下のように設定される。
z方向:基準点±dz0(=z0・(164/4096)+200)mmx方向:基準点+0.7m従って、図5の例では、斜線の領域より遠方のP1,P2が特異点として削除され、斜線の領域より前に位置するP3は削除されない。
【0037】また、40m以上における特異点の削除では、遠方の立体物を検出した場合、レーザレーダによる距離データは、先行車両の左右のリフレクタを検出する。従って、左右のリフレクタ間にある画像の距離データは、そのデータを特異点とし削除する。
【0038】例えば、最終的な距離データzln[0~127]が、図4に示すように得られた場合、f1とf3とが以下の条件を全て満足する場合、f1とf3とを先行車両のリフレクタと判断する。
【0039】1.f1とf3がレーザレーダによる距離データである。2.f1の値が40m以上である。3.f1とf3の縦方向の差が±0.5m以内である。4.f1とf3の横方向の間隔が2m以内である。
【0040】そして、f2が次の2つの条件を満足するとき、f2の距離データを特異点として削除し、999000を代入する。
【0041】1.f2が画像による距離データである。2.f2がf1より遠方に存在する。
【0042】このように40m以上の距離データにおいても、不要、或いは、誤差が大きいと判断できるデータを特異点として削除することにより、立体物の認識を精度良く速やかに行えるようにする。
【0043】そして、立体物検出処理部5dは、前回検出されたコーナー状立体物のコーナー点を中心にサーベイエリアを設け、今回検出された上述の如く特異点を削除した最終的な距離データzln[0~127]を調べて、新たなコーナー点の有無を検出する。
【0044】その後、このデータのグルーピング処理、すなわち、閾値を定めて、その閾値内にあるzln[fln]をグループ化し、このグループ化したデータの傾き等から側壁データの抽出を行い、グループ化されたデータの分割と統合を行って、立体物ならびに側壁を検出する。こうして、検出された立体物情報は、距離データ診断部5e、警報制御部5fに出力される。
【0045】距離データ診断部5eは、最終的に検出した立体物が、画像距離データCzln[0~127](zln1[0~127])と、変換したレーザ距離データlzrzln[0~127](zln2[0~127])の両方で検出されているか判定し、画像距離データzln1[0~127]で検出されていない場合は、画像測距性能低下とし、コンビネーションメータ8の検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させてドライバに報知する。また、最終的に検出した立体物が、レーザ距離データzln2[0~127]で検出されていない場合は、レーザ測距性能低下としコンビネーションメータ8の検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させてドライバに報知する。
【0046】この測距性能の判定は、舵角が−10°〜+10°で、車両が略直線路を走行する際に行われる。これは、画像による距離検出では、ガードレールや側壁を認識することができるが、レーザレーダによる距離検出では、レーザビームが傾いて照射されるため反射せず立体物を認識しづらいことを考慮したものである。
【0047】また、測距性能の判定を行う立体物のサーベイエリアは、レーザレーダと画像の視野が重なる部分とし、判定に用いる立体物は、距離40〜70m前方に存在する、幅50cm以上のものとする。ここで、距離40〜70m前方に存在する立体物としたのは、これ以上遠方の立体物をも対象とすると、画像による距離データ及びレーザレーダによる距離データの誤差が大きくなるためである。また、40m未満前方の立体物の距離データでは、測距性能の低下が極めて少なく判定を行えないためである。更に、立体物を幅50cm以上のものとするのは、先行車両が複数存在する場合、画像では立体物間の何も無い空間に立体物を誤認識することがあるためである。
【0048】そして、立体物に対して画像距離データzln1[0~127]が存在するか否か判定し、存在しない場合は、画像無し立体物数n1にカウントし、同じく、立体物に対してレーザ距離データzln2[0~127]が存在するか否か判定し、存在しない場合は、レーザレーダ無し立体物数n2にカウントする。こうして、対象とする立体物の総数n0と画像無し立体物数n1とから画像の立体物不検出率を演算し(=(n1/n0)・100%)、レーザレーダの立体物不検出率を演算する(=(n2/n0)・100%)。
【0049】そして、画像の立体物不検出率が、予め設定する検出率閾値k6以上であれば、画像の能力判定タイマをインクリメントし、検出率閾値k6未満であれば画像の能力判定タイマをデクリメントして、能力判定タイマの値が予め設定した出力閾値k1を超えた場合に画像による測距能力低下と判定して検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させる。また、能力判定タイマの値が、予め設定した解除閾値k2(<k1)以下となった際には検出状態表示ランプ8bの点灯を解除する。
【0050】同様に、レーザレーダの立体物不検出率が、予め設定する検出率閾値k5以上であれば、レーザレーダの能力判定タイマをインクリメントし、検出率閾値k5未満であればレーザレーダの能力判定タイマをデクリメントして、能力判定タイマの値が予め設定した出力閾値k3を超えた場合にレーザレーダによる測距能力低下と判定して検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させる。また、能力判定タイマの値が予め設定した解除閾値k4(<k3)以下となった際には検出状態表示ランプ8bの点灯を解除する。
【0051】このように、最終的に検出された立体物を対象として、これを検出する画像とレーザレーダのそれぞれの距離データがあるか否かで、画像とレーザレーダの測距能力の低下を判定するようになっているので、画像とレーザレーダの測距能力の低下を素早く正確に判定することが可能になっている。
【0052】警報制御部5fは、立体物検出処理部5dからの立体物情報や車速センサ6からの車速V等を基に、自車線と隣接する左右の車線上に存在する他の自動車や障害物等を抽出し、抽出した物体の位置と大きさ、位置の時間変化による自車両1との相対速度等から、自車両1との衝突の可能性や接触の可能性を判断し、その結果を必要に応じて、コンビネーションメータ8の衝突警報ランプ8aを点灯させ警報を発する。
【0053】次に、上述のコントローラ5で実行される前方監視プログラムを図6以下図10のフローチャートを用いて説明する。図6は前方監視プログラムの全体の流れを示すフローチャートであり、まず、ステップ(以下「S」と略称)101で必要なパラメータを読み込む。
【0054】そして、S102に進み、画像からグルーピング用データ(画像距離データCzln[0~127])を作成する。すなわち、CCDカメラ3からの画像を、図4に示すように、横方向128等分に区分し、これに対応した配列Czlnを設定する。そして、区分毎に代表的な画素ずれ数を求め、この画素ずれ数から立体物までの距離を算出し、画像距離データCzln[0~127]として保存する。例えば、Czln[3]は、区分番号3番の距離データを示し、無効データの場合は999000とされる。
【0055】次いで、S103に進み、レーザ距離データLzln[0~79]を作成する。すなわち、レーザービームの投光受光の所要時間から物体までの距離を計算し、また、レーザビームを走査する方向から物体の二次元の位置(全80区分)を計算してレーザ距離データLzln[0~79]として保存する。例えば、Lzln[3]は、区分番号3番の距離データを示し、無効データの場合は999000とされる。
【0056】その後、S104に進むと、図7のフローチャートに示す画像距離データとレーザ距離データとの統合処理が実行される。
【0057】図7のフローチャートでは、まず、S201で、80区分のレーザ距離データLzln[0~79]を、128区分の画像距離データ座標に変換(レーザ距離データlzrzln[0~127])することが行われる。このレーザ距離データLzln[0~79]のレーザ距離データlzrzln[0~127]への変換は、例えば、前記(1)式、(2)式により変換される。
【0058】次いで、S202に進み、画像距離データCzln[0~127]はzln1[0~127]として、また、変換したレーザ距離データlzrzln[0~127]はzln2[0~127]として保管した後、S203に進む。
【0059】S203では、対象とする区分のレーザ距離データlzrzln[fln]が有効か否か判定される。尚、以下「fln」は、対象とするデータの区分を示し、後述のS212に対応して0〜127の全128区分となっている。
【0060】このS203の判定の結果、レーザ距離データlzrzln[fln]が無効であれば、S204に進み、最終的な距離データzln[fln]は、画像距離データCzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=Czln[fln]。
【0061】また、S203の判定の結果、レーザ距離データlzrzln[fln]が有効であれば、S205に進み、レーザ距離データlzrzln[fln]が遠方(20m以上)か否か判定される。
【0062】そして、S205の判定の結果、レーザ距離データlzrzln[fln]が遠方(20m以上)でなければS206に進み、レーザ距離データlzrzln[fln]が中間距離(10m以上20m未満)か否か判定される。
【0063】S206の判定の結果、レーザ距離データlzrzln[fln]が中間距離(10m以上20m未満)でなければS207に進み、レーザ距離データlzrzln[fln]が近距離(3m以上10m未満)か、或いは、レーザ距離データlzrzln[fln]が極近距離(3m未満)か判定される。
【0064】上述のS205〜S207の判定において、まず、S205でレーザ距離データlzrzln[fln]が遠方(20m以上)と判定された場合は、S208に進み、最終的な距離データzln[fln]は、遠方では比較的誤差が小さいレーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0065】また、上述のS205〜S207の判定において、S206で、レーザ距離データlzrzln[fln]が中間距離(10m以上20m未満)と判定された場合は、S209に進み、画像距離データCzln[fln]が有効か判定され、画像距離データCzln[fln]が無効の場合はS208に進み、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0066】また、S209で画像距離データCzln[fln]が有効である場合は、S210に進み、画像距離データCzln[fln]とレーザ距離データlzrzln[fln]との差が2.5m以内か否か判定し、2.5mより大きければS208に進んで、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0067】また、S210で、画像距離データCzln[fln]とレーザ距離データlzrzln[fln]との差が2.5m以内の場合は、S211に進み、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]と画像距離データCzln[fln]との平均値とする。すなわち、zln[fln]=(lzrzln[fln]+Czln[fln])/2。
【0068】一方、上述のS205〜S207の判定において、S207で、レーザ距離データlzrzln[fln]が近距離(3m以上10m未満)と判定された場合は、S204に進み、最終的な距離データzln[fln]は、近距離では比較的誤差の小さい画像距離データCzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=Czln[fln]。
【0069】また、S207で、レーザ距離データlzrzln[fln]が極近距離(3m未満)と判定された場合は、S208に進み、最終的な距離データzln[fln]は、レーザ距離データlzrzln[fln]とする。すなわち、zln[fln]=lzrzln[fln]。
【0070】こうして、S204、S208、或いは、S211により最終的な距離データzln[fln]の設定を行った後は、S212に進み、0〜127の全128区分の対象とする区分のレーザ距離データlzrzln[fln]について、統合処理を完了したか否か判定し、完了していればルーチンを抜け、完了していないのであれば次の区分について、上述のS203〜S211の処理を繰り返す。
【0071】このように、本実施の形態の画像距離データとレーザ距離データとの統合処理によれば、予め検出した距離により誤差の少ないデータを優先して用いるようにしているので、レーザレーダによる測距値と画像による測距値との最適な統合を複雑な演算等することなく素早く行って、前方の立体物データとして素早く出力することが可能になっている。
【0072】上述のS104の画像距離データとレーザ距離データとの統合処理を行った後は、S105に進み、図8に示すグルーピングによる立体物の検出処理を行う。
【0073】図8のフローチャートでは、まず、S301で、40m未満における特異点の削除を行う。すなわち、立体物が複雑に混在し、手前の立体物の間から遠方の立体物が見える状況等において、自車からほぼ等距離の立体部の間にある遠方の立体物を特異点として削除する。図5に示すように、40m未満にある最終的な距離データzln[fln]を基準点P0(z0,x0)として、以下の条件を全て満たす点を等距離の点として定め、これら2点の間にある遠方の点を特異点として削除する。尚、削除される点の距離データには、無効データと同じく999000が代入される。
【0074】次いで、S302に進み、後述の図9に示す40m以上における特異点の削除の処理を実行する。
【0075】次いで、S303に進み、前回検出されたコーナー状立体物のコーナー点を中心にサーベイエリアを設け、今回検出された、S301とS302で特異点を削除した最終的な距離データzln[0~127]を調べて、新たなコーナー点の有無を検出する。
【0076】その後、S304に進んで、データのグルーピング処理、すなわち、閾値を定めて、その閾値内にあるzln[fln]をグループ化し、このグループ化したデータの傾き等から側壁データの抽出を行い、グループ化されたデータの分割と統合を行って、立体物ならびに側壁を検出する。
【0077】上述のS302で実行される40m以上における特異点の削除の処理は、図9のフローチャートで示すように、まず、S401で対象とする区分の距離データzln[fls]は40m以上のデータで、且つ、この区分のレーザ距離データlzrzln[fls]が有効であるか否か判定される。尚、以下「fls」は、対象とするデータの区分を示し、後述のS410に対応して0〜127の全128区分となっている。
【0078】そして、このS401での判定の結果、距離データzln[fls]が40m未満、或いは、この区分のレーザ距離データlzrzln[fls]が無効の少なくともどちらかの場合はS410にジャンプして、0〜127の全128区分の対象とする区分の距離データzln[fls]について、処理を完了したか否か判定し、完了していればルーチンを抜け、完了していないのであれば次の区分について、再びS401からの処理を行う。
【0079】S401での判定の結果、距離データzln[fls]は40m以上のデータで、且つ、この区分のレーザ距離データlzrzln[fls]が有効であると判定した場合はS402に進み、この区分のレーザ距離データlzrzln[fls]を基準とするサーベイエリアの決定を行い、サーベイエリアのもう一方の端部の区分zln[fle]には、zln[fls]から右方向に2m離れた位置に対応する区分が設定される。
【0080】そして、S403に進み、zln[fls]からzln[fle]までの区分のサーベイエリアで、zln[fls]との距離の差が0.5m以内(すなわち、|zln[fls]−zln[fln]|≦0.5m:「fln」は「fls」から「fle」までの区分番号)で、且つ、そのレーザ距離データlzrzln[fln]が有効か否か判定される。
【0081】S403の判定の結果、上述の条件を満たす場合は、S404に進み、その区分はzln[fls]と等距離の同一立体物の区分と判定し、zln[fls]に対応する右端の区分データzln[f0]として設定する。すなわち、f0=fln。
【0082】そして、S404でzln[fls]に対応する右端の区分データzln[f0]を設定した場合、或いは、S403で上述の条件を満たさないと判定された場合は、S405に進み、「fls」から「fle」までの区分番号全てに判定を完了したか判定し、判定を完了していなければ再びS403に戻って、「fls」から「fle」までの間で、次の区分についての判定を行なう。
【0083】こうして、S405で、「fls」から「fle」までの全区分についての判定が完了した場合、S406に進んで、zln[fls]に対応する右端の区分データzln[f0]が設定されたか否か判定される。この結果、右端の区分データzln[f0]が設定されていない場合は、S410にジャンプし、0〜127の全128区分の対象とする区分の距離データzln[fls]について、処理を完了したか否か判定し、完了していればルーチンを抜け、完了していないのであれば次の区分について、再びS401からの処理を行う。
【0084】また、S406でzln[fls]に対応する右端の区分データzln[f0]が設定されたと判定された場合はS407へと進む。S407では、「fls+1」から「f0−1」までの区分(「fls」から「f0」までの間の区分)のデータにおいて、距離データzln[fln]は、zln[fls]+0.5mより遠方のデータで、且つ、そのレーザ距離データlzrzln[fln]が無効か否か判定される。
【0085】そして、S407において、上述の条件を満たす場合は、S408に進み、そのデータzln[fln]を特異点として削除する。
【0086】S408で「fls」から「f0」までの間の区分を特異点として削除し、或いは、S407で上述の条件を満足しない場合はS409に進んで、「fls」から「f0」までの間の区分の全てについて判定が完了したか否か判定する。
【0087】そして、S409で、「fls」から「f0」までの間の区分の全てについて判定が未だ完了していない場合は、「fls」から「f0」までの間の次の区分についてS407からの判定を実行し、「fls」から「f0」までの間の区分の全てについて判定が完了している場合はS410に進み、0〜127の全128区分の対象とする区分の距離データzln[fls]について、処理を完了したか否か判定し、完了していればルーチンを抜け、完了していないのであれば次の区分について、再びS401からの処理を行う。
【0088】このように、本実施の形態によれば、40m以上の距離データにおいても、不要、或いは、誤差が大きいと判断できるデータを特異点として削除することにより、立体物の認識を精度良く速やかに行うことが可能となる。
【0089】上述の如く、S105で図8に示すグルーピングによる立体物の検出処理を行った後は、S106に進み、図10に示す距離データの診断処理を行う。
【0090】図10のフローチャートでは、まず、S501で舵角が−10°〜10°で、車両が略直線路を走行しているか否か判定され、舵角が−10°〜10°より大きい場合は、診断処理は行わず、そのままルーチンを抜ける。これは、画像による距離検出では、ガードレールや側壁を認識することができるが、レーザレーダによる距離検出では、レーザビームが傾いて照射されるため反射せず立体物を認識しづらいため、診断処理の結果が正確に得られない可能性があるためである。
【0091】S501の判定の結果、舵角が−10°〜10°で、車両が略直線路を走行している場合は、S502へと進み、立体物の判定対象の総数n0、画像無し立体物数n1、及び、レーザレーダ無し立体物数n2の初期値を設定する。
【0092】そして、S503に進み、立体物が診断の対象とする立体物であるか否か判定する。これは、レーザレーダと画像の視野が重なる部分の立体物であり、且つ、距離40〜70m前方に存在する、幅50cm以上の立体物であるか否かの判定で行う。
【0093】S503の判定の結果、上述の条件を満足せず立体物が診断の対象とする立体物ではないと判定した場合はS510にジャンプし、その立体物は対象外と決定する。
【0094】一方、S503の判定の結果、立体物が診断の対象とする立体物である場合はS504へと進み、立体物の判定対象の総数n0をカウントし(n0=n0+1)、S505に進んで、立体物を形成するグルーピングしたデータから、それに対応する画像距離データzln1(S202で保管したデータ)と、レーザ距離データzln2(S202で保管したデータ)を読み出す。
【0095】そして、S506に進み、その立体物に対応する画像距離データzln1が有り、且つ、その立体物に対応するレーザ距離データzln2が無いか判定し、この条件を満たす場合はS507に進んで、レーザレーダ無し立体物数n2をカウントする(n2=n2+1)。
【0096】また、S506での判定条件を満たさない場合は、S508に進み、その立体物に対応する画像距離データzln1が無く、且つ、その立体物に対応するレーザ距離データzln2が有るか判定し、この条件を満たす場合はS509に進んで、画像無し立体物数n1をカウントする(n1=n1+1)。
【0097】そして、S508の条件をも満足しない場合、すなわち、その立体物に対応する画像距離データzln1もレーザ距離データzln2も無い場合、或いは、その立体物に対応する画像距離データzln1もレーザ距離データzln2も有る場合はS510に進み、その立体物を診断対象外とする。
【0098】S507、S509、或いは、S510の処理を行った後は、S511に進み、全ての立体物について判定したか否か判定し、未だ全ての立体物に対して判定を終了していない場合はS503へと戻り、上述の処理を繰り返す。
【0099】全ての立体物について判定が終了している場合は、S511からS512へと進み、対象とする立体物の総数n0と画像無し立体物数n1とから画像の立体物不検出率を演算し(=(n1/n0)・100%)、レーザレーダの立体物不検出率を演算する(=(n2/n0)・100%)。
【0100】次いで、S513に進み、画像の立体物不検出率が、予め設定する検出率閾値k6以上であれば、画像の能力判定タイマをインクリメントし、検出率閾値k6未満であれば画像の能力判定タイマをデクリメントする。同様に、レーザレーダの立体物不検出率が、予め設定する検出率閾値k5以上であれば、レーザレーダの能力判定タイマをインクリメントし、検出率閾値k5未満であればレーザレーダの能力判定タイマをデクリメントする。
【0101】そして、S514に進み、画像の能力判定タイマの値が予め設定した出力閾値k1を超えているか判定し、出力閾値k1を超えている場合はS515に進んで、画像による測距能力低下と判定して検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させる。また、S514で画像の能力判定タイマの値が予め設定した解除閾値k2(<k1)以下となっている際にはS515に進んで検出状態表示ランプ8bの点灯を解除する。
【0102】また、S514に進むと、レーザレーダの能力判定タイマの値が予め設定した出力閾値k3を超えているか判定し、出力閾値k3を超えている場合はS515に進んで、レーザレーダによる測距能力低下と判定して検出状態表示ランプ8bを所定に点灯させる。また、S514でレーザレーダの能力判定タイマの値が予め設定した解除閾値k4(<k3)以下となっている際にはS515に進んで検出状態表示ランプ8bの点灯を解除する。
【0103】このように、本実施の形態によれば、最終的に検出された立体物を対象として、これを検出する画像とレーザレーダのそれぞれの距離データがあるか否かで、画像とレーザレーダの測距能力の低下を判定するようになっているので、画像とレーザレーダの測距能力の低下を素早く正確に判定することが可能になっている。尚、本実施の形態では、診断の対象とする立体物に対して、単に、画像距離データzln1、或いは、レーザ距離データzln2が存在するか否かで診断するようになっているが、他の方法、例えば、診断の対象とする立体物と画像距離データzln1との差と、診断の対象とする立体物とレーザ距離データzln2との差を比較することでも簡単に診断できる。
【0104】上述のS106の距離データ診断の処理を行った後は、S107に進み、衝突・接触警報制御を行う。すなわち、立体物検出処理部5dからの立体物情報や車速センサ6からの車速V等を基に、自車線と隣接する左右の車線上に存在する他の自動車や障害物等を抽出し、抽出した物体の位置と大きさ、位置の時間変化による自車両1との相対速度等から、自車両1との衝突の可能性や接触の可能性を判断し、その結果を必要に応じて、コンビネーションメータ8の衝突警報ランプ8aを点灯させ警報を発する。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、レーザレーダによる測距値と画像による測距値との最適な統合を複雑な演算等することなく素早く行って、前方の立体物データとして素早く出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車外監視装置を備えた車両用運転支援装置の概略構成図
【図2】車両用運転支援装置の機能ブロック図
【図3】CCDカメラによる距離データ検出とレーザレーダによる距離データ検出の説明図
【図4】画像距離データの区分の説明図
【図5】削除する特異点の説明図
【図6】前方監視プログラムのフローチャート
【図7】画像距離データとレーザ距離データとの統合処理ルーチンのフローチャート
【図8】グルーピングによる立体物検出処理ルーチンのフローチャート
【図9】40m以上における特異点の削除処理ルーチンのフローチャート
【図10】距離データ診断処理ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 自車両
2 車両用運転支援装置
3 CCDカメラ
4 レーザ投光ユニット
5 コントローラ(車外監視装置)
5a 画像データ処理部(画像距離検出手段)
5b レーザ測距データ処理部(レーザ距離検出手段)
5c 距離データ統合部(最終距離設定手段)
5d 立体物検出処理部
5e 距離データ診断部
5f 警報制御部
8b 検出状態表示ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両前方の画像情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出する画像距離検出手段と、車両前方へのレーザレーダ情報を基に前方に存在する立体物と自車両との距離を検出するレーザ距離検出手段と、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離とに応じ、最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離を設定する最終距離設定手段とを備えた車外監視装置であって、上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離の値に応じて上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離の設定を行うことを特徴とする車外監視装置。
【請求項2】 上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が遠方の場合、上記レーザ距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とする請求項1記載の車外監視装置。
【請求項3】 上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が中間距離の場合、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離との差が所定値以内の際は、上記画像距離検出手段で検出した距離と上記レーザ距離検出手段で検出した距離との平均値を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車外監視装置。
【請求項4】 上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が近距離の場合、上記画像距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車外監視装置。
【請求項5】 上記最終距離設定手段は、上記レーザ距離検出手段で検出した距離が極近距離の場合、上記レーザ距離検出手段で検出した距離を上記最終的に前方に存在する立体物と自車両との距離として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の車外監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−121547(P2003−121547A)
【公開日】平成15年4月23日(2003.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−320978(P2001−320978)
【出願日】平成13年10月18日(2001.10.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】