説明

車載装置

【課題】 ユーザが容易に走行データを取得し情報センタに送信することが可能な車載装置を提供する。
【解決手段】 通信機能を持たないカーナビゲーションシステムや走行データロガー(例;タコグラフ)等の車載装置において、走行データ(時刻、位置座標、車速、エンジン回転数等車両情報)を収集して記憶しておくと共に、プローブカーセンターや運行管理センター等の情報センタのURL、車両を特定する固有IDを記憶しておく。ユーザの所定操作に基づいて、収集した走行データとURLと固有IDを二次元バーコードに変換して画面表示する。これを携帯電話のカメラで撮像すると、変換前の元情報を解析して画面表示する。ユーザが表示を確認して送信指示をすると、携帯電話は、表示されたURLを使用して情報センタに接続し、走行データ及び固有IDを送信しアップロードが完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に係り、例えば、情報センタに送信するために記録した走行データを、携帯電話等の撮像手段を備えた携帯端末等に提供する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両をセンサーとしてとらえ、車両の走行データ(位置情報、時間情報、速度情報等)を収集することにより、交通流動等の道路交通情報を収集、生成するプローブカーシステム(フローティング・カー・データ(FCD)システムとも呼ばれる)の導入が検討されている。
また、自車の走行データを蓄積し、運行管理センタ等の情報センタに送信することも行われる。
このような車両における走行データの収集は、例えば、ナビゲーション装置や走行データロガー(例えば、タコグラフ)などの車載装置で行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、センタが指定した地域を走行する車両が、単位時間ごとの走行データを計測して蓄積し、一定時間ごとに、走行データを、携帯電話を使って、センタに送信するプローブカーシステムが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−269669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プローブカーシステム専用に開発された車載装置では、専用の通信装置や、携帯電話の接続装置を備えているが、現状における一般の車両に搭載されているのナビゲーション装置等の車載装置には、未だ通信機能を具備していないのが現状である。
このため、収集した走行データの蓄積は記録紙やメモリで行い、プローブカーセンタや運行管理センタへの走行データの伝達は、記録紙や上記メモリを媒体としてユーザ自身が持ち運ぶ必要があった。
また、記録紙やメモリには蓄積できる走行データ量の限界があり、その限界に達する前に記録紙あるいはメモリを補充する必要があり不便である。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが容易に走行データを取得し情報センタに送信することが可能な車載装置を提供することを第1の目的とする。
また本発明は、ユーザ他の操作により自動的に走行データを取得することが可能な車載装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載した発明では、車両の走行データを蓄積する情報センタに走行データを送信する通信用アドレスが記憶されたセンタアドレス記憶手段と、車両の運行状態を走行データとして記憶する走行記憶手段と、前記情報センタの通信用アドレス及び前記記憶された走行データを、所定の変換方式による符号化画像に変換する変換手段と、前記変換した符号化画像を表示する表示手段と、車載装置に具備させて前記第1の目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載の車載装置において、各施設の情報が閲覧可能な通信用アドレスが格納された施設アドレス記憶手段と、いずれかの施設を指定する指定手段と、を備え、前記変換手段は、前記指定された施設の通信用アドレスと共に、前記情報センタの通信用アドレス及び前記走行データを加えて符号化画像に変換する、ことで前記第2の目的を達成する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した車載装置によれば、車両の走行データを蓄積する情報センタの通信用アドレス及び走行記憶手段に記憶された走行データを、所定の変換方式による符号化画像に変換する変換して表示するので、ユーザは、例えば、携帯電話等の情報処理端末で符号化画像を撮像して元の情報を解析することで、容易に走行データを取得し、さらに、取得した通信用アドレスを使用して走行データを情報センタに送信することができる。
請求項2に記載した車載装置によれば、指定されたいずれかの施設の通信用アドレスと共に、情報センタの通信用アドレス及び走行データを加えて符号化画像に変換するので、ユーザは、施設に対する通信用アドレスを取得する操作の際により、自動的に走行データ等も併せて取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の車載装置における好適な実施の形態について、図1から図9を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、通信機能を持たないカーナビゲーションシステムや走行データロガー(例;タコグラフ)等の車載装置において、走行データ(時刻、位置座標、車速、エンジン回転数等車両情報)を収集して記憶しておくと共に、プローブカーセンタや運行管理センタ等の情報センタの通信用アドレス(メールアドレスやURL)、及び車両を特定する固有IDを記憶しておく。
そして、ユーザの所定操作に基づいて、収集した走行データと通信用アドレスと固有IDを二次元バーコード等の符号化画像に変換して画面表示する。
【0010】
ユーザが表示された二次元バーコードを携帯電話のカメラで撮像すると、携帯電話は二次元バーコードに変換される前の情報(元情報)を解析して画面表示する。
ユーザは表示された情報を確認して送信の指示をすると、携帯電話は、表示されたURLを使用して情報センタに接続し、走行データ及び固有IDを送信することで情報センタへのアップロードが完了する。
このように本実施形態によれば、ナビゲーション装置に特別な通信機能を付加することなく、携帯電話を通して走行データを容易に取得し、取得した走行データを情報センタに送信することができる。
【0011】
なお、本実施形態の車載装置では、符号化画像への変換を開始するユーザの所定の操作として、ユーザが車両周辺の施設についての最新情報を閲覧する操作等の、所定情報を符号化画像に変換することを要求するユーザの操作が該当する。
すなわち、本実施形態では、施設の各種情報(位置、名称、ジャンル等)が保存される施設情報DB(POIデータベース)に、その施設のメールアドレスやURLを記憶しておく。
【0012】
そして、ユーザは、目的地を設定した施設の詳細情報を知りたい場合や、車両周辺の飲食店等の施設の予約をするに当たって、選択した施設の最新情報を知りたい場合に、画面表示された「最新情報閲覧」ボタンを選択する。
すると、携帯情報端末は、ユーザの要求に従って、選択された施設のURL又は/及びメールアドレスを読み出し符号化画像を作成する。
車載装置は、この選択された施設のURL等を符号化する際に施設URL単独で符号化画像を作成するのではなく、収集済みの走行データ、固有ID、情報センタURLを併せて符号化画像を作成して画面表示する。
【0013】
これにより、車載装置は、走行データと情報センタのURLを取得する操作がされた際だけでなく、他の情報取得操作の際においても自動的に、ユーザに符号化画像を介して走行データ等を提供することができる。
【0014】
ユーザが通信機能及び撮像機能を有する携帯情報端末、例えば、携帯電話で車載装置に表示された符号化画像を撮像すると、携帯電話は、符号化に対応した方式で符号化画像を解析し、元の情報(施設URL又は/及び施設メールアドレス、走行データ、固有ID、情報センタURL)を認識し、表示する。
ユーザが画面を確認をして送信ボタンを押すと、携帯電話は、認識した情報に基づいて、最初に情報センタURLに接続して走行データと固有IDを送信した後に、施設に接続してその施設の最新情報を取得し表示する。
また、ユーザがメール送信を選択した場合、携帯電話は、走行データ等を送信した後に、ユーザが入力したメール本文を認識したメールアドレスに送信する。
【0015】
また、上述のように、施設URLと情報センタURLの2つを符号化対象とするのではなく、ポータル専用サーバ(施設URLに接続すると共に走行データを自動的に情報センタに転送するサーバ)のURLと施設URLの2つを符号化対象としてもよい。
この場合、携帯電話では、二次元バーコードから認識した変換元情報から、ポータル専用サーバに接続して、施設URL及び走行データと固有IDを送信する。
これにより、ポータル専用サーバは、携帯電話を施設URLに接続すると共に、受信した送信データと固有IDが情報センタに転送される。転送先である情報センタのURL又はメールアドレスは予めポータル専用サーバに登録されている。
このように、ポータル専用サーバのURLを符号化対象とすることで、演算処理能力の低い携帯情報端末では、情報センタURLと施設URLの双方に接続する必要が無くなり、処理付加の軽減及び処理が高速化される。
【0016】
このように、走行データのアップロードを、走行データを簡単な方法で携帯電話に情報伝達して行うことにより、通信用の特別なハードウェアを車載装置に追加することなく、いつでもどこでも確実に走行データのアップロードが可能となり、走行データを蓄積するためのメモリや記録紙等のリソース切れの心配がなくなる。
【0017】
なお、走行データとしては、例えば、車両の位置座標とその日時だけでもよく、更に、車速、エンジン回転数、車両を特定する固有IDの内の少なくとも1つを加えて走行データとしてもよい。
【0018】
(2)実施形態の詳細
以下、本発明の車載装置における好適な実施の形態について、図1から図9を参照して詳細に説明する。
図1は、車載装置として機能するナビゲーション装置の構成を表したものである。
この図1に示すように、ナビゲーション装置は、各種プログラムやデータに従ってナビゲーション装置全体を制御するCPU10を備えており、CPU10には現在位置検出装置11、記憶装置12、表示装置13、入力装置14、音声出力装置15、走行状態検出装置16、その他の装置(計時手段としての時計等)が接続されている。
【0019】
現在位置検出装置11は、ナビゲーション装置が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置111、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ112、ジャイロセンサ113、車速センサ114等の1又は複数が使用される。
【0020】
記憶装置12には、各種データが記憶されることでセンタアドレス記憶手段、走行記憶手段、施設アドレス記憶手段として機能すると共に、各種プログラムやデータが記憶されるようになっている。
記憶装置12は、ROM、RAMの他、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書換型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、その他各種方法でコンピュータプログラムやデータが記録される記録媒体が含まれる。
記録媒体には、記録内容に応じて異なる媒体を使用するようにしてもよい。
【0021】
記憶装置12は、POI(施設情報)DB121、地図データベース(DB)122、走行データ格納部123、走行データアップロード先URL格納部124、固有ID格納部125、経路案内プログラム126、符号化画像変換プログラム127、走行データ収集プログラム128、その他の各種プログラムやデータが格納される。
【0022】
POI(施設情報)DB124は、各施設に対する施設情報が格納されたデータベースである。
図2は、POI(施設情報)DB124に格納される施設情報を概念的に表したものである。
この図2に示されるように、POI(施設情報)DB124には、施設情報番号、名称、ジャンル、電話番号、住所、位置座標、メールアドレス、携帯サイト用URL(以下単にURLという)等が各施設毎に格納されている。
POI(施設情報)DB121は、目的地を設定する際や、ユーザが指定したジャンルの車両周辺にある施設を表示したり、表示した施設の最新情報をユーザが閲覧する場合に使用される。
【0023】
図1において、地図DB122は、車両の現在地周辺や目的地周辺等の各種地図や道路を表示装置13に表示するための地図情報や、目的地までの経路探索に使用される道路情報等の各種地図や道路に関するデータが格納されたデータベースである。
【0024】
図3は、走行データ格納部123のデータ内容を概念的に表したものである。
この図3に示されるように、走行データ格納部123には、走行データとして、現在位置検出装置1で検出した車両の現在時刻、及び走行状態検出装置16で検出した車速、エンジン回転数、加速度等が、走行データを検出した時刻と共に、逐次格納されるようになっている。
【0025】
なお、本実施形態では、走行データとして、時刻と現在位置、及び車速、エンジン回転数、加速度等が対象となっているが、走行データとしては時刻と現在位置とすることも可能であり、この時刻と現在位置に、車速、エンジン回転数、加速度の少なく1つを加えて走行データとすることも可能である。
【0026】
走行データアップロード先URL格納部124(図1)には、走行データと固有IDをプローブカーセンタあるいは運行管理センタ等の情報センタにアップロードする際に必要になる通信用アドレスが格納される。
本実施形態では、情報センタの携帯電話用のURLが格納されているが、この携帯電話用のURLに変えて、又は加えて、通常のURLやメールアドレスを格納するようにしてもよい。メールアドレスを格納する場合には、走行データ及び固有IDが添付ファイルとして情報センタに送信されることになる。
また、車両特定する必要がない場合には、固有IDを送信せずに走行データのみを送信、添付するようにしてもよい。
【0027】
固有ID格納部125には、ユーザ、車両、又は車載装置を特定、判別するために必要な固有IDが格納されるようになっている。
固有IDは、車両やユーザを特定することで、走行データのアップロードに対する各種特典を付与する場合に使用したり、また、ユーザ又は運行管理者が走行記録を確認したり問い合わせたりする際に使用される。
【0028】
経路案内プログラム126は、目的地設定機能、経路探索機能、予想到着時刻算出機能、周辺施設案内機能、その他の各種経路案内に必要な機能をそなえたプログラムである。
目的地設定機能は、施設情報DB121や画面表示された地図等を使用し、ユーザ入力に基づく目的地の設定を行う(目的地設定手段として機能)機能である。
経路探索機能は、地図DB122に格納された道路データを使用して、設定された目的地までの走行経路として、装置が推奨する推奨経路、有料道路を優先的に走行する有料優先経路、有料道路よりも一般道を優先して走行する一般優先経路、走行距離が短い距離優先経路、別ルート経路等の複数の走行経路を探索する(経路探索手段として機能)機能である。
予想到着時刻算出機能は、経路探索機能で設定された走行経路を通過して目的地まで走行した場合の目的に到着する予想時刻を算出する機能で、各道路の法定速度速度や、渋滞地点の有無、信号の有無、距離等から総合的に算出される。
【0029】
周辺施設案内機能は、車両周辺に存在する各種施設を、ユーザが指定したジャンルに対応した車両周辺の施設を施設情報DB121から検索し、車両現在位置からの算出した各施設の距離等とあわせて画面表示する機能である。
この周辺施設案内機能により表示される周辺施設画面には、ユーザが選択した施設の名称と住所、電話番号等が表示されるが、ユーザが更に詳細な情報や最新の情報を知りたい場合に使用される「最新情報閲覧」ボタンも表示されるようになっている。
【0030】
符号化画像変換プログラム127は、経路案内プログラムによる周辺施設案内機能によりナビゲーション装置の表示画面上に表示された「最新情報閲覧」ボタンが選択された場合に、画面表示されている施設のURL、並びに、走行データ、固有ID、及び情報センタのURLを纏めて符号化画像に変換して表示するプログラムである。
符号化画像変換プログラム127は、CPU10と協働して、本実施形態における変換手段として機能する。
本実施形態において、符号化画像としては二次元バーコードが使用される。
【0031】
二次元バーコードは、1方向にだけ情報を持つ通常のバーコードを積み上げた形の「スタック型二次元コード」と、碁盤の目のような形をした「マトリックス型二次元コード」等いずれの形式を採用することも可能である。
二次元バーコードの作成及び解析は、例えば、特開2004−164532、特開2002−137394、特開平10−55420号、特開平11−306272号等に記載された各種の周知方法により実現される。
【0032】
走行データ収集プログラム128は、所定時間毎に現在位置検出装置11から車両現在位置を取得すると共に、走行状態検出装置16から車速、エンジン回転数、加速度の各検出値を取得し、各日時と共に走行データ格納部123に格納するプログラムである。
【0033】
その他のプログラムは、走行経路に従って地図の表示を変更したり、進路変更地点の手前において進路変更地点の詳細図を画面表示したり、音声により進路変更を案内したり等の各種案内に必要なプログラムである。
【0034】
表示装置13には、車両周辺や探索された走行経路周辺の地図や、探索経路、周辺施設案内画面、本実施形態により作成された符号化画像(以下、本実施形態の説明において二次元バーコードについて説明する)が表示される。
【0035】
表示装置13は、液晶表示装置、CRT等の各種表示装置が使用される。
なお、この表示装置13は、例えばタッチパネル等の、入力装置14としての機能を兼ね備えたものとすることができる。
【0036】
入力装置14は、ナビゲーション処理における走行開始時の現在地(出発地点)や目的地(到達地点)、「最新情報閲覧」ボタンによる二次元バーコードへの変換の指示、情報源の指定をする際に使用される。
入力装置14には、タッチパネル(スイッチとして機能)、キーボード、マウス、ライトペン、ジョイスティック、赤外線等によるリモコン、音声認識装置などの各種の装置が使用可能である。
【0037】
音声出力装置15は、車内に配置された複数のスピーカで構成され、音声制御部で制御された音声、例えば、音声による経路案内を行う場合の案内音声等が出力されるようになっている。この音声出力装置15は、オーディオ用のスピーカと兼用するようにしてもよい。
【0038】
走行状態検出装置16は、車速センサ161、エンジン回転数センサ162、加速度センサ163等を備えており、車両の走行状態を検出するようになっている。
走行状態検出装置16では、車速、エンジン回転数、加速度センサ等が検出され、検出された走行状態が走行データとして走行データ格納部に格納されるようになっている。
なお、走行状態検出装置16としては、既に車両に搭載済の車速センサ、エンジン回転数センサ、加速度センサを兼用するようにしてもよい。
【0039】
ナビゲーション装置が備える他の装置としては、図示しない時計(計時手段として機能)等を備えている。
時計は、現在の日時を計測しする。本実施形態では、CPUが走行データを収集するために、所定時間間隔、例えば5秒間隔毎に現在位置検出装置11及び走行状態検出装置16に検出の指令し、検出値を検出時刻を走行データ格納部123に格納するようになっている。
【0040】
図4は、携帯端末装置の一例としての携帯電話の構成を表したものである。
この携帯電話は、CPU30、記憶装置31、表示装置32、撮像装置(カメラ)33、音声入力装置34、音声出力装置35、入力装置36、通信装置37、その他の装置(計時手段としての時計等)を備えている。
CPU30は、記憶装置31に格納された各種プログラムやデータに従って電話全体の制御を行う。
【0041】
記憶装置31は、ROMやRAM、場合によっては半導体記憶装置等で構成され、符号化画像認識プログラム311、通信プログラム312、その他のプログラムやデータが格納される。
【0042】
符号化画像認識プログラム311は、撮像装置で撮像された二次元バーコードを解析して元情報を認識し、表示装置32に画面表示するプログラムである。
CPU30は、この符号化画像認識プログラム311に従って、ナビゲーション装置の符号化画像変換プログラムで二次元バーコードを作成する際に使用される各種方式に対応した方式で二次元バーコードの解析を行う。
【0043】
通信プログラム312は、画面表示した元情報に含まれるURLやメールアドレスに基づくブラウザ機能とメール機能とを備えたプログラムである。
元情報を表示した状態で送信が選択されると、ブラウザ機能により、まず情報センタのURLに接続して走行データと固有IDを送信し、その後、施設のURLに接続して当該施設のホームページから詳細情報を取得してその内容を表示装置32に表示する。
【0044】
また、元情報に情報センタのメールアドレスが含まれる場合、そのメールアドレスに走行データと固有IDを添付して送信した後に、施設のURLへの接続と詳細情報の取得、表示を行う。
また、元情報に施設情報のメールアドレスが含まれ、ユーザによりメール本文の入力と送信が選択された場合には、情報センタのURL又はメールアドレスを使用して走行データと固有IDを送信した後に、施設のメールアドレスにユーザが入力した本文(添付ファイルがある場合にはそれも)を送信する。
【0045】
表示装置32は、各種表示装置の使用が可能であるが、本実施形態では、液晶表示装置やプラズマディスプレイ等が使用され、施設情報、URLで指定されるホームページの内容、送受信したメールの内容、電話番号等の各種情報が表示される。
【0046】
撮像装置(カメラ)33は撮像手段として機能し、画像を撮像するためのCCD(電荷結合素子)を備えたカメラで構成されている。
撮像装置33は、画像や外部の景色等を撮像する。本実施形態では、ナビゲーション装置の表示装置13に表示された二次元バーコードの撮像に使用される。
【0047】
音声入力装置34と音声出力装置35は、携帯電話としての通話機能を使用する際に音声の入出力装置として機能する。
【0048】
入力装置36は、テンキー等の各種入力キーを備え、電話番号を入力したり、メール機能を使用する際のテキスト入力に使用したり、表示装置32に表示されたメールアドレスやURLの選択をする際に使用される。
通信装置37は、携帯電話機能を使用する際の通信と、インターネット等の通信網に接続してURLやメールアドレスで指定された対象との間での各種データ通信を行う。
【0049】
図5は、携帯電話から走行データを収集する情報センタの構成を表したものである。
本実施形態における情報センタとしては、例えば、プローブカーセンタ又は運行管理センタが該当する。
【0050】
情報センタは、CPUと各種記憶装置を備えたサーバシステムで構成されており、携帯電話向け通信装置41と、走行データDB42と、走行データDB統計処理部43と、インターネット向け通信装置44を備えている。
携帯電話向け通信装置41は、携帯電話よりアップロードされてくる走行データと固有IDを受信するための装置である。
【0051】
走行データDB42は、携帯電話向け通信装置41で受信した走行データを固有IDあるいは時刻(受信時刻、走行データに含まれる各日時)等によって分類蓄積するためのデータベースである。
【0052】
走行データDB統計処理部43は、分類蓄積された走行データDB42を統計処理して管理運用する処理部である。
統計処理としては、例えば、車両の走行量の各種変化(曜日、時間、日にち等)や、渋滞状況の検出等が行われる。
【0053】
インターネット向け通信装置44には、統計処理された走行データをインターネット上で公開し、第三者が閲覧可能にするための通信装置である。
【0054】
次にナビゲーション装置の走行データ収集プログラム128により走行データを収集及び蓄積する処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
ナビゲーション装置のCPU10は、走行データ収集プログラムに従って、車両が走行中か否かを監視しており(ステップ10)、走行中である場合(ステップ10;Y)には、前回の走行データ収集時刻から所定時間、例えば、5秒が経過したか否かを判断する(ステップ11)。
【0055】
所定時間が経過するとCPU10は、現在位置検出装置11から車両現在位置を取得すると共に、走行状態検出装置16から車速、エンジン回転数、加速度の各検出値を取得し、各日時と共に走行データ格納部123に格納する(ステップ12)。
【0056】
その後CPU10は、ナビゲーション装置の電源がOFFされたか否かを監視し(ステップ13)、OFFでなければ(ステップ13;N)、ステップ10に戻り所定時間毎の走行データ収集を継続する。
電源がOFFされた場合(ステップ13;Y)、処理を終了する。
【0057】
次に、このように収集された走行データを固有ID、情報センタURLと共に二次元バーコードを介して携帯電話に受け渡し、携帯電話から情報センタに送信する動作について図7〜図9を参照して説明する。
【0058】
図7は、ナビゲーション装置における、周辺施設案内処理及び二次元バーコードの作成処理の動作と、携帯電話の処理を表したフローチャートである。
なお、周辺施設案内処理(ステップ21〜24)は案内プログラムの周辺施設案内機能により、二次元バーコード作成処理は符号化画像変換プログラムに従って処理される。
【0059】
ナビゲーション装置の表示装置13に表示された図示しない「周辺施設」ボタンが選択されると、CPU10は、ジャンル等の検索する項目をリスト表示する。
そして、ユーザがジャンルを選択すると、CPU10は、車両の現在位置を現在位置検出装置11から取得し、現在位置周辺に存在する選択ジャンルの施設を施設情報DB121から検索しリスト表示する(ステップ21、図8(a))。
図8(a)は、例えば、ユーザがジャンル「食事」を選択した場合の表示画面を例示したものである。
【0060】
そしてCPU10は、ユーザがリスト表示した物件(施設)を選択したか否かを監視し(ステップ22)、選択がされると(ステップ22;Y)、選択された施設の情報を施設情報データベース121から検索し、その結果を施設情報表示画面に当該施設の情報を表示する(ステップ23)。
図8(b)は、ユーザがリスト表示された施設から「そば喜」を選択した場合の当該施設の表示を画面表示したものである。
【0061】
この施設情報画面には、「最新情報閲覧」ボタンが表示されており、CPU10は、この「最新情報閲覧」ボタンが選択されたか否かを監視する(ステップ24)。
CPU10は、「最新情報閲覧」ボタンが選択されると(ステップ24;Y)、以後、二次元バーコード作成処理を行う。
【0062】
すなわち、CPU10は、表示中の施設(図8(b)の場合には施設「そば喜」)のURLを施設情報DB121から読み出す(ステップ25)と共に、走行データ格納部123から走行データを読み込み(ステップ26)、固有ID格納部125から固有IDを読み込み(ステップ27)、走行データアップロード先URL124から情報センタのURLを読み出す(ステップ28)。
【0063】
そして、CPU10は、読み出した変換元情報から符号化画像変換プログラムに従って二次元バーコードを作成し、図8(c)に示されるように、作成した二次元バーコードを本実施形態装置13に表示する(ステップ29)。
【0064】
CPU10は、その後二次元バーコードの表示画面で「戻る」ボタンがユーザによって選択されるまで二次元バーコードの表示を継続する(ステップ30;N)。
一方、「戻る」ボタンが選択されると(ステップ30;Y)、CPU10は、バーコード化した走行データ分を走行データ格納部123から削除し(ステップ31)、処理を終了する。
なお、二次元バーコードに変換済みの走行データを消去せずに、変換済みであることを記録し他の走行データで上書き可能な状態にするようにしてもよい。
【0065】
次に、携帯電話の処理について説明する。
ナビゲーション装置の表示装置13に二次元バーコードが表示された状態において、ユーザが撮像機能を備えた携帯電話で撮像すると(ステップ41、図9(d))、携帯電話のCPU30は、撮像された画像データをRAMに格納する。
【0066】
ついでCPU30は、RAMに格納された画像データから、二次元バーコードの変換元情報を解析して、RAMに一次記憶するとともに、元情報を表示装置32に表示する(ステップ42)。
図9(e)は、二次元バーコード132から解析した変換元情報を、表示装置32に表示した状態を例示したものである。
この図9(e)に示されるように、変換元情報として、情報センタのURL、走行データ、固有ID、及び、ユーザが車載装置で指定した施設のURLが表示される。
施設情報のURLの他に走行データ等が表示されるのは、ユーザの操作が施設の詳細情報の取得で有るのに対して、これ以外の処理が行われるのことの確認と承認のをユーザに求めるためである。この意味で、走行データ、固有ID、情報センタのURLの全てを表示する必要はなく、いずれか1つ又は2つを表示するようにしてもよい。
【0067】
なお、走行データ等のアップデートについては、ユーザが意識せずに自動的に行うようにするために、変換元データのうち携帯電話の表示画面にはユーザが車載装置で指定した施設のURLのみを表示するようにしてもよい。
ただし、施設のURLに接続する前に走行データ等のアップデートを行うことをユーザに確認し了承を得るためには、施設URLの他に「併せて情報センタに走行データを送信します」等の確認表示をするようにしてもよい。
【0068】
ユーザが携帯電話の表示を確認して送信キーが選択されると、CPU30は、まず情報サーバ(運行管理センタ(サーバ))に接続して、走行データ及び固有IDを送信する(ステップ43)。
【0069】
この送信に対してサーバから送信される走行データアップロード終了通知を受領すると、CPU30は、図9(f)に示されるように、走行データが正常にアップロードされたことの告知表示と、引き続きユーザ選択施設に接続して最新情報を表示する旨を告知表示する(ステップ44)。
【0070】
CPU30は、ユーザが指定した施設のURLに接続し、当該施設に関する検索結果の最新情報を取得し、図9(g)に示されるように、閲覧表示して(ステップ45)、処理を終了する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、
(1)ナビゲーション装置において、収集した走行データと、固有IDと情報センタのURLを、携帯電話で認識、解読可能な符号化画像(二次元バーコード)に変換して表示装置に表示し、
(2)ユーザが携帯電話に付いているカメラで二次元バーコードを撮影するという簡単な操作だけで、走行データ、固有ID、交通情報URLを携帯電話に情報伝達し、
(3)ユーザが携帯電話を介して、走行データ等を解読し、解読したURLを使用して情報センタに走行データ等を容易にアップロードすることができる。
【0072】
また本実施形態では、
(4)ユーザが周辺施設の最新情報の入手を希望(「最新情報閲覧」ボタンの選択)した場合に、施設のURLと共に走行データ等の二次元バーコード化を行うので、車載装置は、走行データと情報センタのURLを取得する操作がされた際だけでなく、他の情報取得操作の際においても自動的に、ユーザに符号化画像を介して走行データ等を提供することができる。
【0073】
このように、通信機能を持たないナビゲーション装置であっても、既に普及している携帯電話等の撮影機能を持った情報携帯端末を簡易に活用することで、走行データを情報センタにアップロードすることができる。
すなわち、本実施形態によれば、ナビゲーション装置に通信用の特別のハードウェアを用いず、また煩雑な携帯電話の操作を必要とせず、ナビゲーション装置から携帯電話への情報伝達を、簡単なユーザ操作で実現することができる。
【0074】
以上、本発明の車載装置における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、符号化画像変換プログラムにより元情報から作成する符号化画像として二次元バーコードを作成する場合について説明したが、他の符号化画像として電子透かしを作成するようにしてもよい。
【0075】
この場合の電子透かしアイコンは、直接埋め込み方式や、周波数成分埋め込み方式等の各種周知の電子透かし技術を使用することが可能である。
直接埋め込み方式は、人間が明るい画素の近くの暗い画素は認知しにくいという特性を利用したもので、データの標本値(アイコン)に施設情報を埋め込む方式で、画素を複数のブロックに分割し、輝度を表すビット情報に直接処理を施して透かしを埋め込む方法である。本実施形態では、処理する時間が少ないという利点から、この直接埋め込み方式が採用されている。
一方、周波数成分埋め込み方式は、フーリエ変換(FET)やスペクトル拡散、離散コサイン変換(DCT)などに代表されるように、画像データを周波数成分に変換し、画質に影響しないように特定の周波数成分に透かし情報を埋め込む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の1実施形態において車載装置として機能するナビゲーション装置の構成図である。
【図2】POI(施設情報)DBに格納される施設情報を概念的に表した説明図である。
【図3】走行データの構成を概念的に表した説明図である。
【図4】携帯端末装置の一例としての携帯電話の構成図である。
【図5】携帯電話から走行データを収集する情報センタの構成図である。
【図6】走行データ収集プログラムによる走行データの収集処理を表したフローチャートである。
【図7】ナビゲーション装置における経路案内処理及び、携帯電話の処理動作を表したのフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置で二次元バーコードが作成される場合の各表示画面を表した説明図である。
【図9】表示された二次元バーコードを携帯電話で撮像し元の画像を取得する場合の、携帯電話の各表示画面を表した説明図である。
【符号の説明】
【0077】
10 CPU
11 現在位置検出装置
12 記憶装置
121 POI(施設情報)DB
122 地図DB
123 走行データ格納部
124 走行データアップロード先URL
125 固有ID格納部
126 経路案内プログラム
127 符号化画像変換プログラム
128 走行データ収集プログラム
13 表示装置
14 入力装置
15 音声出力装置
16 走行状態検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行データを蓄積する情報センタに走行データを送信する通信用アドレスが記憶されたセンタアドレス記憶手段と、
車両の運行状態を走行データとして記憶する走行記憶手段と、
前記情報センタの通信用アドレス及び前記記憶された走行データを、所定の変換方式による符号化画像に変換する変換手段と、
前記変換した符号化画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
各施設の情報が閲覧可能な通信用アドレスが格納された施設アドレス記憶手段と、
いずれかの施設を指定する指定手段と、を備え、
前記変換手段は、前記指定された施設の通信用アドレスと共に、前記情報センタの通信用アドレス及び前記走行データを加えて符号化画像に変換する、ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−127199(P2006−127199A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315357(P2004−315357)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】