説明

送受信装置

【課題】構造簡単な距離を測定可能とした送受信装置の実現
【解決手段】第1信号の受信と第2信号の送信とを共通化した送受信アンテナ20と、第1信号を復調して第1パルス信号を得る復調器30と、制御信号を入力して目標周波数を設定する目標周波数設定レジスタ61と目標位相を設定する目標位相設定レジスタ66とを有し、目標周波数設定レジスタに設定されている目標周波数と目標位相設定レジスタに設定されている目標位相とに一致した周波数と位相の第2パルス信号を出力するパルス発振器60を有する。第2パルス信号により搬送波を変調する変調器70と、第1パルス信号と、第2パルス信号との位相差を検出する位相比較器32を有する。また、位相差信号の時間変動からその時の第1パルス信号と第2パルス信号との周波数差をもとめ、その周波数差に基づいて目標周波数を制御する周波数制御装置と、位相差信号の示す位相差に基づいて目標位相を制御する位相制御装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の受信と送信とを1本のアンテナで切り換えて行うようにした送受信装置において、他の送受信装置から送信された信号を受信し、この受信信号の周波数と位相に同期した信号を生成して、この信号を他の送受信装置に返信するようにした送受信装置に関する。本送受信装置は、特に、2つの送受信装置の間で信号を送受信して、それら2つの送受信装置間の距離を測定する装置に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2、3のように、第1の送受信装置から、数MHz程度のベースバンドの矩形波によって、数百MHzから数GHzの第1搬送波を変調して送信し、この信号を受信した第2の送受信装置が、第1搬送波から異なる周波数の第2搬送波を生成し、同期復調したベースバンドの矩形波で、この第2搬送波を変調して第1の送受信装置に返信する装置が知られている。この装置では、第1の送受信装置において、送信したベースバンドの矩形波と、受信信号を復調して得られるベースバンドの矩形波との位相差から、第1の送受信装置と第2の送受信装置との間の距離が測定される。また、第1の送受信装置において、復調して得られた矩形波と基準矩形波とが位相同期するように、送信の矩形波の位相を進めて送信するようにしている。この方式は、第1の送受信装置と、第2の送受信装置との間で、ベースバンドの矩形波に関して、PLL(フェーズドロックループ)同期させる方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−032535
【特許文献2】特開2008−122255
【特許文献3】特開2008−304192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3の方法により、2つの送受信装置間の距離が正確に測定される。しかしながら、特許文献1〜3の装置において、信号を返信する装置は、受信アンテナと送信アンテナとを、必ず、2本設けることが必要である。共通の1本の送受信アンテナを用いて、信号の受信と送信とを切り換えるようにすることは、次の理由により、不可能である。
【0005】
距離を測定するためには、信号を返信する装置においては、受信した信号のベースバンドの矩形波の周波数と位相を保持した状態で、返信する必要がある。このために、返信するベースバンドの矩形波の周波数と位相を、受信した信号のベースバンドの矩形波の周波数及び位相に同期させる必要がある。この同期のために、位相比較器、VCO(電圧制御発振器)が用いられている。信号の受信期間と送信期間とを切り換えるとすると、信号の受信期間においては、受信信号が存在するために、受信信号の矩形波に同期した送信信号の矩形波を生成することが可能となる。ところが、送信期間においては、受信信号が存在しないために、同期をとる基準となる矩形波が存在しない。このために、共通の1本の送受信アンテナを用いた場合には、受信信号の矩形波に同期した矩形波を返信することができない。同期がとれていない矩形波を返信信号とすると、その同期外れの位相差だけ、距離に測定誤差が含まれることになる。
【0006】
現在、用いられている携帯端末装置は、データ信号の変調、復調の機能を有しているので、位相同期のための回路を追加すれば、上記の特許文献1〜3の測距を測定するための返信装置として、用いることができる。すなわち、あるリーダから、携帯端末までの距離を把握することができ、携帯端末装置を保持する者の存在範囲を認識することができる。しかしながら、現実の通信方式は、TDD方式、すなわち、1本の送受信アンテナを用いて、信号の受信期間と送信期間とを切り換えている。このような携帯端末装置を用いて、上記特許文献1〜3の距離測定方法を実現しようとすると、受信アンテナと送信アンテナの2本のアンテナが必要となり、携帯端末装置の小型化を阻害する要因となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、送受信装置において、信号の受信と送信とを共通の送受信アンテナを用いても、受信信号に周波数及び位相の同期した信号を返信できる送受信装置を実現することである。
この装置により、構造が簡単となると共に、2つの送受信装置間の距離を正確に測定することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、他の第2の送受信装置から送信される、搬送波をベースバンドの第1パルス信号で変調した第1信号を受信し、その第1信号に同期した第2信号を返信する送受信装置において、第1信号の受信と、第2信号の送信とを共通化した送受信アンテナと、第1信号を復調して、ベースバンドの第1パルス信号を得る復調器と、制御信号を入力して、その制御信号に応じて、目標周波数を設定すると共に記憶保持する目標周波数設定レジスタと目標位相を設定すると共に記憶保持する目標位相設定レジスタとを有し、目標周波数設定レジスタに設定されている目標周波数と目標位相設定レジスタに設定されている目標位相とに一致した周波数と位相のベースバンドの第2パルス信号を出力するパルス発振器と、パルス発振器の出力する第2パルス信号により搬送波を変調して、送受信アンテナに出力する変調器と、復調器により復調された第1パルス信号と、パルス発振器の出力する第2パルス信号との位相差を示す位相差信号を出力する位相比較器と、位相比較器の出力する位相差信号の時間変動からその時の第1パルス信号と第2パルス信号との周波数差をもとめ、その周波数差に基づいて、パルス発振器の目標周波数を制御する周波数制御装置と、位相比較器の出力する位相差信号の示す位相差に基づいて、パルス発振器の目標位相を制御する位相制御装置と、送受信アンテナにおける受信と送信とを、受信期間と送信期間とで周期的に切り換えると共に、受信期間においては、周波数制御装置と位相制御装置の出力をパルス発振器に入力し、送信期間においては、周波数制御装置と位相制御装置のパルス発振器への出力を遮断する切換装置とを有することを特徴とする送受信装置である。
【0009】
ベースバンドの第1パルス信号、第2パルス信号には、0レベル、1レベルの期間が等しい矩形波、0レベル、1レベルの期間が異なるパルス、その他、符号列なども含まれる。要する、信号の立ち上がり、又は、立ち下がりが急峻なものであれば良い。パルス信号の周波数は、測定する距離の最大値に基づいて設定すれば良い。例えば、パルス信号の周波数を2MHzとした場合には、往復150mまでの距離が測定可能である。搬送波の周波数は、空間において使用が許可されている周波数帯域を用いれば良い。例えば、GHz帯域の周波数とすることができる。本送受信装置において、返信に使用する第2信号の搬送波の周波数は、受信した第1信号の搬送波の周波数と異なる周波数とするのが望ましい。第2の送受信装置からは、第1信号が、常時、送信されているため、第2の送受信装置が、この第1信号の反射波を受信して、誤った距離を測定することがないようにするためである。第1信号の搬送波の周波数と第2信号の搬送波の周波数が異なれば、距離を測定する側の第2の送受信装置において、第1信号の反射信号を除去することが可能となる。
【0010】
復調器、変調器、パルス発振器、位相比較器、周波数制御装置、位相制御装置、切換装置は、アナログ回路、ディジタル回路、コンピュータで構成することができる。復調器には受信信号を増幅する増幅器、変調器には送信信号を増幅する送信器も、必要により、含まれる。
【0011】
本装置において、制御信号は、目標周波数及び目標位相を単位量づつ増減させる加減算パルスであり、パルス発振器は、ディジタルシンセサイザであり、目標周波数設定レジスタ及び目標位相設定レジスタは、加減算パルスに基づいて、目標周波数及び目標位相を増減するレジスタとするようにしても良い。この装置では、受信期間において、微小量づつ、第2パルス信号の周波数と位相とを変化させつつ、フィードバック制御により、第2パルス信号の周波数と位相を第1パルス信号の周波数と位相に追従制御している。周波数と位相の同期がかかった状態の目標周波数と目標位相は記憶されている。送信期間においては、この記憶されている目標周波数と目標位相に基づいて第2パルス信号が出力される。この送信期間では、フィードバック制御は解除されている。
【0012】
また、本装置において、制御信号は、目標周波数及び目標位相の絶対値を示す信号であり、パルス発振器は、ディジタルシンセサイザであり、目標周波数設定レジスタ及び目標位相設定レジスタは、制御信号を入力する毎に、制御信号の示す絶対値を、目標周波数及び目標位相として設定するレジスタを有するようにしても良い。この装置では、受信期間において、目標周波数及び目標位相が絶対値として設定され、この値を変化させることで、第2パルス信号の周波数と位相とを変化させつつ、フィードバック制御により、第2パルス信号の周波数と位相と第1パルス信号の周波数と位相に追従制御している。周波数と位相の同期がかかった状態の目標周波数と目標位相は記憶されている。送信期間においては、この記憶されている目標周波数と目標位相に基づいて第2パルス信号が出力される。この送信期間では、フィードバック制御は解除されている。
【0013】
また、本送受信装置は、第2の送受信装置において、送受信装置から受信した信号を復調して得られる第2パルス信号と、第1パルス信号との位相差から、第2の送受信装置と送受信装置間の距離を測定するシステムに用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、第1信号を第2信号として返信するのに、受信期間において、第1信号の第1パルス信号に周波数と位相が同期した第2パルス信号を生成すると共に、その時の制御量である周波数と位相を記憶しておいて、第1信号が受信されない送信期間においては、その記憶された値に基づいて第2パルス信号を生成するようにしている。これにより、共通の1本の送受信アンテナを用いて、受信期間と送信期間とを切換える送受信装置において、受信信号に同期した信号を返信することができる。これにより、送受信装置の構成が簡単となり、小型化が可能となる。したがって、本装置を携帯端末装置に搭載することで、リーダと携帯端末装置の間の距離、又は、2つの携帯端末装置間の距離の測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係る送受信装置の構成図。
【図2】実施例1の装置における位相比較器の原理を説明するためのタイミングチャート。
【図3】実施例1の装置における位相比較器の出力する位相差信号のレベルと位相差との関係を示した説明図。
【図4】本発明の具体的な実施例2に係る送受信装置の構成図。
【図5】本発明の具体的な実施例3に係る送受信装置の構成図。
【図6】本発明の実施例に係る切換装置における切換信号を生成する装置の構成図。
【図7】本実施例の送受信装置を距離測定に用いた場合の距離測定側の送受信装置を示した構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施例に係る送受信装置1の主要部分の構成図である。送受信アンテナ20は切換器10、増幅器21を介して直交復調器30に接続されている。送受信アンテナ20において、図7に示す第2の送受信装置8から送信された第1信号が受信される。第1信号は、図1に示されている2MHzの方形波である第1パルス信号により、搬送波を2値の位相変移変調(BPSK)した信号である。実際には、コスタスループによる直交復調を用いるために、1MHzのパルス信号と、この信号をπ/2だけ位相変移させたパルス信号との2つの信号を、直交変調した後、合成して、送信している。しかし、直交復調して得られた位相差がπ/2の1MHzの2つのパルス信号をEX−OR合成した結果は、2MHzの方形波となるので、結果的には、2MHzの第1パルス信号を、単一の搬送波で変調したものと等価である。したがって、以下、特に、区別することなく、2値のBPSK変調として説明する。勿論、2MHzの第1パルス信号を、単一の搬送波で変調した信号を第1信号としても良い。この変調には、BPSKの他、振幅変移変調(ASK)、位相変移変調(PSK)、周波数変移変調(FSK)を用いても良い。
【0018】
直交復調器30は、後述する図7に示されているコスタスループを用いた同期直交復調回路である。第1信号は、直交復調器30に入力する搬送波sin(ωt)、cos(ωt)により復調される。この時、直交復調器30で復調された2つのパルス信号の積の平均値が零となるように、復調搬送波sin(ωt)とcos(ωt)の位相がフィードバック制御される。同期がとれた状態では、位相差がπ/2の2つの1MHzの2つのパルス信号が得られる。この2つの1MHzのパルス信号をEX−OR回路31により排他的論理和加算して、2MHzの方形波である第1パルス信号を復調するようにしている。復調結果は、図1に示されているように2MHzのベースバンドのパルス信号(方形波)となり、第1信号の変調信号である第1パルス信号S1が復調される。本発明の復調器は、本実施例では、直交復調器30とEX−OR回路31とで構成されている。
【0019】
直交復調器30の出力する第1パルス信号S1と後述するパルス発振器60の出力する第2パルス信号S2とは、両者の位相差(周波数差を含む)を検出する位相周波数型の位相比較器(PFC)32(たとえば、4046)に入力する。位相比較器32は、図2の(a)、(b)、(c)に示されているように、第1パルス信号S1の立ち上がりが第2パルス信号S2の立ち上がりよりも進んでいる期間だけハイレベルとなる信号Aが生成される(c)。この時、信号Bは、ローレベルにある。また、図2の(a)、(d)、(e)に示されているように、第1パルス信号S1の立ち上がりが、第2パルス信号S2の立ち上がりよりも遅れている期間だけ、信号Bが生成される(e)。この時、信号Aはローレベルにある。これらの2つの信号A、BがCMOSの2つのゲートに入力されることで、図2の(f)、(g)に示されているように、第1パルス信号S1の立ち上がりが第2パルス信号S2の立ち上がりよりも進んでいる期間だけハイレベルのパルス信号が、第1パルス信号S1の立ち上がりが第2パルス信号S2の立ち上がりよりも遅れている期間だけローレベルのパルス信号が、位相比較器32の出力信号S3として、ローパスフィルタ(ループフィルタ)33に入力される。
【0020】
ローパスフィルタ33では、図2の(f):又は、(g)の出力信号S3が、平滑化される。すなわち、第1パルス信号S1が第2パルス信号S2に対して進み位相にある場合には、2つの信号の位相差が大きい程、ローパスフィルタ33から出力される位相差信号S4は、高いレベルとなる。また、第1パルス信号S1が第2パルス信号S2に対して遅れ位相にある場合には、2つの信号の位相差だ大きい程、位相差信号S4は、低いレベルとなる。
【0021】
ローパスフィルタ33から出力される位相差信号S4が基準レベルにある時には、第1パルス信号S1と第2パルス信号S2との周波数差及び位相差は零である。第1パルス信号S1と第2パルス信号S2とが周波数が一致した状態で、位相差信号S4が最大レベルにある場合には、第1パルス信号S1は第2パルス信号S2に対して2πの進み位相にあり、位相差信号S4が0レベルにある場合には、第1パルス信号S1は第2パルス信号S2に対して−2πの遅れ位相にある。第2パルス信号S2に対する第1パルス信号S1の位相θ、(以下、この位相を位相差θという)と、ローパスフィルタの出力である位相差信号S4との関係は、図3に示すように比例関係にある。本発明の位相比較器は、本実施例では位相比較器32とローパスフィルタ33とで構成されている。第1パルス信号の周波数が第2パルス信号の周波数よりも高い場合には、位相差信号S4は基準レベルと最大レベルとの間に存在し、フィードバック制御により第2パルス信号の周波数が増加すると、位相差信号S4は基準レベルと最大レベルとの間で周波数の変化に伴い振動する。また、第1パルス信号の周波数が第2パルス信号の周波数よりも低い場合には、位相差信号S4は基準レベルと0レベルとの間に存在し、フィードバック制御により第2パルス信号の周波数が減少すると、位相差信号S4は基準レベルと0レベルとの間で周波数の変化に伴い振動する。
【0022】
次に、周波数同期のための回路について説明する。位相差信号S4は、周波数差演算器40と、ディレイ回路41に入力しており、そのディレイ回路41の出力は周波数差演算器40に入力している。周波数差演算器40は、位相差信号S4から次の処理をする回路である。位相差θ(t)の時間微分は、第1パルス信号S1の基本周波数の第2パルス信号の基本周波数に対する時刻tにおける周波数差ω(t)を表している。すなわち、次式が成立する。
【数1】

ただし、Δtは、ディレイ回路41における微小遅延時間であり、ディレイ回路41の出力信号S5が、θ(t−Δt)を表している。
【0023】
周波数差演算器40では、θ(t)−θ(t−Δt)をΔtで割った値から、周波数差ω(t)が演算される。ω(t)は負の値もとるので、ω(t)に正のバイアス(基準レベル)を加えて、正の範囲の信号S6として、比較器42に出力される。信号S6が基準レベルにある時には、周波数差ω(t)は零である。信号S6が基準レベルより大きい場合には、周波数差ω(t)は正であり、基準レベルとの差が大きい程、周波数差ω(t)は大きい。また、信号S6が、基準レベルより小さい場合には、周波数差ω(t)は負であり、基準レベルとの差が大きい程、周波数差ω(t)の絶対値は大きい。
【0024】
周波数差演算器40の出力する信号S6は、比較器42の一つの入力端子に入力している。比較器42の他の端子には、基準レベルが入力している。比較器42は差動型の出力を有し、一方の出力信号の反転信号が他方の出力端子から出力される。したがって、比較器42に入力する信号S6が基準レベルよりも高い場合には、比較器42の非反転出力端子からハイレベルの信号S7が出力される。また、信号S6が基準レベルより低い場合には、反転出力端子からハイレベルの信号S8が出力される。すなわち、比較器42は、周波数差ω(t)の正負を判定する回路である。比較器42の出力する信号S7、S8は、それぞれ、AND回路43、44の一入力端子に入力する。AND回路43、44の他の入力端子には、信号S7、S8をパルス化するための同一周波数のクロック信号が入力されている。
【0025】
したがって、AND回路43、44の出力する信号S9、S10は、クロックパルスがハイレベルにある期間だけ、信号S7、S8のハイレベルが出力される。すなわち、周波数差ω(t)が正である期間、信号S9は、クロックに同期したパルス信号となり、信号10は零レベルを維持する。また、周波数差ω(t)が負である期間、信号S10は、クロックに同期したパルス信号となり、信号9は零レベルを維持する。これらの信号S9、S10は、それぞれ、切換器11、12を介して、目標周波数設定レジスタ61の加算端子、減算端子に入力される。目標周波数設定レジスタ61は、加算端子から1加算パルス入力される毎に、保持している値を1だけ加算し、減算端子から1減算パルス入力される毎に、保持している値を1だけ減算する回路である。すなわち、目標周波数設定レジスタ61が保持する値は、周波数差ω(t)が正である期間において、加算パルスが入力する度に、順次、大きくなり、周波数差ω(t)が負である期間において、減算パルスが入力する度に、順次、小さくなる。
【0026】
目標周波数設定レジスタ61に保持されている値は、D/A変換器62によりアナログレベルに変換されて、電圧制御発振器(VCO)63に入力する。目標周波数設定レジスタ61に保持されている値は、VCO63の発振信号の周波数を与える。VCO63の出力信号は、移相器64により位相が調整された後、2値化回路65に入力する。2値化回路65の出力は、第2パルス信号S2となる。
【0027】
位相比較器32、ローパスフィルタ33、周波数差演算器40、比較器42、AND回路43、44、切換器11、12、目標周波数設定レジスタ61、D/A変換器62、VCO63、移相器64、2値化回路64が、周波数のフィードバックループとなる。この結果、第2パルス信号S2は、周波数差演算器40により求められた周波数差ω(t)が零となる時の目標周波数設定レジスタ61に設定されている周波数となり、第1パルス信号S1の周波数と一致する。周波数差ω(t)が正値の場合には、第2パルス信号S2の周波数は第1パルス信号S1の周波数よりも小さいことを意味する。周波数差ω(t)が正値をとる期間、目標周波数設定レジスタ61の保持する値は、信号S9(加算パルス)の入力より増大し、第2パルス信号S2の周波数は増加する。逆に、周波数差ω(t)が負値をとる期間、目標周波数設定レジスタ61の保持する値は、信号S10(減算パルス)の入力より減少し、第2パルス信号S2の周波数は減少する。このようなフィードバック制御により、周波数差ω(t)は零に収束するように、動作することになる。
【0028】
次に、位相同期のための回路について説明する。ローパスフィルタ33の出力する位相差信号S4は、図3に示すように、正の範囲のレベルを有した信号であり、位相差信号S4が基準レベルの時には、位相差θ(t)は零である。位相差信号S4が基準レベルよりも高い場合には、第2パルス信号S2は第1パルス信号S1に対して遅れ位相にあり、位相差信号S4のレベルが高い程、第2パルス信号S2の遅れ位相の値も大きい。位相差信号S4が基準レベルよりも低い場合には、第2パルス信号S2は第1パルス信号S1に対して進み位相にあり、位相差信号S4のレベルが低い程、第2パルス信号S2の進み位相の値も大きい。この位相差信号S4は、比較器46の一入力端子に入力している。比較器46の他の入力端子は、基準レベルが入力している。
【0029】
比較器46は差動型の出力を有し、一方の端子の出力信号の反転信号が他方の端子から出力される。したがって、比較器46に入力する位相差信号S4が基準レベルよりも高い場合には、比較器46の非反転出力端子からハイレベルの信号S11が出力される。また、位相差信号S4が基準レベルより低い場合には、反転出力端子からハイレベルの信号S12が出力される。すなわち、比較器46は、位相差θ(t)の正負を判定する回路である。比較器46の出力する信号S11、S12は、それぞれ、AND回路47、48の一入力端子に入力する。AND回路47、48の他の入力端子には、信号S11、S12をパルス化するための同一周波数のクロック信号が入力されている。
【0030】
したがって、AND回路47、48の出力する信号S13、S14は、クロックパルスがハイレベルにある期間だけ、信号S11、S12のハイレベルが出力される。すなわち、位相差θ(t)が正である期間、信号S13は、クロックに同期したパルス信号となり、信号14は零レベルを維持する。また、位相差θ(t)が負である期間、信号S14は、クロックに同期したパルス信号となり、信号13は零レベルを維持する。これらの信号S13、S14は、それぞれ、切換器13、14を介して、目標位相設定レジスタ66の加算端子、減算端子に入力される。目標位相設定レジスタ66は、加算端子から1加算パルス入力される毎に、保持している値を1だけ加算し、減算端子から1減算パルス入力される毎に、保持している値を1だけ減算する回路である。すなわち、目標位相設定レジスタ66が保持する値は、位相差θ(t)が正である期間において、加算パルスの入力する度に、順次、大きくなり、位相差θ(t)が負である期間において、減算パルスが入力する度に、順次、小さくなる。
【0031】
目標位相設定レジスタ66に保持されている値は、D/A変換器67によりアナログレベルの信号S15に変換されて、移相器64に入力する。移相器64では、この信号S15のレベルに応じて、VCO63の出力する発振信号の位相が制御される。このようにして、第2パルス信号S2の位相が制御される。
【0032】
位相比較器32、ローパスフィルタ33、比較器46、AND回路47、48、切換器13、14、目標位相設定レジスタ66、D/A変換器67、移相器64、2値化回路64が、位相のフィードバックループとなる。周波数差ω(t)が正の場合には、ローパスフィルタ33の出力する位相差信号S4は、図3に示すように、鋸歯状波となり、常に、増加方向に変化する。また、周波数差ω(t)が負の場合には、位相差信号S4は、図3に示すように、鋸歯状波となり、常に、減少方向に変化する。したがって、位相差θ(t)に時間変動が存在する限り、周波数差ω(t)が観測され、周波数に関するフィードバックがかかり、周波数差ω(t)が零となるように安定する。この状態での位相差θ(t)は、周波数差によらない位相差となり、この位相差が零となるように、上記の位相フィードバックループにより制御される。
【0033】
この結果、第2パルス信号S2の位相は、位相差θ(t)が零となる時の目標位相設定レジスタ66に設定されている位相となり、第1パルス信号S1の位相と一致する。位相差θ(t)が正値の場合には、第1パルス信号S1の位相は、第2パルス信号S2の位相よりも進み位相にあることを意味する。位相差θ(t)が正値をとる期間、目標位相設定レジスタ66の保持する値は、信号S13(加算パルス)の入力より増大し、第2パルス信号S2の位相は進められる。逆に、位相差θ(t)が負値をとる期間、目標位相設定レジスタ61の保持する値は、信号S14(減算パルス)の入力より減少し、第2パルス信号S2の位相は遅れられる。位相差θ(t)が零となると、目標位相設定レジスタ61の保持する値の変動が停止し、第2パルス信号S2の位相がその設定位相に保持されて、第2パルス信号S2はその位相において第1パルス信号の位相に一致する。
このような周波数と位相のフィードバック制御により、周波数差ω(t)と位相差θ(t)が零に収束するように、動作することになる。
【0034】
以上のようにして、第1パルス信号S1に対して周波数と位相の同期した第2パルス信号S2が生成されて、直交変調器70に出力される。直交変調器70では、直交復調器30により同期復調した時の搬送波を逓倍して得た所定周波数の搬送波が、第2パルス信号S2の2値レベルに応じて、BPSK変調される。変調された信号は増幅器71により増幅されて、切換器10を介して、送受信アンテナ20から第2信号として送信される。
【0035】
切換器10、11、12、13、14は、連動して接点の切換が行われる。例えば、50Hzの周期で、受信期間と送信期間とで、切換が行われる。受信期間においては、切換器10は直交復調器30側に接続され、切換器11、12、13、14は、入力信号を通過する状態になる。送信期間においては、切換器10は直交変調器70側に接続され、切換器11、12、13、14は、入力信号を遮断する状態になる。受信期間においては、上記のように周波数と位相のフィードバック制御により、第1パルス信号S1の周波数と位相に同期した第2パルス信号S2が生成される。しかし、切換器10は直交変調器70からの第2信号を送受信アンテナ20に通過する状態ではないので、第2信号は、アンテナから送信されない。
【0036】
送信期間になると、目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66には、加算パルス、減算パルスが入力されない。目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66は、最後に更新された値を保持している。したがって、送信期間では、この目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66に設定された周波数と位相によって、第2パルス信号S2が生成され続ける。このようにして、第1信号を復調しなくとも、第2パルス信号S2により搬送波を変調した第2信号が、送受信アンテナ20から送信されることになる。このようにして、1本の共通の送受信アンテナ20を用いて、第1信号を受信し、第1信号のベースバンドのパルス信号に周波数と位相が同期したパルス信号で変調された第2信号を、第1信号を送信した装置に向けて返信することができる。このことから、第1信号を送信した送受信装置において、両送受信装置間の距離を測定することが可能となる。
【0037】
本発明のパルス発振器60は、本実施例においては、目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66、D/A変換器62、67、VCO63、移相器64、2値化回路65から構成されている。本発明の周波数制御装置は、周波数差演算器40、比較器42、AND回路43、44により構成されている。また、本発明の位相制御装置は、比較器46、AND回路47、48により構成されている。
【0038】
上記実施例において、ローパスフィルタ33の出力をA/D変換して、周波数差演算器40、比較器42、46による極性判定、AND回路43、44、47、48によるパルス化を、切換器11、12、13、14の信号の通過と遮断の機能を、コンピュータを用いたディジタル処理により実現しても良い。すなわち、目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66へ出力する加算パルス、減算パルスを、コンピュータによるソフトウエアの制御により、受信期間だけ出力するようにしても良い。この場合には、切換器11、12、13、14は、このコンピュータによるソフトウエアが実現していることになる。また、位相比較器32、ローパスフィルタ33をディジタル回路で構成しても良い。
【実施例2】
【0039】
図4は、実施例2に係る送受信装置の構成図である。本実施例では、実施例1のパルス発振器60をディジタルシンセサイザ80で構成したものである。ディジタルシンセサイザ80は、実施例1と同様に、加算パルス、減算パルスで保持している値を加算、減算する目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66を有している。ディジタルシンセサイザ80は、コンピュータにより、目標周波数設定レジスタ61に設定されている周波数、目標位相設定レジスタ66により設定されている位相により、方形波を発生する装置である。第2パルス信号S2が第1パルス信号S1に対して、周波数と位相が同期される動作原理については、実施例1と同一である。また、ローパスフィルタ33の出力する位相差信号S4を、ディジタル値に変換して、加算パルス、減算パルスを出力する処理を、コンピュータにより実現しても良い。
【実施例3】
【0040】
実施例2は、ディジタルシンセサイザ80の目標周波数設定レジスタ61、目標位相設定レジスタ66を、加算パルス、減算パルスにより加減算するインクリメンタルレジスタで構成している。本実施例では、ディジタルシンセサイザの目標周波数設定レジスタ、目標位相設定レジスタを、入力されたデータ(絶対値)を保持する絶対値レジスタで構成している。図5に示すように、ディジタルシンセサイザ81は、入力データを設定する目標周波数設定レジスタ82、目標位相設定レジスタ83を有している。これらのレジスタに設定された周波数と位相に応じて、方形波を発生させることは、実施例2と同一である。
【0041】
目標周波数設定レジスタ82、目標位相設定レジスタ83を絶対値レジスタとしたことから、本実施例では、周波数差演算器40の出力する周波数差ω(t)を示す信号S6、ローパスフィルタ33の出力する位相差θ(t)を示す位相差信号S4を、それぞれ、入力するPID演算器51、52を有している。PID演算器51、52は、信号S6、位相差信号S4のレベルの基準レベルに対する偏差、偏差の積分、偏差の微分を演算して、制御量を演算する装置である。この基準レベルは、周波数差ω(t)が零となるレベル、位相差θ(t)が零となるレベルである。PID演算器51、52により演算された周波数制御量、位相制御量が、切換器53、54を介して、それぞれ、目標周波数設定レジスタ82、目標位相設定レジスタ83に設定される。周波数差ω(t)が正の期間は、PID演算器51の積分機能により、その出力する周波数制御量は増大する。周波数差ω(t)が負の期間は、PID演算器51の積分機能により、その出力する周波数制御量は減少する。周波数差ω(t)が零となると、積分値は変動しなくなるので、周波数制御量は一定値となる。
【0042】
同様に、位相差θ(t)が正の期間は、PID演算器52の積分機能により、その出力する位相制御量は増大する。位相差θ(t)が負の期間は、PID演算器52の積分機能により、その出力する位相制御量は減少する。位相差θ(t)が零となると、積分値は変動しなくなるので、位相制御量は一定値となる。このような周波数と位相のフィードバック制御により、第2パルス信号S2の周波数と位相は、第1パルス信号S1の周波数と位相に同期することになる。本発明の周波数制御装置は、本実施例では、周波数差演算器40とPID演算器51とにより構成されている。また、本発明の位相制御装置は、本実施例では、PID演算器52により構成されている。PID演算器51、52は、送信期間から受信期間に切り換わった時の追従偏差の大きさにもよるが、追従偏差が小さい場合には、微分補正のないPI演算でも良いし、積分演算だけでも良い。PID演算器51、52は、アナログ回路、ディジタル回路、コンピュータで構成しても良い。また、本実施例においても、ローパスフィルタ33の出力する位相差信号S4を、ディジタル値に変換して、PID演算し、制御量を、受信期間だけ出力する処理を、コンピュータにより実現しても良い。この場合には、切換器53、54は、コンピュータのソフトウエアにより実現されていることになる。
【0043】
次に、切換装置72について説明する。図4は、切換装置72の構成を示している。受信期間と送信期間を切り換えるための切換信号を、受信した第1信号を復調した第1パルス信号S1から発生する回路を示している。この場合、第1信号を送信する送受信装置も、1本の送受信アンテナを用いて、送信と受信とを切り換えている。送信期間の長さと周期は、第1信号を送信する送受信装置の方が決定する。第1信号の送信が完了すると、送受信アンテナは受信回路側に切り換えられ受信期間となる。第1信号を送信する送受信装置は、この切換を周期的に行い、所定長さの第1信号を、間欠的に送信することになる。
【0044】
これに対して、本実施例の送受信装置1は、初期状態では、送受信アンテナ20は直交復調器30の側に接続されており、常時、受信期間となっている。第1信号を受信すると、直交復調器30により第1パルス信号S1が生成される。この第1パルス信号S1をRSSI回路35に入力させると、RSSI回路35により、第1パルス信号S1の電力レベル、すなわち、包絡線が検波が行われる。例えば、50Hzで、送信と受信が切換られているとすると、第1信号の送信期間(第1パルス信号のデータ長)は10msとなる。RSSI回路35は、50Hzの矩形波となる。この矩形波のハイレベルの期間が第1パルス信号の存在期間となる。エッジ検出回路36によりRSSI回路35の出力信号の立ち上がり及び立ち下がりが検出される。そのレベル遷移のタイミングの間隔が、タイミング設定回路38により演算される。そして、RSSI回路35の出力信号の立ち上がりに同期して、タイミング設定回路38により検出された第1パルス信号の期間長だけローレベルとなり、第1パルス信号が存在しない期間、ハイレベルとなる切換信号が、コントロール信号発生回路39により発生される。この切換信号により、切換器10、11、12、13、14の切換が制御される。2周期程度の第1信号を受信すれば、第1パルス信号の期間と周期が測定できる。測定が完了した後は、スイッチ37をオフにしても、コントロール信号発生回路39の保持機能により、50Hzの切換信号を継続して出力することができる。このようにして、第1信号を送信する装置による第1信号の長さ、及び周期を、第1信号を受信する送受信装置において、検出することが可能となる。よって、本実施例の送受信装置においては、切換信号がハイレベルとなる期間が送信期間、ローレベルとなる期間が受信期間となる。
【0045】
本発明の切換装置は、図4に示す装置と、切換器10、11、12、13、14を含む装置として構成される。
【0046】
次に、第1信号を送信する送受信装置8の構成を図7に示す。発振器94で2MHzの第1パルス信号の方形波が生成される。直交変調器91の内部にある1/2n-edge 回路により、第1パルス信号の立ち下がりに同期して立ち上がり、次の立ち下がりに同期して立ち下がるパルス信号が生成される。また、直交変調器91の内部にある1/2p-edge 回路により、第1パルス信号の立ち上がり同期して立ち上がり、次の立ち上がり同期して立ち下がるパルス信号が生成される。すなわち、1MHzで位相差がπ/2の2つのパルス信号(方形波)が生成される。これらの2つの信号は、直交変調器91において、搬送波発生回路96により生成されたcos(ωt)とsin(ωt)の2つの搬送波により、直交変調されて合成される。合成した信号が第1信号となる。第1信号は、2MHzの第1パルス信号を、単一搬送波で2値のBPSK変調した信号と等価となる。送信期間において、第1信号がアンテナ92から送信される。次に、受信期間では、送受信アンテナ92により、上記実施例の送受信装置1から受信した第2信号が、直交復調器90により復調されて2MHzの第2パルス信号が得られる。そして、位相比較器95により、第1パルス信号と第2パルス信号との位相差が検出され、平均化処理距離演算装置97によって、時間平均れた位相差から、第1信号を送信する送受信装置8と、その信号を第2信号として返信する送受信装置1との間の距離が演算される。搬送波発生回路96の搬送波の周波数と位相は、直交復調器90において、最大感度が得られるように調整される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、1つの送受信アンテナにより、受信期間と送信期間とを切り換えて、受信信号に同期した信号を返信する、距離の測定を可能とした送受信装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…送受信装置
20…送受信アンテナ
30…直交復調器
32…位相比較器
40…周波数差演算回路
42、46…比較器
43、44…AND回路
60…パルス発振器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の第2の送受信装置から送信される、搬送波をベースバンドの第1パルス信号で変調した第1信号を受信し、その第1信号に同期した第2信号を返信する送受信装置において、
前記第1信号の受信と、前記第2信号の送信とを共通化した送受信アンテナと、
前記第1信号を復調して、ベースバンドの第1パルス信号を得る復調器と、
制御信号を入力して、その制御信号に応じて、目標周波数を設定すると共に記憶保持する目標周波数設定レジスタと目標位相を設定すると共に記憶保持する目標位相設定レジスタとを有し、前記目標周波数設定レジスタに設定されている目標周波数と前記目標位相設定レジスタに設定されている目標位相とに一致した周波数と位相のベースバンドの第2パルス信号を出力するパルス発振器と、
前記パルス発振器の出力する前記第2パルス信号により搬送波を変調して、前記送受信アンテナに出力する変調器と、
前記復調器により復調された前記第1パルス信号と、前記パルス発振器の出力する前記第2パルス信号との位相差を示す位相差信号を出力する位相比較器と、
前記位相比較器の出力する前記位相差信号の時間変動からその時の前記第1パルス信号と前記第2パルス信号との周波数差をもとめ、その周波数差に基づいて、前記パルス発振器の前記目標周波数を制御する周波数制御装置と、
前記位相比較器の出力する前記位相差信号の示す前記位相差に基づいて、前記パルス発振器の前記目標位相を制御する位相制御装置と、
前記送受信アンテナにおける受信と送信とを、受信期間と送信期間とで周期的に切り換えると共に、前記受信期間においては、前記周波数制御装置と前記位相制御装置の出力を前記パルス発振器に入力し、前記送信期間においては、前記周波数制御装置と前記位相制御装置の前記パルス発振器への出力を遮断する切換装置と、
を有することを特徴とする送受信装置。
【請求項2】
前記制御信号は、前記目標周波数及び前記目標位相を単位量づつ増減させる加減算パルスであり、前記パルス発振器は、ディジタルシンセサイザであり、前記目標周波数設定レジスタ及び前記目標位相設定レジスタは、前記加減算パルスに基づいて、前記目標周波数及び前記目標位相を増減するレジスタであることを特徴とする請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記制御信号は、前記目標周波数及び前記目標位相の絶対値を示す信号であり、前記パルス発振器は、ディジタルシンセサイザであり、前記目標周波数設定レジスタ及び前記目標位相設定レジスタは、前記制御信号を入力する毎に、制御信号の示す絶対値を、前記目標周波数及び前記目標位相として設定するレジスタを有することを特徴とする請求項1に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記第2の送受信装置において、前記送受信装置から受信した信号を復調して得られる前記第2パルス信号と、前記第1パルス信号との位相差から、前記第2の送受信装置と前記送受信装置間の距離を測定するシステムに用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−122960(P2012−122960A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275917(P2010−275917)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】