説明

過給式エンジンを搭載した車両ならびに過給式エンジンを搭載した車両の運転方法

車両(1)のドライブトレイン(7〜13)を駆動するように備え付けられたエンジン(2)と、前記エンジン(2)に供給される空気の圧力を上昇させるように備え付けられた少なくとも一つの過給機(19)と、前記過給機(19)にトルクが伝達されるように連結可能な、もしくは連結されている、前記過給機(19)を駆動するように、または前記過給機(19)の駆動を支援するように備え付けられた電気機械(22)とを有する車両(1)。前記ドライブトレイン(7〜13)が、前記電気機械(22)にトルクが伝達されるように連結可能である、もしくは連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念(所謂おいて書き部分、プリアンブル部分)に記載の車両、ならびに請求項17の上位概念に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用駆動装置、特に乗用車の駆動装置は、今日では一般にこの駆動装置により定常の所要出力(定速走行)および準定常の所要出力(僅かな加速度を伴う定速走行)も、また非定常の所要出力(それよりも大きい加速度から最大加速度を伴う走行)もカバーされるように設計される。非定常の所要出力が占める時間は通例、定常または準定常の所要出力が占める時間よりも格段と短くなっている。このため車両の大半の運転状態において、搭載エンジンのキャパシティがオーバとなるオーバーモータリゼーション状態を生じている。
【0003】
駆動装置として内燃機関(エンジン)を搭載した車両では、かねてよりエンジンの「ダウンサイジング」傾向、すなわち、しばしば気筒数の低減とも抱き合わせになったエンジンの排気量の縮小化傾向が観察されている。それにもかかわらず所期の走行性能を達成するために、エンジンは高過給化の一途を辿っている。エンジンの過給を行うための、すなわち吸気の圧力を上昇させるための過給機として、大多数のケースでは、エンジンの排気中に含まれるエンタルピを利用して、タービン‐コンプレッサユニットによりエンジンに供給される空気を圧縮する、もしくはエンジンに供給される空気の圧力レベルを上昇させる、排気タービン駆動式過給機(ターボチャージャ)が導入される。しかしながら純流体方式で駆動されるターボチャージャを具備したエンジンは、周知のごとく低回転域からの加速時の応答挙動に、「ターボラグ」という用語で表現されることが多い、走行挙動面でマイナスに感じとられる一定の時間遅れを随伴する。
【0004】
特許文献1から、ターボチャージャを電気機械により支援して駆動できるようにすることで、従来方式により過給されるエンジンに対して低回転数域からの加速時のエンジンの応答挙動を改善したターボチャージャ付きエンジンが知られている。
【0005】
さらに特許文献2ならびに3からも、電気駆動式過給機を具備した駆動システムが知られている。さらに特許文献4乃至9も、本発明の背景技術に数えられる。
これらに代わるアプローチ手法として、例えば加速時には電動モータによりエンジンが支援されるようにした(電気ブースト機能)各種各様のハイブリッドコンセプトを利用したものも衆目を集めている。もっとも電気ブースト機能については、これを実感できるのは比較的低速であるときだけに限られている。それよりも高速になると、加速効果を実感できるほどに上乗せするために必要となる所要電気出力が、今日の車両に実際に搭載されている電気機械の出力を大幅に超えてしまうのが通例である。高速時にもブースト機能を実感できるようにするためには通例、100kWを超す電気出力が必要である。このため、今日使用に供されている蓄電システムの能力には技術的に限界があることからも、電気による駆動アシストが可能となるのは比較的短時間だけに限られているか、または、限定された出力によるアシストだけしか行えないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102006053037号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第102007057224号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102006034825号明細書
【特許文献4】ドイツ特許発明第4203528号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第2840375号明細書
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第10052555号明細書
【特許文献7】ドイツ特許出願公開第102006059664号明細書
【特許文献8】ドイツ特許出願公開第4212984号明細書
【特許文献9】ドイツ未公開特許第4429855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、特に低負荷から中負荷時までの定常運転における効率に優れるとともに、定常運転からの加速時には非常に良好な応答挙動を示す過給式エンジンを搭載した車両を提供すること、ならびにそのような車両のそれに対応した運転方法を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1ならびに17の各特徴により解決される。本発明の有利な構成形態および展開構成例は、それぞれの従属請求項から察知することができる。
本発明の出発点は、エンジンと、少なくとも一つの「過給機」と、この過給機にトルクが伝達されるように連結可能な、過給機を駆動するように、もしくは過給機の駆動を支援するように備え付けられた電気機械とを具備した車両である。
【0009】
本明細書ならびに特許請求の範囲において使用される「過給機」という概念は、極めて広い解釈を許すものであって、基本的には、エンジンに供給される空気の圧力を上昇させるために導入できるものであれば、どのような「装置」であってもこれに含まれることになる。この「過給機」という概念には特に、例えば半径流圧縮機のような流れ圧縮機、コンプレッサないしは容積型過給機であるスーパーチャージャ、ならびにターボチャージャが含まれている。ターボチャージャは、周知のごとくエンジンの排気流中に配置されるタービンホイールを有しており、これがコンプレッサホイールを駆動するようになっている。このコンプレッサホイールもしくはターボチャージャ軸を、従来の純流体技術により駆動されるターボチャージャとは異なり、電気機械により支援しながら、または純電動方式により駆動できるようにしている。
【0010】
「トルクが伝達されるように連結可能な」とは、本発明の主意においては、車両の少なからぬ運転状態の間に、過給機を駆動する目的で、電気機械と過給機間の摩擦係合状態をもたらすことができることを意味している。
【0011】
本発明の核心は、さらにそれに追加して上述の車両のドライブトレインを同じ一つの電気機械に連結できるようにした点にもある。
この「ドライブトレイン」という概念には、ここでは基本的に、エンジンのクランクシャフトと車両の駆動輪との間のトルク伝達経路に配置される、推進力を伝達する様々なコンポーネントが、それぞれ単体としても、また全体としても含まれている。ほかにも本発明の主意においてはこのドライブトレインという概念に、ドライブトレインへの直接的または間接的な動力伝達ないしはトルク伝達を可能にするクランクシャフトその他の接続要素も含まれている。
【0012】
本発明においては、電気機械により発生される駆動出力が、少なくとも一義的にドライブトレインに供給されるのではなく、それよりもむしろ一義的に過給機を駆動するために使用されるようになっているが、それにより公知である多種多様なハイブリッドコンセプトと比較して、エネルギ効率が大幅に向上されることになる。すなわちその電気エネルギは、一義的に熱力学的な燃焼プロセスに間接的に供給されるようになっている。
【0013】
車両駆動システムの設計方式は、発電所プロセスのそれになぞらえることができる。基幹駆動部をなすエンジンは、「基本負荷」をカバーする、すなわち、定常または準定常走行状態(例えば0.5m/s未満の定速走行ならびに加速度を伴う定速走行)のために必要な基本出力を提供する。一時的に出現するピーク負荷は、複合システム「電動アシスト式過給機能付きベースエンジン」によりカバーされる。
【0014】
しかし本発明においては、この電気機械を、過給機またはドライブトレインを駆動するための電動モータとしてだけではなく、むしろそれ以外にもドライブトレインから運動エネルギを回収して電気エネルギに変換するためのジェネレータとしても導入できるようになっている。惰行期ならびに制動期にこの電気機械を利用して獲得される電気エネルギは、例えばバッテリ配列またはコンデンサ配列などの電気エネルギ貯蔵装置に供給されて一時貯蔵できるようにしている。
【0015】
高いエンジン出力が引き出される運転状態においては、ジェネレータモードによって獲得された電気エネルギが、電気機械を作動させ、またそれによって過給機を駆動するために、または過給器の駆動を支援するために導入されるとよい。そのような電気式過給機または電気アシスト式過給機が、車両を定常運転状態からスムーズに加速するものであると、非常に有利である。従来のターボチャージャが、排気流中のエンタルピの増大には時間遅れを伴うことから、吹き上がり挙動に時間遅れを随伴するのに対して、電気式過給機または電気アシスト式過給機は、電気機械から電気エネルギが自発的に使用に供されることによって、低回転数域から定格回転数へとほぼ遅延時間なしで加速することができる。
【0016】
本発明にしたがった車両の実施形態においては、車両の運動エネルギが制動期および惰行期の間に制動エネルギの回生という形で電気エネルギに変換されて、それにより再び回収することができるという上述の長所のほかにも、この電気エネルギを利用して、特に加速期の間には、電気駆動式過給機がその定格運転点に自発的に吹き上がることができるようにすることによって、車両の加速度を高効率で上昇させることが可能となる。それによりさらに、ベースエンジンである内燃機関の排気量を、優れた応答特性をそのまま維持した上で、またはいわんや応答特性を一部改善した上で、低減することが可能となり、その結果、車両の効率はさらに向上されることになる。
【0017】
本発明にしたがった車両のこの実施形態の本質的な長所はほかにも、一つの同じ電気機械が車両の運転状態に応じてジェネレータモードのためにもモータモードのためにも利用されることにより、システムコストが低減される点にある。これは単に、当該運転状態―一方では惰行運転および/または制動運転、他方では加速または定速走行―が、絶対に同時には出現しないという理由から可能になるに過ぎない。
【0018】
本発明の展開構成例においては、(機能面で見て)電気機械と過給機との間に第1の機械クラッチ装置が備えられるが、これは、電気機械のロータが過給機の駆動軸から切り離された状態にある切断状態か、もしくはトルクが伝達されるように電気機械と過給機とが連結された状態にある接続状態をとることができるようになっている。
【0019】
電気機械を車両のドライブトレインに断続するために、機能面で見て電気機械とドライブトレインとの「間」には、同じく切断状態もしくは接続状態をとることができる第2のクラッチ装置が備えられるとよい。切断状態にあるときには、電気機械はドライブトレインから切り離される。逆に接続状態にあるときには、電気機械は車両のドライブトレインに連結されている。それにより惰行期ならびに制動期には、車両の運動エネルギの回生が可能となる。電気機械は、その設備容量に応じて、第2クラッチ装置が接続状態にあるときには、車両の縦列駐車のために、エンジンの駆動アシストとして、またはいわんや純電気走行のために、導入することができる。
【0020】
そのためにドライブトレイレンは、変速装置、たとえばチェーンドライブ、ベルトドライブ、歯車段、またはその類、ならびに第2クラッチ装置を介して、電気機械に連結されるとよい。
【0021】
上述の二つのクラッチ装置に追加して、エンジンをドライブトレインに断続できるようにするための、第3の機械式クラッチ装置が備えられるとよい。この第3クラッチ装置を「切断」することにより、エンジンは、例えば惰行期ならびに制動期にはドライブトレインから切り離されるとよいが、これは回生効率に有利に作用する。純電気走行が行われる運転状態、すなわちドライブトレインが上述の電気機械またはそれとは別の車載電気機械により駆動される運転状態にあるときにも、この第3クラッチを切断することによりエンジンが切り離されると有利であるが、なぜならそれによりエンジンのドラグトルク損失が回避されるからである。「オプション式」に切り替え可能なこれらのクラッチ装置により、「ジェネレータモータ」の必要に応じたオンオフを可能としている。
【0022】
機械式クラッチ装置は、例えば電気式、電磁式、油圧式、またはその他の方法で動作制御可能な、もしくは閉ループ制御可能なクラッチであるとよい。中でも優先されるのは、素早い応答能力と耐摩耗性から、電磁式クラッチである。しかし基本的には、トルクの断続を可能にするものであれば、他の装置も検討対象となる。例えば二つのクラッチの機能を、プラネタリギヤセット式伝動装置を利用して有利に具現することもできる。
【0023】
電気機械は例えば、非同期機であるか、または可変リラクタンス型の電気機械であるとよい。特にこれについては、電気機械が調速式の電気機械であるとよいが、それには、電気機械の出力、ひいては「過給機出力」を、運転者により実際に要求される駆動出力に応じて制御可能であるという長所がある。あるいはその代わりに、またはそれに補足して、過給機と電気機械との間に、段階的に切換え可能な変速ユニットまたは無段変速ユニットが備えられるようにしてもよい。
【0024】
本発明の別の展開構成例においては、二段階または多段階の過給が予定されている。これとの関連で、少なくとも一つの過給機を「第2過給機」と呼ぶ。この第2過給機に追加して、同様にエンジンに供給される空気の圧力を上昇させるように備え付けられた第1過給機が備えられている。第1過給機は、第2過給機に対して「並列」に配置されても、または第2過給機の上流側に直列に配置されてもかまわない。後者の場合第2過給機は、吸気の圧力を第1過給機により発生された第1の圧力レベルから一段と高い第2の圧力レベルへと上昇させる「高圧過給機」である。「複合過給システム」である場合は「低圧過給機」とも呼ばれる第1過給機も同様に、ターボチャージャであるとよい。
【0025】
要約すると本発明により次の長所が達成される。
‐効果的でしかも効率的な電気式もしくは電気アシスト式「ブースト機能」(エンジンの駆動アシスト)を簡単に具現可能、エンジン応答挙動の最適化
‐ジェネレータ機能および電気「ブースト」機能を具現するためのシステムコスト(コンポーネント点数、コスト、取付け空間)を、電気機械の多重利用により低減
‐複合システムの自由なスケーラビリティ
‐静的または動的走行性能に支障を来さずに燃料消費量を大幅に低減する、駆動系全体のエネルギ面での最適化
‐電気走行機能を簡単に具現可能
以下では、本発明を図面に関連づけて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にしたがった車両の基本原理を示す概容図である。
【図2】いわゆるローエンドトルク運転域内の定常走行の運転状態を示す図である。
【図3】いわゆるローエンドトルク運転域外の定常走行の運転状態示す図である。
【図4】いわゆるローエンドトルク運転域内の加速走行の運転状態を示す図である。
【図5】いわゆるローエンドトルク運転域外の加速走行の運転状態を示す図である。
【図6】惰行運転もしくは減速走行の運転状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図中で使用されるEMGは「electromotor-generator(モータジェネレータ)」の略語であり、車両の少なからぬ運転状態においてはジェネレータとして、車両がそれとは別の運転状態にあるときにはモータとして作動可能な、本発明にしたがって実施される電気機械を表している。
【0028】
図1には、車両1の駆動コンセプトが示されるが、その一次駆動装置は、ここに示される実施例においては前輪3、4により定義される前車軸まわりに配置される内燃機関(エンジン)2からなっている。エンジンのクランクシャフト5は、以下では「第3クラッチ」とも呼ばれるクラッチ6を介して変速機8の入力7に連結されている。変速機の出力は、プロペラシャフトを介して終減速装置11の入力10に連結されており、終減速装置11はドライブシャフト12、13を介して駆動出力を後輪に分配する。
【0029】
エンジン2には二段階過給配列が配置されている。この過給配列は、周囲空気17を吸入して予備圧縮する低圧ターボチャージャ16を有している。予備圧縮された空気18は、高圧過給機19によりさらに圧縮されて、エンジン2の吸気系に供給される。低圧ターボチャージャ16は、ここには詳細には図示されないタービンホイールを有しているが、これはエンジン2の吸気系に配置されて(同様に図示されない)コンプレッサホイールを駆動するようになっている。
【0030】
高圧過給機19は、同様にターボチャージャであるか、もしくは従来の流れ圧縮機またはスーパーチャージャであるとよい。高圧過給機19の過給機軸20は、以下では「第1クラッチ」とも呼ばれるクラッチ21を介して電気機械22に連結できるようになっている。電気機械22は、バッテリ配列またはコンデンサ配列であるとよい電気エネルギ貯蔵装置22に電気接続されている。したがって電気機械のロータ24は、第1クラッチ21を介して高圧過給機19に回転連結できるようになっている。あるいはその代わりに、またはそれと同時に、ロータ24は、以下では「第2クラッチ」とも呼ばれるクラッチ25、ならびに変速段26を介して「ドライブトレイン」に、すなわちここに示されている実施例においては変速機8の入力軸7に連結されるとよい。
【0031】
図2には、(ローエンドトルク運転域内の)高負荷・低回転数時の運転状態「定常走行」が示されている。峠道の走行は、その典型的な状況の一例である。この状態にあるときには、三つのクラッチ6、21および25が接続されている。このときには電気機械22を「バイパス」することができる、すなわち電気機械22はパッシブな状態にあるとよい。あるいはその代わりにドライブトレインは、電気機械22を介して過給機19に連結されていてもかまわない。エンジン2から送られるトルクは、第3クラッチ6、変速機8、および終減速装置11を通り後輪14、15に流れる。エンジン2により発生される出力の一部は、分岐されて変速段26を通り、さらにクラッチ25および21を通り高圧過給機19を(機械的に)駆動するために使用される。したがってエンジン2は、この運転状態においては、ターボチャージャ16による、すなわちエンジンの排気流のエネルギによる過給とあわせ、高圧過給機19を駆動するエンジン2自体により発生される機械的出力の一部によっても過給されることになる。
【0032】
図3には、(ローエンドトルク運転域外の)高負荷・高回転数時の定常走行の運転状態が示されている。この運転状態では、第1および第2クラッチ21、25がいずれも切断されている。第3クラッチ6は接続されている。この運転状態においては、エンジンの回転数が十分に高いために、運転者により要求されるエンジン出力を、低圧ターボチャージャ16によるエンジンの過給だけで既に発生することができる。高圧過給機19は、この運転状態においてはパッシブな状態にある、すなわち、不動化されているとよい。
【0033】
図4には、低回転数で高負荷が要求されるときの、すなわちローエンドトルク運転域内での加速走行の運転状態が示される。この運転状態では第1クラッチ21が接続されて、第2クラッチ25が切断されているが、第3クラッチ6は同様に接続されている。この運転状態においてはエンジン2が低圧ターボチャージャ16と高圧過給機19とにより二段階で過給される。高圧過給機19は、この運転状態においては、エネルギ貯蔵装置23から電気エネルギを供給される電気機械22により電気的に駆動される。
【0034】
図5には、高回転数・高負荷時の加速走行の運転状態(ローエンドトルク運転域外の加速走行)が示されている。この運転状態ではクラッチ21、25が両方とも切断されており、第3クラッチ6が接続されている。したがって高圧過給機19は、電気機械22によっては駆動されない。必要な過給性能はむしろ低圧ターボチャージャ16だけからもたらされるようになっている。
【0035】
図6には、「回生」運転状態が示されているが、このときにはクラッチ21および6が切断され、クラッチ25が接続されている。このためエンジン2は、ドライブトレインから切り離されている。この惰行運転または制動運転中に変速機入力軸7に生じる出力は、変速段26とクラッチ25とを介して、このときにはジェネレータとして作動する電気機械22に供給される。発生された電気エネルギは、続いて電気貯蔵装置23に一時貯蔵される。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
2 内燃機関(エンジン)
3 前輪
4 前輪
5 クランクシャフト
6 第3クラッチ
7 入力/入力軸
8 変速機
9 出力
10 入力
11 終減速装置
12 ドライブシャフト
13 ドライブシャフト
14 後輪
15 後輪
16 低圧ターボチャージャ
17 周囲空気
18 予備圧縮空気
19 高圧過給機
20 過給機軸
21 第1クラッチ
22 電気機械
23 電気エネルギ貯蔵装置
24 ロータ
25 第2クラッチ
26 変速段
EMG モータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐ 車両のドライブトレイン(7〜13)を駆動するように備え付けられた内燃機関(2)と、
‐ 前記内燃機関(2)に供給される空気の圧力を上昇させるように備え付けられた少なくとも一つの過給機(19)と、
‐ 前記過給機(19)にトルクが伝達されるように連結可能な、もしくは連結されている、前記過給機(19)を駆動するように、もしくは前記過給機(19)の駆動を支援するように備え付けられた電気機械と
を有する車両(1)において、
前記ドライブトレイン(7〜13)が、前記電気機械(22)にトルクが伝達されるように連結可能である、もしくは連結されていることを特徴とする、車両。
【請求項2】
前記ドライブトレイン(7〜13)が前記電気機械(22)を介して前記過給機(19)に、トルクが伝達されるように連結可能であることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記ドライブトレイン(7〜13)が、前記電気機械(22)をバイパスして、前記過給機(19)にトルクが伝達されるように連結可能であることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記過給機(19)と前記電気機械(22)との間に、少なくとも切断状態もしくは接続状態をとることができる第1のクラッチ装置(21)が備えられ、その際、前記第1クラッチ装置(21)が前記切断状態にあるときには、前記電気機械(22)が前記第1クラッチ装置(21)により前記過給機(19)から切り離されており、また前記第1クラッチ装置(21)が前記接続状態にあるときには、前記電気機械(22)が前記第1クラッチ装置(21)により前記過給機(19)に連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記ドライブトレイン(7〜13)と前記電気機械(22)との間に、少なくとも切断状態もしくは接続状態をとることができる第2のクラッチ装置(25)が備えられ、その際、前記第2クラッチ装置(25)が前記切断状態にあるときには、前記ドライブトレイン(7〜13)が前記第2クラッチ装置(25)により前記電気機械(22)から切り離されており、また前記第2クラッチ装置(25)が前記接続状態にあるときには、前記ドライブトレイン(7〜13)が前記第2クラッチ装置(25)により前記電気機械(22)に連結されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
前記ドライブトレイン(7〜13)と前記電気機械(22)との間に変速装置(26)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記変速装置(26)がチェーンドライブおよび/またはベルトドライブおよび/または少なくとも一つの歯車段を有することを特徴とする、請求項5に記載の車両。
【請求項8】
前記少なくとも一つの過給機(19)が、スーパーチャージャ、特にコンプレッサとして製作されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記少なくとも一つの過給機(19)が、ターボチャージャとして製作されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
少なくとも一つの過給機(19)が、流れ圧縮機として製作されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項11】
前記少なくとも一つの過給機(19)が第2の過給機であり、さらにそれに追加して、同様に前記内燃機関(2)により吸入される空気の圧力を上昇させるように備えられる第1の過給機(16)が設けられることを特徴とする、請求項1〜10に記載の車両。
【請求項12】
前記第2過給機(19)が、前記吸入空気の圧力を、前記第1過給機(16)により発生された第1の圧力レベルから、それよりも一段と高い第2の圧力レベルに上昇させる高圧過給機であることを特徴とする、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記第1過給機(16)がターボチャージャであることを特徴とする、請求項11または12に記載の車両。
【請求項14】
前記吸入空気の流れの向きで前記第1過給機の下流側に、前記吸入空気の少なくとも一部が前記第2過給機をバイパス可能であるように、バイパスが配置されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の車両。
【請求項15】
前記内燃機関(2)が第3のクラッチ装置(6)により前記ドライブトレイン(7〜13)の前記内燃機関とは反対側の部分に連結可能であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の車両。
【請求項16】
前記第1クラッチ装置および/または第2クラッチ装置および/または第3クラッチ装置が電磁クラッチであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の車両。
【請求項17】
前記電気機械との電気接続部にさらに、電気エネルギを貯蔵するための電気エネルギ貯蔵装置(22)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の車両。
【請求項18】
少なくとも一つの過給機(19)から空気が送り込まれる内燃機関(2)によりドライブトレイン(7〜13)を介して駆動される車両(1)の運転方法であって、前記過給機(19)を、少なくとも前記車両(1)の第1の運転状態の間、特に前記車両の加速の間は、電気機械(22)により駆動する、方法において、
少なくとも前記車両(1)の第2の運転状態の間、特に前記車両の惰行運転および/または制動運転の間は、前記電気機械(22)を前記ドライブトレイン(7〜13)にトルクが伝達されるように連結して、前記第2の運転状態の少なくとも一部の時間にわたり、前記電気機械をジェネレータモードで作動させることを特徴とする、方法。
【請求項19】
少なくとも前記車両の第3の運転状態の間、特に前記内燃機関のエンジン回転数が低い状態で前記車両が定速走行する間は、前記過給機(19)を前記ドライブトレイン(7〜13)にトルクが伝達されるように連結して、前記電気機械(22)により、または前記電気機械(22)をバイパスして、前記ドライブトレイン(7〜13)により、機械的に駆動することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記車両の第4の運転状態の間、特に定速走行および/または加速の間は、前記電気機械(22)を前記車両(1)の前記ドライブトレイン(7〜13)にトルクが伝達されるように連結して、前記ドライブトレイン(7〜13)を、少なくとも前記第4の運転状態の一部の時間にわたり、前記電気機械(22)だけにより、または前記電気機械(22)により支援して駆動することを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−530876(P2012−530876A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516755(P2012−516755)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059040
【国際公開番号】WO2011/009693
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】