説明

配信システム、センター装置、及び車載器

【課題】階層構造の画面遷移をたどらなくても他のコンテンツを表示させることにより操作性を向上する。
【解決手段】車載器と、前記車載器と無線通信で接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、前記センター装置は、前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを示す識別情報を配信し、前記車載器は、前記識別情報に基づいて前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた前記情報コードを含むか否かを判断する判断手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム、センター装置、及び車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、地域情報(例えば周辺の店舗や医療機関の情報)や広告情報等の各種コンテンツを配信するのである。
【0003】
また、前記車載器では、路側無線装置から配信された各種コンテンツを記憶することにより、路側無線装置と通信できず受信時にコンテンツの再生ができない環境においても当該各種コンテンツを再生することが可能になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−109032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記車載器には多くのコンテンツが配信されるため、前記車載器は多数のコンテンツを記憶することとなる。車載器においては、例えば配信される多数のコンテンツが階層構造で構成されている場合、ユーザは自己が所望するコンテンツを表示させるためには、階層構造の画面遷移を辿って当該コンテンツを表示させることが検討されている。
【0005】
階層構造の画面遷移をさせるためには、コンテンツに対して遷移先コンテンツを特定するコードを指定しておく必要があり、当該指定されたコードをもとに階層をたどる場合、一つの階層構造の画面遷移しか実現できないことになる。
【0006】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、階層構造の画面遷移をたどらなくても他のコンテンツを表示させることにより操作性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車載器と、前記車載器と無線通信で接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記センター装置は、前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを示す識別情報を配信し、
前記車載器は、
前記識別情報に基づいて前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた前記情報コードを含むか否かを判断する判断手段と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれるか否かが判断される前記情報コードは、当該コンテンツを構成する汎用的なデータ領域に含まれる詳細情報データに格納されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
コンテンツを記憶及び再生することのできる車載器と無線通信で接続される路側無線装置を介して接続されたセンター装置であって、
前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを示す識別情報を配信することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
路側無線装置と無線通信で接続され、前記路側無線装置を介してセンター装置から配信されるコンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを識別する識別情報を受信する車載器であって、
前記識別情報に基づいて前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた前記情報コードを含むか否かを判断する判断手段を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれるか否かが判断される前記情報コードは、当該コンテンツを構成する汎用的なデータ領域に含まれる詳細情報データに格納されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の発明において、
表示手段と、
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれると判断された前記情報コードの指定を受けつけ、当該指定された情報コードに対応する前記コンテンツを前記表示手段に表示させる制御手段と、
を更に備えることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記制御手段は前記判断手段によって前記情報コードを含むと判断された前記コンテンツを前記表示手段に表示させ、当該コンテンツに含まれる前記情報コードの指定を受け付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、階層構造の画面遷移をたどらなくても他のコンテンツを表示させることができるようになり、画面遷移の際の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように、車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成される。センター装置30は路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツを配信する。
路側無線装置20は路上や駐車場等に複数設置され、各路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続されている。路側無線装置20と、車両Cの車載器10とは無線通信が可能である。
【0016】
なお、コンテンツとは、データ形式等の詳細は後述するが、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音声情報等)の他、コンテンツを提供する事業者に関する情報、コンテンツの有効期限の情報(例えば、有効期限の開始と終了の日時)、サービスを提供可能な対象地点の情報(例えば、広告している店舗の地点を示す緯度経度や店舗名等)が含まれる。例えば、位置情報を含むコンテンツであれば緯度経度情報も格納されているが、コンテンツに位置情報が含まれなければ緯度経度情報は必要がなく、当該位置情報を示すデータ領域には情報は格納されない。
他にも、コンテンツとして、当該コンテンツの通知を行うためのポップアップを行うべき再生地点(例えば、ポップアップの再生地点を示す緯度経度、ポップアップを再生する道路種別や車両の進入方向を指定する情報等)、コンテンツの表示画面の遷移情報(次に表示する画面を指定する情報等)、嗜好情報等を含む情報が格納されていてもよい。
【0017】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は、道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して、路側無線装置20近傍に路側エリアZを形成する。この路側エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置20と車載器10間の狭域無線通信を路車間通信という場合がある。
【0018】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20がそれぞれ形成する路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0019】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツを車載器10へ転送する。本体装置20aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【0020】
車載器10は、車両Cに搭載され、案内経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electronic Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、通信モジュール2、DSRC部3、制御部4を備えて構成されている。
【0021】
制御部4は、制御手段として機能し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、路側無線装置20との路車間通信を行う際にはDSRC部3の通信動作を制御する。なお、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。また、DSRC部3を介してセンター装置30から受信したコンテンツの保存、再生制御等を行う。
【0022】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f等を備えて、車両Cを案内経路へ誘導するための処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図情報等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの案内経路を算出する。そして、地図記憶部1cに記憶されている地図情報を用いて算出した案内経路へ誘導するための地図画面を生成し、表示部1eにより表示させる。
【0023】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車の加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行い、車両の絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両の現在地を示す現在地情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0024】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図情報、通信モジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。
【0025】
入力部1dは、操作キーや表示部1eと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、制御部4に出力する。
表示部1eは、表示手段として機能し、モニタを備え、制御部4の制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツの表示画面等である。
【0026】
記憶部1fは、メモリ等から構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
また、記憶部1fは、センター装置30に提供するアップリンク情報を記憶するとともに、センター装置30から受信したコンテンツを記憶する。ユーザがコンテンツの配信について契約をした配信事業者(以下、正規の配信事業者という。)が複数ある場合には、アップリンク情報は各配信事業者に応じた内容で制御部4によりそれぞれ生成され、記憶部1fに記憶される。アップリンク情報は最新の内容となるように制御部4が常に更新を行って記憶部1fに保存させる。アップリンク情報の詳細については後述する。
【0027】
通信モジュール2は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、通信センターと光通信、FM通信、電波通信を行う。通信モジュール2は通信センターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。通信センターとしてはVICSセンター等を挙げることができるが、これに限らず、また、通信センターから受信する情報としては、渋滞情報や道路交通情報に限らない。
なお、通信モジュール2は他にもWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等のDSRC以外の通信手段を使用することにより、インターネット等の情報を入手することもできる。
【0028】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツを受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0029】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツを受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツを受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0030】
通信部3bは、例えば車両Cのダッシュボード上でフロントガラス近傍等の位置に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0031】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に対してユーザが欲する情報を提供するためのアップリンク情報専用に設けられた記憶領域であり、アップリンク情報の他、車載器10の特性情報が記憶される。
【0032】
アップリンク情報とは、センター装置30においてどのような内容のコンテンツを配信するかを決定する際に用いられる情報である。アップリンク情報は、サービス事業者ごとに作成され、車両Cが立寄った地点や、車載器10のユーザの嗜好情報、次回来店時の特典等を個別に配信するなどの多目的な情報を扱うための会員情報等が含まれる。サービス事業者は、これらの情報をもとに車載器10に配信するコンテンツを決定することとなる。
【0033】
特性情報とは、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10の車載器ID、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、車載器10が対応できる著作権管理技術、表示部1eのディスプレイの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、コンテンツを蓄積可能な記憶容量等の情報が含まれる。なお、車載器IDは各車載器10に固有の識別情報である。
【0034】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eの間で情報のやりとりを仲介する。
【0035】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、コンテンツを記憶し、これを路側無線装置20を介して車載器10に配信する。
なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、コンテンツを配信する配信事業者は複数あり、センター装置30は配信事業者毎に備えられるものである。また、図1ではセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されている例を示したが、センター装置30の一部の機能を路側無線装置20が所有していてもよい。この場合、複数の路側無線装置20が保持するセンター装置30の機能を管理するサーバとしてのセンター装置30が存在し、当該サーバとしての役割を果たすセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されていてもよい。
【0036】
図4に、センター装置30の機能的構成を示す。
図4に示すように、センター装置30は制御部31、入力部32、表示部33、記憶部34、通信部35を備えて構成されている。
【0037】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、記憶部34に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、制御部31は記憶部34に保存されているコンテンツを読み出して編成したり、編成したコンテンツの配信制御を行う。なお、編成とは配信するコンテンツを選択し、選択したコンテンツを図5及び図6に示す配信用のフォーマットに合わせてデータを構築することを言う。
【0038】
入力部32は、キーボード等を備えて操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部31に出力する。
表示部33はディスプレイを備え、制御部31の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0039】
記憶部34は、制御部31により実行されるプログラムの他、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。また、記憶部34は配信すべきコンテンツを記憶している。コンテンツは複数の項目に分類されている。以下、コンテンツの詳細について説明する。
【0040】
図5は、センター装置30から配信されるコンテンツのデータ構造の一例について示す説明図である。図5に示すように、センター装置30からは一時に複数の情報グループが配信され、車載器10では複数の情報グループを受信して、再生又は記憶部1fに蓄積することとなる。
ここで、図5における情報グループ1、2、・・nのそれぞれが1つのコンテンツであり、車載器10においてはコンテンツを単位として再生処理が行われる。
【0041】
図5に示すように、1つのコンテンツは、内容により分類された複数の要素で構成される。各構成要素はID番号(00、01、・・等)と当該ID番号に対応して格納される実データからなる。図5において、情報グループ1を構成するコンテンツには、ID00(ID番号が“00”であることを示す、以下同じ)、ID01、ID02、ID03、ID04、ID05、ID10、ID30で規定される情報が含まれていることを示している。
【0042】
図6に、コンテンツのフォーマットの一例を示す。
図6に示すように、コンテンツには、個々にIDが付された情報、例えばID構成情報、事業者、コンテンツ、有効期限、提供時間、対象地点、情報提供地点、遷移情報、詳細情報、嗜好データ等が含まれている。
【0043】
ID00のID構成情報は、コンテンツに含まれる各情報の識別番号の一覧を示す情報である。このID構成情報中の各情報の識別番号の有無を確認することにより、当該各情報が存在するか否かを即時に判断することが出来る。
【0044】
識別番号は、コンテンツに含まれる各情報の分類を示す。
また、識別番号は、ID00〜ID255まで割り振られており、例えばID10は対象地点、ID40は詳細情報であることを示す。
なお、コンテンツに含まれる各IDに対応する情報にはヘッダ情報(図示せず)が含まれており、各IDに含まれている情報量を示す情報バイト等、各IDに対応する内容を示す情報やフラグ等がヘッダ情報として格納されている。
以下、識別番号に対応する各情報について説明する。
【0045】
ID01の事業者は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えばサービス事業者に一意に付与されたサービス事業者コード等である。
ID02、ID03のコンテンツはコンテンツに関する詳細な情報であり、例えば当該コンテンツの情報提供元を特定することのできる企業コード、サービス事業者がコンテンツに対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツの内容を示すための情報表示用テキスト、コンテンツが属する嗜好データのカテゴリ、再生を即時に行うか蓄積するかを示す即時/蓄積コード等である。
他にも、企業コードに対応する企業を通知するテキスト等をID02のコンテンツとして格納してもよい。
【0046】
情報コードは先述の通り、コンテンツに割り当てられたコードであり、コンテンツを識別することができる。また、本実施の形態における配信システム100では、配信済みのコンテンツと同様のコンテンツをセンター装置30が送信する場合は、基本的に同一の情報コードを使用する。つまり、あるコンテンツの内容が新しく更新された場合は、同一の情報コードを付して当該更新されたコンテンツを車載器10に対して配信することにより、車載器10では、古いコンテンツに対して新たなコンテンツを上書きすることができる。例えば、車載器10が1月20日にある場所でコンテンツを受信し、その中に有効期限(ID40の有効期限を示す)が2月1日となっているコンテンツの情報コードが「025」であったとする。その後、2月20日にある場所で当該車載器10がコンテンツを受信し、その中に有効期限が3月1日であり、先に1月20日に受信した内容と同様のコンテンツを受信したとすれば、センター装置30は同一の情報コードである「025」を付与して配信することになる。
【0047】
ID04の有効期限はコンテンツの再生についての有効期限を示す情報であり、有効期限の開始時期及び終了時期を示す日時で表される。
ID05の提供時間は後述する対象地点においてサービスを提供できる営業時間等の情報である。
【0048】
ID10の対象地点とはサービスの提供を行う店舗や施設等をいい、対象地点の情報としては、例えば対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)が含まれる。対象地点座標が存在しないコンテンツの場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
対象地点座標が存在するコンテンツの場合は、他にも対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、例えば対象地点の説明等に係るコンテンツであるテキスト、画像、音声等や、対象地点の情報をIP通信により提供する際のURL、対象地点を地図上に表示する際に使用されるアイコン画像、提携駐車場情報等からなる。なお、対象地点が存在しないコンテンツの場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
【0049】
ID20の情報提供地点の情報はコンテンツを再生させたい情報提供エリアに関する情報である。蓄積されたコンテンツについては、情報提供エリア内にある道路である方向から車両Cが進入した際にコンテンツがあることを通知するポップアップ通知を行い、そこで再生の指示がなされるとコンテンツの再生を行う。ID20の情報提供地点は、このときのポップアップ通知やコンテンツ再生等を行う際の条件を指定する情報である。例えば、情報提供エリアの中心座標(緯度経度)、半径、車両Cの進入方向を示す方向コード、道路種別、ポップアップ通知用の表示画像、音声等からなる。つまり、実際にポップアップされてユーザに通知される内容はID20の表示画像や音声等のデータである。
【0050】
ID30の遷移情報は、各コンテンツの画像を遷移させて表示する場合に用いる情報である。遷移情報は、例えば次の遷移先の情報コードを示す次再生情報コード等からなる。ID30の情報はID10の対象地点情報と関連する。詳細は以下説明する。
【0051】
図7を用いて、ID10、ID30の情報について説明する。図7に示す各画面C1、C2、D1〜D6において、C1及びC2は車載器10側で保持している画面であり、D1〜D6は、配信されたコンテンツに基づいて車載器10において表示される画面遷移例である。ここでは、1つのコンテンツは1つの画面に対応する。画面D1〜D6は、コンテンツのID30の次再生情報コードが参照されることにより画面遷移する。
画面C1は、メニュー画面であり遷移先が3つある。画面C1において「entertainment」が選択されると、サービス事業者(配信事業者)の一覧を示す画面C2に遷移する。画面C2には遷移先が4つある。画面C2において1つの配信事業者が選択されると、選択された配信事業者のコンテンツを示す画面D1に遷移する。
【0052】
画面D1には遷移先が4つある。つまり、画面D1に対応するコンテンツにはID30の次再生情報コードが4つ格納されていることになる。画面D1において「くらし情報」が選択されると、「くらし情報」に対応する次再生情報コードが参照され、当該次再生情報コードとID02の情報コードが一致するコンテンツである画面D2に遷移する。以下の画面遷移においても同様に、ID30の次再生情報コードと一致するID02の情報コードをもつコンテンツが表示されるよう、処理が行われることになる。
画面D2には遷移先が3つある。画面D2において「医療・病院」が選択されると、医療・病院の一覧を示す画面D3に遷移する。画面D3には遷移先が2つある。画面D3において「休日診療病院一覧」が選択されると、休日診療病院の一覧を示す画面D4に遷移する。画面D4には遷移先が7つある。画面D4において「小児科」が選択されると、小児科の病院一覧を示す画面D5に遷移する。画面D5には遷移先が4つある。画面D5において1つの小児科病院が選択されると、選択された小児科病院の情報を示す画面D6に遷移する。画面D6には遷移先がない(つまりID30の次再生情報コードにはデータがない)が、ID10の対象地点情報がある。
【0053】
ID40の詳細情報は、当該コンテンツに関する詳細な情報が格納され、汎用的な利用をすることができる。
コピーコントロールフラグは、車載器10がコンテンツを受信した際に詳細情報データをアップリンク情報の会員情報に書き込むか否かを示すフラグである。コピーコントロールフラグがオン(値が「1」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報の会員情報に書き込み、コピーコントロールフラグがオフ(値が「0」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報の会員情報に書き込まないよう制御されることになる。
したがって、コピーコントロールフラグがオンになっている場合は、詳細情報データには会員情報が格納されていることになるので、上記の例では情報内容フラグは「2」の値をとることになる。
【0054】
情報内容フラグは、詳細情報データの内容の種別を示すための識別情報である。本実施の形態においては、情報内容フラグが「0」の場合は詳細情報データに情報コードが格納されていることを示し、「1」の場合は詳細情報データに串刺し検索コードが格納されていることを示す。串刺し検索コードとは、当該コンテンツの種類を識別するためのコードである。例えば、サービス事業者が、串刺し検索コードが「00001」であれば、当該コンテンツはクーポンの情報であることを示し、「00002」であれば当該コンテンツは新着情報であること等を示すことを設定すれば、車載器10はその串刺し検索コードを用いてコンテンツを検索することが可能である。情報内容フラグが「2」の場合は詳細情報データに会員情報が格納されていることを示す。
【0055】
詳細情報データは、情報コード、串刺し検索コード、会員情報等が格納される。他にも、当該コンテンツの内容の説明をするためのテキスト情報等が格納されてもよい。
表示用文字データは、サービス対象地点や画面遷移の案内を行う情報や、検索のための検索用語等、表示部1eに表示させてユーザを補助するための情報である。表音文字列は音声によってユーザに伝達するための情報を格納している。
なお、表示用文字データや表音文字列は、通常詳細情報データに関連するものである。
【0056】
図8に、ID40の詳細情報のデータ形式を詳細に示す。
本実施の形態においては、図8に示すように1つのコンテンツにつき、ID40の詳細情報を8つまで格納することができる。つまり、ID40に対応するデータ領域には、図8に示す詳細情報1〜8が格納されており、使用しない詳細情報にはデータは格納されない。例えば、ID40の詳細情報のうち、詳細情報1〜3のみ使用したい場合には詳細情報4〜8にはデータは格納しないことになる。
【0057】
ID80の嗜好データは、配信するコンテンツの選択のために用いられる情報である。嗜好データは、例えば嗜好情報のバージョン、そのバージョンで定められているカテゴリの名称を示す表示用テキスト、表音文字列、カテゴリの詳細情報等からなる。
【0058】
コンテンツは上記各IDの情報を含めて予め作成されたものを記憶部34に保存しておき、配信時には、これらのコンテンツのうち配信するコンテンツを制御部31が選択する。なお、各IDの情報は必要に応じてコンテンツに含められ、常に全てのIDの情報がコンテンツに含まれているわけではない。例えば、対象地点において提携指定されている提携駐車場が無ければ、ID10の対象地点に提携駐車場情報は含まれないことになる。
【0059】
次に、動作について説明する。
図9に、コンテンツを配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の各装置における処理の流れを示す。
図9に示すように、まず車両Cのエンジンが起動し、車載器10の電源が投入されると(ステップS1)、車載器10の特性情報を生成し、記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに書き込まれる(ステップS2)。特性情報は、予めセンター装置30との間で取り決められている項目について制御部4が表示部1e等の各部に問い合わせて取得したり、予め記憶部1fに記憶されている情報を読み出す等して取得する。そして、取得された情報を制御部4がコード化し、アップリンク情報記憶領域Mの対応する領域に当該コードが書き込まれる。なお、実際には書込を指示する制御情報がDSRC制御部3aに出力され、このDSRC制御部3aがアップリンク情報記憶領域Mに書き込まれる。
【0060】
その後、車両Cが走行を開始し、路側無線装置20の路側エリアZに進入すると(エリアイン)、路側無線装置20は車両Cを検出し、車載器10のDSRC部3とDSRC通信による接続処理が開始される(ステップS3a、S3b)。すなわち、DSRCの電波が送出され、車載器10からの応答が得られると、通信路が確立される。通信路が確立されると、路側無線装置20はセンター装置30に対し接続が完了した旨の通知情報が送信される(ステップS4a)。一方、車載器10のDSRC部3から制御部4に対し接続が完了した旨の通知情報が出力される(ステップS4b)。なお、DSRC接続時には、車載器10の記憶部3c等に記憶されている車載器10を識別するための車載器IDがセンター装置30に対して送信されている。
【0061】
次いで、路側無線装置20から車載器10のDSRC部3に対し、特性情報の送信要求が行われると、DSRC部3から記憶部3cに書き込まれている特性情報が路側無線装置20に送信される(ステップS5)。特性情報は路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される。
センター装置30では、DSRC接続時に取得される車載器ID等をもとに、車載器10のユーザが配信サービスの会員か否かが判断される(ステップS6)。
【0062】
記憶部34に記憶されている配信サービスの全会員の車載器IDのうち、受信した車載器IDと一致するものがなく、非会員であると判断されると(ステップS6;N)、非会員用のコンテンツが路側無線装置20を介して車載器10に送信される(ステップS61)。その後、図10に示すステップS16の処理に移行する。なお、非会員用のコンテンツとは、電車の遅延情報、納税通知情報等の公共の広告情報や、入会を促す情報や迷惑(スパム)とは成り得ない程度の民間の広告情報等の一般向けの内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツは保存又は再生される(ステップS11)。保存されたコンテンツは所定のタイミングで再生されることとなる。
一方、一致する車載器IDがあれば会員であると判断され(ステップS6;Y)、配信事業者のサービス事業者コードの通知情報が路側無線装置20に送信される(ステップS7)。なお、ステップS7においては、サービス事業者コードと共に他の情報(例えば、Welcome画面を表示部1eに表示させるためにID10を配信する等)のコンテンツを含むようにしても良い。
【0063】
路側無線装置20を介してサービス事業者コードの通知情報が受信されると、記憶部1fに記憶されているアップリンク情報に含まれるサービス事業者コードと、通知されたサービス事業者コードとが照合される(ステップS8)。一致するサービス事業者コードがない場合(ステップS8;N)、処理は何もされずエリアアウトを待つ。
【0064】
一致するサービス事業者コードがある場合(ステップS8;Y)、受信されたサービス事業者コードの配信事業者は正規の配信事業者であると判断され、当該サービス事業者コードに対応するアップリンク情報が記憶部1fから読み出され、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれる(ステップS9)。前述のようにアップリンク情報は各配信事業者に応じて生成され、更新が行われているので、配信事業者に応じた最新の内容となっている。
【0065】
一方、センター装置30によってデフォルトのコンテンツが路側無線装置20を介して車載器10に配信される(ステップS10)。デフォルトのコンテンツとは、主に公共の広告情報等のスパムとならない内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツが保存もしくは再生されることになる(ステップS11)。具体的には、受信したコンテンツのID03の即時/蓄積コードが蓄積を示していれば、当該コンテンツであれば記憶部1fに保存され、ID03の即時/蓄積コードが即時を示していれば、当該コンテンツは受信後所定のタイミングで再生されることになる。
また、センター装置30では車載器10に対し、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれたアップリンク情報の送信を要求する(ステップS12)。以降は、車載器がエリアアウトするまで(車載器との無線通信が途切れるまで)、センター装置30は車載器10に対し、定期的にアップリンク情報のポーリングを行う。
【0066】
DSRC部3は、アップリンク情報の書込が行われると、センター装置30からのポーリングに応じて、アップリンク情報記憶領域Mに記憶されているアップリンク情報が、路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される(ステップS13)。
【0067】
以降の処理については、図10を参照して説明する。
図10に示すように、センター装置30では、送信されたアップリンク情報より会員の趣向に適したコンテンツが編成され、当該コンテンツが車載器10に配信される(ステップS14)。車載器10では、配信された当該コンテンツは保存又は再生される(ステップS15)。
【0068】
その後、センター装置30が配信すべきコンテンツが全て配信されると、配信終了を通知するメッセージ情報が生成され、車載器10に対して送信され(ステップS16)、処理は終了する。なお、メッセージ情報の送信と共に、ユーザに対しエリアアウトを促しても良い。
【0069】
このように、センター装置30から配信されたコンテンツは車載器10の記憶部1fに保存もしくは所定のタイミングで再生されることになる。
図11(a)に、本実施の形態におけるコンテンツ表示画面G1の一例を示す。コンテンツ表示画面G1はコンテンツを再生させた際に表示部1eに表示される画面であり、画面遷移表示欄Ga1〜Ga8、画面遷移入力欄Gb1〜Gb8、詳細情報ボタンGc等から構成される。
【0070】
コンテンツ表示画面G1においては、コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツから画面遷移することができるコンテンツの情報が表示される。具体的には、コンテンツ表示画面G1は、当該コンテンツのID10の対象地点に格納された静止画データが表示され、当該静止画データに重畳して画面遷移入力欄Gb1〜Gb8、詳細情報ボタンGcが車載器10の制御部4によって描画され、表示されることになる。つまり、画面遷移表示欄Ga1〜Ga8はID10の対象地点に格納されている静止画データの一部であり、当該コンテンツからの画面遷移先のコンテンツに関する情報を示している。
画面遷移入力欄Gb1〜Gb8は、ID30の遷移情報に遷移情報が格納されている場合に、当該遷移情報より車載器10によって生成されるボタンである。図11(a)に示す例では、表示されているコンテンツの遷移情報が4つある例を示している。具体的には、画面遷移表示欄Ga1〜Ga8はそれぞれID30の次再生情報コードと対応していることになる。例えば、入力部1dから画面遷移表示欄Gb1を選択すると、画面遷移表示欄Ga1に対応する次再生情報コードのコンテンツに遷移することになる。
詳細情報ボタンGcは、後述する詳細情報表示処理によって車載器10によって描画されるボタンである。
【0071】
次に、車載器10において行われる詳細情報表示処理について説明する。
図12に、本実施の形態における詳細情報表示処理を示す。当該処理は、コンテンツ表示の指示が入力部1dから選択された際に、制御部4と記憶部1fに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される。
詳細情報表示処理では、コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツのID40の情報内容フラグが参照され、ID40の詳細情報データに情報コードが格納されていると判断された場合、詳細情報ボタンGcを描画し、当該詳細情報ボタンGcが選択された際には、当該情報コードに対応するコンテンツに画面遷移させるためのボタンを表示させる。
なお、当該処理により、制御部4は判断手段として機能する。
【0072】
図12に示すように、コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツにID40の詳細情報が含まれており、当該ID40の情報内容フラグが情報コードを示しているか否かが判断される(ステップS1201)。具体的には、ID40の詳細情報が含まれているコンテンツの詳細情報1〜8のいずれかの情報内容フラグが情報コードを示しているか否かによって判断される。なお、ステップS1201ではさらに情報内容フラグが情報コードを示している詳細情報データに格納された情報コードと対応するコンテンツが記憶部1fに記憶されているか否かが判断されてもよい。つまり、詳細情報データに格納された情報コードと対応するコンテンツが記憶部1fに記憶されていない場合は、後述するステップS1202によって詳細情報ボタンGcが描画されないことになる。
コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツにID40の詳細情報が含まれていないと判断された場合(ステップS1201;NO)、処理は終了する。
【0073】
コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツにID40の詳細情報が含まれていると判断された場合(ステップS1201;YES)、コンテンツ表示画面G1に詳細情報ボタンGcが描画される(ステップS1202)。次いで、コンテンツ表示画面G1に描画された詳細情報ボタンGcが入力部1dより選択されたか否かが判断される(ステップS1203)。詳細情報ボタンGcが入力部1dより選択されたと判断されない場合(ステップS1203;NO)、再びステップS1203に戻り、入力が待ち受けられることになる。
【0074】
詳細情報ボタンGcが入力部1dより選択されたと判断された場合(ステップS1203;YES)、表示部1eにおいては、コンテンツ表示画面G1から後述する詳細情報表示画面G2に画面遷移し、カウンタ変数Nに1が代入される(ステップS1204)。次いで、ID40の詳細情報N(図8に示す詳細情報1〜8のうちのいずれかを示す。以下同じ。)にデータが格納されているか否かが判断される(ステップS1205)。ID40の詳細情報Nにデータが格納されていると判断された場合(ステップS1205;YES)、当該詳細情報Nの情報内容フラグが参照され、当該情報内容フラグが情報コードを示しているか否かが判断される(ステップS1206)。情報内容フラグが情報コードを示していると判断された場合(ステップS1206;YES)、当該詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在するか否かが判断される(ステップS1207)。具体的には、記憶部1fに保存されているコンテンツのID02の情報コードが検索され、一致したコンテンツが存在するか否かによって判断が行われる。
【0075】
詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在すると判断された場合(ステップS1207;YES)、詳細情報表示画面G2のN行に詳細情報Nの表示用文字データでボタンが描画される(ステップS1208)。なお、ステップS1208においては、ステップS1207で判断された情報コードに対応するコンテンツのID02の情報表示用テキストが詳細情報表示画面G2のN行に表示されることになる。
【0076】
図11(b)に、詳細情報表示処理によって詳細情報が表示された時の詳細情報表示画面G2の一例を示す。詳細情報表示画面G2は画面遷移ボタンGd1〜Gd8、「戻る」ボタンGe等から構成される。
画面遷移ボタンGd1〜Gd8は、詳細情報表示処理のステップS1206において車載器10の制御部4によって描画されたボタンである。図11(b)に示す例では、コンテンツ表示画面G1に表示されているコンテンツのID40の詳細情報1〜3の情報内容フラグの値が「情報コード」を示しており、詳細情報データに情報コードが格納されている場合を示している。詳細情報4〜8の情報内容フラグの値は「情報コード」を示しておらず、詳細情報データには情報コードが格納されていないので、画面遷移ボタンGd4〜Gd8の領域にはボタンは表示されない。画面遷移ボタンGd1〜Gd3は、詳細情報1〜3に格納された表示用文字データが表示され、同行に当該情報コードに対応するコンテンツのID02の情報表示用テキストが表示されることになる。なお、ステップS1208又はステップS1209において処理が行われるN行は画面遷移ボタンGd1〜Gd8の行に対応する。つまりNが3の場合は、ステップS1208において画面遷移ボタンGd3を描画する処理となる。
「戻る」ボタンは、コンテンツ表示画面G1に画面遷移するためのボタンであり、詳細情報表示画面G2を表示する時に制御部4が生成する。
【0077】
例えば、図11(b)に示す詳細情報表示画面G2の画面遷移ボタンGd1を押下すると詳細情報1の詳細情報データに格納されている情報コードに対応するコンテンツに画面遷移することになる。
画面遷移ボタンGd4〜Gd8にはボタンが表示されないため詳細情報4〜8の詳細情報データに格納されている情報コードに対応するコンテンツが記憶部1fに存在しないことを示しており、画面遷移ボタンGd4〜Gd8に対する入力部1dからの入力は受け付けない。
【0078】
詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在しないと判断された場合(ステップS1207;NO)、表示部1eのN行のボタンがグレーアウトして表示される(ステップS1209)。当該グレーアウトして表示されたボタンに対する入力部1dからの入力は受け付けられないこととなる。遷移先のコンテンツが存在しない場合は、「エラー」や「リンク先無し」等の文字を詳細情報表示画面G2に表示させてもよい。
【0079】
一方、詳細情報Nにデータが格納されていないと判断された場合(ステップS1205;NO)、情報内容フラグが情報コードを示していると判断されない場合(ステップS1206;NO)、処理はステップS1210に移行する。
次いでカウンタ変数Nが加算され(ステップS1210)、当該カウンタ変数Nが8よりも大きいか否かが判断される(ステップS1211)。カウンタ変数Nが8よりも大きくないと判断された場合(ステップS1211;NO)、ステップS1205に戻る。カウンタ変数Nが8よりも大きいと判断された場合(ステップS1211;YES)、処理は終了する。
【0080】
以上のように、本実施の形態における配信システム100によれば、ID40の情報内容フラグを参照することにより、ID40の詳細情報データに何の情報が格納されているかを判断することができる。ID40の詳細情報データに情報コードが格納されていると判断された場合には、詳細情報表示処理によって、詳細情報表示画面G2にID40の表示用文字データの内容が画面遷移ボタンに重畳して表示される。したがって、ユーザは図7に示すような階層構造の画面遷移を辿ることなく、コンテンツを表示させることができ、操作性が向上する。
【0081】
また、ID40の詳細情報データに格納された情報コードを参照することにより、所望するコンテンツを表示させることができるので、メインとなる階層構造を崩すことなく、所定のコンテンツに応じた階層構造を作成することができる。例えば、期間限定のコンテンツを配信する時に、コンテンツのID30の次再生情報コードを変更させず、つまりメインとなる階層構造を崩すことなく、他の期間限定のコンテンツへの画面遷移を行うことが可能になる。
【0082】
また、詳細情報表示処理においては、ID40の詳細情報データに格納された情報コードが存在しない場合に、詳細情報表示画面G2の画面遷移ボタンをグレーアウトして表示させる等の処理で、当該画面遷移ボタンへの入力を受け付けなくすることで、存在しないコンテンツへの画面遷移の入力指示を防止することができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、情報内容フラグを参照することによって詳細情報データに情報コードが格納されているか否かを判別するようにしたが、判別の方法はこれに限られない。例えば、ID40の詳細情報データのデータ領域のうち、予め定められた領域に当該詳細情報に何の情報が格納されているかを示すコード等が格納されるようにしてもよい。
【0084】
なお、本実施の形態においては、ID40の情報内容フラグを参照することによって、ID40の詳細情報データに情報コードが格納されているか否かを判断したが、情報内容フラグによって他のIDのデータ領域に情報コードが格納されているかが判断されるようにしてもよい。例えば、ID10のテキスト等に情報コードが格納されていることを情報内容フラグが示していてもよい。
【0085】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。
【0086】
(第2の実施の形態)
次に図13及び図14を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態は、詳細情報表示処理のみが第1の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0087】
図13に第2の実施の形態における詳細情報表示処理(以下、第1の実施の形態と区別するために詳細情報表示処理Bという)を示す。当該処理は、コンテンツ表示の指示が入力部1dから選択された際に、制御部4と記憶部1fに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される。
詳細情報表示処理では、コンテンツ表示の指示がされたコンテンツのID40の情報内容フラグが参照され、ID40の詳細情報データに情報コードが格納されていると判断された場合、表示部1eに当該情報コードに対応するコンテンツに画面遷移させるためのボタンを表示させる。
なお、当該処理により、制御部4は判断手段として機能する。
【0088】
図13に示すように、コンテンツ表示指示がされたコンテンツにID40の詳細情報が含まれているか否かが判断される(ステップS1301)。当該コンテンツにID40の詳細情報が含まれていないと判断された場合(ステップS1301;NO)、処理は終了する。
【0089】
当該コンテンツにID40の詳細情報が含まれていると判断された場合(ステップS1301;YES)、カウンタ変数Nに1が代入される(ステップS1302)。次いで、ID40の詳細情報Nにデータが格納されているか否かが判断される(ステップS1303)。ID40の詳細情報Nにデータが格納されていると判断された場合(ステップS1303;YES)、当該詳細情報Nの情報内容フラグが参照され、当該情報内容フラグが情報コードを示しているか否かが判断される(ステップS1304)。情報内容フラグが情報コードを示していると判断された場合(ステップS1304;YES)、当該詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在するか否かが判断される(ステップS1305)。具体的には、記憶部1fに保存されているコンテンツのID02の情報コードが検索され、一致したコンテンツが存在するか否かによって判断が行われる。
【0090】
詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在すると判断された場合(ステップS1305;YES)、表示部1eにおいては、コンテンツ表示画面G3のN行に詳細情報Nの表示用文字データでボタンが描画される(ステップS1306)。
【0091】
図14(a)に、詳細情報表示処理Bが実行された場合におけるコンテンツ表示画面G3の一例を示す。コンテンツ表示画面G3は画面遷移表示欄Gf1〜Gf8、画面遷移入力欄Gg1〜Gg8、画面遷移ボタンGh1〜Gh8等から構成される。
画面遷移表示欄Ga1〜Ga8及び画面遷移入力欄Gg1〜Gg8は、コンテンツ表示画面G1と同様であるので説明を省略する。画面遷移ボタンGh1〜Gh8は、詳細情報表示処理Bによって描画されるボタンである。図14(a)に示す例では、画面遷移ボタンGh1〜Gh3はステップS136によって描画されたボタンである。
コンテンツ表示画面G1と同様、ID10の対象地点に格納された静止画データ(画面遷移表示欄Gf1〜Gf8)に重畳させて、画面遷移入力欄Gg1〜Gg8、画面遷移ボタンGh1〜Gh8が車載器10の制御部4によって描画されて表示されることになる。
【0092】
詳細情報Nの詳細情報データに格納された情報コードに対応する遷移先のコンテンツが存在しないと判断された場合(ステップS1305;NO)、表示部1eのN行のボタンがグレーアウトして表示される(ステップS1307)。当該グレーアウトして表示されたボタンに対する入力部1dからの入力は受け付けられないこととなる。第1の実施の形態と同様、遷移先のコンテンツが存在しない場合は、「エラー」や「リンク先無し」等の文字を詳細情報表示画面G2に表示させてもよい。
【0093】
一方、詳細情報Nにデータが格納されていないと判断された場合(ステップS1303;NO)、情報内容フラグが情報コードを示していないと判断された場合(ステップS1304;NO)、処理はステップS1308に移行する。
次いでカウンタ変数Nが加算され(ステップS1308)、当該カウンタ変数Nが8よりも大きいか否かが判断される(ステップS1309)。カウンタ変数Nが8よりも大きくないと判断された場合(ステップS1309;NO)、ステップS1303に戻る。カウンタ変数Nが8よりも大きいと判断された場合(ステップS1309;YES)、処理は終了する。
【0094】
以上のように、本実施の形態においては、詳細情報表示処理Bによってコンテンツ表示画面G3が表示される。画面遷移ボタンGh1〜Gh8のうち、表示用文字データが重畳表示されている画面遷移ボタン(図14(a)の例の場合、画面遷移ボタンGh1〜Gh3)が入力部1cより押下されると、当該画面遷移ボタンに対応する情報コードを持つコンテンツを表示するコンテンツ表示画面G4に画面遷移することができる。
【0095】
図14(b)に、コンテンツ表示画面G4の一例を示す。図14(b)に示す例では、コンテンツ表示画面G3に表示された画面遷移ボタンGh3が入力部1cより押下され、コンテンツ表示画面G3に表示されているコンテンツのID40の詳細情報3の詳細情報データに格納されている情報コードに対応するコンテンツが表示されている。当該コンテンツには遷移先がないため、ID10の対象地点の静止画に重畳させ、画面遷移入力欄に該当する部分はグレーアウトされて表示されることになる。
このように、コンテンツ表示画面G3に画面遷移ボタンGh1〜Gh8を表示させることにより、車載器10のユーザの操作性がさらに向上する。
【0096】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の路側エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】センター装置の機能的構成を示す図である。
【図5】コンテンツのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】コンテンツのデータ形式の一例を示す図である。
【図7】コンテンツに基づき、表示される画面遷移例である。
【図8】図6のコンテンツの詳細情報のデータ形式の一例を詳細に示す図である。
【図9】本実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図10】本実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図11】図3の表示部に表示される画面の一例であり、(a)は詳細情報表示処理が実行された時の画面例であり、(b)は詳細情報ボタンが押下された時の画面例である。
【図12】本実施の形態における詳細情報表示処理の流れを説明する図である。
【図13】第2の実施の形態における詳細情報表示処理Bの流れを説明する図である。
【図14】図3の表示部に表示される画面の一例であり、(a)はコンテンツを表示させた際に詳細情報表示処理Bが実行された時の画面例であり、(b)は詳細情報表示処理Bによって表示されたボタンを押下した時の画面例である。
【符号の説明】
【0098】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1d 入力部
1e 表示部
1f 記憶部
3 DSRC部
3a DSRC制御部
3b 通信部
3c 記憶部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
20 路側無線装置
30 センター装置
31 制御部
34 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器と、前記車載器と無線通信で接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記センター装置は、前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを示す識別情報を配信し、
前記車載器は、
前記識別情報に基づいて前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた前記情報コードを含むか否かを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする配信システム。
【請求項2】
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれるか否かが判断される前記情報コードは、当該コンテンツを構成する汎用的なデータ領域に含まれる詳細情報データに格納されていることを特徴とする請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
コンテンツを記憶及び再生することのできる車載器と無線通信で接続される路側無線装置を介して接続されたセンター装置であって、
前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを示す識別情報を配信することを特徴とするセンター装置。
【請求項4】
路側無線装置と無線通信で接続され、前記路側無線装置を介してセンター装置から配信されるコンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた情報コードを含むか否かを識別する識別情報を受信する車載器であって、
前記識別情報に基づいて前記コンテンツが他の前記コンテンツに一意に割り当てられた前記情報コードを含むか否かを判断する判断手段を備えることを特徴とする車載器。
【請求項5】
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれるか否かが判断される前記情報コードは、当該コンテンツを構成する汎用的なデータ領域に含まれる詳細情報データに格納されていることを特徴とする請求項4に記載の車載器。
【請求項6】
表示手段と、
前記判断手段によって前記コンテンツに含まれると判断された前記情報コードの指定を受けつけ、当該指定された情報コードに対応する前記コンテンツを前記表示手段に表示させる制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の車載器。
【請求項7】
前記制御手段は前記判断手段によって前記情報コードを含むと判断された前記コンテンツを前記表示手段に表示させ、当該コンテンツに含まれる前記情報コードの指定を受け付けることを特徴とする請求項6に記載の車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−229138(P2009−229138A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72239(P2008−72239)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】