説明

集積されたダイオードを有するSOI基板を備える複合半導体装置

【課題】高電圧が印加されても、故障しにくい複合半導体装置を提供する。
【解決手段】複合半導体装置200は、ダイオード210及び絶縁層204を含むSOI基板(semiconductor on insulator)を備える。複合半導体装置200は、ダイオード210の上に形成された遷移体220及び遷移体220の上に形成されたトランジスタ230も含む。ダイオード210は半導体貫通ビア、外部電気接続部又はその両方の組み合わせを用いてトランジスタ230の両端間に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年7月15日に出願された「III-Nitride Device Integration with Group IV P-N Antiparallel Diode」という名称の継続中の仮出願番号第61/508,292号の優先権の利益を主張する。この継続中の仮出願の開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
定義
本明細書で使用される、語句「III−V族」は少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含む化合物半導体を言う。更に、語句「III族窒化物」又は「III族N」は窒素とアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びボロン(B)などの少なくとも一つのIII族元素を含む化合物半導体を言い、これらに限定されないが、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGa(1-x)N、窒化インジウムガリウムInGa(1-y)N、窒化アルミニウムインジウムガリウムAlxInGa(1-x-y)N、砒化リン化窒化ガリウム(GaAs(1-a-b))、及び砒化リン化窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGa(1-x-y)As(1-a-b))などの合金を含む。また、III族窒化物は一般に、これらに限定されないが、Gaポーラ、Nポーラ、セミポーラ又はノンポーラ結晶方位を含む任意の極性に関連する。また、III族窒化物材料はウルツ鉱、閃亜鉛鉱又は混晶ポリタイプも含み、単結晶、単結晶構造、多結晶構造又は非晶質構造を含み得る。
【0003】
また、本明細書で使用される、語句「IV族」はシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)及び炭素(C)を含む少なくとも一つのIV族の元素を含み、例えばシリコンゲルマニウム(SiGe)及び炭化シリコン(SiC)などの化合物半導体も含む。また、IV族は歪シリコン又は他の歪IV族材料を生成するためにIV族元素の複数の層からなる又はIV族元素をドーピングしてなる半導体材料も指す。更に、IV族ベースの複合基板は、例えばシリコンオンインシュレータ(SOI)、酸素注入分離プロセス(SIMOX)基板及びシリコンオンサファイヤ(SOS)を含み得る。更に、IV族デバイスは標準CMOSプロセスを用いて形成されるデバイスを含むが、NMOS及びPMOSデバイスプロセスも含み得る。
【0004】
III−V族デバイスは、例えば絶縁ゲートFET(IGFET)などの電界効果トランジスタ(FET)又は高電子移動度トランジスタ(HEMT)を構成する任意の適切な半導体材料を含むことができる。適切な半導体材料は、Si、歪シリコン、SiGe、SiCなどのIV族半導体材料及びIII−As、III−P、III−N又はそれらの任意の合金などのIII−V族材料を含む。
【0005】
背景技術
高電力スイッチング用には、多くの場合、それらの有利な性能のためにIII−V族トランジスタ、例えばIII族窒化物電界効果トランジスタ(III族窒化物FET)及びIII族窒化物高移動度電子トランジスタ(III族窒化物HEMT)が使用される。例えば、III族窒化物FET及びIII族窒化物HEMTは低いオン抵抗及び高い動作電圧を維持する能力のために高く評価されている。
【0006】
しかしながら、高電圧(HV)III−V族トランジスタは、もしかするとそれらの高電圧動作に対するトレランスのために、時々極めて高い電圧が発生し得る厳しい動作環境で使用されることもある。その結果、名目上高電圧(HV)定格のIII族窒化物FET及び高電圧(HV)定格のIII族窒化物HEMTでも実際上破局故障を受けやすい。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、少なくとも一つの図に示され且つ又少なくとも一つの図と関連して十分に説明され且つ特許請求の範囲により十分に規定される、集積されたダイオードを備える複合半導体装置を目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トランジスタ及びダイオードを含む複合半導体装置の一つの模範的な実施例を示す概略図を提示する。
【図2】図1の概略図に概して対応する、集積されたダイオードを含むSOI(semiconductor on insulator)基板の上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置を実現する模範的な構造の断面図を提示する。
【図3】図1の概略図に概して対応する、集積されたダイオードを含むSOI(semiconductor on insulator)基板の上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置を実現する別の模範的な構造の断面図を提示する。
【図4】図1の概略図に概して対応する、集積されたダイオードを含むSOI(semiconductor on insulator)基板の上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置を実現する更に別の模範的な構造の断面図を提示する。
【図5】半導体貫通ビアにより接続された集積ダイオードを含むSOI(semiconductor on insulator)基板の上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置の一つの模範的な実施例の断面図を提示する。
【図6】集積ダイオードを含むSOI(semiconductor on insulator)基板の上に形成されたトランジスタを含み、前記ダイオードが外部電気接続部と半導体貫通ビアの両方で前記トランジスタに結合された複合半導体装置の一つの模範的な実施例の断面図を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明には本発明の実施例に関する具体的な情報が含まれる。当業者に明らかなように、本発明は本明細書に具体的に記載される方法と異なる方法で実施することができる。本願の添付図面及びそれらの詳細説明は模範的な実施形態にのみ関する。特に断らない限り、図中の同等もしくは対応する構成要素は同等もしくは対応する参照番号で示される。更に、本願の図面及び説明図は一般に正しい寸法比で示されておらず、実際の相対寸法に対応するものではない。
【0010】
III−V族半導体材料は、砒化ガリウム(GaN)及び/又はその合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)からなるIII族窒化物材料を含む。これらの材料は、比較的広い直接バンドギャップ及び強い圧電分極を有する半導体化合物であり、高い降伏電界及び2次元電子ガス(2DEG)の生成を生じ得る。その結果、GaNなどのIII族窒化物材料が高い電力密度及び高効率のスイッチングを必要とする多くのマイクロエレクトロニクス応用に使用されている。
【0011】
しかしながら、上述したように、高電圧(HV)III族窒化物トランジスタなどのIII−Vトランジスタは、もしかすると高電圧動作に対するそれらの周知のトレランスのために、時々極めて高い電圧が発生し得る極めて厳しい動作環境で使用されることがある。その結果、名目上高電圧(HV)定格のIII族窒化物トランジスタでも実際上破局故障を受けやすい。本発明の概念の実現に当たり、このような破局故障を防止するために、III−V族トランジスタのソース及びドレイン間にダイオードを配置する。このダイオードは、複合装置の所要の動作電圧より大きいがIII−V族トランジスタの破局故障を生じる電圧より小さい降伏電圧を有するように設計することができる。
【0012】
一実施例では、このダイオードはトランジスタ及び半導体基板とモノリシックに集積することができる。しかしながら、III−V族ベースのトランジスタが高い電圧で動作できる場合には、いくつかの集積構造は他の集積構造より不利になり得る。例えば、HV高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、基板がソースに結合されるとき一般に最良に動作し、基板がドレインに結合されるとき一般に最良に動作しない。これはダイオードが基板内に集積され形成される際のダイオードの構造に起因する。
【0013】
このような問題を克服する一つの方法は、SOI(semiconductor on insulator)基板を使用し、集積ダイオードをSOI基板内に形成することにある。SOI基板は、ダイオードをSOI基板の絶縁層の下に形成するとき、III−V族HEMTにRESURF効果を与える追加の利点を提供する。以下の開示は集積ダイオードを有するSOI基板を備える複合半導体装置について記述する。
【0014】
図1はトランジスタ及びダイオードを含む複合半導体装置の一つの模範的な実施例を示す概略図を提示する。図1に示されるように、複合半導体装置100は、トランジスタ130及び該トランジスタ130の両端間に結合されたダイオード110を含む。トランジスタ130はソース接点132、ドレイン接点134及びゲート接点136を含み、一方ダイオード110はアノード112及びカソード114を含む。図1に更に示されるように、ダイオード110はトランジスタ130の両端間に逆並列配置に結合することができる。つまり、ダイオード110のアノード112をトランジスタ130のソース接点132に結合し、ダイオード110のカソード114をトランジスタ130のドレイン接点134に結合することができる。
【0015】
高電圧(HV)トランジスタとすることができるトランジスタ130はIII−V族パワートランジスタとして形成することができる。いくつかの実施例では、例えばトランジスタ130はGaNなどのIII−V族材料からなり、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)又はヘテロ構造FET(HFET)として実装することができる。一実施例では、トランジスタ130は金属−絶縁膜−半導体FET(MISFET)、例えば金属−酸化膜−半導体FET(MOSFET)の形を取ることができる。代わりに、HFETとして実装する場合には、トランジスタ130は2DEGを有する高電子移動度トランジスタ(HEMT)とすることができる。一実施例によれば、例えばトランジスタ130は約20Vより大きいゲート定格を有し、約600Vより大きいドレイン電圧に耐えるように構成することができる。
【0016】
図1に示す実施例によれば、ダイオード110はPN接合ダイオードである。ダイオード110は高電圧(HV)IV族PNダイオード、例えばHVシリコンPNダイオードとして実装することができる。他の実施例では、ダイオード110はPINダイオードとすることができる。
【0017】
一実施例では、複合半導体装置100は、垂直集積方式を用いて、ダイオード110とモノリシックに集積されたトランジスタ130を含む。複合半導体装置100に非破壊アバランシェ降伏機能を付与するためにダイオード110をトランジスタ130と集積することができ、それによってトランジスタが破局的に故障するのを防ぐことができる。いくつかの実施例では、ダイオード110として作用する高電圧(HV)PNダイオードはトランジスタ130の降伏電圧より小さい降伏電圧を有するように設計する。例えば、トランジスタ130は700Vの降伏電圧を有するが、ダイオード110は650Vのアバランシェ降伏電圧を有するように設計することができる。ダイオード110は複合半導体装置の所望の降伏電圧に基づいてそれより低い又は高いアバランシェ降伏電圧を有するように設計することができる。その結果、図1に示すダイオード110とトランジスタ130の逆並列配置はロバストで故障しにくい複合半導体装置を提供することができる。
【0018】
上述したように、いくつかの実施例では、トランジスタ130及びダイオード110を含む複合半導体装置100はモノリシックに集積することができる。III族窒化物半導体装置及びIV族半導体装置をモノリシックに集積する種々の集積方法が、2011年3月29日に発行された「Monolithic Vertically Integrated Composite Group III-V and Group IV Semiconductor Device and Method for fabricating Same」という名称の米国特許第7,915,645号、2008年7月16日に出願された「III-Nitride Device」という名称の米国特許出願第12/174,329号、及び2011年2月3日に出願された「Efficient High Voltage Switching circuits and Monolithic Integration of Same」という名称の米国特許出願第13/020,243号に開示されており、それらの開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれる。
【0019】
図2は図1の概略図に概して対応する、SOI基板上に形成されたトランジスタ及び集積ダイオードを含む複合半導体装置を実現する模範的な構造の断面図を提示する。複合半導体装置200は、その内部に形成されたアノード212及びカソード214を含むダイオード210を有するSOI基板201、該ダイオード210の上に配置された絶縁層204及び絶縁層204上に位置する薄いIV 族層206を含む。複合半導体装置200はダイオード210及び絶縁層204の上に形成された遷移体220、及び該遷移体220の上に形成されたソース電極232、ドレイン電極234及びゲート電極236を含むトランジスタ230も含む。ソース電極232、ドレイン電極234及びゲート電極236を有するトランジスタ230及びアノード212及びカソード214を含むダイオード210は、図1におけるソース接点132、ドレイン接点134及びゲート接点136を含むトランジスタ130、及びアノード112及びカソード114を含むダイオード110にそれぞれ対応する。図2には、SOI基板201のハンドル層(支持層)202、アノード212を提供するP型ダイオード層211a、カソード214を提供するN型ダイオード層213a、P+層211b、及びN+層213bも示されている。
【0020】
ダイオード210は、アノード212を提供するP型ダイオード層211a及びカソード214を提供するN型ダイオード層213a、並びに、アノード212及びカソード214のための接点兼電流広がり層をそれぞれ提供するP+層211b及びN+層213bを含む。図2の実施例によれば、P型シリコン又は他のIV 族半導体層とすることができるP型ダイオード層211aは、ダイオード210の最下層として形成される。N型シリコン又は他のIV 族半導体層とすることができるN型ダイオード層213aはダイオード210の最上層として形成され、N型ダイオード層211aの上に配置される。P型ダイオード層211aとN型ダイオード層213aの界面はダイオード210のPN接合を形成する。その結果、図2の実施例では、ダイオード210はPN接合ダイオードである。P型ダイオード層211aおよびN型ダイオード層213aはエピタキシャル又は非エピタキシャルIV 族半導体層として形成することができる点に注意されたい。
【0021】
更に、ダイオード210はP型ダイオード層211aの上に配置されたN型ダイオード層213aを有するものとして示されているが、これは単なる一例にすぎない。別の実施例では、アノード212を提供するP型ダイオード層211aをカソード214を提供するN型ダイオード層213Aの上に配置することができ、この実施例ではN型ダイオード層213aがダイオード210の最下層を構成する。更に別の実施例では、例えばダイオード210はN型又はP型ダイオード層内にP型又はN型のウェルがそれぞれ形成されたものとすることができる。このような実施例では、ウェル境界とそのウェルが形成されている反対導電型のダイオード層との界面がダイオード210のPN接合を提供する。更に別の実施例では、ダイオード210はPINダイオードとすることができる。例えば、P型ダイオード層211aの上及びN型ダイオード層213aの下に中間真性層、近真性層又は意図的でないドープ層(図示せず)が存在するものとし得る。
【0022】
別の実施例によれば、ダイオード210は蓄積電荷の回復時間を低減するためにライフタイムを操作することができる。例えば、特にPNダイオード210は、電子照射、イオン注入及びプラチナドーピングなどを含む従来知られている様々な一般的な技術を用いて結晶構造を変更することによって操作することができる。
【0023】
図2に示されるように、ダイオード210は、ダイオード210及び絶縁層204に加えて、ハンドル層202及び薄いIV 族層206を含むSOI基板201内に形成することができる。図2に更に示されるように、ダイオード210はハンドル層202と絶縁層204との間に形成することができるとともに、絶縁層204の上に薄いIV 族層206を設けることができる。ハンドル層202は、例えばその上にP型ダイオード層211及びN型ダイオード層を含むダイオード210が形成されるバルクシリコン層とすることができ、絶縁層204は二酸化シリコン(SiO)などの任意の適切な誘電体材料を用いて形成することができる。薄いIV 族層206は追加のIV族デバイス層として使用することができ、また薄いIV族層206は遷移体220及びトランジスタ230を含むIII−V族デバイスのための下地層として使用することができる。
【0024】
図2に示す構造は単なる一例にすぎず、本発明の概念から逸脱することなく多くの変更が可能であることを繰り返し指摘したい。例えば、一実施例では、SOI基板201は図3に示すようにハンドル層202を含まないものとすることができる。別の例として、いくつかの実施例では、N+層213bと絶縁層204の間に一以上の中間層を配置することができる。このような中間層は、例えば低ドープのN型又はP型半導体層とすることができる。
【0025】
いくつかの実施例では、SOI基板201は絶縁層204が埋め込み酸化物である酸素注入分離プロセス(SIMOX)基板とすることができる。更に他の実施例では、絶縁層204は、2011年2月22日に発行された「Structure and Method for III-Nitride Monolithic Power IC」という名称の米国特許第7,892,938号に記載されているように、広いバンドギャップ材料を含む他の誘電体又は絶縁材料(例えばAlN及びAlGaN)とすることができ、この米国特許の開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれる。
【0026】
更に、いくつかの他の実施例では、P型ダイオード層211a及びP+211bは、例えば2011年3月29日に発行された「Monolithic Vertically Integrated Composite Group III-V and Group IV Semiconductor Device and Method for Fabricating Same」という名称の米国特許第7,915,645号に開示されているように、両面仕上げIV族基板の背面上に、リソグラフィー技術、例えば注入、拡散及び/又は導電性薄膜(ドープポリシリコン)の使用によって規定された領域として形成することができ、この米国特許の開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれる。
【0027】
図2の模範的な実施例によれば、トランジスタ230は III−V族HEMTとして示されている。従って、トランジスタ230はそれらの界面の近傍に2DEG235を生成するチャネル層231及びバリア層233を含む。更に、図2に示されるように、トランジスタ230の下の遷移体220は、歪吸収層222、核生成層224、遷移層226及びバッファ層228を含む。
【0028】
図2に示されるように、遷移体220は多数の半導体層、例えば少なくともIII−V族遷移層226及びIII−V族バッファ層228を含む。一実施例によれば、歪吸収層222がN型ダイオード層213aの上に形成される。歪吸収層222はアモルファス歪吸収層、例えばアモルファス窒化シリコン層とすることができる。この点については、2008年3月4日に発行された「Gallium Nitride Materials and Methods Associated with the Same」という名称の米国特許第7,339,205号に開示されており、その開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれる。
【0029】
図2に示す実施例によれば、核生成層224が歪吸収層222の上に形成される。核生成層224は窒化アルミニウム(AlN)層として形成することができ、従来既知の任意の適切な技術を用いて成長させることができる。図2は核生成層224が歪吸収層222の上に配置されることを示すが、いくつかの実施例では核生成層224の成長前に歪吸収層222を形成しないのが望ましいことがある点に注意されたい。更に、いくつかの実施例では、核生成層224は異なる成長環境を用いて形成される一以上の層を含み得る。この点については、2003年9月9日に発行された「Gallium Nitride Materials and Methods」という名称の米国特許第6,617,060号明細書及び2006年9月13日に出願された「Process for Manufacture of Super Lattice Using alternating High and Low Temperature Layers to Block Parasitic Current path」という名称の米国特許出願第11/531,508号に開示されており、それらの開示内容は参照することにより本出願にすべて組み込まれる。
【0030】
遷移層226につき説明すると、いくつかの実施例では、遷移体220及びトランジスタ230は、組成的に傾斜したIII族窒化物材料から形成することができる点に注意されたい。このような実施例では、III族窒化物遷移層226の特定の組成及び厚さは、使用する基板の径及び厚さ及びトランジスタ230の所望の性能に依存する。例えば、トランジスタ230の所望の降伏電圧及び複合半導体装置200の所望のウェハ湾曲(bow)及びそり(warp)は遷移層226の組成及び厚さに影響を与え得る。この点については、2003年11月18日に発行された「Gallium Nitride materials and Methods」という名称の米国特許第6,649,287号、2009年10月14日に出願された「Group III-V Semiconductor Device with Strain-relieving Interlayers」という名称の米国特許出願第12/587,964号、2010年12月21日に出願された「Stress Modulated Group III-V Semiconductor Device and Related Method」という名称の米国特許出願第12/928,946号、2006年9月26日に発行された「Super Lattice Modification of Overlying Transistor」という名称の米国特許第7,112,830号、2006年9月13日に出願された「Process for Manufacturing of Super Lattice Using Alternating High and Low Temperature Layers to Block Parasitic Current path」という名称の米国特許出願第11/531,508号、及び2011年3月3日に出願された「III-Nitride Material Interlayer Structures」という名称の米国仮特許出願第61/449,046号に開示されており、それらの開示内容は参照することにより本出願にすべて組み込まれる。
【0031】
図2に更に示されるように、遷移体220はバッファ層228も含む。一実施例によれば、バッファ層228は遷移層226の上に配置される。バッファ層228は任意の適切なIII−V族半導体材料で形成することができる。例えば、トランジスタ230がIII族窒化物HEMTとして実装される場合には、バッファ層228はドープ又はアンドープIII族窒化物層として形成することができる。例えば、一実施例では、バッファ層228は従来既知の任意の適切な技術を用いて成長される真性GaN層とすることができる。
【0032】
チャネル層231及びバリア層233を含むトランジスタ230は遷移体220の上に形成される。一実施例では、例えば、チャネル層231としてGaN層を使用し、バリア層233としてAlGaN層を使用することによってIII族窒化物HEMTを形成することができる。図2に示すように、チャネル層231及びバリア層233の界面を形成するヘテロ接合によって2DEG335が生成される。特定の応用においては、バリア層233はバリア層233とチャネル層231の間に配置することができる一つ(又は複数)のスペーサ層の上に形成するのが望ましいことがある。
【0033】
ソース電極232、ドレイン電極234及びゲート電極236はバリア層233の上に形成される。ソース電極232及びドレイン層234は2DEG235とオーム接触するように形成される。図2に示す実施例では、ゲート電極236はバリア層233とショットキー接触し、バリア層233上に直接又はバリア層233の上に配置されるGaN又はAlGaNの薄い(例えば1〜3ナノメートルの厚さの)キャップ層上に直接形成される。この模範的な実施例によれば、トランジスタ230はノーマリオン(デプレッションモード)HEMTを構成する。しかし、いくつかの応用においては、図3及び図4につき以下で検討されるように、ゲート電極236とバリア層233の間に絶縁層を形成することによって絶縁ゲートトランジスタを形成するのが望ましいことがある。いくつかの他の応用においては、トランジスタ330としてゲート絶縁ノーマリオフ(エンハンスメントモード)HEMTを形成するのが望ましいことがある。即ち、絶縁ゲートを有するのに加えて、場合によっては2DEG335が印加ゲート電圧のない場合にゲート電極236の下部で遮断されるようにすることが望まれる。
【0034】
トランジスタ230の設計にいくつかの変更を加えることによってノーマリオフ(エンハンスメントモード)HEMTを形成することができる。例えば、P型III族窒化物又は他のIII−V族材料の追加の層をゲート電極236の下に配置することができ、またフローティングゲート設計を使用することもできる。その代わりに又は加えて、他の技術はそのままにして、ゲート電極336の下部領域を2DEG335がゲート電極336の下部で空乏化されるようにドーピングすることができる。この点については、2008年6月3日に発行された「Enhancement Mode III-Nitride FET」という名称の米国特許第7,382,001号、2010年7月20日に発行された「III-Nitride Enhancement Mode Devices」という名称の米国特許第7,759,699号、2011年12月27日に発行された「III-Nitride Power Semiconductor Device Having a Programmable Gate」という名称の米国特許第8,084,785号、2006年7月28日に出願された「Normally Off III-Nitride Semiconductor Device Having a programmable Gate」という名称の米国特許出願第11/460,725号、2010年6月29日に発行された「Enhancement Mode III-Nitride Semiconductor Device with Reduced Electric Field between the Gate and the Drain」という名称の米国特許第7,745,849号、2008年8月21日に出願された「Enhancement Mode III-Nitride Device with Floating Gate and process for its manufacture」という名称の米国特許出願12/195,801号、及び2011年1月31日に出願された「Enhancement Mode III-Nitride Transistors with Single Gate Dielectric Structure」という名称の米国特許出願第13/017,970号に開示
されており、それらの開示内容は参照することにより本出願にすべて組み込まれる。
【0035】
トランジスタ230は、バリア層233と、ソース電極232、ドレイン電極234及びゲート電極236との間に配置された一つ以上の追加の層を含むことができる。これらの追加の層は追加のIII族窒化物又は他のIII−V族半導体層、絶縁層、パッシベーション層、チャネル及びバリア層間のスペーサ層、フィールドプレート及び/又は追加の相互接続用金属層を含むことができる。
【0036】
トランジスタ230の電圧処理及び降伏特性は上述した図2に示す層のいくつかの様々な組成、厚さ及び間隔によって決定される。これらは、特に、バリア層233の厚さ及び合金組成、ゲート電極236の設計及び組成、及びゲート電極236とドレイン電極234に対応するドレインとの間の間隔(並びにゲート電極236とソース電極232に対応するソースとの間の間隔)を含む。
【0037】
よって、図2はIV族PNダイオードを備える集積III−V族トランジスタの一般的な構造を示す。この構造では、ダイオード210は逆バイアスに接続される。ダイオード210のアバランシェ降伏電圧限界値は特定の範囲に設計することができ、アノード212を提供するP型ダイオード層211a及びカソード214を提供するN型ダイオード層213aのドーパント成分及び濃度によって決定することができる。上述したように、ダイオード210は、トランジスタ230とモノリシックに集積でき、トランジスタ230を保護するように構成されるため、ダイオード210は、ダイオード210のアバランシェ降伏電圧限界値がトランジスタ230の降伏電圧より低くなるように設計することができる。
【0038】
図3に移り説明すると、図3は、図1の概略図に概して対応する、集積ダイオードを含むSOI基板上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置を実現する別の模範的な構造の断面図を示す。複合半導体装置300は、ダイオード310を有するSOI基板301を含み、ダイオード310はSOI基板301内にそれぞれ形成されたアノード312を提供するP型ダイオード層311a、カソード314を提供するN型ダイオード層313a、及びアノード312及びカソード314のための接点兼電流広がり層をそれぞれ提供するP+層311b及びN+層313bを含む。SOI基板301はダイオード310の上に配置された絶縁層304及び絶縁層304の上に位置する薄いIV族層306も含む。
【0039】
複合半導体装置300は、更に、ダイオード310及び絶縁層304の上に形成された遷移体320及び遷移体320の上に形成されたトランジスタ330を含む。トランジスタ330は、そのヘテロ接合界面の近傍に2DEG335を生成するチャネル層331及びバリア層333に加えて、ソース電極332、ドレイン電極334及びゲート電極336を含む。遷移体320は、歪吸収層322、核生成層324、遷移層326及びバッファ層328を含む。この実施例では、図2に示す複合半導体装置200と異なり、複合半導体装置300は、P+層311bの下に配置されるハンドル層をSOI基板301の一部分として含まない。しかし、複合半導体装置200に対してそうであったように、複合半導体装置300の他の実施例もN+層313bと絶縁層304との間に、例えば低ドープのN型又はP型半導体層のような一以上の中間層を配置することができる。
【0040】
遷移体320、ダイオード310及び薄いIV族層306は図2の遷移体220、ダイオード210及び薄いIV族層206にそれぞれ対応する。図3の複合半導体装置300は図2の複合半導体装置200と、前実施例のショットキーゲートの代わりに絶縁ゲート構造を用いる点およびハンドル層を含まない点が変更されている。図3の実施例では、ゲート誘電体338がバリア層333の表面上に、ゲート電極336及びバリア層333の間に形成される。一実施例では、例えばゲート誘電体338は化学量論的窒化シリコンで形成することができる。別の実施例では、いくつかの誘電体層を使用することができる。更に別の実施例では、ゲート誘電体338を形成するために窒化シリコン以外の一以上の誘電体層を使用することができる。
【0041】
ソース電極332、ドレイン電極334及びゲート電極336を含むトランジスタ330及びアノード312及びカソード314を含むダイオード310は、図1のソース接点132、ドレイン接点134及びゲート接点136を含むトランジスタ130及びアノード112及びカソード114を含むダイオード110にそれぞれ対応する。従って、図3は、代替構造配置例による集積IV族PNダイオードを備える集積III−V族トランジスタの一般的な構造を示す。いずれにせよ、図2のダイオード210がそうであったように、図3のダイオード310も逆バイアス、即ち逆並列に接続される。その結果、図3に示す構造もダイオード310のアバランシェ降伏電圧制限をトランジスタ330の過電圧保護機構として利用するものである。
【0042】
ダイオード310をトランジスタ330の両端間に逆バイアス又は逆並列配置に結合するために、ダイオード310のアノード312をトランジスタ330のソース電極332に接続し、ダイオード310のカソード314をトランジスタ330のドレイン電極334に接続しなければならない点に注意されたい。
【0043】
図4につき説明すると、図4は、図1の概略図に概して対応する、集積ダイオードを含むSOI基板上に形成されたトランジスタを含む複合半導体装置を実現する更に別の模範的な構造の断面図を示す。複合半導体装置400は、ダイオード410を有するSOI基板401を含み、ダイオード410はSOI基板401内にそれぞれ形成されたアノード412を提供するP型ダイオード層411a、カソード414を提供するN型ダイオード層413a、及びアノード412及びカソード414の接点兼電流広がり層をそれぞれ提供するP+層411b及びN+層413bを含む。更に、SOI基板401は、ダイオード410の下に配置された薄いIV族層406、ハンドル層402、及びハンドル層402と薄いIV族層406との間に配置される絶縁層404も含む。
【0044】
複合半導体装置400は、ダイオード410の上に形成された遷移体420及び遷移体420の上に形成されたトランジスタ430も含む。トランジスタ430は、そのヘテロ接合界面の近傍に2DEG435を生成するチャネル層431及びバリア層433に加えて、ソース電極432、ドレイン電極434及びゲート電極436を含む。遷移体420は、歪吸収層422、核生成層424、遷移層426及びバッファ層428を含む。
【0045】
遷移体420及びトランジスタ430は図3の遷移体320及びトランジスタ330にそれぞれ対応する。図4のSOI基板は図3の基板301と、ハンドル層402を含む点及び絶縁層404及び薄いIV族層406をハンドル層402とダイオード410との間に形成する点が変更されている。言い換えれば、ダイオード310/210が絶縁層204/304の下に形成される図3のSOI基板301(及び図2のSOI基板201)と異なり、図4に示す実施例によれば、ダイオード410は絶縁層404の上及び薄いIV族層406の上に形成される。
【0046】
更に他の実施例では、アノード412を提供するP型ダイオード層411aをカソード414を提供するN型ダイオード層413aの上に配置することができ、P+層411bをP型ダイオード層411aの上に配置し、N+層413bをN型ダイオード層413aの下に配置することができる。この実施例では、遷移体420はP+層411bの上に配置し、薄いIV族層406及び絶縁層404はN+層413b及びハンドル層402の間に配置することができる。
【0047】
図5及び図6は、半導体貫通ビア及び外部電気接続部の一つ又は両方を用いて集積III−V族トランジスタと逆並列ダイオードとの間の電気的接続を形成する模範的な解決手段を示す。図5及び図6は、半導体貫通ビア及び外部電気接続部の使用を図3に示す構造に概して対応する複合半導体装置構造と関連して明確に教示するが、当業者は、図5及び図6に開示される解決手段は図2及び図4に示す複合半導体装置構造に対しても同様に使用できることを認識されよう。
【0048】
図5につき説明すると、複合半導体装置500は、アノード512及びカソード514を有するダイオード510を内部に含むSOI基板501、ダイオード510の上に形成された絶縁層504、および絶縁層504の上に形成された薄いIV族層506を含む。複合半導体装置500はダイオード510の上に形成された遷移体520及び遷移体520の上に形成されたトランジスタ530も含む。
【0049】
トランジスタ530は、そのヘテロ接合界面の近傍に2DEG535を生成するチャネル層531及びバリア層533に加えて、ソース電極532、ドレイン電極534及びゲート電極536を含む。遷移体520は、歪吸収層522、核生成層524、遷移層526及びバッファ層528を含む。
【0050】
ダイオード510はアノード512を提供するP型ダイオード層511a、カソード514を提供するN型ダイオード層513a、及びアノード512及びカソード514のための接点兼電流広がり層をそれぞれ提供するP+層511b及びN+層513bを含む。図5には、導電性充填材543を含む第1の半導体貫通ビア541及び導電性充填材543を含む第2の半導体貫通ビア542も示されている。
【0051】
遷移体520及びダイオード510を含むSOI基板501は、図2及び図3のそれぞれの遷移体220/320及びダイオード210/310を含むSOI基板201/301にそれぞれ対応し、それらの対応する上記の特徴によって生じる如何なる特性も共有することができる。更に、図5のトランジスタ530は図3のトランジスタ330に対応する。
【0052】
図5に示すように、第1及び第2の半導体貫通ビア541及び542は、ダイオード510をトランジスタ530の両端間に逆並列配置に結合するために、遷移体520、薄いIV族層506及び絶縁層504を貫通する。つまり、第1の半導体貫通ビア541はダイオード510のアノード512をトランジスタ530のソース電極532に接続し、第2の半導体貫通ビア542はダイオード510のカソード514をトランジスタ530のドレイン電極534に接続する。
【0053】
図5に更に示すように、一実施例によれば、第1の半導体貫通ビア541はトランジスタ530のソース電極532から下方へバリア層533及びチャネル層531を貫通してP+層511b内で終端する。途中で、第1の半導体貫通ビア541は遷移体520の多数のIII−V族材料層、即ちバッファ層528、遷移層526及び核生成層524も貫通し、加えて遷移体520の歪吸収層522、薄いIV族層506、絶縁層504、N+層513b及びN型ダイオード層513aも貫通する。
【0054】
第1の半導体貫通ビア541は導電性金属又はポリシリコン充填材などの導電性充填材543を含み、アノード512をソース電極532に電気的に結合するアノード電極を構成する。導電性充填材用として適した材料の例には、銅(Cu)、タングステン(W)、ドープポリシリコン又は様々な任意の導電性金属合金がある。いくつかの実施例では、導電性充填材543の形成には、ソース電極532を実現するために使用する導電性材料と異なる導電性材料を用いるのが望ましいことがある。
【0055】
図5に示す実施例によれば、第2の半導体貫通ビア542はトランジスタ530のドレイン電極534から下方へバリア層533及びチャネル層531を貫通してN+層513b内で終端する。第2の半導体貫通ビア542は遷移体520の多数のIII−V族材料層も貫通し、更に遷移体520の歪吸収層522、薄いIV族層506及び絶縁層504も貫通する。第2の半導体貫通ビア542も導電性充填材543を含み、カソード514をドレイン電極534に電気的に結合するカソード電極を構成する。いくつかの実施例では、導電性充填材543の形成には、ドレイン電極534を実現するために使用する導電性材料と異なる導電性材料を用いるのが望ましいことがある。
【0056】
特定の実施例では、第1及び第2の半導体貫通ビア541及び542は側壁誘電体(図5に示されていない)を含むのが望ましいことがある。このような側壁誘電体は側壁酸化物、例えば堆積酸化物とすることができる。いくつかの実施例では、導電性充填材543と、第1及び第2の半導体貫通ビア541及び542の一つ又は両方で貫通されるダイオード、及び/又は遷移体、及びトランジスタ層との間に側壁誘電体により与えられる追加の電気的絶縁を含むことは有利であり、また望ましい。いくつかの実施例では、第1及び第2の半導体貫通ビア541及び542のそれぞれの底面には側壁誘電体が設けられない点に注意されたい。その結果、第1の半導体貫通ビア541の導電性充填材543はアノード512にオーム結合し、第2の半導体貫通ビア542の導電性充填材543はカソード514にオーム結合する。
【0057】
次に図6につき説明すると、図6は、集積ダイオードを含むSOI基板の上に形成されたトランジスタを含み、前記ダイオードが前記トランジスタに半導体貫通ビアおよび外部電気接続部の両方を用いて結合された複合半導体装置の別の模範的な実施例の断面図を示す。図6は半導体貫通ビア及び外部電気接続部の使用を図3に示す複合半導体装置構造と関連して明確に教示するが、当業者は、図6に開示される解決手段は図2及び図4に示す複合半導体装置構造に適用可能であることは認識されよう。
【0058】
複合半導体装置600は、アノード612及びカソード614を有するダイオード610を含むSOI基板601、ダイオード610の上に形成された絶縁層604、及び絶縁層604の上に形成された薄いIV族層606を含む。半導体複合装置600は、SOI基板601の上に形成された遷移体620及び遷移体620の上に形成されたトランジスタ630を含む。トランジスタ630は、そのヘテロ接合界面の近傍に2DEG635を生成するチャネル層631及びバリア層633に加えて、ソース電極632、ドレイン電極634及びゲート誘電体638の上に配置されたゲート電極636を含む。遷移体620は、歪吸収層622、核生成層624、遷移層626及びバッファ層628を含む。
【0059】
ダイオード610は、アノード612を提供するP型ダイオード層611a、P型ダイオード層611aの上に配置されたカソード614を提供するN型ダイオード層613a、及びアノード612及びカソード614のための接点兼電流広がり層を提供するP+層611b及びN+層613bを含む。図6には、導電性充填材643を含む半導体貫通ビア642、背面接点672、アノード電極642及び外部電気接続部652も示されている。
【0060】
ダイオード610は図3のダイオード310に対応する。更に、図6の遷移体620及びトランジスタ630は図3の遷移体320及びトランジスタ330にそれぞれ対応する。図6に示すように、半導体貫通ビア642はトランジスタ630のドレイン電極634をダイオード610のカソード614に接続するために遷移体620を貫通してN+層613b内で終端する。さらに図6に示されるように、外部電気接続部652がソース電極632をアノード電極642、背面接点672及びP+層611bを経てアノード612に接続する。言い換えれば、ダイオード610は、導電性充填材643を含む半導体貫通ビア642として実現される内部電気接続部及び外部電気接続部652によってトランジスタ630の両端間に逆並列配置に結合される。
【0061】
一実施例によれば、外部電気接続部652は、例えば金(Au)又は銅(Cu)ボンドワイヤなどの一以上のボンドワイヤを含むことができる。しかし、他の実施例では、外部導電接続部652は、Al,Au,Cu及び/又は他の金属又は複合材料からなる導電リボン、導電金属クリップ又は他の接続部の形を取ることができる。
【0062】
背面接点672は、例えば金属又はドープポリシリコン、又は任意の他の適切な導電材料で形成することができる。特定の他の実施例では、背面接点672は、2011年3月29日に発行された「Monolithic Vertically Integrated Composite Group III-V and Group IV Semiconductor Device and Method for fabricating Same」という名称の米国特許第7,915,645号に開示されている両面仕上げIV族基板の背面上に形成することができる。この米国特許第7,915,645号の全開示内容は参照することにより本出願に組み込まれる。特定の他の実施例では、背面接点672は、例えば導電性ボンドパッド、ソルダ、導電性ペースト又はエポキシ及び/又はパッケージの導電性基板又はリードフレームを含むいくつかの導電素子を備えることができる。
【0063】
図6に示す実施例によれば、半導体貫通ビア642は導電性充填材643も含み、カソード614をN+層613bを経てドレイン電極634に電気的に結合するカソード電極を構成する。更に、図5と関連して述べたように、いくつかの実施例では、半導体貫通ビア642は側壁誘電体含むのが望ましいことがある点に注意されたい。更に、図6に示す実施例は、半導体貫通ビアでソース接点632をダイオード610のアノード612に結合し、外部電気接続部でドレイン接点634をダイオード610のカソード614に結合するように逆転させることができる。
【0064】
このように、本出願は、トランジスタの降伏電圧より低い降伏電圧を有するダイオードをトランジスタの両端間に逆並列配置に結合することによって、トランジスタの電圧保護を与えるように設計された複合半導体装置を開示する。加えて、本出願は、HVトランジスタ及び逆並列HVダイオードを利用することによって極めて厳しい動作環境で使用するのに適した丈夫で耐久性のあるHV複合半導体装置を開示する。更に、本出願は、ダイオードをトランジスタの両端間に逆並列配置に結合するために外部電気接続部及び/又は半導体貫通ビアを用いることによってモノリシックに集積化された電圧保護機能を有する複合半導体装置を開示する。
【0065】
以上の記載から、本出願に記載され本発明の概念は様々な技術を用いて本発明の概念の範囲から逸脱することなく実施することができること明らかである。さらに、本発明の概念はいくつかの実施例を特定的に参照して記載したが、当業者は本発明の概念の範囲から逸脱することなく形式及び細部において多くの変更をなし得ることが理解されよう。それゆえ、記載した実施例はあらゆる点で例示的であり、非限定的であるものと考慮されたい。本発明はここに記載した特定の実施例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく多くの再配置、変更及び置換が可能であることも理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード及びカソードを有するダイオードを含むSOI(silicon on insulator)基板、
前記ダイオードの上に形成された遷移体、及び
前記遷移体の上に形成された、ソース及びドレインを含むトランジスタ、
を備え、
前記ソースが第1の電気的接続部によって前記ダイオードに接続され、
前記ドレインが第2の電気的接続部によって前記ダイオードに接続されている、
複合半導体装置。
【請求項2】
前記遷移体は組成的に傾斜している、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項3】
前記トランジスタはIII−V族高電子移動度トランジスタ(HEMT)である、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項4】
前記ダイオードはPN接合ダイオードである、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項5】
前記PN接合ダイオードは前記PN接合の蓄積電荷の回復時間を低減するようにライフタイムが操作されている、請求項4記載の複合半導体装置。
【請求項6】
前記ダイオードはPINダイオードである、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項7】
前記ダイオードはIV族ダイオードである、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項8】
前記第1の電気的接続部が前記ダイオードの前記アノードを前記トランジスタの前記ソースに接続し、前記第2の電気的接続部が前記ダイオードの前記カソードを前記トランジスタのドレインに接続する、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項9】
前記トランジスタの降伏電圧は前記ダイオードの降伏電圧より大きい、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の電気的接続部はそれぞれ第1及び第2の半導体貫通ビアを用いて実現されている、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の半導体貫通ビアの少なくとも一つは側壁誘電体を含む、請求項10記載の複合半導体装置。
【請求項12】
前記SOI基板は、前記複合半導体装置の背面接点で終端される前記カソード及び前記アノードの少なくとも一つのための電極を有する、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項13】
前記ダイオードは一側で半導体貫通ビアによって、他側で外部電気接続部によって前記トランジスタの両端間に接続されている、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項14】
前記ダイオードは前記SOI基板の絶縁層の上に形成されている、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項15】
前記ダイオードは前記SOUI基板の絶縁層の下に形成されている、請求項1記載の複合半導体装置。
【請求項16】
アノード及びカソードを有するIV族ダイオードを含むSOI(silicon on insulator)基板、
前記IV族ダイオードの上に形成された、複数のIII−V族半導体層を含むIII−V族遷移体、及び
前記III−V族遷移体の上に形成された、ソース及びドレインを含むIII−V族トランジスタ、
を備え、
前記ソースが第1の電気的接続部によって前記IV族ダイオードに接続され、
前記ドレインが第2の電気的接続部によって前記IV族ダイオードに接続されている、
複合半導体装置。
【請求項17】
前記III−V族遷移体は組成的に傾斜している、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項18】
前記III−V族トランジスタはIII−V族高電子移動度トランジスタ(HEMT)である、請求項14記載の複合半導体装置。
【請求項19】
前記IV族ダイオードはPN接合ダイオードである、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項20】
前記IV族PN接合ダイオードは前記PN接合ダイオードの蓄積電荷の回復時間を低減するようにライフタイムが操作されている、請求項19記載の複合半導体装置。
【請求項21】
前記IV族ダイオードはPINダイオードである、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項22】
前記第1の電気的接続部が前記IV族ダイオードの前記アノードを前記III−V族トランジスタの前記ソースに接続し、前記第2の電気的接続部が前記IV族ダイオードの前記カソードを前記III−V族トランジスタのドレインに接続する、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項23】
前記III−V族トランジスタの降伏電圧は前記IV族ダイオードの降伏電圧より大きい、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項24】
前記第1及び第2の電気的接続部はそれぞれ第1及び第2の半導体貫通ビアを用いて実現されている、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項25】
前記第1及び第2の半導体貫通ビアの少なくとも一つは側壁誘電体を含む、請求項24記載の複合半導体装置。
【請求項26】
前記SOI基板は、前記複合半導体装置の背面接点で終端される前記カソード及び前記アノードの少なくとも一つのための電極を有する、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項27】
前記ダイオードは一側で半導体貫通ビアによって、他側で外部電気接続部によって前記トランジスタの両端間に接続されている、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項28】
前記IV族ダイオードは前記SOI基板の絶縁層の上に形成されている、請求項16記載の複合半導体装置。
【請求項29】
前記IV族ダイオードは前記SOUI基板の絶縁層の下に形成されている、請求項16記載の複合半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42120(P2013−42120A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−154973(P2012−154973)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(597161115)インターナショナル レクティフィアー コーポレイション (71)
【Fターム(参考)】