説明

集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システム

【課題】 集積回路の電源から放出されるノイズを効率良く低減することができる集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムを提供すること。
【解決手段】 トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生するIC1の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減方法において、前記IC1のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成するクロック分散手順と、前記複数のディレイクロックにより動作する回路ブロックを複数の回路ブロック11,12,13,14に分割する回路ブロック分割手順と、各回路ブロック11,12,13,14により生成された位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させて電源ノイズを低減する電源ノイズ低減手順と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生するIC電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源ノイズ低減装置としては、小容量コンデンサとしても大容量バイパスコンデンサと同等のノイズ低減効果を得ることを目的とし、電荷量を電源VDDに供給するために必要十分な電荷供給回路の組み合わせを決定する電荷量決定回路と、ノイズ低減回路が電源VDDに電荷量を供給する時刻を電源ノイズ(-ΔVDD)が発生する時刻に同期させる位相調整回路と、高電圧で充電したコンデンサを放電させる手段を有するノイズ低減回路と、を用い、電源ノイズ(-ΔVDD)とは逆極性のノイズ(+ΔVDD)を発生させて、電源ノイズを相殺するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−191609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の電源ノイズ低減装置にあっては、位相調整回路が調整する電荷供給タイミングが電源ノイズの発生タイミングに一致していなかったり、また、電荷量決定回路が決定する電荷量が必要量より過剰であったり不足していたりする場合、ノイズレベルが大きい最初の波形を相殺できず、期待する電源ノイズ低減効果が得られない、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、集積回路の電源から放出されるノイズを効率良く低減することができる集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生する集積回路の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減方法において、
前記集積回路のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成するクロック分散手順と、
前記複数のディレイクロックにより動作する回路ブロックを複数の回路ブロックに分割する回路ブロック分割手順と、
各回路ブロックにより生成された位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させて電源ノイズを低減する電源ノイズ低減手順と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の集積回路電源ノイズ低減方法にあっては、クロック分散手順において、集積回路のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックが複数生成され、回路ブロック分割手順において、複数のディレイクロックにより動作する回路ブロックが複数の回路ブロックに分割され、電源ノイズ低減手順において、各回路ブロックにより生成された位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させて電源ノイズが低減される。
すなわち、集積回路での貫通電流を原因とする電源ノイズ波形は、一定の周波数で振幅し、最初の波形ほどノイズレベルが大きい。これに対し、クロック信号に同期して動作する集積回路において、機能ブロックごとにクロックを多数化し、位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させる。これにより、トランジスタが作動するときに発生する貫通電流が分散化され、ノイズレベルの大きな最初の波形を含め、電源ノイズを効率良く低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムを実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の集積回路電源ノイズ低減方法が適用された集積回路電源ノイズ低減システムを示すブロック構成図、図2は実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける位相制御回路を示す回路構成図、図3は実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける電源ノイズ検知回路でのシステム電源(VDD)のノイズ波形のデジタル変換を説明する図、図4は実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける端子A,端子B,端子Cの構成を示す図である。
【0009】
実施例1では、
(1) 位相のずれたノイズ波形を干渉させ、ノイズを緩和させる。
(2) 機能ブロックごとにクロックを多数化し、貫通電流を分散化する。
という手法によりノイズ低減を行う。このノイズ低減法において、各クロックの位相制御を行なっている。今回、クロックの位相を制御する方法として、IC内にディレイ素子を持たせ、ディレイ素子の数に応じて位相を制御する。そのときのIC内のブロック構成を図1〜図4に示す。
【0010】
実施例1における集積回路電源ノイズ低減システムは、図1に示すように、集積回路1(以下、「IC1」(IC:Integrated Circuitの略)という。)と、ベースクロック2と、端子A3と、端子B4と、端子C5と、調整クロック6と、を備えている。
【0011】
(IC内のブロック構成について)
前記IC1は、図1に示すように、位相制御回路10と、第1回路ブロック11と、第2回路ブロック12と、第3回路ブロック13と、第4回路ブロック14と、同期制御回路ブロック15と、を備えている。
【0012】
前記位相制御回路10は、IC1のベースクロック(クロックA)に対して位相制御を行なうブロックである。
前記第1〜第4回路ブロック11〜14は、それぞれ位相制御が行なわれたクロックで動作するブロックである。
前記同期制御回路ブロック15は、各ブロック間にまたがるデータ信号を制御するブロックである。
【0013】
(位相制御回路について)
前記位相制御回路10は、図2に示すように、ベースクロック2に対してクロックディレイを行う位相ディレイ回路10aと、ディレイクロックの選択を行うクロックセレクト回路10bと、端子A3,端子B,端子Cの各アナログ信号をデジタル信号にするA/Dコンバータ回路10cと、システム電源(VDD)と調整クロック6からの入力に基づき電源ノイズを検知する電源ノイズ検知回路10dと、が含まれている。
【0014】
*位相ディレイ回路10aについて
ベースクロック2に対して、ディレイバッファ分ディレイさせる。そのときのディレイバッファの数を1つ、2つ、・・・と増やしたパスを生成する(α分を生成する)。
(α)は、位相ディレイ回路10aにおいてディレイさせたクロックである。
【0015】
*クロックセレクト回路10bについて
クロックセレクト回路10bでは、位相ディレイ回路10aで生成されたディレイクロック(α)からどのクロックをクロックB、クロックC、クロックDにするかを決める。そのときのそれぞれのセレクト信号はA/Dコンバータ回路10cからの信号でセレクトする。ちなみに、(α)と(β)は同じ信号であり、(β)には(α)の信号が入力される。
【0016】
*端子A〜C、A/Dコンバータ回路10cについて
端子A3,端子B4,端子C5は、アナログ信号である。端子A3,端子B4,端子C5の外部構成は、図4のようになる。それぞれの端子A3,端子B4,端子C5の抵抗値Rを変更することにより端子A3,端子B4,端子C5からIC1に入力される電圧を変更する。それによってA/Dコンバータ回路10cにおいてデジタル変換する。デジタル変換された値によってクロックセレクト回路10bのマルチプレクサ(スイッチを使って複数の信号から1つの信号を選ぶ機能のこと)の制御を行う。
【0017】
*クロック数について
クロック数は、ベースクロック2の1つに対し、位相ディレイ制御したクロック3本、それぞれに対しクロック分散回路(あるいは、ソフト切り換えによるクロック分散機能)を通じて、クロック数を増やす。それによって位相差を付け、回路ブロックを増やし、ノイズの干渉をさせる。
【0018】
*電源ノイズ検知回路10dについて
この電源ノイズ検知回路10dは、初期状態でノイズを低減させる(クロック調整)時に使用し、通常動作時については、停止(調整クロック6を印加せず)させておく。
この電源ノイズ検知回路10dは、A/Dコンバータ101と、A/D変換データ入力専用メモリ102と、ノイズ検知&コントロール回路103と、を有し、その機能は、以下の通りとなっている。
(1) システム電源(VDD)を、A/Dコンバータ101に取り込み、ノイズ波形(図6の電源ノイズ波形参照)をデジタル変換する(図3参照)。その時、ノイズ波形のP-P(peak to peak)と周波数を測定する。それぞれの測定方法は、(2)で説明する。
(2) VDDノイズ波形のP-P測定については、A/D変換データ入力専用メモリ102に格納された値によって判断する。
図3にはA/D変換データ入力専用メモリ102内に格納された波形よりデジタル変換値の上限値(7FH)、下限値(83H)、中心(00H)として考えた場合を示す。ノイズ調整を行い、この値を縮小して行く。また、周波数については、メモリに格納されたデータの数(アドレス値)より判断する。
(3) VDDノイズ波形のP-Pと周波数の値より、ノイズ検知&コントロール回路103において、波形のディレイ値を算出し、A/Dコンバータ回路10cにフィードバックして設定を行っていく。
【0019】
次に、作用を説明する。
IC内の各ゲートは動作クロックに同期して動作している。そのため各ゲートの出力信号が切り換る瞬間にVDD−GND間に貫通電流が流れる(図5)。
ここで、貫通電流とは、CMOSインバータが反転する場合、回路を構成するp型トランジスタとn型トランジスタが一瞬の間同時にオン状態になる。このとき、電源→p型トランジスタ→n型トランジスタ→接地と流れる電流をいう。
【0020】
ゲート一つに対する貫通電流は少ないが、総ゲート数に対しては多くの電流が流れる。この電流の変動が発生源となって電源ノイズが発生する。電源ノイズの波形は、電源(VDD、GND)について、図6のように表れる。なお、図6は図5における丸で囲んだ箇所を詳細にした図である。
図6の電源ノイズ波形より、一定の周波数で振幅し、最初の波形ほどノイズレベルが大きいことがわかる。そこで、電源ノイズを低減するために、以下のように考える。
(1) 位相のずれたノイズ波形を干渉させ、ノイズを緩和させる。
(2) 機能ブロックごとにクロックを多数化し、貫通電流を分散化する。
【0021】
(1)について
電源ノイズは、図6に示すように、一定周期の波形で何波か出力されることより、基本のノイズ波形に対して1/2位相ずれたもと干渉をし合えば弱め合う。それによりノイズが小さくなり、電源ノイズの緩和を行うことが可能である。
【0022】
(2)について
IC内の回路ブロックを機能ごとにN分割して、それぞれ別々のクロックで動作させる。そのときのクロックについては、N個としてクロックを分ける(Nは4の倍数)。
(例:N=8の場合)
(a)ICのベースクロック(A)
(b)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の1/8位相ずれたクロック(B)
(c)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の1/4位相ずれたクロック(C)
(d)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の3/8位相ずれたクロック(D)
(e)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の1/2位相ずれたクロック(E)
(f)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の5/8位相ずれたクロック(F)
(g)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の3/4位相ずれたクロック(G)
(h)Aのクロックに対して図6のノイズ波形の7/8位相ずれたクロック(H)
それぞれのクロックについては、図7のようになる。なお、図7において、B,D,F,Hクロックは省略する。
【0023】
(1)、(2)の原理において、それぞれのクロックにおける電源部の貫通電流のノイズ波形を図8に示す。なお、図8において、B,D,F,Hクロックは省略する。
図8における場合は、それぞれのクロックにおける回路ブロックのゲート数が同じ8つのブロックのときである。さらに、ノイズ低減の効果を得るために、各回路ブロックのゲート数に差を与える。そのときのゲート数の違いは以下のとおりである。
【0024】
〈例:各クロックにおけるゲート数〉
ゲート数 大 ・・・ クロックC
中 ・・・ クロックD
小1・・・ クロックG
小2・・・ クロックB
各クロックにおいて動作する回路ブロックのゲート数を変えた時のノイズ波形とそれぞれのノイズ波形における干渉波形を図9に示す。なお、図9において、B,D,F,Hクロックは省略する。
図8の干渉波形と図9の干渉波形を比較すると、最初の大きなノイズ波形を抑えることが可能である。
【0025】
次に、効果を説明する。
実施例1の集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0026】
(1) トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生するIC1の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減方法において、前記IC1のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成するクロック分散手順と、前記複数のディレイクロックにより動作する回路ブロックを複数の回路ブロック11,12,13,14に分割する回路ブロック分割手順と、各回路ブロック11,12,13,14により生成された位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させて電源ノイズを低減する電源ノイズ低減手順と、を有するため、IC1の電源から放出されるノイズを効率良く低減する集積回路電源ノイズ低減方法を提供することができる。
【0027】
(2) 前記クロック分散手順は、IC1のベースクロック2に対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを4の倍数の値であるN個生成し、前記回路ブロック分割手順は、IC1内の回路ブロックを機能ごとにN分割するため、少なくとも1/4位相ずれたクロックにより、貫流電流の分散化を図ることで、効果的に電源ノイズを低減することができる。
【0028】
(3) 前記回路ブロック分割手順は、それぞれのディレイクロックにおける回路ブロック11,12,13,14のゲート数に差を与えるため、回路ブロックのゲート数に差を与えない場合に比べ、最初の大きな電源ノイズ波形を抑制することができる。
【0029】
(4) トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生するIC1の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減システムにおいて、前記IC1のベースクロック2に対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成する位相制御回路10と、前記複数のディレイクロックにより動作し、生成された位相のずれたノイズ波形をシステム電源VDDに与える複数の回路ブロック11,12,13,14と、前記各回路ブロック11,12,13,14間にまたがるデータ信号を制御する同期制御回路ブロック15と、を有するため、IC1の電源から放出されるノイズを効率良く低減する集積回路電源ノイズ低減システムを提供することができる。
【0030】
(5) 前記位相制御回路10は、ベースクロック2に対してディレイバッファ分ディレイさせる位相ディレイ回路10aと、該位相ディレイ回路10aで生成されたディレイクロックからセレクト信号に基づき各クロックを決めるクロックセレクト回路10bと、各端子3,4,5からIC1に入力される電圧をデジタル変換し、デジタル変換された値によって前記クロックセレクト回路10bへ出力するセレクト信号を作り出すA/Dコンバータ回路10cと、電源ノイズ波形を検知する電源ノイズ検知回路10dと、を有するため、ディレイバッファの設定により、ベースクロック2の1つに対し、位相ディレイ制御したクロックを、ノイズ干渉に最適なクロック数まで増大させることができる。
【0031】
(6) 前記電源ノイズ検知回路10dは、電源ノイズ波形をデジタル変換してノイズ波形のピーク幅と周波数を測定し、ノイズ波形のピーク幅測定値と周波数測定値により、ディレイクロックにおけるノイズ波形のディレイ値を算出するため、電源ノイズ波形の簡単なピーク幅と周波数の測定に基づいて、ディレイクロックにおけるノイズ波形のディレイ値を精度良く算出することができる。
【0032】
以上、本発明の集積回路電源ノイズ低減方法および集積回路電源ノイズ低減システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0033】
実施例1では、IC内の回路ブロックを機能ごとに4個または8個に分割し、4個または8個のクロックにより動作させる例を示したが、回路ブロックの分割数は4の倍数であれば12個でも16個等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1の集積回路電源ノイズ低減方法が適用された集積回路電源ノイズ低減システムを示すブロック構成図である。
【図2】実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける位相制御回路を示す回路構成図である。
【図3】実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける電源ノイズ検知回路でのシステム電源(VDD)のノイズ波形のデジタル変換を説明する図である。
【図4】実施例1の集積回路電源ノイズ低減システムにおける端子A,端子B,端子Cの構成を示す図である。
【図5】クロック波形と貫通電流波形を示すタイムチャートである。
【図6】システム電源とアースでの電源ノイズ波形を示すタイムチャートである。
【図7】AクロックとCクロックとEクロックとGクロックとで位相をずらしたクロック波形を示すタイムチャートである。
【図8】それぞれのクロックにおける回路ブロックのゲート数が同じ場合のノイズ波形と干渉波形を示すタイムチャートである。
【図9】それぞれのクロックにおける回路ブロックのゲート数が異なる場合のノイズ波形と干渉波形を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 IC(集積回路)
2 ベースクロック
3 端子A
4 端子B
5 端子C
6 調整クロック
10 位相制御回路
10a 位相ディレイ回路
10b クロックセレクト回路
10c A/Dコンバータ回路
10d 電源ノイズ検知回路
11 第1回路ブロック
12 第2回路ブロック
13 第3回路ブロック
14 第4回路ブロック
15 同期制御回路ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生する集積回路の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減方法において、
前記集積回路のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成するクロック分散手順と、
前記複数のディレイクロックにより動作する回路ブロックを複数の回路ブロックに分割する回路ブロック分割手順と、
各回路ブロックにより生成された位相のずれたノイズ波形と電源ノイズ波形を干渉させて電源ノイズを低減する電源ノイズ低減手順と、
を有することを特徴とする集積回路電源ノイズ低減方法。
【請求項2】
請求項1に記載された集積回路電源ノイズ低減方法において、
前記クロック分散手順は、集積回路のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを4の倍数の値であるN個生成し、
前記回路ブロック分割手順は、集積回路内の回路ブロックを機能ごとにN分割することを特徴とする集積回路電源ノイズ低減方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された集積回路電源ノイズ低減方法において、
前記回路ブロック分割手順は、それぞれのディレイクロックにおける回路ブロックのゲート数に差を与えることを特徴とする集積回路電源ノイズ低減方法。
【請求項4】
トランジスタが作動するときの貫通電流によって発生する集積回路の電源ノイズを低減する集積回路電源ノイズ低減システムにおいて、
前記集積回路のベースクロックに対して一定周期単位で位相を遅らせたディレイクロックを複数生成する位相制御回路と、
前記複数のディレイクロックにより動作し、生成された位相のずれたノイズ波形をシステム電源に与える複数の回路ブロックと、
前記各回路ブロック間にまたがるデータ信号を制御する同期制御回路ブロックと、
を有することを特徴とする集積回路電源ノイズ低減システム。
【請求項5】
請求項4に記載された集積回路電源ノイズ低減システムにおいて、
前記位相制御回路は、ベースクロックに対してディレイバッファ分ディレイさせる位相ディレイ回路と、該位相ディレイ回路で生成されたディレイクロックからセレクト信号に基づき各クロックを決めるクロックセレクト回路と、各端子から集積回路に入力される電圧をデジタル変換し、デジタル変換された値によって前記クロックセレクト回路へ出力するセレクト信号を作り出すA/Dコンバータ回路と、電源ノイズ波形を検知する電源ノイズ検知回路と、を有することを特徴とする集積回路電源ノイズ低減システム。
【請求項6】
請求項5に記載された集積回路電源ノイズ低減システムにおいて、
前記電源ノイズ検知回路は、電源ノイズ波形をデジタル変換してノイズ波形のピーク幅と周波数を測定し、ノイズ波形のピーク幅測定値と周波数測定値により、ディレイクロックにおけるノイズ波形のディレイ値を算出することを特徴とする集積回路電源ノイズ低減システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−92348(P2008−92348A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271957(P2006−271957)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】