説明

電子回路基板、電子回路装置およびこれを用いた電力線通信装置

【課題】発熱部品の実装に伴う温度上昇によるLSIの誤動作を回避し、信頼性の高い電子回路基板およびこれを用いた電子回路を提供する。
【解決手段】発熱量の大きいデジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面に発熱量の小さなアナログ部品および接続部を実装し、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、電子回路基板に熱が蓄積されるのを防止することができる。また基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱され、熱による影響を抑制し信頼性の高い電子回路を提供することができる。また、アナログ部品のうち、発熱部品は、前記デジタル部品と平面的に対向する位置を避けて配置することで、基板を介して伝達される熱の影響を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板、電子回路装置およびこれを用いた電力線通信装置にかかり、特に高速電力線通信(PLC)などの、ノイズ対策の厳しい環境で用いられる半導体集積回路の放熱を考慮した実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化への要求に伴い、半導体集積回路や回路部品を搭載した回路モジュールにおいては、多数の集積回路チップや回路部品を搭載する必要があり、配線スペースや、実装スペースの有効活用化への要求が高まっている。
特に、信号の変調および復調を行う変復調ICは、多数の接地端子(パッド)が狭ピッチで配置されており、各接地端子が、実装基板上に接続される。実装基板としては、複数の配線層を、絶縁層を介して積層した積層基板が用いられる(特許文献1)。
このような積層基板においては、配線の引き回しをなるべく少なくすると共に、配線自体に起因するインピーダンスの低減をはかるために、通常、上記配線層のうち、電源線と接地線とは、プレート状に形成し、電源プレート、接地プレートとして積層基板内に埋め込むことによって、形成される。
【0003】
また、アンプなどの高発熱部品の実装を伴うことが多い電子機器では、種々の放熱構造が提案されており、金属ベース基板など、ベース基板側に放熱させる構造が提案されている(例えば特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特許第3375555号
【特許文献2】特開2006−135202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PLC分野においては、平面的な占有面積だけでなく、垂直方向の距離も見過ごすことはできず、積層基板の厚さ方向の距離の増大による、インダクタンスの増大も少なからず問題となっている。このような状況の中で、配線長の微細化は進む一方であり、小型化が進み、従来の60%程度の占有面積となっているだけでなく、部品の高密度化が大幅に進んでいる。
このような状況の中で、オペアンプなどの発熱部品の実装に起因する温度上昇に伴うLSIの誤動作が深刻な問題となっている。
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、発熱部品の実装に伴う温度上昇によるLSIの誤動作を回避し、信頼性の高い電子回路基板およびこれを用いた電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明では、第1の面にデジタル部品が実装されると共に、前記第1の面に対向する第2の面にアナログ部品が実装される基板と、前記基板の第2の面に設けられ、実装基板に接続する接続部とを具備したことを特徴とする。
この構成によれば、デジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面にアナログ部品および接続部を実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱されると共に、第2の面側は第2の面側に放熱されるため、電子回路基板に熱が蓄積されるのを防止することができる。
【0008】
また、本発明の電子回路装置では、デジタル部品と、アナログ部品と、第1の面に前記デジタル部品が実装されると共に前記第1の面に対向する第2の面に前記アナログ部品が実装された基板と前記基板の第2の面に設けられ、実装基板に接続する接続部とを具備したことを特徴とする。
この構成によれば、発熱量の大きいデジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面に発熱量の小さなアナログ部品および接続部を実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、電子回路基板に熱が蓄積されるのを防止することができる。また基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱され、熱による影響を抑制し信頼性の高い電子回路を提供することができる。
【0009】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記アナログ部品のうち、発熱部品は、前記デジタル部品と平面的に対向する位置を避けて配置されたものを含む。
この構成により、基板を介して伝達される熱の影響を回避することができる。
【0010】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記発熱部品は増幅器(オペアンプ)であるものを含む。
この構成により、オペアンプは、発熱量が大きく、ノイズの影響を受け易いが、デジタル部品と平面的に相対向する位置を避けて配置されるため、基板を介して伝達される熱の影響を回避することができる。
【0011】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記デジタル部品に当接する放熱部材を設けたものを含む。
この構成によれば、デジタル部品に当接する放熱部材を設けているため、この放熱部材が熱を強制的に放出する役割を果たすことになる。このため、基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱され、第2の面に、熱が流れ込むことはなく、熱による影響を遮断することができる。
【0012】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記基板の第1の面に、絶縁性の弾性部材を介して放熱部材が設けられたものを含む。
この構成により、基板の第1の面に搭載される部品の高さをこの弾性部材で吸収でき密着性を高めることで、熱接触性を高めることができ、放熱性をより向上することができる。
【0013】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記デジタル部品は、マルチキャリア信号の変調処理および復調処理の少なくとも一方を行うものを含む。なおここで変調・復調処理の両方を行う集積回路であっても有効である。
【0014】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記マルチキャリア信号は、一対の線路を有する電力線に伝送可能な電力線通信信号であるものを含む。
この構成によれば、マルチキャリア信号の変調処理および復調処理の少なくとも一方を行うデジタル部品を、発熱部品と反対側の面に配しているため、熱の影響を低減することができる。
【0015】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記第2の面に実装され、前記電力線通信信号について所定の周波数帯域を遮断するフィルタを更に備えたものを含む。
である。
この構成によれば、マルチキャリア信号の変調処理および復調処理の少なくとも一方を行うデジタル部品とフィルタとが、基板の異なる表面にそれぞれ実装され、基板で相互に遮蔽された構造となっているため、デジタル部品によるノイズの影響がフィルタに到達するのを抑制することができる。また、この基板は積層基板を用いるようにすることで、より、第1の面と第2の面との遮蔽効果を高めることができる。また、絶縁層を介して積層された複数の導電層で構成された積層基板を用いることで、貫通ビアを用いることなく接地端子と接地層とを接続できるので、マルチキャリア信号処理により集積回路やフィルタの実装面積が大きくなったとしても、積層基板の両面を実装面として効率良く用いることが出来、その結果、電子回路装置の小型化を図ることが出来る。
【0016】
また、本発明では、上記電子回路装置において前記フィルタは、前記一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスがほぼ同一である平衡型フィルタであるものを含む。
この構成によれば、デジタル部品と相対向する面に平衡型フィルタを実装することにより、平衡型フィルタへのノイズの影響を低減することが可能となる。また、通常はチップインダクタやチップコンデンサなどのチップ部品を組み合わせて実装する平衡型フィルタは、実装面積が大きくなりやすいが、この構成によれば、電力線通信に用いられる平衡型フィルタの実装面積が大きくなったとしても、電子回路基板の小型化を図ることが出来る。
【0017】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記電子回路装置から出力された電力線通信信号を前記電力線に伝送される交流電圧に重畳し、前記電力線に伝送される交流電圧から電力線通信信号を分離して前記実装基板に出力するカプラを備えた電力線通信装置を含む。
この構成によれば、高速通信が可能でかつ低ノイズで、信頼性の高い電力線通信装置を提供することが可能となる。
【0018】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記基板は、絶縁層を介して積層された複数の導電層を内部に有する第1の積層基板と、絶縁層を介して積層された複数の導電層を内部に有し、前記第1の積層基板と異なる第2の積層基板と、前記第1の積層基板と前記第2の積層基板との間に介在して、前記第1の積層基板と前記第2の積層基板を積層し、前記第1の積層基板と前記第2の積層基板を電気的に接続する導電路を備えた絶縁シートとを備えたものを含む。
この構成により、小型でかつ低ノイズの電子回路装置を提供することが可能となる。
【0019】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記絶縁シートに設けられ、当該電子回路基板に内蔵される内蔵回路素子を備え、前記内蔵回路素子が、前記導電路で囲まれたものを含む。
この構成によれば、導電性ペーストなどで導電路を、形成することにより、簡単な構成で確実なシールドを行うことが可能となる。また銅箔などで覆うようにしてもよい。
【0020】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記積層基板および前記他の積層基板は、基板厚さが等しく形成されたものを含む。
この構成によれば、基板の厚さが等しくなるように構成されているため、ヒートショックなどの温度変化の際における基板熱膨張の差による2つの積層基板と導電路を備えた絶縁シートとの剥離を防ぎ、2つの積層基板を接続する導電路の接続信頼性を向上することが可能となる。
【0021】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記絶縁シートに設けられ、当該基板に内蔵される内蔵回路素子を備え、前記複数の内蔵回路素子は、前記基板および前記他の基板のうち基板厚の厚い方の基板に実装されたものを含む。
この構成によれば、基板が薄くなっても、厚い側の基板にのみ回路部品が実装されるため、薄い基板の反りを防ぎ、導電路を備えた絶縁シートすなわちコンポジットシートとの積層に際して2つの積層基板を接続する導電路の接続信頼性を向上することが可能となる。
【0022】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記絶縁シートは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む。
この構成によれば、無機フィラーの選択により熱膨張率、誘電率と熱伝導率の制御をおこなうことが可能であり、2つの積層基板を接続する導電路の接続信頼性の向上や、放熱性の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明では、電子回路装置において、前記絶縁シートは、70重量%〜95重量%の無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む。
この構成によれば、熱膨張率を2つの積層基板と合わせることができ、前記絶縁シートと2つの積層基板との熱膨張の差によるヒートショックなどの温度変化の際における2つの積層基板と導電路を備えた絶縁シートとの剥離を防ぎ、2つの積層基板を接続する導電路の接続信頼性を向上することが可能である。また前記絶縁シートと2つの積層基板との積層の際に絶縁シートに接する面に実装された回路部品にかかる圧力を抑え、回路部品の損傷を防ぐことができる。なお積層基板は所望のパターンの形成された導電層間に絶縁層を挟んで形成されるが、この絶縁層も同様に無機フィラーと熱硬化性樹脂とで構成することができる。この絶縁シートは積層基板を構成する絶縁層よりも硬化温度が低い熱硬化性樹脂で構成しておくことにより、積層基板同士を、絶縁シートを介して固着する際、積層基板の絶縁層が熱処理により劣化するのを防止することができる。
【0024】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記コネクタが、前記基板の一端近傍に設けられ、前記発熱部品が、前記接続部に対して対角線上の端縁部に設けられたものを含む。
この構成によれば、発熱部品をコネクタに対して遠い位置に設けているため、発熱部品からの熱はコネクタに到達する前に放熱されるようにすることができる。
また、この基板の第1の面側に放熱板を配設することで、効率よく放熱することができる。
【0025】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記基板の第1の面に、放熱部材が設けられたものを含む。
この構成により、熱接触性を高めることができ、放熱性をより向上することができる。
【0026】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記基板の第1の面に、絶縁性の弾性部材を介して放熱部材が設けられたものを含む。
この構成により、基板の第1の面に搭載される部品の高さをこの弾性部材で吸収でき密着性を高めることで、熱接触性を高めることができ、放熱性をより向上することができる。
【0027】
また、本発明では、上記電子回路装置において、前記接続部が、前記基板の第2の面の一端近傍に設けられ、前記発熱部品が、前記基板の第2の面の他の一端近傍に設けられたものを含む。
この構成によれば、発熱部品をコネクタに対して遠い位置に設けているため、発熱部品からの熱はコネクタに到達する前に放熱されるようにすることができる。
【0028】
なお、本発明の対象とするデジタル部品を構成する集積回路としては、必ずしもメインICのような変復調回路である必要はなく、AFE・ICなど、多数の接地端子を備えた集積回路の実装に適用可能である。
【発明の効果】
【0029】
上記構成により、デジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面にアナログ部品および接続部を実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱されると共に、第2の面側は第2の面側に放熱されるため、電子回路基板に熱が蓄積されるのを防止することができる。
またアナログ部品のうち発熱量の大きいアンプなどのデジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面に発熱量の大きなアナログ部品および接続部を実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、基板に熱が蓄積されるのを防止することができるとともに、デジタル部品からの発熱を基板の第1の面から、効率よく放熱することができる。
また、基板として、絶縁層を挟んで複数の導電層が形成された積層基板を用い、マルチキャリア信号の信号処理を行うように構成されたイーサネット(登録商標) PHY ICなどのデジタル部品の搭載された電子回路装置において、積層基板を構成する複数の導電層のうち、集積回路に対して最も近くに配置された導電層が、前記複数の接地端子に電気的に接続されることにより、接地端子と導電層との距離が最短となり、積層基板を貫通させるビアホール(貫通ビア)を形成することなく、加工精度を維持しつつ接地端子と導電層とを接続することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1では、電子回路装置として、高速電力線通信(PLC、Power Line Communication)に用いられるPLCモジュールを、筐体101内に収納したPLCモデム100について説明する。なお、PLCモデム100は電力線通信装置の一例であり、電力線通信装置としては、PLCモデムを内蔵した電気機器であってもよい。
【0031】
本実施の形態では、図1に斜視図、図2に断面模式図を示すように、マザーボード110に接続部としてのコネクタ120を介して装着された2枚の電子回路基板でPLC回路モジュール200を構成している。すなわち、PLCモデム100に内蔵されるPLC回路モジュール200を構成する2枚の電子回路基板の第1の面200aに、イーサネット(登録商標)ケーブルを伝送する信号の変復調を行うイーサネットPHY・IC230、PLC・IC210、AFE・IC(Analog Front End・IC)220などのデジタル部品が搭載され、この第1の面200aと裏側の第2の面200bにオペアンプ252などの発熱部品であるアナログ部品が搭載されたことを特徴とするものである。そしてこのPLC回路モジュール200は第1の積層基板10と第2の積層基板30とがコンポジットシート20を介して積層されている。そしてデジタル部品の背面側は熱伝導性の弾性部材701を介して第1の積層基板のデジタル部品搭載面である第1の面200a全体を覆うように放熱部材700が設けられている。
【0032】
図3乃至図5に回路モジュール200を示す。図3は回路モジュール200の断面図、図4はデジタル部品と発熱部品であるオペアンプの平面的配置を示す説明図、図5は回路モジュール200の各面の部品配置を示す図である。図3は図5のA−A断面図で、図5(a)は、デジタル部品搭載面である第1の面200a、図5(b)は、デジタル部品搭載面である第2の面200b、図5(c)は内蔵部品を示す平面図である。すなわち、本実施の形態1では、図5(a)にデジタル部品搭載面である第1の面200aを示すように、デジタル信号の変復調処理やその他デジタル信号の処理を行う集積回路であるイーサネットPHY・IC230、PLC・IC210、AFE・IC220、メモリ(SDRAM)240、メモリ(フラッシュロム)241、リセットIC270などのデジタル部品が搭載された第1の積層基板10が、絶縁性シートとしてのコンポジットシート20を介して第2の積層基板30と固着されている。2つの積層基板のうち第1の積層基板10には第1乃至第4の金属層12−15の各層が絶縁層17を介して積層固着されている。11および16はこの積層基板の表面および裏面の配線を構成する配線パターンである。
【0033】
この配線パターンも第1乃至第4の金属層同様に形成されるが、ここでは接続用のパッドとみなし、もっとも近接した層は、第1の金属層12である。また、第2の積層基板30には配線パターンを構成する第1乃至第4の金属層32−35の各層が絶縁層37を介して積層固着されている。31および36はこの積層基板の表面および裏面の配線を構成する配線パターンである。この配線パターンも第1乃至第4の金属層同様に形成されるが、ここでは接続用のパッドとみなすものとする。第2の積層基板30についても、第1の積層基板10と同様に形成されているが、図4及び図5(c)に示すように、第2の積層基板30の第2の面200bには、インターフェースコネクタ(コネクタ)120、平衡フィルタとしてのバンドパスフィルタ260、オペアンプ252などの発熱部品が搭載されている。また、図5(b)において、ロジックIC263は後述する表示部105の動作を制御する集積回路である。アッテネータ261は、PLC受信信号を低減させ、PLC受信信号の負荷変動を吸収する。
【0034】
図5(c)は、コンポジットシート20内に内蔵される電子部品であり、これらは全て第1の積層基板10側に実装される。図5(c)において、181は、AFE・IC220に接続される内蔵部品である。182は、PLC・IC210に接続される内蔵部品である。183は、メモリ(SDRAM)240に接続される内蔵部品である。184は、メモリ241(フラッシュロム)に接続される内蔵部品である。185は、リセットICに接続される内蔵部品である。381は、イーサネットPHY・IC230に接続される内蔵部品である。
ここでコネクタ120とオペアンプ252は、対角線上の端部に位置し、所定の距離を維持するように配置されている。なおPLC・IC210を含むPLC回路モジュール200の回路構成については後述する。
【0035】
ここで、コネクタ120とオペアンプ252は、第2の面200bの端部近傍に配置されている。また、コネクタ120とオペアンプ252は、第2の面200bの対角線に沿った位置に配置されている。
近年、電力線通信装置は、より一層の小型化が求められている傾向がある。PLCモデム100を小型化するための一つの手段として、筐体101内における内蔵部品(基板、電子部品等)の実装密度を高くすることが考えられる。筐体101内の内蔵部品の実装密度を高くすると、図2における回路モジュール200とマザーボード100との間に形成される空間は狭小となる。当該空間が狭小になると、当該空間が持つ放熱面積も当然小さくなるので、回路モジュール200の放熱効率は低下する。したがって、第2の面200bに実装されたアナログ部品から放出される熱とマザーボード100に実装された電子部品から発生する熱は、当該空間から効率的に放熱されないので、回路モジュール200の温度を上昇させ易い。
【0036】
また、第2の面200bに実装されるアナログ部品のうち、発熱量の大きな部品(例えば、オペアンプ252)は、第2の面200bの端部近傍に配置することが望ましい。発熱量の大きなオペアンプ252を第2の面の端部近傍に配置すると、オペアンプ252は、温度の低い外気に晒されるため、外気との熱対流によって効率的に放熱を行うことができる。このように、発熱量の大きなアナログ部品を外気との熱対流によって効率的に放熱させることによって、回路モジュール200の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0037】
また、コネクタ120が樹脂等の耐熱性の低い材料で形成されている場合は、第2の面200bにおいて、コネクタ120を第2の面の一端近傍に形成し、オペアンプ252を他の一端近傍に配置することが望ましい。このようにコネクタ120とオペアンプ252を配置することによって、コネクタ120とオペアンプ252との距離を大きくすることができ、コネクタ120が受けるオペアンプ252から発生する熱の影響を低減させることが可能になる。
【0038】
また、コネクタ120が樹脂等の耐熱性の低い材料で形成されている場合は、第2の面200bにおいて、コネクタ120とオペアンプ252を対角線上に配置することも有効である。コネクタ120とオペアンプ252を対角線上に配置することによって、コネクタ120とオペアンプ252とのより距離を大きくすることができ、コネクタ120が受けるオペアンプ252から発生する熱の影響を低減させることが可能になる。なお、コネクタ120とオペアンプ252の配置は、第2の面200bの対角線上に限定されず、第2の面200bの一辺と鋭角で交わる直線と平行な直線上に配置しても良い。
【0039】
なお、コネクタ120が耐熱性の高い材料で形成されている場合は、第2の面200bにおいて、コネクタ120を端部近傍に配置し、オペアンプ252をコネクタ120の近傍に配置することも好適である。コネクタ120が耐熱性の高い材料で形成されている場合、コネクタ120は、回路モジュール200を介して伝導されるオペアンプ252から発生する熱を放熱することが可能であるからである。
【0040】
このように、PLCモデム100に収納されているPLC回路モジュール200は、図3乃至図5に示したように、第1および第2の積層基板で構成されている。この第1および第2の積層基板で構成された電子回路基板は、第1の面200aにイーサネットPHY・IC230を搭載した第1の積層基板10と表面に平衡型フィルタであるローパスフィルタ251とバンドパスフィルタ260を搭載するとともにAFE・IC220を搭載した第2の積層基板30とが、絶縁シート20を介して固着積層されている。そしてこの第1の積層基板10は表面および裏面側のパッドを含む配線層11、16と絶縁層17を介して積層された金属層12、13、14、15とを含む。そしてこの4層の金属層のうち最も裏面側のイーサネットPHY・IC230に近い位置に接地層としての第1の金属層12を配設しており、配線パターン11のパッドBに、ビアホールH1を介して、PLC・IC210に接続されている。
【0041】
このように、PLC回路モジュール200を構成する電子回路基板として第1および第2の積層基板10、30が用いられている。すなわちマルチキャリア信号の変復調を行うように構成された集積回路であるPLC・IC210の搭載された第1の積層基板10が、絶縁シートとしてのコンポジットシート20を介して第2の積層基板30と固着されている。この第2の積層基板30には積層された複数の金属層32−35の各層が絶縁層35を介して積層固着されている。この第2の積層基板30でも表面および裏面に接続用のパッドを構成する金属層31、36が形成されている(図3参照)。
【0042】
この構成では、デジタル部品を第1の面に実装し、前記第1の面に対向する第2の面に平衡型フィルタを実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、平衡型フィルタが、デジタル部品からのノイズの影響を回避することができ、ノイズの低減をはかり、信頼性の高い電子回路を提供することができる。なお電磁界分布については後述する。
【0043】
また、上述した回路モジュール200では、第1の積層基板10の第1の面200a上にデジタル信号の変復調処理やその他デジタル信号の処理を行う集積回路であるイーサネットPHY・IC230、PLC・IC210、AFE・IC220、メモリ240、リセットIC270等のデジタル部品が実装され、第2の積層基板30の第2の面200b上に、アナログ信号の処理を行う平衡型フィルタ260やオペアンプ252等が実装される。したがって、第1の面200aおよび第2の面200bには、アナログ部品とデジタル部品が混在せず、アナログ部品はデジタル部品から隔離されて実装される。さらに、第1の積層基板10と第2の積層基板30は、コンポジットシート20を介して積層されているので、コンポジットシート20の厚さの分だけ、アナログ部品とデジタル部品を隔てる距離が大きくなる。デジタル部品から発生するノイズの強度は、ノイズ源となるデジタル部品から遠くなるほど小さくなる。したがって、回路モジュール200では、コンポジットシート20の厚さの分だけ、アナログ部品がデジタル部品からより大きく隔離されるので、アナログ部品が受けるデジタル部品から発生するノイズの影響が小さくなる。
【0044】
図3において、回路モジュール200には、第1の積層基板10を貫通するビアホールH2が設けられており、PLC・IC210と内蔵電子部品182(例えば、抵抗素子)は、ビアホールH2を介して電気的に接続されている。
この構成によれば、ビアホールH2に設けられた導電路の特性インピーダンスと内蔵電子部品との間でインピーダンスの不整合が生じ、内蔵電子部品および導電路から不要輻射が発生した場合でも、内蔵電子部品182と導電路は回路モジュール200内に閉じ込められており、回路モジュール200内の導体層11〜16、31〜36によって当該不要輻射を遮蔽することが可能である。したがって、第2の面200bに実装されるアナログ部品の動作に影響を与える不要輻射を低減することが可能となる。
【0045】
この構成では、PLC・IC210の接地端子であるボンディングパッド(図示せず)と接地層を構成する第1の金属層12との距離が最短となり、積層基板を貫通させるビアを形成することなく、表面の絶縁層17のみを貫通する浅いインナービアH1で接地端子と接地層とを接続することが出来、加工精度を維持しつつ接地端子と接地層とを接続することが出来る。その結果、接地端子のピン数が多い場合であっても、貫通ビアで積層基板の裏面すなわち集積回路が実装されない面の実装面積が低下することもない。また積層基板の厚さ方向の距離の増大による、インダクタンスの増大も最小限に抑えることができる。
【0046】
ここで、第1の積層基板10の接地層を構成する第1の金属層12は、基板面の80%以上の占有面積をもつように、銅箔をパターニングして形成される。なお、この第1の金属層12の上層側(変復調IC(PLC・IC)210に対して離間する側)には、同様に銅箔をパターニングして形成された電源層を構成する第2の金属層13が形成されている。この第2の金属層13は、インナービアを介して、PLC・IC210の電源端子(図示せず)やメモリ240などと接続される。
【0047】
この第1および第2の積層基板10、30は、絶縁層17、37と、これら絶縁層17、37、の間に接地層、電源層、配線層などのパターンを構成する金属層12、13、14、15、32、33、34、35をはさむとともに表面および裏面に接続パッドを構成する配線パターン11、16、31、36、を配し、これらを、絶縁層17に形成されたビアホールで電気的に接続するように構成されている。そのビアホールの穴加工は、たとえば、レーザ加工、ドリルによる加工または金型による加工で形成することができる。レーザ加工は、微細なピッチで貫通孔を形成することができ、削り屑が発生しないため好ましい。レーザ加工では、炭酸ガスレーザやエキシマレーザを用いると加工が容易である。電気的接続の方法としては無電解めっきなどで形成しても良いし、導電性物質を充填することで形成しても良い。
【0048】
また、配線パターンや接地層、電源層を構成する金属層11、12、13、14、15、16(31、32、33、34、35、36)は、銅箔で構成されるが、導電性樹脂組成物など電気導電性を有する物質であればよい。たとえば、配線パターンとして銅箔を用いる場合、たとえば、電解メッキにより作製された厚さ12μm〜35μm程度の銅箔が適用可能である。銅箔は、絶縁層17、37との接着性を向上させるため、絶縁層17、37と接触する面を粗面化することが望ましい。また、銅箔としては、接着性および耐酸化性向上のため、銅箔表面をカップリング処理したものや、銅箔表面に錫、亜鉛またはニッケルをメッキしたものも使用可能である。また、この金属層としては、エッチング法あるいは打ち抜き法で形成された金属板のリードフレームを用いてもよい。リードフレームを用いる場合には、リードフレーム上に印刷法などによってグリーンシートを1ユニット毎に分割形成して固着後、必要に応じて部品実装を行い、さらに次の層の絶縁層を積層し、さらに次の層の金属層・・・というように順次積み重ねて積層し最後にここのユニットを構成する積層基板に分割することにより、容易に形成可能である。
【0049】
また、本発明の第1および第2の積層基板10、30を固着する絶縁性シート20としてのコンポジットシートは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む混合物から構成され、いわゆるグリーンシートと呼ばれるものであり、未硬化の状態で、必要に応じて回路部品用や導電路用の穴加工をした状態で積層し200℃程度で乾燥硬化させることによって回路部品や導電路を内蔵した状態で積層される。回路部品用や導電路用の穴は、たとえば、レーザ加工、ドリルによる加工または金型による加工で形成することができる。レーザ加工は、微細なピッチで貫通孔を形成することができ、削り屑が発生しないため好ましい。レーザ加工では、炭酸ガスレーザやエキシマレーザを用いると加工が容易である。なお、混合物を成型してグリーンシートを形成する際に、同時に形成してもよい。無機フィラーには、たとえば、Al、MgO、BN、AlNまたはSiOなどを用いることができる。無機フィラーは、混合物に対して70重量%から95重量%であることが好ましい。無機フィラーの平均粒子径は、0.1μm〜100μm以下であることが好ましい。熱硬化性樹脂には、たとえば、耐熱性が高いエポキシ樹脂、フェノール樹脂またはシアネート樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、耐熱性が特に高いため特に好ましい。なお、混合物は、さらに分散剤、着色剤、カップリング剤または離型剤を含んでいてもよい。
【0050】
また、絶縁シート20の材料として、無機フィラーと熱硬化性樹脂との混合物を用いているため、セラミック基板と異なり、高温で焼成する必要がなく200℃程度で乾燥することによって形成されるため、製造が容易である。
【0051】
また、絶縁シート20に用いる無機フィラーを選択することによって、絶縁シート20の線膨張係数、熱伝導度、誘電率などを容易に制御することができる。絶縁シート20の線膨張係数を半導体素子とほぼ等しくすると、温度変化によるクラックの発生等を防止することができ、信頼性の高い電子回路基板を構成することができる。絶縁シート20の熱伝導性を向上させると、高密度で回路部品を実装した場合にも、信頼性の高い電子回路基板を得ることができる。
【0052】
なお、板状の絶縁シート20は、熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で熱処理をしてもよい。熱処理をすることによって、絶縁シート20の可撓性を維持しながら粘着性を除去することができるため、その後の処理が容易になる。また、溶剤によって熱硬化性樹脂を溶解させた混合物では、熱処理をすることによって、溶剤の一部を除去することができる。
【0053】
絶縁シート20内に形成されている導電路Pとしては、たとえば、熱硬化性の導電性物質で構成される。熱硬化性の導電性物質としては、たとえば、金属粒子と熱硬化性樹脂とを混合した導電性樹脂組成物を用いることができる。金属粒子としては、金、銀、銅またはニッケルなどを用いることができる。金、銀、銅またはニッケルは導電性が高いことから導電性物質として好適であり、銅は導電性が高くマイグレーションも少ないため特に好適である。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂またはシアネート樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、耐熱性が高いため特に好適である。
【0054】
またここで絶縁シート20内に内蔵される回路部品18は、能動部品および受動部品のいずれであってもよい。能動部品としては、たとえば、トランジスタ、IC、LSIなどの半導体素子が用いられる。半導体素子としては、半導体ベアチップであってもよいし、樹脂封止のなされた半導体素子であってもよい。受動部品としては、チップ状の抵抗、チップ状のコンデンサまたはチップ状インダクタなどが用いられる。また、回路部品としては、受動部品を含まないものも適用可能である。
【0055】
また、この絶縁シート20を用いることにより、内蔵された回路部品18を外気から遮断することができるため、湿度による信頼性低下を防止することができる。
【0056】
以下に、この電子回路基板としての第1の積層基板(および第2の積層基板)を、高速電力線通信(PLC)用のモジュールに用いたPLCモデムについて詳細に説明する。図6は、PLCモデムの前面を示す外観斜視図である。
【0057】
PLCモデムは、筐体101を有しており、筐体101の前面には、LED(Light Emitting Diode)105A、105B、105Cからなる表示部105が設けられている。また、筐体101の背面には、電源コネクタ、及びRJ45等のLAN(Local Area Network)用モジュラージャック(図示せず)、及び動作モード等の切換えのための切換えスイッチ106が設けられている。電源コネクタには、電源ケーブル(図1では図示せず)が接続され、モジュラージャックには、LANケーブル(図1では図示せず)が接続される。なお、PLCモデムには、さらにDsub(D−subminiature)コネクタを設け、Dsubケーブルを接続するようにしてもよい。また、その他慨知のコネクタ等を設けてもよいことは言うまでも無い。なお、表示部としては、複数のLEDの他、1つのLEDで色を変えても良いし、液晶やELディスプレイ等に通信速度等を表示させても良い。また、図6では電力線通信装置としてのPLCモデムの構成例を示したが、PLCモデムを備えた電気機器(例えばテレビなどの家電機器)などに適用することも可能である。
【0058】
図7はこのPLCモデムの筐体内を示す説明図である。このPLCモデムは、筐体101内に、マザー基板110上にコネクタ120を介してPLCモジュール200が搭載され、このPLCモジュールの上面は熱伝導ゴムからなる弾性体702を介して放熱板700が筐体101の内壁に当接せしめられている。ここで103はRJ45と指称されているイーサネット用コネクタであり、このコネクタを介してネット接続がなされるようになっている。701はカバー、703は電源部、704は電源コネクタである。
【0059】
図8はこのPLCモデムの構成を示すブロック図である。PLC回路モジュール200には、変復調ICとしてのPLC・IC(Integrated Circuit)210、AFE・IC(Analog Front End IC)220、メモリ240、ローパスフィルタ251、オペアンプ252、バンドパスフィルタ260が設けられている。スイッチング電源300およびカプラ270は、電源コネクタ102に接続され、さらに電源ケーブル600、電源プラグ400、コンセント500を介して電力線900に接続される。
【0060】
PLC・IC210は、CPU(Central Processing Unit)211、PLC・MAC(Power Line Communication・Media Access Control layer)ブロック212、およびPLC・PHY(Power Line Communication・Physic layer)ブロック213で構成されている。CPU211は、32ビットのRISC(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサを実装している。PLC・MACブロック212は、送受信信号のMAC層を管理し、PLC・PHYブロック213は、送受信信号のPHY層を管理する。AFE・IC220は、DA変換器(DAC)221、AD変換器(ADC)222、および可変増幅器(VGA)223で構成されている。カプラ270は、コイルトランス271、およびカップリング用コンデンサ272a、272bで構成されている。なお、CPU211は、メモリ240に記憶されたデータを利用して、PLC・MACブロック212、およびPLC・PHYブロック213の動作を制御するとともに、PLCモデム100全体の制御も行う。
【0061】
PLCモデム100は、OFDM方式等の複数のサブキャリアを用いた伝送を行うものであり、このような伝送を行うためのデジタル信号処理は、PLC・IC210、特にPLC・PHYブロック213で行われる。
【0062】
図9は、PLC・IC210によって実現されるデジタル信号処理部の一例の概略機能ブロック図であり、ウェーブレット変換を利用するOFDM伝送を行う場合のものである。図9のデジタル信号処理部は、制御部2110、シンボルマッパ2111、シリアル−パラレル変換器(S/P変換器)2112、逆ウェーブレット変換器2113、ウェーブレット変換器2114、パラレル−シリアル変換器(P/S変換器)2115、デマッパ2116を備える。
【0063】
シンボルマッパ2111は、送信すべきビットデータをシンボルデータに変換し、各シンボルデータにしたがってシンボルマッピング(例えばPAM変調)を行うものである。S/P変換器2112は、マッピングされた直列データを並列データに変換するものである。逆ウェーブレット変換器2113は、並列データを逆ウェーブレット変換し、時間軸上のデータとするものであり、伝送シンボルを表すサンプル値系列を生成するものである。このデータは、AFE・IC220のDA変換器(DAC)221に送られる。
【0064】
ウェーブレット変換器2114は、AFE・IC220のAD変換器(ADC)222から得られる受信デジタルデータ(送信時と同一のサンプルレートでサンプルされたサンプル値系列)を周波数軸上へ離散ウェーブレット変換するものである。P/S変換器2115は、周波数軸上の並列データを直列データに変換するものである。デマッパ2116は、各サブキャリアの振幅値を計算し、受信信号の判定を行って受信データを求めるものである。
【0065】
PLCモデム100による通信は、概略次のように行われる。RJ45コネクタ103から入力されたデータの受信時、イーサネットPHY・IC230を介してPLC・IC210に送られ、デジタル信号処理を施すことによって生成されたデジタル送信信号は、AFE・IC220のDA変換器(DAC)221によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ251、オペアンプ(ドライバIC)252、カプラ270、電源コネクタ102、電源ケーブル600、電源プラグ400、コンセント500を介して電力線900に出力される。
【0066】
電力線900からの信号受信時は、カプラ270を経由してバンドパスフィルタ260に送られ、AFE・IC220の可変増幅器(VGA)223でゲイン調整がされた後、AD変換器(ADC)222でデジタル信号に変換された後、PLC・IC210に送られ、デジタル信号処理を施すことによって、デジタルデータに変換される。そして、イーサネットPHY・IC230を介してRJ45コネクタ103から出力される。
【0067】
なおここで送信側に配置されるローパスフィルタ251は、その等価回路図を図10(a)あるいは(b)に示すように、多数のコンデンサとコイルとで構成される。また受信側に配置されるバンドパスフィルタ260についても、その等価回路図を図10(c)に示すように、多数のコンデンサとコイルとで構成される。
【0068】
図10(a)に示すローパスフィルタ251aは、一対の線路601、602間に接続された、2つのコンデンサ251a1、251a2を有している。一対の線路601、602それぞれには、2つのコンデンサ251a1、251a2に挟まれるように、CL並列回路251a3、251a4が直列に接続されている。また、図10(b)に示すローパスフィルタ251bは、一対の線路601、602間に接続された、1つのコンデンサ251b1を有している。線路601には、コンデンサ251b1を挟むように、2つのインダクタ251b2、251b3が直列に接続されている。線路602には、コンデンサ251b1を挟むように、2つのインダクタ251b4、251b5が直列に接続されている。
【0069】
線路601及び線路602は、図9に示す電源ケーブル600を介して、一対の線路を有する電力線900に接続されている。図10(a)に示すローパスフィルタ251aは、CL並列回路251a3、251a4の回路定数が同一である場合、電力線900が有する一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスが同一である。従って、このローパスフィルタ251aは平衡型フィルタを構成する。また、図10(b)に示すローパスフィルタ251bは、インダクタ251b2、251b3と、インダクタ251b4、251b5との回路定数が同一である場合、電力線900が有する一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスが同一である。従って、このローパスフィルタ251bは、ローパスフィルタ251aと同様に、平衡型フィルタを構成する。こうすることで、電力線が有する一対の線路間のバランスを取ることが出来るので、一方の線路を伝送するノイズで、他方の線路を伝送するノイズを相殺させることが出来、ノイズを抑制することが出来る。
【0070】
図10(c)に示すバンドパスフィルタ260は、線路601、602に対して直列に接続された、図10(a)で示したローパスフィルタ251aと、ハイパスフィルタ251cとを有している。ハイパスフィルタ251cは、一対の線路601、602間に接続された、1つのインダクタ251c1を有している。線路601には、インダクタ251cを挟むように、2つのコンデンサ251c2、251c3が直列に接続されている。線路602には、インダクタ251c1を挟むように、2つのコンデンサ251c4、251c5が直列に接続されている。
【0071】
図10(c)に示すバンドパスフィルタ260は、コンデンサ251c2、251c3と、コンデンサ251c4、251c5との回路定数が同一である場合、電力線900が有する一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスが同一である。従って、バンドパス260は、平衡型フィルタを構成する。こうすることで、電力線が有する一対の線路間のバランスを取ることが出来、電力線が有する一対の線路間のバランスを取ることが出来るので、一方の線路を伝送するノイズで、他方の線路を伝送するノイズを相殺させることが出来、ノイズを抑制することが出来る。
【0072】
図10にそれぞれに示したフィルタは、電力線900が有する一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスが同一である場合に示したが、これらインピーダンスは完全に同一である必要はなく、ノイズを抑制する効果を奏する範囲で、略同一であればよい。例えば、線路それぞれから見たインピーダンスの差が±5%であれば、ノイズ抑制の効果を奏することが出来る。
【0073】
このPLC回路モジュール200は、前述したように、第1の積層基板10と第2の積層基板30とがコンポジットシート20を介して積層して形成されているが、そのうち第1の積層基板10は、図11に示すように、4層の金属層11、12、13、14を内層として含み表面側に、比較的小型の部品を搭載するとともに、裏面側にPLC・IC210と、メモリ240などを搭載してなるものである。また第2の積層基板30は、図11に表面および裏面を示すように、4層の金属層31、32、33、34を内層として含み裏面側に、比較的小型の部品を搭載するとともに、表面側に平衡型フィルタであるバンドパスフィルタ251、260、AFE・IC220を搭載してなるものである。
【0074】
次にこのPLC回路モジュール200の製造方法について説明する。
図12(a)〜(f)はPLCモジュールの製造工程の一実施の形態を示す斜視図である。図12の断面図を図13(a)〜(f)に示す。図14(a)乃至(f)はこのPLCモジュールを構成する電子回路基板としての第1の積層基板の製造工程を示す断面図である。
まず、PLCモジュールの製造工程の説明に先立ち、第1の積層基板の製造工程について説明する。
【0075】
まず、図14(a)に示すように、ガラス織布に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化状態の絶縁層17を形成し、この絶縁層17の両面に金属層11、12としての銅箔を貼着したものを用意する。同様にして絶縁層17の両面に金属層13、14としての銅箔を貼着したもの、絶縁層17の両面に金属層15、16としての銅箔を貼着したものを用意する。前記両面基板に熱をかけながら加圧することで絶縁層の樹脂を硬化させる。なお、絶縁層の材料としてアラミド不織布や無機フィラーなどを用いてもよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を用いたが、フェノール樹脂などを用いてもよい。
【0076】
その後、図14(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、各金属層をパターニングし、配線パターンを形成する。その後、図14(c)に示すように、プリプレグと呼ばれる絶縁層17Pを挟んで加熱しながらプレスを行う。位置合わせして重ねたものを加圧することによって板状体を形成した後、これを加熱することによって、絶縁層17および17P中の熱硬化性樹脂を硬化させ、6枚の金属層11、12、13、14、15、16を備えた積層体を形成する。加熱は、絶縁層17、17P中の熱硬化性樹脂が硬化する温度以上の温度(たとえば150℃〜260℃)で行い、未硬化の絶縁層は絶縁層17となる。なお、加熱によって未硬化状態の絶縁層中の熱硬化性樹脂を硬化させる際に、加熱しながら10kg/cm2〜200kg/cm2の圧力で加圧することによって、回路部品モジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0077】
その後、図14(d)に示すように、レーザを用いて接地層15までの孔Hを形成する。孔Hは、前述したように、レーザ加工、ドリルによる加工または金型による加工で形成することができる。
【0078】
その後、図14(e)に示すように、積層基板10を貫通する貫通孔Hを形成する。
さらに、図14(f)に示すように、貫通孔H内にめっきを行い、パッドとなる金属層16や接地層15、などの電気的接続を行う。なおここでは導電性樹脂組成物を充填するようにしてもよい。このようにして、第1の積層基板が形成される。
【0079】
なお本実施の形態では、最外層となる配線パターン11、16についてもパターニングを行った後に、積層し、最後に貫通孔Hを形成し、貫通孔内にめっきを行うようにしているが、貫通孔と配線パターン11との接続は、再度選択めっきを行うことにより、貫通孔内からパッドとなる配線パターン16上にかかるようにめっき層を形成することにより接続可能である。また最外層については最後に銅箔を貼着し、パターニングを行うようにすれば、貫通孔上にパッドを形成するようにすることも可能である。
【0080】
同様にして、第2の積層基板30を形成する。搭載する回路部品については異なるが、製造については第1の積層基板と同様の工程を経て第2の積層基板が形成される。
【0081】
次にPLCモジュールの実装に際しては、まず、図12(a)および図13(a)に示すように、第1の積層基板10の上面に回路部品18を実装する。
【0082】
次に、図12(b)および図13(b)に示すように、第2の積層基板30を用意する。
【0083】
この後、図12(c)および図13(c)に示すように、コンポジットシート20を形成し、部品用およびビア(導電路)形成のための貫通孔Hを形成する。このコンポジットシート20は、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む混合物を成形することによって板状のコンポジットシートを構成する。板状のコンポジットシート20は、無機フィラーと未硬化状態の熱硬化性樹脂とを混合してペースト状混練物とし、そのペースト状混練物を一定厚みに成型することによって得られる。そして、板状のコンポジットシート20の所望の位置にビア形成(導電路)のための貫通孔Hを形成することによって、貫通孔Hが形成された板状体を形成する。貫通孔Hは、たとえば、レーザ加工、ドリルによる加工または金型による加工で形成することができる。ここでも、貫通孔Hは、ペースト状混練物を成型して板状のコンポジットシート20を形成する際に、同時に形成してもよい。
【0084】
そして、図12(d)および図13(d)に示すように、コンポジットシートの貫通孔Hに導電性樹脂組成物を充填し導電路Pを形成する。
【0085】
そして、図12(e)および図13(e)に示すように、第1の基板および第2の基板をコンポジットシート20を介して位置合わせして、重ねたものを加圧することによって回路部品18が埋設された板状体を形成した後、これを加熱することによって、絶縁シート20および導電性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂を硬化させ、第1の積層基板10、第2の積層基板30間に回路部品18が埋設された積層体を形成する。加熱は、コンポジットシート20および導電性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂が硬化する温度以上の温度(たとえば150℃〜260℃)で行い、未硬化のコンポジットシート20は硬化される。なお、加熱によって未硬化状態のコンポジットシートを硬化させる際に、加熱しながら10kg/cm2〜200kg/cm2の圧力で加圧することによって、PLC回路モジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0086】
この後、図12(f)に示すように、第1の積層基板10の下面に変復調IC(PLC・IC)210と、メモリ240などを実装し、第2の積層基板30上面にAFE・IC220、平衡型フィルタ(バンドパスフィルタ)251、260を実装し、本実施の形態のPLCモジュールが完成する。
【0087】
このようにして形成されたPLCモジュールを、図6示すように筐体101a、101b内に収納し、図5に示したようなPLCモデムが完成する。
【0088】
このように本実施の形態のPLCモジュールによれば、デジタル部品を第1の面200aに実装し、前記第1の面200aに対向する第2の面200bにアナログ部品および接続部を実装しており、第2の面が実装基板に対向する形態となるため、基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が効率よく放熱されると共に、第2の面側は第2の面側に放熱され、電子回路基板に熱が蓄積されるのを防止することができる。
【0089】
また、発熱量の多いアナログ部品であるオペアンプ252を接続部であるコネクタ120から最も遠い位置に配しているため、温度上昇の防止が効率的となる。
さらにまた、第1の面に実装されたデジタル部品の背面側を電気的絶縁性でかつ熱伝導性の良好な弾性部材を介して放熱部材に当接させているため、この放熱部材が熱を強制的に放出する役割を果たすことになる。このため、基板の第1の面からは、デジタル部品からの発熱が面全体から効率よく放熱され、第2の面に、熱が流れ込むことはなく、熱による影響を遮断することができる。
加えて、変復調ICと平衡型フィルタを積層基板の同一面上に配置しないように構成しているため、ノイズの影響を小さくすることができ、特性が良好でかつ、小型で低コストのモジュールを得ることができる。
【0090】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
本発明のPLCモジュールを構成する電子回路基板の製造方法の一例について説明する。
【0091】
コンポジットシート板状体の作製は、まず、所望の組成で混合されたペースト状の混合物を、所定量だけ離型フィルム上に滴下する。ペースト状の混合物は、無機フィラーと液状の熱硬化性樹脂とを攪拌混合機によって10分程度混合して作製した。使用した攪拌混合機は、所定の容量の容器に無機フィラーと液状の熱硬化性樹脂とを投入し、容器自身を回転させながら公転させるもので、混合物の粘度が比較的高くても充分な分散状態が得られる。離型フィルムには厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、フィルム表面にシリコンによる離型処理を施した。
【0092】
次に、離型フィルム上のペースト状の混合物にさらに離型フィルムを重ね、加圧プレスで厚さ500μmになるようにプレスして、板状の混合物を得た。次に、離型フィルムで挟まれた板状の混合物を離型フィルムごと加熱し、板状の混合物の粘着性が無くなる条件下で熱処理した。熱処理は、120℃の温度で15分間保持である。この熱処理によって、板状の混合物の粘着性が失われるため、離型フィルムの剥離が容易になる。この実施例で用いた液状エポキシ樹脂は、硬化温度が130℃であるため、この熱処理条件下では、未硬化状態(Bステージ)である。
【0093】
次に、板状の混合物から離型フィルムを剥離し、板状の混合物を耐熱性離型フィルム(PPS:ポリフェニレンサルファイト、厚さ75μm)で挟んで、50kg/cm2の圧力で加圧しながら170℃の温度で加熱することによって板状の混合物を硬化させた。
【0094】
次に、硬化した板状の混合物から耐熱性離型フィルムを剥離することによって、絶縁層を得た。この絶縁層を所定の寸法に加工して、熱伝導度、線膨張係数などを測定した。熱伝導度は、10mm角に切断した試料の表面を加熱ヒータに接触させて加熱し、反対面の温度上昇から計算で求めた。線膨張係数は、室温から140℃まで温度上昇させた場合の絶縁層の寸法変化を測定し、その寸法変化の平均値から求めた。絶縁耐圧は、絶縁層の厚み方向にAC電圧を印加した場合の絶縁耐圧を求め、単位厚み当たりの絶縁耐圧を計算した。ここでは絶縁層とは電気的に絶縁状態にある基板をさすものとする。
【0095】
上記の方法で作製された絶縁層は、無機フィラーとしてAl23を用いた場合には、従来のガラス−エポキシ基板(熱伝導度0.2w/mK〜0.3w/mK)に比べて熱伝導度が約10倍以上となった。Al23の量を85重量%以上とすることによって、熱伝導度を2.8w/mK以上とすることができた。Al23はコストが安いという利点もある。
【0096】
また、無機フィラーとしてAlN、MgOを用いた場合では、Al23を用いた場合と同等以上の熱伝導度が得られた。また、無機フィラーとして非晶質SiO2を用いた場合では、線膨張係数がシリコン半導体(線膨張係数3×10-6/℃)により近くなった。したがって、無機フィラーとして非晶質SiO2を用いた絶縁層は、半導体を直接実装するフリップチップ用基板として好適である。
【0097】
また、無機フィラーとしてSiO2を用いた場合には、誘電率が低い絶縁層が得られた。SiO2は比重が軽いという利点もある。
【0098】
また、無機フィラーとしてBNを用いた場合には、熱伝導度が高く線膨張係数が低い絶縁層が得られた。無機フィラーとして60重量%のAl23を用いた場合を除いて、絶縁層の絶縁耐圧は、10kV/mm以上であった。絶縁層の絶縁耐圧は、絶縁層の材料である無機フィラーと熱硬化性樹脂との接着性の指標となる。すなわち、無機フィラーと熱硬化性樹脂との接着性が悪いと、その間に微小な隙間が生じて絶縁耐圧が低下する。このような微小な隙間は回路部品内蔵モジュールの信頼性低下を招く。一般に、絶縁耐圧が10kV/mm以上であれば無機フィラーと熱硬化性樹脂との接着性が良好であると判断できる。したがって、無機フィラーの量は70重量%以上であることが好ましい。
【0099】
なお、熱硬化性樹脂の含有量が低いと絶縁層の強度が低下するため、熱硬化性樹脂は4.8重量%以上であることが好ましい。
【0100】
この実施例では、液状エポキシ樹脂には、日本ペルノックス(株)製のエポキシ樹脂(WE−2025、酸無水系硬化剤含む)を用いた。フェノール樹脂には、大日本インキ(株)製のフェノール樹脂(フェノライト、VH4150)を用いた。シアネート樹脂には、旭チバ(株)製のシアネート樹脂(AroCy、M−30)を用いた。この実施例では、添加物としてカーボンブラックまたは分散剤を加えた。
このコンポジットシートを用いて、第1の積層基板10と第2の積層基板30で挟み、加圧加熱することにより本発明の実施の電子回路で用いられる基板が得られる。
これにコネクタを装着し、マザーボードに装着すると共に筐体101内に熱伝導性ゴムおよび放熱板を介して装着され半導体装置を得ることができる。
なお前記実施例1は以下の実施の形態にも適用可能であることはいうまでもない。
【0101】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
前記実施の形態1では、筐体101内にモジュールを収納するに当たり、熱伝導性の良好な弾性体としてのゴムを介して放熱板を装着したが、図15に示すように、弾性体および放熱板を介することなくそのままで筐体101内に収納するようにしてもよい。
【0102】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態では図16に示すように、前記実施の形態1で得られたPLCモジュールの上下面にそれぞれコンポジットシート42、43を介して放熱用の金属板40および41を積層してPLCモジュールを構成することでモジュールとしての放熱を効果的に行うようにしている。他は図1に示した実施の形態1のPLCモジュールと同様に形成されている。同一部位には同一符号を付した。ここで接続部としてのコネクタ120は、別の断面で切断したときには現れるがこの断面には存在しないため、図示しない。
この構成によれば、回路の集積度の増大に際しても、上下面に放熱板を同時に構成することにより、放熱面積を広げることができ、小型で低コストのモジュールを構成することができる。
なお、放熱用の金属板が2つの場合について説明したが、金属板が1つであってもよい。例えば、発熱量の最も大きい集積回路(例えばメインIC)のみに、コンポジットシートを介して、金属板を設けることで、放熱面積を広げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の電子回路基板および電子回路装置によれば、特にオペアンプなどの発熱部品の搭載位置をデジタル部品の反対側の面にすると共に、接続部から離間して配しているため、放熱性を高め、ノイズの影響を受けないように構成できるため、高速電力線通信など、種々の分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態1の電子回路基板を用いたPLC回路モジュールをマザーボード110に実装した状態を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の電子回路基板を用いたPLC回路モジュールをマザーボード110に実装した状態を示す断面説明図
【図3】本発明の実施の形態1の電子回路基板を用いたPLC回路モジュールを示す断面要部説明図
【図4】本発明の実施の形態1のPLC回路モジュールを構成する電子回路基板の上面のレイアウトを示す図
【図5】本発明の実施の形態1のPLC回路モジュールを構成する電子回路基板の上面、下面、内蔵部品を示す図
【図6】本発明の実施の形態1のPLCモデムの外観を示す図
【図7】本発明の実施の形態1のPLCモデムの断面図
【図8】本発明の実施の形態1のPLCモデムのハードウェアの一例を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態1のPLCモジュールのPLC・IC210によって実現されるデジタル信号処理部の一例の概略機能ブロック図
【図10】本発明の実施の形態1のPLC回路モジュールに用いられる平衡型フィルタを示す等価回路図
【図11】本発明の実施の形態1のPLC回路モジュールに用いられる第2の積層基板の構成を示す図
【図12】(a)〜(f)は本発明の実施の形態1のPLCモジュールの製造工程の一実施の形態を示す斜視図
【図13】(a)〜(f)は本発明の実施の形態1のPLCモジュールの製造工程の一実施の形態を示す断面図
【図14】(a)〜(f)は本発明の実施の形態1のPLCモジュールに用いられる第1の積層基板の製造工程を示す断面図
【図15】本発明の実施の形態2のPLC回路モジュールを示す説明図
【図16】本発明の実施の形態3のPLC回路モジュールを示す説明図
【符号の説明】
【0105】
11、12、13、14、15、16 金属層
15 接地層
100 PLCモデム
101 筐体
102 電源コネクタ
103 RJ45コネクタ
105 表示部
200 (PLC用)回路モジュール
210 PLC・IC(変復調IC)
211 CPU
212 PLC・MACブロック
213 PLC・PHYブロック
220 AFE・IC
221 DA変換器(DAC)
222 AD変換器(ADC)
223 可変増幅器(VGA)
230 イーサネットPHY・IC
251 ローパスフィルタ
252 オペアンプ(ドライバIC)
260 バンドパスフィルタ
270 カプラ
271 コイルトランス
272a、272b カップリング用コンデンサ
300 スイッチング電源
400 電源プラグ
500 コンセント
600 電源ケーブル
900 電力線
2110 制御部
2111 シンボルマッパ
2112 シリアル−パラレル変換器
2113 逆ウェーブレット変換器
2114 ウェーブレット変換器
2115 パラレル−シリアル変換器
2116 デマッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面にデジタル部品が実装されると共に、
前記第1の面に対向する第2の面にアナログ部品が実装される基板と、
前記基板の第2の面に設けられ、実装基板に接続する接続部とを具備した電子回路基板。
【請求項2】
デジタル部品と、
アナログ部品と、
第1の面に前記デジタル部品が実装されると共に、
前記第1の面に対向する第2の面に前記アナログ部品が実装された基板と、
前記基板の第2の面に設けられ、実装基板に接続する接続部とを具備した電子回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子回路装置であって、
前記アナログ部品のうち、発熱部品は、前記デジタル部品と平面的に対向する位置を避けて配置された電子回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子回路装置であって、
前記発熱部品は増幅器(オペアンプ)である電子回路装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電子回路装置であって、
前記デジタル部品に当接する放熱部材を設けた電子回路装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の電子回路装置であって、
前記デジタル部品は、マルチキャリア信号の変調処理および復調処理の少なくとも一方を行う電子回路装置。
【請求項7】
請求項2に記載の電子回路装置であって、
前記マルチキャリア信号は、一対の線路を有する電力線に伝送可能な電力線通信信号である電子回路装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子回路装置であって、
前記第2の面に実装され、前記電力線通信信号について所定の周波数帯域を遮断するフィルタを更に備えた電子回路装置。
【請求項9】
請求項8記載の電子回路装置であって、
前記フィルタは、前記一対の線路のそれぞれから見たインピーダンスが略同一である平衡型フィルタである電子回路装置。
【請求項10】
電力線通信を行う電力線通信装置であって、
請求項8または9に記載の電子回路装置と、
前記電子回路装置から出力された電力線通信信号を前記電力線に伝送される交流電圧に重畳し、前記電力線に伝送される交流電圧から電力線通信信号を分離して前記電子回路装置に出力するカプラを備えた電力線通信装置。
【請求項11】
請求項2乃至9のいずれかに記載の電子回路装置であって、
前記基板は、
絶縁層を介して積層された複数の導電層を内部に有する第1の積層基板と、
絶縁層を介して積層された複数の導電層を内部に有し、前記第1の積層基板と異なる第2の積層基板と、
前記第1の積層基板と前記第2の積層基板との間に介在して、前記第1の積層基板と前記第2の積層基板を積層し、前記第1の積層基板と前記第2の積層基板を電気的に接続する導電路を備えた絶縁シートとを備えた電子回路装置。
【請求項12】
請求項11記載の電子回路装置であって、更に、
前記絶縁シートに設けられ、当該電子回路装置に内蔵される内蔵回路素子を備え、
前記内蔵回路素子が、前記導電路で囲まれた電子回路装置。
【請求項13】
請求項11記載の電子回路装置であって、
前記積層基板および前記他の積層基板は、基板厚が等しい電子回路装置。
【請求項14】
請求項11記載の電子回路装置であって、
前記絶縁シートに設けられ、当該電子回路装置に内蔵される複数の内蔵回路素子を備え、
前記複数の内蔵回路素子は、前記積層基板および前記他の積層基板のうち基板厚が厚い方の積層基板に実装されている電子回路装置。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれかに記載の電子回路装置であって、
前記絶縁シートは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む電子回路装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電子回路装置であって、
前記絶縁シート中の無機フィラーの重量%は、70重量%〜95重量%である電子回路装置。
【請求項17】
請求項2に記載の電子回路装置であって、
前記接続部が、前記基板の一端近傍に設けられ、前記発熱部品が、前記接続部に対して対角線上の端縁部に設けられた電子回路装置。
【請求項18】
請求項17に記載の電子回路装置であって、
前記基板の第1の面に、放熱部材が設けられた電子回路装置。
【請求項19】
請求項1に記載の電子回路装置であって、
前記基板の第1の面に、絶縁性の弾性部材を介して放熱部材が設けられた電子回路装置。
【請求項20】
請求項2記載の電子回路装置であって、
前記接続部が、前記基板の第2の面の一端近傍に設けられ、前記発熱部品が、前記基板の第2の面の他の一端近傍に設けられた電子回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−231606(P2009−231606A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76373(P2008−76373)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】