説明

電子部品の製造方法および電子部品

【課題】 本発明は、電子部品同士を半田接合し、半田接合部の空隙を熱硬化性樹脂を含有する樹脂層で充填させ、半田接合部を補強する電子部品の製造方法において、空洞(エアギャップ)の発生を抑制することができ、さらに、ボイド(気泡)の発生をも抑制することができる、電子部品の製造方法および電子部品を提供することができる
【解決手段】 本発明の電子部品の製造方法は、第1電子部品または第2電子部品の少なくとも一方に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、半田電極と金属電極を当接させる第2の工程と、半田電極と金属電極を溶融接合させる第3の工程と、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させる第4の工程と、を有する電子部品の製造方法において、第3の工程において、板状体を有する加圧装置で加圧を維持しながら半田の融点以上の温度に加熱し、さらに、半田の融点よりも低い温度で加圧を開放することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化および軽薄短小化の要求に伴い、半導体パッケージ等の電子部品の高密度集積化、高密度実装化が進んでおり、これら電子部品の小型化、多ピン化が進んでいる。これら電子部品の電気的な接続を得るためには半田接合を用いており、例えば半導体チップ同士の導通接合部、フリップチップで搭載したパッケージのような半導体チップ−回路基板間の導通接合部、回路基板−回路基板間の導通接合部といったものに用いている。さらに電子部品の薄化、小型化、狭ピッチ接合の要求に伴い、半田接合部には毛細管現象を利用した液状封止樹脂(アンダーフィル材)を充填し接合部を補強して接合部分の信頼性を確保している。
【0003】
しかしながら、電子部品の薄化、小型化に伴い、半田接合部は狭ピッチ化/狭ギャップ化するため、半田接合後に液状封止樹脂(アンダーフィル材)を供給してもギャップ間に液状封止樹脂(アンダーフィル材)が行き渡らなく、完全に充填することが困難になるという問題が生じている。この問題を回避するために、半田接合前に予めフラックス作用を有する液状若しくはフィルム状の封止用樹脂(アンダーフィル材)を供給しておき、半田接合と同時にギャップ間を充填するという手法が検討されている。しかしこの手法を用いても、狭ピッチ/狭ギャップの半田接合部を完全に充填することは難しく、ボイドおよび空洞の発生という問題が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−332087号公報
【特許文献2】特開2003−100809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みたもので、電子部品同士を半田接合し、半田接合部の空隙を熱硬化性樹脂を含有する樹脂層で充填させ、半田接合部を補強する電子部品の製造方法において、空洞(エアギャップ)の発生を抑制することができ、さらに、ボイド(気泡)の発生をも抑制することができる、電子部品の製造方法および電子部品を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1)接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記接続用半田電極の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田
の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法、
(2)接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度で、加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃よりも大きくなる温度に加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下なる温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法、
(3)接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、190℃以下の温度で加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、210℃よりも高い温度に加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、210℃以下の温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を210℃以下の温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順に行うことを特徴とする電子部品の製造方法、
(4)接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記第1電子部品および第2電子部品の少なくとも一方の接続用半田電極の半田の融点より高い温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極の半田の融点より低い温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法、
(5)接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度で、加熱
および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記第1電子部品および第2電子部品の少なくとも一方の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃より大きくなる温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法、
(6)接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、190℃以下の温度で、加熱および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、210℃よりも高い温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、210℃以下の温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、210℃以下の温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法
(7)前記第3の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させるものである、(1)ないし(3)のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(8)前記第3の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記接続用半田電極同士を溶融接合させるものである、(4)ないし(6)のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(9)前記第4の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるものである、(1)ないし(8)のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(10)前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層がフラックス活性化合物を含む、(1)ないし(9)のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(11)(1)ないし(10)のいずれかに記載の電子部品の製造方法を用いて作製された電子部品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品同士を半田接合し、半田接合部の空隙を熱硬化性樹脂を含有する接着層で充填させ、半田接合部を補強する電子部品の製造方法において、空洞(エアギャップ)の発生を抑制することができ、さらに、ボイド(気泡)の発生をも抑制することができる、電子部品の製造方法および電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の半田接合方法により製造される電子部品の一例を模式的示す縦断面図である。
【図2】本発明の半田接合を説明するための縦断面図である。
【図3】半導体チップとインターポーザを接合する第1の接合方法を模式的に示す縦断面図である。
【図4】半導体チップとインターポーザを接合する第2の接合方法を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の電子部品の接合方法および電子部品について詳細に説明する。
本発明の電子部品の接合方法は、接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記接続用半田電極の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、をこの順で行うことを特徴とする。特に、板状体を有する加圧装置により加圧、加熱することにより半田電極の半田と金属電極の金属を溶融接合させ、さらに、半田の融点よりも低い温度に冷却した後に加圧を開放することにより、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生をも抑制することができる
【0010】
まず、本発明の電子部品の接合方法を説明するのに先立って、本発明の電子部品の製
造方法により製造された電子部品について説明する。
【0011】
図1は、本発明の電子部品の接合方法により製造される電子部品の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0012】
図1に示す電子部品10は、フリップチップ構造のパッケージであり、半導体チップ3と、半導体チップ3を支持するインターポーザー(基板)1と、所定パターンに形成された金属電極2と、複数の導電性を有する半田電極(半田バンプ)4と、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層5を有している。
【0013】
インターポーザー1は、絶縁基板であり、例えば、ポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー1の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー1の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される所定のパターンに形成された金属電極2が設けられている。また、金属電極2の酸化防止や半田電極との接合性を向上する目的で、Ag、Sn、Au等の金属がメッキや蒸着等の手法により金属電極2を覆うように構成されていても良い。
また、インターポーザー1には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されていても良い
【0014】
各半田電極4の形状は、特に限定されるものではなく、球状、楕円状、円柱状、円錐状等が挙げられる。
この半田電極4は、特に限定されるものではないが、Sn、Ag、Bi、Zn、Cu、Zn、In、Sb等から選ばれる金属の合金であることが好ましく、特に、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Biが好ましく、さらに、環境や人体に影響を及ぼす可能性があるPbを含まない、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Bi、Sn−Zn−Biがより好ましい。
【0015】
インターポーザー1の金属電極2と半導体チップ3の半田電極4は、金属結合により接
合されており、インターポーザー1と半導体チップ3は電気的に接続されている。
また、インターポーザー1と半導体チップ3との間の間隙は熱硬化性樹脂を含有する樹脂層5が充填され、インターポーザー1と半導体チップ3との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分の浸入を防止する機能を有しており、信頼性の高い電子部品10を得ることができる。
【0016】
図2−aは、本発明の電子部品の接合方法により製造される電子部品の構成を示す縦断面図である。図2−aは、図1で示す電子部品10において、インターポーザー1上の金属電極2が半田電極12に変わった以外は、全く同じ構成であり、インターポーザー11の半田電極12と半導体チップ13の半田電極14からなるものである。
【0017】
図2−bは、図2−aで示す電子部品の構成において、本発明の電子部品の接合方法により製造される電子部品の構成を示す縦断面図である。図2−bで示す電子部品20は、インターポーザー11上の半田電極12と半導体チップ13の半田電極14のが金属結合することにより、接合部15を形成し、インターポーザー11と半導体チップ13が電気的に接続される。
【0018】
図1および図2は、インターポーザーと半導体チップを接合した電子部品の場合を説明したが、
接合するものは特に限定されるものではなく、リジッド基板、フレキシブル基板、半導体チップ、半導体ウエハ等から選ばれるものを適宜組合せることができる。
【0019】
<第1の接合方法>
このような電子部品10および20は、例えば、以下のようにして製造することができる。
図3は、接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部
品とを接合する第1の接合方法を説明するための縦断面図、図4は、接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品とを接合する第2の接合方法を説明するための縦断面図である。
【0020】
まず、接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品との第1の接合方法を用いてフリップチップを得る方法について説明する。
【0021】
[1A−1] まず、それぞれに、金属電極22が形成されたインターポーザー21と、半田電極24が形成された半導体チップ23とを用意する。
本実施形態では、図(3−a)に示すように、インターポーザー21には、金属電極22が形成されており、金属電極22は、例えば、ポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成された絶縁基板に銅箔を張り合わせた銅張り積層板の銅箔を所定の回路形状にエッチングすることにより得ることができる。
また、図(3−a)に示すように、半導体チップ23には、半田電極24が形成されており、半田電極24は、例えば、金属電極(図示しない)上にメッキ、スクリーン印刷、半田ペースト塗布等の手法により得ることができる。
【0022】
[1A−2] 次に、図(3−b)に示すように、金属電極22が形成されたインターポーザー21の金属電極22面側に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を形成する(第1の工程)。
【0023】
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を形成する方法としては、例えば、ラミネート、塗布、印刷等の手法により得ることができる。本実施形態では、インターポーザー21
の金属電極22面側に形成したが、半田電極24が形成された半導体チップ23の半田電極24面側に形成しても良い。また、インターポーザー21の金属電極22面側および半導体チップ23の半田電極24面側の両方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を形成しても良い。
【0024】
熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を、金属電極22が形成されたインターポーザー21の金属電極22面側にラミネートする条件は、特に限定されるわけではないが、例えば、温度50℃〜150℃の条件で行うことができる。ラミネート温度が上記範囲温度以下である場合、インターポーザ21に対する密着性が不足し、インターポーザーを搬送する際に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が剥がれてしまう場合がある。また、ラミネート温度が上記範囲温度以上であると、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の硬化が進行し熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の流動性が低下するため、金属電極22と半田電極24を溶融接合させる際に、金属電極22と半田電極25の間に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が残存し、良好な半田接合部が形成できない場合がある。
【0025】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を、金属電極22が形成されたインターポーザー21の金属電極22面側に塗布、印刷する条件は、特に限定されるわけではないが、例えば、スピンコート、スクリーン印刷等が挙げられ、その中でも、スクリーン印刷が好ましい
【0026】
本発明に係る熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25は、インターポーザー21と半導体チップ23を接合および接着した後の信頼性を向上させる目的で、熱硬化性樹脂を含むものであれば、特に限定されるものではなく、常温で液状であってもフィルム状であってもよい。また、前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25は、半田電極24を構成する半田成分の濡れ性を高めることができ、金属電極22と半田電極24の金属結合を促進することができ、半田接合部26を介した導通を確実に得ることができるようにするためにフラックス活性化合物を含むことが好ましい。さらに、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が常温でフィルム状である場合、フィルム形成能を付与する目的でフィルム形成性樹脂を含むことが好ましい。
【0027】
熱硬化性樹脂は、後工程(3−f)で得られるインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40において、この熱硬化性樹脂の硬化物で構成される封止部27により、隣接する接合部26同士を絶縁する機能を有するとともに、インターポーザー21と半導体チップ23とを固着(固定)する機能を有するものである。
【0028】
このような熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられ、これらの中でも、エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。エポキシ樹脂は高い耐熱性を有するため、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放した際に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25がスプリングバッグしてしまい、接合部26が不安定になることを防止することができる。
【0029】
エポキシ樹脂としては、室温で固形のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂のうち、いずれを用いてもよいし、これらの双方を含んでいてもよい。このようなエポキシ樹脂を用いる構成とすることにより、熱硬化性樹脂の溶融挙動の設計の自由度をさらに高めることができる。
【0030】
室温で固形のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンのような芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、室温で液状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは150〜300であり、より好ましくは160〜250であり、さらに好ましくは170〜220である。これにより、熱硬化性樹脂の硬化物における収縮率が大きくなるのを防止して、封止部27によりインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40に反りが生じるのを確実に防止することができる。
【0033】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中における熱硬化性樹脂の配合量は、25〜90重量%程度であるのが好ましく、35〜80重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を硬化させる際に、良好な硬化性が得られると共に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の良好な溶融挙動の設計が可能となる。
【0034】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25は、硬化剤が含まれているのが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化性をより向上させることができる。
【0035】
硬化剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール類、アミン類、チオール類が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いる場合では、フェノール類を用いるのが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25において、エポキシ樹脂との良好な反応性を得ることができ、さらには、この熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中に含まれるエポキシ樹脂の硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)を得ることができる。
【0036】
また、フェノール類としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂と反応し得る官能基を2以上有するものが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25におけるエポキシ樹脂の硬化物の特性(例えば、耐熱性、耐湿性等)の向上を図ることができる。
【0037】
このようなフェノール類としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類等が挙げられ。中でも、フェノールノボラック類およ
びクレゾールノボラック類を用いるのが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の溶融粘度を好適なものとすることができ、エポキシ樹脂との反応性を向上させることができる。さらに、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25におけるエポキシ樹脂の硬化物の特性(例えば、耐熱性、耐湿性等)をより優れたものとすることができる。
【0038】
また、硬化剤としてフェノールノボラック類を用いる場合、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中における硬化剤の配合量は、5〜30重量%程度であるのが好ましく、10〜25重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25において、熱硬化性樹脂を確実に硬化させることができる共に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中において、熱硬化性樹脂と未反応の硬化剤が残存するのが防止され、この残存物が存在することによるマイグレーションの発生を好適に防止することができる。
【0039】
なお、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、フェノールノボラック樹脂の配合量は、エポキシ樹脂に対する当量比で規定してもよい。
【0040】
具体的には、エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック類の当量比は、0.5〜1.2程度であるのが好ましく、0.6〜1.1程度であるのがより好ましく、0.7〜0.98程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することによっても、前述したのと同様効果を得ることができる。
【0041】
前記アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリ(メチルアミノ)ヘキサン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ピス(4−アミノ−3−メチルジンクロヘキシル)メタン、ジアミノジンクロヘキシルメタン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジエチルフェニルメタン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
【0042】
さらに、上述した硬化剤の他、例えば、融点が150℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。これにより、熱硬化性樹脂の硬化性が向上し、工程短縮が可能となる。
【0043】
この融点が150℃以上のイミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール化合物の融点の上限に特に制限はなく、例えば、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の接着温度に応じて適宜選択すればよい。
【0044】
硬化剤として、このようなイミダゾール化合物を用いる場合、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25における硬化剤の配合量は、0.005〜10重量%程度であるのが好ましく、0.01〜5重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化触媒としての機能をさらに効果的に発揮させて、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25において、熱硬化性樹脂の硬化性を向上させることができる共に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂
層25の保存性の低下を抑制することができる。
【0045】
なお、上述したような硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
本発明に係るフラックス活性化合物は、後工程(3−e)において、インターポーザー21と半導体チップ23が板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させる際に、半田電極24の表面を還元する機能を有するものである。これにより、半田電極24を構成する半田成分の濡れ性を高めることができ、金属電極22と半田電極24の金属結合を促進することができる。その結果、接合部26を介した導通を確実に得ることができる。
【0047】
また、このようなフラックス活性化合物は、熱硬化性樹脂と結合する官能基を有するのが好ましい。これにより、フラックス活性化合物は、熱硬化性樹脂の加熱により硬化する際に、硬化剤としても機能し、熱硬化性樹脂に付加することとなる。その結果、形成されるインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40が備える熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中で、フラックス活性化合物残渣に起因するイオンマイグレーションが発生するのを好適に抑制することができる。また、フラックス活性化合物が熱硬化性樹脂に付加することにより、熱硬化性樹脂の硬化物の弾性率および/またはガラス転移温度を高めることができるという効果も得られる。
【0048】
以上のことを考慮して、フラックス活性化合物としては、カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を備えるものを用いるのが好ましい。
【0049】
なお、カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物とは、分子中にカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基が少なくとも1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
【0050】
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0051】
また、脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0052】
脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0053】
芳香族酸無水物としては、無水フタル酸無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0054】
脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
【0055】
HOOC−(CH−COOH ・・・ (1)
[ただし、式中、nは、0以上20以下の整数を表す。]
【0056】
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸等が挙げられる。
【0057】
これらの中でも、フラックス活性化合物が有する活性度、熱硬化性樹脂の硬化時におけるアウトガスの発生量、およびインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40が備える封止部27の弾性率やガラス転移温度等のバランスを考慮して、上記一般式(1)で示される化合物を用いるのが好ましく、式中のnが3〜10程度であるものがより好ましい。これにより、インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40において、熱硬化性樹脂の硬化物における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、この硬化物とインターポーザー21や半導体チップ23との接着性を向上させることができる。
【0058】
上記一般式(1)で示される化合物において、nが3〜10のものとしては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)およびn=10のHOOC−(CH10−COOH等が挙げられる。
【0059】
さらに、フェノール性水酸基を有するフラックス活性化合物としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
【0060】
上述したようなカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
【0061】
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、1分子中にエポキシ樹脂に付加することができる少なくとも2個のフェノール性水酸基と、半田にフラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合したカルボキシル基を一分子中に少なくとも1個有するものであるのが好ましい。
【0062】
このようなフラックス活性化合物としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロ
キシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;およびジフェノール酸等が挙げられるが、熱硬化性樹脂硬化後の物性およびフラックス作用が両立する、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、フェノールフタリンが好ましい。これらのフラックス活性化合物は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中におけるフラックス活性化合物の配合量は、1〜30重量%程度であるのが好ましく、3〜25重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中における、フラックス活性を向上させることができるとともに、インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40が備える封止部27中において、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性化合物が残存するのが防止され、この残存物が存在することによるマイグレーションの発生を好適に防止することができる。
また、このようなフラックス活性化合物は、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中において、均一に分散していることが好ましい。上述のように、均一に分散することにより、フラックス活性化合物は、金属電極22と半田電極との界面に効率よく移動して、これら同士を直接接触させることができる。その結果、接合部26の接続信頼性を向上させることができる
【0064】
熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25がフィルム状である場合、フィルム形成性樹脂を含むことが好ましい。フィルム形成性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられるが、フィルム形成能とインターポーザー21や半導体チップ23との密着性に優れる、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。また、前記フィルム形成性樹脂は、これら例示のうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸及びその誘導体の重合体、あるいは(メタ)アクリル酸及びその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、(メタ)アクリル酸などと表記するときは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0066】
(メタ)アクリル系樹脂としては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体
、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミドが好ましい。
【0067】
なお、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する単量体を共重合させてなる(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25のインターポーザー21および半導体チップ23への密着性、および熱硬化性樹脂等との相溶性を
向上させることができる。このような(メタ)アクリル系樹脂において、前記官能基を有する単量体の使用量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂の全重量に対し、0.1〜50mol%程度であることが好ましく、0.5〜45mol%程度であるのがより好ましく、1〜40mol%程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することにより、インターポーザー21や半導体チップ23に対する熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の密着性を優れたものとしつつ、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の粘着力が強くなりすぎるのを好適に防止して、作業性の向上を図ることができる。
【0068】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上であるのが好ましく、15万〜100万程度であるのがより好ましく、25万〜90万程度であるのがさらに好ましい。重量平均分子量を前記範囲に設定することにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の成膜性を向上させることができる。
【0069】
また、フィルム形成性樹脂として、フェノキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量が5000〜15000程度であるものを用いるのが好ましい。かかる数平均分子量のフェノキシ樹脂を用いることにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の流動性を抑制し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の厚みを均一なものとすることができる。
【0070】
前記フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニル骨格タイプ等が挙げられる。これらの中でも、飽和吸水率が1%以下であるフェノキシ樹脂であるのが好ましい。これにより、インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40の形成時や、高温条件下に晒される場合においても、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25に起因する発泡や剥離などの発生を抑制することができる。
【0071】
なお、飽和吸水率は、フェノキシ樹脂を25μm厚のフィルムに加工し、100℃雰囲気中で1時間乾燥(絶乾状態)し、さらに、そのフィルムを40℃90%RH雰囲気の恒温高湿層に放置し、重量変化を24時間おきに測定し、重量変化が飽和した時点の重量を用いて、下記式(III)により算出することができる。
【0072】
飽和吸水率(%)={(飽和した時点の重量)−(絶乾時点の重量)}/(絶乾時点の重量)×100 ・・・ (III)
【0073】
また、フィルム形成性樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合、ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つものが挙げられる。
【0074】
このようなポリイミド樹脂としては、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。ジアミン
としては、芳香族ジアミンである、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、シロキサンジアミンである、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
また、酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。
【0076】
なお、このようなポリイミド樹脂は、後述する溶媒に可溶なものでも、不溶なものでも使用できるが、溶媒に可溶なものであるのが好ましい。特に、シロキサン変性ポリイミド樹脂は、様々な溶媒に溶かすことができるため好適に用いられる。
【0077】
このような熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が常温で液状の場合、例えば、熱硬化性樹脂、必要に応じて、フラックス活性化合物やフィルム形成性樹脂、その他の成分とを秤量し、3本ロールにて分散混練し、真空下脱泡処理することにより得ることができる。
【0078】
熱硬化樹脂を含有する樹脂層25は、必要に応じて、充填材、カップリング剤、低応力剤、可塑剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0079】
このような熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が常温でフィルム状の場合、例えば、熱硬化性樹脂、必要に応じて、フラックス活性化合物やフィルム形成性樹脂、その他の成分とを溶媒中に溶解させて接合シート形成用材料(液状材料)を調製し、その後、この接合シート形成用材料を、ポリエステルシート等の剥離処理が施された基材上に塗布し、所定の温度で、溶媒を除去し、乾燥させることにより得ることができる。
【0080】
なお、ここで用いられる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK (ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジ
アセトンアルコール)等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、BCSA(ブチロセルソルブアセテート)等のセロソルブ系、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DBE(ニ塩基酸エステル)、EEP(3−エトキシプロピオン酸エチル)、DMC(ジメチルカーボネート)等が挙げられる。
【0081】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の厚さ(平均)は、特に限定されないが、5〜300μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましい。
【0082】
[1A−3]次に、図(3−c)に示すように、インターポーザー21の金属電極22と半導体チップ23の半田電極24とが対応するように位置決めする。次いで、図(3−d)に示すように、前記半田電極24の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記金属電極22と前記半田電極24とを当接させ、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を形成する(第2の工程)。
【0083】
具体的には、前記半田電極24の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度で加熱および加圧することにより、前記金属電極22と前記半田電極24とを当接させ、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を形成することが好ましい。これにより、金属電極22と半田電極24の間に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25が介在し
、接合不良が発生することを防止できることと、さらに、金属電極22を半田電極24に溶融接合させる際(後述する)に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25の流動性を確保することができ、金属電極22および半田電極24の表面を覆うことができるため、より効率的に金属電極22および半田電極24表面の酸化膜を除去することができる。
【0084】
なお、半田電極24の半田の熱膨張係数は以下の方法により求めることができる。
半田の融点以上における熱膨張係数は、金属材料物性値計算ソフトウェア・データベースJMatPro(Sente Software社製)により算出することができる。
半田の融点以下における熱膨張係数は、熱機械特性分析装置(モード:圧縮、荷重:50N、昇温速度:5℃/分)により算出することができる。
【0085】
より具体的には、190以下で、好ましくは、180℃以下で、より好ましくは、170℃以下で加熱および加圧することにより、前記金属電極22と前記半田電極24とを当接させ、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を形成する。
【0086】
前記位置決めする方法としては、特に限定されるわけではないが、アライメントマークを利用する方法等により、インターポーザー21の金属電極22と半導体チップ23の半田電極24とが対応するように位置決めすることができる。
【0087】
[1A−4]次に、図(3−e)に示すように、金属電極22と半田電極24を当接させたインターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で半田電極24の半田の融点よりも高い温度で加熱し、接続用半田電極の半田を接続用金属電極に溶融接合させ、その後、半田電極24の半田の融点よりも低い温度に冷却した後に加圧を開放することにより、前記金属電極22と半田電極24を溶融接合させ、接合部26を形成する(第3の工程)。
【0088】
上記第3の工程での板状体を有する加圧装置により、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を加圧する方法としては、特に限定されるわけではないが、例えば、熱圧着機、フリップチップボンダー等の加圧および加熱の両方をできる加圧装置、また、金属、セラミック等の無機材料や有機材料で形成されたブロック状、支柱状等の加圧装置等を挙げることができるが、加圧および加熱の両方をできることができ、電子部品の生産性に優れる、熱圧着機およびフリップチップボンダーが好ましい。
【0089】
前記熱圧着機およびフリップチップボンダー等の加圧および加熱の両方をできる加圧装置を使用する方法としては、特に限定されるわけではないが、加圧装置の加圧部(板状体)に対応する位置にインターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を設置し、次いで、加圧部によりインターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を加圧する。この時、加圧部はあらかじめ加熱されているものでもよく、また、加圧後に加熱を開始されるものでもよい。
前記加熱する方法としては、特に限定されるわけではないが、コンスタントヒート方式、パルスヒート方式等が挙げられるが、加熱するタイミングを適宜変更することがでできる、パルスヒート方式が好ましい。
【0090】
前記金属、セラミック等の無機材料や有機材料で形成されたブロック状、支柱状等の加圧装置を使用する方法としては、特に限定されるわけではないが、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30にブロック状の加圧装置を載置し、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を加圧する。この時、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30が加熱された状態でブロック状の加圧装置を載置してもよく、また、加圧後に加熱してもよい。前記加熱する方法としては、特に限定されるわけではないが、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を市販のオーブンに設置する
方法、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を半田リフロー装置に設置する方法等が挙げられる。
【0091】
前記熱圧着機およびフリップチップボンダー等の加圧および加熱の両方をできる加圧装置による加圧の条件は、特に限定されるものではない、0.001〜5.0MPa等の条件で行うことができ、好ましくは0.0015〜4.5MPa、特に好ましくは0.002〜4.0MPaである。上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生をより効果的に防止することができるとともに、金属電極22と半田電極24の濡れ性を向上することができる。また、上記上限値以下とすることで、半導体チップ割れを防止することができるとともに、半田電極24の半田が飛散することを効果的に防止できる。
【0092】
また、前記金属、セラミック等の無機材料や有機材料で形成されたブロック状、支柱状等の加圧装置による加圧の条件は、特に限定されるものではなく、0.0005〜0.3MPa等の条件で行うことができ、好ましくは0.001〜0.2MPa、特に好ましくは0.002〜0.1MPaである。上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生をより効果的に防止することができるとともに、金属電極22と半田電極24の濡れ性を向上することができる。また、上記上限値以下とすることで、半田電極24の半田のが飛散することを効果的に防止できる。
【0093】
また、上記第3の工程での加熱温度は、半田電極24の半田の熱膨張係数が、30×10−6/℃よりも大きくなる温度で行うことが好ましい。加熱温度を上記範囲とすることで、半田電極24の半田が十分に濡れ拡がるため、金属電極22と半田電極24を確実に溶融接合させ、接合部26を形成することができる。
【0094】
より具体的には、200℃より高い温度であり、好ましくは205℃より高い温度、特に好ましくは210℃より高い温度である。第3の工程での加熱温度を上記範囲以上とすることで、半田電極24の半田が十分に濡れ拡がるため、金属電極22と半田電極24を確実に溶融接合させ、接合部26を形成することができる。
【0095】
また、第3の工程では、半田電極24の半田の融点よりも低い温度に冷却した後に加圧を開放する。これにより、加圧を開放する際に、接合部の半田がスプリングバッグしてインターポーザー21と半導体チップ23の間隔が拡がってしまい接合不良が発生するのを防止することができる。
【0096】
具体的には、半田電極24の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下となる温度に冷却した後に加圧を開放する。これにより、加圧を開放する際に、接合部の半田がスプリングバッグしてインターポーザー21と半導体チップ23の間隔が拡がってしまい接合不良が発生するのを効果的に防止することができる。
【0097】
さらに具体的には、210℃であり、好ましくは200℃以下、特に好ましくは190℃以下が好ましく、これにより、接合部の半田がスプリングバッグしてインターポーザー21と半導体チップ23の間隔が拡がってしまい接合不良が発生するのを防止することができる。
【0098】
前記第3の工程は、加圧流体により加圧した雰囲気化で行われてもよい。前記加圧流体により加圧した雰囲気下で第3の工程を行う方法としては、特に限定されるわけではないが、圧力容器内に、熱圧着機、フリップチップボンダー等の加圧および加熱の両方をできる加圧装置を配置し、加圧用のガスを導入する方法、また、圧力容器内に、インターポー
ザー21と半導体チップ23の積層体30を設置し、さらに、その上に金属、セラミック等の無機材料や有機材料で形成されたブロック状、支柱状等の加圧装置を載置し、加圧用のガスを導入する方法等が挙げられる。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生を抑制することができる。これは、気圧と熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の圧力差により、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が圧縮され、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中に拡散し、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生が抑制できるものと考えられる
【0099】
また、前記加圧用のガスは、特に限定されるわけではなく、窒素、空気等が挙げられるが金属電極22および半田電極24の酸化をより効率的に防止することができる窒素が好ましい。
【0100】
上記加圧流体による加圧の条件は、特に限定されるものではなく、0.2〜1MPa等の条件で行うことができ、好ましくは0.3〜0.9MPa、特に好ましくは0.4〜0.8MPaである。加圧流体による加圧条件を上記範囲とすることで、確実に金属電極22と半田電極24を溶融接合させることと、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生を抑制することができる。
【0101】
[1A−5]次に、図(3−f)に示すように、金属電極22と半田電極24を溶融接合させたインターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を、半田電極24の半田の融点より低い温度に加熱することにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を硬化させ、封止部27を形成し、インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40得る(第4の工程)。
これにより、接合部26の半田が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを防止することができる。
【0102】
また、具体的に第4の工程における具体的な加熱温度は、半田電極24の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下となる温度に加熱することにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を硬化させることが好ましい。これにより、接合部26の半田が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを防止することができる。
【0103】
さらに、具体的に第4の工程における具体的な加熱温度は、210℃以下が好ましく、200℃以下であることがさらに好ましく、190℃以下であることが特に好ましい。これにより、接合部26の半田が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを防止することができる。
【0104】
なお、インターポーザー21と半導体チップ23積層体30の加熱は、所定の単一温度で加熱する場合の他、例えば、150℃で30分加熱した後、180℃で30分加熱するステップキュアや、150℃で30秒熱圧着した後、180℃で60分オーブン硬化させるポストキュアを行うようにしてもよい。
【0105】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を硬化させる際に、加圧流体により加圧することが好ましい。加圧流体により加圧した状態で加熱する方法としては、特に限定されるわけではないが、圧力容器内に、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を設置し、次いで、圧力容器内に、加圧流体を導入して加圧しつつ、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を加熱する方法、更に、具体的には、加圧オーブン中に、インターポーザー21と半導体チップ23の積層体30を設置し、加圧オーブン内に加圧用のガスを導入しつつ、加圧オーブンで処理対象物を加熱する方法が挙げられる。また、前記加圧用のガスは、特に限定されるわけではなく、窒素、空気等が挙げられるが金
属電極22および半田電極24の酸化をより効率的に防止することができる窒素が好ましい。これにより、気圧と熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の圧力差により、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が圧縮され、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中を拡散し、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生が抑制できる効果をより一層高めることができる。
【0106】
上記加圧流体による加圧の条件は、特に限定されるものではなく、0.2〜1MPa等の条件で行うことができ、好ましくは0.3〜0.9MPa、特に好ましくは0.4〜0.8MPaである。→ 樹脂層を硬化させる時の加圧条件は上記で良いですか?加圧流体による加圧条件を上記範囲とすることで、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生を抑制することができる。これは、気圧と熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の圧力差により、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が圧縮され、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中に拡散し、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生が抑制できる効果をより一層高めることができる。
【0107】
以上のようにして、板状体を有する加圧装置により加圧し、加圧を保持した状態で接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、接続用半田電極の半田を接続用金属電極に溶融接合させ、その後、接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放し、次に、半田電極24の半田の融点よりも低い温度で熱硬化性樹脂を含有する樹脂層25を硬化することにより、インターポーザー21と半導体チップ23が電気的に接続され、さらに、インターポーザー21と半導体チップが固着された、インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40を形成することができる。このインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40は、板状体を有する加圧装置により加圧し、加圧を保持した状態で接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、接続用半田電極の半田を接続用金属電極に溶融接合させ、その後、接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放させるため、空洞およびボイドの発生が少ないインターポーザー21と半導体チップ23の接合体40を得ることができる。
【0108】
ここで、本発明では、第1電子部品および第2電子部品同士は、接合部26のような固化物を介して電気的に接続される。そのため、電子部品10の駆動時に、半導体チップ20の発熱により、たとえ熱硬化性樹脂で構成される封止部27が膨張したとしても、この電気的接続が切断されるのを好適に防止することができ、第1電子部品および第2電子部品間で安定的な導通を得ることができる。すなわち、第1電子部品および第2電子部品間で接続信頼性に優れた電気的接続を得ることができる。
【0109】
接合部26の厚さ、すなわち、半導体インターポーザー21と半導体チップ23の接合体40における、接合部26の厚さ(平均)は、特に限定されないが、3〜300μm程度であるのが好ましく、5〜150μm程度であるのがより好ましい。このようにインターポーザー21と半導体チップ23の離隔距離を小さくすることにより、電子部品10の全体としての厚さをも薄くすることができ、さらに電子部品10の軽量化を図ることができる。
【0110】
<第2の接合方法>
次に、接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品との第2の接合方法を用いてフリップチップを得る方法について説明する。
【0111】
[2A−1] まず、半田電極32が形成されたインターポーザー31と、半田電極34が形成された半導体チップ33とを用意する。ここで、半田電極32と半田電極34は
同じ材質であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態では、図(4−a)に示すように、インターポーザー31には、半田電極32が形成されており、半田電極32は、例えば、前記工程[1A−1]で説明したのと同様の絶縁基板に銅箔を張り合わせた銅張り積層板の銅箔を所定の回路形状にエッチングし、さらに、半田メッキすることにより得ることができる。
また、図(4−a)に示すように、半導体チップ33には、半田電極34が形成されており、半田電極34は、前記工程[1A−1]で説明したのと同様の手法により得ることができる。
【0112】
[2A−2] 次に、図(4−b)に示すように、半田電極32が形成されたインターポーザー31の半田電極32面側に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を形成する(第1の工程)。
【0113】
熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を形成する方法としては、前記工程[1A−2]と同様の手法を用いることができる。
【0114】
また、第2の接合方法に係る熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35は、第1の接合方法に係る熱硬化性樹脂を含有する樹脂層と同様のものを用いることができる。
【0115】
[2A−3]次に、図(4−c)に示すように、インターポーザー31の半田電極32と半導体チップ33の半田電極34とが対応するように位置決めする。次いで、図(4−d)に示すように、前記半田電極32および半田電極34の半田の融点より低い温度で、具体的には、熱膨張係数が30×10−6/℃以下になり、かつ、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35の硬化度が80%以下になる温度で、より具体的には、190℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下の温度で加熱および加圧することにより、前記半田電極32と前記半田電極34とを当接させ、インターポーザー31と半導体チップ33の積層体50を形成する(第2の工程)。
【0116】
前記位置決めする方法としては、前記工程[1A−3]と同様の方法を用いることができる。
また、前記半田電極32と前記半田電極34を当接させる方法としては、前記工程[1A−3]と同様の方法を用いることができる。
【0117】
[2A−4]次に、図(4−e)に示すように、半田電極32と半田電極34を当接させたインターポーザー31と半導体チップ33の積層体50を、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で半田電極32または半田電極34の少なくとも一方の半田の融点よりも高い温度で加熱し、半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、その後、半田電極32および半田電極34の半田の融点よりも低い温度に冷却した後に加圧を開放することにより、前記半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、接合部36を形成する(第3の工程)。これにより、半田電極32および/又は半田電極34の半田が十分に濡れ拡がるため、半田電極32と半田電極34を確実に溶融接合させ、接合部36を形成することができる。
【0118】
具体的には、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、半田電極32または半田電極34の少なくとも一方の半田の熱膨張係数が、30×10−6/℃よりも大きくなる温度で加熱し、半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、その後、半田電極32および半田電極34の半田の熱膨張係数が、30×10−6/℃以下なる温度に冷却した後に加圧を開放することにより、前記半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、接合部36を形成する。これにより、半田電極32および/又は半田電極34の半田が十分に濡れ拡がるため、金属電極22と半田電極24を確実に溶融接合させ、接
合部26を形成することができる。
【0119】
より具体的には、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で200℃より高い温度で、好ましくは、205℃より高い温度で、さらに好ましくは、210℃より高い温度で加熱し、半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、その後、210℃以下で、好ましくは、200℃以下で、さらに好ましくは、190℃以下に冷却した後に加圧を開放することにより、前記半田電極32と半田電極34を溶融接合させ、接合部36を形成する。これにより、半田電極32および/又は半田電極34の半田が十分に濡れ拡がるため、半田電極32と半田電極34を確実に溶融接合させ、接合部36を形成することができる。
【0120】
前記板状体を有する加圧装置としては、特に限定されるわけではなく、前記工程[1A
−4]と同様のものを用いることができる。また、前記板状体を有する加圧装置による加
圧および加熱の方法は、前記工程[1A−4]と同様の方法を用いることができる。
【0121】
また、前記板状体を有する加圧装置による加圧は、特に限定されるわけではないが、加圧流体により加圧した雰囲気化で行われてもよい。加圧流体加圧は、前記工程[1A−4]と同様の方法を用いることができる。これにより、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生を抑制することができる。
【0122】
[1A−5]次に、図(4−f)に示すように、半田電極32と半田電極34を溶融接合させたインターポーザー31と半導体チップ33の積層体50を、半田電極32および半田電極34の両方の半田の融点より低い温度で加熱し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を硬化させ、封止部37を形成し、インターポーザー31と半導体チップ33の接合体60得る(第4の工程)。これにより、接合部36が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを防止することができる。
【0123】
具体的には、半田電極32と半田電極34を溶融接合させたインターポーザー31と半導体チップ33の積層体50を、半田電極32および半田電極34の両方の半田の熱膨張係数が、30×10−6/℃以下となる温度で加熱し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を硬化させ、封止部37を形成し、インターポーザー31と半導体チップ33の接合体60得る。これにより、接合部36が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを効果的に防止することができる。
【0124】
より具体的には、半田電極32と半田電極34を溶融接合させたインターポーザー31と半導体チップ33の積層体50を、190℃以下で、好ましくは、180℃以下で、さらに好ましくは、170℃以下で加熱し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を硬化させ、封止部37を形成し、インターポーザー31と半導体チップ33の接合体60得る。これにより、接合部36が再溶融してしまい電気的接続が不安定になることを効果的に防止することができる。
【0125】
また、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を硬化させる際に、前記工程[1A−5]と同様に加圧流体により加圧することが好ましい。加圧流体による加圧の条件は、前記工程[1A−5]と同様の方法を用いることができる。これにより、気圧と熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35中の空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の圧力差により、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が圧縮され、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)が熱硬化性樹脂を含有する樹脂層中に拡散し、空洞(エアギャップ)およびボイド(気泡)の発生が抑制できる効果をより一層高めることができる。
【0126】
以上のようにして、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で
前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放し、次に、半田電極32および半田電極34の半田の融点よりも低い温度で熱硬化性樹脂を含有する樹脂層35を硬化することにより、インターポーザー31と半導体チップ33が電気的に接続され、さらに、インターポーザー31と半導体チップが固着された、インターポーザー31と半導体チップ33の接合体60を形成することができる。このインターポーザー31と半導体チップ33の接合体60は、板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放させるため、空洞およびボイドの発生が少ないインターポーザー31と半導体チップ33の接合体60を得ることができる。
【0127】
ここで、本発明では、第1電子部品および第2電子部品同士は、接合部36のような固化物を介して電気的に接続される。そのため、電子部品10の駆動時に、半導体チップ20の発熱により、たとえ熱硬化性樹脂で構成される封止部37が膨張したとしても、この電気的接続が切断されるのを好適に防止することができ、第1電子部品および第2電子部品間で安定的な導通を得ることができる。すなわち、第1電子部品および第2電子部品間で接続信頼性に優れた電気的接続を得ることができる。
【0128】
接合部36の厚さ、すなわち、半導体インターポーザー31と半導体チップ33の接合体60における、接合部36の厚さ(平均)は、特に限定されないが、3〜300μm程度であるのが好ましく、5〜150μm程度であるのがより好ましい。このようにインターポーザー31と半導体チップ33の離隔距離を小さくすることにより、電子部品10の全体としての厚さをも薄くすることができ、さらに電子部品10の軽量化を図ることができる。
【0129】
以上、本発明の半田接合方法および電子部品について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0130】
(実施例1)
1.熱硬化性樹脂を含有する樹脂層用樹脂ワニスの調製
フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、PR55617)15.0重量部と、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、EPICLON−840S)45.0重量部と、フラックス活性化合物であるフェノールフタリン(東京化成工業社製)15.0重量部と、成膜性樹脂としてビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)24.4重量部と、硬化促進剤として2―フェニルー4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MZ)0.1重量部と、シランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−303)0.5重量部とを、メチルエチルケトンに溶解し、樹脂濃度50%の樹脂ワニスを調製した。
【0131】
2.熱硬化性樹脂を含有する樹脂層(フィルム)の調製
得られた樹脂ワニスを、基材ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)に厚さ50μmとなるように塗布して、100℃、5分間乾燥して、厚さ25μmの熱硬化性樹脂を含有する樹脂層(フィルム)を得た。
【0132】
3.電子部品の製造
<第1の工程>
半田バンプ(Sn96.5/Ag3.5、融点221℃)を有する半導体チップ(サイズ10mm×10mm、厚さ0.3mm)に、得られた熱硬化性樹脂を含有する樹脂層(フィルム)を真空ロールラミネーターで、100℃、0.8MPa、30秒の条件でラミネートして、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層付きの半導体チップを得た。
<第2の工程>
次に、Ni/Auパッドを有する回路基板を用意し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂層付きの半導体チップの半田バンプとNi/Auパッドが重なるように位置合わせを行い、フリップチップボンダー(澁谷工業(株)社製 DP−200)により120℃、0.05
MPa、7秒の条件で半田バンプとNi/Auパッドの当接を行い、回路基板/半導体チップの積層体を得た。
<第3の工程>
得られた回路基板/半導体チップの積層体を、フリップチップボンダー(澁谷工業(株)社製 DP−200)により、空気雰囲気下、230℃、0.7MPa、3秒の条件で
加圧、加熱し、半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させ、さらに、接合部の温度が210℃のなった時点で加圧を開放した。
<第4の工程>
半田バンプとNi/Auパッドを接合させた回路基板/半導体チップの積層体を市販の加熱型オーブンに投入し、180℃、60分の熱履歴を加えることにより熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させ、電子部品を製造した。
【0133】
(実施例2)
実施例1の第3の工程において、フリップチップボンダー(澁谷工業(株)社製 DP
−200)により230℃、0.7MPa、3秒の条件で加圧、加熱し、半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させるのに代えて、市販のパルスヒート型熱圧着機により、230℃、1.6MPa、60秒の条件で加圧、加熱し、半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させ、さらに、接合部の温度が50℃になった時点で加圧を開放した以外は、実施例1と同様に電子部品を製造した。
【0134】
(実施例3)
実施例1の第3の工程において、フリップチップボンダー(澁谷工業(株)社製 DP
−200)により230℃、0.7MPa、3秒の条件で加圧、加熱し、半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させるのに代えて、回路基板/半導体チップの積層体にSUS製のブロックを載せ、0.05MPaの条件で加圧し、次いで、SUS製のブロックを載せた回路基板/半導体チップの積層体を窒素雰囲気下の市販の半田リフロー装置を通し、230℃以上の熱履歴を60秒加えて半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させ、さらに、接合部の温度が100℃になった時点でSUS製のブロックを外した以外は、実施例1と同様に電子部品を製造した。
【0135】
(実施例4)
実施例3の第3の工程において、SUS製のブロックからガラス製のブロックへ変更した以外は、実施例3と同様に電子部品を製造した。
【0136】
(実施例5)
実施例3の第3の工程において、SUS製のブロックからシリコン製のブロックへ変更した以外は、実施例3と同様に電子部品を製造した。
【0137】
(実施例6)
実施例3の第3の工程において、市販の半田リフロー装置を通すのに代えて、市販の加熱型オーブン中で半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させた以外は、実施例3と同様に電子部品を製造した。
【0138】
(実施例7)
実施例3の第3の工程において、市販の半田リフロー装置を通すのに代えて、市販の加圧対応型オーブンにおいて窒素ガスによりオーブン内部を加圧力0.5MPaで加圧しつつ、230℃、60秒加熱し半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させた以外は、実施例3と同様に電子部品を製造した。
【0139】
(実施例8)
実施例1の第4の工程において、市販の加熱型オーブンに投入し、180℃、60分の熱履歴を加えることにより熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるに代えて、市販の加圧対応型オーブンにおいて窒素ガスによりオーブン内部を加圧力0.5MPaで加圧しつつ、180℃、60分間の熱履歴を加えることにより熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させ、電子部品を製造した。
【0140】
(実施例9)
実施例2の第4の工程において、市販の加熱型オーブンに投入し、180℃、60分の熱履歴を加えることにより熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるに代えて、市販の加圧対応型オーブンにおいて窒素ガスによりオーブン内部を加圧力0.5MPaで加圧しつつ、180℃、60分間の熱履歴を加えることにより熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させ、電子部品を製造した。
【0141】
(実施例10)
実施例8の第2の工程において、Ni/Auパッドを有する回路基板の代わりに、半田バンプ(Sn96.5/Ag3.5、融点221℃)を有する回路基板を用いた以外は、実施例8と同様に電子部品を製造した。
【0142】
(実施例11)
実施例1の第1の工程において、半田バンプ(Sn96.5/Ag3.5、融点221℃)を有する半導体チップの代わりに、半田バンプ(Sn63/Pb37、融点183℃)を有する半導体チップを用い、また、第3の工程において、接合させる温度を230℃から195℃へ、また、加圧を開放する温度を210℃から170℃へ、さらに、第4の工程において、市販の加熱型オーブンで180℃、60分熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるのに代えて、市販の加圧対応型オーブンで、窒素ガスによりオーブン内部を0.5MPaで加圧しつつ、165℃、120分で硬化させた以外は、実施例1と同様に電子部品を製造した。
【0143】
(実施例12)
実施例1の第1の工程において、半田バンプ(Sn96.5/Ag3.5、融点221℃)を有する半導体チップの代わりに、半田バンプ(Sn89/Zn8/Bi3、融点195℃)を有する半導体チップを用い、また、第3の工程において、接合させる温度を230℃から210℃へ、また、加圧を開放する温度を210℃から180℃へ、さらに、第4の工程において、市販の加熱型オーブンで180℃、60分熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるのに代えて、市販の加圧対応型オーブンで、窒素ガスによりオーブン内部を0.5MPaで加圧しつつ、180℃、60分で硬化させた以外は、実施例1と同様に電子部品を製造した。
【0144】
(比較例1)
実施例1の第3の工程において、フリップチップボンダーで接合させる代わりに、回路基板/半導体チップの積層体を窒素雰囲気下、市販の加熱型オーブン中で230℃、60秒加熱することにより半田バンプとNi/Auパッドを溶融接合させた以外は、実施例1
と同様に電子部品を製造した。
【0145】
(比較例2)
実施例1の第3の工程において、加圧を開放する温度を210℃から230℃へ変更した以外は実施例1と同様に電子部品を製造した。
【0146】
4.半田の熱膨張係数の算出
半田の融点以上における熱膨張係数は、金属材料物性値計算ソフトウェア・データベースJMatPro(Sente Software社製)により算出した。
半田の融点以下における熱膨張係数は、熱機械特性分析装置(モード:圧縮、荷重:50N、昇温速度:5℃/分)により算出した。
【0147】
5.電子部品の評価
<空洞及びボイド>
得られた電子部品を切断し、硬化物の断面を研磨した。次いで、半導体チップ、回路基板及び隣接する2つの半田接合部で囲まれた部分を、任意に10箇所選択し、各部分のマイクロボイドの有無を金属顕微鏡にて観察した。各符号は、以下の通りである。
◎:空洞及びボイドが全く観察されなかった場合
○:空洞及びボイドはあるが、その大きさが5μm以下である場合
×:空洞及びボイドがあり、その大きさが5μm以上である場合
<導通信頼性>
得られた電子部品について、任意に選択した隣接する2箇所の半田接合部の接続抵抗を、デジタルマルチメータにより測定した。次いで、他に9点、隣接する2箇所の半田接合部を任意に選択し、同様に、接続抵抗を測定し、合計10点の導通接続の測定を行った。
各符号は、以下の通りである。
○:10点全てで導通が取れた場合
×:1点でも導通不良があった場合
【0148】
【表1】

【0149】
表1から明らかなように、実施例1〜12で得られた電子部品は、封止部に空洞およびボイドが観察されなかった。
また、実施例1〜12の電子部品は、導通信頼性にも優れていた。これにより、半田バンプとNi/Auパッドが確実に溶融接合されていることが示唆された。
【符号の説明】
【0150】
1、11、21、31 インターポーザー(基板)
2、22、32 金属電極
3、13、23、33 半導体チップ
4、12、14、24、32、34 半田電極(半田バンプ)
5、25、35 樹脂層
10、20 電子部品
15、26、36 接合部
27、37 封止部
30、50 積層体
40、60 接合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記接続用半田電極の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記接続用半田電極の融点より高い温度で加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を前記接続用半田電極の半田の融点より低い温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
接続用金属電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度で、加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃よりも大きくなる温度に加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下なる温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を前記接続用半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項3】
接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用金属電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、190℃以下の温度で加熱および加圧することにより、前記接続用金属電極と、前記接続用半田電極とを当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、210℃よりも高い温度に加熱し、前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させ、その後、210℃以下の温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を210℃以下の温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順に行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項4】
接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極の半田の融点よりも低い温度で加熱および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記第1電子部品および第2電子部品の少なくとも一方の接続用半田電極の半田の融点より高い温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の融点より低い温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極の半田の融点より低い温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項5】
接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度で、加熱および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で前記第1電子部品および第2電子部品の少なくとも一方の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃より大きくなる温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極の半田の熱膨張係数が30×10−6/℃以下になる温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
接続用半田電極を有する第1電子部品と、接続用半田電極を有する第2電子部品と、を接合する半田接合方法であって、
前記第1電子部品および第2電子部品の半田接合面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成する第1の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を形成後に、前記第1電子部品の接続用半田電極と、前記第2電子部品の接続用半田電極と、を対向するように位置合わせし、190℃以下の温度で、加熱および加圧することにより、前記第1電子部品および第2電子部品の接続用半田電極同士を当接させる第2の工程と、
前記当接させた第1電子部品と第2電子部品を板状体を有する加圧装置により加圧し、前記加圧を保持した状態で、210℃よりも高い温度で加熱し、前記第1電子部品および第2電子部品の半田電極同士を溶融接合させ、その後、210℃以下の温度に冷却した後に加圧を開放する第3の工程と、
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を、210℃以下の温度に加熱することにより硬化させる第4の工程と、
をこの順で行うことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記第3の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記接続用半田電極の半田を前記接続用金属電極に溶融接合させるものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記第3の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記接続用半田電極同士を溶融接合させるものである、請求項4ないし6のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記第4の工程が、加圧流体により加圧した雰囲気下で前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を硬化させるものである、請求項1ないし8のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂を含有する樹脂層がフラックス活性化合物を含む、請求項1ないし9のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の電子部品の製造方法を用いて作製された電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−29350(P2011−29350A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172595(P2009−172595)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】