説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学装置において、積層構造の単純化を図り、しかも高品質な表示を可能とする。
【解決手段】電気光学装置は、基板(10)上に、互いに交差するデータ線(6)及び複数の走査線(11)と、データ線に電気的に接続された第1ソースドレイン領域、及び第2ソースドレイン領域を含んでなる半導体層(30a)と、複数の走査線のうち一の走査線に電気的に接続されたゲート電極とを有するトランジスター(30a)と、半導体層と基板との間に配置され、第2ソースドレイン領域に電気的に接続された第1容量電極(71)と、第1容量電極に対向するように設けられるとともに一の走査線に隣り合う走査線に電気的に接続された第2容量電極(73)とを有する蓄積容量(70)と、を備え、蓄積容量は、基板上に設けられた溝の内部の少なくとも一部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置は、基板上に、画素電極、この画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)が層間絶縁膜を介して積層構造として作り込まれ、アクティブマトリクス駆動可能に構成される。画素電極は、基板上の積層構造における最上層に配置される。また、高コントラスト化等を目的として、画素スイッチング用のTFTと画素電極との間に蓄積容量が設けられることがある(例えば特許文献1から4参照)。例えば特許文献1には、蓄積容量を構成する一対の容量電極の一方が、容量線を介して定電位源に電気的に接続される構成が開示されている。例えば特許文献2から4には、蓄積容量を構成する一対の容量電極の一方が、当該蓄積容量に電気的に接続された画素スイッチング用のTFTのゲートに電気的に接続された走査線に隣り合う走査線に電気的に接続される構成が開示されている。
【0003】
前述したような積層構造をとることにより、液晶装置は、小型でありながらも高精細な画像を表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−191200号公報
【特許文献2】特開平5−80354号公報
【特許文献3】特開平7−318901号公報
【特許文献4】特開2002−244588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような積層構造をとる液晶装置においては、層の数が増加することにより装置構成が複雑化してしまい、製造工程の複雑高度化、製造期間の長期化及びコストの増大等を招いてしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、アクティブマトリクス方式で駆動される液晶装置等の電気光学装置であって、比較的少ない層で構成されており、高品質な表示を可能とする電気光学装置、及び該電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、互いに交差するデータ線及び複数の走査線と、前記データ線に電気的に接続された第1ソースドレイン領域、及び第2ソースドレイン領域を含んでなる半導体層と、前記複数の走査線のうち一の走査線に電気的に接続されたゲート電極とを有するトランジスターと、前記半導体層と前記基板との間に配置され、前記第2ソースドレイン領域に電気的に接続された第1容量電極と、前記第1容量電極に対向するように設けられるとともに前記一の走査線に隣り合う走査線に電気的に接続された第2容量電極とを有する蓄積容量と、を備え、前記蓄積容量は、前記基板上に設けられた溝の内部の少なくとも一部に設けられている。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、例えば、データ線から画素電極へ画像信号が制御され、いわゆるアクティブマトリクス方式による画像表示が可能となる。この際、蓄積容量によって、画素電極における電位保持特性が向上し、表示の高コントラスト化が可能となる。なお、画像信号は、データ線及び画素電極間に電気的に接続されたトランジスターが走査線を介して供給される走査信号に応じてオンオフされることによって、所定のタイミングでデータ線からトランジスターを介して画素電極に供給される。画素電極は、典型的には、基板上の積層構造における最上層側に配置される。また、データ線は、典型的には、基板上の積層構造におけるトランジスターよりも上層側であって画素電極よりも下層側に配置される。画素電極、トランジスター及び蓄積容量は、基板上における複数のデータ線及び複数の走査線の交差に対応して例えばマトリクス状に規定される画素毎に設けられる。
【0009】
本発明では特に、蓄積容量は、半導体層と基板との間(言い換えれば、基板上における半導体層よりも下層側)に配置されており、蓄積容量の第2容量電極は、複数の走査線のうち当該蓄積容量が電気的に接続されたトランジスターのゲート電極が電気的に接続された一の走査線に隣り合う走査線に電気的に接続されている。即ち、例えば、基板上に設けられたm本(但し、mは自然数)の走査線のうち第i番目(i=1、…、m)に走査信号が供給される第i番の走査線に対応する画素に設けられた蓄積容量の第2容量電極は、第i番目の走査線に隣り合うとともに第i−1番目に走査信号が供給される第i−1番の走査線に電気的に接続されている。よって、例えば、蓄積容量の第2容量電極に所定電位を供給するための所定電位線を、基板上の積層構造において走査線とは別個の層として設ける場合と比較して、基板上の積層構造の単純化を図ることができる。つまり、本発明によれば、例えば、蓄積容量が電気的に接続されたトランジスターのゲート電極が電気的に接続された走査線に隣り合う走査線が、該蓄積容量の第2容量電極に所定電位を供給するための所定電位線を兼ねるので、基板上の積層構造の単純化を図ることができる。更に、蓄積容量は、半導体層と基板との間(即ち、基板上における半導体層よりも下層側)に配置されるので、例えば、第2容量電極を、半導体層のチャネル領域や第2ソースドレイン領域を遮光するために半導体層よりも下層側に設けられる遮光膜と同一膜から形成することができる。ここで、「同一膜」とは、製造工程における同一機会に成膜される膜を意味し、同一種類の膜である。よって、基板上の積層構造の単純化を図ることができる。基板上の積層構造が単純になることで、画素の微細化を図ることが容易となり、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0010】
更に本発明では特に、蓄積容量は、基板上に設けられた溝の内部の少なくとも一部に設けられている。よって、蓄積容量がいわゆるトレンチ構造を有する容量素子として形成されるので、蓄積容量の容量値を向上させることができる。即ち、例えば溝が形成されていない平坦な基板上に蓄積容量を設ける場合と比較して、蓄積容量の容量値を、蓄積容量が基板上に設けられた溝の内部の少なくとも一部に設けられた溝内部分を有する分だけ大きくすることができる。なお、本発明に係る「基板上に設けられた溝」は、基板に直接掘られた溝であってもよいし、基板上に設けられた絶縁膜に掘られた溝であってもよい。
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、基板上の積層構造の単純化を図ることができ、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0012】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1容量電極は、平面視で前記一の走査線と前記一の走査線に隣り合う走査線との間に島状に設けられ、前記第2容量電極は、前記一の走査線に隣り合う走査線にゲート電極が電気的に接続された第2トランジスターの半導体層と前記基板との間に配置され、前記第2トランジスターのゲート電極に電気的に接続された遮光膜が延在してなる。
【0013】
この態様によれば、第1容量電極及び第2容量電極を有する蓄積容量を互いに隣り合う走査線間に配置できるとともに、遮光膜によって第2トランジスターの半導体層を遮光することができ、第2トランジスターに光リーク電流が生じることを低減或いは防止できる。
【0014】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記半導体層は、前記データ線の延在する方向に沿って配置され、前記蓄積容量は、前記データ線と重なるように配置される。
【0015】
この態様によれば、半導体層及び蓄積容量をデータ線と重なるように配置することができ、基板上における光を透過しない非開口領域がデータ線及び蓄積容量の存在によって大きくなってしまうこと(言い換えれば、基板上における光を透過する開口領域がデータ線及び蓄積容量の存在によって小さくなってしまうこと)を低減或いは防止できる。
【0016】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、前述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0017】
本発明の電子機器によれば、前述した本発明の電気光学装置を備えるので、高品位な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0018】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II’線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置の複数の走査線の電位の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態における走査線の電位と蓄積容量の保持電位との関係の一例を示す表である。
【図6】第1実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上の画素の構成(下層部分)を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上の画素の構成(上層部分)を示す平面図である。
【図8】図6及び図7を重ね合わせた場合のVIII−VIII’線断面図である。
【図9】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクターの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0021】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0022】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のII−II’線断面図である。
【0024】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが互いに対向するように配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に接着されている。なお、TFTアレイ基板10は本発明に係る「基板」の一例である。
【0025】
図1において、シール材52が配置されたシール領域52aの内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域52aの外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域52aよりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0026】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0027】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明導電材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0028】
なお、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0029】
次に、液晶装置100の画像表示領域10aにおける電気的な構成について、図3を参照して説明する。
【0030】
図3は、本実施形態に係る液晶装置100の電気的な構成を示す回路図である。
【0031】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、TFTアレイ基板10における画像表示領域10aに、複数の画素900と、互いに交差するように配線されたm+1本の走査線11(即ち、走査線G0、G1、…、Gm)及びn本のデータ線6とを備えている。ここで、m、nはそれぞれ自然数である。
【0032】
画素900は、画像表示領域10aにm行×n列のマトリクス状に2次元に配置されている。より具体的には、画素900は、画像表示領域10aにおける左側から第1列、第2列、…、第n列で、上側から第1行、第2行、…、第m行のマトリクス状に配置されている。即ち、走査線G1、…、Gmとn本のデータ線6との交点に対応して単位表示素子である画素900が設けられている。
【0033】
画素900は、TFT30、液晶容量Clc及び蓄積容量70を備えている。
【0034】
液晶容量Clcは、画素電極9、対向電極21及び液晶層50(図2参照)による容量である。対向電極21には所定の基準電位が供給される。
【0035】
TFT30は、本発明に係る「トランジスター」の一例としてのNチャネル型又はPチャネル型のTFTである。TFT30のソースはデータ線6に電気的に接続されている。TFT30のゲートは走査線11に電気的に接続されている。より具体的には、第i行(但し、i=1、…、m)をなす画素900のTFT30のゲートは、第i番の走査線Gi(但し、i=1、…、m)に電気的に接続されている。TFT30は、走査線線駆動回路104から供給される走査信号によってオンオフが切り換えられる。TFT30のドレインは、液晶容量Clc及び蓄積容量70の各々の一端に電気的に接続されている。
【0036】
蓄積容量70は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶容量Clcに並列に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第i行第k列(但し、i=1、…、m、k=1、…、n)の画素900の蓄積容量70を「蓄積容量Csik」と適宜称する。
【0037】
蓄積容量70を構成する一対の容量電極の一方は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。蓄積容量70を構成する一対の容量電極の他方は、該蓄積容量70が電気的に接続されたTFT30のゲートが電気的に接続された走査線11に隣り合う走査線11に電気的に接続されている。より具体的には、第i行をなす画素900の蓄積容量70は、第i−1番の走査線Gi−1に電気的に接続されている。即ち、第1行をなす画素900の蓄積容量Cs11、Cs12、…、Cs1nは、走査線G0に電気的に接続され、第2行をなす画素900の蓄積容量Cs21、Cs22、…、Cs2nは、走査線G1に電気的に接続され、…、第m行をなす画素900の蓄積容量Csm1、Csm2、…、Csmnは、走査線Gm−1に電気的に接続されている。
【0038】
TFT30のゲートに走査信号が入力されてTFT30がオン状態になると、データ線6に電気的に接続されたTFT30のソースに印加されている電圧が液晶容量Clc及び蓄積容量70に印加され、供給された画像信号の電位が維持される。これにより、画像表示が行われる際に画素900に供給された画像信号の電位を長時間保持することが可能となる。なお、データ線6に書き込む画像信号VS1、VS2、…、VSnは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0039】
次に、液晶装置100の画像信号の書き込み動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係る液晶装置100の走査線G0、…、Gmの電位の経時変化を示すタイミングチャートである。
【0041】
図4に示すように、液晶装置100の動作時には、走査線G0、G1、…、Gmに対してこの順にパルス状の走査信号が供給され、走査線G0、G1、…、Gmは、この順に、所定期間だけ、TFT30をオン状態にするための電位(例えば15.5ボルト)とされる。走査線G0、G1、…、Gmは、走査信号が供給される期間以外の期間では、TFT30をオフ状態にするための電位(例えば0ボルト)に維持される。
【0042】
図5は、走査線11の電位と蓄積容量70の保持電位との関係の一例を示す表である。なお、本実施形態では、いわゆる面反転駆動方式が採用されており、画像信号は、所定周期で、基準電位(例えば7ボルト)に対して高位側の正極性と低位側の負極性とで極性反転される。即ち、各画素900には、正極性の電位(即ち、プラスフィールドの電位、例えば12ボルト)と、負極性の電位(即ち、マイナスフィールドの電位、例えば2ボルト)とが交互に供給される。より具体的には、画像信号は、一のフレームに対応する表示を行う間、画素900には基準電位に対して正極性の電位で供給され、これに続く次のフレームに対応する表示を行う間は、逆に画素900には基準電位に対して負極性の電位で供給されるように、電位が極性反転される。
【0043】
ここでは、説明の便宜上、全ての画素900に2ボルト(V)又は12ボルト(V)の画像信号が書き込まれた状態を初期状態として説明する。即ち、全ての蓄積容量70に2V又は12Vの画像信号の電位が保持されている状態を初期状態として説明する。
【0044】
図5において、走査線G1に走査信号が供給されると(即ち、G1走査時)、走査線G1の電位は15.5Vとなる。これにより、蓄積容量Cs11(即ち、第1行−第1列の画素900の蓄積容量70)には、オン状態とされたTFT30を介してデータ線6から12V又は2Vの画像信号が書き込まれる。この際、蓄積容量Cs21(即ち、第2行−第1列の画素900の蓄積容量70)を構成する一対の容量電極のうち走査線G1に電気的に接続された容量電極の電位が、走査線G1の電位の変化(即ち、0Vから15.5Vへの変化)に応じて変化することにより、蓄積容量Cs21の保持電位(即ち、蓄積容量Cs21を構成する一対の容量電極のうち画素電極9に電気的に接続された容量電極の電位)が2Vから17.5Vへ又は12Vから27.5Vへと変化することが考えられる。なお、この際、蓄積容量Cs31、C41、…、Cm1は、初期状態のまま維持される。
【0045】
次に、走査線G2に走査信号が供給されると(即ち、G2走査時)、走査線G2の電位は15.5Vとなる。これにより、蓄積容量Cs21には、オン状態とされたTFT30を介してデータ線6から12V又は2Vの画像信号が書き込まれる。即ち、G1走査時に、走査線G1の電位の変化に応じて、蓄積容量Cs21の保持電位が2Vから17.5Vへ又は12Vから27.5Vへと変化したとしても、続くG2走査時に蓄積容量Cs21に12V又は2Vの画像信号が書き込まれる。よって、走査線G1の電位の変化に応じて、蓄積容量Cs21の保持電位が2Vから17.5Vへ又は12Vから27.5Vへと変化したとしても、その期間は極僅か(例えば、走査線11の本数が1080本であるフルハイビジョン表示の場合、せいぜい1フレーム期間の1080分の1倍程度)であるため、表示上の不具合として視認されることは殆ど或いは全くない。
【0046】
走査線G3、G4、…、Gmについても同様の動作が繰り返される。
【0047】
次に、液晶装置100の画素900の具体的な構成について、図6から図8を参照して説明する。
【0048】
図6及び図7は、TFTアレイ基板10上の画素900の構成を示す平面図であり、それぞれ、後述する積層構造のうち下層部分(図6)と上層部分(図7)に相当する。図8は、図6及び図7を重ね合わせた場合のVIII−VIII’線断面図である。なお、図6から図8においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、説明の便宜上、図7には、上層部分に加えて、図6に示した下層部分の一部である半導体層30aも示してある。
【0049】
図6から図8では、図3を参照して前述した画素の各回路要素が、パターン化され、積層された導電膜としてTFTアレイ基板10上に構築されている。各回路要素は、下から順に、蓄積容量70、遮光膜12等を含む第1層、TFT30、走査線11等を含む第2層、中継層81等を含む第3層、データ線6等を含む第4層、画素電極9等を含む第5層からなる。また、第1層−第2層間には層間絶縁膜41、第2層−第3層間には層間絶縁膜42、第3層−第4層間には層間絶縁膜43、第4層−第5層間には層間絶縁膜44がそれぞれ設けられ、前述した各要素間が短絡することを防止している。なお、このうち、第1層から第2層までが下層部分として図6に示され、第3層から第5層までが上層部分として図7に示されている。画素電極9は、層間絶縁膜44上に例えばマトリクス状に配列されている。
【0050】
図6から図8では、互いに隣接する第i行の画素900及び第i−1行の画素900の構成が示されている。
【0051】
(第1層の構成―蓄積容量、遮光膜等―)
図6及び図8において、第1層として蓄積容量70及び遮光膜12が設けられている。
【0052】
蓄積容量70は、容量電極71、誘電体膜72及び容量電極73から構成されている。蓄積容量70は、いわゆるトレンチ構造を有しており、TFTアレイ基板10に形成されたトレンチ91内に形成されたトレンチ内部分70aを有している。なお、トレンチ91は本発明に係る「溝」の一例であり、トレンチ内部分70aは本発明に係る「溝内部分」の一例である。
【0053】
容量電極71は、本発明に係る「第1容量電極」の一例であり、例えばTiN(窒化チタン)等から形成されている。容量電極71は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、トレンチ91に重なるように形成されている。容量電極71は、コンタクトホール33を介して半導体層30aの画素電極側ソースドレイン領域30a3に電気的に接続されている。
【0054】
容量電極73は、本発明に係る「第2容量電極」の一例であり、誘電体膜72を介して容量電極71に対向するように設けられている。容量電極73は、例えば、W(タングステン)、Ti(チタン)、TiN等の遮光性の導電材料から形成されている。
【0055】
誘電体膜72は、例えば窒化シリコン等の透明な誘電性材料から形成されている。誘電体膜72は、画像表示領域10aの略全体に重なるように形成されている。なお、誘電体膜72は例えば窒化シリコン等の透明な誘電性材料で構成されるため、誘電体膜72を、画像表示領域10aに広く形成しても、開口領域における光透過率を殆ど或いは実践上全く低下させることはない。
【0056】
遮光膜12は、走査線11毎に、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、走査線11に概ね重なるように形成されるとともに、半導体層30aのチャネル領域30a1及び画素電極側ソースドレイン領域30a3に重なるように形成されている。なお、本実施形態では、第i番の走査線Giに対応して設けられた遮光膜12を「遮光膜12i」と適宜称し、第i行の画素900が有するTFT30を「TFT30i」と適宜称する。
【0057】
容量電極73及び遮光膜12は互いに同一膜から形成されている。即ち、容量電極73及び遮光膜12は、製造工程における同一機会に成膜された膜である。第i行の画素900の容量電極73及び遮光膜12i−1は、連続した一つの膜として形成されており、TFT30i−1の半導体層30aの両脇に形成されたコンタクトホール31(図6参照)を介して第i−1番の走査線Gi−1に電気的に接続されている。遮光膜12iのうち半導体層30aのチャネル領域30a1にTFTアレイ基板10上で平面的に見て重なる部分がTFT30iのゲート電極30b2として機能する。即ち、遮光膜12iは、走査線Giに電気的に接続され、その一部がTFT30iのゲート電極30b2を兼ねるように形成されている。
【0058】
層間絶縁膜41は、例えばNSG(ノンシリケートガラス)によって形成されている。その他、層間絶縁膜41には、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。層間絶縁膜41の表面は、化学的研磨処理(Chemical Mechanical Polishing:CMP)や研磨処理、スピンコート処理、凹への埋め込み処理等の平坦化処理がなされている。
【0059】
(第2層の構成―TFT、走査線等―)
図6及び図8において、第2層として、TFT30及び走査線11が設けられている。TFT30は、半導体層30a、ゲート電極30b1及び30b2を備えている。なお、ゲート電極30b1は本発明に係る「第1ゲート電極」の一例であり、ゲート電極30b2は本発明に係る「第2ゲート電極」の一例である。
【0060】
半導体層30aは、例えばポリシリコンからなり、チャネル領域30a1、データ線側ソースドレイン領域30a2、画素電極側ソースドレイン領域30a3、データ線側LDD領域30a4及び画素電極側LDD領域30a5を含んで構成されている。即ち、TFT30はLDD構造を有している。尚、データ線側ソースドレイン領域30a2は、本発明に係る「第1ソースドレイン領域」の一例であり、画素電極側ソースドレイン領域30a3は、本発明に係る「第2ソースドレイン領域」の一例である。
【0061】
データ線側ソースドレイン領域30a2及び画素電極側ソースドレイン領域30a3は、チャネル領域30a1を基準として、半導体層30aが延びる方向(即ち、Y方向)に沿ってほぼミラー対称に形成されている。データ線側LDD領域30a4は、チャネル領域30a1及びデータ線側ソースドレイン領域30a2間に形成されている。画素電極側LDD領域30a5は、チャネル領域30a1及び画素電極側ソースドレイン領域30a3間に形成されている。データ線側LDD領域30a4、画素電極側LDD領域30a5、データ線側ソースドレイン領域30a2及び画素電極側ソースドレイン領域30a3は、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層30aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。データ線側LDD領域30a4及び画素電極側LDD領域30a5はそれぞれ、データ線側ソースドレイン領域30a2及び画素電極側ソースドレイン領域30a3よりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成されている。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、データ線側ソースドレイン領域30a2及び画素電極側ソースドレイン領域30a3間に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、本実施形態に係る液晶装置100のようにLDD構造を有することが好ましいが、データ線側LDD領域30a4、画素電極側LDD領域30a5に不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3b1をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んでデータ線側ソースドレイン領域及び画素電極側ソースドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
【0062】
半導体層30aは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、後述するデータ線6に沿って延びるように(即ち、図6のY方向に沿って延びるように)、且つ、データ線6の一部に重なるように形成されている。
【0063】
ゲート電極30b1は、ゲート絶縁膜13を介して半導体層30aの上層側に、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域30a1と重なるように形成されている。ゲート電極30b1は、走査線11の一部として例えば導電性ポリシリコンから形成されており、ゲート絶縁膜13及び層間絶縁膜41を貫通するコンタクトホール31を介して、遮光膜12の一部からなるゲート電極30b2に電気的に接続されている。コンタクトホール31は、半導体層30aの両脇に形成されている。走査線11は、図6のX方向に沿って延びるように形成されている。ゲート電極30b1は、遮光性を有しており、図6に示すように、画素電極側LDD領域30a5の両脇を囲うように形成されている。よって、画素電極側LDD領域30a5に対して両脇から入射する光は、ゲート電極30b1によって遮光される。このため、ゲート電極3b1は、ゲート本来の機能を果たすことを条件として、例えば反射率が高い又は光吸収率が高いなど、遮光性に優れた不透明のポリシリコン膜、金属膜、金属シリサイド膜等の単一層又は多層から構成されているのが好ましい。但し、ゲート電極3b1の材料に若干なりとも遮光能力(即ち、光反射能力又は光吸収能力)が備わっていれば、上述の如き独自の形状及び配置を有する限りにおいて、前述の如き画素電極側LDD領域30a5に対して斜めに入射する光を遮光する機能は相応に得られる。
【0064】
ゲート電極30b2は、層間絶縁膜41を介して半導体層30aの下層側に、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域30a1と重なるように形成されている。ゲート電極30b2は、遮光膜12の一部として形成されている。
【0065】
本実施形態では、TFT30は、半導体層30aの上層側に配置されたゲート電極3b1と、半導層30aの下層側に配置されたゲート電極3b2との2つのゲート電極を備える、即ち、ダブルゲート構造を有する。よって、液晶装置100の動作時に、ゲート電極3b1及び3b2の各々に、走査線11から走査信号が供給され、TFT30はオン状態となる。この状態で、ゲート電極3b1及び3b2の各々には走査信号に応じたゲート電圧が印加され、半導体層30aのチャネル領域30a1における上面側及び下面側の両方にチャネルを形成できる。よって、仮に半導体層30aのチャネル領域30a1における上面側のみにチャネルが形成される場合と比較して、TFT30の動作時にチャネル領域30a1に流れる電流、即ちオン電流を大きくすることができる。但し、TFT30は、トップゲート型として構成されてもよいし、ボトムゲート型として構成されてもよい。即ち、TFT30は、ゲート電極3b1及び3b2のうちいずれか一方のみを備えるように構成されてもよい。
【0066】
層間絶縁膜42は、例えばNSGによって形成されている。その他、層間絶縁膜42には、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。層間絶縁膜42の表面は、CMP等の平坦化処理がなされている。
【0067】
(第3層の構成―中継層等―)
図7及び図8において、第3層として、中継層81が設けられている。
【0068】
中継層81は、例えばWSi(タングステンシリサイド)等からなり、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aの一部に重なるように形成されている。中継層81は、層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール34を介して画素電極側ソースドレイン領域30a3に電気的に接続されている。また、中継層81は、層間絶縁膜43及び44を貫通するコンタクトホール35を介して画素電極9に電気的に接続されている。即ち、中継層81は、TFT30の画素電極側ソースドレイン領域30a3と画素電極9とを電気的に中継接続する機能を有している。
【0069】
層間絶縁膜43は、例えばNSGによって形成されている。その他、層間絶縁膜43には、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。
【0070】
(第4層の構成―データ線等―)
図7及び図8において、第4層として、データ線6が設けられている。
【0071】
データ線6は、例えばAl(アルミニウム)等から形成されている。データ線6は、走査線11と交差するように(即ち、図7のY方向に沿って延びるように)且つ半導体層30aを概ね覆うように形成されている。データ線6は、層間絶縁膜43及び42並びにゲート絶縁膜13を貫通するコンタクトホール32を介して、半導体層30aのデータ線側ソースドレイン領域30a2に電気的に接続されている。
【0072】
層間絶縁膜44は、例えばNSGによって形成されている。その他、層間絶縁膜44には、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。層間絶縁膜44の表面は、CMP等の平坦化処理がなされている。
【0073】
(第5層の構成―画素電極等―)
第5層として、画素電極9が設けられている。
【0074】
画素電極9は、縦横に区画配列された画素領域の各々に配置され、その境界にデータ線6及び走査線11が格子状に配列するように形成されている(図6及び図7参照)。また、画素電極9は、例えばITO等の透明導電材料からなる。
【0075】
画素電極9は、コンタクトホール35を介して、中継層81と電気的に接続されている。更に前述したように、中継層81とTFT30の画素電極側ソースドレイン領域30a3とはコンタクトホール34を介して電気的に接続されている。即ち、画素電極9とTFT30の画素電極側ソースドレイン領域30a3とは、中継層81を中継して電気的に接続されている。
【0076】
なお、画素電極9の上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が設けられている。
【0077】
以上説明した画素の構成は、各画素に共通である。前述した画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素が周期的に形成されていることになる。
【0078】
図3、図6及び図8において、本実施形態では特に、蓄積容量70は、半導体層30aよりも下層側に配置されており、蓄積容量70の容量電極73は、複数の走査線11のうち当該蓄積容量70が電気的に接続されたTFT30のゲート電極30b1及び30b2が電気的に接続された走査線Giに隣り合う走査線Gi−1に電気的に接続されている。即ち、TFTアレイ基板10上に設けられた第i番の走査線Giに対応する画素900(言い換えれば、第i行をなす画素900)に設けられた蓄積容量70の容量電極73は、第i−1番の走査線Gi−1に電気的に接続されている。よって、例えば、仮に、蓄積容量70の容量電極73に所定電位を供給するための所定電位線を、TFTアレイ基板10上の積層構造において走査線11とは別個の層として設ける場合と比較して、TFTアレイ基板10上の積層構造の単純化を図ることができる。つまり、本実施形態によれば、走査線Gi−1が、第i行をなす画素900の蓄積容量70の容量電極73に所定電位を供給するための所定電位線を兼ねるので、TFTアレイ基板10上の積層構造の単純化を図ることができる。TFTアレイ基板10上の積層構造が単純になることで、画素の微細化を図ることが容易となり、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0079】
更に、本実施形態では特に、蓄積容量70は、いわゆるトレンチ構造を有しており、TFTアレイ基板10に掘られたトレンチ91内に設けられたトレンチ内部分70aを有している。よって、例えばトレンチが形成されていない平坦なTFTアレイ基板10上に蓄積容量70を設ける場合と比較して、蓄積容量70の容量値を、蓄積容量70がトレンチ内部分70aを有する分だけ大きくすることができる。言い換えれば、蓄積容量70がトレンチ内部分70aを有さない場合(即ち、蓄積容量70が平面的にのみ形成される場合)と比較して、製品に要求される表示性能を実現する容量値を有する蓄積容量70を、TFTアレイ基板10上の狭い領域に作り込むことができる。したがって、画像表示におけるフリッカや画素ムラを低減でき、更には、装置の小型化を実現できる。
【0080】
加えて、図3、図6及び図8において、本実施形態では特に、容量電極71は、平面視で一の走査線Giと一の走査線Giに隣り合う走査線Gi−1との間に島状に設けられ、容量電極73は、一の走査線Giに隣り合う走査線Gi−1にゲート電極30b1が電気的に接続されたTFT30i−1の半導体層30aとTFTアレイ基板10との間に配置され、TFT30i−1のゲート電極30−1に電気的に接続された遮光膜12i−1が延在してなる。よって、蓄積容量70を互いに隣り合う走査線11間に配置できるとともに、遮光膜12によって半導体層30aを遮光することができ、TFT30に光リーク電流が生じることを低減或いは防止できる。
【0081】
更に、図3及び図6から図8において、本実施形態では特に、半導体層30aは、データ線6の延在する方向(即ち、Y方向)に沿って配置され、蓄積容量70は、データ線6と重なるように配置されている。よって、半導体層30a及び蓄積容量70をデータ線6と重なるように配置することができ、TFTアレイ基板10上における光を透過しない非開口領域がデータ線6及び蓄積容量70の存在によって大きくなってしまうこと(言い換えれば、TFTアレイ基板10上における光を透過する開口領域がデータ線6及び蓄積容量70の存在によって小さくなってしまうこと)を低減或いは防止できる。
【0082】
以上説明したように、本発明によれば、TFTアレイ基板10上の積層構造の単純化を図ることができ、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0083】
<電子機器>
次に、前述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0084】
図9は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。
【0085】
図9に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0086】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0087】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0088】
なお、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。
【0089】
なお、図9を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0090】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0091】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
6…データ線、9…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、20…対向基板、21…対向電極、30…TFT、30a…半導体層、30b1、30b2…ゲート電極、50…液晶層、70…蓄積容量、70a…トレンチ内部分、71、73…容量電極、72…誘電体膜、91…トレンチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
互いに交差するデータ線及び複数の走査線と、
前記データ線に電気的に接続された第1ソースドレイン領域、及び第2ソースドレイン領域を含んでなる半導体層と、前記複数の走査線のうち一の走査線に電気的に接続されたゲート電極とを有するトランジスターと、
前記半導体層と前記基板との間に配置され、前記第2ソースドレイン領域に電気的に接続された第1容量電極と、前記第1容量電極に対向するように設けられるとともに前記一の走査線に隣り合う走査線に電気的に接続された第2容量電極とを有する蓄積容量と、
を備え、
前記蓄積容量は、前記基板上に設けられた溝の内部の少なくとも一部に設けられている
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1容量電極は、平面視で前記一の走査線と前記一の走査線に隣り合う走査線との間に島状に設けられ、
前記第2容量電極は、前記一の走査線に隣り合う走査線にゲート電極が電気的に接続された第2トランジスターの半導体層と前記基板との間に配置され、前記第2トランジスターのゲート電極に電気的に接続された遮光膜が延在してなる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記半導体層は、前記データ線の延在する方向に沿って配置され、
前記蓄積容量は、前記データ線と重なるように配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−155197(P2012−155197A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15303(P2011−15303)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】