説明

電気部品およびその製造方法

【課題】回路素子と機能素子とが同一基板上に絶縁膜を介して積層して形成される電気部品において、2つの素子間を結ぶ接続配線の信頼性を従来に比して高められる電気部品を提供する。
【解決手段】CMOSトランジスタ11に接続され、第1の絶縁膜20上に形成される第1の配線22Aと、第1の配線22A上に形成される第2の絶縁膜30を介して形成され、MEMS素子50に接続される第2の配線31と、第2の配線31上を覆う第3と第4の絶縁膜40,60と、第2の配線31と第1の配線22Aとを接続する接続配線70とを備え、接続配線70は、第2の配線31の形成位置内で第4と第3の絶縁膜60,40を貫通する第1のビア71と、第1の配線22Aの形成位置内で第4〜第2の絶縁膜60,40,20を貫通するビア702と、第4の絶縁膜60上で第1と第2のビア701,702とを結ぶ接続用配線703とが同一材料で一体的に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro ElectroMechanical System)デバイスなどの電気部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体素子を集積化する手法の1つとして、チップを積層する方法が用いられる。この手法では、Si基板などの半導体基板上に別々に半導体素子を形成した後に、両者を積層させるため、素子ごとに半導体基板が必要となる。そのため、薄膜化が制限されるとともに、コストもかかってしまう。そこで、機能の異なる複数の半導体素子を積層して電気部品を形成する手法として、単一の半導体基板上に素子を形成後、連続して別の素子を形成する手法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、先に集積回路などの半導体素子と配線層とを形成し、MEMS素子などの機能素子の形成前に、MEMS素子と配線層とを電気的に接続するためのコンタクトホールを両者の間に存在する絶縁膜に形成し、その後に、機能素子を形成し、コンタクトホールに導電性材料を埋め込んで両者間を電気的に接続することによって、電気部品を製造している。
【0003】
しかし、従来の電気部品では、集積回路などの半導体素子とMEMS素子との間の絶縁層で、両者を電気的に接続するための配線構造が増えるため、素子間の接続界面が増加する。その結果、接続界面で配線構造が接続されなくなる可能性があり、信頼性が低下してしまうという問題点があった。また、従来の電気部品の製造方法では、素子間に層間絶縁膜が形成されると、素子間を接続するためのコンタクトホールの形成や配線層の形成などをほぼ形成される層間絶縁膜ごとに行うため、工程数が増加し、生産性が低下してしまうという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−140867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回路素子と機能素子とが同一基板上に絶縁膜を介して積層して形成される電気部品において、2つの素子間を結ぶ接続配線の信頼性を従来に比して高めることができる電気部品およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、回路素子と機能素子とが同一基板上に絶縁膜を介して積層して形成される電気部品の製造方法において、従来に比して工程数を削減することができる電気部品の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、回路素子と、前記回路素子に接続され、所定形状を有する第1の配線と、前記第1の配線上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線と、前記第1の絶縁層上に形成されるとともに前記第2の配線と接続される機能素子と、前記第2の配線および前記機能素子上を覆う第2の絶縁層と、前記第2の配線と前記第1の配線とを接続する接続配線と、を備える電気部品であって、前記接続配線は、前記第2の配線の形成位置内で、前記第2の絶縁層を貫通する第1のビアホールに導電性材料を埋め込んだ第1のビアと、前記第1の配線の形成位置内で、前記第1および第2の絶縁層を貫通する第2のビアホールに導電性材料を埋め込んだ第2のビアと、前記第2の絶縁層上で前記第1のビアと前記第2のビアとを結ぶ接続用配線と、を有し、前記第1および第2のビアと前記接続用配線とが同一材料で一体的に形成されていることを特徴とする電気部品が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、回路素子に接続される第1の配線を形成する第1の工程と、前記第1の配線上に、第1の絶縁層を形成する第2の工程と、前記第1の絶縁層上に第2の配線を形成する第3の工程と、前記第1の絶縁層上に、前記第2の配線と接続される機能素子を形成する第4の工程と、前記機能素子と前記第2の配線とが形成された前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する第5の工程と、前記機能素子と接続される前記第2の配線の形成位置内に前記第2の絶縁層を厚さ方向に貫通する第1のビアホールを形成するとともに、前記第1の配線の形成位置内に前記第2および第1の絶縁層を貫通する第2のビアホールを形成する第6の工程と、前記第1および第2のビアホールを埋めるとともに、前記第1および第2のビアホール間を結ぶ接続配線を形成する第7の工程と、を含むことを特徴とする電気部品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路素子と機能素子とが同一基板上に絶縁膜を介して積層して形成される電気部品において、2つの素子間を結ぶ接続配線の信頼性を従来に比して高めることができるという効果を有する。
【0009】
また、本発明によれば、回路素子と機能素子とが同一基板上に絶縁膜を介して積層して形成される電気部品の製造方法において、従来に比して工程数を削減することができるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態にかかる電気部品の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である(その1)。
【図3】図3は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である(その2)。
【図4】図4は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である(その3)。
【図5】図5は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である(その4)。
【図6】図6は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である(その5)。
【図7】図7は、機能素子と回路素子とを接続する一般的な配線構造の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる電気部品およびその製造方法を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる電気部品の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
【0012】
図1は、実施の形態にかかる電気部品の構成の一例を模式的に示す断面図である。この図1を用いて、電気部品の概略的な構成について説明する。シリコン基板などの半導体基板10上には、回路素子としてCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタ11が形成されている。CMOSトランジスタ11が形成された半導体基板10上には、たとえば5.0μmの厚さのシリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜20が形成され、この第1の絶縁膜20上には第1の配線22,22Aが形成されている。第1の配線22,22Aは、CMOSトランジスタ11のソース/ドレイン領域と、第1の絶縁膜20に形成されたコンタクト21を介して接続されている。このうち第1の配線22Aは、CMOSトランジスタ11と後に形成するMEMS素子50とを接続するために、第1の絶縁膜20上に引き回されて形成される配線である。ここでは、MEMS素子50と接続するための第1の配線22Aが図中右側付近に形成されている。
【0013】
第1の配線22,22Aが形成された第1の絶縁膜20上には、5.0μmの厚さのSi−O骨格を有するシリコン酸化膜や炭素を主成分とする有機膜などからなる第2の絶縁膜30が形成されている。また、この第2の絶縁膜30上には、たとえば厚さ1.0μmのアルミニウムからなる第2の配線31と、機能素子としてのたとえば高周波フィルタなどのMEMS素子50と、が形成されている。第2の配線31および第2の絶縁膜30上には、第1のパッシベーション膜32が形成されている。第1のパッシベーション膜32は、たとえば0.2μmのシリコン窒化膜からなる。
【0014】
MEMS素子50は、MEMS可動素子51と、MEMS可動素子51の側面および上面を覆う薄膜ドーム構造状のキャップ膜52とが、第2の絶縁膜30上の機能素子形成領域RFに形成された構造を有する。MEMS可動素子51は、所定の方向に延在する振動子511と、振動子511を支持する支持部材としての複数のアンカー512と、を備える。振動子511とアンカー512は、ともにアルミニウムなどの導電性材料によって構成される。また、アンカー512の下部は、機能素子形成領域RFに形成された第2の配線31と電気的に接続されている。
【0015】
キャップ膜52は、第3の絶縁膜40と、オーバシール層521と、から構成される。第3の絶縁膜40は、MEMS可動素子51を所定の間隔をおいて覆うようなドーム状の構造を有し、基板面とほぼ平行な上面部41と、上面部41と第1のパッシベーション膜32の上面とを接続する側面部42と、を有する。また、第3の絶縁膜40の上面部41には、第3の絶縁膜40を厚さ方向に貫通する犠牲層除去用貫通孔43が形成されている。このように、第3の絶縁膜40と第1のパッシベーション膜32とで囲まれる領域は、中空構造となる。なお、第3の絶縁膜40は、機能素子形成領域RF以外の領域では、第1のパッシベーション膜32を覆うように形成される。第3の絶縁膜40は、たとえば厚さ3.0μmのシリコン酸化膜などによって構成される。
【0016】
オーバシール層521は、第3の絶縁膜40に形成された犠牲層除去用貫通孔43を覆うように第3の絶縁膜40の上面を含む領域に設けられる。このオーバシール層521は、たとえば、厚さ3.0μmのポイリイミドなどの有機材料膜、またはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜によって形成される。
【0017】
MEMS素子50および第3の絶縁膜40上には、厚さ0.5μmのシリコン酸化膜や炭素を主成分とする有機膜などからなる第4の絶縁膜60が形成されている。
【0018】
CMOSトランジスタ11に接続される第1の配線22Aと、MEMS素子50に接続される第2の配線31とは、接続配線70によって互いに接続される。具体的には、接続配線70は、第2の配線31の形成位置に対応して、第4の絶縁膜60から第1のパッシベーション膜32までを貫通するように設けられた第1のビアホール71、および第1の配線22Aの形成位置に対応して、第4の絶縁膜60から第2の絶縁膜30までを貫通するように設けられた第2のビアホール72に銅などの導電性材料を埋め込んで形成される第1のビア701および第2のビア702と、これらの第1と第2のビア701,702間を結ぶ接続用配線703と、によって構成される。接続配線70、すなわち第1および第2のビア701,702と接続用配線703は、同一材料で、同一工程で一体的に形成される。
【0019】
また、第4の絶縁膜60上には、CMOSトランジスタ11に外部から電源を供給するための第3の配線75が形成されている。さらに、第4の絶縁膜60、接続配線70および第3の配線75上を覆うように、たとえば厚さ0.2μmのシリコン窒化膜からなる第2のパッシベーション膜76が形成される。第3の配線75上に形成される第2のパッシベーション膜76の一部には、後に形成するピラー材82と接続されるように、開口77が設けられている。また、第2の絶縁膜30と第3の配線75上を覆うように、上面が平坦化された樹脂層80が設けられている。この樹脂層80は、水蒸気に対するバリア機能も有する。樹脂層80には、第3の配線75の形成位置に対応して貫通孔81が設けられ、この貫通孔81を埋めるように銅などの導電性材料が埋め込まれたピラー材82が形成され、さらにこのピラー材82上には、外部の配線と接続するためのバンプ83が設けられている。
【0020】
ここで、第1のビアホール71と第2のビアホール72の形状について説明する。上記したように、第1のビアホール71の深さに比して第2のビアホール72の深さの方が深くなっている。また、第2のビアホール72の上部の径(開口径)a2の方が、第1のビアホール71の上部の径(開口径)a1に比して大きくなっている。つまり、浅く形成するビアホールの開口径を小さく、深く形成するビアホールの開口径を大きくしている。これによって、第1のビアホール71と第2のビアホール72の実効的なアスペクト比を揃えることができる。また、第2の配線31と接続される第1のビアホール71の径a1を、第1の配線22Aと接続される第2のビアホール72の径a2よりも小さくしたので、機能素子部のチップ面積を、すべてを第2のビアホール72の径a2に合わせた場合に比して低減することができる。
【0021】
つぎに、このような構造の電気部品の製造方法について説明する。図2〜図6は、実施の形態による電気部品の製造方法の一例を模式的に示す一部断面図である。まず、図2(a)に示されるように、シリコン基板などの半導体基板10上に、通常の半導体製造プロセスを用いて、回路素子としてのCMOSトランジスタ11を形成する。たとえば、半導体基板10の表面に素子分離絶縁膜12を形成し、素子分離絶縁膜12で区画される領域内に、ゲート絶縁膜13とゲート電極14の積層体と、この積層体の線幅方向両側の半導体基板10の表面に形成されるソース/ドレイン領域15と、を有するMOSトランジスタが形成される。このとき、P型MOSトランジスタの場合には、ソース/ドレイン領域はP型不純物拡散層で構成され、N型MOSトランジスタの場合には、ソース/ドレイン領域は、N型不純物拡散層で構成される。
【0022】
その後、CMOSトランジスタ11を形成した半導体基板10上に、第1の絶縁膜20を形成し、第1の絶縁膜20に下層のCMOSトランジスタ11と接続するためのコンタクトホール21aを形成する。ついで、コンタクトホール21a内を埋めるコンタクト21を形成するとともに、第1の絶縁膜20上にCMOSトランジスタ11に接続される第1の配線22,22Aを形成する。第1の絶縁膜20として、たとえばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成される厚さ5.0μmのシリコン酸化膜(SiO膜)や炭素を主成分とする有機膜などを挙げることができる。また、コンタクト21は、タングステンなどの導電性材料によって形成される。さらに、第1の配線22は、タングステンやアルミニウムなどの導電性材料膜を1.0μm程度の厚さで第1の絶縁膜20上に形成した後、リソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて所定の形状にパターニングすることによって形成される。
【0023】
ついで、図2(b)に示されるように、第1の配線22を形成した第1の絶縁膜20上に、プラズマCVD法などの成膜法によって、5.0μmの厚さのシリコン酸化膜または炭素を主成分とする有機膜などからなる第2の絶縁膜30を形成する。その後、第2の絶縁膜30上にアルミニウムなどの導電性材料膜を1.0μm程度の厚さで形成し、リソグラフィ技術とエッチング技術とを用いてMEMS素子50に接続するための第2の配線31をパターニングする。そして、第2の配線31を形成した第2の絶縁膜30上にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などからなる厚さ数百nm〜数μmの第1のパッシベーション膜32を形成する。
【0024】
ついで、機能素子形成領域RFにMEMS素子50を、通常のMEMS形成プロセスを用いて形成する。たとえば、図3(a)に示されるように、機能素子形成領域RF内の第2の配線31を含む領域にポリイミドなどの有機材料を用いて、基板面に垂直な断面が台形状となるように、たとえば厚さ2.5μmの第1の犠牲層101を形成する。また、この第1の犠牲層101の第2の配線31の形成位置に対応する位置に、後に形成する振動子511を支持固定するアンカー512を形成するための第2の配線31まで到達する貫通孔102を形成する。その後、第1の犠牲層101を形成したパッシベーション膜上にAlなどの金属膜を形成する。このとき、貫通孔102内にも埋め込まれるように金属膜を厚さ2.0μm程度の厚さで形成する。そして、リソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて金属膜を振動子511形状にパターニングする。これによって、振動子511がアンカー512に支持された構造のMEMS可動素子51が形成される。
【0025】
ついで、図3(b)に示されるように、MEMS可動素子51が形成された第1の犠牲層101上に、ポリイミドなどの有機材料を用いて、基板面に垂直な断面が台形状となるように、たとえば厚さ6.0μmの第2の犠牲層103を形成する。その後、第2の犠牲層103を形成した第1のパッシベーション膜32上の全面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなる第3の絶縁膜40を、約3.0μmの厚さで形成する。これによって、機能素子形成領域RFでは、第1と第2の犠牲層101,103の積層構造の形状に合わせて、第3の絶縁膜40が凸状の構造となる。すなわち、基板面に平行な上面部41と、第1のパッシベーション膜32と上面部41とを接続する側面部42とが機能素子形成領域RF上に形成される。
【0026】
ついで、第3の絶縁膜40上に図示しないレジストを塗布し、リソグラフィ技術によって露光、現像を行って、機能素子形成領域RF内の所定の位置に犠牲層除去用貫通孔43を形成するためのレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクとして、RIE法などのドライエッチング法やウエットエッチング法を用いて第3の絶縁膜40をエッチングして、犠牲層除去用貫通孔43を形成する。ここでは、第3の絶縁膜40の上面部41の中央付近に犠牲層除去用貫通孔43を形成する。
【0027】
その後、図4(a)に示されるように、O2ガスなどを用いたアッシングによって、第1の絶縁膜20上に形成されたレジストパターンと、第2および第1の犠牲層103,101の除去を行う。第2の犠牲層103は、犠牲層除去用貫通孔43を介して流入したO2ガスによってアッシングが行われ、第1の犠牲層101は、第2の犠牲層103が除去された後、同じくO2ガスによってアッシングが行われる。これによって、第3の絶縁膜40の凸状構造内が中空となる。ついで、第3の絶縁膜40に形成された犠牲層除去用貫通孔43を塞ぐように、第1の絶縁膜20上にオーバシール層521を3.0μm程度の厚さで形成する。このオーバシール層521は、ポリイミドなどの有機材料を塗布して成膜することで、あるいは、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などの絶縁膜をCVD法などの方法で成膜することで形成される。これによって、中空部分が封止され、機能素子形成領域RFに薄膜ドーム構造のキャップ膜52が完成する。
【0028】
ついで、図4(b)に示されるように、キャップ膜52上および第3の絶縁膜40上に、CVD法などの方法でシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなる第4の絶縁膜60を、たとえば数μm程度の厚さで形成する。その後、第2の絶縁膜30上の全面にレジスト111を塗布し、リソグラフィ技術で、第2の配線31に到達する第1のビアホール71を形成するための開口112と、第1の配線22Aに到達する第2のビアホール72を形成するための開口113と、を有するレジストパターンを形成する。このとき、第1のビアホール71を形成するための開口112の径c1の方が、第2のビアホール72を形成するための開口113の径c2よりも小さくなるようにパターニングされる。より望ましくは、後の工程での各エッチング箇所において、形成されたビアホールのアスペクト比が等しくなるように、より具体的には深い箇所までエッチングする位置では開口径が大きくなるように、パターニングされる。
【0029】
ついで、図5(a)に示されるように、パターンを形成したレジスト111をマスクとして、RIE法などの方法によってエッチングを行う。このとき、第1および第2の配線22A,31がストッパ膜として機能するような条件下でエッチングを行う。その結果、開口112では、第4の絶縁膜60から第1のパッシベーション膜32までを貫通し、第2の配線31に到達するようにエッチングが行われ、第1のビアホール71が形成される。また、開口113では、第4の絶縁膜60から第2の絶縁膜30までを貫通し、第1の配線22Aに到達するようにエッチングが行われ、第2のビアホール72が形成される。このエッチングによって、浅い位置に形成される第2の配線31に接続される第1のビアホール71を形成するためのレジストパターンの開口112の径c1は、第1の配線22Aに接続される第2のビアホール72を形成するためのレジストパターンの開口113の径c2に比して小さく設計されているので、形成される各ビアホールの実効的なアスペクト比を揃えることができる。
【0030】
ついで、図5(b)に示されるように、レジスト111をアッシングなどの方法によって除去した後、第1と第2のビアホール71,72を形成した第4の絶縁膜60上の全面にレジスト115を塗布する。その後、リソグラフィ技術によって配線を形成する領域を開口したパターンを形成する。ここでは、図5(a)で開口した第1と第2のビアホール71,72と、第1と第2のビアホール71,72間の領域と、第3の配線75を形成する領域が開口するようにパターニングを行う。
【0031】
ついで、銅を用いためっき法などの方法によって、接続配線70と第3の配線75とを形成する。具体的には、形成した第1と第2のビアホール71,72内に銅を埋め込んだ第1と第2のビア701,702と、第1と第2のビア701,702間を結ぶ接続用配線703と、を有する接続配線70を一体的に形成する。また、第3の配線75の形成位置では、たとえばシード層を予め形成しておくことによって、接続配線70の形成と同時に第3の配線75が形成される。
【0032】
アッシングなどの方法によってレジスト115を除去した後、図6に示されるように、接続配線70と第3の配線75を形成した第4の絶縁膜60上に、たとえば厚さ0.2μmのシリコン窒化膜からなる第2のパッシベーション膜76を形成する。
【0033】
さらに、第2のパッシベーション膜76上に水蒸気に対するバリア機能を有する樹脂層80を形成し、上面を平坦化する。そして、第3の配線75の形成位置に対応する位置に、樹脂層80を貫通する貫通孔81を形成し、この貫通孔81内部にめっき法などの方法によって銅を埋め込み、ピラー材82を形成する。そして、ピラー材82の上面にバンプ83を形成することで、図1に示される電気部品が得られる。
【0034】
図7は、機能素子と回路素子とを接続する一般的な配線構造の一例を模式的に示す断面図である。ここでも、回路素子としてのCMOSトランジスタ311と、機能素子としてのMEMS素子350とが、絶縁膜を介して厚さ方向に積層された構造を有している。半導体基板310上にCMOSトランジスタ311が形成され、CMOSトランジスタ311に接続される第1の配線322,322Aは、第1の絶縁膜320上に形成されている。また、第1の絶縁膜320上には第2の絶縁膜330が形成されている。第2の絶縁膜330の所定の位置には、MEMS素子350と接続される第2の配線331Aが形成され、第1の配線322Aの形成位置に対応して第2の配線331Bが形成されている。第1の配線322Aと第2の配線331Bとの間は、第2の絶縁膜30を貫通するように形成されたビアホール335内に埋め込まれたビア336によって互いに接続されている。
【0035】
第2の配線331A,331B上には第1のパッシベーション膜332が形成され、その上には実施の形態で説明したように、MEMS素子350を含む第3の絶縁膜340と、MEMS素子350と第3の層間絶縁膜340を覆う第4の絶縁膜360が形成される。
【0036】
第2の配線331A,331B上の所定の位置には、第4の絶縁膜360から第2のパッシベーション膜332までを貫通し、それぞれ第2の配線331A,331Bに到達するビアホール371,372が形成される。そして、これらのビアホール371,372を埋めるとともにビアホール371,372間を接続する接続配線370が第4の層間絶縁膜360上に形成される。なお、その他の構成は、上記した実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0037】
このように、複数の素子が絶縁膜を介して接続される一般的な配線構造での回路素子に接続される第1の配線322Aと、機能素子に接続される第2の配線331Aとの間を接続する接続配線370の形成手順について説明する。まず、第2の絶縁膜330の第1の配線322Aの形成位置内にビア336を形成し、このビア336と接続する第2の配線331Bを第2の絶縁膜330上にパターニングする。また、このパターニング時に、MEMS素子3350に接続される第2の配線331Aも形成される。
【0038】
ついで、第2の絶縁膜330上にMEMS素子350を形成する。このとき、第3と第4の絶縁膜340,360も形成される。その後、第2の配線331A,331Bの形成位置内に、第4の絶縁膜360から第1のパッシベーション膜332までを貫通するビアホール371,372を形成する。そして、めっき法などの方法によって、ビアホール371,372を埋めるとともに、両者間を結ぶ接続配線370を形成する。
【0039】
このように、一般的な配線構造では、CMOSトランジスタ311(回路素子)とMEMS素子335(機能素子)との間には、第1の配線322A、ビア336、第2の配線331B、接続配線370、第2の配線331Aのように配線とビアとが交互に形成されており、接続界面が多くなっている。そのため、それぞれのビアや配線の形成時に、既に形成された下層の配線やビアとの間で位置ずれなどが発生してしまう虞があり、接続の信頼性に問題があった。また、上記のように絶縁膜ごとにビアや配線の形成処理を行うと、工程数が増加してしまうという問題もあった。
【0040】
しかし、本実施の形態によれば、CMOSトランジスタ311(回路素子)とMEMS素子335(機能素子)との間には、第1の配線22A、接続配線70、第2の配線31のように、図7の場合に比して、配線の接続界面が少なくなっている。特に、第1の配線22A上の第2の絶縁膜30上には配線が形成されないので、ビアや配線の形成時における既に形成された下層の配線との間の位置ずれの発生の度合いが抑えられるという効果を有する。また、絶縁膜ごとの加工を行わず、たとえば第2のビアホール702のように、一括して第4の絶縁膜60から第2の絶縁膜30を貫通するビアホール72を形成し、そこにビア702を形成するようにしているので、工程数を図7の場合に比して削減できるという効果も有する。その結果、低コストで、高信頼な電気部品を提供することができる。また、複数の素子の積層化によって、電気部品の薄膜化を実現することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10…半導体基板、11…CMOSトランジスタ、20…第1の絶縁膜、21…コンタクト、21a…コンタクトホール、22,22A…第1の配線、30…第2の絶縁膜、31…第2の配線、32…第1のパッシベーション膜、40…第3の絶縁膜、50…MEMS素子、60…第4の絶縁膜、70…接続配線、71,72…ビアホール、75…第3の配線、76…第2のパッシベーション膜、80…樹脂層、82…ピラー材、83…バンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子と、
前記回路素子に接続され、所定形状を有する第1の配線と、
前記第1の配線上に形成される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線と、
前記第1の絶縁層上に形成されるとともに前記第2の配線と接続される機能素子と、
前記第2の配線および前記機能素子上を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の配線と前記第1の配線とを接続する接続配線と、
を備える電気部品であって、
前記接続配線は、
前記第2の配線の形成位置内で、前記第2の絶縁層を貫通する第1のビアホールに導電性材料を埋め込んだ第1のビアと、
前記第1の配線の形成位置内で、前記第1および第2の絶縁層を貫通する第2のビアホールに導電性材料を埋め込んだ第2のビアと、
前記第2の絶縁層上で前記第1のビアと前記第2のビアとを結ぶ接続用配線と、
を有し、前記第1および第2のビアと前記接続用配線とが同一材料で一体的に形成されていることを特徴とする電気部品。
【請求項2】
前記第1のビアホールの開口径は、前記第2のビアホールの開口径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電気部品。
【請求項3】
前記第1および第2のビアホールの開口径は、それぞれのビアホールにおけるアスペクト比が同一となるように前記ビアホールの深さに応じて定められることを特徴とする請求項2に記載の電気部品。
【請求項4】
回路素子に接続される第1の配線を形成する第1の工程と、
前記第1の配線上に、第1の絶縁層を形成する第2の工程と、
前記第1の絶縁層上に第2の配線を形成する第3の工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第2の配線と接続される機能素子を形成する第4の工程と、
前記機能素子と前記第2の配線とが形成された前記第1の絶縁層上に第2の絶縁層を形成する第5の工程と、
前記機能素子と接続される前記第2の配線の形成位置内に前記第2の絶縁層を厚さ方向に貫通する第1のビアホールを形成するとともに、前記第1の配線の形成位置内に前記第2および第1の絶縁層を貫通する第2のビアホールを形成する第6の工程と、
前記第1および第2のビアホールを埋めるとともに、前記第1および第2のビアホール間を結ぶ接続配線を形成する第7の工程と、
を含むことを特徴とする電気部品の製造方法。
【請求項5】
前記第6の工程で、前記第1のビアホールの開口径が前記第2のビアホールの開口径に比して小さくなるように、前記第1および第2のビアホールが形成されることを特徴とする請求項4に記載の電気部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−49303(P2011−49303A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195659(P2009−195659)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】