説明

非常事態対処システム及び非常事態対処方法

【課題】携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処すること。
【解決手段】非常事態の報知機能を有すると共に自装置の位置情報を検出する携帯端末1と、車両に搭載され自装置の位置情報を検出する車載装置3と、移動通信網2を介する広域通信にて携帯端末1及び車載装置3から送信される位置情報を管理するサーバ装置4とを具備し、携帯端末1を携帯する歩行者に発生した非常事態に対処する非常事態対処システムにおいて、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末1から携帯端末1の位置情報を含む歩行者情報を直接通信により車載装置3に送信する一方、広域通信によりサーバ装置4に送信し、車載装置3で携帯端末1の位置情報に対応する位置まで車両を案内し、サーバ装置4で携帯端末1の位置情報に基づいて携帯端末1の周辺に位置する車載装置3を検索し、携帯端末1の位置への直行を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常事態対処システム及び非常事態対処方法に関し、特に、携帯端末とカーナビゲーションシステムに代表される車載装置とを用いて、携帯端末を携帯する歩行者等に発生した非常事態に対処する非常事態対処システム及び非常事態対処方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末においては、子供の誘拐等の犯罪を防止するための機能を備えたものが普及しており、これらを用いた防犯システムが提案されている。例えば、危険に晒された際に子供が無線機器(携帯電話)の発信手段を作動させることにより、警報ブザーが鳴動すると同時に、携帯電話を介して自宅の電話に発信する緊急通報システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−311142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の緊急通常システムにおいては、子供による操作に応じて警報ブザーが鳴動するものの、周囲に人がいない場合には実質的に危険を排除することが困難である。また、自宅の電話に発信されるものの、その場所に家族が迅速に駆け付けることができない事態も想定され、この場合にも実質的に危険を排除することが困難であるという問題がある。
【0004】
一方、近年、車両に搭載される車載装置には、本来のナビゲーション機能を果たすカーナビゲーションシステムだけでなく、他の車両、歩行者などの移動体との通信や光ビーコンやETCに代表される路側装置との通信機能を備えてきている。このような通信機能を用いて、危険に晒されている子供がいる場所に車両で駆け付けることができれば、迅速且つ効果的に危険を排除することが期待できる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することができる非常事態対処システム及び非常事態対処方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非常事態対処システムは、非常事態の報知機能を有すると共に自装置の位置情報を検出する携帯端末装置と、車両に搭載され自装置の位置情報を検出する車載装置と、移動通信網を介する広域通信にて前記携帯端末装置及び車載装置から送信される位置情報を管理するサーバ装置とを具備し、前記携帯端末装置を携帯する歩行者に発生した非常事態に対処する非常事態対処システムであって、前記携帯端末装置は、前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、前記携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を、直接通信により前記車載装置に送信する一方、広域通信により前記サーバ装置に送信し、前記車載装置は、前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで前記車両を案内し、前記サーバ装置は、前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する前記車載装置を検索し、当該携帯端末装置の位置への直行を指示することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末装置から、携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が直接通信により車載装置に送信され、車載装置により歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで車両が案内されることから、直接通信可能な範囲に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。また、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末装置から、携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が広域通信によりサーバ装置に送信され、サーバ装置により歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する車載装置が検索され、当該携帯端末装置の位置への直行が指示されることから、直接通信可能な範囲に車両が存在しない場合においても、携帯端末装置の周辺に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0008】
本発明の非常事態対処システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記歩行者情報に当該歩行者の属性情報を含めるが好ましい。この場合には、歩行者情報を受信する車載装置又はサーバ装置で当該歩行者の属性情報を把握することにより、歩行者に発生した非常事態の緊急の度合いを把握することが可能となる。
【0009】
また、本発明の非常事態対処システムにおいて、前記車載装置は、前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置までの案内の許否を確認する案内確認画面を表示することが好ましい。この場合には、運転者の都合を考慮することなく、携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで車両を案内する事態を回避することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の非常事態対処システムにおいて、前記車載装置は、前記案内確認画面から、前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置までの案内開始指示を受け付けると、当該携帯端末装置の位置へ直行する旨を前記サーバ装置に通知することが好ましい。この場合には、運転者からの案内開始指示に応じて当該携帯端末装置の位置へ車両が直行する旨をサーバ装置で把握することができることから、他の車両を携帯端末装置の位置に直行させることで現場を混乱させる事態を防止することが可能となる。
【0011】
さらに、本発明の非常事態対処システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、直前に取得した前記携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を前記車載装置に送信する一方、前記サーバ装置に送信した後、最新の前記携帯端末装置の位置情報を取得し、当該位置情報を含む歩行者情報を前記車載装置に送信する一方、前記サーバ装置に送信することが好ましい。この場合には、歩行者による非常事態の報知指示に応じて、直前に取得した携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が送信された後、更に、最新の携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が送信されることから、最新の位置情報を取得するまでに要する時間に歩行者の被害が拡大するのを回避することが可能となる。
【0012】
本発明の非常事態対処方法は、非常事態の報知機能を有すると共に自装置の位置情報を検出する携帯端末装置と、車両に搭載され自装置の位置情報を検出する車載装置と、移動通信網を介する広域通信にて前記携帯端末装置及び車載装置から送信される位置情報を管理するサーバ装置とを用いて、前記携帯端末装置を携帯する歩行者に発生した非常事態に対処する非常事態対処方法であって、前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、前記携帯端末装置から当該携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を、直接通信により前記車載装置に送信する一方、広域通信により前記サーバ装置に送信する工程と、前記車載装置で前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで前記車両を案内する工程と、前記サーバ装置で前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する前記車載装置を検索し、当該携帯端末装置の位置への直行を指示する工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
この方法によれば、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末装置から、携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が直接通信により車載装置に送信され、車載装置により歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで車両が案内されることから、直接通信可能な範囲に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。また、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末装置から、携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報が広域通信によりサーバ装置に送信され、サーバ装置により歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する車載装置が検索され、当該携帯端末装置の位置への直行が指示されることから、直接通信可能な範囲に車両が存在しない場合においても、携帯端末装置の周辺に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による非常事態対処システム及び非常事態対処方法によれば、歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、携帯端末装置から、携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を車載装置に送信すると共にサーバ装置に送信し、車載装置で歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで車両を案内し、サーバ装置で歩行者情報に含まれる携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する車載装置を検索し、当該携帯端末装置の位置への直行を指示することから、直接通信可能な範囲に位置する車両、或いは、その周辺に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末装置を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る非常事態対処システムを説明するための概略構成を示す図である。図1に示す非常事態対処システムは、携帯端末1と、車載装置3を搭載した車両と、携帯端末1及び車載装置3と移動通信網2を介して接続されたサーバ装置4とから主に構成されている。ここで、携帯端末1は、子供や老人など危険に晒される可能性の高い歩行者に携帯されているものとする。
【0016】
携帯端末1は、GPS(Global Positioning System)を搭載しており、GPSにより自装置の位置を測位することができ、測位した位置情報を記録すると共に、定期的に位置情報をサーバ装置4に送信する。また、携帯端末1は、移動通信網2を介して車載装置3やサーバ装置4との間で情報の送受信を行うことができる。さらに、携帯端末1は、無線LAN接続装置を搭載しており、車載装置3等と直接的に通信(直接通信)を行うことが可能である。車載装置3と直接通信を行う場合は、サーバ装置4から送信される直接通信を行うためのパラメータ(車載装置3のIPアドレス、無線LANにおける通信用のチャネル及びアクセスポイントの識別子であるSSID)を利用する。さらに、携帯端末1は、オペレーティングシステム(移動機OS)を有しており、移動機OS上でブラウザ機能、ビューワ機能、JAM(Java(登録商標) Application Manager)その他の機能が動作する。
【0017】
また、携帯端末1は、自装置を携帯する歩行者における非常事態を報知する機能を備えている。以下においては、非常事態を報知する機能として、警報音を鳴動する場合について説明するものとする。携帯端末1は、後述する音声出力部による警報音(ブザー音)の鳴動指示を受け付けると、携帯端末1を携帯する歩行者に関する情報(以下、「歩行者情報」という)を直接通信により周囲の車載装置3に送信する一方、広域通信によりサーバ装置4に送信する。この歩行者情報は、歩行者に非常事態が発生した旨を周囲の車載装置3及びサーバ装置4に通知するためのものである。この歩行者情報には、上記位置情報が含まれる。なお、この歩行者情報に含まれる情報については後述する。
【0018】
移動通信網2は、携帯端末1及び車載装置3と、サーバ装置4との間のネットワークである。この移動通信網2には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網も含まれる。携帯端末1及び車載装置3と、サーバ装置4との間では広域通信が行われる。一方、携帯端末1と車載装置3との間では直接通信が行われる。なお、本実施の形態においては、携帯端末1と車載装置3との間で行われる直接通信として、無線LAN通信が利用されるものとする。
【0019】
車載装置3は、GPSを搭載しており、GPSにより自装置の位置を測位することができ、定期的に位置情報をサーバ装置4に送信する。また、車載装置3は、車載装置3が搭載される車両に関する情報(以下、「車両情報」という)をサーバ装置4に送信する。この車両情報には、上記位置情報が含まれる。なお、この車両情報に含まれる情報については後述する。さらに、車載装置3は、無線LAN接続装置を搭載しており、携帯端末1等と直接通信を行うことが可能である。携帯端末1と直接通信を行う場合は、サーバ装置4から送信される直接通信を行うためのパラメータ(携帯端末1のIPアドレス、無線LANにおける通信用のチャネル及びアクセスポイントの識別子であるSSID)を利用する。さらに、車載装置3は、携帯端末1から送信されてくる歩行者情報、或いは、サーバ装置4から送信されてくる直行指示信号(後述)に応じて、非常事態に遭遇した歩行者の場所までナビゲーション(案内)を行う。この際、当該歩行者の場所までの案内の許否を確認する案内確認画面を表示する。
【0020】
サーバ装置4は、本システムにおけるサービスを提供する携帯端末1の歩行者情報を管理し、歩行者情報に基づいて非常事態が発生した歩行者を特定する。また、本システムにおけるサービスを提供する車載装置3の車両情報を管理し、歩行者に非常事態が発生した旨を確認すると、当該歩行者の位置情報及び当該歩行者の場所へ直行する旨を指示する直行指示信号を、当該歩行者の周辺に位置する車両の車載装置3に対して送信する。
【0021】
このように、携帯端末1における警報音の鳴動指示に応じて歩行者情報を周辺に位置する車載装置3に送信することで、歩行者に非常事態が発生した旨を車両の運転者に通知すると共に、自身の位置を通知することができる。また、携帯端末1における警報音の鳴動指示に応じて送信されてくる歩行者情報を確認すると、車載装置3において、歩行者情報に含まれる携帯端末1の位置情報に応じて車両を案内する一方、サーバ装置4において、歩行者情報及び車両情報に基づいて非常事態に遭遇している歩行者の周辺にいる車両を当該歩行者の場所に直行させることから、歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0022】
図2は、図1に示す携帯端末1の概略構成を示すブロック図である。なお、図2に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、通常の携帯端末に搭載される構成要素は備えているものとする。
【0023】
携帯端末1は、装置全体を制御する制御部11と、移動通信網2を介してサーバ装置4との間で通信を行う通信制御部12と、種々のデータ入力を受け付ける入力部13と、種々のデータや位置情報を表示する表示部14と、自装置の位置を測位するGPS装置15と、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた種々のアプリケーションを起動するアプリ制御部16と、携帯端末1を携帯する歩行者の動作を検出する3Dセンサ17と、P2P無線通信によって他の端末装置(特に、車載装置3)と直接的に通信を行うP2P通信制御部18と、携帯者(歩行者)による警報音の鳴動指示に応じて警報音(ブザー音)を出力する音声出力部19とから主に構成されている。
【0024】
通信制御部12は、サーバ装置4に対して、自装置を携帯する歩行者の歩行者情報を送信する。この歩行者情報には、自装置を識別するための識別情報と、自装置の位置情報と、歩行者の属性を示す属性情報と、歩行者の動作を示す動作情報と、非常事態の発生を示す非常事態情報とが含まれる。なお、歩行者情報は、歩行者による警報音の鳴動指示に応じてサーバ装置4に対して送信される。
【0025】
GPS装置15は、GPS用衛星(図示せず)を利用して携帯端末1の現在位置(緯度、経度)を所定の精度で検出する。GPS装置15は、測位した位置情報を表示部14に出力する。アプリ制御部16は、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた非常事態対処アプリケーションを起動させる。この携帯端末1用の非常事態対処アプリケーションは、警報音の鳴動指示に応じて歩行者情報を直接通信により車載装置3に送信する一方、広域通信によりサーバ装置4に送信するアプリケーションである。
【0026】
3Dセンサ17は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ及び磁気センサを組み合わせて構成され、携帯端末1を携帯する歩行者の動作を検出する。例えば、歩行者の通行速度、加速又は減速、一時停止の有無等の動作を検出する。これらの情報は、歩行者情報に含まれる動作情報としてサーバ装置4に送信される。なお、ここで示した3Dセンサ17によって検出される動作は一例を示したものであり、これに限定されず適宜変更が可能である。P2P通信制御部18は、サーバ装置4から送信されてくるパラメータ等により特定される車載装置3との間でP2P無線通信(無線LAN通信)を行う。音声出力部19は、歩行者による入力部13等を介した警報音の鳴動指示に応じて警報音(ブザー音)を鳴動する。
【0027】
図3は、図1に示す車載装置3の概略構成を示すブロック図である。なお、図3に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、通常の車載装置に搭載される構成要素は備えているものとする。この車載装置3は、カーナビゲーションシステムと通信機器とから構成されている。
【0028】
車載装置3は、装置全体を制御する制御部31と、移動通信網2を介してサーバ装置4との間で通信を行う通信制御部32と、種々のデータや情報を表示する表示部33と、自装置の位置を測位するGPS装置34と、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた種々のアプリケーションを起動するアプリ制御部35と、車載装置3を搭載する車両の動作を検出する3Dセンサ36と、P2P無線通信によって他の端末装置(特に、携帯端末1)と直接的に通信を行うP2P通信制御部37とから主に構成されている。
【0029】
通信制御部32は、サーバ装置4に対して、自装置を搭載する車両の車両情報を送信する。この車両情報には、自装置を識別するための識別情報と、自装置の位置情報と、車両の動作を示す動作情報とが含まれる。この車両情報は、例えば、位置情報をサーバ装置4に対して送信するタイミングで全ての情報が送信されるが、これに限定されず、適宜、異なるタイミングで送信されるようにしても良い。例えば、車載装置3で車両の動作を検出した時点でサーバ装置4に送信するようにしても良い。また、通信制御部32は、サーバ装置4に対して、非常事態に遭遇している歩行者の場所に直行する旨を示す直行通知信号を送信する。さらに、通信制御部32は、サーバ装置4から送信されてくる直行指示信号を受信する。表示部33は、この直行指示信号の内容を反映した案内確認画面を表示する。なお、この案内確認画面については後述する。
【0030】
GPS装置34は、GPS用衛星(図示せず)を利用して車載装置3の現在位置(緯度、経度)を所定の精度で検出する。アプリ制御部35は、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた非常事態対処アプリケーションを起動させる。この車載装置3用の非常事態対処アプリケーションは、携帯端末1から送信されてくる歩行者情報に応じて、或いは、サーバ装置4から送信されてくる直行指示信号の内容に応じて車両を案内するアプリケーションである。この際、非常事態対処アプリケーションは、歩行者の場所への案内の許否を確認する案内確認画面を表示する。また、この車載装置3用の非常事態対処アプリケーションは、案内確認画面から案内開始指示を受け付けると、直行通知信号をサーバ装置4に対して送信するアプリケーションである。
【0031】
3Dセンサ36は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ及び磁気センサを組み合わせて構成され、車載装置3を搭載する車両の動作を検出する。例えば、車両の走行速度、加速又は減速、一時停止の有無等の動作を検出する。これらの情報は、車両情報に含まれる動作情報としてサーバ装置4に送信される。なお、ここで示した3Dセンサ17によって検出される動作は一例を示したものであり、これに限定されず適宜変更が可能である。P2P通信制御部18は、サーバ装置4から送信されてくるパラメータ等により特定される携帯端末1との間でP2P無線通信(無線LAN通信)を行う。
【0032】
図4は、図1に示すサーバ装置4の概略構成を示すブロック図である。なお、図4に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、通常のサーバ装置に搭載される構成要素は備えているものとする。
【0033】
サーバ装置4は、装置全体を制御する制御部41と、移動通信網2を介して携帯端末1や車載装置3との間で通信を行う通信制御部42と、携帯端末1から送信される歩行者情報が登録される歩行者情報データベース(DB)43と、車載装置3から送信される車両情報が登録される車両情報データベース(DB)44と、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた種々のアプリケーションを起動するアプリ制御部45とから主に構成されている。
【0034】
通信制御部42は、携帯端末1から送信される歩行者情報、並びに、車載装置3から送信される車両情報を受信する。また、車載装置3に対して、非常事態に遭遇している歩行者の場所に直行する旨を指示する信号(直行指示信号)を送信する。さらに、車載装置3から送信されてくる直行通知信号を受信する。
【0035】
歩行者情報DB43は、携帯端末1から送信される歩行者情報が登録されるデータベースである。歩行者情報DB43は、図5に示すような管理テーブルを有する。図5に示す管理テーブルにおいては、携帯端末1の識別情報51、携帯端末1を携帯する歩行者の性別及び年齢を示す属性情報52、歩行者の動作を示す動作情報53、非常事態の発生の有無を示す非常事態情報54、周辺の車両から歩行者の場所へ直行した旨を通知する直行通知信号を受け取ったか否かを示す直行通知情報55、携帯端末1の位置情報56及び歩行者情報を受信した時刻を示す時刻情報57が登録されている。なお、図5においては、携帯端末1に割り当てられた電話番号を識別情報51に使用した場合について示しているが、識別情報51についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、携帯端末1の製造番号等を使用しても良い。
【0036】
これらの情報のうち、直行通知情報55及び時刻情報57を除いた識別情報51、属性情報52、動作情報53、非常事態情報54及び位置情報56は、携帯端末1から送信されてくる歩行者情報に基づいて特定される。直行通知情報55は、車載装置3から送信されてくる直行通知信号に基づいて特定される。時刻情報57は、歩行者情報を受信した時点でサーバ装置4に基づいて特定される。なお、図5においては、動作情報53として移動中であるか否かのみが登録される場合について示しているが、これに限定されるものでなく適宜変更が可能である。
【0037】
例えば、図5に示すNo.1の歩行者情報においては、「090−AAAA−AAAA」で特定される識別情報51に対応して、「男性」及び「10歳」の属性情報52、「移動中」であることを示す動作情報53、非常事態が発生した旨(「有」)を示す非常事態情報54、直行通知信号を受け取った旨(「済」)を示す直行通知情報55、経度「○○○」及び緯度「△△△」で特定される位置情報56、並びに、「2007/3/22 16:32」に歩行者情報を受信した旨を示す時刻情報57が登録されている。これは、電話番号が090−AAAA−AAAAである携帯端末1を携帯する移動中の10歳の男性が2007/3/22の16時32分に非常事態に遭遇した旨を示している。なお、当該歩行者情報においては、周囲に位置する車両が歩行者の場所に直行した旨を示す直行通知信号を受け取った旨を示している。
【0038】
また、図5に示すNo.5の歩行者情報においては、「090−EEEE−EEEE」で特定される識別情報51に対応して、「女性」及び「10歳」の属性情報52、「移動中」であることを示す動作情報53、非常事態が発生した旨(「有」)を示す非常事態情報54、直行通知信号を受け取っていない旨(「未」)を示す直行通知情報55、現在、経度「○○○」及び緯度「□□□」で特定される位置情報56、並びに、「2007/3/22 16:40」に歩行者情報を受信した旨を示す時刻情報57が登録されている。これは、電話番号が090−EEEE−EEEEである携帯端末1を携帯する移動中の10歳の女性が2007/3/22の16時40分に非常事態に遭遇した旨を示している。なお、当該歩行者情報においては、周囲に位置する車両が歩行者の場所に直行した旨を示す直行通知信号を受け取っていない旨を示している。
【0039】
車両情報DB44は、車載装置3から送信される車両情報が登録されるデータベースである。車両情報DB44は、図6に示すような管理テーブルを有する。図6に示す管理テーブルにおいては、車載装置3の識別情報61、車両の動作を示す動作情報62、車載装置3(車両)の位置情報63及び非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行した旨を示す直行通知信号を受け取ったか否かを示す直行通知情報64が登録されている。なお、図6においては、車載装置3に割り当てられた電話番号を識別情報61に使用した場合について示しているが、識別情報61についてはこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、車載装置3の製造番号等を使用しても良い。
【0040】
これらの情報のうち、直行通知情報64を除いた識別情報61、動作情報62及び位置情報63は、車載装置3から送信されてくる車両情報に基づいて特定される。直行通知情報64は、歩行者情報とは異なるタイミングで車載装置3から送信されてくる直行通知信号に基づいて特定される。なお、図5においては、動作情報53として移動中であるか否かのみが登録される場合について示しているが、これに限定されるものでなく適宜変更が可能である。
【0041】
例えば、図6に示すNo.2の車両の現状情報においては、「090−OOOO−OOOO」で特定される識別情報61に対応して、「移動中」であることを示す動作情報62、経度「×××」及び緯度「○○○」で特定される位置情報63、並びに、直行通知信号を受け取っていない旨を示す「無」が登録されている。これは、電話番号が090−OOOO−OOOOである車載装置3を搭載する車両が、経度×××及び緯度○○○の位置を移動中である旨を示している。また、当該車両が歩行者の場所に向かってはいない旨を示している。
【0042】
また、図6に示すNo.4の車両の現状情報においては、「090−QQQQ−QQQQ」で特定される識別情報61に対応して、「移動中」であることを示す動作情報62、経度「○○○」及び緯度「△△△」で特定される位置情報63、並びに、直行通知信号を受け取った旨を示す「有」が登録されている。これは、電話番号が090−QQQQ−QQQQである車載装置3を搭載する車両が、経度○○○及び緯度△△△の位置を移動中である旨を示している。また、当該車両が歩行者の場所に向かっている旨を示している。
【0043】
アプリ制御部45は、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた非常事態対処アプリケーションを起動させる。このサーバ装置4用の非常事態対処アプリケーションは、携帯端末1から送信されてくる歩行者情報を管理し、歩行者情報に基づいて非常事態が発生した携帯端末1を携帯する歩行者を特定するアプリケーションである。また、車載装置3から送信されてくる車両情報を管理し、歩行者に非常事態が発生した旨を確認すると、当該歩行者の位置情報及び当該歩行者の場所へ直行する旨を指示する直行指示信号を、当該歩行者の周辺に位置する車両の車載装置3に対して送信するアプリケーションである。
【0044】
次に、本実施の形態に係る非常事態対処システムにおける動作について図7及び図8を用いて説明する。図7及び図8は、本実施の形態に係る非常事態対処システムにおける動作を説明するためのシーケンス図である。なお、図7においては、携帯端末1による直接通信可能な範囲に車載装置3を搭載した車両が存在する場合について示し、図8においては、携帯端末1による直接通信可能な範囲内に車載装置3を搭載した車両が存在しない場合について示している。
【0045】
本発明の非常事態対処システムにおいては、携帯端末1において、歩行者による警報音の鳴動指示に応じて歩行者情報を周辺に位置する車載装置3に送信すると共に、サーバ装置4に送信する。歩行者情報を受信すると、車載装置3において、歩行者情報に含まれる携帯端末1の位置情報に応じて車両を案内する。一方、歩行者情報を受信すると、サーバ装置4において、歩行者情報及び車両情報に基づいて非常事態に遭遇している歩行者の周辺にいる車両を当該歩行者の場所に直行させる。これにより、歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0046】
なお、以下においては、携帯端末1、車載装置3及びサーバ装置4において、それぞれアプリ制御部16、アプリ制御部35及びアプリ制御部45で非常事態対処アプリケーションが起動しているものとして、それ以降の動作を説明する。また、サーバ装置4の歩行者情報DB43には、図5に示す内容(No.5の歩行者情報を除く)の管理テーブルが登録されているものとする。さらに、サーバ装置4の車両情報DB44には、図6に示す内容の管理テーブルが登録されているものとする。なお、サーバ装置4においては、現在の時刻情報が把握されているものとする。
【0047】
また、歩行者情報DB43における位置情報56、並びに、車両情報DB44における位置情報63は、随時更新されているものとする。そして、ある携帯端末1と車載装置3とが互いにP2P通信制御部18、37による通信可能な範囲に属した場合には、サーバ装置4によって当該携帯端末1と車載装置3との間で直接通信(無線LAN通信)を行うために必要な処理が行われるものとする。具体的には、直接通信を行うためのパラメータ(携帯端末1のIPアドレス、車載装置3のIPアドレス、無線LANにおける通信用のチャネル及びアクセスポイントの識別子であるSSID)を両者に送信する。これにより、通信可能な範囲に属した携帯端末1と車載装置3とは直接通信を行うことが可能となる。
【0048】
本実施の形態に係る非常事態対処システムにおいて、携帯端末1を携帯する歩行者が非常事態に遭遇し警報音の鳴動指示を行うと、警報音(ブザー音)が鳴動すると共に、この鳴動指示が携帯端末1において検出される(ST701)。鳴動指示を検出すると、携帯端末1から直接通信可能な範囲に位置する車載装置3に対して歩行者情報が送信されると共に、サーバ装置4に対して歩行者情報が送信される(ST702)。この場合、携帯端末1からは、直前に記録した位置情報を含む歩行者情報が送信される。ここでは、図5に示すNo.5に対応する歩行者情報が送信されるものとする。上述したように、歩行者情報には、識別情報51、属性情報52、動作情報53、非常事態情報54及び位置情報56が含まれる。
【0049】
図7に示す場合においては、携帯端末1による直接通信範囲内に車載装置3を搭載した車両が存在するため、携帯端末1から送信された歩行者情報は、車載装置3により受信される。携帯端末1から送信された歩行者情報を受信すると、車載装置3において、この歩行者情報の内容に基づいて案内確認画面が表示される(ST703)。
【0050】
図9は、車載装置3に表示される案内確認画面の一例を示す図である。図9に示すように、案内確認画面90においては、地図情報91上に車両位置92が表示されると共に、歩行者情報を受信した歩行者位置93が表示される。また、歩行者位置93までのナビゲーション(案内)の許否を確認するメッセージを含むメッセージボックス94が表示されると共に、その応答を受け付ける応答ボタン95A、95Bが表示される。なお、メッセージボックス94には、歩行者の位置情報56が表示されると共に、その属性情報52が表示される。
【0051】
ここでは、このような案内確認画面90を表示した後、車両の運転者から案内開始の指示を受け付ける(応答ボタン95Aが選択される)ものとする。案内開始の指示を受け付けると、車載装置3において、歩行者位置93までの案内を開始する(ST704)。そして、サーバ装置4に対して、非常事態に遭遇した歩行者の場所へ直行する旨を通知する直行通知信号を送信する(ST705)。このように直行通知信号をサーバ装置4に送信するのは、複数の車両が当該歩行者の場所に直行し、混乱する事態を回避するためである。
【0052】
一方、携帯端末1から送信された歩行者情報を受信すると、サーバ装置4において、この歩行者情報が歩行者情報DB43に登録される(ST706)。これにより、図5に示すNo.5の歩行者情報が登録されることとなる。このような非常事態の発生を示す非常事態情報54を含む歩行者情報を登録すると、サーバ装置4において、当該歩行者の周囲に位置する車両の検索が行われる(ST707)。かかる車両の検索は、車両情報DB44の位置情報63に基づいて行われる。
【0053】
なお、車両が検索されると、図8に示すように、当該歩行者の場所へ直行する旨を指示する直行指示信号が当該車両の車載装置3に送信されることとなる。しかしながら、図7においては、車両が検索される前に携帯端末1の周囲の車載装置3から直行通知信号を受信した場合について示している。この場合、サーバ装置4においては、直行通知信号の送信を中断し、当該直行通知信号の歩行者情報DB43及び車両情報DB44の登録を行う(ST708)。この場合、図5に示すNo.5の直行通知情報55が「未」から「済」に変更されると共に、当該直行通知信号を送信した車載装置3に対応する図6に示す直行通知情報64が「無」から「有」に変更される。
【0054】
このように車載装置3及びサーバ装置4に対して歩行者情報を送信した後、携帯端末1においては、再びGPS装置15において、最新の位置情報が取得される(ST709)。そして、取得された最新の位置情報を含む歩行者情報が、先のST702の場合と同様に、携帯端末1から直接通信可能な範囲に位置する車載装置3に対して送信されると共に、サーバ装置4に対して送信される(ST710)。このように、ST702で直前に記録した位置情報を含む歩行者情報を送信すると共に、ST710で最新の位置情報を含む歩行者情報を送信するのは、最新の位置情報を取得するまでに要する時間に歩行者の被害が大きくなるのを回避することを考慮したものである。
【0055】
最新の位置情報を含む歩行者情報を受信した車載装置3においては、必要に応じて目的地を修正し(ST711)、歩行者位置93への案内を継続する。一方、サーバ装置4においては、この歩行者情報を再度、歩行者情報DB43に登録する(ST712)。そして、案内に従って、当該車両が歩行者位置93に案内されることとなる。
【0056】
この場合、非常事態に遭遇している歩行者の携帯端末1の直接通信できる範囲に位置していた車両が歩行者の場所に直行することとなる。そして、当該車両の運転者が、当該歩行者が遭遇している危険等を排除することにより、当該歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0057】
一方、図8に示すように、携帯端末1による直接通信範囲内に車載装置3を搭載した車両が存在しない場合には、携帯端末1において鳴動指示が検出されると(ST801)、携帯端末1から車載装置3に対して歩行者情報が送信されず、サーバ装置4に対して歩行者情報が送信される(ST802)。この場合、図7に示す場合と同様に、携帯端末1からは、直前に記録した位置情報を含む歩行者情報が送信される。ここでは、図5に示すNo.5に対応する歩行者情報が送信されるものとする。
【0058】
携帯端末1から送信された歩行者情報を受信すると、サーバ装置4において、この歩行者情報が歩行者情報DB43に登録される(ST803)。これにより、図5に示すNo.5の歩行者情報が登録されることとなる。このような非常事態の発生を示す非常事態情報54を含む歩行者情報を登録すると、サーバ装置4において、当該歩行者の周囲に位置する車両の検索が行われる(ST804)。かかる車両の検索は、車両情報DB44の位置情報63に基づいて行われる。
【0059】
該当する車両が検索されると、サーバ装置4から、当該歩行者の場所へ直行する旨を指示する直行指示信号が当該車両の車載装置3に送信される(ST805)。なお、この直行指示信号には、携帯端末1から受信した歩行者情報に含まれる。すなわち、直行指示信号には、非常事態に遭遇している歩行者に対応する識別情報51、属性情報52、動作情報53、非常事態情報54及び位置情報56が含まれる。
【0060】
サーバ装置4から送信された直行指示信号を受信すると、車載装置3において、この直行指示信号の内容に基づいて案内確認画面が表示される(ST806)。この場合、車載装置3において、図9に示したものと同様の案内確認画面90が表示される。ここでは、このような案内確認画面90を表示した後、車両の運転者から案内開始の指示を受け付ける(応答ボタン95Aが選択される)ものとする。案内開始の指示を受け付けると、車載装置3において、歩行者位置93までの案内を開始すると共に(ST807)、サーバ装置4に対して直行通知信号を送信する(ST808)。
【0061】
車載装置3から直行通知信号を受信すると、サーバ装置4において、当該直行通知信号の歩行者情報DB43及び車両情報DB44の登録を行う(ST809)。この場合、図5に示すNo.5の直行通知情報55が「未」から「済」に変更されると共に、当該直行通知信号を送信した車載装置3に対応する図6に示す直行通知情報64が「無」から「有」に変更される。なお、車載装置3から直行通知信号を受信するまでは、車両情報DB44の位置情報63に基づいて歩行者の周辺に位置する車両を検索し、直行指示信号を送信する処理を繰り返す。
【0062】
このようにサーバ装置4に対して歩行者情報を送信した後、携帯端末1においては、再びGPS装置15において、最新の位置情報が取得される(ST810)。そして、取得された最新の位置情報を含む歩行者情報は、先のST802の場合と同様に、サーバ装置4に対して送信される(ST811)。このように、ST802で直前に記録した位置情報を含む歩行者情報を送信すると共に、ST811で最新の位置情報を含む歩行者情報を送信するのは、図7に示す場合と同様に、最新の位置情報を取得するまでに要する時間に歩行者の被害が拡大するのを回避することを考慮したものである。
【0063】
最新の位置情報を含む歩行者情報を受信したサーバ装置4において、この歩行者情報が再度、歩行者情報DB43に登録される(ST812)。そして、再度、最新の位置情報を反映した直行指示信号が車載装置3に送信される(ST813)。この直行指示信号を受信した車載装置3においては、必要に応じて目的地を修正し(ST814)、歩行者位置93への案内を継続する。そして、案内に従って、当該車両が歩行者位置93に案内されることとなる。
【0064】
この場合、携帯端末1と直接通信ができない範囲に位置していた車両が、非常事態に遭遇している歩行者の場所に直行することとなる。そして、当該車両の運転者が、当該歩行者が遭遇している危険等を排除することにより、当該歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0065】
このように本実施の形態に係る非常事態対処システムにおいては、歩行者による警報音の鳴動指示を検出すると、携帯端末1から、携帯端末1の位置情報を含む歩行者情報を直接通信により車載装置3に送信し、車載装置3で歩行者情報に含まれる携帯端末1の位置情報に対応する位置まで車両を案内する。これにより、直接通信可能な範囲に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末1を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0066】
一方、歩行者による警報音の鳴動指示を検出すると、携帯端末1から、携帯端末1の位置情報を含む歩行者情報を広域通信によりサーバ装置4に送信し、サーバ装置4により歩行者情報に含まれる携帯端末1の位置情報に基づいて当該携帯端末1の周辺に位置する車載装置3を検索し、当該携帯端末1の位置への直行を指示する。これにより、携帯端末1における直接通信可能な範囲に車両が存在しない場合においても、携帯端末1の周辺に位置する車両を非常事態に遭遇した歩行者の場所に直行させることができるので、携帯端末1を携帯する歩行者に発生した非常事態に迅速且つ効果的に対処することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係る非常事態対処システムにおいては、携帯端末1から送信される歩行者情報に当該歩行者の属性情報を含めている。これにより、歩行者情報を受信する車載装置3又はサーバ装置4で当該歩行者の属性情報を把握することができるので、車両の運転者において、歩行者に発生した非常事態の緊急の度合いを把握することが可能となる。
【0068】
さらに、本実施の形態に係る非常事態対処システムにおいては、携帯端末1から歩行者情報を受信すると、車載装置3において、携帯端末1の位置情報に対応する位置までの案内の許否を確認する案内確認画面90が表示される。これにより、運転者の都合を考慮することなく、携帯端末1の位置情報に対応する位置まで車両を案内する事態を回避することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上記実施の形態においては、属性情報52として、携帯端末1を携帯する歩行者の性別及び年齢を特定する場合について説明しているが、属性情報52の内容については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、携帯端末1を携帯する歩行者の国籍や身体的特徴を特定するようにしても良い。
【0071】
また、上記実施の形態においては、非常事態に遭遇した歩行者の場所に1台の車両が直行すると、その他の車両を歩行者の場所に直行させない場合について説明しているが、歩行者の場所に直行する車両の台数については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、2台以上の車両を歩行者の場所に直行させるようにしても良い。また、属性情報52の内容から、歩行者が晒されている危険を排除できる適正な人数を確保可能な車両の台数を歩行者の場所に直行させるようにしても良い。
【0072】
さらに、上記実施の形態においては、歩行者による非常事態の報知指示の一例として、歩行者による警報音の鳴動指示を示しているが、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、非常事態の報知を目的として設定された入力ボタンを選択するようにしても良い。この場合には、警報音の鳴動なしに周囲に存在する車両に保護を求めることが可能となる。
【0073】
さらに、上記実施の形態においては、歩行者の警報音の鳴動指示に応じて非常事態の発生の有無を判断しているが、歩行者が遭遇している非常事態の内容を特定するようにしても良い。この場合には、歩行者が遭遇している非常事態の内容に応じて、歩行者を保護する人数を特定する等して適切に歩行者が遭遇している非常事態に対処することが可能となる。
【0074】
さらに、上記実施の形態においては、携帯端末1を携帯する歩行者について説明しているが、この歩行者には自転車に乗った者を含むものとする。このように自転車に乗った者を歩行者に含むことにより、自転車に乗った者に発生した非常事態にも迅速且つ適切に対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態に係る非常事態対処システムを説明するための概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すシステムにおける携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すシステムにおける車載装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すシステムにおけるサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記実施の形態に係るサーバ装置の歩行者情報データベースにおける管理テーブルの例を示す図である。
【図6】上記実施の形態に係るサーバ装置の車両情報データベースにおける管理テーブルの例を示す図である。
【図7】上記実施の形態に係る非常事態対処システムにおける動作を説明するためのシーケンス図である。
【図8】上記実施の形態に係る非常事態対処システムにおける動作を説明するためのシーケンス図である。
【図9】上記実施の形態に係る非常事態対処システムの車載装置に表示される案内確認画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 携帯端末
2 移動通信網
3 車載装置
4 サーバ装置
11、31、41 制御部
12、32、42 通信制御部
13 入力部
14、33 表示部
15、34 GPS装置
16、35、45 アプリ制御部
17、36 3Dセンサ
18、37 P2P通信制御部
43 歩行者情報DB
44 車両情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常事態の報知機能を有すると共に自装置の位置情報を検出する携帯端末装置と、車両に搭載され自装置の位置情報を検出する車載装置と、移動通信網を介する広域通信にて前記携帯端末装置及び車載装置から送信される位置情報を管理するサーバ装置とを具備し、前記携帯端末装置を携帯する歩行者に発生した非常事態に対処する非常事態対処システムであって、
前記携帯端末装置は、前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、前記携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を、直接通信により前記車載装置に送信する一方、広域通信により前記サーバ装置に送信し、前記車載装置は、前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで前記車両を案内し、前記サーバ装置は、前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する前記車載装置を検索し、当該携帯端末装置の位置への直行を指示することを特徴とする非常事態対処システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、前記歩行者情報に当該歩行者の属性情報を含めることを特徴とする請求項1記載の非常事態対処システム。
【請求項3】
前記車載装置は、前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置までの案内の許否を確認する案内確認画面を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の非常事態対処システム。
【請求項4】
前記車載装置は、前記案内確認画面から、前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置までの案内開始指示を受け付けると、当該携帯端末装置の位置へ直行する旨を前記サーバ装置に通知することを特徴とする請求項3記載の非常事態対処システム。
【請求項5】
前記携帯端末装置は、前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、直前に取得した前記携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を前記車載装置に送信する一方、前記サーバ装置に送信した後、最新の前記携帯端末装置の位置情報を取得し、当該位置情報を含む歩行者情報を前記車載装置に送信する一方、前記サーバ装置に送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の非常事態対処システム。
【請求項6】
非常事態の報知機能を有すると共に自装置の位置情報を検出する携帯端末装置と、車両に搭載され自装置の位置情報を検出する車載装置と、移動通信網を介する広域通信にて前記携帯端末装置及び車載装置から送信される位置情報を管理するサーバ装置とを用いて、前記携帯端末装置を携帯する歩行者に発生した非常事態に対処する非常事態対処方法であって、
前記歩行者による非常事態の報知指示を検出すると、前記携帯端末装置から当該携帯端末装置の位置情報を含む歩行者情報を、直接通信により前記車載装置に送信する一方、広域通信により前記サーバ装置に送信する工程と、前記車載装置で前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に対応する位置まで前記車両を案内する工程と、前記サーバ装置で前記歩行者情報に含まれる前記携帯端末装置の位置情報に基づいて当該携帯端末装置の周辺に位置する前記車載装置を検索し、当該携帯端末装置の位置への直行を指示する工程とを具備することを特徴とする非常事態対処方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−65386(P2009−65386A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230704(P2007−230704)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】