説明

高電子移動度トランジスタ及びその製造方法

【課題】高電子移動度トランジスタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に形成されたHEMT積層物と、を備え、HEMT積層物は、2DEGを含む化合物半導体層と、化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を備え、基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い窒化物基板であるHEMT。該基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い絶縁層、この絶縁層に蒸着された金属層及びこの金属層に付着されたプレートを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力素子及びその製造方法に係り、さらに詳細には、優秀な熱放出機能を持つ高電子移動度トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:以下、HEMT)は、電力素子の一つである。HEMTは、チャネル層にキャリアとして使われる2次元電子ガス(2−Dimensional Electron Gas:2DEG)を含む。2DEGがキャリアとして使われるため、HEMTの移動度は、一般トランジスタより非常に高い。
【0003】
HEMTは、広いバンドギャップを持つ化合物半導体を含む。したがって、HEMTの絶縁破壊電圧は、一般トランジスタより高い。HEMTの絶縁破壊電圧は、2DEGを含む化合物半導体層、すなわち、GaN層の厚さに比例して増大する。
【0004】
ところが、HEMTのシリコン基板の臨界フィールドはGaN層の臨界フィールドより低い。すなわち、HEMTに含まれたシリコン基板の絶縁破壊電圧は、その上に形成されるGaN層の絶縁破壊電圧より低い。このようなシリコン基板によりHEMTの絶縁破壊電圧は低くなる。
【0005】
シリコン基板の使用によるHEMTの絶縁破壊電圧の低下を防止するために、シリコン基板の代りにサファイア基板やガラス基板が使われる。
【0006】
しかし、サファイア基板やガラス基板が使われる場合、HEMTの熱伝導度は低くなり、この場合のHEMTは、大電流素子として使われ難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、絶縁破壊電圧の低下を防止して優秀な熱伝導度を持つHEMTを提供する。
【0008】
本発明の一実施形態は、かかるHEMTの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるHEMTは、基板と、前記基板上に形成されたHEMT積層物と、を備え、前記HEMT積層物は、2DEGを含む化合物半導体層と、前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を備え、前記基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い窒化物基板である。
【0010】
前記上部化合物半導体層は、リセスまたは酸化された領域を含む。
【0011】
前記上部化合物半導体層と前記ゲートとの間に空乏層が備えられる。
【0012】
前記ゲートと前記ドレイン電極との間の前記化合物半導体層にLDD領域が備えられる。
【0013】
前記ゲートは、p−金属ゲートまたは窒化物ゲートである。
【0014】
本発明の他の実施形態によるHEMTは、基板と、前記基板上に形成されたHEMT積層物と、を備え、前記HEMT積層物は、2DEGを含む化合物半導体層と、前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を備え、前記基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い非シリコン基板であって、複数の層を含む。
【0015】
前記基板は、プレートと、前記プレート上にボンディングされた金属層と、前記金属層上に形成された誘電層と、を備える。
【0016】
前記ドレイン電極と前記金属層とは連結されており、前記プレートはDBCプレートである。
【0017】
本発明の一実施形態によるHEMTの製造方法は、基板上にHEMT積層物を形成する段階と、前記HEMT積層物上にキャリアウェーハを付着する段階と、前記基板を除去する段階と、前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に、誘電率及び熱伝導度がシリコン基板より高い窒化物基板を付着する段階と、前記キャリアウェーハを除去する段階と、を含み、前記HEMT積層物は、2DEGを含む化合物半導体層と、前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を含む。
【0018】
かかる製造方法において、前記窒化物基板は、AlN基板またはSiN基板を含む。
【0019】
前記上部化合物半導体層にリセスまたは酸化された領域を形成する。
【0020】
前記上部化合物半導体層と前記ゲートとの間に空乏層を形成する。
【0021】
前記ゲートと前記ドレイン電極との間の前記化合物半導体層にLDD領域を形成する。
【0022】
前記ゲートは、p−金属ゲートまたは窒化物ゲートである。
【0023】
前記窒化物基板は、高温高圧で直接付着するか、または高電圧を利用した陽極ボンディング法で付着する。
【0024】
本発明の他の実施形態によるHEMTの製造方法は、基板上にHEMT積層物を形成する段階と、前記HEMT積層物上にキャリアウェーハを付着する段階と、前記基板を除去する段階と、前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に誘電率及び熱伝導度がシリコン基板より高い、複数の層を含む非シリコン基板を付着する段階と、前記キャリアウェーハを除去する段階と、を含み、前記HEMT積層物は、2DEGを含む化合物半導体層と、前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を含む。
【0025】
かかる製造方法において、前記非シリコン基板を付着する段階は、前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に誘電層を蒸着する段階と、前記誘電層にボンディング金属層を蒸着する段階と、前記金属層にプレートをボンディングする段階と、を含む。
【0026】
前記プレートは、Siプレート、DBCプレート、金属プレート及びAlNプレートのうちいずれか一つである。
【0027】
前記金属層は、Al、Cu、Au及びSiのうち一つを含む合金層である。
【0028】
前記誘電層は、AlN、SiN、Al及びSiOのうち一つを含む。
【0029】
前記ドレイン電極と前記金属層とを連結する段階をさらに含み、前記プレートは、DBCプレートである。
【0030】
前記プレートは、前記金属層に共融ボンディング方式で付着される。
【0031】
本発明の実施形態によるHEMTは、シリコン基板の代りに、誘電率が大きくて熱伝導度の高い基板を備え、かかる基板上に化合物半導体を形成してチャネル形成層及びチャネル供給層を形成する。したがって、基板による絶縁破壊電圧の低下を防止でき、HEMTで発生する熱をHEMTの外部に迅速に放出させることができる。
【0032】
また、基板に備えられたプレートは、蒸着ではなく単純にボンディングされるものであるため、蒸着よりも加工面で容易である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による第1 HEMTの断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による第2 HEMTの断面図である。
【図3】第1及び第2 HEMTのHEMT積層物に対する多様な例を示す断面図である。
【図4】第1及び第2 HEMTのHEMT積層物に対する多様な例を示す断面図である。
【図5】第1及び第2 HEMTのHEMT積層物に対する多様な例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるHEMTの製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるHEMTの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態によるHEMT及びその製造方法を、添付した図面を参照して詳細に説明する。この過程で図面に図示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して図示されたものである。
【0035】
まず、本発明の一実施形態によるHEMT(以下、第1 HEMT)について説明する。
【0036】
図1を参照すれば、図1の第1 HEMTは、第1基板S1と積層物30とを備える。積層物30は、第1基板S1上に形成されている。積層物30は、HEMTで基板を除外した残りの部分を含む。したがって、以下で積層物30を“HEMT積層物30”と記載する。第1基板S1は、既存のシリコン基板ではなく非シリコン基板である。第1基板S1は、非金属板でありうる。第1基板S1は、高誘電率及び高い熱伝導度を持つプレートでありうる。例えば、第1基板S1は、窒化物または酸化物プレートでありうる。前記窒化物プレートは、例えば、AlNまたはSiNで形成されたものでありうる。前記酸化物プレートは、例えば、AlまたはSiOで形成されたものでありうる。第1基板S1の厚さは、例えば、1〜100μmほどでありうる。第1基板S1の絶縁破壊電圧は、既存のシリコン基板に比べて非常に高い。したがって、第1基板S1を備えるHEMTの場合、シリコン基板を備える既存のHEMTとは異なって、絶縁破壊電圧が低くなることを防止できる。HEMT積層物30は、チャネル供給層、チャネル形成層などを含むが、これについては後述する。
【0037】
図2は、本発明の他の実施形態によるHEMT(以下、第2 HEMT)を示す。
【0038】
図2を参照すれば、第2 HEMTは、第2基板S2及びHEMT積層物30を備える。HEMT積層物30は、第2基板S2上に備えられている。第2基板S2は、既存のシリコン基板ではなく非シリコン基板であって、複数の層を含む。第2基板S2は、順次に積層されたベースプレート26、ボンディング金属層24及び誘電層22を備える。ベースプレート26は、シリコン(Si)プレート、DBC(Direct Bonded Copper)プレート、窒化物プレート、酸化物プレート及び金属プレートのうちいずれか一つでありうる。ボンディング金属層24は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)またはシリコン(Si)を含む合金で形成されたものでありうる。ボンディング金属層24は、共融ボンディングのために備えられたものでありうる。誘電層22は、誘電率及び熱伝導度の大きい誘電物質でありうる。例えば、誘電層22は、AlN、SiN、Al及びSiOのうちいずれか一つで形成されたものでありうる。
【0039】
一方、第2基板S2のボンディング金属層24と、HEMT積層物30のドレイン電極(図示せず)とは連結されうるが、この時のベースプレート26はDBCプレートでありうる。
【0040】
図3ないし図5は、前記第1及び第2 HEMTのHEMT積層物30の例を示す。
【0041】
図3を参照すれば、HEMT積層物30は、順次に積層されたバッファ層32、チャネル形成層34及びチャネル供給層36を含み、チャネル供給層36上に形成されたソース電極38S、ドレイン電極38D、ゲート38Gを含む。バッファ層32、チャネル形成層34及びチャネル供給層36は、化合物半導体層でありうる。バッファ層32は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)のうちいずれか一つの窒化物とこれらの混合物とが積層された層構造を持つ。例えば、バッファ層32は、AlGaN層でありうる。チャネル形成層34とチャネル供給層36とは、バンドギャップ及び分極率の異なる化合物半導体層でありうる。例えば、チャネル形成層34は、GaN層でありうる。上部化合物半導体層であるチャネル供給層36は、チャネル形成層34よりバンドギャップ及び分極率の大きい化合物半導体層でありうる。チャネル供給層36は、B、Al、Ga及びInのうちいずれか一つの窒化物とこれらの混合物とが積層された層構造を持つ。例えば、チャネル供給層36は、AlGaN層でありうる。チャネル供給層36の存在により、チャネル形成層34にチャネルキャリアとして使われる2DEG 40が生成される。2DEG 40は、チャネル供給層36と接触するチャネル形成層34の界面近くに生成される。2DEG 40の生成原因を考慮すれば、チャネル供給層36は、チャネル形成層34にチャネルを供給する層、またはチャネル形成層34にチャネルを形成させる層である。2DEG 40はチャネル形成層34に生成されるので、チャネル形成層34は、チャネルが形成される層になる。チャネル供給層36上で、ソース電極38Sとドレイン電極38Dとは離隔している。ゲート38Gは、ソース電極38Sとドレイン電極38Dとの間に存在する。ゲート38Gは、ソース及びドレイン電極38S、38Dと離隔している。ゲート38Gは、ドレイン電極38Dよりソース電極38Sに近く位置する。チャネル供給層36は、ゲート38Gが備えられた位置に所定深さのリセスr1を備える。リセスr1は、ゲート38Gの一部またはゲート38Gで満たされる。リセスr1の存在により、ゲート38G下のチャネル供給層36の厚さt1は、チャネル供給層36の他の領域の厚さより薄い。チャネル供給層36でリセスr1部分の厚さt1は、例えば、1〜20nmでありうる。チャネル供給層36でリセスr1以外の他の領域の厚さは20nm以上であるが、例えば、20nm〜100nmでありうる。リセスr1は、チャネル供給層36の一部を除去した部分である。したがって、リセスr1部分がチャネル形成層34に及ぼす影響は、リセスr1が形成されていない部分がチャネル形成層34に及ぼす影響より非常に小さい。これにより、チャネル形成層34でリセスr1下に該当する部分、すなわち、ゲート38G下に該当する部分には2DEGが生成されない。このようにして、第1及び第2 HEMTはEモードで動作される。図3で、ゲート38Gとリセスr1との間にゲート絶縁膜(図示せず)がさらに備えられる。
【0042】
図4は、前記第1及び第2 HEMTのHEMT積層物30についての他の例を示す。図3の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
図4を参照すれば、HEMT積層物30は、チャネル供給層36に酸化された領域42を含む。酸化された領域42は、酸素プラズマで処理された領域でありうる。酸化された領域42の位置は、図3のリセスr1が形成された位置と同一でありうる。酸化された領域42の役割は、図3のリセスr1と同一でありうる。ゲート38Gは、酸化された領域42上に備えられる。図4で、ゲート38Gと酸化された領域42との間にゲート絶縁膜(図示せず)が備えられる。
【0044】
図5は、前記第1及び第2 HEMTのHEMT積層物30についてのさらに他の例を示す。図3の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図5を参照すれば、チャネル供給層36は、図3のリセスr1や図4の酸化された領域42を含まない。その代りに、チャネル供給層36とゲート38Gとの間にチャネル空乏層46が備えられている。チャネル空乏層46により、チャネル空乏層46下の2DEGは空乏される。結果的には、チャネル空乏層46の役割は、図3のリセスr1や図4の酸化された領域42と同一でありうる。チャネル空乏層46は、p型半導体または誘電体を含む。また、チャネル空乏層46は、Al、In及びGaのうち少なくとも一つを含む窒化物層であり、これらはpドーピングされる。前記窒化物層は、例えば、GaN、InN、AlGaN、AlInN、InGaNまたはAlInGaNで形成されたものでありうる。
【0046】
一方、図3ないし図5で、リセスr1、酸化された領域42及びチャネル空乏層46の具備如何と関係なく、チャネル供給層36のゲート38Gと接触する部分はnドーピングされた領域でありうる。
【0047】
また、図3ないし図5で、リセスr1、酸化された領域42及びチャネル空乏層46を備える代わりに、ゲート38Gをp−金属または窒化物で形成できる。この時、前記p−金属は、例えば、Ni、Ir、PtまたはAuでありうる。前記窒化物は、例えば、TiN、TaNまたはZrNでありうる。
【0048】
図3ないし図5で、リセスr1、酸化された領域42及びチャネル空乏層46を備え、ゲート38Gをp−金属または窒化物で形成してもよい。
【0049】
一方、図3ないし図5に示したHEMT積層物30のチャネル形成層34で、ゲート38Gとドレイン電極38Dとの間にLDD(Lightly Doped Drain)領域(図示せず)が存在できる。前記LDD領域は、チャネル形成層34のゲート38G下の領域と連結される。前記LDD領域にも2DEGが存在する。しかし、前記LDD領域に存在する2DEGの密度は、2DEG 40の空乏されていない部分の密度より低い。
【0050】
HEMT積層物30は、図3ないし図5に示した場合以外に他の場合がさらにありうる。例えば、HEMTをEモードで動作させるか、または絶縁破壊電圧を高めるための目的で、HEMT積層物30の構成を多様に変形できる。例えば、HEMT積層物30でソース及びドレイン電極38S、38Dの間にチャネル強化層を備えて、2DEGの密度を増大させてもよい。
【0051】
次いで、本発明の一実施形態による第1 HEMTの製造方法を、図6を参照して説明する。図1ないし図5の説明で説明された部材については同一参照番号を使用し、説明は省略する。このような前提は図7の説明にも適用される。
【0052】
図6を参照すれば、基板10上にHEMT積層物30を形成する。基板10はシリコン基板でありうる。HEMT積層物30の形成過程は、図3ないし図5に示したHEMT積層物の層構成を通じて容易に分かる。例えば、図3の場合、バッファ層32を基板10上に形成した後、バッファ層32上にチャネル形成層34とチャネル供給層36とを順次に積層する。次いで、チャネル供給層36にリセスr1を形成し、ソース及びドレイン電極38S、38Dを形成し、リセスr1を満たすゲート38Gを形成する。このようにHEMT積層物30を形成した後、HEMT積層物30上にシリコンキャリアウェーハ80を付着させる。シリコンキャリアウェーハ80は、BCB(Benzo Cyclo Butene)を利用して付着させる。シリコンキャリアウェーハ80を付着した後、基板10を除去する。次いで、基板10が除去された位置に第1基板S1を付着させる。この時、HEMT積層物30と第1基板S1とは、高温高圧下で直接ボンディングできる。HEMT積層物30と第1基板S1とは、高電圧が印加される陽極ボンディング方式でボンディングしてもよい。このように、HEMT積層物30に第1基板S1を付着した後、シリコンキャリアウェーハ80を除去する。このようにして、図1の第1 HEMTが形成される。
【0053】
図7は、本発明の他の実施形態によるHEMTの製造方法を示す。
【0054】
図7を参照すれば、シリコンキャリアウェーハ80を付着して基板10を除去する過程は、図6で説明した通りである。基板10を除去した後、基板10が除去された位置に、すなわち、基板10が除去されて露出されたHEMT積層物30の一面に、高誘電率を有し熱伝導度の高い誘電層22を蒸着する。誘電層22の下面にボンディング金属層24を蒸着する。誘電層22と金属層24との蒸着は順次に進められ、CVD(Chemical Vapor Deposition)方法や周知の他の蒸着方法を利用して行える。ボンディング金属層24は、共融ボンディングのためのものである。ボンディング金属層24を蒸着した後、ボンディング金属層24にプレート26を付着する。ボンディング金属層24とプレート26とは、共融ボンディング方式で付着される。誘電層22、ボンディング金属層24及びプレート26は、第2基板S2を形成する。ボンディング金属層24にプレート26を付着した後、シリコンキャリアウェーハ80を除去する。このようにして、図2に示した第2 HEMTが形成される。
【0055】
前記の説明で多くの事項が具体的に記載されているが、これらは発明の範囲を限定するものというよりは、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。したがって、本発明の範囲は説明された実施形態によって定められるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、高電子移動度トランジスタ関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0057】
22 誘電層
24 ボンディング金属層
26 ベースプレート
30 HEMT積層物
S2 第2基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたHEMT積層物と、を備え、
前記HEMT積層物は、
2DEGを含む化合物半導体層と、
前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、
前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を備え、
前記基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い窒化物基板であるHEMT。
【請求項2】
前記基板は、AlN基板またはSiN基板である請求項1に記載のHEMT。
【請求項3】
前記上部化合物半導体層は、リセスまたは酸化された領域を含む請求項1に記載のHEMT。
【請求項4】
前記上部化合物半導体層と前記ゲートとの間に空乏層がさらに備えられた請求項1に記載のHEMT。
【請求項5】
前記ゲートと前記ドレイン電極との間の前記化合物半導体層にLDD領域がさらに備えられた請求項1に記載のHEMT。
【請求項6】
前記ゲートは、p−金属ゲートまたは窒化物ゲートである請求項1に記載のHEMT。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に形成されたHEMT積層物と、を備え、
前記HEMT積層物は、
2DEGを含む化合物半導体層と、
前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、
前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を備え、
前記基板は、シリコン基板より誘電率及び熱伝導度の高い非シリコン基板であって、複数の層を含むHEMT。
【請求項8】
前記基板は、
プレートと、
前記プレート上にボンディングされた金属層と、
前記金属層上に形成された誘電層と、を備える請求項7に記載のHEMT。
【請求項9】
前記プレートは、Siプレート、DBCプレート、金属プレート及びAlNプレートのうちいずれか一つを含む請求項8に記載のHEMT。
【請求項10】
前記金属層は、Al、Cu、Au及びSiのうち一つを含む合金層である請求項8に記載のHEMT。
【請求項11】
前記誘電層は、AlN、SiN、Al及びSiOのうち一つを含む請求項8に記載のHEMT。
【請求項12】
前記ドレイン電極と前記金属層とは連結されており、前記プレートはDBCプレートである請求項8に記載のHEMT。
【請求項13】
前記上部化合物半導体層は、リセスまたは酸化された領域を含む請求項7に記載のHEMT。
【請求項14】
前記上部化合物半導体層と前記ゲートとの間に空乏層が備えられた請求項7に記載のHEMT。
【請求項15】
前記ゲートと前記ドレイン電極との間の前記化合物半導体層にLDD領域が備えられた請求項7に記載のHEMT。
【請求項16】
前記ゲートは、p−金属ゲートまたは窒化物ゲートである請求項7に記載のHEMT。
【請求項17】
基板上にHEMT積層物を形成する段階と、
前記HEMT積層物上にキャリアウェーハを付着する段階と、
前記基板を除去する段階と、
前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に、誘電率及び熱伝導度がシリコン基板より高い窒化物基板を付着する段階と、
前記キャリアウェーハを除去する段階と、を含み、
前記HEMT積層物は、
2DEGを含む化合物半導体層と、
前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、
前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を含むHEMTの製造方法。
【請求項18】
前記窒化物基板は、AlN基板またはSiN基板を含む請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項19】
前記上部化合物半導体層にリセスまたは酸化された領域を形成する段階をさらに含む請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項20】
前記上部化合物半導体層と前記ゲートとの間に空乏層を形成する段階をさらに含む請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項21】
前記ゲートと前記ドレイン電極との間の前記化合物半導体層にLDD領域を形成する段階をさらに含む請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項22】
前記ゲートは、p−金属ゲートまたは窒化物ゲートである請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項23】
前記窒化物基板は、高温高圧で直接付着するか、または高電圧を利用した陽極ボンディング法で付着する請求項17に記載のHEMTの製造方法。
【請求項24】
基板上にHEMT積層物を形成する段階と、
前記HEMT積層物上にキャリアウェーハを付着する段階と、
前記基板を除去する段階と、
前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に誘電率及び熱伝導度がシリコン基板より高い、複数の層を含む非シリコン基板を付着する段階と、
前記キャリアウェーハを除去する段階と、を含み、
前記HEMT積層物は、
2DEGを含む化合物半導体層と、
前記化合物半導体層より分極率の大きい上部化合物半導体層と、
前記上部化合物半導体層上に備えられたソース電極、ドレイン電極及びゲートと、を含むHEMTの製造方法。
【請求項25】
前記非シリコン基板を付着する段階は、
前記HEMT積層物の前記基板が除去された面に誘電層を蒸着する段階と、
前記誘電層にボンディング金属層を蒸着する段階と、
前記金属層にプレートをボンディングする段階と、を含む請求項24に記載のHEMTの製造方法。
【請求項26】
前記プレートは、Siプレート、DBCプレート、金属プレート及びAlNプレートのうちいずれか一つである請求項25に記載のHEMTの製造方法。
【請求項27】
前記金属層は、Al、Cu、Au及びSiのうち一つを含む合金層である請求項25に記載のHEMTの製造方法。
【請求項28】
前記誘電層は、AlN、SiN、Al及びSiOのうち一つを含む請求項25に記載のHEMTの製造方法。
【請求項29】
前記ドレイン電極と前記金属層とを連結する段階をさらに含み、前記プレートは、DBCプレートである請求項25に記載のHEMTの製造方法。
【請求項30】
前記プレートは、前記金属層に共融ボンディング方式で付着される請求項25に記載のHEMTの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−33918(P2013−33918A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92696(P2012−92696)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】