ISC制御装置及び車両用エゼクタシステム
【課題】 エゼクタを機能、或いは機能停止させても、内燃機関のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムを提供する。
【解決手段】 内燃機関50に供給される吸気流量を調節する電動スロットル13を制御することで、内燃機関50のアイドル回転数を制御するとともに、インテークマニホールド14から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタ30と、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるVSV1Aと、VSV1Aを制御するECU40Aとを有して構成されるエゼクタシステム100Aとともに使用されるECU40Aであって、電動スロットル13をISC制御するためのISC制御量を、VSV1Aの作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備える。
【解決手段】 内燃機関50に供給される吸気流量を調節する電動スロットル13を制御することで、内燃機関50のアイドル回転数を制御するとともに、インテークマニホールド14から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタ30と、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるVSV1Aと、VSV1Aを制御するECU40Aとを有して構成されるエゼクタシステム100Aとともに使用されるECU40Aであって、電動スロットル13をISC制御するためのISC制御量を、VSV1Aの作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISC制御装置及び車両用エゼクタシステムに関し、特に、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、アイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、大気から各気筒に連通する内燃機関の吸気系の吸気通路(以下、単に内燃機関の吸気系とも称す)から取り出そうとする負圧よりも、さらに大きな負圧をブレーキブースタに供給するためにエゼクタが利用されている。エゼクタは一般的にはスロットル弁を迂回するバイパス路に配設されており、ベンチュリー効果によってより大きな負圧を発生させる。このエゼクタに関し、例えば特許文献1では、エゼクタの作動状態に基づいて内燃機関に吸入される吸入空気量(以下、吸気流量とも称す)を補正する補正手段を備えた車両制御装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−69175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一般的にアイドリング時には、ISC(Idle Speed Control)バルブやスロットル弁などの流量調節手段を制御することで、アイドル回転数を制御するISC制御が行われている。図11は一般的なISC制御を概念的に示す図である。ISC制御は、一般的に内燃機関のアイドル回転数の変動を抑制するように流量調節手段を制御するフィードバック制御(以下、単にF/B制御とも称す)と、F/B制御の制御結果をもとに、アイドル回転数を目標回転数に維持するように流量調節手段を制御する学習制御と、エアコンなどの作動状態に応じて目標回転数を変更するように流量調節手段を制御する補正制御とを有して構成されている。ISC制御下では、これらの制御により吸気流量が目標回転数で内燃機関を運転するのに必要となる必要吸気流量に調節される。このため、図11に示すようにアイドリング時にエゼクタを機能させた場合には吸気流量が増大する一方で、アイドル回転数の変動を抑制すべく、F/B制御によって吸気流量が減少される。なお、この際F/B制御は、F/B制御に係る制御量(以下、単にF/B制御量とも称す)を、増大した吸気流量に対応する分の補正量(以下、F/B補正量とも称す)だけ減少させることで行われる。
【0005】
しかしながら、このように過渡的に吸気流量が変動している状態では、吸気流量の検出応答性の遅れに起因して、適正な空燃比制御を行うことが困難になり易い。これに対して、特許文献1が提案する車両制御装置によれば、アイドリング時にエゼクタを機能、或いは機能停止(以下、単に機能等とも称す)させても、例えば検出された吸気流量を実際に増大、或いは減少する吸気流量に対応するように補正することができるため、吸気流量の検出応答性の遅れという問題を解消でき、以って空燃比をより好適に制御できる。
【0006】
一方、上述のISC制御で行われるF/B制御は、一般的には必要吸気流量と検出された吸気流量との差異に基づき行われる。この点、例えば検出された吸気流量を特許文献1が提案する車両用制御装置を利用して補正すれば、エゼクタを機能等させても、応答性の点でISC制御もより好適に行えると考えられる。しかしながら、ISC制御ではF/B制御が行われるという性質上、吸気流量を補正するといった場合には、上述のような具体的な補正態様次第ではエゼクタを機能等させた場合にF/B制御に起因してアイドル回転数の変動がやむなく許容されてしまうことになる虞があり、この場合には、係る変動が運転者に違和感を与えてしまう虞がある。
【0007】
また、図11に示すように学習制御は、F/B制御の制御結果をもとに、学習制御に係る制御量(以下、単に学習制御量とも称す)を、F/B制御量を増減させた分だけ増減させる(以下、単に学習するとも称す)ことで行われる。同時にこの際、F/B制御量は学習制御量を増減させた分だけ元に戻される。しかしながら、吸気流量が過渡的に変動している状態においては、学習が必ずしも意図通りに正しく行われないことに起因して、エゼクタを機能させた場合にも学習を行っていると、学習制御量が大幅に小さくなってしまうことがある。この場合には、さらにエゼクタを機能停止させたときに吸気流量が大幅に減少して、アイドル回転数が大きく下がってしまうばかりでなく、吸気流量が大幅に不足するため、場合によってはF/B制御が間に合わずに内燃機関がエンストしてしまう虞もある。
【0008】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、アイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、前記内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、前記流量調節手段をISC制御するためのISC制御量を、前記状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、状態変更手段の作動状態の変化に応じて適宜のタイミングでISC制御量をエゼクタ補正量で補正することで、既に変化した状態に応じて補正を行うF/B制御ではやむなく許容されてしまうような吸気流量の変動を抑制でき、以ってアイドル回転数が変動することを好適に抑制可能である。なお、見合うとは、エゼクタ補正量が既に変化した状態の吸気流量に応じているのではないことを意味している。
【0010】
また本発明は、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて、吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、新たな状態変更手段の作動状態の変化があったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、或いは目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、前記流量調節手段を制御するための制御量を学習する特定制御量学習手段をさらに備えてもよい。
【0011】
ここで、状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量(以下、単にエゼクタ流量とも称す)は、エゼクタの製造誤差などに起因して車両用エゼクタシステム毎にばらつきを有する。したがってエゼクタ補正量は、エゼクタ流量のばらつきを把握するとともに、例えばこのばらつきの中央値に見合うものとすることが好ましいといえる。しかしながら、係るばらつきが製造公差の範囲内で生じるものであったとしても、実際のエゼクタ流量が上記中央値から外れていれば、アイドル回転数は多少なりとも変動することになり、さらにこのエゼクタ流量が上記中央値から外れるほど、アイドル回転数の変動度合いはより大きいものとなってしまうことになる。またエゼクタ流量は、例えばエゼクタの内部流路やエゼクタが配設されたバイパス路にデポジットが生成されることなどによる経時変化に伴い、その大きさが小さくなってしまうこともある。そしてこのときには、実際のエゼクタ流量が上記中央値からさらに大きく外れてしまうことも生じ得る。
【0012】
これに対して本発明によれば、状態変更手段がエゼクタを機能させるように制御されたときに、さらに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に限って制御量の学習が行われるようになることから、早期にアイドル回転数の変動を一定の許容範囲内に抑制できる。したがって、本発明によればさらに好適にアイドル回転数の変動を抑制できる。
【0013】
なお、本発明において制御量の学習は、上記F/B制御量の増減分だけエゼクタ補正量を増減させることで行うことが好ましい。この点、本発明に記載の流量調節手段を制御するための制御量とはエゼクタ補正量を意味するものであり、これによりこの制御量が学習制御量である場合には、ISC制御全般で行われる学習制御の制約(例えば学習制御量の大きさ)などによって、制御量の学習が正しく行われなくなる虞を防止できる。またこのときには制御の競合を避けるために、エゼクタが機能している状態で学習制御量の学習が行われることを禁止することが好ましい。また特定学習制御手段は、さらに具体的には吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときから、少なくとも吸気流量が目標吸気流量に維持されているときまでの間に(例えば状態変更手段の作動状態がさらに変化するときまでの間に)、制御量を学習することが好ましい。これにより、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われた結果、学習が正しく行われなくなる虞を防止或いは抑制できる。
【0014】
また本発明は、さらに前記エゼクタの入口側の圧力と出口側の圧力との差圧に応じて、前記エゼクタ補正量を変更するエゼクタ補正量変更手段を備えてもよい。ここで、エゼクタ流量の大きさは上記差圧(以下、単にエゼクタ前後差圧と称す)の大きさによって図12に示すように変化する。このため、アイドル回転数の変動を好適に抑制するにあたっては、エゼクタ補正量はエゼクタ前後差圧に応じて変更されることが好ましいところ、本発明によればこれを実現できる。なお、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更するにあたっては、具体的には例えばエゼクタ前後差圧そのものに基づき変更することができるが、エゼクタ前後差圧よりも検出或いは推定が容易なものに基づき変更することが好ましい。この点、例えばエゼクタ前後差圧と相関関係を有する内燃機関の回転数及び吸入空気量や、吸気通路から取り出そうとする負圧などに基づき、エゼクタ補正量を変更することが好適である。
【0015】
また、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、吸気流量を目標吸気流量に維持するように前記流量調節手段を学習制御するための学習制御量を学習する制御量学習手段と、該制御量学習手段が、前記エゼクタが機能している状態で学習することを禁止する制御量学習禁止手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、エゼクタが機能している状態で学習を禁止することで、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われることに起因してアイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。
【0016】
また、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、吸気流量の変動を抑制するように前記流量調節手段をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、該フィードバック制御手段が前記流量調節手段をフィードバック制御するときの制御速度を、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて速く変更する制御速度変更手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、変動した吸気流量を早く抑制するように収束させることができ、以ってエゼクタを機能等させてもアイドル回転数を早期に安定させることが可能である。なお、制御速度は、ハンチングが起きないよう吸気流量が変動している過渡的な状態においてだけ速く変更されることが好ましく、例えば状態変更手段の作動状態の変化に応じて所定時間の間だけ速く変更されることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムであって、前記状態変更手段が流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するとともに、前記制御装置が、前記流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるように前記状態変更手段を徐変制御する徐変制御手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、エゼクタを機能等させたときに、吸気流量が急激に変動することを抑制可能である。これにより、過渡的に変動する吸気流量に対して検出応答性の遅れがあっても、高い追従性でISC制御に係るF/B制御を行うことが容易になるため、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。また、本発明によれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、アイドリング時に限られず、内燃機関でトルクショックが発生することも抑制可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、内燃機関のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)40Aで実現されている本実施例に係るISC制御装置を、車両用エゼクタシステム(以下、単にエゼクタシステムと称す)100Aとともに模式的に示す図である。内燃機関50を始めとした図1に示す各構成は車両(図示省略)に搭載されている。内燃機関50の吸気系10は、エアクリーナ11と、エアフロメータ12と、電動スロットル13と、インテークマニホールド14と、内燃機関50の各気筒(図示省略)に連通する図示しない吸気ポートと、これらの構成の間に適宜配設される例えば吸気管15a、15bなどを有して構成されている。エアクリーナ11は内燃機関50の各気筒に供給される吸気を濾過するための構成であり、図示しないエアダクトを介して大気に連通している。エアフロメータ12は吸気流量を計測するための構成であり吸気流量に応じた信号を出力する。
【0021】
電動スロットル13は、スロットル弁13aと、スロットルボディ13bと、弁軸13cと、電動モータ13dとを有して構成されている。スロットル弁13aは、内燃機関50の各気筒に供給する全吸気流量を開度変化により調整するための構成である。なお、内燃機関50は、本実施例に示すスロットル弁13aのようなスロットル弁によって吸気流量が調整される内燃機関であれば特に限定されない。また、本実施例では電動スロットル13が、アイドル回転数を制御するために吸気流量を調節するための構成となっており、本実施例では、電動スロットル13で流量調節手段を実現している。スロットルボディ13bは、吸気通路が形成された筒状部材からなる構成であり、この吸気通路に配設されたスロットル弁13aの弁軸13cを支持する。電動モータ13dは、ECU40Aの制御の基、スロットル弁13aの開度を変更するための構成であり、この電動モータ13dにはステップモータが採用されている。電動モータ13dはスロットルボディ13bに固定されており、その出力軸(図示省略)は弁軸13cに連結されている。スロットル弁13aの開度は、電動スロットル13に内蔵された図示しないエンコーダ(以下、単にエンコーダと称す)からの出力信号に基づき、ECU40Aで検出される。
【0022】
なお、スロットル機構には、電動スロットル13のようなスロットル弁13aをアクチュエータで駆動するスロットルバイワイヤ方式を適用することが好ましい。但し、これに限られず、例えば電動スロットル13の代わりにワイヤなどを介してアクセルペダル(図示省略)と連動し、スロットル弁13aの開度が変更されるような機械式スロットル機構を適用してもよい。この場合には、例えばスロットル弁13aに対してバイパス路を形成するとともに、このバイパス路に流路の遮蔽度合いを制御可能な所謂ISCバルブを流量調節手段として介在させることでアイドル回転数の制御を行うことができる。インテークマニホールド14は、上流側で一つの吸気通路を下流側で内燃機関50の各気筒に対応させて分岐するための構成であり、吸気を内燃機関50の各気筒に分配する。
【0023】
ブレーキ装置20は、ブレーキペダル21と、ブレーキブースタ22と、マスターシリンダ23と、ホイルシリンダ(図示省略)とを有して構成されている。運転者が車輪の回転を制動するために操作するブレーキペダル21は、ブレーキブースタ22の入力ロッド(図示省略)と連結されている。ブレーキブースタ22は、ペダル踏力に対して所定の倍力比でアシスト力を発生させるための構成であり、内部でマスターリシンダ23側に区画された負圧室(図示省略)が、エゼクタ30を介してインテークマニホールド14の吸気通路に接続されている。ブレーキブースタ22は、さらにその出力ロッド(図示省略)がマスターシリンダ23の入力軸(図示省略)と連結されており、マスターシリンダ23は、ペダル踏力に加えてアシスト力を得たブレーキブースタ22からの作用力に応じて油圧を発生させる。マスターシリンダ23は、油圧回路を介して各車輪のディスクブレーキ機構(図示省略)に設けられたホイルシリンダ夫々に接続されており、ホイルシリンダはマスターシリンダ23から供給された油圧で制動力を発生させる。なお、ブレーキブースタ22は気圧式のものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものであってよい。
【0024】
エゼクタ30は、吸気系10、より具体的にはインテークマニホールド14から取り出そうとする負圧(以下、単にインマニ負圧と称す)よりもさらに大きな負圧を発生させてブレーキブースタ22の負圧室に供給するための構成である。エゼクタ30は、流入ポート31aと流出ポート31bと負圧供給ポート31cとを有している。これらのうち、負圧供給ポート31cがエアホース5cでブレーキブースタ22の負圧室に接続されている。また、流入ポート31aは吸気管15aの吸気通路にエアホース5aで、流出ポート31bはインテークマニホールド14の吸気通路にエアホース5bで、電動スロットル13、より具体的にはスロットル弁13aを挟むようにして夫々接続されている。これによって、電動スロットル13を迂回するバイパス路Bが、エゼクタ30を含んでエアホース5aと5bとで形成される。なお、エゼクタ30が機能していない場合、ブレーキブースタ22の負圧室には、インテークマニホールド14の吸気通路から、エアホース5b、エゼクタ30の流出ポート31b及び負圧供給ポート31c、エアホース5c夫々を介して負圧が供給される。
【0025】
エアホース5aには、VSV(バキュームスイッチングバルブ)1Aを介在させている。VSV1Aは、ECU40Aの制御のもと、バイパス路Bを連通、遮断するための構成であり、本実施例では2ポジション2ポートのノーマルクローズドソレノイドバルブを採用している。但し、これに限られず、VSV1Aは他の適宜の電磁弁などであってよく、さらに例えば流路の遮蔽度合いを制御可能な流量調整弁などであってもよい。また、このVSV1Aはバイパス路Bを連通、遮断することで、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるための構成となっている。本実施例では、VSV1Aで状態変更手段を実現している。
【0026】
図2はエゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。エゼクタ30は内部にディフューザ32を備えている。ディフューザ32は、先細テーパ部32aと、末広テーパ部32bと、これらを連通する通路にあたる負圧取出部32cとで構成されている。先細テーパ部32aは、流入ポート31aに対向するようにして開口しており、末広テーパ部32bは、流出ポート31bに対向するようにして開口している。また、負圧取出部32cは、負圧供給ポート31cに連通している。流入ポート31aには、流入してきた吸気を先細テーパ部32aに向けて噴射するノズル33が配設されており、ノズル33から噴射された吸気はディフューザ32を流通し、さらに流出ポート31bからエアホース5bに流出する。この際、ディフューザ32で高速噴流が生起されることにより、ベンチュリー効果で負圧取出部32cに大きな負圧が発生し、さらにこの負圧は負圧供給ポート31cからエアホース5cを介して負圧室に供給される。このようなエゼクタ30の機能により、ブレーキブースタ22は、インテークマニホールド14から取り出す場合よりも大きな負圧を得ることができる。なお、負圧取出部32cと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、流出ポート31bと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、ブレーキブースタ22のエアホース5c接続部とに設けられた逆支弁34は、夫々逆流を防止するためのものである。また、エゼクタ30は図2に示す内部構造を備えるものに限られず、その他の異なる内部構造を備えるエゼクタをエゼクタ30の代わりに適用してよい。
【0027】
ECU40Aは、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、入出力回路などを有して構成されている。ECU40Aは主として内燃機関50を制御するための構成であり、本実施例では電動スロットル13やVSV1Aも制御している。ECU40Aには、電動スロットル13やVSV1Aのほか、各種の制御対象が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。また、ECU40Aには、エンコーダや、アクセルペダルの状態を検出するための図示しないアクセルセンサや、内燃機関50の回転数Neを検出するための図示しないクランク角センサなどの各種のセンサが接続されている。本実施例ではECU40AでISC制御装置とともに、エゼクタシステム100Aに係る制御装置を実現している。
【0028】
ROMはCPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムを格納するための構成であり、本実施例では内燃機関50制御用のプログラムのほか、種々の条件のもと、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるようにVSV1Aを制御するためのVSV1制御用プログラムや、電動スロットル13をISC制御するためのISC制御用プログラムなども格納している。但し、これらのプログラムは一体として組み合わされていてもよい。また、ISC制御用プログラムは、具体的には吸気流量の変動を抑制するように電動スロットル13をF/B制御するために、目標吸気流量とエアフロメータ12の出力信号に基づく吸気流量との差異に基づき、F/B制御量を変更するためのフィードバック制御量変更用プログラムと、フィードバック制御の制御結果をもとに、吸気流量を目標吸気流量に維持するように電動スロットル13を学習制御するための学習制御量を学習するための制御量学習用プログラムと、エアコンなどの作動状態に応じて目標回転数を変更するように電動スロットル13を補正制御するための補正制御量を増減するための補正制御量増減用プログラムと、F/B制御量、学習制御量及び補正制御量から最終的に電動スロットル13を制御するためのISC制御量を算出するためのISC制御量算出用プログラムと、算出されたISC制御量に基づき電動スロットル13を制御するための電動スロットル制御用プログラムとを有して構成されている。
【0029】
また、本実施例では電動スロットル13を制御するためのISC制御量を、VSV1Aの作動状態の変化に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で、VSV1Aの作動状態に応じて補正するためのISC制御量補正用プログラムが、上述のISC制御量算出用プログラムの一部を構成している。このエゼクタ補正量は、VSV1Aの作動状態の変化に応じて増減する吸気流量に相当する推定吸気流量に基づき算出される。また、本実施例ではVSV1Aの作動状態に応じてエゼクタ補正量を算出するためのエゼクタ補正量算出用プログラムが補正制御量増減用プログラムの一部を構成しており、エゼクタ補正量は、ISC制御において補正制御量の一種として位置付けられるとともに、補正制御量の一つとして算出される。なお、推定吸気流量は台上試験等による計測結果に基づき予め決定されたものでありROMに格納されている。また、推定吸気流量は、例えば回転数Ne及びスロットル開度などの運転状態に応じてマップデータで定義されていることが好ましい。また、推定吸気流量の代わりにエゼクタ補正量が直接的にROMに格納されていてもよい。本実施例ではCPUとROMとRAM(以下、CPU等とも称す)とISC制御量補正用プログラムとでISC制御量補正手段を実現している。
【0030】
また、本実施例ではCPU等とISC制御用プログラムとでISC制御手段が実現されており、さらに、ISC制御手段は、具体的にはF/B制御手段と学習制御手段と補正制御手段とを制御量算出用プログラムで一体化した構成として実現されている。本実施例ではF/B制御手段は、CPU等とF/B制御量変更用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで、学習制御手段は、CPU等と制御量学習用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで、補正制御手段は、CPU等と補正量増減用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで夫々ISC制御手段の一部として実現されている。また、制御量学習手段は、CPU等と制御量学習用プログラムとで学習制御手段の一部として実現されている。また、本実施例ではVSV1Aと、エゼクタ30と、ECU40Aとでエゼクタシステム100Aが実現されている。
【0031】
次に、VSV1Aの作動状態に応じてISC制御量をエゼクタ補正量で補正するにあたって、ECU40Aで行われる処理を図3に示すフローチャートを用いて詳述する。ECU40Aは、ROMに格納された上述のISC制御量補正用プログラム等に基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、電動スロットル13を制御する。CPUは、VSV1Aがエゼクタ30を機能させるように制御された(以下、単にONになったと称す)か否かを判定する処理を実行する(ステップ11)。VSV1AがONになったか否かは、ECU40Aで行われているVSV1制御用のプログラムに基づく内部処理の状態をCPUが確認することで判定可能である。但し、これに限られず、VSV1Aが例えばVSV1Aの作動状態を検出可能なリミットスイッチなどを備えている場合には、リミットスイッチの出力信号に基づいて判定してもよい。
【0032】
肯定判定であれば、CPUは、VSV1AがONに切り替わった後、所定時間T1が経過したか否かを判定する処理を実行する(ステップ12)。この所定時間T1は、実際に増大する吸気流量に対して、エゼクタ補正量で補正されたISC制御量で電動スロットル13を制御する好適なタイミングを図るために設定される。ステップ12で肯定判定であれば、CPUは、増大する吸気流量に見合うエゼクタ補正量を算出する処理を実行する(ステップ13)。なお、エゼクタ補正量は、吸気流量の増大を抑制するようにISC制御量を補正するためのものであるため、負の補正量として算出される。続いてCPUはF/B制御量と学習制御量と補正制御量との和を算出することでISC制御量を算出する処理を実行する(ステップ14)。なお、本実施例では、エゼクタ制御量を補正制御量の一つとして算出しているため、これによって、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正される。また、このときエゼクタ補正量は負の補正量となっているため、ISC制御量はエゼクタ補正量の分だけ減少するように補正されることになる。なお、図4で、本ステップにおけるISC制御量の補正を概念的に示している。続いて、VSV1AがONになっている間は、ステップ11から14までに示す処理が繰り返し実行されることで、引き続きISC制御量をエゼクタ補正量で補正しておくことができる。また、ステップ12で否定判定であれば、CPUはエゼクタ補正量を0(ゼロ)にする処理を実行する(ステップ15)。これにより、VSV1AがONになっても好適なタイミングになる前には、エゼクタ補正量で補正されないISC制御量をステップ14で算出することができる。
【0033】
一方、ステップ11で否定判定であれば、CPUは、VSV1Aがエゼクタ30を機能停止させるように制御された(以下、単にOFFになったと称す)と判定し、VSV1AがOFFに切り替わった後、所定時間T2が経過したか否かを判定する処理を実行するする処理を実行する(ステップ16)。この所定時間T2は、実際に減少する吸気流量に対して、エゼクタ補正量で補正されないISC制御量で電動スロットル13を制御する好適なタイミングを図るために設定される。ステップ16で肯定判定であれば、CPUは、エゼクタ補正量を0(ゼロ)にする処理を実行する(ステップ15)。これにより、ステップ14でISC制御量がエゼクタ補正量で補正されなくなる。一方、ステップ16で否定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、VSV1AがOFFになっても好適なタイミングになる前には、エゼクタ補正量で補正されるISC制御量をステップ14で算出することができる。本実施例では、このようにしてISC制御量をエゼクタ補正量で補正することで、F/B制御ではやむなく許容されてしまうような吸気流量の変動を抑制し、以ってアイドル回転数の変動を好適に抑制できるようにしている。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Aを実現可能である。
【実施例2】
【0034】
本実施例に係るECU40Bは、VSV1Bの作動状態に応じてエゼクタ30が機能している状態で学習が行われることを禁止するための制御量学習禁止用プログラムを、さらにROMに格納している以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、説明の便宜上VSV1Bと称しているが、本実施例ではVSV1BはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等と制御量学習禁止用プログラムとで制御量学習禁止手段を実現しており、ECU40BでISC制御装置を実現している。また、本実施例ではISC制御用プログラムは実施例1の場合と比較して、さらに制御量学習禁止用プログラムを有して構成されており、ISC制御手段もさらに制御量学習禁止手段を有して構成されている。なお、制御量学習禁止用プログラムは、制御量学習用プログラムの一部として構成されていてもよく、制御量学習禁止手段が制御量学習手段の一部として実現されてもよい。また、本実施例ではVSV1Bと、エゼクタ30と、ECU40Bとでエゼクタシステム100Bが実現されており、ECU40Bが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0035】
次に、VSV1Bの作動状態に応じて学習を許可、或いは禁止するにあたって、ECU40Bで行われる処理を図5に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された制御量学習禁止用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、学習は許可、或いは禁止される。CPUは、VSV1BがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ21)。肯定判定であれば、CPUは学習を禁止する処理を実行する(ステップ22)。これにより、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われることを防止できる。また、VSV1BがONになっている間は、ステップ21及び22に示す処理が繰り返し実行されることで、学習を禁止したままの状態を引き続き維持できる。これにより、エゼクタ30が機能している状態での学習を禁止できるとともに、エゼクタ30が機能していることで吸気流量が増大している状態が学習制御量に反映されてしまうことを防止できる。一方、ステップ21で否定判定であれば、CPUは学習を許可する処理を実行する(ステップ23)。これにより、再び学習を行うことが可能になる。なお、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われないよう、ステップ21で否定判定された後にステップ23に示す処理を実行するタイミングを図る処理を行ってもよい。以上により、エゼクタが機能している状態で学習を禁止することで、アイドル回転数が大きく変動することを好適に抑制可能なECU50Bを実現可能である。
【実施例3】
【0036】
本実施例に係るECU40Cは、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更するための制御速度変更用プログラムを、さらにROMに格納している以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、説明の便宜上VSV1Cと称しているが、本実施例ではVSV1CはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等と制御速度変更用プログラムとで制御速度変更手段を実現しており、ECU40CでISC制御装置を実現している。また、本実施例ではISC制御用プログラムは実施例1の場合と比較して、さらに制御速度変更用プログラムを有して構成されており、ISC制御手段もさらに制御速度変更手段を有して構成されている。なお、制御速度変更用プログラムは、例えばフィードバック制御量変更用プログラムの一部として構成されていてもよく、制御速度変更手段がフィードバック制御手段の一部として実現されてもよい。また、本実施例ではVSV1Cと、エゼクタ30と、ECU40Cとでエゼクタシステム100Cが実現されており、ECU40Cが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0037】
次に、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更するにあたって、ECU40Cで行われる処理を図6に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された制御速度変更用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、制御速度が速く変更される。CPUは、VSV1CがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ31)。なお、本ステップはVSV1Cの作動状態の変化、言い換えればVSV1CのON、OFFの切り替わりだけを判定する処理となっている。ステップ31で肯定判定であれば、CPUは制御速度を速く変更する処理を実行する(ステップ32)。具体的には、F/B制御量を変更するための補正量(F/B補正量)を算出するにあたって、F/B補正量の算出式に係る比例項のゲインを大きくする処理が行われる。これにより、F/B制御量がより大きく変更されるようになるため、制御速度を速く変更することができる。
【0038】
同時にこの際、F/B補正量を算出するにあたって、F/B補正量の算出式に係る積分項のゲインを大きくする処理も行われる。これにより、F/B制御量がより大きく変更されても、F/B制御量を目標F/B制御量に早期に収束できるようになる。なお、この処理が行われないと比例項のゲインの大きさ次第ではF/B制御量を早期に収束させることが困難になるため、本実施例ではこの処理も制御速度を速く変更するための処理の一部として含まれている。一方、ステップ31で否定判定である場合も、CPUはステップ32に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能等させても変動した吸気流量を早く抑制するように収束させることができ、以ってアイドル回転数を早期に安定させることができる。以上により、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更することで、アイドル回転数を早期に安定させることが可能なECU50Cを実現可能である。
【実施例4】
【0039】
本実施例に係る車両用エゼクタシステム100Dは、流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するVSV1DをVSV1Aの代わりに備え、VSV1Dの流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるようにVSV1Dを徐変制御するための徐変制御用プログラムをROMに格納したECU40DをECU40Aの代わりに備えている以外、エゼクタシステム100Aと同一のものとなっている。また、本実施例ではECU40Dは、さらに上述の徐変制御用プログラムをROMに格納している以外、ECU40Aと同一のものとなっているが、これに限られず、少なくとも徐変制御用プログラムをROMに格納したECUであれば、他の適宜のECUであってよい。本実施例では、CPU等と徐変制御用プログラムとで徐変制御手段が実現されており、VSV1Dと、エゼクタ30と、ECU40Dとでエゼクタシステム100Dが実現されており、ECU40Dが適用されている車両の各構成は、VSV1D及びECU40D以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0040】
次に、VSV1Dの作動状態に応じてVSV1Dを徐変制御するにあたって、ECU40Dで行われる処理を図7に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された徐変制御用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、ECU40DはVSV1Dを徐変制御する。CPUは、VSV1DがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ41)。肯定判定であれば、VSV1Dを徐変制御するための制御量(以下、単にDUTYと称す)に所定の大きさの制御量αを加算して、暫定制御量(以下、単にtDUTYと称す)を算出する処理を実行する(ステップ42)。なお、DUTYは、流路を全閉するようVSV1Dを制御するための大きさが0(ゼロ)に、流路を全開するようVSV1Dを制御するための大きさが100に設定されている。続いてCPUは、tDUTYが100よりも小さいか否かを判定する処理を実行する(ステップ43)。肯定判定であれば、CPUはDUTYをtDUTYに更新する処理を実行する(ステップ44)。これにより、次回のルーチン以降、ステップ44で否定判定されるまで、ステップ41、42、43及び44に示す処理が繰り返し実行されることで、DUTYを制御量α分だけ次第に増大させることができる。すなわち、これによってVSV1Dの流路を所定の度合いで次第に開くようVSV1Dを制御できるようになる。また、ステップ43で否定判定であれば、CPUはDUTYを100に設定する処理を実行する(ステップ45)。これにより、VSV1DがONになっている間、引き続きVSV1Dの状態を全開に維持できるようになる。
【0041】
一方、ステップ41で否定判定であれば、CPUはDUTYから所定の大きさの制御量βを減算して、tDUTYを算出する処理を実行する(ステップ46)。続いてCPUは、tDUTYが0(ゼロ)よりも大きいか否かを判定する処理を実行する(ステップ47)。肯定判定であれば、CPUはステップ44でDUTYをtDUTYに更新する処理を実行する。これにより、次回のルーチン以降、ステップ47で否定判定されるまで、ステップ41、46、47及び44に示す処理が繰り返し実行されることで、DUTYを制御量β分だけ次第に減少させることができる。すなわち、これによってVSV1Dの流路を所定の度合いで次第に閉じるようVSV1Dを制御できるようになる。また、ステップ47で否定判定であれば、CPUはDUTYを0に設定する処理を実行する(ステップ48)。これにより、VSV1DがOFFになっている間、引き続きVSV1Dの状態を全閉に維持できるようになる。
【0042】
このようにしてVSV1Dを徐変制御すれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、本実施例に係るエゼクタシステム100Dによれば、過渡的に変動する吸気流量に対して検出応答性の遅れがあっても、高い追従性でISC制御に係るF/B制御を行うことが容易になるため、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。また、本実施例に係るエゼクタシステム100Dによれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、アイドリング時に限られず、例えばアクセルペダルの踏み込み量が比較的浅い加速時などには、運転者に体感される虞があるようなトルクショックが内燃機関50で発生することも抑制可能である。なお、本実施例に係るエゼクタシステム100Dを利用すれば、さらに所定のプログラムをROMに格納することで、運転状態に応じて、例えばアイドリング時や低加速時にはVSV1Dを徐変制御し、フルスロットル状態で加速しているときにはVSV1DをON、OFF制御するといったように、VSV1Dの制御モードを切り替えるようにすることなども可能である。以上により、VSV1Dを徐変制御することで、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能なエゼクタシステム100Dを実現可能である。
【実施例5】
【0043】
本実施例に係るECU40Eは、VSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、さらにVSV1EがOFFになったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、電動スロットル13を制御するための制御量を学習するための特定制御量学習用プログラムと、実施例2で前述した制御量学習禁止用プログラムとをさらにROMに格納している点以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、ECU40Eが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一のものとなっている。特定制御量学習用プログラムは、本実施例では具体的にはVSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に行われたF/B制御により増減したF/B制御量(F/B補正量)の分だけ、エゼクタ補正量を増減させることで制御量の学習を行うように作成されている。またこの特定制御量学習用プログラムは、吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときに学習を行うように作成されている。
【0044】
なお、例えばF/B制御量が増大した場合には、エゼクタ補正量で吸気流量を増大させる補正が行われる必要があるところ、ISC制御ではISC制御量がエゼクタ補正量で減じられる補正が行われることから、この場合にはF/B制御量が増大した分だけエゼクタ補正量を減少させることで、制御量の学習が行われることになる。また、本実施例では特定制御量学習用プログラムと制御量学習用プログラムとは別個のプログラムとして作成されており、ECU1Eはエゼクタ30が機能している状態で、学習制御量の学習を行うことなく、エゼクタ補正量の学習を行えるようにするために、制御量学習禁止用プログラムもROMに格納している。また、説明の便宜上VSV1Eと称しているが、このVSV1EはVSV1Aと同一のものとなっている。
【0045】
本実施例ではCPU等と特定制御量学習用プログラムとで特定制御量学習手段が、CPU等と制御量学習禁止手段とで制御量学習禁止手段が夫々実現されており、ECU40EでISC制御装置が実現されている。また、本実施例では特定制御量学習用プログラムと、制御量学習禁止用プログラムとがISC制御用プログラムの一部として構成されているため、ISC制御手段はさらに特定制御量学習手段と、制御量学習禁止手段とを有して構成されている。
【0046】
次にECU1Eで行われる処理を図8に示すフローチャートを用いて詳述するとともに、このフローチャートに対応した図9に示すタイムチャートの一例を用いて詳述する。ROMに格納された上述の特定制御量学習用プログラムなどに基づき、CPUが図8に示すフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、ECU40Eは電動スロットル13を制御する。CPUはVSV1EがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ51)。ステップ51で否定判定であれば本フローチャートで特段の処理を要しないため、リターンしてステップ51に戻る。一方ステップ51で肯定判定であれば、CPUはエゼクタ補正量(その値をAとする)を算出するための処理を実行する(ステップ52)。なお、本実施例では所定時間T1は0(ゼロ)に設定されている。
【0047】
続いてCPUは、F/B補正量が+γ(所定値γの正の値)よりも大きいか否か、または−γ(所定値γの負の値)よりも小さいか否かを判定する処理を実行する(ステップ53)。すなわち、本ステップで吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれたか否かが判定される。また、本実施例ではこの所定値γが目標吸気流量に対する吸気流量の変動の許容範囲に対応させて決定されている。ここで、アイドル回転数は定常状態で目標回転数に維持された状態になっていることから、VSV1EがONになったときのF/B補正量は基本的に略0(ゼロ)になっている。このため、VSV1EがONになった直後にはまずステップ53で2つの判定がともに否定判定される。このときにはステップ55に進み、CPUはISC制御量を算出する処理を実行する(ステップ55)。これによりISC制御量はエゼクタ補正量の分だけ減少するように補正される。
【0048】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm1までの変化に対応する。タイミングTm1では、VSV1EがONになるとともに、ISC制御量がエゼクタ補正量の分だけ減少する。またこのときには回転数Neは目標回転数に維持されているとともに、F/B補正量は0(ゼロ)になっている。
【0049】
続いてCPUは、回転数Neが目標回転数になっているか否かを判定する処理を実行する(ステップ56)。ここで、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正された結果、吸気流量が目標吸気流量になった場合にはステップ56で肯定判定される。そしてこの場合には特段の処理を要しないため、リターンしてステップ51に戻る。一方ステップ56で否定判定であれば、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正されたにも関わらず、吸気流量が目標吸気流量からずれていると判断され、CPUは吸気流量のF/B制御を行い(ステップS57)、その後リターンしてステップ51に戻る。このように吸気流量が目標吸気流量からずれていた場合には、さらに次のルーチン以降、ステップ53で2つの判定のうち、いずれかの判定が肯定判定されない限り、CPUはステップ51、52、53、55、56及び57に示す処理を繰り返し実行する。
【0050】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm1からタイミングTm2までの間の変化に対応する。なお、図9に示すタイムチャートでは、吸気流量が目標吸気流量よりも小さくずれた場合の変化を示している。このため回転数NeはタイミングTm1以降に目標回転数よりも小さくなっている。またこれによりF/B制御が行われるため、その後F/B補正量が増大するとともに、回転数Neも次第に大きくなっている。
【0051】
一方、ステップ57で吸気流量のF/B制御が行われた結果、F/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなった場合には、ステップ53で肯定判定される。このときCPUはエゼクタ補正量の値AをF/B制御量の増減分、換言すればF/B補正量の分(その値をBとする)だけ増減させる処理を実行するとともに、F/B補正量をクリアする処理を実行する(ステップ54)。すなわち、本ステップで制御量の学習が行われ、エゼクタ補正量の値Aが新たな値に更新される。なお、本ステップはさらに吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときに行われる。このため、ステップ53では実際にはさらに前回のルーチンでステップ56で肯定判定されたか否かも判定しており、この判定が否定判定であれば、F/B補正量の大きさが所定値γよりも大きくなっていても、ステップ53で否定判定されることになる。
【0052】
この結果、現在のルーチン以降、ステップ55でISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されることから、VSV1EがOFFになったときにアイドル回転数が変動することを抑制できる。またその後、VSV1EがONになったときには、学習により更新されたエゼクタ補正量がステップ52で算出されることから、このときにもアイドル回転数が変動することを抑制できる。
【0053】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm2からタイミングTm3までの間の変化に対応する。タイミングTm2は、F/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなったときのタイミングを示している。またタイミングTm3は、エゼクタ補正量が学習されるとともに、ISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されたときのタイミングを示している。
【0054】
またこのタイムチャートに示すように、さらにタイミングTm4でVSV1EがOFFになったときには、ISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されなくなる分大きくなる。そしてこのときには回転数Neは変動しないことがわかる。この点、エゼクタ補正量の学習が行われなかった場合には、タイミングT4でISC制御量がエゼクタ補正量で補正されなくなると、ISC制御量は破線で示すようにF/B補正量で補正されていた分だけさらに大きくなってしまう。このため、エゼクタ補正量の学習が行われなかった場合には、回転数Neも破線で示すように大きくなり、この回転数Neの変動をF/B制御で抑制しなければならなくなることから、さらにF/B補正量も破線で示すように変化することになる。
【0055】
なお、アイドル回転数の変動を許容範囲内に抑制するといった観点から、例えばステップ54でエゼクタ補正量を所定値γ分だけ増減させる処理を代わりに実行してもよい。これは、特定制御量学習プログラムを、VSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、さらにVSV1EがOFFになったときに、吸気流量が目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、すなわち本実施例では具体的には所定値γ分だけ増減させるように電動スロットル13を制御するための制御量を学習するように作成することで実現できる。またこのときには、ステップ53でF/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなったことのみを以って、肯定判定としてもよい。このときにはVSV1EがONになった直後のように、急激に吸気流量が変化しているわけではないので、学習が正しく行われない虞も抑制される。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Eを実現できる。
【実施例6】
【0056】
本実施例に係るECU40Fは、エゼクタ補正量算出用プログラムが以下に示す所定のエゼクタ補正量変更用プログラムを有して構成されている点と、これに伴い所定のエゼクタ補正量マップデータをさらにROMに格納している点以外、実施例1に係るEUC40Aと同一のものとなっている。エゼクタ補正量変更用プログラムは、エゼクタ30の入口側の圧力(例えばスロットル弁13a上流側の吸気通路内の圧力)と出口側の圧力(例えばインテークマニホールド14内の圧力)との差圧であるエゼクタ前後差圧に応じて、エゼクタ補正量を変更するためのプログラムであり、本実施例では具体的には回転数Ne及び吸入空気量に基づき、エゼクタ補正量マップデータからエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更するように作成されている。このためエゼクタ補正量マップデータでは、エゼクタ補正量が回転数Ne及び吸入空気量に応じて定義されている。
【0057】
なお、ECU40Fが適用されている車両の各構成はECU40A以外、図1に示した各構成と同一のものとなっている。またエゼクタ補正量変更用プログラムは、例えば実施例5に係るECU40EがさらにROMに格納していてもよい。また本実施例では説明の便宜上VSV1Fと称するが、このVSV1FはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とエゼクタ補正量変更用プログラムとでエゼクタ補正量変更手段が実現されており、ECU40FでISC制御装置が実現されている。また、エゼクタ補正量変更用プログラムはISC制御用プログラムの一部として構成されることから、本実施例ではISC制御手段はさらにエゼクタ補正量変更手段を有して構成されている。
【0058】
次に本実施例に係るECU40Fで行われる処理を図10に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、ステップ61及びステップ64からステップ66までに示す処理は、前述した図8に示すフローチャートのステップ51及びステップ55からステップ57までに示す処理と同様のものとなっている。このため、本実施例では特にステップ62及び63について詳述する。ステップ61で肯定判定であれば、CPUは回転数Ne及び吸入空気量を検出する処理を実行する(ステップ62)なお、本実施例では所定時間T1は0(ゼロ)に設定されている。続いてCPUは、検出した回転数Ne及び吸入空気量に基づき、エゼクタ補正量のマップデータから対応するエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更する処理を実行する(ステップ63)。これにより、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更することができる。
【0059】
なお、図10に示すように、ステップ62で回転数Ne及び吸入空気量の代わりに、例えばインマニ負圧を検出或いは推定するとともに、ステップ63でインマニ負圧に基づいてエゼクタ補正量を変更してもよい。これを実現するには、例えば回転数Ne及び吸入空気量の代わりにインマニ負圧に応じてエゼクタ補正量を定義したエゼクタ補正量マップデータをROMに格納すればよい。またこれを実現するには、インマニ負圧に基づいてこのエゼクタ補正量マップデータからエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更するようにエゼクタ補正量変更用プログラムを作成すればよい。
【0060】
また例えばエゼクタ補正量を最大エゼクタ流量に対応する一定値に設定するとともに、ステップ63でこのエゼクタ補正量にエゼクタ補正量を修正するための修正係数を乗じることで、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更できるようにすることもできる。この修正係数は、エゼクタ補正量に乗じることで、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じたものに変更できる値に設定できる。これを実現するには、例えばエゼクタ補正量マップデータの代わりに、例えば修正係数を同様に定義した修正係数マップデータをROMに格納すればよい。またこれを実現するには、回転数Ne及び吸入空気量(或いはインマニ負圧)に基づき、修正係数マップデータから修正係数を読み込むとともに、読み込んだ修正係数をエゼクタ補正量に乗じるようにエゼクタ補正量変更用プログラムを作成すればよい。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Fを実現できる。
【0061】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】エゼクタシステム100Aを模式的に示す図である。
【図2】エゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。
【図3】ECU40Aで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図4】ステップ14のISC制御量の補正を概念的に示す図である。
【図5】ECU40Bで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図6】ECU40Cで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図7】ECU40Dで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図8】ECU40Eで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図9】図8に示すフローチャートに対応するタイムチャートの一例を示す図である。
【図10】ECU40Fで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図11】一般的なISC制御を概念的に示す図である。
【図12】エゼクタ流量とエゼクタ前後差圧の相関関係を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 VSV
10 吸気系
13 電動スロットル
20 ブレーキ装置
30 エゼクタ
40 ECU
50 内燃機関
100 エゼクタシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISC制御装置及び車両用エゼクタシステムに関し、特に、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、アイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、大気から各気筒に連通する内燃機関の吸気系の吸気通路(以下、単に内燃機関の吸気系とも称す)から取り出そうとする負圧よりも、さらに大きな負圧をブレーキブースタに供給するためにエゼクタが利用されている。エゼクタは一般的にはスロットル弁を迂回するバイパス路に配設されており、ベンチュリー効果によってより大きな負圧を発生させる。このエゼクタに関し、例えば特許文献1では、エゼクタの作動状態に基づいて内燃機関に吸入される吸入空気量(以下、吸気流量とも称す)を補正する補正手段を備えた車両制御装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−69175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一般的にアイドリング時には、ISC(Idle Speed Control)バルブやスロットル弁などの流量調節手段を制御することで、アイドル回転数を制御するISC制御が行われている。図11は一般的なISC制御を概念的に示す図である。ISC制御は、一般的に内燃機関のアイドル回転数の変動を抑制するように流量調節手段を制御するフィードバック制御(以下、単にF/B制御とも称す)と、F/B制御の制御結果をもとに、アイドル回転数を目標回転数に維持するように流量調節手段を制御する学習制御と、エアコンなどの作動状態に応じて目標回転数を変更するように流量調節手段を制御する補正制御とを有して構成されている。ISC制御下では、これらの制御により吸気流量が目標回転数で内燃機関を運転するのに必要となる必要吸気流量に調節される。このため、図11に示すようにアイドリング時にエゼクタを機能させた場合には吸気流量が増大する一方で、アイドル回転数の変動を抑制すべく、F/B制御によって吸気流量が減少される。なお、この際F/B制御は、F/B制御に係る制御量(以下、単にF/B制御量とも称す)を、増大した吸気流量に対応する分の補正量(以下、F/B補正量とも称す)だけ減少させることで行われる。
【0005】
しかしながら、このように過渡的に吸気流量が変動している状態では、吸気流量の検出応答性の遅れに起因して、適正な空燃比制御を行うことが困難になり易い。これに対して、特許文献1が提案する車両制御装置によれば、アイドリング時にエゼクタを機能、或いは機能停止(以下、単に機能等とも称す)させても、例えば検出された吸気流量を実際に増大、或いは減少する吸気流量に対応するように補正することができるため、吸気流量の検出応答性の遅れという問題を解消でき、以って空燃比をより好適に制御できる。
【0006】
一方、上述のISC制御で行われるF/B制御は、一般的には必要吸気流量と検出された吸気流量との差異に基づき行われる。この点、例えば検出された吸気流量を特許文献1が提案する車両用制御装置を利用して補正すれば、エゼクタを機能等させても、応答性の点でISC制御もより好適に行えると考えられる。しかしながら、ISC制御ではF/B制御が行われるという性質上、吸気流量を補正するといった場合には、上述のような具体的な補正態様次第ではエゼクタを機能等させた場合にF/B制御に起因してアイドル回転数の変動がやむなく許容されてしまうことになる虞があり、この場合には、係る変動が運転者に違和感を与えてしまう虞がある。
【0007】
また、図11に示すように学習制御は、F/B制御の制御結果をもとに、学習制御に係る制御量(以下、単に学習制御量とも称す)を、F/B制御量を増減させた分だけ増減させる(以下、単に学習するとも称す)ことで行われる。同時にこの際、F/B制御量は学習制御量を増減させた分だけ元に戻される。しかしながら、吸気流量が過渡的に変動している状態においては、学習が必ずしも意図通りに正しく行われないことに起因して、エゼクタを機能させた場合にも学習を行っていると、学習制御量が大幅に小さくなってしまうことがある。この場合には、さらにエゼクタを機能停止させたときに吸気流量が大幅に減少して、アイドル回転数が大きく下がってしまうばかりでなく、吸気流量が大幅に不足するため、場合によってはF/B制御が間に合わずに内燃機関がエンストしてしまう虞もある。
【0008】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、アイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、前記内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、前記流量調節手段をISC制御するためのISC制御量を、前記状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、状態変更手段の作動状態の変化に応じて適宜のタイミングでISC制御量をエゼクタ補正量で補正することで、既に変化した状態に応じて補正を行うF/B制御ではやむなく許容されてしまうような吸気流量の変動を抑制でき、以ってアイドル回転数が変動することを好適に抑制可能である。なお、見合うとは、エゼクタ補正量が既に変化した状態の吸気流量に応じているのではないことを意味している。
【0010】
また本発明は、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて、吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、新たな状態変更手段の作動状態の変化があったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、或いは目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、前記流量調節手段を制御するための制御量を学習する特定制御量学習手段をさらに備えてもよい。
【0011】
ここで、状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量(以下、単にエゼクタ流量とも称す)は、エゼクタの製造誤差などに起因して車両用エゼクタシステム毎にばらつきを有する。したがってエゼクタ補正量は、エゼクタ流量のばらつきを把握するとともに、例えばこのばらつきの中央値に見合うものとすることが好ましいといえる。しかしながら、係るばらつきが製造公差の範囲内で生じるものであったとしても、実際のエゼクタ流量が上記中央値から外れていれば、アイドル回転数は多少なりとも変動することになり、さらにこのエゼクタ流量が上記中央値から外れるほど、アイドル回転数の変動度合いはより大きいものとなってしまうことになる。またエゼクタ流量は、例えばエゼクタの内部流路やエゼクタが配設されたバイパス路にデポジットが生成されることなどによる経時変化に伴い、その大きさが小さくなってしまうこともある。そしてこのときには、実際のエゼクタ流量が上記中央値からさらに大きく外れてしまうことも生じ得る。
【0012】
これに対して本発明によれば、状態変更手段がエゼクタを機能させるように制御されたときに、さらに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に限って制御量の学習が行われるようになることから、早期にアイドル回転数の変動を一定の許容範囲内に抑制できる。したがって、本発明によればさらに好適にアイドル回転数の変動を抑制できる。
【0013】
なお、本発明において制御量の学習は、上記F/B制御量の増減分だけエゼクタ補正量を増減させることで行うことが好ましい。この点、本発明に記載の流量調節手段を制御するための制御量とはエゼクタ補正量を意味するものであり、これによりこの制御量が学習制御量である場合には、ISC制御全般で行われる学習制御の制約(例えば学習制御量の大きさ)などによって、制御量の学習が正しく行われなくなる虞を防止できる。またこのときには制御の競合を避けるために、エゼクタが機能している状態で学習制御量の学習が行われることを禁止することが好ましい。また特定学習制御手段は、さらに具体的には吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときから、少なくとも吸気流量が目標吸気流量に維持されているときまでの間に(例えば状態変更手段の作動状態がさらに変化するときまでの間に)、制御量を学習することが好ましい。これにより、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われた結果、学習が正しく行われなくなる虞を防止或いは抑制できる。
【0014】
また本発明は、さらに前記エゼクタの入口側の圧力と出口側の圧力との差圧に応じて、前記エゼクタ補正量を変更するエゼクタ補正量変更手段を備えてもよい。ここで、エゼクタ流量の大きさは上記差圧(以下、単にエゼクタ前後差圧と称す)の大きさによって図12に示すように変化する。このため、アイドル回転数の変動を好適に抑制するにあたっては、エゼクタ補正量はエゼクタ前後差圧に応じて変更されることが好ましいところ、本発明によればこれを実現できる。なお、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更するにあたっては、具体的には例えばエゼクタ前後差圧そのものに基づき変更することができるが、エゼクタ前後差圧よりも検出或いは推定が容易なものに基づき変更することが好ましい。この点、例えばエゼクタ前後差圧と相関関係を有する内燃機関の回転数及び吸入空気量や、吸気通路から取り出そうとする負圧などに基づき、エゼクタ補正量を変更することが好適である。
【0015】
また、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、吸気流量を目標吸気流量に維持するように前記流量調節手段を学習制御するための学習制御量を学習する制御量学習手段と、該制御量学習手段が、前記エゼクタが機能している状態で学習することを禁止する制御量学習禁止手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、エゼクタが機能している状態で学習を禁止することで、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われることに起因してアイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。
【0016】
また、本発明は、内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、吸気流量の変動を抑制するように前記流量調節手段をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、該フィードバック制御手段が前記流量調節手段をフィードバック制御するときの制御速度を、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて速く変更する制御速度変更手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、変動した吸気流量を早く抑制するように収束させることができ、以ってエゼクタを機能等させてもアイドル回転数を早期に安定させることが可能である。なお、制御速度は、ハンチングが起きないよう吸気流量が変動している過渡的な状態においてだけ速く変更されることが好ましく、例えば状態変更手段の作動状態の変化に応じて所定時間の間だけ速く変更されることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムであって、前記状態変更手段が流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するとともに、前記制御装置が、前記流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるように前記状態変更手段を徐変制御する徐変制御手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、エゼクタを機能等させたときに、吸気流量が急激に変動することを抑制可能である。これにより、過渡的に変動する吸気流量に対して検出応答性の遅れがあっても、高い追従性でISC制御に係るF/B制御を行うことが容易になるため、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。また、本発明によれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、アイドリング時に限られず、内燃機関でトルクショックが発生することも抑制可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エゼクタを機能、或いは機能停止させても、内燃機関のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なISC制御装置及び車両用エゼクタシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)40Aで実現されている本実施例に係るISC制御装置を、車両用エゼクタシステム(以下、単にエゼクタシステムと称す)100Aとともに模式的に示す図である。内燃機関50を始めとした図1に示す各構成は車両(図示省略)に搭載されている。内燃機関50の吸気系10は、エアクリーナ11と、エアフロメータ12と、電動スロットル13と、インテークマニホールド14と、内燃機関50の各気筒(図示省略)に連通する図示しない吸気ポートと、これらの構成の間に適宜配設される例えば吸気管15a、15bなどを有して構成されている。エアクリーナ11は内燃機関50の各気筒に供給される吸気を濾過するための構成であり、図示しないエアダクトを介して大気に連通している。エアフロメータ12は吸気流量を計測するための構成であり吸気流量に応じた信号を出力する。
【0021】
電動スロットル13は、スロットル弁13aと、スロットルボディ13bと、弁軸13cと、電動モータ13dとを有して構成されている。スロットル弁13aは、内燃機関50の各気筒に供給する全吸気流量を開度変化により調整するための構成である。なお、内燃機関50は、本実施例に示すスロットル弁13aのようなスロットル弁によって吸気流量が調整される内燃機関であれば特に限定されない。また、本実施例では電動スロットル13が、アイドル回転数を制御するために吸気流量を調節するための構成となっており、本実施例では、電動スロットル13で流量調節手段を実現している。スロットルボディ13bは、吸気通路が形成された筒状部材からなる構成であり、この吸気通路に配設されたスロットル弁13aの弁軸13cを支持する。電動モータ13dは、ECU40Aの制御の基、スロットル弁13aの開度を変更するための構成であり、この電動モータ13dにはステップモータが採用されている。電動モータ13dはスロットルボディ13bに固定されており、その出力軸(図示省略)は弁軸13cに連結されている。スロットル弁13aの開度は、電動スロットル13に内蔵された図示しないエンコーダ(以下、単にエンコーダと称す)からの出力信号に基づき、ECU40Aで検出される。
【0022】
なお、スロットル機構には、電動スロットル13のようなスロットル弁13aをアクチュエータで駆動するスロットルバイワイヤ方式を適用することが好ましい。但し、これに限られず、例えば電動スロットル13の代わりにワイヤなどを介してアクセルペダル(図示省略)と連動し、スロットル弁13aの開度が変更されるような機械式スロットル機構を適用してもよい。この場合には、例えばスロットル弁13aに対してバイパス路を形成するとともに、このバイパス路に流路の遮蔽度合いを制御可能な所謂ISCバルブを流量調節手段として介在させることでアイドル回転数の制御を行うことができる。インテークマニホールド14は、上流側で一つの吸気通路を下流側で内燃機関50の各気筒に対応させて分岐するための構成であり、吸気を内燃機関50の各気筒に分配する。
【0023】
ブレーキ装置20は、ブレーキペダル21と、ブレーキブースタ22と、マスターシリンダ23と、ホイルシリンダ(図示省略)とを有して構成されている。運転者が車輪の回転を制動するために操作するブレーキペダル21は、ブレーキブースタ22の入力ロッド(図示省略)と連結されている。ブレーキブースタ22は、ペダル踏力に対して所定の倍力比でアシスト力を発生させるための構成であり、内部でマスターリシンダ23側に区画された負圧室(図示省略)が、エゼクタ30を介してインテークマニホールド14の吸気通路に接続されている。ブレーキブースタ22は、さらにその出力ロッド(図示省略)がマスターシリンダ23の入力軸(図示省略)と連結されており、マスターシリンダ23は、ペダル踏力に加えてアシスト力を得たブレーキブースタ22からの作用力に応じて油圧を発生させる。マスターシリンダ23は、油圧回路を介して各車輪のディスクブレーキ機構(図示省略)に設けられたホイルシリンダ夫々に接続されており、ホイルシリンダはマスターシリンダ23から供給された油圧で制動力を発生させる。なお、ブレーキブースタ22は気圧式のものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものであってよい。
【0024】
エゼクタ30は、吸気系10、より具体的にはインテークマニホールド14から取り出そうとする負圧(以下、単にインマニ負圧と称す)よりもさらに大きな負圧を発生させてブレーキブースタ22の負圧室に供給するための構成である。エゼクタ30は、流入ポート31aと流出ポート31bと負圧供給ポート31cとを有している。これらのうち、負圧供給ポート31cがエアホース5cでブレーキブースタ22の負圧室に接続されている。また、流入ポート31aは吸気管15aの吸気通路にエアホース5aで、流出ポート31bはインテークマニホールド14の吸気通路にエアホース5bで、電動スロットル13、より具体的にはスロットル弁13aを挟むようにして夫々接続されている。これによって、電動スロットル13を迂回するバイパス路Bが、エゼクタ30を含んでエアホース5aと5bとで形成される。なお、エゼクタ30が機能していない場合、ブレーキブースタ22の負圧室には、インテークマニホールド14の吸気通路から、エアホース5b、エゼクタ30の流出ポート31b及び負圧供給ポート31c、エアホース5c夫々を介して負圧が供給される。
【0025】
エアホース5aには、VSV(バキュームスイッチングバルブ)1Aを介在させている。VSV1Aは、ECU40Aの制御のもと、バイパス路Bを連通、遮断するための構成であり、本実施例では2ポジション2ポートのノーマルクローズドソレノイドバルブを採用している。但し、これに限られず、VSV1Aは他の適宜の電磁弁などであってよく、さらに例えば流路の遮蔽度合いを制御可能な流量調整弁などであってもよい。また、このVSV1Aはバイパス路Bを連通、遮断することで、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるための構成となっている。本実施例では、VSV1Aで状態変更手段を実現している。
【0026】
図2はエゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。エゼクタ30は内部にディフューザ32を備えている。ディフューザ32は、先細テーパ部32aと、末広テーパ部32bと、これらを連通する通路にあたる負圧取出部32cとで構成されている。先細テーパ部32aは、流入ポート31aに対向するようにして開口しており、末広テーパ部32bは、流出ポート31bに対向するようにして開口している。また、負圧取出部32cは、負圧供給ポート31cに連通している。流入ポート31aには、流入してきた吸気を先細テーパ部32aに向けて噴射するノズル33が配設されており、ノズル33から噴射された吸気はディフューザ32を流通し、さらに流出ポート31bからエアホース5bに流出する。この際、ディフューザ32で高速噴流が生起されることにより、ベンチュリー効果で負圧取出部32cに大きな負圧が発生し、さらにこの負圧は負圧供給ポート31cからエアホース5cを介して負圧室に供給される。このようなエゼクタ30の機能により、ブレーキブースタ22は、インテークマニホールド14から取り出す場合よりも大きな負圧を得ることができる。なお、負圧取出部32cと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、流出ポート31bと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、ブレーキブースタ22のエアホース5c接続部とに設けられた逆支弁34は、夫々逆流を防止するためのものである。また、エゼクタ30は図2に示す内部構造を備えるものに限られず、その他の異なる内部構造を備えるエゼクタをエゼクタ30の代わりに適用してよい。
【0027】
ECU40Aは、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、入出力回路などを有して構成されている。ECU40Aは主として内燃機関50を制御するための構成であり、本実施例では電動スロットル13やVSV1Aも制御している。ECU40Aには、電動スロットル13やVSV1Aのほか、各種の制御対象が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。また、ECU40Aには、エンコーダや、アクセルペダルの状態を検出するための図示しないアクセルセンサや、内燃機関50の回転数Neを検出するための図示しないクランク角センサなどの各種のセンサが接続されている。本実施例ではECU40AでISC制御装置とともに、エゼクタシステム100Aに係る制御装置を実現している。
【0028】
ROMはCPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムを格納するための構成であり、本実施例では内燃機関50制御用のプログラムのほか、種々の条件のもと、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるようにVSV1Aを制御するためのVSV1制御用プログラムや、電動スロットル13をISC制御するためのISC制御用プログラムなども格納している。但し、これらのプログラムは一体として組み合わされていてもよい。また、ISC制御用プログラムは、具体的には吸気流量の変動を抑制するように電動スロットル13をF/B制御するために、目標吸気流量とエアフロメータ12の出力信号に基づく吸気流量との差異に基づき、F/B制御量を変更するためのフィードバック制御量変更用プログラムと、フィードバック制御の制御結果をもとに、吸気流量を目標吸気流量に維持するように電動スロットル13を学習制御するための学習制御量を学習するための制御量学習用プログラムと、エアコンなどの作動状態に応じて目標回転数を変更するように電動スロットル13を補正制御するための補正制御量を増減するための補正制御量増減用プログラムと、F/B制御量、学習制御量及び補正制御量から最終的に電動スロットル13を制御するためのISC制御量を算出するためのISC制御量算出用プログラムと、算出されたISC制御量に基づき電動スロットル13を制御するための電動スロットル制御用プログラムとを有して構成されている。
【0029】
また、本実施例では電動スロットル13を制御するためのISC制御量を、VSV1Aの作動状態の変化に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で、VSV1Aの作動状態に応じて補正するためのISC制御量補正用プログラムが、上述のISC制御量算出用プログラムの一部を構成している。このエゼクタ補正量は、VSV1Aの作動状態の変化に応じて増減する吸気流量に相当する推定吸気流量に基づき算出される。また、本実施例ではVSV1Aの作動状態に応じてエゼクタ補正量を算出するためのエゼクタ補正量算出用プログラムが補正制御量増減用プログラムの一部を構成しており、エゼクタ補正量は、ISC制御において補正制御量の一種として位置付けられるとともに、補正制御量の一つとして算出される。なお、推定吸気流量は台上試験等による計測結果に基づき予め決定されたものでありROMに格納されている。また、推定吸気流量は、例えば回転数Ne及びスロットル開度などの運転状態に応じてマップデータで定義されていることが好ましい。また、推定吸気流量の代わりにエゼクタ補正量が直接的にROMに格納されていてもよい。本実施例ではCPUとROMとRAM(以下、CPU等とも称す)とISC制御量補正用プログラムとでISC制御量補正手段を実現している。
【0030】
また、本実施例ではCPU等とISC制御用プログラムとでISC制御手段が実現されており、さらに、ISC制御手段は、具体的にはF/B制御手段と学習制御手段と補正制御手段とを制御量算出用プログラムで一体化した構成として実現されている。本実施例ではF/B制御手段は、CPU等とF/B制御量変更用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで、学習制御手段は、CPU等と制御量学習用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで、補正制御手段は、CPU等と補正量増減用プログラムと電動スロットル制御用プログラムとで夫々ISC制御手段の一部として実現されている。また、制御量学習手段は、CPU等と制御量学習用プログラムとで学習制御手段の一部として実現されている。また、本実施例ではVSV1Aと、エゼクタ30と、ECU40Aとでエゼクタシステム100Aが実現されている。
【0031】
次に、VSV1Aの作動状態に応じてISC制御量をエゼクタ補正量で補正するにあたって、ECU40Aで行われる処理を図3に示すフローチャートを用いて詳述する。ECU40Aは、ROMに格納された上述のISC制御量補正用プログラム等に基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、電動スロットル13を制御する。CPUは、VSV1Aがエゼクタ30を機能させるように制御された(以下、単にONになったと称す)か否かを判定する処理を実行する(ステップ11)。VSV1AがONになったか否かは、ECU40Aで行われているVSV1制御用のプログラムに基づく内部処理の状態をCPUが確認することで判定可能である。但し、これに限られず、VSV1Aが例えばVSV1Aの作動状態を検出可能なリミットスイッチなどを備えている場合には、リミットスイッチの出力信号に基づいて判定してもよい。
【0032】
肯定判定であれば、CPUは、VSV1AがONに切り替わった後、所定時間T1が経過したか否かを判定する処理を実行する(ステップ12)。この所定時間T1は、実際に増大する吸気流量に対して、エゼクタ補正量で補正されたISC制御量で電動スロットル13を制御する好適なタイミングを図るために設定される。ステップ12で肯定判定であれば、CPUは、増大する吸気流量に見合うエゼクタ補正量を算出する処理を実行する(ステップ13)。なお、エゼクタ補正量は、吸気流量の増大を抑制するようにISC制御量を補正するためのものであるため、負の補正量として算出される。続いてCPUはF/B制御量と学習制御量と補正制御量との和を算出することでISC制御量を算出する処理を実行する(ステップ14)。なお、本実施例では、エゼクタ制御量を補正制御量の一つとして算出しているため、これによって、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正される。また、このときエゼクタ補正量は負の補正量となっているため、ISC制御量はエゼクタ補正量の分だけ減少するように補正されることになる。なお、図4で、本ステップにおけるISC制御量の補正を概念的に示している。続いて、VSV1AがONになっている間は、ステップ11から14までに示す処理が繰り返し実行されることで、引き続きISC制御量をエゼクタ補正量で補正しておくことができる。また、ステップ12で否定判定であれば、CPUはエゼクタ補正量を0(ゼロ)にする処理を実行する(ステップ15)。これにより、VSV1AがONになっても好適なタイミングになる前には、エゼクタ補正量で補正されないISC制御量をステップ14で算出することができる。
【0033】
一方、ステップ11で否定判定であれば、CPUは、VSV1Aがエゼクタ30を機能停止させるように制御された(以下、単にOFFになったと称す)と判定し、VSV1AがOFFに切り替わった後、所定時間T2が経過したか否かを判定する処理を実行するする処理を実行する(ステップ16)。この所定時間T2は、実際に減少する吸気流量に対して、エゼクタ補正量で補正されないISC制御量で電動スロットル13を制御する好適なタイミングを図るために設定される。ステップ16で肯定判定であれば、CPUは、エゼクタ補正量を0(ゼロ)にする処理を実行する(ステップ15)。これにより、ステップ14でISC制御量がエゼクタ補正量で補正されなくなる。一方、ステップ16で否定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、VSV1AがOFFになっても好適なタイミングになる前には、エゼクタ補正量で補正されるISC制御量をステップ14で算出することができる。本実施例では、このようにしてISC制御量をエゼクタ補正量で補正することで、F/B制御ではやむなく許容されてしまうような吸気流量の変動を抑制し、以ってアイドル回転数の変動を好適に抑制できるようにしている。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Aを実現可能である。
【実施例2】
【0034】
本実施例に係るECU40Bは、VSV1Bの作動状態に応じてエゼクタ30が機能している状態で学習が行われることを禁止するための制御量学習禁止用プログラムを、さらにROMに格納している以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、説明の便宜上VSV1Bと称しているが、本実施例ではVSV1BはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等と制御量学習禁止用プログラムとで制御量学習禁止手段を実現しており、ECU40BでISC制御装置を実現している。また、本実施例ではISC制御用プログラムは実施例1の場合と比較して、さらに制御量学習禁止用プログラムを有して構成されており、ISC制御手段もさらに制御量学習禁止手段を有して構成されている。なお、制御量学習禁止用プログラムは、制御量学習用プログラムの一部として構成されていてもよく、制御量学習禁止手段が制御量学習手段の一部として実現されてもよい。また、本実施例ではVSV1Bと、エゼクタ30と、ECU40Bとでエゼクタシステム100Bが実現されており、ECU40Bが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0035】
次に、VSV1Bの作動状態に応じて学習を許可、或いは禁止するにあたって、ECU40Bで行われる処理を図5に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された制御量学習禁止用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、学習は許可、或いは禁止される。CPUは、VSV1BがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ21)。肯定判定であれば、CPUは学習を禁止する処理を実行する(ステップ22)。これにより、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われることを防止できる。また、VSV1BがONになっている間は、ステップ21及び22に示す処理が繰り返し実行されることで、学習を禁止したままの状態を引き続き維持できる。これにより、エゼクタ30が機能している状態での学習を禁止できるとともに、エゼクタ30が機能していることで吸気流量が増大している状態が学習制御量に反映されてしまうことを防止できる。一方、ステップ21で否定判定であれば、CPUは学習を許可する処理を実行する(ステップ23)。これにより、再び学習を行うことが可能になる。なお、吸気流量が過渡的に変動している状態で学習が行われないよう、ステップ21で否定判定された後にステップ23に示す処理を実行するタイミングを図る処理を行ってもよい。以上により、エゼクタが機能している状態で学習を禁止することで、アイドル回転数が大きく変動することを好適に抑制可能なECU50Bを実現可能である。
【実施例3】
【0036】
本実施例に係るECU40Cは、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更するための制御速度変更用プログラムを、さらにROMに格納している以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、説明の便宜上VSV1Cと称しているが、本実施例ではVSV1CはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等と制御速度変更用プログラムとで制御速度変更手段を実現しており、ECU40CでISC制御装置を実現している。また、本実施例ではISC制御用プログラムは実施例1の場合と比較して、さらに制御速度変更用プログラムを有して構成されており、ISC制御手段もさらに制御速度変更手段を有して構成されている。なお、制御速度変更用プログラムは、例えばフィードバック制御量変更用プログラムの一部として構成されていてもよく、制御速度変更手段がフィードバック制御手段の一部として実現されてもよい。また、本実施例ではVSV1Cと、エゼクタ30と、ECU40Cとでエゼクタシステム100Cが実現されており、ECU40Cが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0037】
次に、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更するにあたって、ECU40Cで行われる処理を図6に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された制御速度変更用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、制御速度が速く変更される。CPUは、VSV1CがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ31)。なお、本ステップはVSV1Cの作動状態の変化、言い換えればVSV1CのON、OFFの切り替わりだけを判定する処理となっている。ステップ31で肯定判定であれば、CPUは制御速度を速く変更する処理を実行する(ステップ32)。具体的には、F/B制御量を変更するための補正量(F/B補正量)を算出するにあたって、F/B補正量の算出式に係る比例項のゲインを大きくする処理が行われる。これにより、F/B制御量がより大きく変更されるようになるため、制御速度を速く変更することができる。
【0038】
同時にこの際、F/B補正量を算出するにあたって、F/B補正量の算出式に係る積分項のゲインを大きくする処理も行われる。これにより、F/B制御量がより大きく変更されても、F/B制御量を目標F/B制御量に早期に収束できるようになる。なお、この処理が行われないと比例項のゲインの大きさ次第ではF/B制御量を早期に収束させることが困難になるため、本実施例ではこの処理も制御速度を速く変更するための処理の一部として含まれている。一方、ステップ31で否定判定である場合も、CPUはステップ32に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能等させても変動した吸気流量を早く抑制するように収束させることができ、以ってアイドル回転数を早期に安定させることができる。以上により、VSV1Cの作動状態の変化に応じてF/B制御するときの制御速度を速く変更することで、アイドル回転数を早期に安定させることが可能なECU50Cを実現可能である。
【実施例4】
【0039】
本実施例に係る車両用エゼクタシステム100Dは、流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するVSV1DをVSV1Aの代わりに備え、VSV1Dの流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるようにVSV1Dを徐変制御するための徐変制御用プログラムをROMに格納したECU40DをECU40Aの代わりに備えている以外、エゼクタシステム100Aと同一のものとなっている。また、本実施例ではECU40Dは、さらに上述の徐変制御用プログラムをROMに格納している以外、ECU40Aと同一のものとなっているが、これに限られず、少なくとも徐変制御用プログラムをROMに格納したECUであれば、他の適宜のECUであってよい。本実施例では、CPU等と徐変制御用プログラムとで徐変制御手段が実現されており、VSV1Dと、エゼクタ30と、ECU40Dとでエゼクタシステム100Dが実現されており、ECU40Dが適用されている車両の各構成は、VSV1D及びECU40D以外、図1に示した各構成と同一となっている。
【0040】
次に、VSV1Dの作動状態に応じてVSV1Dを徐変制御するにあたって、ECU40Dで行われる処理を図7に示すフローチャートを用いて詳述する。ROMに格納された徐変制御用プログラムに基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、ECU40DはVSV1Dを徐変制御する。CPUは、VSV1DがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ41)。肯定判定であれば、VSV1Dを徐変制御するための制御量(以下、単にDUTYと称す)に所定の大きさの制御量αを加算して、暫定制御量(以下、単にtDUTYと称す)を算出する処理を実行する(ステップ42)。なお、DUTYは、流路を全閉するようVSV1Dを制御するための大きさが0(ゼロ)に、流路を全開するようVSV1Dを制御するための大きさが100に設定されている。続いてCPUは、tDUTYが100よりも小さいか否かを判定する処理を実行する(ステップ43)。肯定判定であれば、CPUはDUTYをtDUTYに更新する処理を実行する(ステップ44)。これにより、次回のルーチン以降、ステップ44で否定判定されるまで、ステップ41、42、43及び44に示す処理が繰り返し実行されることで、DUTYを制御量α分だけ次第に増大させることができる。すなわち、これによってVSV1Dの流路を所定の度合いで次第に開くようVSV1Dを制御できるようになる。また、ステップ43で否定判定であれば、CPUはDUTYを100に設定する処理を実行する(ステップ45)。これにより、VSV1DがONになっている間、引き続きVSV1Dの状態を全開に維持できるようになる。
【0041】
一方、ステップ41で否定判定であれば、CPUはDUTYから所定の大きさの制御量βを減算して、tDUTYを算出する処理を実行する(ステップ46)。続いてCPUは、tDUTYが0(ゼロ)よりも大きいか否かを判定する処理を実行する(ステップ47)。肯定判定であれば、CPUはステップ44でDUTYをtDUTYに更新する処理を実行する。これにより、次回のルーチン以降、ステップ47で否定判定されるまで、ステップ41、46、47及び44に示す処理が繰り返し実行されることで、DUTYを制御量β分だけ次第に減少させることができる。すなわち、これによってVSV1Dの流路を所定の度合いで次第に閉じるようVSV1Dを制御できるようになる。また、ステップ47で否定判定であれば、CPUはDUTYを0に設定する処理を実行する(ステップ48)。これにより、VSV1DがOFFになっている間、引き続きVSV1Dの状態を全閉に維持できるようになる。
【0042】
このようにしてVSV1Dを徐変制御すれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、本実施例に係るエゼクタシステム100Dによれば、過渡的に変動する吸気流量に対して検出応答性の遅れがあっても、高い追従性でISC制御に係るF/B制御を行うことが容易になるため、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能である。また、本実施例に係るエゼクタシステム100Dによれば、吸気流量が急激に変動することを抑制できることから、アイドリング時に限られず、例えばアクセルペダルの踏み込み量が比較的浅い加速時などには、運転者に体感される虞があるようなトルクショックが内燃機関50で発生することも抑制可能である。なお、本実施例に係るエゼクタシステム100Dを利用すれば、さらに所定のプログラムをROMに格納することで、運転状態に応じて、例えばアイドリング時や低加速時にはVSV1Dを徐変制御し、フルスロットル状態で加速しているときにはVSV1DをON、OFF制御するといったように、VSV1Dの制御モードを切り替えるようにすることなども可能である。以上により、VSV1Dを徐変制御することで、アイドル回転数が大きく変動することを抑制可能なエゼクタシステム100Dを実現可能である。
【実施例5】
【0043】
本実施例に係るECU40Eは、VSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、さらにVSV1EがOFFになったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、電動スロットル13を制御するための制御量を学習するための特定制御量学習用プログラムと、実施例2で前述した制御量学習禁止用プログラムとをさらにROMに格納している点以外、実施例1に係るECU40Aと同一のものとなっている。なお、ECU40Eが適用されている車両の各構成は、ECU40A以外、図1に示した各構成と同一のものとなっている。特定制御量学習用プログラムは、本実施例では具体的にはVSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に行われたF/B制御により増減したF/B制御量(F/B補正量)の分だけ、エゼクタ補正量を増減させることで制御量の学習を行うように作成されている。またこの特定制御量学習用プログラムは、吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときに学習を行うように作成されている。
【0044】
なお、例えばF/B制御量が増大した場合には、エゼクタ補正量で吸気流量を増大させる補正が行われる必要があるところ、ISC制御ではISC制御量がエゼクタ補正量で減じられる補正が行われることから、この場合にはF/B制御量が増大した分だけエゼクタ補正量を減少させることで、制御量の学習が行われることになる。また、本実施例では特定制御量学習用プログラムと制御量学習用プログラムとは別個のプログラムとして作成されており、ECU1Eはエゼクタ30が機能している状態で、学習制御量の学習を行うことなく、エゼクタ補正量の学習を行えるようにするために、制御量学習禁止用プログラムもROMに格納している。また、説明の便宜上VSV1Eと称しているが、このVSV1EはVSV1Aと同一のものとなっている。
【0045】
本実施例ではCPU等と特定制御量学習用プログラムとで特定制御量学習手段が、CPU等と制御量学習禁止手段とで制御量学習禁止手段が夫々実現されており、ECU40EでISC制御装置が実現されている。また、本実施例では特定制御量学習用プログラムと、制御量学習禁止用プログラムとがISC制御用プログラムの一部として構成されているため、ISC制御手段はさらに特定制御量学習手段と、制御量学習禁止手段とを有して構成されている。
【0046】
次にECU1Eで行われる処理を図8に示すフローチャートを用いて詳述するとともに、このフローチャートに対応した図9に示すタイムチャートの一例を用いて詳述する。ROMに格納された上述の特定制御量学習用プログラムなどに基づき、CPUが図8に示すフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、ECU40Eは電動スロットル13を制御する。CPUはVSV1EがONになったか否かを判定する処理を実行する(ステップ51)。ステップ51で否定判定であれば本フローチャートで特段の処理を要しないため、リターンしてステップ51に戻る。一方ステップ51で肯定判定であれば、CPUはエゼクタ補正量(その値をAとする)を算出するための処理を実行する(ステップ52)。なお、本実施例では所定時間T1は0(ゼロ)に設定されている。
【0047】
続いてCPUは、F/B補正量が+γ(所定値γの正の値)よりも大きいか否か、または−γ(所定値γの負の値)よりも小さいか否かを判定する処理を実行する(ステップ53)。すなわち、本ステップで吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれたか否かが判定される。また、本実施例ではこの所定値γが目標吸気流量に対する吸気流量の変動の許容範囲に対応させて決定されている。ここで、アイドル回転数は定常状態で目標回転数に維持された状態になっていることから、VSV1EがONになったときのF/B補正量は基本的に略0(ゼロ)になっている。このため、VSV1EがONになった直後にはまずステップ53で2つの判定がともに否定判定される。このときにはステップ55に進み、CPUはISC制御量を算出する処理を実行する(ステップ55)。これによりISC制御量はエゼクタ補正量の分だけ減少するように補正される。
【0048】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm1までの変化に対応する。タイミングTm1では、VSV1EがONになるとともに、ISC制御量がエゼクタ補正量の分だけ減少する。またこのときには回転数Neは目標回転数に維持されているとともに、F/B補正量は0(ゼロ)になっている。
【0049】
続いてCPUは、回転数Neが目標回転数になっているか否かを判定する処理を実行する(ステップ56)。ここで、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正された結果、吸気流量が目標吸気流量になった場合にはステップ56で肯定判定される。そしてこの場合には特段の処理を要しないため、リターンしてステップ51に戻る。一方ステップ56で否定判定であれば、ISC制御量がエゼクタ補正量で補正されたにも関わらず、吸気流量が目標吸気流量からずれていると判断され、CPUは吸気流量のF/B制御を行い(ステップS57)、その後リターンしてステップ51に戻る。このように吸気流量が目標吸気流量からずれていた場合には、さらに次のルーチン以降、ステップ53で2つの判定のうち、いずれかの判定が肯定判定されない限り、CPUはステップ51、52、53、55、56及び57に示す処理を繰り返し実行する。
【0050】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm1からタイミングTm2までの間の変化に対応する。なお、図9に示すタイムチャートでは、吸気流量が目標吸気流量よりも小さくずれた場合の変化を示している。このため回転数NeはタイミングTm1以降に目標回転数よりも小さくなっている。またこれによりF/B制御が行われるため、その後F/B補正量が増大するとともに、回転数Neも次第に大きくなっている。
【0051】
一方、ステップ57で吸気流量のF/B制御が行われた結果、F/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなった場合には、ステップ53で肯定判定される。このときCPUはエゼクタ補正量の値AをF/B制御量の増減分、換言すればF/B補正量の分(その値をBとする)だけ増減させる処理を実行するとともに、F/B補正量をクリアする処理を実行する(ステップ54)。すなわち、本ステップで制御量の学習が行われ、エゼクタ補正量の値Aが新たな値に更新される。なお、本ステップはさらに吸気流量がF/B制御により目標吸気流量に収束したときに行われる。このため、ステップ53では実際にはさらに前回のルーチンでステップ56で肯定判定されたか否かも判定しており、この判定が否定判定であれば、F/B補正量の大きさが所定値γよりも大きくなっていても、ステップ53で否定判定されることになる。
【0052】
この結果、現在のルーチン以降、ステップ55でISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されることから、VSV1EがOFFになったときにアイドル回転数が変動することを抑制できる。またその後、VSV1EがONになったときには、学習により更新されたエゼクタ補正量がステップ52で算出されることから、このときにもアイドル回転数が変動することを抑制できる。
【0053】
図9に示すタイムチャートを確認すると、ここまでの処理はタイミングTm2からタイミングTm3までの間の変化に対応する。タイミングTm2は、F/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなったときのタイミングを示している。またタイミングTm3は、エゼクタ補正量が学習されるとともに、ISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されたときのタイミングを示している。
【0054】
またこのタイムチャートに示すように、さらにタイミングTm4でVSV1EがOFFになったときには、ISC制御量が学習されたエゼクタ補正量で補正されなくなる分大きくなる。そしてこのときには回転数Neは変動しないことがわかる。この点、エゼクタ補正量の学習が行われなかった場合には、タイミングT4でISC制御量がエゼクタ補正量で補正されなくなると、ISC制御量は破線で示すようにF/B補正量で補正されていた分だけさらに大きくなってしまう。このため、エゼクタ補正量の学習が行われなかった場合には、回転数Neも破線で示すように大きくなり、この回転数Neの変動をF/B制御で抑制しなければならなくなることから、さらにF/B補正量も破線で示すように変化することになる。
【0055】
なお、アイドル回転数の変動を許容範囲内に抑制するといった観点から、例えばステップ54でエゼクタ補正量を所定値γ分だけ増減させる処理を代わりに実行してもよい。これは、特定制御量学習プログラムを、VSV1EがONになったときに吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、さらにVSV1EがOFFになったときに、吸気流量が目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、すなわち本実施例では具体的には所定値γ分だけ増減させるように電動スロットル13を制御するための制御量を学習するように作成することで実現できる。またこのときには、ステップ53でF/B補正量の大きさが所定値γの大きさよりも大きくなったことのみを以って、肯定判定としてもよい。このときにはVSV1EがONになった直後のように、急激に吸気流量が変化しているわけではないので、学習が正しく行われない虞も抑制される。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Eを実現できる。
【実施例6】
【0056】
本実施例に係るECU40Fは、エゼクタ補正量算出用プログラムが以下に示す所定のエゼクタ補正量変更用プログラムを有して構成されている点と、これに伴い所定のエゼクタ補正量マップデータをさらにROMに格納している点以外、実施例1に係るEUC40Aと同一のものとなっている。エゼクタ補正量変更用プログラムは、エゼクタ30の入口側の圧力(例えばスロットル弁13a上流側の吸気通路内の圧力)と出口側の圧力(例えばインテークマニホールド14内の圧力)との差圧であるエゼクタ前後差圧に応じて、エゼクタ補正量を変更するためのプログラムであり、本実施例では具体的には回転数Ne及び吸入空気量に基づき、エゼクタ補正量マップデータからエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更するように作成されている。このためエゼクタ補正量マップデータでは、エゼクタ補正量が回転数Ne及び吸入空気量に応じて定義されている。
【0057】
なお、ECU40Fが適用されている車両の各構成はECU40A以外、図1に示した各構成と同一のものとなっている。またエゼクタ補正量変更用プログラムは、例えば実施例5に係るECU40EがさらにROMに格納していてもよい。また本実施例では説明の便宜上VSV1Fと称するが、このVSV1FはVSV1Aと同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とエゼクタ補正量変更用プログラムとでエゼクタ補正量変更手段が実現されており、ECU40FでISC制御装置が実現されている。また、エゼクタ補正量変更用プログラムはISC制御用プログラムの一部として構成されることから、本実施例ではISC制御手段はさらにエゼクタ補正量変更手段を有して構成されている。
【0058】
次に本実施例に係るECU40Fで行われる処理を図10に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、ステップ61及びステップ64からステップ66までに示す処理は、前述した図8に示すフローチャートのステップ51及びステップ55からステップ57までに示す処理と同様のものとなっている。このため、本実施例では特にステップ62及び63について詳述する。ステップ61で肯定判定であれば、CPUは回転数Ne及び吸入空気量を検出する処理を実行する(ステップ62)なお、本実施例では所定時間T1は0(ゼロ)に設定されている。続いてCPUは、検出した回転数Ne及び吸入空気量に基づき、エゼクタ補正量のマップデータから対応するエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更する処理を実行する(ステップ63)。これにより、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更することができる。
【0059】
なお、図10に示すように、ステップ62で回転数Ne及び吸入空気量の代わりに、例えばインマニ負圧を検出或いは推定するとともに、ステップ63でインマニ負圧に基づいてエゼクタ補正量を変更してもよい。これを実現するには、例えば回転数Ne及び吸入空気量の代わりにインマニ負圧に応じてエゼクタ補正量を定義したエゼクタ補正量マップデータをROMに格納すればよい。またこれを実現するには、インマニ負圧に基づいてこのエゼクタ補正量マップデータからエゼクタ補正量を読み込むとともに、エゼクタ補正量を読み込んだエゼクタ補正量に変更するようにエゼクタ補正量変更用プログラムを作成すればよい。
【0060】
また例えばエゼクタ補正量を最大エゼクタ流量に対応する一定値に設定するとともに、ステップ63でこのエゼクタ補正量にエゼクタ補正量を修正するための修正係数を乗じることで、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じて変更できるようにすることもできる。この修正係数は、エゼクタ補正量に乗じることで、エゼクタ補正量をエゼクタ前後差圧に応じたものに変更できる値に設定できる。これを実現するには、例えばエゼクタ補正量マップデータの代わりに、例えば修正係数を同様に定義した修正係数マップデータをROMに格納すればよい。またこれを実現するには、回転数Ne及び吸入空気量(或いはインマニ負圧)に基づき、修正係数マップデータから修正係数を読み込むとともに、読み込んだ修正係数をエゼクタ補正量に乗じるようにエゼクタ補正量変更用プログラムを作成すればよい。以上により、エゼクタ30を機能等させても、内燃機関50のアイドル回転数の変動を好適に抑制可能なECU40Fを実現できる。
【0061】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】エゼクタシステム100Aを模式的に示す図である。
【図2】エゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。
【図3】ECU40Aで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図4】ステップ14のISC制御量の補正を概念的に示す図である。
【図5】ECU40Bで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図6】ECU40Cで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図7】ECU40Dで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図8】ECU40Eで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図9】図8に示すフローチャートに対応するタイムチャートの一例を示す図である。
【図10】ECU40Fで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図11】一般的なISC制御を概念的に示す図である。
【図12】エゼクタ流量とエゼクタ前後差圧の相関関係を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 VSV
10 吸気系
13 電動スロットル
20 ブレーキ装置
30 エゼクタ
40 ECU
50 内燃機関
100 エゼクタシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、前記内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
前記流量調節手段をISC制御するためのISC制御量を、前記状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項2】
前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて、吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、新たな状態変更手段の作動状態の変化があったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、或いは目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、前記流量調節手段を制御するための制御量を学習する特定制御量学習手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のISC制御装置。
【請求項3】
さらに前記エゼクタの入口側の圧力と出口側の圧力との差圧に応じて、前記エゼクタ補正量を変更するエゼクタ補正量変更手段を備えることを特徴とする請求項1記載のISC制御装置。
【請求項4】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
吸気流量を目標吸気流量に維持するように前記流量調節手段を学習制御するための学習制御量を学習する制御量学習手段と、該制御量学習手段が、前記エゼクタが機能している状態で学習することを禁止する制御量学習禁止手段とを備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項5】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
吸気流量の変動を抑制するように前記流量調節手段をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、該フィードバック制御手段が前記流量調節手段をフィードバック制御するときの制御速度を、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて速く変更する制御速度変更手段とを備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項6】
内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムであって、
前記状態変更手段が流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するとともに、前記制御装置が、前記流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるように前記状態変更手段を徐変制御する徐変制御手段を備えることを特徴とする車両用エゼクタシステム。
【請求項1】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、前記内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
前記流量調節手段をISC制御するためのISC制御量を、前記状態変更手段の作動状態に応じて増減する吸気流量に見合うエゼクタ補正量で補正するISC制御量補正手段を備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項2】
前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて、吸気流量が目標吸気流量から所定値以上ずれた場合に、新たな状態変更手段の作動状態の変化があったときに吸気流量が目標吸気流量に維持されるように、或いは目標吸気流量に対する変動の許容範囲内の吸気流量になるように、前記流量調節手段を制御するための制御量を学習する特定制御量学習手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のISC制御装置。
【請求項3】
さらに前記エゼクタの入口側の圧力と出口側の圧力との差圧に応じて、前記エゼクタ補正量を変更するエゼクタ補正量変更手段を備えることを特徴とする請求項1記載のISC制御装置。
【請求項4】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
吸気流量を目標吸気流量に維持するように前記流量調節手段を学習制御するための学習制御量を学習する制御量学習手段と、該制御量学習手段が、前記エゼクタが機能している状態で学習することを禁止する制御量学習禁止手段とを備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項5】
内燃機関に供給される吸気流量を調節する流量調節手段を制御することで、前記内燃機関のアイドル回転数を制御するとともに、該内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムとともに使用されるISC制御装置であって、
吸気流量の変動を抑制するように前記流量調節手段をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、該フィードバック制御手段が前記流量調節手段をフィードバック制御するときの制御速度を、前記状態変更手段の作動状態の変化に応じて速く変更する制御速度変更手段とを備えることを特徴とするISC制御装置。
【請求項6】
内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段と、該状態変更手段を制御する制御装置とを有して構成される車両用エゼクタシステムであって、
前記状態変更手段が流路の遮蔽度合いを制御可能な流量可変構造を有するとともに、前記制御装置が、前記流路を所定の度合いで次第に開く、或いは閉じるように前記状態変更手段を徐変制御する徐変制御手段を備えることを特徴とする車両用エゼクタシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−327486(P2007−327486A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95016(P2007−95016)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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