説明

UVオゾン洗浄装置

【課題】洗浄対象面内の清浄度およびその均一性を高めさらにメンテナンスも容易なUVオゾン洗浄装置を提供すること。
【解決手段】UV照射室(10)内に2つのUVユニット(20A、20B)を備えており、これらUVユニットは所定の間隔を有するように対向して設けられている。この間隔内には、洗浄対象物(30)が基板搬送部(40)により把持された状態で搬送される。オゾン発生の源となるエアーと不活性ガスの混合ガスは第1および第2のガス供給部(50A、50B)から、UV照射室(10)内に搬送された基板(30)の表面に向けて供給される。ガス排出部(60)は、装置(100)の底部に設けられており、UV照射室(10)内で発生したオゾン含有ガスは、装置上部に設けられた排気ユニット(70A、70B)の作用により、ガス排気経路部(80A、80B)を通ってガス排出部(60)から外部へと排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の洗浄に好適なUVオゾン洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器部品等の精密洗浄を行う際には、UVオゾン洗浄が広く用いられている。UVオゾン洗浄は湿式の洗浄法に比較して清浄度が高いことから、いわゆる仕上洗浄として使われたり、超純水でリンスを行う前に使われたりしている。
【0003】
従来のUVオゾン洗浄法や装置に関しては、例えば特開平11−169806号公報(特許文献1)や特開2009−262046号公報(特許文献2)等に開示がなされている。
【0004】
特開平11−169806号公報(特許文献1)には、光学装置用部品の洗浄方法として、光学部品と保持具を有する光学装置用部品を効率的かつ確実に洗浄することを目的とした洗浄方法の発明が開示されており、光学装置用部品を密閉した処理室内の支持台上に配置し、光学装置用部品の上方に設けられたガス導入部から酸素を含む清浄なドライエアーを送り込み、下方に設けられたガス排出部から排気する処理室内の上部と下部とに適当な間隔で複数配置された低圧水銀ランプからの紫外線でオゾンを発生させることで光学装置用部品の表面に付着した有機物を分解、揮発させて洗浄するUVオゾン洗浄方法が開示されている。
【0005】
また、特開2009−262046号公報(特許文献2)には、被処理物の表面に到達する紫外光の強度の低下を抑制しつつ、被処理物の表面における静電気の発生を抑制することにできる紫外線照射処理装置の発明が開示されており、当該装置では、搬送チャンバー内に設けられた複数個のコンベアーローラによって被処理物が搬送され、搬送チャンバーの上方に設けられたガス供給ダクトから窒素ガスと圧縮乾燥空気を供給し、搬送機構によって被処理物が開放ハウジングの下方の紫外線照射空間に搬送されるときに被処理物の表面に紫外線が照射され、搬送チャンバーの底部に設けられた排気ダクトから搬送チャンバー内で発生したオゾンガス等の排出が行われる。
【0006】
つまり、特開2009−262046号公報(特許文献2)開示の紫外線照射処理装置においても、上述の特開平11−169806号公報(特許文献1)に開示のものと同様に、紫外線照射領域におけるエアーは上方から下方へと流れる構成とされ、エアーは洗浄対象物の表面側から裏面側へと抜けることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−169806号公報
【特許文献2】特開2009−262046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、ガラス基板等の表面の清浄度をより高く且つ均一なものとするための洗浄方法について検討を重ね、洗浄対象物の表面にオゾン源となる混合ガスをどのような方向から供給し且つ排気するのが好ましいかとの観点からも検討を行った。その結果、従来の手法のように、混合ガスが洗浄対象物の表面側から裏面側へと抜ける構成では、洗浄対象面内で清浄度不均一が生じ易いという結論に至った。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、洗浄対象面内の清浄度およびその均一性を高めさらにメンテナンスも容易なUVオゾン洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、本発明に係るUVオゾン洗浄装置は、UV照射室内に所定の間隔を有するように対向して設けられた第1および第2の2つのUVユニットと、前記第1および第2のUVユニット間の所定の間隔内に被洗浄物である基板を搬送する基板搬送部と、前記第1のUVユニットの基板対向面とは反対側からエアーと不活性ガスの混合ガスを前記UV照射室内に搬送された基板に向けて供給する第1のガス供給部と、前記第2のUVユニットの基板対向面とは反対側からエアーと不活性ガスの混合ガスを前記UV照射室内に搬送された基板に向けて供給する第2のガス供給部と、前記UV照射室内に搬送された基板の一方端側に設けられたガス排出部と、前記UV照射室内で発生したオゾン含有ガスを前記基板の他方端側から排気して前記ガス排出部へと導くガス排気経路部とを備えている。
【0011】
好ましくは、前記第1および第2のUVユニット内には、前記UV照射室内に搬送された基板の面上で均一にUV光が照射されるようにUVランプが配置されている。
【0012】
また、好ましくは、前記基板搬送部は、前記UV照射室内で基板を揺動可能である。
【0013】
本発明に係るUVオゾン洗浄装置は、前記第1および第2のUVユニットは何れも垂直に設けられており、前記ガス排出部は装置の下部に設けられている態様とすることが好ましい。
【0014】
この態様において、前記UVオゾン洗浄装置は、前記第1のUVユニット側と前記第2のUVユニット側に切り離すことで前記UV照射室内を開放可能である構成とすることができる。
【0015】
この場合、前記UVオゾン洗浄装置のUV照射室下部近傍に回転軸が設けられており、該回転軸を中心として前記UV照射室内の開放が可能である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のUVオゾン洗浄装置では、排気ユニットの作用により、UV照射室内で発生したオゾン含有ガスを基板の一方端側から他方端側へと一方向に流れることとしたので、UV照射室内でのガスの対流などの乱れが生じ難いこととなる結果、洗浄対象面内の清浄度およびその均一性を高めることが可能となる。
【0017】
また、UV照射室下部近傍に回転軸等を設けて第1のUVユニット側と第2のUVユニット側に切離可能としてUV照射室内を開放可能としたので、UVランプの交換等のメンテナンスも容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のUV洗浄装置の一構成例を説明するための図である。
【図2A】従来の洗浄装置の構成例を説明するための図である。
【図2B】従来の洗浄装置の他の構成例を説明するための図である。
【図3A】本発明のUVオゾン洗浄装置の基板表面近傍でのオゾン含有ガスの流れの様子を示した図である。
【図3B】従来型のUVオゾン洗浄装置の基板表面近傍でのオゾン含有ガスの流れの様子を示した図である。
【図4】基板搬送部の構成例を説明するための図である。
【図5】UV照射室下部近傍に回転軸を設けてUV照射室内の開放を可能とした本発明のUV洗浄装置の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のUV洗浄装置の一構成例を説明するための図である。このUV洗浄装置100は、UV照射室10内に、UVランプ(25a、25b)を有する2つのUVユニット20Aおよび20Bを備えており、これらUVユニットは所定の間隔を有するように対向して設けられている。この間隔内には、ガラス基板などのUVオゾン洗浄の洗浄対象物30が基板搬送部40により把持された状態で搬送され、基板の両面からUV光が照射されて両面の洗浄を同時に行うことができる。
【0021】
図1中に示したUVユニット内には複数のUVランプが設けられており、UV照射室内に搬送された基板の面上で均一にUV光が照射されるように配置されている。
【0022】
第1および第2のUVユニット20Aおよび20Bそれぞれには、オゾン発生の源となるエアーと不活性ガスの混合ガスを供給するための第1および第2のガス供給部50Aおよび50Bが設けられており、混合ガスは、基板30に対向する面とは反対側からUV照射室10内に搬送された基板30の表面に向けて供給される。
【0023】
ガス排出部60は、装置100の底部に設けられており、UV照射室10内で発生したオゾン含有ガスは、装置上部に設けられた排気ユニット70Aおよび70Bの作用により、ガス排気経路部80Aおよび80Bを通ってガス排出部60から外部へと排出される。つまり、UV照射室10内に供給された混合ガスは、図中に矢印で示したように、搬送されてきた基板30の上端部側へと排気された後に下端部側に設けられたガス排出部60から排出される。
【0024】
なお、図1に示した態様では、第1および第2のUVユニット20A、20Bは何れも垂直に配置され、ガス排出部60が装置100の下部に設けられているが、UVユニット20A、20Bを水平に配置し、ガス排出部60を装置100の側面に設ける態様としてもよい。
【0025】
本発明のUVオゾン洗浄装置では、排気ユニット70Aおよび70Bの作用により、UV照射室10内で発生したオゾン含有ガスは基板30の一方端側から他方端側へと一方向に流れることとなり、UV照射室内でのガスの対流などの乱れが生じ難い。
【0026】
これに対して、図2Aおよび図2Bに示したような従来の洗浄装置の構成では、紫外線照射領域における混合ガスは洗浄対象物の上方から供給されて下方へと排気される構成とされているため、オゾン含有ガスの洗浄対象物表面上での流れは一方向とはならず、紫外線照射領域においてガスの対流などの乱れが生じ易い。
【0027】
図3Aおよび図3Bは、本発明および従来型のUVオゾン洗浄装置それぞれの、基板表面近傍でのオゾン含有ガスの流れの様子を示した図である。本発明のUVオゾン洗浄装置では、オゾン含有ガスは基板30の表面上を一方向に流れることに加え、洗浄対象物30の両主面で実質的に同じガスの流れが実現するため、対流などの乱れが生じ難く、両面を同じ清浄度で洗浄することができる(図3A)。
【0028】
一方、従来型のUVオゾン洗浄装置では、オゾン含有ガスは基板表面上を中心から周辺に向けて流れるため、対流などの乱れが生じ易いことに加え、洗浄対象物の表面と裏面でガスの流れの様子が異なり、その結果、両面の清浄度に差が生じてしまう(図3B)。
【0029】
つまり、従来のUVオゾン洗浄装置では、ガスの流れの乱れによって洗浄対象物の表面に供給されるオゾン密度の面内均一性が損なわれ、例え均一なUV光照射が行われたとしても、洗浄後の表面の清浄度は不均一なものとなってしまう。これに対し、本発明のUV洗浄装置では、そのような清浄度の面内不均一が抑制され、さらに、洗浄対象物の両面を実質的に同じ清浄度で洗浄することが可能となる。
【0030】
なお、本発明のUVオゾン洗浄装置では、UVユニットの基板対向面とは反対の面側からエアーと不活性ガスの混合ガスをUV照射室内に搬送された基板に向けて供給する構成としている。これは、ガスを基板の一方端側から(図1では下端側から)供給することとすると、基板30の下側(ガス流の上流側)には相対的にオゾン化率の低い混合ガスが供給される一方、基板30の上側(ガス流の下流側)には相対的にオゾン化率の高い混合ガスが供給されることとなるため、例え均一なUV光照射が行われたとしても、洗浄後の表面の清浄度が不均一なものとなってしまうためである。
【0031】
本発明のUVオゾン洗浄装置は、UV照射室10内に搬送した基板30を、基板搬送部40により揺動させながらUVオゾン洗浄を行う構成とすることもできる。
【0032】
図4は基板搬送部40の構成例を説明するための図で、この例では、ロボットハンドにより基板30を把持することとしている。基板30は、基板搬送部40の第1のハンド部41Aに設けられた3つの接触部42a〜cと、第2のハンド部41Bに設けられた1つの接触部42dによって端面が把持され、図中の左右方向に所望の距離だけ揺動可能である。
【0033】
仮にUV照射室10内でオゾン濃度やUV光照射密度に不均一が生じたとしても、UV照射室10内での基板30の揺動により、基板30面内での洗浄効果の均一性を高めることが可能となる。
【0034】
なお、第1および第2のUVユニットそれぞれのUVランプおよびガス供給部は、対称的に配置されていることが好ましい。このような対称配置とすれば、ガスの流れの乱れが生じ難い。
【0035】
また、第1のUVユニットと基板の間隔および第2のUVユニットと基板の間隔は、等しい構成とすることが好ましい。このような構成とすれば、ガスの流れの乱れが生じ難い。
【0036】
さらに、2つのガス供給部(50A、50B)から供給されるガスの導入量を等しくし、2つの排気ユニット(70A、70B)から排出されるガス排気量を等しくすると、ガスの流れに乱れが生じ難い。ガス排気経路部についても、2つのガス排気経路部(80A、80B)を対称に配置した構成とすると、ガスの流れに乱れが生じ難い。
【0037】
ガス供給部(50A、50B)から供給されるガスの総導入量は、40(L/min.)以上であることが好ましい。より好ましくは80(L/min.)以上であり、更に好ましくは100〜120(L/min.)である。但し、150(L/min.)以上のガス供給を行うと、UV照射室10内で発生したオゾン含有ガスが基板導入部(開口部)から漏れたり装置内部の気流を乱す恐れがあるので好ましくない。
【0038】
また、ガス排出部60から排出されるガスの排出量は上述したガスの総導入量に比例することとなるが、ガス総導入量の1.1〜3.0倍であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜2.0倍である。排気ユニット(70A、70B)の極近傍の開口部から基板搬送部40が装置内に入る構成であるため、ガス排出量がガス総導入量の3.0倍を超えた場合には、上記開口部より引き込まれた外部雰囲気が装置内へと進入してしまい装置内の気流に乱れが生じることとなる。
【0039】
UVオゾン洗浄を行う際のオゾン発生量は紫外線照射量に比例し、洗浄効果に影響を及ぼす。適量の酸素存在下でUVオゾン洗浄を行う際、基板表面に十分なオゾンが行き渡るためには、基板表面への紫外線照射量は、単位面積当たり15mJ/cm以上であることが必要である。さらに望ましくは、単位面積当たり30mJ/cm以上である。
【0040】
一方、紫外線照射量を過度に上げると、オゾン濃度が必要以上に高くなり、基板搬送部40の導入口である上述の開口部よりオゾンが装置外部に漏れ出してしまい、安全上好ましくない。もちろん、紫外線照射量を必要以上に低くしてしまうと、十分な洗浄能力を確保するためのオゾン濃度が得られなくなってしまう。
【0041】
このような構成の本発明のUVオゾン洗浄装置は、図5に例示したように、UV照射室下部近傍に回転軸90Aおよび90Bを設けてこれらの回転軸を中心としてUV照射室内の開放を可能とする等して、第1のUVユニット20A側と第2のUVユニット20B側に切離可能としてUV照射室内を開放可能として、UVランプの交換等のメンテナンスを容易なものとした構成としてもよい。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例により、本発明の効果について具体的に説明する。
【0043】
効果の確認のためには、評価試料の表面に付着したイオン量と異物(欠陥)の数を測定したが、それらの具体的な条件は、下記のとおりである。
【0044】
清浄な洗浄を施した石英セルに100mlの超純水を入れ、ヒータで温めながら80℃に保温する。この状態の超純水中に評価対象試料を浸漬し、120分間の浸漬の後に取り出す。そして、浸漬後の超純水を抽出液として、DEONEX製イオンクロマト分析機ICS-3000により各イオン量の測定を行った。なお陰イオン測定には、同社製IonPac AS11-HCを、陽イオン測定には、同社製IonPac CS12Aを用いた。測定されたイオン量は単位換算して、抽出液1リットル中に含まれる各イオンの重量μg(μg/L)で表した。
【0045】
なお、試料表面上の異物(欠陥)の数は、レーザーテック社製のM6640によって行った。また、各条件毎に2枚の試料を作製し、イオン量の測定は各試料につき2回、欠陥数の測定は各1回行い、それぞれの測定値の平均を求めて比較を行うこととした。
【0046】
[未処理試料]オゾン洗浄の効果を明らかにするため、オゾン洗浄を行わずに遮光膜を形成したガラス基板(フォトマスクブランク)の表面に付着しているイオン量および欠陥数を確認した。清浄なガラス基板の表面(主面)に、クロムを主成分とした遮光膜を膜厚70nm成膜してフォトマスクブランクとし、これをクリーンルーム内のマスクストッカーに30日間放置した。このマスクストッカー内は、常時、エアーフィルターを介して送風が行われることにより、内部にクリーンエアーが吹き付けられ、収納されているフォトマスクブランクが清浄に保たれるように管理される。
【0047】
30日間の放置後に、上記フォトマスクブランクの表面に付着した有機物質のイオン量と異物数を測定した。その結果を表1に示した。
【0048】
[実施例1]上述の未処理基板の表面には、表1に示したような量のイオン付着と異物(欠陥)が認められる。そこで、この未処理基板を、本発明のUVオゾン洗浄装置で洗浄した。
【0049】
先ず、図1を参照して説明したように、基板30をUV照射室10内に搬送し、基板搬送部40により揺動させながら3分間UVオゾン洗浄を行った。なお、基板主面に照射される紫外線の量を、単位面積当たりおよそ32mW/cmとし、エアーの供給量を5L/min.、不活性ガスとしての窒素の供給量を45L/min.、供給されるガスの総導入量を50L/min.とした。また、ガス排気量は総導入量の1.5倍とした。
【0050】
荏原実業株式会社製のオゾン濃度計EG2001Bにより基板付近のオゾン濃度を測定したところ、527ppmであった。
【0051】
上述の手法に従い表面に付着した有機物質のイオン量と異物数を測定した結果を、表1に示した。
【0052】
[実施例2]実施例1と同様の洗浄方法でUVオゾン洗浄を行った。なお、基板主面に照射される紫外線の量を、単位面積当たりおよそ32mW/cmとし、エアーの供給量を10L/min.、不活性ガスとしての窒素の供給量を40L/min.、供給されるガスの総導入量を50L/min.とした。また、ガス排気量は総導入量の1.5倍とした。
【0053】
荏原実業株式会社製のオゾン濃度計EG2001Bにより基板付近のオゾン濃度を測定したところ、890ppmであった。
【0054】
上述の手法に従い表面に付着した有機物質のイオン量と異物数を測定した結果を、表1に示した。
【0055】
[比較例1]上述した未処理基板を、図2Aを参照して説明した従来型の洗浄装置で洗浄した。搬送アームにて該未処理基板を保持し、洗浄装置へと導く。この未処理基板は、洗浄装置内の回転ステージに具備された保持具に持ち替えられ、搬送装置に備わる搬送アームは装置内から退出し、UVオゾン洗浄装置開口部が閉じられる。
【0056】
なお、基板主面に照射される紫外線の量を、単位面積当たりおよそ32mW/cmとし、エアーの供給量を10L/min.、不活性ガスとしての窒素の供給量を60L/min.、供給されるガスの総導入量を70L/min.とした。基板を洗浄処理中、回転ステージは基板中心を軸として10rpmで回転する。
【0057】
荏原実業株式会社製のオゾン濃度計EG2001Bにより基板付近のオゾン濃度を測定したところ、400ppmであった。
【0058】
上述の手法に従い表面に付着した有機物質のイオン量と異物数を測定した結果を、表1に示した。
【0059】
[比較例2]上述した未処理基板を、図2Bを参照して説明した従来型の洗浄装置で洗浄した。搬送アームにて該未処理基板を保持し、洗浄装置へと導く。この未処理基板は、洗浄装置内の回転ステージに具備された保持具に持ち替えられ、搬送装置に備わる搬送アームは装置内から退出し、UVオゾン洗浄装置開口部が閉じられる。
【0060】
なお、基板主面に照射される紫外線の量を、単位面積当たりおよそ20mW/cmとし、図2Bに図示した構成の洗浄装置内の排気を行うことによって系外から供給されるエアーを用い洗浄をおこなった。基板は保持具で保持されたまま、基板の上下に設けられているランプが基板面と平行に動きながら処理が行われる。
【0061】
荏原実業株式会社製のオゾン濃度計EG2001Bにより基板付近のオゾン濃度を測定したところ、100ppmであった。
【0062】
上述の手法に従い表面に付着した有機物質のイオン量と異物数を測定した結果を、表1に示した。
【0063】
[表1]

【0064】
これらの結果を比較すると、本発明によれば、従来の洗浄方法に比較して、有機物質のイオン量および異物数の何れにおいても、基板表面の低減が図られている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、洗浄対象面内の清浄度およびその均一性を高めさらにメンテナンスも容易なUVオゾン洗浄装置を提供する。
【符号の説明】
【0066】
100 UV洗浄装置
10 UV照射室
25a、25b UVランプ
20A、20B UVユニット
30 洗浄対象物
40 基板搬送部
50A、50B ガス供給部
60 ガス排出部
70A、70B 排気ユニット
80A、80B ガス排気経路部
90A、90B 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV照射室内に所定の間隔を有するように対向して設けられた第1および第2の2つのUVユニットと、
前記第1および第2のUVユニット間の所定の間隔内に被洗浄物である基板を搬送する基板搬送部と、
前記第1のUVユニットの基板対向面とは反対側からエアーと不活性ガスの混合ガスを前記UV照射室内に搬送された基板に向けて供給する第1のガス供給部と、
前記第2のUVユニットの基板対向面とは反対側からエアーと不活性ガスの混合ガスを前記UV照射室内に搬送された基板に向けて供給する第2のガス供給部と、
前記UV照射室内に搬送された基板の一方端側に設けられたガス排出部と、
前記UV照射室内で発生したオゾン含有ガスを前記基板の他方端側から排気して前記ガス排出部へと導くガス排気経路部とを備えている、UVオゾン洗浄装置。
【請求項2】
前記第1および第2のUVユニット内には、前記UV照射室内に搬送された基板の面上で均一にUV光が照射されるようにUVランプが配置されている請求項1に記載のUVオゾン洗浄装置。
【請求項3】
前記基板搬送部は、前記UV照射室内で基板を揺動可能である請求項1に記載のUVオゾン洗浄装置。
【請求項4】
前記第1および第2のUVユニットは何れも垂直に設けられており、前記ガス排出部は装置の下部に設けられている請求項1に記載のUVオゾン洗浄装置。
【請求項5】
前記UVオゾン洗浄装置は、前記第1のUVユニット側と前記第2のUVユニット側に切り離すことで前記UV照射室内を開放可能である請求項4に記載のUVオゾン洗浄装置。
【請求項6】
前記UVオゾン洗浄装置のUV照射室下部近傍に回転軸が設けられており、該回転軸を中心として前記UV照射室内の開放が可能である請求項5に記載のUVオゾン洗浄装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−235210(P2011−235210A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106763(P2010−106763)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(000190105)信越エンジニアリング株式会社 (22)
【Fターム(参考)】