説明

p型窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体装置

【課題】電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して、p型窒化物半導体の歩留まりを向上させるためのp型窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】p型窒化物半導体の製造方法は、p型不純物を含む窒化物半導体12を準備する準備工程と、アルゴンまたは窒素の少なくともいずれか一方を含むキャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下の温度で、窒化物半導体12にアニール処理を行なうアニール処理工程と、窒化物半導体12に電極を形成する電極形成工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p型窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体装置に関し、たとえば窒化物半導体素子を構成するp型窒化物半導体の製造方法とその製造方法を用いて製造された窒化物半導体素子などの窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)法を用いて作製された窒化物半導体層は、p型不純物をドープしても電気的に中性であり、p型の電気特性を得ることができず、極めて高抵抗であった。このような高抵抗な窒化物半導体層を含んでいる、たとえば窒化物半導体レーザ素子などの素子は電流を流すことができないため、動作させることができなかった。
【0003】
そこで、特許第2540791号公報(特許文献1)では、Mg等のp型不純物がドープされた高抵抗の窒化物半導体層を、実質的に水素を含まない雰囲気中で400℃以上の温度でアニール処理し、窒化物半導体の成長時に水素原子と結合して不活性化したp型不純物から水素原子を解離させることにより、p型の導電性を有するものとする方法が提案されている。また、上記特許文献1では、アニールの雰囲気ガスとしてアルゴン等の不活性ガスを用いることができることも提案されている。
【0004】
また、窒化物半導体素子全体の抵抗は、主に、p型窒化物半導体の抵抗(抵抗率)と、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗とによって主に決定される。これは、p型の窒化物半導体の抵抗(抵抗率)はn型のそれと比べて非常に大きく、正孔キャリア濃度も小さいためと、窒化物半導体はワイドバンドギャップを有するため良好なオーミック特性を有するp電極材料が乏しいこととに起因している。これらの抵抗は、素子の駆動電圧に影響を与えるため、素子の消費電力を低減するためには、これらの抵抗を低減する必要がある。p型窒化物半導体の抵抗率は、上記特許文献1に開示のアニール処理を実施することによって、Mgがドープされた窒化物半導体を低抵抗な(抵抗率の低い)p型の窒化物半導体とすることができる。
【特許文献1】特許第2540791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示のp型窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法では、p型窒化物半導体の抵抗は低減できるものの、コンタクト抵抗に関しては不十分である。そのため、アニール処理を実施しても、たとえばコンタクト抵抗異常(コンタクト抵抗の増大)による突発的な電圧異常が発生し、p型窒化物半導体の歩留まり率が低下するといった問題がある。本発明者らの実験に依れば、特にアニール雰囲気ガスがアルゴンである場合、このような電圧異常が多発しやすく、歩留まりを大きく低下させることが判明した。
【0006】
そこで、本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して、p型窒化物半導体の歩留まりを向上させるためのp型窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のp型窒化物半導体の製造方法によれば、準備工程と、アニール処理工程と、電極形成工程とを備えている。準備工程は、p型不純物を含む窒化物半導体を準備する。アニール処理工程は、アルゴンまたは窒素の少なくともいずれか一方を含むキャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下のアニール温度で、窒化物半導体にアニール処理を行なう。電極形成工程は、窒化物半導体に電極を形成する。
【0008】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、p型不純物はマグネシウムである。
【0009】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、電極は、パラジウム、白金、およびニッケルのうちの少なくとも1つの金属を含んでいる。
【0010】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、キャリアガスはアルゴンでからなる。
【0011】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度は、5ppm以上100ppm以下である。
【0012】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール処理工程は、アニール温度で1分以上30分以下保持する工程を含んでいる。
【0013】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール処理工程は、窒化物半導体をアニール温度で保持する第1保持工程と、アニール温度より低い温度で保持する第2保持工程とを含んでいる。第1保持工程を実施する合計の時間は、1分以上30分以下である。
【0014】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール処理工程後に、窒化物半導体をフッ化水素とフッ化アンモニウムとを含むバッファードフッ酸に1分以上20分以下浸す工程をさらに備えている。
【0015】
本発明の窒化物半導体装置は、上記p型窒化物半導体の製造方法により製造されたp型窒化物半導体を備えている。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明のp型窒化物半導体の製造方法によれば、メタンを含むアニール雰囲気ガス中でアニール処理工程を実施しているので、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して、p型窒化物半導体の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法により製造される窒化物半導体を示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1におけるアニール処理装置を示す概略図である。図4は、第1のガス供給装置の概略構成図である。図5は、第2のガス供給装置の概略斜視図である。図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法について説明する。本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法は、p型不純物を含む窒化物半導体を準備する準備工程(S10)と、キャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下の温度で、窒化物半導体にアニール処理を行なうアニール処理工程(S20)と、窒化物半導体に電極を形成する電極形成工程(S30)とを備えている。
【0019】
詳細には、図1に示すように、まず、p型不純物を含む窒化物半導体を準備する準備工程(S10)を実施する。p型不純物は、マグネシウム(Mg)であることが好ましい。Mgがドープされた窒化物半導体は、良好なp型の特性を有するからである。
【0020】
準備工程(S10)では、たとえば図2に示すように、基板11上に窒化物半導体12を形成する。
【0021】
基板11は、たとえばサファイア、GaN、AlN、AlGaN、SiC、ZrB2などからなる母材だけからなるもの、またはこの母材およびその上に結晶成長により形成された窒化物半導体からなるものなどを準備する。
【0022】
そして、たとえばMOCVD装置(図示せず)の内部に基板11を配置し、窒化物半導体12を成長させるのに適切な所定の温度まで加熱して、その温度で保持する。続いて、窒素と水素とを含むキャリアガスを用いて、III族元素の原料と、p型不純物を含む原料と、窒素の原料であるアンモニアガスとをMOCVD装置の内部に供給し、基板11の上に窒化物半導体12を形成する。
【0023】
なお、窒化物半導体12を成長させるのに適切な所定の温度とは、窒化物半導体12がMgを含むGaNまたはMgを含むAlGaNである場合には、900℃以上1100℃以下であり、好ましくは1000℃以上1080℃以下である。また、窒化物半導体12がMgを含むInAlGaNである場合には、適切な所定の温度は700℃以上1000℃以下である。また、窒化物半導体12がMgを含むInGaNである場合には、適切な所定の温度は700℃以上900℃以下である。適切な所定の温度で窒化物半導体12を成長させると、窒化物半導体12の結晶性が良好となる。
【0024】
また、III族元素の原料としては、TMG((CH33Ga;トリメチルガリウム)、TEG((C253Ga;トリエチルガリウム)、TMA((CH33Al;トリメチルアルミニウム)、TEA((C253Al;トリエチルアルミニウム)、TMI((CH33In;トリメチルインジウム)、またはTEI((C253In;トリエチルインジウム)などを用いることができる。
【0025】
また、p型不純物がMgである場合にMgを含む原料としては、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)や(EtCp)2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)などを用いることができる。なお、(EtCp)2Mgは液体であるため、固体であるCp2Mgに比べてMOCVD装置への供給量を変動させたときの応答が良く、蒸気圧を一定に保つのが容易である。そのため、供給量が生産のロット毎に異なることを容易に防止することができる点で、(EtCp)2Mgを用いることが好ましい。
【0026】
このようにして形成される窒化物半導体12は、たとえばMgを含むGaN、AlGaN、InAlGaN、InGaNなどであり、単数の層からなるものであっても複数の層からなるものであってもよい。
【0027】
次に、キャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下の温度で、窒化物半導体にアニール処理を行なうアニール処理工程(S20)を実施する。具体的には、準備工程(S10)において、基板11上に形成された窒化物半導体12にアニール処理を施す。
【0028】
アニール処理工程(S20)では、アニール雰囲気ガスはメタンを含んでいる。メタンを含むことにより、窒化物半導体12の表面の酸素濃度を減少するとともに、表面近傍の窒素原子が減少する窒素抜けを防止できるので、窒化物半導体12のコンタクト抵抗異常を防止できる。なお、コンタクト抵抗異常とは、非常にコンタクト抵抗が高く、オーミック特性が得られない(ショットキー特性を示す)ことを意味する。
【0029】
また、アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度は、5ppm以上100ppm以下とすることが好ましく、5ppm以上50ppm以下とすることがより好ましい。メタンの濃度を5ppm以上とすることにより、コンタクト抵抗異常を防止する効果が大きい。一方、100ppm以下とすることにより、p型窒化物半導体の抵抗率を抑制できる。50ppm以下とすることにより、抵抗率をより抑制できる。なお、メタンの濃度とは、アニール雰囲気ガス中に占めるメタンの割合を意味するものであり、メタンの分圧÷(メタンの分圧+キャリアガスの分圧)で計算される。
【0030】
アニール処理工程(S20)で用いるキャリアガスは、アルゴンまたは窒素の少なくともいずれか一方を含み、アルゴンであることがより好ましい。キャリアガスとして窒素を用いる場合には、窒素はアルゴンよりも安価である点において好ましい。また、キャリアガスとして窒素を用いる場合には、キャリアガス中の水分濃度を1ppb以下にすることが好ましい。水分濃度を1ppb以下とすることによって、窒素の吸湿性から含んでいる水分を少なくして、窒化物半導体12に通電した場合に電圧異常で窒化物半導体12を頓死させることを防止できる。
【0031】
アルゴンをキャリアガスとして用いる場合には、アルゴンは窒素に比べて熱伝導率が低いため、アニール雰囲気ガスは基板11の周辺に滞留する場合であっても、アニール雰囲気ガスと基板11との間で熱の伝導が少なくなる。そのため、キャリアガスが直接吹き付けるところと吹き付けないところとの温度差が生じにくいので、基板11全体の温度分布に偏りを生じにくくすることができる。また、アルゴンは700℃以上の高温下においても不活性であるため、窒化物半導体表面を化学的な反応によって変化させることがない。そのため、アニール処理工程(S20)後の窒化物半導体12のp型電気特性の面内分布の均一化を図ることができる。よって、アニール雰囲気ガスのキャリアガスとしてアルゴンを用いることがより好ましい。しかしながら、実施例1に示すように、従来、アルゴンは窒素と比較してコンタクト抵抗異常によるp型窒化物半導体の不良が生じやすかったため、キャリアガスとして用いることができなかった。実施の形態1では、キャリアガスとメタンとをアニール雰囲気ガスとすることにより、優れた特性のアルゴンをキャリアガスとすることを可能としている。
【0032】
アニール温度は、700℃以上950℃以下で行なわれ、好ましくは750℃以上850℃以下であり、さらに好ましくは800℃以上820℃以下である。アニール温度が700℃未満の場合、窒化物半導体12にアニール処理を施すとコンタクト抵抗異常の抑制効果がほとんど見られない。750℃以上とすることによって、コンタクト抵抗異常の抑制効果を高めることができる。800℃以上とすることによって、コンタクト抵抗異常の抑制効果をさらに高めることができる。一方、950℃を超えると、窒化物半導体12に熱による損傷が生じて、その結晶性が悪化する可能性があるためである。850℃以下とすることによって、窒化物半導体12の結晶性を良好にできる。820℃以下とすることによって、窒化物半導体12の結晶性をさらに良好にできる。
【0033】
また、アニール処理工程は、アニール温度で1分以上30分以下保持する工程を含んでいることが好ましい。アニール温度で保持する時間であるアニール処理時間は、1分以上30分以下であることが好ましく、10分以上25分以下であることがより好ましい。アニール時間を30分以内とすることによって、窒化物半導体12が熱による損傷を受けることを防止できるとともに、p型の電気特性を良好にできる。アニール時間を25分以下とすることによって、窒化物半導体12の損傷をより防止できるとともに、電気特性をより良好にできる。一方、アニール時間を1分以上とすることによって、窒化物半導体12にコンタクト抵抗異常の抑制効果を施すことができ、窒化物半導体12の歩留まりを向上させることができる。また、アニール時間を10分以上とすることによって、窒化物半導体12の歩留まりをより向上できる。
【0034】
また、アニール雰囲気ガスの流量は、1リットル/分以上15リットル/分以下が好ましく、5リットル/分以上10リットル/分以下がさらに好ましい。
【0035】
次に、アニール処理工程(S20)をより詳細に説明する。アニール処理工程(S20)では、たとえば、準備工程(S10)においてMOCVD装置を用いて形成した窒化物半導体12を、図3に示すアニール処理装置40によってアニール処理する。アニール処理装置40は、図3に示すように、アニール炉41と、サセプタ42と、加熱装置43と、アニール雰囲気ガス供給口44と、パージガス供給口45と、排気口46と、真空装置47とを備える。加熱装置43は、ヒーター加熱装置、RF(Radio‐Frequency;高周波)加熱装置、またはランプ加熱装置などを用いることができる。実施の形態1では、昇温および降温速度を速くすることができ、アニール処理に必要な時間を短縮させることができるため、ランプ加熱装置を用いている。なお、パージガス供給口45は、アニール雰囲気ガス供給口44で兼用できる場合は省略できる。
【0036】
アニール処理装置40によってアニール処理工程(S20)を実施する方法は、たとえば、基板11をMOCVD装置から取り出してアニール処理装置40にセットする工程(S21)と、真空置換工程(S22)と、昇温する工程(S23)と、アニール処理を施す工程(S24)と、降温する工程(S25)とを備えている。
【0037】
具体的には、まず、準備工程(S10)においてMOCVD装置で窒化物半導体12を形成した基板11を、アニール処理装置40のサセプタ42にセットする工程(S21)を実施する。
【0038】
次に、真空装置47を用いてアニール炉41の内部を真空引きし、続いてアニール雰囲気ガス供給口44からアニール雰囲気ガスを供給して、真空置換工程(S22)を行なう。ここで、真空引きとは、真空装置47を用いてアニール炉41の内部の気体を排気することによりアニール炉41の内部を略常圧から10Torr以下に減圧することを意味する。
【0039】
なお、真空置換工程(S22)は省略することもできるが、次に挙げる利点を有する点で実施することが好ましい。アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度は低いため、真空置換工程を実施せずにアニール雰囲気ガスを流すと、真空置換工程(S22)前にアニール炉41の内部に存在していた気体がメタンよりも高い濃度で残り、アニール炉41の内部を完全にアニール雰囲気ガスだけで満たすことができない。またアニール炉41の内部でメタンの濃度に偏りが生じることとなる。しかし、真空置換工程(S22)を実施することにより、アニール炉内部に存在していた気体を排気してからアニール雰囲気ガスでパージし、アニール炉41の内部をアニール雰囲気ガスで完全に置換することができる。そのため、アニール炉41の内部でのメタンの濃度をほぼ均一とすることができる。実施の形態1におけるアニール処理工程(S20)を実施することによって、窒化物半導体12のコンタクト抵抗異常の低減を偏りなく窒化物半導体12全体に均一にできるため、基板11を切り出して作製する窒化物半導体12ごとに、電極を形成した時のコンタクト抵抗異常の抑制効果のばらつきが生じず、歩留まりを向上させることができる。
【0040】
そして、真空置換工程(S22)を実施した後、アニール雰囲気ガス供給口44からアニール雰囲気ガスを1リットル/分以上15リットル/分以下の流量で流しながら、加熱装置43を用いてアニール炉41の内部を700℃以上950℃以下の温度範囲のアニール温度まで昇温させる工程(S23)を実施する。
【0041】
そして、昇温させる工程(S23)を実施した後、アニール雰囲気ガスを流しながら、アニール炉41の内部を所定の時間(以下、アニール時間とする)、700℃以上950℃以下のアニール温度で保持してアニール処理を施す工程(S24)を実施する。アニール時間は、1分以上30分以下とする。アニール処理を施す工程(S24)において、コンタクト抵抗異常を抑制するとともに、窒化物半導体12を熱的に安定なp型窒化物半導体にすることが同時に達成される。
【0042】
そして、アニール処理を施す工程(S24)の後、アニール炉41の内部をアニール温度から降温する工程(S25)を実施する。この降温する工程(S25)では、アニール処理を施す工程(S24)でアニール時間が経過した後、加熱装置43の出力を停止し、冷却ガスとして窒素またはアニール雰囲気ガスをアニール炉41の内部に流しながらアニール炉41の内部の温度をアニール温度から降温させる。冷却ガスの流量は、1リットル/分以上30リットル/分以下が好ましい。また、冷却ガスの流量は、アニール処理を施す工程(S24)時のアニール雰囲気ガスの流量以上が好ましく、アニール処理を施す工程(S24)時のアニール雰囲気ガスの流量の1.2倍以上2倍程度以下がより好ましい。冷却ガスの流量を1リットル/分以上またはアニール処理を施す工程(S24)時のアニール雰囲気ガスの流量以上とすることによって、アニール炉41の内部をより速く降温させることができ、基板11の窒化物半導体12への熱的な損傷を抑制し、またアニール処理工程(S20)の時間を短縮することができる。アニール処理工程(S24)時のアニール雰囲気ガスの流量の1.2倍以上とすることによって、アニール処理工程(S20)の時間をより短縮することができる。
【0043】
冷却ガスは、特に限定されず、たとえば空気、窒素、およびアニール雰囲気ガスなどを用いることができるが、窒素またはアニール雰囲気ガスを用いることが好ましい。冷却ガスとして窒素を用いる場合にはパージガス供給口45から供給し、冷却ガスとしてアニール雰囲気ガスを用いる場合にはアニール雰囲気ガス供給口44から供給する。冷却ガスとして窒素を用いると、窒素はアルゴンよりも熱伝導率が高いため、アルゴンよりも早くアニール炉41の内部の温度を降温させることができるので、基板11上に形成された窒化物半導体12への熱的な損傷をより抑制することができ、アニール処理工程(S20)に要する時間をより短縮することができる。
【0044】
冷却ガスとしてアニール雰囲気ガスを用いる場合には、アニール温度から常温までアニール雰囲気ガスを流しながら降温する。また、アニール炉41の内部の温度が約400℃となるまではアニール雰囲気ガス中のメタンによる効果が持続するため、アニール温度から約400℃まではアニール雰囲気ガスを流し、約400℃から常温までは窒素を流しながら降温することが、コスト低減の観点から好ましい。
【0045】
次に、アニール雰囲気ガスのアニール処理装置40への供給方法について説明する。アニール雰囲気ガスは、たとえば図4に示す第1のガス供給装置50を用いて、アニール雰囲気ガス供給口44からアニール処理装置40に供給することができる。図4に示すように、第1のガス供給装置50は、ガスボンベ51と配管53と流量制御装置55とを備えている。ガスボンベ51とアニール雰囲気ガス供給口44とは、配管53によって接続され、配管53の途中には流量制御装置55が設けられている。ガスボンベ51には、キャリアガスとメタンとが所定の濃度(好ましくは5ppm〜100ppm)で混合されたアニール雰囲気ガスが貯蔵されている。ガスボンベ51から供給されるアニール雰囲気ガスは配管53から流量制御装置55により所定の流量でアニール雰囲気ガス供給口44へ供給される。
【0046】
第1のガス供給装置50を用いることによって、アニール炉41内でのアニール雰囲気ガス中のメタンからなる有機化合物の濃度を常に一定に保つことができる。そのため、生産ロット間での窒化物半導体12のコンタクト抵抗異常の抑制効果のばらつきを抑えることが可能である。第1のガス供給装置50を用いることにより、アニール雰囲気中のメタン濃度を一定に保つことができるので、アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度を低くかつ好適な濃度範囲に保持できる。
【0047】
また、アニール雰囲気ガスは、たとえば図5に示す第2のガス供給装置60を用いて、アニール雰囲気ガス供給口44からアニール処理装置40に供給することができる。第2のガス供給装置60は、キャリアガスを貯蔵する第1のガスボンベ61と、メタンを貯蔵する第2のガスボンベ62と、配管63と、2個の流量制御装置65,66とを備える。配管63は、主管63aおよび枝管63bからなり、主管63aの一端はアニール雰囲気ガス供給口44に、他端は第1のガスボンベ61に接続されている。また、枝管63bの一端は主管63aに、他端は第2のガスボンベ62に接続されている。また、主管63aにおいて、第1のガスボンベ61と、枝管63bとの接続部63cとの間には流量制御装置65が、枝管63bにおいて第2のガスボンベ62と、主管63aとの接続部63cとの間には流量制御装置66が設けられている。
【0048】
第2のガス供給装置60は、アニール雰囲気ガス供給口44の手前、すなわち主管63aと枝管63bとの接続部63cで、第1のガスボンベ61から供給されるキャリアガスと第2のガスボンベ62から供給されるメタンとを混合してアニール雰囲気ガスを調製し、アニール処理装置40に供給している。実施の形態1では、メタンの流量はキャリアガスの流量と比べて極めて少ないので、アニール雰囲気ガス供給口44に向けて確実に所望の濃度のアニール雰囲気ガスを供給するために、枝管63bからキャリアガスの流れる主管63aに供給される。
【0049】
第2のガス供給装置60を用いることによって、キャリアガスおよびメタンの流量はそれぞれ流量制御装置65,66によって独立して制御できるため、アニール雰囲気ガスの流量およびアニール雰囲気ガス中のメタンの濃度を随時、任意に設定することができる。また、第2のガスボンベ62からのキャリアガスの供給を停止し、第1のガスボンベ61からのみキャリアガスを供給すれば、このキャリアガスをパージガスとして用いることができるため、パージガス供給口45をアニール雰囲気ガス供給口44で代用することができる。
【0050】
次に、窒化物半導体12に電極を形成する電極形成工程(S30)を実施する。電極は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、およびニッケル(Ni)のうちの少なくとも1つの金属を含んでいることが好ましい。これらの電極材料を選択することにより、良好なコンタクト抵抗を得られる。
【0051】
電極を形成する方法は特に限定されないが、たとえば蒸着法として、EB蒸着法やスパッタ法などを用いることができる。
【0052】
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、コンタクト抵抗が低減されたp型窒化物半導体を製造できる。そして、このp型窒化物半導体を備える窒化物半導体装置を製造できる。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法によれば、p型不純物を含む窒化物半導体12を準備する準備工程(S10)と、アルゴンまたは窒素の少なくともいずれか一方を含むキャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下のアニール温度で、窒化物半導体12にアニール処理を行なうアニール処理工程(S20)と、窒化物半導体12に電極を形成する電極形成工程(S30)とを備えている。アニール雰囲気ガスにメタンを含むことにより、アニール処理工程(S20)で窒化物半導体表面の酸素濃度の増大および窒素抜けを防止できる。そのため、電極と窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常を防止できるので、突発的に発生するp型窒化物半導体の電圧異常を抑制できる。また、キャリアガスに窒素またはアルゴンの少なくともいずれか一方を含むことにより、アニール処理工程(S20)でp型窒化物半導体を熱的により安定させることができる。よって、p型窒化物半導体の歩留まりを向上させることができるとともに、p型窒化物半導体の信頼性を向上できる。
【0054】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、p型不純物はマグネシウムである。これにより、優れた特性のp型窒化物半導体を製造できる。
【0055】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、電極は、パラジウム、白金、およびニッケルのうちの少なくとも1つの金属を含んでいる。これにより、コンタクト抵抗をさらに低減できるp型窒化物半導体を製造できる。
【0056】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、キャリアガスはアルゴンからなる。これにより、アニール処理工程(S20)後の窒化物半導体12のp型電気特性の面内分布の均一化を図ることができる。
【0057】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度は、5ppm以上100ppm以下である。5ppm以上とすることによって、
コンタクト抵抗異常を防止する効果が大きい100ppm以下とすることによって、p型窒化物半導体の抵抗率を抑制できる。
【0058】
上記p型窒化物半導体の製造方法において好ましくは、アニール処理工程(S20)は、アニール温度で1分以上30分以下保持する工程を含んでいる。アニール時間を1分以上とすることによって、窒化物半導体12にコンタクト抵抗異常の抑制効果を施すことができ、p型窒化物半導体の歩留まりを向上させることができる。アニール時間を30分以内とすることによって、窒化物半導体12が熱による損傷を受けることを防止できるとともに、p型の電気特性を良好にできる。
【0059】
本発明の窒化物半導体装置は、上記p型窒化物半導体の製造方法により製造されたp型窒化物半導体を備えている。実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法は、コンタクト抵抗を減少できるp型窒化物半導体を製造できるため、このようなp型不純物を含む窒化物半導体を備えた半導体装置の駆動電圧(消費電力)を低減することができる。これにより、窒化物半導体装置を小型化し、長時間駆動を可能とすることができる。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態2のp型窒化物半導体の製造方法は、基本的には実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法と同様の構成を備えているが、アニール処理工程(S20)で用いるアニール処理装置の加熱装置がランプ加熱方式のRTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いた点およびアニール処理を施す工程(S24)が異なる点においてのみ異なる。
【0061】
実施の形態2では、図3に示すアニール処理装置40において、加熱装置43としてRTA装置を用いている。RTA装置は昇降温速度が速く、アニール処理工程(S20)の昇温および降温にかかる時間を短くすることができる。また、RTA装置を用いることにより、窒化物半導体12への熱による損傷を考慮して、熱による結晶性の悪化が問題にならない程度の短時間で、かつコンタクト抵抗を効果的に低減できる高温で、アニール処理を施す工程(S24)を繰り返し実施することができる。
【0062】
実施の形態2におけるアニール処理工程(S20)は、窒化物半導体をアニール温度で保持する第1保持工程と、アニール温度より低い温度で保持する第2保持工程とを含み、第1保持工程を実施する時間の合計は、1分以上30分以下としている。なお、実施形態の形態2におけるアニール処理工程(S20)のアニール処理を施す工程(S24)では、アニール温度は、700℃以上950℃以下、好ましくは750℃以上850℃以下である。なお、第2保持工程は、第1保持工程より低い温度であれば一定の温度でなくてもよいが、たとえば600℃〜300℃まで冷却して保持することが好ましい。
【0063】
たとえば、アニール温度で2分間保持し、アニール温度以下に冷却して3分間保持する工程を5回繰り返した場合、アニール温度に保持された時間の合計は2分×5回=10分であり、1分以上30分以下の範囲内である。このように、アニール処理工程(S20)を、アニール温度で保持する第1保持工程と、アニール温度以下へ冷却する第2保持工程とを繰り返すものとすることにより、アニール温度で連続的に保持するよりも窒化物半導体12の熱による損傷を低減させることができる。ただし、実施の形態2において、第1保持工程と第2保持工程とを複数回繰り返してもよいし、1回だけとしてもよい。
【0064】
また、実施の形態1および実施の形態2では、窒化物半導体12を形成した後、基板11をMOCVD装置から取り出してアニール処理装置40でアニール処理を行なっているが、特にこれに限定されない。たとえば、準備工程(S10)で基板11をMOCVD装置から取り出さずに、MOCVD装置内で引き続きアニール処理工程(S20)を行なってもよい。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施の形態2におけるp型窒化物半導体の製造方法によれば、アニール処理工程(S20)は、窒化物半導体をアニール温度で保持する第1保持工程と、アニール温度より低い温度で保持する第2保持工程とを含み、第1保持工程を実施する時間の合計は、1分以上30分以下である。これにより、アニール処理工程(S20)において熱による損傷を窒化物半導体12が受けにくくなる。そのため、製造されるp型窒化物半導体のp型の特性がより良好にできる。
【0066】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3におけるp型窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。図6を参照して、本発明の実施の形態3におけるp型窒化物半導体の製造方法について説明する。実施の形態3のp型窒化物半導体の製造方法は、基本的には実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法と同様の構成を備えているが、洗浄工程を備えている点においてのみ、実施の形態1のp型窒化物半導体の製造方法と異なる。
【0067】
詳細には、図6に示すように、アニール処理工程(S20)と電極形成工程(S30)との間に、さらに、p型不純物を含む窒化物半導体12を、フッ化水素とフッ化アンモニウムを含むバッファードフッ酸に、1分以上20分以下の時間浸す洗浄工程(S40)をさらに備えている。
【0068】
バッファードフッ酸で洗浄する時間は1分以上20分以下が好ましく、1分以上5分以下であることがより好ましい。洗浄時間を1分以上とすることによって、アニール雰囲気ガスのメタンにより発生する窒化物半導体表面の炭素を除去できる。一方、洗浄時間を20分以上行なっても窒化物半導体12表面の炭素除去の効果があまり変らないため、プロセス時間の短縮という観点から20分以下が好ましい。5分以下とすることによって、プロセス時間をより短縮できる。
【0069】
バッファードフッ酸中の約40wt%のフッ化アンモニウムに対する約50wt%のフッ化水素の比は、10以上100以下が好ましい。この範囲で混合されたバッファードフッ酸を用いることによって、窒化物半導体12表面の炭素除去の効果を効率的に得ることができる。
【0070】
また、洗浄工程(S40)は、バッファードフッ酸で洗浄する前に純水やアルコールなどで洗浄を実施するプレ洗浄工程を含んでいてもよい。また、洗浄工程(S40)は、バッファードフッ酸で洗浄した後に純水などで洗浄を実施するリンス工程を含んでいてもよい。また、プレ洗浄工程およびリンス工程の際に、超音波を印加して行なってもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明の実施の形態3におけるp型窒化物半導体の製造方法によれば、アニール処理工程(S20)後に、窒化物半導体12をフッ化水素とフッ化アンモニウムとを含むバッファードフッ酸に1分以上20分以下浸す洗浄工程(S40)をさらに備えている。キャリアガスにメタンを含む雰囲気でアニール処理工程(S20)を実施すると、窒化物半導体12表面に存在する酸素を除去することができるが、その一方で、炭素による表面の汚染が生じる場合がある。メタンを含むアニール雰囲気ガス中でアニール処理工程(S20)を実施すると、メタンを含まないアニール雰囲気ガス中でアニール処理したものと比較して、窒化物半導体12表面の炭素濃度は3割程度増加していた。実施の形態3では、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムとを含むバッファードフッ酸で洗浄を行なう洗浄工程(S30)を実施することにより、窒化物半導体12表面に付着した炭素濃度を低減することができるとともに、酸素濃度もさらに低減できる。
【0072】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
実施例1では、準備工程(S10)として、Mgが添加されたGaNである窒化物半導体を準備した。そして、アニール処理工程(S20)では、窒化物半導体について、キャリアガスであるアルゴンと、10ppmのメタンとからなるアニール雰囲気ガス中で、アニール温度を800℃、アニール時間を15分として実施した。なお、メタンの濃度とは、アニール雰囲気ガス中に占めるメタンの割合を意味するものであり、メタンの分圧÷(メタンの分圧+キャリアガスの分圧)で計算される。実施例1では、簡易的に各々のガスの流量比を基準にして、アニール雰囲気ガス中のメタンが所定の濃度となるように混合した。次に、電極形成工程(S30)として、窒化物半導体の表面にPd、Mo、Auの順序で蒸着を行なって電極を形成した。これにより、実施例1のp型窒化物半導体を得た。
【0074】
(比較例1)
比較例1は、基本的には実施例1と同様であるが、アニール処理工程(S20)においてアニール雰囲気ガスをキャリアガスであるアルゴンのみを用いた点においてのみ異なる。
【0075】
(測定方法)
実施例1および比較例1のp型窒化物半導体について、コンタクト抵抗および抵抗率を測定した。コンタクト抵抗は、TLM法(Transmission Line Model)を用いて評価した。また、抵抗率はホール素子を用いて評価した。
【0076】
(測定結果)
アルゴン雰囲気でアニール処理工程を実施した比較例1のp型窒化物半導体のコンタクト抵抗は、正常なもので評価した結果、200kΩ〜500kΩであった。一方、アルゴンとメタンとからなるアニール雰囲気ガスでアニール処理工程(S20)を行なった実施例1のp型窒化物半導体のコンタクト抵抗は、150kΩ以下となった。なお、コンタクト抵抗異常が生じると、コンタクト抵抗は1MΩ以上になった。また、キャリアガスがアルゴンの場合に限らず、キャリアガスとして窒素などを用いてアニール処理工程(S20)を実施したp型窒化物半導体の場合でも同様にコンタクト抵抗は高かった。
【0077】
また、実施例1のp型窒化物半導体の抵抗率は約2.0Ωcmであったのに対して、比較例1のp型窒化物半導体の抵抗率は約2.2Ωcmであった。
【0078】
以上説明したように、キャリアガスにメタンを添加してアニール処理工程(S20)を実施すると、コンタクト抵抗および抵抗率を低減できることが確認できた。
【0079】
次に、実施例1および比較例1のp型窒化物半導体の製造方法において、アニール処理工程(S20)実施後の窒化物半導体(試料1および試料2)の表面に付着している酸素濃度、およびその表面近傍の窒素とガリウムとの化学量論比(窒素の濃度÷ガリウムの濃度)について、オージェ電子分光測定(AES測定)を行なった。また、アニール処理工程(S20)を実施しなかった窒化物半導体(試料3)の表面に付着している酸素濃度およびその表面近傍の化学量論比についても同様に測定した。その結果を表1に示す。なお、表1において、実施例1および比較例1のp型窒化物半導体の製造方法におけるアニール処理工程後の窒化物半導体を、それぞれ試料1、および試料2とし、アニール処理工程(S20)を実施しなかった窒化物半導体を試料3とした。
【0080】
【表1】

【0081】
(測定結果)
表1に示すように、アニール処理工程(S20)を実施しなかった試料3の窒化物半導体の酸素濃度は4.3%であったが、アルゴン雰囲気中でアニール処理工程を実施した試料2の窒化物半導体の酸素濃度は21.4%まで上昇した。アルゴンとメタンとからなるアニール雰囲気ガスでアニール処理工程(S20)を実施した試料1の酸素濃度は17.5%であり、アルゴンのみでアニール処理した試料2の窒化物半導体と比較して、窒化物半導体表面での酸素濃度を低下できることがわかった。
【0082】
酸素濃度の測定の結果から、窒化物半導体が結晶成長される工程で酸素が不純物として結晶中に取り込まれるなどして、アニール処理工程(S20)を実施する際に酸素が表面に析出したことがわかった。このことから、突発的に発生するコンタクト抵抗異常(電圧異常)によるp型窒化物半導体の不良は、窒化物半導体表面での酸素濃度がアニール処理ごとに微妙に異なり、ある閾値を超えると、コンタクト抵抗異常(コンタクト抵抗の増大)を引き起こしていたものと考えられる。したがって、コンタクト抵抗異常の原因は、p型窒化物半導体の表面に存在す酸素または酸化物が原因であることを見出すことができた。
【0083】
なお、試料2では、アニール処理工程でキャリアガスとしてアルゴンを用いたが、アルゴン以外の窒素などのガスをキャリアガスとしてアニール処理を実施する場合も、アルゴンをキャリアガスとして用いた場合と同様に酸素濃度は上昇した。ただし、窒素雰囲気中でアニール処理をする場合の酸素濃度の上昇割合は、アルゴン雰囲気中でアニール処理をする場合の酸素濃度の上昇割合に比べて小さかった。
【0084】
また、表1に示すように、アルゴンとメタンとからなるアニール雰囲気ガス中でアニール処理を実施した試料1の窒化物半導体の表面近傍に存在している窒素とガリウムとの割合(化学量論比)は、理想的な1に近づくことがわかった。一方、アルゴン雰囲気中のみでアニール処理を実施した試料2は、理論値である1から大きくずれることがわかった。
【0085】
化学量論比の測定結果から、p型窒化物半導体の表面近傍において窒素が減少することは窒素抜けを意味し、このような欠陥はp型の電気特性を悪化させるので、コンタクト抵抗異常の原因は、窒素抜けが原因であることも見出すことができた。
【0086】
なお、アルゴン以外の窒素などのガスをキャリアガスとしてアニール処理を実施する場合も、アルゴンをキャリアガスとして用いた場合と同様に化学量論比は、1からずれてしまう。ただし、窒素雰囲気中でアニール処理をする場合には、アルゴン雰囲気でアニール処理をする場合よりも化学量論比のずれは小さい。
【0087】
以上説明したように、コンタクト抵抗異常またはコンタクト抵抗の増大は、アニール処理工程を実施したことによる窒化物半導体の表面での酸素濃度の増大および窒素抜けが主な原因であると本願発明者らは鋭意研究の結果、見出した。そして、キャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中でアニール処理をすることにより、酸素濃度の減少および窒素抜けを防止できることを確認できた。すなわち、窒化物半導体表面での酸素濃度の増大および窒素抜けを防止することによりコンタクト抵抗異常によるp型窒化物半導体の不良率を低減することができるとともに、抵抗率も減少できることが確認できた。
【0088】
(実施例2)
実施例2は、本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法にしたがって、図7に示す窒化物半導体レーザ素子を製造した。以下、詳細に説明する。なお、図7は、実施例2における窒化物半導体レーザ素子の概略構成図である。
【0089】
まず、p型不純物を含む窒化物半導体を準備する準備工程(S10)を実施した。具体的には、MOCVD装置の内部にn型GaN基板21を配置し、1050℃まで加熱して、保持した。その状態で、n型不純物の原料であるSiH4と、III族元素の原料であるTMGと、V族元素の窒素の原料であるアンモニアガスとを加え、MOCVD装置の内部に供給し、n型GaN基板21上に厚さ1μmのn型GaN層31を下地層として形成した。このn型GaN層31は、n型GaN基板21の表面モフォロジーの改善と研磨によるn型GaN基板21の表面に残留した応力歪みを緩和させてエピタキシャル成長にふさわしい最表面を形成するために積層した。
【0090】
次に、III族元素のAlの原料としてTMAを用いて、厚さ2.3μm、Si不純物濃度が5×1017個/cm3の第1のn型Al0.062Ga0.938Nクラッド層32a、厚さ0.15μm、Si不純物濃度が5×1017個/cm3の第2のn型Al0.10Ga0.90Nクラッド層32b、および厚さ0.1μm、Si不純物濃度が5×1017個/cm3の第3のn型Al0.062Ga0.938Nクラッド層32cを積層して、n型AlGaNクラッド層32を形成した。続いて、厚さ0.1μm、Si不純物濃度が3×1017個/cm3のn型GaN光ガイド層33を形成した。
【0091】
n型GaN光ガイド層33を形成した後、n型GaN基板21の温度を800℃に下げ、3周期の周期構造の多重量子井戸構造を有する発光層34を形成した。なお、発光層34は、n型GaN基板21側から順に、厚さ20nmのアンドープのIn0.003Ga0.997N障壁層、厚さ4nmのアンドープのIn0.09Ga0.91N井戸層、厚さ8nmのアンドープのIn0.003Ga0.997N障壁層、厚さ4nmのアンドープのIn0.09Ga0.91N井戸層、厚さ8nmのアンドープのIn0.003Ga0.997N障壁層、厚さ4nmのアンドープのIn0.09Ga0.91N井戸層とした。
【0092】
発光層34を形成した後、厚さ70nmの中間層35を形成した。中間層35は、厚さ20nmのアンドープのIn0.003Ga0.997N層、厚さ10nmのSiがドープされたSi不純物濃度が約7×1017個/cm3のGaN層と、厚さ40nmのアンドープGaN層がこの順序で成長された層である。
【0093】
次に、n型GaN基板21の温度を再び1050℃まで昇温して、p型不純物が添加された厚さ20nmのAlGaNからなるキャリアブロック層36、p型不純物が添加された厚さ20nmのp型GaN光ガイド層37、p型不純物が添加された厚さ0.5μmのp型AlGaNクラッド層38、およびp型不純物が添加された厚さ0.1μmのp型GaNコンタクト層39を順次形成した。
【0094】
ここでキャリアブロック層36のAl組成比は30%、p型AlGaNクラッド層のAl組成比は5.5%とした。また、キャリアブロック層36、p型GaN光ガイド層37、p型AlGaNクラッド層38、およびp型GaNコンタクト層39は、p型不純物として(EtCp)Mgを原料として、Mgを添加した。
【0095】
その後、p型GaNコンタクト層39を成長させた。これにより、p型不純物を含む窒化物半導体を準備した。
【0096】
次に、キャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下のアニール温度で、窒化物半導体にアニール処理を行なうアニール処理工程(S20)を実施した。具体的には、準備工程(S10)で準備された窒化物半導体をMOCVD装置から取り出し、図3に示すアニール処理装置でアニール処理を行なった。アニール雰囲気ガスの供給形態としては図4に示す第1のガス供給装置50を用いた。
【0097】
詳細には、まず、n型GaN基板21をアニール処理装置40のサセプタ42にセットした。次に、アニール炉41の内部を真空装置47で5分間真空引きを行なった。次に、アニール雰囲気ガス供給口44からアニール雰囲気ガスを供給した。実施例2で用いたアニール雰囲気ガスは、アルゴンとメタンとを含む混合ガスであって、メタンの濃度は5ppmとした。
【0098】
次に、アニール炉41の内部にアニール雰囲気ガスを5リットル/分で流しながら、加熱装置43を用いてアニール炉41の内部を常温からアニール温度の800℃まで昇温させた。続いて、アニール炉41の内部を800℃で10分間保持した。10分間のアニール時間の経過後、加熱装置43の出力を停止するとともに、アニール雰囲気ガスの流量を10リットル/分に増加させ、アニール炉41の内部を400℃まで降温させた。
【0099】
次に、窒化物半導体にn電極を形成した。具体的には、アニール処理工程(S20)を終えた後、n電極24として、n型GaN基板21の窒化物半導体層30が形成された側とは反対側の面に、n電極24として、Hf(ハフニウム)、Alの順序(Hf/Al)で形成した。そして、n電極24にn型電極パッドとしてAuを蒸着した。
【0100】
次に、窒化物半導体に電極を形成する電極形成工程(S30)を実施した。具体的には、窒化物半導体層30上のp電極23を形成する部分をストライプ状にエッチングし、リッジストライプ部を形成した。リッジストライプ部の幅は1.6μmとした。その後、厚さ200nmのSiO誘電体膜22をp型GaNコンタクト層39上に蒸着し、p型GaNコンタクト層39を露出させた。そして、Pd、Mo、およびAuの順序で蒸着してp電極23を形成した。Pd、Mo、およびAuのそれぞれの厚さは15nm、15nm、および200nmとした。
【0101】
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、図7に示す窒化物半導体レーザ素子20を製造した。窒化物半導体レーザ素子20は、(0001)面n型GaN基板21と、n型GaN層31と、n型AlGaNクラッド層32と、n型GaN光ガイド層33と、発光層34と、中間層35と、p型AlGaNからなるキャリアブロック層36と、p型GaN光ガイド層37と、p型AlGaNクラッド層38と、p型GaNコンタクト層39と、SiO誘電体膜22と、本発明の電極であるp電極23と、n電極24とを備えている。ここで、n型AlGaNクラッド層32は、n型GaN基板21側から順に第1のn型AlGaNクラッド層32a、第2のn型AlGaNクラッド層32b、および第3のn型AlGaNクラッド層32cで構成されている。また、n型GaN層31、n型AlGaNクラッド層32、n型GaN光ガイド層33、発光層34、中間層35、p型AlGaNからなるキャリアブロック層36、p型GaN光ガイド層37、p型AlGaNクラッド層38およびp型GaNコンタクト層39をまとめて窒化物半導体層30としている。
【0102】
このようにして得られた窒化物半導体レーザ素子20のコンタクト抵抗異常による素子不良率は、約10%未満であった。以上説明したように、実施例2(実施の形態1)におけるp型窒化物半導体の製造方法によれば、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して、p型窒化物半導体の歩留まりを向上できることが確認できた。
【0103】
なお、キャリアブロック層36のAl組成比は30%としたが、10%以上35%以下で調整可能である。また、n型AlGaNクラッド層32とp型AlGaNクラッド層38のAl組成比は、その他のAl組成比を選択しても構わないし、p型AlGaNクラッド層38の替わりに、MgドープGaN/MgドープAlGaNからなる超格子を用いてもよい。また、実施例2では、n電極24およびp電極23を形成する前にアニール処理工程(S20)をしたが、これらの電極の形成後にアニール処理工程(S20)をしてもよい。また、p電極23は、実施例2ではPdを用いたが、Pdの代わりにPtまたはNiを用いてもよい。また、n電極24の材料としては、Hf/Alの他に、Ti/Al、Ti/Mo、またはHf/Au等を用いてもよい。
【0104】
(実施例3)
実施例3では、本発明の実施の形態2におけるp型窒化物半導体の製造方法にしたがって、窒化物半導体レーザ素子を製造した。実施例3の窒化物半導体レーザ素子の製造方法は、基本的には実施例2と同様の構成を備えているが、アニール処理工程(S20)においてのみ異なる。
【0105】
実施例3では、図3示すアニール処理装置40の加熱装置43としてランプ加熱方式のRTA装置を用いた。具体的には、実施例3と同様に窒化物半導体層30が形成されたn型GaN基板21をアニール処理装置40のサセプタ42にセットした。次に、アニール炉41の内部を真空装置47で5分間真空引きを行なった。次に、アニール雰囲気ガス供給口44からアニール雰囲気ガスを供給した。実施例3で用いたアニール雰囲気ガスは、窒素とメタンとを含む混合ガスであって、メタンの濃度は100ppmとした。
【0106】
次に、アニール雰囲気ガスを5リットル/分で流しながら、アニール炉41の内部を加熱装置43であるRTA装置のランプを用いて、常温からアニール温度の920℃まで1分で到達させた。続いて、アニール炉41の内部を920℃で1分間保持し、加熱装置43の出力を停止させて約60秒で600℃まで冷却した。この一連の工程を5回繰り返したのち、アニール雰囲気ガスの流量を10リットル/分に増加させ、アニール炉41の内部を400℃まで降温させた。
【0107】
以上の工程(S10〜S30)を実施することにより、実施例3の窒化物半導体レーザ素子を製造した。実施例3の窒化物半導体レーザ素子は、図7に示す実施例2の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を備えていた。
【0108】
このようにして得られた窒化物半導体レーザ素子のコンタクト抵抗異常による素子不良率は、約8%未満であった。以上説明したように、実施例3(実施の形態2)におけるp型窒化物半導体の製造方法によれば、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して、素子の歩留まりを向上できることが確認できた。
【0109】
(実施例4)
実施例4では、本発明の実施の形態3におけるp型窒化物半導体の製造方法にしたがって、窒化物半導体レーザ素子を製造した。実施例4の窒化物半導体レーザ素子の製造方法は、基本的には実施例2と同様の構成を備えているが、洗浄工程(S40)をさらに備えている点においてのみ異なる。
【0110】
実施例4では、具体的には、実施例2と同様に準備工程(S10)を実施して得られた窒化物半導体素子が形成されたウエハーについて洗浄工程(S40)を実施した。洗浄工程(S40)では、まずアセトンとエタノールとでそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄を実施した。その後、約40wt%のフッ化アンモニウムを1に対して、約50wt%のフッ化水素酸を40の割合で混合したバッファードフッ酸中に、ウエハーを1分間浸して洗浄した後、超純水で5分間リンスを行なった。その後、実施例2と同様に、電極形成工程(S30)を実施した。
【0111】
以上の工程(S10〜S40)を実施することにより、実施例4の窒化物半導体レーザ素子を製造した。実施例4の窒化物半導体レーザ素子は、図7に示す実施例2の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を備えていた。
【0112】
このようにして得られた窒化物半導体素子のコンタクト抵抗異常による素子不良率は、約6%未満であった。実施例4(実施の形態3)のp型窒化物半導体の製造方法によれば、電極とp型窒化物半導体との間のコンタクト抵抗異常による電圧異常を防止して素子の歩留まりを向上できることが確認できた。
【0113】
なお、実施例2〜4では、窒化物半導体装置として、窒化物半導体レーザ素子を例に説明したが、窒化物半導体レーザ素子以外の素子、たとえば、発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、またはトランジスタ等にも適用できる。
【0114】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のp型窒化物半導体の製造方法により製造されるp型窒化物半導体装置は、従来の窒化物半導体装置に比べてp型窒化物半導体のコンタクト抵抗が低いため、消費電力が低く、窒化物半導体装置全体として小型化、長時間駆動を実現することができる。そのため、本発明の窒化物半導体装置は、たとえば窒化物半導体レーザ素子、窒化物半導体発光ダイオード、窒化物半導体電子デバイス、窒化物半導体系トランジスタなどの半導体素子や、これらの半導体素子を用いた光ピックアップ装置、光磁気再生記録装置、高密度記録再生装置、レーザプリンタ、バーコードリーダ、プロジェクター、または白色LED光源などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態1におけるp型窒化物半導体の製造方法により製造される窒化物半導体を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるアニール処理装置を示す概略図である。
【図4】第1のガス供給装置の概略構成図である。
【図5】第2のガス供給装置の概略斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるp型窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】実施例2における窒化物半導体レーザ素子の概略構成図である。
【符号の説明】
【0117】
11,21 基板、12 窒化物半導体、20 窒化物半導体レーザ素子、22 SiO誘電体膜、23 p電極、24 n電極、30 窒化物半導体層、31 n型GaN層、32 n型AlGaNクラッド層、33 n型GaN光ガイド層、34 発光層、35 中間層、36 キャリアブロック層、37 p型GaN光ガイド層、38 p型AlGaNクラッド層、39 p型GaNコンタクト層、40 アニール処理装置、41 アニール炉、42 サセプタ、43 加熱装置、44 アニール雰囲気ガス供給口、45 パージガス供給口、46 排気口、47 真空装置、50 第1のガス供給装置、51 ガスボンベ、53,63 配管、55,65,66 流量制御装置、60 第2のガス供給装置、61 第1のガスボンベ、62 第2のガスボンベ、63a 主管、63b 枝管、63c 接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型不純物を含む窒化物半導体を準備する準備工程と、
アルゴンまたは窒素の少なくともいずれか一方を含むキャリアガスとメタンとを含むアニール雰囲気ガス中で、700℃以上950℃以下のアニール温度で、前記窒化物半導体にアニール処理を行なうアニール処理工程と、
前記窒化物半導体に電極を形成する電極形成工程とを備える、p型窒化物半導体の製造方法。
【請求項2】
前記p型不純物はマグネシウムである、請求項1に記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項3】
前記電極は、パラジウム、白金、およびニッケルのうちの少なくとも1つの金属を含む、請求項1または2に記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項4】
前記キャリアガスはアルゴンからなる、請求項1〜3のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項5】
前記アニール雰囲気ガス中のメタンの濃度は、5ppm以上100ppm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項6】
前記アニール処理工程は、前記アニール温度で1分以上30分以下保持する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項7】
前記アニール処理工程は、前記窒化物半導体をアニール温度で保持する第1保持工程と、前記アニール温度より低い温度で保持する第2保持工程とを含み、
前記第1保持工程を実施する時間の合計は、1分以上30分以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項8】
前記アニール処理工程後に、前記窒化物半導体をフッ化水素とフッ化アンモニウムとを含むバッファードフッ酸に1分以上20分以下浸す洗浄工程をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のp型窒化物半導体の製造方法により製造されたp型窒化物半導体を備える、窒化物半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−299783(P2007−299783A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123848(P2006−123848)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】