説明

アイドルストップ車の制御装置

【課題】エンジン再始動時のヒルスタートの制御に用いられる液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮したアイドルストップの制御を行なう。
【解決手段】アイドルストップの制御によってエンジンを自動停止する前に、それまでの走行中の通電駆動によりブレーキアクチュエータ7のソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上になっているか否かを、ブレーキ制御ユニット13の判断部13dにより判断し、ヒルスタートの制御に用いられるブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上の高温の状態であってその消費電力が大きい状態であると判断すれば、ブレーキ制御ユニット13の禁止指令部13bによりアイドルストップの制御を禁止し、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの消費電力の状態を考慮して、エンジンの再始動が確実に行なえるときにのみアイドルストップの制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイドルストップ車の制御装置に関し、詳しくは、エンジン再始動時のヒルスタートの制御に用いる液圧制御バルブの状態を考慮したアイドルストップの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイドルストップ車は、アイドルストップの制御により、ブレーキペダルが踏まれている等の所定の停止条件が成立することを条件にエンジンを自動停止して走行を停止する。また、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み換えられる等の所定の再始動条件が成立することにより自動的にエンジンを再始動して走行を開始する。
【0003】
ところで、この種のアイドルストップ車においては、燃費改善等を図るため、オイルポンプとして、電動ポンプではなくエンジン出力で動作する機械式ポンプ(機械式オイルポンプ)を備えるものがある。
【0004】
そして、機械式ポンプを備えた場合、とくにベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)を採用していると、アイドルストップの制御によりエンジンが自動停止したときに、機械式ポンプの動作が停止してCVTベルトのベルト挟圧が低下し、クラッチが切れた状態となる。そのため、自動停止したエンジンの再始動時、クリープカが発生しないか、発生しても小さく、坂道等においては車両がずり下がる可能性がある。有段変速機を採用している場合にも同様のずり下がりが発生する可能性がある。
【0005】
この車両のずり下がりを防止するため、有段変速機を採用したアイドルストップ車においては、ヒルスタート(ヒルホールド)の制御を採用し、エンジンが自動停止したときにブレーキ機構のブレーキ液圧制御バルブ(ソレノイドバルブ)を閉じて各ホイールシリンダ(ブレーキシリンダ)のブレーキ液圧を保持し、エンジンの再始動時にそのブレーキ液圧を維持してずり下がりの防止に十分なブレーキ力を付与することが提案されている(例えば、特許文献1(段落[0058]−[0109]、図8等)参照)。なお、特許文献1には、前記ブレーキ液圧制御バルブは走行中のESC(横滑り防止制御)やTCS(トラクション制御)のブレーキ制御と兼用できることも記載されている。
【0006】
一方、この種のアイドルストップ車においては、エンジンの再始動時、車載のバッテリの電力でスターターによるクランキングでの再始動が確実に行なえるようにするため、昇圧装置(昇圧電源回路)を搭載したり、サブバッテリを搭載したりする。
【0007】
そして、昇圧装置を搭載した場合についてさらに具体的に説明すると、アイドルストップの制御によりエンジンが自動停止すると車載のバッテリは充電されなくなり、その電源でブレーキ液圧制御バルブを保持状態に通電駆動して各ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持する。さらに、エンジンの再始動時、スターターによるクランキングでのバッテリの電圧低下に備え、バッテリの電圧を昇圧装置により定格電圧(例えば12V)前後に昇圧した昇圧電源をエンジンの再始動に必要な制御ECU等のいわゆる重要負荷に給電し、スターターによるクランキングを確実に行なう。その後、エンジンが完爆すると、ブレーキ液圧制御バルブを液圧開放に制御し、ブレーキ機構を通常の状態に戻す。
【0008】
しかしながら、昇圧装置やサブバッテリを備えたとしても、バッテリの放電状態でエンジンが自動停止すると、バッテリ電力の不足により、その後のエンジンの再始動が困難になる可能性がある。
【0009】
そこで、充放電の電圧、電流の変化からバッテリの状態を監視し、前記の自動停止のようなエンジンの停止操作が行なわれるときに、前記監視に基づいてバッテリの状態を確認し、バッテリがエンジンの再始動に支障がある状態であれば、停止操作に対するエンジンの停止を阻止し、エンジンの再始動が不能になる事態を回避することが提案されている(例えば、特許文献2(要約書、段落[0030]−[0035]、図1、図2等)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−313253号公報
【特許文献2】特開2007−245921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この種のアイドルストップ車においては、ヒルスタートの制御に用いられるブレーキ液圧制御バルブの温度がソレノイドコイルの通電によって上昇する。この温度上昇によってブレーキ液圧制御バルブのソレノド内部抵抗が大きくなると、ブレーキ液圧制御バルブの消費電力が大きくなる。
【0012】
そして、走行中の横滑りの発生等のブレーキ制御条件の成立に基づき、前記ブレーキ液圧制御バルブがESCやTCS等の制御に用いられて通電駆動されることにより、その後のアイドルストップの制御でエンジンが自動停止する際、充放電の電圧、電流の変化からはバッテリがエンジンの再始動に支障のない状態であったとしても、ブレーキ液圧制御バルブの温度が上昇してその消費電力が過大にることがある。しかも、走行が停止しているとブレーキ液圧制御バルブは冷えにくく、エンジン停止中のブレーキ液圧制御バルブの消費電力はほとんど減少しない。そのため、エンジンの再始動時、前記ブレーキ液圧制御バルブの消費電力の状態によっては、スターターによるクランキングを行なうことにより、例えば昇圧装置の出力が不足して前記重要負荷の電源圧が低下し、エンジンの再始動が不能になったり、制御ECUの誤ったリセット等が発生する問題がある。とくに、アイドルストップ車の低コスト・省スペース化等の要請から、昇圧装置やバッテリを小型化する場合には、昇圧装置やバッテリの容量が小さくなるため、上記の問題が発生し易くなる。なお、サブバッテリを搭載している場合にも同様の問題が発生する。
【0013】
本発明は、この種のアイドルストップ車において、エンジン再始動時のヒルスタートの制御に用いられる液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮したアイドルストップの制御を行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、本発明のアイドルストップ車の制御装置は、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止し、所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動するアイドルストップ車の制御装置であって、ブレーキ液圧制御バルブを介して車輪にブレーキ力を付与するブレーキ力付与手段と、エンジンの自動停止前の走行中のブレーキ制御条件が成立したときおよび、前記アイドルストップの制御によるエンジンの自動停止中に、前記ブレーキ液圧制御バルブを通電駆動してブレーキ力を発生するブレーキ制御手段と、前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の所定温度以上の判断により前記アイドルストップの制御を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0015】
また、本発明のアイドルストップ車の制御装置においては、前記判断手段は、走行中の前記ブレーキ液圧制御バルブの通電駆動から前記所定の停止条件が成立するまでの経過時間に基づいて、前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴としている(請求項2)。
【0016】
また、本発明のアイドルストップ車の制御装置においては、前記判断手段は、前記所定の停止条件が成立するまでの前記ブレーキ液圧制御バルブの駆動度合に基づいて、前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴としている(請求項3)。
【0017】
さらに、本発明のアイドルストップ車の制御装置においては、ブレーキ液圧制御バルブの温度を検出するバルブ温度検出手段をさらに備え、前記判断手段は、前記バルブ温度検出手段の検出温度に基づいて前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明の場合、アイドルストップの制御によってエンジンを自動停止する前に、それまでの走行中の横滑りの発生等のブレーキ制御条件の成立に基づくブレーキ制御手段の通電駆動によってブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上になっているか否かを、判断手段により判断する。そして、ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上の高温の状態であってその消費電力が大きい状態であると判断すれば、禁止手段によりアイドルストップの制御を禁止してエンジンの自動停止および再始動を行なわないようすることができる。したがって、ブレーキ液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮し、電源電圧の大幅な低下がなく、エンジンの再始動が確実に行なえるときにのみ、アイドルストップの制御を行なうことができる。そのため、昇圧装置やバッテリを小型化して小容量にした場合にも、安全、確実にアイドルストップの制御が行なえる。
【0019】
請求項2の発明の場合、通電駆動によってブレーキ液圧制御バルブの温度が上昇しても、その後通電駆動されなければ、ブレーキ液圧制御バルブがしだいに冷却されてその温度が低下していくことを考慮し、判断手段は、走行中におけるブレーキ液圧制御バルブの走行中の通電駆動からアイドルストップの所定の停止条件が成立するまでの経過時間に基づいて、ブレーキ液圧制御バルブがアイドルストップの制御を禁止する所定温度以上であるか否かを判断することができる。そして、この判断に基づきブレーキ液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮した請求項1の発明のアイドルストップの制御を行なうことができる。
【0020】
請求項3の発明の場合、ブレーキ液圧制御バルブの駆動回数、駆動時間等の駆動度合が多くなる程、ブレーキ液圧制御バルブの温度が高くなることを考慮し、判断手段は、ブレーキ液圧制御バルブの温度を検出することなく、その駆動度合に基づいてブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することができる。そして、この判断に基づきブレーキ液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮した請求項1の発明のアイドルストップの制御を行なうことができる。
【0021】
請求項4の発明の場合、バルブ温度検出手段によりブレーキ液圧制御バルブの温度を実測して検出し、その検出温度に基づき、判断手段によりブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを精度よく判断することができる。そして、この判断に基づき、ブレーキ液圧制御バルブの消費電力の状態を考慮した請求項1の発明のアイドルストップの制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】図1の動作説明用のフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図4】図4の動作説明用のフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の変形例のブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図7】図6の動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、本発明の実施形態について、図1〜図7を参照して詳述する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明が適用されるアイドルストップ車1aのアイドルストップおよびヒルスタートに関連する構成を示し、2はブレーキペダル、3はブレーキペダル2の踏力がブレーキブースタ4を介して加わるマスタシリンダ、5はマスタシリンダ3に接続された配管、6は配管5に取り付けられた液圧センサであり、マスタシリンダ圧を検出する。7は液圧センサ6、ソレノイドバルブ群8を含むブレーキアクチュエータ(VSC:Vehicle Stability Control)のアクチュエータ)であり、本発明のブレーキ力付与手段を形成する。
【0026】
ソレノイドバルブ群8は、本発明のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを含む複数のソレノイドバルブで構成されている。ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは、配管5から分枝した2系統の系統毎に設けられ、アイドルストップのヒルスタートの制御および、走行中のESCやTCSのブレーキ制御に兼用され、通電駆動によって温度が上昇する。ソレノイドバルブ群8のその他のソレノイドバルブは走行中のESCやTCSの細かな制御に用いられ、温度の上昇はほとんどない。
【0027】
9FL、9FRはアイドルストップ車1aの左、右の前輪ホイールシリンダ、9RL、9RRはアイドルストップ車1aの左、右の後輪ホイールシリンダであり、例えばブレーキ液圧制御バルブ8aから伸びた一方の系統の配管10FL、10RRに左の前輪ホイールシリンダ9FL、右の後輪のホイールシリンダ9RRが接続され、ブレーキ液圧制御バルブ8bから伸びた他方の系統の配管10FR、10RLに右の前輪のホイールシリンダ9FR、左の後輪のホイールシリンダ9RLが接続されている。なお、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bと各配管10FL〜10RRの間にソレノイドバルブ群8の前記したその他の各ソレノイドバルブが配設されている。
【0028】
アイドルストップ車1aはCAN(Control Area Network)等の車内ネットワーク11が配設され、車内ネットワーク11には、アイドルストップ制御ユニット(エコラン制御ユニット)12、ブレーキアクチュエータ7内のブレーキ制御ユニット(ESCユニット)13、エンジン制御ユニット14、変速機制御ユニット(CVT制御ユニット)15の各制御ECUや、舵角センサ16、ヨーレートセンサ17、車速メータ18等のECUが接続され、それらのECUは車内ネットワーク11を介して情報をやり取りする。なお、各ECUはマイクロコンピュータで形成されている。
【0029】
ブレーキ制御ユニット13は本発明のブレーキ制御手段を形成し、後述するように、エンジンの自動停止前の走行中のブレーキ制御条件が成立したときおよび、アイドルストップの制御によるエンジンの自動停止中に、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8b等を通電駆動する。エンジン制御ユニット14はエンジン(図示せず)のスロットル開度等を制御し、変速機制御ユニット15はエンジンと一体のベルト式CVT(図示せず)を制御する。
【0030】
アイドルストップ車1aは小容量・小型の車載の12Vのバッテリ19を備える。そして、アイドルストップ制御ユニット12、ブレーキ制御ユニット13等は、エンジンが動作している走行中等には、他の制御ユニット等と同様、オルタネータの発電出力(エンジン出力)で充電中のバッテリ19の電源(実際にはオルタネータの発電出力)が給電される。
【0031】
アイドルストップ制御ユニット12はバックアップ電源用の昇圧装置としての昇圧回路12aを内蔵する。昇圧回路12aはバッテリ19の電源を昇圧し、アイドルストップのエンジンの再始動時、スターターによるクランキングでのバッテリ19の電圧低下に備え、アイドルストップの制御に必要なアイドルストップ制御ユニット12、ヒルスタートの制御に必要なブレーキ制御ユニット13等の所要の制御ユニット等の車内の重要負荷に昇圧した電源を給電する。
【0032】
ブレーキ制御ユニット13は、内蔵したオア回路13aによりバッテリ19からの給電と昇圧回路12aからの給電の電圧の高い方を電源として選択し、選択した電源で動作する。他の重要負荷も同様である。
【0033】
したがって、バッテリ19の電圧が低下するアイドルストップのエンジンの再始動時、アイドルストップ制御ユニット12、ブレーキ制御ユニット13等の重要負荷は昇圧回路12a等の昇圧したバックアップ電源で給電が補償されて確実に動作し、アイドルストップの制御および、そのエンジンの再始動におけるヒルスタートの制御等を確実に行なう。
【0034】
アイドルストップ制御ユニット12およびブレーキ制御ユニット13について、さらに説明する。
【0035】
アイドルストップ制御ユニット12は、アイドルストップ車1aの走行中等に車内ネットワーク11を介した通信に基づいて液圧センサ6が検出したマスタシリンダ圧やメータ16の車速等の情報を収集する。そして、信号待ち等をする際、アクセルペダルからブレーキペダルに踏みかえられ、車速が一定以下に低下する等の所定の停止条件が成立すると、ブレーキ制御ユニット13の禁止指令部13bからアイドルストップの禁止が指令されていないことを条件として、アイドルストップ制御ユニット12はアイドルストップの制御を実行し、車内ネットワーク11を介してブレーキ制御ユニット13、エンジン制御ユニット14等にエンジンの自動停止を通知する。
【0036】
そして、ドライバがブレーキペダル2を踏むことにより、マスタシリンダ圧のブレーキ力がホイールシリンダ9FL〜9RRに付与され、アイドルストップ車1aの走行が停止すると、ヒルスタートの制御を行なうため、ブレーキ制御ユニット13はソレノイド駆動部13cによりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを通電駆動し、ソレノイドバルブ群8をブレーキ液圧の保持状態に制御し、そのブレーキ液圧のブレーキ力を各車輪(図示せず)に付与する。また、エンジン制御ユニット14によりエンジンの燃料スロットルが絞られてエンジンが自動停止し、アイドルストップ車1aはアイドルストップの状態で停止する。
【0037】
その後、信号機の赤から青への変化等に基づきドライバがブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えることにより、ストップランプスイッチ20が点灯信号から消灯信号に変化する。また、車内ネットワーク11を介した液圧センサ6のマスターシリンダ圧は所定圧以下に低下する。これらの両方又はいずれか一方を含むエンジンの所定の再始動条件が成立すると、通常、アイドルストップ制御ユニット12はブレーキ制御ユニット13、エンジン制御ユニット14にエンジンの再始動を指令し、エンジン制御ユニット14の制御によりエンジンがスターターによって再始動する。さらに、エンジンの再始動の指令を受信したブレーキ制御ユニット13は、例えば再始動されたエンジンが完爆状態の回転数に達し、十分なクリープ力が発生するようになってから、ソレノイド駆動部13cによりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの通電駆動を停止し、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを液圧開放の状態に戻してヒルスタートの制御を終了する。
【0038】
ところで、アイドルストップ車1aの走行中に横滑りや空転が発生するか、発生しそうになって所定のブレーキ制御条件が成立すると、ブレーキ制御ユニット13の周知のESC、TCSのブレーキ制御に基づき、ソレノイド駆動部13cによりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを含む各ソレノイドバルブが選択的に通電駆動されてブレーキ液圧の加圧状態や保持状態に制御され、これらの制御で発生したブレーキ力が各車輪に選択的に付与されて横滑りや空転。が軽減される。
【0039】
そして、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは、通電駆動にしたがって温度が上昇し、ソレノド内部抵抗が大きくなって消費電力が大きくなる。
【0040】
走行中の通電駆動によりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度が過度に上昇した状態でアイドルストップの制御を行なうと、この制御に連動するヒルスタートの制御により、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが消費電力の大きな状態で通電駆動されることになる。そのため、とくにアイドルストップの制御により自動停止したエンジンの再始動時、バッテリ19のエネルギーが不足してスターターによるエンジンの再始動が困難になったり、昇圧回路12aの出力が不足してブレーキ制御ユニット13等の重要負荷の電源圧が低下し、それらのECUの誤ったリセットが発生したりする可能性がある。
【0041】
そこで、ブレーキ制御ユニット13は、最も簡易には、本発明の判断手段を形成する判断部13dおよび、本発明の禁止手段としての禁止指令部13bを備える。なお、ブレーキ制御ユニット13の禁止指令部13b、判断部13d等はいずれも設定されたプログラムの実行によりソフトウェア処理で形成される。
【0042】
そして、判断部13dは、前回のアイドルストップの制御によるエンジンの再始動後または、前回のアイドルストップの制御の禁止後から、エンジンを自動停止するアイドルストップの所定の停止条件が成立するまでの走行中に、ESC、TCSのブレーキ制御によってソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが通電駆動されてソレノイド駆動部13cからの通電駆動の通知を取り込んでいると、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上の高温で消費電力の大きな状態であると判断する。なお、前記通電駆動の通知を取り込んでいなければ、判断部13dは、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度より低温で消費電力の小さな状態であると判断する。
【0043】
また、禁止指令部13bは、判断部13dの前記所定温度以上であるとの判断により、車内ネットワーク11を介してアイドルストップ制御ユニット12にアイドルストップの禁止を指令し、アイドルストップ制御ユニット12がブレーキ制御ユニット13、エンジン制御ユニット14等にエンジンの自動停止を通知しないようにして今回のアイドルストップの制御を禁止し、エンジンを自動停止しないようにする。
【0044】
そして、アイドルストップの制御を禁止することで、エンジンを再始動する事態が発生せず、連動するヒルスタートの制御も行なわれない。
【0045】
そのため、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であると予想され、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが消費電力の大きな状態で通電駆動される可能性があるときには、自動的にアイドルストップの制御を禁止してエンジンの自動停止および再始動を行なわないようすることができる。
【0046】
図2は図1のブレーキ制御ユニット13の前記アイドルストップの所定の停止条件が成立したときの処理を示し、それまでの走行中にESC、TCSのブレーキ制御によりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bのいずれかの通電駆動が発生していると、判断部13dはソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であると判断する。このとき、ヒルスタート制御によってブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが消費電力の大きな状態で通電駆動される可能性があるので、ステップS1を肯定(YES)で通過してステップS2に移行し、判断部13dの判断結果に基づき禁止指令部13bがアイドルストップの制御を禁止する。一方、ESC、TCSのブレーキ制御によるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの通電駆動が発生していなければ、判断部13dはブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度より低温であると判断する。このとき、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは消費電力の小さな状態であり、エンジンの自動停止中にヒルスタートの制御によってブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを通電駆動しても、自動停止したエンジンの再始動時には、スターターによるエンジンの再始動が確実に行なえるので、ステップS1を否定(NO)で通過してステップS3に移行し、判断部13dの判断結果に基づき禁止指令部13bはアイドルストップの制御を禁止しない。そして、アイドルストップの制御が許可されてアイドルストップ制御ユニット12からエンジンの自動停止が通知されると、ソレノイド駆動部13cがヒルスタートの制御を実行し、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bを保持状態に通電駆動する。
【0047】
したがって、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの消費電力の状態を考慮し、電源電圧の大幅な低下がなく、スターターによるエンジンの再始動が確実に行なえるときにのみ、アイドルストップの制御を行なうことができる。そのため、昇圧回路12aやバッテリ19を小型化して小容量にした場合にも、安全、確実にアイドルストップの制御が行なえる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図3、図4を参照して説明する。
【0049】
図3は本発明が適用されるアイドルストップ車1bのアイドルストップおよびヒルスタートに関連する構成を示し、図3において、図1と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図1の構成と異なる点は、ブレーキ制御ユニット13に本発明の判断手段としてタイマ13eと判断部13fとを備え、図1の判断部13dは省いた点である。
【0050】
そして、本実施形態の場合、タイマ13eはソレノイド駆動部13cがソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bのいずれかを通電駆動する毎に、その終了のタイミングでリセットトリガされて計時動作を開始し、判断部13fはアイドルストップの制御における所定の停止条件が成立したときに、タイマ13eの計時時間により、走行中におけるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの通電駆動から前記所定の停止条件が成立するまでの経過時間を把握し、この経過時間に基づいて、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であるか否かを判断する。
【0051】
すなわち、走行中のESC、TCSのブレーキ制御の通電駆動によってソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度が上昇しても、その後、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bのいずれもが通電駆動されなければ、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bはしだいに冷却されて温度が低下していくことに着目し、タイマ13eにより、走行中のESC、TCSのブレーキ制御によるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの少なくともいずれかの最新の通電駆動の終了から所定の停止条件が成立してエンジンを自動停止する直前までの経過時間を測る。
【0052】
また、判断部13fにより、前回のアイドルストップの制御によるエンジンの再始動後にタイマ13eのリセットトリガが発生したことを条件として、前記所定の停止条件が成立したときにタイマ13eが計測している経過時間を取り込み、設定されたしきい値時間と、取り込んだ経過時間とを比較し、経過時間がしきい値時間以上であれば、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが十分に冷却されて所定温度以下になっていると判断し、経過時間がしきい値時間未満であれば、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは所定温度より高温であると判断する。前記しきい値時間は、例えばソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度の冷却特性等に基づきいて設定され、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが、走行中の通電駆動によって予想される最高温度から所定温度に冷却されるのに要する時間である。
【0053】
そして、判断部13fの判断結果が禁止指令部13bに送られ、禁止指令部13bは、第1の実施形態の場合と同様、判断部13dの前記所定温度以上であるとの判断により、車内ネットワーク11を介してアイドルストップ制御ユニット12にアイドルストップの禁止を指令し、アイドルストップ制御ユニット12がブレーキ制御ユニット13、エンジン制御ユニット14等にエンジンの自動停止を通知しないようにして今回のアイドルストップの制御を禁止し、エンジンを自動停止しないようにする。
【0054】
図4は図3のブレーキ制御ユニット13の前記アイドルストップの所定の停止条件が成立したときの処理を示し、それまでの走行中にESC、TCSのブレーキ制御によるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの少なくともいずれかの通電駆動が発生し、タイマ13eのリセットトリガが1回でも発生していると、ステップS11を肯定(YES)で通過してステップS12に移行する。そして、判断手段3fは、タイマ13eの最新の計測時間をソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの走行中の通電駆動から前記所定の停止条件が成立するまでの経過時間であるとして取り込み、設定されたしきい値時間と取り込んだ経過時間とを比較する。経過時間がしきい値時間以上であれば、ステップS12を肯定で通過してステップS13に移行し、判断部3fは、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが十分に冷却されて所定温度以下になっていると判断する。一方、経過時間がしきい値時間未満であれば、ステップS12を否定で通過してステップS14に移行し、判断部3fは、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは所定温度より高温であると判断する。なお、タイマ13eのリセットトリガが1回も発生していないときは、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bのいずれもが通電駆動されていないので、ステップS11を否定で通過してステップS13に移行し、判断部3fはソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以下になっていると判断する。
【0055】
そして、判断部13fの判断結果が禁止指令部13bに送られ、禁止指令部13bは、ステップS4の判断結果に対してアイドルストップの禁止を指令する。なお、ステップS13の判断結果に対してはアイドルストップの禁止を指令しない。
【0056】
したがって、本実施形態の場合、走行中におけるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの通電駆動からアイドルストップの所定の停止条件が成立するまでの経過時間に基づいて、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を間接的に計測し、第1の実施形態の場合より精度よくソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bがアイドルストップの制御を禁止する所定温度以上であるか否かを判断することができる。そして、この判断に基づきソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの消費電力の状態を考慮し、電源電圧の大幅な低下がなく、スターターによるエンジンの再始動が確実に行なえるときにのみ、アイドルストップの制御を行なうことができ、第1の実施形態の場合より安全、確実にアイドルストップの制御が行なえる。
【0057】
(変形例)
ところで、ブレーキ制御ユニット13のタイマ13eに代えて、前記アイドルストップの所定の停止条件が成立するまでの走行中におけるソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bソレノイドバルブの駆動度合を計測する計測部13gを備え、その駆動度合からソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を判断するようにしてもよい。
【0058】
図5はタイマ13eに代えて計測部13gを備えた場合の構成を示し、計測部13gは、走行中にソレノイド駆動部13cがソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの個別の又は総合した通電駆動の回数(駆動回数)、駆動時間などを駆動度合として計測し、それらの計測結果のいずれか一つ又は複数を判断部13fの送る。判断部13fは、アイドルストップの制御における所定の停止条件が成立したときに、計測部13gが計測した駆動度合が設定したしきい値以上か否か(駆動度合が複数の場合は、例えばそれぞれのしきい値以上のものが多数か否か)によって、ソレノイドバルブ群8が所定温度以上であるか否かを判断する。
【0059】
このように構成した場合、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの駆動回数、駆動時間等の駆動度合が多くなる程、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度が高くなることを考慮し、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を検出することなく、それらの駆動度合に基づいてソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であるか否かを判断することができ、タイマ13eを備えた場合と同様、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの消費電力の状態を考慮したアイドルストップの制御を行なうことができる。
【0060】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について、図6、図7を参照して説明する。
【0061】
図6は本発明が適用されるアイドルストップ車1cのアイドルストップおよびヒルスタートに関連する構成を示し、図6において、図3と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、図3の構成と異なる点は、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を検出するバルブ温度検出手段として、ソレノイドバルブ群8のケースの適当な位置又はその近傍に温度センサ21をさらに備え、ブレーキ制御ユニット13の判断手段としての判断部13hにより、温度センサ21の検出温度に基づいてソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であるか否かを判断するようにした点であり、図3のタイマ13e、判断部13fは省いている。
【0062】
そして、本実施形態の場合、温度センサ21によりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を実測して検出し、アイドルストップの制御における所定の停止条件が成立したときに、温度センサ21の検出温度に基づき、判断部13hによりソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上であるか否かを判断し、ブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度以上の高温で消費電力の大きな状態であると判断したときには、その判断結果に基づき、禁止指令部13bにより、車内ネットワーク11を介してアイドルストップ制御ユニット12にアイドルストップの禁止を指令する。
【0063】
図7は図6のブレーキ制御ユニット13の前記アイドルストップの所定の停止条件が成立したときの処理を示し、所定の停止条件が成立すると、判断部13hは温度センサ21の検出温度を取り込んで、その検出温度と設定された所定温度(しきい値温度)とを比較し、検出温度が所定温度以上であれば、ステップS21を肯定で通過してステップS22に移行し、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bが所定温度より高温であると判断する。このとき、判断部13hの判断結果が禁止指令部13bに送られ、禁止指令部13bは、ステップS22の判断結果に対してアイドルストップの禁止を指令する。
【0064】
一方、検出温度が所定温度より低ければ、ステップS21を肯定で通過してステップS23に移行し、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bは所定温度より低温であると判断する。このとき、禁止指令部13bは、判断部13hの判断結果に対してアイドルストップの禁止を指令しない。
【0065】
したがって、本実施形態の場合、アイドルストップの所定の停止条件が成立したときのソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの温度を実測して検出し、第2の実施形態の場合より極めて精度よくソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bがアイドルストップの制御を禁止する所定温度以上であるか否かを判断することができる。そして、この判断に基づきソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの消費電力の状態を考慮し、電源電圧の大幅な低下がなく、スターターによるエンジンの再始動が確実に行なえるときにのみ、アイドルストップの制御を行なうことができ、第2の実施形態や変形例の場合より一層安全、確実にアイドルストップの制御が行なえる。
【0066】
そして、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8bの所定温度、設定されたしきい値時間は、実験等に基づいて抵当に設定すればよい。
【0067】
つぎに、ブレーキ力付与手段としてのブレーキアクチュエータ7の構成は前記各実施形態の構成に限られるものではない。また、ソレノイドバルブ群8のブレーキ液圧制御バルブ8a、8b等の個数や構造等はどのようであってよい。
【0068】
また、アイドルストップ制御ユニット12やブレーキ制御手段としてのブレーキ制御ユニット13の構成はどのようであってもよい。
【0069】
さらに、判断手段としての判断部13d、13f、13hや禁止手段としての禁止指令部13bはブレーキ制御ユニット13以外の制御ユニット、例えば、アイドルストップ制御ユニット12に設けられていてもよい。
【0070】
また、車内ネットワーク11に接続される制御ユニット等の種類や数はどのようであってもよく、車内ネットワーク11はCANに限るものではない。
【0071】
つぎに、前記各実施形態においては、昇圧装置としての昇圧回路12aを備えた場合にについて説明したが、昇圧装置とともに、または、昇圧装置に代えて、鉛電池や大容量キャパシタ等のサブバッテリを備えた場合にも本発明を適用して同様の効果を得ることができるのは勿論である。
【0072】
そして、本発明は、アイドルストップの制御およびヒルスタートの制御を行なう種々のアイドルストップ車に適用することができる。その際、アイドルストップ車は、オイルポンプとして電動ポンプを備えていてもよい。また、変速機として、CVT、有段変速機のいずれを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1a〜1c アイドルストップ車
7 ブレーキアクチュエータ
8 ソレノイドバルブ群
8a、8b ブレーキ液圧制御バルブ
12 アイドルストップ制御ユニット
13 ブブレーキ制御ユニット
13b 禁止指令部
13c ソレノイド駆動部
13d、13f、13h 判断部
13e タイマ
13g 計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止し、所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動するアイドルストップ車の制御装置であって、
ブレーキ液圧制御バルブを介して車輪にブレーキ力を付与するブレーキ力付与手段と、
エンジンの自動停止前の走行中のブレーキ制御条件が成立したときおよび、前記アイドルストップの制御によるエンジンの自動停止中に、前記ブレーキ液圧制御バルブを通電駆動してブレーキ力を発生するブレーキ制御手段と、
前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段の所定温度以上の判断により前記アイドルストップの制御を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアイドルストップ車の制御装置において、
前記判断手段は、前記ブレーキ液圧制御バルブの走行中の通電駆動から前記所定の停止条件が成立するまでの経過時間に基づいて、前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアイドルストップ車の制御装置において、
前記判断手段は、前記所定の停止条件が成立するまでの前記ブレーキ液圧制御バルブの駆動度合に基づいて、前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアイドルストップ車の制御装置において、
ブレーキ液圧制御バルブの温度を検出するバルブ温度検出手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記バルブ温度検出手段の検出温度に基づいて前記ブレーキ液圧制御バルブが所定温度以上であるか否かを判断することを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−143868(P2011−143868A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7772(P2010−7772)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】