説明

アライメントユニット、基板処理装置、およびアライメント方法

【課題】ワークの姿勢を良好にアライメントできるアライメント装置、基板処理装置、およびアライメント方法を提供する。
【解決手段】注目マーク94aが初期位置P0から第1計測位置P1へ第1距離D1だけ移動した後、位置演算部は、対応撮像部にて撮像された第1撮像画像に基づいて、第1撮像画像の座標系における注目マーク94aの第1計測位置P1を演算する。また、位置演算部は、注目マーク94aが第1計測位置P1から第2計測位置P2に移動した後、対応撮像部により撮像された第2撮像画像に基づいて、第2撮像画像の座標系における第2計測位置P2を演算する。続いて、演算された第1および第2計測位置P1、P2と、第1角度θ1と、に基づいて、回転軸35aから見た注目マーク94aのマーク位置を演算する。そして、求められた各アライメントマークのマーク位置を通る直線を求めることによって、主走査方向に対する基板の傾きを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク上に形成された複数のマークに基づいて、ワークの姿勢を調整するアライメントユニット、基板処理装置、およびアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性材料を塗布する基板の位置調整方法に関する発明が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、主走査方向に沿って移動するノズルの軌跡と、第1および第2撮像部と、の位置関係を容易かつ高精度に求める技術が、記載されている。
【0003】
また、異なる姿勢で支持される基板の位置を調整する位置調整装置も、従来知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185609号公報
【特許文献2】特開2008−229562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および2には、各撮像部の撮像領域を有効(広範囲)に用いてアライメントマークを撮像することについては、記載されていない。そのため、撮像領域内で回転軸を中心としてアライメントマークを回転移動させる場合において、撮像領域内におけるアライメントマークの移動距離が十分確保できない場合が生ずる。その結果、回転軸から見たアライメントマークの位置(または、アライメントマークから見た回転軸の位置)を良好に算出できないという問題が生ずる。
【0006】
また、特許文献1において、各撮像部は、アライメント処理を実行する前提として、
(1)各撮像領域の横軸と主走査方向とが略平行となり、かつ、
(2)副走査方向における各撮像領域の中心位置が略同一となるように、
予め調整される必要がある。その結果、各撮像部の調整に熟練、製品知識、および時間が要求されるという問題が生ずる。
【0007】
そこで、本発明では、ワークの姿勢を良好にアライメントすることができるアライメント装置、基板処理装置、およびアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、ワーク上に形成された複数のマークに基づいて、前記ワークの姿勢を調整するアライメントユニットであって、前記ワークを載置する載置部と、水平第1方向に前記載置部を移動させる水平駆動部と、回転軸を中心として前記載置部を回転させる回転駆動部と、各々が、前記載置部の上方であって、前記水平第1方向と略垂直な水平第2方向に沿って配置された複数の撮像部と、前記複数の撮像部により撮像された画像に基づいて、前記ワーク上に形成された各マークの位置情報を演算する位置演算部と、前記位置演算部により演算された各マークの位置情報に基づき、前記載置部を回転させることによって、各撮像部に対する前記ワークの姿勢を調整する調整部とを備え、前記複数の撮像部のそれぞれは、前記複数のマークのうちの対応マークを撮像し、前記水平駆動部は、前記複数のマークのうちから選択された注目マークが、初期位置から第1計測位置に移動するように、前記載置部を前記水平第1方向に沿って第1距離だけ移動させ、前記回転駆動部は、前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動するように、前記載置部を第1角度だけ回転させ、前記位置演算部は、前記注目マークが、前記初期位置から前記第1計測位置に移動した後に、前記複数の撮像部のうち前記注目マークに対応する対応撮像部にて撮像された第1撮像画像に基づいて、前記第1撮像画像の座標系における前記注目マークの第1計測位置を演算し、前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動した後に、前記対応撮像部により撮像された第2撮像画像に基づいて、前記第2撮像画像の座標系における前記第2計測位置を演算し、演算された前記第1および第2計測位置と、前記第1角度と、に基づいて、前記回転軸から見た前記注目マークのマーク位置を演算するとともに、前記第1距離は、前記載置部に載置されたワークが前記第1角度だけ回転させられる場合において、前記第1および第2計測位置が前記撮像領域内となるように、前記回転軸および前記撮像領域の位置関係に基づいて規定されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るアライメントユニットにおいて、前記ワークが前記載置部上の所望範囲内に載置されるように、前記載置部に対して前記ワークを位置決めする位置決め部、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るアライメントユニットと、前記水平第2方向に沿って移動しつつ、前記載置部に載置された前記ワークに処理液を吐出する塗布ユニットとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、ワーク上に形成された複数のマークに基づいて、前記ワークの姿勢を調整するアライメント方法であって、前記ワークは、載置部に載置され、前記複数のマークのそれぞれは、複数の撮像部のうち対応する撮像部により撮像され、(a)前記複数のマークの中から選択された注目マークが、初期位置から第1計測位置に移動するように、前記載置部を前記水平第1方向に沿って第1距離だけ移動させる工程と、(b)前記第1計測位置における前記注目マークが、前記複数の撮像部のうち対応する撮像部の撮像領域内となるように、第1撮像画像を撮像する工程と、(c)前記工程(b)により撮像された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1撮像画像の座標系における前記注目マークの第1計測位置を演算する工程と、(d)前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動するように、前記載置部に載置された前記ワークを第1角度だけ回転させる工程と、(e)前記第2計測位置における前記注目マークが、前記撮像領域内となるように、前記注目マークを撮像する工程と、(f)前記工程(e)により撮像された第2撮像画像に基づいて、前記第2撮像画像の座標系における前記第2計測位置を演算する工程と、(g)工程(c)により演算された前記第1計測位置と、工程(f)により演算された前記第2計測位置と、前記第1角度と、に基づいて、前記載置部の回転軸から見た前記注目マークのマーク位置を演算する工程と、(h)前記工程(a)〜工程(g)を繰り返し実行することによって各マークのマーク位置を演算するとともに、演算された各マーク位置に基づいて前記水平第2方向に対する前記ワークの傾きを演算する工程と、(i)工程(h)により演算された前記ワークの前記傾きに基づいて、前記ワークの姿勢を調整する工程とを備え、前記第1距離は、前記載置部に載置されたワークが前記第1角度だけ回転させられる場合において、前記第1および第2計測位置が前記撮像領域内となるように、前記回転軸および前記撮像領域の位置関係に基づいて規定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし請求項4に記載の発明において、注目マークの第1計測位置は、初期位置から水平第1方向に沿って第1距離だけ離隔した位置となり、この第1距離は、回転軸および撮像領域の位置関係によって規定される。
【0013】
これにより、各撮像部の撮像領域を有効(広範囲)に用いつつ、第1および第2計測位置における注目マークを撮像することができる。すなわち、撮像領域内における注目マークの移動距離を最大限確保することができる。そのため、ワークのアライメント精度を向上させることができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、ワークは、載置部上の所望範囲内となるように位置決めできる。これにより、各マークの初期位置の繰り返し再現性を向上させることができる。そのため、位置決め後における初期位置が適切に設定されると、各撮像部の撮像領域をさらに有効(広範囲)に用いることができ、ワークのアライメント精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における基板処理装置のハードウェア構成の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における基板処理装置のハードウェア構成の一例を示す正面図である。
【図3】位置決め部の構成の一例を示す正面斜視図である。
【図4】基板の構成の一例を示す平面図である。
【図5】制御ユニットの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】アライメントマークの初期位置、並びに第1および第2計測位置の一例を説明するための図である。
【図7】主走査方向に対するワークのアライメントを説明するための平面図である。
【図8】アライメント手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】アライメントマークの初期位置、並びに第1および第2計測位置の他の例を説明するための図である。
【図10】アライメントマークの初期位置、並びに第1および第2計測位置の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
<1.基板処理装置のハードウェア構成>
図1および図2は、本実施の形態における基板処理装置1のハードウェア構成の一例を示す平面図および正面図である。図3は、位置決め部40(40a)の構成の一例を示す正面斜視図である。ここで、基板処理装置1は、塗布ユニット60の吐出部61を基板90に対して一方向(矢印AR2方向:X軸プラスまたはマイナス方向)に移動させることによって、基板90上に薬液または純水(以下、単に、「処理液」と称する)を塗布する装置である。図1および図2に示すように、基板処理装置1は、主として、基板搬送ユニット10と、位置決め部40と、撮像部50と、塗布ユニット60と、制御ユニット70と、を備えている。
【0018】
なお、本実施の形態において、「基板」とは、半導体基板、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence:以下、単に、「有機EL」と称する)または液晶表示用ガラス基板および樹脂基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、並びに太陽電池用パネル等を言うものとする。
【0019】
また、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。
【0020】
基板搬送ユニット10は、例えば不図示のリニアモータによって、基板90を矢印AR1方向(副走査方向:水平第1方向)に沿って移動させる。これにより、基板90の塗布領域91(図4参照)は、一方向(主走査方向)に沿って塗布されたストライプ状の処理液により覆われる。図1および図2に示すように、基板搬送ユニット10は、主として、載置部20と、水平駆動部30と、回転駆動部35と、を有している。
【0021】
載置部20は、塗布処理の対象となる角形状の(矩形状の)基板90(ワーク)を固定する固定台として用いられる。ここで、搬送される基板90は、例えば真空吸着によって載置部20に固定される。これにより、基板搬送ユニット10は、良好な保持状態で、基板90を塗布ユニット60に対して搬送することができる。
【0022】
水平駆動部30は、矢印AR1方向(Y軸プラスまたはマイナス方向)に沿って、載置部20および回転駆動部35を移動させる。図1および図2に示すように、水平駆動部30は、主として、移動台31と、ガイドブロック33と、ガイドレール34と、を有している。
【0023】
移動台31は、固定部30aに対して矢印AR1方向に移動する。図2に示すように、移動台31の上面には回転駆動部35が、移動台31の下面にはガイドブロック33が、それぞれ固定されている。
【0024】
ガイドブロック33およびガイドレール34は、固定部30aに対して移動台31を走行させるための走行要素である。各ガイドブロック33の内部には、複数のボール(図示省略)が回転可能に設けられている。そして、複数のガイドブロック33が対応するガイドレール34に取り付けられた場合、各ガイドブロック33内のボール(図示省略)は、回転可能な状態で対応するガイドレール34と接触する。
【0025】
これにより、各ガイドブロック33が、対応するガイドレール34に沿って(すなわち、矢印AR1方向に沿って)移動すると、各ガイドブロック33内のボール(図示省略)は、対応するガイドレール34上を回転する。そのため、移動台31は、ガイドレール34に沿って滑らかに走行することができる。
【0026】
回転駆動部35は、回転軸35aを中心として載置部20を回転させる回転要素である。図2に示すように、回転駆動部35は移動台31上に固定されており、載置部20は回転駆動部35上に固定されている。これにより、載置部20、およびこの載置部20に載置された基板90は、移動台31に対して回転させられる。
【0027】
複数(本実施の形態では4つ)の位置決め部40(40a〜40d)は、図1に示すように、基板90の4角のうち対応する角と対向するように、配置されている。そして、各位置決め部40(40a〜40d)は、基板90が載置部20上の所望範囲内に載置されるように、基板90の各角(コーナ)を基板90の中心側に向かって押圧し、載置部20に対して基板90を位置決めする。
【0028】
図3に示すように、位置決め部40aは、主として、スライド部41(41a)と、垂直シリンダ46(46a)と、を有している。なお、本実施の形態において、各位置決め部40(40a〜40d)は、同様なハードウェア構成を有している。そこで、以下では、位置決め部40aについてのみ、ハードウェア構成の説明をする。
【0029】
スライド部41(41a)は、基板90の4角のうち対応する角(コーナ)を、基板90の中心側に向かって移動させる。図3に示すように、スライド部41は、主として、規制部42(42a)と、水平シリンダ44(44a)と、を有している。
【0030】
規制部42(42a)は、図1および図3に示すように、鋸歯状の切欠を有している。この切欠は、基板90の4角のうち、対応する角に嵌合可能とされている。水平シリンダ44(44a)は、矢印AR3方向に沿って規制部42(42a)を進退させる駆動部である。
【0031】
これにより、水平シリンダ44(44a)が駆動させられ、規制部42が基板90の中心方向に移動することによって、基板90が載置部20に対してプリアライメントされる。すなわち、プリアライメントによって、基板90の位置、および基板90の姿勢(例えば、矢印AR2方向(主走査方向:水平第2方向)に対する基板90の傾きθ0:図7参照)が、載置部20に対して所望範囲となるように調整される。
【0032】
なお、複数の位置決め部40を用いなくても 、基板90の位置決めの繰り返し再現性を確保できる場合には、位置決め部40による位置決め工程を省略しても良い。
【0033】
複数(本実施の形態では2台)の撮像部50(50a、50b)は、図1および図2に示すように、載置部20の上方であって、矢印AR1方向と略垂直な矢印AR2方向に沿って配置されている。
【0034】
また、各撮像部50(50a、50b)は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge Coupled Device)により構成されている。各撮像部50(50a、50b)は、受光された光の強さを、電気エネルギー(電気信号)として検出する。
【0035】
さらに、各撮像部50(50a、50b)は、基板90に形成された複数のアライメントマーク94、95(図1参照)のうち、対応するアライメントマーク(以下、単に、「対応マーク」とも呼ぶ)を撮像する。
【0036】
複数(本実施の形態では2つ)の支持部52(52a、52b)は、図1および図2に示すように、ノズル移動部65の固定台65aに固定されている。また、図1および図2に示すように、各支持部52(52a、52b)は、対応する撮像部50(50a、50b)を片持ち梁状に固定する。さらに、各支持部52(52a、52b)は、図2に示すように、各撮像部50(50a、50b)が主走査方向における基板90の両端部のうち、対応する端部の上方に位置するように、配置されている。
【0037】
これにより、各撮像部50(50a、50b)は、図1に示すように、基板90に形成されたアライメントマーク94、95のうち対応するものを撮像することができる。
【0038】
ここで、基板90について説明する。図4は、基板90の構成の一例を示す平面図である。本実施の形態の基板90としては、例えば、有機EL用のガラス基板または樹脂基板が、用いられる。
【0039】
図4に示すように、基板90上の塗布領域91は、塗布ユニット60からの処理液が塗布される領域である。また、基板90上に形成された複数の隔壁92は、図4に示すように、主走査方向(矢印AR2方向)に延びる仕切りであり、塗布領域91内に形成されている。そして、ノズル62a〜62cのそれぞれから吐出される処理液(有機EL材料)は、隣接する隔壁92間の各溝93に塗布される。
【0040】
複数(本実施の形態では、2個)のアライメントマーク94、95のそれぞれは、基板90上に形成された十字形の突起であり、図4に示すように、塗布領域91の外側に形成されている。また、アライメントマーク94、95は、基板90の姿勢を調整するアライメント処理において、対応する撮像部50(50a、50b)により撮像される。
【0041】
ここで、各アライメントマーク94、95は、複数の隔壁92と同一工程で形成されている。そのため、各アライメントマーク94、95の中心を結ぶ仮想的な線分96(一点鎖線)と、各隔壁92および各溝93の延伸方向(主走査方向)とは、平行になる。なお、可能な場合には、隔壁92が設けられていない基板90に、各ノズル62a〜62cから吐出される処理液が塗布されても良い。
【0042】
塗布ユニット60は、矢印AR2方向に沿って移動しつつ、載置部20に載置された基板90に向けて処理液を吐出する。図1および図2に示すように、塗布ユニット60は、主として、吐出部61と、ノズル移動部65と、受液部68と、を有している。
【0043】
吐出部61は、載置部20の上方に配置されており、複数(本実施の形態では3本)のノズル62a〜62cを有している。各ノズル62a〜62cは、処理液供給源と連通接続されており、基板90上に対応する処理液を供給する。
【0044】
ここで、吐出部61の具体例としては、各ノズル62a〜62cから、それぞれ赤、緑、および青の有機EL材料を吐出するものが、挙げられる。この場合、各ノズル62a〜62cは、図1および図2に示すように、主走査方向(矢印AR2方向)に沿って所定間隔で配列されている。また、ノズル62a〜62cから吐出された3つの処理液が、隣接する溝93に供給されるように、各ノズル62a〜62cは、副走査方向に沿って、隔壁92のピッチと等しい距離だけ離間するように配列されている。
【0045】
ノズル移動部65は、矢印AR2方向(水平第2方向)に沿って、吐出部61を往復運動させる。図1および図2に示すように、ノズル移動部65は、一対のガイドレール66を有している。
【0046】
一対のガイドレール66は、図1および図2に示すように、固定台65aに固定されており、矢印AR2方向に沿って吐出部61を案内する。ここで、本実施の形態において、吐出部61を一対のガイドレール66に沿って移動させる駆動源としては、例えば不図示のリニアモータが用いられる。
【0047】
受液部68は、図1および図2に示すように、吐出部61の移動経路下方の一定領域を覆うように、配置されている。これにより、受液部68は、主走査方向(矢印AR2方向)における基板90の両端部付近、またはこの両端部から主走査方向に沿って離隔する位置で、基板90の下方に落下する有機EL材料を受け止めることができる。
【0048】
このように、吐出部61の各ノズル62a〜62cから処理液が吐出された状態で、ノズル移動部65により吐出部61が主走査方向に沿って移動させられると、各ノズル62a〜62cから吐出される処理液は、対応する溝93においてストライプ状に塗布される。
【0049】
そして、各溝93にストライプ状の処理液の塗布が完了する毎に、基板搬送ユニット10が副走査方向に沿って移動させられることによって、基板90の塗布領域91の全域にわたって、処理液が塗布される。
【0050】
ここで、ノズル62a〜62cから吐出される処理液は、全て異なる処理液であっても良い。また、ノズル62a〜62cから吐出される処理液のうち、2つ以上の処理液が、同一種であっても良い。
【0051】
また、本実施の形態において、基板搬送ユニット10および撮像部50(基板90の位置決めの繰り返し再現性を確保する必要がある場合には、さらに位置決め部40を加えたもの)が、アライメントユニットとして用いられる。
【0052】
<2.制御ユニットの機能構成>
図5は、制御ユニット70の機能構成の一例を示すブロック図である。図6は、アライメントマーク94(94a〜94)の初期位置P0、並びに第1および第2計測位置P1、P2の一例を説明するための図である。図7は、主走査方向に対する基板90の傾きθ0を説明するための図である。図5に示すように、制御ユニット70は、主として、位置演算部71と、位置決め処理部72と、調整部73と、RAM81と、ROM82と、CPU83と、を有している。
【0053】
位置演算部71は、図5に示すように、信号線71aを介して各撮像部50(50a、50b)と電気的に接続されている。位置演算部71は、複数の撮像部50(50a、50b)により撮像された各画像に基づいて、基板90上に形成された各アライメントマーク94、95の位置情報を演算する。
【0054】
具体的には、図6に示すように、載置部20が、水平駆動部30により矢印AR1方向に沿って第1距離D1だけ移動させられることによって、複数のアライメントマーク94、95のうちから選択された注目マーク94(94a)が、初期位置P0から第1計測位置P1に移動する。そして、そして、注目マーク94(94a)が第1計測位置P1に到達すると、位置演算部71は、以下の演算(A)を実行する。すなわち、
(A)注目マーク94aが初期位置P0から第1計測位置P1に移動した後(図6参照)、位置演算部71は、複数の撮像部50(50a、50b)のうち注目マーク94aに対応する撮像部(この場合においては撮像部50a)(以下、単に、「対応撮像部」とも呼ぶ)にて撮像された第1撮像画像に基づいて、第1撮像画像の座標系における注目マーク94aの第1計測位置P1を演算する。ここで、第1撮像画像の座標系としては、例えば、対応撮像部の撮像領域51内で規定される座標系であり、撮像領域51の左上を原点Oとするij座標系(図6参照)が採用されてもよい。
【0055】
また、注目マーク94aが、第1計測位置P1から第2計測位置P2に移動するように、載置部20が、回転駆動部35により第1角度θ1だけ回転させられると、位置演算部71は、以下の演算(B)を実行する。すなわち、
(B)注目マーク94aが第1計測位置P1から第2計測位置P2に移動した後(図6参照)、位置演算部71は、対応撮像部により撮像された第2撮像画像に基づいて、第2撮像画像の座標系における第2計測位置P2を演算する。ここで、第2撮像画像の座標系としては、第1撮像画像の座標系と同様に、対応撮像部の撮像領域51内で規定される座標系であり、撮像領域51の左上を原点Oとするij座標系(図6参照)が採用されてもよい。
【0056】
また、演算(A)、(B)が実行されると、位置演算部71は、さらに演算(C)を実行する。すなわち、
(C)演算された第1および第2計測位置P1、P2と、第1角度θ1と、に基づいて、回転軸35aから見た注目マーク94aのマーク位置を演算する。そして、演算(C)により求められた各アライメントマーク94、95のマーク位置を通る直線を求めることによって、主走査方向に対する基板90の傾きθ0(図7参照)を求める。
【0057】
ここで、第1距離D1は、載置部20に載置された基板90が第1角度θ1だけ回転させられる場合において、第1および第2計測位置P1、P2が撮像領域51内となるように、回転軸35aおよび撮像領域51の位置関係に基づいて規定される。
【0058】
例えば、j座標の最大値をjmaxと、初期位置P0のj座標をj0と、j座標方向における画素長さをPjと、それぞれする場合、第1距離D1は、数1により設定されても良い。
【0059】
D1 = (jmax/2 − j0) × Pj ・・・ 数1
位置決め処理部72は、図5に示すように、信号線72aを介して、水平シリンダ44(44a〜44d)および垂直シリンダ46(46a〜46d)と電気的に接続されている。位置決め処理部72は、各位置決め部40(40a〜40d)のスライド部41(41a〜41d)を基板90の中心側に移動させることによって、載置部20に載置された基板90をプリアライメントする。
【0060】
調整部73は、信号線73aを介して、水平駆動部30、回転駆動部35、およびノズル移動部65と電気的に接続されている。調整部73は、位置演算部71により演算された各アライメントマーク94、95の位置情報に基づき、回転駆動部35を動作させ、載置部20を回転させる。これにより、各撮像部50(50a、50b)に対する基板90の姿勢が調整される。ここで、載置部20の回転角度θ0は、上述の演算(c)により求められる。
【0061】
表示処理部74は、図5に示すように、信号線74aを介して表示部75と電気的に接続されている。表示処理部74は、表示部75の表示制御を行うために使用される画像信号を生成する。
【0062】
入出力部76は、図5に示すように、信号線76aを介して、例えば操作部77(例えば、不図示のキーボードやマウス)と電気的に接続されている。入出力部76は、いわゆるI/Oポート(Input/Output Port)により構成されている。これにより、入出力部76は、制御ユニット70と、操作部77のような外部機器との間で授受されるデータの入出力に使用できる。
【0063】
RAM(Random Access Memory)81は、揮発性の記憶部であり、例えばCPU83の演算で使用されるデータを記憶する。ROM(Read Only Memory)82は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、ROM82には、プログラム82aが格納されている。なお、ROM82としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。CPU(Central Processing Unit)83は、ROM82のプログラム82aに従った動作制御やデータ演算を実行する。
【0064】
<3.アライメント手順>
図8は、本実施の形態のアライメント手順を一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、図8を参照しつつ、基板90のアライメント手順を説明する。なお、本手順の開始に先立って、基板90は、載置部20上に載置されているものとする。
【0065】
本手順では、まず、複数のアライメントマーク94、95の中から選択された注目マークが初期位置P0から第1計測位置P1に移動するように、水平駆動部30が駆動させられる(S101)。次に、対応撮像部により注目マークを含む第1撮像画像が撮像される(S102)。そして、ステップS102で撮像された第1撮像画像に基づいて、第1撮像画像の座標系における注目マークの第1計測位置P1が演算される(S103)。
【0066】
続いて、注目マークが、第1計測位置P1から第2計測位置P2に移動するように、回転駆動部35が駆動させられる(S104)。次に、対応撮像部により注目マークを含む第2撮像画像が撮像される(S105)。そして、ステップS104で撮像された第2撮像画像に基づいて、第2撮像画像の座標系における注目マークの第2計測位置P2が演算される(S106)。
【0067】
続いて、ステップS103で演算された第1計測位置P1と、ステップS106で演算された第2計測位置P2と、第1角度θ1(図6参照)に基づいて、載置部20の回転軸35aから見た注目マークのマーク位置が演算される(ステップS107)。
【0068】
全てのアライメントマーク94、95について、マーク位置の演算が終了した場合、ステップS109に進む。一方、全てのアライメントマーク94、95について、マーク位置の演算が終了していない場合、各アライメントマーク94、95毎にステップS101〜S107を実行する(S108)。
【0069】
ステップS109では、求められたマーク位置に基づいて矢印AR2方向に対する基板90の傾きθ0(図7参照)が演算される。例えば、アライメントマークが2点の場合には、上述のように、これらマーク位置を通る直線の方程式から傾きθ0を演算する。また、アライメントマークが3点以上の場合には、最小二乗近似により求められる直線の方程式から傾きθ0を演算する。
【0070】
そして、ステップS101において、求められた傾きθ0に基づいて基板90の姿勢が調整されることによって、アライメント手順が終了する。
【0071】
<4.本実施の形態のアライメントユニットの利点>
以上のように、本実施の形態のアライメントユニット、およびこのアライメントユニットを含む基板処理装置1において、注目マークの第1計測位置P1は、初期位置P0から水平第1方向に沿って第1距離D1だけ離隔した位置となり、この第1距離D1は、回転軸35aおよび撮像領域51の位置関係によって規定される。
【0072】
これにより、各撮像部50(50a、50b)の撮像領域51を有効(広範囲)に用いつつ、第1および第2計測位置P1、P2における注目マークを撮像することができる。すなわち、撮像領域51内における注目マークの移動距離を最大限確保することができる。そのため、基板90のアライメント精度を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態において、基板90は、複数の位置決め部40(40a〜40d)によってプリアライメントされる。これにより、各アライメントマーク94、95の初期位置P0の繰り返し再現性を向上させることができる。そのため、位置決め後における初期位置P0が適切に設定されると、各撮像部50(50a、50b)の撮像領域51をさらに有効(広範囲)に用いることができ、基板90のアライメント精度をさらに向上させることができる。
【0074】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0075】
(1)図9および図10は、アライメントマーク94、95の初期位置P0、並びに第1および第2計測位置P1、P2の他の例を説明するための図である。本実施の形態では、第1距離D1を数1により演算しているが、第1距離D1の設定手法は、これに限定されない。
【0076】
例えば、図9に示すように、第1距離D1は、数2により設定されても良い。
【0077】
D1 = (jmax − j0) × Pj ・・・ 数2
また、図10に示すように、アライメントマークは、矢印AR1方向に沿って第1距離D1だけ移動させ、矢印AR2方向に沿って第2距離D2だけ移動させた後、第2計測位置P2に移動させられても良い。図9および図10の場合についても、アライメントマークの移動距離を十分確保することができる。
【0078】
(2)また、本実施の形態において、調整部71、位置決め処理部72、位置演算部73、表示処理部74、および入出力部76は、電子回路等のハードウェアによって実現されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、調整部71、位置決め処理部72、位置演算部73、表示処理部74、および入出力部76で実現される機能のうち、少なくとも1つが、ROM82のプログラム82aに従ってCPU83により実現されても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 基板処理装置
10 基板搬送ユニット
20 載置部
30 水平駆動部
30a 固定部
35 回転駆動部
35a 回転軸
40(40a〜40d) 位置決め部
50(50a〜50d) 撮像部
51 撮像領域
60 塗布ユニット
70 制御ユニット
71 位置演算部
72 位置決め処理部
73 調整部
90 基板
94(94a〜94c)、95 アライメントマーク
P0 初期位置
P1 第1計測位置
P2 第2計測位置θ0 傾き
θ1 第1角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク上に形成された複数のマークに基づいて、前記ワークの姿勢を調整するアライメントユニットであって、
(a)前記ワークを載置する載置部と、
(b)水平第1方向に前記載置部を移動させる水平駆動部と、
(c)回転軸を中心として前記載置部を回転させる回転駆動部と、
(d)各々が、前記載置部の上方であって、前記水平第1方向と略垂直な水平第2方向に沿って配置された複数の撮像部と、
(e)前記複数の撮像部により撮像された画像に基づいて、前記ワーク上に形成された各マークの位置情報を演算する位置演算部と、
(f)前記位置演算部により演算された各マークの位置情報に基づき、前記載置部を回転させることによって、各撮像部に対する前記ワークの姿勢を調整する調整部と、
を備え、
前記複数の撮像部のそれぞれは、前記複数のマークのうちの対応マークを撮像し、
前記水平駆動部は、前記複数のマークのうちから選択された注目マークが、初期位置から第1計測位置に移動するように、前記載置部を前記水平第1方向に沿って第1距離だけ移動させ、
前記回転駆動部は、前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動するように、前記載置部を第1角度だけ回転させ、
前記位置演算部は、
(i)前記注目マークが、前記初期位置から前記第1計測位置に移動した後に、前記複数の撮像部のうち前記注目マークに対応する対応撮像部にて撮像された第1撮像画像に基づいて、前記第1撮像画像の座標系における前記注目マークの第1計測位置を演算し、
(ii)前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動した後に、前記対応撮像部により撮像された第2撮像画像に基づいて、前記第2撮像画像の座標系における前記第2計測位置を演算し、
(iii)演算された前記第1および第2計測位置と、前記第1角度と、に基づいて、前記回転軸から見た前記注目マークのマーク位置を演算するとともに、
前記第1距離は、前記載置部に載置されたワークが前記第1角度だけ回転させられる場合において、前記第1および第2計測位置が前記撮像領域内となるように、前記回転軸および前記撮像領域の位置関係に基づいて規定されることを特徴とするアライメントユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のアライメントユニットにおいて、
(g)前記ワークが前記載置部上の所望範囲内に載置されるように、前記載置部に対して前記ワークを位置決めする位置決め部、
をさらに備えることを特徴とするアライメントユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアライメントユニットと、
前記水平第2方向に沿って移動しつつ、前記載置部に載置された前記ワークに処理液を吐出する塗布ユニットと、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
ワーク上に形成された複数のマークに基づいて、前記ワークの姿勢を調整するアライメント方法であって、
前記ワークは、載置部に載置され、
前記複数のマークのそれぞれは、複数の撮像部のうち対応する撮像部により撮像され、
(a)前記複数のマークの中から選択された注目マークが、初期位置から第1計測位置に移動するように、前記載置部を前記水平第1方向に沿って第1距離だけ移動させる工程と、
(b)前記第1計測位置における前記注目マークが、前記複数の撮像部のうち対応する撮像部の撮像領域内となるように、第1撮像画像を撮像する工程と、
(c)前記工程(b)により撮像された前記第1撮像画像に基づいて、前記第1撮像画像の座標系における前記注目マークの第1計測位置を演算する工程と、
(d)前記注目マークが、前記第1計測位置から第2計測位置に移動するように、前記載置部に載置された前記ワークを第1角度だけ回転させる工程と、
(e)前記第2計測位置における前記注目マークが、前記撮像領域内となるように、前記注目マークを撮像する工程と、
(f)前記工程(e)により撮像された第2撮像画像に基づいて、前記第2撮像画像の座標系における前記第2計測位置を演算する工程と、
(g)工程(c)により演算された前記第1計測位置と、工程(f)により演算された前記第2計測位置と、前記第1角度と、に基づいて、前記載置部の回転軸から見た前記注目マークのマーク位置を演算する工程と、
(h)前記工程(a)〜工程(g)を繰り返し実行することによって各マークのマーク位置を演算するとともに、演算された各マーク位置に基づいて前記水平第2方向に対する前記ワークの傾きを演算する工程と、
(i)工程(h)により演算された前記ワークの前記傾きに基づいて、前記ワークの姿勢を調整する工程と、
を備え、
前記第1距離は、前記載置部に載置されたワークが前記第1角度だけ回転させられる場合において、前記第1および第2計測位置が前記撮像領域内となるように、前記回転軸および前記撮像領域の位置関係に基づいて規定されることを特徴とするアライメント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74455(P2012−74455A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216779(P2010−216779)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】