説明

カーナビゲーションシステム

【目的】携帯通信端末の現在位置を目的地とするナビゲーション手段を有するカーナビゲーションシステムを提供する。
【構成】カーナビゲーションシステム20は、通信ネットワーク3と、管理センタ5と、GPS付の携帯通信端末4と、カーナビゲーション装置10と、から構成され、カーナビゲーション装置10及び携帯通信端末4において装置識別情報NAME又は端末識別情報H1を管理センタ5に登録し、カーナビゲーション装置10は探索時に、端末識別情報H1を入力して管理センタ5に携帯通信端末4の探索を要求し、管理センタ5は登録の有無を確認し、登録された携帯通信端末4の相手方に探索の通知を行い、探索承諾する携帯通信端末4は現在位置情報Nをカーナビゲーション装置10に送信し、カーナビゲーション装置10は携帯通信端末4の現在位置を目的地とする経路案内を行うナビゲーション手段を備える構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの移動体では、衛星航法システムと慣性航法システムを備えて、自車の現在位置や目的地までの経路を音声案内や表示装置の画面上のマップに表して案内するカーナビゲーション装置が急速に普及している。
【0003】
このカーナビゲーション装置には、一般に衛星航法のGPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機が搭載され、GPSにて取得した絶対位置情報(緯度、経度など)と慣性航法システムで得た相対位置情報とを基に、現在位置をマップマッチングで推定し、周囲の地図表示や設定した目的地までのルート探索及びルート案内などを行っている。
【0004】
一方、近年GPSを用いたナビゲーション手段を搭載する携帯電話が普及しており、この所謂GPS携帯電話によって現在位置に関する情報や設定した目的地への案内情報が取得できるようになっている。
【0005】
ところで、従来の一般的なカーナビゲーション装置(システム)では、探索対象の目的地としてマップ上の固定の建物・施設、場所を指定するしかできず、友人との待ち合わせなどの場合で、特定の施設などが近くになかった場合にスムーズに相手方と合流することが困難な状況が生じることが予想される。
【0006】
然るに、カーナビゲーション装置において、マップ上に固定でない移動可能な携帯電話などの携帯通信端末を所持する相手方の現在位置をナビゲーションの探索対象(目的地)とすることができる機能があればカーナビゲーション装置として有益であると考えられる。
【0007】
ここに、カーナビゲーション装置と携帯通信端末とを要素とするナビゲーションシステムに関する公知文献として、下記[特許文献1]には、カーナビゲーション装置へ情報を入力する手段として、バーコードに位置情報を保持させ、バーコードリーダによって位置情報を取得する経路探索システムが提案されている。
【0008】
即ち、下記[特許文献1]には、図9のナビゲーションシステムの模式図又は図10のナビゲーション装置のブロック構成図に示されるように、相手方の携帯電話4bのGPS受信機によって位置情報を取得し、該位置情報を通信ネットワーク3を介して情報センタ42で2次元バーコードに変換されたものを、前記通信ネットワーク3を介して、カーナビゲーション装置57側のユーザが所持する携帯電話4aで受信し、その表示画面41に当該2次元バーコード45を表示する。表示された2次元バーコード45を、カーナビゲーション装置57に備え付けたイメージセンサ51で読み取り、カーナビゲーション装置57において、2次元バーコード45に保持されている位置情報を解析し、解析された相手方携帯電話4bの現在位置を、経路案内の目的地に設定して表示装置53に表示するという構成になっている。なお、図9中の通信ネットワーク3を介して情報センタ42に接続されたパーソナルコンピュータ45は携帯電話4bを使わずにパーソナルコンピュータ45から探索対象の目的地の位置情報を入力して情報センタ42に送信する場合である。また、符号43は情報センタ42の処理装置、符号44は位置情報データベース、符号40は携帯電話基地局である。また、図10のカーナビゲーション装置57は、イメージセンサ51を除き、一般的な構成である。
【0009】
【特許文献1】特開2004−117285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記[特許文献1]のカーナビゲーション装置57と携帯電話4a,4bを要素とする経路探索システムは、前記通信ネットワーク3を介しての前記情報センタ42との通信手段とGPSナビゲーション手段を備える携帯電話4bと、前記通信ネットワーク3を介しての前記情報センタ42との通信手段とナビゲーション手段及びデータ入力手段としてイメージセンサ51を備えるカーナビゲーション装置57と、から構成され、携帯電話4bの相手方の位置をバーコード化した位置情報として得てナビゲーション装置57側から探索対象の目的地として案内する機能を有している。
【0011】
しかしながら、目的地の相手方の現在位置情報を相手方の携帯電話4bとカーナビゲーション装置57側の利用者の携帯電話4aとの間で電子メールなどの通信方法で通信ネットワーク3に接続された情報センタ45を介してバーコードで受け取り、それをカーナビゲーション装置57のイメージセンサ51で読み取る必要があるため、相手方にバーコードを生成してもらい、それを利用者が受け取って読み取るといった手間がかかるという問題がある。
【0012】
また、上記経路探索システムは、携帯電話4a,4b同士が通話中で、互いの意思が連絡している場合は有益であるが、カーナビゲーション装置57側のユーザーと探索対象の相手方との間に意思の連絡が無い状態では、携帯電話の通話中の車の運転が禁止されていることやプライバシーの問題もあって簡単ではない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、携帯電話を所持する相手方の現在位置を相手方の承諾を前提に、携帯電話同士の通話をしないまま直接にカーナビゲーション装置側でその現在位置情報を通信ネットワークを介して得て、目的地として設定し案内することができるカーナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)通信ネットワーク3と、携帯通信端末4の端末識別情報データベース9及びカーナビゲーション装置10の装置識別情報データベース7を備えるとともに前記通信ネットワーク3に接続されたサーバーコンピュータ6からなる管理センタ5と、携帯通信端末基地局2と前記通信ネットワーク3を介した通信手段とナビゲーション手段を備える携帯通信端末4と、前記通信ネットワーク3を介した通信手段11とナビゲーション手段12及びデータ入力手段13を備えるカーナビゲーション装置10と、から構成され、前記カーナビゲーション装置10側において、前記管理センタ5にアクセスして当該カーナビゲーション装置10に固有の装置識別情報NAMEを前記管理センタ5の前記装置識別情報データベース7に登録するステップS1と、前記携帯通信端末4側において、前記通信ネットワーク3を介して前記管理センタ5にアクセスしてその固有の端末識別情報H1を前記端末識別情報データベース9に登録するステップS2と、前記カーナビゲーション装置10によるナビゲーション時に、前記データ入力手段13によって探索対象とする前記携帯通信端末4の端末識別情報H1を入力して前記管理センタ5に前記携帯通信端末4の現在位置の探索を要求するステップS3と、前記管理センタ5は前記カーナビゲーション装置10側からの前記携帯通信端末4の現在位置の探索要求に対して、両者(前記カーナビゲーション装置10と携帯通信端末4)の装置識別情報NAMEと端末識別情報H1のデータベース登録の有無を確認して、登録されている前記携帯通信端末4の相手方に登録されている当該カーナビゲーション装置10側から探索対象とされている事実の通知を行うステップS4と、前記携帯通信端末4はそのナビゲーション手段によって得た現在位置情報Nを前記通信ネットワーク3を介して前記カーナビゲーション装置10に送信するステップS5と、前記カーナビゲーション装置10は探索対象の前記携帯通信端末4の相手方の現在位置情報Nを前記通信ネットワーク3を介して受信し、そのナビゲーション手段12によって解析して前記携帯通信端末4の現在位置を目的地とする経路案内を行うステップS6と、からなるアルゴリズムによって前記カーナビゲーション装置10において前記携帯通信端末4の現在位置を目的地とするナビゲーション手段を備えることを特徴とするカーナビゲーションシステム20を提供する。
【0015】
さらに、
(2)前記携帯通信端末4とカーナビゲーション装置10の前記通信ネットワーク3を介した通信手段にセキュリティ保護のための暗号化処理手段が付加されていることを特徴とする上記(1)に記載のカーナビゲーションシステム20を提供する。
【発明の効果】
【0016】
(1) 本発明に係るカーナビゲーションシステムは、上記のような構成のため、カーナビゲーション装置のユーザーにおいて、特定の端末識別情報H1の携帯通信端末(典型のGPS携帯電話では、その携帯電話番号や電子メールのアドレスが代表)を持つ相手方の現在位置を目的地とする経路案内を行うことが可能になる。
(2) 管理センタによって識別情報データベースに登録されているカーナビゲーション装置と携帯通信端末間のみで、且つ、探索対象とされる携帯通信端末側の利用者において探索の事実を認知し自ら現在位置情報を送信することにより、ナビゲーション装置側での探索が可能になるので、他人に迷惑は及ばない。
(3) カーナビゲーション装置のユーザーは自己の携帯通信端末(携帯電話など)を使わないので、煩わしくなく且つ運転の妨げにならない。
(4) 暗号化手段を付した通信手段で携帯通信端末の端末識別情報や現在位置情報がデータ通信されるのでセキュリティが確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るカーナビゲーションシステムの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るカーナビゲーションシステムを説明するためのシステム構成図である。図2は本発明に係るカーナビゲーション装置のブロック図である。図3は本発明に係るカーナビゲーション装置側の登録の処理フロー図である。図4は本発明に係る携帯電話側の登録の処理フロー図である。図5は本発明に係る管理センタの識別情報データベースへの登録の処理フロー図である。図6は探索時のカーナビゲーション装置側と管理センタの処理フロー図である。図7は探索時の携帯電話側の処理フロー図である。
【0019】
図1に示される実施の形態のカーナビゲーションシステム20は、通信ネットワーク3と、携帯通信端末4の端末識別情報データベース9及びカーナビゲーション装置10の装置識別情報データベース7を備えるとともに前記通信ネットワーク3に接続されたサーバーコンピュータ6からなる管理センタ5と、携帯通信端末基地局2と前記通信ネットワーク3を介した通信手段とナビゲーション手段を備える携帯通信端末4と、前記通信ネットワーク3を介した通信手段11とナビゲーション手段12及びデータ入力手段13を備えるカーナビゲーション装置10と、から構成され、前記カーナビゲーション装置10側において、前記管理センタ5にアクセスして当該カーナビゲーション装置10に固有の装置識別情報NAMEを前記管理センタ5の前記装置識別情報データベース7に登録するステップS1と、前記携帯通信端末4側において、前記通信ネットワーク3を介して前記管理センタ5にアクセスしてその固有の端末識別情報H1を前記端末識別情報データベース9に登録するステップS2と、前記カーナビゲーション装置10によるナビゲーション時に、前記データ入力手段13によって探索対象とする前記携帯通信端末4の端末識別情報H1を入力して前記管理センタ5に前記携帯通信端末4の現在位置の探索を要求するステップS3と、前記管理センタ5は前記カーナビゲーション装置10側からの前記携帯通信端末4の現在位置の探索要求に対して、両者(前記カーナビゲーション装置10と携帯通信端末4)の装置識別情報NAMEと端末識別情報H1のデータベース登録の有無を確認して、登録されている前記携帯通信端末4の相手方に登録されている当該カーナビゲーション装置10側から探索対象とされている事実の通知を行うステップS4と、前記携帯通信端末4はそのナビゲーション手段によって得た現在位置情報Nを前記通信ネットワーク3を介して前記カーナビゲーション装置10に送信するステップS5と、前記カーナビゲーション装置10は探索対象の前記携帯通信端末4の相手方の現在位置情報Nを前記通信ネットワーク3を介して受信し、そのナビゲーション手段12によって解析して前記携帯通信端末4の現在位置を目的地とする経路案内を行うステップS6と、からなるアルゴリズムによって前記カーナビゲーション装置10において前記携帯通信端末4の現在位置を目的地とするナビゲーション手段を備える構成を特徴とする。
【0020】
前記通信ネットワーク3には、例えばインターネットが想定される。
【0021】
また、前記携帯通信端末4としては、GPS機能付の携帯電話(GPS携帯電話)が典型であり、この場合、前記通信ネットワーク3を介した前記管理センタ5との通信手段は、既に実用化している携帯通信端末基地局(携帯電話基地局)2を介しての接続手段が用いられる。即ち、GPS携帯電話4は、前記携帯通信端末基地局2を介して、通信ネットワーク(インターネット)3に接続可能に構成されており、管理センタ5のホームページアドレスを入力してアクセスすることにより、その表示画面に当該管理センタ5のホームページを表示することができる。
【0022】
前記携帯通信端末4のナビゲーション手段は既に実用化しているGPSナビゲーション機能がそのまま利用できる。実際、携帯電話を一人一台持つのが当たり前になってきた今日、GPS携帯電話の普及率が高くなってきている。ちなみに、米国ではセキュリティ確保のために携帯電話へのGPS搭載が義務付けられることになり、将来的に全ての携帯電話にGPSが搭載されることが予想される。
【0023】
前記携帯通信端末4の固有の端末識別情報H1としては、GPS携帯電話ではその携帯電話番号や電子メールのアドレスとするのが好ましいが、その他に固有の通称、雅号、愛称、略番号でもよい。また、将来的に携帯電話にもIPアドレスが振り分けられることも考えられ、このIPアドレスを上記端末識別情報H1としてもよい。
【0024】
また、GPS携帯電話では、電子メール等の通信機能を備えており、表示画面には着信時の発信者番号などの文字情報や、視覚によって認識可能な情報などが表示される。
【0025】
前記カーナビゲーション装置10は、図2に示されるように、従来の自動車に搭載されるカーナビゲーション装置が備える一般的なGPS受信機による衛星航法システムと慣性航法システム及び地図データベースとによるマップマッチングで現在位置を推定するナビゲーション手段12(点線枠内)に加えて、前記通信ネットワーク3を介した前記管理センタ5との通信手段11とデータ入力手段13を備える。
【0026】
上記データ入力手段13としては、携帯電話番号や電子メールアドレスを入力できる文字+テンキー入力装置が好ましいが、勿論、他の入力装置、例えば音声認識装置による入力手段でもよい。
【0027】
また、上記通信手段11としては、無線通信装置を用いた携帯電話と同様のインターネット接続手段が適用できる。勿論、この通信手段11には無線データ通信機能のみが必要であり、携帯電話と同様の音声通話機能は備わってなくてもよい。
【0028】
前記カーナビゲーション装置10の固有の装置識別情報NAMEとしては、カーナビゲーション装置側のユーザーが無線データ通信で通信ネットワーク3に接続する回線業者間で定めた固有の番号、名称とするが、同時に固有に与えられるIPアドレスも用いてもよい。
【0029】
本発明のカーナビゲーションシステム20の主旨は、携帯通信端末4としてGPS携帯電話を念頭にし、カーナビゲーション装置10による探索において、予め管理センタ5に登録された相手方の携帯電話の固有の端末識別情報H1(例えば携帯電話番号)を入力することで、所定の認証処理と手順を踏まえて相手方の携帯電話の現在位置情報N(緯度・経度など)を取得して該位置を目的地とする探索を可能とする点にある。
【0030】
なお、前記管理センタ5のサーバーコンピュータ6はデータ登録及び管理用のホームページを開設して、カーナビゲーション装置10側のユーザーと探索される携帯通信端末4側の利用者は上記のホームページヘアクセスし、携帯電話番号及びIPアドレスなどの登録は電子メールによるデータ通信手段を使用する。
【0031】
以下、本システムのカーナビゲーション装置10側と携帯通信端末4側と管理センタ5側で行われる処理のフローを段階を追って説明する。
【0032】
(1)登録段階
カーナビゲーション装置10側のユーザーは、図1のシステム構成図及び図3のフロー図で示されるように、通信ネットワーク3を介して管理センタ5にアクセスして相手方の携帯通信端末4に公開する(表示画面に表示する)自己の名称たる固有の装置識別情報NAMEを装置識別情報データベース7に登録する。この際に、好ましくは自動的にカーナビゲーション装置10のIPも登録されるようにする(ステップS1)。
【0033】
一方、携帯通信端末4の利用者も図1のシステム構成図及び図4のフロー図で示されるように、携帯通信端末基地局2を介して通信ネットワーク3に接続して管理センタ5にアクセスし、端末識別情報データベース9に固有の端末識別情報H1(携帯電話番号が典型であるが、勿論ユーザーが任意に定めた固有の愛称、通称、暗号などでもよい。)を登録する(ステップS2)。
【0034】
前記管理センタ5では、図5のフロー図に示されるように、携帯通信端末4からの登録のアクセスを受けると、セキュリティ確保のために、仮登録保管場所(メモリ装置)8に仮登録を行い、当該携帯通信端末4の利用者に確認の電子メールを送信し、該利用者から登録承認の電子メールを受け取った時点で端末識別情報データベース9に登録(本登録)を完了する。
【0035】
(2)探索前段階
図2のブロック図及び図6のフロー図に示されるように、前記カーナビゲーション装置10側のユーザーは、探索対象の相手方の携帯通信端末4の固有の端末識別情報H1(例として携帯電話番号)をデータ入力手段13で入力して通信手段11で通信ネットワーク3を介して管理センタ5へアクセスし、前記携帯通信端末4の現在位置の探索を要求する(ステップS3)。
【0036】
前記管理センタ5のサーバーコンピュータ4は、端末識別情報データベース9に当該相手方の端末識別情報H1(携帯電話番号)が登録されているかどうかを確認する。この際、登録はグルーピングしてなされており、登録の有無は1グループ内での有無の判断とするのが好ましい。即ち、セキュリティ確保のために、前記端末識別情報データベース9に登録されている全ての端末識別情報H1が対象となるのではなく、カーナビゲーション装置10のユーザーと携帯通信端末4の利用者とは互いに無関係ではなく、例えば友達同士のグループ或いは会員同士の集まりという一つの団体でまとまった中でのみの利用とする(暗号または質問と回答でグループ員か否かを判定する。)。
【0037】
前記端末識別情報データベース9に登録されていたら、相手方の携帯通信端末4に「探されています。位置情報を送りますか?」のような通知を電子メールで送り、同時に誰から探されているのかカーナビゲーション装置10のユーザーの名称NAMEを表示する(ステップS4)。蓋し、探索対象を設定時に適当な携帯電話番号で入力することができるので、グループ員(知人)でない人物から探索されることがあり得る。そのため、探される携帯通信端末4の利用者は誰から探されているのかを知る必要がある。そこで、探索の承諾/拒否を選択する際に、探索しているカーナビゲーション装置10側のユーザー情報を開示するのである。
【0038】
前記携帯通信端末4の利用者は、探索を許諾(承認)するときは、そのGPSのナビゲーション手段によって得た自己の現在位置情報Nを前記通信ネットワーク3を介して前記カーナビゲーション装置10に電子メールで直接送信する(ステップS5)。
【0039】
(3)探索段階
前記カーナビゲーション装置10は、前記携帯通信端末4の利用者から探索の許諾(現在位置情報Nの受信が承諾と同視される。)の電子メールを受けると、カーナビゲーション装置10はそのナビゲーション手段12によって相手方から取得した現在位置情報Nを目的地として解析(ルート計算)して、前記携帯通信端末4の現在位置への経路案内を表示装置53のマップ表示或いは音声案内によって行う(ステップS6)。
【0040】
なお、以上の処理フローにおいて、探索相手方の現在位置情報Nは相手方のプライバシーに内包する個人情報となり得るので、その保護も必要になってくる。そこで本発明におけるカーナビゲーションシステム20では、通信ネットワーク(典型としてインターネット)を介した情報授受のデータ通信手段に秘密保持の暗号化技術を適用する。例えば、実際に適用が想定される暗号化処理手段はSSL(Secure Socket Layer)を使った保護方法である。その他に、VPN(Virtual Private Network)やTSL(Transport Layer Security)が考えられる。勿論、現在研究されている光子偏光型量子番号など新しいアルゴリズムを用いた暗号化処理技術も適用対象となり得る。
【0041】
また、本カーナビゲーションシステム20では、探索を受ける携帯通信端末4側の利用者が探索の諾否の選択権を持っている。また、管理センタ5における登録データベースの管理において特定カーナビゲーション装置側のユーザーからの探索を予め拒否することも可能とする。これにより、カーナビゲーション装置側10から無断で携帯通信端末4の利用者の居場所を探すことは不可能になる。
【0042】
前記カーナビゲーション装置10のユーザー及び前記携帯通信端末4の利用者からは管理センタ5の端末識別情報データベース9及び装置識別情報データベース7の自己以外の情報を見ることはできないこととする。
【0043】
以上のように本システムにおける個人情報を保護するセキュリティ手段の内容は、端末識別情報データベース9に登録時に確認メールの送信、誰に探されているのかの情報開示、探索承諾及び拒否の選択の自由、特定カーナビゲーション装置のユーザーの探索拒否、管理センタ側での利用状況管理(端末識別情報データベース9へのアクセス記録など)、携帯通信端末4の利用者の現在位置情報Nの経度・緯度データをSSLなどで暗号化処理して送受信することなどである。
【0044】
ところで、本発明が適用される携帯通信端末4は、主としてGPS携帯電話であるが、勿論、GPS受信機を備えて自己の現在位置情報を得ることが可能でインターネットへの接続が可能なPDA、ノートパソコン、PHSなども含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るカーナビゲーションシステムを説明するためのシステム構成図である。
【図2】本発明に係るカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】本発明に係るカーナビゲーション装置側の登録の処理フロー図である。
【図4】本発明に係る携帯通信端末側の登録の処理フロー図である。
【図5】本発明に係る管理センタの識別情報データベースへの登録の処理フロー図である。
【図6】探索時のカーナビゲーション装置側と管理センタの処理フロー図である。
【図7】探索時の携帯通信端末側の処理フロー図である。
【図8】公知技術のカーナビゲーション装置と携帯通信端末とを要素とする経路探索システムの構成図である。
【図9】上記公知技術のカーナビゲーション装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
2 携帯通信端末基地局
3 通信ネットワーク
4 携帯通信端末
5 管理センタ
6 サーバーコンピュータ
7 装置識別情報データベース
8 仮登録保管場所
9 端末識別情報データベース
10 カーナビゲーション装置
11 通信手段
12 ナビゲーション手段
13 データ入力手段
20 カーナビゲーションシステム
53 表示装置
NAME 固有の装置識別情報
H1 固有の端末識別情報
N 携帯通信端末の現在位置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークと、
携帯通信端末の端末識別情報データベース及びカーナビゲーション装置の装置識別情報データベースを備えるとともに前記通信ネットワークに接続されたサーバーコンピュータからなる管理センタと、
携帯通信端末基地局と前記通信ネットワークを介した通信手段とナビゲーション手段を備える携帯通信端末と、
前記通信ネットワークを介した通信手段とナビゲーション手段及びデータ入力手段を備えるカーナビゲーション装置と、から構成され、
前記カーナビゲーション装置側において、前記管理センタにアクセスして当該カーナビゲーション装置に固有の装置識別情報を前記管理センタの前記装置識別情報データベースに登録するステップと、
前記携帯通信端末側において、前記通信ネットワークを介して前記管理センタにアクセスしてその固有の端末識別情報を前記端末識別情報データベースに登録するステップと、
前記カーナビゲーション装置によるナビゲーション時に、前記データ入力手段によって探索対象とする前記携帯通信端末の端末識別情報を入力して前記管理センタに前記携帯通信端末の現在位置の探索を要求するステップと、
前記管理センタは前記カーナビゲーション装置側からの前記携帯通信端末の現在位置の探索要求に対して、両者の装置識別情報と端末識別情報のデータベース登録の有無を確認して、登録されている前記携帯通信端末の相手方に登録されている当該カーナビゲーション装置側から探索対象とされている事実の通知を行うステップと、
前記携帯通信端末はそのナビゲーション手段によって得た現在位置情報を前記通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置に送信するステップと、
前記カーナビゲーション装置は探索対象の前記携帯通信端末の相手方の現在位置情報を前記通信ネットワークを介して受信し、そのナビゲーション手段によって解析して前記携帯通信端末の現在位置を目的地とする経路案内を行うステップと、
からなるアルゴリズムによって前記カーナビゲーション装置において前記携帯通信端末の現在位置を目的地とするナビゲーション手段を備えることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記携帯通信端末とカーナビゲーション装置の前記通信ネットワークを介した通信手段にセキュリティ保護のための暗号化処理手段が付加されていることを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−184083(P2006−184083A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376469(P2004−376469)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】