説明

カーナビゲーション装置およびカーナビゲーションシステムならびにカーナビゲーションシステムにおける通信方法

【課題】ユーザにとって利用料金の負担が大きくなることがなく、かつ移動通信システム側から見ても、無線リソースを効率的に使用でき、さらにはカーナビゲーションサービスを利用中に圏外に出たためにサービスが中断してしまうことがないようにする。
【解決手段】地図管理サーバとカーナビゲーション装置の間を、第1の無線通信ネットワークおよび第1の無線通信ネットワークより大容量の通信が可能な第2の無線通信ネットワークを介して接続し、カーナビゲーション装置と、地図管理サーバとの間で通信を行なう際、制御情報の送受信は第1の無線通信ネットワークを介して行い、地図情報のダウンロードは第2のネットワークを介して行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置およびカーナビゲーションシステムならびにカーナビゲーションシステムにおける通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムは、音声通話サービスやインターネット、電子メールのやり取りだけではなく、その移動しながらも継続して通信を利用することが可能という特徴から、様々な情報機器と組み合わせた形態でサービス化が図られている。特に昨今では移動通信のブロードバンド化が進み、ダウンリンクにおいては高速移動しながらも10Mbit/s を超える高速データ通信が実用化されている。さらに今後は、100Mbit/s を超える通信サービス仕様が規格化され、近年中に一般ユーザ向けに実用化される予定である。
【0003】
移動通信システムを利用したサービスの一つに、カーナビゲーションシステムがある。現在のカーナビゲーションシステムでは、刻々と変化する地図情報に対応するためには、装置を車載から外して、地図情報の更新処理を行なわなくてはならない。しかし、前述のように、今後100Mbit/s を超える通信サービスが実用化されれば、わざわざ、車載から外すことなく、日常で使用する車載の形態のまま、リアルタイムに最新の地図情報に更新しつつカーナビゲーションサービスを提供することが可能となりえる。
【0004】
このように、100Mbit/s を超える高速移動通信サービスが一般ユーザ向けに実用化される環境が整備されつつある一方で、ショートメッセージサービス(以下SMS:Short Messaage Service)のような、従来から実用化されている小容量の移動体通信機能もまた、利用されている。前述の大容量の移動体通信機能と、SMSの機能を合わせもつ移動通信機器も実用化されており、ユーザは、使用するアプリケーションに合わせて、大容量の通信と、小容量の通信とを使い分けることができる環境となっている。
【0005】
ナビゲーション装置のような車載用のデータ通信装置の従来の技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1は、地図情報が新しいかどうかの管理をしなくても常に最新の地図情報を表示することを目的とし、ナビゲーション装置には現在必要ない地図情報を格納する蓄積手段を設けず、地図情報を、地図センターで一括管理している。また、この地図センターに格納されている地図情報を常に最新版に保つことを特徴とし、ナビゲーション装置の使用者には、現在位置を取得する手段と、取得した位置情報を地図センターに送信し送信した位置情報に対応する地図情報を受信する通信手段と、受信した地図情報と取得した位置情報とから現在位置における描画情報を作成する描画手段と、描画情報を表示する表示手段とを備え、取得した現在の位置情報に対応する地図情報を位置情報とともに表示するようにしたものである。
【0006】
また、特許文献2に記載されたカーナビゲーション装置は、地図情報が変更された場合に、利用者が地図情報を記憶した媒体を買い換えることなく、最小限の出費で常に新しい地図情報を利用できるようにすることを目的とし、地図情報が古いことを判別するための判別装置と、地図情報を供給する地図情報供給装置と接続するための接続装置とを備え、判別装置が地図情報記憶部に記憶された地図情報が古いことを判別した場合に、制御装置が接続装置を通して地図情報供給装置から地図情報をダウンロードして地図情報記憶装置に記憶された地図情報を更新し、更新した地図情報を用いて表示装置に最新の地図の表示を行なうようにしたものである。
【0007】
一方、前述のSMSを利用した車載用の装置に関する発明として、特許文献3に記載されたものがある。特許文献3の車載用データアクセスユニットは、メインCPUが不必要に起動するのを未然に回避することを目的とし、車載用データアクセスユニットに搭載された組込み型無線通信機は、電子メールサーバから送信されたSMS発信信号が基地局を通じて受信されると、その受信されたSMS発信信号による着信が有効であれば、メインCPUを起動させ、これに対してその受信されたSMS発信信号による着信が有効でなければメインCPUの起動を禁止するようにしたものである。
【0008】
【特許文献1】特開2000− 67385号公報
【特許文献2】特開2002−148051号公報
【特許文献3】特開2005−142642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在実用化されているカーナビゲーション装置の地図データの更新は、カーナビゲーション装置を、ベンダーへ送付して地図データを更新してもらう方法や、宅内のパーソナルコンピュータを使用してで地図データを更新する方法により行なわれる。いずれの方法も、結局、カーナビゲーション装置を車から取り外して地図データを更新しなければならず、ユーザ側で行なわなければならない作業が非常に多く手間もかかる。また、これらのサービスは一般的に非常に高価という問題点もあり、ユーザが気軽に利用出来るサービスとなりえていない。
【0010】
また、地図データをDVDに保持し、DVDを買い替えることにより最新の地図データを提供するサービス形態もあるが、DVDの容量の問題があり、現状の豊富なサービスに対応するには困難である。さらに、DVDを購入する際にも申し込みをして入手する必要がある為に更新したいときに即手軽に利用できるものでもない上に、更新部分だけでは無く、更新の無い部分も含めすべての地図情報を含んでいるために、更新された部分のみの地図情報を得る場合に比べて高価となる。そのため、更新してもまたすぐに最新のものではなくなってしまう地図情報を、どのタイミングで更新するかの判断が難しいという問題点がある。
【0011】
前述のような課題は先に述べた従来の技術においても同様である。地図情報を全て地図センターで蓄積管理する形態では、通信量が大きくなり、移動通信システムへの負荷が非常に大きくなる。その結果、地図情報更新のサービス自体が高価となり、このサービスを利用するユーザ側の料金負担が大きくなると考えられる。
【0012】
逆に、基本となる地図情報をカーナビゲーション装置側に記憶し、センター側から更新した地図情報をダウンロードする場合、従来の技術においては、地図情報の版数情報の送受信や送信要求の送受信も、地図情報の送信も同じように行なった場合、無線リソースの使用が非効率である。
【0013】
そこで、ユーザ側の利用料金の負担が大きくなることがなく、移動通信システムの無線リソースを効率的に使用できる技術が必要とされていた。またさらに、ある通信システムが圏外となった場合にも、別の通信システムにより更新要求情報や地図情報が送受信できれば、ユーザは常に最新の地図情報を取得でき、快適な環境でカーナビゲーション装置を使用することができる。
【0014】
本発明は、ユーザにとって利用料金の負担が大きくなることがなく、かつ移動通信システム側から見ても、無線リソースを効率的に使用でき、さらにはカーナビゲーションサービスを利用中に圏外に出たためにサービスが中断してしまうことがないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明においては、地図管理サーバとカーナビゲーション装置の間を、第1の無線通信ネットワークおよび第1の無線通信ネットワークより大容量の通信が可能な第2の無線通信ネットワークを介して接続し、カーナビゲーション装置と、地図管理サーバとの間で通信を行なう際、制御情報の送受信は第1の無線通信ネットワークを介して行い、地図情報のダウンロードは第2のネットワークを介して行なうようにした。
【0016】
また、カーナビゲーション装置は、ユーザが入力した目的地情報と現在位置に基づいて目的地までのルート情報を作成し、位置情報とルート情報を地図管理サーバに送信するとともに、地図管理サーバより位置情報およびルート情報に基づいて検索された更新地図情報の有無を通知する信号を受け取り、更新地図情報が有ることを通知する信号を受け取った場合には、第2の無線通信ネットワークと接続して地図管理サーバから地図情報のダウンロードを行なうようにした。
【0017】
また、第1の無線通信ネットワークを介してカーナビゲーション装置と地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、第2の無線通信ネットワークを介して制御信号の送受信を行なうようにした。
【0018】
さらに、カーナビゲーション装置内にも地図情報を記憶しておき、第2の無線通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置と前記地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、カーナビゲーション装置は、第1の無線通信ネットワークを介して、位置情報およびルート情報に加え、第2の無線通信ネットワークの圏外であることを通知する圏外情報を送信し、地図管理サーバは、カーナビゲーション装置より受信した情報に対応して第2の通信ネットワークにおける地図情報の更新サービスが享受できるサービスエリア情報を作成して第1の無線通信ネットワークを介して、カーナビゲーション装置に送信し、カーナビゲーション装置は、カーナビゲーション装置内の記憶部に記憶された地図情報とサービスエリア情報をあわせて、表示手段に表示するようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザにとって利用料金の負担が大きくなることがなく、かつ移動通信システム側から見ても、無線リソースを効率的に使用でき、さらにはカーナビゲーションサービスを利用中に圏外に入ったためにサービスが中断してしまうことがないカーナビゲーションシステムならびにカーナビゲーションシステムにおける通信方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明のナビゲーションシステムのネットワーク全体の構成を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例におけるネットワーク全体の構成を説明する図である。
図1において、100は地図管理サーバ、200はコアネットワーク、300はショートメッセージサービスネットワーク、400はブロードバンド(以下BB:Broad Band)通信ネットワーク、500はカーナビゲーション装置、600はGPS衛星である。本発明においては、カーナビゲーション装置500が、SMSを送受信する機能を備える高速通信モジュールを持ち、リアルタイムで地図情報を更新可能であることを特徴とする。
【0022】
ユーザが、目的地をカーナビゲーション装置500へ設定すると、カーナビゲーション装置500は、GPS衛星600より位置情報を取得し、その情報をカーナビゲーション装置自身に保存している地図情報とマージしてルートパターン情報を作成する。続いてカーナビゲーション装置は、自身の位置情報と作成したルートパターン情報をショートメッセージにてSMSネットワーク300へ送信する。この情報はコアネットワーク200を介して、地図管理サーバ100へ送られる。
【0023】
地図管理サーバは、カーナビゲーション装置から受信した位置情報とルートパターン情報に基づき、地図管理サーバ自身が保持している最新版の地図情報と照合し、ルートパターン情報で更新可能なブロックがあるかを検索する。そして、更新可能なブロック情報があれば、それを更新地図情報として作成し、地図管理サーバ自身にその更新地図情報を記憶する。次に地図管理サーバ100は、更新地図情報の有無を、コアネットワーク200およびSMSネットワーク300を介して、カーナビゲーション装置500へショートメッセージにて送信する。
【0024】
地図管理サーバから、更新地図情報の有無についての情報を受け取ったカーナビゲーション装置500は、更新地図情報が無い場合には、カーナビゲーション装置自身で保存している地図情報を用いてユーザへカーナビゲーションサービスを提供する。更新地図情報が有る場合には、カーナビゲーション装置500は、BB通信ネットワーク400との接続を確立し、コアネットワーク200を介して地図管理サーバ100より、更新地図情報をダウンロードする。そして、ダウンロードした更新地図情報と、カーナビゲーション装置自身に保存していた地図情報とをマージして、ユーザへ最新の地図情報を用いたカーナビゲーションサービスを提供する。
【0025】
次に、カーナビゲーション装置の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施例におけるカーナビゲーション装置の構成を説明する図である。
本実施例のカーナビゲーション装置500は、図2に示す通り、SMS通信機能を有する高速通信モジュール510と、車載ナビゲーション部520と、アンテナ部501と、IO電源制御部502とから構成される。
【0026】
SMS通信機能を有する高速通信モジュール510は、CPU(1)511と、ROM(1)512と、RAM(1)510と、後位IF514と、補助バッテリ515と、アンテナ接続部(1)516と、SMS通信モジュール部517と、BB通信モジュール部518と電源IF(1)519より構成される。
【0027】
カーナビゲーション部520は、CPU(2)521と、地図情報ワークエリア522と、更新データベース523と、アンテナ接続部(2)524と、GPS通信モジュール部525と、モジュールIF526と、表示部527と、キー入力部528と、ROM(2)529と、RAM(2)530と、基本地図情報用メディア531と、電源IF(2)532から構成される。
【0028】
次に、各部の動作について説明する。
ユーザが車のエンジンを起動すると、車のメインバッテリよりIO電源制御部502を介してSMS機能付き高速通信モジュール510内の電源IF(1)519と、カーナビゲーション部520内の電源IF(2)532を介して各構成へ電源が供給される。次に、CPU(2)521はROM(2)529よりROM(2)529に記憶されたソフトウェアをRAM(2)530へ展開する。次に基本地図情報用メディア531より基本地図情報を地図情報ワークエリア522へ展開する。続いて、GPS通信モジュール部525とGPS衛星600が通信し、現在の位置情報をアンテナ部501よりアンテナ接続部(2)524を介して受信する。CPU(2)521は、その位置情報を地図情報とマージし、表示部527へ表示する。
【0029】
次にユーザがキー入力部528より、目的地情報が入力されると、CPU(2)521は、地図情報ワークエリア522内で目的地までのルート情報をルートブロック単位で構成する。次にCPU(2)521は、このルートブロックを識別する識別番号を並べた情報であるルートパターン情報と、位置登録情報とを、モジュールIF527を介してSMS機能付き高速通信モジュール510へ送信する。
【0030】
SMS機能付き高速通信モジュール510は、電源IF(1)519より電源が供給されると、ソフトウェアをROM(1)512よりRAM(1)513へ展開する。続いてSMS通信モジュール部517と、BB通信モジュール部518を起動し、通信スタンバイの状態へ遷移させる。
【0031】
さらに、SMS機能付き高速通信モジュール510は、カーナビゲーション部520より、SMS機能付き高速通信モジュール510内の後位IF514を介して、ルートパターン情報と位置登録情報を受信すると、CPU(1)はSMS通信モジュール部517にて受信したルートパターン情報と位置登録情報をショートメッセージ化して、アンテナ接続部(1)516と接続されたアンテナ部501を介して、SMSネットワーク300へ送信する。なお、補助バッテリ515は、更新サービス中にユーザが車のエンジンをOFFしても、車側のバッテリに影響を与えずに、サービスを継続し続ける為の補助電源である。このショートメッセージはコアネットワーク200を介して地図管理サーバ100で受信される。
【0032】
次に地図管理サーバについ説明する。
図3は、本発明の一実施例における地図管理サーバの構成を説明する図である。
図3に示すように、地図管理サーバ100は、CPU(3)101と、ネットワークインタフェース部102と、メモリ103と、ハードディスク104と、IO制御部105と、更新地図データベース111と、更新情報ブロック群112と、地図データベース110からなる。更新情報ブロック群112には、ユーザ毎に更新情報が管理されている。
【0033】
次に各部の動作について説明する。
【0034】
CPU(3)101は、ネットワークインタフェース部102を介してSMS機能付き高速通信モジュール510から、ルートパターン情報と位置登録情報を受信すると、これら受信情報を更新地図データベースと照合し、更新可能なルートブロックがあるかどうか検索する。
更新可能なルートブロックがある場合には、それをユーザ毎に管理した更新情報ブロック群112へ展開する。図3に示した例では、ユーザ毎に管理した更新情報ブロック群112内にあるユーザAの更新情報ブロック群は、更新可能なルートブロックが7個ある。実際にカーナビゲーション部520が構成したルートブロックの中でルートブロックの2番目であるルートブロック(2)1121、ルートブロックの4番目であるルートブロック(4)1122、ルートブロックの7番目であるルートブロック(7)1123、ルートブロックの8番目であるルートブロック(8)1124、ルートブロックの10番目であるルートブロック(10)1125、ルートブロックの11番目であるルートブロック(11)1126、ルートブロックの15番目であるルートブロック(15)1127が更新可能なルートブロックとして構成されていることを示している。
【0035】
CPU(3)101は、更新可能なルートブロックの有無を、ネットワークインタフェース部102よりコアインタフェース200へ送信する。SMSネットワーク300より更新可能なルートブロックの有無を、アンテナ部501を介してSMS通信モジュール部517が受信する。
更新ルートブロックが無い場合にはその旨をCPU(1)511が後位IF514を介して、カーナビゲーション部520へ通知する。カーナビゲーション部520のCPU(2)521がこの情報を受信すると、地図情報ワークエリア522に構成されたルートブロックに基づいてカーナビゲーションサービスの提供を開始する。
更新ルートブロックが有る場合には、CPU(1)511はBB通信モジュール部518とBB通信ネットワーク400間のリンク確立を指示し、地図管理サーバ100内の地図データベース110よりBB通信ネットワーク400を介して更新ルートブロックの更新地図情報のダウンロードを開始する。
【0036】
ダウンロードした更新ルートブロックの更新地図情報は、CPU(1)511により後位IF514を介してカーナビゲーション部520に送られる。CPU(2)521は、モジュールIF526を介して受信した更新ルートブロックの更新地図情報を更新データベース523へ順次格納していく。全ての更新ルートブロックの更新地図情報の格納を完了すると、地図情報ワークエリア522内のルートブロックと更新データベース523のデータをマージし、最新の地図情報を基に、ユーザに対してカーナビゲーションサービスを提供する。
【0037】
次に、本発明の地図情報更新処理のシーケンスを説明する。
【0038】
図4は、本発明の一実施例における地図情報の更新処理のシーケンスを説明する図である。
図4では地図管理サーバ100と、コアネットワーク200と、BB通信ネットワーク400と、SMSネットワーク300と、通信モジュール510と、カーナビゲーション部520間の地図情報更新フローにおける制御信号及びデータの流れを示している。
【0039】
カーナビゲーション部520は、ユーザからの目的地設定S100を受信すると、通信モジュール510へルートブロック情報の送信及び位置情報送信開始指示S101を送信する。通信モジュール510は、SMSネットワーク300とBBネットワーク400とコアネットワーク200を介して地図管理サーバ100へ、ルートブロック情報及び位置情報の送信を実行するS102。
【0040】
地図管理サーバ100は、カーナビゲーション装置500より受信したルートブロック情報及び位置情報より、更新可能なルートブロックを検索するS103。検索した結果得られた更新可能なルートブロックの有無の情報を、コアネットワーク200とBBネットワーク400とSMSネットワーク300を介して通信モジュール510へ通知するS104。なお、更新可能なルートブロックが無しの場合のみ、さらにカーナビゲーション部520へ更新可能なルートブロック無しS105を通知する。
【0041】
更新可能なルートブロックが有る場合には、通信モジュール510は、リンク確立要求S200をBBネットワーク400へ送信する。BBのリンクが確立されるとBBネットワーク400からリンク確率完了通知が、通信モジュール510と地図管理サーバ100へ送られる。これによりBB回線のリンクが確立され、地図管理サーバ100は、更新ルートブロックの更新地図情報の送信を開始S202する。地図管理サーバ100は、全ての更新ルートブロックの更新地図情報の送信を完了すると、更新ルートブロック送信終了S203をコアネットワーク200とBBネットワーク400を介して通信モジュール510へ送信する。更新ルートブロック送信終了S203を受信した通信モジュール510は、解放要求S204をBBネットワーク400へ送信する。BB回線のリンクの解放が完了すると、BBネットワーク400より、通信モジュール510とコアネットワーク200を介して地図管理サーバ100へリンク解放完了通知S205が送信される。
【0042】
もし、ユーザがカーナビゲーション部520により設定されたルートを外れて走行し、地図管理サーバから取得したルートブロック情報に含まれるエリアを外れてしまうルートブロックエリア外れS300が発生した場合、前述のS102〜S205の処理を再度実行して、カーナビゲーション部520内のルートブロックを再構築する。
【0043】
ユーザが目的地に到着した場合、もしくはユーザがナビゲーションサービスの途中終了S400を選択した場合、カーナビゲーション部520より、通信モジュール510、SMSネットワーク300、コアネットワーク200を介して地図管理サーバ100へサービス完了通知S401が送信される。地図管理サーバ100は、サービス完了通知S401を受信すると、更新情報ブロック群に保持していた、該当ユーザの更新用ルートブロック情報を削除S402する。
【0044】
次に、圏外処理を伴う場合の地図情報の更新処理について説明する。
図5は、本発明の一実施例における圏外処理を伴う場合の地図情報の更新処理を説明するフローチャートである。
ここで説明する圏外処理とは、SMSネットワーク300が圏外であった場合の処理と、BB通信ネットワーク400が圏外であった場合の処理である。
【0045】
まず、SMSネットワーク300にアクセスを試みた結果、圏外であった場合は、本来SMSで行なうべき処理を、BB通信ネットワーク400を使用して、実施することにより、地図情報更新サービスを継続する。
【0046】
一方、BB通信ネットワーク400が圏外であった場合には、地図管理サーバ100へ、SMSネットワーク300を使用してショートメッセージにて、目的地までのルートブロック上でのBB通信ネットワーク400がサービス提供可能なブロックがあるかどうかの問い合わせを行なう。
サービス可能なブロックがあった場合には、そのブロックを識別するコードを、管理サーバ100からSMS機能付き高速通信モジュール510へ送付し、リアルタイムでカーナビゲーション部520上で基本地図情報とマージして、ユーザへ提供する。
このようにすることで、BB通信ネットワーク400を介した地図情報の更新サービスがBB通信ネットワーク400が圏外であった場合でも、SMSネットワークを介して、サービス提供可能な更新ルートブロックの情報の提供という形でサービスすることができる。
以下、それぞれの圏外処理について、説明する。
(1)SMSネットワークが圏外の場合の処理
SMSネットワークが圏外の場合、、まず、ユーザから目的地設定がされると、ルート情報設定及び変更待ちF100から地図更新要判断ルーチンF101に進み、目的地設定されたので、地図更新要判断ルーチンF101 では、YES判定される。次にSMS圏内判定ルーチンF102においては、SMSネットワークは圏外なのでNO判定される。次にBB圏内判定ルーチンF103では、BB通信ネットワークは圏内であるため、YES判定される。そして、BBリンク確立F106を実施し、ルートブロック情報/位置情報送信F105を行い、更新データ有り判定ルーチンF104にてYES判定され、更新地図情報をダウンロードF107し、更新地図情報ダウンロード完了F108後、BBリンクを解放109し、ルート情報設定及び変更待ちF100に遷移して、次のユーザアクションに向けて待機する。
【0047】
もし、更新データ有り判定ルーチンF104にてNO判定されると、ルート情報設定及び変更待ちF100に遷移し、次のユーザアクションに向けて待機する。もし、BB通信ネットワークも圏外で、BB通信ネットワーク圏内判定ルーチンF103にてNO判定されると、更新サービス不可をユーザへ通知F120し、SMS圏内判定ルーチンF102及びBB圏内判定ルーチンF103にて、各ネットワークサービスが使用可能かの確認を継続して実行する。
(2)BB通信ネットワークが圏外の場合の処理
BB通信ネットワークが圏外でSMSネットワークは圏内の場合、SMS圏内判定ルーチンF102においてはYES判定となり、BB圏内判定F103においてはNO判定となる。続いて、サービスエリア情報未受信判定F110でYES判定となると、圏外情報と、位置情報と、ルートブロック情報をSMSネットワークを介して地図管理サーバに送信F111する。そして、カーナビゲーション装置より受信した圏外情報、位置情報、ルートブロック情報に基づき地図管理サーバが作成した、BB通信ネットワークの圏内エリアを通知するためのサービスエリア情報を受信F112し、受信したサービスエリア情報をカーナビゲーション装置のカーナビゲーション部に記憶している基本地図情報へマージF113しユーザに表示する。BB圏内判定ルーチンF103とサービスエリア情報未受信判定ルーチンF110は、BB通信ネットワークのサービスエリアに入って地図情報穂う更新サービスが可能となるまで判定を継続する。
(3)両ネットワークが圏内の場合の処理
SMSネットワーク、BB通信ネットワークの両ネットワークサービスが圏内の場合は、SMS圏内判定ルーチンF102にてYES判定となり、BB圏内判定F103にてYES判定となる。次に、更新データ有り判定F104でYES判定となると、ルートブロック情報/位置情報送信F105を行い、BBリンクを確率F106する。そして、更新地図情報をダウンロードF107し、更新地図情報ダウンロード完了F108後、BBリンクを解放F109し、ルート情報設定及び変更待ちF100に遷移し、次のユーザアクションに向けて待機する。
【0048】
もし、更新データ有り判断ルーチンF104にてNO判定されると、ルート情報設定及び変更待ちF100に遷移し、次のユーザアクションに向けて待機する。
【0049】
以上で述べた本発明の実施例は、具体的なハードのイメージとしては、SMS機能付き高速通信モジュールを通信カードで実現することが考えられる。本発明の上記実施例を実現する通信カードとカーナビゲーション内の制御アプリケーションにより、通信情報の容量や用途に応じて、大容量の通信システムと小容量の通信システムの両方を利用することが可能となる。また、本発明の上記実施例によれば、通信システム側の無線リソースが有効に使用されることにより、結果として、ユーザ側の通信コストの削減が可能となる。その結果、地図情報更新サービスを普及させることが可能となる。
【0050】
また、本発明の上記実施例で示した複数種類の通信システムのひとつが使用不可能となった場合でも、残っている稼働可能な通信システムを介してサービスの提供を継続することができる。また、さらには、稼動可能な通信システムにより、使用不可能となった通信システムのサービス復旧に関する情報をユーザへ通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例におけるネットワーク全体の構成を説明する図である。
【図2】本発明の一実施例におけるカーナビゲーション装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の一実施例における地図管理サーバの構成を説明する図である。
【図4】本発明の一実施例における地図情報の更新処理のシーケンスを説明する図である。
【図5】本発明の一実施例における圏外処理を伴う場合の地図情報の更新処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
地図管理サーバ
コアネットワーク
ショートメッセージサービスネットワーク
BB通信ネットワーク
500 カーナビゲーション装置
600 GPS衛星
501 アンテナ部
502 IO電源制御部
510 SMS機能付き高速通信モジュール
511 CPU(1)
512 ROM(1)
513 RAM(1)
514 後位IF
515 補助バッテリ
516 アンテナ接続部(1)
517 SMS通信モジュール部
518 通信モジュール部
519 電源IF(1)
520 カーナビゲーション部
521 CPU(2)
522 地図情報ワークエリア
523 更新データベース
524 アンテナ接続部(2)
525 GPS通信モジュール部
526 モジュールIF
527 表示部
528 キー入力部
529 ROM(2)
530 RAM(2)
531 基本地図情報用メディア
532 電源IF(2)
101 CPU(3)
102 ネットワークインタフェース部
103 メモリ
104 ハードディスク
105 IO制御
110 地図データベース
111 更新地図データベース
112 各ユーザの更新情報ブロック群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報の更新および管理を行なう地図管理サーバと制御情報を送受信し、また前記地図管理サーバより地図情報をダウンロードして表示手段に表示するカーナビゲーション装置であって、
第1の無線通信ネットワークと通信を行なうための第1の通信手段と、
前記第1の無線通信ネットワークより大容量の通信が可能な第2の無線通信ネットワークと通信を行なうための第2の通信手段と、
制御部とを有し、
前記制御部は、地図管理サーバとの通信において、前記制御情報の送受信は前記第1の無線通信ネットワークを介して第1の通信手段により行い、地図情報のダウンロードは前記第2のネットワークを介して、第2の通信手段により行なうことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーナビゲーション装置であって、
現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
ユーザが情報を入力するための入力手段と、
該入力手段からユーザが入力した目的地情報と、前記現在位置取得手段で取得した現在位置に基づいて目的地までのルート情報を作成するルート情報作成手段とをさらに有し、
前記第1の通信手段により、前記位置情報とルート情報を前記地図管理サーバに送信するとともに、前記地図管理サーバより前記位置情報およびルート情報に基づいて検索された更新地図情報の有無を通知する信号を受け取り、
前記制御部は、更新地図情報が有ることを通知する信号を受け取った場合には、
前記第2の通信手段により第2の無線通信ネットワークと接続して前記地図管理サーバから地図情報のダウンロードを行なうことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカーナビゲーション装置であって、前記第1の無線通信ネットワークに接続できない場合には、前記第2の通信手段により前記第2の無線通信ネットワークを介して、前記位置情報とルート情報を前記地図管理サーバに送信するとともに、前記地図管理サーバより前記位置情報およびルート情報に基づいて検索された更新地図情報の有無を通知する信号を受け取ることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のカーナビゲーション装置であって、
該カーナビゲーション装置内にも地図情報を記憶した記憶部を有し、
前記第2の無線通信ネットワークに接続不可の場合には、前記第1の通信手段により、前記位置情報およびルート情報に加えて前記第2の無線通信ネットワークの圏外であることを通知する圏外情報を送信し、この送信情報に対応し、第1の通信手段を介して、前記地図管理サーバが作成した前記第2の通信ネットワークにより地図情報の更新サービスが享受できるサービスエリア情報を受け取り、前記カーナビゲーション装置内の記憶部に記憶された地図情報に、前記サービスエリア情報を合わせて、前記表示手段に表示することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載のカーナビゲーション装置であって、前記第1の無線通信ネットワークとして、ショートメッセージサービスネットワークを利用することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項6】
地図情報の更新および管理を行なう地図管理サーバと、
前記地図管理サーバと制御情報を送受信し、また前記地図管理サーバより地図情報をダウンロードして表示手段に表示するカーナビゲーション装置を少なくともひとつ有するカーナビゲーションシステムであって、
前記地図管理サーバとカーナビゲーション装置の間は、第1の無線通信ネットワークおよび前記第1の無線通信ネットワークより大容量の通信が可能な第2の無線通信ネットワークを介して接続されており、
前記カーナビゲーション装置は、
前記第1の無線通信ネットワークと通信を行なうための第1の通信手段と、
前記第2の無線通信ネットワークと通信を行なうための第2の通信手段と、
制御部とを有し、
前記制御部は、地図管理サーバとの通信において、前記制御情報の送受信は前記第1の無線通信ネットワークを介して第1の通信手段により行い、地図情報のダウンロードは前記第2のネットワークを介して、第2の通信手段により行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のカーナビゲーションシステムであって、
前記カーナビゲーション装置は、さらに、
現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
ユーザが情報を入力するための入力手段と、
該入力手段からユーザが入力した目的地情報と、前記現在位置取得手段で取得した現在位置に基づいて目的地までのルート情報を作成するルート情報作成手段とをさらに有し、
前記第1の通信手段により、前記位置情報とルート情報を前記地図管理サーバに送信するとともに、前記地図管理サーバより前記位置情報およびルート情報に基づいて検索された更新地図情報の有無を通知する信号を受け取り、
前記制御部は、更新地図情報が有ることを通知する信号を受け取った場合には、
前記第2の通信手段により第2の無線通信ネットワークと接続して前記地図管理サーバから地図情報のダウンロードを行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のカーナビゲーションシステムであって、前記第1の無線通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置と前記地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、
前記カーナビゲーション装置は、前記第2の通信手段により前記第2の無線通信ネットワークを介して制御信号の送受信を行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のカーナビゲーションシステムであって、
該カーナビゲーション装置内にも地図情報を記憶した記憶部を有し、
前記第2の無線通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置と前記地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、
前記カーナビゲーション装置は、
前記第1の通信手段により前記第1の無線通信ネットワークを介して、前記位置情報およびルート情報に加え、前記第2の無線通信ネットワークの圏外であることを通知する圏外情報を送信し、
前記地図管理サーバは、
カーナビゲーション装置より受信した前記情報に対応して作成した、前記第2の通信ネットワークにおける地図情報の更新サービスが享受できるサービスエリア情報を前記第1の無線通信ネットワークを介して、前記カーナビゲーション装置に送信し、
前記カーナビゲーション装置は、前記カーナビゲーション装置内の記憶部に記憶された地図情報と前記サービスエリア情報をあわせて、前記表示手段に表示することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項10】
地図情報の更新および管理を行なう地図管理サーバと、
前記地図管理サーバと制御情報を送受信し、また前記地図管理サーバより地図情報をダウンロードして表示手段に表示するカーナビゲーション装置を少なくともひとつ有するカーナビゲーションシステムにおける地図情報の更新方法であって、
前記地図管理サーバとカーナビゲーション装置の間は、第1の無線通信ネットワークおよび前記第1の無線通信ネットワークより大容量の通信が可能な第2の無線通信ネットワークを介して接続されており、
前記カーナビゲーション装置と、地図管理サーバとの通信において、前記制御情報の送受信は前記第1の無線通信ネットワークを介して行い、地図情報のダウンロードは前記第2のネットワークを介して行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステムにおける通信方法。
【請求項11】
請求項6に記載のカーナビゲーションシステムにおける通信方法であって、
前記カーナビゲーション装置は、ユーザが入力した目的地情報と、現在位置に基づいて目的地までのルート情報を作成し、前記位置情報とルート情報を前記地図管理サーバに送信するとともに、前記地図管理サーバより前記位置情報およびルート情報に基づいて検索された更新地図情報の有無を通知する信号を受け取り、更新地図情報が有ることを通知する信号を受け取った場合には、第2の無線通信ネットワークと接続して前記地図管理サーバから地図情報のダウンロードを行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステムにおける通信方法。
【請求項12】
請求項11に記載のカーナビゲーションシステムにおける通信方法であって、前記第1の無線通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置と前記地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、
前記カーナビゲーション装置は、前記第2の無線通信ネットワークを介して制御信号の送受信を行なうことを特徴とするカーナビゲーションシステムにおける通信方法。
【請求項13】
請求項11に記載のカーナビゲーションシステムにおける通信方法であって、
該カーナビゲーション装置内にも地図情報を記憶しておき、
前記第2の無線通信ネットワークを介して前記カーナビゲーション装置と前記地図管理サーバ間の通信が行なえない場合には、
前記カーナビゲーション装置は、前記第1の無線通信ネットワークを介して、前記位置情報およびルート情報に加え、前記第2の無線通信ネットワークの圏外であることを通知する圏外情報を送信し、
前記地図管理サーバは、カーナビゲーション装置より受信した前記情報に対応して作成した、前記第2の通信ネットワークにおける地図情報の更新サービスが享受できるサービスエリア情報を前記第1の無線通信ネットワークを介して、前記カーナビゲーション装置に送信し、
前記カーナビゲーション装置は、前記カーナビゲーション装置内の記憶部に記憶された地図情報と前記サービスエリア情報をあわせて、前記表示手段に表示することを特徴とするカーナビゲーションシステムにおける通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−78533(P2010−78533A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249492(P2008−249492)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】