説明

グリシン輸送阻害剤

本発明は、式(I)の化合物あるいはその塩または溶媒和物、ならびに神経学的および神経精神障害、特に精神病、認知症または注意欠陥障害を治療するための医薬の製造におけるその使用に関する。本発明はさらにはこれら化合物およびその医薬組成物の製法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグリシン輸送体阻害化合物に、神経障害および神経精神障害、特に精神病、認知症または注意欠陥障害を治療するための医薬の製造におけるその使用に関する。該発明はさらにこれら化合物の製法およびその医薬処方を含む。
【背景技術】
【0002】
分子クローニングにより、GlyT1とGlyT2と称される、2種類のグリシントランスポータが哺乳動物の脳に存在することが明らかにされた。GlyT1は、優勢的に前脳で見られ、その分布はグルタミン酸作動性経路およびNMDA受容体の分布と一致する(Smithら、Neuron, 8, 1992:927-935)。分子クローニングは、さらに、GlyT−1a、GlyT−1bおよびGlyT−1cと称される3つのGlyT1の異型の存在を明らかにし(Kimら、Molecular Pharmacology, 45, 1994:608-617)、その各々は脳および末梢組織中で独特な分布を示す。これらの異型は、異なるスプライシングやエクソン使用により生じ、そのN末端領域が異なっている。対照的に、GlyT2は、優勢的に脳幹および脊髄で見られ、その分布は、ストリキニン感受性グリシン受容体の分布と密接に一致する(Liuら、J. Biological Chemistry, 268, 1993: 22802-22808;JurskyおよびNelson, J. Neurochemistry, 64, 1995:1026-1033)。GlyT2が介在するグリシン輸送のもう一つ別の異なる特徴は、GlyT1が介在するグリシン輸送のようにサルコシンによって阻害されないことである。これらのデータは、GlyT1およびGlyT2が、グリシンのシナプスレベルを調節することによってNMDA受容体およびストリキニン感受性グリシン受容体の活性に、それぞれ選択的に影響を与えるという見解と一致する。
【0003】
NMDA受容体は、記憶や学習に密接に関係している(RisonおよびStaunton, Neurosci. Biobehav. Rev., 19 533-552 (1995);Danysz ら、Behavioral Pharmacol., 6 455-474 (1995));さらに、NMDA媒介性の神経伝達物質の機能低下が、統合失調症の症候の根底にあるか、または寄与すると考えられる(OlneyおよびFarber, Archives General Psychiatry, 52, 998-1007(1996))。従って、GlyT1を阻害し、それによりNMDA受容体のグリシンの活性化を増加させる薬剤は、新規の抗精神病薬および抗痴呆薬として用いることができ、そして、認知過程が損なわれた他の疾患、例えば注意欠陥障害および器質脳症候群を処置するのに用いることができる。反対に、NMDA受容体の過剰な活性化は、多くの病態、特に脳卒中や場合によっては神経変性病、例えばアルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDS認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症に付随する神経細胞死、または神経細胞死が生じる他の病態、例えば脳卒中もしくは頭部外傷に関係する。CoyleおよびPuttfarcken, Science, 262, 689-695(1993);LiptonおよびRosenberg, New Engl. J. of Medicine, 330, 613-622(1993);Choi, Neuron, 1, 623-634(1988)。従って、GlyT1の活性を増大させる医薬物質はNMDA受容体のグリシン活性化の低下をもたらし、その活性は、前記病状および関連する病状を処置するのに用いることができるであろう。同様に、NMDA受容体のグリシン部位を直接遮断する薬物は、前記病状および関連する病状を処置するのに用いることができる。
グリシン輸送阻害剤は、例えば、国際公開された国際特許出願WO03/055478(SmithKline Beecham)に記載されるように、当該分野で既に知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GlyT2輸送体よりも選択的にGlyT1輸送体を阻害するものを含み、GlyT1輸送体を阻害することができる化合物をさらに同定する必要性が依然存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この度、一連の新規化合物がGlyT1輸送体を阻害し、かくして統合失調症を含む特定の神経障害および神経精神障害を処置するのに有用であることが見出された。
【0006】
かくして、第1の態様において、式(I):
【化1】

(I)
【0007】
[式中:
は1個または複数のR基で置換されているフェニル、1個または複数のR基で置換されていてもよいベンジル、1個または複数のR基で置換されていてもよいチオフェン、1個または複数のR基で置換されていてもよいフラン、1個または複数のR基で置換されていてもよいチアゾール、1個または複数のR基で置換されていてもよいオキサゾール、1個または複数のR基で置換されていてもよいピリジル、および1個または複数のR’基で置換されていてもよいC1−4アルキルからなる群より選択され;
はハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10(ここで、RおよびR10の各々は、独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10はその結合する窒素原子と一緒になって4−、5−、6−または7−員の飽和炭素環を形成し、その4−、5−、6−または7−員の飽和環はさらにO、NおよびS(O)(mは0、1または2である)より選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群より選択され;
【0008】
’はハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10(ここで、RおよびR10の各々は、独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10はその結合する窒素原子と一緒になって4−、5−、6−または7−員の飽和炭素環を形成し、その4−、5−、6−または7−員の飽和環はさらにO、NおよびS(O)(mは0、1または2である)より選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素および1個または複数のY基で置換されていてもよいC1−4アルキルからなる群より選択されるか、あるいはRおよびRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってY’基で置換されていてもよい4−、5−、6−または7−員の飽和または部分不飽和の炭素環を形成し;
YはC1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC3−5シクロアルキルからなる群より選択され;
Y’はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群より選択されるか、あるいはY’は4−、5−または6−員の炭素環上の2個の原子の間で−CH−または−CH−CH−の架橋を形成し;
【0009】
およびRは、独立して、1個または複数のX基で置換されていてもよいC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびRはそれらの結合する炭素原子と一緒になって1個または複数のX’基で置換されていてもよい飽和5−または6−員の炭素環を形成し、RおよびRがその結合する炭素原子と一緒になって5員の飽和炭素環を形成する場合には、該環はさらにO、NおよびS(O)(ここで、mは0、1または2である)から選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよく;
Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
X’はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
は、a)およびb)より選択され、ここで
【0010】
a)は
【化2】

(ここで:
はC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニル、ブロモおよびクロロからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、C1−3アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェニル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
ここでZないしZの1個より多くがメトキシである場合、その場合、ZとZとだけがメトキシである)
より選択される基であり;
【0011】
b)は、
【化3】

(ここで:
AおよびA’は、各々、CZまたはNから選択され、AおよびA’が同時にNであることはなく;
Z’は水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルから選択され;
Zは、各々独立して、水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニル、C1−4ジアルキルアミノ、フラニル、ピペリジニルまたはシアノから選択され;
多くても2個のZ基(あるいは適当ならば、ZとZ’を一緒にして多くても2個の基)は水素以外の基である)
から選択される基である]
で示される化合物あるいはその塩または溶媒和物が提供される。
【0012】
本明細書中で用いられる、「アルキル」なる語は、全ての異性体の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基をいう。C1−4アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
本明細書中で用いられる、「シクロアルキル」なる語は、非芳香族環式飽和炭化水素環をいう。C3−6シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
本明細書中で用いられる、「アルコキシ」なる語は、−O−アルキル基(ここで、アルキルは上記したとおりである)をいう。
【0013】
本明細書中で用いられる、「アルキルチオ」なる語は、−S−アルキル基(ここで、アルキルは上記したとおりである)をいう。
本明細書中で用いられる、「アルキルスルホキシ」なる語は、−S(O)−アルキル(ここで、アルキルは上記したとおりである)をいう。
本明細書中で用いられる、「アルキルスルホニル」なる語は、−S(O)−アルキル(ここで、アルキルは上記したとおりである)をいう。
本明細書中で用いられる「C5−10アリール」なる語は、5−または6−員の単環式芳香族基あるいは8−ないし10−員の二環式芳香族基をいう。C5−10アリールの例として、フェニル、インデニル、アズレニルまたはナフチルが挙げられる。
【0014】
本明細書中で用いられる、「ハロゲン」およびその略語「ハロ」なる語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
本明細書中で用いられる、「ハロアルキル」なる語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子の幾つかで置換されている、これら原子の混合を含む、上記したアルキル基をいう。ハロアルキル基は、例えば、1個、2個または3個のハロゲン原子を含有してもよい。例えば、ハロアルキル基は、全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロアルキル基の例として、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。
【0015】
本明細書中で用いられる、「塩」なる語は、無機もしくは有機酸または塩基から調製される本発明に関する化合物のいずれかの塩、4級アンモニウム塩および内部形成塩をいう。生理学的に許容される塩は、本発明の化合物と比べてその水溶性が高いため、医薬への応用に特に適している。そのような塩は、明らかに生理学的に許容されるアニオンまたはカチオンでなければならない。本発明の化合物の適宜生理学的に許容される塩として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンホル硫酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸を用いて形成される酸付加塩;アルカリ金属やアルカリ土類金属と、有機塩基、例えばN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N−メチルグルカミン塩)、リジンおよびプロカインとで形成される塩基付加塩;および内部形成塩が挙げられる。生理学的に許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、生理学的に許容される塩の製造のための有用な中間体として、および/または治療以外、例えばインビトロの環境にて用いるために、本発明の範囲内にある。
【0016】
本明細書中で用いられる、「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明の場合、式(I)で示される化合物またはその塩)と溶媒により形成される可変量の化学量論の複合体をいう。本発明の目的のための、該溶媒は溶質の生物活性を干渉しないものであろう。適当な溶媒の例としては、限定されるものではないが、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられる。好ましくは、用いられる溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。最も好ましくは、用いられる溶媒は水である。
【0017】
一の実施形態において、Rは、1個または複数のR基で置換されているフェニル、1個または複数のRで置換されていてもよいベンジル、1個または複数のRで置換されていてもよいチオフェン、および1個または複数のRで置換されていてもよいC1−4アルキルからなる群より選択される。
一の実施形態において、Rは、1個または複数のRで置換されているフェニル、置換されていないベンジル、置換されていないチオフェン、および置換されていないC1−4アルキルからなる群より選択される。
一の実施形態において、Rは1個または複数のRで置換されているフェニルである。例えば、分子中に1個または2個のR基があってもよい。
【0018】
一の実施形態において、Rはハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される。一の実施形態において、Rはメトキシ、フルオロ、クロロ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される。
一の実施形態において、RおよびRの両方が、同時に、同じC1−4アルキル、1個または複数のY基で置換されている同じC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびRがその結合する窒素原子と一緒になって所望によりY’基により置換されていてもよい飽和5−または6−員の炭素環を形成する。
【0019】
一の実施形態において、RおよびRの両方が、C1−4アルキル、例えば、メチルまたはエチル、例えば、メチルである。
Yは、例えば、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールよりなる群から選択されてもよい。1つの実施形態において、Yは、C1−4アルコキシおよびC5−10アリールよりなる群から選択される。
Y’は、例えば、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールよりなる群から選択されてもよい。1つの実施形態において、Y’は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC5−10アリールよりなる群から選択されてもよい。
【0020】
一の実施形態において、RおよびRは、独立して、水素、Y基で置換されていてもよいC1−4アルキル(例えば、メチルやエチル)から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基で置換されていてもよい飽和もしくは部分的に不飽和な(例えば、飽和な)4−、5−、6−、もしくは7−員炭素環を形成する。
さらなる実施形態において、RおよびRは、所望によりY基で置換されていてもよいメチルまたはエチルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基で置換されていてもよい飽和4−、5−もしくは6−員炭素環を形成する。例えば、RおよびRの両方が置換されていないメチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和5−もしくは6−員炭素環を形成する式環である。
【0021】
一の実施形態において、RおよびRは、独立して、水素および置換されていないメチルより選択されるか、あるいはRとRはその結合する窒素原子と一緒になって飽和5−員の炭素環を形成する。
Yは、例えば、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールよりなる群から選択されてよい。
Y’は、例えば、ハロゲンおよびC1−4アルキルよりなる群から選択されるか、またはY’は、その5−もしくは6−員環上の2個の原子間に−CH−架橋を形成してもよい。一の実施形態において、Y’は、ハロゲンおよびC1−4アルキルよりなる群から選択される。
【0022】
一の実施形態においてRおよびRの両方が、同時に、同じC1−4アルキル、1個または複数のX基で置換されている同じC1−4アルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、X’基で置換されていてもよい飽和5−もしくは6−員炭素環を形成し、その5−もしくは6−員飽和炭素環は、O、NおよびS(O)(ここで、mは、0、1または2である)から選択されるさらなるヘテロ原子基をさらに含んでいてもよい。
さらなる実施形態において、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって飽和5−または6−員の炭素環、例えば5−員の炭素環を形成する。
Xは、例えば、ハロゲン、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールよりなる群から選択される。
【0023】
一の実施形態において、RおよびRは、独立して、1つまたはそれ以上のX基で置換されていてもよいC1−4アルキル(例えば、メチルやエチル)から選択されるか;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5−もしくは6−員炭素環式環を形成し、さらにRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5−員飽和炭素環式環を形成する場合、該環は、酸素へテロ原子をさらに含んでいてもよい。
【0024】
例えば、1つの実施形態において、RおよびRは、独立して、メチルまたはエチルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5−員炭素環を形成する。例えば、さらなる実施形態において、RおよびRの両方がメチルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5−員炭素環を形成する。
Xは、例えば、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシよりなる群から選択されてよい。
X’は、例えば、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシよりなる群から選択されてよい。
【0025】
一の実施形態において、R/RおよびR/R基のうち少なくとも一対は、その各々結合する窒素または炭素と一緒になって環基を形成する。例えば、その環基は5−員の炭素環であってもよい。
【0026】
がa)である場合、R
【化4】

[ここで、ZないしZは式(I)の記載と同意義である]
で示される基である。
【0027】
がa)である場合、その場合には:
本発明の一の実施形態において、
はクロロ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェニルおよびハロフェニルからなる群より選択され;
は水素、ヨード、ブロモ、クロロ、フルオロ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、フェニルおよびハロフェニルからなる群より選択され;
は水素、ヨード、ブロモ、クロロ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、およびハロC1−4アルコキシからなる群より選択され;
は水素、ヨード、ブロモ、クロロ、フルオロ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、フェニル、およびハロフェニルからなる群より選択され;および
は水素、ヨード、ブロモ、クロロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、フェニル、およびハロフェニルからなる群より選択される;
、Z、Z、ZおよびZのうち3個が水素であるにすぎない。
【0028】
もう一つ別の実施形態において、Zはクロロ、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、フェニルおよびハロフェニルからなる群より選択され、Z、Z、ZおよびZは水素である。
【0029】
さらなる実施形態において、
はクロロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシからなる群より選択され;
は水素、ハロC1−4アルキルおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
は水素であり;
は水素であり;および
は水素およびC1−4アルキルからなる群より選択される;
、Z、Z、ZおよびZのうち3個が水素であるにすぎない。
【0030】
一の実施形態において、ZはC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−2アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニル、ブロモおよびクロロからなる群より選択される。
一の実施形態において、ZはC1−4アルキル、C1−2アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニルおよびクロロからなる群より選択される。
例えば、ZはC1−4アルキル、C1−2アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルおよびクロロからなる群より、特にC1−4アルキルおよびC1−2アルコキシからなる群より選択される。例えば、Zはメチルおよびメトキシより選択されてもよい。
【0031】
一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、C1−4アルキル、フェニルおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択される。例えば、Zは水素、ハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群より選択されてもよい。例えば、Zは水素であってもよい。
一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択される。例えば、Zは水素、ハロゲン、C1−4アルキルおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択されてもよい。例えば、Zは水素またはトリフルオロメチルである。
【0032】
一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、C1−3アルキル、フェニル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択される。例えば、Zは水素およびハロゲンからなる群より選択される。例えば、Zは水素であってもよい。
一の実施形態において、Zは水素、ヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキルおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択され;Zはブロモ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択されてもよい。例えば、Zはブロモ、メチル、メトキシおよびトリフルオロメチルからなる群より選択されてもよい。
【0033】
がb)である場合、その場合にはR
【化5】

[ここで、A、A’、ZおよびZ’は式(I)の記載と同意義である]
より選択される基である。
【0034】
がb)である場合、その場合には:
一の実施形態において、Rはキノリニル、ナフチルより選択される。
一の実施形態において、Rは、所望により、適宜、1個または2個のZまたはZ’基により置換されていてもよい、キノリニル、およびナフチルおよび2,3−ジヒドロインデニルからなる群より選択される。例えば、Rは、所望により、適宜、1個または2個のZまたはZ’基により置換されていてもよい、キノリニル、またはナフチルより選択される。
【0035】
一の実施形態において、Z’は、水素、ハロゲンまたはC1−4アルキルより選択される。例えば、Z’は水素またはメチルより選択される。
一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択される、さらなる実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキルおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択される。さらなる実施形態において、Zはフルオロ、クロロまたはトリフルオロメチルからなる群より選択される。
【0036】
一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキルチオ、C1−4ジアルキルアミノ、フラニルおよびピペリジニルからなる群より選択される。一の実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4ジアルキルアミノ、フラニルおよびピペリジニルからなる群より選択される。
【0037】
さらなる実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキルフラニル、ジアルキルアミノ、ハロC1−4アルコキシおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択される。さらなる実施形態において、Zは水素、ハロゲン、シアノ、メトキシ、ハロメチル、フラニル、ジメチルアミノおよびシクロブチルからなる群より選択される。さらなる実施形態において、Zは水素、フルオロ、クロロ、メトキシまたはトリフルオロメチルより選択される。
がキノリニルである場合、Zは、例えば、2−位を除くすべての位置で水素とすることもできる。例えば、残りのZ基が水素であってもよい。
一の実施形態においては、Rがa)より選択される基である場合である。
【0038】
従って、一の実施形態において、本発明は、式(Ia):
【化6】

【0039】
[式中:
は1個または複数のR基で置換されているフェニル、非置換のベンジル、非置換のチオフェンおよび非置換のC1−4アルキルからなる群より選択され;
はハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択され;
はC1−4アルキル、C1−2アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルおよびクロロからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、ハロC1−4アルキルおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、ハロC1−4アルキルおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
【0040】
は水素およびハロゲンからなる群より選択され;
はブロモ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素、1個のY基で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRはその結合する窒素原子と一緒になって1個のY’基で置換されていてもよい飽和または部分的に不飽和の4−、5−、6−または7−員の炭素環を形成し;
YはC1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
【0041】
Y’はハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、1個または複数のX基で置換されていてもよいC1−4アルキルであるか;あるいはRおよびRはそれらの結合する炭素原子と一緒になって飽和5−または6−員の炭素環式環を形成し、RおよびRがその結合する炭素原子と一緒になって5員の飽和炭素環式環を形成する場合には、該環はさらに酸素のヘテロ原子を含んでいてもよく;
XはヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群より選択される]
で示される化合物あるいはその塩または溶媒和物を提供する。
【0042】
1つのパラメータに関連して記載される本発明の実施形態の特徴は、もう一つ別の実施形態の特徴と組み合わせることができることを理解すべきである。かくして、本明細書の開示は、記載されるいずれか1つの実施形態の特徴と他のいずれかの実施形態の特徴との組み合わせを含む。式(I)の化合物の全ての実施形態および特徴は、式(Ia)の化合物に適用される。
本発明の化合物の例としては、以下に示す実施例1ないし26、ならびのその塩および溶媒和物が含まれる。
【0043】
式(I)の化合物は複数の形態にて結晶を形成する能力を有しうる。これは多形として知られる特徴であり、かかる多形型(「多形体」)は式(I)の範囲内にある。多形性は、一般に、温度または圧力あるいはその両方の変化に対する応答として発生しうるものであり、結晶化工程の変形からも発生しうる。多形体は、X線回折パターン、溶解度および融点などの当該分野にて知られている種々の物理特性により識別され得る。
本明細書中に記載される化合物のあるものは立体異性の形態で存在する場合がある(すなわち、それらは、1つまたは複数の不斉炭素原子を有するか、またはシス−トランス異性体を示してもよい)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。同様に、式(I)の化合物は、式で示される形態以外の互変異性の形態で存在することもあり、それらもまた本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
上記したように、式(I)の化合物の個々のエナンチオマーを調製してもよい。好ましい実施形態において、光学的に純粋なエナンチオマーが望ましい。「光学的に純粋なエナンチオマー」なる語は、化合物が重量あたり所望の異性体を約90%以上含むこと、好ましくは重量あたり所望の異性体を約95%以上、最も好ましくは重量あたり所望の異性体を約99%以上含むことを意味し、該重量パーセントは、化合物の異性体(群)の総重量に基づく。幾つかの場合で、特定の構造のあるエナンチオマーは、同じ構造の他のエナンチオマーよりも有意に高い活性を有することがある。キラルに純粋な化合物、またはキラルに豊富化された化合物は、キラル選択的合成によってか、またはエナンチオマーの分離によって調製することができる。エナンチオマーの分離は、最終生成物にて行うことができるし、あるいは適当な中間体にて行うこともできる。
【0045】
本発明の化合物は、標準的な化学操作を含む、様々な方法により生成することができる。以前に定義したいずれの可変基は、特記しない限り、その以前に定義した意味を継続して有するものである。例示的な一般的な合成方法を以下に記載し、次いで本発明の特定の化合物を実施例において調製する。
【0046】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームにより一部が記載されるように、有機合成の分野における既知の方法により調製することができる。後述するスキームの全てにおいて、感受的もしくは反応基に対する保護基が、必要ならば、化学の原則に従って利用されることは十分に理解されるとも考えられる。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って扱われる(T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John WileyおよびSons)。その保護基は、当業者に自明な方法を用いて、化合物を合成する都合のよい段階で除去される。方法ならびに反応条件の選択およびその実施の順序は、式(I)で示される化合物の調製と一致するであろう。当業者であれば、立体中心が式(I)の化合物中に存在するかどうかが分かるであろう。従って、本発明は、両方の可能性のある立体異性体を含み、ラセミ化合物だけでなくエナンチオマーも同様に含む。立体化学が特定の位置で可変しうるものとして表されている場合、立体異性体の混合物が得られる場合があり、この混合物は必要ならば分離される。立体異性体は、高性能液体クロマトグラフィーまたは他の適当な手段により分離することができる。化合物が単一のエナンチオマーであることが望まれる場合、立体特異的合成により、または最終生成物もしくはいずれか都合のよい中間体を分割することにより得ることができる。最終生成物、中間体または出発物質の分割は、当該分野にて既知のいずれか適当な方法により行われうる。例えば、E. L. Eliel, S. H. WilenおよびL. N. Mander(Wiley-Interscience, 1994)によるStereochemistry of Organic Compoundsを参照のこと。
【0047】
上記した式(I)の化合物の調製のための典型的な反応経路を以下のスキームにおいて示す。出発物質および試薬は当業者に既知であり、および/または当該分野で既知の方法を用いて調製することができる。
式(I)で示される化合物は、既知の方法;例えば、限定されるものではないが、以下のスキーム1に概説する合成経路により合成することができる。
【0048】
【化7】


ここで、R、R、R、R、RおよびRは、式(I)の化合物について定義したとおりである。
【0049】
工程(i)は、例えば、水などの溶媒中、無機シアン化物、例えばシアン化カリウムの存在下で、ケトンをアミンもしくはアミン塩を反応させることによって、あるいは、溶媒が存在しないか、または酢酸などの溶媒中のいずれかにおいて、ケトンをアミンおよびシアン化トリメチルシリルと反応させることによって行われる。
工程(ii)は、適当な不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、適当な有機金属試薬との逐次反応に付し、つづいて、適当な溶媒、例えばメタノール中にて還元剤、例えばホウ水素化ナトリウムで還元することにより実施され得る。
【0050】
アシル化工程(iii)は、式(III):
【化8】

(III)
【0051】
[式中、Rは、式(I)の記載と同意義であり、Lは適当な脱離基を示す]
で示される化合物との反応により実施することができる。脱離基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルまたはOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってよく、工程(iii)のアシル化は、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で行われる。Lがヒドロキシを示す場合、反応は、好ましくは不活性溶媒、例えばジクロロメタン中で、カップリング試薬、例えば、N,Nジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ポリマー支持のEDC、ポリマー支持のDCCまたはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)などのジイミド試薬の存在下で行われる。
【0052】
スキームの範囲内には、R基をもう一つ別のR基に変換する自由がある。同様に、R、RおよびR基についても適用される。
【0053】
式(I)の化合物はまた、以下のスキーム2に記載される合成経路によっても合成され得る。該経路は酸安定基Rを有する化合物の合成に適している。例えば、Rがフェニルである化合物に対して特に有用である。
【0054】
【化9】


ここで、R、R、R、R、RおよびRは式(I)の化合物の記載と同じであり、Rは、各場合における、適当なアルキル基であり、Lは適当な脱離基を表す。
【0055】
工程(i)は、例えば、適当な還元剤の存在下にて、ニトリルと、ハロゲンなどの脱離基、Halを含む適当な化合物との反応により実施される。脱離基の例として、ブロミドが挙げられる。適当な還元剤として、亜鉛粉が挙げられる。該反応は、適当な溶媒、例えば乾燥THF中にて実施され得る。
加水分解工程(ii)は、例えば、水性酸または水性アルカリを添加するような、適当な方法により達成され得る。
アミド形成工程(iii)は、例えば、適当な溶媒中、水性塩基の存在下で適当なジアルキルカルボネートを添加するような適当なアミド形成条件を用いて実施され得る。適当な溶媒として、ジオキサンが挙げられる。適当なR基はターシャリーブチルを包含する。
【0056】
環化工程(iv)は適当な条件下で適当なアジドを添加することにより実施され得る。例えば、ジフェニルホスホリルアジドを適当な塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下で用いてもよい。
工程(v)は、例えば、水性塩酸と酢酸の混合液を添加することにより実施され得る。工程(v)および(vi)は水性酸を添加することにより、例えば水性塩酸と酢酸の混合液を添加することにより一工程にて実施され得る。Rがターシャリーブチルでない場合には、水性アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)を用いてもよい。
【0057】
アシル化工程(vii)は、式(III):
【化10】

[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、Lは適当な脱離基を表す]
で示される化合物との反応により達成され得る。脱離基の例として、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってもよく、工程(iii)でのアシル化はジクロロメタンなどの不活性溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で実施されてもよい。Lがヒドロキシを表す場合、該反応は、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中、カップリング剤、例えばN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ポリマー支持のEDC、ポリマー支持のDCCまたはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)などのジイミド試薬の存在下で行うことが好ましい。
【0058】
N−アルキル化工程(viii)は適当なN−アルキル化条件の下で実施され得る。例えば、脱離基を有する適当なアルキル化合物を、適当な塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で、不活性溶媒、例えばDMF中にてアミンに添加してもよい。
【0059】
本発明の化合物はまた、以下のスキーム3に示される合成経路により調製され得る。このスキームは酸不安定なR基を有する化合物の合成に適する。
【化11】

【0060】
A型の化合物はKatritskyら(JCS Perkin Trans 1, 1988, 2339およびGazz. Chim. Italiana 1990, 120, 375)による記載に従って合成され得る。A中のニトロ基の還元は、適当な還元条件下、例えば、触媒方法またはインジウム金属還元により達成され得る。アミンBは上記したスキーム2の工程(viii)と同様に操作された。
【0061】
従って、第二の態様において、本発明は、式(I)の化合物の製法であって、以下の工程:
式(II):
【化12】

(II)
[式中、R、R、R、RおよびRは式(I)の記載と同じ]
で示される化合物を、式(III):
【化13】

(III)
[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、Lは適当な脱離基を示す]
で示される化合物と反応させる工程、
その後、所望により:
・いずれの保護基も除去する工程、および/または
・式(I)の化合物を式(I)のもう一つ別の化合物に変換する工程、および/または
・塩もしくは溶媒和を形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0062】
適当な脱離基Lには、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが含まれる。
式(I)で示される化合物は、標準的な技術を用いて、さらに式(I)で示される化合物に変換することができる。例えば、限定というよりも一例として、可能な変換反応には、適当なアシル化剤、例えば塩化アセチルを用いたアシル化、適当なアルキル化試薬、例えばヨウ化メチルを用いたアルキル化、およびスルホニル化試薬、例えばメタンスルホン酸無水物を用いるスルホニル化、およびケトンまたはアルデヒドを還元剤、例えばナトリウムトリアセトキシの存在下で用いる還元的アミノ化によるN−アルキル化が含まれる。
【0063】
医薬上許容される塩は、適当な酸または酸誘導体を用いた反応により典型的に調製することができる。
さらなる態様において、本発明は、式(II):
【化14】

(II)
[式中:R、R、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を提供する。
式(II)の化合物は、本発明の化合物を合成する際の中間体として有用である。
【0064】
本発明の化合物はGlyT1輸送体を阻害する。該化合物はGlyT2輸送体よりもGlyT1輸送体を選択的に阻害しうる。
そのような化合物は、特定の神経学的障害および神経精神障害を処置するのに適していよう。本明細書中で用いられる、「処置」および「処置する」なる語は、確立された徴候の軽減および/または治癒ならびに予防を意味する。
【0065】
本発明の化合物のGlyT1輸送体に対する親和性は、以下のアッセイにより決定することができる:
グリシン(1型)輸送体を発現するHEK293細胞を、細胞培養基[2mM L−グルタミン、0.8mg/mL G418および10%熱不活化したウシ胎児血清を含むDMEM/NUTミックスF12]中、37℃および5%COにて、増殖させた。T175フラスコにて70−80%密集度に増殖した細胞を集め、アッセイ緩衝液[140mM NaCl、5.4mM KCl、1.8mM CaCl、0.8mM MgSO、20mM HEPES、5mM グルコースおよび5mM アラニン、pH7.4]中に1.32×10細胞/mLで再懸濁させた。化合物は、11点の用量応答を得るために、各化合物を最高濃度2.5mMからDMSOにて2.5倍で連続的に希釈した。各濃度の化合物100nLを、アッセイプレートに加えた。等容量のLeadseekerTM WGA SPAビーズ(アッセイ緩衝液中に懸濁したもの、12.5mg/ml)を、この細胞懸濁液(1.32×10)に加え、その細胞/ビーズ懸濁液5μLを、384ウェルの白色固体底プレートの、試験化合物を100nL含む各ウェルに移した(3300細胞/ウェル)。基質(5μL)を、各ウェル(2.5μMグリシンを含むアッセイ緩衝液中の[H]−グリシン保存液の1:100希釈液)に加えた。最終のDMSO濃度は1%v/vであった。データは、Perkin Elmer Viewluxを用いて集め、pIC50値は、ActivityBaseを用いて決定した。
【0066】
次のアッセイもまた用いることができる:
グリシン(I型)輸送体を発現するHEK293細胞を、2mM L−グルタミン、0.8mg/mL G418および10%熱不活化ウシ胎児血清(Gibco BRL)を含む細胞培地(DMEM/NUT mix F12)にて37℃、5%CO下で増殖させる。T175フラスコ中で70〜80%密集度になるまで増殖させた細胞を集め、アッセイ緩衝液[NaCl(140mM)、KCl(5.4mM)、CaCl(1.8mM)、MgSL2(0.8mM)、HEPES(20mM)、グルコース(5mM)およびアラニン(5mM)、pH7.4]中に4×10細胞/mlにて再懸濁させる。等容量のLeadseekerTM SPAビーズ(アッセイ緩衝液中に懸濁させたもの、12.5mg/ml)を、細胞懸濁液に加える。化合物をDMSO中10mM保存液として調製する。2.5mMの最高濃度より、DMSOにて化合物を2.5倍の連続希釈に付す。各濃度の化合物100nLを、アッセイプレート(384ウェル白色固体底プレート)に、ハミングバードディスペンサーを用いて加える。次いで、5mLの細胞/ビーズ混合液を、マルチドロップディスペンサーを用いて最高濃度の化合物に加える。次いで、基質(5μL)を各ウェル(2.5μMグリシンを含むアッセイ緩衝液中のH3−グリシン1:100希釈液)に加える。データは、露光を5分間としてPerkin Elmer Viewluxを用いて集める。pIC50値をActivityBaseを用いて決定する。
【0067】
化合物は、その遊離塩型もしくは塩型、例えば塩酸塩もしくはギ酸塩の状態でアッセイすることができる。上記アッセイは、一般的に、±3標準偏差=±0.5で補正したデータを提供することが考えられる。
GlyT1輸送体にて5.0以上のpIC50を有する化合物は、GlyT1輸送体にて活性があると考えられる。以下に例示する化合物はGlyT1輸送体にて5.0以上のpIC50を有することが判明した。
従って、本発明のさらなる態様において、治療での使用のための、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0068】
本発明のもう一つ別の態様において、GlyT1が介在する障害の処置に使用するための、上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
本明細書中で用いられる、「GlyT1が介在する障害」なる語は、GlyT1輸送体の活性を改変する医薬の投与により処置することができる障害を示す。上記のように、GlyT1輸送体の作用は、NMDA受容体付近のグリシンの局所濃度に影響を及ぼす。特定の量のグリシンがNMDA受容体の効率的な機能のために必要とされるため、その局所濃度に何らかの変化が生じると、NMDA媒介神経伝達に影響を及ぼしうる。上記のように、NMDA媒介神経伝達における変化は、特定の神経精神障害、例えば認知症、抑うつ症および精神病性障害、例えば、統合失調症および学習や記憶障害、例えば、注意欠陥障害および自閉症に関係する。従って、GlyT1輸送体の活性の改変は、前記障害に影響を及ぼすことが期待される。
【0069】
本明細書中で言及されるGlyT1が介在する障害には、精神病性障害、例えば、統合失調症、認知症および別の形態の認知障害、例えば、注意欠陥障害および器質脳症候群を含む、神経障害および神経精神障害が含まれる。他の神経精神疾患には、薬物性(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)精神病、情動障害に付随する精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病、および精神病NOS「統合失調症−スペクトラム」障害、例えば、統合失調症もしくは統合失調症性人格障害、または精神病に付随する病気(例えば、大うつ病、躁うつ(二極性の)病、アルツハイマー病や心的外傷後ストレス症候群)、およびNMDA受容体−関連障害、例えば自閉症、抑うつ症、良性健忘症、小児期学習障害や閉鎖性頭部外傷が含まれる。
【0070】
式(I)で示される化合物は、例えば、統合失調症、統合失調症−情動障害、統合失調様疾患、心因性うつ病、躁病、急性躁病、妄想障害および妄想性障害の処置における、抗精神病薬としての使用のためのものである
本発明の内容の範囲内で、本明細書で用いられる用語は、American Psychiatric Associationにより発刊されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版(DSM−IV)および/またはInternational Classification of Diseases、第10版(ICD−10)において分類されている。本明細書で言及する障害の種々の亜型は、本発明の一部と考えられる。以下に列記する疾患の後ろにある括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0071】
特に、式(I)で示される化合物は、亜型の妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(295.90)および残遺型(295.60)を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);亜型の双極型およびうつ病型を含む統合失調性感情障害(295.70);亜型の色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型および不特定型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);二人組精神病(297.3);妄想や幻覚を伴う亜型を含む一般健康状態による精神病性障害;妄想(293.81)や幻覚(293.82)を伴う亜型を含む物質誘発性精神病性障害;および特定不能の精神病性障害(298.9)を含む、統合失調症の処置に使用するものである。
【0072】
式(I)で示される化合物はまた、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害(軽躁エピソードを伴う反復性大うつ病エピソー)(296.89)、循環病(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病症状、大うつ病様エピソード、躁病症状および混合症状を伴う亜型を含む一般健康状態による気分障害(293.83)、物質誘発性気分障害(うつ病症状、躁病症状および混合症状を伴う亜型を含む)および特定不能の気分障害(296.90)を含む他の気分障害を含む、気分障害の処置に使用するものである。
【0073】
式(I)で示される化合物はまた、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の既往歴のない広場恐怖症(300.22)、亜型の動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型を含む特定恐怖症(300.29)、対人恐怖症(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般健康状態による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害および特定不能の不安障害(300.00)を含む、不安傷害の処置に使用するものである。
【0074】
式(I)で示される化合物はまた、物質使用障害、例えば物質依存症や薬物乱用;物質誘発性障害、例えば物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘症、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚持続知覚障害(フラッシュバック);アルコール−関連障害、例えばアルコール依存症(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール性持続性認知症、アルコール性持続性健忘症、アルコール性精神病性障害、アルコール性気分障害、アルコール性不安障害、アルコール性性機能障害、アルコール性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9);アンフェタミン(もしくはアンフェタミン−様)−関連障害、例えばアンフェタミン依存症(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神病性障害、アンフェタミン−誘導性気分障害、アンフェタミン−誘導性不安障害、アンフェタミン−誘導性性機能障害、アンフェタミン−誘導性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9);カフェイン関連障害、例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン−誘導性不安障害、カフェイン−誘導性睡眠障害および特定不能のカフェイン−関連障害(292.9);大麻−関連障害、例えば大麻依存症(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒性せん妄、大麻誘導性精神病性障害、大麻誘導性不安障害および特定不能の大麻−関連障害(292.9);コカイン−関連障害、例えばコカイン依存症(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン−誘導性精神病性障害、コカイン−誘導性気分障害、コカイン−誘導性不安障害、コカイン−誘導性性機能障害、コカイン−誘導性睡眠障害および特定不能のコカイン−関連障害(292.9);幻覚剤−関連障害、例えば幻覚剤依存症(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚持続知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤−誘導性精神病性障害、幻覚剤−誘導性気分障害、幻覚剤−誘導性不安障害および特定不能の幻覚剤−関連障害(292.9);吸入剤−関連障害、例えば、吸入剤依存症(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤−誘導性持続性認知症、吸入剤−誘導性精神病性障害、吸入剤−誘導性気分障害、吸入剤−誘導性不安障害および特定不能の吸入剤−関連障害(292.9);ニコチン−関連障害、例えばニコチン依存症(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン−関連障害(292.9);オピオイド−関連障害、例えばオピオイド依存症(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド−誘導性精神病性障害、オピオイド−誘導性気分障害、オピオイド−誘導性性機能障害、オピオイド−誘導性睡眠障害および特定不能のオピオイド−関連障害(292.9);フェンシクリジン(またはフェンシクリジン−様)−関連障害、例えばフェンシクリジン依存症(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン−誘導性精神病性障害、フェンシクリジン−誘導性気分障害、フェンシクリジン−誘導性不安障害および特定不能のフェンシクリジン−関連障害(292.9);鎮静剤−、睡眠剤−もしくは不安緩和剤−関連障害、例えば鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤依存症(304.10)、鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤乱用(305.40)、鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤中毒(292.89)、鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤離脱(292.0)、鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤中毒せん妄、鎮静剤、睡眠剤、もしくは不安緩和剤離脱せん妄、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−持続性認知症、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−持続性健忘症、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−誘導性精神病性障害、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−誘導性気分障害、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−誘導性不安障害、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−誘導性性機能障害、鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−誘導性睡眠障害および特定不能の鎮静剤−、睡眠剤−、もしくは不安緩和剤−関連障害(292.9);各種薬物関連障害、例えば各種物質依存症(304.80);および他の(もしくは未知の)物質関連障害、例えばアナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素を含む、物質関連障害の処置に使用するものでもある。
【0075】
式(I)で示される化合物はまた、原発性睡眠障害、例えば睡眠不全、例えば原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠不全(307.47);原発性睡眠障害、例えば錯眠、例えば悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の錯眠(307.47);他の精神障害に関連する睡眠障害、例えば他の精神障害に関連する不眠症(307.42)および他の精神障害に関連する過眠症(307.44);一般健康状態による睡眠障害;および亜型の不眠型、過眠型、錯眠型および混合型を含む物質誘発性睡眠障害を含む、睡眠障害の処置に使用するものである。
【0076】
式(I)で示される化合物はまた、摂食障害、例えば亜型の制限型および過食型/排出型を含む神経性無食欲症(307.1);亜型の排出型および非排出型を含む神経性大食症(307.51);肥満症;強迫摂食障害;および特定不能の摂食障害(307.50)の処置に使用するものである。
【0077】
式(I)で示される化合物はまた、自閉症(299.00);亜型の注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害注意力障害優位型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動−衝動型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む注意欠陥/多動性障害;運動過剰障害;破壊的行動障害、例えば亜型の小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定の発症型(Unspecified Onset)(312.89)を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)および特定不能の崩壊性行動障害;およびチック障害、例えばツレット病(307.23)の処置に使用するものである。
【0078】
式(I)で示される化合物はまた、亜型の妄想性人格障害(301.0)、統合失調症人格障害(301.20)、統合失調性人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界型人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)を含む人格障害の処置に使用するものである。
【0079】
式(I)で示される化合物はまた、他の疾患、例えば統合失調症、双極性障害、抑うつ症、他の精神障害および認知障害を伴う精神病の病態における認知機能障害を含む認知の向上に使用するものである。本発明の内容の範囲内で、用語「認知障害」には、例えば、注意力、位置確認、学習障害、記憶(すなわち、記憶障害、記憶喪失、健忘症、一過性全健忘症候群および加齢に伴う記憶障害)および言語機能を含む認知機能の障害;脳卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズによる認知症または他の認知症状態、例えば多発性脳梗塞認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下による認知症、および認知症に付随する変性疾患、例えば小脳萎縮および筋萎縮性側索硬化症の結果としての認知障害;認識衰退、例えばせん妄もしくは抑うつ症(偽認知症状態)外傷、頭部外傷、加齢による認識衰退、脳卒中、神経変性、薬物性の状態、神経毒剤、軽度認知障害、加齢に関連した認知障害、自閉症に関連した認知障害、ダウン症候群、精神病に関連した認知障害、および電気痙攣処置後に関連する認識力障害を引き起こす可能がある他の急性もしくは亜急性の病態;および運動異常障害、例えばパーキンソン病、神経弛緩薬誘発性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジーの処置を含む。
【0080】
式(I)で示される化合物はまた、性的欲求障害、例えば性的欲求低下障害(302.71)、および性嫌悪障害(302.79);性的興奮の障害、例えば女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72);オルガズム障害、例えば女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75);性交疼痛障害、例えば性交疼痛症(302.76)および膣けいれん(306.51);特定不能の性機能障害(302.70);性嗜好異常、例えば露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性嗜好異常(302.9);性同一性障害、例えば小児の性同一性障害(302.6)および青年期もしくは成人の性同一性障害(302.85);および特定不能の性同一性障害(302.9)を含む性機能障害の処置に使用するものである。
【0081】
本発明はまた、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾病における認知機能障害、性機能障害、パーキンソン病、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、認知障害、肥満症、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、めまい、認知症および概日リズム障害の処置に使用するための、本明細書中上記の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
本発明はまた、精神病性障害、統合失調症、パーキンソン病、薬物乱用、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、不安症、認知障害、摂食障害、肥満症、性機能障害、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害の処置に使用するための、本明細書中上記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0082】
本発明のもう一つ別の態様において、GlyT1が介在する障害に罹患しているか、もしくは罹患しやすいヒトを含む哺乳動物を処置する方法であって、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法が提供される。
本発明はまた、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾病における認知機能障害、性機能障害、パーキンソン病、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、認知障害、肥満症、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、めまい、認知症および概日リズム障害を処置する方法であって、その必要のある哺乳動物に本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0083】
本発明はまた、精神病性障害、統合失調症、パーキンソン病、薬物乱用、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、不安症、認知障害、摂食障害、肥満症、性機能障害、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害を処置する方法であって、その必要のある哺乳動物に本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0084】
式(I)の化合物はまた、鎮痙薬として使用するものである。従って、式(I)で示される化合物はまた、哺乳動物の痙攣や、ヒトの一部の癲癇の処置に有用である。「癲癇」には、次の発作:単純部分発作、複雑部分発作、続発性全身発作、アプサンス発作、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直間代発作および強直発作を含む全身発作が挙げられる。本発明はまた、痙攣を処置する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。癲癇の処置は、本明細書中で定義した式(III)で示される化合物、または医薬上許容される塩もしくは組成物の無毒で鎮痙的に有効な量を投与することによって行うことができる。
【0085】
式(I)の化合物はまた、例えば糖尿病性神経障害における神経因性疼痛、坐骨神経痛、不特定の腰痛、多発性硬化疼痛、線維筋痛、HIV−に伴う神経障害、神経痛、例えばヘルペス後の(post−herpetic)神経痛および三叉神経痛および身体外傷、切断術、癌、毒素もしくは慢性炎症状態の結果生じる疼痛の処置での使用も考えられる。
本発明のもう一つ別の態様において、GlyT1が介在する障害の処置のための医薬の製造における、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の使用が提供される。
好ましくは、本明細書中上記した使用もしくは方法により処置されるべきGlyT1が介在する障害は、統合失調症、認知症および注意欠陥障害、特に統合失調症を含む精神病がある。
【0086】
本発明はまた、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知機能障害、性機能障害、パーキンソン病、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、認知障害、肥満症、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、めまい、認知症および概日リズム障害の処置のための医薬の製造における、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はまた、精神病性障害、統合失調症、パーキンソン病、薬物乱用、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、不安症、認知障害、摂食障害、肥満症、性機能障害、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動性障害の処置のための医薬の製造における、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0087】
本明細書で用いられる、「有効量」なる語は、例えば研究者または臨床医が考える組織、システム、動物またはヒトにて生物学的もしくは医学的応答を惹起する、薬物または医薬品の量を意味する。
本発明に従う使用のための化合物は原料として投与することもできるが、好ましくは活性成分は医薬組成物の形態で提供される。
従って、本発明のさらなる態様において、本明細書中上記した式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物、および医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0088】
これらの医薬組成物は、GlyT1阻害剤の必要性が指示される病態、例えば統合失調症の処置に使用することができる。担体は、患者に対して医薬上許容されるものでなければならないし、組成物中の他の成分と適合的、すなわちそれらに有害な影響を及ぼしてはならない。担体は、固体であっても液体であってもよく、少なくとも1つの式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が単位投与製剤として製剤化されていることが好ましい。所望により、他の生理的な活性成分が本発明の医薬組成物中に含有されていてもよい。
【0089】
当業者であれば、本発明の化合物が、1つまたは複数の他の治療剤、例えば別の抗うつ剤、例えば5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環系抗うつ剤、ドーパミン作動性抗うつ剤、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニストおよび/または抗痙攣剤、並びに非定型抗精神病薬物および向知性薬と組み合わせて用いることが有利な場合があることを認識するであろう。
【0090】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な5HT3アンタゴニストとして、例えば、オンダセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なセロトニンアゴニストとして、スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSSRIとして、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダミン、セルトラリン、ジメルジンが挙げられる。
【0091】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSNRIとして、ベンラファクシンおよびレボキセチンが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な三環系抗うつ剤として、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なドーパミン作動性抗うつ剤として、ブプロピオンおよびアミネプチンが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な抗痙攣剤として、例えば、ジバルプロックス、カルバマゼピンおよびジアゼパムが挙げられる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な非定型抗精神病薬物として、例えば、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾールおよびクロザピンが挙げられる。
【0092】
当然のことながら、本化合物の組み合わせまたは組成物は、同時か(同じ医薬製剤または別の医薬製剤のいずれか)、別々もしくは順番に投与することができる。
式(I)の化合物、およびその医薬上許容される塩および溶媒和物はまた、精神病性障害の処置の改善を提供するため、他の定型および非定型抗精神病薬と組み合わせるのに適している。式(I)の化合物、およびその医薬上許容される塩および溶媒和物の組み合わせ、使用および処置方法に関連する特定の利点には、個々の化合物について一般に用いられる投与用量よりも低い投与用量で等価な効果もしくは改善した効果がある。精神病性障害の陽性症状および/または陰性症状および/または認知的症状の処置の改善もまた認められよう。本発明の組み合わせ、使用および処置方法はまた、特定の神経弛緩薬を用いた処置に適当に応答しない患者もしくは耐性のある患者の処置に好結果をもたらしうる。
【0093】
本発明の併用治療は、好ましくは付加的に投与される。付加的投与により、医薬組成物または装置の分離した形態中の各成分が、完全に重複してもしくは一部重複して投与されることを意味する。2個またはそれ以上の治療剤の治療投与の管理計画は、一般に当業者に委ねられており、本明細書では付加的治療とされる;これは、アドオン治療的投与としても知られている。患者が受ける、分離しているが完全に重複するもしくは一部重複する式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の治療的投与の任意のおよび全ての処置計画は、本発明の範囲内にある。本明細書中で記載されるように、付加的な治療的投与の1つの実施形態において、患者は、典型的にはある期間内に1つまたはそれ以上の成分の治療的投与で安定し、次に別の成分の投与を受ける。本発明の範囲内には、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物が、少なくとも1つの神経弛緩薬の投与を受けている患者に、付加的な治療的投与として投与されるが、本発明の範囲には、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者に、少なくとも1つの神経弛緩薬の付加的な治療的投与もまた含まれる。
【0094】
本発明の併用治療はまた、同時に投与されてもよい。同時投与は、両方の成分を含むもしくは含有する単一の医薬組成物もしくは装置の形態で、個別の成分が一緒に投与されるか、またはそれぞれが成分の一方を含む別個の組成物もしくは装置として同時に投与されるかのいずれかの処置計画を意味する。そのような同時に組み合わせるための分離した個々の成分の組物は、部品のキットの形態で提供されてもよい。
【0095】
従って、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの神経弛緩薬の治療的投与を受けている患者に対して、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の付加的な治療的投与により、精神病性障害を処置する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの神経弛緩薬の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の処置のための付加的な治療的投与のための医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明は、さらに、少なくとも1つの神経弛緩薬の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の処置のための付加的な治療的投与のための使用のための、式(I)で示される化合物または医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0096】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物または医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者に対する少なくとも1つの神経弛緩薬の付加的な治療的投与により、精神病性障害を処置する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物または医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における、精神病性障害の処置に関する付加的な治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1つの神経弛緩薬の使用を提供する。本発明はさらに、式(I)の化合物または医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における、精神病性障害の処置に関する付加的な治療的投与のための、少なくとも1つの神経弛緩薬を提供する。
【0097】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの神経弛緩薬と組み合わされる、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の同時の治療的投与により、精神病性障害を処置する方法を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の処置のための同時の治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物または医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの神経弛緩薬の使用を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の処置において、少なくとも1つの神経弛緩薬と同時に治療的投与するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の処置における少なくとも1つの神経弛緩薬との同時の治療的投与に使用するための、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の処置における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩との同時の治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1つの神経弛緩薬の使用を提供する。
【0098】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定剤または抗躁病剤を含む医薬組成物の同時の治療的投与による精神病性障害の処置方法、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定剤または抗躁病剤を含む医薬組成物、精神病性障害の処置のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定剤または抗躁病剤を含む医薬組成物の使用、および精神病性障害の処置での使用のための、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定剤または抗躁病剤を含む医薬組成物を提供する。
【0099】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む第一の投与剤型、さらに同時の治療的投与のための神経弛緩薬を含む1つまたはそれ以上のさらなる投与剤型を含む、精神病性障害の処置での使用のための部分からなるキットを提供する。
【0100】
本発明の内容の範囲内において、「精神障害」なる語には、上記の障害、例えば統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知機能障害、性機能障害、運動異常障害、抑うつ症、双極性障害、認知障害および強迫性障害、さらに本発明の一部と考えられる、本明細書で言及した全ての形態の障害が含まれる。
【0101】
本発明に有用な神経弛緩薬/抗精神病薬の例としては、限定されるものではないが:ブチロフェン、例えばハロペリドール、ピモジドおよびドロペリドール;フェノチアジン、例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、パーフェナジン、フルフェナジン、トリフルプロマジン、プロクロルペラジンおよびアセトフェナジン;チオキサンテン、例えばチオチキセンおよびクロルプロキチセン;チエノベンゾジアゼピン;ジベンゾジアゼピン;ベンゾイソオキサゾール;ジベンゾチアゼピン;イミダゾリジノン;ベンズイソチアゾリル−ピペラジン;トリアジン、例えばラモトリジン;ジベンゾオキサゼピン、例えばロクサピン;ジヒドロインドロン(dihydroindolone)、例えばモリンドン;アリピプラゾール;および抗精神病活性を有するそれらの誘導体が挙げられる。
【0102】
本発明の使用に好ましい神経弛緩薬の例を、表Aに示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0103】
選択された神経弛緩薬の商標名および供給業者の例としては以下のものがある:クロザピン(商標名CLOZARIL(登録商標)でMylan, Zenith Goldline, UDL, Novartisから入手できる);オランザピン(商標名ZYPREX(登録商標)でLillyから入手できる);ジプラシドン(商標名GEODON(登録商標)でPfizerから入手できる);リスペリドン(商標名RISPERDAL(登録商標)でJanssenから入手できる);フマル酸クエチアピン(商標名SEROQUEL(登録商標)でAstraZenecaから入手できる);ハロペリドール(商標名HALDOL(登録商標)でOrtho-McNeilから入手できる);クロルプロマジン(商標名THORAZINE(登録商標)でSmithKline Beecham (GSK)から入手できる);フルフェナジン(商標名PROLIXIN(登録商標)でApothecon, Copley, Schering,TevaおよびAmerican Pharmaceutical Partners, Pasadenaから入手できる);チオチキセン(商標名NAVANE(登録商標)でPfizerから入手できる);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン二塩酸塩(商標名STELAZINE(登録商標)でSmithKlein Beckmanから入手できる);パーフェナジン(商標名TRILAFON(登録商標)で;Scheringから入手できる);チオリダジン(商標名MELLARIL(登録商標)で;Novartis, Roxane, HiTech, TevaおよびAlpharmaから入手できる);モリンドン(商標名MOBAN(登録商標)でEndoから入手できる);およびロクサピン(商標名LOXITANE(登録商標)で;Watsonから入手できる)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))またはメルペロン(Eunerpan(登録商標))を用いることができる。
【0104】
他の好ましい神経弛緩薬には、プロマジン(商標名SPARINE(登録商標)のもとで入手できる)、トリフルプロマジン(商標名VESPRIN(登録商標)のもとで入手できる)、クロルプロキチセン(商標名TARACTAN(登録商標)のもとで入手できる)、ドロペリドール(商標名INAPSINE(登録商標)のもとで入手できる)、アセトフェナジン(商標名TINDAL(登録商標)のもとで入手できる)、プロクロルペラジン(商標名COMPAZINE(登録商標)のもとで入手できる)、メトトリメプラジン(商標名NOZINAN(登録商標)のもとで入手できる)、ピポチアジン(商標名PIPOTRIL(登録商標)のもとで入手できる)、ジプラシドンおよびホペリドンが挙げられる。
【0105】
本発明の使用に特に好ましい神経弛緩薬は、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドンおよびオサネタント(osanetant)である。
当業者には、本発明に基づく化合物が、1つまたはそれ以上の他の治療剤、例えば異なる抗うつ剤、例えば5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環系抗うつ剤、ドーパミン作動性抗うつ剤、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニストおよび/または抗痙攣剤、並びに非定型抗精神病薬物および向知性薬と組み合わせて用いることが有利な場合があることは認められよう。
【0106】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な5HT3アンタゴニストには、例えば、オンダセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なセロトニンアゴニストには、スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSSRIには、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダミン、セルトラリン、ジメルジンが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSNRIには、ベンラファクシンおよびレボキセチンが含まれる。
【0107】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な三環系抗うつ剤には、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なドーパミン作動性抗うつ剤には、ブプロピオンおよびアミネプチンが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な抗痙攣剤には、例えば、ジバルプロックス、カルバマゼピンおよびジアゼパムが含まれる。
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な非定型抗精神病薬物には、例えば、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾールおよびクロザピンが含まれる。
【0108】
当該化合物の組み合わせまたは組成物が、同時(同じ医薬製剤または別の医薬製剤のいずれか)、別々もしくは連続的に投与しうることが理解されよう。
医薬での使用に関して、本発明の化合物は、一般的に標準的な医薬組成物として投与される。従って、本発明は、さらなる態様において、本明細書中上記した式(I)で示される化合物、その医薬的に(すなわち、生理学的に)許容される塩および医薬的に(すなわち、生理学的に)許容される担体を含む医薬組成物を提供する。その医薬組成物は、本明細書に記載のいずれかの病態の処置に使用するためのものであろう。
【0109】
可能な製剤には、経口、舌下、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内または静脈内)、直腸、局所および鼻腔内投与に適したもの、および吸入もしくは通気による(口もしくは鼻のいずれかを通る)投与に適した剤型が含まれる。特定の患者に投与する最も適した方法は、処置される病態の性質および重篤度、さらに活性化合物の性質に依存するものであるが、可能であれば、経口投与が好ましい。
【0110】
経口投与に適した製剤は、別個の構成単位として、例えばそれぞれが所定量の活性化合物を含む錠剤、カプセル剤、カシェ剤、または口内錠として;粉剤もしくは顆粒剤として;水溶液もしくは非水性溶液中の液剤もしくは懸濁剤として;または油中水もしくは水中油の乳剤として提供されてもよい。
【0111】
舌下もしくは口腔投与に適した製剤には、活性化合物および典型的には風味基剤、例えば糖およびアカシアまたはトラガカントを含む口内錠、および不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中の活性化合物を含む錠剤が含まれる。
非経口投与に適した製剤は、典型的には所定濃度の活性化合物を含む滅菌水溶液剤を含み;該液剤は好ましくは対象とする受容者の血液と等浸透圧である。該液剤は好ましくは静脈内に投与されるが、それらは皮下もしくは筋肉内注射により投与されてもよい。
直腸投与に適した製剤は、好ましくは、活性成分および坐剤の基剤を構成する固体担体、例えばカカオ脂を含む単位用量坐剤として提供される。
【0112】
局所投与または鼻腔内投与に適した製剤には、軟膏、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアーゾルおよび油剤が挙げられる。そのような製剤に適した担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよびそれらの組合せが挙げられる。
経皮投与に適した組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを含む。好ましくは組成物は、単位用量剤型、例えば錠剤、カプセル剤もしくはアンプル剤である。
【0113】
本発明の製剤は、いずれかの適当な方法により、典型的には、活性化合物(群)を液体もしくは微粉化された固体担体と、またはその両方と所望の割合で均一かつ完全に混合し、次いで要すれば、得られた混合物を所定の形に成形することによって、調製することができる。
例えば、錠剤は、活性成分の粉剤もしくは顆粒剤および1つまたはそれ以上の最適な構成成分、例えば結合剤、潤滑剤、付活性な希釈剤、または表面活性分散剤を含む完全に混合された混合物を圧縮することによって、粉末化された活性成分と不活性な液体希釈剤との完全に混合された混合物を成型することによって調製することができる。
【0114】
非経口投与のための水溶液剤は、典型的には、十分な水中に活性化合物を懸濁し、所定の濃度とし、次いで得られた溶液を滅菌し等浸透圧にすることによって調製される。
正確な投与用量は、患者の年齢や状態、さらに投与頻度および経路に依存し、担当医の最終的な判断に拠ること認められよう。本化合物は、単一投与もしくは分割投与で投与されてもよいし、1日あたり1回またはそれ以上、例えば1回〜4回投与してもよい。
統合失調症を含み、GlyT1阻害剤により媒介される神経障害および神経精神障害の処置のためにヒト(体重約70kg)に経口、舌下、非経口、口腔、直腸、鼻腔内または局所投与する、本発明にかかる使用のための活性成分の推薦される投薬量は、1日あたり、例えば1回〜4回投与される単位用量あたりの活性成分は、約1mg〜約1000mg、好ましくは約5mg〜約500mg、より好ましくは約10mg〜約100mgであってよい。
【0115】
限定されるものではないが、本明細書にて言及される特許および特許出願を含む全ての刊行物を出典明示により本明細書の一部とする。
【0116】
次に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例
略語:
THF テトラヒドロフラン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テト
ラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
EDC N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド
塩酸塩
HOAt 3H−(1,2,3)−トリアゾロ(4,5−b)ピリジン−3−オール
NMP N−メチルピロリジノン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
0.88アンモニア 比重0.88の濃縮水性アンモニア
【0117】
分析LC/MS クロマトグラフィー条件:
カラム: Waters Atlantis 50mm×4.6mm、粒径3μm
移動相: A:0.05%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.05%ギ酸
勾配: 5分実行時間:4分かけて3%Bから97%Bに
流速: 3ml/分
UV波長帯:220−330nm
温度: 30℃
【0118】
質量ダイレクティッド自動精製系クロマトグラフィー条件:
カラム: Waters Atlantis 19mm×100mmまたは30mm×100mm、
粒径5μm
移動相: A:0.1%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
勾配: 分析保持時間に応じた勾配10分を含む13.5分の実行時間
流速: 20または40ml/分
【0119】
記載例1:1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル
【化15】

【0120】
0℃でのジメチルアミン塩酸塩(8.15g;0.1モル)のシクロペンタノン(8.4g;0.1モル)中懸濁液に、シアン化カリウム(6.5g;0.1モル)の水(50ml)中溶液を10分間にわたって滴下した。室温で18時間激しく攪拌した後、その粗反応混合物をジエチルエーテル(200ml)で3回抽出し、合した抽出液を水(50ml)で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、その濾液を蒸発させて標記生成物を淡黄色油(12.5g)として得、それをさらに精製することなく使用した。H NMR(CDCl)δ:1.7−2.0(6H,m)、2.15−2.3(2H,m)および3.3(6H,s)。質量スペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):測定値 112(MH−HCN)。C14として、計算値 138。
【0121】
記載例2:{1−[アミノ(2−チエニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミン
【化16】

【0122】
アルゴン下、攪拌かつ冷却(−78℃)した1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(200mg、1.45ミリモル)の乾燥THF(5ml)中溶液に、2−チエニルリチウム溶液(1.6ml、THF中1M溶液、1.60ミリモル)を添加した。この混合物を3時間にわたって室温にまでゆっくりと加温した。ついで、該反応混合物を0℃に冷却し、メタノール(5ml)およびホウ水素化ナトリウム(165mg、4.35ミリモル)で処理し、室温で18時間攪拌した。ついで、該反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。ペンタン中0−80%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して生成物を得、それをさらにメタノール(5ml)およびホウ水素化ナトリウム(165mg、4.35ミリモル)で処理し、室温で18時間攪拌した。ついで、該反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。DCMで、つづいてDCM/メタノール/0.88アンモニア(90:9:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、{1−[アミノ(2−チエニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンを無色油(101mg、31%)として得た。δ(400MHz、CDCl)0.75(1H,m)、1.3−2.1(7H,重複多重線)、2.26(6H,s)、4.61(1H,s)、6.95(1H,m)、7.02(1H,m)、7.19(1H,m)ppm。LC/MS:m/z(ES) 208(MH−NH、C120NSとして、計算値 224)、保持時間0.85分。
【0123】
記載例3:[1−(1−アミノプロピル)シクロペンチル]ジメチルアミン
【化17】

【0124】
アルゴン下、攪拌かつ冷却(−78℃)した1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(200mg、1.45ミリモル)の乾燥THF(5ml)中溶液に、エチルリチウム溶液(3.2ml、ベンゼン中0.5M溶液、1.60ミリモル)を添加した。この混合物を3時間にわたって室温にまでゆっくりと加温した。ついで、該反応混合物を0℃に冷却し、メタノール(5ml)およびホウ水素化ナトリウム(165mg、4.35ミリモル)で処理し、室温で18時間攪拌した。ついで、該反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。DCMで、つづいてDCM/メタノール/0.88アンモニア(90:9:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、[1−(1−アミノプロピル)シクロペンチル]ジメチルアミンを無色油(113mg、46%)として得た。δ(400 MHz、CDCl)1.00(3H,m)、1.25−1.6(10H,重複多重線)、2.17(6H,s)、2.87(1H,m)ppm。
【0125】
記載例4:[1−(1−アミノペンチル)シクロペンチル]ジメチルアミン
【化18】

【0126】
乾燥トルエン(200μl、1.9ミリモル)の乾燥THF(2ml)中溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.0ml、ヘキサン中1.6M溶液、1.60ミリモル)で処理した。冷却浴を取り外し、反応物を室温にまで加温し、さらに10分間攪拌した。−78℃に再び冷却し、1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(200mg、1.45ミリモル)の乾燥THF(2ml)中溶液で処理した。その次に、3時間にわたって室温にまで加温し、ついでメタノール(5ml)およびホウ水素化ナトリウム(165mg、4.35ミリモル)で処理し、室温で18時間攪拌させた。次に、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。DCMで、つづいてDCM/メタノール/0.88アンモニア(90:9:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、[1−(1−アミノペンチル)シクロペンチル]ジメチルアミンを無色油(163mg、49%)として得た。δ(400MHz、CDCl)0.90(3H,m)、1.1−1.7(14H,重複多重線)、2.16(6H,s)、2.95(1H,m)ppm。
【0127】
記載例5:[1−(1−アミノ−2−フェニルエチル)シクロペンチル]ジメチルアミン
【化19】

【0128】
アルゴン下にあるN,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(200μl)のトルエン(2ml)中溶液を0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(1.0ml、ヘキサン中1.6M溶液、1.6ミリモル)で処理した。0℃で1時間攪拌し、ついで−78℃に冷却し、1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(200mg、1.45ミリモル)の乾燥THF(2ml)中溶液で処理した。その次に、18時間にわたって室温にまで加温し、ついで乾燥メタノール(4ml)およびホウ水素化ナトリウム(165mg、4.35ミリモル)で処理し、室温で5時間攪拌させた。次に、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。DCMで、つづいてDCM/メタノール/0.88アンモニア(90:9:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、[1−(1−アミノ−2−フェニルエチル)シクロペンチル]ジメチルアミン(28mg、8%)を得た。δ(400MHz、CDCl)1.5−1.75(8H,重複多重線)、2.23(6H,s)、2.27(1H,dd,J=10.4および2.4Hz)、2.93(1H,dd,J=13.2および2.0Hz)、3.27(1H,dd,J=10.4および2.4Hz)、7.26(5H,重複多重線)ppm。LC/MS:m/z(ES)233(MH、C1524として、計算値 232)、保持時間 1.16分。
【0129】
記載例6:[1−(1−アミノ−2−メチルプロピル)シクロペンチル]ジメチルアミン
【化20】

【0130】
1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(200mg、1.45ミリモル)の乾燥THF(4ml)中溶液をアルゴン下で−78℃に冷却し、イソプロピルリチウム(2.28ml、ペンタン中0.7M溶液、1.6ミリモル)で処理した。その次に、反応混合物3時間にわたって室温にまでゆっくりと加温した。ついで、水(4滴)を加え、混合物を減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで抽出し、乾燥させ、蒸発させて中間体を得、それを乾燥THF(5ml)に再び溶かし、アルゴン下で攪拌し、ホウ水素化リチウム(1.4ml、THF中2M溶液、2.80ミリモル)で処理した。60℃で1時間、ついで室温で一夜攪拌し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で処理し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCMで3回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させた。DCMで、つづいてDCM/メタノール/0.88アンモニア(90:9:1)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、[1−(1−アミノ−2−メチルプロピル)シクロペンチル]ジメチルアミンを油(18mg、7%)として得た。δ(400MHz、CDCl)0.86(3H,s)、0.95(3H,s)、1.47−1.75(8H,重複多重線)、2.12(1H,m)、2.19(6H,s)、2.87(1H,d,J=2.0Hz)ppm。
【0131】
記載例7:3−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸エチル
【化21】

【0132】
亜鉛粉(894mg、13.7ミリモル)をアルゴン下で乾燥THF(3ml)に懸濁させ、ブロモイソ酪酸エチル(2滴)を添加した。5分間還流温度にまで加熱し、2−フルオロベンゾニトリル(332mg、2.74ミリモル)の乾燥THF(6ml)中溶液を添加し、還流をさらに5分間維持した。ブロモイソ酪酸エチル(2.13g、10.94ミリモル)の乾燥THF(2ml)中溶液をアルゴン下、還流温度で1時間にわたって滴下した。還流温度でさらに15分経過した後、該混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去した。ついで、粗混合物を乾燥メタノール(10ml)に再び懸濁させ、ホウ水素化ナトリウム(200mg、5.4ミリモル)を少しずつ添加する間は冷却(0℃)した。1.5時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム溶液の間に分配し、有機層を乾燥させ、濾過し、蒸発させて一の物質を得、それをシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。ペンタン中0−80%酢酸エチルで溶出し、3−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸エチルを無色油(530mg、81%)として得た。δ(400MHz、CDCl)1.13(3H,s)、1.14(3H,s)、1.27(3H,t,J=7.2Hz)、4.17(2H,q,J=7.2Hz)、4.59(1H,s)、7.00(1H,m)、7.12(1H,m)、7.21(1H,m)、7.37(1H,m)ppm。LC/MS:m/z(ES) 240(MH、C1318NOFとして、計算値 239)、保持時間 1.61分。
【0133】
記載例8:3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸
【化22】

【0134】
3−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸エチル(D7)(964mg、4.03ミリモル)の50%塩酸(10ml)中溶液を100℃で一夜加熱し、ついでその塩酸を減圧下にて除去した。得られた固体を再びメタノールに溶かし、溶媒を減圧下にて除去した。最後に、該固体をクロロホルムに懸濁させ、減圧下にて溶媒を除去し、粗3−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸を塩酸塩として得た(1.01g)。
【0135】
この塩(0.78g、3.15ミリモル)、ジオキサン(20ml)、水(2ml)、水酸化ナトリウム2M溶液(3.30ml、6.62ミリモル)およびジ炭酸ジ−t−ブチル(755mg、3.37ミリモル)の混合物を室温で一夜攪拌した。ついで、減圧下にてジオキサンを除去し、水性残渣をエーテルで洗浄した。そのエーテル溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(3ml)で抽出し、その水層を水性反応混合物と合した。該溶液のpHを約4.0に調整し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を乾燥させ、蒸発させて3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸をクリスプ状の泡沫体(830mg、85%)として得た。LC/MS:m/z(ES)312(MH、C1622NOFとして、計算値 311)、保持時間 2.76分。
【0136】
記載例9:5−(2−フルオロフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
【化23】

【0137】
3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−3−(2−フルオロフェニル)−2,2−ジメチルプロピオン酸(D8)(790mg、2.54ミリモル)の乾燥DMF(7ml)中溶液をアルゴン下で冷却(0℃)し、トリエチルアミン(427μl、3.05ミリモル)およびジフェニルホスホリルアジド(657μl、3.05ミリモル)で処理した。25℃で1時間、そして65℃で5時間攪拌した。反応混合物を冷却し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を酢酸エチルに溶かし、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄した。その乾燥溶液を減圧下で蒸発させて油を得、それをシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。ペンタン中20−100%酢酸エチルでの溶出に付し、5−(2−フルオロフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル を無色ガム(706mg、90%)として得た。δ(400MHz、CDCl)0.89(3H,s)、1.26(9H,s)、1.52(3H,s)、4.91(1H,brs)、5.23(1H,s)、7.08(1H,m)、7.16(1H,m)、7.27(2H,重複多重線)ppm。LC/MS:m/z(ES)331(MNa、C1621Fとして、計算値 308)、保持時間 2.70分。
【0138】
記載例10:1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,2−プロパンジアミン二塩酸塩
【化24】

【0139】
5−(2−フルオロフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(D9)(325mg、1.05ミリモル)の50%塩酸(5ml)および酢酸(5ml)中溶液を125℃で4日間加熱した。反応混合物を冷却し、揮発性成分を減圧下で蒸発させた。残渣を再びメタノールから2回、つづいてクロロホルムから2回蒸発させた。得られた固体をクロロホルムで3回トリチュレートし、乾燥させ、1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,2−プロパンジアミン二塩酸塩(211mg、78%)を得た。LC/MS:m/z(ES) 183(MH、C1015Fとして、計算値 182)、保持時間 0.29分。
【0140】
実施例1:(±)−N−{[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル][4−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−2,6−ジメチルベンズアミド
【化25】

【0141】
アルゴン雰囲気下、4−ブロモアニソール(187mg;1.00 ミリモル)の無水THF(3mL)中攪拌溶液を−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M;1.2mL;2.04ミリモル)を5分間にわたって滴下した。この温度で30分間攪拌した後、1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(138mg;1.00ミリモル)の無水THF(3mL)中溶液を5分間にわたって滴下し、該反応物を3時間にわたって20℃に加温した。メタノール(1mL)および水(3mL)を連続して添加することで混合物をクエンチし、酢酸エチルと塩化アンモニウムの飽和水溶液の間に分配することで生成物を単離した。有機相を乾燥させ(NaSO)、真空下で濃縮して無色油(190mg)を得た。これをメタノール(10mL)に溶かし、ホウ水素化ナトリウム(88mg;2.32ミリモル)をその攪拌混合物に少しずつ加えた。20℃で1時間攪拌した後、該反応物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム飽和水溶液の間に分配させた。分離した有機相を真空下で濃縮し、ジクロロメタンに溶かし、SCXカラムクロマトグラフィーに付して精製して黄色油(108mg)を得た。この半分(54mg)をジクロロメタン(2mL)に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(100μL;0.59ミリモル)を、つづいて2,6−ジメチルベンゾイルクロリド(37mg;0.22ミリモル)を添加した。該混合物を1時間振盪させ、SCXカラムクロマトグラフィーに付して精製し、標記化合物をオフホワイト固体(62mg;0.16ミリモル)として得た。δ(400MHz、CDCl) 7.36(2H,d,J9)、7.15(1H,dd,J8,8)、7.01(2H,d,J8)、6.87(2H,d,J9)、5.21(1H,d,J6)、3.81(3H,s)、2.31(6H,s)、2.28(6H,s)、1.88−1.24および1.02−0.95(8H,m);LC/MS:m/z(ES) 381(MH、C2432として、計算値 380)、保持時間 1.96分。
【0142】
実施例2:(±)−N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](4−フルオロフェニル)メチル]−2−メトキシ−6−(メチル)ベンズアミド
【化26】

【0143】
アルゴンの不活性雰囲気下、tert−ブチルリチウム(2.20mL;ペンタン中1.7M;3.74ミリモル)を10分間にわたり4−フルオロヨードベンゼン(472mg;2.13ミリモル)の無水ジエチルエーテル中冷却(−78℃)攪拌溶液に滴下した。この温度で40分間攪拌した後、無水ジエチルエーテル(2mL)中の1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(D1)(207mg;1.50ミリモル)を3分間にわたって冷却(−78℃)攪拌混合物に滴下した。この温度で2時間50分間攪拌した後、反応物を冷却浴から4分間外し、メタノール(5mL)でクエンチし、室温にまで加温した。SCXカラムクロマトグラフィーに付して精製し、214mgの生成物を得、それをメタノール(5mL)に溶かした。ホウ水素化ナトリウム(70mg;1.85ミリモル)を室温で該攪拌溶液に一度に加え、該反応物を15時間攪拌した。SCXカラムクロマトグラフィーに付して精製し、1−[アミノ(4−フルオロフェニル)メチル]−N,N−ジメチルシクロペンタンアミンを得た。
【0144】
HATU(41mg;0.11ミリモル)を1−[アミノ(4−フルオロフェニル)メチル]−N,N−ジメチルシクロペンタンアミン(20mg;71.0マイクロモル)、ジイソプロピルエチルアミン(50ml;0.29ミリモル)および2−メチルオキシ−6−メチル安息香酸(19mg;0.11ミリモル)のDMF(1mL)中攪拌混合物に一度に添加した。生成物の形成した後、該混合物を連続的SCXカラムクロマトグラフィーおよびMDAPに付して精製し、標記化合物をギ酸塩(12.2mg;31.7マイクロモル)として得た。δ(400MHz、CDCl) 9.99(1H,brd,J9)、8.08(1H,brs)、7.57−7.50(2H,m)、7.22−7.15(1H,m)、7.13−7.06(2H,m)、6.74(1H,d,J8)、6.68(1H,d,J8)、5.57(1H,d,J9)、3.73(3H,s)、2.86(6H,s)、2.53−2.40(1H,m)、2.15(3H,m)、2.11−1.95(3H,m)、1.58−1.43(2H,m)、1.13−1.00(1H,m)、1.00−0.86(1H,m);LC/MS:m/z(ES) 385(MH、C2329FNとして、計算値 384)、保持時間 1.96分。
【0145】
実施例3:(±)−N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](4−フルオロフェニル)メチル]−2,6−ジメチルベンズアミド
【化27】

【0146】
2,6−ジメチルベンゾイルクロリド(135μL;0.64ミリモル)を1−[アミノ(4−フルオロフェニル)メチル]−N,N−ジメチルシクロペンタンアミン(75mg;0.32ミリモル)およびジイソプロピルエチルアミン(150μL;0.88ミリモル)のジクロロメタン(1.5mL)中攪拌溶液に一度に添加した。2時間20分間攪拌した後、該反応物をSCXカラムクロマトグラフィーに付して精製し、標記化合物を黄色油(70mg、0.19ミリモル)として得た。LC/MS:m/z(ES) 369(MH、C2329FNOとして、計算値 368)、保持時間 1.96分。
【0147】
以下の表に列挙される化合物を上記した実施例に記載される方法と同様の方法を用いて調製した。方法A=酸クロリド;方法H=HATU介在カップリング。後処理および精製は上記した実施例に記載されている方法と同様の適当な方法を用いて実施した。
【0148】
【表2−1】

【表2−2】


カップリング方法:A=酸クロリド(実施例3のように);H=HATU(実施例2のように)
【0149】
実施例15:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](2−チエニル)メチル]−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド
【化28】

【0150】
{1−[アミノ(2−チエニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミン(D2)(100mg、0.45ミリモル)の、DMF(0.3ml)を含有する乾燥DCM(3ml)中溶液を、2−トリフルオロメチル−4−キノリンカルボン酸(108mg、0.45ミリモル)、EDC(95mg、0.50ミリモル)およびHOBt(31mg、0.18ミリモル)で処理し、一夜放置した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄して乾燥させた。シリカゲルカラムに充填し、ペンタン中0−80%酢酸エチルで溶出し、N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](2−チエニル)メチル]−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド(185mg、92%)を得た。δ(400MHz、CDCl) 1.32(1H,m)、1.43(1H,m)、1.6(3H,重複多重線)、1.82(1H,m)、1.95(2H,m)、2.29(6H,s)、5.66(1H,d,J=6.8Hz)、7.01(1H,m)、7.10(1H,m)、7.15(1H,m)、7.27(1H,m)、7.73(1H,m)、7.79(1H,s)、7.87(1H,m)、8.30(2H,重複多重線)ppm。LC/MS:m/z(ES) 448(MH、C2324OSFとして、計算値 447)、保持時間 2.11分。
【0151】
実施例16:2−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]プロピル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化29】

【0152】
[1−(1−アミノプロピル)シクロペンチル]ジメチルアミン(D3)(113mg、0.66ミリモル)および2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(161mg、0.66ミリモル)の乾燥DCM(2ml)中溶液をトリエチルアミン(185μl、1.32ミリモル)で処理し、室温にて一夜攪拌した。該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させてシリカゲルカラムに充填した。ペンタン中20−100%酢酸エチルで溶出し、2−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]プロピル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを白色固体(202mg、81%)として得た。δ(400MHz、CDCl) 1.10(3H,m)、1.3 −2.0(10H,重複多重線)、2.26(6H,s)、4.36(1H,m)、5.86(1H,d,J=9.2Hz)、7.43(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、7.65(1H,d,J=8.0Hz)、7.76(1H,d,J=8.0Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES) 377(MH、C182435ClFとして、計算値 376)、保持時間 1.95分。
【0153】
実施例17:N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]プロピル}−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド
【化30】

【0154】
実施例15の記載に従ってD3より調製した。δ(400MHz、CDCl) 1.13(3H,m)、1.3−2.0(10H,重複多重線)、2.30(6H,s)、4.48(1H,m)、6.01(1H,d,J=9.6Hz)、7.75(1H,s)、7.75(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、7.86(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、8.26(1H,d,J=8.0Hz)、8.37(1H,d,J=8.0Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES) 394(MH、C2126OFとして、計算値 393)、保持時間 1.99分。
【0155】
実施例18:N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]ペンチル}−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド
【化31】

【0156】
実施例15の記載に従ってD4より調製した。δ(400MHz、CDCl) 0.95(3H,m)、1.35−1.85(14H,重複多重線)、2.30(6H,s)、4.56(1H,m)、6.02(1H,d,J=9.6Hz)、7.73(1H,s)、7.73(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、7.86(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、8.26(1H,d,J=8.0Hz)、8.38(1H,d,J=8.0Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES) 422(MH、C2330OFとして、計算値 421)、保持時間 2.24分。
【0157】
実施例19:N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]−2−フェニルエチル}−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド
【化32】

【0158】
実施例15の記載に従ってD5より調製した。δ(400MHz、CDCl) 1.5−2.0(8H,重複多重線)、2.40(6H,s)、2.49(1H,dd,J=14.4および11.6Hz)、3.50(1H,dd,J=14.4および4.0Hz)、5.07(1H,m)、5.80(1H,d,J=9.2Hz)、7.3(6H,重複多重線)、7.52(2H,重複多重線)、7.78(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、8.17(1H,d,J=8.0Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES) 456(MH、C2628OFとして、計算値 455)、保持時間 2.21分。
【0159】
実施例20:N−{1−[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル]−2−メチルプロピル}−2−(トリフルオロメチル)−4−キノリンカルボキシアミド
【化33】

【0160】
実施例15の記載に従ってD6より調製した。δ(400MHz、CDCl) 0.98(3H,d)、1.18(3H,d)、1.4−1.9(8H,重複多重線)、2.28(6H,s)、2.34(1H,m)、4.52(1H,dd,J=9.6および2.8Hz)、6.17(1H,d,J=10.0Hz)、7.72(1H,s)、7.74(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、7.88(1H,dd,J=8.0および8.0Hz)、8.29(2H,dd,J=8.0および8.0Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES)408(MH、C2228OFとして、計算値 407)、保持時間 2.10分。
【0161】
実施例21:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](2−チエニル)メチル]−2,3−ジメチルベンズアミド
【化34】

【0162】
実施例15の記載に従ってD2より調製した。δ(400MHz、CDCl) 1.4−1.9(8H,重複多重線)、2.27(6H,s)、2.30(3H,s)、2.32(3H,s)、5.64(1H,d,J=7.6Hz)、6.60(1H,d,J=7.6Hz)、6.95(1H,m)、7.05(1H,m)、7.14(1H,m)、7.2(3H,重複多重線)ppm。LC/MS:m/z(ES) 357(MH、C2128OSとして、計算値 356)、保持時間 1.95分。
【0163】
実施例22:2−クロロ−N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](2−チエニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化35】

【0164】
実施例15の記載に従ってD2より調製した。δ(400MHz、CDCl) 1.4−1.9(8H,重複多重線)、2.27(6H,s)、5.57(1H,d,J=6.8Hz)、6.97(1H,m)、7.07(2H,重複多重線)、7.21(1H,m)、7.46(1H,dd,J=7.6および7.6Hz)、7.70(1H,dd,J=7.6および1Hz)、7.77(1H,dd,J=7.6および1Hz)ppm。LC/MS:m/z(ES) 431(MH、C202235ClFSとして、計算値 430)、保持時間 2.13分。
【0165】
実施例23:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](2−チエニル)メチル]−2,6−ジメチルベンズアミド
【化36】

【0166】
実施例16の記載に従ってD2より調製した。δ(400MHz、CDCl) 1.23(1H,m)、1.5−1.9(7H,重複多重線)、2.25(6H,s)、2.32(6H,s)、5.62(1H,d,J=7.2Hz)、6.46(1H,d,J=7.2Hz)、6.96(1H,m)、7.02(2H,m)、7.08(1H,m)、7.16(1H,m)、7.20(1H,m)ppm。LC/MS:m/z(ES) 357(MH、C2128OSとして、計算値 356)、保持時間 1.85分。
【0167】
実施例24:N−[2−アミノ−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルベンズアミド
【化37】

【0168】
1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,2−プロパンジアミン二塩酸塩(D10)(207mg、0.81ミリモル)、トリエチルアミン(560μl、4.0ミリモル)および2,6−ジメチルベンゾイルクロリド(136mg、0.81ミリモル)の乾燥DCM(10ml)中溶液を室温で一夜攪拌した。該反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥させ、蒸発させて粗生成物を得、それをシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。ペンタン中20−100%酢酸エチルで溶出し、N−[2−アミノ−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルベンズアミドを白色固体(155mg、61%)として得た。δ(400MHz、CDCl) 1.10(3H,s)、1.32(3H,s)、2.24(6H,s)、5.34(1H,d,J=8.8Hz)、7.00(2H,m)、7.1−7.4(8H,重複多重線)ppm。LC/MS:m/z(ES) 315(MH、C1923OFとして、計算値 314)、保持時間 1.64分。
【0169】
実施例25:N−[1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−2−(1−ピロリジニル)プロピル]−2,6−ジメチルベンズアミド
【化38】

【0170】
N−[2−アミノ−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルベンズアミド(E24)(93mg、0.296ミリモル)、1,4−ジブロモブタン(432mg、2.0ミリモル)および炭酸カリウム(552mg、4.0ミリモル)のDMF(2ml)中懸濁液を50℃で3時間加熱し、ついで室温で一夜攪拌した。50℃でさらに4時間加熱し、LCMSで測定した場合、その期間の経過後に反応が完了した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水(2ml)と酢酸エチルの間に分配した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させて粗生成物を得た。この物質をペンタン中0−80%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して生成物を得た。その物質は未だ極性の低い不純物を含有した。マス−ダイレクテッド自動精製に付して精製し、N−[1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−2−(1−ピロリジニル)プロピル]−2,6−ジメチルベンズアミドギ酸塩を白色固体(61mg、56%)として得た。δ(400MHz、CDCl) 1.20(3H,s)、1.49(3H,s)、1.96−2.13(4H,重複多重線)、2.21(6H,s)、3.22(4H、ブロード)、5.80(1H,d,J=8.4Hz)、6.96(2H,d,J=7.6Hz)、7.12(2H,重複多重線)、7.20(1H,dd,J=7.6および7.6Hz)、7.30(1H,m)、7.51(1H,m) 8.09(1H,s) 10.10(1H、ブロード)ppm。LC/MS:m/z(ES) 369(MH、C2329OFとして、計算値 368)、保持時間 1.84分。
【0171】
実施例26:N−[1−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−2−(1−ピロリジニル)プロピル]−2−(メチルオキシ)−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化39】

【0172】
実施例25の記載に従ってギ酸塩として調製した。δ(400 MHz、CDCl) 1.25(3H,s)、1.55(3H,s)、2.07(2H,m)、2.17(2H,m)、3.34(2H,ブロードなm)、3.44(2H,ブロードなm)、3.85(3H,s)、5.83(1H,d,J=8.4Hz)、7.07(1H,m)、7.21(1H,m)、7.25(1H,不明瞭なs)、7.32(1H,m)、7.47(1H,s)、7.50(1H,m)、8.10(1H,s)、11.5(1H,ブロードなs)ppm。LC/MS:m/z(ES) 507(MH、C2425として、計算値 506)、保持時間 2.30分。
【0173】
上記した実施例の化合物は、その親の遊離塩基をDCMまたはDCM/メタノールの混合液に溶かし、エーテル中1M塩化水素を添加し、つづいて減圧下での蒸発および乾燥に付すことによりその対応する塩酸塩に変換され得る。マスダイレクテッド自動精製により精製される化合物はギ酸塩として単離され、それはSCXカラムを介して遊離塩基に変換され、上記したようにエーテル中1M塩化水素と反応させることによりその対応する塩酸塩に変換され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中:
は1個または複数のR基で置換されているフェニル、1個または複数のR基で置換されていてもよいベンジル、1個または複数のR基で置換されていてもよいチオフェン、1個または複数のR基で置換されていてもよいフラン、1個または複数のR基で置換されていてもよいチアゾール、1個または複数のR基で置換されていてもよいオキサゾール、1個または複数のR基で置換されていてもよいピリジル、および1個または複数のR’基で置換されていてもよいC1−4アルキルからなる群より選択され;
はハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10(ここで、RおよびR10の各々は、独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10はその結合する窒素原子と一緒になって4−、5−、6−または7−員の飽和環を形成し、その4−、5−、6−または7−員の飽和環はさらにO、NおよびS(O)(mは0、1または2である)より選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群より選択され;
’はハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10(ここで、RおよびR10の各々は、独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10はその結合する窒素原子と一緒になって4−、5−、6−または7−員の飽和環を形成し、その4−、5−、6−または7−員の飽和環はさらにO、NおよびS(O)(mは0、1または2である)より選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素および1個または複数のY基で置換されていてもよいC1−4アルキルからなる群より選択されるか、あるいはRおよびRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってY’基で置換されていてもよい4−、5−、6−または7−員の飽和または部分不飽和の環を形成し;
YはC1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC3−5シクロアルキルからなる群より選択され;
Y’はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群より選択されるか、あるいはY’は4−、5−または6−員の環上の2個の原子の間で−CH−または−CH−CH−の架橋を形成し;
およびRは、独立して、1個または複数のX基で置換されていてもよいC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびRはそれらの結合する炭素原子と一緒になって1個または複数のX’基で置換されていてもよい飽和5−または6−員の炭素環式環を形成し、RおよびRがその結合する炭素原子と一緒になって5員の飽和炭素環式環を形成する場合には、該環はさらにO、NおよびS(O)(ここで、mは0、1または2である)から選択される付加的なヘテロ原子の基を含んでいてもよく;
Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
X’はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
は、a)およびb)より選択され、ここで
a)は
【化2】

(ここで:
はC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニル、ブロモおよびクロロからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、フェニル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、C1−3アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェニル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、フェニル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、ハロフェニル、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群より選択され;
ここでZないしZの1個より多くがメトキシである場合、その場合、ZとZとだけがメトキシである)
より選択される基であり;
b)は、
【化3】

(ここで:
AおよびA’は、各々、CZまたはNから選択され、AおよびA’が同時にNであることはなく;
Z’は水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシC1−4アルキルから選択され;
Zは、各々独立して、水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニル、C1−4ジアルキルアミノ、フラニル、ピペリジニルまたはシアノから選択され;
多くても2個のZ基(あるいは適当ならば、ZとZ’を一緒にして多くても2個の基)は水素以外の基である)
から選択される基である]
で示される化合物あるいはその塩または溶媒和物。
【請求項2】
式(Ia):
【化4】

(Ia)
[式中:
は1個または複数のR基で置換されているフェニル、非置換のベンジル、非置換のチオフェンおよび非置換のC1−4アルキルからなる群より選択され;
はハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルおよびハロC1−4アルコキシからなる群より選択され;
はC1−4アルキル、C1−2アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルおよびクロロからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、ハロC1−4アルキルおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
は水素、ハロゲン、ハロC1−4アルキルおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
は水素およびハロゲンからなる群より選択され;
はブロモ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、水素、1個のY基で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択されるか、あるいはRおよびRはその結合する窒素原子と一緒になって1個のY’基で置換されていてもよい飽和または部分的に不飽和の4−、5−、6−または7−員の環を形成し;
YはC1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群より選択され;
Y’はハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群より選択され;
およびRは、独立して、1個または複数のX基で置換されていてもよいC1−4アルキルであるか;あるいはRおよびRはそれらの結合する炭素原子と一緒になって飽和5−または6−員の炭素環式環を形成し、RおよびRがその結合する炭素原子と一緒になって5員の飽和炭素環式環を形成する場合には、該環はさらに酸素のヘテロ原子を含んでいてもよく;
XはヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群より選択される]
で示される化合物あるいはその塩または溶媒和物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
実施例1ないし26のいずれかの化合物あるいはその塩または溶媒和物である、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
治療にて用いるための、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
GlyT1が介在する障害の治療にて用いるための請求項4記載の化合物。
【請求項6】
障害が統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
GlyT1が介在する障害に罹患しているか、あるいは該障害に感受的である、ヒトを含む哺乳動物を治療する方法であって、有効量の請求項4記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
障害が統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
GlyT1が介在する障害の治療用の医薬の製造における請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
障害が統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
請求項4記載の化合物および少なくとも1種の医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項12】
5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択性セロトニン吸収阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン吸収阻害剤(SNRI)、三環系抗鬱剤、ドーパミン作動性抗鬱剤、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニスト、抗痙攣剤から選択される抗鬱剤;非定型抗精神病剤および向知性薬から選択される、1種または複数の他の治療薬をさらに含む、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
式(II):
【化5】

(II)
[式中、R、R、R、RおよびRは請求項1ないし3のいずれか一項における式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(III):
【化6】

(III)
[式中、Zは請求項1ないし3のいずれか一項における式(I)の記載と同意義であり、Lは適当な脱離基を意味する]
で示される化合物と反応させ、その後、所望により、
・いずれの保護基も除去し、および/または
・式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換し、および/または
・塩または溶媒和物を形成させる工程を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項14】
式(II):
【化7】

(II)
[式中、R、R、R、RおよびRは請求項1ないし3のいずれか一項における式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物。

【公表番号】特表2008−525398(P2008−525398A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547625(P2007−547625)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004937
【国際公開番号】WO2006/067414
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】