説明

ケースの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器、及び電波時計

【課題】 端子部を有するケースを容易に製造できるようにしたケースの製造方法と、この方法によって得られたケースを備える圧電振動子、さらにこの圧電振動子を備えた発振器、電子機器、及び電波時計を提供する。
【解決手段】 圧電振動片を備えてなる圧電振動子において圧電振動片を収容するケースの製造方法である。導電材料からなる板材70を有底円筒状に加工する深絞り工程と、略有底円筒状に加工された板材70の底部の外面を、底部の外径より小さい内径の孔79aを有するダイ76の、孔79aの開口部を含む面に当接させつつ、板材70の底部の内面をパンチ77で押圧して段絞り加工を行うことにより、底部の外面に突起部18aを形成する段絞り工程と、板材70の開口部側の所定の位置で切断することにより、突起部を有する略有底円筒状のケースを得る切断工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片を備えてなる圧電振動子において前記圧電振動片を収容するケースの製造方法、及びこの方法によって得られたケースを備える圧電振動子と、この圧電振動子を備えた発振器、電子機器、及び電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源などとして、水晶などを利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、略円筒状に形成されたシリンダーパッケージタイプの圧電振動子が知られている。
【0003】
このようなシリンダーパッケージタイプの圧電振動子は、圧電振動片を気密に封止するケースの開口部側から2本のリードを突出させることで、圧電振動片の両面に設けられた励振電極のそれぞれと外部との接続を可能としている。
ところで、この種の圧電振動子は各種の電子機器等に搭載されるが、これら電子機器等は年々小型化が進んでいるため、圧電振動子においても、さらなる小型化が求められている。圧電振動子の小型化を図るためには、リングの外径を小さくすることが有効である。そのためには、2本のリードの径を細くする必要がある。ところが、リードを現状よりもさらに細くした場合には、剛性が低下してしまうので、製造途中で変形してしまうおそれがあった。特に、インナーリード部よりも長さのあるアウターリード部が変形し易いものであった。アウターリード部が変形してしまうと、互いの平行度が保てなくなってしまうため、品質が低下し、製品として使用できなくなってしまう。その結果、歩留まりの低下を招く可能性があった。
【0004】
また、製造途中で、アウターリード部が他の気密端子のアウターリード部と絡み合ってしまい、生産ラインを一時的に停止させるおそれもあり、この点においても、歩留まりの低下を招く可能性があった。特に、小型化を目指すほど、前述した問題が顕著に発生するおそれがあった。そのため、現状の製造方法では、歩留まり良く、高品質でさらなる小型化を図った圧電振動子を製造することが困難である。
【0005】
そこで、2本のリードではなく、1本のリードからなる圧電振動子が提供されている(特許文献1参照)。すなわち、この圧電振動子では、リードとケース(金属キャップ)とを一対の端子とすることで、従来では2本のリードをケースの開口部から突出させていたのに対し、1本のリードのみを突出させるようにしている。
【特許文献1】特開2002−43886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の圧電振動子では、例えばケース(金属キャップ)に金属端子を取り付けることで外部との電気的接続を容易にしているが、このようにケースに金属端子を接続する場合、通常ははんだによって接続を行う。しかしながら、ケースを導電性にするべく、これを金属製にしているため、このケースは熱容量が大きくなっている。したがって、ケースに金属端子をはんだ付けする際にケース全体をある程度加熱する必要があり、そのため、このはんだ付けの処理が難しくなっており、圧電振動子自体の製造の容易化を妨げる一因になっている。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、特に端子部を有するケースを容易に製造できるようにしたケースの製造方法と、この方法によって得られたケースを備える圧電振動子、さらにこの圧電振動子を備えた発振器、電子機器、及び電波時計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のケースの製造方法は、圧電振動片を備えてなる圧電振動子において前記圧電振動片を収容するケースの製造方法であって、導電材料からなる板材に深絞り加工を行い、前記板材を略有底円筒状に加工する深絞り工程と、前記深絞り工程で略有底円筒状に加工された板材の底部の外面を、該底部の外径より小さい内径の凹部あるいは孔を有するダイの、前記凹部あるいは孔の開口部を含む面に当接させつつ、該板材の底部の内面をパンチで押圧して段絞り加工を行うことにより、該底部の外面に突起部を形成する段絞り工程と、前記段絞り工程で突起部を形成した略有底円筒状の板材を、その開口部側の所定の位置で切断することにより、突起部を有する略有底円筒状のケースを得る切断工程と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このケースの製造方法によれば、深絞り工程と段絞り工程とを経ることにより、略有底円筒状に加工した板材の底部外面に突起部を形成することができる。そして、切断工程を経ることにより、突起部を有する略有底円筒状のケースを得ることができる。したがって、この突起部を端子部として機能させることにより、従来のようなはんだ付けを行う工程が不要になる。
【0010】
また、前記ケースの製造方法においては、前記段絞り工程で前記突起部の長さを所望の長さより長くなるように形成し、前記段絞り工程の後に、前記突起部の長さを所望の長さに調整する調整工程を有しているのが好ましい。
このようにすれば、ケースを量産した際、突起部の長さがばらつくことなく、所望の長さに均一に揃うようになる。
【0011】
また、前記ケースの製造方法においては、前記調整工程では、前記所望の長さに対応する所望の深さで所定の内径を有する穴部を有したダイを用い、前記の所望の長さより長い突起部を前記穴部に挿入し、その状態で前記板材の底部の内面をパンチで押圧することにより、前記突起部を所望の長さに圧縮するのが好ましい。
このようにすれば、突起部を圧縮することでその長さを所望の長さにすることができるとともに、その太さをダイの内径に揃えることができ、したがって得られる突起部の長さと外径を予め設定した寸法に容易に調整することができる。
【0012】
また、前記ケースの製造方法においては、前記板材が複数個のケースを形成するための連続した帯状のものであるのが好ましい。
このようにすれば、帯状の保持材をその長さ方向に移動させつつ、各工程で順次処理を行うことにより、ケースの製造を高効率(高速)で自動化することができる。
【0013】
また、前記ケースの製造方法においては、前記板材はメッキ処理後のものであるのが好ましい。
このようにすれば、前記の深絞り工程や段絞り工程を経ることによってメッキ処理済みのケースが得られ、したがって得られたケースを個々にメッキ処理する場合に比べ、メッキ処理の効率化、容易化を図ることができる。
また、前記ケースの製造方法においては、前記板材は厚さが0.12mmのものであるのが好ましい。
【0014】
本発明の圧電振動子は、圧電振動片と、開口部を有し、前記圧電振動片を内部に収納するケースと、環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が前記圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされた1本のリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、前記ケース内を密閉させる気密端子と、を備えた圧電振動子であって、前記ケースが、前記の製造方法で得られたものであることを特徴としている。
この圧電振動子によれば、突起部を有する略有底円筒状のケースが、はんだ付けを行うことなく製造されており、したがってその製造が容易になっているので、この圧電振動子自体もその製造の容易化が図られたものとなる。
また、導電材料からなるケースに突起部を設けたので、このケースの突起部と1本のリードとを一対の端子にすることができる。よって、リードを1本にしたことで、リングの外径を小さくしても2本の場合に比べてリードの径を細くする必要がなく、さらに、製造途中で他のものと絡み合うおそれも少ないため、圧電振動子自体の小型化が可能になる。
【0015】
また、本発明の発振器は、前記の圧電振動子が発振子として集積回路に接続されていることを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記の圧電振動子を備えることを特徴としている。
また、本発明の電波時計は、前記の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0016】
この発明に係る発振器、電子機器、電波時計によれば、製造の容易化が図られ、さらに小型化が可能な圧電振動子を備えているので、これら発振器、電子機器、電波時計自体もその製造の容易化が図られたものとなり、また小型化が可能なものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のケースの製造方法によれば、はんだ付けを行うことなく、ケースに突起部を一体に形成するようにしたので、特に突起部についての製造工程を容易にすることができる。
本発明の圧電振動子によれば、製造が容易なケースを用いているので、この圧電振動子自体もその製造の容易化が図られたものとなり、さらに、リードを1本にしているので、圧電振動子自体の小型化が可能なものとなる。
本発明の発振器、電子機器、及び、電波時計によれば、製造の容易化が図られ、さらに小型化が可能な圧電振動子を備えているので、これら発振器、電子機器、電波時計自体もその製造の容易化が図られたものとなり、また小型化が可能なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1から図3は、本発明に係る圧電振動子の第1の実施形態を示す図であり、図1は本実施形態の圧電振動子の全体を示す側断面図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3は図1のB−B線矢視断面図である。
【0019】
図1から図3に示すように本実施形態の圧電振動子1は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子であって、圧電振動片2と、この圧電振動片2を内部に配してその外周を覆う有底略円筒状のケース3と、ケース3の開口部3aを気密に封止する気密端子4と、を備えて構成されたものである。圧電振動片2は、本実施形態では音叉型の振動片であり、隣接した状態で互いに平行に配設された一対の振動腕部5、6と、振動腕部5、6の基端側を一体的に固定する基部7とを備えた略板状の水晶片2aで形成されている。また、水晶片2aの両面には、それぞれ、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)などの導電性膜が所定のパターンに形成されて、第一の励振電極8、及び第二の励振電極9が設けられている。第一の励振電極8と第二の励振電極9とは、互いに電気的に切り離されてパターニングされている。
【0020】
そして、第一の励振電極8及び第二の励振電極9のそれぞれに電圧を印加することにより、振動腕部5、6を互いに接近させあるいは離間させる方向に、所定の共振周波数で振動させることが可能になっている。なお、振動腕部5、6の先端側において、第一の励振電極8および第二の励振電極9の少なくとも一方には、クロム(Cr)膜などで形成された微調部10及び粗調部11が設けられている。これら微調部10及び粗調部11は、レーザー光などが照射されて削り込まれていることにより、振動腕部5、6は所定の共振周波数に設定されたものとなっている。
【0021】
気密端子4は、ケース3の開口部3aに圧入された略円筒状のリング12と、リング12に挿通された1本のリード13と、リング12の内部においてリング12とリード13との間に充填されて気密に封止する充填材14と、を備えて構成されたものである。充填材14は、絶縁性を有する材料で形成されたもので、本実施形態では、貫通孔14aを有するホウ珪酸ガラス製のガラスリングからなっている。すなわち、この充填材14は、リング12の内部に挿入され、さらに貫通孔14aにリード13を挿通した状態で焼成されたことにより、リング12とリード13とを絶縁するとともに、ケース3の内部を気密に封止しているものである。
【0022】
リード13は、ケース3の中心軸L3及びリング12の中心軸L12と同軸上となるように配設されたもので、リング12からケース3の内部側に突出するインナーリード部15と、リング12からケース3の外部側に突出する第一のアウターリード部16とを有してなるものであり、後述するように棒状材によって形成されたものである。インナーリード部15の先端側には、略平面を有する段差部からなるバンプ接続部15aが形成されている。このバンプ接続部15aは、後述する潰し工程において、リード13の一部(一方の側)が中心軸L3近傍まで押し潰され、略平面とされることで段差部に形成されたものである。そして、このバンプ接続部(段差部)15aには、圧電振動片2の第一の励振電極8が基部7においてバンプ接続されており、これにより、第一の励振電極8とリード13とは電気的に接続された状態となり、かつ、圧電振動片2はリード13のインナーリード部15によって片持ち状に支持された状態となっている。
【0023】
リング12は、略円筒状の圧入部12aと、圧入部12aからケース3の内部に延出された縮径部12bとを有してなるものである。圧入部12aは、外径がケース3の内径と略等しく形成されており、ケース3に圧入されている。また、縮径部12bは、圧入部12aよりも縮径して形成されており、ケース3の内周面との間に隙間12dを有して配設されている。縮径部12bの外周面12cの一部には、略平面に形成された二つのステップ部12e、12fが形成されている。ステップ部12e、12fは、リング12の中心軸L12に対して略対称に、また、圧電振動片2の第一の励振電極8及び第二の励振電極9が形成された両面と略平行に形成されている。
【0024】
また、リング12は導電性の材料で形成されている。この導電性の材料としては、充填材14を形成するガラスと同程度の熱膨張率を有する材料であることが好ましく、例えば、鉄ニッケルコバルト合金や鉄ニッケル合金などが好適に用いられる。そして、リング12のステップ部12e、12fのうちの、前記バンプ接続部(段差部)15a側のステップ部12eと、圧電振動片2の第二の励振電極9とは、ワイヤ17でワイヤボンディングされ、電気的に接続されている。なお、本実施形態においては、ワイヤ17は2本設けられている。
【0025】
ケース3は、導電性の材料で形成されたもので、一端側に開口部3aを有し、他端側に底部3bを有した有底略円筒状のものである。このケース3の開口部3aには、気密端子4のリング12が圧入されており、これによってケース3は、その内部が真空状態で気密に封止されたものとなっている。
また、ケース3の底部3bには、外部へ突出する突起状の第二のアウターリード部(突起部)18が形成されている。このような構成のもとに本実施形態の圧電振動子1は、第一のアウターリード部16により、ケース3の外部からリード13を介して圧電振動片2の第一の励振電極8に導通可能であるとともに、第二のアウターリード部18により、ケース3の外部からケース3、リング12及びワイヤ17を介して圧電振動片2の第二の励振電極9に導通可能となっている。すなわち、ケース3に形成された第二のアウターリード部(突起部)18と前記した1本のリード13とを、一対の端子にしている。
【0026】
なお、気密端子4のリング12においてステップ部12eのワイヤ17が接合する部分、及びインナーリード部15のバンプ接続部15aには、それぞれ部分的に金メッキ(図示せず)が施されており、これによって導通が良好になっている。このような金メッキとしては、ステップ部12e及びバンプ接続部15aにおいて、膜厚数千Å程度で成膜されている。
【0027】
次に、この圧電振動子1の製造方法について説明する。
図4は本実施形態の圧電振動子1の製造工程のフロー図であり、図5から図26は、各製造工程の説明図である。本実施形態の圧電振動子1の製造工程は、圧電振動片を製造する圧電振動片製造工程S10と、気密端子4を製造する気密端子製造工程S20と、ケース3を製造するケース製造工程S30と、圧電振動片2、気密端子4、及びケース3を組立てる組立工程S40とに大きく分けられる。以下に、各工程を詳細に説明する。
【0028】
圧電振動片製造工程S10は、まず、水晶のランパード原石をスライスして所定の厚みのウエハを作製し、さらに、このウエハを一定の厚みになるまで研磨を行う。そして、このウエハに、フォトリソグラフィー技術によって水晶片2aの外形をパターニングしてエッチングすることで、ウエハから複数の水晶片2aを作製することができる。次に、作製された各水晶片2aについて、第一の励振電極8、第二の励振電極9、微調部10、粗調部11などとなる金属膜を成膜する。そして、各水晶片2aについて、粗調部11にレーザー光を照射して粗調部11を形成する金属膜の一部を蒸発させることで、重量を変化させ、これにより水晶片2aの共振周波数の粗調を行い、圧電振動片2が完成する。なお、水晶片2aの共振周波数をより高精度に調整する微調については、気密端子4に組み付けられた後に行う。そして、このようにして作製された複数の圧電振動片2は、図5に示すように、専用パレット30上に配列されて、後述する組立工程S40に搬送される。
【0029】
次に、気密端子製造工程S20について説明する。気密端子製造工程S20は、まず、リング形成工程S21としてリング12の作製を行う。すなわち、図6(a)に示すように、リング12を形成する鉄ニッケルコバルト合金や鉄ニッケル合金などの導電性を有する板部材31にランス加工を施した後に、複数回深絞り加工を実施することで、リング12の圧入部12aの外径と略等しい有底の筒部材32が形成される。なお、筒部材32が形成される加工位置は、板部材31に予め形成された図示しないパイロット穴によって正確に位置決めされており、これによって複数の筒部材32を配列して形成することができる。
【0030】
次に、図6(b)に示すようにサイジングを行い、縮径部12b及びステップ部12e、12fを形成する。すなわち、筒部材32の内、縮径部12bとなる部分についてさらに圧縮し、外径を縮径させるとともに、ステップ部12e、12fとなる部分については平面となるように型加工する。ここで、ステップ部12e、12fを中心軸L12に対して略対称に形成することで、縮径部12bを、全体に変形してしまうことなく均一な略円筒状に形成することができる。次に、図6(c)に示すように各筒部材32の底部32aを打ち抜き、天井穴32bを形成する。最後に、図6(d)に示すように、外形抜きを行うことで板部材31から筒部材32を離脱させ、リング12を完成させる。
【0031】
次に、リング12と、リード13と、充填部材14との組立を行う。すなわち、まずリング振込み工程S22として、図7に示すように、複数の凹部34を有するリング用カーボン冶具33に複数のリング12を装填していく。より詳しくは、リング用カーボン冶具33は、後述する充填部材焼成工程S25において充填部材14を焼成する際に使用可能にカーボンで形成されている。また、凹部34は、リング12を下向きに挿入可能に、底側にリング12の縮径部12bと対応する縮径部34a、及び、リング12のステップ部12e、12fと対応する平坦部34bが形成されている。複数の凹部34の各平坦部34bの向きは、相互に略等しくなるように形成されている。また、凹部34の底面からは、凹部34と同軸でリード13を挿入可能な挿入穴33aが形成されている。挿入穴33aの深さは、リード13のインナーリード部15の長さと対応しており、底版33bで閉塞されている。
【0032】
そして、このリング用カーボン冶具33の上面に複数のリング12を載置して、リング用カーボン冶具33に振動を与えることで、複数のリング12は、それぞれ、凹部34に向きを略等しくして装填されていくことになる。この際、リング12は、二つのステップ部12e、12fを中心軸L12に対して略対称として形成し、全体として略対称な部材として形成されていることで、振動により円滑に装填させていくことができる。
【0033】
次に、充填部材振込み工程S23として、図8に示すように、リング用カーボン冶具33の凹部34に装填された各リング12の内部に、充填部材14を挿入していく。充填部材14は、後述する充填部材焼成工程S25によって焼成される前の形状につき、リング12の内部に挿入可能な外径を有するとともに、リード13を挿入可能な貫通孔14aを有した形状を呈している。そして、複数の充填部材14をリング用カーボン冶具33の上面に載置してリング用カーボン冶具33に振動を与えることで、各充填部材14は、リング12の内部に挿入されていくこととなる。
【0034】
次に、リード振込み工程S24として、図9に示すように、各リング12の内部に挿入された充填部材14の貫通孔14aに、リード13を挿通させていく。まず、リング12及び充填部材14が装填されたリング用カーボン冶具33の上面に、リード用カーボン冶具35を載置する。リード用カーボン冶具35には、リード13を挿通可能な貫通孔35aが複数形成されている。また、リング用カーボン冶具33と、リード用カーボン冶具35とには、対応する図示しない位置決めピンと位置決め穴とが設けられていて、これにより互いに組み付けた状態で、凹部34と貫通孔35aとは同軸上に配置される。そして、複数のリード13をリード用カーボン冶具35の上面に載置してリング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35に振動を与えることで、各リード13は、リング12に挿入された充填部材14の貫通孔14aに挿通され、リング12の下方にインナーリード部15が、リング12の上方に第一のアウターリード部16が突出した状態で、リング12及び充填部材14と組み付けられる。
【0035】
次に、充填部材焼成工程S25として、リング12及びリード13と組み付けられた状態で充填部材14の焼成を行う。すなわち、図11に示すように、リング12、リード13及び充填部材14が内部に装填された状態で、リング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35を加熱炉の内部に配置して所定の温度で加熱する。これにより、充填部材14は焼成されてリング12及びリード13のそれぞれとの間を気密に封止し、また、リング12、リード13及び充填部材14は一体となり、図11に示すように、気密端子4が形成される。なお、リード13のインナーリード部15のバンプ接続部15aは、後述するバンプ接続部形成工程S27で形成される。
【0036】
次に、気密端子挿入工程S26として、気密端子4をリング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35から取り外し、ユニットフレーム36に配列させる。図12は気密端子4配列前のユニットフレーム36を、図13は気密端子4配列後のユニットフレーム36を示している。図12において省略しているが、ユニットフレーム36は帯状に連続する部材であり、長手方向に気密端子配置部37が等間隔に複数設けられている。気密端子配置部37は、各気密端子4においてリード13の第一のアウターリード部16を嵌合可能な一対の嵌合部37a、37bで構成されている。そして、図13に示すように、ユニットフレーム36の各気密端子配置部37に、上記工程で形成された各気密端子4を、リング12のステップ部12e、12fのいずれかが上方に向くようにして、第一のアウターリード部16を一対の嵌合部37a、37bに嵌合させて配置していく。ここで、気密端子4において、リング12のステップ部12e、12fは、中心軸L12に対して互いに略対称に形成されている。このため、ステップ部12e、12fのいずれを選択して上方に向くように配置したとしても、後述する第二のマウント工程S32で同じ条件でワイヤボンディングすることができる。すなわち、ステップ部を複数有していることで、上記の気密端子4の配置に際しては、後にワイヤボンディングする位置となるいずれかのステップ部を容易に上向きに調整することができる。
【0037】
次に、バンプ接続部形成工程S27として、各気密端子4のインナーリード部15にバンプ接続部15aを形成する。すなわち、図14に示すように、ユニットフレーム36を移動させながら、順次ユニットフレーム36から突出する各気密端子4のインナーリード部15の先端部分を上方から押し潰していく。ここで、本実施形態のようにバンプ接続部形成工程S27を充填部材焼成工程S25後にすることで、上記のリード振込み工程S24及び充填部材焼成工程S25時にリング12のステップ部12e、12fとリード13のバンプ接続部15aとの相対的な向きを調整する必要が無い。また、バンプ接続部形成工程S27でバンプ接続部15aを形成する際には、リード13がリング12と一体化しているので、リング12のステップ部12e、12fとの相対的な向きを容易にかつ精度良く調整して、バンプ接続部15aを形成することができる。
【0038】
次に、フレーム切断工程S28として、図15に示すように、帯状のユニットフレーム36を所定の長さ毎に裁断する。以下、裁断後のユニットフレームをパレット38と称す。
次に、メッキ工程S29として、図16に示すように、パレット38毎に、各気密端子4におけるリング12の圧入部12aの外周面及びステップ部12eの一部、並びに、リード13のバンプ接続部15aに金メッキを施す。
メッキは、下地メッキと仕上げメッキが施される。下地メッキには、例えば銅メッキが施される。リング12の圧入部12aの外周面の仕上げメッキには、ケース3との圧入嵌合で気密を保持するための例えば錫銅合金メッキが数μmから十μm程度の膜厚に施される。ステップ部12e及びバンプ接続部15aの仕上げメッキには金メッキが施される。
ステップ部12eにおける金メッキは、後述するワイヤボンディングを行うためのものであり、リード13のバンプ接続部15aにおける金メッキは、後述する圧電振動片2の第一の励振電極8とのバンプ接続のためのものである。ステップ部12e及びバンプ接続部15aの金メッキとしては、例えば数千Å程度の膜厚で形成される。
尚、ステップ部12e及びバンプ接続部15aは、錫銅合金メッキが施され、更にその上に金メッキが施されても良い。また、リング12の圧入部12aの錫銅合金メッキの表面にさらに金メッキが施されてもよい。
これにより、気密端子製造工程S20の全ての工程が完了する。
【0039】
次に、ケース製造工程S30について説明する。このケース製造工程S30は、本発明におけるケースの製造方法の一実施形態となるものである。まず、板材準備工程S31として、ケース3の材料となる導電材料からなる板材を用意する。この板材としては、特にニッケルメッキ処理を施した洋白(洋銀)(C7521−R−O)が好適とされ、したがって本実施形態では、このようなニッケルメッキ処理を施した洋白を用いている。この板材については、まず幅が15mmの帯状の洋白(C7521−R−O)板を用意し、続いてその両面にニッケルメッキ処理を施して両面にそれぞれ1.2μm〜1.4μm程度の厚さのメッキ膜を形成する。そして、このようにして両面にメッキ膜を形成することにより、厚さ0.12mmの板材(フープ材)とする。また、このようにしてメッキ処理を施したら、これを巻回しさらにその長さ方向に沿って切断することにより、幅を6mmに調整する。これにより、以下の加工に供する板材を得る。
【0040】
このような帯状の板材を準備したら、ブランキング工程S32として、図17に示すようにこの板材70に対し、その円形の加工領域71の外側に、図示しないダイとパンチを用いて該加工領域71の周方向に沿って円弧状の貫通孔72を複数箇所(本例では4箇所)開ける。このように貫通孔72を形成し、板材70の非加工領域に対して加工領域71を部分的に分離しておくことで、後の深絞り工程を円滑に進めることが可能になる。
【0041】
次に、深絞り工程S33として、前記板材70の加工領域71に深絞り加工を行い、前記板材70を有底円筒状に加工する。本実施形態では、図18(a)〜(d)に示すように4次の深絞り加工を行い、板材70を段階的に深絞り加工することで有底円筒状に加工する。なお、この4次の深絞り加工では、各処理毎に寸法が異なる工具を用いることで、深絞りの度合いを段階的に高めている。また、図18(a)〜(d)では、左側(左図)に深絞り加工を行っている状態を示し、右側(右図)にこの深絞り加工で形成された板材70の形状を示している。
【0042】
図18(a)〜(d)の左図に示すように、この深絞り工程S33では、工具として凹部あるいは孔部を有するダイ73と、丸棒状のパンチ74とを用いている。これらダイ73とパンチ74とはモジュール化されており、図18(a)〜(d)で示す各処理、すなわち(a)の1次深絞り処理、(b)の2次深絞り処理、(c)の3次深絞り処理、(d)の4次深絞り処理において、それぞれ異なる寸法のダイ73とパンチ74とを用いる。
【0043】
ダイ73としては、本実施形態では開口形状が円形の凹部75を有したものが用いられ、これらダイ73は、(a)から(d)に進むにつれて凹部75の内径が段階的に小さくなっている。また、特に(c)の3次深絞り処理で用いられるダイ73では、凹部75の底面が凹面となるように形成されており、(d)の4次深絞り処理で用いられるダイ73では、凹部75の底面の中央部が(c)の場合よりも深い凹面となるように形成されている。
一方、パンチ74は円柱状のもので、その外径が、対応するダイ73の凹部75の内径より前記板材70の厚みにほぼ相当する分小さくなっている。なお、これらパンチ74は、その下端面の周縁部が丸め加工されてRが付与されており、これによってその周縁部で板材70を損傷しないようになっている。また、特に(c)の3次深絞り処理で用いられるパンチ74、および(d)の4次深絞り処理で用いられるパンチ74では、その下端面が対応するダイ73の凹部75の底面形状に対応して、凸面に形成されている。
【0044】
このようなダイ73とパンチ74とを用いて深絞り加工を行うには、まず、前記ブランキング工程S32後の帯状の板材70をダイ73上に載せ、その加工領域71をダイ73の凹部75に位置合わせする。続いて、図18(a)の左図に示すように板材70の上からパンチ74を降下させ、前記凹部75内に圧入する。これにより、板材70はその加工領域71が1次深絞り処理され、図18(a)中の右図に示すように外径が比較的大きく、かつ深さが比較的浅い有底円筒状となる。次いで、パンチ74を上昇させることで板材70を共に引き上げる。その後、板材70をパンチ74から脱離させ、これを移送することで次の工具に移動する。
【0045】
すなわち、加工領域71を次のダイ73上に載せ、以下、前記した1次深絞り処理と同様にして、図18(b)に示すように2次深絞り処理を行い、さらに図18(c)に示す3次深絞り処理、図18(d)に示す4次深絞り処理を順次行う。なお、板材70は帯状に長く連続しているので、図18(b)に示す2次深絞り処理を行っている加工領域71に隣合う加工領域71は、図18(a)に示した1次深絞り処理が施されることになる。また、加工領域71が3次深絞り処理、4次深絞り処理と進むに連れ、後続する加工領域71も順次処理が進むようになる。ここで、各加工領域71は、板材70に予め形成された図示しないパイロット穴によって正確に位置決めされており、これによって複数の加工領域71が順次移送され、連続的に絞り処理されるようになっている。
【0046】
また、特に図18(c)に示す3次深絞り処理を行った後には、図18(c)中の右図に示すように板材70は、その底部が外側に略球面状に膨出した形状となり、さらに図18(d)に示す4次深絞り処理を行った後には、図18(d)中の右図に示すように板材70は、その底部の中心部が外周部に対して突出した形状となる。また、これら3次深絞り処理、4次深絞り処理では、有底円筒状に加工された加工領域71は、ダイ73の凹部75内に全てが入り込まず、開口部側がダイ73の上方に浮いた状態で加工されるようになっている。
【0047】
このようにして1次から4次の絞り処理による深絞り工程S33を行い、図18(d)中の右図に示すように板材70を有底円筒状に加工したら、この板材70を、続いて段絞り工程S34に進ませる。
この段絞り工程S34は、基本的には前記の深絞り工程S33と同様に、ダイ76とこれに対応するパンチ77とからなる工具を用いて絞り加工を段階的に高めていくものである。すなわち、この段絞り工程S34は、本実施形態では、図19(a)〜(d)に示すように4次の段絞り加工を行い、板材70を段階的に段絞り加工することで、先に有底円筒状に加工された板材の底部の外面に、前記した第2のアウターロード部18となる突起部を形成する。
【0048】
この4次の段絞り加工でも、各処理毎に寸法が異なる工具を用いることで、段絞りの度合いを段階的に高めている。なお、図19(a)〜(d)、および後述する図20では、左側(左図)に段絞り加工を行っている状態を示し、中央部(中央図)この段絞り加工で形成された板材70の形状を示し、右側(右図)に段絞り加工で形成された板材70の底部の形状を拡大して示している。
図19(a)〜(d)の左図に示すように、この段絞り工程S34では、工具として凹部あるいは孔部を有するダイ76と、棒状のパンチ77とを用いている。これらダイ73とパンチ74とはモジュール化されており、図19(a)〜(d)で示す各処理、すなわち(a)の1次段絞り処理、(b)の2次段絞り処理、(c)の3次段絞り処理、(d)の4次段絞り処理において、それぞれ異なる寸法のダイ76とパンチ77とを用いる。
【0049】
ダイ76としては、本実施形態では開口形状が円形の貫通孔78aを有した上ダイ78と、同じく開口形状が円形の孔部79aを有した下ダイ79とからなるものが用いられる。これら上ダイ78と下ダイ79とは、それぞれの貫通孔78aと孔部79aとが連通させられ、かつ、これら貫通孔78aと孔部79aとの中心軸が一致させられた状態で接合され、用いられる。ここで、下ダイ79の孔部79aは、特に下ダイ79の上面側とその下方とが異なる径に形成されているが、本実施形態において段絞り加工に直接用いられる部分は、下ダイ79の上面側のみであるので、孔部79aと記したときには下ダイ79の上面側の孔部を指すものとする。このような構成からなる下ダイ79は、(a)から(d)に進むにつれて、孔部79a(下ダイ79上面側の孔)の内径が段階的に小さくなっている。一方、上ダイ78については、その貫通孔78aは(a)から(d)において同一になっている。
【0050】
また、(a)〜(d)の各段絞り処理で用いられる下ダイ79では、その孔部79aにおける下ダイ79上面側の開口部が、開口側から下側に行くに連れて縮径されており、その後、一定の内径に形成されている。ここで、この一定の内径に形成されている部分を、本発明では、「深絞り工程で略有底円筒状に加工された板材の底部の外径より小さい内径の凹部あるいは孔」としている。
【0051】
一方、これらダイ73に対応するパンチ77は、深絞り加工でのものと同様に円柱状のもので、その外径が、対応する上ダイ78の貫通孔78aの内径より前記板材70の厚みにほぼ相当する分小さくなっている。なお、これらパンチ77にあっても、その下端面の周縁部が丸め加工されてRが付与されており、これによってその周縁部で板材70を損傷しないようになっている。そして、これらパンチ78は、その下端面に、対応する下ダイ79の開口部の形状に対応して、その中央部に突出部が形成されている。これらパンチ78の突出部は、(a)〜(d)に進むに連れてその外径や高さが小さくなっている。
【0052】
このようなダイ76とパンチ77とを用いて段絞り加工を行うには、まず、前記深絞り加工後の有底円筒状の板材70を、図19(a)中の左図に示したダイ76の上ダイ78上に載せ、その有底円筒部分の底部側を上ダイ78の貫通孔78aに位置合わせする。続いて、図19(a)中の左図に示すように板材70の上からパンチ77を降下させ、前記貫通孔78a内に圧入する。これにより、有底円筒状の板材70はその円筒部分が貫通孔78a内に入り込み、さらにその底部が下ダイ79の孔部79a内に入り込む。このようにしてパンチ77を圧入すると、有底円筒状の板材70はその底部が、下ダイ79の孔部79aの開口部内、すなわち該孔部79における一定の内径に形成された部分の開口部を含む面に当接させられ、板材70の底部は、図19(a)中の右図に示すようにこの面に対応した形状に1次段絞りされる。
【0053】
次いで、パンチ77を上昇させることで板材70を共に引き上げる。その後、板材70をパンチ77から脱離させ、これを移送することで次の工具に移動する。
すなわち、有底円筒状の板材70を次のダイ76上に載せ、以下、前記した1次段絞り処理と同様にして、図19(b)に示すように2次段絞り処理を行い、さらに図19(c)に示す3次段絞り処理、図19(d)に示す4次段絞り処理を順次行う。なお、板材70は帯状に長く連続しているので、有底円筒状の被加工部分が各工具に順次移送され、連続的に段絞り処理されるのは、前記の深絞り工程の場合と同様である。
【0054】
このようにして1次から4次の段絞り処理による段絞り工程S34を行うことにより、図19(d)中の右図に示すように、有底円筒状の板材70の底部に突起部18aを形成する。ただし、本実施形態では、この突起部18aは図1に示した第2のアウターリード部18より長く形成され、かつその外径が小さく(細く)形成されている。そこで、このように所望の長さより長い突起部18aを形成したら、この有底円筒状の板材70を、続いて調整工程S35に進ませる。
【0055】
この調整工程S35は、前記の段絞り工程S34と同様に、ダイ76とこれに対応するパンチ77とからなる工具を用いてサイジング加工を行うものである。すなわち、この調整工程S35は、本実施形態では、図20に示すように開口形状が円形の貫通孔78aを有した上ダイ78と、同じく開口形状が円形の穴部80を有した下ダイ79とからなるものを用い、前記突起部18aを圧縮することにより、該突起部18aを所望の長さに調整する。ここで、前記穴部80は、図1に示した第2のアウターリード部18の長さ、つまり所望の長さに対応する所望の深さを有し、かつ、第2のアウターリード部18の太さ、つまり所望の外径に対応する所定の内径を有するものである。
【0056】
このようなサイジング加工を行うには、まず、前記段絞り加工後の有底円筒状の板材70をダイ76の上ダイ78上に載せ、その有底円筒部分の底部側を上ダイ78の貫通孔78aに位置合わせする。続いて、図20中の左図に示すように板材70の上からパンチ77を降下させ、前記貫通孔78a内に圧入する。これにより、有底円筒状の板材70はその円筒部分が貫通孔78a内に入り込み、さらにその底部の突起部18aが下ダイ79の穴部80内に入り込む。このようにしてパンチ77を所定時間圧入すると、前記突起部18aは前記の穴部80に圧入され、これにより突起部18aを形成している底部は貫通孔78a内において下ダイ79の上面に当接した状態で押圧される。したがって、前記突起部18aはその先端側が下ダイ79の穴部80の底面に相対的に押圧され、板材70の底部側がパンチ77で押圧されることにより、その長さが穴部80の深さと対応する長さに圧縮され、かつ、肉寄せされることでその太さ(外径)が穴部80の内径と対応する太さ(外径)に調整される。これにより、前記の突起部18aはその長さと太さ(外径)が、図1に示した第2のアウターリード部18と同じに調整される。
【0057】
このようにして突起部18aの調整を行ったら、この突起部を形成した略有底円筒状の板材70を、その開口部側の所定の位置で切断する切断工程S36に進ませる。
この切断工程S36は、前記の深絞り工程S33と同様に、ダイ81とこれに対応するパンチ82とからなる工具を用いて行うもので、本実施形態では、プレカット加工とトリミング加工とをこの順に行うものである。
【0058】
プレカット加工では、図21(a)中の左図に示すように開口形状が円形の貫通孔81aを有したダイ81を用い、この貫通孔81a内に前記板材70の突起部18a側を入れる。そして、その状態でパンチ82を有底円筒状の板材70内に圧入し、切断部分を薄肉化する。
次いで、トリミング工程では、図21(b)中の左図に示すように開口形状が円形の貫通孔81bを有したダイ81を用い、この貫通孔81b内に、プレカット加工後の板材70の突起部18a側を入れる。そして、その状態でパンチ82を有底円筒状の板材70内に圧入する。ここで、このトリミング工程で用いるパンチ82としては、その周縁部が切刃になっているものを用いる。したがって、このパンチ82を板材70内に圧入することにより、予め設定された切断位置で切断することができる。これにより、図21(b)中の右図に示すように、所定の寸法の突起部(第2のアウターリード部18)を一体に形成してなるケース3が得られる。このようにして得られたケース3は、その筒状部における厚さ(板厚)が、約0.05mmとなっていた。また、その表面に施されたメッキは、剥離することなくそのままメッキ膜の状態で残っていた。
【0059】
なお、このようなケース製造工程S30では、特に板材準備工程S31において帯状に長く連続した板材70を用意しているので、その後のブランキング工程S32、深絞り工程S33、段絞り工程S34、調整工程S35、切断工程S36では、板材70の加工領域71を各処理に対応する各工具に順次移送することにより、これら処理を連続的に行うことができる。したがって、処理の自動化、高効率化(高速化)が可能になっている。
【0060】
次に、組立工程S40として、前記の各工程で得られた圧電振動片2、ケース3、及び、気密端子4の組立を行う。まず、第一のマウント工程S31として、図22に示すように、パレット38において、各気密端子4のインナーリード部15に圧電振動片2を搭載する。すなわち、圧電振動片製造工程S10で作製された圧電振動片2を専用パレット30上から取り出す。そして、各気密端子4のインナーリード部15において金メッキが施されたバンプ接続部15aに、取り出した圧電振動片2の第一の励振電極8を基部7でバンプ接続させる。バンプ接続の条件としては、例えば、実装温度130℃、ボンド荷重0.5N、荷重時間が15×10−3秒程度である。これにより、圧電振動片2の第一の励振電極とリード13とは電気的に接続された状態となるとともに、圧電振動片2は、リード13のインナーリード部15に片持ち状に支持された状態となる。ここで、リード13のインナーリード部15において圧電振動片2をバンプ接続する部分が、バンプ接続部15aとして略平面に形成されていることで、より確実に、第一の励振電極8とリード13との導通を図ることができるとともに、リード13によって圧電振動片2を支持することができる。また、バンプ接続部15aがリード13の中心軸と略等しい位置まで押し潰して形成されていることで、圧電振動片2をリード13の中心軸に略等しい位置でリード13と接合することができる。
【0061】
次に、第二のマウント工程S32として、図23に示すように、各気密端子4のリング12のステップ部12e、12fから選択されたステップ部12eと、各気密端子4に搭載された圧電振動片2の第二の励振電極9とをワイヤボンディングする。本実施形態においては、ステップ部12eと第二の励振電極9との間に2本のワイヤ17をボンディングしている。使用されるワイヤ17としては、例えば金(Au)線が選択され、このワイヤ17の一端を、圧電振動片2の基部7において第二の励振電極9にボンディングした後に、他端を、リング12のステップ部12eにボンディングする。ワイヤボンディングの各条件としては、例えば、実装温度130℃、ワイヤ径25μm、ボール径80〜85μm、ボール厚13μm、せん断強度0.45〜0.53Nであり、第二の励振電極9にボンディングする際のボンド荷重が0.55N、荷重時間が7×10−3秒、ステップ部12eにボンディングする際のボンド荷重が0.4N、荷重時間が5×10−3秒程度である。これにより、圧電振動片2の第二の励振電極9とリング12とは電気的に接続された状態となる。ここで、縮径部12bの外周面の内、略平面に形成されたステップ部12eにボンディングすることで、確実に導通を図ることができる。特に、複数のワイヤ17によって接続することで、より確実に導通を図ることができる。なお、第一の励振電極8と接続されたリード13と、第二の励振電極9と接続されたリング12とは、その間に絶縁性の充填部材14が介装されていることで絶縁された状態であり、これにより圧電振動片2の第一の励振電極8と第二の励振電極9とを絶縁した状態とし、短絡を防ぐことができる。
【0062】
次に、微調工程S33として、圧電振動片2の微調を行う。すなわち、図24に示すように、真空雰囲気中において、リング12の圧入部12aの外周面及びパレット38に設定したコンタクト39に電極を接触させて電圧を印加することで、圧電振動片2の振動腕部5、6を振動させる。そして、微調部10にレーザー光を照射して微調部10を形成する金属膜を蒸発させながら振動腕部5、6の周波数を測定することで、圧電振動片2の振動腕部5、6の振動が所定の共振周波数となるように微調整を行う。
【0063】
次に、圧入工程S44として、図25に示すように真空雰囲気中において、前記のケース製造工程S30で所定形状に形成したケース3に、その開口部3a側から各圧電振動片2を挿入し、さらにこのケース3に気密端子4のリング12を圧入する。これにより、圧電振動片2は、ケース3の内部に気密に封止された状態となる。最後に切り離し工程S45として、図26に示すように、リード13の第一のアウターリード部16の内、パレット38の気密端子配置部37に嵌合されている部分を切り離すことで、圧電振動子1が完成する。
【0064】
以上のように、本実施形態の圧電振動子1では、ケース3の内部に配設された圧電振動片2の第一の励振電極8及び第二の励振電極9について、第一の励振電極8はリード13の第一のアウターリード部16によって、また、第二の励振電極9はケース3の第二のアウターリード部18によってリング12及びケース3を介して、それぞれ互いに短絡してしまうことなく外部から導通を図ることができる。ここで、第二の励振電極9と縮径部12bに形成されたステップ部12eとは、ケース3の内周面とリング12のステップ部12eとの間に形成される隙間12dを利用してワイヤ17を配設して接続することができ、ケース3及びリング12の外径が大きくなってしまうことが無い。また、リング12は、圧入部12aと、縮径部12bと、ステップ部12e、12fとを有する単純な構造であるので、外径を小さくしてもプレス加工によって容易に形成することができる。このため、本実施形態の圧電振動子1では、短絡を防止しつつ小型化を図るとともに、容易に歩留まり良く製造することが可能である。また、圧電振動片2は、略平面に形成されたバンプ接続部15aによってリード13の中心軸と略等しい位置に配置されることで、リード13とともにケース3の中心軸L3に略等しい位置に配置することができる。このため、ケース3の内周面と圧電振動片2との離隔を圧電振動片2が変位する範囲に応じて最小限の大きさに設定することができ、それ故にケース3及びリング12の小型化をさらに図ることができる。
【0065】
また、ケース3が、深絞り工程や段絞り工程を経ることで第二のアウターリード部18(突起部)を一体に形成しているので、従来のようなはんだ付けを行う工程が不要になっている。したがって、このケース3の製造が容易になっていることから、このケース3を備えてなる圧電振動子1自体も、その製造の容易化が図られたものとなっている。
なお、前記実施形態では、特にケース製造工程S30において、段絞り工程S34の後に調整工程S35を経ることにより、形成する突起部18a(第二のアウターリード部18)の長さを調整したが、段絞り工程S34で得られる突起部18aの長さや太さ(外径)を所望の寸法に形成できれば、調整工程S35を省略することもできる。
【0066】
(第2の実施形態)
図27及び図28は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
図27及び図28に示すように、この実施形態の圧電振動子50は、第1の実施形態の圧電振動子1を樹脂モールドした表面実装型の圧電振動子である。より詳しくは、圧電振動子50は、ケース3と、ケース3の開口部3aを気密に封止する気密端子4と、ケース3の内部に配設された図示しない圧電振動片2と、樹脂で形成され、ケース3、第一のアウターリード部16及び第二のアウターリード部18を覆う樹脂体51とを備える。第一のアウターリード部16及び第二のアウターリード部18には、それぞれ外部端子52が接続されている。外部端子52は、第一のアウターリード部16または第二のアウターリード部18に嵌合されるV字状の溝53aを有する嵌合部53と、嵌合部53の下端に設けられて、一面54aが樹脂体51の外側に露出する外部接続部54とを有する。
【0068】
このような圧電振動子50においても、圧電振動子の両面に設けられた図示しない励振電極同士が短絡してしまうこと無く、小型化を図ることができるとともに、容易に製造することができ、例えば樹脂体51の外形形状として、断面が一辺1.1mm以下で、長さが4.3mm以下の圧電振動子を実現することができる。このため、より小さいスペースで基板上に搭載することができ、基板上の省スペース化を図ることができる。
【0069】
(第3の実施形態)
図29は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図29は、本発明に係る音叉型水晶発振器の構成を示す概略図であり、上述した圧電振動子を利用した表面実装型圧電発振器の平面図を示している。図29に示すように、この実施形態の発振器100は、シリンダーパッケージ型の圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。なお、圧電振動子1については、第1の実施形態のものと同様であるので、その説明を省略する。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の集積回路101が実装されていて、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0070】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片2が振動し、この振動が水晶の圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態の発振器100によれば、上記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い発振器を提供することができる。
なお、上記の発振器100は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば、第2の実施形態で示した表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。
【0072】
(第4の実施形態)
図30は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態においては、電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器を例にして説明する。図30は、この電子機器の構成を示すブロック図である。図30に示すように、この実施形態の携帯情報機器110は、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池で構成されている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0073】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0074】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片2が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0075】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等から構成され、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0076】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えていて、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0077】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0078】
すなわち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。なお、携帯情報機器110は、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えており、この電源遮断部126によって、通信部114の機能が確実に停止される。
【0079】
この実施形態の携帯情報機器110によれば、上記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い携帯情報機器を提供することができる。
なお、上記の携帯情報機器110は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば第2の実施形態に示す表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。圧電振動子50を実装するものとすれば、他の電子部品と同時にプリント基板上にリフロー半田にて接続できるためより好適である。
【0080】
(第5の実施形態)
図30は、この発明に係る第5の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態においては、電波時計の一実施形態として、上述した圧電振動子1を有する電波時計について説明する。図30は、この電波時計の構成を示すブロック図である。図30に示すように、この実施形態の電波時計130は、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0081】
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
なお、圧電振動子1として、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する圧電振動子部134、135をそれぞれ備えている。
【0082】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路136により検波復調される。そして、波形整形回路137を介してタイムコードが取り出され、CPU138でカウントされる。CPU138では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC139に反映され、正確な時刻情報が表示される。搬送波は40kHz若しくは60kHzであるから、圧電振動子部134、135は、上述した音叉型の構造を持つ圧電振動子が好適である。60kHzを例にとれば、音叉型振動子片の寸法例として、全長が約2.8mm、基部の幅寸法が約0.5mmの寸法で構成することが可能である。
【0083】
この実施形態の電波時計130によれば、上記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い電波時計を提供することができる。
なお、上記の電波時計130は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば第2の実施形態に示す表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。
【0084】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、振動のモードは、音叉型である屈曲振動に限定されず、厚み滑り振動モード等の他の振動モードの振動片であっても良い。また、圧電体材料は、水晶に限定されず、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト等の圧電材料であっても良い。また、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の上面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の図1に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の図1に示す切断線B−Bにおける断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程を示すフロー図である。
【図5】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、圧電振動子製造工程を示す説明図である。
【図6】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リング形成工程を示す説明図である。
【図7】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リング振込み工程を示す説明図である。
【図8】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、充填部材振込み工程を示す説明図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リード振込み工程を示す説明図である。
【図10】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、充填部材焼成工程を示す説明図である。
【図11】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、気密端子製造工程で作製された気密端子を示す概略図である。
【図12】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、ユニットフレームの概略図である。
【図13】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、気密端子挿入工程を示す説明図である。
【図14】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、バンプ接続部形成工程を示す説明図である。
【図15】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、フレーム切断工程を示す説明図である。
【図16】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、メッキ工程を示す説明図である。
【図17】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、ブランキング工程を示す説明図である。
【図18】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、深絞り工程を示す説明図である。
【図19】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、段絞り工程を示す説明図である。
【図20】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、調整工程を示す説明図である。
【図21】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、切断工程を示す説明図である。
【図22】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、第一のマウント工程を示す説明図である。
【図23】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、第二のマウント工程を示す説明図である。
【図24】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、微調工程を示す説明図である。
【図25】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、圧入工程を示す説明図である。
【図26】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、切り離し工程を示す説明図である。
【図27】この発明の第2の実施形態の圧電振動子の側面図である。
【図28】この発明の第2の実施形態の圧電振動子の正面図である。
【図29】この発明の第3の実施形態の発振器の概要図である。
【図30】この発明の第4の実施形態の電子機器のブロック図である。
【図31】この発明の第5の実施形態の電波時計のブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
1、50 圧電振動子 2 圧電振動片 3 ケース 3a 開口部 8 第一の励振電極(励振電極) 9 第二の励振電極(励振電極) 12 リング 12a 圧入部 12b 縮径部 12c 外周面 12d 隙間 12e、12f ステップ部 13 リード 14 充填部材 14a 貫通孔 15 インナーリード部 15a ボンド接続部 16 第一のアウターリード部(アウターリード部) 17 ワイヤ 18 第二一のアウターリード部(突起部) 18a 突起部 51 パッケージ 70 板材 71 加工領域 76 ダイ 77 パンチ 79 下ダイ 79a 孔部(孔) 80 穴部 100 発振器 110 携帯情報機器(電子機器) 130 電波時計 L3 中心軸 S30 ケース製造工程 S33 深絞り工程 S34 段絞り工程 S35 調整工程 S36 切断工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を備えてなる圧電振動子において前記圧電振動片を収容するケースの製造方法であって、
導電材料からなる板材に深絞り加工を行い、前記板材を略有底円筒状に加工する深絞り工程と、
前記深絞り工程で略有底円筒状に加工された板材の底部の外面を、該底部の外径より小さい内径の凹部あるいは孔を有するダイの、前記凹部あるいは孔の開口部を含む面に当接させつつ、該板材の底部の内面をパンチで押圧して段絞り加工を行うことにより、該底部の外面に突起部を形成する段絞り工程と、
前記段絞り工程で突起部を形成した略有底円筒状の板材を、その開口部側の所定の位置で切断することにより、突起部を有する略有底円筒状のケースを得る切断工程と、を備えたことを特徴とするケースの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のケースの製造方法において、
前記段絞り工程では、前記突起部の長さを所望の長さより長くなるように形成し、
前記段絞り工程の後に、前記突起部の長さを所望の長さに調整する調整工程を有していることを特徴とするケースの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のケースの製造方法において、
前記調整工程では、前記所望の長さに対応する所望の深さで所定の内径を有する穴部を有したダイを用い、前記の所望の長さより長い突起部を前記穴部に挿入し、その状態で前記板材の底部の内面をパンチで押圧することにより、前記突起部を所望の長さに圧縮することを特徴とするケースの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のケースの製造方法において、
前記板材は複数個のケースを形成するための連続した帯状のものであることを特徴とするケースの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のケースの製造方法において、
前記板材はメッキ処理後のものであることを特徴とするケースの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のケースの製造方法において、
前記板材は厚さが0.12mmのものであることを特徴とするケースの製造方法。
【請求項7】
圧電振動片と、
開口部を有し、前記圧電振動片を内部に収納するケースと、
環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が前記圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされた1本のリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、前記ケース内を密閉させる気密端子と、を備えた圧電振動子であって、
前記ケースが、請求項1から6のいずれか一項に記載した製造方法で得られたものであることを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項7に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項7に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2009−44599(P2009−44599A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209102(P2007−209102)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】