説明

ステッチング誤差防止用改良型パターン・ジェネレータ

【課題】ステッチング誤差の問題を解決するパターン作成装置の提供。
【解決手段】本発明に係る装置は、つぎ合わされた少なくとも2つの隣接する部分的画像が共通の境界でオーバラップし、オーバラップしている部分的画像の各々が、オーバラップ領域において本質的に同じパターン、及び減少された露光線量を有し、オーバラップ領域の減少された露光線量が、オン状態とオフ状態との間の中間変調状態に設定する位相変調素子の能力を使って、位相変調アナログ空間光変調装置のアナログ機能により作られ、中間変調状態に設定された位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅が、オーバラップ領域の減少された露光線量をつくることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および表示装置用フォトマスク(photomask)などの感光面の極めて高精度なパターン印刷に関するものである。さらに、本発明は、半導体装置パターン、表示パネル、一体型光学装置、および電子配線構造体の直接書込み動作に関するものである。さらに、セキュリティ・プリンティング(証券印刷)などの、他の種類の高精度印刷に利用することも可能である。用語の「印刷(printing)」は、広い意味で理解すべきものであり、フォトレジストや写真用感光乳剤の露光を意味するだけでなく、光または熱によって活性化する融蝕または化学処理による、乾式処理紙などの他の感光媒体上での光作用も意味するものとする。光は、平均的な可視光線に限定されず、赤外線(IR)から超紫外線までの広い範囲の波長を含んでいる。特に重要なのは、370nm(UV)から、深紫外線(DUV)、真空紫外線(VUV)、および超紫外線(EUV)を通過して、数ナノメートルの波長に至る紫外線範囲である。EUVは、本願において、100nmからその放射を光として扱うことが可能な下限までの範囲として定義される。EUVの通常の波長は13nmである。IRは、780nm〜約20μmとして定義される。
【0002】
別の意味において、本発明は、空間光変調装置と、そのような変調装置を用いる投射型表示装置および投射型プリンタの技術ならびに方法に関するものである。特に、本発明は、グレースケール特性、焦点や画像の均一化による画像の安定性、およびアナログ変調技術を利用したこのような変調装置のためのデータ処理を改善している。アナログ変調の最も重要な用途は、アドレス・グリッド(address grid)(例えば、パターンのエッジ位置を特定するような、すなわち、空間光変調装置の画素によって生成されるグリッドよりもはるかに微細な増分)を備えたフォトレジストのようなコントラストの強い素材への画像の生成である。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
最新の技術では、マイクロミラー型のマイクロミラー空間光変調装置(SLM)の投射を用いた高精度パターン・ジェネレータの構成が周知である(ネルソン 1988年(特許文献1)、クック 1990年(特許文献2))。パターン・ジェネレータにおけるSLMの使用は、走査レーザ・スポットを使用する、より広く知られた方法に比べて多くの利点がある。SLMは、大規模並列処理装置であり、1秒当たりに書き込める画素数は極めて多い。この光学系は、SLMの照射が非限界的であるという点でより簡素化されているのに対し、レーザ・スキャナでは、ビーム路全体を高精度で構築しなければならない。数種類のスキャナ(特に電気光学および音響光学スキャナ)と比較して、マイクロミラーSLMが完全に反射装置であることから、マイクロミラーSLMをより短い波長で使用することができる。
【0004】
前記2つの引用文献において、空間光変調装置は、各画素ごとにオン/オフ変調だけを使用している。入力データは、1ビットの深度、例えば、各画素ごとに0および1の値を有する画素マップに変換される。この変換は、図形処理装置や、領域充填指令(area fill instructions)エリア・フィル命令を有するカスタム論理制御回路を使用して、効果的に行なうことが可能である。
【0005】
同じ発明者のサンドストローム(サンドストローム他、1990)(特許文献3)による先の出願では、パターン素子の境界に中間露光指数を使用して、レーザ・スキャナで作成された画像の該素子のエッジ位置を微調整できることが記載されている。
【0006】
時間を変化させながらSLMにより画素をオンにしたり、あるいは、同じ画素を数回印刷することにより、画素を様々な回数オンにすることによって、好ましくはビデオ画像の投射表示および印刷用にグレースケール画像を生成することも技術上周知である。本発明は、特に、超高精度パターンの生成を目的とする、空間光変調装置を備えた直接グレースケール生成用のシステムである。好適な実施例の重要な特徴は、画素単位の画像の均一性と、焦点変化時(意図的あるいは偶発的のいずれかを問わず)のSLMの画素に対するフィーチャー(feature)の正確な配置に関する独立性である。
【0007】
特に、ステッチング誤差(stitching errors)に関して、従来技術にはいくつか問題点がある。SLMの使用時に、数多くのパターン・フィールドをつぎ合わせて全体的パターンを作成しなければならず、従来から周知の装置では、使用者が、ステッチング境界をパターンの感度の高い部分に配置することを回避できない。さらに、本発明でも使用する一部コヒーレントな光を用いた再生は、非線形的プロセスである。したがって、境界線に人為的な手を加えずにステッチングを施して極めて重要なパターンを作成することは理論的にも不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5148157号明細書
【特許文献2】欧州特許第0610183号明細書
【特許文献3】欧州特許第0467076号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、ステッチング誤差の問題を解決するパターン作成装置を提供することを目的とする。
この目的は、添付クレームに示された装置によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による装置は、
超紫外線(EUV)から赤外線(IR)までの波長範囲にあるエネルギー量を有する光パルスの源と、
前記放射パルスによって照射される複数の変調素子を有する空間光変調装置と、
加工品に該変調装置の放射パルス画像を作成する投射系と、
書き込まれたパターンのデジタル表現を受信し、連続する部分的パターンをデジタル・パターン表現から抽出し、前記部分的パターンを変調装置電圧に変換し、さらに、前記電圧を該変調装置に供給する電子データ伝送システムと、
前記投射系に対して前記加工品を移動する高精度機械システムと、
該加工品の動作と、該変調装置への電圧の供給と、放射パルスを調整し、大型のパターンを前記連続した放射パルスによって作成された複数の部分的画像からつぎ合わせて作成する電子制御システムとから成り、
つぎ合わされた少なくとも2つの隣接する画像が共通の境界でオーバラップし、該オーバラップ画像が、該オーバラップ領域において本質的に同じパターンとより低い輝度を有することを特徴としている。
【0011】
その結果、オーバラップによってフィールド間のエッジは滑らかになり、誤差がより広い領域に拡散される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術によるプリンタを示す図である。SLMは、レンズのひとみからの光を偏向させるマイクロミラーから成る。
【図2】(a)〜(h)は、4つの上部画素をオフ状態に、残りの5つの画素をオン状態にした画素設計をいくつか示した図である。
【図3】ピストンのように上下移動することにより、位相差を生成する画素の配列を示す図である。これにより、位相型SLMによってエッジ位置をどのように微調整できるか示されている。
【図4】(a)〜(g)は、偏向ミラーの付いたSLMと変形ミラーの付いたSLMとの概略的な比較を示す図である。
【図5】データを翻訳しSLMに供給する方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるパターン・ジェネレータの好適な実施例を示す図である。
【図7】(a)〜(f)は、本発明によるエッジ誤差の補正例を示す図である。
【実施例】
【0013】
本発明は、SLMを有する総称的な投射型プリンタを示す図1の全体的配置に基づき理解できる。反射に基づく空間光変調装置は、偏向型(ネルソン)と位相型(クック)の2種類に分類される。マイクロミラーを備えた特定の例において両者の違いは小さいように見えるが、位相型SLMは、破壊的干渉(弱め合う干渉)(destruction interference)によって反射方向にビームを放射するのに対して、偏向型SLMでは、画素によって、正反射ビーム(specular beam)が幾何学的に片側に偏向され、図1に示すように、結像レンズの開口部を逸脱する。最新の発明により実行される超高精度印刷の場合、クックによって1990年に開示された位相変調システムは、偏向型よりも優れている。第一に、表面の全部品(ヒンジおよび支柱も含む)が破壊的干渉(弱め合う干渉)に関与し、全体的な吸光が実現可能なことから、良好なコントラストが得られる。第二に、光を片側に偏向させることによって機能するシステムは、中間偏角地点で光軸に対して対称性を得ることが困難であり、焦点が変化したときに、フィーチャーが不安定になる危険が生じる。好適な実施例では、位相型が使用されているが、非対称の偏向型を囲むように収容あるいは設計すれば、使用することも可能である。図4にこの状態が概略的に示されている。最初の図4(a)では、非偏向マイクロミラー401が照射されており、反射光は、開口402の方向に向けられず、したがって、光は、基板403に到達していない。一方、図4(b)では、ミラーが完全に偏向され、全反射光が、開口部方向に向けられる。中間の位置では、反射光の一部だけが、図4(c)に示されている基板に達する。ただし、この場合、光は、レンズ404の光軸に対して対称にならず、基板に斜めに入射する。これにより、レンズと基板領域との間の距離が極めて重要なものとなり、領域の破線位置で示されるような若干の変更によって、基板上のフィーチャーが大幅にずれることになる。この問題を解決する方法は、図4(d)から図4(f)によって示されている。ここでは、最初の露光がマイクロミラーの第1偏角で行なわれ、その後、好ましくは同じ光線量で、第2の露光が第2の偏角に対して行なわれ、第1の角度を補足する。これにより、第1の露光と第2の露光を組み合わせたものが、レンズの光軸に対して対称となる。この課題を解決する別の方法として、図4(g)に示すような変形ミラー401′を使用して、反射光を開口部全面に均一に分布させる方法がある。この最後の図では、概ね(後述する)位相型SLMまたは偏向型SLMの2つの例を示すことができるが、その場合、光はミラーの異なる部分から反射する。
【0014】
位相型SLMは、マイクロマシン加工ミラー、いわゆるマイクロミラー、あるいは、電気信号を使用して変形が可能な支持体上の連続するミラー面により形成可能である。クックにより1990年に開示された発明では、静電界によって制御される粘弾性層が使用されているが、特に、数ナノメートルほどの変形で充分な極めて短い波長に対して、電界または、別の、電気的、電磁的、または熱的に制御される反射面によって変形される圧電固体ディスクを使用することも同様に可能である。本願の残りの部分では、静電気により制御可能なマイクロミラー・マトリクス(1次元または2次元)が想定されているが、前記の通り、変調機構としてのLCDクリスタル素材または電気光学素材に依存した透過または反射型SLMや、圧電または電気歪動作を利用したマイクロマシン型SLMなど、他の構成も可能である。
【0015】
本発明では、位相変調が可変であることにより、投射レンズのひとみに達する光の量が可変になることを特徴とするマイクロミラーを使用することが好ましい。図2(a)から図2(h)では、数個の多重素子から成るミラーをいくつか示しているが、各ミラーの多様な部分の傾斜は重要ではない。実際に、ある素子によって光がレンズ方向に向けられる一方で、別の素子により、光がレンズのひとみの外部に向けられている。この機能を正しく理解する方法として、ミラーの各極小領域素子からレンズのひとみの中心に達する複素振幅を調べ、ミラー全体の振幅を積分する方法がある。ミラーを適正な形状にして、複素振幅の合計がゼロに近くなるように変形することが可能であり、これによって、レンズのひとみに達する光は全くなくなる。これがマイクロミラーのオフ状態であり、ミラー面が平坦であって複素振幅が位相を含むような緩和された状態がオン状態である。オン状態とオフ状態の間では、反射方向の光量が、変形に関して連続的ではあるが非線形的な関数となる。
【0016】
書き込まれるパターンは、通常、ガラス基板上にクロムで書かれたフォトマスク・パターンなどの2値パターンである。この場合、2値とは、中間領域が全くないことを意味しており、フォトマスク面のある一定の点は、黒(クロムで覆われている)か白(クロムなし)である。このパターンは、SLMからの投射画像によりフォトレジストで露光され、このフォトレジストが現像される。現代のレジストは、コントラストが強く、このことは、露光にわずかな比率の変化が生じた場合に、現像剤でレジストを完全に除去したときと、ほとんど除去したときとでは、差が生じることを意味している。したがって、空中の画像が白から黒へ徐々に推移しても、フォトレジストは、通常、支持体表面に対してほとんど垂直なエッジを有している。クロム・エッチングを行なった場合、さらに、コントラストが強くなり、その結果得られる画像は完全に2値的であり、中間領域が全くない黒または白のいずれかに分けられる。
【0017】
入力データは、デジタル形式で、表面に書き込まれるパターンの幾何学的形状寸法を表している。入力データは、極小アドレス単位、例えば、1ナノメートルで与えられることが多いが、SLMの画素をオンまたはオフのいずれかに設定した場合、はるかにきめの粗いパターンができる。SLMの画素を画像の0.1μmの画素に投射する場合、1本の線は、整数個の画素分の幅(n*0.1μm。ただし、nは整数とする)しか有することができない。最近まで0.1μmのアドレス・グリッドで充分ではあったが、いわゆる光学近似補正(OPC)の出現により、1〜5ナノメートルのグリッドが望まれている。OPCでは、マスクの使用時に、マスクのフィーチャーの寸法を僅かに修正して、予想される光画像誤差を補償する。一例として、4本の平行線による0.8μm幅のマスクが最新の4Xリダクション・ステッパ(半導体ウェハ用投射型プリンタ)に印刷される場合、通常、同じ幅に印刷しようとしても、0.187および0.200、0.200、0.187μm幅の線として印刷される。このことは、画像形成のシミュレーションによって予想することができ、マスクのユーザは、OPCを用いて、マスクを補償する。したがって、0.800μmにする代わりに、マスクの最初と最後の線を、4*0.213=0.852μmにしたいと考える。0.1μmのアドレス・グリッドでは、訂正不可能であるが、5nmまたはそれよりも細いアドレス・グリッドの場合、訂正が可能である。
【0018】
図5では、SLMのデータを提供する方法が、フローチャートで示されている。第1ステップのS1では、個別のパターン・フィールドに書き込まれるパターンのパターン・データを分割する。このパターン・データは、デジタル形式で受信されることが好ましい。その後、ステップS2において、各フィールドがラスタライズ化(rasterised)されることにより、異なる露光指数が割り当てられる。次に、ステップS3において、これらの値を非線形的応答が得られるように修正し、ステップS4で、画素単位の変形が行なわれる。最後に、画素値が駆動信号に変換され、SLMに送信される。
【0019】
本発明は、オフ状態とオン状態との間の中間値を使用して、きめの細かいアドレス・グリッド(例えば、画素寸法の1/15、1/25、1/50)を生成することが好ましい。印刷されたフィーチャーは、オン状態の画素から成るが、エッジに沿って、中間値に設定された画素が形成される。これは、オンおよびオフ電圧以外の電圧により画素を駆動することにより行なわれる。カスケード式非線形効果がいくつか存在することから(エッジ位置と境界線上の画素の露光、露光と変形、変形と電界)、入力データから電界への非線形的な変換が必要である。さらに、この変換は、実証的に等時間間隔で校正される。
【0020】
図3は、ピストンのように上下移動することにより、位相差を生成する画素の配列を示している。この図では、画素をどのように制御して、このインセット(差込板)で反射率を生成するのか示している。明るい領域は、位相0の画素を有しているのに対し、暗い領域は、+90度と−90度の位相が交互にくる画素によって生成されている。明るい領域と暗い領域の間にある斜めの境界線は、中間値の位相によって生成されている。これは、エッジが位相型SLMによって如何に微細位置付けできるかを示している。ただし、中間値を有する他の種類のSLMも同様に使用できる。中間値の位相SLMによる結像特性は複雑であり、図3でエッジが移動する明確さからはほど遠い。しかしながら、本発明者による膨大な理論に基づく計算および実験によって、記載された効果が実際にあることが証明されている。
【0021】
(位相型SLMの設計)
従来技術で使用されているようなクローバー型ミラーは、オン状態とオフ状態の間の中間状態にすることが可能である。しかし、積分複素振幅が偏向関数として作図された場合、完全に0になることは決してなく、0の周りに複数の円を描くことから、位相角が変化する非ゼロの最低反射率を有することが理解される。中間状態に設定された数個の画素を有する画像を綿密に分析すると、エッジ画素の積分位相角がゼロでない場合、最終的な画像のエッジ位置が、焦点に到るまで安定していないことが明らかである。本発明の好適な実施例では、旋回素子を有する新型の画素を使用している。各素子が旋回すると、片方の端部が光源方向に移動し、もう片方の端部が別の方向を向くことから、ゼロに近い平均的位相が維持される。さらに、このクローバー型設計には、製造中に残留内部応力が発生するという問題がある。この応力は、印加された電場を利用しなくても、部分的な変形を発生させる傾向がある。この内部変形は、製造中の不完全性によることから、すべての画素で全く同様に発生するとは限らない。クローバー型設計では、この画素ごとの相違によって、反射率の一次的偏差が生じる。旋回素子により形成された画素セルによっても同様の結果が得られるが、さらに、二次的な効果が発生する。したがって、投射において均一性が向上する。
【0022】
(画像の高画質化)
旋回設計には第3の利点がある。クローバー型は、完全な吸光には至らないが、旋回型セルは、より簡単に、完全な吸光を実現する幾何学的形状寸法が得られ、あるいは、ゼロを通過して、非ゼロのわずかな反射に戻ることもあり、その場合は逆相になる。吸光が良好に行なわれることによって、重なり合った露光を印刷する自由度が大きくなり、低い負の値を設計することにより、吸光に近いさらに良好な線形性が実現する。暗い領域において約5%の弱い露光で逆相にした印刷では、15〜30%の高いエッジ鮮鋭度が得られ、一定のレンズを使用して、より小型のフィーチャーを印刷することができる。これは、半導体業界で利用されている、いわゆる、減衰移相マスク(attenuating phase−shifting mask)によく似ている。エッジ鮮鋭度を高める関連方法として、フィーチャー内部の画素に低い値を設定し、エッジ付近の画素に高い値を設定する方法がある。これにより、現在のマスクからのパターン投射や、ネルソンおよびクックによる投射機の使用では不可能な新型の画像高画質化が実現する。背景に非ゼロの負の振幅を使用しエッジに沿って露光を強くすることは、エッジ画素を中間値にして微細なアドレス・グリッドを生成することと矛盾しない。これは、それぞれの効果が付加的、あるいは、少なくとも計算可能なことによるものである。また、画素が印刷されるフィーチャーよりも実質的に小さい場合、すべての効果が同時に得られるような画素値の組み合わせがある。これらの画素を検出するためには、微細なアドレス・グリッドを作成するだけでなく、さらに、コンピュータi9.計算が必要になるが、本発明の一部の利用法においては、より小さいフィーチャーの印刷ができれば、多大な努力に見合うだけの高い値が得られる。
【0023】
粘弾性層上の連続したミラーの場合、ゼロに対する平均的位相の固有平衡が存在する。シミュレーションにより、フィーチャー・エッジの微細な位置決めに中間値を当てはめることにより、連続したミラーが形成されることが示されている。非線形性は、マイクロミラーを使用したときよりも小さい。充分に機能する方法がないとすると、最小のフィーチャーは、マイクロミラーを使用したときよりも大きくなくてはならず、例えば、分解された1フィーチャー素子当たりのアドレス指定された画素の数がより多くなくてはならない。その結果、SLM装置は大型となり、一定のパターンに対するデータ量が大きくなる。したがって、第1および第2実施例において、マイクロミラーを選択している。
【0024】
本発明では、投射レンズのひとみに対称的な照射が得られることと、画像が回転に対して応答しないという2つの理由から、回転対称性変形(少なくとも、2培(two−fold)の対称性であり、好適な実施例では、4培(four−fold)の対称性)が施された画素が使用されている。後者の理由は、半導体ウェハにランダムな論理パターンを印刷するのに重要である。x軸−y軸に対して非対称性が存在すれば、x軸に沿って配置された各トランジスタは、y軸に沿って配置されたものと異なった遅延を伴う。そのような回路は誤作動することがあり、または、より遅いクロック速度でしか使用できなくなる。x軸およびy軸間の焦点および対称性による画像の不変性に関するこの2つの要件により、光学系で対称性を生成および維持することが極めて重要になる。対称性は、もともと備えていてもよく、あるいは、相補的非対称性を有する複数の露光を使用するなど、非対称性を意図的に均衡化することによって生成し得る。ただし、複数の露光は、スループットの低下につながることから、初めから対称的なレイアウトを有していることが極めて好ましい。
【0025】
(好適な実施例)
第1の好適な実施例は、2048×512マイクロミラーから成るSLMを使用したフォトマスクの深紫外線パターン・ジェネレータである。光源は、248ナノメートルのパルス出力と、約10nsのパルス長と、500Hzの反復度を有するKrFエキシマ・レーザである。SLMは、90%を上回る光を反射するアルミニウム面を有している。SLMは、ビーム・スクランブリング・イルミネータ(beam−scrambling illuminator)を通じてレーザにより照射され、反射光は、投射レンズ方向に向けられるとともに、さらに、感光面に向けられる。イルミネータからの入射ビームとレンズへの出射ビームは、半透明のビーム・スプリッタ・ミラー(beamsplitter mirror)によって分離される。好ましくは、このミラーは偏光選択型であり、イルミネータは偏光を使用し、その偏光方向は、SLMの正面にある1/4波長板によって切り換えられる。高い開口数(NA)でx軸およびy軸に対して対称性を有するためには、画像は、対称的に偏光されなければならず、ビーム・スプリッタと投射レンズの間にある第2の1/4波長板によって、円形に偏光された画像が生成される。レーザ・パルスのエネルギーによって可能な場合のさらに簡単な構成は、非偏光ビーム・スプリッタを使用することである。ビーム・スプリッタの第2の通過後も、1/4波長板は、なお利点を有しているが、それは、該プレートによって、ビーム・スプリット・コーティング(beam−splitting coating)の設計が影響を受けにくくなるためである。全体の最も簡単な構成は、SLMにおける斜めの入射を利用して、イルミネータからのビームと投射レンズに達するビームが、図1に示されるように、幾何学的に離れるようにしたものである。
【0026】
マイクロミラーの画素は20×20μmであり、投射レンズは200Xの縮小変倍率を有することにより、SLMの画素を画像の0.1μmに対応させる。レンズは、0.8の開口数(NA)を有するモノクロームのDUVレンズであり、ポイント・スプレッド関数が、0.17μmFWHM(半値全幅)となる。良質で書き込み可能な最小ラインは、0.25μmである。
【0027】
加工品、例えば、フォトマスクが、レンズ下の干渉計制御ステージと、フラッシュを生成するレーザへの干渉計論理信号によって移動される。フラッシュが10nsに過ぎないことから、ステージの移動は、露光の間は行なわれず、SLMの画像は、204.8×51.2μmの大きさに印刷される。2ミリ秒後に、ステージは、51.2μmだけ移動し、新たなフラッシュが放射され、SLMの新規画像が、エッジから最初の画像のエッジまで印刷される。露光と露光の間に、データ入力システムは、新規画像をSLMにロードして、より大きいパターンが、つぎ合わされたフラッシュによって形成されるようにする。1列が完全に書き込まれると、ステージは、垂直方向に進み、新規の行が開始する。任意の寸法のパターンも書き込めるが、第1の好適な実施例では、通常、125×125mmのパターンを書き込んでいる。この寸法のパターンを書き込むには、50分に加え、連続した列の間の移動時間がかかることになる。
【0028】
各画素は、25レベル(+ゼロ)に制御できることから、0.1μmの画素を補間して、それぞれ4ナノメートルを成す25増分する。データ変換は、パターンを幾何学的に指定し、オン、オフ、または中間の反射に設定された画素を使用して、データをマップに変換する。データ経路は、1秒当たり2048*512*500語のデータ、実際には、1秒当たり524メガバイトの画素データをSLMに供給しなければならない。好適な実施例では、書き込み可能領域は、最大230×230mmであり、1列に最大230/0.0512=4500フラッシュまで可能であり、この列は、450/500=9秒で書き込まれる。1列に必要な画素データ量は、9×524=4800Mbである。転送されバッファに収められるデータの量を少なくするために、圧縮形式が用いられる。この形式は、1990年のサンドストローム他による発明とよく似ているが、一定の長さと値を有するセグメントの代わりに、画素マップが圧縮される点が異なっている。実現性のある代替例として、画素マップを直接生成し、圧縮および解凍用の市販のハードウェア処理装置を使用して、転送ならびにバッファに収められるデータ量を減少させる方法がある。
【0029】
しかし、マスク全体のデータ量は、たとえ圧縮しても、ディスク上に予め分割されたデータを記憶しておくには、かなり膨大な量となっており、画素データを使用時に生成しなければならない。1アレイの処理装置は、圧縮形式への変換と並行して画像をラスタライズ化するとともに、この圧縮データを、SLMに画素データを供給する拡張回路(expander circuit)に転送する。好適な実施例において、前記処理装置は、画像の異なる部分もラスタライズし、その結果をバッファリングした後に、拡張回路の入力バッファに送信する。
【0030】
(第2の好適な実施例)
第2の好適な実施例において、レーザは、193nmの波長と500Hzパルスの周波数を有するArFエキシマ・レーザである。SLMは、20*20μmの3072×1024画素を有しており、レンズは、0.06μmの投射画素が得られる333Xの縮小変倍率を有している。また、60個の中間値があり、アドレス・グリッドは、1ナノメートルである。ポイント・スプレッド関数は、0.13μmであり、最小ラインは0.2μmである。データ・フローは、1572メガバイト/秒であり、230mm長さの1列のデータは、11.8Gbである。
【0031】
第3の好適な実施例は、画素マトリクスが45度回転し、画素グリッドが84μmであることにより、投射された画素がx軸およびy軸に沿って0.06μmの間隔が開けられる点を除いては、第2の好適な実施例と同じである。レーザは、ArFエキシマ・レーザであり、レンズは、240の縮小変倍率である。マトリクスが回転されていることから、マトリクスの画素密度は、減少し、データ量は、第2の好適な実施例の半分となるが、アドレス・レゾリューション(address resolution)は同じである。
【0032】
(レーザのフラッシュ対フラッシュ変化量)
エキシマ・レーザには2つの不利な特性、つまり、フラッシュ対フラッシュの5%のエネルギー変化量と、フラッシュ対フラッシュの100nsの時間的変動がある。好適な実施例では、いずれも同じ方法によって補償されている。最初の露光は、90%の倍率での全体のパターンにより形成されている。各フラッシュについての実際のフラッシュのエネルギーと時間の状態が記録される。第2の露光は、公称10%の露光によって形成され、アナログ変調により、第1露光の実際の値しだいでは、第2の露光を5〜15%にする。同様に、第2の露光において意図的に時間を相殺することにより、第1の露光の時間的変動を補正できる。第2の露光は、第1の露光で生じた誤差を完全に補償できるが、それ自体が同じ種類の新たな誤差を発生する。露光全体の平均がわずか10%であることから、両者の誤差は、10だけ事実上減少する。実際に、レーザは、100nsよりもはるかに大きい時間的な不確定性を有している。この不確定性は、光のパルスが、トリガ・パルスからの遅延にしたがって発生し、この遅延が、時折、数マイクロ秒分、変化することによるものである。短時間の間に、遅延はより安定することから、継続的に遅延を測定し、適当にフィルタリングした最終遅延値を使用して、次のパルス遅延を予測するとともに、トリガ・パルスの位置付けを行なう。
【0033】
同様に、ステージ誤差が記録され、ステージが第2の露光における補償動作により駆動された場合、ステージの不完全性を補正することも可能である。測定可能な配置誤差があれば、原則として、部分的または完全に上記のように補正することができる。第2の露光中に計算された個所にステージを移動させる高速サーボを備えていることが必要である。従来技術では、SLM自体をストロークが小さく応答時間の短いステージに搭載し、画像の精密な位置付けに使用する方法が周知である。別の同様に有効な方式は、SLMと画像面との間の光学系において圧電制御を備えたミラーを使用する方法があり、両者のいずれを選択するかは、実際の状況を考慮して行なう。さらに、また、露光フィールドのデータに相殺位置を付け加えて、画像を横に移動させることも可能である。
【0034】
第2の露光は、レーザおよびSLM間の減衰フィルタを使用して実行し、公称露光の0〜15%以内で、SLMのダイナミック・レンジを完全に使用できるようにすることが好ましい。25個の中間レベルにより、15%*1/25=0.6%の段階で露光を調整することができる。
【0035】
応答は、製造上の不完全性によって画素ごとに若干異なり、また、経時変化が原因となってこのような違いが生じることもある。その結果、画像が不均質になるという不都合が生じる。画像に求められている条件が極めて高い場合、ルックアップ・メモリーに記憶されている画素の逆応答性による増大によって、全画素を補正する必要がある。また、各画素ごとに、2、3、またはそれ以上の項を有する多項式を使用することがさらに好ましい。これは、SLMを駆動する論理回路に基づくハードウェアで実行可能である。
【0036】
さらに複雑で好適な実施例では、補正をいくつか組み合わせることにより、第2の補正露光を行なう。フラッシュ毎の変化量、フラッシュの時間的変動、さらに、周知の画素間の応答の違いなどもその対象となる。補正が小さい限り、即ち、各補正ごとに数パーセントである限り、ほぼ線形的に追加されていくことから、補正がそのまま加えられ、SLMに適用される。その合計は、該当する画素において、所望の照射線量の値により乗算される。
【0037】
(代替光源)
エキシマ・レーザは、レーザの波長と種類に依存した500〜1000Hzの限定的なパルス繰返し周波数(prf)を有している。そのため、x軸およびy軸の両方において、エッジをステッチングした大型のフィールドを与える。他の2つの好適な実施例では、SLMがprfがはるかに高いパルス・レーザ、例えば、Qスイッチ・アップコンバート固体レーザや、SLMの表面上で走査された連続レーザ源から照射されることにより、SLMのある部分が新規データで書き換えられる一方で、別の部分が印刷される。どちらの場合も、レーザのコヒーレンス特性がエキシマ・レーザとは異なっており、例えば、異なる光路長を有する複数の平行な光路などの、より大規模なビーム・スクランブリングおよびコヒーレンス制御が必要である。本発明の一部の実施例では、フラッシュ・ランプからの光の出力が充分であり、光源として使用可能である。その利点として、低コストであり、コヒーレンス特性が優れていることである。
【0038】
走査により照射を行なう好適な実施例では、2つの問題点が解決される。一つは、時間およびエネルギーにおけるパルス毎の変化量の問題であり、これは、好ましくは音響光学または電気光学などの電気光学スキャナーの使用による完全な制御のもとで走査が行なわれることによるものであり、多くの連続したレーザを使用した方が、パルス・レーザを使用したときよりも電力の変動が少ないためである。さらに、連続型レーザを使用すると、異なる波長の選択が可能であり、連続型レーザは、パルス・レーザに比べて目に対する危険性が少ない。しかし、最も重要な点は、走査が非限界的であり、100kHz以上の反復度で実行可能なことから、わずか数行のマトリクスで、はるかに高いデータ速度に達することが可能な点である。照射ビームの走査は、極めて均一な照射を生成する方法でもあり、他のやり方では困難である。
【0039】
一部の実施例では、光源としてのフラッシュ・ランプを使用することができ、便利な方法である。
【0040】
(EUV)
EUVの光源は、粒子加速装置、磁気プラズマ・ピンチ・マシンからの放射、または、高電力レーザ・パルスによる物質の小滴を極端な温度に加熱することによるものである。いずれの場合も、放射はパルス振動している。EUV放射は、真空のみで伝搬し、反射光学器械でしか焦点を合わせることができない。SLMを使用する代表的なパターン・ジェネレータは、光パワーのさほど高くない要件である、小さい露光フィールドを有している。したがって、光学系の設計は、EUVステッパに比べて緩やかであることから、より多くのミラーを使用でき、ステッパよりも高い開口数(NA)を実現できる。開口数(NA)が高いレンズは、リング形露光フィールドを有することが予想され、SLMの形状をそのようなフィールドに合わせることが充分に可能である。13nmの波長と0.25の開口数(NA)では、わずか25nm幅のラインを露光することが可能であり、さらに、下記の通り、画像の高画質化を利用すれば、20nmを下回ることも可能である。このような解像度と、同時に、SLMの同様の特徴によって可能な書込み速度を実現できる周知の書込み技術も他にはない。
【0041】
(エッジ・オーバラップ)
各フラッシュごとに、2次元フィールドが印刷されるとともに、各フィールドのエッジとエッジをつぎ合わせることから、ステッチングは極めて重要である。わずか数ナノメートルの1フィールドを置き換えることにより、エッジに沿って目に見えるパターン誤差が発生し、マスクによって生成される電子回路の機能に悪影響を及ぼす可能性がある。このような不必要なステッチングの影響を減少させる効果的な方法として、数本の経路に同じパターンを印刷し、このような経路間にあるステッチング境界を置き換える方法があげられる。パターンが4回印刷された場合、ステッチング誤差が4箇所で発生することが予想されるが、その規模にして僅か四分の一にすぎない。本発明の好適な実施例では、フィールド間のオーバラップ・バンドとともに、中間露光を発生する機能が使用される。ラスタライズ化している間、上記の値がコンピュータで計算されるが、圧縮データを解凍している間でもこの計算は実行できる。エッジ・オーバラップにより、ステッチング誤差が減少し、マルチパス印刷に比べてスループットの不利益がはるかに減少する。
【0042】
本発明によれば、つぎ合された少なくとも2つの隣接画像が共通の境界でオーバラップすることにより、オーバラップしている画像がオーバラップ領域において本質的に同じパターンとより低い輝度を有し、目に見えないエッジが生成される。このオーバラップ領域における露光は一定であってもよく、あるいは、ある画像から隣の画像にかけて徐々に変化してもよい。オーバラップ領域の露光もまた、調整可能であってもよい。
【0043】
オーバラップ領域の低めの輝度は、例えば、光路に配置された、透過マスクまたは反射率が領域にかけて変化するミラーによって提供されてもよい。さらに、このマスクは、開領域を有し、かつエッジに沿って段階的に透過性を有することにより、加工品に非鮮明な画像が作成されるように配置されてもよい。マスクは、光源と空間光変調装置の間、または、空間光変調装置と加工品の間に配置されることが好ましい。さらに、このマスクは、透過性か反射性の第2の空間光変調装置であってもよく、アナログ空間光変調装置であることが好ましい。主空間光変調装置は、また、好ましくは、加工品上のパターンのオーバラップすると思われる領域に静的光効率を低くして備え、該領域に弱い露光が生成されてもよい。このことは、光効率を低くしたオーバラップ領域において、空間光変調装置での追加的コーティングによって実現されてもよく、あるいは、空間光変調装置がアナログ変調装置のとき、変調装置のアナログ機能によって実現されてもよい。さらに、弱い露光は、アナログ空間光変調装置に供給されるデータによって制御されることが好ましく、前記減じた露光データは、入力表現から、空間光変調装置に適した画素データへの変換中に、あるいはカスタム論理またはグラフィック処理装置を用いた別のステップで、パターン・データに追加されることが最も好ましい。
【0044】
図7(a)では、従来の書込み、すなわち、オーバラップのない例を示している。異なるシェーディングは、別々に書き込まれたパターン・フィールドを示している。また、図7(b)では、パターンの配置が異なるフィールド間でどのように変化しているかを概略的に誇張して示している。特に、1本の線が、複数のパターン・フィールドにわたって延びており、フィールド間にエッジ誤差が発生している様子が示されている。図7(c)では、同じパターンが示されているが、本発明によるフィールド間のオーバラップが施されている。このオーバラップは、図7(d)の輝度曲線で示されているように段階的である。これにより、エッジ誤差は、連続的な段階に分割され、誤差は滑らかになり、目に見えにくくなる。さらに改善された方法では、このステップが固定した位置に配置されるのではなく、パターンによって配置の仕方が決まる。詳しく述べると、各ステップは、フィーチャー・エッジおよび小型の極めて重要なフィーチャーから離れた位置に配置される。図7(e)および図7(f)では、フィールド間に線形のオーバラップ変化が使用され、誤差が、オーバラップ領域にわたって線形的に分配されている。
【0045】
(修正照射)
第1の好適な実施例において、SLMの照射は、エキシマ・レーザや、フライアイ・レンズなどの光スクランブラーによって行なわれ、イルミネータのひとみ面の円形自発光面からの照射とよく似た照射が生成される。ある特定の投射系による印刷時に解像度を高める場合、修正照射法を利用することができる。最も簡単な例では、イルミネータのひとみ面に、例えば、四重極形または環状の透過領域を有するひとみフィルタを導入する方法がある。さらに複雑な例では、同じフィールドを数回印刷する。露光と露光の間で数個のパラメータ、例えば、画像面の焦点、照射パターン、SLMに印加されるデータ、投射レンズのひとみ面のひとみフィルタなどを変化させることが可能である。特に、照射の同期した変化やひとみフィルタによって、解像度を高めることができ、このことは、ひとみが扇形透過領域を有しているとともに、非回折光が該扇形の先端付近の吸収絞りをさえぎるように照射が一直線に並んでいる場合に、特に顕著である。
【0046】
(応答の線形化)
データからエッジ配置までの伝達関数の線形化を図るうえで、本明細書で行なう基本的に次の3つの方法がある。
−データ変換装置において非線形性を考慮し、データ変換装置に8ビット(例)の画素値を生成し、同じ解像度を有するDACを使用してSLMを駆動する。
−より少ない値(例えば、5ビット、すなわち、最高32個の値)でデジタル値を生成し、ルックアップ・テーブル(LUT)で8ビット値に変換した後に、この8ビット値をDACに供給する。
−5ビット値と半導体スイッチを使用して、1台または数台の高解像度DACにより生成されたDC電圧を選択する。
【0047】
いずれの場合も、実証的校正関数がデータ変換装置のLUTで使用されるか、または、DC電圧で使用される場合に、プレート上の応答が線形化されるような実証的校正関数を測定することが可能である。
【0048】
どの線形化方式を用いるかは、データ速度、精度要件、および、時代とともに変化しうる利用可能な回路技術次第である。現時点では、データ変換装置は行き詰まった状態にあることから、データ変換装置による線形化は、好適な解決法とはいえず、8ビット画素値を生成することも好ましくない。また、高速DACは、高価であり消費電力が高い。最も適正な解決法は、DC電圧を生成し、スイッチを使用することである。それで、8ビットよりもさらに高い解像度の使用が可能である。
【0049】
(好適なパターン・ジェネレータの説明)
図6を参照すると、パターン・ジェネレータは、単数および複数の値を持つ画素アドレス指定方式によるSLM601と、光源602と、照射ビーム・スクランブル装置603と、結像光学系604と、干渉計位置制御系606を備えた微細位置付け基板ステージ605と、SLM用ハードウェアおよびソフトウェア・データ処理システム607とから構成されている。また、さらに、適正な機能を提供し操作を簡易化するために、前記パターン・ジェネレータは、温度制御を備えた周囲環境チャンバ、基板荷重システム、最適なパターン配置精度を実現するためのステージ移動および露光レーザ・トリガーのタイミングをとるためのソフトウェア、およびソフトウェア・ユーザ・インタフェースも具備している。
【0050】
パターン・ジェネレータの照射は、KrFエキシマ・レーザによって行なわれ、エキシマ・レーザの自然線幅に相当する帯域を有し、248ナノメートルの波長でUV領域において10〜20ナノ秒の長さのフラッシュ光を放出する。基板上のパターンの歪みを防止するために、エキシマ・レーザからの光を、SLM面に均一に分配し、光のコヒーレンス長は、基板上にレーザ・スペックルを発生させないのに充分に短くする。ビーム・スクランブラーを使用して、この2つの目的を達成する。ビーム・スクランブラーは、エキシマ・レーザからのビームを異なる光路長を持つ数本のビーム路に分割した後に、空間コヒーレンス長を短くするために各ビーム路をまとめて一つにする。さらに、ビーム・スクランブラーは、1組のフライアイ・レンズを有するレンズ系から成るビーム・ホモジナイザーを有し、このビーム・ホモジナイザーは、エキシマ・レーザからのレーザ・ビームの各ポイントからの光を、SLM面全体に均一に分配し、「最上層」に光の分布を行なう。
【0051】
SLMからの光は、中継され基板ステージ上の基板に結像される。これは、クックにより記載されているシュリーレン光学系を用いて行なわれる。焦点幅f1のレンズl1が、SLMから距離f1の位置に配置される。焦点長さf2のもう一つのレンズl2は、SLMから距離2×f1+f2の位置に配置される。次に、基板が、SLMから距離2×f1+2×f2の位置に配置される。SLMから距離2×f1の位置には、寸法によって系の開口数(NA)、したがって、基板上に書き込める最小パターン・フィーチャーの寸法が決まる開口608がある。また、光学系や基板の平面度の不完全性を補正するために、レンズl2をz方向に動的に位置付けする焦点システムもあり、50マイクロメートルの位置スパンにより、最適な焦点特性が得られる。さらに、このレンズ系は、照射光の波長が248ナノメートルになるように波長補正されており、照射光の帯域幅許容誤差が少なくとも±1ナノメートルである。レンズl1の真上に位置付けられたビーム・スプリッター609により、照射光が結像光学系に反射する。縮小率250および開口数(NA)0.62の場合、寸法を0.2マイクロメートルまで縮小したパターン・フィーチャーを露光して高品質なパターンを得ることができる。各SLM画素から32グレー・レベルで、最小グリッド寸法が2ナノメートルになる。
【0052】
パターン・ジェネレータは、干渉計位置制御システムを備えた微細位置付け基板ステージを有しており、最小熱膨張用にZerodurで作製された可動エアベアリングxyテーブル605から成る。干渉計位置フィードバック測定系606を備えたサーボ系は、各方向のステージ位置付けを制御する。1方向のy軸において、サーボ系は、ステージを固定位置に維持し、もう片方の方向x軸において、ステージは、連続的な速度で移動する。干渉計位置測定系は、x軸方向に使用されることにより、露光レーザ・フラッシュをトリガーし、基板上のSLMの各画像間の位置を均一にする。SLM画像の1行全体が基板上で露光されると、ステージは、x軸方向の元の位置に戻り、y軸方向にSLM画像の1増分だけ移動して、基板上のもう1行のSLM画像を露光する。この手順は、基板全体が露光されるまで繰返し行なわれる。
【0053】
SLM画像は、x軸およびy軸の両方向に多数の画素とオーバラップしており、露光データ・パターンは、オーバラップしている画素で局部的に修正され、このようなオーバラップ領域となる多くの増大した露光を補償している。
【0054】
エキシマ・レーザからのパルス毎の強度の変化量は、パターンの2パス露光の使用により補償され、ここでは、第1パスが正しい強度である公称90%の強度によって実行される。第1パスでは、各レーザ・フラッシュの実際の強度が測定ならびに記憶される。第2パスでは、第1パスからの測定済み強度の値に基づいて、各SLM画像露光用の正しい強度が用いられる。このように、エキシマ・レーザからのパルス毎の強度の変化量による影響を1桁ほど抑制することができる。
【0055】
SLMの機能性については、本明細書の別の箇所でさらに詳しく述べる。SLMは、画素寸法が16マイクロメートルの画素を2048×256個有しており、1ミリ秒以内に全画素を処理することが可能である。SLMは、精巧なステージに堅固に取付けられている。この精巧なステージは、フラッシュ露光とフラッシュ露光の間において100ナノメートルよりも高い精度で、x軸およびy軸の方向に、100ミクロン移動可能である。SLMの微細な位置付けを用いて、基板位置付けステージの位置の不正確さを補正し、パターン・ステッチング誤差をさらに少なくする。x−y方向の位置付けに加え、基板ステージの座標系で指定されたもの以外の角度で基板上のパターンを露光するために、SLMステージを回転させることも可能である。このような回転を行なう目的は、補足的フィーチャーを追加する場合、既存のパターンを有する基板に対して、基板の整合可能性を組み込むのを可能にすることである。オフライン光学チャネルおよびCCDカメラを使用して、搭載後に、ステージ上の基板の正確な位置を測定し、基板上にある多数の整合マークの系での座標を決定することができる。露光中は、整合マークの測定位置に基づいて、x軸およびy軸の方向に、ステージ位置が修正される。回転座標系に追従するステージ・サーボ系を使用するとともに、前記の通りSLMの精巧なステージを回転させて、回転的な整合が行なえる。
【0056】
パターン・ラスタライザー610において、任意の形式を有する任意のデータ・パターンが、1画素につき32(5ビット)グレー・レベルの圧縮ラスタライズ済み画素マップに変換される。画素電極に印加される電圧に応答して、露光された画素のグレースケールの段階が線形的ではないことから、32のグレー・レベルがそれぞれ連続したレベルの照射線量の均一な増加分に対応するように、入力データが画素リニアライザー611で線形化される。この動作は、8ビットのデジタル・アナログ変換器(DAC)612を使用して行なわれ、予め実証的に校正された線形化関数にしたがって、画素マップからの各グレー・レベルによって、DACからの電圧を選択する。DACからのアナログ・レベルの選択において、各値がSLM画素に対応し、そのような各値が、対応する画素の変則性を補正するルックアップ・テーブルを使用して、追加的な補正が行なわれる。ルックアップ・テーブルの校正値は、実証的校正手順によって作成され、この手順では、一連のテスト・パターンがSLMに送信され、得られた露光パターンを測定し、測定されたパターンが個々の画素補正に使用される。以上は、画素マップの各グレー・レベルによってアナログ電圧が選択され、対応する全SLM画素に対して画素の変形を施すことにより、正しい照射線量を供給することを意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置付けステージ上の加工品にパターンを作成する装置であって、該装置が、
超紫外線から赤外線までの波長範囲にあるエネルギー量を有する電磁波を放射する源と、
前記電磁波によって照射される多数の位相変調素子を有する位相変調アナログ空間光変調装置と、
前記加工品に前記位相変調アナログ空間光変調装置の画像を作成する投射系であって、ひとみを有する投射レンズを含む投射系と、
書き込まれるべきパターンのデジタル表現を受け取り、デジタル・パターン表現から連続する部分的パターンを抽出し、前記部分的パターンを変調装置信号に変換し、前記変調装置信号を前記アナログ空間光変調装置に供給する電子データ伝送系と、
前記加工品及び/又は前記投射系を相互に移動させる高精度機械系と、
前記加工品の動作、及び前記アナログ空間光変調装置への信号の供給を調整し、前記連続した部分的パターンにより作成された部分的画像をつぎ合わせてパターンにする電子制御系と
を有し、
前記位相変調素子がオン状態のとき、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅は、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を加えることにより、前記投射レンズのひとみの中心に到達する光が最大になり、
前記位相変調素子がオフ状態のとき、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅は、弱め合う干渉により、前記投射レンズのひとみの中心に到達する光が最小になり、
つぎ合わされた少なくとも2つの隣接する部分的画像が共通の境界でオーバラップし、前記オーバラップしている部分的画像の各々が、オーバラップ領域において本質的に同じパターン、及び減少された露光線量を有し、
前記オーバラップ領域の減少された露光線量が、前記オン状態とオフ状態との間の中間変調状態に設定する前記位相変調素子の能力を使って、前記位相変調アナログ空間光変調装置のアナログ機能により作られ、
中間変調状態に設定された前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅が、前記オーバラップ領域の減少された露光線量をつくることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記オーバラップ領域の境界が、エッジと極めて重要なフィーチャーを避けて配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位相変調アナログ空間光変調装置が、前記加工品上の前記パターンにおいてオーバラップする領域で低い静的光効率を有し、それにより前記領域に減少された露光が生成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記作られた減少された露光が、前記位相変調アナログ空間光変調装置に供給される前記データにより制御され、前記入力表現から前記位相変調アナログ空間光変調装置に適した画素データへの変換中に、前記減少された露光のデータが、前記パターン・データに追加されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記作られた減少された露光が、前記位相変調アナログ空間光変調装置に供給される前記データによって制御され、前記減少された露光のデータが、特殊ハードウェア装置によって、前記パターン・データに追加されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
加工品にパターンを作成する方法であって、該方法は、
書き込まれるべきパターンのデジタル表現を受け取る段階と、
連続する部分的パターンをデジタル・パターン表現から抽出する段階と、
前記パターンを変調装置信号に変換する段階と、
前記変調装置信号を位相変調アナログ空間光変調装置に供給する段階と、
超紫外線から赤外線までの波長の光を放射する段階と、
多数の位相変調素子を有する前記位相変調アナログ空間光変調装置によって、前記放射された光を変調する段階と、
前記連続した部分的パターンにより作成された部分的画像をつぎ合わせてパターンにするように、前記加工品の動作及び前記位相変調アナログ空間光変調装置への信号の供給を調整することにより、前記加工品に画像を投影する段階と
を含み、
前記位相変調素子がオン状態のとき、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅は、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を加えることにより、投射系の投射レンズのひとみの中心に到達する光が最大になり、
前記位相変調素子がオフ状態のとき、前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅は、弱め合う干渉により、前記投射系の前記投射レンズのひとみの中心に到達する光が最小になり、
つぎ合わされた少なくとも2つの隣接する部分的画像が共通の境界でオーバラップし、前記オーバラップしている部分的画像の各々が、オーバラップ領域において本質的に同じパターンと、減少された露光線量を有し、
前記減少された露光線量が、前記位相変調素子を前記オン状態とオフ状態との間の中間変調状態に設定することによって、前記位相変調アナログ空間光変調装置のアナログ機能により作られ、
中間変調状態に設定された前記位相変調素子の微小領域素子から反射された光の複素振幅を一体化した光の複素振幅により、前記オーバラップ領域の減少された露光線量をつくることを特徴とする、加工品にパターンを作成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−16404(P2010−16404A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235543(P2009−235543)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願2000−534916(P2000−534916)の分割
【原出願日】平成11年3月2日(1999.3.2)
【出願人】(504095793)マイクロニック レーザー システムズ アクチボラゲット (50)
【Fターム(参考)】