デバイスのパターニング
【課題】有機スイッチングデバイスまたは部分有機スイッチングデバイスを形成する方法である。
【解決手段】前記方法は、少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の第1の層を改変する、方法である。
【解決手段】前記方法は、少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の第1の層を改変する、方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子デバイスなどのデバイスと、そのようなデバイスの形成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体共役高分子薄膜トランジスタ(TFT)について、プラスチック基板上に集積される低コストな論理回路への適用(C.Drury,ら、APL73、108(1998))と、高解像度アクティブ・マトリクスディスプレイにおける光電子集積デバイスおよびピクセルトランジスタスイッチへの適用(H.Sirringhaus,ら、Science 280,1741(1998),A.DodabalapurらAppl.Phys.Lett.73,142(1998))とが注目されている。ポリマー半導体、無機金属電極およびゲート誘電層を用いた試験デバイスの構成において、TFTの高性能が確認されている。電荷キャリア移動度は0.1cm2/Vsまで、ON−OFF電流比は106〜108まで到達した。これらの値は、アモルファスシリコンTFTの性能に匹敵する(H.Sirringhausら、Advances in Solid State Physics 39、101(1999))。
【0003】
ポリマー半導体の利点の一つとして、溶液処理が簡単で低コストである点がある。しかしながら、全てのポリマーTFTデバイスおよび集積回路の製造には、ポリマー導体、半導体および絶縁体を横方向にパターニングをする能力が必要となる。様々なパターニング技術、例えば、フォトリソグラフィ(WO99/10939A2)、スクリーン印刷(Z.Bao,ら、Chem.Mat.9,1299(1997))、ソフトリソグラフィックスタンピング(J.A.Rogers,Appl,Phys.Lett.75,1010(1999))、およびマイクロモールディング(J.A.Rogers,Appl.Phys.Lett.72,2716(1998))、ダイレクトインクジェット印刷(H.Sirringhausら、UK0009911.9)などが確認されている。
【0004】
多くの直接印刷技術の場合、TFTのソース電極およびドレイン電極を規定するのに必要なパターニングの解像度は未だ得られていない。適切な駆動電流およびスイッチング速度を得るためには、10μm未満のチャンネル長さが必要となる。インクジェット印刷の場合、ノズル部における噴出条件の変化によって液滴の飛来方向が突発的に変化したり、制御できない基板上への液滴の拡がりが起こるため、達成可能な精度は20〜50μmに限定される。
【0005】
このような解像度に対する制約は、表面自由エネルギーが異なる領域を含む事前パターンニング済み基板に印刷を行うことによって対応されている(H.Sirringhausら、UK 0009915.0)。水性のインク液滴からなる導電性ポリマーを、撥水性かつ疎水性の表面構造をした狭領域を含む基板上に印刷すると、ソース電極およびドレイン電極間に突発的ショートを引き起こすことなく、液滴の拡がりは限定され、チャンネル長さがわずか5μmであるトランジスタのチャネルを規定することができる。疎水性バリアの規定方法は複数あり、例えば、疎水性ポリマーのフォトリソグラフィまたは自己組織化単層のソフトリソグラフィックスタンピングなどがある。
【0006】
本発明の実施形態は、トランジスタデバイスを規定する電気活性ポリマーパターンを直接レーザ描画技術を用いてマイクロメータの解像度で印刷することのできる方法に関する。本方法は、レーザビームアレイを基板上に集束させて走査することを基本とする。この集束された光点により、電気活性ポリマー層あるいは表面改変テンプレート層の特性を局所的に変化させる。本明細書中、そのような局所的変化を用いて電気活性ポリマーの高解像度パターンを作成することのできるいくつかの方法を示す。本発明の好適な実施形態において、レーザ光は赤外線波長を有し、局所的加熱効果を誘発する。あるいは、前記光は、光子が吸収されると化学構造の局所的変化または分子の局所的活性化を誘発する可視波長または紫外線波長であってもよい。エッジを鮮鋭に規定すること、あるいは光によるパターニング対象膜の劣化が小さいことが要求される場合には、赤外光が特に有用である。一方、光の波長のオーダーである回折限界に近づくほどの高い空間的解像度が必要な場合には、可視光または紫外線光が有用である。
【0007】
グラフィックアート産業では、オフセット印刷用の印刷版を作成する際、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)描画技術を用いている。印刷版はアルミニウムまたはポリエステル製であり、適切な感光性層でコーティングされる。このような印刷版は、インクをはじく親水性の無画像表面領域と、インクとなじむ親油性の画像領域とで構成する必要がある。プレス時には、前記親水性領域は、水性のインキ壺溶液で湿らされる。典型的な製版用の刷版出力装置の場合、刷版のコーティング層は、レーザスポットアレイを用いて露光される。従来のCTPシステムでは紫外線および可視光が用いられたが、近年では、画像解像度が高くかつ日中光または室内光での露光に対する感度が低い点から、赤外線レーザスポットアレイ(通常の波長は830nmまたは1046nm)を用いた熱写真法がより一般的となっている。画像パターンを前記感光性コーティング層へ転写する際、いくつかの技術が用いられている。ほとんどの可視光および紫外線を用いたシステムは、従来のAgハロゲン化物による現像に基づいている。熱写真法は、フォトポリマーの化学構造を熱によって改変し、その後アルカリ性溶液槽中で画像を現像する工程に基づいている。その一例として、Kodak Polychrome Graphics社による熱印刷版/830がある。熱刷版の感度は典型的には100〜150mJ/cm2オーダーである。これを露光中の基板温度に換算すると650℃を超えた温度となる。プロセスレス刷版は、例えば、親油性銀層などの薄肉コーティング層の溶発/気化に基づいている。プロセスレス刷版の場合、後続の化学的現像は不要であるが、高温の露光温度が必要となることが多い。その一例として、Agfa社によるミストラルプレートがある。
【0008】
典型的な直接レーザ描画のための刷版出力装置は、個別制御されたレーザダイオード5、5’、5’’の線状アレイからなり、当該アレイは光ファイバ25に結合され、テレセントリックレンズシステム4を用いた印刷版表面に集束される(図10(a))。あるいは、円筒形レンズアセンブリ4および空間光変調器24、例えば、デジタルミラーデバイスアレイまたは液晶アレイ、に結合された非集束レーザ光源5を用いてもよい。偏光板と結合された二次元空間光変調器を用いて、印刷速度を高めてもよい(US6208369)。直接レーザ描画法は、紙印刷用の印刷版を作成する際に広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記記載から、電気活性トランジスタ回路の製造に熱印刷技術を直接適用するのは不可能であることは明らかである。熱写真装置において用いられる露光温度は、ポリマートランジスタ回路の製造とは両立しない。ほとんどのポリマー材料は、250〜300℃を超える温度で加熱されると、著しい劣化を示す。さらに、電気活性回路の場合、回路の一部はパターニング対象層によって形成され、光ビームの集束先となる基板は、基板上に堆積された複数の電気活性ポリマー材料層を既に含んでいる場合がある。それとは対照的に、印刷版は最終基板上に転写されるインク/トナーにとって中間キャリアとなり、前記印刷版上にパターニングされる犠牲層そのものは、最終画像の一部とはならない。後述するように、これらの重要な相違点は、活性電子回路の作製を印刷版の作製よりもずっと困難なものとするような、温度、安定性および厚さに関する厳しい要求を科すこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明およびその好適な局面は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態は、電気活性ポリマー膜3のダイレクトパターニングのための低温レーザ描画法に関する。電気活性ポリマー膜3は、溶液から基板1上の薄肉連続膜としてコーティングされている。溶液から薄膜を堆積させるための適切な堆積技術を挙げると、スピンコーティング、ブレードコーティング、押し出しコーティングまたは他の形態の印刷(例えば、スクリーン印刷)がある。波長λの強力なレーザビームをサンプル上に集束させて、前記電気活性ポリマーの溶解度特性に局所的変化を引き起こす。好適には、前記溶解度変化は、前記ポリマーの局所的加熱によって引き起こされる。好適には、前記光ビームは、前記電気活性ポリマーの損傷が最小となるような赤外線波長を有する。照射を受けることにより、未照射形態のポリマーが溶解可能な特定溶媒にポリマーが溶けなくなる場合、ポリマー膜を局所的に照射に曝し、上記溶媒の槽中で洗浄することにより、パターンを生成することが可能である。膜が露光を受けた領域のみにおいて、基板上にポリマー材料が残留する。パターンは、レーザビームをサンプル上に走査することにより、描くことが可能である。
【0012】
レーザ光を効率的に吸収するために、光吸収層(2)を前記電気活性ポリマーと直接に接触するように堆積させてもよい(図1)。光吸収層は好適には、使用されるレーザ波長に対して強力な吸収断面積を有する。光吸収層は好適には、溶液から堆積されかつ電気活性ポリマーの堆積原料である溶媒に対して不溶性である。光吸収層の堆積は、電気活性ポリマーの前後どちらでもよい。光吸収層は、結合剤ポリマーマトリクス中に混合された色素分子からなるものであってもよいし、あるいは、単に金属膜からなるものであってもよい。色素分子は、色素/ポリマー混合物からの溶液堆積により、電気活性ポリマーに直接混合してもよい。あるいは、レーザ波長については、光が電気活性ポリマー中に吸収されることにより光吸収剤の追加が不要となるような波長を選択するとよい(図2)。赤外線活性分子内振動およびそのような振動の倍音のため、近赤外線スペクトル域および中赤外線スペクトル域において強力な吸収を示すポリマーは多数存在する。
【0013】
電気活性ポリマーの中には、熱起因変態を起こして、様々な溶媒に対する溶解度が著しく変化するものがある。そのような熱起因変態を示す重要な共役高分子としては、導電性ポリマーポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)プロトン化ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)がある。Bayer Chemical Corporationによって開発された合成経路(L.B.Groenendaalら、Adv.Mat.12,487(2000))は、エチレンジオキシチオフェンモノマーを高分子対イオンPSS含有水溶液中で重合させる。その結果得られたポリマー溶液は数ヶ月にわたって安定するため、PEDOT/PSS薄膜をスピンコーティングなどの技術によって容易に堆積させることが可能である。しかし、150〜250℃の温度でのアニールおよび水PEDOT/PSS膜の乾燥後は、当該膜は水溶性ではなくなる。集束レーザ照射による局所的加熱を用い、その後、溶媒槽(例えば、水、イソプロパノール、アセトンの槽)中でPEDGT/PSSパターンを現像することができる。そのようなPEDOT/PSSパターンは、ポリマーTFTデバイス用の電極として用いることが可能である。膜導電性の向上を著しくかつ望ましい形でもたらす前記の熱起因性溶解度変化がPEDOT/PSS中に発生する仕組みについては、現時点では完全には解明されていない。この熱起因性溶解度変化は、PEDOTとPSSとの間の熱起因性相分離によって密接に接触している正荷電PEDOT領域および負荷電PSS領域間において強力なイオン相互作用が発生することに関連している可能性がある。PEDOT/PSSの場合、近赤外線および中赤外線中における強力なポーラロン吸収特性のため、赤外光を直接PEDOTに吸収することができる(L.B.Groenendaalら、Adv.Mat.12,487(2000))。
【0014】
他にもいくつかの共役高分子があり、例えば、半導体ポリフルオレンポリマーも、固体状態のポリマー配座の熱起因性変化による溶解度変化を示す。加熱により、ポリマー配座を、溶液コーティング後の高エントロピーの不規則状態から、より規則性のある、あるいは結晶性の配座を有する低エントロピー状態へと、局所的に変化させることができる。これは、液晶状態を示すポリマーにおいても見受けられる。このような、より規則性のある状態においては、ほとんどの溶媒の溶解度は低下し、現像用溶媒を注意深く選択することにより、ポリマーがアモルファス状態となっている領域中のポリマーを洗浄除去することにより、パターンを現像することができる。
【0015】
このパターニング技術に適した他の等級のポリマーとしては、例えば、高温時の可溶化離脱基の解放により、ポリマー主鎖の化学構造の熱起因性変化を生じる前駆体ポリマーがある。例えば、ポリフェニレンビニレンまたはポリチエニレンビニレン前駆体である。例えば、D.Marsitzkyら、”Advances in Synthetic Metals”,ed.P.Bernier,S.Lefrant,G.Bidan,Elsevier(Amsterdam)p.1−97(1999)を参照のこと。典型的な変換温度は、200〜300℃のオーダーである。
【0016】
あるいは、架橋反応を用いてもよい。その場合、ポリマーは、局所的加熱が加えられると膜を不溶性ネットワークに変態させる架橋剤と混合される。適切な架橋剤の一例として、ヘキサメソキシメチルメラミンがある。局所的加熱の代わりに、紫外線ビームを用いて架橋を起こしてもよい。
【0017】
電気活性ポリマーを光露光の間の劣化から保護するためには、温度を注意深く最低限にし、長波長の光を用いることが重要である。ほとんどの共役高分子は、300℃を越える温度で加熱されると劣化し、光誘起酸化を起こしやすい。特に、可視光および紫外線光に露光された場合にそうである。このような劣化は、赤外光の使用、並びにレーザ強度および露光時間を注意深く最小限にすることにより、回避可能である。さらに、露光は、窒素ガス雰囲気のような不活性雰囲気下で行ってもよい。
【0018】
レーザスポットによるサンプル走査は、高精度のxy平行移動台の上にサンプルを載置することにより行われる。あるいは、回転可能な電動鏡を用いて光ビームを走査してもよい。光吸収の発生対象となる層に対してレーザスポット焦点を調節するために、別にz方向の平行移動自由度が必要となる。レーザビームは、適切な光シャッタによりオンオフ切り替えしてもよい。このようにして、基板上にポリマーパターンを直接に描くことが可能となる。前記の機械的台をコンピュータ制御する場合には、適切なソフトウェアパッケージを用いてパターンを設計して、ポリマー膜に直接転写することが可能となり、マスクまたは印刷版を別に製作する必要が無くなる。
【0019】
WO99/10939 A2には、フォトマスクを通じた紫外線光(UV)への露光により導電性ポリマー膜をパターニングする技術が開示されている。前記フォトマスクは、UV光をブロックする金属化領域のパターンを含んでいる。前記ポリマーは、架橋剤と混合される。膜がUV光に露出される領域においては、架橋反応が発生し、その結果前記ポリマー膜は不溶性となり、そのため、未露光領域中のポリマーはその後洗浄除去することができる。この技術は、本明細書中にて提案されている技術といくつかの点において異なる。先ず、この技術の場合、TFT回路のレイアウト毎だけでなく、TFT回路の層毎に、フォトマスクが別個に必要となる。本明細書中にて提案されている直接描き込み技術では、異なる集束レーザスポットのオンオフ切り替え、およびレーザビーム下のサンプルの走査移動により、パターンを規定する。本明細書中にて開示する技術の場合、マスクプレートの作製は不要であり、サンプルとマスクプレートとの物理的接触も不要であるという利点がある。そのため、本発明者らの技術では、粒子汚染および摩耗が少なくなる。さらに、WO99/10939 A2に開示の方法は、UV光起因性架橋反応に依存している。本明細書中にて開示の方法の好適な実施形態において、溶解度変化は、低エネルギー赤外光による熱照射/局所的加熱に起因する。UV露光により、光酸化などのプロセスを通じて多くの電気活性ポリマーが劣化するのに対し、多くの共役高分子は、150〜300℃までの温度において良好な熱安定性を有する。
【0020】
端部が良好に規定されたパターンを達成するためには、レーザスポットの横方向強度プロファイルをできるだけ狭くする必要がある。レンズ集束から、顕著な非線形強度依存性を示す屈折率を有する材料へのビーム通過などの、より高度な技術までの、様々なレーザビーム集束技術を用いてもよい。光波長によって決まる理論的回折限界に近い直径dを有するレーザスポットを実現することが可能である。また、ビーム強度をできるだけ小さい距離s、すなわちs<<dである距離sにわたって最大からゼロまで落とすことも重要である。グラフィックアート業界において用いられている最先端の熱レーザ直接描画の場合、5〜10μmのスポットサイズを達成している。典型的なガウスビームよりも急峻でありかつ1μm以下のオーダーの長さスケールにわたって最大強度からゼロ強度まで減衰する強度プロファイルを達成することが可能である。その例を挙げると、Creoscitex corporation(www.Creoscitex.com)によるSquarespot(商標)plate− and trendsetter systemsまたはAgfa(www.Agfa.com)によるGalileo platesetter seriesがある。
【0021】
本発明の別の局面は、UVレーザアレイによってパターニングされた表面改変層に関連する。基板を紫外線に対して敏感な表面改変層でコーティングし、集束UVレーザアレイにより描画する。この基板を適切な現像剤中に浸漬すると、パターンが現れる。
【0022】
前記改変層は、紫外線露光が可能なポリイミド層(例えば、LCDディスプレイ製造においてUVフォトリソグラフィと共に用いられるもの。紫外線露光が可能なポリイミドの一例として、Nissan RN−901がある。)であればよい。このようなUVポリイミドは、良好に特徴付けられ、最適露光は公知であり、また、一般的な耐UV現像剤(例えば、Shipley MF319)中での現像が可能である。
【0023】
表面改変層の描画に適したUVレーザアレイとしては、MITにおいてH.I.Smithらによって設計されたゾーンプレートアレイリソグラフィツール(ZPAL)がある(“Lithographic Patterning and Confocal Imaging with Zone Plates,” Dario Gil,Rajesh Menon,D.J.D. CarterおよびH.I.Smithを参照。Journal of Vacuum Sciences and Technology B,Nov/Dec,2000中にて公開予定。)。
【0024】
ZPALのようなシステムにより、大きなエリア(−1mm)上のレーザスポットアレイを用いてレーザアレイヘッドを一回通過させることにより、表面パターニングをおよそ350nmの精度で行うことが確認されている(“Maskless parallel with zone−plate−array lithography,”D.J.D.Carter,Dario Gil,Rajesh Menon,Mark K.Mondol.H.I.SmithおよびE.H.Andersonを参照。Journal of Vacuum Sciences and Technology B 17(6),Nov/Dec,1999に掲載)。
【0025】
本発明の第2の実施形態は、表面自由エネルギーパターンを生成する方法に関する。この方法においては、レーザ描画法を用いて、ダイレクト電気活性インクの堆積をその後のコーティング工程または印刷工程において方向付けることができる(図3)。先ず、連続的な表面改変層8を基板上に堆積させる。層を選択する際には、下地基板の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有するものを選択する。例えば、基板は、ガラス基板のように親水性であってもよく、表面改変層は、ポリイミドのように疎水性ポリマーであってもよい。光吸収剤を堆積させてもよい。その後、上記と同様に局所的加熱を用いて前記層を改変する。本発明の可能な実施形態としては、前駆体ポリイミド層をガラス基板上に載置した後、200〜350℃の温度での局所的アニールを施すことにより、その不溶性形態に変換させる。その後、前駆体の形態にとって良好な溶媒、例えば、シクロペンタノン中にて膜を洗浄することにより、パターン現像が可能となる。このようにして、広範囲のポリイミドのパターニングが可能となり、MerckによるZLI−2650のように従来のエッチングによって通常パターニングされているポリイミド、または、HD MicrosystemsによるPyralin P12720のように光描画可能なポリイミドのパターニングが可能となる。同様に、前駆体ポリフェニレンビニレンのような前駆体共役高分子の層を用いても良い。前駆体ポリイミドおよびPPVのどちらにもある特に魅力的な特徴としては、トランジスタの活性半導体ポリマー用のアライメント層としても用いることが可能な点がある(下記の議論を参照されたい)。
【0026】
前記表面改変層をパターニングすることにより、親水性表面領域および疎水性表面領域の表面自由エネルギーパターンが生成される。その後、そのような表面エネルギーがパターニングされた基板を電気活性ポリマー溶液中に浸漬すると、例えば、電気活性ポリマーからなる極性(あるいは無極性)溶媒堆積物のみが、親水性(あるいは疎水性)表面領域中に発生する。あるいは、表面自由エネルギーパターンを用いて、UK0009915.0に記載のインクジェット印刷のような直接印刷による電気活性ポリマー堆積物のインク液滴の位置および流れを方向付けてもよい。このようにして、レーザスポット精度を、液滴飛来方向の偶発的変化および基板上の湿潤条件の変動による制約を受けるインクジェットプリンタの解像度よりもずっと高くすることができるため、高解像度印刷が達成可能となる。表面自由エネルギーパターニングによって作製された導電性電気活性ポリマーの高解像度の印刷パターンは、印刷された薄膜トランジスタ回路の電極および接続配線として用いることができる(H.Sirringhausら、Science 290,2123(2000))。図4は、半導体ポリマー11および誘電ポリマー12の層の堆積およびソース−ドレインチャンネルとオーバーラップした導電性ポリマーゲート電極13の印刷後に完成したポリマー薄膜トランジスタを示す。図4に示すようなTFT層構造を構築する際は、下地層の溶解および膨張を避けるために溶媒を注意深く選択しなければならない。極性溶媒および非極性溶媒を交互に用いることで、異なるポリマー・ポリマー間の界面を含むTFTの適切な一体的構造が達成可能であることが分かった(H.Sirringhausら、UK0009911.9)。
【0027】
表面改変層はTFTの導電性電極および半導体層に直接接触しているため、表面改変層がデバイスへの電荷注入への妨げとなっていないか、また半導体層を汚染していないかという点について確認するよう注意が必要となる。前記表面改変層の厚さはできるだけ薄く、すなわち、100〜500Åのオーダーにすべきである。このようにして、本発明者らは、薄肉半導体層および/または上部にコーティングされた他の層の等角コーティングと、寄生の少ないソース−ドレイン接触抵抗とを保証する。本発明の好適な実施形態において、表面改変層はエレクトロニクス用誘電ポリマー、例えば、ポリイミドであり、このポリマーは、低分子量の移動性の不純物留分を含まず、その後のデバイス層の溶液堆積に用いられる溶媒に対して非溶性である。
【0028】
上述したような表面エネルギーパターンのパターニングは、以下のようにして達成可能である。〜830nmまでの吸収色素(SDA8703)を含有するポリイミド(P12610)溶液を、溶媒N−メチルピロリドン中で作製する。前記溶液中の個体内容物のうちおよそ10%は色素であり、90%はポリイミドであった。この溶液を用いてガラス基板をスピンコーティングし、全て約〜100nmである様々な膜厚さ(ソフトベーキング後)を達成した。ソフトベーキング工程は、80℃のホットプレートの上で10分間のベーキングからなる。
【0029】
描画は、レーザのパワーおよび(レーザを集束させ、かつ、させないための)高さの範囲において行われた。このポリイミドについて従来推奨されてきた硬化温度は300℃で30分であるため、その目的は、高度に集束されたレーザが基板を走査する際、ポリイミドが短時間で(しかも非常に局所的に)この温度を上回るようにすることである。
【0030】
レーザビームを薄膜上に集束させるための正しい高さを確認したところで、線量トライアルを行って、線幅の変動を確認した。全てのトライアル対象線量(レーザパワーの総量としては5W〜12W(380〜910mJ/cm2)に相当する、について、描画が達成された。各線量について最狭線は約8μmを決して越えず、中には2μmと狭い線量もあった。このプロセスは、ある程度自己制限的である可能性がある。その理由は、ポリイミドは硬化するのに数百℃まで加熱する必要があり、このような温度においては、エネルギー吸収色素は漂白されるからである。色素が漂白されてしまうと、ポリイミド中にはエネルギーは溜まらない(かまたはごく少量しかたまらず)、硬化プロセスは停止する。
【0031】
描画の直後、パターンをポリイミド中で(現像無しに)見ることができる。その理由は、膜の硬化エリアが薄くなっており、かつ色の変化が少ないからである(後者の理由は、色素が漂白され、描画プロセス中に膜が空気に晒されるからである)。前記パターンの現像は、樹脂作製に用いられる溶媒(N−メチルピロリドン)中に描画後のサンプルを浸漬することにより行われる。前記現像プロセスは、前記P12610ポリイミドの場合、室温で約20分を要する(低分子量ポリイミドの場合、これより短時間で済むことが多い)。前記現像プロセスも自己制限的となる可能性がある(24時間現像されたサンプルは、30分間現像したものと明白な相違が無かった)。その理由は、膜の完全に硬化した部分は溶媒に決して溶けないからである。しかし、部分的に硬化した膜は、最終的には基板から完全に溶けだして、この現像により、あるサンプルに関しては、サンプルの大部分が完全に除去された。その場合、現像時間について時間的制約を厳しくしなければならないが、通常は、完全硬化膜についていえば、このような事態は回避可能である。
【0032】
前記描画パターンは、幅5μmで10μmピッチを意図した水平線および垂直線を含んでいた。描画の間、これらの垂直線は台の移動方向に対して平行であり、これらの水平線はこれに対して垂直であった(これにより、一回の通過で単一垂直線を描画できるのに対し、水平線が1本の場合、その長さに応じて多数回の通過が必要となる)。前記水平線幅および垂直線幅の明らかな差は、全てのサンプルにおいて明らかである;というのも、垂直線は常に水平線より1/3にまで狭いからである(図16、17および18を参照)。
【0033】
集束トライアルでは明白な傾向は見られなかったものの、線幅がレーザ高さの関数となっていることから、レーザは30(分離、任意単位)において集束したことが分かる。しかし、低線量(450mJ/cm2)および高線量(908mJ/cm2)において、幅4μm以下の垂直線が見られた。これらの水平線は、色素が露光後にポリイミドから集まることを、更なる証拠を示すものである。このような現象は、図17および図18を比較すると分かるように、垂直方向に描画された線にはあまり見られなかった。
【0034】
測定された線のうち最狭のものは、線量380mJ/cm2で達成され、20分間現像された。これらの線を図19に示す。これらの線は、幅が2μmまでも小さく、良好な均一性を示した。
【0035】
図20は、現像後の数本の対角線上の描画線を示す。前記線の端部が鋸歯状になっているのは、描画に用いられたレーザスポットが四角いからである。この種の線は、ポリイミド線の実際の長さと比較してTFT中の有効チャンネル幅を増加させるのに有用であり得る。
【0036】
前記現像されたパネル上のインクジェット印刷は、ポリイミドがガラス上に疎水性領域を形成し、印刷された電気活性ポリマーを局在化することを示した。これは、水性のポリマーを効果的に印刷するために、ガラスを十分に親水性とする目的で、現像されたポリイミドパターンを、印刷前に酸素プラズマ中で1分間エッチングすることにより達成された。
【0037】
レーザ描画されたポリイミド線の表面品質は良好であるため、パターニング後のポリイミドに対して機械的研磨を加えた後、その上に半導体ポリマーをアラインすることができる。これを、図21に半導体ポリマーF8T2について示す。この半導体ポリマーF8T2は、ポリマーを150℃の温度で液晶相にすることにより、レーザ描画およびその後の研磨を受けたポリイミド線上にアラインされた。ポリマーをアラインさせた結果、F8T2ポリマーの連鎖がTFTにおける移動方向に対して平行にアラインされた場合、TFT移動度が増加する。
【0038】
本発明の別の実施形態は、表面改変層14に関連する。表面改変層14も、局所的加熱により基板から局所的に脱着可能である(図5)。これは、表面改変層14の蒸発を伴い得る。しかし、蒸発に必要な温度は、十分に低くする必要がある。表面改変層は、共有結合的に表面に付着している自己組織化単層、例えば、親水性ガラス基板上に堆積したアルキルトリクロロシラン層またはヘキサメチルジシラザン層、であればよい。加熱温度は、分子と表面との共有結合を破壊するくらいの十分な温度でなければならない。別の例として、150〜300℃のオーダーの温度において蒸発/昇華する、低分子量でかつ無機分子の層、例えば、αまたはβ置換ジヘキシルクオタチオフェンまたは9、9’ジアルキルフルオレンモノマーがある。
【0039】
原則としては、このプロセスは、電気活性ポリマーを直接パターニングする際にも用いてもよい。しかし、ほとんどの電気活性ポリマーは蒸発または溶発の間に劣化/分解しがちである点に留意すべきである。
【0040】
本発明の別の実施形態は、表面化学反応を熱を用いて促進することにより、表面パターンを達成することのできる方法に関連する(図6)。液体または好適には基板上部層との熱活性化された表面化学反応を起こすことが可能な分子15を含むガス雰囲気中に基板を浸漬させると、レーザビームで照射された領域中においてのみ化学反応が発生するようにして表面パターン16を生成することが可能となる。そのようなプロセスの一実施形態として、最上位層として極性親水性ポリマー、例えば、ポリビニルフェノール(PVP)層を含む基板、または単純なベアガラス基板がある。表面の極性は、プラズマ処理、例えば、高周波酸素プラズマ(50〜250W、13.5MHzで2〜5分)へ晒すことにより、向上させることができる。その後、基板を、基板に対する定着基および表面エネルギー変化用の疎水性後部基を含む自己組織化単層(SAM)の雰囲気(空気中または不活性窒素)中に浸漬する。単純な閉反応装置のガラス容器は、ヒータに接触するその底部において自己組織化分子の液体溜めを収納しており、上部には水冷コンデンサを収納している。ガス相に晒された液体上方のサンプルホルダ上にサンプルを載置する。サンプルの裏側を冷却してもよい。容器は、加熱放射が通り抜けるサンプル表面近傍において、透明窓部を有する。
【0041】
基板の求核が弱い場合、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)または多くのポリマー基板の場合、クロロシランまたはアルコキシシランとの表面反応は、室温ではあまり進行しない(Koideら、J.Am.Chem.Soc.122,11266(2000))。しかし、典型的には80〜100℃を越えた温度では、表面反応は急激に発生し、その結果、親水性サンプル表面上に高密度の自己組織化単層が数分間のうちに形成される。自己組織化単層により、表面疎水性が局所的に発生する一方、未加熱領域の表面は親水性のままである。この表面エネルギーパターンをその後の印刷工程、例えばインクジェット印刷工程において用いて、上述したように電気活性ポリマーのインク液滴を方向付けることができる。反応活性化に必要な温度が低いため、この技術は、局所的温度が100〜150℃を越えてはならない数層の電気活性ポリマー層が基板中にすでに含まれるパターニング工程に特に適していることが理解されるべきである。これは、図4中のゲート電極のパターニングにおいて特に魅力的である。表面改変層を用いて、導電性ポリマーの狭線をインクジェット印刷することができ、その結果、ゲート電極とソース/ドレイン電極との間のオーバーラップ容量が最小化される。
【0042】
上側層上にパターニングを行う場合、セルフアラインプロセスを用いるとよい。このプロセスでは、事前に規定されたパターンを用いて、放射に露光される基板の領域を限定する。例えば、図4中のTFTのゲート電極のパターニングの場合、光ビームが透明基板の裏側から入射されると、事前に堆積されたソース電極およびドレイン電極により光の一部がブロックされ、吸収され、または少なくとも有意に減衰する。赤外光および導電性ポリマーPEDOTの場合、PEDOTは赤外線の吸収性が高い。この光により、ソース電極とドレイン電極との間の領域中の上側層のみを改変するようにする。このプロセスは、ゲート電極に対するセルフアラインされたパターニングを方向付けるのに用いてもよい。あるいは、上述した自己組織化単層のようなゲート誘電体上の表面改変層44を、このようにしてパターニングしてもよい。その後、ゲート電極材料のセルフアライン堆積、例えば、直接印刷によるものを行い、それにより、ソース−ドレイン電極とゲート電極との間のオーバーラップ容量を極めて小さくすることができる(図22)。
【0043】
他の熱活性化による表面反応、例えば、ポリマーの表面上へのグラフトを用いてもよい(W.T.S.Huckら,Langmuir 15,6862(1999))。このようにして、光吸収に起因する反応を促進することにより、表面からのポリマー層成長を局所的に開始することが可能となる。
【0044】
本発明の別の実施形態は、局所的加熱により表面層中に厚さプロファイルを生成する方法に関する(図7)。多くのポリマー18は、アニールされると、ポリマー充填の変化(例えば結晶化によるもの)、架橋または揮発性種の脱着による永久的な体積変化を生じる。上述したように、光吸収色素膜をドープされたポリイミド前駆体膜は、赤外光による熱変換に晒されると、厚さ変化を生じる。いかなるポリマーも、自身の分解温度近くまでアニールされると、重量の減少/体積の変化を生じる。特定のポリマーシステムの場合、熱重量分析(TGA)によって分解温度を決定することができる。表面上の厚さプロファイルを用いて、ポリマー層を自己組織化単層20でインク付けされた平坦なゴムスタンプ19と接触させることにより、ポリマー表面の表面エネルギーを選択的に変化させることができる。このSAMパターンを用いて、その後の電気活性ポリマー印刷工程においてインク局在化バリアを提供することができる。このスタンプは出来るだけ平坦かつ硬質にする必要があり、スタンプのたるみを防ぐため、適用圧力はできるだけ低くする必要がある。この技術は幅2〜10μmの狭線を規定する際に特に適しており、1000Åのオーダーの小さな厚さコントラストがあれば、スタンプと後退領域の表面との接触を回避するのに十分である。
【0045】
この技術は、ソフトリソグラフィックスタンピングに関する(Xiaら、Angew.Chem.Int.Ed.37,550(1998))。この技術では、表面起伏パターンを備えたソフトPDMSゴムスタンプを用いて、SAMを平坦なポリマー表面上に選択的に堆積させる。このソフトリソグラフィック技術の不利点としては、下地パターンに対してSAMパターンを正確に位置合わせするのが困難な点と、スタンプの可撓性および歪みのため、広い領域にわたってパターンがひずみを生じる点とがある。本明細書中にて提案する技術の場合、表面起伏パターンはポリマー表面上に形成されるため、前記スタンプ歪みによるスタンプの問題は解消される。
【0046】
本発明の別の実施形態は、表面改変層22のサンプル基板1上への直接堆積に関する。このような直接堆積は、別個の転写基板21からの熱刺激による転写により、達成可能である(図8)。パターン転写を正確に行うためには、サンプルと転写基板との間の距離はできるだけ小さくする必要がある。この距離は好適には1mm未満であり、最も好適には500μm未満である。また、この場合、転写基板と転写対象層(単数または複数)との間で光吸収層を用いてもよい。光露光を受けると接着性を失うかまたは蒸発する解放層を追加して、光吸収層と解放層との間で用いてもよい。この方法は、電気活性ポリマーパターンを直接堆積させる際に用いることができるが、多くの電気活性ポリマーの場合、熱転写の間に発生する劣化を回避するために特殊な処理が必要となる。しかし、本方法は、表面エネルギーを局所的に変化させかつその後の電気活性ポリマー10の印刷のためのバリア層を提供する表面改変層23の堆積に適している。適切な解放層材料としては、室温および大気圧中にて固体であり、100〜300℃を越える温度において蒸発する小さな有機分子(サンプル基板の極性に応じて極性または無極性でもよい)の層であればよい。好適には、転写基板上へのコーティングが低コストで行えるよう、分子は溶液処理が可能である。そのような分子の一例としては、可撓性の側鎖置換基を有する短い共役オリゴマー、例えば、α−β置換ジヘキシルクオタチオフェンまたは9、9-ジアルキルフルオレンモノマーがある。そのような転写プロセスにおいて、サンプル基板は直接加熱されず、そのため、このプロセスは、低温のプラスチック基板または温度に対して高感度な電気活性層をすでに含む基板の場合に特に適している点に留意されたい。
【0047】
転写された改変層の厚さおよび純度に関する同様の考慮は、基板上に直接堆積された表面改変層のパターニングの場合と同様、ここでも当てはまる。
【0048】
高い電荷キャリア移動度を得るためには、トランジスタデバイスの半導体ポリマー層を規則性の高いものにする必要がある。これは、自己組織機構を利用することにより、達成可能である。様々な自己組織化半導体ポリマーを用いることができる。例えば、レジオレギュラーポリ−3ヘキシルチオフェン(P3HT)、およびポリフルオレンコポリマー(例えば、ポリ−9、9ジオクチルフルオレン-コ−ジチオフェン(F8T2)である。
【0049】
ポリマー連鎖に沿った高速連鎖間移動を最適に利用するために、TFT中の電流の流れ方向に対して平行なポリマー連鎖の一軸アラインメントが望ましい。液晶半導体ポリマー、例えばF8T2の場合、アラインされた分子構造を有する層(H.Sirringhausら、Appl.Phys.Lett.77、406(2000))、例えば、機械的研磨を受けた、または光学的にアラインされたポリイミド層の上に半導体ポリマーを堆積させることにより、アラインメントを起こすことができる。
【0050】
一軸上のポリマーアラインメントは、直線偏光への露光によっても起こすことができる。フォトアラインメントが可能なポリマーの例としては、ポリイミドまたはシナメート基またはアゾベンゼン基を含むポリマーがある(Ichimura,Chem.Rev.2000,1847(2000);Schadtら,Nature 381,212(1996))。パターニングに使用される光ビームは、通常、直線偏光していると有用であり、偏光を用いて、ポリマー層のアラインされた分子構造を引き起こし、同時にパターンを規定することができる。この技術を用いて、パターンされかつアラインされた表面エネルギーバリア、例えば、(a)高い印刷精度を提供しかつ(b)その後の活性半導体ポリマーの堆積においてアライメント層としての役割を果たすことのできるフォトアラインメント可能なポリイミド、例えば液晶ポリマーを生成することができる。この技術を用いて、フォトアラインメント可能な半導体ポリマー、例えば、側鎖中のアゾベンゼン基を含む共役主連鎖ポリマーを直接パターニングし、アラインさせることもできる。
【0051】
上述した全てのプロセスにおいて、基板1は、剛性基板、例えば厚いガラス基板であってもよいし、可撓性基板、例えば、薄肉ガラス基板またはプラスチック基板、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)であってもよい。ガラス基板または高温プラスチック基板(PI)の場合、パターニングに必要な温度(100〜400℃)は、基板の温度安定性と両立する。低温プラスチック基板、例えば、150℃を越える温度で加熱されるとひずみを生じるPETの場合、光波長は、基板が入射する放射に対して透明であり、かつほとんどの熱が光吸収層中にて生成されるように、選択すべきである。このようにして、基板にひずみを生じることなく、パターニング用の高温を局所的に達成することができる。
【0052】
上記技術のいずれかのパターニングの解像度は、レーザスポットの強度プロファイルの直径および鋭さs(図1)によって決定される。赤外光による加熱の場合、基板上の様々な層および基板そのものの熱導電性を制御することが重要である。ほとんどの高解像度パターニング用途の場合、熱伝導を最小限にすることが重要である。これは、低熱導電性を有する適切な材料を選択し、パターニング対象層と基板との間に専用の低熱導電性および光非吸収中間層を取り入れ、かつ/またはレーザをパルス長さがナノ秒オーダーのパルスモードで動作させることにより、達成可能である。ほとんどの場合、各位置上に数個の強力パルスを起こせば、所望の熱変化を起こすことが可能である。最大パターン解像度と最小材料損傷との間のバランスを最適化するために、ショット強度およびショット数を最適化すべきである。熱伝導が最小化されると、最適なパターニング解像度が達成可能となる。
【0053】
可視光または紫外線光への露光によるフォトパターニングの場合、解像度は、多くの場合レーザスポットの集束によってのみ限定される。レーザスポットは、原理的に光の波長λ、すなわち、マイクロメータ未満のサイズにまで集束することができる。
【0054】
サンプル上にビームを走査することにより、例えば、高精度二次元平行移動台(図9)上にサンプルを取り付けることにより、任意のパターンが規定可能である。最先端の平行移動台を用いて、0.2〜0.5μmの位置合わせ精度が達成可能となる。あるいは、可撓性基板の場合、基板を回転ドラムに取り付ける一方、ドラムの内側または外側にレーザアセンブリを取り付けてもよい。レーザシステムおよびサンプルホルダの取り付けは、サンプルに対するレーザビームの振動が最小限となるように行うべきである。描き込み可能な最小線幅はスポット直径dのオーダーであり、一方、2本の印刷線間の最小距離はsのオーダーである。そのため、グラフィックスアート業界用の最先端の熱写真システムを用いて、本明細書中に記載の方法により、線幅が5〜10μmのオーダーで最小チャンネル長さが2〜5μm未満の実用的な薄膜トランジスタ回路を直接印刷することが可能となる。
【0055】
多数のレーザスポットを平行に用いることにより、本技術のスループットは大きく増加することが可能である(図10)。個別スポットの強度プロファイルは、焦点面においてオーバーラップさせてもよいし、あるいは空間的に分離してもよい。前者の場合、広い領域にシームレスパターンを描き込む場合に有利である。スループットをさらに向上させるために、例えば、高速電動鏡によってレーザビームを偏向させることにより、レーザビームを走査してもよい。より高いスループットのためのレーザ直接描画技術は、グラフィックアート産業における印刷のために開発されてきた。
【0056】
高いスループットを低コストで達成するために、ポリマートランジスタ回路の製造をリール・トゥ・リール処理によって行ってよい。この処理では、新聞の印刷と同様に、連続する可撓性基板のシートを一連の処理ステーション中に通過させる(図11)。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態は、一次元線状アレイからなる単純な表面エネルギーパターンから複雑な回路パターンを印刷する方法に関連する。
【0058】
集束光スポットの線状アレイの下方にて基板を連続的に移動させると、上述した技術のうち1つを用いて、断面方向の狭平行線からなる高解像度表面エネルギーパターンを規定することができる(図11)。その後の工程において、低解像度の粗印刷技術、例えば、高解像度表面エネルギーパターンを用いて全ての重要なフィーチャを規定するインクジェット印刷を用いて、電気活性ポリマーの複雑なパターンを直接描き込むことができる(図12)。これは、複雑な方式で接続された類似または同一のデバイスからなるアレイの場合、特に適している。そのような回路の例としては、活性マトリクスアレイ(図13)またはゲート−アレイ論理回路がある。後者の場合、同一の一次元アラインメントフィーチャからなるアレイを、特定の論理エレメントに適合した形状を有するように形成する。別の例としては、アラインメントフィーチャ32に例えば単純なU字形状を持たせた単純なNORゲートがある。高解像度ソース−ドレインチャンネルは、表面エネルギーパターン、低解像度接続部、バイア・ホールを用いてアライン可能であり、電極は任意の位置に直接印刷可能である。
【0059】
本明細書中にて提案の方法は理想的には、リール・トゥ・リールプロセスに適している。なぜならば、表面エネルギーパターンの規定が、最初のプロセスステーションにおいて光点線状アレイの下方の可撓性基板を単純に回転させ、第2のプロセスステーションにおいて、必要な電気活性ポリマーパターンを直接印刷することにより得られるためである。必要ならば、表面エネルギーパターンを槽中で現像する中間工程を設けてもよい(図11)。
【0060】
一次元の高解像度アラインメントフィーチャレイと直接印刷技術、例えば、インクジェット印刷とを組み合わせて用いることで、ほとんどのいかなる回路機能をも達成可能となる。1つ以上の表面エネルギーバリアによって分離された異なる領域中のデバイス間に接続配線を規定するために、1つ以上の液滴をバリア線上に直接に配置することにより、表面エネルギーバリアを横断するように(図12)簡単に印刷を行うことが可能となる。あるいは、レーザビームをオンオフ切り替えして接続配線を交差させるためのスペースを残すことにより、特定の領域中の一次元線アレイを中断させてもよい。(図13)。一般的には、一次元アラインメントフィーチャは、断面方向に対して平行である必要はない。単一のレーザビームの走査または個別に偏向が可能なビームのアレイの走査により、任意の一次元フィーチャを基板上に直接に描き込むことが可能である。
【0061】
多くの場合、基板上の事前印刷されたパターンに対して印刷パターンをアライン/位置合わせする必要がある。例えば、表面エネルギーパターンに対してソース電極およびドレイン電極を印刷する場合または下地ソース−ドレイン電極パターンに対してゲート電極を印刷する場合、正確な位置合わせが必要となる。プリンタヘッド位置合わせシステムに取り付けられた支持部に対して基板端部を押すだけで、粗アラインメントが達成可能である。この機械的アラインメントは、主に従来のオフセット印刷において用いられる。
【0062】
基板パターンとプリンタアセンブリとの間の相対アラインメントを光学的検査ステーション、例えば、プリンタヘッドアセンブリおよび基板パターン双方を同一画像上で目視可能なように取り付けられた高速高解像度CCDカメラ、を用いて観察することにより、より高精度の位置合わせが達成可能である。適切なソフトウェアを用いて画像分析および自動化パターン認識を行って、基板パターンの印刷ヘッドに対する相対ミスアラインメントを判定することが可能である。サンプルのx−y位置およびプリンタ軸に対する角度を修正することにより、印刷前の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0063】
端部検出技術を利用することにより、位置合わせをより高速かつより効率的に行うことが可能となる。基板と光学的印刷システムとの間の位置合わせが可能な端部検出技術が、EP 10181 458A2に開示されている。これらの技術は、光学的検出器を用いて、光学的特性が異なる2つの表面領域を有する表面を走査する際、集束光ビームの伝送または反射を測定することに依拠している。光点は、印刷ヘッドの印刷位置からの公知の固定距離を有する。例えば、検出システムによって記録された階段状信号から、印刷を行う前に基板端部位置を自動的に判定することができる。
【0064】
異なる光学的吸収/反射特性を有しまたは集束光ビーム40によって励起された際に蛍光を発する材料からできた基板上の第1のパターン中にアラインメントマークを規定すると、印刷ヘッド44下方のサンプルを走査し、フォト検出器41の強度信号をモニタリングする際、このアラインメントマークの印刷ヘッドに対する相対的位置を判定することができる(図15(a))。
【0065】
x方向およびy方向における正確な位置が分かるように設計されたパターン、例えば、細棒42および43のアレイを用いれば、サンプルをx方向およびy方向両方に平行移動させることにより、高精度の位置合わせを達成することができる(図15(a))。
【0066】
また、アラインメントマークの設計を、印刷ヘッド下方のサンプルを一回リニア走査する、すなわち、x方向のみに走査することで、基板の印刷ヘッドに対する位置および方向両方が分かるようにすることもできる。その一例を図15(b)に示す。この具体例において、光検出器が以下のようにして最大信号を検出した位置である測定位置x1、x2およびx3から、基板の位置合わせシステムのx軸に対する未知のミスアラインメント角度βと、位置合わせシステムの座標系中の光点中心(0、0)からの基板上の特定の固定点(0、0)´の距離Δ0とを判定することができる。
【0067】
【数1】
【0068】
このアラインメントマーク位置および方向の一次元走査検出は、x方向およびy方向両方への走査よりも高速である。この検出は、y方向の位置合わせがあまり重要ではない場合、例えば、細線フィーチャがy方向に優先的に方向付けられている場合(例えば、図14)に特に適している。
【0069】
あるいは、2つ以上の光ビーム(および検出器)47,48を用いる場合、少なくとも2つの非平行端部46を有する単一のアラインメントフィーチャを横切るようにヘッドをまず走査し、その後、基板フィーチャ49に対する正確なアラインメントで印刷を行うことにより、基板の印刷ヘッドに対する位置および方向を判定することができる。第1の端部を横切って2本のビームを走査する場合(図15c)、誤った方向の角度および走査方向位置を判定することができる。走査方向に垂直な基板の位置は、2本のビームによって測定された第1の(立ち上がり)端部および第2の(立ち下がり)端部の間の時間間隔の差から得られる。
【0070】
可撓性基板を用いる場合、その基板は、後続のパターニング工程の間に熱膨張および機械的ストレスに起因する歪みを生じる可能性がある。これらの歪みが回路の最も精細なフィーチャ45の最大オーバーラップ公差よりも大きい場合、単一のアラインメントプロセスでは不十分であり、アラインメントを局所的に行う、すなわち、印刷前に基板上の各デバイス群についてアラインメントを局所的に行う必要がある。印刷プロセスの間、歪みレベルおよび要求されたアラインメント精度に応じて、このような局所的アラインメントを一定の頻度で繰り返し行う。
【0071】
アラインメントマークの走査検出は高速であるため、印刷プロセスの著しい低速化を招くことなく、局所的に行うことが可能である。各デバイス群は、自身の隣にアラインメントマークを有することができ、以下のようにして方向付けられる。すなわち、アラインメントシステムの光ビームが先ずアラインメントマークを通過し、端部を検出し、その位置を適宜修正し、その後、アラインメントマークに対して良好に規定された位置において材料堆積を開始し、基板上の特定の高解像度フィーチャ45に対して位置合わせを良好に行う。アラインメントマークの位置は、印刷ヘッドの移動が必要無いか殆ど必要無いものであるべきである。すなわち、アラインメントマークを横切る走査移動は、印刷ヘッドを1つのフィーチャ群から次のフィーチャ群へと移動させるのに必要な移動の一部であるべきである。上記にて提案した位置および方向を一回の走査で検出する方法は、局所的アラインメントを高速実行する際に特に有用である。
【0072】
歪みを有する基板上で、基板フィーチャと印刷ヘッドとの間の相対的局所的位置の走査検出では、基板上の空間的歪みパターンを検出する。各フィーチャにおいて局所的アラインメントを行う必要はないが、局所的アラインメント工程の回数は、基板歪みの程度および必要なアラインメント公差によって異なる。基板歪みパターンが1つのサンプルから次のサンプルへと再生可能である場合、1つの基板上の特徴的歪みパターンを判定し、その後、同条件で作製される今後の基板上のその特徴的歪みが自動的に修正されるよう、印刷ヘッド用の位置合わせシステムをプログラムすれば十分である。
【0073】
局所的走査アラインメントはまた、複数のノズルインクジェット印刷と共に用いることも可能である。この場合、各印刷ヘッドは、標準アレイ中に構成されたノズルのアレイを有する。ほとんどのドロップ・オン・デマンドインクジェットシステムの場合、各ノズルからの液滴飛来方向を個別に変化させるのは困難である。そのため、所与の程度の基板歪みがある場合、各印刷ヘッドの寸法が十分に小さく、その結果印刷ヘッドの局所的アラインメント全体により印刷精度が印刷ヘッド上の全ノズルのアラインメント公差内におさまるぐらいになることが確実でなければならない。大型フォーマットのプリンタの場合、数個のヘッドは平行に取り付け可能であり、ヘッドの対基板位置は個別に制御可能である。しかし、連続インクジェット印刷の場合、異なるノズルからの導電性液滴が、電界中で個別に偏向する可能性がある。原則として、その結果、多ノズル印刷を各個別ノズルの局所的アラインメントが正確な様態で行うことが可能となる。
【0074】
上述した種類のデバイスを用いて集積TFT回路を形成するためには、電極と、異なる層中の接続配線との間に、バイア・ホール接続部を作製する必要がよくある。そのようなバイア・ホールを作製する様々な方法、例えば、フォトリソグラフィックパターニング(G.H. Gelinckら、Appl.Phys.Lett.77,1487(2000))または機械的縫合機を用いた連続穴開け(C.J.Druryら、W099/10929)が提示されている。
【0075】
バイア・ホールは、バイア・ホール接続部を開口すべき層について、良好な溶媒の局所的インクジェット堆積を行うことによっても作製可能である(H.Sirringhausら、UK0009917.6)。バイア・ホールのサイズを小さくするためには、小さなインク液滴を用い、液滴の液滴上の拡がりを制限する必要がある。
【0076】
上述した技術によってパターニングされた表面改変層34を用いて、下地ポリマー層35,36を溶解させるインクジェット印刷された溶媒液滴33の堆積を制限し、下地電極層37と接触させることもできる(図13)。そのようなバイア・ホールはその後導電性ポリマー38の印刷により充填される。このプロセスについては、エッチングに用いられる溶媒中に表面改変層が溶けないことが重要である。溶解に極性溶媒が用いられると、これは、疎水性自己組織単層または疎水性ポリマー層により達成可能である。
【0077】
上記の全ての実施形態において、PEDOT/PSSの代わりに、溶液から堆積可能な任意の導電性ポリマーを用いてもよい。例を挙げると、ポリアニリンまたはポリピロールがある。しかし、PEDOT/PSSの魅力的特徴のうちいくつかを挙げると、(a)拡散率が本来的に低い高分子ドーパント(PSS)である点、(b)良好な熱安定性および空気中安定性を有する点、および(c)仕事関数が≒5.1eVである点(これは、孔電荷キャリアの注入をより効率的にする一般的なホールトランスポート半導体ポリマーのイオン化電位に良く整合する)がある。
【0078】
本明細書中にて述べたプロセスおよびデバイスは、溶液処理されたポリマーで作製されるデバイスに限定されない。TFTの導電性電極および/または回路またはディスプレイデバイス中の接続配線(下記を参照)のうちいくつかを、無機導体、例えば、コロイド懸濁液の印刷または事前パターニングされた基板上への電気メッキにより堆積可能な無機導体から形成してもよい。一部の層が溶液から堆積されないデバイスの場合、そのデバイスの1つ以上のPEDOT/PSS部分を、不溶性の導電性材料、例えば、真空堆積された導体と取り替えてもよい。
【0079】
半導体層については、10−3cm2/Vs、好適には10−2cm2/Vsを越えた適切な電解効果移動度を示す任意の溶液処理が可能な共役高分子材料またはオリゴマー材料を用いてよい。適切な材料については、例えば、H.E.Katz,J.Mater.Chem.7,369(1997)またはZ.Bao,Advanced Materials 12,227(2000)にまとめられている。他の可能な材料としては、可溶化側鎖を有する小共役分子(J.G.Laquindanumら、J.Am.Chem.Soc.120,664(1998))、溶液から自己組織化される半導体有機−無機ハイブリッド材料(C.R.Kaganら、Science 286,946(1999))または溶液堆積された無機半導体、例えば、CdSe ナノ粒子(B.A.Ridleyら、Science 286,746(1999))がある。
【0080】
インクジェット印刷以外の技術により、電極の粗パターニングが可能となっている。適切な技術としては、ソフトリソグラフィックプリンティング(J.A.Rogersら、Appl.Phys.Lett.75,1010(1999);S.Brittainら、Physics World May 1998、p.31)、スクリーン印刷(Z.Baoら、Chem.Mat.9,12999(1997))、およびフォトリソグラフィックパターニング(WO99/10939を参照)またはメッキがある。インクジェット印刷は、良好な位置合わせによる大面積パターニング、特に、可撓性プラスチック基板のパターニングに特に適している。
【0081】
好適には、デバイスおよび回路の全ての層および構成要素は溶液処理技術および印刷技術によって堆積およびパターニングされるが、1つ以上の構成要素、例えば、半導体層を真空堆積技術により堆積しても良いし、および/またはフォトリソグラフィックプロセスによりパターニングしてもよい。
【0082】
上述したように製作されるデバイス、例えばTFTは、1つ以上のそのようなデバイスを互いにかつまたは他のデバイスと集積することが可能なより複雑な回路またはデバイスの一部としてよい。適用例を挙げると、ディスプレイまたはメモリデバイス用の論理回路および活性マトリクス回路、またはユーザによって規定されたゲートアレイ回路がある。
【0083】
前記パターニングプロセスを用いて、このような回路の他の構成要素、例えば、接続配線、抵抗器、キャパシタをパターニングすることができる。
【0084】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0085】
(付記1)少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の材料を光ビームに選択的に露光して、前記層の物理的特性を改変し、前記層のパターニングを行う工程を含む、方法。
【0086】
(付記2)前記パターニング層は有機材料からなる、付記1に記載の方法。
【0087】
(付記3)前記基板上の有機材料の第1の層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記層の溶解度パラメータを改変する工程を含む、付記1または2に記載の方法。
【0088】
(付記4)前記第1の層の溶解度パラメータは、前記露光前には前記材料が溶解可能な溶媒に対して前記材料を不溶性にするように改変される、付記3に記載の方法。
【0089】
(付記5)前記第1の材料層を洗浄して、前記ビームに露光されていない領域において前記第1の層の材料を除去する工程を含む、付記4に記載の方法。
【0090】
(付記6)前記溶解度パラメータを改変する工程は、前記層の材料の相分離および/または前記第1の層の材料の架橋を発生させる工程を含む、付記3〜5のいずれかに記載の方法。
【0091】
(付記7)前記基板上の第1の層の材料を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記第1の材料層の表面自由エネルギーを改変する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0092】
(付記8)前記第1の層は、前記光ビームに露光された後の局所化領域において基板から除去され、これにより前記下地基板の表面を露出させる、付記7に記載の方法。
【0093】
(付記9)前記第1の層上に有機材料の第2の層を堆積させる工程を含み、前記第2の層は、溶媒中の溶液から堆積され、これにより、前記第2の材料層の堆積パターンは、前記第1の材料層の改変された表面自由エネルギーの領域による影響を受ける、付記7または8に記載の方法。
【0094】
(付記10)前記第2の層の材料の堆積を可能にする溶媒は、前記第1の材料層の改変された表面自由エネルギーの領域中に前記第2の層の材料が堆積しないように、選択される、付記9に記載の方法。
【0095】
(付記11)前記第2の層の材料の堆積を可能にする溶媒は、前記ビームによって前記表面自由エネルギーが改変されていない前記第1の材料層の領域に前記第2の層の材料が堆積しないように、選択される、付記10に記載の方法。
【0096】
(付記12)前記基板上の第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の材料を除去する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0097】
(付記13)前記第1の層の材料は、前記ビームに露光された領域中において脱着かつ/または蒸発する、付記12に記載の方法。
【0098】
(付記14)前記基板上の第1の材料層を反応性媒体と接触させる工程と、前記第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光させて、前記ビームに露出された領域において前記第1の層の材料と前記反応性媒体との間の化学反応を促進させる工程と、を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0099】
(付記15)前記反応性媒体は、前記第1の層中に含まれる、付記14に記載の方法。
【0100】
(付記16)ガス状または液体状の前記反応性媒体を前記第1の層の表面に適用する工程を含む、付記14に記載の方法。
【0101】
(付記17)前記化学反応は、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の材料の溶解度および/または表面自由エネルギーおよび/または電気的特性を改変する、付記14〜16のいずれかに記載の方法。
【0102】
(付記18)前記基板上の第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記層の体積を改変する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0103】
(付記19)前記ビームは集束ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0104】
(付記20)前記ビームは、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の局所的加熱を引き起こす、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0105】
(付記21)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は350℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0106】
(付記22)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は200℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0107】
(付記23)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は120℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0108】
(付記24)前記第1の層の厚さは1μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0109】
(付記25)前記第1の層は、前記電気デバイスの導電性電極を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0110】
(付記26)前記第1の層は、前記電気デバイスの半導体層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0111】
(付記27)前記第1の層は、前記電気デバイスの誘電層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0112】
(付記28)前記第1の層は、前記電気デバイスの表面改変層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0113】
(付記29)前記ビームの幅は10μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0114】
(付記30)前記ビームの幅は1μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0115】
(付記31)前記ビームはレーザビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0116】
(付記32)前記ビームは赤外光ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0117】
(付記33)前記ビームは可視光である、付記1〜31のいずれかに記載の方法。
【0118】
(付記34)前記ビームは紫外線光である、付記1〜31のいずれかに記載の方法。
【0119】
(付記35)前記第1の層上で前記ビームを移動させて前記選択的露光を行い、所望のパターンを規定する工程を含む、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0120】
(付記36)前記ビームは偏光ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0121】
(付記37)前記第1の層の前記ビームへの露光により、前記第1の層の材料のフォトアラインメントが生じる、付記36に記載の方法。
【0122】
(付記38)前記第1の層の材料の前記フォトアラインメントは、前記第1の層のパターニングと同時に行われる、付記37に記載の方法。
【0123】
(付記39)前記フォトアラインされた層と接触するアラインされた分子構造を取得する第2の有機層を堆積させる工程を含む、付記36〜38のいずれかに記載の方法。
【0124】
(付記40)前記第2の有機層は液晶共役高分子層である、付記39に記載の方法。
【0125】
(付記41)前記第1の層は、前記電気デバイスの前記パターニング層である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0126】
(付記42)前記第1の層は、前記電気デバイスの活性層である、付記41に記載の方法。
【0127】
(付記43)前記第1の層上への第2の有機材料層の堆積を、前記第2の層の堆積パターンが前記第1の層のパターニングによって影響を受けるように行う工程を含む、付記1〜8または12〜42のいずれかに記載の方法。
【0128】
(付記44)前記第2の層は、前記電気デバイスのパターニング層である、付記9〜11または43のいずれかに記載の方法。
【0129】
(付記45)前記第2の層は、前記電気デバイスの活性層である、付記44に記載の方法。
【0130】
(付記46)第2の基板上の材料層を集束光ビームに露光させて、前記材料層のパターンを前記第1の基板に転写させる工程を含む、付記1〜8または12〜42のいずれかに記載の方法。
【0131】
(付記47)前記第2の基板上の材料層は、前記電気デバイスの前記パターニング層である、付記46に記載の方法。
【0132】
(付記48)前記第2の基板上の材料層は、前記電気デバイスの活性層である、付記47に記載の方法。
【0133】
(付記49)前記材料層は表面改変層である、付記47に記載の方法。
【0134】
(付記50)前記電子デバイスは電子スイッチングデバイスである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0135】
(付記51)前記電子デバイスは薄膜トランジスタデバイスである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0136】
(付記52)前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の層を改変する工程を含む、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0137】
(付記53)前記集束光ビームの一部は、事前パターニングされた前記基板上の第3の層によってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰された領域においてのみ前記基板上の前記第1のパターニング層を改変する工程を含む、付記1〜51のいずれかに記載の方法。
【0138】
(付記54)前記事前堆積された第3の層は、電子スイッチングデバイスのソース電極およびドレイン電極を形成する、付記51〜53のいずれかに記載の方法。
【0139】
(付記55)前記第1の層は、電子スイッチングデバイスのゲート電極を形成する、付記54に記載の方法。
【0140】
(付記56)前記第1の層は表面改変層である、付記51〜54のいずれかに記載の方法。
【0141】
(付記57)追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰された領域への前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、付記56に記載の方法。
【0142】
(付記58)追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰されなかった領域へ前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、付記56に記載の方法。
【0143】
(付記59)集積回路を規定する方法であって、パターニング光ビームに対して基板を移動させて、前記ビームによって第1の一次元パターンを前記基板上に規定する工程を含む、方法。
【0144】
(付記60)前記第1の一次元パターンは、表面自由エネルギーが異なる領域によって規定される、付記59に記載の方法。
【0145】
(付記61)第2の材料パターンは、前記第1の一次元パターンへ位置合わせして堆積される、付記60に記載の方法。
【0146】
(付記62)前記第2の材料パターンは、直接印刷技術によって堆積される、付記61に記載の方法。
【0147】
(付記63)前記第2のパターンは、インクジェット印刷によって堆積される、付記62に記載の方法。
【0148】
(付記64)前記第2のパターンは、前記基板を前記第2の材料の溶液中に浸漬することにより、堆積される、付記61に記載の方法。
【0149】
(付記65)前記第2のパターンは、前記第1の一次元パターンよりも実質的に複雑である、付記61〜64のいずれかに記載の方法。
【0150】
(付記66)集積回路を規定する方法であって、1組の回路フィーチャを表面上に有する基板をパターニング光ビームに対して移動させて、前記ビームにより前記回路フィーチャを改変する工程を含む、方法。
【0151】
(付記67)前記回路フィーチャを改変する工程は、前記回路フィーチャ間の電気接続を除去する工程を含む、付記66のいずれかに記載の方法。
【0152】
(付記68)前記回路フィーチャを改変する工程は、前記回路フィーチャ間に電気接続を設ける工程を含む、付記66のいずれかに記載の方法。
【0153】
(付記69)前記回路フィーチャを改変する工程は、トランジスタデバイスアレイのソース電極とドレイン電極との間にチャンネルを規定する工程を含む、付記66に記載の方法。
【0154】
(付記70)前記ビームはパターニングヘッドによって生成される、付記59〜69のいずれかに記載の方法。
【0155】
(付記71)前記パターニングヘッドは、複数のビームを生成し、前記ビームは、前記直線の法線方向に間隔を開けて配置され、前記方法は、前記基板を前記ビームに露光させる工程を含む、付記70に記載の方法。
【0156】
(付記72)前記移動の間に前記ビーム(単数または複数)を変調させる工程を含む、付記59〜71のいずれかに記載の方法。
【0157】
(付記73)前記ビーム(単数または複数)は集束ビームである、付記59〜72のいずれかに記載の方法。
【0158】
(付記74)前記ビーム(単数または複数)はレーザビームである、付記59〜73のいずれかに記載の方法。
【0159】
(付記75)前記ビーム(単数または複数)の幅は10μm未満である、付記59〜74のいずれかに記載の方法。
【0160】
(付記76)前記ビーム(単数または複数)の幅は1μm未満である、付記59〜75のいずれかに記載の方法。
【0161】
(付記77)基板上のフィーチャおよび光学的読み出しヘッドの相対的アラインメントを判定する方法であって、前記基板は、光学的に検出可能なアラインメントマークを1組持ち、前記アラインメントマークは、第1の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して平行な第2の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して所定の角度で設けられた第3の直線とを含み、前記アラインメントマークは、前記フィーチャから事前規定されたオフセットを有し、前記方法は、前記読み出しヘッドを前記基板に対して直線走査線上に走査して、前記第1の線と前記第2の線との間の前記走査線に沿った距離と、前記第1の線と前記第3の線との間の前記走査線に沿った距離とを判定する工程と、前記判定された距離および前記オフセットを用いて、前記読み出しヘッドおよび前記フィーチャの相対的位置を判定する工程と、を含む、方法。
【0162】
(付記78)記読み出しヘッドおよび前記フィーチャの相対位置を判定する工程は、以下の関係に従って実行され、
【0163】
【数2】
【0164】
ここで、αは、前記第2の線と前記第3の線との間の角度であり;βは、前記第2の線および前記走査線との間の角度であり;Δは、前記第1の線の始点と前記第1の線に前記走査線が交差する点との間の前記第1の線に沿った距離であり;dは、前記第1の線と前記第2の線との間の垂直方向距離であり;sは、前記第1の線に対して垂直な線が前記第1の線の始点を通過する点における前記第2の線と前記第3の線との間の垂直方向距離であり;xnおよびYnは、n番目の線が前記走査線に交差する点のデカルト座標であり;前記フィーチャの前記アラインメントマークからの事前規定されたオフセットは、前記フィーチャの前記始点からのオフセットを示す、付記77に記載の方法。
【0165】
(付記79)前記読み出しヘッドは材料処理ユニットと集積される、付記77または78に記載の方法。
【0166】
(付記80)前記材料処理ユニットは、堆積ユニットおよび光ビーム生成ユニットのうちの1つである、付記79に記載の方法。
【0167】
(付記81)前記フィーチャは概して線状フィーチャである、付記77〜80のいずれかに記載の方法。
【0168】
(付記82)前記フィーチャは概して前記第1の線に対して垂直である、付記81に記載の方法。
【0169】
(付記83)前記第1の線、第2の線および第3の線は、前記基板上の光学的コントラスト変化の少なくとも1つの線状ゾーンによって規定される、付記77〜82のいずれかに記載の方法。
【0170】
(付記84)対応するアラインメントマークをそれぞれ有するフィーチャのアレイを含む電子回路デバイスを基板上に作製する方法であって、前記基板上の少なくとも2つのフィーチャについて局所的位置合わせ工程を行う工程を含み、各局所的位置合わせ工程は、各フィーチャに対応するアラインメントマークを横切る直線上に読み出しヘッドを走査することにより、前記各フィーチャの材料処理ユニットに対する相対位置を判定する工程を含む、方法。
【0171】
(付記85)前記材料処理ユニットと前記読み出しヘッドとの間には固定された空間的関係が存在する、付記84に記載の方法。
【0172】
(付記86)前記読み出しヘッドは前記材料処理ユニットと一体である、付記85に記載の方法。
【0173】
(付記87)各局所的位置合わせ工程の後、材料堆積工程が行われ、前記材料堆積工程は、前記材料処理ユニットから前記基板上に材料を堆積させる工程を含む、付記84〜86のいずれかに記載の方法。
【0174】
(付記88)各局所的位置合わせ工程の後、材料処理堆積工程が行われ、前記材料堆積工程は、前記基板上の材料を前記材料処理ユニットによって処理する工程を含む、付記84〜87のいずれかに記載の方法。
【0175】
(付記89)前記材料は、前記各アラインメントマークからの事前規定された空間的オフセットにおいて堆積または処理される、付記87または88に記載の方法。
【0176】
(付記90)前記基板は可撓性基板である、付記77〜89のいずれかに記載の方法。
【0177】
(付記91)前記材料処理ユニットはインクジェット印刷ヘッドである、付記79〜90のいずれかに記載の方法。
【0178】
(付記92)前記アラインメントマークは、第1の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して平行な第2の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して所定の角度で設けられた第3の直線とを含み、前記アラインメントマークは、前記フィーチャから事前規定されたオフセットを有し、および前記位置合わせプロセスは、前記読み出しヘッドを用いて一連の光学的信号を検出する工程を含む、付記77〜91のいずれかに記載の方法。
【0179】
本発明は、前記例に限定されない。本発明の局面は、本明細書中に記載の概念の全ての新規なかつ/または進歩性ある局面と、本明細書中に記載の特徴の全ての新規なかつ/または進歩性ある組み合わせとをふくむ。
【0180】
本出願者らは、本発明が本明細書中にて明示的または暗示的に開示された任意の特徴または特徴の組み合わせまたはその一般化を、上記にて記載したいずれの定義をも限定することなく含み得る点に注目する。上記記載を鑑みれば、本発明の範囲内において様々な変更が可能であることは、当業者にとって明白である。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】光吸収層を用いた熱による溶解度変化による電気活性ポリマーパターンの直接描き込みを示す模式図である。
【図2】光による溶解度変化によるポリマーパターニングを光吸収層を用いずに行う様子の模式図を示す。
【図3】光による溶解度変化を起こすことにより表面改変層をパターニングした後に電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図4】印刷完了後のポリマーTFTデバイスの模式図を示す。
【図5】光による表面改変層の脱離後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図6】光によって表面化学反応を促進させた後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図7】光による厚さ変化の後、自己組織化単層の選択的堆積および電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図8】光による表面改変層の転写の後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図9】レーザビーム下での基板の走査移動を行ってパターンを生成する様子の模式図を示す。
【図10】(a)複数の個別レーザダイオードからなるアレイまたは(b)単一のレーザ光源から発生するレーザスポットアレイの模式図を示す。
【図11】レーザスポットアレイ下を移動する大型可撓性基板にリール・トゥ・リールパターニングを行う際の模式図を示す。
【図12】熱印刷による微細形状解像度の表面エネルギーパターンと、直接印刷による粗パターニングとの組み合わせについて、接続配線が(a)連続線の場合および(b)中断のある場合について示したものである。
【図13】平行な表面エネルギーバリアの単純アレイから得られた高解像度のチャネルを有するトランジスタの活性マトリクスアレイを示す。
【図14】表面改変層を用いて、インクジェットエッチングによる小バイア・ホールの形成を制限する様子の模式図を示す。
【図15】移動する基板の下側のアラインメントマークを光学的に検出することによる基板配置(a)、およびx方向のみの平行移動による絶対位置の判定を可能にするアラインメントマークの設計の模式図を示す。
【図16】レーザで描画されたポリイミド線幅の集束高さ範囲に対する実験データを示し、水平方向および垂直方向に印刷した線幅を比較したものである。前記垂直線幅の1つのデータポイント以外は5μm未満である。前記水平線は、前記垂直線よりも常に3倍まで幅広である。
【図17】レーザ描画により垂直方向に印刷されたポリイミド線の顕微鏡像を示す。前記垂直線は、380mJ/cm2の線量で印刷されている。前記図の上半分部分の線幅は約3.5μmである。
【図18】レーザ描画により水平方向に印刷されたポリイミド線の顕微鏡像を示す。前記水平線は、380mJ/cm2の線量で印刷されている(図1と同時に描画されている)。前記線幅は約7μmであり、前記垂直線の幅の2倍である。
【図19】得られたレーザで描画されたポリイミド線のうち最も狭いものの顕微鏡像を示す。これらの垂直方向に描画された線(380mJ/cm2、20分間現像)の幅は、最小2μmである。
【図20】対角線上にレーザで描画されたポリイミド線の顕微鏡像である。意図しない規則的な鋸歯状の端部(これは、レーザスポットサイズによって生じる)を用いて、チャンネル幅を大きくすることができる。
【図21】印刷されかつ摩擦を受けたポリイミド線の上に一軸線上にアラインされた半導体ポリマーF8T2を、交差した偏光器を用いて撮影された光学顕微鏡像を示す。明るいコントラストの領域は、下側のポリイミド線の摩擦方向に沿ってF8T2が一軸上にアラインされた部分である。アラインメントは、前記F8T2膜を150℃で10分間アニールすることにより、達成された。
【図22】ソース電極およびドレイン電極とのオーバーラップを最小にした態様でゲート電極を規定するためのセルフアラインプロセスを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子デバイスなどのデバイスと、そのようなデバイスの形成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体共役高分子薄膜トランジスタ(TFT)について、プラスチック基板上に集積される低コストな論理回路への適用(C.Drury,ら、APL73、108(1998))と、高解像度アクティブ・マトリクスディスプレイにおける光電子集積デバイスおよびピクセルトランジスタスイッチへの適用(H.Sirringhaus,ら、Science 280,1741(1998),A.DodabalapurらAppl.Phys.Lett.73,142(1998))とが注目されている。ポリマー半導体、無機金属電極およびゲート誘電層を用いた試験デバイスの構成において、TFTの高性能が確認されている。電荷キャリア移動度は0.1cm2/Vsまで、ON−OFF電流比は106〜108まで到達した。これらの値は、アモルファスシリコンTFTの性能に匹敵する(H.Sirringhausら、Advances in Solid State Physics 39、101(1999))。
【0003】
ポリマー半導体の利点の一つとして、溶液処理が簡単で低コストである点がある。しかしながら、全てのポリマーTFTデバイスおよび集積回路の製造には、ポリマー導体、半導体および絶縁体を横方向にパターニングをする能力が必要となる。様々なパターニング技術、例えば、フォトリソグラフィ(WO99/10939A2)、スクリーン印刷(Z.Bao,ら、Chem.Mat.9,1299(1997))、ソフトリソグラフィックスタンピング(J.A.Rogers,Appl,Phys.Lett.75,1010(1999))、およびマイクロモールディング(J.A.Rogers,Appl.Phys.Lett.72,2716(1998))、ダイレクトインクジェット印刷(H.Sirringhausら、UK0009911.9)などが確認されている。
【0004】
多くの直接印刷技術の場合、TFTのソース電極およびドレイン電極を規定するのに必要なパターニングの解像度は未だ得られていない。適切な駆動電流およびスイッチング速度を得るためには、10μm未満のチャンネル長さが必要となる。インクジェット印刷の場合、ノズル部における噴出条件の変化によって液滴の飛来方向が突発的に変化したり、制御できない基板上への液滴の拡がりが起こるため、達成可能な精度は20〜50μmに限定される。
【0005】
このような解像度に対する制約は、表面自由エネルギーが異なる領域を含む事前パターンニング済み基板に印刷を行うことによって対応されている(H.Sirringhausら、UK 0009915.0)。水性のインク液滴からなる導電性ポリマーを、撥水性かつ疎水性の表面構造をした狭領域を含む基板上に印刷すると、ソース電極およびドレイン電極間に突発的ショートを引き起こすことなく、液滴の拡がりは限定され、チャンネル長さがわずか5μmであるトランジスタのチャネルを規定することができる。疎水性バリアの規定方法は複数あり、例えば、疎水性ポリマーのフォトリソグラフィまたは自己組織化単層のソフトリソグラフィックスタンピングなどがある。
【0006】
本発明の実施形態は、トランジスタデバイスを規定する電気活性ポリマーパターンを直接レーザ描画技術を用いてマイクロメータの解像度で印刷することのできる方法に関する。本方法は、レーザビームアレイを基板上に集束させて走査することを基本とする。この集束された光点により、電気活性ポリマー層あるいは表面改変テンプレート層の特性を局所的に変化させる。本明細書中、そのような局所的変化を用いて電気活性ポリマーの高解像度パターンを作成することのできるいくつかの方法を示す。本発明の好適な実施形態において、レーザ光は赤外線波長を有し、局所的加熱効果を誘発する。あるいは、前記光は、光子が吸収されると化学構造の局所的変化または分子の局所的活性化を誘発する可視波長または紫外線波長であってもよい。エッジを鮮鋭に規定すること、あるいは光によるパターニング対象膜の劣化が小さいことが要求される場合には、赤外光が特に有用である。一方、光の波長のオーダーである回折限界に近づくほどの高い空間的解像度が必要な場合には、可視光または紫外線光が有用である。
【0007】
グラフィックアート産業では、オフセット印刷用の印刷版を作成する際、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)描画技術を用いている。印刷版はアルミニウムまたはポリエステル製であり、適切な感光性層でコーティングされる。このような印刷版は、インクをはじく親水性の無画像表面領域と、インクとなじむ親油性の画像領域とで構成する必要がある。プレス時には、前記親水性領域は、水性のインキ壺溶液で湿らされる。典型的な製版用の刷版出力装置の場合、刷版のコーティング層は、レーザスポットアレイを用いて露光される。従来のCTPシステムでは紫外線および可視光が用いられたが、近年では、画像解像度が高くかつ日中光または室内光での露光に対する感度が低い点から、赤外線レーザスポットアレイ(通常の波長は830nmまたは1046nm)を用いた熱写真法がより一般的となっている。画像パターンを前記感光性コーティング層へ転写する際、いくつかの技術が用いられている。ほとんどの可視光および紫外線を用いたシステムは、従来のAgハロゲン化物による現像に基づいている。熱写真法は、フォトポリマーの化学構造を熱によって改変し、その後アルカリ性溶液槽中で画像を現像する工程に基づいている。その一例として、Kodak Polychrome Graphics社による熱印刷版/830がある。熱刷版の感度は典型的には100〜150mJ/cm2オーダーである。これを露光中の基板温度に換算すると650℃を超えた温度となる。プロセスレス刷版は、例えば、親油性銀層などの薄肉コーティング層の溶発/気化に基づいている。プロセスレス刷版の場合、後続の化学的現像は不要であるが、高温の露光温度が必要となることが多い。その一例として、Agfa社によるミストラルプレートがある。
【0008】
典型的な直接レーザ描画のための刷版出力装置は、個別制御されたレーザダイオード5、5’、5’’の線状アレイからなり、当該アレイは光ファイバ25に結合され、テレセントリックレンズシステム4を用いた印刷版表面に集束される(図10(a))。あるいは、円筒形レンズアセンブリ4および空間光変調器24、例えば、デジタルミラーデバイスアレイまたは液晶アレイ、に結合された非集束レーザ光源5を用いてもよい。偏光板と結合された二次元空間光変調器を用いて、印刷速度を高めてもよい(US6208369)。直接レーザ描画法は、紙印刷用の印刷版を作成する際に広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記記載から、電気活性トランジスタ回路の製造に熱印刷技術を直接適用するのは不可能であることは明らかである。熱写真装置において用いられる露光温度は、ポリマートランジスタ回路の製造とは両立しない。ほとんどのポリマー材料は、250〜300℃を超える温度で加熱されると、著しい劣化を示す。さらに、電気活性回路の場合、回路の一部はパターニング対象層によって形成され、光ビームの集束先となる基板は、基板上に堆積された複数の電気活性ポリマー材料層を既に含んでいる場合がある。それとは対照的に、印刷版は最終基板上に転写されるインク/トナーにとって中間キャリアとなり、前記印刷版上にパターニングされる犠牲層そのものは、最終画像の一部とはならない。後述するように、これらの重要な相違点は、活性電子回路の作製を印刷版の作製よりもずっと困難なものとするような、温度、安定性および厚さに関する厳しい要求を科すこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明およびその好適な局面は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態は、電気活性ポリマー膜3のダイレクトパターニングのための低温レーザ描画法に関する。電気活性ポリマー膜3は、溶液から基板1上の薄肉連続膜としてコーティングされている。溶液から薄膜を堆積させるための適切な堆積技術を挙げると、スピンコーティング、ブレードコーティング、押し出しコーティングまたは他の形態の印刷(例えば、スクリーン印刷)がある。波長λの強力なレーザビームをサンプル上に集束させて、前記電気活性ポリマーの溶解度特性に局所的変化を引き起こす。好適には、前記溶解度変化は、前記ポリマーの局所的加熱によって引き起こされる。好適には、前記光ビームは、前記電気活性ポリマーの損傷が最小となるような赤外線波長を有する。照射を受けることにより、未照射形態のポリマーが溶解可能な特定溶媒にポリマーが溶けなくなる場合、ポリマー膜を局所的に照射に曝し、上記溶媒の槽中で洗浄することにより、パターンを生成することが可能である。膜が露光を受けた領域のみにおいて、基板上にポリマー材料が残留する。パターンは、レーザビームをサンプル上に走査することにより、描くことが可能である。
【0012】
レーザ光を効率的に吸収するために、光吸収層(2)を前記電気活性ポリマーと直接に接触するように堆積させてもよい(図1)。光吸収層は好適には、使用されるレーザ波長に対して強力な吸収断面積を有する。光吸収層は好適には、溶液から堆積されかつ電気活性ポリマーの堆積原料である溶媒に対して不溶性である。光吸収層の堆積は、電気活性ポリマーの前後どちらでもよい。光吸収層は、結合剤ポリマーマトリクス中に混合された色素分子からなるものであってもよいし、あるいは、単に金属膜からなるものであってもよい。色素分子は、色素/ポリマー混合物からの溶液堆積により、電気活性ポリマーに直接混合してもよい。あるいは、レーザ波長については、光が電気活性ポリマー中に吸収されることにより光吸収剤の追加が不要となるような波長を選択するとよい(図2)。赤外線活性分子内振動およびそのような振動の倍音のため、近赤外線スペクトル域および中赤外線スペクトル域において強力な吸収を示すポリマーは多数存在する。
【0013】
電気活性ポリマーの中には、熱起因変態を起こして、様々な溶媒に対する溶解度が著しく変化するものがある。そのような熱起因変態を示す重要な共役高分子としては、導電性ポリマーポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)プロトン化ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)がある。Bayer Chemical Corporationによって開発された合成経路(L.B.Groenendaalら、Adv.Mat.12,487(2000))は、エチレンジオキシチオフェンモノマーを高分子対イオンPSS含有水溶液中で重合させる。その結果得られたポリマー溶液は数ヶ月にわたって安定するため、PEDOT/PSS薄膜をスピンコーティングなどの技術によって容易に堆積させることが可能である。しかし、150〜250℃の温度でのアニールおよび水PEDOT/PSS膜の乾燥後は、当該膜は水溶性ではなくなる。集束レーザ照射による局所的加熱を用い、その後、溶媒槽(例えば、水、イソプロパノール、アセトンの槽)中でPEDGT/PSSパターンを現像することができる。そのようなPEDOT/PSSパターンは、ポリマーTFTデバイス用の電極として用いることが可能である。膜導電性の向上を著しくかつ望ましい形でもたらす前記の熱起因性溶解度変化がPEDOT/PSS中に発生する仕組みについては、現時点では完全には解明されていない。この熱起因性溶解度変化は、PEDOTとPSSとの間の熱起因性相分離によって密接に接触している正荷電PEDOT領域および負荷電PSS領域間において強力なイオン相互作用が発生することに関連している可能性がある。PEDOT/PSSの場合、近赤外線および中赤外線中における強力なポーラロン吸収特性のため、赤外光を直接PEDOTに吸収することができる(L.B.Groenendaalら、Adv.Mat.12,487(2000))。
【0014】
他にもいくつかの共役高分子があり、例えば、半導体ポリフルオレンポリマーも、固体状態のポリマー配座の熱起因性変化による溶解度変化を示す。加熱により、ポリマー配座を、溶液コーティング後の高エントロピーの不規則状態から、より規則性のある、あるいは結晶性の配座を有する低エントロピー状態へと、局所的に変化させることができる。これは、液晶状態を示すポリマーにおいても見受けられる。このような、より規則性のある状態においては、ほとんどの溶媒の溶解度は低下し、現像用溶媒を注意深く選択することにより、ポリマーがアモルファス状態となっている領域中のポリマーを洗浄除去することにより、パターンを現像することができる。
【0015】
このパターニング技術に適した他の等級のポリマーとしては、例えば、高温時の可溶化離脱基の解放により、ポリマー主鎖の化学構造の熱起因性変化を生じる前駆体ポリマーがある。例えば、ポリフェニレンビニレンまたはポリチエニレンビニレン前駆体である。例えば、D.Marsitzkyら、”Advances in Synthetic Metals”,ed.P.Bernier,S.Lefrant,G.Bidan,Elsevier(Amsterdam)p.1−97(1999)を参照のこと。典型的な変換温度は、200〜300℃のオーダーである。
【0016】
あるいは、架橋反応を用いてもよい。その場合、ポリマーは、局所的加熱が加えられると膜を不溶性ネットワークに変態させる架橋剤と混合される。適切な架橋剤の一例として、ヘキサメソキシメチルメラミンがある。局所的加熱の代わりに、紫外線ビームを用いて架橋を起こしてもよい。
【0017】
電気活性ポリマーを光露光の間の劣化から保護するためには、温度を注意深く最低限にし、長波長の光を用いることが重要である。ほとんどの共役高分子は、300℃を越える温度で加熱されると劣化し、光誘起酸化を起こしやすい。特に、可視光および紫外線光に露光された場合にそうである。このような劣化は、赤外光の使用、並びにレーザ強度および露光時間を注意深く最小限にすることにより、回避可能である。さらに、露光は、窒素ガス雰囲気のような不活性雰囲気下で行ってもよい。
【0018】
レーザスポットによるサンプル走査は、高精度のxy平行移動台の上にサンプルを載置することにより行われる。あるいは、回転可能な電動鏡を用いて光ビームを走査してもよい。光吸収の発生対象となる層に対してレーザスポット焦点を調節するために、別にz方向の平行移動自由度が必要となる。レーザビームは、適切な光シャッタによりオンオフ切り替えしてもよい。このようにして、基板上にポリマーパターンを直接に描くことが可能となる。前記の機械的台をコンピュータ制御する場合には、適切なソフトウェアパッケージを用いてパターンを設計して、ポリマー膜に直接転写することが可能となり、マスクまたは印刷版を別に製作する必要が無くなる。
【0019】
WO99/10939 A2には、フォトマスクを通じた紫外線光(UV)への露光により導電性ポリマー膜をパターニングする技術が開示されている。前記フォトマスクは、UV光をブロックする金属化領域のパターンを含んでいる。前記ポリマーは、架橋剤と混合される。膜がUV光に露出される領域においては、架橋反応が発生し、その結果前記ポリマー膜は不溶性となり、そのため、未露光領域中のポリマーはその後洗浄除去することができる。この技術は、本明細書中にて提案されている技術といくつかの点において異なる。先ず、この技術の場合、TFT回路のレイアウト毎だけでなく、TFT回路の層毎に、フォトマスクが別個に必要となる。本明細書中にて提案されている直接描き込み技術では、異なる集束レーザスポットのオンオフ切り替え、およびレーザビーム下のサンプルの走査移動により、パターンを規定する。本明細書中にて開示する技術の場合、マスクプレートの作製は不要であり、サンプルとマスクプレートとの物理的接触も不要であるという利点がある。そのため、本発明者らの技術では、粒子汚染および摩耗が少なくなる。さらに、WO99/10939 A2に開示の方法は、UV光起因性架橋反応に依存している。本明細書中にて開示の方法の好適な実施形態において、溶解度変化は、低エネルギー赤外光による熱照射/局所的加熱に起因する。UV露光により、光酸化などのプロセスを通じて多くの電気活性ポリマーが劣化するのに対し、多くの共役高分子は、150〜300℃までの温度において良好な熱安定性を有する。
【0020】
端部が良好に規定されたパターンを達成するためには、レーザスポットの横方向強度プロファイルをできるだけ狭くする必要がある。レンズ集束から、顕著な非線形強度依存性を示す屈折率を有する材料へのビーム通過などの、より高度な技術までの、様々なレーザビーム集束技術を用いてもよい。光波長によって決まる理論的回折限界に近い直径dを有するレーザスポットを実現することが可能である。また、ビーム強度をできるだけ小さい距離s、すなわちs<<dである距離sにわたって最大からゼロまで落とすことも重要である。グラフィックアート業界において用いられている最先端の熱レーザ直接描画の場合、5〜10μmのスポットサイズを達成している。典型的なガウスビームよりも急峻でありかつ1μm以下のオーダーの長さスケールにわたって最大強度からゼロ強度まで減衰する強度プロファイルを達成することが可能である。その例を挙げると、Creoscitex corporation(www.Creoscitex.com)によるSquarespot(商標)plate− and trendsetter systemsまたはAgfa(www.Agfa.com)によるGalileo platesetter seriesがある。
【0021】
本発明の別の局面は、UVレーザアレイによってパターニングされた表面改変層に関連する。基板を紫外線に対して敏感な表面改変層でコーティングし、集束UVレーザアレイにより描画する。この基板を適切な現像剤中に浸漬すると、パターンが現れる。
【0022】
前記改変層は、紫外線露光が可能なポリイミド層(例えば、LCDディスプレイ製造においてUVフォトリソグラフィと共に用いられるもの。紫外線露光が可能なポリイミドの一例として、Nissan RN−901がある。)であればよい。このようなUVポリイミドは、良好に特徴付けられ、最適露光は公知であり、また、一般的な耐UV現像剤(例えば、Shipley MF319)中での現像が可能である。
【0023】
表面改変層の描画に適したUVレーザアレイとしては、MITにおいてH.I.Smithらによって設計されたゾーンプレートアレイリソグラフィツール(ZPAL)がある(“Lithographic Patterning and Confocal Imaging with Zone Plates,” Dario Gil,Rajesh Menon,D.J.D. CarterおよびH.I.Smithを参照。Journal of Vacuum Sciences and Technology B,Nov/Dec,2000中にて公開予定。)。
【0024】
ZPALのようなシステムにより、大きなエリア(−1mm)上のレーザスポットアレイを用いてレーザアレイヘッドを一回通過させることにより、表面パターニングをおよそ350nmの精度で行うことが確認されている(“Maskless parallel with zone−plate−array lithography,”D.J.D.Carter,Dario Gil,Rajesh Menon,Mark K.Mondol.H.I.SmithおよびE.H.Andersonを参照。Journal of Vacuum Sciences and Technology B 17(6),Nov/Dec,1999に掲載)。
【0025】
本発明の第2の実施形態は、表面自由エネルギーパターンを生成する方法に関する。この方法においては、レーザ描画法を用いて、ダイレクト電気活性インクの堆積をその後のコーティング工程または印刷工程において方向付けることができる(図3)。先ず、連続的な表面改変層8を基板上に堆積させる。層を選択する際には、下地基板の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有するものを選択する。例えば、基板は、ガラス基板のように親水性であってもよく、表面改変層は、ポリイミドのように疎水性ポリマーであってもよい。光吸収剤を堆積させてもよい。その後、上記と同様に局所的加熱を用いて前記層を改変する。本発明の可能な実施形態としては、前駆体ポリイミド層をガラス基板上に載置した後、200〜350℃の温度での局所的アニールを施すことにより、その不溶性形態に変換させる。その後、前駆体の形態にとって良好な溶媒、例えば、シクロペンタノン中にて膜を洗浄することにより、パターン現像が可能となる。このようにして、広範囲のポリイミドのパターニングが可能となり、MerckによるZLI−2650のように従来のエッチングによって通常パターニングされているポリイミド、または、HD MicrosystemsによるPyralin P12720のように光描画可能なポリイミドのパターニングが可能となる。同様に、前駆体ポリフェニレンビニレンのような前駆体共役高分子の層を用いても良い。前駆体ポリイミドおよびPPVのどちらにもある特に魅力的な特徴としては、トランジスタの活性半導体ポリマー用のアライメント層としても用いることが可能な点がある(下記の議論を参照されたい)。
【0026】
前記表面改変層をパターニングすることにより、親水性表面領域および疎水性表面領域の表面自由エネルギーパターンが生成される。その後、そのような表面エネルギーがパターニングされた基板を電気活性ポリマー溶液中に浸漬すると、例えば、電気活性ポリマーからなる極性(あるいは無極性)溶媒堆積物のみが、親水性(あるいは疎水性)表面領域中に発生する。あるいは、表面自由エネルギーパターンを用いて、UK0009915.0に記載のインクジェット印刷のような直接印刷による電気活性ポリマー堆積物のインク液滴の位置および流れを方向付けてもよい。このようにして、レーザスポット精度を、液滴飛来方向の偶発的変化および基板上の湿潤条件の変動による制約を受けるインクジェットプリンタの解像度よりもずっと高くすることができるため、高解像度印刷が達成可能となる。表面自由エネルギーパターニングによって作製された導電性電気活性ポリマーの高解像度の印刷パターンは、印刷された薄膜トランジスタ回路の電極および接続配線として用いることができる(H.Sirringhausら、Science 290,2123(2000))。図4は、半導体ポリマー11および誘電ポリマー12の層の堆積およびソース−ドレインチャンネルとオーバーラップした導電性ポリマーゲート電極13の印刷後に完成したポリマー薄膜トランジスタを示す。図4に示すようなTFT層構造を構築する際は、下地層の溶解および膨張を避けるために溶媒を注意深く選択しなければならない。極性溶媒および非極性溶媒を交互に用いることで、異なるポリマー・ポリマー間の界面を含むTFTの適切な一体的構造が達成可能であることが分かった(H.Sirringhausら、UK0009911.9)。
【0027】
表面改変層はTFTの導電性電極および半導体層に直接接触しているため、表面改変層がデバイスへの電荷注入への妨げとなっていないか、また半導体層を汚染していないかという点について確認するよう注意が必要となる。前記表面改変層の厚さはできるだけ薄く、すなわち、100〜500Åのオーダーにすべきである。このようにして、本発明者らは、薄肉半導体層および/または上部にコーティングされた他の層の等角コーティングと、寄生の少ないソース−ドレイン接触抵抗とを保証する。本発明の好適な実施形態において、表面改変層はエレクトロニクス用誘電ポリマー、例えば、ポリイミドであり、このポリマーは、低分子量の移動性の不純物留分を含まず、その後のデバイス層の溶液堆積に用いられる溶媒に対して非溶性である。
【0028】
上述したような表面エネルギーパターンのパターニングは、以下のようにして達成可能である。〜830nmまでの吸収色素(SDA8703)を含有するポリイミド(P12610)溶液を、溶媒N−メチルピロリドン中で作製する。前記溶液中の個体内容物のうちおよそ10%は色素であり、90%はポリイミドであった。この溶液を用いてガラス基板をスピンコーティングし、全て約〜100nmである様々な膜厚さ(ソフトベーキング後)を達成した。ソフトベーキング工程は、80℃のホットプレートの上で10分間のベーキングからなる。
【0029】
描画は、レーザのパワーおよび(レーザを集束させ、かつ、させないための)高さの範囲において行われた。このポリイミドについて従来推奨されてきた硬化温度は300℃で30分であるため、その目的は、高度に集束されたレーザが基板を走査する際、ポリイミドが短時間で(しかも非常に局所的に)この温度を上回るようにすることである。
【0030】
レーザビームを薄膜上に集束させるための正しい高さを確認したところで、線量トライアルを行って、線幅の変動を確認した。全てのトライアル対象線量(レーザパワーの総量としては5W〜12W(380〜910mJ/cm2)に相当する、について、描画が達成された。各線量について最狭線は約8μmを決して越えず、中には2μmと狭い線量もあった。このプロセスは、ある程度自己制限的である可能性がある。その理由は、ポリイミドは硬化するのに数百℃まで加熱する必要があり、このような温度においては、エネルギー吸収色素は漂白されるからである。色素が漂白されてしまうと、ポリイミド中にはエネルギーは溜まらない(かまたはごく少量しかたまらず)、硬化プロセスは停止する。
【0031】
描画の直後、パターンをポリイミド中で(現像無しに)見ることができる。その理由は、膜の硬化エリアが薄くなっており、かつ色の変化が少ないからである(後者の理由は、色素が漂白され、描画プロセス中に膜が空気に晒されるからである)。前記パターンの現像は、樹脂作製に用いられる溶媒(N−メチルピロリドン)中に描画後のサンプルを浸漬することにより行われる。前記現像プロセスは、前記P12610ポリイミドの場合、室温で約20分を要する(低分子量ポリイミドの場合、これより短時間で済むことが多い)。前記現像プロセスも自己制限的となる可能性がある(24時間現像されたサンプルは、30分間現像したものと明白な相違が無かった)。その理由は、膜の完全に硬化した部分は溶媒に決して溶けないからである。しかし、部分的に硬化した膜は、最終的には基板から完全に溶けだして、この現像により、あるサンプルに関しては、サンプルの大部分が完全に除去された。その場合、現像時間について時間的制約を厳しくしなければならないが、通常は、完全硬化膜についていえば、このような事態は回避可能である。
【0032】
前記描画パターンは、幅5μmで10μmピッチを意図した水平線および垂直線を含んでいた。描画の間、これらの垂直線は台の移動方向に対して平行であり、これらの水平線はこれに対して垂直であった(これにより、一回の通過で単一垂直線を描画できるのに対し、水平線が1本の場合、その長さに応じて多数回の通過が必要となる)。前記水平線幅および垂直線幅の明らかな差は、全てのサンプルにおいて明らかである;というのも、垂直線は常に水平線より1/3にまで狭いからである(図16、17および18を参照)。
【0033】
集束トライアルでは明白な傾向は見られなかったものの、線幅がレーザ高さの関数となっていることから、レーザは30(分離、任意単位)において集束したことが分かる。しかし、低線量(450mJ/cm2)および高線量(908mJ/cm2)において、幅4μm以下の垂直線が見られた。これらの水平線は、色素が露光後にポリイミドから集まることを、更なる証拠を示すものである。このような現象は、図17および図18を比較すると分かるように、垂直方向に描画された線にはあまり見られなかった。
【0034】
測定された線のうち最狭のものは、線量380mJ/cm2で達成され、20分間現像された。これらの線を図19に示す。これらの線は、幅が2μmまでも小さく、良好な均一性を示した。
【0035】
図20は、現像後の数本の対角線上の描画線を示す。前記線の端部が鋸歯状になっているのは、描画に用いられたレーザスポットが四角いからである。この種の線は、ポリイミド線の実際の長さと比較してTFT中の有効チャンネル幅を増加させるのに有用であり得る。
【0036】
前記現像されたパネル上のインクジェット印刷は、ポリイミドがガラス上に疎水性領域を形成し、印刷された電気活性ポリマーを局在化することを示した。これは、水性のポリマーを効果的に印刷するために、ガラスを十分に親水性とする目的で、現像されたポリイミドパターンを、印刷前に酸素プラズマ中で1分間エッチングすることにより達成された。
【0037】
レーザ描画されたポリイミド線の表面品質は良好であるため、パターニング後のポリイミドに対して機械的研磨を加えた後、その上に半導体ポリマーをアラインすることができる。これを、図21に半導体ポリマーF8T2について示す。この半導体ポリマーF8T2は、ポリマーを150℃の温度で液晶相にすることにより、レーザ描画およびその後の研磨を受けたポリイミド線上にアラインされた。ポリマーをアラインさせた結果、F8T2ポリマーの連鎖がTFTにおける移動方向に対して平行にアラインされた場合、TFT移動度が増加する。
【0038】
本発明の別の実施形態は、表面改変層14に関連する。表面改変層14も、局所的加熱により基板から局所的に脱着可能である(図5)。これは、表面改変層14の蒸発を伴い得る。しかし、蒸発に必要な温度は、十分に低くする必要がある。表面改変層は、共有結合的に表面に付着している自己組織化単層、例えば、親水性ガラス基板上に堆積したアルキルトリクロロシラン層またはヘキサメチルジシラザン層、であればよい。加熱温度は、分子と表面との共有結合を破壊するくらいの十分な温度でなければならない。別の例として、150〜300℃のオーダーの温度において蒸発/昇華する、低分子量でかつ無機分子の層、例えば、αまたはβ置換ジヘキシルクオタチオフェンまたは9、9’ジアルキルフルオレンモノマーがある。
【0039】
原則としては、このプロセスは、電気活性ポリマーを直接パターニングする際にも用いてもよい。しかし、ほとんどの電気活性ポリマーは蒸発または溶発の間に劣化/分解しがちである点に留意すべきである。
【0040】
本発明の別の実施形態は、表面化学反応を熱を用いて促進することにより、表面パターンを達成することのできる方法に関連する(図6)。液体または好適には基板上部層との熱活性化された表面化学反応を起こすことが可能な分子15を含むガス雰囲気中に基板を浸漬させると、レーザビームで照射された領域中においてのみ化学反応が発生するようにして表面パターン16を生成することが可能となる。そのようなプロセスの一実施形態として、最上位層として極性親水性ポリマー、例えば、ポリビニルフェノール(PVP)層を含む基板、または単純なベアガラス基板がある。表面の極性は、プラズマ処理、例えば、高周波酸素プラズマ(50〜250W、13.5MHzで2〜5分)へ晒すことにより、向上させることができる。その後、基板を、基板に対する定着基および表面エネルギー変化用の疎水性後部基を含む自己組織化単層(SAM)の雰囲気(空気中または不活性窒素)中に浸漬する。単純な閉反応装置のガラス容器は、ヒータに接触するその底部において自己組織化分子の液体溜めを収納しており、上部には水冷コンデンサを収納している。ガス相に晒された液体上方のサンプルホルダ上にサンプルを載置する。サンプルの裏側を冷却してもよい。容器は、加熱放射が通り抜けるサンプル表面近傍において、透明窓部を有する。
【0041】
基板の求核が弱い場合、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)または多くのポリマー基板の場合、クロロシランまたはアルコキシシランとの表面反応は、室温ではあまり進行しない(Koideら、J.Am.Chem.Soc.122,11266(2000))。しかし、典型的には80〜100℃を越えた温度では、表面反応は急激に発生し、その結果、親水性サンプル表面上に高密度の自己組織化単層が数分間のうちに形成される。自己組織化単層により、表面疎水性が局所的に発生する一方、未加熱領域の表面は親水性のままである。この表面エネルギーパターンをその後の印刷工程、例えばインクジェット印刷工程において用いて、上述したように電気活性ポリマーのインク液滴を方向付けることができる。反応活性化に必要な温度が低いため、この技術は、局所的温度が100〜150℃を越えてはならない数層の電気活性ポリマー層が基板中にすでに含まれるパターニング工程に特に適していることが理解されるべきである。これは、図4中のゲート電極のパターニングにおいて特に魅力的である。表面改変層を用いて、導電性ポリマーの狭線をインクジェット印刷することができ、その結果、ゲート電極とソース/ドレイン電極との間のオーバーラップ容量が最小化される。
【0042】
上側層上にパターニングを行う場合、セルフアラインプロセスを用いるとよい。このプロセスでは、事前に規定されたパターンを用いて、放射に露光される基板の領域を限定する。例えば、図4中のTFTのゲート電極のパターニングの場合、光ビームが透明基板の裏側から入射されると、事前に堆積されたソース電極およびドレイン電極により光の一部がブロックされ、吸収され、または少なくとも有意に減衰する。赤外光および導電性ポリマーPEDOTの場合、PEDOTは赤外線の吸収性が高い。この光により、ソース電極とドレイン電極との間の領域中の上側層のみを改変するようにする。このプロセスは、ゲート電極に対するセルフアラインされたパターニングを方向付けるのに用いてもよい。あるいは、上述した自己組織化単層のようなゲート誘電体上の表面改変層44を、このようにしてパターニングしてもよい。その後、ゲート電極材料のセルフアライン堆積、例えば、直接印刷によるものを行い、それにより、ソース−ドレイン電極とゲート電極との間のオーバーラップ容量を極めて小さくすることができる(図22)。
【0043】
他の熱活性化による表面反応、例えば、ポリマーの表面上へのグラフトを用いてもよい(W.T.S.Huckら,Langmuir 15,6862(1999))。このようにして、光吸収に起因する反応を促進することにより、表面からのポリマー層成長を局所的に開始することが可能となる。
【0044】
本発明の別の実施形態は、局所的加熱により表面層中に厚さプロファイルを生成する方法に関する(図7)。多くのポリマー18は、アニールされると、ポリマー充填の変化(例えば結晶化によるもの)、架橋または揮発性種の脱着による永久的な体積変化を生じる。上述したように、光吸収色素膜をドープされたポリイミド前駆体膜は、赤外光による熱変換に晒されると、厚さ変化を生じる。いかなるポリマーも、自身の分解温度近くまでアニールされると、重量の減少/体積の変化を生じる。特定のポリマーシステムの場合、熱重量分析(TGA)によって分解温度を決定することができる。表面上の厚さプロファイルを用いて、ポリマー層を自己組織化単層20でインク付けされた平坦なゴムスタンプ19と接触させることにより、ポリマー表面の表面エネルギーを選択的に変化させることができる。このSAMパターンを用いて、その後の電気活性ポリマー印刷工程においてインク局在化バリアを提供することができる。このスタンプは出来るだけ平坦かつ硬質にする必要があり、スタンプのたるみを防ぐため、適用圧力はできるだけ低くする必要がある。この技術は幅2〜10μmの狭線を規定する際に特に適しており、1000Åのオーダーの小さな厚さコントラストがあれば、スタンプと後退領域の表面との接触を回避するのに十分である。
【0045】
この技術は、ソフトリソグラフィックスタンピングに関する(Xiaら、Angew.Chem.Int.Ed.37,550(1998))。この技術では、表面起伏パターンを備えたソフトPDMSゴムスタンプを用いて、SAMを平坦なポリマー表面上に選択的に堆積させる。このソフトリソグラフィック技術の不利点としては、下地パターンに対してSAMパターンを正確に位置合わせするのが困難な点と、スタンプの可撓性および歪みのため、広い領域にわたってパターンがひずみを生じる点とがある。本明細書中にて提案する技術の場合、表面起伏パターンはポリマー表面上に形成されるため、前記スタンプ歪みによるスタンプの問題は解消される。
【0046】
本発明の別の実施形態は、表面改変層22のサンプル基板1上への直接堆積に関する。このような直接堆積は、別個の転写基板21からの熱刺激による転写により、達成可能である(図8)。パターン転写を正確に行うためには、サンプルと転写基板との間の距離はできるだけ小さくする必要がある。この距離は好適には1mm未満であり、最も好適には500μm未満である。また、この場合、転写基板と転写対象層(単数または複数)との間で光吸収層を用いてもよい。光露光を受けると接着性を失うかまたは蒸発する解放層を追加して、光吸収層と解放層との間で用いてもよい。この方法は、電気活性ポリマーパターンを直接堆積させる際に用いることができるが、多くの電気活性ポリマーの場合、熱転写の間に発生する劣化を回避するために特殊な処理が必要となる。しかし、本方法は、表面エネルギーを局所的に変化させかつその後の電気活性ポリマー10の印刷のためのバリア層を提供する表面改変層23の堆積に適している。適切な解放層材料としては、室温および大気圧中にて固体であり、100〜300℃を越える温度において蒸発する小さな有機分子(サンプル基板の極性に応じて極性または無極性でもよい)の層であればよい。好適には、転写基板上へのコーティングが低コストで行えるよう、分子は溶液処理が可能である。そのような分子の一例としては、可撓性の側鎖置換基を有する短い共役オリゴマー、例えば、α−β置換ジヘキシルクオタチオフェンまたは9、9-ジアルキルフルオレンモノマーがある。そのような転写プロセスにおいて、サンプル基板は直接加熱されず、そのため、このプロセスは、低温のプラスチック基板または温度に対して高感度な電気活性層をすでに含む基板の場合に特に適している点に留意されたい。
【0047】
転写された改変層の厚さおよび純度に関する同様の考慮は、基板上に直接堆積された表面改変層のパターニングの場合と同様、ここでも当てはまる。
【0048】
高い電荷キャリア移動度を得るためには、トランジスタデバイスの半導体ポリマー層を規則性の高いものにする必要がある。これは、自己組織機構を利用することにより、達成可能である。様々な自己組織化半導体ポリマーを用いることができる。例えば、レジオレギュラーポリ−3ヘキシルチオフェン(P3HT)、およびポリフルオレンコポリマー(例えば、ポリ−9、9ジオクチルフルオレン-コ−ジチオフェン(F8T2)である。
【0049】
ポリマー連鎖に沿った高速連鎖間移動を最適に利用するために、TFT中の電流の流れ方向に対して平行なポリマー連鎖の一軸アラインメントが望ましい。液晶半導体ポリマー、例えばF8T2の場合、アラインされた分子構造を有する層(H.Sirringhausら、Appl.Phys.Lett.77、406(2000))、例えば、機械的研磨を受けた、または光学的にアラインされたポリイミド層の上に半導体ポリマーを堆積させることにより、アラインメントを起こすことができる。
【0050】
一軸上のポリマーアラインメントは、直線偏光への露光によっても起こすことができる。フォトアラインメントが可能なポリマーの例としては、ポリイミドまたはシナメート基またはアゾベンゼン基を含むポリマーがある(Ichimura,Chem.Rev.2000,1847(2000);Schadtら,Nature 381,212(1996))。パターニングに使用される光ビームは、通常、直線偏光していると有用であり、偏光を用いて、ポリマー層のアラインされた分子構造を引き起こし、同時にパターンを規定することができる。この技術を用いて、パターンされかつアラインされた表面エネルギーバリア、例えば、(a)高い印刷精度を提供しかつ(b)その後の活性半導体ポリマーの堆積においてアライメント層としての役割を果たすことのできるフォトアラインメント可能なポリイミド、例えば液晶ポリマーを生成することができる。この技術を用いて、フォトアラインメント可能な半導体ポリマー、例えば、側鎖中のアゾベンゼン基を含む共役主連鎖ポリマーを直接パターニングし、アラインさせることもできる。
【0051】
上述した全てのプロセスにおいて、基板1は、剛性基板、例えば厚いガラス基板であってもよいし、可撓性基板、例えば、薄肉ガラス基板またはプラスチック基板、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)であってもよい。ガラス基板または高温プラスチック基板(PI)の場合、パターニングに必要な温度(100〜400℃)は、基板の温度安定性と両立する。低温プラスチック基板、例えば、150℃を越える温度で加熱されるとひずみを生じるPETの場合、光波長は、基板が入射する放射に対して透明であり、かつほとんどの熱が光吸収層中にて生成されるように、選択すべきである。このようにして、基板にひずみを生じることなく、パターニング用の高温を局所的に達成することができる。
【0052】
上記技術のいずれかのパターニングの解像度は、レーザスポットの強度プロファイルの直径および鋭さs(図1)によって決定される。赤外光による加熱の場合、基板上の様々な層および基板そのものの熱導電性を制御することが重要である。ほとんどの高解像度パターニング用途の場合、熱伝導を最小限にすることが重要である。これは、低熱導電性を有する適切な材料を選択し、パターニング対象層と基板との間に専用の低熱導電性および光非吸収中間層を取り入れ、かつ/またはレーザをパルス長さがナノ秒オーダーのパルスモードで動作させることにより、達成可能である。ほとんどの場合、各位置上に数個の強力パルスを起こせば、所望の熱変化を起こすことが可能である。最大パターン解像度と最小材料損傷との間のバランスを最適化するために、ショット強度およびショット数を最適化すべきである。熱伝導が最小化されると、最適なパターニング解像度が達成可能となる。
【0053】
可視光または紫外線光への露光によるフォトパターニングの場合、解像度は、多くの場合レーザスポットの集束によってのみ限定される。レーザスポットは、原理的に光の波長λ、すなわち、マイクロメータ未満のサイズにまで集束することができる。
【0054】
サンプル上にビームを走査することにより、例えば、高精度二次元平行移動台(図9)上にサンプルを取り付けることにより、任意のパターンが規定可能である。最先端の平行移動台を用いて、0.2〜0.5μmの位置合わせ精度が達成可能となる。あるいは、可撓性基板の場合、基板を回転ドラムに取り付ける一方、ドラムの内側または外側にレーザアセンブリを取り付けてもよい。レーザシステムおよびサンプルホルダの取り付けは、サンプルに対するレーザビームの振動が最小限となるように行うべきである。描き込み可能な最小線幅はスポット直径dのオーダーであり、一方、2本の印刷線間の最小距離はsのオーダーである。そのため、グラフィックスアート業界用の最先端の熱写真システムを用いて、本明細書中に記載の方法により、線幅が5〜10μmのオーダーで最小チャンネル長さが2〜5μm未満の実用的な薄膜トランジスタ回路を直接印刷することが可能となる。
【0055】
多数のレーザスポットを平行に用いることにより、本技術のスループットは大きく増加することが可能である(図10)。個別スポットの強度プロファイルは、焦点面においてオーバーラップさせてもよいし、あるいは空間的に分離してもよい。前者の場合、広い領域にシームレスパターンを描き込む場合に有利である。スループットをさらに向上させるために、例えば、高速電動鏡によってレーザビームを偏向させることにより、レーザビームを走査してもよい。より高いスループットのためのレーザ直接描画技術は、グラフィックアート産業における印刷のために開発されてきた。
【0056】
高いスループットを低コストで達成するために、ポリマートランジスタ回路の製造をリール・トゥ・リール処理によって行ってよい。この処理では、新聞の印刷と同様に、連続する可撓性基板のシートを一連の処理ステーション中に通過させる(図11)。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態は、一次元線状アレイからなる単純な表面エネルギーパターンから複雑な回路パターンを印刷する方法に関連する。
【0058】
集束光スポットの線状アレイの下方にて基板を連続的に移動させると、上述した技術のうち1つを用いて、断面方向の狭平行線からなる高解像度表面エネルギーパターンを規定することができる(図11)。その後の工程において、低解像度の粗印刷技術、例えば、高解像度表面エネルギーパターンを用いて全ての重要なフィーチャを規定するインクジェット印刷を用いて、電気活性ポリマーの複雑なパターンを直接描き込むことができる(図12)。これは、複雑な方式で接続された類似または同一のデバイスからなるアレイの場合、特に適している。そのような回路の例としては、活性マトリクスアレイ(図13)またはゲート−アレイ論理回路がある。後者の場合、同一の一次元アラインメントフィーチャからなるアレイを、特定の論理エレメントに適合した形状を有するように形成する。別の例としては、アラインメントフィーチャ32に例えば単純なU字形状を持たせた単純なNORゲートがある。高解像度ソース−ドレインチャンネルは、表面エネルギーパターン、低解像度接続部、バイア・ホールを用いてアライン可能であり、電極は任意の位置に直接印刷可能である。
【0059】
本明細書中にて提案の方法は理想的には、リール・トゥ・リールプロセスに適している。なぜならば、表面エネルギーパターンの規定が、最初のプロセスステーションにおいて光点線状アレイの下方の可撓性基板を単純に回転させ、第2のプロセスステーションにおいて、必要な電気活性ポリマーパターンを直接印刷することにより得られるためである。必要ならば、表面エネルギーパターンを槽中で現像する中間工程を設けてもよい(図11)。
【0060】
一次元の高解像度アラインメントフィーチャレイと直接印刷技術、例えば、インクジェット印刷とを組み合わせて用いることで、ほとんどのいかなる回路機能をも達成可能となる。1つ以上の表面エネルギーバリアによって分離された異なる領域中のデバイス間に接続配線を規定するために、1つ以上の液滴をバリア線上に直接に配置することにより、表面エネルギーバリアを横断するように(図12)簡単に印刷を行うことが可能となる。あるいは、レーザビームをオンオフ切り替えして接続配線を交差させるためのスペースを残すことにより、特定の領域中の一次元線アレイを中断させてもよい。(図13)。一般的には、一次元アラインメントフィーチャは、断面方向に対して平行である必要はない。単一のレーザビームの走査または個別に偏向が可能なビームのアレイの走査により、任意の一次元フィーチャを基板上に直接に描き込むことが可能である。
【0061】
多くの場合、基板上の事前印刷されたパターンに対して印刷パターンをアライン/位置合わせする必要がある。例えば、表面エネルギーパターンに対してソース電極およびドレイン電極を印刷する場合または下地ソース−ドレイン電極パターンに対してゲート電極を印刷する場合、正確な位置合わせが必要となる。プリンタヘッド位置合わせシステムに取り付けられた支持部に対して基板端部を押すだけで、粗アラインメントが達成可能である。この機械的アラインメントは、主に従来のオフセット印刷において用いられる。
【0062】
基板パターンとプリンタアセンブリとの間の相対アラインメントを光学的検査ステーション、例えば、プリンタヘッドアセンブリおよび基板パターン双方を同一画像上で目視可能なように取り付けられた高速高解像度CCDカメラ、を用いて観察することにより、より高精度の位置合わせが達成可能である。適切なソフトウェアを用いて画像分析および自動化パターン認識を行って、基板パターンの印刷ヘッドに対する相対ミスアラインメントを判定することが可能である。サンプルのx−y位置およびプリンタ軸に対する角度を修正することにより、印刷前の位置合わせを正確に行うことが可能となる。
【0063】
端部検出技術を利用することにより、位置合わせをより高速かつより効率的に行うことが可能となる。基板と光学的印刷システムとの間の位置合わせが可能な端部検出技術が、EP 10181 458A2に開示されている。これらの技術は、光学的検出器を用いて、光学的特性が異なる2つの表面領域を有する表面を走査する際、集束光ビームの伝送または反射を測定することに依拠している。光点は、印刷ヘッドの印刷位置からの公知の固定距離を有する。例えば、検出システムによって記録された階段状信号から、印刷を行う前に基板端部位置を自動的に判定することができる。
【0064】
異なる光学的吸収/反射特性を有しまたは集束光ビーム40によって励起された際に蛍光を発する材料からできた基板上の第1のパターン中にアラインメントマークを規定すると、印刷ヘッド44下方のサンプルを走査し、フォト検出器41の強度信号をモニタリングする際、このアラインメントマークの印刷ヘッドに対する相対的位置を判定することができる(図15(a))。
【0065】
x方向およびy方向における正確な位置が分かるように設計されたパターン、例えば、細棒42および43のアレイを用いれば、サンプルをx方向およびy方向両方に平行移動させることにより、高精度の位置合わせを達成することができる(図15(a))。
【0066】
また、アラインメントマークの設計を、印刷ヘッド下方のサンプルを一回リニア走査する、すなわち、x方向のみに走査することで、基板の印刷ヘッドに対する位置および方向両方が分かるようにすることもできる。その一例を図15(b)に示す。この具体例において、光検出器が以下のようにして最大信号を検出した位置である測定位置x1、x2およびx3から、基板の位置合わせシステムのx軸に対する未知のミスアラインメント角度βと、位置合わせシステムの座標系中の光点中心(0、0)からの基板上の特定の固定点(0、0)´の距離Δ0とを判定することができる。
【0067】
【数1】
【0068】
このアラインメントマーク位置および方向の一次元走査検出は、x方向およびy方向両方への走査よりも高速である。この検出は、y方向の位置合わせがあまり重要ではない場合、例えば、細線フィーチャがy方向に優先的に方向付けられている場合(例えば、図14)に特に適している。
【0069】
あるいは、2つ以上の光ビーム(および検出器)47,48を用いる場合、少なくとも2つの非平行端部46を有する単一のアラインメントフィーチャを横切るようにヘッドをまず走査し、その後、基板フィーチャ49に対する正確なアラインメントで印刷を行うことにより、基板の印刷ヘッドに対する位置および方向を判定することができる。第1の端部を横切って2本のビームを走査する場合(図15c)、誤った方向の角度および走査方向位置を判定することができる。走査方向に垂直な基板の位置は、2本のビームによって測定された第1の(立ち上がり)端部および第2の(立ち下がり)端部の間の時間間隔の差から得られる。
【0070】
可撓性基板を用いる場合、その基板は、後続のパターニング工程の間に熱膨張および機械的ストレスに起因する歪みを生じる可能性がある。これらの歪みが回路の最も精細なフィーチャ45の最大オーバーラップ公差よりも大きい場合、単一のアラインメントプロセスでは不十分であり、アラインメントを局所的に行う、すなわち、印刷前に基板上の各デバイス群についてアラインメントを局所的に行う必要がある。印刷プロセスの間、歪みレベルおよび要求されたアラインメント精度に応じて、このような局所的アラインメントを一定の頻度で繰り返し行う。
【0071】
アラインメントマークの走査検出は高速であるため、印刷プロセスの著しい低速化を招くことなく、局所的に行うことが可能である。各デバイス群は、自身の隣にアラインメントマークを有することができ、以下のようにして方向付けられる。すなわち、アラインメントシステムの光ビームが先ずアラインメントマークを通過し、端部を検出し、その位置を適宜修正し、その後、アラインメントマークに対して良好に規定された位置において材料堆積を開始し、基板上の特定の高解像度フィーチャ45に対して位置合わせを良好に行う。アラインメントマークの位置は、印刷ヘッドの移動が必要無いか殆ど必要無いものであるべきである。すなわち、アラインメントマークを横切る走査移動は、印刷ヘッドを1つのフィーチャ群から次のフィーチャ群へと移動させるのに必要な移動の一部であるべきである。上記にて提案した位置および方向を一回の走査で検出する方法は、局所的アラインメントを高速実行する際に特に有用である。
【0072】
歪みを有する基板上で、基板フィーチャと印刷ヘッドとの間の相対的局所的位置の走査検出では、基板上の空間的歪みパターンを検出する。各フィーチャにおいて局所的アラインメントを行う必要はないが、局所的アラインメント工程の回数は、基板歪みの程度および必要なアラインメント公差によって異なる。基板歪みパターンが1つのサンプルから次のサンプルへと再生可能である場合、1つの基板上の特徴的歪みパターンを判定し、その後、同条件で作製される今後の基板上のその特徴的歪みが自動的に修正されるよう、印刷ヘッド用の位置合わせシステムをプログラムすれば十分である。
【0073】
局所的走査アラインメントはまた、複数のノズルインクジェット印刷と共に用いることも可能である。この場合、各印刷ヘッドは、標準アレイ中に構成されたノズルのアレイを有する。ほとんどのドロップ・オン・デマンドインクジェットシステムの場合、各ノズルからの液滴飛来方向を個別に変化させるのは困難である。そのため、所与の程度の基板歪みがある場合、各印刷ヘッドの寸法が十分に小さく、その結果印刷ヘッドの局所的アラインメント全体により印刷精度が印刷ヘッド上の全ノズルのアラインメント公差内におさまるぐらいになることが確実でなければならない。大型フォーマットのプリンタの場合、数個のヘッドは平行に取り付け可能であり、ヘッドの対基板位置は個別に制御可能である。しかし、連続インクジェット印刷の場合、異なるノズルからの導電性液滴が、電界中で個別に偏向する可能性がある。原則として、その結果、多ノズル印刷を各個別ノズルの局所的アラインメントが正確な様態で行うことが可能となる。
【0074】
上述した種類のデバイスを用いて集積TFT回路を形成するためには、電極と、異なる層中の接続配線との間に、バイア・ホール接続部を作製する必要がよくある。そのようなバイア・ホールを作製する様々な方法、例えば、フォトリソグラフィックパターニング(G.H. Gelinckら、Appl.Phys.Lett.77,1487(2000))または機械的縫合機を用いた連続穴開け(C.J.Druryら、W099/10929)が提示されている。
【0075】
バイア・ホールは、バイア・ホール接続部を開口すべき層について、良好な溶媒の局所的インクジェット堆積を行うことによっても作製可能である(H.Sirringhausら、UK0009917.6)。バイア・ホールのサイズを小さくするためには、小さなインク液滴を用い、液滴の液滴上の拡がりを制限する必要がある。
【0076】
上述した技術によってパターニングされた表面改変層34を用いて、下地ポリマー層35,36を溶解させるインクジェット印刷された溶媒液滴33の堆積を制限し、下地電極層37と接触させることもできる(図13)。そのようなバイア・ホールはその後導電性ポリマー38の印刷により充填される。このプロセスについては、エッチングに用いられる溶媒中に表面改変層が溶けないことが重要である。溶解に極性溶媒が用いられると、これは、疎水性自己組織単層または疎水性ポリマー層により達成可能である。
【0077】
上記の全ての実施形態において、PEDOT/PSSの代わりに、溶液から堆積可能な任意の導電性ポリマーを用いてもよい。例を挙げると、ポリアニリンまたはポリピロールがある。しかし、PEDOT/PSSの魅力的特徴のうちいくつかを挙げると、(a)拡散率が本来的に低い高分子ドーパント(PSS)である点、(b)良好な熱安定性および空気中安定性を有する点、および(c)仕事関数が≒5.1eVである点(これは、孔電荷キャリアの注入をより効率的にする一般的なホールトランスポート半導体ポリマーのイオン化電位に良く整合する)がある。
【0078】
本明細書中にて述べたプロセスおよびデバイスは、溶液処理されたポリマーで作製されるデバイスに限定されない。TFTの導電性電極および/または回路またはディスプレイデバイス中の接続配線(下記を参照)のうちいくつかを、無機導体、例えば、コロイド懸濁液の印刷または事前パターニングされた基板上への電気メッキにより堆積可能な無機導体から形成してもよい。一部の層が溶液から堆積されないデバイスの場合、そのデバイスの1つ以上のPEDOT/PSS部分を、不溶性の導電性材料、例えば、真空堆積された導体と取り替えてもよい。
【0079】
半導体層については、10−3cm2/Vs、好適には10−2cm2/Vsを越えた適切な電解効果移動度を示す任意の溶液処理が可能な共役高分子材料またはオリゴマー材料を用いてよい。適切な材料については、例えば、H.E.Katz,J.Mater.Chem.7,369(1997)またはZ.Bao,Advanced Materials 12,227(2000)にまとめられている。他の可能な材料としては、可溶化側鎖を有する小共役分子(J.G.Laquindanumら、J.Am.Chem.Soc.120,664(1998))、溶液から自己組織化される半導体有機−無機ハイブリッド材料(C.R.Kaganら、Science 286,946(1999))または溶液堆積された無機半導体、例えば、CdSe ナノ粒子(B.A.Ridleyら、Science 286,746(1999))がある。
【0080】
インクジェット印刷以外の技術により、電極の粗パターニングが可能となっている。適切な技術としては、ソフトリソグラフィックプリンティング(J.A.Rogersら、Appl.Phys.Lett.75,1010(1999);S.Brittainら、Physics World May 1998、p.31)、スクリーン印刷(Z.Baoら、Chem.Mat.9,12999(1997))、およびフォトリソグラフィックパターニング(WO99/10939を参照)またはメッキがある。インクジェット印刷は、良好な位置合わせによる大面積パターニング、特に、可撓性プラスチック基板のパターニングに特に適している。
【0081】
好適には、デバイスおよび回路の全ての層および構成要素は溶液処理技術および印刷技術によって堆積およびパターニングされるが、1つ以上の構成要素、例えば、半導体層を真空堆積技術により堆積しても良いし、および/またはフォトリソグラフィックプロセスによりパターニングしてもよい。
【0082】
上述したように製作されるデバイス、例えばTFTは、1つ以上のそのようなデバイスを互いにかつまたは他のデバイスと集積することが可能なより複雑な回路またはデバイスの一部としてよい。適用例を挙げると、ディスプレイまたはメモリデバイス用の論理回路および活性マトリクス回路、またはユーザによって規定されたゲートアレイ回路がある。
【0083】
前記パターニングプロセスを用いて、このような回路の他の構成要素、例えば、接続配線、抵抗器、キャパシタをパターニングすることができる。
【0084】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0085】
(付記1)少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の材料を光ビームに選択的に露光して、前記層の物理的特性を改変し、前記層のパターニングを行う工程を含む、方法。
【0086】
(付記2)前記パターニング層は有機材料からなる、付記1に記載の方法。
【0087】
(付記3)前記基板上の有機材料の第1の層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記層の溶解度パラメータを改変する工程を含む、付記1または2に記載の方法。
【0088】
(付記4)前記第1の層の溶解度パラメータは、前記露光前には前記材料が溶解可能な溶媒に対して前記材料を不溶性にするように改変される、付記3に記載の方法。
【0089】
(付記5)前記第1の材料層を洗浄して、前記ビームに露光されていない領域において前記第1の層の材料を除去する工程を含む、付記4に記載の方法。
【0090】
(付記6)前記溶解度パラメータを改変する工程は、前記層の材料の相分離および/または前記第1の層の材料の架橋を発生させる工程を含む、付記3〜5のいずれかに記載の方法。
【0091】
(付記7)前記基板上の第1の層の材料を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記第1の材料層の表面自由エネルギーを改変する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0092】
(付記8)前記第1の層は、前記光ビームに露光された後の局所化領域において基板から除去され、これにより前記下地基板の表面を露出させる、付記7に記載の方法。
【0093】
(付記9)前記第1の層上に有機材料の第2の層を堆積させる工程を含み、前記第2の層は、溶媒中の溶液から堆積され、これにより、前記第2の材料層の堆積パターンは、前記第1の材料層の改変された表面自由エネルギーの領域による影響を受ける、付記7または8に記載の方法。
【0094】
(付記10)前記第2の層の材料の堆積を可能にする溶媒は、前記第1の材料層の改変された表面自由エネルギーの領域中に前記第2の層の材料が堆積しないように、選択される、付記9に記載の方法。
【0095】
(付記11)前記第2の層の材料の堆積を可能にする溶媒は、前記ビームによって前記表面自由エネルギーが改変されていない前記第1の材料層の領域に前記第2の層の材料が堆積しないように、選択される、付記10に記載の方法。
【0096】
(付記12)前記基板上の第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の材料を除去する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0097】
(付記13)前記第1の層の材料は、前記ビームに露光された領域中において脱着かつ/または蒸発する、付記12に記載の方法。
【0098】
(付記14)前記基板上の第1の材料層を反応性媒体と接触させる工程と、前記第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光させて、前記ビームに露出された領域において前記第1の層の材料と前記反応性媒体との間の化学反応を促進させる工程と、を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0099】
(付記15)前記反応性媒体は、前記第1の層中に含まれる、付記14に記載の方法。
【0100】
(付記16)ガス状または液体状の前記反応性媒体を前記第1の層の表面に適用する工程を含む、付記14に記載の方法。
【0101】
(付記17)前記化学反応は、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の材料の溶解度および/または表面自由エネルギーおよび/または電気的特性を改変する、付記14〜16のいずれかに記載の方法。
【0102】
(付記18)前記基板上の第1の材料層を前記光ビームに選択的に露光して、前記ビームに露光された領域において前記層の体積を改変する工程を含む、付記1および2のいずれかに記載の方法。
【0103】
(付記19)前記ビームは集束ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0104】
(付記20)前記ビームは、前記ビームに露光された領域において前記第1の層の局所的加熱を引き起こす、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0105】
(付記21)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は350℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0106】
(付記22)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は200℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0107】
(付記23)前記ビームへの露光が行われている間、前記ビームに露光された領域において前記基板の局所的温度は120℃を越えない、付記20に記載の方法。
【0108】
(付記24)前記第1の層の厚さは1μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0109】
(付記25)前記第1の層は、前記電気デバイスの導電性電極を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0110】
(付記26)前記第1の層は、前記電気デバイスの半導体層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0111】
(付記27)前記第1の層は、前記電気デバイスの誘電層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0112】
(付記28)前記第1の層は、前記電気デバイスの表面改変層を形成する、付記1〜24のいずれかに記載の方法。
【0113】
(付記29)前記ビームの幅は10μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0114】
(付記30)前記ビームの幅は1μm未満である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0115】
(付記31)前記ビームはレーザビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0116】
(付記32)前記ビームは赤外光ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0117】
(付記33)前記ビームは可視光である、付記1〜31のいずれかに記載の方法。
【0118】
(付記34)前記ビームは紫外線光である、付記1〜31のいずれかに記載の方法。
【0119】
(付記35)前記第1の層上で前記ビームを移動させて前記選択的露光を行い、所望のパターンを規定する工程を含む、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0120】
(付記36)前記ビームは偏光ビームである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0121】
(付記37)前記第1の層の前記ビームへの露光により、前記第1の層の材料のフォトアラインメントが生じる、付記36に記載の方法。
【0122】
(付記38)前記第1の層の材料の前記フォトアラインメントは、前記第1の層のパターニングと同時に行われる、付記37に記載の方法。
【0123】
(付記39)前記フォトアラインされた層と接触するアラインされた分子構造を取得する第2の有機層を堆積させる工程を含む、付記36〜38のいずれかに記載の方法。
【0124】
(付記40)前記第2の有機層は液晶共役高分子層である、付記39に記載の方法。
【0125】
(付記41)前記第1の層は、前記電気デバイスの前記パターニング層である、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0126】
(付記42)前記第1の層は、前記電気デバイスの活性層である、付記41に記載の方法。
【0127】
(付記43)前記第1の層上への第2の有機材料層の堆積を、前記第2の層の堆積パターンが前記第1の層のパターニングによって影響を受けるように行う工程を含む、付記1〜8または12〜42のいずれかに記載の方法。
【0128】
(付記44)前記第2の層は、前記電気デバイスのパターニング層である、付記9〜11または43のいずれかに記載の方法。
【0129】
(付記45)前記第2の層は、前記電気デバイスの活性層である、付記44に記載の方法。
【0130】
(付記46)第2の基板上の材料層を集束光ビームに露光させて、前記材料層のパターンを前記第1の基板に転写させる工程を含む、付記1〜8または12〜42のいずれかに記載の方法。
【0131】
(付記47)前記第2の基板上の材料層は、前記電気デバイスの前記パターニング層である、付記46に記載の方法。
【0132】
(付記48)前記第2の基板上の材料層は、前記電気デバイスの活性層である、付記47に記載の方法。
【0133】
(付記49)前記材料層は表面改変層である、付記47に記載の方法。
【0134】
(付記50)前記電子デバイスは電子スイッチングデバイスである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0135】
(付記51)前記電子デバイスは薄膜トランジスタデバイスである、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0136】
(付記52)前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の層を改変する工程を含む、前記付記のいずれかに記載の方法。
【0137】
(付記53)前記集束光ビームの一部は、事前パターニングされた前記基板上の第3の層によってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰された領域においてのみ前記基板上の前記第1のパターニング層を改変する工程を含む、付記1〜51のいずれかに記載の方法。
【0138】
(付記54)前記事前堆積された第3の層は、電子スイッチングデバイスのソース電極およびドレイン電極を形成する、付記51〜53のいずれかに記載の方法。
【0139】
(付記55)前記第1の層は、電子スイッチングデバイスのゲート電極を形成する、付記54に記載の方法。
【0140】
(付記56)前記第1の層は表面改変層である、付記51〜54のいずれかに記載の方法。
【0141】
(付記57)追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰された領域への前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、付記56に記載の方法。
【0142】
(付記58)追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰されなかった領域へ前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、付記56に記載の方法。
【0143】
(付記59)集積回路を規定する方法であって、パターニング光ビームに対して基板を移動させて、前記ビームによって第1の一次元パターンを前記基板上に規定する工程を含む、方法。
【0144】
(付記60)前記第1の一次元パターンは、表面自由エネルギーが異なる領域によって規定される、付記59に記載の方法。
【0145】
(付記61)第2の材料パターンは、前記第1の一次元パターンへ位置合わせして堆積される、付記60に記載の方法。
【0146】
(付記62)前記第2の材料パターンは、直接印刷技術によって堆積される、付記61に記載の方法。
【0147】
(付記63)前記第2のパターンは、インクジェット印刷によって堆積される、付記62に記載の方法。
【0148】
(付記64)前記第2のパターンは、前記基板を前記第2の材料の溶液中に浸漬することにより、堆積される、付記61に記載の方法。
【0149】
(付記65)前記第2のパターンは、前記第1の一次元パターンよりも実質的に複雑である、付記61〜64のいずれかに記載の方法。
【0150】
(付記66)集積回路を規定する方法であって、1組の回路フィーチャを表面上に有する基板をパターニング光ビームに対して移動させて、前記ビームにより前記回路フィーチャを改変する工程を含む、方法。
【0151】
(付記67)前記回路フィーチャを改変する工程は、前記回路フィーチャ間の電気接続を除去する工程を含む、付記66のいずれかに記載の方法。
【0152】
(付記68)前記回路フィーチャを改変する工程は、前記回路フィーチャ間に電気接続を設ける工程を含む、付記66のいずれかに記載の方法。
【0153】
(付記69)前記回路フィーチャを改変する工程は、トランジスタデバイスアレイのソース電極とドレイン電極との間にチャンネルを規定する工程を含む、付記66に記載の方法。
【0154】
(付記70)前記ビームはパターニングヘッドによって生成される、付記59〜69のいずれかに記載の方法。
【0155】
(付記71)前記パターニングヘッドは、複数のビームを生成し、前記ビームは、前記直線の法線方向に間隔を開けて配置され、前記方法は、前記基板を前記ビームに露光させる工程を含む、付記70に記載の方法。
【0156】
(付記72)前記移動の間に前記ビーム(単数または複数)を変調させる工程を含む、付記59〜71のいずれかに記載の方法。
【0157】
(付記73)前記ビーム(単数または複数)は集束ビームである、付記59〜72のいずれかに記載の方法。
【0158】
(付記74)前記ビーム(単数または複数)はレーザビームである、付記59〜73のいずれかに記載の方法。
【0159】
(付記75)前記ビーム(単数または複数)の幅は10μm未満である、付記59〜74のいずれかに記載の方法。
【0160】
(付記76)前記ビーム(単数または複数)の幅は1μm未満である、付記59〜75のいずれかに記載の方法。
【0161】
(付記77)基板上のフィーチャおよび光学的読み出しヘッドの相対的アラインメントを判定する方法であって、前記基板は、光学的に検出可能なアラインメントマークを1組持ち、前記アラインメントマークは、第1の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して平行な第2の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して所定の角度で設けられた第3の直線とを含み、前記アラインメントマークは、前記フィーチャから事前規定されたオフセットを有し、前記方法は、前記読み出しヘッドを前記基板に対して直線走査線上に走査して、前記第1の線と前記第2の線との間の前記走査線に沿った距離と、前記第1の線と前記第3の線との間の前記走査線に沿った距離とを判定する工程と、前記判定された距離および前記オフセットを用いて、前記読み出しヘッドおよび前記フィーチャの相対的位置を判定する工程と、を含む、方法。
【0162】
(付記78)記読み出しヘッドおよび前記フィーチャの相対位置を判定する工程は、以下の関係に従って実行され、
【0163】
【数2】
【0164】
ここで、αは、前記第2の線と前記第3の線との間の角度であり;βは、前記第2の線および前記走査線との間の角度であり;Δは、前記第1の線の始点と前記第1の線に前記走査線が交差する点との間の前記第1の線に沿った距離であり;dは、前記第1の線と前記第2の線との間の垂直方向距離であり;sは、前記第1の線に対して垂直な線が前記第1の線の始点を通過する点における前記第2の線と前記第3の線との間の垂直方向距離であり;xnおよびYnは、n番目の線が前記走査線に交差する点のデカルト座標であり;前記フィーチャの前記アラインメントマークからの事前規定されたオフセットは、前記フィーチャの前記始点からのオフセットを示す、付記77に記載の方法。
【0165】
(付記79)前記読み出しヘッドは材料処理ユニットと集積される、付記77または78に記載の方法。
【0166】
(付記80)前記材料処理ユニットは、堆積ユニットおよび光ビーム生成ユニットのうちの1つである、付記79に記載の方法。
【0167】
(付記81)前記フィーチャは概して線状フィーチャである、付記77〜80のいずれかに記載の方法。
【0168】
(付記82)前記フィーチャは概して前記第1の線に対して垂直である、付記81に記載の方法。
【0169】
(付記83)前記第1の線、第2の線および第3の線は、前記基板上の光学的コントラスト変化の少なくとも1つの線状ゾーンによって規定される、付記77〜82のいずれかに記載の方法。
【0170】
(付記84)対応するアラインメントマークをそれぞれ有するフィーチャのアレイを含む電子回路デバイスを基板上に作製する方法であって、前記基板上の少なくとも2つのフィーチャについて局所的位置合わせ工程を行う工程を含み、各局所的位置合わせ工程は、各フィーチャに対応するアラインメントマークを横切る直線上に読み出しヘッドを走査することにより、前記各フィーチャの材料処理ユニットに対する相対位置を判定する工程を含む、方法。
【0171】
(付記85)前記材料処理ユニットと前記読み出しヘッドとの間には固定された空間的関係が存在する、付記84に記載の方法。
【0172】
(付記86)前記読み出しヘッドは前記材料処理ユニットと一体である、付記85に記載の方法。
【0173】
(付記87)各局所的位置合わせ工程の後、材料堆積工程が行われ、前記材料堆積工程は、前記材料処理ユニットから前記基板上に材料を堆積させる工程を含む、付記84〜86のいずれかに記載の方法。
【0174】
(付記88)各局所的位置合わせ工程の後、材料処理堆積工程が行われ、前記材料堆積工程は、前記基板上の材料を前記材料処理ユニットによって処理する工程を含む、付記84〜87のいずれかに記載の方法。
【0175】
(付記89)前記材料は、前記各アラインメントマークからの事前規定された空間的オフセットにおいて堆積または処理される、付記87または88に記載の方法。
【0176】
(付記90)前記基板は可撓性基板である、付記77〜89のいずれかに記載の方法。
【0177】
(付記91)前記材料処理ユニットはインクジェット印刷ヘッドである、付記79〜90のいずれかに記載の方法。
【0178】
(付記92)前記アラインメントマークは、第1の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して平行な第2の直線と、前記第1の線から間隔を空けて配置されかつ前記第1の線に対して所定の角度で設けられた第3の直線とを含み、前記アラインメントマークは、前記フィーチャから事前規定されたオフセットを有し、および前記位置合わせプロセスは、前記読み出しヘッドを用いて一連の光学的信号を検出する工程を含む、付記77〜91のいずれかに記載の方法。
【0179】
本発明は、前記例に限定されない。本発明の局面は、本明細書中に記載の概念の全ての新規なかつ/または進歩性ある局面と、本明細書中に記載の特徴の全ての新規なかつ/または進歩性ある組み合わせとをふくむ。
【0180】
本出願者らは、本発明が本明細書中にて明示的または暗示的に開示された任意の特徴または特徴の組み合わせまたはその一般化を、上記にて記載したいずれの定義をも限定することなく含み得る点に注目する。上記記載を鑑みれば、本発明の範囲内において様々な変更が可能であることは、当業者にとって明白である。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】光吸収層を用いた熱による溶解度変化による電気活性ポリマーパターンの直接描き込みを示す模式図である。
【図2】光による溶解度変化によるポリマーパターニングを光吸収層を用いずに行う様子の模式図を示す。
【図3】光による溶解度変化を起こすことにより表面改変層をパターニングした後に電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図4】印刷完了後のポリマーTFTデバイスの模式図を示す。
【図5】光による表面改変層の脱離後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図6】光によって表面化学反応を促進させた後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図7】光による厚さ変化の後、自己組織化単層の選択的堆積および電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図8】光による表面改変層の転写の後、電気活性ポリマーの直接印刷を行う様子の模式図を示す。
【図9】レーザビーム下での基板の走査移動を行ってパターンを生成する様子の模式図を示す。
【図10】(a)複数の個別レーザダイオードからなるアレイまたは(b)単一のレーザ光源から発生するレーザスポットアレイの模式図を示す。
【図11】レーザスポットアレイ下を移動する大型可撓性基板にリール・トゥ・リールパターニングを行う際の模式図を示す。
【図12】熱印刷による微細形状解像度の表面エネルギーパターンと、直接印刷による粗パターニングとの組み合わせについて、接続配線が(a)連続線の場合および(b)中断のある場合について示したものである。
【図13】平行な表面エネルギーバリアの単純アレイから得られた高解像度のチャネルを有するトランジスタの活性マトリクスアレイを示す。
【図14】表面改変層を用いて、インクジェットエッチングによる小バイア・ホールの形成を制限する様子の模式図を示す。
【図15】移動する基板の下側のアラインメントマークを光学的に検出することによる基板配置(a)、およびx方向のみの平行移動による絶対位置の判定を可能にするアラインメントマークの設計の模式図を示す。
【図16】レーザで描画されたポリイミド線幅の集束高さ範囲に対する実験データを示し、水平方向および垂直方向に印刷した線幅を比較したものである。前記垂直線幅の1つのデータポイント以外は5μm未満である。前記水平線は、前記垂直線よりも常に3倍まで幅広である。
【図17】レーザ描画により垂直方向に印刷されたポリイミド線の顕微鏡像を示す。前記垂直線は、380mJ/cm2の線量で印刷されている。前記図の上半分部分の線幅は約3.5μmである。
【図18】レーザ描画により水平方向に印刷されたポリイミド線の顕微鏡像を示す。前記水平線は、380mJ/cm2の線量で印刷されている(図1と同時に描画されている)。前記線幅は約7μmであり、前記垂直線の幅の2倍である。
【図19】得られたレーザで描画されたポリイミド線のうち最も狭いものの顕微鏡像を示す。これらの垂直方向に描画された線(380mJ/cm2、20分間現像)の幅は、最小2μmである。
【図20】対角線上にレーザで描画されたポリイミド線の顕微鏡像である。意図しない規則的な鋸歯状の端部(これは、レーザスポットサイズによって生じる)を用いて、チャンネル幅を大きくすることができる。
【図21】印刷されかつ摩擦を受けたポリイミド線の上に一軸線上にアラインされた半導体ポリマーF8T2を、交差した偏光器を用いて撮影された光学顕微鏡像を示す。明るいコントラストの領域は、下側のポリイミド線の摩擦方向に沿ってF8T2が一軸上にアラインされた部分である。アラインメントは、前記F8T2膜を150℃で10分間アニールすることにより、達成された。
【図22】ソース電極およびドレイン電極とのオーバーラップを最小にした態様でゲート電極を規定するためのセルフアラインプロセスを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、
前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の第1の層を改変する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、
前記光ビームの一部は、事前パターニングされた前記基板上の第3の層によってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰された領域においてのみ前記基板上の前記第1の層を改変する、方法。
【請求項3】
事前パターニングされた第3の層は、電子スイッチングデバイスのソース電極およびドレイン電極を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層は、電子スイッチングデバイスのゲート電極を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の層は表面改変層である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰された領域への前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰されなかった領域へ前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記表面改変層は自己組織化単層である、請求項5に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、
前記光ビームの一部は、前記基板上の事前堆積されたパターンによってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰されない領域においてのみ前記基板上の第1の層を改変する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのパターニング層を含む電気デバイスを基板上に形成する方法であって、前記基板上の第1の材料層を光ビームに露光して、前記第1の層の物理的特性を改変するように、前記第1の層のパターニングを行う工程を含み、
前記光ビームの一部は、事前パターニングされた前記基板上の第3の層によってブロックまたは減衰され、これにより、前記光がブロックまたは減衰された領域においてのみ前記基板上の前記第1の層を改変する、方法。
【請求項3】
事前パターニングされた第3の層は、電子スイッチングデバイスのソース電極およびドレイン電極を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層は、電子スイッチングデバイスのゲート電極を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の層は表面改変層である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰された領域への前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
追加材料を前記表面改変層上に堆積させて、前記光ビームがブロックまたは減衰されなかった領域へ前記追加材料の堆積を制限するさらなる工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記表面改変層は自己組織化単層である、請求項5に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−122681(P2009−122681A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300438(P2008−300438)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2002−592171(P2002−592171)の分割
【原出願日】平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願人】(503430658)プラスティック ロジック リミテッド (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2002−592171(P2002−592171)の分割
【原出願日】平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願人】(503430658)プラスティック ロジック リミテッド (18)
【Fターム(参考)】
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