説明

デューティ補正回路、遅延同期ループ回路、カラムA/D変換器、固体撮像素子およびカメラシステム

【課題】デューティ比が50%より大きい場合も小さい場合も両方を一つの素子で対応が可能であり、素子数を削減できるだけではなく、スイッチング回数を削減することが可能で、消費電流を削減することができるデューティ補正回路、DLL回路、カラムA/D変換器、固体撮像素子、およびカメラシステムを提供する。
【解決手段】デューティ補正回路10は、第1入力および第2入力を有するC素子11と、C素子11の第2入力に接続されたインバータ12と、を有し、C素子11は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、C素子11の第1入力およびインバータ12にそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロックのデューティを補正するデューティ補正回路、それを用い遅延同期ループ回路(DLL回路)、カラムA/D変換器、固体撮像素子およびカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に順序回路と組合せ回路から成る論理回路では、順序回路をクロック信号に同期させてラッチ動作させる。
順序回路に用いられる記憶素子であるフリップフロップはクロック入力波形のハイ(Hi)期間の幅、ロー(Lo)期間の幅にそれぞれ動作可能な最小値がある。
そして、フリップフロップは、クロックのデューティ(Duty)比が50%からずれている場合は、クロック幅の観点で先に高速動作限界が決まることもある。
この値はクロックパルスの周期ではなく、Hi期間の幅、Lo期間の幅それぞれに対して最小値が決まっている。
そのため、論理回路の多くの用途において、前記クロック信号にはデューティ比、すなわち信号周期に対するハイレベル期間の割合は50%が望ましい。
【0003】
また、特許文献1には、通常の上位ビットカウンタとリング発振器によって位相の異なるクロック信号をラッチおよびデコードをする時間量子化器(TDC:Time-to-Digital Converter)で下位ビットの情報を得る積分型A/D変換器が開示されている。
この積分型A/D変換器においてもクロック信号のデューティ比は50%であることが望ましい。
【0004】
図1は、特許文献1に開示された方式のA/D変換器の構成を示す図である。
【0005】
このA/D変換器1は、比較器2、PLL回路3、TDC(時間量子化器、ラッチおよびデコード)4、上位カウンタ5、および転送バス6を有する。
【0006】
この例では位相が90°異なる2つのクロック信号CLKA,CLKBを用いて、上位カウンタ5で10bit、下位TDC4で2bitの計12bitの分解能を持つ積分型A/D変換器を示している。
時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧RAMPと入力電圧VSLとを比較器2で比較し、比較結果は信号VCOとして出力される。
信号VCOが変化したタイミングで上位カウンタ5は動作を開始もしくは停止し、また下位TDC4では位相の異なるクロック信号の情報をラッチする。
【0007】
図2(A)および(B)は、クロック周波数よりこまかな分解能を得る下位TDCの原理を説明するための図である。
【0008】
クロック周波数の1周期の中において、信号VCOが変化するタイミングで、位相が90°異なる2つのクロック信号CLKA、CLKBの値をラッチすると4通りの位相情報が得られる。
この4通りのコードをデコードして2bitの下位ビットの情報を得ることができる。
【0009】
図2(A)では,クロック信号のデューティ比は共に50%であるため、4通りのコードの出現確率は均等であるが、図2(B)のようにクロック信号のデューティ比が崩れてしまうと、コードの出現確率に偏りが生じてしまう。
これはA/D変換器の性能指標のひとつであるDNL(微分非直線性)を劣化させる。
そのため、このような場合においてもクロック信号のデューティ比は50%であることが望ましい。
【0010】
これに対し、特許文献2には、第1のラッチ回路と第2のラッチ回路を有するデューティ補正回路が提案されている。
第1のラッチ回路は、相互に一方のNANDゲートの出力が他方のNANDゲートの入力に帰還接続され、夫々のNANDゲートの他方の入力に前記位相差が半周期の相補クロック信号が供給される。
第2のラッチ回路は、相互に一方のNANDゲートの出力が他方のNANDゲートの入力に帰還接続され、夫々のNANDゲートの他方の入力に前記第1のラッチ回路の夫々のNANDゲートの出力が供給される。
また、NANDゲートの代わりにNORゲートで構成されたデューティ補正回路も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008-92091号公報
【特許文献2】特許第3753925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した方式においては、NANDゲート2つで構成される第1のラッチ回路ではクロック信号のデューティ比が50%より大きい、すなわちHi期間が長い場合においてしかその構成上デューティ比が補正されない。
そのため、第2のラッチ回路を用いてHi期間が短い場合に対応している。
そのため、トランジスタ数がやや多くなってしまうだけでなく、入力される相補クロックのデューティ比が50%より大きい場合と小さい場合でスイッチング回数が異なり消費電流も一定ではない。
【0013】
NORゲートを用いたものでは、その反対にデューティ比が50%より小さい、すなわちHi期間が短い場合においてしかその構成上デューティ比が補正されない。
そのため、こちらも第2のラッチ回路を用いてHi期間が長い場合に対応している。したがって、上記と同じ問題を有している。
【0014】
本発明は、デューティ比が50%より大きい場合も小さい場合も両方を一つの素子で対応が可能であり、素子数を削減できるだけではなく、スイッチング回数を削減することが可能で、消費電流を削減することができるデューティ補正回路、DLL回路、カラムA/D変換器、固体撮像素子、およびカメラシステムを提供することにある。
【0015】
本発明の第1の観点のデューティ補正回路は、第1入力および第2入力を有するC素子と、上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、上記C素子は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。
【0016】
本発明の第2の観点のDLL回路は、クロック入力に対して縦続接続された複数の遅延素子により生成されるディレイラインと、入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有するディレイループと、上記ディレイラインにおける位相差がほぼ半周期である2つのクロックが入力される少なくとも一つのデューティ補正回路と、を有し、
上記デューティ補正回路は、第1入力および第2入力を有するC素子と、上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、上記C素子は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。
【0017】
本発明の第3の観点のカラムA/D変換器は、入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル(A/D)変換器と、を有し、上記各積分型A/D変換器は、時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、上記デューティ補正回路は、第1入力および第2入力を有するC素子と、上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、上記C素子は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。
【0018】
本発明の第4の観点の固体撮像素子は、光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、上記画素信号読み出し部は、画素の列配列に対応して、読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換する積分型アナログデジタル(A/D)変換器が並列に配置されたカラムA/D変換器を含み、上記カラムA/D変換器は、入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル変換器(A/D変換器)と、を有し、上記各積分型A/D変換器は、時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、上記デューティ補正回路は、第1入力および第2入力を有するC素子と、上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、上記C素子は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。
【0019】
本発明の第5の観点のカメラシステムは、固体撮像素子と、上記固体撮像素子に被写体像を結像する光学系と、を有し、上記固体撮像素子は、光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、上記画素信号読み出し部は、画素の列配列に対応して、読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換する積分型アナログデジタル(A/D)変換器が並列に配置されたカラムA/D変換器を含み、上記カラムA/D変換器は、入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル変換器(A/D変換器)と、を有し、上記各積分型A/D変換器は、時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、上記デューティ補正回路は、第1入力および第2入力を有するC素子と、上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、上記C素子は、入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、その他の状態では出力は前の状態を保持し、上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、デューティ比が50%より大きい場合も小さい場合も両方を一つの素子で対応が可能であり、素子数を削減できるだけではなく、スイッチング回数を削減することが可能で、消費電流を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】特許文献1に開示された方式のA/D変換器の構成を示す図である。
【図2】クロック周波数よりこまかな分解能を得る下位TDCの原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るデューティ補正回路に構成例を示す図である。
【図4】MullerのC素子のシンボルと真理値表を示す図である。
【図5】C素子の構成例を示す回路図である。
【図6】入力される相補クロックのデューティ比が50%より小さい(痩せた)場合の補正原理を説明するための図である。
【図7】入力される相補クロックのデューティ比が50%より大きい(太った)場合の補正原理を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るデューティ補正回路の構成例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るDLL回路の構成例を示す図である。
【図10】入力される相補クロックのデューティ比が50%より小さい(痩せた)場合の図9のDLL回路の動作波形を示す図である。
【図11】入力される相補クロックのデューティ比が50%より大きい(太った)場合の図9のDLL回路の動作波形を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るDLL回路の構成例を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係るクロック転送ラインにデューティ補正回路W適用した例を示す図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【図16】本発明の第6の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る列並列ADC搭載固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)の構成例を示すブロック図である。
【図18】図17の列並列ADC搭載固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)における要部をより具体的に示すブロック図である。
【図19】本実施形態に係る4つのトランジスタで構成されるCMOSイメージセンサの画素の一例を示す図である。
【図20】D/A変換器が生成するランプ(RAMP)波形およびADCの動作タイミングの一例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態に係る固体撮像素子が適用されるカメラシステムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(デューティ補正回路の第1の構成例)
2.第2の実施形態(デューティ補正回路の第2の構成例)
3.第3の実施形態(デューティ補正回路のDLL回路への第1の適用例)
4.第4の実施形態(デューティ補正回路のDLL回路への第2の適用例)
5.第5の実施形態(デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第1の適用例)
6.第6の実施形態(デューティ補正回路のクロック転送ラインへの適用例)
7.第7の実施形態(デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第2の適用例)
8.第8の実施形態(デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第3の適用例)
9.第9の実施形態(固体撮像素子の全体構成例)
10.第10の実施形態(カメラシステムの構成例)
【0023】
<1.第1の実施形態>
[デューティ補正回路の第1の構成例]
図3は、本発明の第1の実施形態に係るデューティ補正回路に構成例を示す図である。
【0024】
本デューティ補正回路10は、1つのC素子11と、そのC素子11の一方の入力に接続されたインバータ12を含んで構成されている。
【0025】
デューティ補正回路10は、2入力A,Bにおおよそ位相差が半周期の相補クロックCLK,XCLKを入力した場合、クロック信号CLKのデューティ比が崩れていても出力CLKOのデューティ比はおおよそ50%に回復する。
C素子11は、以下に説明するように対称性を持つため、どちらの入力にインバータ12を接続してもデューティ比の補正機能に変わりはないが、出力クロックの位相は逆転する。
【0026】
[C素子の機能]
ここでC素子11の構成および機能について説明する。
【0027】
図4(A)および(B)は、MullerのC素子のシンボルと真理値表を示す図である。
【0028】
本実施形態のデューティ補正回路10で使用するC素子11は2つの第1入力A、第2入力Bと1つの出力Oをもつ2入力1出力のC素子である。
C素子11は待ち合わせ(rendezvous)、合流(join)、あるいは最終入力応答(last-of)回路とも言われる。
全ての入力、すなわち入力A,Bが両方とも論理“1”になると出力Oが論理“1”になり、全ての入力、すなわちA,Bが両方とも論理“0”になると出力Oが論理“0”になる。
その他の状態では出力Oは前の状態を保持する。
入力A,Bどちらか片方が変化しても出力Oは変化せず、両方の入力が変化して初めて出力が動作する特性を持つため、これが待ち合わせ回路と呼ばれるゆえんである。
【0029】
図5(A)および(B)は、C素子の構成例を示す回路図である。
【0030】
図5(A)のC素子11Aは、PMOSトランジスタPT1,PT2、NMOSトランジスタNT1,NT2、インバータIV1,IV2、ノードND1,ND2を有する。
【0031】
PMOSトランジスタPT1のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがPMOSトランジスタPT2のソースに接続されている。
PMOSトランジスタPT2のドレインがNMOSトランジスタNT1のドレインに接続され、その接続点によりノードND1が形成されている。
NMOSトランジスタNT1のソースがNMOSトランジスタNT2のドレインに接続され、NMOSトランジスタNT2のソースが基準電位VSS(たとえばグランドGND)に接続されている。
PMOSトランジスタPT2のゲートとNMOSトランジスタNT1のゲートが入力Aに接続され、PMOSトランジスタPT1のゲートとNMOSトランジスタNT2のゲートが入力Bに接続されている。
ノードND1がインバータIV1の入力に接続され、インバータIV1の出力がノードND2に接続されている。ノードND2が出力OおよびインバータIV2の入力に接続されている。インバータIV2の出力がインバータIV1の入力に接続されている。
【0032】
このC素子11Aでは、入力A,Bがともに論理“0”の場合、PMOSトランジスタPT1,PT2がオンし、NMOSトランジスタNT1,NT2がオフする。
その結果、ノードND1のレベルが電源電位レベル、すなわち、論理“1”のレベルに遷移し、そのレベルがインバータIV1で反転されて、ノードND2、すなわち出力Oは論理“0”となる。
【0033】
入力A,Bがともに論理“1”の場合、PMOSトランジスタPT1,PT2がオフし、NMOSトランジスタNT1,NT2がオンする。
その結果、ノードND1のレベルが基準電位レベル、すなわち、論理“0”のレベルに遷移し、そのレベルがインバータIV1で反転されて、ノードND2、すなわち出力Oは論理“1”となる。
【0034】
入力Aが論理“0”、入力Bが論理“1”の場合、PMOSトランジスタPT2,NMOSトランジスタNT2がオンし、PMOSトランジスタPT1,NMOSトランジスタNT1がオフする。
その結果、ノードND1はフローティングとなり、インバータIV1,IV2で形成されるラッチの値が保持される。
【0035】
入力Aが論理“1”、入力Bが論理“0”の場合、PMOSトランジスタPT2,NMOSトランジスタNT2がオフし、PMOSトランジスタPT1,NMOSトランジスタNT1がオンする。
その結果、ノードND1はフローティングとなり、インバータIV1,IV2で形成されるラッチの値が保持される。
【0036】
図5(B)のC素子11Bは、PMOSトランジスタPT11〜PT15、NMOSトランジスタNT11〜NT15、インバータIV11、ノードND11〜ND17を有する。
【0037】
PMOSトランジスタPT11のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがPMOSトランジスタPT12のソースに接続され、その接続点によりノードND11が形成されている。
PMOSトランジスタPT12のドレインがNMOSトランジスタNT11のドレインに接続され、その接続点によりノードND12が形成されている。
NMOSトランジスタNT11のソースがNMOSトランジスタNT12のドレインに接続され、その接続点によりノードND13が形成されている。NMOSトランジスタNT12のソースが基準電位VSS(たとえばグランドGND)に接続されている。
PMOSトランジスタPT13のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがPMOSトランジスタPT14のソースに接続され、その接続点によりノードND14が形成されている。
PMOSトランジスタPT14のドレインがNMOSトランジスタNT13のドレインに接続され、その接続点によりノードND15が形成されている。
NMOSトランジスタNT13のソースがNMOSトランジスタNT14のドレインに接続され、その接続点によりノードND16が形成されている。NMOSトランジスタNT14のソースが基準電位VSS(たとえばグランドGND)に接続されている。
ノードND11とND14にPMOSトランジスタPT15のソース、ドレインが接続され、ノードND13とノードND16にNMOSトランジスタNT15のソース、ドレインが接続されている。
ノードND12およびND15がインバータIV11の入力に接続され、インバータIV11の出力が出力Oに接続されたノードND17,PMOSトランジスタPT15のゲートおよびNMOSトランジスタNT15のゲートに接続されている。
そして、PMOSトランジスタPT12,PT13のゲート、およびNMOSトランジスタNT11,NT14のゲートが入力Aに接続されている。
PMOSトランジスタPT11,PT14のゲート、およびNMOSトランジスタNT12,NT13のゲートが入力Bに接続されている。
【0038】
このC素子11Aでは、入力A,Bがともに論理“0”の場合、PMOSトランジスタPT11,PT12,PT13,PT14がオンし、NMOSトランジスタNT11,NT12,NT13,NT14がオフする。
その結果、ノードND12のレベルが電源電位レベル、すなわち、論理“1”のレベルに遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“0”となる。
【0039】
入力A,Bがともに論理“1”の場合、PMOSトランジスタPT11,PT12,PT13,PT14がオフし、NMOSトランジスタNT11,NT12,NT13,NT14がオンする。
その結果、ノードND12のレベルが基準電位レベル、すなわち、論理“0”のレベルに遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“1”となる。
【0040】
入力Aが論理“0”、入力Bが論理“1”の場合、PMOSトランジスタPT12,PT13、NMOSトランジスタ12,NT13がオンし、PMOSトランジスタPT11,PT14、NMOSトランジスタNT11,NT14がオフする。
このとき、出力Oが論理“1”であった場合、PMOSトランジスタPT15はオフし、NMOSトランジスタNT15はオンする。
その結果、ノードND15のレベルは、NMOSトランジスタNT13,NT15,NT12を通して基準電位レベル、すなわち、論理“0”のレベルに確実に遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“1”となる。
つまり、出力Oは論理“1”に保持される。
出力Oが論理“0”であった場合、PMOSトランジスタPT15はオンし、NMOSトランジスタNT15はオフする。
その結果、ノードND15のレベルは、PMOSトランジスタPT13,PT15,PT12、ノードND12を通して電源電位レベル、すなわち、論理“1”のレベルに確実に遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“0”となる。
つまり、出力Oは論理“0”に保持される。
【0041】
入力Aが論理“1”、入力Bが論理“0”の場合、PMOSトランジスタPT12,PT13、NMOSトランジスタ12,NT13がオフし、PMOSトランジスタPT11,PT14、NMOSトランジスタNT11,NT14がオンする。
このとき、出力Oが論理“1”であった場合、PMOSトランジスタPT15はオフし、NMOSトランジスタNT15はオンする。
その結果、ノードND15のレベルは、NMOSトランジスタNT12,NT15,NT14を通して基準電位レベル、すなわち、論理“0”のレベルに確実に遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“1”となる。
つまり、出力Oは論理“1”に保持される。
出力Oが論理“0”であった場合、PMOSトランジスタPT15はオンし、NMOSトランジスタNT15はオフする。
その結果、ノードND15のレベルは、PMOSトランジスタPT11,PT15,PT14を通して電源電位レベル、すなわち、論理“1”のレベルに確実に遷移し、そのレベルがインバータIV11で反転されて、ノードND17、すなわち出力Oは論理“0”となる。
つまり、出力Oは論理“0”に保持される。
【0042】
図5(A)のC素子11Aは、スタティックな構成としてはトランジスタ数が最小の構成である。
回路を小さく実現できる一方、ラッチ回路のフィードバック(FB)されたインバータIN2は比較的駆動能力を弱く設計する必要があるという制約がある。
図5(B)のC素子11Bの構成は、トランジスタ数は図5(A)と比較してやや増加するものの、細かな設計注意点はなく通常のNANDゲートやNORゲートのように論理素子として使用できる安定した構成である。
【0043】
次に、本実施形態に係るデューティ補正回路がデューティを補正する原理を図6および図7に関連付けて説明する。
【0044】
図6は、入力される相補クロックのデューティ比が50%より小さい(痩せた)場合の補正原理を説明するための図である。
【0045】
この相補クロックである入力クロックCLK、XCLKはおおよそ半周期の位相差をもっている。すなわちクロックCLKの立ち上がりエッジとクロックXCLKの立ち上がりエッジの位相差はおおよそ180°であるとする。
クロックXCLKはインバータ12を通過して論理が反転しクロックXCLKIとなる。
そのため、入力クロックCLKの立ち上がりエッジと反転クロックXCLKIの立ち下がりエッジの位相差がおおよそ180°となる。
いま、C素子10の出力CLKOは2つのクロックCLK,XCLKIの両方が立ち上がったときに立ち上がり、両方が立ち下がったときに立ち下がる。
デューティが小さい(痩せている)場合、出力クロックCLKOの立ち上がりタイミングを決めるのは入力クロックCLKの立ち上がりエッジである。
すなわち、入力クロックCLKと反転クロックXCLKIの立ち上がりタイミングは反転クロックXCLKIの方が先で、入力クロックCLKの方が後である。また、出力クロックCLKOの立ち下がりタイミングを決めるのは反転クロックXCLKIの立ち下がりエッジである。
すなわち、入力クロックCLKと反転クロックXCLKIの立ち下がりタイミングは入力クロックCLKの方が先で、反転クロックXCLKIの方が後である。
先に述べたように、入力クロックCLKの立ち上がりエッジと反転クロックXCLKIの立ち下がりエッジの位相差がおおよそ180°である。
そのため、それぞれのエッジで立ち上がりと立ち下がりのタイミングが決まる出力クロックCLKOはHi期間がおおよそ180°、すなわち半周期となりデューティ比が50%に復元される。
【0046】
図7は、入力される相補クロックのデューティ比が50%より大きい(太った)場合の補正原理を説明するための図である。
【0047】
上述したように、この相補クロックである入力クロックCLK、XCLKはおおよそ半周期の位相差をもっている。
したがって、入力クロックCLKの立ち下がりエッジと入力クロックXCLKの立ち下がりエッジもまた立ち上がりエッジ同士同様に位相差はおおよそ180°である。
入力クロックXCLKはインバータ12を通過して論理が反転しクロックXCLKIとなる。そのため、入力クロックCLKの立ち下がりエッジと反転クロックXCLKIの立ち上がりエッジの位相差がおおよそ180°となる。
いま、同様にC素子10の出力クロックCLKOは2つのクロックCLK,XCLKIの両方が立ち上がったときに立ち上がり、両方が立ち下がったときに立ち下がる。
デューティ比が大きい(太っている)場合、出力クロックCLKOの立ち上がりタイミングを決めるのは反転クロックXCLKIの立ち上がりエッジである。
すなわち、入力クロックCLKと反転クロックXCLKIの立ち上がりタイミングは入力クロックCLKの方が先で、反転クロックXCLKIの方が後である。また、出力クロックCLKOの立ち下がりタイミングを決めるのは入力クロックCLKの立ち下がりエッジである。
すなわち、入力クロックCLKと反転クロックXCLKIの立ち下がりタイミングは反転クロックXCLKIの方が先で、入力クロックCLKの方が後である。
先に述べたように、入力クロックCLKの立ち下がりエッジと反転クロックXCLKIの立ち上がりエッジの位相差はおおよそ180°である。
そのため、それぞれのエッジで立ち下がりと立ち上がりのタイミングが決まる出力クロックCLKOはHi期間がおおよそ180°、すなわち半周期となりデューティ比が50%に復元される。
【0048】
本第1の実施形態によれば、簡易的な回路でデューティ比をおおよそ50%に補正できる。
半導体集積回路のほとんどはクロックを用いた同期化システムのため、波及効果が大きい。
【0049】
<2.第2の実施形態>
[デューティ補正回路の第2の構成例]
図8は、本発明の第2の実施形態に係るデューティ補正回路の構成例を示す図である。
【0050】
本第2の実施形態のデューティ補正回路10Aが第1の実施形態に係るデューティ補正回路10と異なる点は、インバータ12を接続していないC素子11の第1入力にパスゲート容量13を接続したことにある。
第1の実施形態のデューティ補正回路10は原理的にデューティをおおよそ50%に補正できるものの、インバータ12の遅延が誤差となるおそれがある。
補正回路そのものが持つ誤差分を除去するため、インバータ12とほぼ同じ遅延を持つようにパスゲート容量13を設計することで、より精度の高いデューティ補正効果をもつ。
【0051】
[デューティ補正回路の適用例]
以下に、本実施形態に係るデューティ補正回路の適用例について説明する。
【0052】
<3.第3の実施形態>
[デューティ補正回路のDLL回路への第1の適用例]
図9は、本発明の第3の実施形態に係るDLL回路の構成例を示す図である。
【0053】
本DLL(Delay Locked Loop)回路20は、上述したデューティ補正回路10が適用されている。すなわち、本DLL回路20は、デューティ補正機能付きDLL回路として構成されている。
DLL回路とは、配線負荷などにより発生する外部インタフェースの遅延時間を制御し、内部クロックとの同期を調整する回路である。
【0054】
本DLL回路20は、位相ディテクタ(PD)21、チャージポンプ(CP)22、ローパスフィルタ(LPF)23、およびクロックCLKの入力端T21に対して縦続接続された遅延素子24−1〜24−6を有する。
そして、DLL回路20は、デューティ補正回路10−1および10−2を有している。
【0055】
DLL回路はPLL回路と異なり、入力クロックCLKのデューティ比が崩れていた場合はそれをそのまま出力してしまうという特性を持っている。
本本実施形態では、上述したデューティ補正回路を搭載することでDLL回路の弱点を解決するものである。
図9の例では、閉ループは4段の遅延素子24−1,24−2,24−3,24−4で構成されており、おのおのの出力側タップTAP1,TAP2,TAP3,TAP4におけるクロックの位相差は90°である。
DLL回路20は元の信号と遅延素子を縦続接続したディレイラインLDLYを通して一周期遅れた信号との位相差を位相ディテクタ21で比較してチャージポンプ22、ローパスフィルタ23を含むディレイループDLPを遅延同期させてロックしている。
そのため、ディレイラインLDLYが偶数段で構成されている場合、必ず位相差が180°であるタップTAPの組合せが存在する。
この例ではタップTAP1とタップTAP3、タップTAP2とタップTAP4の組合せである。
この組となる信号対をデューティ補正回路10−1,10−2に入力することで、出力を取り出すとデューティ比が補正されたクロックCLKA,CLKBが出力される。
【0056】
図10は、入力される相補クロックのデューティ比が50%より小さい(痩せた)場合の図9のDLL回路の動作波形を示す図である。
図11は、入力される相補クロックのデューティ比が50%より大きい(太った)場合の図9のDLL回路の動作波形を示す図である。
【0057】
図10は図6に対応し、図11は図7に対応している。
図10および図11において、タップTAP1のクロックCLK1が図6の入力クロックCLKに相当し、タップTAP3のクロックXCLK1が図6の入力クロックXCLKに相当する。
そして、タップTAP1のクロックCLK1がデューティ補正回路10−1のC素子11の一方の入力に供給される。タップTAP3のクロックXCLK1がデューティ補正回路10−1のインバータ12に供給される。
同様に、図10および図11において、タップTAP2のクロックCLK2が図6の入力クロックCLKに相当し、タップTAP4のクロックXCLK2が図6の入力クロックXCLKに相当する。
そして、タップTAP4のクロックCLK2がデューティ補正回路10−2のC素子11の一方の入力に供給される。タップTAP4のクロックXCLK2がデューティ補正回路10−2のインバータ12に供給される。
【0058】
タップTAP1のクロックCLK1がデューティ補正回路10−1のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP3のクロックXCLK1がデューティ補正回路10−1のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKAが得られる。
タップTAP2のクロックCLK2がデューティ補正回路10−2のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP4のクロックXCLK2がデューティ補正回路10−2のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKBが得られる。
この場合のデューティ補正動作は、図6および図7に関連付けて詳述した動作原理と同様である。
したがって、ここでは、その説明は省略する。
【0059】
以上のように、DLL回路20において、入力信号のデューティ比に依存せず、常におおよそデューティ比50%の信号を出力させることができる。
【0060】
<4.第4の実施形態>
[デューティ補正回路のDLL回路への第2の適用例]
図12は、本発明の第4の実施形態に係るDLL回路の構成例を示す図である。
【0061】
第4の実施形態に係るDLL回路20Aが第3の実施形態に係るDLL回路20と異なる点は、10個の遅延素子24−1〜24−10を縦続接続して、閉ループが8段の遅延素子24−1〜24−8により構成されていることにある。
これに応じて、DLL回路20Aは、2個のデューティ補正回路10−3,10−4が増設されている。
【0062】
この場合、遅延素子24−1〜24−8のおのおのの出力側タップTAP1〜TAP8におけるクロックの位相差は45°である。
ここではあえて波形は示さないが、同様に位相差が180°であるタップTAPの組合せをデューティ補正回路10−1〜103に入力することでデューティ補正の効果を得ることが可能である。
この例ではタップTAP1とタップTAP5、タップTAP2とタップTAP6、TAP3とタップTAP7、タップTAP4とタップTAP8の組合せである。
【0063】
タップTAP1のクロックCLK1がデューティ補正回路10−1のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP5のクロックXCLK1がデューティ補正回路10−1のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKAが得られる。
タップTAP2のクロックCLK2がデューティ補正回路10−2のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP6のクロックXCLK2がデューティ補正回路10−2のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKBが得られる。
タップTAP3のクロックCLK3がデューティ補正回路10−3のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP7のクロックXCLK3がデューティ補正回路10−3のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKCが得られる。
タップTAP4のクロックCLK4がデューティ補正回路10−4のC素子11の一方の入力に供給され、タップTAP8のクロックXCLK4がデューティ補正回路10−4のインバータ11に供給されて、デューティが補正された出力クロックCLKDが得られる。
【0064】
なお、ディレイラインLDLYの段数は4段、8段に限ったものではなく偶数段で構成されていれば良い。
【0065】
<5.第5の実施形態>
[デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第1の適用例]
図13は、本発明の第5の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【0066】
本カラムA/D変換器30は、上述したデューティ補正回路10が搭載されたDLL回路20が適用されている。
カラムA/D変換器30は、複数の積分型A/D変換器31が列並列に配列されている。カラムA/D変換器30は、DLL回路20および複数の積分型A/D変換器31に加えてさらに次の構成要素を有する。
カラムA/D変換器30は、ランプ波形を生成するランプ生成部32、クロック転送ライン33A,33B、リピータ34A−1〜34A−m、34B−1〜34B−m、および転送バス35を有する。
【0067】
各積分型A/D変換器31は、比較器311、TDC(Time-to-Digital Converter:時間量子化器、ラッチおよびデコード)312、上位カウンタ(リップルカウンタ)313を有する。
【0068】
DLL回路20による位相が90°異なり、デューティが補正された2つのクロック信号CLKA,CLKBを用いて、上位カウンタ313で10bit、下位TDC312で2bitの計12bitの分解能を持つ。
時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧RAMPと入力電圧VSLとが比較器311で比較され、比較結果は信号VCOとして出力される。
信号VCOが変化したタイミングで上位カウンタ313は動作を開始もしくは停止し、また下位TDC312では位相の異なるクロック信号の情報をラッチする。
【0069】
このカラムA/D変換器30は、イメージセンサの画素信号を列並列に読み出すのに用いられる。
【0070】
このカラムA/D変換器30において、位相の異なるクロックCLKAとCLKBは、デューティ補正機能付きDLL回路20よりカラムの端から端にクロック転送ライン33A,33Bの片側から伝送される。
このDLL回路に近いカラムを近端カラム、遠いカラムを遠端カラムと呼ぶ。
【0071】
デューティ補正機能付きDLL回路20を適用することにより、DLL回路20に入力されるクロックのデューティ比を補正できる。
【0072】
DLL回路20に入力されるクロックはチップ内のあらゆる経路を通過してきており、このカラムA/D変換器に分配される以前にデューティ比が崩れている場合がある。
それをA/D変換器の入口の段階でデューティ補正機能付きDLL回路20によって補正することで、以前の経路のデューティ崩れを考慮しなくて良くなることから、結果としてA/D変換特性の特性を向上させることができる。
【0073】
<6.第5の実施形態>
[デューティ補正回路のクロック転送ラインへの適用例]
図14は、本発明の第6の実施形態に係るクロック転送ラインにデューティ補正回路W適用した例を示す図である。
【0074】
図14は、相補クロックを用いてクロックを伝播させるクロック転送ライン33Cを示している。
クロックCLKは長距離配線を伝播させると配線の抵抗や寄生容量などの影響を受け、リピータを通過するごとにデューティ比が崩れていく。
そこで、まずクロックCLKを相補で伝送させる。相補クロックのデューティ比はそれぞれ崩れていくが、併走した経路や同一の回路を通過することにおいては位相差はおおよそ180°が保たれる。
そこで、リピータ34に入力する直前に、本実施形態に係るデューティ補正回路10を挿入することでデューティ比を随時補正していくことができる。
【0075】
<7.第7の実施形態>
[デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第2の適用例]
図15は、本発明の第7の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【0076】
本第7の実施形態に係るカラムA/D変換器30Aは、第6の実施形態のクロック転送ラインの構成が適用されている。
すなわち、本第7の実施形態に係るA/D変換器30Aは、相補クロック転送ライン33AC,33BCが適用され、リピータ34A,34Bの入力段毎にデューティ補正回路10が配置されている。
この例では、随時クロックのデューティ比が補正されていくため、遠端であってもデューティ比の崩れがそれほど大きくならないことを特徴とする。
【0077】
ここで、リピータ34A,34Bの入力段毎にデューティ補正回路が配置されていない場合について考察する。
クロックCLKA,CLKBはリピータ34A,34Bを介して伝播する。
このとき立ち上がり時間と立ち下がり時間の時間差で、デューティ比が崩れていき、近端のクロック信号CLKAN,CLKBNと遠端のクロック信号CLKAF,CLKBFのデューティ比が異なってしまい、A/D変換特性が劣化するおそれがある。
【0078】
これに対し、本第5の実施形態では、リピータ34A,34Bの入力段毎にデューティ補正回路10が配置されていることから、リピータにおけるデューティ比のくずれによる影響を最小限にすることができ、A/D変換特性の劣化を抑止できるという利点がある。
【0079】
なお、DLL回路20は、好適にはデューティ補正機能を有している方がA/D変換特性の劣化を大きく抑止することができる。
ただし、DLL回路20がデューティ補正機能付きでなくとも、十分にA/D変換特性の劣化を抑止することができる。
【0080】
<8.第8の実施形態>
[デューティ補正回路のカラムA/D変換器への第3の適用例]
図16は、本発明の第6の実施形態に係る積分型A/D変換器を列並列に並べたカラムA/D変換器の構成例を示す図である。
【0081】
本第7の実施形態に係るカラムA/D変換器30Bが第7の実施形態のA/D変換器30Aと異なる点は、次の通りである。
本第7の実施形態に係るカラムA/D変換器30Bでは、デューティ補正回路10が相補クロック転送ライン30AC、30BCではなく、各積分型A/D変換器31のTDC312および上位ビットカウンタ313の入力段に配置されている。
【0082】
本第7の実施形態によれば、各積分型A/D変換器31の各TDC312で位相差情報をラッチする直前にデューティ補正回路10があるため、補正の効果は高い。
【0083】
上記第5、第7、および第8の実施形態によれば、列並列カラムA/D変換器の特性、動作周波数の上限やDNLを向上させることができる。
【0084】
なお、第5、第7、および第8の実施形態の構成は個別に採用してもよいが、適宜組み合わせて採用することも可能である。
【0085】
<9.第9の実施形態>
[固体撮像素子の全体構成例]
図17は、本発明の第9の実施形態に係る列並列ADC搭載固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)の構成例を示すブロック図である。
図18は、図17の列並列ADC搭載固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)における要部をより具体的に示すブロック図である。
【0086】
この固体撮像素子100は、図17および図18に示すように、撮像部としての画素部110、垂直走査回路120、水平転送走査回路130、タイミング制御回路140、および画素信号読み出し部としてのカラムA/D変換器(ADC)150を有する。なお、画素信号読み出し部は、垂直走査回路120等を含んで構成される。
固体撮像素子100は、D/A変換器161を含むDACおよびバイアス回路160、アンプ回路(S/A)170、信号処理回路180、およびラインメモリ190を有する。
これらの構成要素のうち、画素部110、垂直走査回路120、水平転送走査回路130、カラムA/D変換器150、DACおよびバイアス回路160、並びにアンプ回路(S/A)170はアナログ回路により構成される。
また、タイミング制御回路140、信号処理回路180、およびラインメモリ190はデジタル回路により構成される。
【0087】
また、カラムA/D変換器150は、第5、第7、および第8の実施形態に係るカラムA/D変換器30,30A,30Bが適用される。図18では図面の簡単化のための各積分型A/D変換器151は、比較器152のみを示している。
積分型A/D変換器151は、第5、第7、および第8の実施形態に係るカラムA/D変換器30,30A,30Bの積分型A/D変換器31,31A,31Bが適用される。
また、タイミング制御回路140のDLL回路141が本実施形態のDLL回路20に相当する。
また、D/A変換器161は、図13、図15、図16のランプ生成部32に相当する。
【0088】
画素部110は、フォトダイオードと画素内アンプとを含む画素がマトリクス状(行列状)に配置されている。
【0089】
図19は、本実施形態に係る4つのトランジスタで構成されるCMOSイメージセンサの画素の一例を示す図である。
【0090】
この画素回路101Aは、光電変換素子としてたとえばフォトダイオード111を有している。
画素回路101Aは、この1個の光電変換素子としてのフォトダイオード111を有する。
画素回路101Aは、1個のフォトダイオード111に対し転送素子としての転送トランジスタ112、リセット素子としてのリセットトランジスタ113、増幅トランジスタ114、および選択トランジスタ115の4つのトランジスタを能動素子として有する。
【0091】
フォトダイオード111は、入射光をその光量に応じた量の電荷(ここでは電子)に光電変換する。
転送トランジスタ112は、フォトダイオード111と出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion)との間に接続されている。
転送トランジスタ112は、転送制御線LTxを通じてそのゲート(転送ゲート)に駆動信号TGが与えられることで、フォトダイオード111で光電変換された電子をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0092】
リセットトランジスタ113は、電源ラインLVDDとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。
リセットトランジスタ113は、リセット制御線LRSTを通してそのゲートにリセットRSTが与えられることで、フローティングディフュージョンFDの電位を電源ラインLVDDの電位にリセットする。
【0093】
フローティングディフュージョンFDには、増幅トランジスタ114のゲートが接続されている。増幅トランジスタ114は、選択トランジスタ115を介して垂直信号線116に接続され、画素部外の定電流源とソースフォロアを構成している。
そして、選択制御線LSELを通して制御信号(アドレス信号またはセレクト信号)SELが選択トランジスタ115のゲートに与えられ、選択トランジスタ115がオンする。
選択トランジスタ115がオンすると、増幅トランジスタ114はフローティングディフュージョンFDの電位を増幅してその電位に応じた電圧を垂直信号線116に出力する。垂直信号線116を通じて、各画素から出力された電圧は、画素信号読み出し回路としてのカラムA/D変換器150に出力される。
これらの動作は、たとえば転送トランジスタ112、リセットトランジスタ113、および選択トランジスタ115の各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時に行われる。
【0094】
画素部110に配線されているリセット制御線LRST、転送制御線LTx、および選択制御線LSELが一組として画素配列の各行単位で配線されている。
これらのリセット制御線LRST、転送制御線LTx、および選択制御線LSELは、画素駆動部としての垂直走査回路120により駆動される。
【0095】
固体撮像素子100は、画素部110の信号を順次読み出すための制御回路として内部クロックを生成するタイミング制御回路140、行アドレスや行走査を制御する垂直走査回路120、そして列アドレスや列走査を制御する水平転送走査回路130が配置される。
【0096】
タイミング制御回路140は、画素部110、垂直走査回路120、水平転送走査回路130、カラムA/D変換器150、DACおよびバイアス回路160、信号処理回路180、ラインメモリ190の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0097】
画素部110においては、たとえばラインシャッタを使用した光子蓄積、排出により、映像や画面イメージを画素行毎に光電変換し、アナログ信号VSLをカラムA/D変換器150に出力する。
カラムA/D変換器150では、ADCブロック(各カラム部)でそれぞれ、画素部110のアナログ出力をDAC161からの参照電圧RAMPを使用した応積分型A/D変換器151、およびデジタルCDSを行い、数ビットのデジタル信号を出力する。
【0098】
図20は、DACが生成するランプ(RAMP)波形およびADCの動作タイミングの一例を示す図である。
DAC161は、図14に示すような、階段状に変化させた傾斜するランプ波形(RAMP)である参照電圧PAMPを生成する。
【0099】
カラムA/D変換器150は、第5、第7、および第8の実施形態に係るカラムA/D変換器30,30A,30Bと同様の構成および機能を有することからここではその説明は省略する。
各積分型A/D変換器151の出力は、水平転送線LTRFに接続されている。
そして、水平転送線LTRFに対応したk個のアンプ回路170、および信号処理回路180が配置される。
【0100】
以上のAD変換期間終了後、水平転送走査回路130により、論理回路155によるデータが、水平転送線LTRFに転送され、アンプ回路170を経て信号処理回路180に入力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
【0101】
水平転送走査回路130では、転送速度の確保のために数チャンネル同時並列転送を行う。
タイミング制御回路140においては、画素部110、A/D変換器150等の各ブロックでの信号処理に必要なタイミングが生成される。
後段の信号処理回路180では、ラインメモリ190内に格納された信号より縦線欠陥や点欠陥の補正、信号のクランプを行ったり、パラレル-シリアル変換、圧縮、符号化、加算、平均、間欠動作などデジタル信号処理を行う。
ラインメモリ190には、画素行毎に送信されるデジタル信号が格納される。
本実施形態の固体撮像素子100においては、信号処理回路180のデジタル出力がISPやベースバンド(basEBand)LSIの入力として送信される。
【0102】
本第9の実施形態に係る固体撮像素子はであるCMOSイメージセンサ100は第5、第7、および第8の実施形態に係るカラムA/D変換器30,30A,30Bが適用される。
したがって、本固体撮像素子によれば、列並列カラムA/D変換器の特性、動作周波数の上限やDNLを向上させることができる。
【0103】
このような効果を有する固体撮像素子は、デジタルカメラやビデオカメラの撮像デバイスとして適用することができる。
【0104】
<10.第10の実施形態>
[カメラシステムの構成例]
図21は、本発明の実施形態に係る固体撮像素子が適用されるカメラシステムの構成の一例を示す図である。
【0105】
本カメラシステム200は、図21に示すように、本実施形態に係る固体撮像素子100が適用可能な撮像デバイス210を有する。
カメラシステム200は、撮像デバイス210の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系として、たとえば入射光(像光)を撮像面上に結像させるレンズ220を有する。
さらに、カメラシステム200は、撮像デバイス210を駆動する駆動回路(DRV)230と、撮像デバイス210の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)240と、を有する。
【0106】
駆動回路230は、撮像デバイス210内の回路を駆動するスタートパルスやクロックパルスを含む各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ(図示せず)を有し、所定のタイミング信号で撮像デバイス210を駆動する。
【0107】
また、信号処理回路240は、撮像デバイス210の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路240で処理された画像信号は、たとえばメモリなどの記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされる。また、信号処理回路240で処理された画像信号を液晶ディスプレイ等からなるモニターに動画として映し出される。
【0108】
上述したように、デジタルスチルカメラ等の撮像装置において、撮像デバイス210として、先述した固体撮像素子100を搭載することで、高精度なカメラが実現できる。
【符号の説明】
【0109】
10,10A,10−1〜10−4・・・デューティ補正回路、11・・・C素子、12・・・インバータ、13・・・パスゲート容量、20,20A・・・DLL回路、24−1〜24−10・・・遅延素子、30・・・カラムA/D変換器、31・・・積分型A/D変換器、311・・・比較器、312・・・TDC(Time-to-Digital Converter:時間量子化器)、313・・・上位ビットカウンタ、32・・・ランプ生成部、33A,33B・・・クロック転送ライン、34・・・リピータ、35・・・転送バス、100・・・固体撮像素子、110・・・画素部、120・・・垂直走査回路、130・・・水平転送走査回路、140・・・タイミング制御回路、141・・・DDL回路、150・・・カラムA/D変換器(ADC)、151・・・比較器、161・・・D/A変換器(DAC)、170・・・アンプ回路、180・・・信号処理回路、190・・・ラインメモリ、LTRF・・・水平転送線、200・・・カメラシステム、210・・・撮像デバイス、220・・・レンズ、230・・・駆動回路、240・・・信号処理回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力および第2入力を有するC素子と、
上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、
上記C素子は、
入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、
入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、
その他の状態では出力は前の状態を保持し、
上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される
デューティ補正回路。
【請求項2】
上記C素子の第1入力に、パスゲート容量が接続されている
請求項1記載のデューティ補正回路。
【請求項3】
上記パスゲート容量は、
上記インバータの遅延が与えるデューティ崩れの影響を相殺するように形成される
請求項2記載のデューティ補正回路。
【請求項4】
クロック入力に対して縦続接続された複数の遅延素子により生成されるディレイラインと、
入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有するディレイループと、
上記ディレイラインにおける位相差がほぼ半周期である2つのクロックが入力される少なくとも一つのデューティ補正回路と、を有し、
上記デューティ補正回路は、
第1入力および第2入力を有するC素子と、
上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、
上記C素子は、
入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、
入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、
その他の状態では出力は前の状態を保持し、
上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される
DLL回路。
【請求項5】
上記C素子の第1入力に、パスゲート容量が接続されている
請求項4記載のDLL回路。
【請求項6】
上記パスゲート容量は、
上記インバータの遅延が与えるデューティ崩れの影響を相殺するように形成される
請求項5記載のDLL回路。
【請求項7】
入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、
上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、
並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル(A/D)変換器と、を有し、
上記各積分型A/D変換器は、
時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、
上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、
上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、
上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、
上記デューティ補正回路は、
第1入力および第2入力を有するC素子と、
上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、
上記C素子は、
入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、
入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、
その他の状態では出力は前の状態を保持し、
上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される
カラムA/D変換器。
【請求項8】
上記クロック転送ラインは、
クロックを中継するリピータが配置され、
上記デューティ補正回路は、
上記リピータの入力段に配置される
請求項7記載のカラムA/D変換器。
【請求項9】
上記C素子の第1入力に、パスゲート容量が接続されている
請求項7または8記載のカラムA/D変換器。
【請求項10】
光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、
上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、
上記画素信号読み出し部は、
画素の列配列に対応して、読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換する積分型アナログデジタル(A/D)変換器が並列に配置されたカラムA/D変換器を含み、
上記カラムA/D変換器は、
入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、
上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、
並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル変換器(A/D変換器)と、を有し、
上記各積分型A/D変換器は、
時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、
上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、
上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、
上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、
上記デューティ補正回路は、
第1入力および第2入力を有するC素子と、
上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、
上記C素子は、
入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、
入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、
その他の状態では出力は前の状態を保持し、
上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される
固体撮像素子。
【請求項11】
固体撮像素子と、
上記固体撮像素子に被写体像を結像する光学系と、を有し、
上記固体撮像素子は、
光電変換を行う複数の画素が行列状に配列された画素部と、
上記画素部から複数の画素単位で画素信号の読み出しを行う画素信号読み出し部と、を有し、
上記画素信号読み出し部は、
画素の列配列に対応して、読み出したアナログ信号をデジタル信号に変換する積分型アナログデジタル(A/D)変換器が並列に配置されたカラムA/D変換器を含み、
上記カラムA/D変換器は、
入力クロックと、ディレイラインを通して一周期遅れたクロックとの位相差を位相比較して、遅延同期させてロックさせる遅延同期ループ(DLL)機能を有し、入力クロックから遅延同期させた位相差がほぼ半周期である相補クロックを供給するDLL回路と、
上記相補クロックが伝搬される複数のクロック転送ラインと、
並列に配置され、上記クロック転送ラインを転送された相補クロックが供給される積分型アナログデジタル変換器(A/D変換器)と、を有し、
上記各積分型A/D変換器は、
時間とともに電圧値が線形に変化するランプ波形の参照電圧と入力電圧とを比較する比較器と、
上記比較器の出力信号が反転したことをトリガとして動作開始または動作停止し、上記クロックの一方のクロックの周期ごとに計数する上位ビットカウンタと、
上記相補クロックにより上記比較器の出力信号が反転したタイミングで位相情報をラッチし、当該ラッチした値をデコードすることでクロック周期より分解能が高い下位ビットを出力する時間量子化器と、を含み、
上記DLL回路の相補クロックの出力段、上記クロック転送ライン、および上記各積分型A/D変換器の上記クロック転送ラインからの相補クロックの入力段のうちの少なくともいずれかに、デューティ補正回路が配置され、
上記デューティ補正回路は、
第1入力および第2入力を有するC素子と、
上記C素子の第2入力に接続されたインバータと、を有し、
上記C素子は、
入力が両方とも論理“1”になると出力が論理“1”になり、
入力が両方とも論理“0”になると出力が論理“0”になり、
その他の状態では出力は前の状態を保持し、
上記C素子の第1入力および上記インバータにそれぞれ互いに位相差がほぼ半周期の相補クロックが入力される
カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−160318(P2011−160318A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21898(P2010−21898)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】