説明

ドライバ回路およびそれを用いた試験装置

【課題】ポジティブエッジの波形、ネガティブエッジの波形の少なくとも一方を調節可能なドライバ回路を提供する。
【解決手段】分岐回路10は、送信すべき入力信号SINを複数の経路12に分岐する。各タイミング調節回路20は、それぞれが対応する経路に分岐された送信すべき信号Saのポジティブエッジおよびネガティブエッジの少なくとも一方に遅延を与える。合成出力回路30は、複数のタイミング調節回路20の出力信号Sbを合成し、合成された信号SOUTを伝送線路3に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線路を介して信号を出力するドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(DUT:被試験デバイス)を評価・試験するために、半導体試験装置(単に試験装置という)が利用される。試験装置は、DUTに対して試験信号を与え、DUTの状態を制御しながら、DUTの出力信号を期待値と比較することにより、DUTの良否を判定する。かかる試験装置には、DUTに対して試験信号を出力するドライバ回路が搭載される。
【0003】
試験装置のドライバには、デジタル試験信号のポジティブエッジ(スロープ)の遷移時間(立ち上がり時間)Tr、ネガティブエッジの遷移時間(立ち下がり時間)Tfを調節させる機能が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−5771号公報
【特許文献2】特開平6−338777号公報
【特許文献3】米国特許第4,488,062号明細書
【特許文献4】米国特許第4,794,552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試験装置のドライバおよびコンパレータを含むフロントエンド(ピンエレクトロニクスとも称される)は、CMOSプロセスを用いて集積化される。一方、特許文献1−4に記載のドライバ回路では、時間Tr、Trを調節するために、ドライバ回路に容量やダイオードを追加することが必要となるため、CMOSプロセスとの整合性が低く、回路規模が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ポジティブエッジの波形、ネガティブエッジの波形の少なくとも一方を調節可能なドライバ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、伝送線路に対して信号を出力するドライバ回路に関する。このドライバ回路は、送信すべき信号を複数の経路に分岐する分岐回路と、それぞれが複数の経路ごとに設けられ、それぞれが対応する経路に分岐された送信すべき信号のポジティブエッジおよびネガティブエッジの少なくとも一方に遅延を与える、複数のタイミング調節回路と、複数のタイミング調節回路の出力信号を合成し、合成された信号を伝送線路に出力する合成出力回路と、を備える。
【0008】
この態様によると、各タイミング調節回路における遅延量に応じて、合成された信号の波形を制御することができ、ひいては、遷移時間Trおよび/またはTfを制御することができる。
【0009】
合成出力回路は、所定の電圧を生成する電圧源と、その第1端子に所定の電圧を受ける第1抵抗と、その第1端子に所定の電圧を受ける第2抵抗と、それぞれが複数の経路ごとに設けられた複数の差動対であって、各差動対は、その第1端子が第1抵抗の第2端子に接続された第1トランジスタと、その第1端子が第2抵抗の第2端子に接続されるとともにその第2端子が第1トランジスタの第2端子と共通に接続された第2トランジスタと、を含む、複数の差動対と、複数の差動対にテイル電流を供給する定電流回路と、それぞれが複数の経路ごとに設けられた複数の差動変換回路であって、それぞれが対応するタイミング調節回路の出力信号を差動信号に変換し、差動信号の一方を対応する差動対の第1トランジスタの制御端子に、差動信号の他方を対応する差動対の第2トランジスタの制御端子に出力する、複数の差動変換回路と、を含んでもよい。
ドライバの出力段をCML(Current Mode Logic)で構成し、経路ごとに差動対を設けて、各差動対に流れる電流を合成することにより、複数のタイミング調節回路の出力信号を好適に合成することができる。この構成は、CMOSプロセスとの整合性が非常に高いという利点がある。
【0010】
定電流回路は、複数の差動対に共通に設けられた単一の定電流源を含んでもよい。
定電流回路は、それぞれが複数の差動対ごとに設けられ、それぞれが対応する差動対に所定のテイル電流を供給する、複数の定電流源を含んでもよい。
【0011】
合成出力回路は、第2抵抗の第2端子の信号を、伝送線路に出力してもよい。つまり、シングルエンド出力形式を有してもよい。
合成出力回路は、第2抵抗の第2端子の信号と、第1抵抗の第2端子の信号を、差動の伝送線路に出力してもよい。つまり差動出力形式を有してもよい。
【0012】
合成出力回路は、それぞれが複数の経路ごとに設けられ、それぞれが対応するタイミング調節回路の出力信号を受ける、複数のバッファ回路と、それぞれが複数の経路ごとに設けられ、それぞれの第1端子が対応するバッファ回路の出力信号を受け、それぞれの第2端子が共通に接続されている、複数の合成抵抗と、複数の合成抵抗の共通に接続された第2端子を受け、伝送線路に出力する出力バッファと、を含んでもよい。
この態様も、抵抗を用いて信号を合成するため、CMOSプロセスとの整合性が高い。
【0013】
タイミング調節回路は、入力された信号を遅延させる遅延回路を含んでもよい。
この場合、このドライバ回路の出力のポジティブエッジとネガティブエッジの波形を対称にできる。
【0014】
タイミング調節回路は、入力された信号のポジティブエッジとネガティブエッジそれぞれに個別の遅延を与えることにより、そのパルス幅を調節するパルス幅調節回路を含んでもよい。
この場合、ドライバ回路の出力のポジティブエッジとネガティブエッジの波形を独立に制御することができる。
【0015】
タイミング調節回路はそれぞれ、対応する経路に直列に設けられた、入力された信号を遅延させる遅延回路と、入力された信号のポジティブエッジとネガティブエッジそれぞれに個別の遅延を与えることにより、そのパルス幅を調節するパルス幅調節回路と、を含んでもよい。
この場合、ドライバ回路の出力のポジティブエッジとネガティブエッジの波形を、より高い自由度にて制御することができる。
【0016】
本発明の別の態様は、被試験デバイスを検査する試験装置に関する。この試験装置は、テストパターンに応じた信号を、伝送線路を介して被試験デバイスに出力する、上述のいずれかの態様のドライバ回路を備える。
この態様によれば、被試験デバイスに与える試験信号の波形を変化させることができ、多様な試験を行うことができる。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のある態様のドライバ回路によれば、出力波形を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係るドライバ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のドライバ回路の動作を示す第1のタイムチャートである。
【図3】CML形式の合成出力回路を備えるドライバ回路の構成を示す回路図である。
【図4】図3の合成出力回路の変形例を示す回路図である。
【図5】図5(a)、(b)は、第1、第2の変形例に係るドライバ回路を示すブロック図である。
【図6】図6(a)、(b)は、図5(a)のドライバ回路の動作を示すタイムチャートである。
【図7】図5(b)のドライバ回路の動作を示すタイムチャートである。
【図8】合成出力回路の別の構成例を示す回路図である。
【図9】実施の形態に係るドライバ回路を備える試験装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
図1は、実施の形態に係るドライバ回路100の構成を示すブロック図である。ドライバ回路100は、その入力端子PINに入力信号SINを受け、その波形を制御して、その出力端子POUTから出力する。出力端子POUTには伝送線路3を介して、図示しない受信デバイスが接続される。
【0023】
ドライバ回路100は、主として分岐回路10、複数のタイミング調節回路20、合成出力回路30を備える。
【0024】
分岐回路10は、送信すべき入力信号SINを、複数の経路12〜12に分岐する。nは経路の個数を示す2以上の整数である。
【0025】
複数のタイミング調節回路20〜20は、それぞれが複数の経路12〜12ごとに設けられる。i番目のタイミング調節回路20(1≦i≦n)は、対応する経路12に分岐された入力信号Saのポジティブエッジおよびネガティブエッジの少なくとも一方に遅延を与える。
【0026】
たとえばタイミング調節回路20は、それぞれに入力された信号を遅延させる遅延回路VDを含んでもよい。この遅延回路VDは、遅延量を制御可能な可変遅延回路であることが好ましい。遅延回路は、その入力信号全体に同じ遅延を与える。つまり分岐された入力信号Saのポジティブエッジとネガティブエッジには等しい遅延が与えられる。遅延回路としては、国際公開WO2006/025285号パンフレット等に記載される回路を用いてもよいし、別の構成の遅延回路を用いてもよい。
【0027】
合成出力回路30は、複数のタイミング調節回路20〜20の出力信号Sb〜Sbを合成し、合成された信号SOUTを伝送線路3に出力する。
【0028】
以上がドライバ回路100の基本構成である。続いてその動作を説明する。図2は、図1のドライバ回路100の動作を示す第1のタイムチャートである。このタイムチャートではn=3の場合が示される。タイミング調節回路20ごとに異なる遅延量τ1、τ2、τ3を設定することにより、出力信号SOUTのポジティブエッジには、複数の変曲点が現れる。隣接する2つの変曲点の間の区間の傾きは、その区間にポジティブエッジが存在する分岐された信号Sbの個数に応じて定まる。たとえば、区間T1には、ひとつの信号Sbのポジティブエッジが含まれ、区間T2には、2つの信号Sb、Sbのポジティブエッジ(スロープ)が含まれるため、区間T2の出力信号SOUTの傾きは、区間T1の出力信号SOUTの傾きの2倍となる。
【0029】
このように、図1のドライバ回路100によれば、各タイミング調節回路20の遅延量を制御することにより、出力信号SOUTのポジティブエッジの波形、すなわちポジティブエッジの遷移時間Trを制御することができる。
【0030】
また波形制御の分解能は、分岐される経路の個数nに応じて定まる。反対に言えば、経路の個数は、必要な分解能に応じて定めればよい。
【0031】
また、入力信号SINのネガティブエッジについても同様の処理が行われ、出力信号SOUTのネガティブエッジの波形、すなわち遷移時間Tfを制御することができる。またタイミング調節回路20がそれぞれ遅延回路で構成される場合、出力信号SOUTのポジティブエッジとネガティブエッジの波形を対称とすることができる。
【0032】
入力信号SINおよび出力信号SOUTが高速に遷移する場合、ドライバ回路100の出力段は、CML形式で構成することが望ましい。そこでCML形式の合成出力回路30の具体的な構成例を説明する。
【0033】
図3は、CML形式の合成出力回路30aを備えるドライバ回路100aの構成を示す回路図である。
【0034】
合成出力回路30aは、電圧源32、定電流回路34a、複数の差動対36、複数の差動変換回路38、第1抵抗R1、第2抵抗R2を備える。
電圧源32は、所定の電圧VHを生成する。第1抵抗R1、第2抵抗R2それぞれの第1端子には電圧VHが印加される。複数の差動対36〜36は、複数の経路12〜12ごとに設けられる。i番目の差動対36iは、第1トランジスタMi1、第2トランジスタMi2を含む。第1トランジスタMi1の第1端子(たとえばドレイン)は、第1抵抗R1の第2端子と接続される。第2トランジスタMi2の第1端子(ドレイン)は、第2抵抗R2の第2端子と接続される。第2トランジスタMi2の第2端子(ソース)は、対応する第1トランジスタMi1の第2端子(ソース)と接続される。同じ差動対36に属する第1トランジスタMi1と第2トランジスタMi2のサイズは等しく設計される。
【0035】
定電流回路34aは、複数の差動対36〜36にテイル電流Iを供給する。図3において、複数の差動対に含まれるトランジスタのソースは共通に接続されている。定電流回路34aは、複数の差動対36〜36に共通に設けられた、つまり共有される単一の定電流源を含む。
【0036】
複数の差動変換回路38〜38は、複数の経路12〜12ごとに設けられる。i番目の差動変換回路38は、対応するタイミング調節回路20の出力信号Sbを差動信号PATi、PATixに変換し、差動信号の一方PATiを対応する差動対36の第1トランジスタMi1の制御端子(ゲート)に出力し、差動信号の他方PATixを対応する差動対36の第2トランジスタMi2の制御端子(ゲート)に出力する。
【0037】
図3の合成出力回路30aはシングルエンド形式を有し、第2抵抗R2の第2端子の信号が、伝送線路3に出力される。
変形例において、合成出力回路30aは差動形式を有してもよい。この場合、合成出力回路30aは、第2抵抗R2の第2端子の信号と、第1抵抗R1の第2端子の信号のペアを、差動出力してもよい。
【0038】
図3のドライバ回路100aによれば、出力段をCML形式で構成し、経路12〜12ごとに差動対36〜36を設けて、各差動対36に流れる電流を合成することにより、複数のタイミング調節回路20〜20の出力信号Sb〜Sbを好適に合成することができる。この構成では、高速の、たとえば数Gbpsの信号を出力することができるとともに、CMOSプロセスとの整合性が非常に高いという利点がある。
【0039】
また、差動対36〜36のトランジスタサイズを重み付けした場合には、重み付けの比率に応じて、信号Sb〜Sbを合成する際の係数を変えることができる。なお、すべての差動対36〜36のサイズは等しくてもよい。
【0040】
図4は、図3の合成出力回路30aの変形例を示す回路図である。図4の合成出力回路30bにおいて、差動対36の第2端子(ソース)は、経路12〜12ごとに独立している。そして、定電流回路34bは、差動対36〜36ごとに設けられた電流源35〜35を含む。i番目の電流源35は、対応する差動対36にテイル電流Iを供給する。
【0041】
図4の構成によっても、図3の合成出力回路30aと同様の効果を得ることができる。また差動対36〜36のサイズは等しくてもよいし、重み付けされてもよい。
さらに、テイル電流I〜Iは等しくてもよいし、重み付けされてもよい。電流を重み付けすることによっても、複数の信号Sb〜Sbを合成する際の係数を変えることができる。
【0042】
以下、いくつかの変形例を説明する。
これまでの説明では、タイミング調節回路20が可変遅延回路VDを含む場合を説明したが、本発明はそれに限定されない。図5(a)、(b)は、第1、第2の変形例に係るドライバ回路100d、100eを示すブロック図である。
図5(a)のドライバ回路100dにおいて、各タイミング調節回路20は、パルス幅調節回路PWを含む。パルス幅調節回路PWは、入力された信号のポジティブエッジに第1の遅延量を与え、そのネガティブエッジに第2の遅延量を与える。つまりポジティブエッジとネガティブエッジに個別の遅延を与えることにより、そのパルス幅を調節する。こうしたパルス幅調節回路としては、たとえば国際公開WO2005/069487号パンフレットに記載の回路を利用できる。あるいは別の構成の回路を用いてもよい。
【0043】
図6(a)、(b)は、図5(a)のドライバ回路100dの動作を示すタイムチャートである。n=2の場合が示されており、図6(a)はポジティブエッジを遅延させた場合、図6(b)はネガティブエッジを遅延させた場合を示す。ポジティブエッジとネガティブエッジに個別に遅延を与えることにより、ポジティブエッジとネガティブエッジの波形を、独立に制御することができる。
【0044】
図5(b)に戻り、第2の変形例を説明する。図5(b)のドライバ回路100eにおいて、各タイミング調節回路20は、直列に接続された可変遅延回路VDおよびパルス幅調節回路PWを備える。図7は、図5(b)のドライバ回路100eの動作を示すタイムチャートである。
タイミング調節回路20を、可変遅延回路VDとパルス幅調節回路PWの組み合わせで構成することにより、さらに柔軟な波形制御が可能となる。
また、ある経路のタイミング調節回路20を可変遅延回路VDで構成し、別の経路のタイミング調節回路20をパルス幅調節回路PWで構成してもよい。
【0045】
図8は、合成出力回路の別の構成例を示す回路図である。図8の合成出力回路30cは、複数のバッファ回路BF〜BF、複数の合成抵抗Ro〜Ro、出力バッファBFと、備える。
複数のバッファ回路BF〜BFは、複数の経路12〜12(不図示)ごとに設けられる。i番目のバッファ回路BFは、対応するタイミング調節回路20の出力信号Sbを受ける。複数のバッファ回路BF〜BFの利得は等しくてもよいし、異なっていてもよい。バッファ回路BFの利得は、合成の際の係数を定める。
【0046】
複数の合成抵抗Ro〜Roは、複数の経路12〜12ごとに設けられる。i番目の合成抵抗Roの第1端子は、対応するバッファ回路BFの出力信号を受ける。複数の合成抵抗Ro〜Roの第2端子は、共通に接続されている。出力バッファBFは、複数の合成抵抗Ro〜Roの共通に接続された第2端子の信号SOUT’を受け、それに応じた出力信号SOUTを伝送線路3に出力する。複数の合成抵抗Ro〜Roの抵抗値は等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
図8の合成出力回路30cによれば、バッファ回路BF〜BFそれぞれの利得をg〜gとするとき、電流保存則から以下の式が成り立つ。
(Sb×g−Sout’)/Ro+(Sb×g−Sout’)/Ro+・・・
=Σi=1:n{(Sb×g−SOUT’)/Ro}=0 …(1)
【0048】
式(1)をSOUT’について解くと、式(2)を得る。
Σi=1:n(Sb×g/Ro)=Σi=1:n(SOUT’/Ro
OUT’=Σi=1:n(Sb×g/Ro)/Σi=1:nRo …(2)
すなわち、合成抵抗Ro〜Roの抵抗値および利得g〜gに応じて、信号Sb〜Sbを合成する際の係数を調節することができる。
【0049】
最後に、第1または第2の実施の形態に係るドライバ回路のアプリケーションを説明する。図9は、実施の形態に係るドライバ回路を備える試験装置2の構成を示すブロック図である。
【0050】
試験装置2は、主としてパターン発生器PG、タイミング発生器TG、波形整形器FC、ドライバDR、タイミングコンパレータTC、論理比較器DCを備える。
【0051】
パターン発生器PGは、DUT1に対して供給すべきテストパターンを規定するパターンデータDPを発生する。タイミング発生器TGは、パターンデータDPにもとづいて、DUT1に与えるべき信号Voutのポジティブエッジおよびネガティブエッジのタイミングを設定するタイミング設定データTPを、所定の周期(以下、レート周期TRATEと称する)ごとに生成する。
【0052】
波形整形器FCは、パターンデータDPおよびタイミング設定データTPを受け、それに応じたタイミングで値が変化する出力信号FPを生成する。ドライバDRは、上述の実施の形態に係るドライバ回路100であり、波形整形器FCからの信号FPに応じたレベルを有する電圧VoutをDUT1へと出力する。
【0053】
タイミングコンパレータTCは、DUT1から出力される信号S2を受け、所定のタイミングでその値をラッチする。論理比較器DCは、テストサイクルごとのタイミングコンパレータTCの出力値を、それぞれに対応する期待値EXPとデジタル比較(Digital Compare)し、一致、不一致を示すパスフェイル信号PASS/FAILを生成する。パスフェイル信号はフェイルメモリFMに格納される。
【0054】
以上が試験装置2の構成例である。実施の形態に係るドライバ回路100を、このような試験装置2に搭載することにより、DUT1に対して供給する信号の波形を、DUT1の種類や試験項目に応じて、任意に調節することができる。
【0055】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0056】
1…DUT、2…試験装置、3…伝送線路、100…ドライバ回路、PIN…入力端子、POUT…出力端子、10…分岐回路、20…タイミング調節回路、30…合成出力回路、32…電圧源、34…定電流回路、36…差動対、38…差動変換回路、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、Ro…合成抵抗、VD…可変遅延回路、PW…パルス幅調節回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送線路に対して信号を出力するドライバ回路であって、
送信すべき信号を複数の経路に分岐する分岐回路と、
それぞれが前記複数の経路ごとに設けられ、それぞれが対応する経路に分岐された前記送信すべき信号のポジティブエッジおよびネガティブエッジの少なくとも一方に遅延を与える、複数のタイミング調節回路と、
前記複数のタイミング調節回路の出力信号を合成し、合成された信号を前記伝送線路に出力する合成出力回路と、
を備えることを特徴とするドライバ回路。
【請求項2】
前記合成出力回路は、
所定の電圧を生成する電圧源と、
その第1端子に前記所定の電圧を受ける第1抵抗と、
その第1端子に前記所定の電圧を受ける第2抵抗と、
それぞれが前記複数の経路ごとに設けられた複数の差動対であって、各差動対は、その第1端子が前記第1抵抗の第2端子に接続された第1トランジスタと、その第1端子が前記第2抵抗の第2端子に接続されるとともにその第2端子が前記第1トランジスタの第2端子と共通に接続された第2トランジスタと、を含む、複数の差動対と、
前記複数の差動対にテイル電流を供給する定電流回路と、
それぞれが前記複数の経路ごとに設けられた複数の差動変換回路であって、それぞれが対応するタイミング調節回路の出力信号を差動信号に変換し、前記差動信号の一方を対応する差動対の前記第1トランジスタの制御端子に、前記差動信号の他方を対応する差動対の前記第2トランジスタの制御端子に出力する、複数の差動変換回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記定電流回路は、
前記複数の差動対に共通に設けられた単一の定電流源を含むことを特徴とする請求項2に記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記定電流回路は、
それぞれが前記複数の差動対ごとに設けられ、それぞれが対応する差動対に所定のテイル電流を供給する、複数の定電流源を含むことを特徴とする請求項2に記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記合成出力回路は、前記第2抵抗の前記第2端子の信号を、前記伝送線路に出力することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記合成出力回路は、前記第2抵抗の前記第2端子の信号と、前記第1抵抗の前記第2端子の信号を、差動の伝送線路に出力することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項7】
前記合成出力回路は、
それぞれが前記複数の経路ごとに設けられ、それぞれが対応する前記タイミング調節回路の出力信号を受ける、複数のバッファ回路と、
それぞれが前記複数の経路ごとに設けられ、それぞれの第1端子が対応する前記バッファ回路の出力信号を受け、それぞれの第2端子が共通に接続されている、複数の合成抵抗と、
前記複数の合成抵抗の共通に接続された前記第2端子を受け、前記伝送線路に出力する出力バッファと、
を含むことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項8】
前記タイミング調節回路は、入力された信号を遅延させる遅延回路を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項9】
前記タイミング調節回路は、入力された信号のポジティブエッジとネガティブエッジそれぞれに個別の遅延を与えることにより、そのパルス幅を調節するパルス幅調節回路を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項10】
前記タイミング調節回路はそれぞれ、対応する経路に直列に設けられた、
入力された信号を遅延させる遅延回路と、
入力された信号のポジティブエッジとネガティブエッジそれぞれに個別の遅延を与えることにより、そのパルス幅を調節するパルス幅調節回路と、
を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のドライバ回路。
【請求項11】
被試験デバイスを検査する試験装置であって、
テストパターンに応じた信号を、伝送線路を介して前記被試験デバイスに出力する請求項1から10のいずれかに記載のドライバ回路を備えることを特徴とする試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129810(P2012−129810A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279738(P2010−279738)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】