説明

ナビゲーション装置、情報提供サーバ、ルート探索方法、ルート探索プログラム及びルート探索システム

【課題】案内ルートの目的地周辺における実際の状況などに応じて適切に情報を提供し、それに基づいた案内ルートの探索を可能とする。
【解決手段】ルート探索システムは、移動体に搭載されるナビゲーション装置と、情報提供サーバと、を備える。ナビゲーション装置は、目的地までの案内ルートが設定される。案内ルート上における移動体の走行履歴を示す走行履歴情報と、走行中の移動体のステータスを示すステータス情報とが取得される。所定のルート再検討条件が成立したときに、走行履歴情報及びステータス情報が情報提供サーバへ送信される。情報提供サーバは、ナビゲーション装置から走行履歴情報及びステータス情報を受信すると、走行履歴情報、ステータス情報及び目的地周辺の周辺情報に基づいて、ルート変更関連情報を生成し、ナビゲーション装置へ送信する。情報提供サーバからルート変更に関連するルート変更関連情報を受信すると、ナビゲーション装置は、ルート変更関連情報に基づいて案内ルートを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを利用し、目的地までの案内ルートを探索する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置、インターネットを利用した地図提供アプリケーションなどにはルート探索機能が設けられている。ルート探索機能は、地図データを利用して、地理上の出発地から目的地に至る走行ルートを自動計算し、ユーザに提示する機能である。
【0003】
上記のようなルート探索機能を備えるナビゲーション装置の一例として、特許文献1には、目的地までの行程ステージのどの段階であるかを自動的に推測し、行程ステージに対応した情報を提示するものが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−345150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車両が目的地へ向かって走行している間に、目的地周辺の状況は時々刻々と変化している。特許文献1の手法は、ナビゲーション装置の内部にある情報のみに基づいて情報を提示しているため、必ずしもその時点における目的地周辺の実際の状況に十分に適合した情報を提示できているとは言えない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、案内ルートの目的地周辺における実際の状況などに応じて適切に情報を提供し、それに基づいた案内ルートの探索を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置であって、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項9に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置によるルート探索方法であって、目的地までの案内ルートを設定するルート設定工程と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得工程と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報工程手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信工程と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信工程と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項10に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置のコンピュータにより実行されるルート探索プログラムであって、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段、及び、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0010】
請求項12に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバであって、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項13に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバにより実行されるルート探索方法であって、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信工程と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を取得する周辺情報取得工程と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成工程と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項14に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバのコンピュータにより実行されるルート探索プログラムであって、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段、及び、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段、として前記コンピュータを機能させる。
【0013】
請求項16に記載の発明は、移動体に搭載されるナビゲーション装置と、情報提供サーバと、を備えるルート探索システムであって、前記ナビゲーション装置は、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を前記情報提供サーバへ送信する送信手段と、前記情報提供サーバから、ルート変更に関連するルート変更関連情報を受信する受信手段と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備え、前記情報提供サーバは、前記ナビゲーション装置から前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を受信する受信手段と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、前記ルート変更関連情報を生成する生成手段と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置は、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備える。これにより、目的地周辺の情報を利用して適切なルート変更が可能となる。
【0015】
上記のナビゲーション装置は、車両などの移動体に搭載され、まず目的地までの案内ルートが設定される。車両の走行中には、移動体の走行履歴を示す走行履歴情報と、移動体のステータスを示すステータス情報とが取得される。所定のルート再検討条件が成立すると、走行履歴情報及びステータス情報が情報提供サーバへ送信される。情報提供サーバは、走行履歴情報、ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいてルート変更関連情報を生成し、ナビゲーション装置へ送信する。受信手段はルート変更関連情報を受信し、ルート変更手段は、ルート変更関連情報に基づいて案内ルートを変更する。
【0016】
上記のナビゲーション装置の一態様では、前記ルート変更関連情報は、前記目的地周辺の立ち寄り地の情報、又は、前記目的地周辺の立ち寄り地を含む案内ルートの情報を含む。また、前記ルート変更関連情報は、さらに前記目的地周辺の立ち寄り地を勧める理由を示す情報を含んでもよい。
【0017】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記ルート再検討条件は、前記移動体が前記目的地から所定距離の範囲内に進入したこと、前記移動体が前記目的地から所定距離の範囲内に進入した後に前記ステータス情報が変化したこと、前記案内ルートによる目的地への到着予定時間の変化、及び、前記移動体の燃料が所定量以下となったこと、などを含む。
【0018】
本発明の他の実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置によるルート探索方法は、目的地までの案内ルートを設定するルート設定工程と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得工程と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報工程手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信工程と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信工程と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更工程と、を備える。これにより、目的地周辺の情報を利用して適切なルート変更が可能となる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置のコンピュータにより実行されるルート探索プログラムは、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段、前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段、及び、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをナビゲーション装置のコンピュータで実行することにより、目的地周辺の情報を利用して適切なルート変更が可能となる。また、上記のルート探索プログラムは記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバは、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備える。
【0021】
上記の情報提供サーバは、移動体の目的地へ走行中に、移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報をナビゲーション装置から受信するとともに、目的地周辺の情報である周辺情報を記憶した周辺情報記憶手段から周辺情報を取得する。そして、走行履歴情報、ステータス情報及び周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成し、ナビゲーション装置へ送信する。これにより、ナビゲーション装置では、目的地周辺の情報に基づいて適切なルート変更が可能となる。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバにより実行されるルート探索方法は、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信工程と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を取得する周辺情報取得工程と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成工程と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信工程と、を備える。これにより、ナビゲーション装置では、目的地周辺の情報に基づいて適切なルート変更が可能となる。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態では、移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバのコンピュータにより実行されるルート探索プログラムは、前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段、及び、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをサーバ装置のコンピュータで実行することにより、目的地周辺の情報を利用して適切なルート変更が可能となる。また、上記のルート探索プログラムは記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態では、ルート探索システムは、移動体に搭載されるナビゲーション装置と、情報提供サーバと、を備える。ここで、前記ナビゲーション装置は、目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を前記情報提供サーバへ送信する送信手段と、前記情報提供サーバから、ルート変更に関連するルート変更関連情報を受信する受信手段と、前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備える。また、情報提供サーバは、前記ナビゲーション装置から前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を受信する受信手段と、前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、前記ルート変更関連情報を生成する生成手段と、前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備える。これにより、ナビゲーション装置では、目的地周辺の情報に基づいて適切なルート変更が可能となる。
【実施例】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0026】
[システムの概要]
図1は、本発明を適用したルート案内の様子を模式的に示す。図1において、移動体の一例である車両1にはナビゲーション装置100が搭載されている。ナビゲーション装置100はルート探索機能を備えており、目的地Gまでの案内ルートが設定されている。車両1は目的地Gに向かって、設定された案内ルートに従って走行している。
【0027】
ナビゲーション装置100は、例えば無線通信機能により情報提供サーバ200と通信可能に構成されている。ナビゲーション装置100は、走行中に後述する走行履歴情報及びステータス情報を生成し、内部に記憶している。所定のルート再検討条件が成立すると、ナビゲーション装置100は、走行履歴情報及びステータス情報を情報提供サーバ200へ送信する。
【0028】
情報提供サーバ200は、目的地Gの周辺の現在の状況などを示す情報(以下「目的地周辺情報」と呼ぶ。)を記憶するデータベース(以下、単に「DB」とも表記する。)を備えている。情報提供サーバ200は、ナビゲーション装置100から走行履歴情報及びステータス情報を受信すると、走行履歴情報から当該ナビゲーション装置100の目的地を判別し、当該目的地に対応する目的地周辺情報をデータベースから取得する。そして、走行履歴情報、ステータス情報及び目的地周辺情報に基づいて、ルート変更関連情報を生成し、ナビゲーション装置100へ送信する。詳細は後述するが、ルート変更関連情報の典型的な例は、目的地から所定距離の範囲内に車両1が到達することである。ナビゲーション装置100は、ルート変更関連情報を受信すると、それに基づいて案内ルートを変更する。
【0029】
これにより、ナビゲーション装置100は、目的地周辺の現在の情報に基づいてルート変更関連情報を得ることができ、それに基づいて案内ルートを変更することができる。よって、目的地周辺において、ユーザに有益な情報の提供やサービスの提供などを行うことができる。
【0030】
以下、本システムにおける各構成要素について詳しく説明する。
【0031】
[ナビゲーション装置]
図2に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置100の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0032】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0033】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0034】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置100全体の制御を行う。
【0035】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0036】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0037】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0038】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0039】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。
【0040】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0041】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0042】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0043】
図3は、ナビゲーション装置100のうち、本発明によるルート探索に特に関連する部分の機能構成を示す。ナビゲーション装置100は、通信制御部101と、走行履歴管理部102と、ステータス管理部103と、ルート探索部104と、ルート案内実行部105と、データ送信部106と、データ受信部107と、走行履歴DB108と、ステータスDB109と、を備える。
【0044】
通信制御部101、走行履歴管理部102、ステータス管理部103、ルート探索部104、及び、ルート案内実行部105は、図2におけるシステムコントローラ20内のCPU22が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。データ送信部106及びデータ受信部107は、図2における通信装置38により構成される。また、走行履歴DB106及びステータスDB109は、図2におけるRAM24及び/又はデータ記憶ユニット36により構成される。
【0045】
通信制御部101は、データ送信部106及びデータ受信部107を制御し、情報提供サーバ200との間のデータの送受信を制御する。本実施例では、データ送信部106は主として走行履歴情報及びステータス情報を情報提供サーバ200へ送信し、データ受信部107はルート変更関連情報を情報提供サーバ200から受信する。
【0046】
走行履歴管理部102は、車両1の走行に伴って走行履歴情報を取得し、走行履歴DB108へ記憶する。走行履歴DB108に記憶された走行履歴情報の例を図4に示す。図4の例では、走行履歴DB108は、走行履歴情報をテーブルの形態(以下、「走行履歴テーブル」とも呼ぶ。)で記憶する。図4(A)は車両1が目的地へ向かって走行を開始する前の走行履歴テーブルの内容を示している。走行履歴テーブルには、目的地が記憶されており、さらに車両1の燃料タンクにおける残りの燃料量が記憶されている。
【0047】
図4(B)は、車両1が案内ルートに従って走行している間のある時点における走行履歴テーブルの内容を示している。「サービスエリア(S.A)立ち寄り回数」は走行を開始してから車両1がサービスエリアに立ち寄った回数を示し、「S.A立ち寄り経過時間」は最後にサービスエリアに立ち寄ってからの経過時間を示す。「平均S.A立ち寄り間隔」はサービスエリアへ立ち寄った時間間隔の平均を示し、「食事場所立ち寄り経過時間」は最後の食事場所に立ち寄ってからの経過時間を示す。「燃料残り」は車両1の残り燃料量を示し、「燃費」はその時点までの燃費を示す。
【0048】
走行履歴管理部102は、上記のような走行履歴情報を取得し、走行履歴DB108に記憶する。また、走行履歴管理部102は、所定のルート再検討条件が成立すると、走行履歴DB108に記憶されている走行履歴情報を読み出し、通信制御部101へ供給する。通信制御部101は、この走行履歴情報を、データ送信部106を通じて情報提供サーバ200へ送信する。
【0049】
ステータス管理部103は、主として車両1の現在の状態を示すステータス情報を取得し、ステータスDB109へ記憶する。ステータス情報の例を図5に示す。図5は、走行中のある時点におけるステータス情報の例を示している。ステータス情報もテーブルの形態(以下、「ステータステーブル」とも呼ぶ。)で記憶されている。
【0050】
具体的に、「運転経過時間」は車両1の運転を開始してからの経過時間を示し、「出発時刻」は車両1が出発した時刻を示す。「初期到着予定時刻」は最初のルート探索結果による目的地への到着予定時刻を示し、「基準地点時予定到着時刻」は車両が基準地点に到着した時点における目的地への到着予定時刻を示す。なお、本例では「基準地点」とは、目的地から所定距離(例えば100km)の地点とする。「ワイパー」は車両1のワイパーが動作しているか、及び、動作している場合にはその速度を示す。「室温」は車内温度を示し、「タイヤの状態」は現在車両に装着されているタイヤの種類を示す。なお、タイヤの状態は、ユーザが予め設定するものとする。
【0051】
ステータス管理部103は、車両の走行開始時及び/又は走行中に、上記のようなステータス情報を取得してステータスDB109に記憶する。また、ステータス管理部103は、所定のルート再検討条件が成立すると、ステータスDB109に記憶されているステータス情報を読み出し、通信制御部101へ供給する。通信制御部101は、このステータス情報を、データ送信部106を通じて情報提供サーバ200へ送信する。
【0052】
ルート探索部104は、ユーザが設定した目的地への案内ルートを探索し、設定する。また、ルート探索部104は、情報提供サーバ200からルート変更関連情報を取得したときには、その情報に基づいて案内ルートを変更する。即ち、ルート探索部104は、ルート変更関連情報に基づいて、新たな案内ルートを再探索し、設定する。ルート案内実行部105は、設定された案内ルートに基づいて、地図表示、案内地点の表示、音声案内の出力などのいわゆるルート案内処理を実行する。
【0053】
「ルート再検討条件」は、まず、車両1が基準地点、即ち目的地から所定距離の地点に到達したことを含む。これに加えて、例えば、車両が基準地点に到達した後でステータス情報中のいずれかの項目が変化したこと、目的地への到着予定時刻が変化したこと、車両の残り燃料が所定量以下となったこと、などをルート再検討条件としてもよい。
【0054】
[情報提供サーバ]
次に、情報提供サーバ200について説明する。情報提供サーバ200の機能構成を図6に概略的に示す。情報提供サーバ200は、通信制御部201、情報生成部202、目的地周辺情報DB203、データ送信部206、及び、データ受信部207を備える。
【0055】
通信制御部201は、データ送信部206及びデータ受信部207を制御し、ナビゲーション装置100との間のデータの送受信を制御する。本実施例では、データ送信部206は主としてルート変更関連情報をナビゲーション装置100へ送信し、データ受信部207は走行履歴情報及びステータス情報をナビゲーション装置100から受信する。
【0056】
情報生成部202は、主としてルート変更関連情報を生成する。具体的には、情報生成部202は、ナビゲーション装置100から受信した走行履歴情報及びステータス情報と、目的地周辺情報DB203に記憶されている目的地周辺情報とに基づいて、ルート変更関連情報を生成する。
【0057】
目的地周辺情報DBに記憶される目的地周辺情報の例を図7に示す。目的地周辺情報は、目的地として選択される地点や施設毎に用意される。図7の例は目的地「X旅館」についての目的地周辺情報であり、目的地周辺情報はテーブルの形態で記憶されている。具体的には、X旅館の周辺施設として、「お花畑」、「博物館」、「美術館」、「トイレ」、「ガソリンスタンド(GS)」などが記憶されている。また、各周辺施設に対して、「位置情報」、「雨適正」、「値段」、「所要時間」などが記憶されている。「位置情報」はその周辺施設の地理上の位置情報であり、例えば緯度及び経度(x、y)などにより示される。「雨適正」はその周辺施設が雨の日の訪問に適しているか否かを示す。「値段」はその周辺施設を利用するために必要な費用を示す。但し、ガソリンスタンドについては、「値段」はガソリンの料金を示している。「所要時間」はその周辺施設を利用する際の一般的な所要時間を示し、例えば博物館であれば一通り閲覧するのに要する時間などを示す。
【0058】
上記のような目的地周辺情報は、目的地周辺の情報提供者から情報提供サーバ200へリアルタイムで提供されており、常に更新されている。即ち、情報提供サーバ200に記憶されている目的地周辺情報は、その目的地周辺の現在の状況を反映した最新の情報となっている。このような最新の情報を利用してルート変更関連情報を生成することにより、情報提サーバ200は、目的地へ向かって走行中のユーザに対して有益な情報を提供することが可能となる。
【0059】
ルート変更関連情報の典型的な例は、立ち寄り地情報である。例えば、図5の例では、ナビゲーション装置100から送信されたステータス情報中の「初期到着予定時刻」及び「基準地点時到着予定時刻」から、車両1が当初の予定より1時間程度早く目的地に到着することがわかる。この場合、情報生成部202は、図7に示す目的地周辺情報中の項目「所要時間」に着目し、周辺施設のうち1時間程度で利用が可能な周辺施設の情報を立ち寄り地情報として指定することができる。この際、情報生成部202は、ステータス情報中の項目「ワイパー」の内容と、目的地周辺情報中の項目「雨適正」を考慮することにより、雨の日に適さない周辺施設を立ち寄り地として勧めることが避けられる。また、情報生成部202は、走行履歴情報中の項目「燃料残り」に着目し、残りの燃料が所定量以下である場合には、立ち寄り地としてガソリンスタンドを指定することもできる。また、走行履歴情報中の項目「食事場所立ち寄り経過時間」が所定時間より長い場合には、食事が可能な周辺施設を立ち寄り地として指定することもできる。
【0060】
ルート変更関連情報として立ち寄り地情報を受信すると、ナビゲーション装置100は、当該立ち寄り地を経由するように案内ルートを変更する処理を行うことになる。こうして、情報提供サーバ200は、現在の目的地周辺の状況などに応じて、適切な立ち寄り地をユーザに提案することができる。
【0061】
なお、上記の例では、情報提供サーバ200はルート変更関連情報として立ち寄り地自体をナビゲーション装置100へ送信し、ナビゲーション装置100が当該立ち寄り地を経由する案内ルートを再検索して設定する。その代わりに、当該立ち寄り地を経由して目的地へ至る案内ルート自体の情報をルート変更関連情報としてナビゲーション装置100へ提供することとしてもよい。即ち、立ち寄り地を経由する新たな案内ルートを情報提供サーバ200側で作成し、ルート変更関連情報としてナビゲーション装置100へ送信することとしてもよい。その場合には、ナビゲーション装置100側では、情報提供サーバ200から受信した新たな案内ルートを単にナビゲーション装置100に設定するだけでよく、ナビゲーション装置100内でルートの再探索を行う必要が無くなる。
【0062】
さらに、ルート変更関連情報として、上記の立ち寄り地又は立ち寄り地を含む新たな案内ルートに加えて、その立ち寄り地を提案する理由などを示す情報を含めてナビゲーション装置100へ送信することとしてもよい。例えば、上記のように立ち寄り地としてガソリンスタンドを提案する場合には、「ガソリンが減少しており、そろそろ給油が必要」などの文字又は音声メッセージをルート変更関連情報に含めてナビゲーション装置100へ送信し、ナビゲーション装置100側でユーザに対して提示すればよい。これにより、ユーザは情報提供サーバ200がその立ち寄り地を勧める理由を明確に知ることができる。
【0063】
[ルート探索処理]
次に、本実施例によるルート探索処理について説明する。図8はナビゲーション装置100側で実行されるルート探索処理のフローチャートであり、図9は情報提供サーバ200側で実行されるルート探索処理のフローチャートである。
【0064】
まず、図8において、ナビゲーション装置100のルート探索部104は、ユーザが指定した目的地までの案内ルートを探索し、設定する(ステップS101)。この案内ルートは初期案内ルートとなる。次に、走行履歴管理部102及びステータス管理部13は、それぞれ走行履歴テーブル及びステータステーブル中の必要事項をリセットする初期化処理を行う(ステップS102)。次に、ルート案内実行部105は、ステップS101で設定された案内ルート上の基準地点(即ち、目的地から所定距離の地点)をRAM24などに読み込む(ステップS103)。
【0065】
ユーザが車両1の走行を開始すると、走行履歴管理部102は図4に例示するような走行履歴情報を必要なタイミングで取得し、走行履歴DB108に記憶する(ステップS104)。
【0066】
次に、ルート案内実行部105は、所定のルート再検討条件が成立したか否かを判定する(ステップS105)。典型的な例では、車両1の現在地が、先に設定した基準地点に到達したか否かが判定される。こうして、車両1が基準地点に到達するまで、走行履歴管理部102は走行履歴を取得し、更新し続ける。
【0067】
車両1が基準地点に到達すると(ステップS105;Yes)、ステータス管理部103は現在の車両1の状態をステータス情報としてステータスDB109へ記憶する(ステップS106)。そして、通信制御部101は、走行履歴管理部102及びステータス管理部103からそれぞれ走行履歴情報及びステータス情報を取得し、情報提供サーバ200へ送信する(ステップS107)。
【0068】
その後、通信制御部101が情報提供サーバ200からルート変更関連情報を受信すると(ステップS108)、ルート探索部104は当該ルート変更関連情報、典型的には立ち寄り地の情報に基づいて、目的地までの案内ルートを変更する(ステップS109)。そして、ルート案内実行部105は、変更後の案内ルートに従ってルート案内を実行し、車両1が目的地へ到達したときに(ステップS110:Yes)、ルート案内を終了する。一方、車両1が目的地へ到達するまでは(ステップS110;No)、ステップS104〜ステップS109が繰り返される。即ち、ルート再検討条件が成立する度に、走行履歴情報及びステータス情報が情報提供サーバ200へ送信される、そして、情報提供サーバ200からルート変更関連情報し、それに応じて案内ルートが変更される。
【0069】
次に、図9を参照して、情報提供サーバ200側の処理について説明する。まず、通信制御部201は、図8のステップS107においてナビゲーション装置100から送信された走行履歴情報及びステータス情報を受信する(ステップS201)。次に、情報生成部202は、受信した走行履歴情報に含まれる目的地に基づいて、目的地周辺情報DB203から目的地周辺情報を取得する(ステップS202)。そして、情報生成部202は、走行履歴情報、ステータス情報及び目的地周辺情報を用いて、立ち寄り地などのルート変更関連情報を生成し(ステップS203)、通信制御部201は生成されたルート変更関連情報をナビゲーション装置100へ送信する。
【0070】
[具体例]
(ルート再検討条件)
前述のように、ルート再検討条件としては、まず、「車両が目的地から基準地点(所定距離の地点)に到達したこと」が挙げられる。これにより、車両1が目的地の周辺に近づいたときに、情報提供サーバ200が目的地周辺情報を考慮してルート変更に関する情報を提供することができる。
【0071】
また、ルート再検討条件として、「車両が基準地点へ到着した後に、ステータス情報が変化したこと」を採用することができる。これにより、一度案内ルートが変更された後でも、車両のステータスの変更に応じてさらに適切なルートを再設定することが可能となる。例えば、車両が基準地点を通過したときに、初期の案内ルートが、屋外の周辺施設を立ち寄り地として含む案内ルートに変更されたとする。その後、雨が降り始め、ステータス情報中の項目「ワイパー」の内容が変化した場合には、雨でも訪問に適する室内の周辺施設にさらにルートを変更することが可能となる。
【0072】
また、ルート再検討条件として、「到着予定時刻の変化」を採用してもよい。これにより、例えば到着予定時刻が変化し、時間に余裕ができたときには、さらに他の立ち寄り地を設定することができる。
【0073】
また、ルート再検討条件として、「車両の残り燃料が所定量以下となった場合」を含めておけば、ガソリンスタンドを通過する案内ルートを設定することができるので、ガス欠を防止することができる。
【0074】
上記のルート再検討条件は、必要に応じていくつかを採用することができる。また、どれを採用するかをユーザがナビゲーション装置100に対して任意に設定可能としてもよい。
【0075】
(情報提供サーバによる情報提供例)
上記の実施例の手法に加えて、「車両の乗車区分」及び「優先事項」を予めユーザに設定させることとしてもよい。
【0076】
車両の乗車区分の設定例を図10(A)に示す。車両の乗車区分は、ユーザが車両1に乗る際に、ナビゲーション装置100に対して設定する。図10(A)は、「幼児」、「大人」及び「妊婦」が乗車している例を示している。
【0077】
例えば、乗車区分に基づいて、情報提供サーバ200の情報生成部202は、走行履歴情報中のサービスエリア及び食事場所の立ち寄り経過時間に着目して情報を提供する。具体的に、幼児、子供、妊婦、老人などが乗車している場合にはS.A立ち寄り経過時間が1時間30分を超えていたらトイレがある立ち寄り地の情報を提供するとか、「幼児」が乗車している場合にはおむつの交換が可能な立ち寄り地の情報を提供することができる。その一方で、乗員が大人だけである場合には、サービスエリア又は食事場所の立ち寄り経過時間が2時間30分を超えたときにトイレを有する立ち寄り地の情報を提供することができる。
【0078】
優先事項の設定例を図10(B)に示す。図10(B)の例では、ユーザは「観光」、「道路状況」、「安さ」、「食事」、「到着時間」の順に優先順位を付けている。なお、「道路状況」とは、道路の走り安さ、視界の良さなどにより定められる。
【0079】
例えば、情報生成部202は、優先度「5」〜「3」の項目を考慮して、走行履歴情報及びステータス情報に含まれる情報を利用する。具体的には、「到着時間」の優先度が「3」以上である場合、「観光」の優先度が「3」以上であればステータス情報中の「初期到着予定時刻」と「基準地点時到着予定時刻」に注目する。一方、「観光」の優先度が「2」以下であれば到着を優先させるため観光地の選択は行わないので、走行履歴情報及びステータス情報には注目しない。こうして、情報生成部202は、「初期到着予定時刻」と「基準地点時到着予定時刻」の差を求め、予定より早く目的地へ到着しそうであれば、初期到着予定時刻に到着可能な観光地を立ち寄り地として提案する。一方、その余裕が無い場合には、直接目的地へ向かうことを提案する。
【0080】
また、別の例として、「観光」の優先度が「3」以上である場合、情報生成部202は「到着時刻」の優先度に着目する。「到着時刻」の優先度が「3」以上である場合、ステータス情報中の「初期到着予定時刻」と「基準地点時到着予定」に注目する。即ち、情報生成部202は、「初期到着予定時刻」と「基準地点時到着予定時刻」の差を求め、予定より早く目的地へ到着しそうであれば、初期到着予定時刻に到着可能な観光地を立ち寄り地として提案する。一方、その余裕が無い場合には、直接目的地へ向かうことを提案する。「到着時間」の優先度が「2」以下である場合には、情報生成部202は観光時間を例えば4時間と設定し、4時間で回れる観光地を立ち寄り地に提案する。
【0081】
さらに別の例として、「食事」の優先度が「3」以上である場合、情報生成部202は走行履歴情報中の「食事場所立ち寄り経過時間」に注目し、それが4時間を超えていたら食事できる場所を立ち寄り地として提案する。
【0082】
さらに他の例として、「道路状況」の優先度が「3」以上である場合、情報生成部202はステータス情報中の「ワイパー」、「タイヤの状態」などに注目する。ワイパーが動作している場合には雨でも楽しめる施設を提案することができる。また、ワイパーが動作していない場合には、視界が悪いので危険だと思われる通学路は避けて案内ルートを設定することができる。また、タイヤの状態によって雪道を避ける案内ルートを設定することもできる。
【0083】
さらに、「安さ」の優先度が「3」以上である場合には、他の優先事項の優先度に基づいて選択される結果から、適当なものを選択してもよい。
【0084】
なお、図4に示した走行履歴情報、図5に示したステータス情報、図7に示した目的地周辺情報などはいずれも単なる例示であり、本発明の適用はこれには限定されない。例えば、スキー場に向かう状況において、目的地周辺情報中に除雪されている場所の情報や日陰で雪がとけにくい場所の情報が含まれている場合、情報生成部202は、ステータス情報からタイヤの状態や駆動方式を取得する。そして、雪道に対応していないタイヤの場合は雪がない案内ルートを提案することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のルート探索手法によるルート案内の様子を模式的に示す。
【図2】本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示す。
【図3】ナビゲーション装置のルート探索に関連する部分の機能構成を示す。
【図4】走行履歴情報の例を示す。
【図5】ステータス情報の例を示す。
【図6】情報提供サーバの機能構成を示す。
【図7】目的地周辺情報の例を示す。
【図8】ナビゲーション装置側におけるルート探索処理のフローチャートである。
【図9】情報提供サーバ側におけるルート探索処理のフローチャートである。
【図10】乗車区分及び優先事項の設定例を示す。
【符号の説明】
【0086】
1 車両
20 システムコントローラ
100 ナビゲーション装置
102 走行履歴管理部
103 ステータス管理部
104 ルート探索部
108 走行履歴DB
109 ステータスDB
200 情報提供サーバ
202 情報生成部
203 目的地周辺情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるナビゲーション装置であって、
目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、
前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、
走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、
所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段と、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段と、
前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ルート変更関連情報は、前記目的地周辺の立ち寄り地の情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ルート変更関連情報は、前記目的地周辺の立ち寄り地を含む案内ルートの情報であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ルート変更関連情報は、前記目的地周辺の立ち寄り地を勧める理由を示す情報を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ルート再検討条件は、前記移動体が前記目的地から所定距離の範囲内に進入したことを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ルート再検討条件は、前記移動体が前記目的地から所定距離の範囲内に進入した後に、前記ステータス情報が変化したことを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記ルート再検討条件は、前記案内ルートによる目的地への到着予定時間の変化を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記ルート再検討条件は、前記移動体の燃料が所定量以下となったことを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
移動体に搭載されるナビゲーション装置によるルート探索方法であって、
目的地までの案内ルートを設定するルート設定工程と、
前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得工程と、
走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報工程手段と、
所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信工程と、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信工程と、
前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更工程と、を備えることを特徴とするルート探索方法。
【請求項10】
移動体に搭載されるナビゲーション装置のコンピュータにより実行されるルート探索プログラムであって、
目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段、
前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段、
走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段、
所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を情報提供サーバへ送信する送信手段、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報、及び、目的地周辺の情報である周辺情報に基づいて前記情報提供サーバにより生成され、ルート変更に関連するルート変更関連情報を前記情報提供サーバから受信する受信手段、及び、
前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするルート探索プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のルート探索プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【請求項12】
移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバであって、
前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段と、
前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段と、
前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報提供サーバ。
【請求項13】
移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバにより実行されるルート探索方法であって、
前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信工程と、
前記目的地周辺の情報である周辺情報を取得する周辺情報取得工程と、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成工程と、
前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信工程と、を備えることを特徴とするルート探索方法。
【請求項14】
移動体に搭載されるナビゲーション装置と通信可能な情報提供サーバのコンピュータにより実行されるルート探索プログラムであって、
前記ナビゲーション装置に設定された目的地までの案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報、及び、走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を前記ナビゲーション装置から受信する受信手段、
前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、ルート変更に関連するルート変更関連情報を生成する生成手段、及び、
前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするルート探索プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のルート探索プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【請求項16】
移動体に搭載されるナビゲーション装置と、情報提供サーバと、を備えるルート探索システムであって、
前記ナビゲーション装置は、
目的地までの案内ルートを設定するルート設定手段と、
前記案内ルート上における前記移動体の走行履歴を示す走行履歴情報を取得する走行履歴取得手段と、
走行中の前記移動体のステータスを示すステータス情報を取得するステータス情報取得手段と、
所定のルート再検討条件が成立したときに、前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を前記情報提供サーバへ送信する送信手段と、
前記情報提供サーバから、ルート変更に関連するルート変更関連情報を受信する受信手段と、
前記ルート変更関連情報に基づいて、案内ルートを変更するルート変更手段と、を備え、
前記情報提供サーバは、
前記ナビゲーション装置から前記走行履歴情報及び前記ステータス情報を受信する受信手段と、
前記目的地周辺の情報である周辺情報を記憶する周辺情報記憶手段と、
前記走行履歴情報、前記ステータス情報及び前記周辺情報に基づいて、前記ルート変更関連情報を生成する生成手段と、
前記ルート変更関連情報を、前記ナビゲーション装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とするルート探索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−233033(P2008−233033A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76939(P2007−76939)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】