説明

ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤

本発明は、頭部基、スペーサー基、及びキャップ基を含むベンズアミド誘導体であって、スペーサーは更なるスペーサーで置換されたベンゼン環を含み、更なるスペーサーは非飽和基である誘導体に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンズアミド誘導体、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性の阻害におけるその使用、及び特に血液のがんのようながんの治療薬におけるその使用に関する。また、本発明は、本発明のベンズアミド誘導体の製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
真核細胞では、DNAは転写因子の接近しやすさを妨げるために小さく密集している。細胞が活性化されると、この密集したDNAはDNA結合タンパク質が利用できるようになり、遺伝子転写の誘導を可能にする(Beato,M.、J Med.Chem.、74、711−724(1996);Wolffe,A.P.、Nature、387、16−17(1997))。核DNAはヒストンと結合してクロマチンとして知られる複合体を形成する。146塩基対のDNAによって取り巻かれたH2A、H2B、H3、及びH4と呼ばれるコアヒストンは、クロマチンの基本単位であるヌクレオソームを形成する。コアヒストンのN端尾部は、転写後アセチル化部位であるリジンを含有する。アセチル化は側鎖のポテンシャルを中和してリジン側鎖上に陽電荷を形成し、クロマチン構造に影響を及ぼすと考えられている。
【0003】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、ヌクレオソームヒストンのアミノ末端近傍でクラスターを形成するリジン残基のε−アミノ末端からのアセチル基除去を触媒する亜鉛含有酵素である。HDACは3種類に分けることができる。第1は(HDAC1、2、3、及び8)酵母Rpd3様タンパク質に代表され、第2は(HDAC4、5、6、7、9、及び10)酵母Hdal様タンパク質に代表され、第3はNAD依存性HDACである。ある種のHDAC阻害剤の脱制御はいくつかのがんと関連しており、トリコスタチンA(Streptomyces hygroscopicusから単離した天然産物)などのHDAC阻害剤は顕著な抗腫瘍効果と細胞増殖阻害を発揮することが知られている(Meinke,P.T.、Current Medicinal Chemistry、8、211−235(2001))。Yoshidaら、Exper.Cell Res.、177、122−131(1988)は、トリコスタチンAがラット線維芽細胞を細胞周期のG1期及びG2期で停止させ、HDACを細胞周期制御に関与させていると教示している。更に、トリコスタチンAは、マウスにおいて最終分化を誘導し、細胞増殖を阻害し、そして腫瘍形成を妨げることが示されている(Finninら、Nature、401、188−193(1999))。
【0004】
HDAC阻害剤トリコスタチンAの結晶構造の解明により、管状ポケット、亜鉛結合部位、及び2つのAsp−His電荷リレー系から成る活性部位が明らかとなり、これらの全てがHDAC阻害メカニズムに関与していると考えられた(Finninら、Nature、401、188−193(1999))。分子の亜鉛結合領域は、「頭部」基として定義することができる。トリコスタチンAなどのHDAC阻害剤はベンズアミド誘導体であり、ベンズアミド基は「頭部」と称される。分子を酵素の深くて狭いポケットに挿入させる脂肪族鎖は、「スペーサー」基として定義することができる。スペーサー基は、典型的には疎水性である。ポケットの長さは11Åであるため、スペーサーは11Å未満、例えば約6Åである可能性が高い(Finninら、Nature、401、188−193(1999))。分子内の更なる基である「キャップ」基は、ポケット入り口及び隣接溝で接触することによってポケットをキャップすることに関与する(Finninら、Nature、401、188−193(1999))。キャップ基は典型的にはかさ高い分子であり、例えば1以上の環状系、例えばトリコスタチンAの末端の芳香族ジメチルアミノ−フェニル基のような芳香族基である(Finninら、Nature、401、188−193(1999)。
【0005】
多くの潜在的なHDAC阻害剤が公知である。
このように、国際特許出願WO03/087057号は、HDAC阻害剤として有用な置換フェニルベンズアミド誘導体について記載している。
【0006】
同様に、WO03/092686号は、例えばチオフェン、チアゾール、及びチアゾール誘導体などの複素環フェニル誘導体又は複素環チオフェニル誘導体を提供するベンズアミド化合物について記載している。
【0007】
更に、日本国特許出願第10−152462号及び第11−302173号、米国特許出願第6,174,905B1号、並びに欧州特許出願第847992A1号に記載の化合物MS275は公知であり、とりわけ、白血病及び一般的な血液のがん患者の治療に関して臨床試験中である。
【0008】
理論に拘束されることを望まないが、公知のHDAC阻害剤は、頭部基、キャップ基、及びスペーサー基に類似し得る基を含有する。MS275は、頭部基、スペーサー基、及びキャップ基を含むベンズアミド誘導体である。より詳細には、MS275はN−(2アミノフェニル)−4−[N−ピリジン−3−イル−メトキシカルボニル]アミノメチル]ベンズアミド(I)である。
【0009】
【化1】

【0010】
MS275のスペーサー基は置換ベンゼン環である。スペーサー基は、式(I)内で中央の置換ベンゼン環として見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、MS275とは別のスペーサー部分を含む化合物群を同定した。そのような化合物は、MS275を含めた公知のHDAC阻害剤よりも活性が顕著に向上している。
【0012】
本発明の第1の側面によれば、頭部、スペーサー、及びキャップ基を含むベンズアミド誘導体が提供される。ここで、スペーサーは更なるスペーサーで置換されたベンゼン環を含み、更なるスペーサーは非飽和基である。
【0013】
更なるスペーサーはビニル置換基であることが好ましい。更なるスペーサーはプロピレン誘導体であることが更に好ましい。
スペーサーはプロピレンで置換されたベンゼン環であることが好ましい。
【0014】
頭部基及びキャップ基は本明細書に定義した通りであることが好ましい。
本発明の第2の側面によれば、式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドが提供される;
【0015】
【化2】

【0016】
式中:以下キャップ基と表すX基は一般式(III)又は(IV)の化合物であり;
【0017】
【化3】

【0018】
Wは、炭素,−CH−、−CH−、窒素、硫黄、酸素、−N(R)−、−C(O)O−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(O)N(R)−、S(O)−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−N(R)C(S)N(R)−、−N(R)C(S)O−、−C(S)−、又は−C(S)N(R)−であり、ここで、R及びRは、水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり、Wは式(III)又は(IV)の化合物で置換されていてもよく;
nは1、2、3、4、5、又は6であり;
環Aは、置換されていてもよい炭素環基又は複素環基であり、ここで、環Aのそれぞれの置換可能な炭素原子又はヘテロ原子は独立して1以上のハロ、C1〜6アルキル、炭素環、又は複素環で置換されていてもよく、環AがWの他に−NH−部分を含有する場合、窒素はKから選択される基で置換されていてもよく;
Lは炭素又は窒素であり;
は、環Aの任意の置換基上の炭素を含めた炭素上の置換基であり、酸素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、アリール、アリールオキシ、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、又は(D−E−)基から選択され、ここで、(D−E−)基を含めたRは、炭素上で1以上のTによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素はJで置換されていてもよく;
Tは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又は(D’−E’−)基であり、ここで、(D’−E’−)基を含めたTは、炭素上で1以上のRで置換されていてもよく;
R及びQは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択され;
G、J、及びKは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜6アルカノイル、C1〜8アルキルスルホニル、C1〜8アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、フェニルスルホニル、アリール、アリールC1〜6アルキル、又は(複素環基)C1〜6アルキルから独立して選択され、ここで、G、J、及びKは、炭素上で1以上のPによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素は水素又はC1〜6アルキルで置換されていてもよく;
Pは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、アリール、アリールオキシ、アリールC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルコキシ、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、(複素環基)C1〜6アルコキシ、又は(D”−E”−)基であり、ここで、(D”−E”−)基を含めたPは、炭素上で1以上のQによって置換されていてもよく;
D、D’、及びD”は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、アリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、又はフェニルC1〜6アルキルから独立して選択され、ここで、D、D’、及びD”は、炭素上で1以上のMによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素はGから選択される基で置換されていてもよく;
E、E’、及びE”は、−N(R)−、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(O)N(R)−、S(O)−、−SON(R)−、−N(R)SO−から独立して選択され、ここで、R及びRは、水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり;
M及びVは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択され;
mは0、1、2、3、又は4であり;ここで、Rの意義は同一でも異なっていてもよく;
ここで、以後更なるスペーサー基として表すY基は非飽和基であり;
は存在しないか又はハロであり;
pは0、1、又は2であり;ここで、Rの意義は同一か又は異なっており;
Zは、存在しないか、直接の炭素−炭素結合、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、又はC(R)=N−O−;ここで、Rは水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり;
は、存在しないか、アミノ又はヒドロキシであり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル、C1〜3アルコキシ、C1〜3アルカノイル、C1〜3アルカノイルオキシ、N−(C1〜3アルキル)アミノ、N,N−(C1〜3アルキル)アミノ、C1〜3アルカノイルアミノ、N−(C1〜3アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜3アルキル)カルバモイル、C1〜3アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜3アルコキシカルボニル、N−(C1〜3アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜3アルキル)スルファモイルであり;
qは0、1、又は2であり;ここで、Rの意義は同一か又は異なっている。
【0019】
Lは、L位、L位、又はL位のうちの1カ所のみで窒素であることが好ましい。
本発明の好ましい側面では、式(IIb)の化合物が提供される
【0020】
【化4】

【0021】
式中、X、Y、Z、R、R、R、p、及びqは本明細書に定義した通りである。
Yは、2−プロピレン誘導体(V)、又は(V)の2重結合がエポキシド、ジオールなどで官能化されていてもよい誘導体、又は還元2−プロピル産物(VI)であることが好ましい;
【0022】
【化5】

【0023】
式中、R、R、R、及びRは、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、アリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、フェニルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択される。
【0024】
環Aの更なる意義は以下の通りである。そのような意義は、定義、特許請求の範囲、又は以前若しくは以後に定義された態様とともに必要に応じて用いることができる。
環Aは、独立して置換されていてもよいアリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、フェニルC1〜6アルキル、ピリジル、キノリル、インドリル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チアゾリル、チエニル、チエノピリミジニル、チエノピリジニル、プリニル、1’,2’,3’,6’−テトラヒドロピリジニル、トリアジニル、オキサゾリル、ピラゾリル、フラニル、又はテトラヒドロ−β−カルボリニルであり;ここで、環Aのそれぞれの置換可能な炭素又はヘテロ原子は、独立して1以上のハロ、C1〜6アルキル、炭素環又は複素環で置換されていれもよく;環AがW以外に−NH−部分を含有する場合、窒素はKから選択される基で置換されていてもよい。環Aは、置換されたピペラジニル基、例えば、窒素がアリール基、例えばハロ置換アリール基で置換されたピペラジニル基であることが好ましい。
【0025】
本明細書において、「アルキル」という用語には、直鎖及び分岐鎖アルキル基が含まれる。例えば、「C1〜8アルキル」及び「C1〜6アルキル」には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びt−ブチルが含まれる。しかしながら、「プロピル」などの個々のアルキル基に対する言及は直鎖型のみに特異的であり、「イソプロピル」などの個々の分岐鎖アルキル基に対する言及は分岐鎖型のみに特異的である。「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを表す。
【0026】
任意の置換基が「1以上の」基から選択される場合、この定義には、特定の基の1つから選択される全ての置換基、又は特定の基の2以上から選択される置換基が含まれると理解されるべきである。
【0027】
「複素環」及び「複素環基」は、3〜18原子を含有する飽和、部分飽和、又は非飽和の単環式、二環式、又は三環式環であり、少なくとも1つの原子(例えば2又は3原子)は、窒素、硫黄、又は酸素から選択されて炭素又は窒素に連結されることができ、CH基はC(O)で置換されていてもよく、環硫黄原子は酸化されてS−オキシドを形成してもよい。「複素環」及び「複素環基」という用語の例及び好適な意義は、チアゾリジニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,2,4−オキサジアゾリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、モルホリノイル、テトラヒドロフラニル、フラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、1,3−ジオキソアニル、ホモピペラジニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、オキソジアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、チエノピリミジニル、チエノピリジニル、チエノ[3,2d]ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、プリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、1’,2’,3’,6’−テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロ−β−カルボリニル、テトラヒドロピリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インダゾリル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアゾリル、ピロロチエニル、イミダゾチエニル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジニル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、キノリル、キナゾリニル、及び1−イソキノリニルである。
【0028】
「アリール」基には、例えば、フェニル、インデニル、インダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、又はフルオレニルが含まれる。
「C1〜6アルカノイルオキシ」の例はアセトキシである。「C1〜8アルコキシカルボニル」及び「C1〜6アルコキシカルボニル」の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−及びt−ブトキシカルボニルが含まれる。「C2〜6アルケニル」の例には、ビニル、アリル、及び1−プロペニルが含まれる。「C2〜6アルキニル」の例はエチニル及び2−プロピニルである。「C1〜6アルコキシ」の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びt−ブトキシが含まれる。「C1〜6アルカノイルアミノ」の例には、ホルムアミド、アセトアミド、及びプロピオニルアミドが含まれる。「C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)」の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、及びエチルスルホニルが含まれる。「C1〜6アルカノイル」の例には、プロピオニル及びアセチルが含まれる。「N−(C1〜6アルキル)アミノ」の例には、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、及びブチルアミノが含まれる。「N,N−(C1〜6アルキル)アミノ」の例には、ジ−N−メチルアミノ、ジ−(N−エチル)アミノ、及びN−エチル−N−メチル−アミノが含まれる。
【0029】
「N−(C1〜6アルキル)スルファモイル」の例は、N−(メチル)スルファモイル及びN−(エチル)−スルファモイルである。「N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル」の例は、N,N−(ジメチル)スルファモイル及びN−メチル−N−エチル−スルファモイルである。「N−(C1〜6アルキル)カルバモイル」の例は、メチルアミノカルボニル及びエチルアミノカルボニルである。「N,N−(C1〜6アルキル)カルボニル」の例は、ジメチルアミノカルボニル及びメチルエチルアミノカルボニルである。「(複素環基)C1〜6アルキル」の例には、ピペリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルエチル、ピペリジン−1−イルプロピル、ピリジルメチル、3−モルホリノプロピル、2−モルホリノエチル、及び2−ピリミド−2−イルエチルが含まれる。「アリールC1〜6アルキル」の例には、ベンジル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、及び3−フェニルプロピルが含まれる。「アリールオキシ」の例には、フェノキシ及びナフチルオキシが含まれる。「C3〜8シクロアルキル」の例には、シクロプロピル及びシクロヘキシルが含まれる。「C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル」の例には、シクロプロピルメチル及び2−シクロヘキシルメチルが含まれる。
【0030】
本明細書において、アリールC1〜6アルキルのように1より多い官能基を含む基について記載するために複合的用語を用る。そのような用語は、当該技術分野に熟練した者によって理解されるように解釈されるべきである。
【0031】
本発明の更に好ましい側面では、一般式(III)又は(IV)の化合物のW基数が1である、式(II)又は(IIb)の化合物が提供される。
本発明の化合物の好適な医薬的に許容可能な塩は、例えば、十分に塩基性である、本発明の化合物の酸付加塩、例えば酢酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、及びマレイン酸などの無機酸又は有機酸との酸付加塩である。
【0032】
更に、十分に酸性な、本発明の化合物の好適な医薬的に許容可能な塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、アンモニウム塩、又は生理的に許容可能な陽イオンを提供する有機塩基との塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、若しくはモルホリンとの塩である。
【0033】
式(II)の化合物は、式(II)の化合物の生体内で加水分解可能なエステル又は生体内で加水分解可能なアミドの形態で投与することができる。
ヒドロキシ基を含有する、式(II)の化合物の生体内で加水分解可能なエステルには、リン酸エステル及びアシルオキシアルキルエーテルなどの無機エステル、並びにエステルの生体内加水分解の結果として分解して親ヒドロキシ基を生ずる関連化合物が含まれる。アシルオキシアルキルエーテルの例には、アセトキシメトキシ及び2,2−ジメチルプロピオニルオキシ−メトキシが含まれる。ヒドロキシに関し、生体内で加水分解可能なエステルを形成する基の選択肢には、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル、並びに置換ベンゾイル及びフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(カルボン酸アルキルエステルを生ずる)が含まれる。ジアルキルカルバモイル及びN−(N,N−ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを生ずる)、N,N−ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチル。ベンゾイル上の置換基の例には、モルホリノ及びピペラジノが含まれる。
【0034】
カルボキシ基を含有する、式(II)の化合物の生体内で加水分解可能なアミドの好適な意義は、例えば、N−メチルアミド、N−エチルアミド、N−プロピルアミド、N,N−ジメチルアミド、N−エチル−N−メチルアミド、又はN,N−ジエチルアミドなどのN−C1〜6アルキルアミド又はN,N−ジ−C1〜6アルキルアミドである。
【0035】
式(II)のいくつかの化合物は、キラル中心及び/又は幾何異性体中心(E−異性体及びZ−異性体)を有することができ、本発明は、HDAC阻害活性を有する、そのような全ての光学異性体、ジアステレオマー、及び幾何異性体を包含すると理解されるべきである。
【0036】
本発明は、記載の化合物の活性な医薬種のプロドラッグも包含し、例えば、生体内で遊離の酸に変換可能なカルボン酸エステルの場合、又は遊離アミノ基に変換可能な保護アミンの場合のように、1以上の官能基が保護又は誘導体化されているが、生体内で官能基に変換できる。本明細書において「プロドラッグ」という用語は、特に、例えば血中の加水分解によって、生体内で親化合物に迅速に変換される化合物を表す。徹底的な議論は、いずれも本明細書に援用される、T.Higuchi及びV.Stella、「新規送達システムとしてのプロドラッグ」、A.C.S.シンポジウムシリーズの第14巻、Edward B.Roche監修、『ドラッグデザインにおける生体内可逆性担体』、米国薬剤師会及びペルガモン出版社、1987;H Bundgaard監修、『プロドラッグのデザイン』、Elsevier、1985;並びにJudkinsら、Synthetic Communications、26(23)、(1996)に提供されている。
【0037】
したがって、言及できる好ましい化合物には、以下の群:
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−ベンズアミド(1);
【0038】
【化6】

【0039】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(2);
【0040】
【化7】

【0041】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(3);
【0042】
【化8】

【0043】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(4);
【0044】
【化9】

【0045】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−{1−[(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(5);
【0046】
【化10】

【0047】
N−(2−アミノフェニル)−4−[1−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(6);
【0048】
【化11】

【0049】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(ベンジルアミノ)メチル]ビニル}ベンズアミド(7);
【0050】
【化12】

【0051】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−({4−3−(トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル}ベンズアミド(8);
【0052】
【化13】

【0053】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]ビニル}−ベンズアミド(9);
【0054】
【化14】

【0055】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−ビニル}−ベンズアミド(10);
【0056】
【化15】

【0057】
N−(2−アミノ−フェニル)−2−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−アセトアミド(11);
【0058】
【化16】

【0059】
N−(2−アミノ−フェニル)−3−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−プロピンアミド(12);
【0060】
【化17】

【0061】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−ブタンアミド(13);
【0062】
【化18】

【0063】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−2−メチル−プロペニル]−ベンズアミド(14);
【0064】
【化19】

【0065】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−{1−[(8−フルオロ−l,3,4,5−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−b]インドール−2−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(15);
【0066】
【化20】

【0067】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(16);
【0068】
【化21】

【0069】
(2E)−N−(2−アミノ−フェニル)−3−{4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]フェニル}ベンズアミド(17);
【0070】
【化22】

【0071】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(ベンゾイルアミノ)メチル]ビニル}ベンズアミド(18);
【0072】
【化23】

【0073】
4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]−N−フェニル ベンズアミド(19);
【0074】
【化24】

【0075】
N−(3−アミノフェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(20);
【0076】
【化25】

【0077】
N−[2−(4−[{(2−アミノフェニル)アミノ}カルボニル]フェニル)プロプ−2−エン−1−イル]ビフェニル−4−カルボキシアミド(21);
【0078】
【化26】

【0079】
N−(2−アミノフェニル)−4−[1−({4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル]ベンズアミド(22);
【0080】
【化27】

【0081】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(23);
【0082】
【化28】

【0083】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(24);
【0084】
【化29】

【0085】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(25);
【0086】
【化30】

【0087】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(26);
【0088】
【化31】

【0089】
N−(2−アミノピリジン−3−イル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(27);
【0090】
【化32】

【0091】
4,4’−[(1,3−ジメチル−2,4,6−トリオキソヘキサヒドロピリミジン−5,5−ジイル)ジプロプ−1−エン−3,2−ジイル]ビス[N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド](28);
【0092】
【化33】

【0093】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(29);
【0094】
【化34】

【0095】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(30);
【0096】
【化35】

【0097】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(9−オキソアクリジン−10(9H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(rp−207[共役])(31);
【0098】
【化36】

【0099】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(6−オキソフェナントリジン−5(6H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(32);
【0100】
【化37】

【0101】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[(11aR)−5,11−ジオキソ−2,3,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10(5H)−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(33)、
【0102】
【化38】

【0103】
から選択されるものが含まれる。
好ましい化合物は、N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(4)、N−(2−アミノフェニル)−4−[1−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(6)、及びN−(2−アミノフェニル)−4−{1−({4−3−(トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル}ベンズアミド(8)である。
【0104】
本発明の化合物はベンズアミド誘導体と称することができ、ベンズアミド基(アミン基で置換されていてもよい)は、本明細書において頭部基として称される。
本発明の化合物及び塩は、医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、典型的には化合物又は塩と医薬的に許容可能な担体とを含む。本明細書において「医薬的に許容可能な担体」という用語には、医薬投与に適合した、溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。補助活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
【0105】
医薬組成物は、意図する投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸投与が含まれる。非経口、皮内、又は皮下投与に用いる溶液又は懸濁液は、以下の成分を含むことができる:注射用蒸留水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤;酢酸、クエン酸、又はリン酸のような緩衝液、及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような等張化剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムのような酸又は塩基で調整することができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス若しくはプラスチック製の複数回投与バイアル中に、封入することができる。
【0106】
注射用途に好適な医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌注射液又は分散液の即時調製用滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、好適な担体には、生理食塩水、静菌水、クレモホール ELTM(BASF、パーシパニー、ニュージャージー州)、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、注射容易性が存在する程度まで流体である必要がある。製造及び保存の状態で安定である必要があり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのような被覆剤を使用することによって、分散液の場合は要求される粒子サイズを維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって、維持することができる。微生物の作用の阻止は、さまざまな抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0107】
滅菌注射液は、活性化合物を必要量、上に列挙した成分の1つ又は組み合わせとともに適切な溶媒に組み込み、必要に応じてろ過滅菌することによって調製することができる。通常、分散液は、基本分散媒と上に列挙されたものの中で必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製する。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、先に滅菌ろ過した溶液から活性成分の粉末と追加の所望成分とを生ずる真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0108】
経口用組成物には、通常、不活性希釈剤又は食用担体が含まれる。治療目的の経口投与のために、活性化合物を賦形剤とともに組み込み、錠剤、トローチ、又はカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態で用いることができる。経口用組成物は、うがい薬として使用するために流動性担体を用いて調製することもできる。
【0109】
医薬的に適合した結合剤、及び/又はアジュバント物質を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分、又は同様の性質の化合物を含むことができる:微晶性セルロース、トラガカントゴム、若しくはゼラチンのような結合剤;デンプン若しくは乳糖のような賦形剤;アルギン酸、Primogel、若しくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム若しくはSterotesのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖若しくはサッカリンのような甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料のような着香料。
【0110】
吸入による投与のために、化合物は、好適な推進剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器、即ちディスペンサー、又は噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0111】
全身投与は、経粘膜又は経皮手段によるものであり得る。経粘膜又は経皮投与の場合、浸透すべき障壁に対して好適な浸透剤を製剤中に用いる。そのような浸透剤は、通常、当該技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔用スプレー又は坐薬の使用により達成することができる。経皮投与の場合、当該技術分野において通常知られているようにして、軟膏(ointment)、膏薬(salve)、ジェル、又はクリーム中に化合物を製剤化する。
【0112】
化合物は、直腸送達のために坐薬(例えばココアバターや他のグリセリドのような慣用の坐薬基剤とともに)又は停留浣腸の形態に調製することもできる。
1つの態様では、化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含めた放出制御製剤のように、体内からの迅速な排除から化合物を保護する担体とともに調製することができる。エチレン・酢酸ビニル、無水ポリマー(polyanhydride)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生体分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製方法は、当該技術分野に熟練した者には明らかであろう。アルザ社及びノヴァ製薬社から市販の材料を用いることもできる。医薬的に許容可能な担体として、リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に標的化したリポソームを含む)を用いることもできる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載のような、当該技術分野に熟練した者に公知の方法にしたがい調製することができる。
【0113】
投与のし易さと用量の均一性のため、経口又は非経口組成物を単位剤形で製剤化することは有益である。本明細書において単位剤形とは、処置すべき被験者に対する単位用量として適合させた物理的に不連続な単位を意味する;各単位は、所望の効果を生ずるように計算された所定量の化合物を、必要とされる医薬担体と併せて含有する。
【0114】
そのような化合物の毒性及び治療効果は、例えばLD50(50%の集団に対して致死的な用量)及びED50(50%の集団において治療的に有効な用量)を決定するための、培養細胞又は実験動物における標準の医薬的手順によって測定することができる。毒性と治療効果とのあいだの用量比は、治療係数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高治療係数を発揮する化合物が好ましい。毒性の副作用を発揮する化合物を使用することもできるが、非感染細胞の潜在的損傷を最小にするには、そのような化合物を罹患組織部位へ標的化する送達システムのデザインに留意する必要があり、それにより副作用が軽減する。
【0115】
ヒトに使用するための用量範囲を決定する上で、細胞培養アッセイ及び動物実験から得たデータを用いることができる。そのような化合物の用量は、ほとんど又は全く毒性のないED50を含めた循環濃度の範囲内にあることが好ましい。用量は、採用する剤形及び使用する投与経路に応じ、この範囲内でさまざまであり得る。治療に用いるあらゆる化合物に関し、治療的に有効な用量は、最初に細胞培養アッセイから概算することができる。用量は、培養細胞において決定したように、動物モデルにおいて、IC50を含めた循環血漿濃度範囲を達成するように決定することができる(即ち、症状の最大阻害半量を達成する試験化合物の濃度)。そのような情報を用いて、ヒトに有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは例えば高速液体クロマトグラフィにより測定することができる。
【0116】
典型的な用量には、被験者の体重又はサンプル重量1kgあたり、mg量又はμg量の化合物が含まれる(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、又は約1μg/kg〜約50μg/kg)。更に、適切な量の化合物は、調節されるべき発現又は活性に対する化合物の効力に依存することが理解される。1以上のこれらの化合物を動物(例えばヒト)に投与する場合、内科医、獣医、又は研究者は、例えば、初めに比較的低用量を処方し、その後、適当な反応が得られるまで用量を増加させることができる。更に、特定の動物被験者に対する特定用量レベルは、使用する特定化合物の活性、被験者の年齢、体重、総体的な健康、性別、及び食事、投与期間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、並びに調節すべき発現又は活性の程度を含めたさまざまな要因に依存することが理解される。
【0117】
本発明の更なる側面によれば、式(II)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、以下の化合物:
i) 式(III)又は(IV)の求核試薬、ここで、求核基はWであるか又はR内に局在している;
ii) アレンガス又は置換アレン;及び
iii) ハロゲン又はトリフレートで置換された式(VII)のアリール分子、
【0118】
【化39】

【0119】
式中:
AAはハロ又はトリフレートから独立して選択され;
Z、R、R、R、L、p、及びqは先に定義した通りである、
を触媒存在下で反応させることを含む。
【0120】
本発明の好ましい方法では、(iii)のハロゲン又はトリフレートで置換されたアリール分子は式(VIIb)の分子である:
【0121】
【化40】

【0122】
式中:
AAはハロ又はトリフレートから独立して選択され;
Z、R、R、R、p、及びqは先に定義した通りである。
【0123】
本発明の更なる側面によれば、式(II)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、以下の工程を含む:
a) 以下の化合物:
i) 式(III)又は(IV)の求核試薬、ここで、求核基はWであるか又はR内に局在している;
ii) アレンガス又は置換アレン;及び
iii) ハロゲン又はトリフレートで置換された式(IX)のアリール分子
【0124】
【化41】

【0125】
を触媒存在下で反応させ、そして
b) (a)の産物を式(X)の化合物とカップリング試薬存在下で反応させる
【0126】
【化42】

【0127】
式中、AAはハロ又はトリフレートから独立して選択され;
Z、R、R、R、L、p、及びqは先に定義した通りである。
本発明の好ましい方法では、(a)の産物は工程(b)で式(Xb)の化合物と反応する
【0128】
【化43】

【0129】
式中、R、R、及びqは先に定義した通りである。
本発明の方法に用いる触媒はパラジウム触媒であることが好ましい。
AAはハロ基であることが好ましい。AAは臭化物又はヨウ化物であることが更に好ましい。
【0130】
カップリング試薬は4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−1−イル)−4−メチル−モルホリニウム クロリドであることが好ましい。
この新規方法の利点は、保護/脱保護工程の最小化とカスケード法の利用であり、いずれも位置選択的且つ立体選択的様式で分子の複雑性を最大にしながら、必要とされる操作数、反応槽、ごみの流れ、及びエネルギーを最小にする。
【0131】
更に、これらの方法は、スクリーニングのための多数の化合物の合成を可能にするポリマー支持体上で実施してもよい。
したがって、本発明の更なる側面によれば、式(II)の化合物の製造方法が提供され、この方法は、式(VIII)の化合物を切断することを含む、
【0132】
【化44】

【0133】
式中、X、Y、Z、R、R、R、p、及びqは先に定義した通りであり;BBは固相樹脂である。
−NH−又は−NH−部分を有する従来公知の固相樹脂を用いることができる。しかしながら、好ましい樹脂は、Rink Amide MBHA樹脂である。
【0134】
式(VIII)の化合物は、一般法を用いて製造することができる、
【0135】
【化45】

【0136】
式中、BB、AA、X、Y、Z、R、R、R、R、R、R、R、p、及びqは先に定義した通りであり;X’はXの求電子性前駆体である。
本発明の化合物は、とりわけHDAC阻害剤として有用である。
【0137】
したがって、化合物は、哺乳動物のがん、例えば、白血病などの血液のがん、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、、及び黒色腫を含めたさまざまな細胞増殖及び/又は分化障害の治療に好適である。本発明の化合物は、嚢胞性線維症、ハンチントン舞踏病、及び鎌状赤血球貧血を含めた病態の治療にも好適であり得る。
【0138】
細胞増殖及び/又は分化障害の例には、がん、例えば癌腫、肉腫、転移性疾患、又は造血系腫瘍性疾患、例えば白血病が含まれる。転移性腫瘍は、限定されるものではないが、前立腺、大腸、肺、乳房、及び肺に由来するものを含めた多数の原発腫瘍タイプから生じ得る。
【0139】
本明細書において、「がん」という用語(「過剰増殖」及び「新生物」という用語と同じ意味にも使用される)は、自律増殖能、即ち早い細胞増殖を特徴とする異常な状態又は病態を有する細胞を表す。がん性疾患状態は、病的と分類することも(即ち疾患状態、例えば悪性腫瘍増殖を特徴とするか又は構成する)、非病的と分類することもできる(即ち正常からのかたよりであるが、疾患状態に関連はない、例えば創傷修復に関連した細胞増殖)。この用語には、組織病理学的な浸潤の種類又は段階にかかわりなく、全ての種類のがん性増殖又は発がんプロセス、転移性組織又は悪性形質転換細胞、組織、若しくは臓器が含まれることを意味する。「がん」という用語には、肺、乳房、甲状腺、リンパ、胃腸、及び尿生殖路が罹患するもののような各種臓器系の悪性病変、並びに多くの大腸癌、腎細胞癌、前立腺癌及び/又は精巣腫瘍、非小細胞肺癌、小腸癌、及び食道癌のような悪性病変を含めた腺癌が含まれる。「癌腫」という用語は、認識された技術分野であって、呼吸器系癌、胃腸系癌、泌尿生殖器系癌、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系癌、及び黒色腫を含めた上皮組織又は内分泌組織の悪性病変を表す。典型的な癌腫には、子宮頚、肺、前立腺、乳房、頭部及び頚、大腸、並びに卵巣の組織から形成されるものが含まれる。「癌腫」とうい用語には、例えば癌性及び肉腫性組織で構成される悪性腫瘍を含めた癌肉腫も含まれる。「腺癌」は、腺組織に由来するか、又は腫瘍細胞が認識できる腺構造を形成する癌腫を意味する。「肉腫」という用語は、認識された技術分野であって、間葉由来の悪性腫瘍を表す。
【0140】
本発明の化合物は、各種増殖疾患のモニター、治療、及び/又は診断に用いることができる。そのような疾患には造血系腫瘍性疾患が含まれる。本明細書において、「造血系腫瘍性疾患」という用語には、例えば骨髄系、リンパ系、若しくは赤血球系、又はそれらの前駆体細胞から生ずる、造血系起源の過形成/新生細胞に関与する疾患が含まれる。疾患は、ほとんど分化していない急性白血病、例えば赤芽球性白血病及び急性巨核芽球性白血病から発生していることが好ましい。更なる典型的な骨髄疾患には、限定されるものではないが、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)、及び慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267−97に概説されている)が含まれる;リンパ性悪性疾患には、限定されるものではないが、B細胞系ALL及びT細胞系ALLを含めた急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれる。悪性リンパ腫の更なる形態には、限定されるものではないが、非ホジキンリンパ腫及びその変種、末梢T細胞性リンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、及びリード・シュテルンベルグ病が含まれる。
【0141】
大腸の細胞増殖及び/又は分化障害の例としては、限定されるものではないが、非腫瘍性御ポリープ、腺腫、家族性の症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸癌、及び類癌腫が挙げられる。
【0142】
肺の細胞増殖及び/又は分化障害の例としては、限定されるものではないが、肝臓の原発癌及び転移性腫瘍を含めた、結節性過形成、腺腫、及び悪性腫瘍が挙げられる。
卵巣の細胞増殖及び/又は分化障害の例としては、限定されるものではないが、体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、粘液性腫瘍、子宮内膜性腫瘍、明細胞腺癌、線維腺腫、ブレンナー腫瘍、表面上皮腫瘍などの卵巣腫瘍;成熟型(良性)奇形腫、単胚葉性(monodermal)奇形腫、未熟型悪性奇形腫、未分化胚細胞腫、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌などの胚細胞腫瘍;顆粒膜細胞腫、卵胞膜細胞腫-線維腫、男性胚細胞腫、ヒル(hill)細胞腫、及び性腺芽細胞腫などの性策間質腫瘍;並びにクルーケンベルグ腫瘍などの転移性腫瘍が挙げられる。
【0143】
乳房の細胞増殖及び/又は分化障害の例としては、限定されるものではないが、例えば上皮過形成、硬化性腺症、及び細小管乳頭腫を含めた増殖性乳腺疾患;腫瘍、例えば線維腺腫、葉状腫瘍、及び肉腫などの間質腫瘍、並びに大管乳頭腫などの上皮腫瘍;上皮内癌(非浸潤性)を含めた乳癌、これには非浸潤性乳管癌(パジェット病を含む)及び上皮内小葉癌が含まれる、並びに限定されるものではないが、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、髄葉癌、膠葉癌(粘液性)、管状腺癌、及び浸潤性乳頭癌を含めた浸潤癌(浸潤性)、並びに混合型悪性腫瘍が挙げられる。男性の胸部の障害には、限定されるものではないが、女性化乳房及び癌腫が含まれる。
【0144】
本発明の更なる側面によれば、細胞増殖及び/又は分化障害の治療又は緩和方法を提供するものであり、この方法は、治療的に有効量の先に記載の式(II)の化合物、又はその好適な塩を、そのような障害の患者に投与することを含む。
【0145】
本発明の方法では、好ましい化合物は、先に記載した化合物から選択することができる。
したがって、本発明の更なる側面によれば、細胞増殖及び/又は分化障害を治療するための医薬の製造における式(II)の化合物の使用が提供される。
【0146】
本発明の方法及び/又は使用は、白血病、大腸癌、黒色腫、及び非小細胞肺癌から選択されるがんを治療することが好ましい。
がんは大腸癌及び黒色腫から選択されることがより好ましく、大腸癌の治療が特に好ましい。
【0147】
本発明の特定の側面、態様、又は実施例とともに記載された特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、矛盾がなければ本明細書に記載の他の側面、態様、又は実施例に適用できると理解すべきである。
【0148】
ここに、本発明を例証としてのみ記載する。
【実施例】
【0149】
3成分触媒カスケードのための一般的手順
シュレンクチューブをヨウ化アリール、求核試薬(1〜3モル当量)、炭酸カリウム(2モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(2.5モル%)、及びアセトニトリルで満たし、2回の凍結、ポンプ、融解サイクルの後、アレンガス(1気圧、25℃)で満たした。シュレンクチューブを密閉し、混合物を室温まで温め、80℃で6〜24時間撹拌しながら加熱した。次に混合物を冷却し、チューブを通気し、混合物を真空で濃縮し、残渣をジクロロメタンと水で分配した。有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した(3回)。併せた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、ろ過し、ろ液を真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ及び/又は結晶化で精製した。
【0150】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−ベンズアミド(1)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、モルホリン(0.045ml、1.0モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で22時間加熱して(1)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、酢酸エチル(R 0.20)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(153mg、91%、融点163〜164℃)。
【0151】
Anal:Found:C、69.5;H、6.90;N、11.9;C2023 0.5HO requires:C、69.3;H、6.69;N、12.1%。
【0152】
δH(300MHz):7.87(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.66(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.34(d,1H,J 7.9Hz,ArH),7.14−7.08(m,1H,ArH),6.89−6.84(m,2H,ArH),5.60(d,1H,J 0.9Hz,C=CH),5.35(d,1H,J 0.8Hz,C=CH),3.87(br s,2H,NH),3.67(t,4H,J 4.6Hz,OCH),3.37(s,4H,C=CCH),2.47(t,4H,J 4.4Hz,CHN)。
【0153】
δ13C(75MHz):175.8(C=O),144.1(C=C),143.2,141.1,133.4,127.6,127.1,125.6,125.0,120.2,118.8,117.9(C=C),67.4(C−O),63.8(C−N),53.9(C−N)。
【0154】
m/z(CI+,%):338.3(M+H,29)。
HRMS:Found[M+H]338.1866,C2023 requires 338.1868。
【0155】
IR(vmax/cm−1):3423(CONH),3340(NH),3293(CONH),1641(CONH),1611(C=C)。
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(2)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、N−ベンジルメチルアミン(0.071ml、1.1モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で22時間加熱して(2)を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、エーテル−ヘキサン(1:1(v/v))、(2:1(v/v))、(その後3:1(v/v))(R 0.24)で溶出して精製し、無色の角柱を得た(175mg、94%、融点110〜111℃)。
【0156】
Anal:Found:C、75.5;H、6.70;N、10.9;C2425O 0.5HO requires:C、75.8;H、6.75;N、11.0%。
【0157】
δH(300MHz):7.97(s,1H,ArH),7.83(d,2H,J 8.3Hz,ArH),7.53(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.33−7.23(m,5H,ArH),7.11−7.05(m,1H,ArH),6.85−6.80(m,2H,ArH),5.55(d,1H,J 0.8Hz,C=CH),5.38(s,1H,C=CH),3.87(br s,2H,NH),3.52(s,2H,PhCH),3.39(s,2H,C=CCH),2.18(s,3H,NMe)。
【0158】
δ13C(75MHz):166.1(C=O),145.0(C=C),144.0,141.2,139.3,133.3,129.5,128.7,127.6,127.5,127.3,125.7,125.0,120.2,118.8,117.6(C=C),62.4(C−N),62.2(C−N),42.5(C−N)。
【0159】
m/z(ES+,%):372.2(M+H,64)。
IR(vmax/cm−1):3418(CONH),3346(NH),3294(CONH),1636(CONH),1602(C=C)。
【0160】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(3)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(187mg、0.5ミリモル)、3−(アミノメチル)ピリジン(0.051ml、1.0モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で21時間加熱して(3)を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、酢酸エチル−メタノール(19:1(v/v))、(その後9:1(v/v))(R 0.05)で溶出して精製し、黄色オイルを得た(129mg、72%)。
【0161】
δH(300MHz):8.53−8.46(m,2H,ArH),8.32(s,1H,ArH),7.86(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.64(d,1H,J 7.8Hz,ArH),7.48(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.29−7.21(m,1H,ArH),7.09−7.04(m,1H,ArH),6.81(d,2H,J 7.7Hz,ArH),5.52(s,1H,C=CH),5.35(s,1H,C=CH),3.79(s,2H,NCH),3.68(s,2H,NCH),3.15(br s,2H,NH)。
【0162】
δ13C(CDCl,75MHz):166.0(C=O),150,1,148.9,145.5,143.5,141.3,136.5,135.7,133.7,128.0,127.6,126.9,125.8,124.9,123.9,120.0,118.7,116.3(C=C),53.0(C−N),50.6(C−N)。
【0163】
m/z(ES+,%):359.0(M+H,82)。
HRMS:Found[M+H]359.1866,C2222O requires 359.1866。
【0164】
IR(vmax/cm−1):3368(CONH),3274(CONH),1649(CONH),1610(C=C)。
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1B)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(4)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、テトラヒドロイソキノリン(0.070ml、1.1モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で24時間加熱して(4)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、1.5:1(v/v)エーテル−ヘキサン(R 0.10)で溶出し、その後ジクロロメタンからの結晶化にて精製し、無色の針状物を得た(165mg、86%、融点146℃)。
【0165】
Anal:Found:C、77.9;H、6.60;N、10.9;C2525O requires:C、78.2;H、6.57;N、11.0%。
δH(300MHz):7.85(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.69(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.32(d,1H,J 7.7Hz,ArH),7.13−7.00(m,5H,ArH),6.99−6.82(m,2H,ArH),5.63(d,1H,J 1.2Hz,C=CH),5.42(d,1H,J 1.0Hz,C=CH),3.85(br s,2H,NH),3.67(s,2H,NCH),3.55(s,2H,C=CCH),2.88−2.76(m,4H,NCHCH)。
【0166】
δ13C(75MHz):166.0(C=O),144.2(C=C),143.9,141.0,135.3,134.9,129.1,127.6,127.2,127.0,126.5,126.4,126.0,125.5,125.0,120.2,118.8,117.6(C=C),63.1(C−N),56.3(C−N),50.8(C−N),29.5(C−C)。
【0167】
m/z(ES+,%):384.1(M+H,54)。
IR(vmax/cm−1):3455(CONH),3340(NH),3245(CONH),1624(CONH),1597(C=C)。
【0168】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−{1−[(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(5)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、1−(2−ピリジル)ピペラジン(0.084ml、1.1モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で22時間加熱して(5)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、19:1(v/v)エーテル−メタノール(R 0.01)で溶出し、その後ジクロロメタン/ヘキサンからの結晶化にて精製し、無色の角柱を得た(161mg、78%、融点111〜112℃)。
【0169】
Anal:Found:C、72.4;H、6.55;N、16.6;C2527O requires:C、72.6;H、6.58;N、16.9%。
δH(300MHz):8.18(dd,1H,J 4.8Hz,J 1.4Hz,ArH),8.09(s,1H,ArH),7.84(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.63(d,2H,J 8.3Hz,ArH),7.48−7.38(m,1H,ArH),7.27(d,1H,J 9.2Hz,ArH),7.06(d,1H,J 7.6Hz,ArH),6.82−6.78(m,H,ArH),6.63−6.53(m,2H,ArH),5.60(s,1H,C=CH),5.36(s,1H,C=CH),3.49(t,4H,J 4.7Hz,NCH),3.40(s,2H,CHC=C),2.57(t,4H,NCH)。
【0170】
δ13C(75MHz):160.0(C=O),148.3,144.2,143.5,141.2,137.9,133.4,127.7,127.6,127.1,125.6,125.0,123.9,120.2,118.8,117.8,113.7(C=C),107.5,63.4(C−N),53.2(C−N),45.6(C−N)。
【0171】
m/z(ES+,%):414.1(M+H,22)。
IR(vmax/cm−1):3302(CONH),1649(CONH),1621(C=C)。
【0172】
N−(2−アミノフェニル)−4−[1−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(6)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(200mg、0.6ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4−b]インドール(114mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(168mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(14mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(14mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で6時間加熱して(6)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、1:1(v/v)エーテル−ヘキサン(R 0.10)で溶出し、その後ジクロロメタン/ヘキサンからの結晶化にて精製し、黄白色の角柱を得た(145mg、57%、融点172〜173℃)。
【0173】
Anal:Found:C、75.3;H、6.25;N、12.8;C2726O 0.5HO requires:C、75.1;H、6.19;N、13.0%。
【0174】
δH(500MHz):7.85(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.80(s,1H,ArH),7.70(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.46(d,1H,J 7.2Hz,ArH),7.33−7.26(m,1H,ArH),7.18−7.05(m,3H,ArH),6.86−6.82(m,2H,ArH),5.63(s,1H,C=CH),5.42(s,1H,C=CH),3.72(s,2H,NCH),3.66(s,2H,NCH),2.95(t,2H,J 5.7Hz,NCCH),2.79(t,2H,J 5.5Hz,CCHN)。
【0175】
δ13C(75MHz):165.5(C=O),144.3(C=C),143.4,142.6,136.1,133.9,133.1,128.0,126.9,126.8,126.6,123.6,120.1,118.6,117.7,116.6,116.4,111.2,106.8(C=C),62.0(C−N),50.7(C−N),50.0(C−N),21.4(C−C)。
【0176】
m/z(ES+,%):423.0(M+H,73)。
HRMS:Found[M+H]423.2183,C2726O requires 423.2179。
【0177】
IR(vmax/cm−1):3322(NH),3172(CONH),1657(CONH),1623(C=C)。
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(ベンジルアミノ)メチル]ビニル}ベンズアミド(7)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(190mg、0.56ミリモル)、ベンジルアミン(0.184ml、3モル当量)、炭酸カリウム(155mg、2モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(13mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(13mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で21.5時間加熱して(7)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、19:1(v/v)エーテル−メタノール(R 0.08)で溶出して精製し、黄色無定型固体を得た(103mg、52%、融点89〜91℃)。
【0178】
Anal:Found:C、75.4;H、6.45;N、11.5;C2323O 0.5HO requires:C、75.4;H、6.46;N、11.5%。
【0179】
δH(300MHz):7.98(br s,1H,ArH),7.90(d,2H,J 8.0Hz,ArH),7.52(d,2H,J 8.0Hz,ArH),7.30−7.19(m,4H,ArH),7.10(t,2H,J 5.0Hz,ArH),6.90−6.80(m,2H,ArH),5.53(s,1H,C=CH),5.37(s,1H,C=CH),3.81(s,2H,PhCHN),3.69(s,2H,NCHC=C),1.41(s,1H,NH)。
【0180】
δ13C(75MHz):165.9(C=O),145.8(C=C),143.9,141.1,140.4,133.5,128.9,128.6,127.9,127.6,127.5,127.0,125.6,120.2,118.8,115.8(C=C),53.5(C−N),53.0(C−N)。
【0181】
m/z(ES+,%):358.1(M+H,48)。
IR(vmax/cm−1):3456(CONH),3351(NH),1648(CONH),1624(C=C)。
【0182】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−({4−3−(トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル}メチル)ビニル}ベンズアミド(8)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(200mg、0.59ミリモル)、1−(α,α,α−トリフルオロ−m−トリル)ピペラジン(0.122ml、1.1モル当量)、炭酸カリウム(163mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(14mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(14mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で22.5時間加熱して(8)を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、エーテル(800ml)、その後19:1(v/v)エーテル−メタノール(R 0.05)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(236mg、83%、融点94〜96℃)。
【0183】
Anal:Found:C、67.5;H、5.66;N、11.7;F、11.9;C2727O requires:C、67.4;H、5.65;N、11.7;F、11.9%。
【0184】
δH(500MHz):7.88(d,2H,J 8.1Hz,ArH),7.68(d,2H,J 8.2Hz;ArH),7.35−7.31(m,2H,ArH),7.10−7.04(m,4H,ArH),6.87−6.80(m,2H,ArH),5.62(s,1H,C=CH),5.39(s,1H,C=CH),3.87(br s,2H,NH),3.44(s,2H,NCHC=C),3.21(t,4H,J 5.1Hz,NCCHN),2.65(t,4H,J 5.0Hz,NCHN)。
【0185】
δ13C(75MHz):165.5(C=O),151.8,144.1(C=C),143.5,141.1,133.4,131.8(C−F),129.9,127.9,127.7,127.1,125.6,125.0,120.2,119.1,118.8,117.9,116.1,112.5(C=C),63.3(C−N),53.2(C−N),49.1(C−N)。
【0186】
m/z(ES+,%):481.1(M+H,50)。
IR(vmax/cm−1):3423(CONH),1631(CONH),1607(C=C)。
【0187】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]ビニル}−ベンズアミド(9)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、1−(2−メトキシフェニル)ピペラジン(106mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で24時間加熱して(9)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、エーテル(R 0.04)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(134mg、61%、融点115〜116℃)。
【0188】
Anal:Found:C、72.9;H、6.75;N、12.9;C2730 requires:C、73.2;H、6.83;N、12.7%。
δH(500MHz):7.89(d,2H,J 8.1Hz,ArH),7.80(br s,1H,ArH),7.69(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.34(d,1H,J 7.0Hz,ArH),7.10(t,1H,J 5.0Hz,ArH),6.99−6.91(m,1H,ArH),6.88−6.80(m,4H,ArH),5.61(s,1H,C=CH),5.38(s,1H,C=CH),3.88(br s,2H,NH),3.86(s,3H,OMe),3.44(s,2H,NCHC=C),3.05(br s,4H,NCCHN),2.67(br s,4H,J 5.0Hz,NCHN)。
【0189】
δ13C(75MHz):169.5(C=O),152.7,144.4(C=C),143.7,141.8,133.3,127.6,127.2,125.5,125.1,123.2,121.3,120.2,118.9,117.7,111.5(C=C),63.5(C−O),55.7(C−N),53.7(C−N),51.1(C−N)。
【0190】
m/z(ES+,%):443.0(M+H,33)。
HRMS:Found[M+H]443.2437,C2730 requires 443.2442。
【0191】
IR(vmax/cm−1):3456(CONH),1634(CONH),1606(C=C)。
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−ビニル}−ベンズアミド(10)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(170mg、0.5ミリモル)、1−(4−フルオロフェニル)ピペラジン(106mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(140mg、2モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で24時間加熱して(10)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、エーテル(R 0.04)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(134mg、61%、融点131〜132℃)。
【0192】
Anal:Found:C、71.5;H、6.30;N、13.0;F、4.2;C2627FNO 0.25HO requires:C、71.8;H、6.26;N、12.9;F、4.4%。
【0193】
δH(300MHz):7.87(d,2H,J 8.3Hz,ArH),7.68(d,2H,J 8.4Hz,ArH),7.33(d,1H,J 7.6Hz,ArH),7.10(dt,H,J 7.7Hz,J 1.5Hz,ArH),6.93(d,2H,J 8.3Hz,ArH),6.92−6.84(m,4H,ArH),5.62(d,1H,J 0.9Hz,C=CH),5.38(s,1H,C=CH),3.88(br s,2H,NH),3.44(s,2H,NCHC=C),3.09(t,4H,J 4.8Hz,NCHCHN),2.64(t,4H,J 5.0Hz,NCHCHN)。
【0194】
δ13C(75MHz):159.1(C=O),156.0(C−F),148.4(C=C),144.2,143.6,141.0,133.4,127.8,127.6,127.2,126.8,125.5,125.0,120.2,118.9,118.1,117.8,116.0,115.7(C=C),63.3(C−N),53.4(C−N),50.6(C−N)。
【0195】
m/z(ES+,%):431.1(M+H,20)。
HRMS:Found[M+H]431.2241,C2627FNO requires 431.2242。
【0196】
IR(vmax/cm−1):3428(CONH),1640(CONH),1604(C=C)。
N−(2−アミノ−フェニル)−2−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−アセトアミド(11)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−アセトアミド(200mg、0.57ミリモル)、モルホリン(50μl、1.0モル当量)、炭酸カリウム(158mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(13mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(13mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧,25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で24時間加熱して(11)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、9:1(v/v)酢酸エチル−ヘキサン(R 0.12)で溶出して精製し、無色の無定型固体を得た(140mg、70%、融点129℃)。
【0197】
Anal:Found:C、71.6;H、7.05;N、12.0;C2125 requires:C、71.8;H、7.17;N、12.0%。
δH(500MHz):7.58(d,2H,J 7.8Hz,ArH),7.32(d,2H,J 7.8Hz,ArH),7.10(d,1H,J 7.9Hz,ArH),7.05−7.00(m,2H,ArH),6.76−6.75(m,2H,ArH及びNH),5.52(s,1H,C=CH),5.27(s,1H,C=CH),3.78(s,2H,ArC),3.72(br s,2H,NH),3.68(t,4H,J 4.0Hz,OCH),3.33(s,2H,NCH),(t,4H,J 4.1Hz,OCHN)。
【0198】
δ13C(75MHz):169.7(C=O),143.0(C=C),140.7,139.6,133.7,129.3,127.4,127.2,125.1,123.9,119.5,116.1(C=C),67.1(C−O),63.5(C−N),53.5(C−N),43.9(C−C)。
【0199】
m/z(ES+,%):352.1(M+H,55),197.0(86),176.5(100)。
IR(vmax/cm−1):3393及び3310(CONH),1644(CONH),1610(C=C)。
【0200】
N−(2−アミノ−フェニル)−3−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−プロピンアミド(12)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−3−(4−ヨード−フェニル)−プロピンアミド(125mg、0.34ミリモル)、モルホリン(30μl、1.0モル当量)、炭酸カリウム(94mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(8mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で23時間加熱して(12)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、9:1(v/v)酢酸エチル−ヘキサン(R 0.11)で溶出して精製し、無色の針状物を得た(93mg、75%、融点103℃)。
【0201】
Anal:Found:C、72.1;H、7.45;N、11.6;C2227 requires:C、72.3;H、7.45;N、11.5%。
δH(300MHz):7.49(d,2H,J 8.1Hz,ArH),7.23(d,2H,J 8.1Hz,ArH),7.08(d,1H,J 7.6Hz,ArH),7.02(d,1H,J 7.6Hz,ArH),6.84(br s,1H,NH),6.75(t,2H,J 7.5Hz,ArH),5.47(s,1H,C=CH),5.23(s,1H,C=CH),3.68(t,4H,J 4.6Hz,OCH),3.54(s,2H,NH),3.32(s,2H,NCC=C),3.07(t,2H,J 7.3Hz,ArC),2.71(t,2H,J 7.3Hz,ArCH),2.47(t,4H,J 4.6Hz,OCHN)。
【0202】
δ13C(75MHz):165.9(C=O),138.4(C=C),136.0,135.0,133.6,123.5,122.4,121.8,120.6,119.2,114.5,112.9,110.8(C=C),62.2(C−O),58.8(C−N),48.7(C−N),34.0(C−C),26.7(C−C)。
【0203】
m/z(ES+,%):366.4(M+H,42),204.2(56),183.8(100)。
IR(vmax/cm−1):3434及び3363(CONH),1651(CONH),1615(C=C)。
【0204】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−ブタンアミド(13)
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−(4−ヨード−フェニル)−ブチルアミド(220mg、0.58ミリモル)、モルホリン(58μl、1.0モル当量)、炭酸カリウム(160mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(13mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(13mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で23時間加熱して(13)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、9:1(v/v)酢酸エチル−ヘキサン(R 0.16)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(166mg、75%、融点79〜81℃)。
【0205】
Anal:Found:C、72.8;H、7.75;N、11.1;C2329 requires:C、72.8;H、7.70;N、11.1%。
δH(300MHz):7.48(d,2H,J 8.0Hz,ArH),7.17(d,2H,J 7.9Hz,ArH),7.15(br s,1H,NH),7.06(m,2H,ArH),6.80(d,2H,J 6.3Hz,ArH),5.48(s,1H,C=CH),5.22(s,1H,C=CH),3.68(t,4H,J 4.4Hz,OCH),3.31(s,2H,NCC=C),2.73(t,2H,J 7.4Hz,ArC),2.48(t,4H,J 4.3Hz,OCHN),2.41(t,2H,7.4Hz,ArCHCH),2.09(5重線,2H,J 7.5Hz,ArCH)。
【0206】
δ13C(75MHz):171.3(C=O),143.2(C=C),140.8,140.7,128.4,127.2,126.4,125.1,124.3,119.6,118.3,115.2(C=C),67.1(C−O),63.6(C−N),53.6(C−N),36.1(C−C),34.8(C−C),27.0(C−C)。
【0207】
m/z(ES+,%):380.4(M+H,36),211.2(28),190.7(100)。
IR(vmax/cm−1):3433及び3363(CONH),1650(CONH),1610(C=C)。
【0208】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−2−メチル−プロペニル]−ベンズアミド(14)
シュレンクチューブをN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(200mg、0.59ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(74μl、1.0モル当量)、3−メチル−1,2−ブタジエン(70μl、1.2モル当量)、炭酸カリウム(163mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(14mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(14mg、2.5モル%)、及びアセトニトリル(10ml)で満たし、1回の凍結、ポンプ、融解サイクルの後、窒素で満たした。混合物を室温まで温め、次に80℃で24時間撹拌しながら加熱した。次に混合物を冷却し、通気し、真空で濃縮し、残渣をジクロロメタン(20ml)と水(20ml)で分配した。有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した(3×10ml)。併せた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空で濃縮して(14)を得、これをフラッシュクロマトグラフィにて、エーテル(R 0.09)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(164mg、69%、融点120℃)。
【0209】
Anal:Found:C、78.7;H、7.15;N、10.1;C2729O requires:C、78.8;H、7.10;N、10.2%。
δH(500MHz):7.86(br s,1H,NH),7.79(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.32−7.29(m,3H,ArH),7.10−7.04(m,4H,ArH),6.99−6.96(m,1H,ArH),6.83−6.79(m,2H,ArH),3.80(br s,2H,NH),3.59(s,2H,ArCN),3.42(s,2H,NCC=C),2.79(t,2H,J 5.5Hz,ArCCHN),2.70(t,2H,J 5.4Hz,ArCHN),1.94(s,3H,CH),1.64(s,3H,CH)。
【0210】
δ13C(75MHz):166.0(C=O),147.8(C=C),140.7,135.2,134.7,133.7,131.7,131.2,129.5,128.6,127.1,126.9,126.5,125.9,125.5,125.2,124.6,119.7,118.3(C=C),65.9(C−N),60.0(C−N),50.0(C−N),29.2(Ar−C),22.7(CH),20.7(CH)。
【0211】
m/z(ES+,%):412.3(M+H,44),227.2(100)。
IR(vmax/cm−1):1654(C=O)。
固相「キャッチ・アンド・リリース」3成分触媒カスケードの一般的手順
工程A:Fmoc保護基の除去
Rink Amide MBHA樹脂(充填 0.73ミリモル/g)を含有する50ml丸底フラスコに10mlの20%(v/v)ピペリジンのDMF溶液を加えた。溶液を室温で1時間かき混ぜ、次にろ過し、DMF(3×10ml)及びDCM(10ml)で洗浄した。樹脂を真空で乾燥し、次の工程に直接用いた。
【0212】
工程B:3成分触媒カスケード
シュレンクチューブを工程Aの樹脂、ヨウ化アリール(1.1モル当量)、炭酸カリウム(2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(2.5モル%)、及びDMFで満たし、2回の凍結、ポンプ、融解サイクルの後、アレンガス(1気圧、25℃)で満たした。シュレンクチューブを密閉し、混合物を室温まで温め、次に80〜100℃で16〜24時間穏やかに撹拌しながら加熱した。次に混合物を冷却し、シュレンクチューブを通気し、混合物をろ過し、DCM、HO、MeOH、及びDCMで洗浄した。
【0213】
樹脂を真空で乾燥し、次の工程に直接用いた。
工程C:カスケード産物のアシル化
無水DCM中のアシル化剤(2.0モル当量)を、窒素下0℃にて工程Bの樹脂、トリエチルアミン(3.0モル当量)、及び無水DCMの撹拌混合物に滴下した。反応混合物を室温まで温め、16〜24時間かき混ぜ、次にろ過し、そしてDCM、HO、MeOH、及びDCMで洗浄した。樹脂を真空で乾燥し、次の工程に直接用いた。
【0214】
工程D:エステルから酸へのシラノレート(Silanolate)変換
工程Cの樹脂を、窒素下室温で、無水DCM中のカリウム トリメチル シラノレート(4.0モル当量)のかき混ぜたスラリーに加えた。反応混合物を16時間かき混ぜ、樹脂をろ過し、MeOH、水、及びMeOHで洗浄した。次に樹脂を希釈酢酸のTHF溶液(1:2)で酸性化し、再度ろ過し、MeOH、水、MeOH、及びDCMで洗浄した。樹脂を真空で乾燥させ、次の工程に直接用いた。
【0215】
工程E:アニリンによる酸−樹脂カップリング
乾燥DMF中の工程Dの樹脂及び1,2−フェニレンジアミン(3.0モル当量)を室温で10分間かき混ぜた。4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4メチルモルホリニウム クロリド(DMTMM)(2.0モル当量)を加え、混合物を更に16時間かき混ぜた。樹脂をろ過し、MeOH、水、MeOH、及びDCMで洗浄した。樹脂を真空で乾燥し、次の工程に直接用いた。
【0216】
工程F:産物を得るための樹脂からの切断
工程Eの樹脂を20%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)のDCM溶液中にてスラリーにし、得られた混合物を室温で20分間放置し、次にろ過し、DCMで洗浄した。併せたろ液を減圧下で蒸発させて産物を得、この純度をHPLCで直ちに解析し(254nmで記録、Luna 5μ(250×4.6mm)フェニル−ヘキシルカラムを使用)、必要に応じてフラッシュクロマトグラフィ及び/又は結晶化で更に精製した。
【0217】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(ベンゾイルアミノ−メチル)ビニル]−ベンズアミド(18)
以下を用いた一般的手順にしたがった。
【0218】
工程A:Rink Amide MBHA樹脂(0.68g、0.50ミリモル)を10mlの20%(v/v)ピペリジンのDMF溶液中で1時間かき混ぜて18aを得た。
工程B:DMF(10ml)中の樹脂18a(0.50ミリモル)、4−ヨード安息香酸メチル(167mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(138mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(12mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(12mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)。シュレンクチューブを80℃で26時間加熱して18bを得た。
【0219】
工程C:塩化ベンゾイル(0.174ml、3.0モル当量)のDCM(2ml)溶液を、18b(0.50ミリモル)及びトリエチルアミン(0.266ml、4.0モル当量)の穏やかに撹拌したDCM(10ml)溶液に0℃で滴下した。混合物を室温で18時間かき混ぜて18cを得た。
【0220】
工程D:樹脂18cを、乾燥DCM(10ml)中のカリウム トリメチル シラノレート(257mg、4.0モル当量)のかき混ぜたスラリーに室温で加えた。混合物を16時間かき混ぜて18dを得た。
【0221】
工程E:乾燥DMF(10ml)中の樹脂18d及び1,2−フェニレンジアミン(162mg、1.5ミリモル)を室温で10分間かき混ぜた。4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム クロリド(DMTMM)(277mg、1.0ミリモル)を加え、混合物を更に16時間かき混ぜて18eを得た。
【0222】
工程F:樹脂18eを20%(v/v)TFAのDCM(10ml)溶液中でスラリーにし、20分間放置して(18)を無色の固体として得た(HPLCによる純度94%)(118mg、工程Aからの全収率64%)。
【0223】
δH(300MHz,DMSO−d):9.70(s,1H,NH),8.86(t,1H,J 5.7Hz,NH),7.98(d,2H,J 8.2Hz,ArH),7.87(d,2H,J 7.0Hz,ArH),7.67(d,2H,J 8.3Hz,ArH),7.56−7.44(m,3H,ArH),7.16(t,1H,J 7.6Hz,ArH),6.98(dt,1H,J 8.1Hz,J 1.1Hz,ArH),6.78(d,1H,J 8.0Hz,ArH),6.61(t,1H,J 7.1Hz,ArH),5.65(s,1H,C=CH),5.32(s,1H,C=CH),4.37(d,2H,J 5.6Hz,NCH)。
【0224】
δ13C(75MHz):166.5(C=O),165.2(C=O),144.1(C=C),143.3,141.8,134.6,134.1,131.6,128.7,128.3,127.6,127.1,126.9,126.0,123.7,116.8,114.2(C=C),42.5(C−N)。
【0225】
m/z(ES+,%):371.9(M+H,100)。
HPLC:純度94%(MeCN/HO:75/25で0.3ml/分にて溶出)。
ピペラジン求核試薬を用いたPd(0)で触媒される3成分カスケード反応
【0226】
【化46】

【0227】
【表1】

【0228】
N−(2−アミノフェニル)−4−[1−({4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1イル}メチル)ビニル]ベンズアミド(1)
【0229】
【化47】

【0230】
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(204.6mg、0.605ミリモル)、1−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン(198.5mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(167.2mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(14.0mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(13.8mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で20時間加熱して産物を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、1:1エーテル−ヘキサン、その後100%エーテル(R 0.3)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(112mg、34%、融点164〜166℃)。
【0231】
Found:C、60.55;H、4.70;N、9.85;C2827O 0.5HO requires:C、60.35;H、4.90;N、10.05%。
【0232】
δH(500MHz):7.87(2H,d,J 8.2Hz,ArH),7.84(1H,s,CONH),7.66(2H,d,J 8.2Hz,ArH),7.35(1H,d,J 7.9Hz,ArH),7.26(1H,s,ArH),7.22(2H,s,ArH),7.10(1H,t,J 7.6,ArH),6.86−6.84(2H,m,ArH),5.63(1H,s,C=CH),5.39(s,1H,C=CH),3.87(2H,br s,NH),3.45(2H,s,NCHC=C),3.26(4H,t,J 4.9Hz,2×ArNCCH),2.65(4H,t,J 4.9Hz,2×ArNCH)。
【0233】
δ13C(75MHz):165.4(C=O),151.7,143.6,143.0,140.6,133.1,132.2(q,JC−F 32.5Hz,2×ArC),127.2(2×ArC),126.7(2×ArC),125.1,124.6,123.6(q,JC−F 272.5Hz,2×CF),119.9,118.5,117.6,114.6,111.9(q,JC−F 3.6,3×ArC),62.8(CHN),52.4(2×ピペラジン−CHN),48.3(2×ピペラジン−CHN)。
【0234】
m/z(ES+,%):549.2(M+H,100)。
HRMS:Found[M+H]549.2070,C2827O requires 549.2089。
【0235】
IR(vmax/cm−1):3582,2978−2839,1638(C=O),1621(C=C)。
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(2)
【0236】
【化48】

【0237】
アセトニトリル(10ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(209.7mg、0.62ミリモル)、1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン(146.4mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(171.4mg、2.0モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(14.4mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(14.2mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で15時間加熱して産物を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、1:1エーテル−ヘキサン、その後100%エーテル(R 0.16)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(102.6mg、36%、融点146〜147℃)。
【0238】
Found:C、67.15;H、5.65;N、12.05;Cl、7.60;C2626ClFO requires:C、67.15;H、5.65;N、12.05;Cl、7.60%。
【0239】
δH(300MHz):7.96(1H,s,CONH),7.85(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.64(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.30(1H,d,J 7.9Hz,ArH),7.11−6.98(3H,m,ArH),6.85−6.78(3H,m,ArH),5.60(1H,s,C=CH),5.37(s,1H,C=CH),3.87(2H,br s,NH),3.43(2H,s,NCHC=C),3.02(4H,t,J 4.4Hz,2×ArNCCH),2.64(4H,t,J 4.4Hz,2×ArNCH)。
【0240】
δ13C(75MHz):166.0(C=O),155.7(d,JC−F 249.6Hz,ArC),144.1,143.6,141.2,139.4(d,JC−F 8.9Hz,ArC),133.4,127.7(2×ArC),127.1(2×ArC),127.0,125.8(d,JC−F 23.7,ArC),125.0(d,JC−F 9.5,ArC),124.9(d,JC−F 3.5Hz,ArC),120.2,120.0(2×ArC),118.8,117.9,117.2(d,JC−F 24.3,ArC),63.4(CHN),53.3(2×ピペラジン−CHN),50.9(2×ピペラジン−CHN)。
【0241】
m/z(ES+,%):232.7(100),464.8(M,93)。
IR(vmax/cm−1):3422,3054−2826,1664(C=O),1626(C=C)。
【0242】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(3)
【0243】
【化49】

【0244】
アセトニトリル(12ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(245.1mg、0.72ミリモル)、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ピペラジン ジヒドロクロリド(207.0mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(360.6mg、3.6モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(16.8mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(16.6mg、2.5モル%)、及びアレンガス(1気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で48時間加熱して産物を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、1:1エーテル−ヘキサン、その後100%エーテル(R 0.16)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(141.3mg、42%、融点93〜95℃)。
【0245】
Found:C、67.30;H、5.85;N、11.95;Cl、7.55;C2626ClFO requires:C、67.15;H、5.65;N、12.05;Cl、7.60%。
【0246】
δH(300MHz):7.94(1H,s,CONH),7.85(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.64(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.30(1H,d,J 7.8Hz,ArH),7.09(1H,t,J 7.7Hz,ArH),7.00(1H,t,J 8.9Hz,ArH),6.90−6.81(3H,m,ArH),6.73(1H,m,ArH),5.60(1H,s,C=CH),5.37(s,1H,C=CH),3.87(2H,br s,NH),3.42(2H,s,NCHC=C),3.08(4H,t,J 4.8Hz,2×ArNCCH),2.62(4H,t,J 4.8Hz,2×ArNCH)。
【0247】
δ13C(75MHz):166.0(C=O),152.5(d,JC−F 241.3Hz,ArC),148.9(d,JC−F 2.2Hz,ArC),144.1,143.5,141.1,133.4,127.7(2×ArC),127.1(2×ArC),126.0,125.6,125.0,121.3(d,JC−F 18.0Hz,ArC),120.2,118.8,118.3,117.9,117.0(d,JC−F 21.7Hz,ArC),116.2(d,JC−F 6.1Hz,ArC),63.3(CHN),53.2(2×ピペラジン−CHN),50.0(2×ピペラジン−CHN)。
【0248】
m/z(ES+,%):465.2(M+H,100)。
IR(vmax/cm−1):3418,3054−2827,1667(C=O),1624(C=C)。
【0249】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(4)
【0250】
【化50】

【0251】
アセトニトリル(15ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(311mg、0.92ミリモル)、1−(2−フルオロフェニル)ピペラジン(160μl、1.1モル当量)、炭酸カリウム(191mg、1.5モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(21mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(21mg、2.5モル%)、及びアレンガス(0.7気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で18時間加熱して産物を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、3:1エーテル−ヘキサン(R 0.11)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(180.3mg、45%、融点135〜137℃)。
【0252】
Found:C、72.55;H、6.30;N、13.00;C2627FO requires:C、72.35;H、6.40;N、12.80%。
δH(300MHz):8.08(1H,s,CONH),7.82(2H,d,J 8.2Hz,ArH),7.61(2H,d,J 8.2Hz,ArH),7.26(1H,d,J 7.5Hz,ArH),7.08−7.01(3H,m,ArH),6.99−6.88(2H,m,ArH),6.81−6.77(2H,m,ArH),5.58(1H,s,C=CH),5.36(s,1H,C=CH),3.87(2H,br s,NH),3.42(2H,s,NCHC=C),3.05(4H,t,J 3.8Hz,2×ArNCCH),2.66(4H,t,J 3.8Hz,2×ArNCH)。
【0253】
δ13C(75MHz):166.1(C=O),156.1(d,JC−F 245.9Hz,ArC),144.1,143.6,141.3,140.6(d,JC−F 8.4Hz,ArC),133.3,127.7(3×ArC),127.1(2×ArC),125.8,124.9,124.8,122.8(d,JC−F 7.9Hz,ArC),120.1,119.4(d,JC−F 2.4Hz,ArC),118.7,117.8,116.5(d,JC−F 20.7Hz,ArC),63.4(CHN),53.5(2×ピペラジン−CHN),51.0(2×ピペラジン−CHN)。
【0254】
m/z(ES+,%):215.7(100),430.8(M,83),431.8(M+H,25)。
IR(vmax/cm−1):3420,3069−2824,1663(C=O),1623(C=C)。
【0255】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(5)
【0256】
【化51】

【0257】
アセトニトリル(15ml)中のN−(2−アミノ−フェニル)−4−ヨード−ベンズアミド(222.7mg、0.659ミリモル)、1−(3−フルオロフェニル)ピペラジン(130.5mg、1.1モル当量)、炭酸カリウム(145.7mg、1.6モル当量)、トリ−2−フリルホスフィン(15.3mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(15.1mg、2.5モル%)、及びアレンガス(0.7気圧、25℃)を用いた一般的手順で調製した。シュレンクチューブを80℃で18時間加熱して産物を得、これを勾配フラッシュクロマトグラフィにて、1:1エーテル−ヘキサン、その後100%エーテル(R 0.15)で溶出して精製し、無色のプレートを得た(100.8mg、36%、融点150〜152℃)。
【0258】
Found:C、70.90;H、6.20;N、12.5;C2627FO 0.5HO requires:C、71.05;H、6.40;N、12.75%。
δH(300MHz):7.91(1H,s,CONH),7.86(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.65(2H,d,J 8.3Hz,ArH),7.31(1H,d,J 7.8Hz,ArH),7.17(1H,q,J 7.8Hz,ArH),7.12−7.06(1H,m,ArH),6.86−6.81(2H,m,ArH),6.65(1H,dd,J 8.2及び2.0Hz,ArH),6.59−6.48(2H,m,ArH),5.61(1H,s,C=CH),5.37(s,1H,C=CH),3.87(2H,br s,NH),3.42(2H,s,NCHC=C),3.16(4H,t,J 4.9Hz,2×ArNCCH),2.62(4H,t,J 4.9Hz,2×ArNCH)。
【0259】
δ13C(75MHz):165.8(C=O),155.7(d,JC−F 249.6Hz,ArC),144.1,143.5,141.1,133.4,130.5(d,JC−F 10.0Hz,ArC),127.7(2×ArC),127.1(2×ArC),125.6,125.0,120.2,118.8,117.9,111.5,106.1(d,JC−F 21.3Hz,ArC),103.0(d,JC−F 24.9Hz,ArC),63.3(CHN),53.2(2×ピペラジン−CHN),49.0(2×ピペラジン−CHN)。
【0260】
m/z(ES+,%):236.3(100),430.9(M,83),431.8(M+H,25)。
IR(vmax/cm−1):3421,2946−2825,1664(C=O),1612(C=C)。
【0261】
N−(2−アミノピリジン−3−イル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド
【0262】
【化52】

【0263】
N−(2−アミノピリジン−3−イル)−4−ヨードベンズアミド(0.68g、2.0ミリモル)、3−アミノメチルピリジン(0.32g、3.0ミリモル)、炭酸カリウム(0.41g、3.0ミリモル)、トリ−2−フリルホスフィン(46mg、10モル%)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(45mg、2.5モル%)、及びアレンガス(0.5気圧)を用いた一般的手順で調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、19:1(v/v)EtOAc−MeOH(R 0.1)で溶出して精製することにより、淡黄色のプレートとして産物を提供した(0.35g、49%):融点88〜90℃;vmax/cm−1(フィルム)3433及び1641;δH(500MHz,CDCl)8.52(2H,m,ArH),8.04(1H,m,ArH),7.86(2H,d,J 8.1Hz,ArH),7.80(1H,br s,CONH),7.68(2H,m,ArH),7.55(2H,d,J 8.1Hz,ArH),7.28(1H,m,ArH),6.80(1H,dd,J 7.7及び5.1Hz,ArH),5.54及び5.39(2×1H,2×s,=CH),4.85(1H,br s,NH),3.83(2H,s,NCHAr),3.71(2H,s,NCH2);δ13C(75MHz,CDCl)166.3(CO),153.7,150.0,148.8,146.0,145.7,145.3,143.9,133.6,133.2,128.0,127.5,127.0,123.8,116.4(CH),115.0,53.1(CHN),50.6(CHN);m/z%(ES)359(M,100)。
【0264】
類似化合物は、N−(3−アミノピリジン−4−イル)−、N−(4−アミノピリジン−3−イル)−、及びN−(3−アミノピリジン−2−イル)−4−ヨードベンズアミドに由来する。
【0265】
亜鉛結合基が最終反応工程において付着している、触媒カスケード(上記)の一般的手順
フェニレンジアミンとのカップリング反応を伴う、1,3−ジメチルバルビツール酸の触媒C,C−ジアリル化の一般的手順
DMF(15ml)中の求核試薬(1.0ミリモル、1.0モル当量)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量、1.2ミリモル)、炭酸セシウム(0.6517g、2.0モル当量)、及びPd(dba)(0.0228g、2.5モル%)、TFP(0.0232g、10モル%)の混合物をシュレンクチューブ内で15分間撹拌した。反応混合物を2回の凍結、ポンプ、融解サイクルに供し、次にアレン(1バール)で満たした。室温まで温めた後、混合物を撹拌し、90〜110℃の油浴中で20時間加熱し、室温まで冷却し、過剰量のアレンを通気した。4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−1−イル)−4−メチル−モルホリニウム クロリド(1.12g、1.0モル当量)及びフェニレンジアミン(0.1054g、1.5モル当量)を反応混合物に加え、室温で15時間撹拌した。次に反応混合物水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。併せた有機相を炭酸ナトリウム水溶液(15ml)、飽和塩化アンモニウム(15ml)、及びかん水(15ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。
【0266】
4,4’−[(1,3−ジメチル−2,4,6−トリオキソヘキサヒドロピリミジン−5,5−ジイル)ジプロプ−1−エン−3,2−ジイル]ビス[N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド]
【0267】
【化53】

【0268】
一般的手順にしたがって、1,3−ジメチルバルビツール酸(0.1562g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.5952g、2.4モル当量)、アレン(1バール)、及びフェニレンジアミン(0.3244g、3.0モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、酢酸エチル(R 0.10)で溶出して精製することにより、無色固体として産物を得た(0.5199、79%):融点161〜163℃;(Found:C、69.15;H、5.90;N、12.95;C3836 requires:C、65.45;H、5.60;N、12.80%);δ(500MHz,DMSO−d)2.62(6H,s,2×N−CH),4.88(4H,s,2×CH),4.98及び5.28(2×2H,2×s,2×=CH),6.61(2H,dd,J 7.5及び7.4Hz,ArH),6.80(2H,d,J 7.8Hz,ArH),6.99(2H,dd,J 7.2及び7.1Hz,ArH),7.17(2H,d,J 7.6Hz,ArH),7.35(4H,d,J 8.2Hz,ArH),7.92(4H,d,J 8.0Hz,ArH)及び9.67(2H,s,2×N−H);δ(75MHz,DMSO−d)27.9(Me),44.4(CH),56.2,116.5,116.6,118.7,123.5,126.6,126.9,127.1,127.9,134.1,142.9,143.2,143.5,150.1,164.9(CO)及び169.9(CO);m/z(ES)(%)657.3(60,M+H),328.9(100)など;vmax/cm−1−(固体)3469,3374,3221,3056,1744,1675,1504,1380,1307,1264,1188,1158,1133,1087,1046,1014,907,868及び751。
【0269】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド
【0270】
【化54】

【0271】
一般的手順にしたが、1−メチルヒダントイン(0.1176g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量)、アレン(1バール)、及びフェニレンジアミン(0.1622g、1.5モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、酢酸エチル(R 0.17)で溶出して精製することにより、無色固体として産物を得た(0.2156g、59%):融点179〜181℃;(Found:C、65.90;H、5.70;N、15.20;C2020 requires:C、65.90;H、5.55;N、15.35%);δ(500MHz、DMSO−d)2.88(3H,s,N−Me),4.04(2H,s,N−CH),4.44(2H,s,CO−CH),4.91(2H,s,NH),5.17及び5.62(2×1H,2×s,=CH),6.62(1H,t,J 7.3Hz,ArH),6.81(1H,d,J 7.8Hz,ArH),6.99(1H,t,J 7.4Hz,ArH),7.19(1H,d,J 7.5Hz,ArH),7.66(2H,d,J 8.0Hz,ArH)及び7.99(2H,d,J 7.8Hz,ArH),9.69(1H,s,CO−NH);δ(75MHz,DMSO−d)29.6(Me),41.4(CH),51.6(CH),114.6(=CH),116.4,116.6,123.5,126.0,126.9,127:1,128.3,134.3,141.0,141.2,143.6,156.5(CO),165.2(CO)及び170.6(CO);m/z(ES)(%)365.0(100,M+H);vmax/cm−1(固体)3417,3317,3058,2957,2924,1774,1696,1641,1591,1530,1488,1454,1381,1332,1303,1265,1243,1147,1016,973,936,913,888,857,780,748及び721。
【0272】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド
【0273】
【化55】

【0274】
一般的手順にしたがい、2−クロロフェノチアジン(0.2337g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量)、アレン(1バール)、及びフェニレンジアミン(0.1622g、1.5モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、3:7(v/v)石油エーテル−ジエチルエーテル(R 0.18)で溶出して精製することにより、無色固体として産物を得た(0.3396g、69%):融点126〜128℃;δ(500MHz,DMSO−d)4.97(2H,s,NH),5.00(2H,s,CH),5.23及び5.76(2×1H,2×s,=CH),6.62(1H,t,J 7.3Hz,ArH),6.81(1H,d,J 7.5Hz,ArH),6.92−7.01(5H,m,ArH),7.08−7.13(2H,m,ArH),7.16−21(2H,m,ArH),7.73(2H,d,J 7.9Hz,ArH),8.02(2H,d,J 8.1Hz,ArH),9.71(1H,s,CO−NH);δ(75MHz,DMSO−d)51.7(CH),115.7(=CH),116.2,116.5,116.6,121.6,122.2,122.6,123.5,123.6,126.3,126.9,127.1,128.0,128.1,128.3,132.5,134.3,140.2,141.2,143.5,143.6,145.5及び165.1(CO);m/z(ES)(%)384.0(100,M);vmax/cm−1(固体)3400,3289,3071,2926,1627,1566,1538,1493,1462,1410,1341,1308,1276,1249,1223,1159,1129,1103,1015,912,855及び777。
【0275】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(9−オキソアクリジン−10(9H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(rp−207[共役])
【0276】
【化56】

【0277】
一般的手順にしたがい、9(10H)-アクリドン(0.1952g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量)、アレン(1バール)、及び1,2−フェニレンジアミン(0.1054g、1.5モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、2:3(v/v)石油エーテル−酢酸エチル(R 0.22)で溶出して精製することにより、黄白色固体として産物を得た(0.2457g、54%):融点167〜160℃;δ(500MHz,DMSO−d)4.66及び5.65(2×1H,2×s,=CH),4.96(2H,s,NH),5.56(2H,s,CH),6.65(1H,t,J 7.3Hz,ArH),6.85(1H,d,J 7.8Hz,ArH),7.02(1H,t,J 7.4Hz,ArH),7.25(1H,d,J 7.3Hz,ArH),7.37(2H,t,J 7.3Hz,ArH),7.59(2H,d,J 8.7Hz,ArH),7.81(2H,t,J 7.5Hz,ArH),7.91(2H,d,J 7.8Hz,ArH),8.13(2H,d,J 7.5Hz,ArH),8.40(2H,d,J 7.8Hz,ArH)及び9.79(1H,s,CO−NH);δ(75MHz,DMSO−d)49.8(CH),113.3(=CH),114.8,116.6,121.9,122.0,126.6,126.3,126.9,127.2,128.5,131.7,134.6,134.7,139.8,140.1,140.9,141.3,142.2,143.6,165.2(CO)及び177.1(CO);m/z(ES)(%)446.0(100,M+H);vmax/cm−1(固体)3312,3060,2642,2340,2181,1927,1821,1466,1374,1215,1171,1135,1050,1015,963,932,909,852,803及び750。
【0278】
N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(6−オキソフェナントリジン−5(6H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド
【0279】
【化57】

【0280】
一般的手順にしたがい、6(5H)−フェナントリジノン(0.2034g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量)、アレン(1バール)、及び1,2−フェニレンジアミン(0.1622g、1.5モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、1:4(v/v)石油エーテル−酢酸エチル(R 0.17)で溶出して精製することにより、無色固体として産物を得た(0.2747g、61%):融点>220℃;δ(500MHz、DMSO−d)4.75及び5.58(2×1H,2×s,=CH),4.93(2H,s,NH),5.47(2H,s,CH),6.62(1H,dd,J 7.6及び7.3Hz,ArH),6.81(1H,d,J 7.9Hz,ArH),6.99(1H,dd,J 7.8及び7.5Hz,ArH),7.20(1H,d,J 7.6Hz,ArH),7.37−7.41(2H,m,ArH),7.59(1H,dd,J 7.9及び7.Hz,ArH),7.70(1H,t,J 7.5Hz,ArH),7.80(2H,d,J 8.2Hz,ArH),7.91(1H,dd,J 7.9及び7.3Hz,ArH),8.05(2H,d,J 8.2Hz,ArH),8.43(1H,d,J 7.7Hz,ArH),8.55(1H,d,J 7.7Hz,ArH),8.60(1H,d,J 8.2Hz,ArH)及び9.72(1H,s,CO−NH);δ(75MHz,DMSO−d)45.6(CH),113.1(=CH),116.5,116.6,118.9,122.9,123.1,123.6,124.1,124.9,126.1,126.9,127.1,128.4,128.6,128.7,130.3,133.5,133.8,134.5,137.1,141.1,141.4,143.5,160.7(CO)及び165.2(CO);m/z(ES)(%)446.0(100,M+H);vmax/cm−1(固体)3345,3097,2731,2367,2127,1953,1825,1477,1382,1212,1171,1121,1078,1032,969,934,914,858,806及び732。
【0281】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[(11aR)−5,11−ジオキソ−2,3,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10(5H)−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド
【0282】
【化58】

【0283】
一般的手順にしたがい、(S)−(+)−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c]ベンゾジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(0.2162g、1.0ミリモル)、4−ヨード安息香酸(0.2976g、1.2当量)、アレン(1バール)、及びフェニレンジアミン(0.1622g、1.5モル当量)から調製した。フラッシュカラムクロマトグラフィにて、9:1(v/v)ジエチルエーテル−メタノール(R 0.20)で溶出して精製することにより、無色固体として産物を得た(0.3255g、70%):融点160〜162℃;(Found:C、71.80;H、5.75;N、11.95;C2826 requires:C、72.10;H、5.60;N、12.00%);δ(500MHz,DMSO−d)1.87−2.00(3H,m,H−2及びH−1a),2.49(1H,m,H−1b),3.32(1H,m,H−3a),3.43(1H,m,H−3b),−−−−−−−−−−−−−−−−−−6.62(1H,t,J 7.3Hz,ArH),6.80(1H,d,J 8.0Hz,ArH),6.99(1H,t,J 7.2Hz,ArH),7.20(1H,d,J 7.6Hz,ArH),7.31(1H,m,ArH),7.40(2H,d,J 8.4Hz,ArH),7.56−7.61(2H,m,ArH),7.66(1H,d,J 7.9Hz,ArH),7.92(2H,d,J 8.1Hz,ArH);9.62(1H,s,CO−NH);δ(75MHz,DMSO−d)22.1(CH),25.2(CH),44.9(CH),48.3(CH),55.47,113.9(=CH),114.9,115.1,122.1,122.2,124.3,124.4,125.3,125.5,126.5,128.3,129.3,130.6,132.6,137.2,139.7,140.9,141.9,162.5,163.6(CO)及び168.1(CO);m/z(ES)(%)466.0(100,M);vmax/cm−1(固体)3425,3063,2957,1901,1845,1679,1531,1301,1245,1206,1165,1121,1090,1051,982,920,864及び764。
【0284】
がん細胞株に対するベンズアミド誘導体のスクリーニング
表1及び2は、化合物(4)及び(6)について得られた結果を例証として一覧にした。GI50は、がん細胞増殖を50%阻害する濃度を示す。TGI(全増殖阻害)は、増殖を完全に阻害する濃度を示す。LC50は、オリジナルのがん細胞を50%死滅させる濃度を示す。
【0285】
【表2】

【0286】
【表3】

【0287】
化合物(6)がnM活性を有する全ての細胞株は、化合物(4)によっても強力に阻害される。化合物(4)は、ある種の黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、及び乳癌細胞株に更なる有効性を示している。
【0288】
しかしながら、特に、本発明の化合物は大腸癌、黒色腫、及び非小細胞肺癌から選択されるがんの治療に有効であることを発見した。
化合物(4)とMS275との比較試験
大腸癌
6つの大腸癌細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、3つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0289】
【表4】

【0290】
非小細胞肺癌
8つの非小細胞肺癌細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、2つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0291】
【表5】

【0292】
腎臓癌
7つの腎臓癌細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、4つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0293】
【表6】

【0294】
黒色腫
7つの黒色腫細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、3つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0295】
【表7】

【0296】
卵巣癌
6つの卵巣癌細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、3つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0297】
【表8】

【0298】
乳癌
7つの乳癌細胞株を、化合物(4)及びMS275に対してスクリーニングした。化合物(4)は、3つの細胞株においてMS275に対して>2倍の有効性を示した。
【0299】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミド;
【化1】

式中:
以後キャップ基と表すX基は一般式(III)又は(IV)の化合物であり;
【化2】

Wは、炭素、−CH−、−CH−、窒素、硫黄、酸素、−N(R)−、−C(O)O−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(O)N(R)−、S(O)−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−N(R)C(S)N(R)−、−N(R)C(S)O−、−C(S)−、又は−C(S)N(R)−であり、ここで、R及びRは、水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり;
nは1、2、3、4、5、又は6であり;
環Aは、置換されていてもよい炭素環基又は複素環基であり、ここで、環Aのそれぞれの置換可能な炭素原子又はヘテロ原子は独立して1以上のハロ、C1〜6アルキル、炭素環、又は複素環で置換されていてもよく、環AがWの他に−NH−部分を含有する場合、窒素はKから選択される基で置換されていてもよく;
Lは炭素又は窒素であり;
は、炭素上の置換基であり、酸素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、アリール、アリールオキシ、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、又は(D−E−)基から選択され、ここで、(D−E−)基を含めたRは、炭素上で1以上のTによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素はJで置換されていてもよく;
Tは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又は(D’−E’−)基であり;ここで、(D’−E’−)基を含めたTは、炭素上で1以上のRによって置換されていてもよい;
R及びQは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択され;
G、J、及びKは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜6アルカノイル、C1〜8アルキルスルホニル、C1〜8アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜8アルキル)カルバモイル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、フェニルスルホニル、アリール、アリールC1〜6アルキル、又は(複素環基)C1〜6アルキルから独立して選択され、ここで、G、J、及びKは、炭素上で1以上のPによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素は水素又はC1〜6アルキルで置換されていてもよく;
Pは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、アリール、アリールオキシ、アリールC1〜6アルキル、アリールC1〜6アルコキシ、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、(複素環基)C1〜6アルコキシ、又は(D”−E”−)基であり、ここで、(D”−E”−)基を含めたPは、炭素上で1以上のQによって置換されていてもよく;
D、D’、及びD”は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、アリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、又はフェニルC1〜6アルキルから独立して選択され、ここで、D、D’、及びD”は炭素上で1以上のMによって置換されていてもよく、複素環基が−NH−部分を含有する場合、窒素はGから選択される基で置換されていてもよく;
E、E’、及びE”は、−N(R)−、−O−、−C(O)O−、−C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−C(O)N(R)−、S(O)−、−SON(R)−、−N(R)SO−から独立して選択され;ここで、R及びRは、水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり;
M及びVは、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択され;
mは0、1、2、3、又は4であり;ここで、Rの意義は同一か又は異なっており;
Yは非飽和基であり;
Rは存在しないか又はハロであり;
pは0、1、又は2であり;ここで、Rの意義は同一か又は異なっており;
Zは、存在しないか、直接の炭素−炭素結合、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、又は−C(R)=N−O−であり;ここで、Rは、水素、又は1以上のVで置換されていてもよいC1〜6アルキルから独立して選択され、rは0〜2であり;
は、存在しないか、アミノ又はヒドロキシであり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニル、C2〜3アルキニル、C1〜3アルコキシ、C1〜3アルカノイル、C1〜3アルカノイルオキシ、N−(C1〜3アルキル)アミノ、N,N−(C1〜3アルキル)アミノ、C1〜3アルカノイルアミノ、N−(C1〜3アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜3アルキル)カルバモイル、C1〜3アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜3アルコキシカルボニル、N−(C1〜3アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜3アルキル)スルファモイルであり;
qは0、1、又は2であり;ここで、Rの意義は同一でも異なっていてもよい。
【請求項2】
Yが、2−プロピレン誘導体(V)、(V)の2重結合が官能化されていてもよい誘導体、又は還元2−プロピル産物(VI)である、請求項1に記載の式(II)の化合物、
【化3】

式中、R、R、R、及びRは、水素、ハロ、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルキルC1〜6アルキル、アリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、フェニルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルカノイル、C1〜6アルカノイルオキシ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルカノイルアミノ、N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1〜6アルキル)カルバモイル、C1〜6アルキルS(O)(式中、aは0〜2である)、C1〜6アルコキシカルボニル、N−(C1〜6アルキル)スルファモイル、又はN,N−(C1〜6アルキル)スルファモイルから独立して選択される。
【請求項3】
環Aが、アリール、アリールC1〜6アルキル、複素環基、(複素環基)C1〜6アルキル、フェニル、フェニルC1〜6アルキル、ピリジル、キノリル、インドリル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チアゾリル、チエニル、チエノピリミジニル、チエノピリジニル、プリニル、1’,2’,3’,6’−テトラヒドロピリジニル、トリアジニル、オキサゾリル、ピラゾリル、フラニル、又はテトラヒドロ−β−カルボニリルであり;環Aは独立して1以上のハロ、C1〜6アルキル、炭素環、又は複素環で置換されていてもよく;環AがWの他に−NH−部分を含有する場合、窒素はKから選択される基で置換されていてもよい、請求項1に記載の式(II)の化合物。
【請求項4】
環Aが、ピリジン−4−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−2−イル;モルホリン−4−イル;ピペリジン−4−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−2−イル;ピペラジン−4−イル、チアゾール−2−イル、チエン−2−イル、フラン−3−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル;トリアゾール−1−イル、又は1’,2’,3’,6’−テトラヒドロピリジン−4−イルであり、ここで、環Aが−NH−部分を含有する場合、窒素はKから選択される基で置換されていてもよい、請求項1に記載の式(II)の化合物。
【請求項5】
以下の化合物:
N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−ベンズアミド(1)、
【化4】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(2)、
【化5】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(3)、
【化6】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(4)、
【化7】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−{1−[(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(5)、
【化8】

N−(2−アミノフェニル)−4−[1−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(6)、
【化9】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(ベンジルアミノ)メチル]ビニル}ベンズアミド(7)、
【化10】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−({4−3−(トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル}ベンズアミド(8)、
【化11】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(2−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]ビニル}−ベンズアミド(9)、
【化12】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−ビニル}−ベンズアミド(10)、
【化13】

N−(2−アミノ−フェニル)−2−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−アセトアミド(11)、
【化14】

N−(2−アミノ−フェニル)−3−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−プロピンアミド(12)、
【化15】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−[4−(1−モルホリン−4−イルメチル−ビニル)−フェニル]−ブタンアミド(13)、
【化16】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−2−メチル−プロペニル]−ベンズアミド(14)、
【化17】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−{1−[(8−フルオロ−1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−b]インドール−2−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(15)、
【化18】

N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(16)、
【化19】

(2E)−N−(2−アミノ−フェニル)−3−{4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]フェニル}ベンズアミド(17)、
【化20】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(ベンゾイルアミノ)メチル]ビニル}ベンズアミド(18)、
【化21】

4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]−N−フェニル ベンズアミド(19)、
【化22】

N−(3−アミノフェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(20)、
【化23】

N−[2−(4−[{(2−アミノフェニル)アミノ}カルボニル]フェニル)プロプ−2−エン−1−イル]ビフェニル−4−カルボキシアミド(21)、
【化24】

N−(2−アミノフェニル)−4−[1−({4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル]ベンズアミド(22)、
【化25】

N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(23)、
【化26】

N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(24)、
【化27】

N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(25)
【化28】

N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(26)、
【化29】

N−(2−アミノピリジン−3−イル)−4−(1−{[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]メチル}ビニル)ベンズアミド(27)、
【化30】

4,4’−[(1,3−ジメチル−2,4,6−トリオキソヘキサヒドロピリミジン−5,5−ジイル)ジプロプ−1−エン−3,2−ジイル]ビス[N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド](28)、
【化31】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(29)、
【化32】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(30)、
【化33】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(9−オキソアクリジン−10(9H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(rp−207[共役])(31)、
【化34】

N−(2−アミノフェニル)−4−{1−[(6−オキソフェナントリジン−5(6H)−イル)メチル]ビニル}ベンズアミド(32)、
【化35】

N−(2−アミノフェニル)−4−(1−{[(11aR)−5,11−ジオキソ−2,3,11,11a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10(5H)−イル]メチル}ビニル)ベンズアミド(33)、
【化36】

から成る群より選択される、請求項1に記載の式(II)の化合物。
【請求項6】
N−(2−アミノ−フェニル)−4−[1−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(4)、N−(2−アミノフェニル)−4−[1−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−イルメチル)ビニル]ベンズアミド(6)、及びN−(2−アミノフェニル)−4−{1−({4−3−(トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル}メチル)ビニル}ベンズアミド(8)から成る群より選択される、請求項1に記載の式(II)の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドを、医薬的に許容可能な担体又は希釈剤と併せて含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドの製造方法であって、以下の化合物:
i) 式(III)又は(IV)の求核試薬、ここで、求核基はWであるか又はR内に局在している;
ii) アレンガス又は置換アレン;及び
iii) ハロゲン又はトリフレートで置換された式(VII)のアリール分子、
【化37】

式中:
AAはハロ又はトリフレートから独立して選択され;
Z、R、R、R、L、p、及びqは請求項1に定義した通りである、
を触媒存在下で反応させることを含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドの製造方法であって、以下の工程:
a) 以下の化合物:
iv) 式(III)又は(IV)の求核試薬、ここで、求核基はWであるか又はR内に局在している;
v) アレンガス又は置換アレン;及び
vi) ハロゲン又はトリフレートで置換された式(IX)のアリール分子
【化38】

を触媒存在下で反応させ、そして
b) (a)の産物を式(X)の化合物とカップリング試薬存在下で反応させる
【化39】

式中、AAはハロ又はトリフレートから独立して選択され;
Z、R、R、R、L、p、及びqは請求項1で定義した通りである、
ことを含む、前記方法。
【請求項10】
触媒がパラジウム触媒である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
AAが臭素又はヨウ素である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
カップリング試薬が4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−1−イル)−4−メチル−モルホリニウム クロリドである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
ポリマー支持体上で実施する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドの製造方法であって、式(VIII)の化合物:
【化40】

式中、X、Y、Z、R、R、R、p、及びqは請求項1に定義した通りであり;BBは固相樹脂である、
を切断することを含む、前記方法。
【請求項15】
樹脂が−NH−又は−NH−部分を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
樹脂がRink Amide MBHA樹脂である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミド。
【請求項18】
細胞増殖及び/又は分化障害の治療又は緩和方法であって、治療的に有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(II)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩又は生体内で加水分解可能なエステル若しくはアミドを、そのような障害を患う患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
細胞増殖及び/又は分化障害を治療するための医薬を製造するための式(II)の化合物の使用。
【請求項20】
細胞増殖及び/又は分化障害ががんである、請求項18に記載の方法又は請求項19に記載の使用。
【請求項21】
がんが、癌腫、肉腫、転移性疾患、又は造血系腫瘍性疾患から成る群より選択される、請求項20に記載の方法又は使用。
【請求項22】
がんが、白血病、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、及び黒色腫から成る群より選択される、請求項20に記載の方法又は使用。

【公表番号】特表2008−501771(P2008−501771A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526538(P2007−526538)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002234
【国際公開番号】WO2005/121073
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(598176569)キャンサー・リサーチ・テクノロジー・リミテッド (57)
【氏名又は名称原語表記】CANCER RESEARCH TECHNOLOGY LIMITED
【Fターム(参考)】