プラズマ処理装置
プラズマ処理装置は、プロセスチャンバと、プロセスチャンバの内部に配され、ワークを支持するプラテンと、ワークの前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、プロセスチャンバの内部に発生させるように構成されたプラズマ源と、インシュレーティング調整部とを備える。インシュレーティング調整部は、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状の一部がプラズマに対向するワークの前面によって形成される面と平行にならないように、境界の形状を制御する。プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状を制御することで、ワークに衝突する粒子の入射角の範囲を広げることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理、特にプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、プロセスチャンバ内にプラズマを発生させて、プロセスチャンバ内のプラテン(platen)によって支持されたワーク(workpiece)を処理する。プラズマ処理装置は、これらに限定されるものではないが、ドーピングシステム、エッチングシステムおよび蒸着システム(deposition system)を備えてよい。多くの場合、プラズマは、イオン(通常は正の電荷を有する)および電子(負の電荷を有する)の準中性の集合体(quasi-neutral collection)である。プラズマは、プラズマのバルク中において、約0V/cmの電場を有する。プラズマ処理装置において、プラズマからのイオンはワークにむかって引き付けられる。プラズマ・ドーピング装置において、イオンは十分なエネルギーを有し、ワークの物理的構造(例えば、半導体基板)中に注入される。
【0003】
プラズマの境界は、ワークに隣接した領域(通常、プラズマシース(plasma sheath)と称される。)によって示される。プラズマシースは、プラズマよりも電子が少ない領域である。プラズマシースからの発光は、プラズマからの発光と比較して弱い。これは、電子が少なく、励起/緩和衝突がほとんど起こらないからである。そのため、プラズマシースは、「ダークスペース」と称される場合がある。
【0004】
図1には、既知のプラズマ処理装置の部分断面図が示される。プラズマ140は、処理対象となるワーク138の前面(front surface)に隣接するプラズマシース142を有する。ワーク138の前面には面151が配され、ワーク138は、プラテン134に支持される。プラズマ140とプラズマシース142との境界141は、面151と平行である。プラズマ140のイオン102は、プラズマシース142を越え、ワーク138にむかって引き付けられ得る。それにより、ワーク138にむかって加速されたイオン102は、通常、面151に対してほぼ0°の入射角で(例えば、面151に直角に)衝突する。入射角の角度の広がり(angular spread)は、小さい場合には、約3°以下の場合すらありうる。加えて、プラズマ処理のパラメータ(例えば、プロセスチャンバ内のガスの圧力)を制御することにより、角度の広がりは、約5°にまで増加してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプラズマ処理には、イオン102の角度の広がりの制御が十分でないという欠点があった。ワーク上の構造物はより小さくなってきており、また、3次元構造物(例えば、トレンチ・キャパシタ、FinFETなどの縦型チャネル・トランジスタ)がより一般的なものとなってきていることから、角度をより大きな範囲で制御することは有益である。例えば、図1には、トレンチ144が記載されている。なお、説明を簡単にする目的で、その大きさは誇張して示されている。入射角がほぼ0°のイオン102を用いて、(あるいは、入射角が5°まで広がったとしても、)トレンチ144の側壁147を均一に処理することは難しい。
【0006】
そのため、上述の不備および欠点を克服するプラズマ処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、プラズマ処理装置が提供される。上記のプラズマ処理装置は、プロセスチャンバと、プロセスチャンバの内部に配され、ワークを支持するプラテンと、ワークの前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、プロセスチャンバの内部に発生させるように構成されたプラズマ源と、インシュレーティング調整部とを備える。インシュレーティング調整部は、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状の一部がプラズマに対向するワークの前面によって形成(define)される面と平行にならないように、境界の形状を制御する。
【0008】
本開示の別の態様によれば、方法が提供される。上記の方法は、プロセスチャンバの内部にワークを配置する段階と、ワークの前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、プロセスチャンバの内部に発生させる段階と、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状の一部がプラズマに対向するワークの前面によって形成される面と平行にならないように、境界の形状を調整する段階とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のより良い理解のために、添付図面を参照するが、添付図面において、類似の要素には、類似の参照番号が付される。
【0010】
【図1】先行技術に係る従来のプラズマ処理装置の概略ブロック図である。
【図2】本開示の一実施形態に係るプラズマ処理装置のブロック図である。
【図3】本開示の一実施形態に係るプラズマ・ドーピング装置のブロック図である。
【図4】プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状を制御する一対のインシュレータ(insulator)の断面図である。
【図5】図4に関連して、図4の境界を越えて加速されたイオンのイオン軌道を説明する断面図である。
【図6】図5のイオン軌道のイオンの角度分布のプロットである。
【図7】一対のインシュレータとワークとの間の垂直間隔(vertical spacing)を制御するシステムのブロック図である。
【図8】図7に関連して、異なる垂直間隔におけるイオン軌道を説明する断面図である。
【図9】一対のインシュレータ間の水平間隔(horizontal spacing)を制御するシステムのブロック図である。
【図10】図9に関連して、異なる水平間隔におけるイオン軌道を説明する断面図である。
【図11】一対のインシュレーティング・シート(insulating sheet)を、ワークに対して移動させる走査システムを備えたプラズマ処理装置のブロック図である。
【図12】図11のインシュレーティング・シートと、円盤形状を有するワークとの相対移動を示す、インシュレーティング・シートの平面図である。
【図13】図11に関連して、複数のインシュレータを備える走査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本開示の一実施形態に関連して、インシュレーティング調整部(insulating modifier)208を備えるプラズマ処理装置200のブロック図の一例を示す。インシュレーティング調整部208は、プラズマシース242内部の電場を調整して、プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状を制御するよう構成される。これにより、プラズマ140からプラズマシース242の向こう側へと引き付けられたイオン102は、幅広い入射角でワーク138に衝突することができる。
【0012】
プラズマ処理装置200は、本明細書では、プラズマ・ドーピング装置として説明されてもよい。しかしながら、プラズマ処理装置200は、これらに限られるものではないが、エッチングシステムおよび蒸着システムを備えてもよい。プラズマ・ドーピング装置は、処理されたワーク上で、多くの異なる材料変形プロセス(material modification process)をさらに実施してよい。このようなプロセスの1つとして、半導体基板などのワークへの目的とするドーパントのドープを例示することができる。
【0013】
プラズマ処理装置200は、プロセスチャンバ202と、プラテン134と、プラズマ源(source)206と、インシュレーティング調整部208とを備えてよい。プラテン134は、プロセスチャンバ202の内部に配され、ワーク138を支持する。ワークは、これらに限定されるものではないが、半導体ウエハ、プラットパネル、ソーラーパネルまたは高分子基板を含んでもよい。一実施形態において、半導体ウエハは、直径300mmの円盤形状を有してよい。プラズマ源206は、当技術分野で周知のように、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成される。図2の一実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)を有する。一対のインシュレータは、その間に水平間隔(図中、Gとして示す。)を有する間隙を形成する。他の実施形態において、インシュレーティング調整部は、単一のインシュレータを有してもよい。一対のインシュレータ212および214は一対のシートであってもよく、当該シートは薄い平面形状を有してよい。他の実施形態において、一対のインシュレータ212および214は、管型形状、V字型状などの他の形状を有してもよく、および/または、上記の間隙に隣接する端部が傾斜していてもよい。
【0014】
一実施形態において、一対のインシュレータ212および214によって形成される間隙の水平間隔は、約6.0mmであってよい。一対のインシュレータ212および214は、ワーク138の前面によって形成される面151の上方に、垂直間隔(図中、Zとして示す。)をあけて配される。一実施形態において、垂直間隔(Z)は、約3.0mmであってよい。
【0015】
運転中、ガス源288は、プロセスチャンバ202にイオン化ガスを供給する。イオン化ガスとしては、これらに限定されるものではないが、BF3、BI3、N2、Ar、PH3、AsH3、B2H6、H2、Xe、Kr、Ne、He、SiH4、SiF4、GeH4、GeF4、CH4、CF4、AsF5、PF3およびPF5を例示することができる。プラズマ源206は、プロセスチャンバ202に供給されたガスを励起およびイオン化することで、プラズマ140を発生させる。イオンは、様々なメカニズムによって、プラズマ140から、プラズマシース242を越えて引き付けられる。図2に示される実施形態において、バイアス源(bias source)290は、ワーク138にバイアスを印加して、プラズマシース242を越えて、プラズマ140からイオン102を引き付ける。バイアス源290は、直流電圧バイアス信号を供給するDC電源であってもよく、高周波バイアス信号を供給するRF電源であってもよい。
【0016】
有利なことに、インシュレーティング調整部208により、プラズマシース242内の電場が調整される。プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状が制御される。図2に示される実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対のインシュレータ212および214を有する。インシュレータ212およびインシュレータ214は、石英(quartz)、アルミナ、窒化ホウ素、ガラス、窒化シリコンなどを用いて製造されてよい。プラズマ140とプラズマシース242tの間の境界241は、面151に対して凸となる形状を有してよい。バイアス源290がワーク138にバイアスを印加すると、イオン102は、プラズマシース242を越え、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して、幅広い入射角で引き付けられる。例えば、軌道経路271をたどるイオンは、面151に対して+θ°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。軌道経路270をたどるイオンは、上記と同じ面151に対してほぼ0°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。軌道経路269をたどるイオンは、面151に対して−θ°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。このように、入射角の範囲は、約0°を中心として+θ°と−θ°との間であってよい。加えて、イオンの軌道経路は、例えば経路269および経路271のように、お互いに交差してもよい。入射角の範囲は、多くの要因(これらに限定されるものではないが、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔(G)、インシュレータ212および214の面151からの垂直間隔(Z)、インシュレータ212および214の誘電率(dielectric constant)、ならびに、その他のプラズマ処理のパラメータ)に応じて、約0°を中心として+60°と−60°との間であってよい。これにより、ワーク138上の小さな3次元構造物が、イオン102によって均一に処理されることができる。例えば、トレンチ244の側壁247(説明を簡単にする目的で、図中、その大きさは誇張されている。)は、図1の側壁147と比較して、イオン102によって、より均一に処理されることができる。
【0017】
図3は、プラズマ・ドーピング装置300の一実施形態に係るブロック図の一例を示す。図2の装置と同様に、プラズマ・ドーピング装置300は、一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)を備えて、プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状を制御する。
【0018】
プラズマ・ドーピング装置300は、プロセスチャンバ202を備える。プロセスチャンバ202は、密閉容積(enclosed volume)303を形成する。ガス源304は、マスフローコントローラ306を介して、プロセスチャンバ202の密閉容積303に、一次ドーパントガス(primary dopant gas)を供給する。プロセスチャンバ202の内部には、ガス源304からのガスの流れを偏向させるガスバッフル370が配されてよい。圧力計308は、プロセスチャンバ202の内部の圧力を測定する。真空ポンプ312は、排気口310を介して、プロセスチャンバ202から排気ガスを排出する。排気バルブ314は、排気口310を通過する排気ガスのコンダクタンス(exhaust conductance)を制御する。
【0019】
プラズマ・ドーピング装置300は、ガス圧コントローラ316をさらに備えてよい。ガス圧コントローラ316は、マスフローコントローラ306、圧力計308および排気バルブ314に電気的に結合されてよい。ガス圧コントローラ316は、圧力計308に応答するフィードバック・ループにおいて、排気バルブ314を用いて排気ガスのコンダクタンスを制御する、または、マスフローコントローラ306を用いてプロセスガスの流量を制御することで、プロセスチャンバ202中の圧力を目標値に維持するように構成されてよい。
【0020】
プロセスチャンバ202は、上部チャンバ(chamber top)318を有してよい。上部チャンバ318は、誘電材料で形成された第1部分320を有してよい。第1部分320は、通常、水平方向に延伸している。上部チャンバ318は、誘電材料で形成された第2部分322を有してよい。第2部分322は、第1部分320から高さ方向(通常は、垂直方向である。)に延伸している。上部チャンバ318は、導電性および熱伝導性を有する材料で形成された蓋324をさらに有する。蓋324は、第2部分322と交差するように、水平方向に延伸する。
【0021】
プラズマ・ドーピング装置は、プラズマ源301をさらに備えてよい。プラズマ源301は、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成されてよい。プラズマ源301は、高周波電源(RF source)350を有して、プラズマ140を発生させてよい。高周波電源350は、例えば、平面アンテナ(planar antenna)326および螺旋アンテナ(helical antenna)346の一方または両方にRF電力を供給する電源であってよい。高周波電源350は、インピーダンス整合回路網352によって、アンテナ326およびアンテナ346に結合されてよい。インピーダンス整合回路網352は、高周波電源350からRFアンテナ326および346に移送される電力を有効に利用する目的で、高周波電源350の出力インピーダンスを、RFアンテナ326および346のインピーダンスと整合させる。
【0022】
プラズマ・ドーピング装置は、プラテン134と電気的に結合されたバイアス電力供給装置(bias power supply)390を備えてもよい。プラズマ・ドーピング装置は、コントローラ356およびユーザインタフェース・システム358をさらに備えてよい。コントローラ356は、汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークであってもよく、それらを含んでもよい。汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークは、目的とする入出力機能を実現させるべくプログラミングされていてよい。コントローラ356は、通信装置、データ記憶装置およびソフトウエアを含んでよい。ユーザインタフェース・システム358は、タッチスクリーン、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ、プリンタなどのデバイスを含んでよい。これにより、ユーザは、コマンドおよびデータの少なくとも一方を入力することができる、および/または、コントローラ356を介してプラズマ・ドーピング装置を監視することができる。プラテン134の周囲には、シールドリング(shield ring)394が配されてよい。これにより、ワーク138の端部の近傍における注入イオンの分布の均一性を向上させることができる。イオンビーム電流を感知する1以上のファラデーセンサー(例えば、ファラデーカップ399)が、シールドリング394の中に配されてもよい。
【0023】
運転中、ガス源304は、ワーク138に注入するための特定の(desired)ドーパントを含む一次ドーパントガスを供給する。プラズマ源301は、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成される。プラズマ源301は、コントローラ356によって制御されてよい。プラズマ140を発生させるために、高周波電源350は、RFアンテナ326およびRFアンテナ346の少なくとも一方においてRF電流を共振させて、振動磁界(oscillating magnetic field)を生成する。振動磁界は、プロセスチャンバ202中にRF電流を誘導する。プロセスチャンバ202中のRF電流は、一次ドーパントガスを励起およびイオン化して、プラズマ140を発生させる。
【0024】
バイアス電力供給装置390は、パルス状のプラテン信号を供給する。プラテン信号は、プラテン134に(および、結果としてワーク138にも)バイアスを印加するための信号であってよく、オンおよびオフのパルス周期(pulse ON and OFF period)を有する。これにより、プラズマシース242を越えてプラズマ140からワーク138に向かうイオンを加速する。イオン102は、正電荷を有してよい。この場合、パルス状のプラテン信号のパルスがONである期間(pulse ON period)は、プロセスチャンバ202に対して負電圧であってよい。これにより、正電荷を有するイオン102を引き付けることができる。パルス状のプラテン信号の周波数および/またはパルスのデューティーサイクルは、目的とするドーズ量レート(dose rate)を提供するように選択されてよい。パルス状のプラテン信号の振幅(amplitude)は、目的とするエネルギーを提供するように選択されてよい。
【0025】
図2に関連して既に説明したように、有利なことに、一対のインシュレータ212および214は、プラズマ140とプラズマシース242との境界241の形状を制御する。そのため、イオン102が、プラズマシース242を越えて、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して、幅広い入射角で引き付けられ、ワーク138をドーピングする。
【0026】
図4は、一対のインシュレータ212および214ならびにワーク138の部分断面図の一例を示す。図4は、インシュレータ212および214によって形成される間隙の近傍におけるプラズマシース242中の電気力線(electric field line)を示す。−2,000ボルトのバイアスが印加されたワーク138と、ガラス製のインシュレータ212および214とを用いたコンピュータシミュレーションにより、電気力線と、プラズマとプラズマシース242との間に生じたアーチ形状の境界241とが得られた。図示されているように、間隙近傍のアーチ形状の境界241は、面151に対して凸となる形状を有してもよい。
【0027】
図5は、図4に関連して、プラズマシース242を越えて、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して加速されたイオンの軌道のシミュレーション結果を示す断面図の一例を示す。プラズマ・ドーピング装置の一実施形態において、境界241の形状およびプラズマシース242中の電気力線に起因して、間隙の幅(gap spacing)の中心領域において、イオンがワーク138に注入されてよい。例えば、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔の全体(図中、G1として示す。)のうち、水平間隔の中心部分(図中、G3として示す。)の近傍において、ワーク138にイオンが衝突する。本実施形態において、インシュレータ212および214に隣接する、水平間隔のうちの周辺部分(図中、G2およびG4として示す。)の近傍において、ワーク138にはイオンが衝突しない。
【0028】
図6は、図5において説明されたイオン軌道に関連して、ワーク138に衝突するイオンの入射角分布のプロット602の一例を示す。図示されているように、プロット602から、入射角は、約0°を中心として、約+60°から約−60°という広い範囲にわたって変化することがわかる。このように広い範囲にわたって入射角を変化させることができるので、3次元構造物の等方的なドーピングが可能になる。例えば、このように広範囲の入射角を有する(複数の)イオンを用いることで、トレンチ構造の側壁を、より均一にドーピングすることができる。
【0029】
図7は、本開示に係る別の実施形態のブロック図の一例を示す。本実施形態においては、インシュレーティング調整部と、ワーク138の前面によって形成される面151との間の垂直間隔(Z)が調整されてよい。インシュレーティング調整部は、他の実施形態において説明されたような一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)であってよい。アクチュエータ702は、一対のインシュレータ212および214と機械的に結合されて、面151に対して垂直な方向(図中、矢印720および矢印722として示す。)に、インシュレータを移動させる。一対のインシュレータ212および214の面151に対するZ位、ならびに、お互いの相対的なZ位置は、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状およびワーク138に衝突するイオンの軌跡に影響を与える。アクチュエータ702は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0030】
図8は、図7に関連して、他の全てのパラメータが同一であり、面151に対する一対のインシュレータ212および214のZ位置が異なる場合におけるイオン軌道を説明する断面図の一例を示す。Z間隙位置(Z gap position)820が比較的に低い第1の場合において、インシュレータ212および214は、面151の上方の第1の距離(図中、Z1として示す。)に配される。Z間隙位置840が比較的に高い場合において、インシュレータ212および214は、面151の上方の第2の距離(図中、Z2として示す。)に配される。ここで、Z2>Z1である。第1の位置820において、プラズマとプラズマシースとの間の境界841は、面151に対して凸となる形状を有する。境界841は、また、アーチ形状の頂上部分のインシュレータ212の上面から上方の距離が距離Zaとなるような円の円周の一部にほぼ等しい形状を有する。一方、第2の位置840において、境界843は、アーチ形状の頂上部分のインシュレータ212の上面から上方の距離が、比較的短い距離Zbであり、よりシャロー(shallow)な形状を有する。なお、Zb<Zaであってよい。境界841および境界843は、Z間隙距離(Z gap distance)Z1およびZ2ならびにプラズマシース中の電気力線と相まって、ワーク138に衝突するイオンの角度の広がりに影響を与える。例えば、比較的小さなZ間隙位置820の場合には、Z間隙位置が比較的大きな場合と比べて、ワーク138に衝突するイオンの角度の広がりが大きい。加えて、比較的小さなZ間隙位置820の場合において、ワーク138上にイオンが衝突する水平間隔(図中、G5として示す。)は、Z間隙位置が比較的大きな場合の水平間隔(図中、G6として示す。)と比較して、より広くなる。ここで、G6<G5となる。図8には図示されていないが、インシュレータ212および214のっそれぞれのZ間隙位置もまた、相互に異なってよい。これにより、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状にさらなる影響を与え、その結果、イオンの角度の広がりに影響を与える。
【0031】
図9は、本開示に係る別の実施形態ブロック図の一例を示す。本実施形態においては、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔(図中、Gとして示す。)が調整されてよい。水平間隔の調整は、図8および図9に関連して既に説明された垂直間隔の調整に代えて、または、それらに加えて、実行される。アクチュエータ902は、一対のインシュレータ212および214の少なくとも一方と機械的に結合され、お互いに対して矢印906に示される方向に、インシュレータを移動させる。アクチュエータ902は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0032】
図10は、図9に関連して、他の全てのパラメータが同一であり、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平方向の間隙の幅が異なる場合におけるイオン軌道を説明する断面図の一例を示す。水平間隙位置(horizontal gap position)1020が比較的に短い第1の場合において、インシュレータ212および214は、お互いから第1の水平距離(図中、Gaとして示す。)離れた位置に配される。水平間隙位置1040が比較的に長い場合において、インシュレータ212および214は、お互いから第2の水平距離(図中、Gbとして示す。)離れた位置に配される。ここで、Gb>Gaである。第1の位置1020において、プラズマとプラズマシースとの境界1041は、面151に対して凸となる形状をする。境界1041は、また、円の円周の一部にほぼ等しい形状を有してもよい。一方、第2の位置1040において、境界1043は、面151に対して凸となる形状をする。この場合において、境界1043の中心部分は、面151とほぼ平行になる。その結果、面151に対してほぼ0°の入射角を有するイオンが衝突する、ワーク138中央の対応する部分がより大きくなる。
【0033】
図11は、走査システム1102を備えて、インシュレーティング調整部208をワーク138に対して移動させるプラズマ処理装置1100のブロック図の一例を示す。図11の実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対の四角形(square)のインシュレーティング・シート(インシュレーティング・シート1112および1114)を有する。なお、インシュレーティング・シート1112および1114は、図12に最もよく示されている。走査システム1102は、アクチュエータ1104を備えてよい。アクチュエータ1104は、インシュレーティング・シート1112および1114と機械的に結合されて、それらを移動させる。アクチュエータ1104は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0034】
図12は、四角形のインシュレーティング・シート1112および1114、ならびに、円盤形状のワーク138の平面図の一例を示す。図12を用いて、インシュレーティング・シート1112および1114と、円盤形状のワーク138との相対移動の一例について説明する。図12に記載の実施形態において、走査システム1102は、ワーク138の全ての部分が一対の四角形のインシュレーティング・シート1112および1114によって形成される間隙にさらされるように、四角形のインシュレーティング・シート1112および1114を、位置Aから位置B、位置Cなどの位置に移動させてよい。図12に示されるように、デカルト座標系が定義された場合、インシュレーティング・シート1112および1114は、図12のX方向に移動させられる。他の実施形態において、インシュレーティング・シート1112および1114、または、様々なインシュレーティング・シートの他の組み合わせが、Y方向に、または、X方向とY方向との間の任意の方向に移動させられてもよい。加えて、走査システム1102が、インシュレーティング・シート1112および1114を特定の方向に移動させているときに、ワーク138が回転させられてもよい。ワーク138は、走査システム1102がインシュレーティング・シートを特定の方向に移動させた後で、予め定められた回転角度だけ回転させられてもよい。一実施形態において、ワークは、矢印1124によって図示されているように、ワークの中心軸の周りに回転させられてもよい。
【0035】
図13は、図11と同様の走査システム1102の一例を示す。図11の場合と比較して、図13の走査システム1102は、複数のインシュレータ(インシュレータ1302−1、1302−2、1302−3、…1302−(n−1)および1302−n)を有する。複数のインシュレータは、それらの間の複数の間隙(間隙1303−1、1303−2、1302−3、…1303−n)を形成する。走査システムは、複数の間隙1303−1、1303−2、1302−3、…1303−nが、ワーク138の上を通過するように、複数のインシュレータ1302−1、1302−2、1302−3、…1302−(n−1)および1302−nを、ワーク138に対して移動させてよい。
【0036】
以上のように、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状を制御するインシュレーティング調整部が提供される。これにより、プラズマシースを越えてプラズマから引き付けられる粒子を、関連するワークに対して様々な入射角で衝突させることができ、その入射角は広い範囲にわたる。一例において、入射角θの範囲は、約0°を中心として約+60°と約−60°との間であってよい。プラズマ・ドーピングに応用することで、ワーク上の微小な3次元構造物に対して、より均一にドープすることができるようになる。例えば、トレンチ244の側壁247(図2を参照。)は、入射角がはるかに小さな従来のプラズマ・ドーピング装置を用いた場合と比較して、より均一にドープされる。
【0037】
本開示は、限定されない本明細書に記載された特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、当業者にとって、本明細書に記載された実施形態に加えて、上述の詳細な説明および添付の図面に基づいて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する修正を実施できることは明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正は、本開示の範囲に含まれる。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施形態について説明されている。当業者は、その有用性は、当該特定の実施形態に限定されないこと、また、本開示は、様々な目的のために、様々な環境において、有利に実施されうることを理解することができるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲の記載は、詳細な説明において説明された本開示の全容および精神を考慮して理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理、特にプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、プロセスチャンバ内にプラズマを発生させて、プロセスチャンバ内のプラテン(platen)によって支持されたワーク(workpiece)を処理する。プラズマ処理装置は、これらに限定されるものではないが、ドーピングシステム、エッチングシステムおよび蒸着システム(deposition system)を備えてよい。多くの場合、プラズマは、イオン(通常は正の電荷を有する)および電子(負の電荷を有する)の準中性の集合体(quasi-neutral collection)である。プラズマは、プラズマのバルク中において、約0V/cmの電場を有する。プラズマ処理装置において、プラズマからのイオンはワークにむかって引き付けられる。プラズマ・ドーピング装置において、イオンは十分なエネルギーを有し、ワークの物理的構造(例えば、半導体基板)中に注入される。
【0003】
プラズマの境界は、ワークに隣接した領域(通常、プラズマシース(plasma sheath)と称される。)によって示される。プラズマシースは、プラズマよりも電子が少ない領域である。プラズマシースからの発光は、プラズマからの発光と比較して弱い。これは、電子が少なく、励起/緩和衝突がほとんど起こらないからである。そのため、プラズマシースは、「ダークスペース」と称される場合がある。
【0004】
図1には、既知のプラズマ処理装置の部分断面図が示される。プラズマ140は、処理対象となるワーク138の前面(front surface)に隣接するプラズマシース142を有する。ワーク138の前面には面151が配され、ワーク138は、プラテン134に支持される。プラズマ140とプラズマシース142との境界141は、面151と平行である。プラズマ140のイオン102は、プラズマシース142を越え、ワーク138にむかって引き付けられ得る。それにより、ワーク138にむかって加速されたイオン102は、通常、面151に対してほぼ0°の入射角で(例えば、面151に直角に)衝突する。入射角の角度の広がり(angular spread)は、小さい場合には、約3°以下の場合すらありうる。加えて、プラズマ処理のパラメータ(例えば、プロセスチャンバ内のガスの圧力)を制御することにより、角度の広がりは、約5°にまで増加してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプラズマ処理には、イオン102の角度の広がりの制御が十分でないという欠点があった。ワーク上の構造物はより小さくなってきており、また、3次元構造物(例えば、トレンチ・キャパシタ、FinFETなどの縦型チャネル・トランジスタ)がより一般的なものとなってきていることから、角度をより大きな範囲で制御することは有益である。例えば、図1には、トレンチ144が記載されている。なお、説明を簡単にする目的で、その大きさは誇張して示されている。入射角がほぼ0°のイオン102を用いて、(あるいは、入射角が5°まで広がったとしても、)トレンチ144の側壁147を均一に処理することは難しい。
【0006】
そのため、上述の不備および欠点を克服するプラズマ処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、プラズマ処理装置が提供される。上記のプラズマ処理装置は、プロセスチャンバと、プロセスチャンバの内部に配され、ワークを支持するプラテンと、ワークの前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、プロセスチャンバの内部に発生させるように構成されたプラズマ源と、インシュレーティング調整部とを備える。インシュレーティング調整部は、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状の一部がプラズマに対向するワークの前面によって形成(define)される面と平行にならないように、境界の形状を制御する。
【0008】
本開示の別の態様によれば、方法が提供される。上記の方法は、プロセスチャンバの内部にワークを配置する段階と、ワークの前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、プロセスチャンバの内部に発生させる段階と、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状の一部がプラズマに対向するワークの前面によって形成される面と平行にならないように、境界の形状を調整する段階とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のより良い理解のために、添付図面を参照するが、添付図面において、類似の要素には、類似の参照番号が付される。
【0010】
【図1】先行技術に係る従来のプラズマ処理装置の概略ブロック図である。
【図2】本開示の一実施形態に係るプラズマ処理装置のブロック図である。
【図3】本開示の一実施形態に係るプラズマ・ドーピング装置のブロック図である。
【図4】プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状を制御する一対のインシュレータ(insulator)の断面図である。
【図5】図4に関連して、図4の境界を越えて加速されたイオンのイオン軌道を説明する断面図である。
【図6】図5のイオン軌道のイオンの角度分布のプロットである。
【図7】一対のインシュレータとワークとの間の垂直間隔(vertical spacing)を制御するシステムのブロック図である。
【図8】図7に関連して、異なる垂直間隔におけるイオン軌道を説明する断面図である。
【図9】一対のインシュレータ間の水平間隔(horizontal spacing)を制御するシステムのブロック図である。
【図10】図9に関連して、異なる水平間隔におけるイオン軌道を説明する断面図である。
【図11】一対のインシュレーティング・シート(insulating sheet)を、ワークに対して移動させる走査システムを備えたプラズマ処理装置のブロック図である。
【図12】図11のインシュレーティング・シートと、円盤形状を有するワークとの相対移動を示す、インシュレーティング・シートの平面図である。
【図13】図11に関連して、複数のインシュレータを備える走査システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本開示の一実施形態に関連して、インシュレーティング調整部(insulating modifier)208を備えるプラズマ処理装置200のブロック図の一例を示す。インシュレーティング調整部208は、プラズマシース242内部の電場を調整して、プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状を制御するよう構成される。これにより、プラズマ140からプラズマシース242の向こう側へと引き付けられたイオン102は、幅広い入射角でワーク138に衝突することができる。
【0012】
プラズマ処理装置200は、本明細書では、プラズマ・ドーピング装置として説明されてもよい。しかしながら、プラズマ処理装置200は、これらに限られるものではないが、エッチングシステムおよび蒸着システムを備えてもよい。プラズマ・ドーピング装置は、処理されたワーク上で、多くの異なる材料変形プロセス(material modification process)をさらに実施してよい。このようなプロセスの1つとして、半導体基板などのワークへの目的とするドーパントのドープを例示することができる。
【0013】
プラズマ処理装置200は、プロセスチャンバ202と、プラテン134と、プラズマ源(source)206と、インシュレーティング調整部208とを備えてよい。プラテン134は、プロセスチャンバ202の内部に配され、ワーク138を支持する。ワークは、これらに限定されるものではないが、半導体ウエハ、プラットパネル、ソーラーパネルまたは高分子基板を含んでもよい。一実施形態において、半導体ウエハは、直径300mmの円盤形状を有してよい。プラズマ源206は、当技術分野で周知のように、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成される。図2の一実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)を有する。一対のインシュレータは、その間に水平間隔(図中、Gとして示す。)を有する間隙を形成する。他の実施形態において、インシュレーティング調整部は、単一のインシュレータを有してもよい。一対のインシュレータ212および214は一対のシートであってもよく、当該シートは薄い平面形状を有してよい。他の実施形態において、一対のインシュレータ212および214は、管型形状、V字型状などの他の形状を有してもよく、および/または、上記の間隙に隣接する端部が傾斜していてもよい。
【0014】
一実施形態において、一対のインシュレータ212および214によって形成される間隙の水平間隔は、約6.0mmであってよい。一対のインシュレータ212および214は、ワーク138の前面によって形成される面151の上方に、垂直間隔(図中、Zとして示す。)をあけて配される。一実施形態において、垂直間隔(Z)は、約3.0mmであってよい。
【0015】
運転中、ガス源288は、プロセスチャンバ202にイオン化ガスを供給する。イオン化ガスとしては、これらに限定されるものではないが、BF3、BI3、N2、Ar、PH3、AsH3、B2H6、H2、Xe、Kr、Ne、He、SiH4、SiF4、GeH4、GeF4、CH4、CF4、AsF5、PF3およびPF5を例示することができる。プラズマ源206は、プロセスチャンバ202に供給されたガスを励起およびイオン化することで、プラズマ140を発生させる。イオンは、様々なメカニズムによって、プラズマ140から、プラズマシース242を越えて引き付けられる。図2に示される実施形態において、バイアス源(bias source)290は、ワーク138にバイアスを印加して、プラズマシース242を越えて、プラズマ140からイオン102を引き付ける。バイアス源290は、直流電圧バイアス信号を供給するDC電源であってもよく、高周波バイアス信号を供給するRF電源であってもよい。
【0016】
有利なことに、インシュレーティング調整部208により、プラズマシース242内の電場が調整される。プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状が制御される。図2に示される実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対のインシュレータ212および214を有する。インシュレータ212およびインシュレータ214は、石英(quartz)、アルミナ、窒化ホウ素、ガラス、窒化シリコンなどを用いて製造されてよい。プラズマ140とプラズマシース242tの間の境界241は、面151に対して凸となる形状を有してよい。バイアス源290がワーク138にバイアスを印加すると、イオン102は、プラズマシース242を越え、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して、幅広い入射角で引き付けられる。例えば、軌道経路271をたどるイオンは、面151に対して+θ°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。軌道経路270をたどるイオンは、上記と同じ面151に対してほぼ0°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。軌道経路269をたどるイオンは、面151に対して−θ°の角度で、ワーク138に衝突するであろう。このように、入射角の範囲は、約0°を中心として+θ°と−θ°との間であってよい。加えて、イオンの軌道経路は、例えば経路269および経路271のように、お互いに交差してもよい。入射角の範囲は、多くの要因(これらに限定されるものではないが、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔(G)、インシュレータ212および214の面151からの垂直間隔(Z)、インシュレータ212および214の誘電率(dielectric constant)、ならびに、その他のプラズマ処理のパラメータ)に応じて、約0°を中心として+60°と−60°との間であってよい。これにより、ワーク138上の小さな3次元構造物が、イオン102によって均一に処理されることができる。例えば、トレンチ244の側壁247(説明を簡単にする目的で、図中、その大きさは誇張されている。)は、図1の側壁147と比較して、イオン102によって、より均一に処理されることができる。
【0017】
図3は、プラズマ・ドーピング装置300の一実施形態に係るブロック図の一例を示す。図2の装置と同様に、プラズマ・ドーピング装置300は、一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)を備えて、プラズマ140とプラズマシース242との間の境界241の形状を制御する。
【0018】
プラズマ・ドーピング装置300は、プロセスチャンバ202を備える。プロセスチャンバ202は、密閉容積(enclosed volume)303を形成する。ガス源304は、マスフローコントローラ306を介して、プロセスチャンバ202の密閉容積303に、一次ドーパントガス(primary dopant gas)を供給する。プロセスチャンバ202の内部には、ガス源304からのガスの流れを偏向させるガスバッフル370が配されてよい。圧力計308は、プロセスチャンバ202の内部の圧力を測定する。真空ポンプ312は、排気口310を介して、プロセスチャンバ202から排気ガスを排出する。排気バルブ314は、排気口310を通過する排気ガスのコンダクタンス(exhaust conductance)を制御する。
【0019】
プラズマ・ドーピング装置300は、ガス圧コントローラ316をさらに備えてよい。ガス圧コントローラ316は、マスフローコントローラ306、圧力計308および排気バルブ314に電気的に結合されてよい。ガス圧コントローラ316は、圧力計308に応答するフィードバック・ループにおいて、排気バルブ314を用いて排気ガスのコンダクタンスを制御する、または、マスフローコントローラ306を用いてプロセスガスの流量を制御することで、プロセスチャンバ202中の圧力を目標値に維持するように構成されてよい。
【0020】
プロセスチャンバ202は、上部チャンバ(chamber top)318を有してよい。上部チャンバ318は、誘電材料で形成された第1部分320を有してよい。第1部分320は、通常、水平方向に延伸している。上部チャンバ318は、誘電材料で形成された第2部分322を有してよい。第2部分322は、第1部分320から高さ方向(通常は、垂直方向である。)に延伸している。上部チャンバ318は、導電性および熱伝導性を有する材料で形成された蓋324をさらに有する。蓋324は、第2部分322と交差するように、水平方向に延伸する。
【0021】
プラズマ・ドーピング装置は、プラズマ源301をさらに備えてよい。プラズマ源301は、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成されてよい。プラズマ源301は、高周波電源(RF source)350を有して、プラズマ140を発生させてよい。高周波電源350は、例えば、平面アンテナ(planar antenna)326および螺旋アンテナ(helical antenna)346の一方または両方にRF電力を供給する電源であってよい。高周波電源350は、インピーダンス整合回路網352によって、アンテナ326およびアンテナ346に結合されてよい。インピーダンス整合回路網352は、高周波電源350からRFアンテナ326および346に移送される電力を有効に利用する目的で、高周波電源350の出力インピーダンスを、RFアンテナ326および346のインピーダンスと整合させる。
【0022】
プラズマ・ドーピング装置は、プラテン134と電気的に結合されたバイアス電力供給装置(bias power supply)390を備えてもよい。プラズマ・ドーピング装置は、コントローラ356およびユーザインタフェース・システム358をさらに備えてよい。コントローラ356は、汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークであってもよく、それらを含んでもよい。汎用コンピュータまたは汎用コンピュータのネットワークは、目的とする入出力機能を実現させるべくプログラミングされていてよい。コントローラ356は、通信装置、データ記憶装置およびソフトウエアを含んでよい。ユーザインタフェース・システム358は、タッチスクリーン、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ、プリンタなどのデバイスを含んでよい。これにより、ユーザは、コマンドおよびデータの少なくとも一方を入力することができる、および/または、コントローラ356を介してプラズマ・ドーピング装置を監視することができる。プラテン134の周囲には、シールドリング(shield ring)394が配されてよい。これにより、ワーク138の端部の近傍における注入イオンの分布の均一性を向上させることができる。イオンビーム電流を感知する1以上のファラデーセンサー(例えば、ファラデーカップ399)が、シールドリング394の中に配されてもよい。
【0023】
運転中、ガス源304は、ワーク138に注入するための特定の(desired)ドーパントを含む一次ドーパントガスを供給する。プラズマ源301は、プロセスチャンバ202の内部にプラズマ140を発生させるように構成される。プラズマ源301は、コントローラ356によって制御されてよい。プラズマ140を発生させるために、高周波電源350は、RFアンテナ326およびRFアンテナ346の少なくとも一方においてRF電流を共振させて、振動磁界(oscillating magnetic field)を生成する。振動磁界は、プロセスチャンバ202中にRF電流を誘導する。プロセスチャンバ202中のRF電流は、一次ドーパントガスを励起およびイオン化して、プラズマ140を発生させる。
【0024】
バイアス電力供給装置390は、パルス状のプラテン信号を供給する。プラテン信号は、プラテン134に(および、結果としてワーク138にも)バイアスを印加するための信号であってよく、オンおよびオフのパルス周期(pulse ON and OFF period)を有する。これにより、プラズマシース242を越えてプラズマ140からワーク138に向かうイオンを加速する。イオン102は、正電荷を有してよい。この場合、パルス状のプラテン信号のパルスがONである期間(pulse ON period)は、プロセスチャンバ202に対して負電圧であってよい。これにより、正電荷を有するイオン102を引き付けることができる。パルス状のプラテン信号の周波数および/またはパルスのデューティーサイクルは、目的とするドーズ量レート(dose rate)を提供するように選択されてよい。パルス状のプラテン信号の振幅(amplitude)は、目的とするエネルギーを提供するように選択されてよい。
【0025】
図2に関連して既に説明したように、有利なことに、一対のインシュレータ212および214は、プラズマ140とプラズマシース242との境界241の形状を制御する。そのため、イオン102が、プラズマシース242を越えて、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して、幅広い入射角で引き付けられ、ワーク138をドーピングする。
【0026】
図4は、一対のインシュレータ212および214ならびにワーク138の部分断面図の一例を示す。図4は、インシュレータ212および214によって形成される間隙の近傍におけるプラズマシース242中の電気力線(electric field line)を示す。−2,000ボルトのバイアスが印加されたワーク138と、ガラス製のインシュレータ212および214とを用いたコンピュータシミュレーションにより、電気力線と、プラズマとプラズマシース242との間に生じたアーチ形状の境界241とが得られた。図示されているように、間隙近傍のアーチ形状の境界241は、面151に対して凸となる形状を有してもよい。
【0027】
図5は、図4に関連して、プラズマシース242を越えて、インシュレータ212とインシュレータ214との間の間隙を通過して加速されたイオンの軌道のシミュレーション結果を示す断面図の一例を示す。プラズマ・ドーピング装置の一実施形態において、境界241の形状およびプラズマシース242中の電気力線に起因して、間隙の幅(gap spacing)の中心領域において、イオンがワーク138に注入されてよい。例えば、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔の全体(図中、G1として示す。)のうち、水平間隔の中心部分(図中、G3として示す。)の近傍において、ワーク138にイオンが衝突する。本実施形態において、インシュレータ212および214に隣接する、水平間隔のうちの周辺部分(図中、G2およびG4として示す。)の近傍において、ワーク138にはイオンが衝突しない。
【0028】
図6は、図5において説明されたイオン軌道に関連して、ワーク138に衝突するイオンの入射角分布のプロット602の一例を示す。図示されているように、プロット602から、入射角は、約0°を中心として、約+60°から約−60°という広い範囲にわたって変化することがわかる。このように広い範囲にわたって入射角を変化させることができるので、3次元構造物の等方的なドーピングが可能になる。例えば、このように広範囲の入射角を有する(複数の)イオンを用いることで、トレンチ構造の側壁を、より均一にドーピングすることができる。
【0029】
図7は、本開示に係る別の実施形態のブロック図の一例を示す。本実施形態においては、インシュレーティング調整部と、ワーク138の前面によって形成される面151との間の垂直間隔(Z)が調整されてよい。インシュレーティング調整部は、他の実施形態において説明されたような一対のインシュレータ(インシュレータ212およびインシュレータ214)であってよい。アクチュエータ702は、一対のインシュレータ212および214と機械的に結合されて、面151に対して垂直な方向(図中、矢印720および矢印722として示す。)に、インシュレータを移動させる。一対のインシュレータ212および214の面151に対するZ位、ならびに、お互いの相対的なZ位置は、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状およびワーク138に衝突するイオンの軌跡に影響を与える。アクチュエータ702は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0030】
図8は、図7に関連して、他の全てのパラメータが同一であり、面151に対する一対のインシュレータ212および214のZ位置が異なる場合におけるイオン軌道を説明する断面図の一例を示す。Z間隙位置(Z gap position)820が比較的に低い第1の場合において、インシュレータ212および214は、面151の上方の第1の距離(図中、Z1として示す。)に配される。Z間隙位置840が比較的に高い場合において、インシュレータ212および214は、面151の上方の第2の距離(図中、Z2として示す。)に配される。ここで、Z2>Z1である。第1の位置820において、プラズマとプラズマシースとの間の境界841は、面151に対して凸となる形状を有する。境界841は、また、アーチ形状の頂上部分のインシュレータ212の上面から上方の距離が距離Zaとなるような円の円周の一部にほぼ等しい形状を有する。一方、第2の位置840において、境界843は、アーチ形状の頂上部分のインシュレータ212の上面から上方の距離が、比較的短い距離Zbであり、よりシャロー(shallow)な形状を有する。なお、Zb<Zaであってよい。境界841および境界843は、Z間隙距離(Z gap distance)Z1およびZ2ならびにプラズマシース中の電気力線と相まって、ワーク138に衝突するイオンの角度の広がりに影響を与える。例えば、比較的小さなZ間隙位置820の場合には、Z間隙位置が比較的大きな場合と比べて、ワーク138に衝突するイオンの角度の広がりが大きい。加えて、比較的小さなZ間隙位置820の場合において、ワーク138上にイオンが衝突する水平間隔(図中、G5として示す。)は、Z間隙位置が比較的大きな場合の水平間隔(図中、G6として示す。)と比較して、より広くなる。ここで、G6<G5となる。図8には図示されていないが、インシュレータ212および214のっそれぞれのZ間隙位置もまた、相互に異なってよい。これにより、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状にさらなる影響を与え、その結果、イオンの角度の広がりに影響を与える。
【0031】
図9は、本開示に係る別の実施形態ブロック図の一例を示す。本実施形態においては、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平間隔(図中、Gとして示す。)が調整されてよい。水平間隔の調整は、図8および図9に関連して既に説明された垂直間隔の調整に代えて、または、それらに加えて、実行される。アクチュエータ902は、一対のインシュレータ212および214の少なくとも一方と機械的に結合され、お互いに対して矢印906に示される方向に、インシュレータを移動させる。アクチュエータ902は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0032】
図10は、図9に関連して、他の全てのパラメータが同一であり、インシュレータ212とインシュレータ214との間の水平方向の間隙の幅が異なる場合におけるイオン軌道を説明する断面図の一例を示す。水平間隙位置(horizontal gap position)1020が比較的に短い第1の場合において、インシュレータ212および214は、お互いから第1の水平距離(図中、Gaとして示す。)離れた位置に配される。水平間隙位置1040が比較的に長い場合において、インシュレータ212および214は、お互いから第2の水平距離(図中、Gbとして示す。)離れた位置に配される。ここで、Gb>Gaである。第1の位置1020において、プラズマとプラズマシースとの境界1041は、面151に対して凸となる形状をする。境界1041は、また、円の円周の一部にほぼ等しい形状を有してもよい。一方、第2の位置1040において、境界1043は、面151に対して凸となる形状をする。この場合において、境界1043の中心部分は、面151とほぼ平行になる。その結果、面151に対してほぼ0°の入射角を有するイオンが衝突する、ワーク138中央の対応する部分がより大きくなる。
【0033】
図11は、走査システム1102を備えて、インシュレーティング調整部208をワーク138に対して移動させるプラズマ処理装置1100のブロック図の一例を示す。図11の実施形態において、インシュレーティング調整部208は、一対の四角形(square)のインシュレーティング・シート(インシュレーティング・シート1112および1114)を有する。なお、インシュレーティング・シート1112および1114は、図12に最もよく示されている。走査システム1102は、アクチュエータ1104を備えてよい。アクチュエータ1104は、インシュレーティング・シート1112および1114と機械的に結合されて、それらを移動させる。アクチュエータ1104は、コントローラ356のようなコントローラによって制御されてよい。
【0034】
図12は、四角形のインシュレーティング・シート1112および1114、ならびに、円盤形状のワーク138の平面図の一例を示す。図12を用いて、インシュレーティング・シート1112および1114と、円盤形状のワーク138との相対移動の一例について説明する。図12に記載の実施形態において、走査システム1102は、ワーク138の全ての部分が一対の四角形のインシュレーティング・シート1112および1114によって形成される間隙にさらされるように、四角形のインシュレーティング・シート1112および1114を、位置Aから位置B、位置Cなどの位置に移動させてよい。図12に示されるように、デカルト座標系が定義された場合、インシュレーティング・シート1112および1114は、図12のX方向に移動させられる。他の実施形態において、インシュレーティング・シート1112および1114、または、様々なインシュレーティング・シートの他の組み合わせが、Y方向に、または、X方向とY方向との間の任意の方向に移動させられてもよい。加えて、走査システム1102が、インシュレーティング・シート1112および1114を特定の方向に移動させているときに、ワーク138が回転させられてもよい。ワーク138は、走査システム1102がインシュレーティング・シートを特定の方向に移動させた後で、予め定められた回転角度だけ回転させられてもよい。一実施形態において、ワークは、矢印1124によって図示されているように、ワークの中心軸の周りに回転させられてもよい。
【0035】
図13は、図11と同様の走査システム1102の一例を示す。図11の場合と比較して、図13の走査システム1102は、複数のインシュレータ(インシュレータ1302−1、1302−2、1302−3、…1302−(n−1)および1302−n)を有する。複数のインシュレータは、それらの間の複数の間隙(間隙1303−1、1303−2、1302−3、…1303−n)を形成する。走査システムは、複数の間隙1303−1、1303−2、1302−3、…1303−nが、ワーク138の上を通過するように、複数のインシュレータ1302−1、1302−2、1302−3、…1302−(n−1)および1302−nを、ワーク138に対して移動させてよい。
【0036】
以上のように、プラズマとプラズマシースとの間の境界の形状を制御するインシュレーティング調整部が提供される。これにより、プラズマシースを越えてプラズマから引き付けられる粒子を、関連するワークに対して様々な入射角で衝突させることができ、その入射角は広い範囲にわたる。一例において、入射角θの範囲は、約0°を中心として約+60°と約−60°との間であってよい。プラズマ・ドーピングに応用することで、ワーク上の微小な3次元構造物に対して、より均一にドープすることができるようになる。例えば、トレンチ244の側壁247(図2を参照。)は、入射角がはるかに小さな従来のプラズマ・ドーピング装置を用いた場合と比較して、より均一にドープされる。
【0037】
本開示は、限定されない本明細書に記載された特定の実施形態の範囲に限定されるものではない。実際、当業者にとって、本明細書に記載された実施形態に加えて、上述の詳細な説明および添付の図面に基づいて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する修正を実施できることは明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正は、本開示の範囲に含まれる。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施形態について説明されている。当業者は、その有用性は、当該特定の実施形態に限定されないこと、また、本開示は、様々な目的のために、様々な環境において、有利に実施されうることを理解することができるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲の記載は、詳細な説明において説明された本開示の全容および精神を考慮して理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバの内部に配され、処理対象物を支持するプラテンと、
前記処理対象物の前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、前記プロセスチャンバの内部に発生させるように構成されたプラズマ源と、
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の境界の形状の一部が前記プラズマに対向する前記処理対象物の前面によって形成される面と平行にならないように、前記境界の形状を制御するように構成されたインシュレーティング調整部と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記インシュレーティング調整部は、その間の間隙を形成する一対のインシュレータを有し、
前記間隙の近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記一対のインシュレータは、一対のインシュレーティング・シートを含む、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記一対のインシュレータの少なくとも一方と機械的に結合され、前記間隙の水平間隔を調整するアクチュエータをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記一対のインシュレータの少なくとも一方と機械的に結合され、前記一対のインシュレータと、前記プラズマに対向する前記処理対象物の前記前面によって形成される前記面との間の垂直方向の間隔を調整するアクチュエータをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記一対のインシュレータは、石英製である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記一対のインシュレータを前記処理対象物に対して移動させえるように構成された走査システムをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記インシュレーティング調整部は、それらの間の複数の間隙を形成する複数のインシュレータを有し、
前記複数の間隙のそれぞれの近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記処理対象物をドーピングするために、前記処理対象物にバイアスを印加して、前記プラズマから、前記プラズマシースを越えて前記処理対象物に向かってイオンを引き付けるように構成されたバイアス源をさらに備え、
前記イオンの前記面に対する入射角の範囲は、前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状によって影響を受ける、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記プラズマから前記プラズマシースを越えて引き付けられる前記イオンが互いに交差するイオン軌道を有するように、前記境界の前記形状が、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
入射角の前記範囲は、約0°を中心として、約+60°から約−60°の間である、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
プロセスチャンバの内部に処理対象物を配置する段階と、
前記処理対象物の前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、前記プロセスチャンバの内部に発生させる段階と、
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の境界の形状の一部が前記プラズマに対向する前記処理対象物の前面によって形成される面と平行にならないように、前記境界の形状を調整する段階と、
を有する、方法。
【請求項13】
前記調整する段階は、一対のインシュレータによって形成される間隙を形成する段階を含み、
前記間隙の近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記間隙の水平間隔を調整する段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一対のインシュレータと、前記プラズマに対向する前記処理対象物の前記前面によって形成される前記面との間の垂直方向の間隔を調整する段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
インシュレーティング調整部に対して前記処理対象物を回転させる段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状の一部は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記処理対象物をドーピングするために、前記処理対象物にバイアスを印加して、前記プラズマから、前記プラズマシースを越えて前記処理対象物に向かってイオンを引き付ける段階をさらに有し、
前記イオンの前記面に対する入射角の範囲は、前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状によって影響をうける、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
入射角の前記範囲は、約0°を中心として、約+60°から約−60°の間である、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プラズマから前記プラズマシースを越えて引き付けられる前記イオンが互いに交差するイオン軌道を有するように、前記境界の前記形状が、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項18に記載の方法。
【請求項1】
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバの内部に配され、処理対象物を支持するプラテンと、
前記処理対象物の前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、前記プロセスチャンバの内部に発生させるように構成されたプラズマ源と、
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の境界の形状の一部が前記プラズマに対向する前記処理対象物の前面によって形成される面と平行にならないように、前記境界の形状を制御するように構成されたインシュレーティング調整部と、
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記インシュレーティング調整部は、その間の間隙を形成する一対のインシュレータを有し、
前記間隙の近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記一対のインシュレータは、一対のインシュレーティング・シートを含む、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記一対のインシュレータの少なくとも一方と機械的に結合され、前記間隙の水平間隔を調整するアクチュエータをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記一対のインシュレータの少なくとも一方と機械的に結合され、前記一対のインシュレータと、前記プラズマに対向する前記処理対象物の前記前面によって形成される前記面との間の垂直方向の間隔を調整するアクチュエータをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記一対のインシュレータは、石英製である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記一対のインシュレータを前記処理対象物に対して移動させえるように構成された走査システムをさらに備える、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記インシュレーティング調整部は、それらの間の複数の間隙を形成する複数のインシュレータを有し、
前記複数の間隙のそれぞれの近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記処理対象物をドーピングするために、前記処理対象物にバイアスを印加して、前記プラズマから、前記プラズマシースを越えて前記処理対象物に向かってイオンを引き付けるように構成されたバイアス源をさらに備え、
前記イオンの前記面に対する入射角の範囲は、前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状によって影響を受ける、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記プラズマから前記プラズマシースを越えて引き付けられる前記イオンが互いに交差するイオン軌道を有するように、前記境界の前記形状が、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
入射角の前記範囲は、約0°を中心として、約+60°から約−60°の間である、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
プロセスチャンバの内部に処理対象物を配置する段階と、
前記処理対象物の前面に隣接するプラズマシースを有するプラズマを、前記プロセスチャンバの内部に発生させる段階と、
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の境界の形状の一部が前記プラズマに対向する前記処理対象物の前面によって形成される面と平行にならないように、前記境界の形状を調整する段階と、
を有する、方法。
【請求項13】
前記調整する段階は、一対のインシュレータによって形成される間隙を形成する段階を含み、
前記間隙の近傍における前記境界の前記形状は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記間隙の水平間隔を調整する段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一対のインシュレータと、前記プラズマに対向する前記処理対象物の前記前面によって形成される前記面との間の垂直方向の間隔を調整する段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
インシュレーティング調整部に対して前記処理対象物を回転させる段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状の一部は、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記処理対象物をドーピングするために、前記処理対象物にバイアスを印加して、前記プラズマから、前記プラズマシースを越えて前記処理対象物に向かってイオンを引き付ける段階をさらに有し、
前記イオンの前記面に対する入射角の範囲は、前記プラズマと前記プラズマシースとの間の前記境界の前記形状によって影響をうける、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
入射角の前記範囲は、約0°を中心として、約+60°から約−60°の間である、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プラズマから前記プラズマシースを越えて引き付けられる前記イオンが互いに交差するイオン軌道を有するように、前記境界の前記形状が、前記面に対して凸となる形状を有する、
請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−523120(P2012−523120A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503688(P2012−503688)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029559
【国際公開番号】WO2010/114961
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029559
【国際公開番号】WO2010/114961
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
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