説明

プラズマ原子層堆積を実行する方法及びシステム

処理空間に気体状の薄膜前駆体を導入し、処理空間の容積を第1の大きさから第2の大きさまで拡大して拡大処理空間を形成し、拡大処理空間に還元ガスを導入し、且つ還元ガスから還元プラズマを形成する、基板上での気相堆積のための方法、コンピュータ読み取り可能媒体、及びシステムが開示される。気相堆積用システムは処理チャンバーを含んでおり、処理チャンバーは、第1の容積を有する第1の処理空間を含み、更に、第1の処理空間を含み且つ第1の容積より大きい第2の容積を有する第2の処理空間を含む。第1の処理空間は原子層堆積用に構成され、第2の処理空間は第1の処理空間で堆積された層のプラズマ還元用に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は堆積システム及びその作動方法に関し、より具体的には、原子層堆積用の堆積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、材料処理においては、複合的な材料構造を製造するとき、材料膜の付加及び除去を促進するためにプラズマが用いられる。例えば、半導体処理において、シリコン基板上にパターニングされた微細なラインに沿って、あるいはシリコン基板上にパターニングされたビア又はコンタクト内で、材料を除去あるいはエッチングするために、しばしば、ドライプラズマエッチングプロセスが用いられる。他の例では、シリコン基板上の微細なラインに沿って、あるいはシリコン基板上のビア又はコンタクト内に、材料を堆積するために気相堆積プロセスが用いられる。後者において、気相堆積プロセスは化学的気相成長(CVD)法、及びプラズマ化学気相成長法(plasma enhanced CVD;PECVD)法を含む。
【0003】
PECVD法において、プラズマは膜の堆積機構を変えたり強化したりするために使用される。例えば、プラズマ励起は一般に、プロセスガスを該プロセスガスの解離温度付近又はそれより高い温度まで(プラズマ励起を用いることなく)熱的に加熱する熱的CVD法によって同様の膜を作り出すのに典型的に必要とされる温度より、かなり低い温度で膜形成反応が進行することを可能にする。また、プラズマ励起は、熱的CVDにおいてエネルギー的あるいは動力学的に有利でない膜形成化学反応を活性化する。PECVD膜の化学的及び物理的な特性は、故に、プロセスパラメータを調整することによって比較的広い範囲で変えられ得る。
【0004】
より最近になり、原子層堆積(ALD)法及びプラズマALD(plasma enhanced ALD;PEALD)法が、FEOL(front end-of-line)処理における極めて薄いゲート膜の形成、並びに、BEOL(back end-of-line)処理におけるメタライゼーション用の極めて薄いバリア層及びシード層の形成の候補として浮上してきた。ALD法においては、基板が加熱されている間に、例えば薄膜前駆体及び還元(reduction)ガスなどの2以上のプロセスガスが、一度に材料膜の1つのモノレイヤーを形成するように交互且つ連続的に導入される。PECVD法においては、還元プラズマを形成するように、還元ガスの導入中にプラズマが形成される。これまでに、ALD法及びPEALD法は、同等のCVD及びPECVDより時間がかかるが、層の厚さの均一性、及び層が堆積される下地構造への共形性(conformality)を改善することがわかっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ラインサイズが更に縮小され、共形性、接着性及び純度がますます、得られる半導体デバイスに影響を及ぼす重要な問題となる場合に、半導体処理に伴う様々な問題を解決することを1つの目的とする。
【0006】
本発明はまた、続けて堆積される材料層の界面間での汚染問題を軽減することを他の1つの目的とする。
【0007】
本発明は更に、同一システム内で原子層堆積とプラズマ促進還元とを両立する構成を提供することを他の1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題及び/又はその他の課題は、本発明の一定の実施形態によって達成される。
【0009】
本発明の一実施形態に従って、基板を処理する方法が提供される。この方法は、基板の上方に処理空間を画成する気相堆積システム内に基板を配置する段階、処理空間に気体状の薄膜前駆体を導入する段階、処理空間の容積を第1の大きさから第2の大きさまで拡大して拡大処理空間を形成する段階、拡大処理空間に還元ガスを導入する段階、及び還元ガスから還元プラズマを形成する段階を含む。
【0010】
本発明の他の一実施形態に従って、基板上に薄膜を気相堆積するシステムが提供される。このシステムは、第1の容積を有する第1の処理空間を含む処理チャンバーを有する。処理チャンバーは更に、第1の処理空間を含み且つ第1の容積より大きい第2の容積を有する第2の処理空間を含む。第1の処理空間は薄膜前駆体の吸着用に構成され、第2の処理空間は、第1の処理空間で吸着された薄膜前駆体のプラズマ還元用に構成される。
【0011】
本発明のより完全な理解及び本発明に付随する数多くの効果は、添付図面により容易に得られ、また、以下の詳細な説明を添付図面と関連付けて参照することにより更によく理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明においては、本発明の完全な理解を容易にするため、限定目的ではなく説明目的で、例えば特定の堆積システムの幾何学構成及び様々な部品の説明などの具体的詳細事項が説明される。しかしながら、理解されるべきことには、本発明はこれらの具体的詳細事項を逸脱した他の実施形態においても実施され得るものである。
【0013】
以下では図面を参照するが、複数の図面を通して、似通った参照符号は相等しい、あるいは対応する部分を指し示す。図1は、基板上に、例えばプラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスを用いて、例えばバリア膜などの薄膜を堆積するための堆積システム1を例示している。BEOL(back end-of-line)処理における半導体デバイスの相互接続構造及び内部接続構造のメタライゼーションにおいては、層間又は層内の誘電体への金属のマイグレーションを最小化するように配線用トレンチ又はビアに薄い共形のバリア層が堆積され、バルク状の金属充填物に対して許容可能な接着性を有する膜をもたらすように配線用トレンチ又はビアに薄い共形のシード層が堆積され、且つ/或いは、金属シード堆積物に対して許容可能な接着性を有する膜をもたらすように配線用トレンチ又はビアに薄い共形の接着層が堆積される。これらのプロセスに加え、配線用トレンチ又はビアの内部には、例えば銅などのバルク金属が堆積されなければならない。
【0014】
これらのプロセスは従来、一般的に、これらのプロセスの各々に特有の要求にカスタマイズされた別々のチャンバーを必要としていた。単一のチャンバーではプロセス要求の全てに対応することができなかったためである。例えば、薄膜のバリア層は、許容可能な共形性を実現するように自己制限的(self-limited)ALDプロセスにて形成されることが好ましい。ALDは相異なるプロセスガスを交互に必要とするので、堆積は比較的低い堆積速度で行われる。本発明の発明者により、小さい容積の処理空間内で熱的ALDプロセスを行うことは、交互にされるガスの迅速な注入及び排出を可能にし、ALDサイクルを短縮させることが認識された。しかしながら、プラズマALDを実行するとき、小容積の処理空間は、基板と上部アセンブリとの間の間隔が小さくなるため、プラズマの均一性に不利である。本発明の発明者により、PECVDプロセスのプラズマ支援還元工程においては均一なプラズマを維持するために、より大きい容積の処理空間が必要であるが、PEALDプロセスの非プラズマ工程は小容積の処理空間の恩恵を受け、スループットを高め、且つ/或いはプロセスガスを保存し得ることが認識された。
【0015】
図1において、本発明の一実施形態に従った堆積システム1は処理チャンバー10を含み、処理チャンバー10は、薄膜が形成されるべき基板25を支持するように構成された基板ステージ20を有する。また、図1に例示された堆積システム1は、処理チャンバー10及び基板ステージ20に結合された処理容積調整システム80を含んでいる。処理容積調整システム80は、基板25に隣接する処理空間の容積を調整するように構成されている。例えば、処理容積調整システム80は、第1の容積の第1の処理空間85を作り出す第1位置(図1参照)と、第2の容積の第2の処理空間85’を作り出す第2位置(図2参照)との間で、基板ステージ20を鉛直方向に平行移動させるように構成され得る。
【0016】
図1及び2に示されるように、堆積システム1は、基板25の温度を上昇させ且つ制御するように構成された、基板ステージ20に結合された温度制御システム60を含み得る。基板温度制御システム60は、例えば再循環冷却材流を含む冷却システムなどの温度制御手段を含み得る。この冷却材流は、基板ステージ20から熱を受け取って熱交換器システム(図示せず)まで熱伝達し、あるいは加熱時に、熱交換器システムから熱を伝達する。また、温度制御手段は、例えば抵抗加熱素子などの加熱/冷却素子を含み得る。あるいは、熱電加熱器/冷却器が基板ステージ20と、処理チャンバー10のチャンバー壁や堆積システム1内のその他の部品とに含められてもよい。
【0017】
基板25と基板ステージ20との間での熱の移動を改善するよう、基板ステージ20は、基板ステージ20の上表面に基板25を貼り付けるために、機械的クランプシステム、又は例えば静電クランプシステム等の電気的クランプシステムを含み得る。また、基板ステージ20は更に、基板25と基板ステージ20との間のガスギャップの熱伝導率を改善するために、基板25の裏面側にガスを導き入れるように構成された基板裏面側ガス配給システムを有していてもよい。このようなシステムは、上昇温度又は下降温度での基板の温度制御が要求されるときに利用され得る。例えば、基板裏面側ガスシステムは、基板25の中心部と端部との間でヘリウムガスギャップ圧力を独立に変化させられ得る2区画のガス分配システムを含んでいてもよい。
【0018】
基板ステージ20は、該基板ステージを平行移動させる真空内(in vacuo)機構及び基板温度制御システム60用の内部機構とともに、処理チャンバー10の下部チャンバーアセンブリを構成する。
【0019】
処理チャンバー10は更に、第1のプロセス材料ガス供給システム40と第2のプロセス材料ガス供給システム42とパージガス供給システム44とに結合された上部チャンバーアセンブリ30を含み得る。従って、上部チャンバーアセンブリ30は、第1のプロセス材料ガス供給システム40及び第2のプロセス材料ガス供給システム42を介して、それぞれ、気体状の薄膜前駆体及び還元ガスを処理空間85及び85’に供給し得る。第1及び第2のプロセスガス材料を処理空間85に均一に分配するために、技術的に既知のシャワーヘッド設計が用いられ得る。典型的なシャワーヘッドは、米国特許出願公開第2004/0123803号明細書に詳細に記載されている。なお、この文献の内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
【0020】
堆積システム1は、200mm基板、300mm基板、又は更に大きい基板を処理するように構成され得る。実際には、当業者に認識されるように、本出願にて開示される堆積システムは、基板、ウェハ又はLCDを、それらの大きさに拘わらず、処理するように構成されてもよい。基板は処理チャンバー10に導入され、基板昇降システム(図示せず)によって基板ステージ20の上表面へ、あるいはそこから昇降される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、第1のプロセス材料ガス供給システム40及び第2のプロセス材料ガス供給システム42は処理チャンバー10に、気体状の薄膜前駆体(すなわち、第1のプロセスガス材料)と還元ガス(すなわち、第2のプロセスガス材料)とを交互に導入するように構成される。第1のプロセスガス材料の導入と第2のプロセスガス材料の導入とを交互に行うことは、周期的であってもよいし、非周期的に、第1のプロセスガス材料の導入と第2のプロセスガス材料の導入との間で可変の時間を有してもよい。気体状の薄膜前駆体としての第1のプロセスガス材料は、基板25上に形成される膜内に見出される主たる原子又は分子の種を含む組成を有する。薄膜前駆体は固相、液相又は気相を起源とし、処理チャンバー10に気相にて配給される。第2のプロセスガス材料は、例えば、還元ガスを含み得る。還元ガスは固相、液相又は気相を起源とし、処理チャンバー10に気相にて配給される。気体状の薄膜前駆体及び還元ガスの例については後述する。
【0022】
第1の材料供給システム40、第2の材料供給システム42、及びパージガス供給システム44は、1つ以上の材料源、1つ以上の圧力制御装置、1つ以上の流量制御装置、1つ以上のフィルタ、1つ以上のバルブ、又は1つ以上の流量センサーを含み得る。流量制御装置は、空気駆動バルブ、電気機械(ソレノイド)バルブ、及び/又は高速パルス式ガス注入バルブを含み得る。典型的なパルス式ガス注入システムは、米国特許出願公開第2004/0123803号明細書に詳細に記載されている。なお、この文献の内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
【0023】
なおも図1を参照するに、本発明の一実施形態に係る堆積システム1は、処理チャンバー10への第1のプロセスガス材料及び第2のプロセスガス材料の交互の導入の少なくとも一部の間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成システムを含み得る。プラズマ生成システムは、処理チャンバー10に結合された第1の電源50を含み、第1の電源50は、第1のプロセスガス材料若しくは第2のプロセスガス材料、又はこれらの双方に電力を結合させるように構成されている。第1の電源50は、無線周波数(RF)発生器及びインピーダンス整合回路(図示せず)を含み、さらに、処理チャンバー10内でプラズマにRF電力を結合させるための電極(図示せず)を含み得る。この電極は上部アセンブリ30内に形成されることが可能であり、基板ステージ20に対向するように構成され得る。
【0024】
インピーダンス整合回路は、上記の電極及びプラズマを含む処理チャンバーの入力インピーダンスに整合回路の出力インピーダンスを整合させることによって、RF発生器からプラズマへのRF電力の移送を最適化するように構成され得る。例えば、インピーダンス整合回路は、反射される電力を低減することによって、プラズマ処理チャンバー10内のプラズマへのRF電力の移送を改善するよう作用する。整合回路トポロジー(例えば、L型、π型、T型など)及び自動制御方法は当業者に周知である。RF電力の典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲内とし得る。他の例では、RF周波数は約400kHzから約60MHzの範囲内とし得る。更なる例として、RF周波数は約13.56MHz又は27.12MHzとし得る。
【0025】
本発明の一実施形態に係る堆積システム1は、処理チャンバー10への第1のプロセスガス材料及び第2のプロセスガス材料の交互且つ周期的な導入の少なくとも一部の間にプラズマを生成するように構成された基板バイアス生成システムを含み得る。基板バイアスシステムは、基板25に電力を結合させるように構成された、処理チャンバー10に結合された第2の電源52を含む。第2の電源52は、無線周波数(RF)発生器及びインピーダンス整合回路を含み、さらに、基板25にRF電力を結合させるための電極を含み得る。この電極は基板ステージ20内に形成されることが可能である。例えば、基板ステージ20はDC電圧で、あるいは、RF発生器(図示せず)からインピーダンス整合回路(図示せず)を介して基板ステージ20へのRF電力の伝送によって或るRF電圧で、電気的にバイアスされることが可能である。RFバイアスの典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲内とし得る。プラズマ処理用のRFバイアスシステムは当業者に周知である。他の例では、RF電力は複数の周波数で基板ステージ電極に印加され得る。他の例では、RF周波数は約400kHzから約60MHzの範囲内とし得る。更なる例として、RF周波数は約13.56MHz又は27.12MHzとし得る。基板バイアス生成システムは、プラズマ生成システムと異なる周波数で動作してもよいし、同一の周波数で動作してもよい。
【0026】
図1においてはプラズマ生成システム及び基板バイアスシステムは別個のものとして示されているが、これらのシステムは基板ステージ20に結合された1つ以上の1つ又は複数の電源を含んでいてもよい。
【0027】
さらに、処理チャンバー10はダクト38を介して圧力制御システム32に結合されている。圧力制御システム32は、例えば、真空ポンプシステム34及びバルブ36を含んでいる。圧力制御システム32は、基板25上に薄膜を形成するのに適し且つ第1及び第2のプロセス材料の使用に適した圧力まで、処理チャンバー10を制御可能に排気するように構成されている。
【0028】
真空ポンプシステム34は、最大で毎秒約5000リットル(以上)の速度でポンプ可能なターボ分子真空ポンプ(TMP)を含むことができ、バルブ36は、チャンバー圧力を絞るための仕切り弁を含み得る。ドライプラズマエッチングで使用される従来からのプラズマ処理装置においては、毎秒1000から3000リットルのTMPが一般的に使用される。また、チャンバー圧力を監視する装置(図示せず)が処理チャンバー10に結合され得る。この圧力測定装置は、例えば、MKSインスツルメント社から市販されている628B型バラトロン(Baratron)絶対キャパシタンス式圧力計とし得る。
【0029】
続いて図3及び4を参照するに、プラズマ原子層堆積(PEALD)法を用いて基板上に例えばバリア膜などの薄膜を堆積するための、本発明の他の一実施形態に従った堆積システム1’が例示されている。堆積システム1’は、図1及び2に例示された堆積システム1と同一の要素を数多く含んでおり、似通った要素は似通った参照符号で示されている。堆積システム1’は更に、図3の処理空間85又は図4の処理空間85’の周辺端部を囲むシールド24を含んでいる。基板ステージ20は更に、該基板ステージ20が上方に移動されて処理空間85’を形成するときにシールド24と結合するように構成された外側突出部22を含んでいる。例えば、外側突出部22はシールド24とともに封をするように構成され得る。シールド24は、処理空間85’の排気を可能にするためのプロセスガスの通路をもたらすように(孔を有する有孔シールドとして)構成され得る。シールド24が処理空間85’の排気を可能にするように構成されない場合、処理空間85’を排気するために真空ポンプシステム34と同様の別個の真空ポンプシステム35が使用され得る。
【0030】
図3及び4に示されたシールド24は複数の目的を果たすことができる。シールド24は単純化された円筒形状を提供し、処理空間85及び85’内のガス流量を、より信頼性高く予測あるいは制御することが可能である。(有孔シールドとして)シールドの所定の位置に開口を設けることにより、流体の流れを設計し得る。同様に、シールド24は、プラズマの端部に近接する電気的な接地への対称的な経路を提供することができ、より信頼性高く予測あるいは制御され得る均一なプラズマを生成し得る。さらに、シールド24は取り換え可能なユニットとすることができ、壁10の内側に通常的に蓄積する堆積物を収集し得る。従って、シールド24は通常の定期的な保守にて取り換えられ、壁10の内側を洗浄することが必要になるまでの時間が延長され得る。
【0031】
続いて図5を参照するに、堆積システム1又は1’は、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスを実行するように構成され、基板上に薄膜を形成するように薄膜前駆体及び還元ガスが連続的且つ交互に導入される。例えば、タンタル含有膜を準備するためのPEALDプロセスにおいて、薄膜前駆体は金属ハロゲン化物(例えば、五塩化タンタル)又は有機金属(例えば、Ta(NC(CH)(N(CH;以下、TAIMATA(登録商標)と呼ぶ。更なる詳細は米国特許第6593484号明細書を参照)を含み得る。この例においては、還元ガスは、水素若しくは又はアンモニア(NH)、N及びH、N、NH(CH、又はNCHを含み得る。
【0032】
第1の期間にて、基板25の露出面上への薄膜前駆体の吸着を引き起こすために、薄膜前駆体を処理チャンバー10に導入する。好ましくは、材料のモノレイヤー吸着が起こる。その後、図5に示されるように、第2の期間にて、パージガスを用いて処理チャンバー10を浄化する。基板25上に薄膜前駆体を吸着した後、第3の期間にて、処理チャンバー10に還元ガスを導入しながら、例えば上部アセンブリ30を介して第1の電源50から還元ガスに電力を結合させる。還元ガスへの電力の結合は還元ガスを加熱し、故に、還元ガスの電離及び解離を生じさせる。それにより、吸着Ta薄膜前駆体を減らして所望のTa含有膜を形成するように吸着Ta薄膜前駆体と反応することが可能な、例えば原子状水素などの解離種が形成される。
【0033】
一例において、図5に示された第1のプロセス中、例えばTaF、TaCl、TaBr、TaI、Ta(CO)、Ta[N(CCH)](PEMAT)、Ta[N(CH(PDMAT)、Ta[N(C(PDEAT)、Ta(NC(CH)(N(C(TBTDET)、Ta(NC)(N(C、Ta(NC(CH)(N(CH、又はTa(NC(CH)(N(CH等をTa前駆体とし、その後、例えばH、NH、N及びH、N、NH(CH、又はNCH等の還元ガスに晒すことにより、タンタル(Ta)、タンタル窒化物、又はタンタル炭窒化物がPEALDプロセスを用いて堆積される。本発明に係るPEALDプロセスにおいては、還元ガスはプラズマ励起によるものである。
【0034】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、チタン(Ti)、チタン窒化物、又はチタン炭窒化物を堆積するとき、薄膜前駆体は、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH)](TEMAT)、Ti[N(CH(TDMAT)、又はTi[N(C(TDEAT)を含み、還元ガスは、H、NH、N及びH、N、NH(CH、又はNCHを含み得る。
【0035】
PEALDプロセスの他の一例として、タングステン(W)、タングステン窒化物、又はタングステン炭窒化物を堆積するとき、薄膜前駆体はWF又はW(CO)を含み、還元ガスは、H、NH、N及びH、N、NH(CH、又はNCHを含み得る。
【0036】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、モリブデン(Mo)を堆積するとき、薄膜前駆体は六フッ化モリブデン(MoF)を含み、還元ガスはHを含み得る。
【0037】
ALDプロセスにて銅を堆積するとき、薄膜前駆体は、例えばエアプロダクト・アンド・ケミカル社(カリフォルニア州)のユニットであるシューマッハから入手可能なCupraSelect(登録商標)としても知られるCu(TMVS)(hfac)等の有機金属化合物、又は例えばCuCl等の無機化合物を含み、還元ガスは、H、O、N、NH、又はHOのうちの少なくとも1つを含み得る。なお、ここでは、用語“A、B、C、・・・又はXのうちの少なくとも1つ”は、列挙された要素のうちの何れか1つ、又は列挙された要素のうちの2つ以上の組み合わせを意味する。
【0038】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、ZrOを堆積するとき、薄膜前駆体はZr(NO又はZrClを含み、還元ガスはHOを含み得る。
【0039】
本発明に係るPEALDプロセスにおいてハフニウム酸化物を堆積するとき、薄膜前駆体はHf(OBu、Hf(NO、又はHfClを含み、還元ガスはHOを含み得る。他の一例においてハフニウム(Hf)を堆積するとき、薄膜前駆体はHfClを含み、還元ガスはHを含み得る。
【0040】
本発明に係るPEALDプロセスの更に他の一例において、ニオビウム(Nb)を堆積するとき、薄膜前駆体は五塩化ニオビウム(NbCl)を含み、還元ガスはHを含み得る。
【0041】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、亜鉛(Zn)を堆積するとき、薄膜前駆体は二塩化亜鉛(ZnCl)を含み、還元ガスはHを含み得る。
【0042】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、二酸化シリコンを堆積するとき、薄膜前駆体はSi(OC、SiHCl、SiCl、又はSi(NOを含み、還元ガスはHO又はOを含み得る。他の一例において、窒化シリコンを堆積するとき、薄膜前駆体はSiCl又はSiHClを含み、還元ガスはNH、又はN及びHを含み得る。他の一例において、TiNを堆積するとき、薄膜前駆体は硝酸チタン(Ti(NO))を含み、還元ガスはNHを含み得る。
【0043】
ALDプロセスの他の一例において、アルミニウムを堆積するとき、薄膜前駆体は塩化アルミニウム(AlCl)又は三メチルアルミニウム(Al(CH)を含み、還元ガスはHを含み得る。窒化アルミニウムを堆積するとき、薄膜前駆体は三塩化アルミニウム又は三メチルアルミニウムを含み、還元ガスはNH、又はN及びHを含み得る。他の一例において、酸化アルミニウムを堆積するとき、薄膜前駆体は塩化アルミニウム又は三メチルアルミニウムを含み、還元ガスはHO、又はO及びHを含み得る。
【0044】
本発明に係るPEALDプロセスの他の一例において、GaNを堆積するとき、薄膜前駆体は硝酸ガリウム(Ga(NO)又は三メチルアルミニウム(Ga(CH)を含み、還元ガス材料はNHを含み得る。
【0045】
また、上述のPEALDプロセスにおいて、処理容積は、第1の期間での第1のプロセスガス材料の導入及び必要に応じての第2の期間でのパージガスの導入における第1の容積(V1)と、第3の期間での第2のプロセスガス材料の導入及び必要に応じての第4の期間でのパージガスの導入における第2の容積(V2)との間で変更されることができる。処理空間の最適な容積(V1、V2)は、PEALDプロセスの処理工程ごとに選択され得る。
【0046】
例えば、第1の容積(V1)は、第1のプロセスガス材料が処理空間を通過し、第1のプロセスガス材料の一部が基板表面に吸着するように、十分に小さくされ得る。処理空間の第1の容積が小さくされると、基板表面への吸着に必要な第1のプロセスガス材料の量は削減され、第1の処理空間内で第1のプロセスガス材料を交換するのに必要な時間が短縮される。例えば、処理空間の第1の容積が小さくされると、滞留時間が短縮されるので、第1の期間の短縮が可能になる。
【0047】
また、例えば、第2の容積(V2)は、第2のプロセス材料からのプラズマの形成が基板上方に均一なプラズマ形成をもたらす容積に設定され得る。半導体ウェハを含む基板を処理するとき、処理空間は実質的に円筒形であり、直径(D)、及び基板と上部アセンブリとの間の高さすなわち間隔(h)によって特徴付けられる。この直径は基板サイズに関係するが、この間隔(すなわち高さ)は処理空間の容積を調整するための可変パラメータとし得る。均一なプラズマのために、基板(又は容積)の直径と間隔との間のアスペクト比(すなわち、D/h)は、およそ10という値以下、好ましくは、およそ5という値未満にし得る。例えば、このアスペクト比が増大すると、プラズマの均一性が悪化することが観測されているが、このアスペクト比が減少すると、プラズマの均一性が向上することが観測されている。例えば、プラズマを用いて200mm基板上に膜を堆積するとき、間隔hはおよそ20mm以上にされるべきである。
【0048】
例えば、第1のプロセス材料の導入時の第1の容積は、200mm基板に関して20mm以下(あるいは、300mm基板に関して30mm以下)の間隔(基板ステージ20から上部アセンブリ30までの間隔)を含み、第2のプロセス材料の導入時の第2の容積は、200mm基板に関して20mmより大きい(あるいは、300mm基板に関して30mm以上)の間隔を含み得る。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態に従ったプロセスのプロセスフロー図を示している。図6のプロセスは、図1−4の処理システム、又は何らかのその他の好適処理システムによって実行される。図6に示されるように、このプロセスは、段階610にて、基板の上方に処理空間を画成する気相堆積システム内に基板を配置することで開始する。段階620にて、処理空間に気体状の薄膜前駆体を導入する。段階630にて、処理空間の容積を第1の大きさから第2の大きさまで拡大し、拡大された処理空間を形成する。段階640にて、拡大された処理空間内に還元ガスを導入する。段階650にて、還元ガスから還元プラズマを形成する。
【0050】
さらに、本発明の一実施形態において、上記の段階群はプロセスが続けられるとき、逆にして繰り返され得る。例えば、還元プラズマは消滅させられ、処理空間の容積が第2の大きさから第1の大きさに縮小され、そして、段階群610−640が繰り返され得る。
【0051】
段階650において、プラズマはRFエネルギーを0.1MHzから100MHzまでの或る周波数で印加することによって形成され得る。本発明の一態様においては、プラズマを形成することに先立って、プラズマの均一性に一層とつながる条件の助けとなるように、処理空間の容積が増大される。従って、段階630にて、基板ステージは第2の気相堆積プロセスのプラズマ均一性を高める位置に移動される。例えば、基板ステージは、プラズマの均一性が基板ステージの200mmの直径にわたって2%又は1%より良好になるような位置に配置され得る。例えば、基板ステージは、プラズマの均一性が基板ステージの300mmの直径にわたって2%又は1%より良好になるような位置に配置され得る。
【0052】
段階650において、還元プラズマは10W/cm未満、好ましくは1W/cm未満のパワー密度を有し得る。還元プラズマの期間は20s未満、好ましくは5s未満とし得る。例えば、図1−4を参照するに、還元プラズマは、上部アセンブリ30を介して200Wから3000Wの無線周波数(RF)電力を還元ガスに結合させることによって形成され得る。
【0053】
段階620において、気体状の薄膜前駆体はシールドによって囲まれた基板上方の領域内に導入される。本発明の一実施形態において、シールドが孔を有することにより、有孔シールドを介して気体状の薄膜前駆体を吸い出すこと(pumping)によって気体状の薄膜前駆体の排気を可能にし得る。シールドが孔を有さない場合、処理空間の内部は別個にポンプで排気され得る。
【0054】
段階610−640において、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属珪化物、又は金属炭窒化物のうちの少なくとも1つから成る膜が堆積され得る。例えば、膜はタンタル膜、タンタル窒化物膜、又はタンタル炭窒化物膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。段階610−640において、Al膜、Cu膜、Zn膜、金属珪化物膜、若しくはゲルマニウム含有膜のうちの少なくとも1つ、又は別々に堆積された、あるいは合金として堆積されたこれらの膜の何れか1つの組み合わせ、から成る膜が堆積され得る。段階610−640において、ジルコニウム酸化物膜、ハフニウム酸化物膜、シリコン酸化物膜、チタン窒化物膜、若しくはGaN膜、又はこれらの膜の何れか1つの組み合わせから成る膜が堆積され得る。
【0055】
段階650中、基板に基板バイアスが供給され得る。例えば、基板バイアスはDC電圧及び/又は0.1MHzから100MHzまでの或る周波数を有するRF電圧とし得る。段階650に先立ち、第1の膜の表面での還元反応プロセスを加速させるプラズマを生成するために、電磁力が気相堆積システムに結合され得る。
【0056】
さらに、薄膜前駆体の導入度にパージガスが導入されてもよい。また、パージガスの存在に拘わらず、気相堆積システム又は基板の少なくとも一方から汚染物質を解放するために、電磁力が気相堆積システムに結合されてもよい。この電磁力は、プラズマ、紫外光、又はレーザの形態で気相堆積システムに結合され得る。
【0057】
図1−4に示されるように、堆積システム1及び1’はコントローラ70を含んでいる。コントローラ70は、処理チャンバー10、基板ステージ20、上部アセンブリ30、第1のプロセス材料供給システム40、第2のプロセス材料供給システム42、パージガス供給システム44、第1の電源50、基板温度制御システム60、及び/又は処理容積調整システム80に結合され得る。
【0058】
コントローラ70は、上述の膜堆積プロセスの制御及び監視のために、マイクロプロセッサ、メモリ、及び、堆積システム1(1’)からの出力を監視するとともに堆積システム1(1’)への入力を伝達し且つアクティブにするのに十分な制御電圧を生成可能なデジタルI/Oポートを含んでいる。例えば、コントローラ70は、図6に関連して説明された段階群を達成することを実行するためのプログラム命令を格納したコンピュータ読み取り可能媒体を含み得る。また、コントローラ70は、処理チャンバー10、基板ステージ20、上部アセンブリ30、第1のプロセス材料ガス供給システム40、第2のプロセス材料ガス供給システム42、パージガス供給システム44、第1の電源50、第2の電源52、基板温度制御システム60、及び/又は圧力制御システム32に結合され、それらと情報を交換してもよい。例えば、上述の非プラズマプロセス又はプラズマ支援堆積プロセスの1つを実行するため、プロセスレシピに従って堆積システム1(1’)の上述の構成要素への入力をアクティブにするように、メモリ内に格納されたプログラムが使用され得る。
【0059】
コントローラ70の一例は、デル社から入手可能なDELL PRECISION WORKSTATION610(登録商標)である。しかしながら、コントローラ70は、メモリ内に格納された1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサが実行することに応答して、本発明のマイクロプロセッサに基づく処理段階群の一部又は全てを実行する汎用コンピュータシステムとして実装されてもよい。このような命令は、例えばハードディスク又は取り外し可能メディアドライブ等の別のコンピュータ読み取り可能媒体からコントローラメモリに読み込まれてもよい。また、多重処理構成の1つ以上のプロセッサが、メインメモリに格納された命令のシーケンスを実行するコントローラマイクロプロセッサとして用いられてもよい。代替的な実施形態においては、ソフトウェア命令に変えて、あるいは組み合わせて、配線接続された回路が用いられてもよい。故に、本発明の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェア回路との如何なる特定の組み合わせにも限定されない。
【0060】
コントローラ70は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、且つ本発明を実施するために必要となり得るデータ構造、テーブル、記録、又はその他のデータを格納するために、例えばコントローラメモリ等の少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能媒体又はメモリを含む。コンピュータ読み取り可能媒体の例は、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)、テープ、磁気光学ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、その他の何らかの磁気媒体、コンパクトディスク(例えば、CD−ROM)、その他の何らかの光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴パターンを有するその他の物理媒体、搬送波(後述)、又はコンピュータが読み取り可能なその他の何らかの媒体である。
【0061】
本発明は、コントローラ70を制御し、本発明を実施するように1つ又は複数の装置を駆動し、且つ/或いはコントローラがヒトのユーザと相互作用することを可能にするための、コンピュータ読み取り可能媒体の何れか1つ又は組み合わせに格納されたソフトウェアを含む。このソフトウェアは、以下に限られないが、デバイスドライバ、オペレーディングシステム、開発ツール、及びアプリケーションソフトウェアを含み得る。このようなコンピュータ読み取り可能媒体は更に、本発明を実施する上で実行される処理の全て又は一部(処理が分散される場合)を実行するための本発明に係るコンピュータプログラム製品を含む。
【0062】
本発明に係るコンピュータコードデバイスは、以下に限られないが、スクリプト、インタープリタ型プログラム、動的リンクライブラリ(DLL)、Javaクラス、及び完全実行型プログラム、を含む如何なるインタープリタコード機構又は実行コード機構であってもよい。また、本発明の処理の一部は、より良好な性能、信頼性、及び/又はコストのために分散させられてもよい。
【0063】
用語“コンピュータ読み取り可能媒体”は、ここでは、コントローラ70のプロセッサに実行のための命令を提供することに関与する如何なる媒体をも意味する。コンピュータ読み取り可能媒体は、以下に限られないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む数多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ハードディスクドライブ又は取り外し可能媒体ドライブのような、光ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクを含む。揮発性媒体は、例えばメインメモリ等のダイナミックメモリを含む。また、コンピュータ読み取り可能媒体の様々な形態は、コントローラのプロセッサへの1つ以上の実行命令の1つ以上のシーケンスを実行することに関与し得る。例えば、命令は当初、遠隔コンピュータの磁気ディスク上に担持されていてもよい。遠隔コンピュータは、本発明の全て又は一部を実施するための命令をダイナミックメモリにロードし、その命令をコントローラ70にネットワーク上で送ることができる。
【0064】
コントローラ70は、堆積システム1(1’)に対してローカルに配置されていてもよいし、堆積システム1(1’)に対して遠隔に配置されていてもよい。例えば、コントローラ70は、直接接続、イントラネット、インターネット、及び無線通信のうちの少なくとも1つを用いて、堆積システム1(1’)とデータを交換してもよい。コントローラ70は、例えば、顧客側(すなわち、デバイスメーカー等)のイントラネットに結合されていてもよいし、製造供給元(すなわち、装置製造者)のイントラネットに結合されていてもよい。また、例えば、コントローラ70はインターネットに結合されていてもよい。さらに、他のコンピュータ(すなわち、コントローラ、サーバ等)が、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介して、データ交換のためにコントローラ70にアクセスしてもよい。当業者に認識されるように、コントローラ70は無線接続を介して堆積システム1(1’)とデータを交換してもよい。
【0065】
以上では本発明の特定の実施形態のみが詳細に説明されているが、当業者に容易に認識されるように、これらの実施形態には、本発明の新規な教示及び効果を実質的に逸脱することなく数多くの変更が為され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に従った堆積システムを示す概略図である。
【図2】図1の堆積システムを示す概略図であり、本発明の一実施形態に従って拡大された処理空間を示している。
【図3】本発明の他の一実施形態に従った堆積システムを示す概略図である。
【図4】図3の堆積システムを示す概略図であり、本発明の一実施形態に従って拡大された処理空間を示している。
【図5】本発明の一実施形態に従った、図1−4の堆積システムにて使用されるタイミング図である。
【図6】本発明の一実施形態に従ったプロセスを示すプロセスフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相堆積システムにて基板上に薄膜を形成する方法であって:
前記気相堆積システム内に基板を配置する配置段階であり、前記気相堆積システムは前記基板の上方に処理空間を画成する、配置段階;
前記処理空間に気体状の薄膜前駆体を導入する段階;
前記処理空間への前記薄膜前駆体の導入に続いて、前記処理空間の容積を第1の大きさから第2の大きさまで拡大して拡大処理空間を形成する拡大段階;
前記拡大処理空間に還元ガスを導入する段階;及び
前記還元ガスから還元プラズマを形成する段階;
を有する方法。
【請求項2】
前記還元プラズマを消滅させる段階;
前記処理空間の容積を前記第2の大きさから前記第1の大きさまで縮小する縮小段階;及び
前記薄膜前駆体を導入する段階、前記処理空間の容積を拡大する拡大段階、前記還元ガスを導入する段階、及び前記還元プラズマを形成する段階、を繰り返す段階;
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理空間の容積を拡大する拡大段階は:
基板ステージを前記還元プラズマのプラズマ均一性を改善する位置まで移動させる移動段階
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記移動段階は:
前記プラズマ均一性が前記基板の直径にわたって2%より良好になる位置に前記基板ステージを配置すること
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移動段階は:
前記プラズマ均一性が前記基板の直径にわたって1%より良好になる位置に前記基板ステージを配置すること
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記気体状の薄膜前駆体を導入する段階、前記還元ガスを導入する段階、及び前記還元プラズマを形成する段階は:
タンタル膜、タンタル窒化物膜、又はタンタル炭窒化物膜のうちの少なくとも1つを堆積すること
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気体状の薄膜前駆体を導入する段階、前記還元ガスを導入する段階、及び前記還元プラズマを形成する段階は:
金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属珪化物膜、若しくは金属炭窒化物膜のうちの少なくとも1つ、又はこれらの膜の何れか1つの組み合わせを別々に堆積すること
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記気体状の薄膜前駆体を導入する段階、前記還元ガスを導入する段階、及び前記還元プラズマを形成する段階は:
Cu膜、Al膜、ジルコニウム酸化物膜、ハフニウム酸化物膜、シリコン酸化物膜、シリコン窒化物膜、チタン窒化物膜、若しくはGaN膜のうちの少なくとも1つ、又はこれらの膜の何れか1つの組み合わせを堆積すること
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記気体状の薄膜前駆体を導入する段階は:
前記気体状の薄膜前駆体を、シールドによって囲まれた前記基板の上方の領域内に導入すること
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シールドの孔を介して前記気体状の薄膜前駆体を吸い出すことによって、前記基板の上方の前記領域から前記薄膜前駆体を排出する段階;
を更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記還元プラズマを形成する段階は:
0.1MHzから100MHzまでの或る周波数でRFエネルギーを印加する段階
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記還元プラズマを形成する段階は:
10W/cm未満の電力密度を有する還元プラズマを生成すること
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記還元プラズマを形成する段階は:
1W/cm未満の電力密度を有する還元プラズマを生成すること
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記還元プラズマを20秒未満の期間だけ持続させる段階;
を更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記還元プラズマを5秒未満の期間だけ持続させる段階;
を更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記気体状の薄膜前駆体を導入する段階の後に、パージガスを導入する段階;
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも前記還元プラズマの期間において、前記基板に基板バイアスを印加する段階;
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板バイアスを印加する段階は:
DC電圧、又は0.1MHzから100MHzまでの或る周波数を有するRF電圧の少なくとも一方で前記基板をバイアスすること
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基板処理システムのプロセッサ上で実行されるプログラム命令を格納したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されるとき前記基板処理システムに、請求項1乃至18に記載された段階群の何れか1つを実行させる、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
基板上に薄膜を気相堆積するシステムであって:
第1の容積を有する第1の処理空間、及び
前記第1の処理空間を含み、且つ前記第1の容積より大きい第2の容積を有する、第2の処理空間、
を含む処理チャンバーを有し;
前記第1の処理空間は原子層堆積用に構成されており;且つ
前記第2の処理空間は、前記第1の処理空間で堆積された層のプラズマ還元用に構成されている;
システム。
【請求項21】
前記原子層堆積及び前記プラズマ還元反応の双方において前記基板を保持するように構成された基板ステージ;
を更に有する請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
ガス供給口を有する第1のチャンバーアセンブリ;及び
前記基板ステージを支持し、且つ前記処理チャンバーの排気用の真空ポンプを支持するように構成された第2のチャンバーアセンブリ;
を更に有する請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の処理空間は、前記基板ステージの最上部から前記第1のチャンバーアセンブリの前記ガス供給口まで20mm以下の間隔によって部分的に定められ、且つ
前記第2の処理空間は、前記基板ステージの最上部から前記第1のチャンバーアセンブリの前記ガス供給口まで20mm以上の間隔によって部分的に定められる、
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1及び第2の処理空間の容積を変化させる方向に前記基板ステージを移動させるように構成された処理容積調整機構;
を更に有する請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2の処理空間は、高さの幅に対するアスペクト比が0.1より大きい空間を有する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記第2の処理空間は、高さの幅に対するアスペクト比が0.5より大きい空間を有する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の処理空間の周辺端部を囲むように構成されたシールド;
を更に有する請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記シールドは有孔シールドから成る、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記原子層堆積及び前記プラズマ還元反応の双方において前記基板を保持するように構成された基板ステージ;
を更に有し、
前記基板ステージは、前記周辺端部で前記シールドと接触するように構成された周辺突出部を有する、
請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記周辺突出部は前記周辺端部の封止を形成するように構成されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
少なくとも前記第1の処理空間を排気するように構成された真空ポンプ;
を更に有する請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記処理チャンバーは、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属珪化物膜、若しくは金属炭窒化物膜のうちの少なくとも1つ、又はこれらの膜の何れか1つの組み合わせ、の原子層堆積用に構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項33】
ジルコニウム酸化物膜、ハフニウム酸化物膜、シリコン酸化物膜、シリコン窒化物膜、チタン窒化物膜、タンタル窒化物膜、タンタル炭窒化物膜、Cu膜、Al膜、Zn膜、Ta膜、Ti膜、W膜、タングステン窒化物膜、若しくはGaN膜のうちの少なくとも1つ、又はこれらの膜の何れか1つの組み合わせ、の原子層堆積用に構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項34】
0.1MHzから100MHzまでの或る周波数のRFエネルギーを出力するように構成されたRF電源;
を更に有する請求項20に記載のシステム。
【請求項35】
前記RF電源に接続され、前記第1及び第2の処理空間の少なくとも一方内に前記RFエネルギーを結合させるように構成された電極;
を更に有する請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
DC電圧、又は0.1MHzから100MHzまでの或る周波数のRF電圧の少なくとも一方を出力するように構成されたバイアス源;
を更に有する請求項20に記載のシステム。
【請求項37】
前記基板にバイアスを印加するように構成された電極であり、RFバイアス源に接続され、前記基板上に前記RF電圧を結合させるように構成された電極;
を更に有する請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記処理チャンバー内でのプロセスを制御するように構成されたコントローラ;
を更に有する請求項20に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラは:
前記第1の処理空間に気体状の薄膜前駆体を導入し;
前記基板を保持する基板ステージの位置を前記第2の処理空間の底面を定める位置まで移動させて、拡大処理空間を形成し;
前記拡大処理空間内に還元ガスを導入し;且つ
前記還元ガスから還元プラズマを形成する;
ようにプログラムされている、請求項38に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−521594(P2009−521594A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541231(P2008−541231)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/043545
【国際公開番号】WO2007/061633
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】