説明

プラズマCVD装置およびプラズマCVD方法

【課題】異常放電を抑制し、発生するパーティクルが膜に混入することを防ぎ、均一で高品質な薄膜を形成できるプラズマCVD装置および方法を提供する。
【解決手段】真空容器内に、メインロール6と、プラズマ発生電極7とを備え、長尺基材を前記メインロールの表面に沿わせて搬送しながら前記長尺基材の表面に薄膜を形成する真空成膜装置であって、前記メインロールと前記プラズマ発生電極とで挟まれる成膜空間を囲むように、前記成膜空間を挟んで前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側に、前記長尺基材の幅方向に延在する少なくとも1枚ずつの側壁8を設け、前記側壁は前記プラズマ発生電極とは電気的に絶縁されており、前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側のいずれか一方の側壁に、前記長尺基材の幅方向に一列に並んだ複数のガス供給孔が形成するガス供給孔列9を1列以上備えるプラズマCVD装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺基材とプラズマ発生電極との間隙にプラズマを生成し、形成したプラズマを用いて供給した原料ガスを化学反応させ、長尺基板表面に薄膜を形成するプラズマCVD装置およびプラズマCVD方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子フィルム基材などの長尺基材を搬送できる真空容器内において、プラズマ発生電極に直流電力または高周波電力を印加してプラズマを形成し、このプラズマによって原料ガスを化学反応させ、所望の薄膜を形成するプラズマCVD装置およびプラズマCVD方法は、これまで多く検討されてきた。
【0003】
従来の長尺基材向けのプラズマCVD装置の一例を、図6を使って説明する。真空容器P1内において、長尺基材(原反)P5は、巻き出しロールP2からガイドロールP4、メインロールP6、別のガイドロールP4、巻き取りロールP3の順に搬送される。メインロールP6の近傍には、プラズマ発生電極P7が備えられている。原料ガスは、配管P9を通じてノズルP8よりメインロールP6とプラズマ発生電極P7の間に供給される。電源P11よりプラズマ発生電極P7に電力が印加されると、プラズマ発生電極P7とメインロールP6の間にプラズマが発生し、原料ガスが分解され、成膜物質が生成する。このようにして、メインロールで搬送される長尺基材P5表面に連続的に薄膜が成膜される。
【0004】
特許文献1では、プラズマ発生電極として、メインロールに対向する面だけに開口した箱型の反応管(反応室)にメッシュ電極を配置したものが使用されている。メインロール内の反応管側および、メッシュ電極のメインロールとは反対側に磁石を具備しており、成膜空間に磁場を発生させることによって高密度プラズマを形成し、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜の成膜速度を向上させる装置が開示されている。
【0005】
特許文献2では、プラズマ発生電極の内部に磁石が配置されていることに加え、プラズマ発生電極の冷却ドラム側に対向する面に、ホロカソード放電を発生させるための噴出孔が形成されている。プラズマ発生電極表面にプラズマを集中させることによって、プラズマによる長尺基材へのダメージを抑制する。
【0006】
ところでプラズマCVDでは、原料ガスをプラズマにより分解する際、成膜には使われず、成膜空間で凝集し、固体化したパーティクル(ダスト)が発生する。このパーティクルは、成膜中の薄膜に混入して膜質を劣化させるだけでなく、放電電極などに付着して表面の形状を変化させる。パーティクルの付着によって放電電極の表面形状が変化すると、放電電極と基材の間に発生する電界が変化し、結果として成膜速度や膜質の均一性が損なわれてしまう。さらに、パーティクルによる汚れを除去するために装置のクリーニングを頻繁に行わなければならなくなり、生産性も低下する。
【0007】
特許文献1では、原料ガスを反応管に供給し、プラズマで分解および成膜を行う。成膜に使用されなかった残りのガスは、排気装置により真空容器外へ排気される。パーティクルの膜中への混入を抑制するためには、気相中で生成したパーティクルを基材に到達する前に、成膜空間外へ排出してしまうことが有効であるが、特許文献1では排気方法について明確な記載がない。更に、ガスを基材の鉛直方向下側より供給している。本発明者の知見によれば、このようなガスの供給方法ではプラズマ中で発生したパーティクルが基材に付着しやすい。一方、ガスを基材と略平行の方向に供給し、排気すると、パーティクルは基材方向に飛び難くなる。
【0008】
また、特許文献2では、気相でのパーティクル生成を抑制するために、真空容器内の圧力を1Pa以下とすることが好ましいとしているが、装置構造としてのパーティクル対策については記載されていない。さらに、原料であるシラン化合物は原料導入パイプ(原料噴出部)から供給するとあるが、このようにプラズマ領域付近にパイプのような突起物を配置すると、特に高周波電力を使用する場合において、異常放電の原因となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−251851号公報
【特許文献2】特開2008−274385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点を鑑みてなされたものであり、長尺基材を搬送しながら長尺基材表面に薄膜を成膜するプラズマ処理装置および方法において、異常放電を抑制し、発生するパーティクルが膜に混入したり電極に付着することを抑制し、均一で高品質な薄膜を形成できるプラズマCVD装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るプラズマCVD処理装置は、次の通りである。
【0012】
真空容器内に、メインロールと、プラズマCVD電極とを備え、長尺基材を前記メインロールの表面に沿わせて搬送しながら前記長尺基材の表面に薄膜を形成するプラズマCVD装置であって、前記メインロールと前記プラズマ発生電極とで挟まれる成膜空間を囲むように、前記成膜空間を挟んで前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側に、前記長尺基材の幅方向に延在する少なくとも1枚ずつの側壁を設け、前記側壁は前記プラズマ発生電極とは電気的に絶縁されており、前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側のいずれか一方の側壁に、ガス供給孔を備えるプラズマCVD装置を提供する。
【0013】
また、上述した装置であり、前記ガス供給孔が、前記長尺基材の幅方向に一列に並んだガス供給孔を備え、前記ガス供給孔列を1列以上備える、プラズマCVD装置を提供する。本発明における一列とは、ガス供給孔列の中心線から各ガス供給孔の中心が孔径の数倍の範囲でばらついていても良く、例えば細かく見ると格子状やランダムに孔が並んでいても、巨視的に見た時に一列と見なせれば一列と呼ぶ。
【0014】
また、上述した何れかの装置であり、前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側に設けられた側壁であって前記ガス供給孔が設けられた側壁とは反対側の側壁に排気口を備え、排気口には複数の排気孔を設けてある、プラズマCVD装置を提供する。
【0015】
また、上述した何れかの装置であり、前記ガス供給孔を前記長尺基材の搬送方向の上流側の側壁に備え、前記排気口を前記長尺基材の搬送方向の下流側の側壁に備える、プラズマCVD装置を提供する。
【0016】
また、上述した何れかの装置であり、前記ガス供給孔列が2列以上であり、少なくとも最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔列は、他のガス供給孔列が供給するガスとは異なる種類のガスが供給可能である、プラズマCVD装置を提供する。
【0017】
また、上述した何れかの装置であり、前記プラズマ発生電極表面に磁束を発生させるための磁石がプラズマ発生電極内に備えられている、プラズマCVD装置を提供する。
【0018】
また、上述した何れかの装置であり、前記ガス供給孔列のうち、重合性ガスを供給するための供給孔が、絶縁物で形成された絶縁ガス供給孔である、プラズマCVD装置を提供する。
【0019】
また、上述した何れかの装置を用いて、前記ガス供給孔または前記ガス供給孔列から原料ガスを供給し、前記プラズマ発生電極によりプラズマを生成させて搬送中の長尺基材に薄膜を形成する、プラズマCVD方法を提供する。
【0020】
また、上述した装置のうち、前記ガス供給孔列が2列以上であり、少なくとも最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔列は、他のガス供給孔列が供給するガスとは異なる種類のガスが供給可能であるプラズマCVD装置を用いて、少なくとも最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔列からは、他のガス供給孔列が供給する原料ガスとは異なる種類のガスを供給するプラズマCVD方法を提供する。
【0021】
また、上述した装置を用いて、前記ガス供給孔列のうち最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔から供給されるガスは非反応性ガスのみとし、それ以外のガス供給孔列の何れかからは分子中にSi原子またはC原子を含むガスを少なくとも含むガスを供給し、前記プラズマ発生電極によりプラズマを生成させて搬送中の前記長尺基材に薄膜を形成する、プラズマCVD方法を提供する。
【0022】
また、上述したプラズマCVD方法のうち、前記ガス供給孔のうち、少なくとも一つが、前記ガス供給孔が絶縁物で形成された絶縁ガス供給孔であるプラズマCVD装置を用いて、分子中にSi原子またはC原子を少なくとも含むガスを、前記絶縁ガス供給孔列から供給するプラズマCVD方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、長尺基材を搬送しながら基材表面に薄膜を生成するプラズマCVD装置において、異常放電の発生が少なく、気相中で生成されるパーティクルが膜に混入することを抑制することが可能なプラズマCVD装置が提供される。本発明のプラズマCVD装置を用いることにより、不要な高分子量物質やパーティクルなどの成膜される膜への混入が抑制された環境で成膜できるため、欠陥の少ない高品質な薄膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明のプラズマCVD装置の一例の概略断面図である
【図2】図2は、本発明のプラズマCVD装置の一例のプラズマ発生電極部分拡大斜視図である。
【図3】図3は、本発明のプラズマCVD装置の一例のガス給気部分拡大図である。
【図4】図4は、本発明のプラズマCVD装置の別の一例の概略断面図である。
【図5】図5は、本発明のプラズマCVD装置の更に別の一例の概略断面図である。
【図6】図6は、従来のプラズマ処理装置の一例の概略断面図である。
【図7】図7は、本発明のプラズマCVD装置の更に別の一例のプラズマ発生電極部分拡大斜視図である。
【図8】本発明のプラズマCVD装置の一例を示す概略断面図である。
【図9】本発明のプラズマCVD装置におけるプラズマ発生電極の拡大斜視図である。
【図10】本発明の長尺基材の搬送方向の下流側の側壁の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の長尺基材の搬送方向の下流側の側壁の別の一例を示す概略図である。
【図12】本発明のプラズマ発生電極の内部を示す水平方向断面図である。
【図13】本発明における長尺基材の搬送方向の上流側の側壁の一例を示す概略図である。
【図14】本発明における長尺基材の搬送方向の上流側の側壁の別の一例を示す概略図である。
【図15】比較例における長尺基材の搬送方向の上流側の側壁を示す概略図である。
【図16】比較例における長尺基材の搬送方向の上流側の側壁を示す外略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の最良の実施形態の例を、酸化珪素膜を成膜するプラズマCVD装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明のプラズマCVD装置の一例の概略断面図である。
【0027】
図1において、本発明のプラズマCVD装置E1は、真空容器1を有する。真空容器1には、排気装置12が接続されている。真空容器1の内部には、巻き出しロール2と巻き取りロール3が備えられており、長尺基材5を巻き出してメインロール6まで搬送するためのガイドロール4が配置されている。メインロール6は、冷却機構等の温度調整機構を備えていても構わない。メインロール6を通った長尺基材5は、別のガイドロール4を経て、巻き取りロール3に巻き取られる。
【0028】
プラズマ発生電極7の位置は、メインロール6とプラズマ発生電極7が対向するように配置できれば、真空容器1内の構造を考慮して自由に選定できる。また、プラズマ発生電極7の長尺基材5に対向する面の大きさ(広さ)も、長尺基材5の幅を考慮して選定できるが、長尺基材5の端部まで成膜する場合は、長尺基材5の幅よりもプラズマ発生電極7の長尺基材5の幅方向の長さが大きくなる方が、成膜面が幅方向に広くなるので好ましい。また、プラズマ発生電極7は、絶縁物13によって、真空容器1と絶縁されている。
【0029】
プラズマ発生電極7には、電源11が接続されている。電源11としては、高周波電源、パルス電源、DC電源など任意のものを使用することができる。高周波電源を用いる場合の周波数も、任意のものとすることができる。VHF帯の高周波電源は、低電子温度かつ高密度のプラズマが生成し易いため、用いる高周波電源として好適である。高周波電源の出力に、パルス変調や振幅変調などをかけても良い。
【0030】
長尺基材5の搬送方向に対して上流側と下流側に、プラズマ発生電極7を挟んで一枚ずつ側壁8aと8bが配置されている。この2枚の側壁8aおよび8bは、プラズマ発生電極7とは電気的に絶縁されている。このようにすることで、メインロール6、プラズマ発生電極7、側壁8aおよび8bで囲まれた領域、すなわち成膜空間に、プラズマを局在させて発生させることができる。このプラズマの局在化により、電源11から投入した電力は有効に成膜種生成に用いられるため、成膜効率が向上するだけでなく、真空容器1の内部の壁などへの不要な膜付着が防止できるため、好ましい。側壁8aおよび8bの材質については特に限定されないが、強度や耐熱性およびプラズマの局在生成の観点から、ステンレスやアルミニウムなどの金属を用いることが好ましい。また、2枚の側壁8aと8bは、導線などの導体で接続するなどして同電位にしておいて構わない。さらに、2枚の側壁8aおよび8bの電位は、接地電位にするとプラズマが良好に成膜空間に閉じ込められるため、より好ましい。また、2枚の側壁8aおよび8bを接地電位とせずに、電源11として2端子の非接地出力が可能な電源を用いて、出力の一方の端子をプラズマ発生電極7に、他方の端子を2枚の側壁8aおよび8bに接続することも、側壁8aおよび8bに薄膜が付着しても長時間安定に放電を継続することができるため、好ましい形態である。
【0031】
側壁8aまたは側壁8bのどちらか一方に原料ガスを供給するためのガス供給孔が設けられ、その側壁にガス管が取り付けられている。ガスの供給を一方向とすることで、両側面から導入するよりもガスの流れが安定する。ガス供給孔から導入された原料ガスは、プラズマ領域である成膜空間にて反応し、長尺基材5上に薄膜を形成する。ガス供給孔の内径は、ガス供給孔へのプラズマ進入による放電状態の安定性などの観点から、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、加工コスト等も加味して考えると0.5mm以上3mm以下であることがより好ましい。
【0032】
長尺基材5搬送方向の上下流の側壁に挟まれ、かつ搬送方向に延在する側壁がない場合、薄膜形成に使われなかった排ガスは、主にガス供給孔を備えていない方の側壁(図1、2では側壁8b)とメインロールの間隙および搬送方向に開いた部分より成膜空間から排気される。
【0033】
図2は、図1のプラズマCVD装置E1におけるプラズマ発生電極7および側壁8a、8b部分の拡大斜視図である。
【0034】
側壁8a、8bの大きさは、プラズマ発生電極7の大きさと、プラズマ発生電極7とメインロール6との距離によって任意に決めてよい。側壁8a、8bは、プラズマ発生電極7の側面(図1、2において、プラズマ発生電極7の左右)と間隙を持っている。その間隙の幅は、間隙での異常放電を抑制する目的で、1〜5mmであることが好ましい。側壁は図では2枚だが、搬送方向に延在する側壁(図1、2において、プラズマ発生電極7の手前と奥)を用意し、プラズマ発生電極7を箱のように囲っても良い。現実的には、メインロール6の幅方向に長い場合が多く、それに応じてプラズマ発生電極7および側壁8a、8bもメインロール幅方向に長くなる。そのため、プラズマを囲い込むという目的において重要な意味を持つのは長尺基材5の搬送方向上下流側の側壁である。しかしながら、プラズマをより確実に囲い込むためには、搬送方向に延在する側壁がある方がより好ましい。
【0035】
ガス供給ムラを防ぐためには、図2のように、ガス供給孔が長尺基材5の幅方向に並んだガス供給孔列9を形成することが好ましい。プラズマ発生電極7上部に均一にガスを供給するため、ガス供給孔は前記長尺基材5の幅方向に一列に並んでいる方が好ましい。ガス供給孔の並び方に厳密な制限は無く、例えば前記長尺基材5の幅方向に斜めに並んでいても、微視的に見て格子状に並んでいても構わない。しかしながら、複数のガスを別の給気孔列9から導入する場合を考えると、簡易な構成で作製できるので長尺基材の幅方向に一列に並んでいる方が好ましい。また、ガス供給孔が並ぶ間隔も任意に決めて良いが、本発明者らの知見によると、成膜ムラなどの観点から、ガス供給孔の間隔は50mm未満であることが好ましい。
【0036】
ガス供給機構の一例として、図3(a)にガス供給孔列9およびその周辺の拡大断面図、図3(b)にガス供給孔列9およびその周辺の拡大背面図を示す。側壁8aには、任意の間隔と個数でガスが吹き出す貫通孔が設けてある。側壁8aにおいて、プラズマ発生電極7と反対側の面には、ガス管14が取り付けられている。ガス管14には、側壁8aに設けた貫通孔に対応する箇所に、側壁8aの貫通孔よりも小さな孔が設けられている。側壁8aの貫通孔をガス管14の孔より大きくすると、ガス管14から成膜領域へガスが通りやすくなるため好ましい。ガス管14に取り付けられたガスパイプ15より原料ガスが導入され、ガス管14より各ガス供給孔へ分散され均一に供給できるが、ガス供給機構はこれに限定されるものではない。
【0037】
長尺基材5搬送方向の上下流の側壁に挟まれ、かつ搬送方向に延在する側壁がある場合、ガス供給孔列9を備えていない方の側壁(図1、2では側壁8b)とメインロールの間隙から主に排気される。メインロール6と側壁の間隔を狭くした場合には、間隙よりガスを排気し難くなる場合がある。そのため、ガス供給孔列と反対側の側壁にガス排気用のガス排気口10が設けられていると、メインロールと側壁8bの間隔を狭くした場合でも速やかに排ガスを排気でき、効率よくパーティクルを排出できるので、より好ましい。
【0038】
ガス排気口10は、パーティクルを効率よく排気するために、排気装置12の接続口の近くに配置されるか、可能であればガス排気口10と排気装置12の接続口をダクトで繋ぐことが好ましい。ガス排気口10の形状、大きさ、個数については特に制限されないが、長尺基材5の幅方向に均一にガスが排気されるように排気口10を配置することが好ましく、ガス排気口10はガス給気孔列9を側壁8b上へプラズマ発生電極7表面に対して水平方向に投影した点を内包する範囲で開口しているとより好ましい。側壁8bに設けた排気口10の例を図10および図11に示す。排気口10として、図10に示すような長方形の開口を1個設けるもののほか、図11のように円形の開口を複数個設けるものなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
また、ガス排気口10で異常放電が起こる場合があるので、放電安定化のためにガス排気口10にはガスの流れを妨げない程度に複数の排気孔を有する方が好ましい。プラズマを成膜空間に局在化させることが可能となり、真空容器1内部の不要な場所での放電が発生することがなく、プラズマを安定して生成することができる。また、真空容器1の内壁への膜付着による汚れを防止でき、メンテナンス性が向上する。この複数の排気孔の形成は、例えば金属メッシュをガス排気口10に張るなどすることが簡便ではあるが、絶縁物に細かい孔を形成する等しても良い。金属メッシュを張る場合においても、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなど、任意の材質を用いることができる。またメッシュの目の粗さは、プラズマの漏洩の観点から0.1mm以上3mm以下が好ましく、排気の流れなどの観点も併せて考えるとメッシュのピッチは0.5mm以上、また開口率は30%以上であることが好ましい。
【0040】
本発明のプラズマCVD装置では、真空容器1内の圧力は低圧に保たれ、分子流に近い領域で成膜が行われるため、メインロール6の回転による随伴流は発生し難い。そのため、ガスの導入方向については、長尺基材5およびプラズマ発生電極7の間に長尺基材5と略平行に導入できれば良い。成膜速度の向上目的等で成膜圧力を上げたい場合は、ガスの流れが粘性流に近くなってくることを考慮し、ガスの供給は長尺基材5の搬送方向上流から導入し、ガス排気口10は搬送方向下流側に配置することが好ましい。
【0041】
図4は、本発明のプラズマ処理装置の別の一例を示す第2のプラズマCVD装置E2の概略断面図である。
【0042】
図4の例においては、ガス供給孔列9を2列以上とし、最もプラズマ発生電極7の表面(図4における、プラズマ発生電極の上面)に近い1列については、他のガス供給孔列9から供給するガスとは異なる種類のガスを供給できるようにする。これにより、プラズマ発生電極7に近い領域、遠い領域と分けてガスを供給することができ、パーティクルを発生させやすい反応性ガスをプラズマから遠い領域へ分けて供給することができ、成膜空間内のガスの分解や薄膜の形成における反応状況を制御できるため、好ましい。また、プラズマ発生電極7に近い領域に非反応性ガスを導入することで、電極表面の汚れを軽減できる。ここで反応性ガスとは、そのガス単独でもプラズマにより分解して生成した活性種同士の結合により薄膜や微粒子などの重合物を形成しうるガスのことである。このような反応性ガスとして具体的には、シラン、ジシラン、TEOS(テトラエトキシシラン)、TMS(テトラメトキシシラン)、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、非反応性ガスとは、そのガス単独ではプラズマにより分解して生成した活性種同士が結合して重合物を形成することのないようなガスのことである。このような非反応性ガスとして具体的には、ヘリウムやアルゴン等の希ガス、窒素、酸素、水素、などのガスをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、ガス配管14は、最もプラズマ発生電極7の上面に近い1列と、その他の供給孔列9との少なくとも2つが取り付けられる。
【0044】
側壁8aが複数のガス供給孔列9を持つ場合も、ガス排気口10の形状、大きさ、個数については特に制限されないが、長尺基材5の幅方向に均一にガスが排気されるように排気口10を配置することが好ましい。ガスの排気をムラなく行うために、ガス給気孔列9を側壁8b上へプラズマ発生電極7表面に対して水平方向に投影した点を内包する範囲でガス排気口10が開口している方がより好ましい。
【0045】
図4のプラズマ処理装置E2における他の構成要素は、図1のプラズマ処理装置E1の構成要素と同じため、あるいは、実質的に同じであるため、図1における要素符号と同じ符号が、図4においても用いられている。以下、他の図の相互間においても同じである。
【0046】
図5は、本発明のプラズマCVD装置の別の一例を示す第3のプラズマCVD装置E3の概略断面図である。
【0047】
図5の例においては、プラズマ発生電極7表面(図5における、プラズマ発生電極7の上面)に磁束を発生させるための磁石16が、プラズマ発生電極7内に備えられている。このとき、前記磁石により前記プラズマ発生電極7の表面に形成される磁場は、マグネトロン磁場を形成するとより好ましい。図12はプラズマ発生電極の内部を示す水平方向断面図である。マグネトロン磁場とは、図12に示すようにプラズマ発生電極7の内部に中央磁石22aと外周磁石22bを配置し、中央磁石22aと外周磁石22bの極性を逆にすることで、プラズマ発生電極7の表面に発生する磁場を表す磁力線の形状をレーストラック形状のトンネル型としたものである。このようなマグネトロン磁場の存在によるプラズマ閉じ込めおよび電離促進の効果によって、プラズマ発生電極7の表面に高密度のプラズマを生成することができ、成膜に寄与する活性種の生成を促進することができるため、好ましい。また、プラズマ形成中に熱が発生して磁石16が減磁する場合があるので、プラズマ発生電極内には冷却水流路17が形成されていることが好ましい。
【0048】
図7は、プラズマCVD装置E1におけるプラズマ発生電極および側壁8a、8b部分の別の一例を示す拡大斜視図である。
【0049】
図7の例においては、側壁8aまたは側壁8bのどちらか一方に形成された原料ガスを供給するための絶縁ガス供給孔列18が、アルミナ等の絶縁物で形成されている。絶縁物でガス供給孔を形成するには、所望のサイズの孔が開いたセラミックをはめ込んだり、セラミックを溶射したりといった方法が好ましい。絶縁物でガス供給孔列が形成されることにより、ガス供給孔列18へのプラズマの侵入がさらに抑制される。
【0050】
図8は、本発明のプラズマCVD装置の別の一例を示す第4のプラズマCVD装置E4の概略断面図である。図8の装置構成は、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aとプラズマ発生促進型ガス供給口19b以外の部分に関しては図4の装置構成と実質的に同じである。また、プラズマ発生電極7についても、導電性物体に電力を印加して放電を発生させるという機能を備えている点で、図4と図8のプラズマ発生電極7は機能的に同じである。また、図9は、プラズマCVD装置E4のプラズマ発生電極7の拡大斜視図である。
【0051】
プラズマCVD装置E4において、ガス供給口は、プラズマの発生を抑制しながらガスを供給するプラズマ発生抑制型ガス供給口19aと、プラズマの発生を促進させながらガスを供給するプラズマ発生促進型ガス供給口19bから構成される。
【0052】
プラズマ発生抑制型ガス供給口19aとは、ガス供給口の内部にプラズマを発生させることなくガスを成膜空間へ放出する機能を持つガス供給口のことである。プラズマ発生抑制型ガス供給口19aから供給されるガスは、ガス供給口の内部ではプラズマによる分解や励起の作用を受けることなく成膜空間に放出され、成膜空間内のプラズマによって初めて分解や励起の作用を受ける。
【0053】
また、プラズマ発生促進型ガス供給口19bとは、ガス供給口の内部にプラズマを積極的に発生させながらガスを成膜空間へ放出する機能を持つガス供給口のことである。プラズマ発生促進型ガス供給口19bから供給されるガスは、ガス供給口の内部に発生したプラズマによって分解や励起の作用を受けた後に成膜空間に放出され、さらに成膜空間内のプラズマによって分解や励起が促進される。
【0054】
このようなガス供給口の構成は、2種類以上の原料ガスを用いる場合に特に有効に機能する。とりわけ、原料ガスとして反応性のガスと非反応性のガスを同時に供給して成膜を行う場合において大きな効果を発揮する。
【0055】
ここで、原料ガスとして反応性ガスであるTEOSと非反応性ガスである酸素を用いて、SiO薄膜を形成する例を考える。この場合、反応性ガスであるTEOSをプラズマ発生促進型ガス供給口19bから供給すると、ガス供給口内でTEOSの分解種が生成されると共にそれらの重合反応も起こり、ガス供給口の内壁に重合物が付着し、ガス供給口からのガス供給量が不安定になったり、ガス供給口が詰まってしまうなどといった問題が発生するため、好ましくない。このような問題を回避するために、反応性ガスを供給するためのプラズマ発生抑制型ガス供給口19aを備えることが好ましい。一方、非反応性ガスである酸素は反応性ガスのようにガス供給口を詰まらせる恐れは無く、また成膜速度および膜質の向上の観点からは非反応性ガスの分解励起をできる限り促進しておくことが好ましい。このような理由から、非反応性ガスを供給するためのプラズマ発生促進型ガス供給口19bを備えることが好ましい。
【0056】
プラズマ発生抑制型ガス供給口19aとしては、例えばプラズマがガス供給口内に入り込まない程度に開口部が十分狭くなっているものであればよく、孔状のガス供給口であって内径が十分小さいものや、スリット状のガス供給口であってスリット間隙が十分狭いものなどをあげることができる。また、ガス供給口の開口部やガス供給口の内部空間がたとえ広いものであっても、ガス供給口の内部に多孔質セラミックスやスチールウールなどのガス透過性物質を充填しておけば、プラズマ発生抑制型ガス供給口として適用できる。
【0057】
本発明では、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aとして、内径の小さい複数の孔、すなわち複数の小径ガス供給孔を用いることが好ましい。孔状であれば加工が容易であり、また側壁8aの温度がたとえ上昇したとしても孔の形状が変形することなくガスを安定して供給することができるため、好ましい。ここで、小径ガス供給孔の内径は、0.1mm以上3mm以下であることが好ましい。プラズマ発生抑制型ガス供給口が孔状の場合、小径ガス供給孔の内径が0.1mm以上であると、穴あけ加工のコストが軽減でき、ガス供給孔内に入り込んでしまった異物などによる閉塞のリスクも小さくなる。よって0.1mm以上の孔径が好ましく、より好ましくは0.5mm以上が良い。また、内径が3mm以下であると、ガス供給口内にプラズマが侵入してしまう可能性が低く、プラズマの発生を十分に抑制できる。
【0058】
プラズマ発生促進型ガス供給口19bとしては、例えばプラズマがガス供給口内に入り込めるように開口部が十分広くなっているものであればよく、孔状のガス供給口であって内径が十分大きいものや、スリット状のガス供給口であってスリット間隙が十分広いものなどをあげることができる。
【0059】
本発明では、プラズマ発生促進型ガス供給口19bとして、内径の大きい複数の孔、すなわち複数の大径ガス供給孔を用いることが加工の容易性の観点から好ましい。ここで、大径ガス供給孔の内径は、4mm以上15mm以下であることが好ましい。この範囲であれば、供給口内に入り込んだプラズマはホロー放電効果によりプラズマ密度が高められ、ガスの分解や励起を促進することができるため、好ましい。本発明者らの知見によると、大径ガス供給孔の内径が4mm以上であると供給口内にプラズマが入り込みやすく、また内径が15mm以下であると供給口内でのホロー放電効果が強くなりやすい。よって供給孔内のプラズマ密度が十分高くなり、プラズマ発生が促進されやすくなる。
【0060】
側壁8aにおけるプラズマ発生抑制型ガス供給口19aおよびプラズマ発生促進型ガス供給口19bの配置については、それぞれのガス供給口が前記長尺基材5の幅方向に並んでいることが、ガス供給状態の長尺基材5における幅方向均一性の確保が容易となるため、好ましい。このとき、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aは前記長尺基材5の幅方向に並んだ1列以上のプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aを形成するようにするとよい。
【0061】
また、プラズマ発生促進型ガス供給口19bも前記長尺基材5の幅方向に並んだ一列以上のプラズマ発生促進型ガス供給口列19bを形成するようにするとよい。
【0062】
また、メインロール6に最も近い位置に配置されているガス供給口が、プラズマ発生促進型ガス供給口19bであることが好ましい。一般的に、プラズマ発生電極7に電力を印加して成膜空間にプラズマを生成した場合、プラズマ発生電極7近傍に密度の高いプラズマが形成されることが多い。一方長尺基材5の近傍のプラズマについては、それほど高密度化されない。プラズマ発生電極7と長尺基材5との距離が離れている場合は、プラズマ発生電極7の近傍と長尺基材5の近傍とでプラズマ密度の差が顕著となる。長尺基材5の近傍でのプラズマ密度を高めたい場合、本発明に示すように、メインロール6に最も近い位置に配置されているガス供給口を前記プラズマ発生促進型ガス供給口19bとすることで、長尺基材5の近傍にも高密度のプラズマを分布させることができるようになるため、好ましい。
【0063】
なお、プラズマ発生電極7への汚れ対策として、前記プラズマ発生電極7に最も近い位置に配置されているガス供給口を、前記プラズマ発生促進型ガス供給口19bとすることも可能である。このような構成において、プラズマ発生促進型ガス供給口19bから非重合性ガスを供給すれば、ガス供給口の内部に発生したプラズマによってプラズマ発生電極7の近傍のプラズマがさらに高密度化できるだけではなく、プラズマ発生促進型ガス供給口19bからの非重合性ガスの流れによりプラズマ発生電極7への汚れの付着を低減することができる。
【0064】
プラズマCVD装置E4においても、2枚の側壁のうち、前記プラズマ発生抑制型ガス供給口19aおよび前記プラズマ発生促進型ガス供給口19bを有する側壁8aとは反対側の側壁8bに排気口10が設けられていることが好ましい。
【0065】
さらに、前記プラズマ発生電極7の内部の磁石と前記側壁8aに設けたプラズマ発生促進型ガス供給口19bとを共に用いると、プラズマ発生電極7の表面だけでなく前記側壁8aに設けたプラズマ発生促進型ガス供給口19bの内部でも高密度のプラズマが発生し、相乗効果により成膜に寄与する活性種の生成がさらに促進されるため、より好ましい。
【0066】
E4のようなプラズマCVD装置を用いれば、品質の高い薄膜を長時間安定にかつ生産性高く形成可能であり、好ましい。
【0067】
CVD方法の例として、酸化珪素膜を製造する方法の具体例を次に説明する。
【0068】
酸化珪素膜形成方法の第1の実施形態は、図1に示すプラズマCVD装置E1および、E1において図7に示す絶縁ガス供給孔列18を用いた場合のプラズマCVD装置を使用した製造方法である。その例として、図1のプラズマCVD装置E1を使用した場合について記載する。
【0069】
プラズマCVD装置E1を用いて、長尺基材5上に、酸化珪素膜を形成する。プラズマCVD装置E1の巻き出しロール2に、長尺基材5をセットし、ガイドロール4とメインロール6に巻き付けて、巻き取りロール3まで渡す。ガス排気装置12により、真空容器1内のガスを十分に排気する。その後、珪素を含む原料ガスと酸素をガスパイプ15からガス管14へ導入し、プラズマ形成領域にガス給気孔列9によりガスを給気する。真空容器1内を、所望のプラズマCVDを行う圧力に調整する。電源11からプラズマ発生電極7に電力を供給し、プラズマ発生電極7とメインロール6の間にプラズマを形成し、ガスを分解する。給気ノズルのような突起物が成膜空間付近にないため、異常放電が少ないプラズマを形成できる。使用したガスは、ガス排気口10より成膜空間の外に排気される。巻き出しロール2から巻き取りロール3へ長尺基材5を搬送し、長尺基材5上に酸化珪素膜を形成する。この際、排気口10には金属メッシュ等が張られている方が、ガスの排気を妨げることなく放電をプラズマ発生電極7近傍に閉じ込めることが出来るため、好ましい。
【0070】
酸化珪素膜を成膜する場合、原料ガスはSi原子またはC原子を分子中に含む反応性ガスを用いる。具体的には、シラン、ジシラン、TEOS(テトラエトキシシラン)、TMS(テトラメトキシシラン)、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。原料ガスは、酸素のほかに、アルゴン等の希ガスにより希釈されていてもよい。
【0071】
以上のようにして長尺基材5上に形成した酸化珪素膜は、均一で、パーティクルの混入が少なく良質である。
【0072】
酸化珪素膜形成方法の第2の実施形態は、図4、図5に示すプラズマCVD装置E2、E3を使用した製造方法である。その例として、図4のプラズマCVD装置E2を使用した場合について記載する。
【0073】
プラズマCVD装置E2を用いて、長尺基材5上に、酸化珪素膜を形成する。プラズマCVD装置E2の巻き出しロール2に、長尺基材5をセットし、ガイドロール4とメインロール6に巻き付けて、巻き取りロール3まで渡す。ガス排気装置12により、真空容器1内のガスを十分に排気する。ガス供給孔列9を2列以上設け、プラズマ発生電極7の表面から最も近いガス供給孔列9については、他のガス供給孔列とは異なるガス
を供給すると、電極にパーティクルが付着し難くなるため、好ましい。真空容器1内を、所望のプラズマCVDを行う圧力に調整する。電源11からプラズマ発生電極7に電力を供給し、プラズマ発生電極7とメインロール6の間にプラズマを形成し、ガスを分解する。使用したガスは、ガス排気口10より成膜空間の外に排気される。巻き出しロール2から巻き取りロール3へ長尺基材5を搬送し、長尺基材5上に酸化珪素膜を形成する。この際、排気口10には金属メッシュ等が張られている方が、ガスの排気を妨げることなく放電をプラズマ発生電極7近傍に閉じ込めることが出来るため、好ましい。
【0074】
プラズマ発生電極7より遠いガス供給孔列9より、Si原子またはC原子を分子中に含む重合性ガスを供給すし、プラズマ発生電極7に最も近いガス供給孔列9からはアルゴンやヘリウムなどの非重合性ガスを供給すると、さらにパーティクルが電極に付着し難くなるのでより好ましい。Si原子またはC原子を分子中に含む重合性ガスとは、具体的には、シラン、ジシラン、TEOS(テトラエトキシシラン)、TMS(テトラメトキシシラン)、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
このようにして成膜することにより、電極付近にパーティクルの付着が起こりにくくなり、より安定して成膜を行うことが出来、膜へのパーティクル混入を抑制できる。
【0076】
酸化珪素膜形成方法の第3の実施形態は、図8および図9に示すプラズマCVD装置E4を使用した製造方法である。
【0077】
本発明では、減圧空間内に複数のガス供給口からガスを供給し、プラズマ発生電極7によりプラズマを発生させ、メインロール6表面に沿って搬送される長尺基材5の表面に薄膜を形成するプラズマCVD方法において、メインロール6とプラズマ発生電極7とで挟まれる成膜空間を長尺基材5の搬送方向の上流側および下流側から挟み込み、長尺基材5の幅方向に延在する2枚の側壁を設け、前記2枚の側壁のうちいずれか一方の側壁8aに、プラズマの発生を抑制しながらガスを供給するプラズマ発生抑制型ガス供給口19aと、プラズマの発生を促進させながらガスを供給するプラズマ発生促進型ガス供給口19bを設けることが好ましい。そして、プラズマ発生促進型ガス供給口19bからは、ガス供給孔内部にプラズマを入り込ませた状態で非重合性ガスを供給することが好ましい。また、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aからは、ガス供給孔内部にプラズマを入り込ませない状態でSi原子またはC原子を分子中に含む重合性ガスを少なくとも含むガスを供給することが好ましい。上記のような方法でガスの供給を行うことにより、非重合性ガスはガス供給口内部のプラズマにより強く活性化して長尺基材5の表面に供給することが可能となり、成膜速度の向上および膜質の改善が可能となるため好ましい。また、重合性ガスについてはガス供給口にプラズマが入り込まないため、ガス供給孔口で重合反応が起こってガス供給口が詰まるという問題が発生することがないため、好ましい。
【実施例】
【0078】
次に、上で述べたプラズマCVD装置E1、E2、E3を用いて薄膜を形成する方法の具体的実施の形態の例を以下に説明する。
[実施例1]
図1に示すプラズマCVD装置E1を用いて、上記酸化珪素膜形成方法の第1の実施形態に基づき、酸化珪素膜の成膜中のプラズマの様子および成膜後の電極の様子を観察した。
【0079】
プラズマCVD装置E1において、メインロール6は直径500mm、幅340mmである。プラズマ発生電極7は長さ236mm、幅80mm、厚さ6mmのチタン板と、長さ236mm、幅80mm、高さ30mmのSUSの箱を組み合せて形成した。SUSの箱の中には冷却水を流し、チタン板を冷却している。側壁8a、8bの厚みは3mmである。側壁8a、8bの高さは、プラズマ発生電極7のメインロール側表面より50mmとし、幅方向の長さは248mmとした。搬送方向に対して上流側にある側壁(図1の8a)にガス供給孔列9を形成した。各ガス供給孔の孔サイズは0.5mmであり、プラズマ発生電極7から40mmの高さに、両端34mm空けて45mm間隔で横1列に5個の孔を形成した。
【0080】
ガス供給孔のサイズについては、表1に示すように孔径0.1mm以上3mm以下であると、孔内で異常放電が発生することなく、また孔に異物などが進入して閉塞することもなく、安定してガス供給が出来るため好ましい。
【0081】
搬送方向に対して下流側(図1の8b)にはガス排気口10を設け、排気口には金属メッシュを張った。プラズマ発生電極7にはMF帯高周波電源が接続され、側壁8a、8bはそれぞれ接地した。基材として使用する長尺基板はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムである。
【0082】
酸化珪素膜の形成において、排気装置12により真空容器1内の圧力が1×10−3Pa以下になるまで排気した後、原料ガスと酸素、Arの混合ガスを原料ガス供給孔列9より導入した。原料ガスとして、HMDSO0.1g/minを図示しない気化供給機でキャリアガスであるAr100sccmを用いて気化し、酸素100sccmと混合した。圧力調整バルブにより、真空容器1内の圧力を30Paに調整した。巻き出しロール2から巻き取りロール3へと、PET原反を速度5m/minで搬送しつつ、プラズマ発生電極に周波数100kHzで500Wの電力を供給してプラズマを発生させ、酸化珪素膜をPET原反表面へ形成した。酸化珪素膜の成膜中のプラズマの様子および成膜後の電極の様子を観察した。
【0083】
表2に示すとおり、異常放電がない安定した成膜が行えた。
[実施例2]
図4に示すプラズマCVD装置E2を用いて、上記酸化珪素膜形成方法の第2の実施形態に基づき、酸化珪素膜の成膜中のプラズマの様子および成膜後の電極の様子を観察した。原料ガスを供給するためのガス供給孔列9は、実施例1と同様の位置に配置した。また、原料ガスを供給するガス供給孔列9よりも、プラズマ放電電極7側へ9mm離した位置にガス供給孔列9をもう1列形成し、そのガス供給孔列よりキャリアガスとは別のArを導入した。原料ガスとして、HMDSO0.1g/minを図示しない気化供給機でキャリアガスであるAr50sccmを用いて気化し、酸素100sccmと混合した。また、原料ガスとは別にAr50sccmを上記下段のガス供給孔列より供給した。それ以外の部分は実施例1と同様とした。
【0084】
表2に示すとおり、異常放電がなく安定した成膜が行えた。また、成膜後の電極汚れも軽減された。
[実施例3]
図5に示すプラズマCVD装置E3を用いて、上記参加珪素膜形成方法の第3の実施形態に基づき、酸化珪素膜の成膜中のプラズマの様子および成膜後の電極の様子を観察した。プラズマ発生電極7のSUSの箱の内部には幅10mm、高さ15mmのネオジム磁石16を配置し、冷却水流路17に冷却水を流した。それ以外の部分は実施例2と同様とした。
【0085】
成膜速度は磁石がない場合で45nm・m/minであったが、磁石がある場合では110nm・m/minと向上し、加えて表2に示すとおり、異常放電がなく安定した成膜が行えた。また、成膜後の電極汚れも軽減された。
[実施例4]
図1に示すプラズマCVD装置E1における電極を、図7に示す電極に変更したプラズマCVD装置を用いて、上記参加珪素膜形成方法の第1の実施形態に基づき、酸化珪素膜の成膜中のプラズマの様子および成膜後の電極の様子を観察した。ガス供給孔列9のガス供給孔は、側壁8aのガス孔位置に孔を形成し、内径3mmのアルミナセラミックスツバ付きカーラーを差し込んで形成した。それ以外の部分は実施例1と同様とした。
【0086】
表2に示すとおり、異常放電がなく安定した成膜が行えた。
[比較例1]
図6に示すプラズマCVD装置PA1を用いて、酸化珪素膜を形成した。プラズマ発生電極P7は、実施例1〜3で使用したものと同様である。ガス供給用のノズルP8は内径5mm、配管P9は銅管で形成した。真空容器P1および巻き出しロールP2、巻き取りロールP3、ガイドロールP4、長尺基材P5、メインロールP6、排気装置P10は実施例1と同様である。
【0087】
表2に示すとおり、ノズル内にプラズマが入り込み、放電が不安定になった。また、異常放電が起こったことによりノズル内にパーティクルが発生してノズルが詰まった。成膜後の電極では、ノズルの吹出し位置にパーティクルの付着があった。
【0088】
更に、上で述べたプラズマCVD装置E4を用いて薄膜を形成する方法の具体的実施の形態の例を以下に説明する。
[実施例5]
図8および図9に示すプラズマCVD装置E4を用いて薄膜を形成した。長尺基材5として厚さ100μmのPETフィルムを使用した。プラズマ発生電極7の表面から側壁8aのメインロール6側端部までの距離を5cm、側壁8aのメインロール6側端部とメインロール6との隙間を1mmに設定した。図13は長尺基材5の搬送方向の上流側の側壁8aの概略図である。長尺基材5の搬送方向の上流側の側壁8aには、図13に示すようにプラズマ発生抑制型ガス供給口19aとして複数の小径ガス供給孔が長尺基材の幅方向に1列に並んだプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aと、プラズマ発生促進型ガス供給口19bとして複数の大径ガス供給孔が長尺基材の幅方向に1列に並んだプラズマ発生促進型ガス供給口列20bとを設けた。プラズマ発生電極7の表面からプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aおよびプラズマ発生促進型ガス供給口列20bまでの距離d1およびd2をそれぞれ10mmおよび40mmとした。メインロール6に最も近い位置に配置されているガス供給口であるプラズマ発生促進型ガス供給口19bの孔の内径を5mmとした。また、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aの孔の内径を0.5mmとした。長尺基材5の搬送方向の下流側の側壁8bには図10に示すような排気口12および金属メッシュ21を設置した。また、プラズマ発生電極7の内部には図12に示すように中央磁石22aと外周磁石22bを配置し、中央磁石22aと外周磁石22bの極性を逆にすることでプラズマ発生電極7の表面にマグネトロン磁場を形成した。
【0089】
プラズマCVDの原料ガスとしてはHMDSOを用いた。反応性ガスであるHMDSOを流量10sccmで、キャリアガスであるAr100sccmとともに前記プラズマ発生抑制型ガス供給口19aから供給した。また、非反応性ガスである酸素を流量100sccmでプラズマ発生促進型ガス供給口19bから供給した。真空容器内の圧力は30Paとした。電源として、周波数100kHzの高周波電源を用いた。長尺基材を1m/minの速度で搬送しながら、プラズマ発生電極7に電源11から500Wの電力を投入し、プラズマを発生させ、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。プラズマ発生促進型ガス供給口19bの内部には、高密度なプラズマが安定して発生していることが目視にて確認できた。このときの膜厚を段差計(株式会社小坂研究所製 ET−10)にて測定したところ、膜厚は120nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例6]
図14に示す側壁8aの別の一例を示す概略図のように、メインロール6に最も近い位置に配置されているガス供給口をプラズマ発生抑制型ガス供給口19aとした。プラズマ発生電極7の表面からプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aおよびプラズマ発生促進型ガス供給口列20bまでの距離d1およびd2をそれぞれ40mmおよび10mmとした以外は、実施例5と同様にして長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。重合性ガスのHMDSOとキャリアガスのArはプラズマ発生抑制型ガス供給口19aから、非重合性ガスの酸素はプラズマ発生促進型ガス供給口19bから供給したことも同様である。この場合もプラズマ発生促進型ガス供給口19bの内部には高密度なプラズマが安定して発生していた。このとき得られた薄膜の膜厚は85nmであり、成膜速度の改善が見られた。また、表2に示すとおり、成膜後の電極汚れも軽減された。
[実施例7]
実施例5において、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aの孔の内径を0.15mmとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。30分間の連続成膜を実施したあとプラズマ発生抑制型ガス供給口19aを観察したが、閉塞などのトラブルは全く発生しなかった。このとき得られた薄膜の膜厚は115nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例8]
実施例5において、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aの孔の内径を0.05mmとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。30分間の連続成膜を実施したあとプラズマ発生抑制型ガス供給口19aを観察したところ、一部のプラズマ発生抑制型ガス供給口19aに閉塞の兆候が見られたものの、このとき得られた薄膜の膜厚は110nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例9]
実施例5において、プラズマ発生促進型ガス供給口19bの孔の内径を4.3mmとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。このとき、プラズマ発生促進型ガス供給口19bの内部には高密度なプラズマが安定して発生することを確認できた。このとき得られた薄膜の膜厚は120nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例10]
実施例5において、プラズマ発生抑制型ガス供給口19aの内径を2.5mmとし、成膜圧力を20Paとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。異常放電なく安定したプラズマを確認した。このとき得られた薄膜の膜厚は115nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例11]
実施例5において、プラズマ発生促進型ガス供給口19bの内径を3.7mmとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。このとき、成膜中にプラズマ発生促進型ガス供給口10bの内部に発生した高密度なプラズマの一部が若干明滅したものの、このとき得られた薄膜の膜厚は110nmであり、成膜速度の大きな改善が見られた。
[実施例12]
実施例6において、プラズマ発生促進型ガス供給口19bの内径を16mmとしたこと以外は同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。このとき、成膜中にプラズマ発生促進型ガス供給口19bの内部に弱いプラズマが入り込んでいた。このとき得られた薄膜の膜厚は70nmであり、成膜速度の若干の改善が見られた。
[比較例2]
長尺基材5の搬送方向の上流側の側壁8aとして、図15に示すようにプラズマ発生抑制型ガス供給口19aが長尺基材の幅方向に1列に並んだプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aを1列のみ配置したものを用いた。プラズマ発生電極7の表面からプラズマ発生抑制型ガス供給口列20aまでの距離d3は2.5cmとした。反応性ガスのHMDSOとキャリアガスのArおよび非重合性ガスの酸素を混合して図15のガスプラズマ発生抑制型供給口列20aから供給した。ガス供給口19aの内径は0.5mmとした。その他の条件は実施例5と同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。このとき得られた薄膜の膜厚は50nmであった。
[比較例3]
長尺基材5の搬送方向の上流側の側壁8aとして、図16に示すようにプラズマ発生促進型ガス供給口19bが長尺基材の幅方向に1列に並んだプラズマ発生促進型ガス供給口列20bを1列のみ配置したものを用いた。プラズマ発生電極7の表面からプラズマ発生抑制型ガス供給口列19aまでの距離d4は2.5cmとした。反応性ガスのHMDSOとキャリアガスのArおよび非重合性ガスの酸素を混合して図16のガスプラズマ発生促進型供給口列20bから供給した。ガス供給口19bの内径は5mmとした。その他の条件は実施例5と同様にして、長尺基材5の表面にSiOC薄膜を形成した。このとき、成膜時間が経過するにつれてガス供給孔19bの内部に白色の付着物が蓄積し、プラズマが不安定になり、安定した成膜を行うことができなかった。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係るプラズマCVD装置は、異常放電が少なく、均一で良好な膜質を有する薄膜の形成に、好ましく用いられる。本発明に係るプラズマ処理装置は、エッチング装置やプラズマ表面改質装置としても応用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 : 真空容器
2 : 巻き出しロール
3 : 巻き取りロール
4 : ガイドロール
5 : 長尺基材
6 : メインロール
7 : プラズマ発生電極
8a、8b : 側壁
9、9a、9b : ガス供給孔列
10 : ガス排気口
11 : 電源
12 : 排気装置
13 : 絶縁物
14a、14b : ガス管
15a、15b : ガスパイプ
16 : 磁石
17 : 冷却水流路
18 : 絶縁ガス供給孔列
19a : プラズマ発生抑制型ガス供給口
19b : プラズマ発生促進型ガス供給口
20a : プラズマ発生抑制型ガス供給口列
20b : プラズマ発生促進型ガス供給口列
21 : 排気孔
22a : 中央磁石
22b : 外周磁石
23 : ターゲット
24 : マグネトロン電極
E1、E2、E3、E4、PA1 : プラズマCVD装置
P1 : 真空容器
P2 : 巻き出しロール
P3 : 巻き取りロール
P4 : ガイドロール
P5 : 長尺基材
P6 : メインロール
P7 : プラズマ発生電極
P8 : ノズル
P9 : 配管
P10: 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内に、メインロールと、プラズマ発生電極とを備え、長尺基材を前記メインロールの表面に沿わせて搬送しながら前記長尺基材の表面に薄膜を形成するプラズマCVD装置であって、前記メインロールと前記プラズマ発生電極とで挟まれる成膜空間を囲むように、前記成膜空間を挟んで前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側に、前記長尺基材の幅方向に延在する少なくとも1枚ずつの側壁を設け、前記側壁は前記プラズマ発生電極とは電気的に絶縁されており、前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側のいずれか一方の側壁にガス供給孔を備えるプラズマCVD装置。
【請求項2】
前記ガス供給孔が、前記長尺基材の幅方向に一列に並んだガス供給孔を備え、該ガス供給孔列を1列以上備える請求項1に記載のプラズマCVD装置。
【請求項3】
前記長尺基材の搬送方向の上流側および下流側に設けられた側壁であって前記ガス供給孔列が設けられた側壁とは反対側の側壁に排気口を備え、排気口には複数の排気孔が設けてある、請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
【請求項4】
前記ガス供給孔列を前記長尺基材の搬送方向の上流側の側壁に備え、前記排気口を前記長尺基材の搬送方向の下流側の側壁に備える請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマCVD装置。
【請求項5】
前記ガス供給孔列が2列以上であり、少なくとも最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔列は、他のガス供給孔列が供給するガスとは異なる種類のガスが供給可能である、請求項2〜4のいずれかに記載のプラズマCVD装置。
【請求項6】
前記プラズマ発生電極表面に磁束を発生させるための磁石がプラズマ発生電極内に備えられている、請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマCVD装置。
【請求項7】
前記ガス供給孔のうち、重合性ガスを供給するための供給孔が、絶縁物で形成された絶縁ガス供給孔である、請求項5または6に記載のプラズマCVD装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の装置を用いて、前記ガス供給孔または前記ガス供給孔列から原料ガスを供給し、前記プラズマ発生電極によりプラズマを生成させて搬送中の長尺基材に薄膜を形成する、プラズマCVD方法。
【請求項9】
請求項5に記載の装置を用いて、少なくとも最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔列からは、他のガス供給孔列が供給する原料ガスとは異なる種類のガスを供給するプラズマCVD方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法を用いて、前記ガス供給孔列のうち最も前記プラズマ発生電極に近いガス供給孔から供給されるガスは非反応性ガスのみとし、それ以外のガス供給孔列の何れかからは分子中にSi原子またはC原子を少なくとも含むガスを供給し、前記プラズマ発生電極によりプラズマを生成させて搬送中の前記長尺基材に薄膜を形成する、プラズマCVD方法。
【請求項11】
請求項7の装置において、分子中にSi原子またはC原子を少なくとも含むガスを、前記絶縁ガス供給孔列から供給するプラズマCVD方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−214876(P2012−214876A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33622(P2012−33622)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】