説明

プローブカー管理システム

【課題】電気自動車のユーザが適切な時期に補給を行うことができるシステムを提供することにある。
【解決手段】携帯電話と、プローブカーに搭載された情報端末装置と、プローブカー管理装置と、が備えられたプローブカー管理システムであって、前記プローブカー管理装置側制御部は、ユーザに知らせる情報又は警報の内容に応じて前記通信部から発信する電話番号を異ならせることを特徴とするプローブカー管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカー管理システムに係り、特に、プローブカー管理装置によりプローブカーの走行可能距離や走行用バッテリーの残存容量を管理するプローブカー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は動力源を用いて走行するものであり、ガソリン車やディーゼル車の場合においては、燃料であるガソリン又は軽油が残り少なくなった場合には随時補給をする必要がある。バッテリーに蓄えた電気でモータを回転させて走る電気自動車においてもバッテリーの残電気容量が少なくなると充電する必要がある。
【0003】
ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関により走行する車の場合には、燃料が少量になった場合において最寄りのガソリンスタンドにおいて速やかに燃料を補給する必要がある。
【0004】
しかし、燃料補給をする時期及び場所をドライバーの判断に委ねることとすると残存燃料により走行できる距離の範囲内にガソリンスタンドが存在しない場合がある。
【0005】
電気自動車の場合においては、電気自動車の普及が充分でないため走行用バッテリーを充電する施設が少ないためより速やかに充電を行うための充電スタンドに向かう必要がある。即ち、電気自動車の場合においては、走行用バッテリーの一回の充電により走行することのできる距離がガソリン車やディーゼルエンジン車に比較して短い。
【0006】
そのため、バッテリーへの充電の時期及び場所をドライバーの判断に委ねることとすると電気自動車が充電スタンドに到着する前にバッテリー内の電気がなくなってしまい、充電スタンドに到着できないという事態が生じる恐れが高い。
【0007】
そのため、電気自動車の場合においてはバッテリー管理センターで電気自動車のバッテリーの残電気量を管理し、電気走行車に充電スタンドの情報を提供するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2000−102103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来においてはユーザは走行用バッテリーの残存量により走行できる距離や走行するのに必要な走行用バッテリー内における残りの電気量を正確に知ることができなかったため、特に電気自動車を運行するに際し、充電スタンドに到達する前に走行用バッテリーが枯渇して停止してしまうという事態が生じていた。
【0009】
本発明の課題は、電気自動車のユーザが適切な時期に補給を行うことができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決するため、請求項1に記載のプローブカー管理システムは、携帯電話側近距離通信手段が備えられた携帯電話と、集積した情報を送信するプローブカー側通信部と、前記近距離通信手段が備えられた携帯電話との通信を行うためのプローブカー側近距離通信手段と、を備えるプローブカーに搭載された情報端末装置と、前記携帯電話及び前記情報端末装置と通信を行うためのプローブカー管理装置側通信部と、プローブカー及び携帯電話に関する情報を記憶させるためのユーザデータベースと、少なくとも前記プローブカー管理装置側通信部において受信した前記プローブカーの情報からユーザに知らせるための情報を生成し、該生成した情報を前記通信部から前記プローブカーと関係付けられて登録されている携帯電話に前記通信部から情報提供を行わせるプローブカー管理装置側制御部とを備えられたプローブカー管理装置と、を備えるプローブカー管理システムであり、前記プローブカー管理装置側制御部は、前記プローブカー走行用バッテリー又は走行可能距離に関する情報を前記携帯電話に対して送信し、前記携帯電話は受信した情報を前記携帯電話側近距離通信手段により前記プローブカー側近距離通信手段に転送することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対して走行用バッテリー等プローブカーの状態について注意を喚起することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて前記情報はプローブカーの走行可能距離が10km以下という情報であることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対してそのプローブカーの走行可能距離について注意を喚起することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記情報は内容が前記プローブカーの現在地から最寄りの補給設備までの距離が所定の距離であるという情報であることことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対して補給設備までの距離について注意を喚起することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記プローブカーにはカーナビゲーションシステムが備えられており、前記プローブカー管理装置側制御部は現在地から前記カーナビゲーションシステムにより設定されている目的地までの距離が前記プローブカーの走行可能距離よりも長い場合と判断した場合にはその旨の情報を送信することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対して目的地まで現在のプローブカーの状態では目的地まで到達できないということを認識させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記情報が最寄りの補給設備の住所であることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、ユーザが迅速に補給設備の位置を確認することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記プローブカーは電気自動車であり、前記情報の内容が走行用バッテリーが既定値以下となったことであることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザに電気自動車の走行用バッテリーの残量を認識させることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記プローブカーは電気自動車であり、前記プローブカー管理装置側制御部は前記プローブカーの走行用バッテリーの残存容量が第一の既定値になったと判断した場合には、前記プローブカー管理装置側通信部よりその旨の情報を電子メールにより送信し、第二の既定値なったと判断した場合にはその旨の情報を音声メッセージを送信することを特徴する。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、二段階の情報により走行用バッテリーの残存量を状態を知らせることでユーザの注意を更に喚起することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプローブカー管理システムにおいて前記プローブカーが電気自動車、燃料電池車、内燃機関により走行する車又は複数の動力を組み合わせるハイブリッド車のいずれか一つであること特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、プローブカーが電気自動車、燃料電池車、内燃機関により走行する車又は複数の動力を組み合わせるハイブリッド車のいずれの場合であっても、そのユーザが自己の運転するプローブカーの状態についての注意を喚起することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のプローブカー管理システムにおいて、前記携帯電話は受信した情報を前記携帯電話側近距離通信手段により前記プローブカー側近距離通信手段に転送し、前記情報端末装置側制御部は前記音声出力部より前記情報を放送させることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、受信した情報の内容を音声によりドライバーに知らせることができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対してそのプローブカーに対する注意を喚起することで、プローブカーが走行不能になる以前に補給設備で充電や給油等を行うことが可能となり、プローブカーの適正な運行を実現することが可能となる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対してそのプローブカーの走行可能距離について注意を喚起することでプローブカーが走行不能になる前に走行可能な範囲の補給設備で充電や給油を行うことが可能となるためプローブカーの適正な運行を実現することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対して補給設備までの距離について注意を喚起することで、補給設備まで到達な間に充電や給油等の補給を行うことが可能となり、プローブカーの適正な運行を実現することができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、プローブカーのユーザに対して目的地まで現在のプローブカーの状態では目的地まで到達できないということを認識させることができるので、ユーザに運行計画を適正なものに変更する機会を与え、プローブカーの適正な運行を実現することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、ユーザが迅速に補給設備の位置を確認することができるので、ユーザは迅速にプローブカーを補給設備に到達させることができる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザに電気自動車の走行用バッテリーの残量を認識させることができるため、充電場所が少ない電気自動車のプローブカーの走行用バッテリーが枯渇して停止する前に充電設備に行くことが可能となる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザに二段階の警告を行うことでユーザに走行用バッテリーの現在の状態を認識させ、早期に充電設備に到達させることが可能となる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、プローブカーが電気自動車、燃料電池車、内燃機関により走行する車又は複数の動力を組み合わせるハイブリッド車のいずれの場合であっても、そのユーザが自己の運転するプローブカーの状態についての注意を喚起し、プローブカーの適正な運行を実現することができる。
【0036】
請求項9に記載の発明によれば、音声により情報の内容をドライバーに知らせるので、ドライバーは安全にかつ容易に情報を入手することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図1を参照して説明する。図1は、本発明に係るプローブカー管理システム1の構成例を示す図である。プローブカー管理システム1は、プローブカー管理装置2、プローブカー3、及び携帯電話4から構成されている。プローブカー管理装置2とプローブカー3及びプローブカー管理装置2と携帯電話4は例えば携帯電話回線を用いた無線方式により通信を通して接続されている。また、プローブカー3と携帯電話4は無線通信又は有線通信を介して接続されている。
【0038】
なお、本実施の形態においてはプローブカーとして電気自動車を用いた場合について説明するが、その他燃料電池車(FCEV)や、ガソリン車、ディーゼル車、CNG(Compressed Natural Gas=圧縮天然ガス)車等の内燃機関により走行する車又は複数の動力を組み合わせるハイブリッド車(HEV)を用いることとしてもよい。また本発明に用いるプローブカーの数及び携帯電話の数に制限は無い。
【0039】
プローブカー管理装置2は、各種情報のデータベースへの登録、データ管理及び登録されている携帯電話への情報の送信等を行うものである。プローブカー管理装置2はコンピュータで構成されており、図1に示すように、プローブカー管理装置2にはユーザがキー操作等により各種情報を入力するプローブカー管理装置側操作入力部5(以下「管理装置側操作入力部5」という)、VICS(Vehicle Information and Communication System=道路交通情報システム)によって提供される情報を受信するVICS受信部9、プローブカー管理装置側通信部10(以下「管理装置側通信部10」という)、ユーザデータベース11、一時データベース12及びプローブカー管理装置2の各機能を統括するプローブカー管理装置側制御部13(以下「管理装置側制御部13」という)が備えられている。
【0040】
管理装置側操作入力部5は、例えばタッチパネル、ライトペン、各種キーや操作ボタン等によって構成されており、ユーザがこれらを操作することにより、操作に応じた操作信号を管理装置側制御部13に出力するようになっている。
【0041】
VICS受信部9は、FM電波で送信される情報を受信するためのFMアンテナ(図示せず)及び道路上に所定間隔で設置された光ビーコンや電波ビーコン(情報通信施設)から送信される情報を受信するためのビーコン受信部(図示せず)等から構成されている。 VICS受信部9は、これらFMアンテナ及びビーコン受信部から渋滞、事故、交通規制、駐車場等の交通情報を常時受信するようになっている。
【0042】
管理装置側通信部10は、電話回線通信で使用される周波数帯の信号を送受信するアンテナと、コマンドに従って電話回線通信規格に沿った通信処理を行う無線通信手段としての公衆回線通信モジュールと、プログラムを実行してユニット全体の制御を行うCPUと、CPUの制御プログラムや制御データが格納されるROMと、CPUに作業空間を提供するRAMと、CPUと各入出力モジュールとの間でデータの受渡しを行うI/Oインターフェースにより構成されている。
【0043】
また、管理装置側通信部10は、携帯電話と情報の送受信を行うようになっている。管理装置側通信部10は、関係付けがされている携帯電話に対して音声通信又は電子メールの送信により、必要な情報の送信を行ようになっている。
【0044】
また、管理装置側通信部10は、プローブカー3から定期的に送信されてくるプローブカー3に関する情報を受信するようになっている。
【0045】
ユーザデータベース11は、例えばハードディスク装置等の大容量の記憶装置で構成されている。
【0046】
ユーザデータベース11には、プローブカー管理システムを利用するプローブカーとそのプローブカーに関係付けられている携帯電話に関する識別情報等が登録されている。
【0047】
また、プローブカーと関係付けられて登録される携帯電話又はPHSの番号は一つに限らず複数であってもよい。
【0048】
ユーザデータベース11には、ユーザの氏名、住所等の個人情報、携帯電話又はPHSの番号、ユーザによるプローブカー管理システム1の使用履歴等のプローブカー管理システム1を利用するユーザに関する情報が格納されている。これらの情報は、管理装置側操作入力部5を操作することにより変更、消去及び閲覧等をすることができるようになっている。
【0049】
また、ユーザデータベース11には、プローブカー管理システムにおいて、関係付けが行われるプローブカー及び携帯電話の組み合わせが登録されている。組み合わせは、一のプローブカーに対して一の携帯電話である必要は無く、一のプローブカーに対して複数の携帯電話であってもよい。また、一の携帯電話は一のプローブカーに対して組み合わされる必要は無く、複数のプローブカーと組み合わせられるようになっていてもよい。
【0050】
一時データベース12は、例えば、ハードディスク装置等の大容量の記憶装置で構成されている。
【0051】
一時データベース12には、関係付けが行われたプローブカーと携帯電話の組み合わせが登録されるようになっている。
【0052】
管理装置側制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM(Read Only Memory)に格納される所定のプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種の処理を実行するようになっている。
【0053】
管理装置側制御部13は、管理装置側通信部10において受信したプローブカー3から送信されてきた情報について分析を行い、分析した結果情報を管理装置側通信部10より携帯電話4に送信するようになっている。
【0054】
情報とは、例えば、プローブカーが電気自動車である場合には、走行用バッテリーの残存容量が既定値になった旨の情報である。既定値とは、プローブカー3が電気自動車である場合には、バッテリー走行用バッテリーの充電可能容量に対する管理装置側通信部10により受信した走行用バッテリーの残存容量の割合により表される。
【0055】
既定値については定まった値は無く、プローブカー管理装置の管理者やユーザが任意に定めることができる。よって、例えば、10%、20%等のように自由に定めることができる。
【0056】
また、既定値の数は、一つに限られず複数であってもよい。例えば、走行用バッテリーの残存容量の20%を第一の既定値とし、残存容量の10%を第二の既定値とすることしてもよい。
【0057】
また、情報とは、例えば、プローブカー3の走行可能距離である。走行可能距離とはプローブカー3が現在有しているバッテリーの電気量に基づいて走行することができる距離である。走行可能距離は、プローブカー3が電気自動車である場合には、バッテリーの残存容量、プローブカー3の目的地までの走行経路上の渋滞状況などの道路状況、プローブカー3を運転するユーザが例えば1kmあたりプローブカー3を走行させるのに平均して使用する電力量等プローブカー3の運行に関わる情報を加味して算出される。但し、バッテリーの残存容量のみから算出することとしてもよい。
【0058】
また、情報とは、プローブカーの現在地から最寄りの補給設備までの距離が所定の距離であるとの情報である。所定の距離は、プローブカーの現在地から充電設備までの距離がプローブカーの走行可能距離より短い距離である必要がある。所定の距離は走行可能距離よりも短い距離であれば特に定めは無く、例えば、走行可能距離の0.9倍の距離と定めたり、走行可能距離よりも3km短い距離と定めたりすることができ、その値はプローブカー管理システムの管理者やユーザが任意に定めることができる。
【0059】
また、所定の距離はプローブカー管理システムを利用する車について一律に同じである必要は無く、プローブカーの車種ごとに定めたり、プローブカーのユーザが各自個別に定めたりしてもよい。
【0060】
また、情報とは、例えば、プローブカーの最寄りの補給設備の住所である。
【0061】
また、情報は音声又は電子メールのいずれかにより提供される。また、情報の提供は上記の既定値が二つある場合には、第一の既定値については電子メールで行い、第二の既定値については音声により行うこととしてもよい。
【0062】
また、管理装置側制御部13は、プローブカーの識別情報及び携帯電話の識別情報や管理装置側通信部10において受信したプローブカー3のバッテリー、インバータ、モータ、ブレーキ及びGPS等のECU(Electronic Control Unit=エレクトリックコントロールユニット)群の情報をユーザデータベース11にプローブカー毎に記憶させるようになっている。
【0063】
また、管理装置側制御部13は、VICS受信部9において受信した渋滞情報、工事による通行止め、工事や事故による車線規制等の道路情報をユーザデータベースに記憶させるようになっている。そして、管理装置側制御部13は、ユーザデータベース11に記憶させた道路情報を随時更新して記憶させるようになっている。
【0064】
また、管理装置側制御部13は過去の渋滞情報をユーザデータベース11に記憶させるようになっており、管理装置側制御部13は過去の渋滞情報についても例えば、一週間毎の間隔をもって更新してユーザデータベースに記憶させるようになっている。
【0065】
また、管理装置側制御部13は、プローブカー3に例えばカーナビゲーションシステム(以下「カーナビ」という)が搭載されており目的地が設定されている場合には、道路情報を加味して走行可能距離及びプローブカー3が目的に到達するのに必要なバッテリーの電力量を算出するようになっている。
【0066】
また、管理装置側制御部13は、プローブカー3に関する情報をユーザに伝えるために音声通信又は電子メールによって伝達するように管理装置側通信部10に対して、制御信号を送るようになっている。
【0067】
また、管理装置側制御部13は、管理装置側通信部10から携帯電話4に音声通信を行うための呼び出しを行った場合に携帯電話が話し中であり携帯電話4との回線が接続されなかった場合には、所定の時間を置いた後一回又は複数回の呼び出しを行うようになっている。一回又は複数回の呼び出しを行っても回線が接続しなかった場合には、音声で伝える内容を電子メールを送信して伝達させるようになっている。
【0068】
また、管理装置側制御部13は、音声通信を行うための呼び出しを管理装置側通信部10に行わせた場合に携帯電話4との回線を接続することができなかった場合における回線を接続するために行う試行の回数に定めは無く、プローブカー管理システム1の管理者管理者が各プローブカーについて一律に定めたり、各プローブカー毎にプローブカー管理システム1の管理者又はプローブカー管理システムを利用する各プローブカーのユーザが個別に定めたり、又は車種ごとに定める等任意に定めることができる。
【0069】
また、管理装置側制御部13は、プローブカーと携帯電話の組み合わせの関係付けを行うようになっている。関係付けとは、プローブカーとそのプローブカーに関する情報を送信する携帯電話の組み合わせを確定することをいう。関係付けが行われた携帯電話に対しては、その携帯電話と関係付けが行われたプローブカーに関する情報が管理装置側通信部10から送信されるようになっている。
【0070】
プローブカー3とは、車自体が交通観測のモニタリング装置として用いるものであり、交通量、位置情報、車両挙動、気候等に関わる状況をモニタリングする車である。本発明に係るプローブカーは単に交通観測に関する情報を送信するだけではなく、自車のバッテリー、インバータ、モータ、ブレーキ等に関わる情報についてもプローブカー管理装置に送信するものである。
【0071】
プローブカーとしてガソリン車等の内燃機関により走行する車を用いる場合には残存燃料を、燃料電池車を用いる場合には残存の電気量等を送信されるようになっている。
【0072】
図1に示すように、プローブカー3には、プローブカー管理装置2及び携帯電話4とデータの送受信を行うための情報端末装置21、プローブカー3の各部の情報を情報端末装置21に送信するためのECU22、カーナビゲーションシステム23(以下「カーナビ23」という)及び携帯電話4から送信されてきた情報の内容をユーザに音声で知らせるための音声出力部24が備えられている。
【0073】
情報端末装置21には、プローブカー管理装置2に情報の送信を行うためのプローブカー側通信部25、携帯電話4と送受信を行う手段としてブルートゥース通信モジュールを用いると送受信を行うための近距離通信手段26、及びユーザがキー操作等により各種情報を入力するプローブカー側操作入力部29が備えられている。また、さらに各構成要素を統括的に制御する情報端末装置側制御部30が備えられている。
【0074】
プローブカー側操作入力部29は、例えばタッチパネル、ライトペン、各種キーや操作ボタン等によって構成されており、ユーザがこれらを操作することにより、操作に応じた操作信号を情報端末装置側制御部30に出力するようになっている。
【0075】
プローブカー側通信部25は、電話回線通信で使用される周波数帯の信号を送受信するアンテナと、コマンドに従って電話回線通信規格に沿った通信処理を行う無線通信手段としての電話回線通信モジュールと、プログラムを実行してユニット全体の制御を行うCPUと、CPUの制御プログラムや制御データが格納されるROMと、CPUに作業空間を提供するRAMと、CPUと各入出力モジュールとの間でデータの受渡しを行うI/Oインターフェースにより構成されている。
【0076】
近距離通信手段26として例えば、ブルートゥース通信モジュールを用いる。近距離通信手段26はブルートゥース通信モジュールに限定されることは無く、無線LAN等他の無線方式の通信や有線方式によって通信を行うこととしてもよい。
【0077】
情報端末装置側制御部30は、例えばCPU、ROM及びRAM等から構成され、ROMに格納されている所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに沿って各種処理を実行するようになっている。
【0078】
また、情報端末装置側制御部30には、プローブカー側操作入力部29から操作信号に応じてプローブカー3と関係付けられる携帯電話のIDが登録されるようになっている。なお、IDとしては、例えば携帯電話4の電話番号の他、任意の数字及びアルファベットを組み合わせたもの等を用いてもよく、他の携帯電話と区別できるものであればよい。
【0079】
また、情報端末装置側制御部30は、携帯電話4から送信されてきたその携帯電話のIDと登録されているIDとの照合を行うようになっている。
【0080】
また、情報端末装置側制御部30は、携帯電話4から送信されてきた携帯電話4のIDが登録されているIDと同一であると判断した場合には、ブルートゥース通信モジュールと携帯電話4のブルートゥース通信モジュールを通信可能状態とするようになっている。
【0081】
また、情報端末装置側制御部30には、情報が電子メールで送信されてきた場合には、その電子メールの本文の内容を音声変換することとしてもよい。
【0082】
この場合においては、情報端末装置側制御部30には、音素片データ及び携帯電話4から送信されてきた電子メールの本文の文字データを音声変換して音声データを合成するプログラムを格納させておく。
【0083】
そして、情報端末装置側制御部30は、ブルートゥース通信モジュールにおいて受信した電子メールの本文のデータを情報端末装置側制御部30のROMに格納されている音声合成するための音素片データに基づいて音声データを生成するようにし、情報端末装置側制御部30は生成した音声データを音声出力部に出力するものである。
【0084】
また、情報端末装置側制御部30は、携帯電話4より音声データが送信されてきた場合には、その音声データを音声出力部24に出力するようになっている。
【0085】
また、情報端末装置側制御部30は、バッテリーのECUやブレーキに取り付けられたECU等のプローブカー3のECU22から送信されてきたプローブカー3の各部の情報を収集してプローブカー側通信部25よりプローブカー管理装置2に送信するようになっている。
【0086】
ECU22は、例えば、バッテリー、インバータ、モータ及びブレーキ装置等のプローブカーの各部の装置に備えられたECUを統括制御するものである。バッテリーから情報端末装置側制御部30に送信される情報とは、例えば、バッテリー残存容量及びバッテリーの故障情報である。インバータから情報端末装置側制御部30に送信される情報とは、例えば、インバータの故障情報である。モータから情報端末装置側制御部30に送信される情報とは、例えば、現在のモータの回転数及びモータの故障情報等である。ブレーキ装置から情報端末装置側制御部30に送信される情報とは、例えば、プローブカー3のユーザが一定時間内にどの程度ブレーキを踏む回数及び故障情報等である。カーナビ23から情報端末装置側制御部30に送信される情報とは、例えば、プローブカー現在地及びカーナビの故障情報等である。
【0087】
カーナビ23は、図示しない各種情報を入力する入力操作部、音声によって入力を行う音声入力部、ユーザに対して各種情報を表示する表示部、音声を出力する音声出力部や、例えばハードディスク等によって構成され各種データを記憶する記憶部、外部から入力されたユーザの個人的なデータ等を記憶する外部メモリ、車両が進行する方位を検出する方位センサ、GPS(Global Positioning Systems)衛星からの信号を受信するGPS受信部等が備えられている。
【0088】
カーナビ23は、ユーザの設定により目的地までの経路を表示するようになっている。
【0089】
音声出力部24は、例えば、D/A変換部、D/A変換部からのアナログ信号を増幅する増幅部、及びスピーカ(いずれも図示せず)を備えている。音声出力部24には、ユーザに対する各種メッセージや進行方向を指示するメッセージ等に対応する各種の音声信号が情報端末装置側制御部30から送られるようになっており、音声出力部24は、これらの音声信号をD/A変換部においてD/A変換し、増幅部によって増幅した後、スピーカから音声出力させるようになっている。
【0090】
図1に示すように、携帯電話4にはプローブカー管理装置2から送信されてくるデータを受信するための携帯電話側通信部41、プローブカー3との情報の送受信を行うための携帯電話側近距離通信手段42及び画像表示部43が備えられている。また、これらの各構成要素を統括的に制御するための携帯電話側制御部44が備えられている。
【0091】
なお、携帯電話側通信部41及び携帯電話側近距離通信手段42はそれぞれプローブカー側通信部25及びプローブカー側ブルートゥース通信モジュールと同一の構成であるので説明を省略する。
【0092】
画像表示部43は、例えば、液晶ディスプレイによって構成されており、携帯電話側制御部44からの各種信号に基づいて、送信されてきた情報や内容を表示するようになっている。
【0093】
なお、プローブカー管理装置2やプローブカー3と通信を行うための端末は携帯電話に限らずPHS(Personal Handyphone System)でもよい。
【0094】
携帯電話側制御部44は、例えばCPU、ROM及びRAM等から構成され、ROMに格納されている所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに沿って各種処理を実行するようになっている。
【0095】
携帯電話側制御部44には、図示しないメモリが備えられており、メモリには公衆回線通信及びブルートゥース通信に関するプログラム及び送信されてきた文字データ及び画像データを画像表示部43に表示するためのプログラムが記憶されている。
【0096】
次に、実施形態におけるプローブカー管理システムの作用について図2を参照して説明する。
【0097】
まず、オペレータが管理装置側操作入力部5を操作して、ユーザデータベース11に、ユーザの氏名、住所等の個人情報、プローブカー管理システム1を利用するプローブカー3の識別情報、プローブカー3と関係付けられる携帯電話4の識別番号等を記憶させる。
【0098】
プローブカー3に搭載されているプローブカー側ブルートゥース通信モジュールはプローブカー側の近距離通信手段26であるブルートゥース通信モジュールは、同期確立フェーズにおける「問い合わせ」である携帯電話のサーチを行う。携帯電話4側のブルートゥース通信モジュールから問い合わせを認識した旨の返答を行い、プローブカー側ブルートゥース通信モジュールと携帯電話側ブルートゥース通信モジュールがピコネットを形成する。そして、プローブカー3のブルートゥース通信モジュールはピコネット内の携帯電話4と同期を確立するための通信確立リクエストである「呼び出し」を行って、携帯電話4にIDを付与して通信を確立する。
【0099】
「通信フェーズ」の「接続」状態において、携帯電話4から情報端末装置21に識別情報である携帯電話4の識別情報である電話番号を送信する。情報端末装置21の情報端末装置側制御部30において送信された電話番号が関係付けられる携帯電話の電話番号として登録された電話番号であるか否かの認証を行う。認証の結果、IDが一致した場合には、ブルートゥース通信モジュールは、通信フェーズとなり、「接続」された後に通信リンクが設定される。
【0100】
次に、情報端末装置側制御部30は、プローブカー管理装置に対してプローブカー3と携帯電話4の間に通信リンクが設定されたこと及びプローブカー3の識別情報及び携帯電話4の識別情報を記載した認証要求電文を作成し、プローブカー側通信部25よりプローブカー管理装置2に送信して認証要求を行う。
【0101】
認証要求に対してプローブカー管理装置側制御部13はユーザデータベース11に格納されているプローブカー管理システム1を利用するプローブカー3及び携帯電話4の識別情報に基づいて確認作業を行い、有効である場合にはプローブカー管理装置側制御部13は、照合結果を基に認証応答電文を作成して管理装置側通信部10より携帯電話側通信部41に送信する。
【0102】
管理装置側制御部13はユーザデータベース11内を再度検索し、プローブカー3と携帯電話4の関係付けを行い、関係付けられたプローブカー3及び携帯電話4を一時データベース12に登録する。
【0103】
管理装置側制御部13は、一時データベース12に関係付けられて登録された携帯電話4に対して、プローブカーに関する情報を送信するように要求する。
【0104】
携帯電話4の携帯電話側制御部44は、携帯電話側通信部41においてプローブ情報送信要求信号を受信するとその信号を携帯電話側近距離通信手段42である携帯電話側ブルートゥース通信モジュールに転送し、そこからさらにプローブカー3の近距離通信手段26であるブルートゥース通信モジュールに送信する。
【0105】
プローブカー3の情報端末装置側制御部30は、プローブカー側ブルートゥース通信モジュールにおいて受信したプローブカーに関する情報の送信を要求する信号を受信するとECU22よりプローブカーの各部の情報を収集する。
【0106】
そして、収集した情報をプローブカー側通信部25より管理装置側通信部10に送信する。
【0107】
プローブカー管理装置2は、受信したプローブ情報やVICS受信部9において受信した交通情報に基づいてプローブカー3の走行用バッテリーの残存容量やプローブカー3の走行可能距離を算出する。
【0108】
その結果、走行用バッテリーの残存容量が既定値以下である場合、管理装置側制御部10は音声通信又は電子メールによりその旨の内容の情報をプローブカー管理装置側通信部10より送信する。
【0109】
走行用バッテリーの残存容量が既定値以上である場合には、情報は送信されずその後終了する。
【0110】
携帯電話4の携帯電話側制御部44は、携帯電話側通信部41において受信した情報が電子メールである場合にはその電子メールの内容である文字データまたは画像データを画像表示部43に表示する。
【0111】
携帯電話側通信部41において受信した情報が音声によるものである場合には、その情報をプローブカー側ブルートゥース通信モジュールに転送し、情報端末装置側制御部30は受信した情報を音声出力部24に転送して、情報の内容を音声によりユーザに知らせる。
【0112】
以上本発明によれば、発明によれば、プローブカーのユーザに対して走行用バッテリー等プローブカーの状態について注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るプローブカー管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るプローブカー管理システムにおけるフロー・シーケンス図である。
【符号の説明】
【0114】
1 プローブカー管理システム
2 プローブカー管理装置
3 プローブカー
4 携帯電話
5 管理装置側操作入力部
9 VICS受信部
10 管理装置側通信部
11 ユーザデータベース
12 一時データベース
13 管理装置側制御部
21 情報端末装置
22 ECU
23 カーナビ
24 音声出力部
26 近距離通信手段
29 プローブカー側操作入力部
30 情報端末装置側制御部
41 携帯電話側通信部
42 携帯電話側近距離通信手段
43 画像表示部
44 携帯電話側制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話側近距離通信手段が備えられた携帯電話と、
集積した情報を送信するプローブカー側通信部と、前記近距離通信手段が備えられた携帯電話との通信を行うためのプローブカー側近距離通信手段と、を備えるプローブカーに搭載された情報端末装置と、
前記携帯電話及び前記情報端末装置と通信を行うためのプローブカー管理装置側通信部と、プローブカー及び携帯電話に関する情報を記憶させるためのユーザデータベースと、少なくとも前記プローブカー管理装置側通信部において受信した前記プローブカーの情報からユーザに知らせるための情報を生成し、該生成した情報を前記通信部から前記プローブカーと関係付けられて登録されている携帯電話に前記通信部から情報提供を行わせるプローブカー管理装置側制御部とを備えたプローブカー管理装置と、
を備えるプローブカー管理システムであって、
前記プローブカー管理装置側制御部は、ユーザに知らせる情報又は警報の内容に応じて前記通信部から発信する電話番号を異ならせることを特徴とするプローブカー管理システム。
【請求項2】
前記プローブカー管理装置側制御部は、前記プローブカー管理装置側から送信されてきた電話番号に応じて前記音声出力部において異なる呼出音を発生させることを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項3】
前記携帯電話側制御部は、前記携帯電話側通信部にプローブカーの走行中のみプローブカー管理装置からの着信を受付けさせることを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項4】
前記プローブカー管理装置側制御部には、呼出音の鳴動回数制限機能、自動受話機能又は呼出音自動切断機能の少なくとも一つが備えられていることを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項5】
前記プローブカー管理装置側制御部は、走行用バッテリーの残存容量について複数の既定値が設けられるとともに各既定値に応じて異なる発信者電話番号が設けられている場合に、走行用バッテリーの残存容量が各既定値となるとそれぞれの既定値に応じた発信者電話番号を発信し、前記プローブカー側制御部には複数の発信者番号とそれに対応する呼出音が記憶されており、前記携帯電話側近距離通信手段において取得した発信者番号が記憶されている発信者番号である場合には前記音声出力部から前記取得した発信者番号に対応する呼出音を前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項6】
前記プローブカー管理装置側制御部は、前記プローブカーの走行可能距離が前記プローブカーの現在地から最寄りの充電設備までの距離に対して複数の既定距離が設けられている場合に、前記プローブカーの走行可能距離が前記各既定距離を下回る際に各規定距離に応じた発信者番号を発信し、記プローブカー側制御部には複数の発信者番号とそれに対応した異なる呼出音が記憶されており、前記携帯電話側近距離通信手段において取得した発信者番号が記憶されている発信者番号である場合には前記音声出力部から前記取得した発信者番号に対応する呼出音を前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項7】
前記プローブカーには画像表示部を備えたカーナビゲーション装置が備えらえており、
前記プローブカー管理装置側制御部は、前記プローブカーの走行可能距離が前記カーナビゲーションシステムにより目的地が設定された際における前記プローブカーの現在地から目的地までの距離に対する複数の既定距離が設けられている場合に前記プローブカーの走行可能距離が前記各既定距離を下回る際に各規定距離に応じた発信者番号を発信し、
前記プローブカー側制御部には前記複数の発信者番号とそれらに対応した異なる呼出音が記憶されており、前記携帯電話側近距離通信手段において取得した発信者番号が記憶されている発信者番号である場合には前記音声出力部から前記取得した発信者番号に対応する呼出音を前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。
【請求項8】
前記カーナビゲーション装置には画像表示部が備えられており、
前記プローブカー側制御部には複数の発信者番号と前記複数の発信者番号に対応する前記画像表示部に表示させるための異なる注意情報が記憶されており、前記プローブカー側制御部は前記プローブカー側近距離通信手段において取得した発信者番号に対応する注意情報を前記画像表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のプローブカー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−113889(P2006−113889A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301857(P2004−301857)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】