説明

マウント装置

【課題】 マウント装置に関し、簡素な構成で、設置スペース及びコストを削減できるようにする。
【解決手段】 キャブ内に設置されたシート下部に、シートへの振動を吸収するための第1空気室1aが設けられたエアサスペンション1を有する作業機械のマウント装置であって、該作業機械のフレームとフレーム上に搭載される装置との間に介装され、該装置の振動を吸収するための第2空気室2aを有して該装置を該フレームに対し弾性支持するエアマウント2と、空気を圧縮して吐出するコンプレッサ3と、吐出された空気を第1空気室1a及び第2空気室2aへ個別に供給する補充制御手段4aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に搭載される装置のマウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業装置には、機体と機体に搭載される装置との間に防振機能を有するマウントが設けられており、作業時や走行時に発生する振動を減衰するようになっている。例えば、機体に搭載される代表的な装置として、乗員の座席が内部に設置されるキャブ(搭乗室)は、内部にシリコンオイルを封入したビスカスマウント等の防振部材を介して機体に搭載されており、下部走行体やエンジンルーム等からキャブへ伝わる振動の大きさや振動時間を緩和・短縮して、乗員の乗り心地を向上させるようになっている。また例えば、機体のエンジンルーム内に搭載されるエンジンの下部には、防振部材のエンジンマウントが設けられて、エンジンの振動が機体へ伝わるのを抑制するようになっている。
【0003】
近年、このような防振マウント(制振マウント)として、容器内部に空気を密閉して空気バネとしたエアマウントが開発されている。例えば特許文献1に記載されたエアマウントは、筒状体の内部に空気室が設けられて空気バネが形成されるとともに、コンプレッサ等の空気圧源が用いられて、空気室内の空気圧が制御されている。このような構成により、空気室内の圧力を制御して、エアマウントが負担する荷重に応じた弾性力を設定できるようになっている。
【特許文献1】特開2005−48917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、作業機械にエアマウントを用いるのに、空気室内の圧力を制御して弾性力や減衰特性を変えられるというエアマウントの特徴を十分に生かすためには、エアマウントが適用される作業機械にもコンプレッサ等の空気圧源を設けて、適宜空気圧制御を実施できるように構成することが好ましい。
この場合、例えばエアマウントの近傍にエアコンプレッサを設置しなければならないが、一方で、油圧ショベルのような作業機械の場合、機体の旋回半径を小さくするために車体全体を小型化する必要があり、エアコンプレッサのスペース確保が困難な実情がある。
【0005】
また、エアコンプレッサを装備することで、その分の作業機械の製造コストが上昇してしまう。
本発明は、これらのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、設置スペース及びコストを削減できるマウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のマウント装置(請求項1)は、キャブ内のシート下部に、シートへの振動を吸収するための第1空気室が設けられたエアサスペンションを有する作業機械のマウント装置であって、該作業機械のフレームと該フレーム上に搭載される装置との間に介装されて、該装置の振動を吸収するための第2空気室を有して該装置を該フレームに対し弾性支持するエアマウントと、空気を圧縮して吐出するコンプレッサと、該コンプレッサから吐出された空気を該第1空気室及び該第2空気室へ個別に供給する補充制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
なお、本発明のエアマウントは、該第2空気室を所謂空気バネとして作用させて該装置の振動を吸収する防振マウントであり、その内部構造は任意である。例えば、該第2空気室のみを備えたものでもよいし、該第2空気室に弾性ゴムやスプリングといった弾性体を利用した防振構造を併設したものでもよい。また、本発明のコンプレッサは、空気を圧縮して吐出するものであればよく、動力,内部構造,出力等をはじめとするコンプレッサの仕様については任意である。
【0008】
また、該第1空気室と該コンプレッサとを連通する第1流路と、該第1流路から分岐して該第2空気室と該コンプレッサとを連通する第2流路と、該第1流路と該第2流路との分岐点に設けられ、該コンプレッサから吐出される空気を該第1流路及び該第2流路のうちのいずれか一方へ選択的に流通させる流路選択弁とを備え、該補充制御手段は、該流路選択弁における空気の流通方向を制御することが好ましい(請求項2)。
【0009】
あるいは、該第1空気室と該コンプレッサとを連通する第1流路と、該第1流路から分岐して該第2空気室と該コンプレッサとを連通する第2流路と、該第1流路上に介装されて該コンプレッサから吐出される空気を流通又は遮断する第1制御弁と、該第2流路上に介装されて該コンプレッサから吐出される空気を流通又は遮断する第2制御弁とを備え、該補充制御手段は、該第1制御弁及び該第2制御弁を個別に制御することが好ましい(請求項3)。
【0010】
また、該第2空気室内の圧力を検出するセンサを備え、該補充制御手段は、該センサで検出された該圧力が所定圧未満であるときに、該コンプレッサを駆動して該第2空気室へ空気を供給するとともに、該センサで検出された該圧力が所定圧以上であるときに、該第2空気室への空気の供給を遮断することが好ましい(請求項4)。
また、該第2空気室内の圧力を検出するセンサと、該コンプレッサと該第2空気室とを連通する通路上に介装され、該通路内を流通する空気の圧力に応じて空気を蓄積又は放出するアキュームレータとを備え、該補充制御手段は、該センサで検出された該圧力が該所定圧以上であるときに、該アキュームレータの内部に空気を蓄積するとともに、該センサで検出された該圧力が該所定圧未満であるときに、該アキュームレータの内部に蓄積された空気を該第2空気室側へ放出することが好ましい(請求項5)。
【0011】
なお、アキュームレータは、該空気の蓄積又は放出によって、該空気圧の脈動変化を抑制するものであることが好ましい。
また、該コンプレッサと該第2空気室とを連通する通路上に介装され、該通路上における該第2空気室側の圧力が該所定圧以上であるときに閉弁するとともに、該通路上における該第2空気室側の圧力が該所定圧未満になったときに開弁して該コンプレッサから吐出された空気を該第2空気室へ流通させるチェックバルブを備え、該コンプレッサは、該第2空気室へ所定圧の空気を継続的に供給することが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、該エアマウントは、該キャブの下面に設けられて該キャブを該フレームに対し弾性支持することが好ましい(請求項7)。
また、該第2空気室内の圧力を増減させるべく該第2空気室を外部へ開放又は閉鎖するマウント制御弁と、該マウント制御弁を制御する圧力制御手段とを備えることが好ましい(請求項8)。
【0013】
また、該エアマウントは、該キャブの下面に複数設けられるとともに、該マウント制御弁は、該複数のエアマウントにおける各々の該第2空気室に設けられ、該圧力制御手段は、該複数のマウント制御弁を個別に調節して、該第2空気室内の圧力を増加又は減少させる制御を実施することが好ましい(請求項9)。
なお、該エアマウントは、該キャブ下面における四隅に設けられることが好ましい(請求項10)。
【0014】
また、該エアマウントは、該キャブの下面における外周部に分散して配置される複数の第1マウントと、該キャブの下面中央部に配置されて少なくとも弾性特性及び減衰特性の何れか一方が該第1マウントとは異なる第2マウントと、を備えて構成されることが好ましい(請求項11)。
また、操作者による操作量に応じて、該第2空気室内の圧力を増加又は減少させる信号を出力する操作装置を備え、該圧力制御手段は、該操作装置から出力される該信号に基づいて該マウント制御弁を制御することが好ましい(請求項12)。
【発明の効果】
【0015】
本発明のマウント装置(請求項1)によれば、エアサスペンションシートに用いられるコンプレッサを利用して、安価かつ容易にエアマウントのエア調整を行うことができる。また、エアマウントのエア調整とエアサスペンションのエア調整とを互いに独立して実施できる。
また、本発明のマウント装置(請求項2)によれば、簡素な構成で容易に空気の個別供給を制御できる。また、流路選択弁の制御により容易に空気の流通経路を制御できる。また、構成が簡素であり、コストを低減できる。
【0016】
また、本発明のマウント装置(請求項3)によれば、第1制御弁及び第2制御弁を制御することによって、第1流路及び第2流路における空気の流通を正確に制御できる。また、例えば複数のエアマウントを用いる場合には、複数の第2流路及び第2制御弁を設けて、各第2流路上にエアマウントを介装させることによって、個別制御を容易にできる。
また、本発明のマウント装置(請求項4)によれば、作業機械の振動等による第2空気室内の圧力の低下に対して、自動的に空気圧を上昇させ、常に所定空気圧を保つ。
【0017】
また、本発明のマウント装置(請求項5)によれば、コンプレッサから供給される空気圧の脈動を抑制する。また、第2空気室内の圧力の低下がアキュームレータの蓄圧量よりも小さい僅かな低下である場合には、コンプレッサを駆動することなく第2空気室内を所定圧にする。
また、本発明のマウント装置(請求項6)によれば、空気圧検出センサを用いることなく、第2空気室内を所定圧に保つ。
【0018】
また、本発明のマウント装置(請求項7)によれば、エアサスペンションシートのコンプレッサを利用してキャブのエアマウントの圧力調節が可能となる。エアマウント専用のコンプレッサを用意する必要ないため、コストを削減できる。エアサスペンション及びエアマウントの配設位置が近接するため、コンプレッサを共用とするのが容易である。
また、本発明のマウント装置(請求項8)によれば、積極的に制御弁の開度を制御して、第2空気室内の圧力を制御できる。これにより、エアマウントが取付けられたキャブ下面の高さを調整可能となる。
【0019】
また、本発明のマウント装置(請求項9)によれば、エアマウントが複数個設けられるため、各マウント制御弁を個別制御することにより、各々のエアマウントが取付けられたキャブ下面の高さを調整でき、キャブ全体の高さやキャブ下面の角度(すなわち、勾配の方向やその大きさ)を調整できる。
また、本発明のマウント装置(請求項10)によれば、簡素な構成で、キャブ全体を確実に支持しながらキャブ高さ,キャブ角度を調整できる。
【0020】
また、本発明のマウント装置(請求項11)によれば、キャブのフロア下面外周部に第1マウントを配置し、中央部に第2マウントを配置し、且つ、少なくとも弾性特性及び減衰特性の何れか一方が第1マウントと第2マウントとで異なっているため、第1マウント及び第2マウントの機能分離が容易となる。例えば、第1マウントにはキャブの重量を支持するのに適した弾性特性,減衰特性のものを用い、一方第2マウントにはキャブフロアの膜振動を抑制するのに適した弾性特性,減衰特性のものを用いることができ、簡素な構成で、キャブに搭乗するオペレータの乗り心地を良くすることができる。
【0021】
また、本発明のマウント装置(請求項12)によれば、操作装置を用いて、操作者(オペレータ等)が任意にキャブ床面の傾斜角度や高さを設定できる。また、簡素な構成で安価にキャブ床面のチルト調節(傾斜角度や高さの調節)機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1〜図4は本発明の第1実施形態としてのマウント装置を示すもので、図1は本マウント装置が適用された空気圧回路図、図2は本マウント装置におけるエアマウントの断面図、図3は本マウント装置を備えた作業機械の上部旋回体の分解斜視図、図4は本マウント装置を適用されて作業機械の上部旋回体上に搭載されたキャブ内のシート及びシート下部の断面正面図である。
【0023】
[構成]
本発明の第1実施形態としてのマウント装置が適用された作業機械の上部旋回体を図3に示す。なおここでは、作業機械の外装カバー,エンジンルーム及びブーム等を省略し、便宜上、構成を分解して示す。
図3に示すように、この上部旋回体は、スイングフレーム15上に様々な装置を搭載した状態で下部走行体(図示せず)上に旋回可能に載架される。スイングフレーム15には、その機体前方にブームが取付けられ、機体後方に機体の重量バランスを取るカウンタウェイトが備えられる。また、カウンタウェイトの直前方には、エンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内には、エンジンや各種冷却装置が設置される。
【0024】
また、スイングフレーム15の左前方には、乗員が搭乗するキャブ12が搭載されており、キャブ12の搭載位置には、後述するエアマウント2を取り付けるマウント穴16が穿孔される。
キャブ12は、シートや各種操作装置類が備えられた搭乗室であり、キャブ床12aとキャブ本体12bとから形成される。また、キャブ床12aの下面には、エアマウント2が取付けられる。
【0025】
このエアマウント2は、キャブ床12aとスイングフレーム15との間に介装されて、作業機械の作業時や走行時に、スイングフレーム15から伝わる振動や衝撃を吸収しながら、キャブ12をスイングフレーム15に弾性的に支持するマウント装置である。図2に示すように、エアマウント2は、マウント空気室(第2空気室)2a,スタッド2b,弾性体2c,減衰液室2d,本体2eとを備える。
【0026】
本体2eは、一端が閉塞された円筒状(容器状)であり、その外形は、マウント穴16の孔径よりも小径に形成され、開放された他端側には外側へ拡径するように延設された鍔部2fが設けられる。これにより、本体2eを機体上方側からマウント穴16へ挿入すると、鍔部2fがスイングフレーム15の上面に当接した状態で本体2eがフレーム15に対して固定される。
【0027】
スタッド2bは、断面円形の棒状に形成され、その軸を機体上下方向に向けて本体2eの内部に配置される。スタッド2bの上端はキャブ床12aに締結されており、また、スタッド2bの下端には本体2eの径方向に広がるように円盤状に形成された減衰板2gが固設される。
また、本体2e内部には、スタッド2bの外周を覆うようにゴム等の弾性体2cが筒状に配置され、弾性体2cの上方には、キャブ12の振動や衝撃を吸収するためのマウント空気室2aが設けられる。これにより、スイングフレーム15から上方へ伝達される振動は、弾性体2c及びマウント空気室2aで吸収される。
【0028】
また、本体2eの内部下方には、振動や衝撃を減衰するための減衰液室2dがある。この減衰液室2dにはシリコンオイル等の減衰液が封入されており、スタッド2bの下端に固設された減衰板2gが液体室2d中を上下に移動する。これにより、キャブ床12aからスタッド2bを介して伝達される振動は、その下端において減衰板2gを介して減衰液へと伝達されて減衰される。
【0029】
エアマウント2には、マウント空気室2aの内部へ空気を供給,または排出するための第2流路6が接続される。この流路6のマウント空気室2aへの接続部には、マウント制御弁10が介装される。マウント制御弁10は、マウント空気室2aをその外部、すなわち、流路6又は外気に対して開放又は閉鎖して、マウント空気室2aの内部の圧力を増減させる。これにより、エアマウント2の弾性特性や減衰特性(マウントの固さ)が変えられる。
【0030】
また、マウント空気室2aの内部には、マウント空気室2a内の圧力を検出する空気圧検出センサ(センサ)8が設けられ、ここで検出された圧力は、後述するコントローラ4へ伝達される。
次にキャブ12内に設置されるシートの構成を説明する。図4に示すように、シート17は、エアサスペンション1を介してキャブ床12aの上面に設置されたエアサスペンションシートである。エアサスペンション1とは、キャブ床12aからシート17へ伝わる振動を吸収して、乗り心地を向上させるための制振装置である。エアサスペンション1の内部には、振動を吸収するシート空気室(第1空気室)1a及びエアコンプレッサ3(図示せず)が設けられる。これにより、シート17がキャブ12に対して弾性的に支持される。なお、本実施形態では、シート空気室1aへ空気を供給又は排出でき、これを増減させてエアサスペンション1の弾性特性(バネ定数)や減衰特性を変更し、サスペンションの固さを変えられる。
【0031】
[空気供給回路]
続いて、エアサスペンション1のシート空気室1a及びエアマウント2のマウント空気室2aへ空気を供給するための空気圧回路の構成を説明する。図1に示すように、本回路上には、エアサスペンション1,複数のエアマウント2及びコンプレッサ3が備えられる。コンプレッサ3は、空気を圧縮してエアサスペンション1及び各エアマウント2へ供給する。なお本実施形態では、図3に示すように、キャブ床12aの四隅にエアマウント2が設けられる。
【0032】
本回路には、コンプレッサ3とエアサスペンション1とを連通する第1流路5と、第1流路5から分岐してコンプレッサ3とエアマウント2とを連通する第2流路6とが形成される。第1流路5上には、コンプレッサ3から吐出される圧縮空気を流通又は遮断して、シート空気室1a内の圧力を増加又は減少させるエアサスペンション制御弁11が介装される。また、このエアサスペンション制御弁11は、圧縮空気を流通又は遮断するだけでなく、シート空気室1aを外部に開放して圧力を減少させることができる。
【0033】
また、第2流路6上には、コンプレッサ3から吐出される圧縮空気を流通又は遮断して、マウント空気室2a内の圧力を増加又は減少させるマウント制御弁10が各エアマウント2に対して設けられ、各マウント制御弁10とコンプレッサ3との間には、アキュームレータ9が介装される。
マウント制御弁10は、図1に示すように、各エアマウント2のマウント空気室2aに隣接するように一つずつ設けられ、同様に、エアサスペンション制御弁11も、シート空気室1aに隣接する。また、アキュームレータ9は、第2流路6内を流通する圧縮空気の圧力(通路内圧力)に応じて空気を蓄積又は放出して、空気圧の脈動変化を抑制する。
【0034】
これらのエアサスペンション制御弁11,マウント制御弁10は、後述するコントローラ4によって制御される。なお、本実施形態では、エアサスペンション制御弁11,マウント制御弁10が、コントローラ4から後述する増圧信号が入力されると、コンプレッサ3側からそれぞれシート空気室1a側,マウント空気室2a側へ空気を流通させるとともに逆方向への流通を遮断するチェックバルブとして機能する。これにより、増圧信号が入力された状態でコンプレッサ3側から圧縮空気が流入すると、その圧縮空気をシート空気室1a,マウント空気室2aへ流通させて増圧させることができる。
【0035】
また、コントローラ4から各制御弁11,10へ後述する減圧信号が出力されると、それぞれ、エアサスペンション空気室1a,マウント空気室2aを外気に対して開放し、減圧させる。なお、これらの増圧信号や減圧信号が入力されない場合には、圧縮空気の流通を遮断して、シート空気室1a,マウント空気室2aの各圧力を保持する。
前述の通り、マウント空気室2aの内部には、空気圧検出センサ8が設けられており、マウント空気室2a内の圧力を随時検出する。ここで検出された圧力は、コントローラ4へ入力される。また同様に、シート空気室1aの内部にも、空気圧検出センサ8が設けられており、シート空気室1a内部の圧力についても、コントローラ4へ入力される。
【0036】
操作装置13は、操作者(乗員)が操作入力を行うための装置である。例えば、操作者がエアサスペンション1へ圧縮空気を供給する操作を行った場合には、シート空気室1aの圧力を上昇させる増圧信号がコントローラ4へ入力され、また、エアマウント2へ圧縮空気を供給する操作を行うと、マウント空気室2aの圧力を上昇させる増圧信号がコントローラ4へ入力される。
【0037】
同様に、エアサスペンション1,エアマウント2に対して圧縮空気を排出する操作を行うと、それぞれの空気室1a,2aの圧力を下降させる減圧信号がコントローラ4へ入力される。このように、操作装置13は、操作者の操作に対応した信号をコントローラ4へ入力する。
なお、本実施形態では、複数設けられるエアマウント2の各々について、操作者が個別に圧力調節でき、コントローラ4へ入力される増圧信号,減圧信号には、何れのマウント空気室2aの圧力に対応する信号であるかの情報が含まれる。
【0038】
[コントローラ]
コントローラ4は、空気圧検出センサ8から入力されるシート空気室1a及びマウント空気室2a内の圧力と、操作装置13から入力される増圧信号,減圧信号とに基づいて、上述のエアサスペンション制御弁11及びマウント制御弁10を制御する制御装置であり、機能部として、自動補充制御部(補充制御手段)4a及び手動圧力制御部(圧力制御手段)4bを備える。
【0039】
まず、手動圧力制御部4bは、操作者の好みに応じて、エアサスペンション1や各エアマウント2の弾性特性や減衰特性を手動で変更するための制御部であり、操作装置13からの入力信号に応じて、コンプレッサ3から吐出された圧縮空気をシート空気室1a及びマウント空気室2aへ個別に供給すべくエアサスペンション制御弁11及びマウント制御弁10へ増圧信号,減圧信号を伝達する。
【0040】
まず、操作者の操作により、操作装置13からエアサスペンション1の増圧信号が入力された場合には、エアサスペンション制御弁11をコンプレッサ3からエアサスペンション1方向へのチェックバルブとして機能させて、コンプレッサ3側からシート空気室1a側へ空気を流通させるとともに逆方向への流通を遮断させる。また、エアサスペンション1への減圧信号が入力された場合には、エアサスペンション制御弁11を外気に対して開放して、シート空気室1aを減圧させる。
【0041】
同様に、操作者の操作によって、操作装置13からエアマウント2の増圧信号が入力された場合には、その増圧信号に対応するマウント制御弁11をコンプレッサ3からエアマウント2方向へのチェックバルブとして機能させて、コンプレッサ3側からマウント空気室2a側へ空気を流通させるとともに逆方向への流通を遮断させる。また、エアマウント2の減圧信号が入力された場合には、マウント制御弁11を外気に対して開放して、マウント空気室2aを減圧させる。このような制御により、エアサスペンション1及びエアマウント2に対する圧縮空気の供給源として、同一のコンプレッサ3を併用させながら、各空気室1a,2aの圧力を個別に制御できる。
【0042】
一方、自動補充制御部4aは、操作者の操作にかかわらずシート空気室1a及び各マウント空気室2aを所定の圧力に自動的に保持するための制御部であり、操作装置13からエアサスペンション1,エアマウント2へ圧縮空気を供給する操作信号が入力されない場合であっても、空気圧検出センサ8から入力されたシート空気室1a,マウント空気室2a内の圧力が所定圧未満であるときには、コンプレッサ3を駆動して圧縮空気をシート空気室1a,マウント空気室2aへ供給する。
【0043】
また、自動補充制御部4aは、複数存在するマウント空気室2aのうち、圧力が所定圧未満であると判定されたマウント空気室2aに対応するマウント制御弁のみに対して、このような制御を実施する。これにより、複数のマウント空気室2aのうち必要なマウント空気室2aのみに圧縮空気が供給される。
【0044】
[作用・効果]
以上のような構成により、本第1実施形態にかかるマウント装置は、以下のような作用・効果を奏する。
【0045】
まず、本実施形態によれば、エアサスペンション1のシート空気室1aへ空気を供給するためのコンプレッサ3を利用して、エアマウント2のマウント空気室2aへも空気を供給するため、エアマウント2の空気バネの弾力調整のための専用コンプレッサを用意する必要がない。したがって、エアコンプレッサの設置スペースを節約でき、製造コストを削減できる。特に、一般的な作業機械においてエアサスペンション1とエアマウント2との配設位置は近接しており、図4に示すように、エアコンプレッサ3はシート17の下部に設けられるため、キャブ床12aに空気圧回路を通す開口を設ければ、容易にエアコンプレッサ3とエアマウント2とを接続できる。
【0046】
また、エアマウント2へ空気を供給する際には、第2流路6上に介装されたアキュームレータ9の作用により、コンプレッサ3から吐出される空気の脈動が一定に均される。したがって、圧力変動の小さい安定した圧力をマウント空気室2aへ供給できる。
また、エアサスペンション1及びエアマウント2の各々に対して、コンプレッサから供給される圧縮空気の流通を制御するエアサスペンション制御弁11,マウント制御弁10が設けられるため、容易に圧縮空気の個別供給を行える。
【0047】
また、自動補充制御部4aは、操作者の操作がない場合、すなわち、増圧信号や減圧信号が入力されない場合であっても、空気圧検出センサ8から入力された圧力が所定圧未満である場合には、対応するシート空気室1a,マウント空気室2aへ圧縮空気を供給できる。したがって、例えばマウント空気室2aの圧力が低下した場合であっても、操作者の手を煩わせることなく自動的に所定圧に保持できる。
【0048】
また、本実施形態のマウント装置は、キャブ12を支持するエアマウント2がキャブ床12aの四隅に設けられるため、各エアマウント2のマウント空気室2aの圧力を制御することによってキャブ床12aの四隅の高さを変更して、キャブ12全体の傾きや高さを調節できる。
例えば、キャブ12を前傾させたい場合には、機体後方側の二つのエアマウント2におけるマウント空気室2aの圧力を上昇させて、機体前方側の二つのエアマウント2におけるマウント空気室2aの圧力を下降させればよい。逆に、キャブ12を後傾させたい場合には、機体後方側の圧力を下降させ、機体前方側の圧力を上昇させればよい。また、キャブ12を全体的に高くしたい場合には、全てのエアマウント2におけるマウント空気室2aの圧力を上昇させればよい。
【0049】
このように、本実施形態によれば、手動圧力制御部4bを備えるという簡素な構成で、
キャブ12全体を支持しながらキャブ高さ,キャブ角度を調整できる。また、空気圧によってキャブ高さ,キャブ角度の調整が行われるため、小さな力で簡単にこのようなチルト調整を行える。
【0050】
[第2実施形態]
図5は第2実施形態のマウント装置の空気圧回路図である。なお、本実施形態における空気圧回路は、第1実施形態と同様に、図3〜図4に示すような作業機械の上部旋回体に搭載されるキャブ12に適用されており、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
[構成]
図5に示すように、第2実施形態にかかる空気圧回路は、エアサスペンション1,エアマウント2及びコンプレッサ3を備える。また本回路上には、コンプレッサ3とエアサスペンション1とを連通する第1流路5と、第1流路から分岐してコンプレッサ3とエアマウント2とを連通する第2流路6とが形成される。
【0052】
第1流路5と第2流路6との分岐点には、流路選択弁7が設けられる。この流路選択弁7は、コンプレッサ3から吐出された圧縮空気の流通先を選択するための弁であり、圧縮空気を第1流路5及び第2流路6のうちのいずれか一方へ選択的に流通させる。この流路選択弁7における圧縮空気の流通方向は、コントローラ4によって制御される。
なお、図5では、複数設けられたエアマウント2のうちの一つだけを代表して図示しており、その他のエアマウント2及び第2流路6は流路選択弁7からの分岐路として設けられるが、ここでは図示を省略する。
【0053】
第2流路6上には、アキュームレータ9が介装される。このアキュームレータ9は、第2流路6内を流通する圧縮空気の圧力(通路内圧力)に応じて空気を蓄積又は放出して、通路内圧力の脈動変化を抑制する。
また、第1流路5上には、エアサスペンション1のシート空気室1aに隣接してエアサスペンション制御弁21が介装され、第2流路6上に、エアマウント2のマウント空気室2aに隣接してマウント制御弁10が介装される。エアサスペンション制御弁21は、コンプレッサ3から吐出される圧縮空気をシート空気室1aへの流入させるとともに逆方向への流通を遮断するチェックバルブとして機能する。同様に、マウント制御弁20は、コンプレッサ3側からマウント空気室2a側へ圧縮空気を流入させるとともに逆方向への流通を遮断するチェックバルブとして機能する。
【0054】
また、シート空気室1a及びマウント空気室2aの内部には、空気圧検出センサ8が設けられ、それぞれ、空気室1a,2a内の圧力を検出して、コントローラ14へ入力する。
コントローラ14は、空気圧検出センサ8から入力されるシート空気室1a及びマウント空気室2a内の圧力に基づいて、コンプレッサ3及び流路選択弁7を制御する制御装置であり、機能部としての自動補充制御部(補充制御手段)14aを備える。
【0055】
自動補充制御部14aは、シート空気室1a及び各マウント空気室2aの圧力を所定の圧力に自動的に保持するための制御部である。シート空気室1a,マウント空気室2aのうちの何れかの圧力が所定圧未満である場合には、コンプレッサ3を駆動するとともに、流路制御弁7における空気の流通方向を制御して、所定圧未満である空気室へ圧縮空気を供給する制御を行う。
【0056】
[作用・効果]
本発明の第2実施形態のマウント装置は、上述のように構成されて、以下のような作用・効果を奏する。
まず、本実施形態によれば、エアサスペンション1のシート空気室1aへ空気を供給するコンプレッサ3は、エアマウント2のマウント空気室2aへも空気を供給するため、エアマウント2の空気バネの弾性力調整のための専用コンプレッサを用意する必要がない。したがって、エアコンプレッサの設置スペースを節約でき、製造コストを削減できる。特に、一般的な作業機械においてエアサスペンション1とエアマウント2との配設位置は近接しており、図4に示すように、エアコンプレッサ3はシート17の下部に設けられるため、キャブ床12aに空気圧回路を通すための開口を設ければ、容易にエアコンプレッサ3とエアマウント2とを接続できる。
【0057】
また、エアマウント2へ空気を供給する際には、第2流路6上に介装されたアキュームレータ9により、コンプレッサ3から吐出される空気の脈動が一定に均されることになる。したがって、圧力変動の小さい安定した圧力をマウント空気室2aへ供給できる。
また、本実施形態では、第1流路5と第2流路6との分岐点に介装された流路選択弁7における空気の流通方向の制御により、容易に圧縮空気の流通経路を設定できる。さらに、空気圧検出センサ8が、空気圧が所定圧未満であると検知した場合に、自動補充制御部4aがコンプレッサ3を駆動し、設定された空気の流通経路に従って圧縮空気を供給する。これにより、容易に圧縮空気を個別供給でき、操作者の手を煩わせることなく自動的に空気圧を所定圧に保持できる。
【0058】
[第3実施形態]
図6,図7は第3実施形態のマウント装置を示すもので、図6は本装置を備えた作業機械の上部旋回体の分解斜視図、図7はキャブ下面の膜振動を説明する模式図である。なお、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
[構成]
本実施形態では、図6に示すように、キャブ床12aの下面における外周部の四隅に第1実施形態と同様のエアマウント2(本実施形態では、便宜上、第1マウントと呼ぶ)が取り付けられるとともに、中央部に第2マウント22が取り付けられた、五点支持構造となっている。この第2マウント22の内部には、第1マウント2と同様に、マウント空気室2a,スタッド2b,弾性体2c,減衰液室2d及び本体2eが備えられ、第2マウント22におけるマウント空気室2a内の圧力は第1マウント2とは異なる空気圧に設定されている。これにより、第2マウント22は、第1マウント2とは弾性特性や減衰特性が相違する。
【0060】
また、本実施形態の空気供給回路についても、図1に示された第1実施形態のものと略同様であり、同回路上において、第2マウント22が第1マウント2に対して並列に設けられている。第1マウント2及び第2マウント22におけるマウント空気室2a内の圧力制御は、コントローラ4によって実施される。
なお、本実施形態では、コントローラ4の自動補充制御部4bにおいて、マウント空気室2aの圧力制御により、第1マウント2のバネ定数が比較的大きくなるように、且つ、第2マウント22のバネ定数が第1マウント2よりも小さくなるように制御が実施される。また、第1マウント2のバネ定数の大きさは、四隅の第1マウント2によってキャブ12全体の重量を支持しうる程度の値よりも大きな値に設定されている。
【0061】
[作用・効果]
本発明の第3実施形態のマウント装置は、上述のように構成されて、以下のような作用・効果を奏する。
まず、コントローラ4の自動補充制御部4bにより、第2マウント22のバネ定数が第1マウント2のバネ定数よりも小さくなるように制御されるため、第1マウント2が第2マウント22よりも振動しにくい(固い)特性を持つことになる。外周部の第1マウント2に対しては、キャブ12の総重量を支持するのに十分な剛性を持つようにバネ定数が大きく設定される。これにより、中央部の第2マウント22にはキャブ12の重量を支持する機能が求められなくなり、キャブ12の乗り心地を調整するためのバネ定数の設定ができる。
【0062】
また、第2マウント22の弾性特性が第1マウント2より振動しやすく(柔らかく)設定されるため、作業時や走行時の振動ショックを和らげることができ、オペレータの乗り心地を良くすることができる。このように、弾性特性が第1マウント2と第2マウント22とで異なっているため、第1マウント2及び第2マウント22の機能分離が容易となる。
【0063】
また、本実施形態では、キャブ床12aの下面中央部に配置された第2マウント22におけるマウント空気室2a内の圧力を第1マウント2の圧力と異なるように設定することができるため、第1マウント2の振動ストロークと第2マウント22の振動ストロークとが異なる大きさになるように設定でき、膜振動を抑制することが可能となる。
つまり、キャブ床12aの外周部のみで支持する場合や、キャブ床12aの中央部に支持点を追加した場合であっても、振動ストロークが同一であれば、図7に実線及び破線で示すように、キャブ床12aの膜振動が発生するおそれがある。しかし、本実施形態では、第2マウント22の振動ストロークを第1マウント2の振動ストロークとは異なる大きさに設定することにより、支持点の振動位相をずらして、膜振動の振幅dを抑制することが可能となる。なお、上記のマウント空気室2a内の圧力制御によって、各第1マウント2,第2マウント22の減衰特性(例えば、単位振動周期あたりに減衰する振動エネルギーの大きさや、減衰時間等)を相違させることも可能であり、より容易に支持点の振動位相をずらすことができ、膜振動を抑制できる。
【0064】
また、キャブ床12a下面中央部の第2マウント22におけるマウント空気室2aの圧力制御により、乗り心地をオペレータの好みに合わせることができる。例えば、圧力を大きくして第2マウント22を固くすることにより、キャブ床12aの変形を抑制してタイトな乗り心地〔つまり、低周波(長周期)の振動を抑えた乗り心地〕にしたり、逆に圧力を小さくして第2マウント22を柔らかくすることにより、ソフトな乗り心地〔つまり、高周波(短周期)の振動を抑えた乗り心地〕にするといった選択が可能となる。
【0065】
[その他]
以上、本発明の実施形態について3例説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
例えば、上述の第2実施形態においては、コントローラ14がコンプレッサ3及び流路選択弁7を制御するが、このような構成の代わりに、図8に示すように、コントローラ14がアキュームレータ9を制御する構成としてもよい。
【0066】
この場合、マウント空気室2a内の圧力の大きさが所定圧以上であるときには、コントローラ14の自動補充制御部14aが、アキュームレータ9の内部に空気を蓄積させ、所定圧未満であるときに、アキュームレータの内部の圧力をマウント空気室2a側へ放出させる。このような構成により、アキュームレータ9を利用して、コンプレッサ3を駆動することなくより簡便に空気圧の自動補充を行える。
【0067】
また、図9に示すように、シート空気室1a及びマウント空気室2a内に空気圧検出センサ8を備えない構成も考えられる。この場合、第1流路5には、第1流路5上におけるシート空気室1a側の圧力が所定圧以上であるときに閉弁し、所定圧未満であるときに開弁してコンプレッサ33から吐出された圧縮空気をシート空気室1aへ流通させる第1チェックバルブ31が介装される。また同様に、第2流路6には、第2流路6上におけるマウント空気室2a側の圧力が所定圧以上であるときに閉弁し、所定圧未満であるときに開弁してコンプレッサ33から吐出された圧縮空気をマウント空気室2aへ流通させる第2チェックバルブ30が介装される。
【0068】
本回路に備えられたコンプレッサ33は、常時駆動されて圧縮空気を吐出するように構成される。また、コントローラ34は、操作装置53からの操作入力に応じて、流路選択弁7を制御して、コンプレッサ33から吐出される圧縮空気の流通方向を第1流路5及び第2流路6のうちのいずれか一方に選択させる。
このような構成により、操作装置53によって選択されたエアサスペンション1又はエアマウント2のいずれかにおいて、空気室1a,2a内の圧力を検出することなく、自動的に空気圧を補充可能となる。
【0069】
なお、上述の第1〜第3実施形態では、空気供給回路が第1流路5及び第2流路6を備えて構成されているが、これらの流路は必須の構成要素ではない。例えば、コンプレッサ3をエアサスペンション1に隣接して設けることによって、第1流路を省略でき、回路構成をよりシンプルにしてコストを低減できる。
また、上述の第1〜第3実施形態では、空気圧検出センサ8がシート空気室1a,マウント空気室2aの内部に設けられているが、各空気室1a,2aの外部にこれらのセンサを設けてもよい。なお、この場合、エアサスペンション制御弁11やマウント制御弁10を各空気室1a,2aに隣接させず、各制御弁11,10と各空気室1a,2aとの間にこれらのセンサ8を設けることが好ましい。
【0070】
また、上述の第1,第2実施形態では、キャブ床12aに対してエアマウント2が四隅に設けられるが、エアマウント2の個数及び配設位置は任意である。なお、最低限2個設けることによって、キャブ床12aの面の傾斜を自在に調整可能である(なお、この場合、キャブ床12aの面を支える支点と各エアマウント2の支持点とが同一直線上に並ばないように各エアマウント2を配設する)。なお、上述の第3実施形態では、キャブ床12aに対して第1マウント2が四個,第2マウントが1個設けられるが、これらの個数についても任意である。
【0071】
なお、上述の第1〜第3実施形態では、本発明のマウント装置が作業機械のキャブ12のマウントとして適用されたものが例示されているが、例えばエンジンマウントとして本発明のマウント装置を適用することも可能である。つまり、作業機械のフレーム15とフレーム15上に搭載される装置との間に介装されるマウント装置であれば、どのようなマウント装置であっても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態としてのマウント装置が適用された空気圧回路図である。
【図2】図1のエアマウントの断面構成図である。
【図3】図1のマウント装置が適用された作業機械の上部旋回体の分解斜視図である。
【図4】図1のマウント装置が適用されたキャブ内のシート及びシート下部の断面正面図である。
【図5】第2実施形態のマウント装置が適用された空気圧回路図である。
【図6】第3実施形態のマウント装置を備えた作業機械の上部旋回体の分解斜視図である。
【図7】図6のキャブ下面の膜振動を説明する模式図である。
【図8】他の実施形態のマウント装置が適用された空気圧回路図である。
【図9】更に他の実施形態のマウント装置が適用された空気圧回路図である。
【符号の説明】
【0073】
1 エアサスペンション
1a シート空気室(第1空気室)
2 エアマウント(第1マウント)
2a マウント空気室(第2空気室)
3 コンプレッサ
4 コントローラ
4a 自動補充制御部(補充制御手段)
4b 手動圧力制御部(圧力制御手段)
5 第1流路
6 第2流路
7 流路選択弁
8 空気圧検出センサ
9 アキュームレータ
10 マウント制御弁(第2制御弁)
11 エアサスペンション制御弁(第1制御弁)
12 キャブ
12a キャブ床
12b キャブ本体
13 操作装置
15 スイングフレーム
16 マウント穴
22 第2マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ内に設置されたシート下部に、シートへの振動を吸収するための第1空気室が設けられたエアサスペンションを有する作業機械のマウント装置であって、
該作業機械のフレームと該フレーム上に搭載される装置との間に介装されて、該装置の振動を吸収するための第2空気室を有して該装置を該フレームに対し弾性支持するエアマウントと、
空気を圧縮して吐出するコンプレッサと、
該コンプレッサから吐出された空気を該第1空気室及び該第2空気室へ個別に供給する補充制御手段と
を備えたことを特徴とする、マウント装置。
【請求項2】
該第1空気室と該コンプレッサとを連通する第1流路と、
該第1流路から分岐して該第2空気室と該コンプレッサとを連通する第2流路と、
該第1流路と該第2流路との分岐点に設けられ、該コンプレッサから吐出される空気を該第1流路及び該第2流路のうちの何れか一方へ選択的に流通させる流路選択弁とを備え、
該補充制御手段は、該流路選択弁における空気の流通方向を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載のマウント装置。
【請求項3】
該第1空気室と該コンプレッサとを連通する第1流路と、
該第1流路から分岐して該第2空気室と該コンプレッサとを連通する第2流路と、
該第1流路上に介装されて該コンプレッサから吐出される空気を流通又は遮断する第1制御弁と、
該第2流路上に介装されて該コンプレッサから吐出される空気を流通又は遮断する第2制御弁とを備え、
該補充制御手段は、該第1制御弁及び該第2制御弁を個別に制御する
ことを特徴とする、請求項1記載のマウント装置。
【請求項4】
該第2空気室内の圧力を検出するセンサを備え、
該補充制御手段は、該センサで検出された該圧力が所定圧未満であるときに、該コンプレッサを駆動して該第2空気室へ空気を供給するとともに、該センサで検出された該圧力が所定圧以上であるときに、該第2空気室への空気の供給を遮断する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項5】
該第2空気室内の圧力を検出するセンサと、
該コンプレッサと該第2空気室とを連通する通路上に介装され、該通路内を流通する空気の圧力に応じて空気を蓄積又は放出するアキュームレータとを備え、
該補充制御手段は、該センサで検出された該圧力が該所定圧以上であるときに、該アキュームレータの内部に空気を蓄積するとともに、該センサで検出された該圧力が該所定圧未満であるときに、該アキュームレータの内部に蓄積された空気を該第2空気室側へ放出する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項6】
該コンプレッサと該第2空気室とを連通する通路上に介装され、該通路上における該第2空気室側の圧力が該所定圧以上であるときに閉弁するとともに、該通路上における該第2空気室側の圧力が該所定圧未満になったときに開弁して該コンプレッサから吐出された空気を該第2空気室へ流通させるチェックバルブを備え、
該コンプレッサは、該第2空気室へ所定圧の空気を継続的に供給する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項7】
該エアマウントは、該キャブの下面に設けられて該キャブを該フレームに対し弾性支持する
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項8】
該第2空気室内の圧力を増減させるべく該第2空気室を外部へ開放又は閉鎖するマウント制御弁と、
該マウント制御弁を制御する圧力制御手段と
を備えたことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のマウント装置。
【請求項9】
該エアマウントは、該キャブの下面に複数設けられるとともに、
該マウント制御弁は、該複数のエアマウントにおける各々の該第2空気室に設けられ、
該圧力制御手段は、該複数のマウント制御弁を個別に調節して、該第2空気室内の圧力を増加又は減少させる制御を実施する
ことを特徴とする、請求項8記載のマウント装置。
【請求項10】
該エアマウントは、該キャブの下面における四隅に設けられる
ことを特徴とする、請求項9記載のマウント装置。
【請求項11】
該エアマウントは、該キャブの下面における外周部に分散して配置される複数の第1マウントと、該キャブの下面中央部に配置されて少なくとも弾性特性及び減衰特性の何れか一方が該第1マウントとは異なる第2マウントと、を備えて構成される
ことを特徴とする、請求項9記載のマウント装置。
【請求項12】
操作者による操作量に応じて、該第2空気室内の圧力を増加又は減少させる信号を出力する操作装置を備え、
該圧力制御手段は、該操作装置から出力される該信号に基づいて該マウント制御弁を制御する
ことを特徴とする、請求項8〜11の何れか1項に記載のマウント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−8413(P2007−8413A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194916(P2005−194916)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】