説明

メニスカス測定方法、メニスカス測定装置およびメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置

【課題】 機能液を無駄に消費することなく、ノズル部分の機能液のメニスカスの挙動が測定でき、且つ機能液の粘度増加等を防ぐことができるメニスカス測定方法、メニスカス測定装置およびメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】 吐出ヘッド26のノズル27におけるメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定装置は、ノズル27のメニスカスへレーザ光95を照射する照射部と、ノズル27とレーザドップラ計90との間に設けられレーザ光95を通過または遮断する第一スリット101および第二スリット100を有する遮断部と、メニスカスの挙動を測定するレーザドップラ計90とを有し、遮断部によりメニスカスへのレーザ光95の照射を間歇的に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能液のメニスカスの挙動の状態を測定するためのメニスカス測定方法、メニスカス測定装置およびメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の液滴吐出装置に備えられた吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出する際の吐出状態を検査する方法として、吐出ヘッドに対しカメラおよびストロボから成る光学検査装置を用いて、吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴を撮像していた。液滴の撮像により、液滴の飛行状態、すなわち飛行曲がりや不吐出によるドット抜けの有無等を検出して、液滴の吐出性およびノズルの吐出特性を検査する方法が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−206624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の検査方法では、ノズルから液滴を吐出して、吐出された液滴の飛行状態を映像によって連続的に観察している。そのため、ノズル部分での機能液のメニスカスの挙動を測定することはできなかった。さらに、検査のためにノズルから液滴を吐出する必要があり、検査の度に機能液が無駄に消費されていた。また、ストロボの発光熱により機能液および液滴の粘度が増すなどして液滴の吐出に影響を与えることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、機能液を無駄に消費することなく、ノズル部分の機能液のメニスカスの挙動が測定でき、且つ機能液の増粘などを防ぐことができるメニスカス測定方法、メニスカス測定装置およびメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のメニスカス測定方法は、液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定する方法である。このメニスカス測定方法は、ノズルのメニスカスへ照射部から電磁波を照射する照射工程と、ノズルと照射部との間に設けられた遮断部により、メニスカスへ照射する電磁波を間歇的に遮断する遮断工程と、メニスカスの挙動をメニスカス測定部によって測定するメニスカス測定工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
このメニスカス測定方法によれば、まず照射工程で、液滴吐出ヘッドのノズルにおける機能液のメニスカスに対して、照射部から電磁波を照射する。この場合、機能液へ連続して電磁波を照射すると、機能液が蒸発等して変質し、ノズルからの機能液の吐出に支障が生じることがある。そこで、遮断工程において、遮断部を設けて電磁波の照射を制御し、メニスカスへの電磁波の照射を連続ではなく間歇的に行う。そして、メニスカス測定工程では、電磁波を介してメニスカスの挙動を測定する。このようにして、ノズル部でのメニスカスの静止位置、または挙動しているメニスカスの変化の推移を測定することにより、ノズルから液滴を吐出することなく、機能液のメニスカスの挙動の状態を判断できる。メニスカスの測定に対応して必要時にのみ電磁波を照射することにより、必要な測定値が得られるだけでなく、機能液に電磁波を連続照射して機能液が変質することを抑制できる。
【0008】
本発明のメニスカス測定方法は、液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定する方法である。このメニスカス測定方法は、ノズルから液滴を吐出させない程度の微振動電圧波形をノズルへ印加する微振動電圧波形印加工程と、微振動電圧波形の印加に同調してノズルのメニスカスへ照射部から電磁波を照射する照射工程と、ノズルと照射部との間に設けられた遮断部により、少なくともメニスカスを測定する期間はメニスカスへ電磁波を照射するように電磁波の照射および遮断を制御する遮断工程と、メニスカスで反射した電磁波をメニスカス測定部が受けて、メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定工程と、を有することを特徴とする。また、メニスカス測定工程は、微振動電圧波形の印加によるノズルにおけるメニスカスの変位または速度を測定する工程であることが好ましい。
【0009】
このメニスカス測定方法によれば、まず、微振動電圧波形印加工程で、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出させない程度の微振動波形をノズルへ印加して、ノズルにおける機能液のメニスカスに微細な振動を与える。次に、照射工程で、微細な振動を与えられたメニスカスへ、照射部から電磁波を照射する。このとき、遮断工程において、ノズルと照射部との間に設けられた遮断部により、微振動電圧波形が印加されて周期的な振動をしているメニスカスに対して、少なくともメニスカスの測定時には電磁波を照射し、メニスカスの非測定時には、ほぼ全期間電磁波の照射を遮断する。ノズルへの微振動電圧波形の印加周期に同調して、メニスカスへの電磁波の照射または遮断を制御することにより、メニスカスへの電磁波の照射を必要時にのみ行うことが可能である。そして、メニスカス測定工程において、メニスカス測定部が、電磁波を介して、メニスカスの振動の状態をメニスカスの変位または速度として測定する。電磁波を介することにより、ノズルから液滴を吐出することなく、測定したメニスカスの変位または速度のデータから機能液の状態を判断することができる。また、ノズルの微細部分において機能液のメニスカスへ連続的に電磁波を照射した場合に、電磁波の影響で機能液が蒸発等して変質し、メニスカスの挙動に影響を与えてしまう場合がある。つまり、ノズルからの機能液の吐出に支障が生じる。遮断部を設けてメニスカスへの電磁波の照射を連続ではなく間歇的に行うことで、必要な測定値が得られるだけでなく、メニスカスの挙動に影響を与えて吐出不良の原因となる機能液の変質を抑制できる。
【0010】
この場合、メニスカス測定工程は、電磁波がレーザ光であるレーザドップラ計によりメニスカスの挙動を測定することが好ましい。
【0011】
この方法によれば、メニスカス測定工程は、微振動電圧波形を印加されたノズルのメニスカスに対してレーザ光を照射し、メニスカスで反射したレーザ光が戻って来る時間等を計測するレーザドップラ計を用いる。直進性が良く拡散しないレーザ光を用いることにより、微細なメニスカスの変位または速度の検出も可能である。
【0012】
この場合、遮断工程は、遮断部がスリットを備えた回転体を有しており、回転体の回転速度を制御することによりスリットを通過するメニスカスへの電磁波の照射および遮断の時期を制御する工程であることが好ましい。
【0013】
この方法によれば、遮断工程では、遮断部のスリットが回転することにより、スリットを通過しようとする電磁波を通過させるかまたは遮断する。このスリットを備えた回転体の回転速度を制御すれば、少なくとも微振動電圧波形が印加されメニスカスの挙動を測定する期間には、電磁波がスリットを通過してメニスカスへ照射されるように制御できる。また、メニスカスを測定しない期間には、電磁波のメニスカスへの照射を遮断できる。遮断部により、メニスカスに対して必要以上の電磁波の照射を遮断でき、電磁波の照射による機能液の変質を抑えることができる。
【0014】
この場合、遮断工程では、回転体が電磁波を乱反射させる面をメニスカス測定部に対峙する側に備え、電磁波を遮断したときは電磁波を乱反射させることが好ましい。
【0015】
この方法によれば、遮断工程において、回転体のメニスカス測定部に対峙する側の面で電磁波を乱反射させて電磁波のエネルギーを分散させることにより、反射した電磁波の影響を防止できる。具体的には、反射した電磁波が周囲の装置等に誤動作等の影響を及ぼすことを防止できる。電磁波を乱反射させる処理として、回転体のメニスカス測定部に対峙する側の表面への乱反射コーティングや、面自体に細かい凹凸等を施すことなどが挙げられる。
【0016】
本発明のメニスカス測定装置は、液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定する装置である。このメニスカス測定装置は、ノズルのメニスカスへ電磁波を照射する照射部と、ノズルと照射部との間に設けられ、メニスカスへ照射する電磁波を間歇的に遮断する遮断部と、メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定部と、を有することを特徴とする。
【0017】
このメニスカス測定装置によれば、液滴吐出ヘッドのノズルにおける機能液のメニスカスに対して、照射部から電磁波を照射する。この場合、機能液へ連続して電磁波を照射すると、機能液が蒸発等して変質し、ノズルからの機能液の吐出に支障が生じることがある。そこで、遮断部を設けて電磁波の照射を制御し、メニスカスへの電磁波の照射を連続ではなく間歇的に行う。そして、メニスカス測定部により、電磁波を介してメニスカスの状態を測定する。ノズル部でのメニスカスの静止位置、または挙動しているメニスカスの変化の推移を測定することにより、ノズルから液滴を吐出することなく、機能液のメニスカスの状態を判断できる。メニスカスの測定に対応して電磁波を照射することにより、必要な測定値が得られるだけでなく、機能液に電磁波を連続照射して機能液が変質することを抑制できる。
【0018】
本発明のメニスカス測定装置は、液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定するものである。メニスカス測定装置は、ノズルから液滴を吐出させない程度の微振動電圧波形をノズルへ印加する微振動電圧波形印加部と、微振動電圧波形を印加に同調してノズルのメニスカスへ電磁波を照射する照射部と、ノズルと照射部との間に設けられ、少なくともメニスカスを測定する期間はメニスカスへ電磁波を照射するように電磁波の照射および遮断を制御する遮断部と、メニスカスで反射した電磁波を受けて、メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定部と、を有することを特徴とする。また、メニスカス測定部は、微振動電圧波形の印加によるノズルにおけるメニスカスの変位または速度を測定することが好ましい。
【0019】
このメニスカス測定装置によれば、微振動電圧波形印加部により、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出させない程度の微振動波形をノズルへ印加して、ノズルにおける機能液のメニスカスに微細な振動を与える。微細な振動を与えられたメニスカスへ、照射部から電磁波を照射する。このとき、ノズルと照射部との間に設けられた遮断部により、微振動電圧波形が印加されて周期的な振動をしているメニスカスに対して、少なくともメニスカスの測定時には電磁波を照射し、メニスカスの非測定時には、ほぼ全期間電磁波の照射を遮断する。ノズルへの微振動電圧波形の印加周期に同調して、メニスカスへの電磁波の照射または遮断を制御することにより、メニスカスへの電磁波の照射を必要時にのみ行うことが可能である。そして、メニスカス測定部が、電磁波を介して、メニスカスの振動の状態をメニスカスの変位または速度として測定する。電磁波を介することにより、ノズルから液滴を吐出することなく、測定したメニスカスの変位または速度のデータから機能液の状態を判断することができる。また、ノズルの微細部分において機能液のメニスカスへ連続的に電磁波を照射した場合に、電磁波の影響で機能液が蒸発等して変質し、メニスカスの挙動に影響を与えてしまう場合がある。つまり、ノズルからの機能液の吐出に支障が生じる。遮断部を設けてメニスカスへの電磁波の照射を連続ではなく間歇的に行うことで、必要な測定値が得られるだけでなく、メニスカスの挙動に影響を与えて吐出不良の原因となる機能液の変質を抑制できる。
【0020】
この場合、メニスカス測定部は、電磁波がレーザ光であるレーザドップラ計によりメニスカスの挙動を測定することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、メニスカス測定部は、微振動電圧波形を印加されたノズルのメニスカスに対してレーザ光を照射し、メニスカスで反射したレーザ光が戻って来る時間等を計測するレーザドップラ計を用いる。直進性が良く拡散しないレーザ光を用いることにより、微細なメニスカスの変位または速度の検出も可能である。
【0022】
この場合、遮断部は、スリットを備えた回転体を有しており、回転体の回転速度を制御することによりスリットを通過するメニスカスへの電磁波の照射および遮断の時期を制御することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、遮断部は、スリットが回転することにより、スリットを通過しようとする電磁波を通過させるかまたは遮断する。このスリットを備えた回転体の回転速度を制御すれば、少なくともメニスカスの挙動を測定する期間には、電磁波がスリットを通過してメニスカスへ照射されるように制御できる。また、メニスカスを測定しない期間には、電磁波のメニスカスへの照射を遮断できる。遮断部により、メニスカスに対して必要以上の電磁波の照射を遮断でき、電磁波の照射による機能液への影響を抑えることができる。
【0024】
この場合、回転体は、スリットを通ってメニスカスへ照射される電磁波の照射の期間が、ノズルへ微振動電圧波形の印加によって発生するメニスカスの微振動の発生期間の一部を含むように微振動電圧波形の印加タイミングに同調して回転速度制御されることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、電磁波は、回転体のスリットを通ってメニスカスへ照射される。電磁波がスリットを通って照射されている期間は、回転体の回転速度によって異なり、回転速度が速いほど照射期間は短くなる。この電磁波の照射期間を微振動電圧波形が印加されるタイミングに同調させると共に、照射期間内に、吐出ヘッドへの微振動電圧波形の印加によるメニスカスの微振動が発生している期間の一部を含んでいるように、回転体の回転速度を制御する。このような回転体の速度制御により、メニスカスの微振動が発生している期間の一部を含むメニスカスの挙動を測定する期間には、電磁波がメニスカスへ照射されている。メニスカスへの電磁波の照射を自在に制御することができる。
【0026】
この場合、回転体として、第一スリットを有する第一回転体と第二スリットを有する第二回転体とを備え、第一回転体は、電磁波の照射経路を通過する第一スリットの第一期間が、ノズルへ微振動電圧波形が印加されて発生するメニスカスの微振動の発生期間の一部を含むように微振動電圧波形の印加タイミングに同調して回転速度制御され、第二回転体は、電磁波の照射経路を通過する第二スリットの第二期間が、第一期間内にメニスカス測定部の測定サンプリング点を少なくとも一つ含む複数の期間として設定されるように回転速度制御されることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、第一スリットを通って照射されている電磁波の照射期間である第一期間は、微振動電圧波形が印加されるタイミングに同調していると共に、この照射期間内に、吐出ヘッドへの微振動電圧波形の印加によるメニスカスの微振動が発生している期間の一部を含むように、第一回転体の回転速度を制御する。また、第二スリットを通って照射されている電磁波の照射期間である第二期間は、メニスカス測定部によってメニスカスの挙動を測定する測定サンプリング点を少なくとも一つ含んでいる。つまり、第二期間内に、少なくとも1回はメニスカスの挙動を測定する。第一期間に、測定サンプリング点を少なくとも一つ含む第二期間が複数含まれるように、第二回転体の回転速度を制御する。このような設定により、電磁波のメニスカスへの照射は、測定サンプリング点において照射されるだけであり、必要最小限の照射に抑えることができる。
【0028】
この場合、回転体のメニスカス測定部に対峙する面が、電磁波を遮断したときは電磁波を乱反射させることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、遮断部は、回転体のメニスカス測定部に対峙する側の面で、電磁波を乱反射させて電磁波のエネルギーを分散させることにより、反射した電磁波の影響を防止できる。具体的には、反射した電磁波が周囲の装置等に誤動作等の影響を及ぼすことを防止できる。電磁波を乱反射させる処理として、回転体のメニスカス測定部に対峙する側の表面への乱反射コーティングや、面自体に細かい凹凸等を施すことなどが挙げられる。
【0030】
本発明の液滴吐出装置は、メニスカス測定装置を備えたことを特徴とする。
【0031】
この液滴吐出装置によれば、メニスカス測定装置を備えたことにより、機能液の液滴を吐出する吐出装置としての機能だけでなく、機能液を無駄に消費せずに、また、必要以上に電磁波を照射して機能液の機能を損なうことなく機能液のメニスカスの挙動が測定できる。これにより、液滴吐出装置は、吐出装置と試験装置とを兼ね備えた複合的な液滴吐出装置として機能する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。実施形態では、機能液の液滴を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出する装置である液滴吐出装置に、ノズルにおける機能液のメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定装置を搭載した装置を例にして説明する。
(実施形態1)
【0033】
図1は、本発明のメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置の外観を示す斜視図である。液滴吐出装置1は、図1に示すように、機能液を液滴として吐出するヘッド部20を有するヘッド機構部2と、ヘッド部20から吐出された液滴の吐出対象であるワーク30を載置するワーク機構部3と、ヘッド部20に液滴となる機能液を供給する機能液供給部4と、ヘッド部20の保守および機能液吐出試験を行うメンテナンス機構部5と、これら各機構部および供給部を統括的に制御する制御部6とを備えている。
【0034】
液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚11と、支持脚11の上側に設置された定盤12を備えている。定盤12の上側には、ワーク機構部3が定盤12の長手方向(X軸方向)に延在するように配置されている。ワーク機構部3の上方には、定盤12に固定された2本の支持柱22で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在して配置されている。また、定盤12の一方の端部には、ヘッド機構部2のヘッド部20から連通して機能液を供給する機能液供給部4が配置されている。そして、ヘッド機構部2の一方の支持柱22近傍には、メンテナンス機構部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に延在するように配置されている。さらに、定盤12の下側には、制御部6が収容されている。
【0035】
ヘッド機構部2は、機能液を吐出するヘッド部20と、ヘッド部20を懸架したヘッドキャリッジ21と、ヘッドキャリッジ21のY軸方向への移動をガイドするY軸ガイド23と、Y軸ガイド23の側方にY軸ガイド23と平行に設置されたY軸リニアモータ24と、を備えている。
【0036】
ワーク機構部3は、ヘッド機構部2の下方に位置し、ヘッド機構部2とほぼ同様の構成でX軸方向に延在するように配置されており、ワーク30を載置しているワーク載置台31と、ワーク載置台31の移動をガイドするX軸ガイド33と、X軸ガイド33の側方にX軸ガイド33と平行に設置されたX軸リニアモータ34とを備えている。
【0037】
これらの構成により、ヘッド部20とワーク30とは、それぞれY軸方向およびX軸方向に往復自在に移動することができる。最初に、ヘッド部20の移動について説明する。ヘッド部20を懸架したヘッドキャリッジ21は、Y軸ガイド23に移動可能に取り付けられている。図示されていないが、ヘッドキャリッジ21からY軸リニアモータ24側へ張り出している突起部が、Y軸リニアモータ24と係合して駆動力を得ることにより、ヘッドキャリッジ21がY軸ガイド23に沿って任意の位置に移動する。同様に、ワーク載置台31に載置されたワーク30もX軸方向に自在に移動する。
【0038】
このように、ヘッド部20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワーク30のX軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。X軸方向に移動するワーク30と、Y軸方向に移動するヘッド部20とを相対的に制御することにより、ワーク30上に描画等を行うことができる。
【0039】
次に、ヘッド部20に機能液を供給する機能液供給部4は、機能液タンク45と、機能液ポンプ44と、機能液タンク45から機能液ポンプ44を経てヘッド部20までを接続する流路チューブ49とを備えている。機能液タンク45は一個だけでなく複数個備えることも可能である。この場合、複数のタンクは、それぞれ専用の流路チューブおよび機能液ポンプによって、ヘッド部20へ接続されている。これにより、機能の異なる機能液を、選択してヘッド部20へ供給することもできる。
【0040】
図2(a)は、ヘッド部を示す平面図であり、ヘッド部20をワーク載置台31側から観察した図である。ヘッド部20は、図2(a)に示すように、互いに同じ構造を有する6個の吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)26を保持している。また、機能液を吐出するための吐出ヘッド26は、図2(b)のノズルを示す平面図に示すように、それぞれが吐出ヘッド26の長手方向に延びる2つのノズル列28を有している。1つのノズル列は、それぞれ180個のノズル27が一列に並んだ列のことである。なお、複数の機能液を使用する場合には、6個の吐出ヘッド26に、吐出する機能液を個別設定する。
【0041】
それぞれの吐出ヘッド26は、図3のノズル部分の詳細を示す断面図に示すように、振動板63と、ノズルプレート64とを備えている。振動板63と、ノズルプレート64との間には、機能液タンク45から孔67を介して供給される機能液が常に充填される液たまり65が位置している。また、振動板63と、ノズルプレート64との間には、複数の隔壁61が位置している。そして、振動板63と、ノズルプレート64と、1対の隔壁61とによって囲まれた部分がキャビティ60である。キャビティ60はノズル27に対応して設けられているため、キャビティ60の数とノズル27の数とは同じである。キャビティ60には、1対の隔壁61間に位置する供給口66を介して、液たまり65から機能液が供給される。
【0042】
振動板63上には、それぞれのキャビティ60に対応して、ピエゾ素子62cと、ピエゾ素子62cを挟む1対の電極62a、62bとが位置する。この1対の電極62a、62bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル27から機能液が液滴68となって吐出される。なお、機能液を吐出させるために、振動子62の代わりに電気熱変換素子を用いてもよく、これは電気熱変換素子による機能液の熱膨張を利用して、機能液を吐出する構成である。
【0043】
図1に示すように、メンテナンス機構部5は、キャッピングユニット56、ワイピングユニット57、およびフラッシングユニット58のメンテナンスユニットとメニスカス測定装置59とを備えている。さらに、メンテナンスユニットを載置するメンテキャリッジ51と、メンテキャリッジ51の移動をガイドするメンテキャリッジガイド52と、メンテキャリッジ51と一体の螺合部55と、螺合部55が螺合するボールねじ54と、ボールねじ54を回転させるメンテモータ53とを備えている。これにより、メンテモータ53が正逆回転すると、ボールねじ54が回転し、螺合部55を介してメンテキャリッジ51が、X軸方向に移動する。メンテキャリッジ51がヘッド部20のメンテナンスおよび機能液吐出試験のために移動するときには、Y軸ガイド23に沿ってヘッド部20が移動して、メンテナンスユニットの直上部に臨んでいる。
【0044】
メンテナンスユニットのキャッピングユニット56は、液滴吐出装置1が稼動していない時に、ヘッド部20の12個の吐出ヘッド26のそれぞれと密着してキャッピングし、機能液が乾燥してノズル27が詰まるなどの不具合が生じないようにする。ワイピングユニット57は、機能液の連続吐出後やキャッピング時にノズル27に付着した機能液などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い、全ノズルの清浄な状態を維持する。フラッシングユニット58は、液滴吐出装置1の稼動開始時やワーク30への加工前に、ノズル27から吐出される機能液を受け、ノズル27の吐出状態を常に良好な状態にする。
【0045】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置1の非稼動時やワーク30を交換載置している加工待ち時などに、吐出ヘッド26の状態を保全して良好な吐出状態を保つことができる。
【0046】
また、定盤12上には、ノズル27における機能液のメニスカス測定による測定結果等を表示する表示部93と、メニスカス測定に関わる入力操作のための入力操作部89とが設けられている。
【0047】
次に、以上述べた構成を制御する制御部6について図4を参考に説明する。制御部6は、指令部70と駆動部80とを備え、指令部70は、CPU72、ROM73、RAM74および入出力インターフェース71からなり、CPU72が入出力インターフェース71を介して入力される各種信号を、ROM73、RAM74のデータに基づき処理し、入出力インターフェース71を介して駆動部80へ制御信号を出力する。
【0048】
駆動部80は、ヘッドドライバ81、モータドライバ82、ポンプドライバ83、およびメンテドライバ85から構成されている。モータドライバ82は、指令部70の制御信号により、X軸リニアモータ34、Y軸リニアモータ24を制御し、ワーク30、ヘッド部20の移動を制御する。そして、メンテモータ53を制御してメンテナンス機構部5の必要なユニットをメンテナンス位置へ移動させる。さらに、メニスカス測定装置59の第一回転体モータ97と、第二回転体モータ99とを制御する。第一回転体モータ97および第二回転体モータ99については、図12を用いて後述する。ヘッドドライバ81は、吐出ヘッド26からの機能液の吐出を制御し、モータドライバ82の制御と同調して、ワーク30上に所定の描画などが行えるようにする。また、ポンプドライバ83は、機能液の吐出状態に対応して機能液ポンプ44を制御し、吐出ヘッド26への機能液供給を最適に制御する。そして、メンテドライバ85は、メンテナンス機構部5のキャッピングユニット56、ワイピングユニット57およびフラッシングユニット58を制御する。
【0049】
駆動部80は、さらに機能液のメニスカス測定を行うためのレーザドップラ計(メニスカス測定部)90を制御するドップラ計ドライバ86と、表示部93を制御する表示ドライバ88とを備えている。そして、入力操作部89が入出力インターフェース71へ接続されている。
【0050】
指令部70は、ヘッドドライバ81を介して、複数の振動子62のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル27から吐出される液滴68の体積は、ヘッドドライバ81からの信号に応じてノズル27毎に制御され可変である。
【0051】
次に、ヘッドドライバ81による振動子62の制御について説明する。図5(a)は、ヘッドドライバの電圧波形生成回路の一例を示す回路図である。また、図5(b)は、信号のタイミングを示すタイムチャートであり、駆動信号等の波形は、印加される電圧波形を表している。これら回路図およびタイムチャートにより吐出ヘッド26における吐出制御について説明する。制御信号発生回路220、駆動信号発生回路230は、制御部6のヘッドドライバ81に備えられている。また、フリップフロップ226、フリップフロップ227、トランジスタ229は、吐出ヘッド26の振動子62の各々に対応して設けられていて、制御信号発生回路220、駆動信号発生回路230と各信号線223,224,225,231で接続されている。
【0052】
制御信号発生回路220は、データバス222を介して送られてくる図5(b)に示すデータ信号を取り込み、吐出ヘッド26が吐出位置に達したことを示す吐出タイミング信号が端子221に入力された段階で、取り込んだデータ信号を1ビットずつ信号線224に出力する。この信号線224に出力されたデータ信号は、カスケードに接続されシフトレジスタを構成するフリップフロップ226のデータ端子に入力される。また、信号線225にはシフトクロック信号が出力され、このシフトクロック信号によってシリアル転送されたデータ信号がシフトされながら、フリップフロップ226に転送される。
【0053】
そして、すべての振動子62に対するデータ(ノズルのON/OFF情報)が転送された段階で、信号線223にラッチ信号が送られ、データがフリップフロップ227の出力側に現れる。そして、吐出動作を行うべき振動子62に対応するトランジスタ229がON状態となる。一方、駆動信号発生回路230は、制御信号発生回路220、信号線260を介して吐出タイミング信号が入力されると、駆動信号を信号線231から出力し、ON状態となったトランジスタ229に対応する振動子62を駆動する。
【0054】
なお、駆動信号発生回路230が生成する駆動信号の形状や、データ信号のデータ、吐出タイミング信号の印加タイミング、周波数などは、指令部70からの命令により、自由に設定することが可能である。このように、吐出ヘッド26の任意のノズル27から、任意のタイミングで、任意の駆動信号によって液滴68を吐出させることが可能となる。
【0055】
図5(b)には、振動子62の駆動によりノズル27から液滴68が吐出される吐出タイミングTeを示している。この吐出タイミングTeは、駆動信号に依存して決まるタイミングであり、図からわかるように、吐出タイミング信号の立ち上がりタイミングとも、ラッチ信号の立ち上がりタイミングであるラッチタイミングTlとも異なったタイミングである。しかし、吐出タイミングTeとラッチタイミングTlとは、常に一定の時間間隔Tiで規定される関係にあり、ラッチタイミングTlをもって吐出タイミングTeを捉えることが可能である。
【0056】
次に、吐出ヘッド26の振動子62へ印加される電圧波形(信号)について説明する。図6は、機能液を吐出あるいは微振動させるための電圧波形を示すタイムチャートである。液滴吐出装置1の電源が入れられると、振動子62には、中間電位Vmが印加される。次いで、駆動電圧波形が印加されて液滴68を吐出する前に、微振動電圧波形が印加される。この微振動電圧波形は、ノズル27から機能液が吐出されない程度に振動子62を振動させる信号である。液滴68の吐出前に微振動電圧波形を印加すれば、ノズル27部分の大気に接する機能液が滞留せずに流動して粘度の増加等が起き難い状態となる。そのため、最初の液滴68の吐出であっても、安定して吐出可能である。この微振動電圧波形を印字前微振動電圧波形と称する。
【0057】
そして、振動子62へ駆動電圧波形が印加されると、電圧値が、中間電位VmのP10の状態から最大電位VhのP11まで上昇し、P11の状態をこの場合3マイクロ秒維持する。次に、最大電圧Vhから最低電圧Vlまで降下する。P11からP12への電圧降下の勾配は、P10からP11への電圧上昇の勾配よりも大きく急激な電圧降下となる。次に、P12の状態をこの場合3マイクロ秒維持し、再び中間電位Vmまで上昇する。P11からP12への電圧降下に対応して、振動子62が、液滴68をノズル27から押し出し、液滴が吐出される。このメカニズムの詳細は後述する。
【0058】
最初の液滴吐出後、次の吐出までの非吐出時間TS1が生じる場合、この非吐出時間TS1の間、非吐出ノズル27の振動子62へ微振動電圧波形を印加する。他のノズル27は液滴を吐出しており、この微振動電圧波形を印字内微振動電圧波形と称する。印字内微振動電圧波形の効果は、印字前微振動電圧波形と同様で、ノズル27部分の大気に接する機能液が滞留せずに流動して粘度の増加等が起き難い状態に維持されることである。非吐出時間TS1が終了し、振動子62へ駆動電圧波形が印加されるとノズル27から液滴が吐出される。
【0059】
液滴の吐出が終了し、全ノズル27が非吐出状態になると、電圧値が待機電位Vwに降下する。この状態で次の駆動電圧波形が印加されるまで微振動電圧波形が全振動子62へ印加される。この微振動電圧波形を待機時微振動電圧波形と称する。待機時微振動電圧波形の効果は、印字内微振動電圧波形と同様である。
【0060】
次に、駆動電圧波形の印加によるノズル27における機能液の状態(メニスカス)の変化について説明する。図7は、ノズルにおける駆動電圧波形に対応した機能液の状態を示す断面図である。中間電位VmにあるP10の状態において、メニスカスは、ノズル27に形成された撥水膜の撥水性と機能液との表面張力等によって、ノズル27の内側(キャビティ60側)に引き込まれて凹形状をなしている。このときのメニスカスの状態が図7(a)に示されている。中間電位VmのP10の状態から最大電位Vhへ上昇してP11に至る状態では、振動子62がキャビティ60を拡張する方向へ撓み、メニスカスがノズル27の内側に引き込まれ、最大電位VhのP11においては、図7(b)に示すように引き込まれ量が最大となる。ここで、一旦引き込まれたメニスカスが、引き込まれる直前の位置に復帰しない程度の時間、例えば3マイクロ秒だけ最大電位Vhを維持する。
【0061】
次に、P11の最大電位Vhの状態から最低電位Vlまで急速に電圧を降下させる。これにより、振動子62がキャビティ60を収縮する方向へ撓み、メニスカスがノズル27から突出し始め、最低電位VlのP12において、図7(c)に示すように機能液が突出した状態となる。3マイクロ秒程度維持されるP12の状態においても、慣性によりメニスカスの突出が若干続いている。そして、P12の状態から再び中間電位Vmまで電位を上昇させる。これにより、振動子62がキャビティ60を拡張する方向へ撓み、中間電位Vmに至った時点のP13では、図7(d)に示すように、ノズル27から外側に突出した機能液が離反する状態となり、ノズル27から液滴68として吐出される。
【0062】
一方、微振動電圧波形は、図8の微振動電圧波形を示すタイムチャートに示すように、駆動電圧波形と同様に、中間電位VmのP20の状態から微振動電位VvのP21まで上昇する。そして、この微振動電位Vvを例えば3マイクロ秒維持した後、中間電位Vmまで下降する。ここで、微振動電圧波形は、機能液の液滴を吐出しない程度の微振動を与えるものであるから、微振動電位Vvは、駆動電圧波形の最大電位Vhよりも小さい。具体的には、(Vv−Vm)は(Vh−Vm)の1/2程度である。なお、微振動電圧波形のP20からP21への電圧上昇の勾配と、P21からP22への電圧降下の勾配とはほぼ等しい。
【0063】
続いて、微振動電圧波形の印加によるノズル27におけるメニスカスの挙動を説明する。図9は、ノズルにおける微振動電圧波形に対応した機能液の状態を示す断面図である。中間電位VmのP20では、上記のP10の状態と同様に、図9(a)に示すようにメニスカスは、ノズル27から若干引き込まれた位置にある。次に、中間電位Vmから微振動電位Vvまで電圧が上昇すると、振動子62がキャビティ60を拡張する方向へ撓み、図9(b)に示すように、メニスカスがノズル27の内側にさらに引き込まれる。もっとも、微振動電位Vvは最大電位Vhに比べて小さいため、メニスカスの引き込み量は僅かである。微振動電位Vvを短時間保持するP21の状態では、メニスカスはノズル27の内側に少しだけ引き込まれた状態を維持している。
【0064】
そして、微振動電位Vvから中間電位Vmまで電圧を降下させたP22の状態では、キャビティ60が収縮するため、図9(c)に示すように、メニスカスはノズル27の外側に向けて押し出された後、図9(a)の状態に戻る。このように、微振動電圧波形は、電圧変動が少なく、キャビティ60内の圧力変化も少なく、ノズル27から機能液を液滴として吐出させずにメニスカスの変化を起こさせることができる。微振動電圧波形を振動子62へ印加することにより、ノズル27部の機能液を振動させて、機能液の吐出不良の原因となる機能液の粘度増加等を抑えることができる。
【0065】
次に、メニスカス測定装置59について説明する。まず、メニスカス測定装置59が有するレーザドップラ計90によるノズル27部のメニスカスの測定方法について説明する。図10は、ノズルにおけるメニスカスの測定方法を示す説明図である。メニスカスの測定時には、ノズル27を備えたヘッド部20が、ヘッドキャリッジ21によってY軸ガイド23に沿って、メンテナンス機構部5のフラッシングユニット58の上方へ移動し、フラッシングを行う。フラッシング後、すぐに、メンテナンス機構部5は、メニスカス測定装置59をヘッド部20の下方へ移動させる。双方の移動調整により、ヘッド部20のメニスカスを測定するノズル27とメニスカス測定装置59のレーザドップラ計90とが対峙するように位置する。
【0066】
レーザドップラ計90は、図示していない発光部(照射部)と受光部とを備えており、発光部よりレーザ光(電磁波)95を発光してメニスカスへ照射する。メニスカスへ照射されメニスカスで反射して戻ってきたレーザ光95を受光部で受光する。
【0067】
ノズル27とレーザドップラ計90とが対峙すると、レーザドップラ計90からレーザ光95が、第一回転体96および第二回転体98を通過してメニスカスへ照射される。第一回転体96および第二回転体98は、第一回転体モータ97および第二回転体モータ99と共に、それぞれメニスカスへ照射するレーザ光95の照射および遮断を制御する遮断部として機能する。レーザドップラ計90は、メニスカスを経時的に複数回に亘る測定サンプリング点を測定(測定工程)し、この複数回の測定結果からメニスカスの状態を求めるものである。メニスカスへ照射されたレーザ光95は、メニスカスで反射して再びレーザドップラ計90に戻って来る。このとき、メニスカスが図8に示す微振動電圧波形の振動子62への印加によって振動していると、P20、P21、P22の状態によってメニスカスの位置が異なる。
【0068】
P20での位置を変位0(ゼロ)とすると、P21では、メニスカスがノズル27の内側に引き込まれて、マイナスの変位となる。P22では、メニスカスがノズル27の外側へ押し出されて、逆にプラスの変位となる。これらの変位の差によりメニスカスで反射して戻って来るレーザ光95に時間差が生じる。この時間差からメニスカスの振動状態を測定する。メニスカスの振動状態は、メニスカスの変位の量として測定する。あるいは、変位の量ではなく、メニスカスの振動する速度として測定することも可能である。測定した時間差の換算方法により、測定値としてメニスカスの変位または速度が選択できる。
【0069】
次に、図11の機能液のメニスカス測定を行うための装置構成を示すブロック図と、図12のメニスカス測定装置の構成を示す模式図とを用いてさらに詳細に説明する。メニスカス測定装置59は、メニスカスを測定するレーザドップラ計(メニスカス測定部)90と、レーザドップラ計90からノズル27のメニスカスへ照射されるレーザ光95を制御する第一回転体96と、第一の回転体を回転させる第一回転体モータ97と、同じくレーザ光95を制御する第二回転体98と、第二回転体98を回転させる第二回転体モータ99とを有する。メニスカス測定装置59は、液滴吐出装置1の制御部6の指令部70および指令部70と接続され既述した各種ドライバを有する駆動部80とによって制御されている。レーザドップラ計90によりメニスカスの挙動を測定されるノズル27を備えた吐出ヘッド26は、ヘッドドライバ81を介して指令部70と接続されており、メニスカス測定装置59と連動して作動する。また、メニスカスの挙動の測定のための入力操作部89が指令部70に接続されている。入力操作部89は、測定する回数としての測定サンプリング点の設定やメニスカスの挙動の表示方法等を入力する。
【0070】
まず、吐出ヘッド26の側に位置する第二回転体98について説明する。第二回転体98は、円板状の形状をしており、円板面に放射状に均等配置された複数の第二スリット100を備えている。第二回転体98が第二回転体モータ99によって回転させられると、レーザドップラ計90からのレーザ光95は、第二スリット100以外の部分では遮断され、第二スリット100を通過したものだけがノズル27のメニスカスへ照射される。第二回転体98のみでは、レーザ光95が周期的な間歇でメニスカスへ照射される。
【0071】
続いて、第一回転体96は、一つの第一スリット101を備え、メニスカスの挙動の測定開始時において、第二回転体98の回転が所定の回転数に達して安定するまでレーザ光95を遮断しておく。第二回転体98の回転が安定状態になると、第一スリット101を図12に示すレーザ光95の通過位置まで回転させてレーザ光95を通過させる。以降、第一回転体96については、メニスカスの挙動の測定終了まで、レーザ光95を通過させる位置に配置したままとし、レーザ光95の照射を続ける。あるいは、第一回転体96の第一スリット101の回転を継続して、任意の間隔で、第一スリット101を介して第二回転体98側へレーザ光95を出光させることも可能である。第一回転体96および第二回転体98の回転数と、第一スリット101、第二スリット100の数とをそれぞれ適宜設定すれば、多様な間隔でレーザ光95をノズル27のメニスカスへ照射できる。
【0072】
このように、測定が必要なときのみメニスカスへレーザ光95を照射して測定を行うことにより、機能液へ連続してレーザ光95が照射されない。液滴吐出装置1のノズル27は、2ピコリットルの液滴68を吐出できる微小なものもあり、連続してレーザ光95が照射されると、ノズル27の機能液が、粘度の増加などの変質を起こす場合がある。特に、水系溶媒の機能液や、沸点の低い蒸発しやすい機能液の場合に、この傾向が顕著である。メニスカス測定装置59では、第一回転体96および第二回転体98によりレーザ光95の間歇的な照射が可能であり、レーザ光95の連続照射による機能液の変質を大幅に抑えることができる。
【0073】
次に、メニスカス測定装置59を用いて、ノズル27へ微振動電圧波形が印加された場合のメニスカスの挙動の測定について説明する。図13は、微振動電圧波形、メニスカスの変位および回転体の開閉を示すタイムチャートである。ここで回転体の開閉とは、第一スリット101あるいは第二スリット100をレーザ光95が通過できる状態を「開」とし、レーザ光95が遮断されている状態を「閉」とする。ここで、第一スリット101、第二スリット100の両方がレーザ光95を通過させて、レーザ光95がメニスカスへ照射されている状態が照射工程である。一方、第一スリット101、第二スリット100のいずれかがレーザ光95を遮断している状態が遮断工程である。
【0074】
また、正常な吐出状態にある吐出ヘッド26の振動子62に微振動電圧波形PS1が印加されると、機能液のノズル27におけるメニスカスの変位は、曲線M1のように表される。図13では、丸印で示す測定のタイミング点が3点となっているが、タイミング点を増やすことにより、より詳細な曲線M1が入手できる。曲線M1が正常なメニスカスの変位を表すものである。
【0075】
曲線M1は、図8および図10に示す中間電位Vmが印加されたP20では、M20で示す変位0(ゼロ)の状態である。微振動電位Vvが印加されたP21では、メニスカスがノズル27の内側に引き込まれ、メニスカスがマイナス方向へM21まで変化する。さらに、中間電位Vmまで電圧が上昇すると、メニスカスがノズル27の外側へ押し出され、メニスカスが変位0を超えてプラス方向へM22まで変化する。その後、メニスカスが変位0に戻る際に、慣性によりマイナス方向へ一旦変位してM20の状態に戻る。なお、メニスカスの変位をメニスカスの速度に置き換えても、メニスカスの挙動の速度に対応した曲線を描く。
【0076】
参考として、時間経過による機能液の状態の判定について説明する。微振動波形PS1、PS2・・・PSnが周期的に印加されると、それぞれに対応してノズル27のメニスカスの変位を示す曲線が、例えばM1、M2・・・Mnのようになる。同じ微振動電圧波形を印加しても、例えばn回目の微振動電圧波形PSnを印加した場合には、メニスカスの変位が変位の曲線Mnのようにならなかったとする。この場合、例えば機能液の粘度が増して変質をしており、ノズル27から正常な吐出がなされない状態であると判断できる。粘度の増加だけでなく、機能液に気泡が混入している場合等でも、同様に、変位の曲線が異常な形で表されるため、機能液の異常を察知できる。変位を数値で比較すればより定量的で比較し易い。
【0077】
メニスカスの変位は、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnが周期的に印加されている期間中電磁波を連続してメニスカスへ照射し、指定された測定タイミング点において測定しても良い。しかし、先に述べたように、機能液に連続してレーザ光95を照射すると、機能液が蒸発して機能液の粘度が増加するなどの変質を生じる場合がある。そこで、機能液の変質を防止するため、図12に示すように、第一回転体96および第二回転体98を用いて、レーザ光95の照射を制御する方法が効果的である。
【0078】
第二回転体98の第二スリット100は、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnの印加周期に同調するように回転する。第二スリット100を回転させる第二回転体モータ99は、微振動電圧波形の印加タイミングを決める基準信号に同調し、メニスカスの微振動している期間に所定数の測定ができるように、モータドライバ82によって回転数を調整される。測定の所定数は、第二スリット100が回転してレーザ光95の照射経路を通過する時間によって決まる。図13の例では、照射工程である第二スリット100がレーザ光95の照射経路を通過している間に、3回メニスカスの変位の測定が行われる。第二スリット100の回転により、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnが印加されメニスカスが微振動している期間においてのみ、第二スリット100からレーザ光95が通過できる「開」の状態となり、他の期間は、レーザ光95が遮断される「閉」の状態となる。第二スリット100は、「開」および「閉」を周期的に繰り返し、レーザ光95のメニスカスへの照射を制御する。
【0079】
第一回転体96は、第二回転体98よりレーザドップラ計90側に位置し、メニスカスの測定開始前は、「閉」状態である。第二回転体98が回転し始め、その回転が、微振動電圧波形印加の周期に同調して安定すると、第一回転体96が回転して「開」状態となる。具体的には、微振動電圧波形PS1の印加時には、第二回転体98の回転がまだ安定状態でなく、第一回転体96が「閉」状態であり、第二回転体98の回転が安定状態となった微振動電圧波形PS2の印加時から第一回転体96が「開」状態となる。微振動電圧波形PS2の印加時は、第一回転体96と第二回転体98とも「開」状態となりメニスカスの変位の測定が可能となる。
【0080】
第一回転体96は、微振動電圧波形PS2から周期的な微振動電圧波形PSnの印加までの間、第一スリット101が回転しつつレーザ光95の照射経路に位置しており、「開」の状態である。その後、第一スリット101がさらに回転してレーザ光95の照射経路から離れると、次の第一スリット101がレーザ光95の照射経路に位置するまで「閉」の状態となる。そして、次の第一スリット101がレーザ光95の照射経路に位置すると、微振動電圧波形PS2から微振動電圧波形PSnまでの印加と同じ期間「開」の状態となる。
【0081】
このように、第一回転体96は、第二回転体98とは異なった「開」「閉」の周期でレーザ光95の照射を制御する。あるいは、周期的な「開」「閉」の制御ではなく、メニスカスの変位の測定開始時に「開」状態となり、メニスカスの測定終了時に「閉」状態となる単純な制御も可能である。遮断部の設定により、レーザ光95のメニスカスへの照射が、自在に制御でき、合わせて機能液の粘度増加等の変質抑止も図ることができる。
【0082】
以下、実施形態1の効果を記載する。
【0083】
(1)第一回転体96および第二回転体98によりレーザ光95の機能液のメニスカスへの照射が間歇的に制御でき、微振動電圧波形が印加された測定必要時のみメニスカスへのレーザ光95の照射が可能である。同時に、連続してレーザ光95を機能液に照射しないため、レーザ光95の連続照射による機能液の粘度増加等の変質を抑制できる。
【0084】
(2)レーザ光95の照射の制御を、第一回転体96および第二回転体98の2つの回転体によって行っており、それぞれの回転数や備えられているスリット数を変えることにより、多様な照射制御を設定できる。
【0085】
(3)第二回転体98の回転が安定するまで、第一回転体96によってレーザ光95の照射を遮断でき、常に、回転が安定した状態におけるメニスカスの挙動の測定ができる。
【0086】
(4)メニスカスの挙動の測定に直進性が良く拡散しないレーザ光95を用いることにより、微細なメニスカスの変位または速度の検出が可能である。
(実施形態2)
【0087】
次に、メニスカスの測定方法の実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1と同じ装置を用いており、実施形態1と異なるメニスカスへのレーザ光95の照射方法についてのみ説明する。
【0088】
図14は、実施形態2における微振動電圧波形、メニスカスの変位および回転体の開閉を示すタイムチャートである。ここでは、微振動電圧波形PS1の印加時には、第二回転体98が微振動電圧波形印加の周期に同調して安定回転状態にあるとする。第二回転体98の第二スリット100は、実施形態1の場合よりも、より短い周期で「開」「閉」を繰り返す構成である。つまり、実施形態1のように、微振動電圧波形PS1が印加されている期間をすべて「開」にしてメニスカスへレーザ光95を照射するのではなく、微振動電圧波形PS1の印加期間中においても、測定サンプリング点以外の非測定期間は「閉」とする設定である。第二スリット100の「開」の状態が第二期間である。
【0089】
第一回転体96の第一スリット101は、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnの印加時は「開」状態で、他は、「閉」状態となるように制御されている。つまり、第一回転体96は、実施形態1における第二回転体98と同様な「開」「閉」制御を行っている。ここで、第一スリット101の「開」状態が第一期間である。このような第一回転体96および第二回転体98によるレーザ光95の制御により、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnの印加によりメニスカスが微振動している期間のさらに測定工程である測定サンプリング点においてのみ、メニスカスへレーザ光95が照射される。実施形態1に比べて、メニスカスへのレーザ光95の照射を更に少なくできる。
【0090】
なお、第二回転体98は、実施形態1と同じものを用いれば、実施形態1の場合よりも回転が高速の設定となる。また、同じ回転数で「開」「閉」の制御を行う場合は、第二スリット100の数を増やせば、同様な制御が可能である。このような制御は、レーザドップラ計90から照射されるレーザ光95を直接制御することでも可能であるが、マイクロ秒単位の時間でのレーザ光95の制御は難しい。以上述べた回転体を用いるレーザ光95の照射制御方法が、メニスカスの変位の測定およびレーザ光95による機能液の粘度増加等の変質を抑制するための優れた方法である。
【0091】
以下、実施形態2の効果を記載する。
【0092】
(1)遮断部により、ノズル27における機能液へのレーザ光95の照射を、微振動電圧波形PS1、PS2・・・PSnの印加時においても連続ではなく間歇的に行い、メニスカスへのレーザ光95の照射を最小限に抑えることができる。また、レーザ光95の照射時間の減少によって機能液の粘度増加等の変質もより抑制できる。
【0093】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例が挙げられる。
【0094】
(変形例1)第一回転体96および第二回転体98の形状は、スリット付の円板状以外に、扇風機の羽根のように複数の羽根が回転するものであっても良い。回転数、羽根の数および羽根の配置間隔の設定により、第一回転体96および第二回転体98と同様に、レーザ光95の照射を制御できる。
【0095】
(変形例2)遮断部は、回転体に限定されず、スリットを有するテープによるものであっても良い。回転体と同様な効果が得られる。
【0096】
(変形例3)メニスカス測定装置の構成において、第二回転体98がレーザドップラ計90側に位置する構成でも良い。この構成であっても同様なレーザ光95の照射制御が行える。
【0097】
(変形例4)第一回転体96および第二回転体98が、常に一定の関係でレーザ光95の照射制御をする場合には、第一回転体96と第二回転体98とをギア列を介して一個のモータで制御しても良い。二個のモータを同調させて制御する必要がなく、制御が容易になる。
【0098】
(変形例5)メニスカスの挙動の測定時にノズル27がフラッシングユニット58の上方へ移動し、フラッシングを行うが、このフラッシングは、フラッシング時のみノズル27とレーザドップラ計90との間に液滴受けが挿入される構成で、レーザドップラ計90の上方で行っても良い。フラッシング終了後、直ちにメニスカスの挙動の測定ができる。
【0099】
(変形例6)遮断部は、単純に一定間隔で微振動電圧波形に対応したメニスカスの挙動を測定する場合、第二回転体98だけの設定であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態1におけるメニスカス測定装置を備えた液滴吐出装置の外観を示す斜視図。
【図2】(a)ヘッド部を示す平面図。(b)ノズルを示す平面図。
【図3】ノズル部分の詳細を示す断面図。
【図4】制御部の構成を示すブロック図。
【図5】(a)ヘッドドライバの電圧波形生成回路の一例を示す回路図。(b)信号のタイミングを示すタイムチャート。
【図6】機能液を吐出あるいは微振動させるための電圧波形を示すタイムチャート。
【図7】ノズルにおける駆動電圧波形に対応した機能液の状態を示す断面図。
【図8】微振動電圧波形を示すタイムチャート。
【図9】ノズルにおける微振動電圧波形に対応した機能液の状態を示す断面図。
【図10】ノズルにおけるメニスカスの測定方法を示す説明図。
【図11】メニスカス測定を行うための装置構成を示すブロック図。
【図12】メニスカス測定装置の構成を示す模式図。
【図13】微振動電圧波形、メニスカスの変位および回転体の開閉を示すタイムチャート。
【図14】実施形態2における微振動電圧波形、メニスカスの変位および回転体の開閉を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0101】
1…液滴吐出装置、5…メンテナンス機構部、26…吐出ヘッド、27…ノズル、59…メニスカス測定装置、72…CPU、81…微振動電圧波形印加部としてのヘッドドライバ、90…メニスカス測定部および照射部としてのレーザドップラ計、95…電磁波としてのレーザ光、96…遮断部としての第一回転体、97…遮断部としての第一回転体モータ、98…遮断部としての第二回転体、99…遮断部としての第二回転体モータ、100…遮断部としての第二スリット、101…遮断部としての第一スリット、Vm…中間電位、Vh…最大電位、Vl…最低電位、Vw…待機電位、PS1、PS2…PSn…微振動電圧波形、M1、M2…Mn…メニスカスの変位曲線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定方法であって、
前記ノズルの前記メニスカスへ照射部から電磁波を照射する照射工程と、
前記ノズルと前記照射部との間に設けられた遮断部により、前記メニスカスへ照射する前記電磁波を間歇的に遮断する遮断工程と、
前記メニスカスの挙動をメニスカス測定部によって測定するメニスカス測定工程と、を有することを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項2】
液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定方法であって、
前記ノズルから液滴を吐出させない程度の微振動電圧波形を前記ノズルへ印加する微振動電圧波形印加工程と、
前記微振動電圧波形の印加に同調して前記ノズルの前記メニスカスへ照射部から電磁波を照射する照射工程と、
前記ノズルと前記照射部との間に設けられた遮断部により、少なくとも前記メニスカスを測定する期間は前記メニスカスへ前記電磁波を照射するように前記電磁波の照射および遮断を制御する遮断工程と、
前記メニスカスで反射した前記電磁波をメニスカス測定部が受けて、前記メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定工程と、を有することを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載のメニスカス測定方法において、
前記メニスカス測定工程は、前記微振動電圧波形の印加による前記ノズルにおける前記メニスカスの変位または速度を測定する工程であることを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載のメニスカス測定方法において、
前記メニスカス測定工程は、前記電磁波がレーザ光であるレーザドップラ計によりメニスカスの挙動を測定することを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のメニスカス測定方法において、
前記遮断工程は、前記遮断部がスリットを備えた回転体を有しており、前記回転体の回転速度を制御することにより前記スリットを通過する前記メニスカスへの前記電磁波の照射および遮断の時期を制御する工程であることを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載のメニスカス測定方法において、
前記遮断工程では、前記回転体が前記電磁波を乱反射させる面を前記メニスカス測定部に対峙する側に備え、前記電磁波を遮断したときは前記電磁波を乱反射させることを特徴とするメニスカス測定方法。
【請求項7】
液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定装置であって、
前記ノズルの前記メニスカスへ電磁波を照射する照射部と、
前記ノズルと前記照射部との間に設けられ、前記メニスカスへ照射する前記電磁波を間歇的に遮断する遮断部と、
前記メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定と、を有することを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項8】
液滴吐出ヘッドのノズルにおけるメニスカスの挙動を測定するメニスカス測定装置であって、
前記ノズルから液滴を吐出させない程度の微振動電圧波形を前記ノズルへ印加する微振動電圧波形印加部と、
前記微振動電圧波形を印加に同調して前記ノズルの前記メニスカスへ電磁波を照射する照射部と、
前記ノズルと前記照射部との間に設けられ、少なくとも前記メニスカスを測定する期間は前記メニスカスへ前記電磁波を照射するように前記電磁波の照射および遮断を制御する遮断部と、
前記メニスカスで反射した前記電磁波を受けて、前記メニスカスの挙動を測定するメニスカス測定部と、を有することを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載のメニスカス測定装置において、
前記メニスカス測定部は、前記微振動電圧波形の印加による前記ノズルにおける前記メニスカスの変位または速度を測定することを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載のメニスカス測定装置において、
前記メニスカス測定部は、前記電磁波がレーザ光であるレーザドップラ計によりメニスカスの挙動を測定することを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載のメニスカス測定装置において、
前記遮断部は、スリットを備えた回転体を有しており、前記回転体の回転速度を制御することにより前記スリットを通過する前記メニスカスへの前記電磁波の照射および遮断の時期を制御することを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載のメニスカス測定装置において、
前記回転体は、前記スリットを通って前記メニスカスへ照射される前記電磁波の照射の期間が、前記ノズルへ前記微振動電圧波形の印加によって発生する前記メニスカスの微振動の発生期間の一部を含むように前記微振動電圧波形の印加タイミングに同調して回転速度制御されることを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項13】
請求項11に記載のメニスカス測定装置において、
前記回転体として、第一スリットを有する第一回転体と第二スリットを有する第二回転体とを備え、
前記第一回転体は、前記電磁波の照射経路を通過する前記第一スリットの第一期間が、前記ノズルへ前記微振動電圧波形が印加されて発生する前記メニスカスの微振動の発生期間の一部を含むように前記微振動電圧波形の印加タイミングに同調して回転速度制御され、
前記第二回転体は、前記電磁波の照射経路を通過する前記第二スリットの第二期間が、前記第一期間内に前記メニスカス測定部の測定サンプリング点を少なくとも一つ含む複数の期間として設定されるように回転速度制御されることを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載のメニスカス測定装置において、
前記回転体の前記メニスカス測定部に対峙する面が、前記電磁波を遮断したときは前記電磁波を乱反射させることを特徴とするメニスカス測定装置。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載のメニスカス測定装置を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−170756(P2006−170756A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362538(P2004−362538)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】